JP2001123372A - 易成形性不織布及びそれを用いた積層シート - Google Patents

易成形性不織布及びそれを用いた積層シート

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JP2001123372A JP30085899A JP30085899A JP2001123372A JP 2001123372 A JP2001123372 A JP 2001123372A JP 30085899 A JP30085899 A JP 30085899A JP 30085899 A JP30085899 A JP 30085899A JP 2001123372 A JP2001123372 A JP 2001123372A
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Shigenori Fukuda
重則 福田
Hisakatsu Fujiwara
寿克 藤原
Junji Iwata
淳治 岩田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 延展性、型保持性に優れた易成形性不織布、
及びそれらを用いた積層シートを提供すること。 【解決手段】 熱可塑性繊維が点接着された不織布にお
いて、点接着部の状態を調節し、不織布の破断伸度と最
大強度時の伸度との比率を110〜400%の範囲とし
た易成形性不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形加工性に優れ
た易成形性不織布、及びそれを用いた積層シートに関す
る。更に詳しくは、農業資材、土木資材、日用雑貨品、
衛生用品、及びフィルター等の用途として、成形加工さ
れる際に要求される延展性や型保持性等に優れた易成形
性不織布、及びそれを用いた積層シートに関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性繊維からなる不織布の製造方法
として、紡糸、延伸後、カットされた短繊維をカード
法、エアレイド法、抄紙法等にてウェブとした後、この
ウェブを構成する繊維同士の点接着を熱エンボスロール
等により行い不織布化する方法が以前より知られてい
る。また、トウ開繊法やスパンボンド法等より得られる
長繊維についても、そのウェブを構成する繊維同士の点
接着を熱エンボスロール等により行うことで不織布が生
産されている。これらの不織布は、現在、生活資材、産
業資材等における幅広い分野で使用されている。これら
の分野においては、用途に応じて不織布に曲面や凹凸構
造を持たせることで、使用部位の形状に合わせたり、ク
ッション性、通気性、通液性等の性能や感触等を向上さ
せることが行われている。不織布にこのような構造を持
たせるには、必要とする形状に不織布を延展させるため
の凹凸構造を持つ上型と下型からなる金型により、不織
布にプレス加工を行う方法が採られる。また、金型でな
く、凹凸同士が噛み合う形状に加工された2本の彫刻ロ
ールを用いることで連続的に加工する方法等が採られる
場合もある。なお、プレス加工を行う場合には、不織布
を構成する熱可塑性繊維を軟化できる温度以上に予め不
織布を加熱しておくか、または予め金型を加熱しておく
ことで、延展し易い状態とした後に加工が行われる。
【0003】従来の熱可塑性繊維からなる不織布は、不
織布の伸度が低いために、不織布に凹凸を形成したり、
曲面を持たせる等の成形加工時の延展時に生じる不織布
の変形に不織布がついて行けず、応力の掛かる部分に裂
け目が入ったり、引き延ばされる部分の周辺にある不織
布を引き込み、皺が発生する等の問題があった。逆に不
織布が成形に必要な伸度を有していても、成形品の形状
が不均一になったり、強く引き伸ばされる部分が、薄く
なり地合の低下を生じる等の問題があった。これらの問
題は、不織布の加熱圧着された点接着部が強固に接着し
ているために起こり、この点接着部で不織布の伸びに対
する繊維の伸縮や移動の追従性を阻害していると推定さ
れる。特に延展率の大きい成形加工の際には、不織布に
穴開きや破れが生じる不具合があった。これは、熱可塑
性繊維自身の伸びによる変形だけでは不織布の延展に追
従できず、点接着部周囲の変形した繊維断面を有する熱
可塑性繊維部分にも引張応力が掛かるため、その熱可塑
性繊維部分の破断が起こり、また、成形加工を行った後
にも不織布内部に応力が残り易く、得られた成形品が、
後に残存応力により変形する等の不具合があった。ま
た、延展性を向上させるために、成形加工の際に加熱温
度を上げて加工を行うと、加熱時や成形後の冷却時に不
織布が収縮して、得られた成形品の形状が不均一になる
不具合や表面状態に斑を生じる不具合等があった。ま
た、加熱温度が高すぎる場合や、加熱時間が長すぎる場
合等、加熱をしすぎると熱可塑性繊維が溶融し、成形品
が必要以上に硬くなったり、不織布がフィルム化した
り、溶融斑により著しく表面状態を悪化する等の問題が
あった。
【0004】このような問題を解決する方法として、特
開平11−61620号公報には、芯成分にエステル系
重合体、鞘成分にオレフィン系重合体からなる成形性に
優れる鞘芯型複合長繊維を用いた不織布が開示されてい
る。これには、鞘芯型複合長繊維を低速紡糸することで
鞘芯型複合長繊維の結晶性を低くし、更に不織布とした
ものであり、これを用いることで、成形加工時の鞘芯型
複合長繊維に伸びを与え、不織布に伸縮追従性を与えて
いるものである。しかし、この製法では、紡糸速度を3
500m/min以下の出来るだけ遅くすることが必要
であり、このため、繊維径の細いもの程、紡出する熱可
塑性樹脂の吐出量を落とさなければならず、そのため、
生産性が低下することから、コストアップとなってしま
う。また、結晶性が低い繊維からなるウェブは熱収縮し
易くなるため、熱ロールにてウェブを加熱しウェブの表
層を疑似接着させるだけでは、表層の繊維を僅かに接着
させるだけで、充分に熱収縮を抑えることは出来ない。
それを防ぐため、疑似接着を充分にさせる手段として、
ライン速度を遅くしたり、熱ロールの本数を増やす必要
があるが、これにより更にコストアップとなってしま
う。また、熱圧着により散点状の融着区域を設けた不織
布においても、熱収縮しやすい性質が残り易いため、不
織布の加熱成形加工の際に熱収縮によって、不織布の地
合斑や成形品形状の不均一が発生し易くなる等の問題点
がある。また、破断伸度の上限については記載されてな
いが、繊維の低結晶化による繊維伸度アップでの成形性
向上も限度がある。深絞り比の更に大きな加工を行う際
に、不織布の伸度不足を補うため加熱温度をアップする
と、複合長繊維の鞘側を構成する熱可塑性樹脂の融点が
芯側を構成する熱可塑性樹脂の融点に比べかなり低いた
め、溶けすぎて、地合斑の発生や不織布の一部がフィル
ム化する等の問題が生じて、得られた成形品の商品価値
を低下させてしまう不具合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、延展
性、型保持性に優れた易成形性不織布、及びそれらを用
いた積層シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
を重ねた結果、熱可塑性繊維が点接着された不織布にお
いて、点接着部の状態を調節し、該不織布の破断伸度と
最大強度時の伸度との比率を特定の範囲内とすることで
上記課題を解決することを見出し本発明を完成させるに
至った。本発明は以下の構成を有する。 (1) 熱可塑性繊維を含むウェブが点接着されてなる
不織布であって、該不織布の縦方向もしくは横方向の破
断伸度と最大強度時の伸度との比率が、下記一般式1を
満足することを特徴とする易成形性不織布。 110≦{(破断伸度)/(最大強度時の伸度)}×100≦400 (1) (2) 縦方向もしくは横方向強度の破断強度と最大強
度との比率が、下記一般式2を満足する前記(1)項記
載の易成形性不織布。 2≦{(破断強度)/(最大強度)}×100≦90 (2) (3) 熱可塑性繊維が、10℃以上の融点差を有する
低融点の熱可塑性樹脂と高融点の熱可塑性樹脂とからな
る複合繊維である前記(1)項もしくは前記(2)項記
載の易成形性不織布。 (4) ウェブに含まれる熱可塑性繊維のうち、少なく
とも1種の熱可塑性繊維がオレフィン系樹脂からなる熱
可塑性繊維である前記(1)〜(3)項の何れか1項記
載の易成形性不織布。 (5) 熱可塑性繊維が、低融点の熱可塑性樹脂として
ポリエチレン系樹脂を、高融点の熱可塑性樹脂としてポ
リプロピレン系樹脂を用いた複合繊維である前記(3)
項記載の易成形性不織布。 (6) 熱可塑性繊維が、低融点の熱可塑性樹脂として
ポリエチレン系樹脂を、高融点の熱可塑性樹脂としてポ
リエステル系樹脂を用いた複合繊維である前記(3)項
記載の易成形性不織布。 (7) 易成形性不織布がスパンボンド法によって得ら
れる長繊維不織布である前記(1)〜(6)項の何れか
1項記載の易成形性不織布。 (8) 前記(1)〜(7)項の何れか1項記載の易成
形性不織布が、熱可塑性フィルムまたはシートの少なく
とも片面に積層された積層シート。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の易成形性不織布は、熱可塑性樹脂を用いた熱可
塑性繊維を含むウェブが、熱エンボスロール等により点
接着されたものである。なお、本発明でいう点接着と
は、熱可塑性繊維を含むウェブ(繊維集合体)等を部分
的に熱圧着した状態を意味する。該不織布に散在する点
接着部における繊維同士の接着力を成形加工時に必要と
される伸度が得られる状態に調節することにより、成形
加工中における不織布の変形を容易にし、また、変形中
に引張応力の強く掛かる繊維を点接着から解放させるこ
とにより、破れや地合の薄くなる部分が発生することを
防止して、成形品の仕上がり状態を優れたものとしてい
る。更に好ましい形態として、熱可塑性繊維を複合繊維
とすることで、形保持性や他のシート等との熱接着性を
向上させることが可能である。
【0008】図1に示す引張試験時の強伸度曲線を用い
て、より具体的に本発明の易成形性不織布の特徴を説明
する。従来の不織布における強伸度曲線である強伸度曲
線1は、点接着部が強固に接着されているため、最大強
度3aに達した直後から、点接着部周辺の繊維強度が弱
い部分で繊維の切断が連鎖的に発生し、短時間の内に不
織布が破断を起こしている(ほぼ破断点7に当たる)。
この結果、最大強度時の伸度4aと破断伸度4bは非常
に接近した位置にある。この破断伸度4bが低い値であ
ると、延展率の大きい成形加工の際は追従できず、不織
布の破れや穴開きを生じることになる。また、破断点に
達しなくとも、最大強度時の伸度4aの手前では、不織
布が元の状態に戻ろうとする回復性が残っているため、
不織布の風合いを残すような低い成形加工温度では、必
要とする寸法より少ない状態に仕上がってしまう。以上
のことから、従来の不織布では、加工条件や加工できる
伸度範囲が狭いものとなっている。これに対して、本発
明の易成形性不織布の強伸度曲線である強伸度曲線2
は、点接着部の接着力が適度な状態まで弱められている
ため、最大強度5aに達した際、張力が強く掛かった繊
維については点接着部から解放されることで不織布がよ
り変形し易くなり、伸度が上がるにつれて順次、引張張
力の掛かった繊維を解放するため、破断伸度6bは最大
強度時の伸度6aより、更に伸びた位置となる。また、
破断強度5bは最大強度5aより低い値を取り、破断伸
度が大きい程、低い値となる傾向である。このような特
徴を持つことで、本発明による不織布は、延展を伴う成
形加工性が良好になる。
【0009】このような挙動を示す本発明の易成形性不
織布は、該不織布の縦方向の破断伸度と最大強度時の伸
度との比率、または横方向の破断伸度と最大強度時の伸
度との比率が、下記式を満足することが必要である。 110≦{(破断伸度)/(最大強度時の伸度)}×1
00≦400 つまり、最大強度時の伸度に対する破断伸度の比率は、
110〜400%の範囲が必要で、好ましくは120〜
400%、更に好ましくは130〜400%である。こ
の比率が110%未満となると、従来の点接着部が強固
に接着された不織布と同様に、成形加工の際に、不織布
の破れや穴開きを生じてしまう。また、400%を超え
ると、不織布の延展性は問題ないが、点接着部が非常に
解れやすい状態となっているため、不織布強度が低すぎ
たり、成形時に点接着部の崩壊した部分が生じ、その部
分の不織布が薄くなり均一性が低下してしまう。なお、
不織布の物性は、不織布から切り出す試験片の向きによ
って異なることから、本発明においては、生産装置流れ
方向であるサクションコンベアの移動方向を縦方向とし
(略してMDという場合あり)、生産装置幅方向であり
MDと直交する横方向を横方向とした(略してCDとい
う場合あり)。
【0010】更に本発明の易成形性不織布は、不織布の
縦方向の破断強度と最大強度との比率または横方向強度
の破断強度と最大強度との比率が、下記式を満足するこ
とが好ましい。 2≦{(破断強度)/(最大強度)}×100≦90 つまり、最大強度に対する破断強度の比率は、2〜90
%が好ましく、更に好ましくは2〜80%である。この
比率が2%未満である場合、延展性としては問題ない
が、成形品の強度や型保持性の低下が起こり易くなり、
また、90%を超えると成形加工後の不織布に残留応力
が残り易くなるため、成形品が変形し易くなり形状の均
一性が低下してしまう。
【0011】本発明に用いられる熱可塑性繊維の原料と
しては、溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂が使用できる。そ
の例として、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂
(ポリオレフィン系樹脂)、ポリプロピレン、プロピレ
ンと他のα−オレフィンとの二〜三元共重合体等のチグ
ラーナッタ系触媒やメタロセン系触媒を用いて重合され
たポリプロピレン系樹脂(ポリオレフィン系樹脂)、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、酸成分をテレフタル酸以外にイソフタル酸を併用し
て重合した低融点ポリエステル等のポリエステル系樹
脂、ナイロン−6、ナイロン−66等のポリアミド系樹
脂などが例示でき、これら熱可塑性樹脂は単独で使用し
ても良いし、二種類以上を混合して使用しても良い。ま
た、着色剤、耐光剤、難燃剤、抗菌剤などが添加されて
いても良い。
【0012】本発明で用いられる熱可塑性繊維として
は、繊維横断面が単一構造を有する単一繊維や、繊維横
断面が鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型等の複合構造を有す
る複合繊維を挙げることができる。複合繊維を用いる場
合に、低融点の熱可塑性樹脂と高融点の熱可塑性樹脂と
からなり、低融点の熱可塑性樹脂と高融点の熱可塑性樹
脂の融点差が10℃以上、好ましくは15℃以上あり、
繊維表面の少なくとも一部が低融点の熱可塑性樹脂によ
り形成されている構成を有する複合繊維が好ましく用い
られる。複合繊維は、引張応力に対する点接着部におけ
る繊維の剥離性が、単一繊維より調節しやすいために、
必要とする強伸度特性を発現させやすくなるためより好
ましく用いることができる。また、成形加工の際、易成
形性不織布に対する加熱温度を、複合繊維を構成する低
融点の熱可塑性樹脂の融点以上、高融点の熱可塑性樹脂
の融点未満とすることで、延展後の繊維交点が熱接着
し、かつ高融点の熱可塑性樹脂の部分で繊維の形態をし
っかりと保持できるため、得られた成形品の強度向上や
成形加工後の熱収縮を抑える効果に優れた不織布とな
る。本発明で用いられる複合繊維の形態としては前述し
た鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型だけでなく、多層型、海
島型等であってもよく、また低融点の熱可塑性樹脂が繊
維表面の少なくとも一部に連続して存在する形態が好ま
しい。また、ウォータージェット加工やニードルパンチ
加工等により繊維が分割する、分割型繊維の形態でもか
まわない。複合繊維を構成する低融点および高融点の熱
可塑性樹脂は二種類以上の熱可塑性樹脂をブレンドして
用いることができ、三種類以上の熱可塑性樹脂を組み合
わせた複合繊維であってもよい。また、本発明で用いら
れる熱可塑性繊維は、繊維横断面が、異形である異形繊
維や中空部を有する中空繊維であってもよい。
【0013】前記複合繊維に用いられる低融点の熱可塑
性樹脂と高融点の熱可塑性樹脂の組み合わせは、融点差
が10℃以上、好ましくは15℃以上の組み合わせであ
れば特に限定されない。低融点の熱可塑性樹脂/高融点
の熱可塑性樹脂の組み合わせとしては、高密度ポリエチ
レン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロ
ピレン、線状低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プ
ロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または
三元共重合体/ポリプロピレン、プロピレンと他のα−
オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/プロ
ピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三
元共重合体、線状低密度ポリエチレン/高密度ポリエチ
レン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、線状
低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、低
密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、高密
度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ポリプ
ロピレン/ポリエチレンテレフタレート、プロピレンと
他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合
体/ポリエチレンテレフタレート、低融点ポリエステル
/ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6/ナイロン
66等が例示できる。これらの中ではポリオレフィン系
樹脂同士の組み合わせであるポリエチレン系樹脂/ポリ
プロピレン系樹脂の組み合わせ、及びポリオレフィン系
樹脂とポリエステル系樹脂の組み合わせであるポリエチ
レン系樹脂/ポリエステル系樹脂の組み合わせが好まし
く用いられる。なお、複合繊維が三種以上の熱可塑性樹
脂から成る場合、三種の熱可塑性のうち融点が最も高い
熱可塑性樹脂と融点が最も低い熱可塑性樹脂の融点差が
10℃以上、好ましくは15℃以上あれば良い。
【0014】本発明の易成形性不織布は、二種以上の熱
可塑性繊維で構成されていても良い。組み合わせとして
は、例えば、複合繊維と単一繊維の組み合わせ、中空繊
維と非中空の繊維の組み合わせ等、繊維横断面形状の異
なるもの同士の組み合わせが挙げられ、また熱可塑性繊
維の繊度の異なるもの同士の組み合わせや、異なる熱可
塑性樹脂からなる熱可塑性繊維同士の組み合わせ等が挙
げられる。なお、ウェブには、エンボスロール等により
点接着可能な温度範囲に融点を有し、出来上がった成形
品が軽量であり、酸やアルカリ等の耐薬品性に優れ、加
工後の耐久性に優れるオレフィン系樹脂からなる熱可塑
性繊維を含有することが好ましい。また、二種類以上の
熱可塑性繊維が不織布を構成する形態としては、各熱可
塑性繊維がウェブの段階で混合された形態でも良いし、
各熱可塑性繊維からなる不織布が二層以上積層された形
態であっても良い。なお、混合される熱可塑性繊維同士
や積層される不織布同士が熱接着し易いもの同士である
と、繊維交点の熱接着が強く、剥離等が起こりにくいた
め、成形品の強度が高く好ましい。
【0015】本発明で用いられる熱可塑性繊維の単糸繊
度は、不織布の用途により繊度の適性があるため、紡糸
できる範囲の繊度であれば特に限定はされない。土木農
業用資材等では強度、通気性、及び透水性等、細かい用
途に応じて様々な性能が要求されるため、2〜10dt
ex程度のものが使用され、また、紙おむつ、生理用ナ
プキン、及び母乳パット等の吸収性物品には、肌触り感
等が重要視されるため、0.1〜4dtexのものが好
適に使用される。
【0016】本発明の記易成形性不織布の目付は、使わ
れる用途によって任意に設定されるが、一般的には5〜
100g/m2の範囲が好適に用いられる。不織布の目
付が5g/m2未満になると、不織布の地合が低下し、
均一な品質が得られにくくなり、逆に100g/m2
超えると不織布の剛性が高くなったり、点接着による強
伸度特性の付与が難しくなる。吸収性物品に使用する場
合においては、柔軟性や通気性の点で5〜30g/m2
が好適に用いられる。
【0017】また、易成形性不織布における点接着部の
形状は、特に限定されるものではなく、円形、楕円形、
三角形、正方形、菱形、長方形、平行四辺形、及び十字
形等が例示でき、該点接着部は不織布面にできるだけ均
一に分散されていればよい。また、点接着部の面積は、
0.04〜10mm2であることが好ましい。0.04
mm2未満であると点接着部の面積が少ないため、点接
着部の繊維同士の接着強度が低下し、ハンドリング時に
点接着部の繊維が剥離し、毛羽が発生し易くなってしま
う。逆に点接着部の面積が10mm2を超えると、成形
加工時に不織布を延展する場合に、引張応力が強く掛か
った繊維が、点接着部から解放される際、接着区間が多
いために、点接着部からの繊維の解放(剥離)がスムー
ズに行かず、延展の斑や繊維の破断等が生じたり、点接
着部から剥離した繊維が潰れている区間が長くなるた
め、成形品の肌触り感が低下してしまう。
【0018】不織布全面積に対する前記点接着部の面積
率は、5〜30%が好ましい。面積率が5%未満である
と不織布の柔軟性は優れるが、不織布の強度が低下した
り、点接着間距離が離れてくるため、延展時の繊維の移
動が多くなり、屈曲の大きい不織布部分の繊維が偏るこ
とで地合斑が発生してしまう恐れがある。また、30%
を大幅に超えると柔軟性が低下する傾向にあり、更に望
ましい伸度が得られにくくなる傾向がある。
【0019】本発明の易成形性不織布の製造方法として
は、従来公知の方法、例えばカード法、エアレイド法、
抄紙法、トウ開繊法、及びスパンボンド法等を挙げるこ
とができるが、生産性や不織布強度の点からスパンボン
ド法が好ましい。スパンボンド法による長繊維不織布の
製造例としては、紡糸口金から溶融押出しされた熱可塑
性樹脂をエアサッカーの高速空気流を利用して牽引する
ことで細繊化し、エアサッカー通過後の繊維を直接、ま
たは揺動機構や帯電機構を持つ開繊装置で分散後、移動
するコンベアネット上に集積し、シート状の長繊維ウェ
ブを得る方法が挙げられる。この際、紡糸口金を複合繊
維用の口金にすることで複合長繊維を得ることができ、
2種類以上の熱可塑性樹脂を個別に吐出する吐出孔を有
する口金を用いることで、混繊タイプの長繊維ウェブを
得ることができる。長繊維ウェブから不織布を形成する
方法としては、凹凸ロールと平滑ロールとで構成された
熱エンボス機で加圧することで、前記凹凸ロールの凸部
に対応する区域における熱可塑性繊維の交点を点接着す
る方法が挙げられ、凹凸ロールと超音波ホーンとで構成
された超音波エンボス機により点接着する方法も挙げら
れる。
【0020】本発明の易成形性不織布は、ウェブに点接
着を施す際の凹凸ロールと平滑ロールの加熱温度条件、
及びロール間線圧条件において、ロール温度やロール間
線圧の一方もしくは両方を低く設定することが必要であ
る。すなわち、点接着部を従来の不織布のように、強固
に接着するのではなく、前述の強伸度曲線の挙動におい
て、最大強度時の伸度に対する破断伸度の比率を110
〜400%の範囲に調節して、延展時の張力に応じて、
繊維を徐々に解放していくような接着強度にすること
で、不織布の成形性を優れたものとなる。ロール温度範
囲は、ロール間線圧と生産スピード等によって変わって
くるが、一般には、熱可塑性繊維が単一繊維である場合
は、熱可塑性繊維を構成する熱可塑性樹脂の軟化点以上
から融点以下の温度範囲であり、熱可塑性繊維が複合繊
維である場合は、複合繊維を構成する低融点の熱可塑性
樹脂の軟化点以上から高融点の熱可塑性樹脂の融点未満
の範囲となる。このときロール温度が低融点の熱可塑性
樹脂の軟化点より低いと、点接着部の強度が弱く、点接
着部の繊維が容易に解れてしまい、成形加工時に延展率
の高い不織布の部分が薄くなってしまう。逆にロール温
度が高融点の熱可塑性樹脂の融点を越えると点接着部の
強度が高くなり、本発明において必要とする伸度特性が
得られにくくなったり、不織布がロールに巻き付き易く
なってしまう。
【0021】ロール間線圧については、10〜35N/
mmの範囲が好ましく、より好ましくは15〜32N/
mmの範囲が用いられる。ロール間線圧が10N/mm
未満であると点接着部の接着の強度が弱く、前記のロー
ル温度が低すぎる場合と同じことになってしまったり、
不織布の伸度特性が幅方向で不均一になってしまう。逆
に35N/mmを越えると点接着部の接着の強度が高く
なり易く、必要とする伸度特性が得られにくくなってし
まう。なお、熱エンボス機において、ロール間のクリア
ランスが設定できる場合には、ロール間線圧は35N/
mm以上であってもよく、点接着部が潰れすぎないよ
う、不織布の目付に合わせて、クリアランスを設定する
ことで、本発明において必要とする伸度特性が得られる
点接着の状態にすればよい。但し、左右クリアランスの
ずれやクリアランスの変動等により、不織布の伸度特性
がバラツキ易いため、クリアランスを設定しない方が望
ましい。また、超音波エンボス機においては、超音波ホ
ーンと凹凸ロールのクリアランス、及び超音波の出力を
調節することで、本発明の易成形性不織布を得ることが
できる。なお、点接着の条件については、不織布の原料
となる熱可塑性樹脂の構成、ウェブの目付、熱可塑性繊
維の繊度、及び生産速度等に合わせて、凹凸ロールの模
様、凹凸ロールと平滑ロールの温度及びロール間線圧等
を調節し、成形加工に要求される強伸度特性にすること
が重要である。
【0022】以下に本発明の易成形性不織布を製造する
ための工程の一例としてスパンボンド法による製造例を
示す。単一繊維を製造する場合には単一型口金を用い、
複合繊維を製造する場合には並列型口金、または鞘芯型
口金、若しくは偏芯鞘芯型口金を用い、スパンボンド用
溶融紡糸機により熱可塑性樹脂を紡出する。このとき、
口金直下をクエンチにより送風し、半溶融状態の熱可塑
性樹脂を冷却することによって繊維群とし、これを紡糸
口金直下からエアサッカーにより3500m/min以
上の速度で牽引し、エアサッカー出口の帯電装置により
繊維群を開繊した後、サクションコンベア上に堆積させ
る。堆積した繊維群が本願でいうウェブである。これを
熱エンボス機により点接着し、不織布とする。点接着の
条件は、サクションコンベアの移動速度により多少異な
るが、熱可塑性繊維が単一繊維である場合、熱エンボス
機の凹凸ロール温度、及び平滑ロール温度は、熱可塑性
繊維を構成する熱可塑性樹脂の軟化点以上から融点以下
の温度範囲であり、熱可塑性繊維が複合繊維である場
合、熱エンボス機の凹凸ロール温度、及び平滑ロール温
度は、複合繊維を構成する低融点の熱可塑性樹脂の軟化
点以上から高融点の熱可塑性樹脂の融点未満であり、か
つロール間の線圧が、10〜35N/mmの範囲であ
る。
【0023】本発明の易成形性不織布を、熱可塑性フィ
ルムやシートの少なくとも片面に積層し、積層シートと
して使用できる。熱可塑性フィルムとしては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、及びポリエチレンテレフタレー
ト等の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性フィルムが挙げら
れ、さらにこれらは、微多孔を有する通気性フィルム等
であってもよい。また、シートとしては、カード法、エ
アレイド法、ニードルパンチ法、湿式法、スパンレース
法、メルトブロー法、及びフラッシュ紡糸法等による熱
可塑性樹脂やエラストマー樹脂からなる各種不織布、ポ
リウレタンやポリエチレン等の発泡シート、テトラフロ
ロエチレン等の微多孔を有するメンブランシート等が挙
げられる。その他、合成紙を含む紙類やネット類等と積
層してもよい。さらに易成形性不織布同士を積層しても
よい。
【0024】前記積層の形態としては、易成形性不織布
と、シートとの積層の場合に、双方がシート状のまま積
層したものでも、一方または双方が成形加工されたもの
を積層したものでもよく、さらに2層以上に積層したも
のでもよい。積層したものを一体化させる方法として
は、赤外線ヒーターや熱風加熱炉に通すことで、一方ま
たは双方の熱可塑性樹脂成分を軟化、溶融させた後に貼
り合わせる方法や、バインダーやホットメルト接着剤を
積層面に塗布することで貼り合わる方法等が挙げられ
る。前記シートと積層し一体化することで、強度、クッ
ション性、通気性、通液性、防音性、及び濾過特性等の
性能を向上でき、様々な分野での用途範囲が拡大され
る。
【0025】本発明の易成形性不織布及び積層シートに
成形加工を施したものや、成形加工した易成形性不織布
と他のシートを積層したものは、その特徴を生かすこと
で様々な分野において繊維成形体としての使用が可能で
ある。その例としては、地盤補強用や排水性向上用のジ
オテキスタイル用途、べたがけシート、植物育成用ポッ
ト等の農業用途、気体用フィルターや液体用フィルター
等の濾材用途、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生用品
部材用途の他、クッション材、防音材、衣服等のカバー
類、及びお茶やコーヒーの抽出用パック用途等が挙げら
れる。
【0026】
【実施例】以下、実施例にて本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、各例で示した不織布等の物性値の評価は、以
下に記載する方法で行った。
【0027】(不織布の目付)不織布の任意5カ所から
20cm×20cmサイズを切り出した後、各重量を電
子天秤にて測定して、その平均値を1m2当たりの重量
に換算して目付(g/m2)とした。
【0028】(不織布の最大強度、最大強度時の伸度、
破断強度、及び破断伸度)不織布の縦方向(MD)と横
方向(CD)のそれぞれについて幅2.5cm、長さ2
0cmの試験片を切り出し、テンシロン型引張試験機を
用いて把握長10cm、引張速度10cm/minの条
件で各方向3回試験を行い、強伸度曲線から最大強度
(N/2.5cm)、最大強度時の伸度(%)、破断強
度(N/2.5cm)、破断伸度(%)を測定し、その
平均値をそれぞれの値とした。なお、破断の検出は、1
秒間における強度の減少量が最大強度の50%以上とな
ったとき、もしくは強度が最大強度の0.5%以下にな
ったときとした。
【0029】(成形性評価)成形性評価は、以下の方法
で行った。成形性評価用の鉄製金型として、図2に示す
形状のオス型8とメス型9を用意した。オス型8の押し
込み部分8aは、直径10mm、長さ20mmで、先端
部コーナーは1mmの面取りをしている。メス型9は外
径80mm、オス型8の押し込み部分8aが嵌入される
部分9aの穴径 10.5mm、穴の深さ15mmで、
穴の上部コーナーは1mmの面取りをしている。また、
不織布11を固定するための押さえリング10(内径3
0mm、外径60mm、高さ10mm)を用意した。ま
ず、テストサンプルとして10cm角の不織布11を準
備する。金型は長繊維の原料である熱可塑性樹脂の融点
より、15℃低い温度に加熱しておき、メス型9の上に
テストサンプルをセットする。なお、高融点の熱可塑性
樹脂と低融点の熱可塑性樹脂からなる複合繊維の場合
は、低融点の熱可塑性樹脂の融点より、15℃低い温度
に加熱する。次に、不織布11がずれないように押し圧
0.4Nを加えた押さえリング10で固定した後、オス
型8の押し込み部分8aをメス型9の嵌入される部分9
aの穴に10mm押込み、保持した状態で空冷して、金
型から取り出した。抜出したサンプルは、更に室温で放
冷して成形性評価用のサンプルとした。このサンプルに
ついて、破れ、しわ、形状、表面状態の4項目につい
て、以下に示す評価をした。なお、破れの評価が×のサ
ンプルは、他の評価に関係なく、成形に不向きなもので
あると判断を下した(このとき、他の項目の評価は行わ
ない)。
【0030】(破れ) ○:成形加工を施した不織布に全く破れが観察されな
い。 △:成形加工を施した不織布の一部に破れが観察され
る。 ×:オス型が不織布を貫通している。
【0031】(しわ) ○:成形加工を施した不織布に全くしわが観察されな
い。 △:成形加工を施した不織布に1〜3本のしわが観察さ
れる。 ×:成形加工を施した不織布に4本以上しわが観察され
る。
【0032】(形状) ○:オス型の押込み長10mmに対して成形体の高さが
9mm以上である。 △:オス型の押込み長10mmに対して成形体の高さが
7mm以上、9mm未満である。 ×:オス型の押込み長10mmに対して成形体の高さが
7mm未満である。
【0033】(表面状態)成形加工により凸部になった
不織布の表面状態(採点項目:毛羽立ち状態、肌触り
感)について、モニター5人による官能評価を行った。
各採点項目とも0〜3点の範囲で採点し、各人の合計点
数の平均値を以下の範囲で表示した。 ◎:5〜6点 ○:3〜4点 △:1〜2点 ×: 0点
【0034】実施例1 熱可塑性樹脂として、融点が161℃、密度が0.91
5g/m3、メルトフローレート値(MFR値、JIS
K 7210 表1の条件14で測定した値)が42g/
10minのポリプロピレン樹脂を用い、単一成分用紡
糸口金、単孔吐出量0.90g/min、紡糸温度25
0℃で紡糸した。紡糸口金直下でエアサッカーにより、
紡糸繊維群を3600m/minで牽引し、エアサッカ
ー出口の帯電装置にて繊維を開繊した後、サクションコ
ンベア上に繊度2.5dtexのウェブを形成した。こ
のウェブを熱エンボス機にて凹凸ロール温度140℃、
平滑ロール温度140℃、線圧30N/mmでプレス
し、目付が20.2g/m 2の不織布を得た。この熱エ
ンボス機の凹凸ロールは、点接着部面積が0.42mm
2、点接着部面積率が13%である。得られた不織布の
物性及び成形性の評価結果は表1に示す。表1から明ら
かなように、得られた不織布は成形性が良好であること
がわかった。
【0035】実施例2 熱可塑性樹脂として、融点が254℃ 、固有粘度(I
V値、フェノール:テトラクロルエタン=1:1の混合
溶媒中、20℃で測定)が0.72のポリエチレンテレ
フタレート樹脂を用い、実施例1と同じ装置を使用し、
単孔吐出量1.30g/min、紡糸温度290℃で紡
糸し、紡糸繊維群をエアサッカーにて3714m/mi
nで牽引し、サクションコンベア上に繊度3.5dte
xのウェブを得た。このウェブを実施例1と同じ熱エン
ボス機にて凹凸ロール温度220℃、平滑ロール温度2
20℃、線圧25N/mmでプレスし、目付が35.8
g/m2の不織布を得た。得られた不織布の物性及び成
形性の評価結果は表1に示す。表1から明らかなよう
に、得られた不織布は成形性が良好であることがわかっ
た。
【0036】実施例3 高融点の熱可塑性として実施例1と同様のポリプロピレ
ン樹脂を芯成分とし、低融点の熱可塑性樹脂として融点
が126℃、密度が0.931g/m3、メルトインデ
ックス(MI値、JIS K 7210 表1の条件4で
測定した値)が20g/10minの線状低密度ポリエ
チレン樹脂を鞘成分として用い、紡糸口金として二成分
用鞘芯型紡糸口金を使用して、紡糸条件を芯鞘複合比
(容積比)1:1、単孔吐出量0.90g/min、紡
糸温度をそれぞれ240℃と230℃として紡糸した。
紡糸繊維群をエアサッカーにて3750m/minで牽
引し、サクションコンベア上に繊度2.4dtexの複
合長繊維からなるウェブを得た。このウェブを実施例1
と同様の熱エンボス機にて凹凸ロール温度118℃、平
滑ロール118℃、線圧20N/mmでプレスし、目付
が24.1g/m2の不織布を得た。得られた不織布の
物性及び成形性の評価結果は表1に示す。表1より、得
られた不織布は破断伸度が高く、成形後の表面状態も優
れたものであった。
【0037】実施例4 高融点の熱可塑性樹脂として実施例2と同様のポリエチ
レンテレフタレート樹脂を芯成分とし、低融点の熱可塑
性樹脂として融点が130℃、密度が0.953g/m
3、メルトインデックス(MI値、JIS K 7210
表1の条件4で測定した値)が24g/10minの高
密度ポリエチレン樹脂を鞘成分として用いた。実施例3
と同様の二成分用鞘芯型紡糸口金を用いて、紡糸条件を
芯鞘複合比(容積比)1:1、単孔吐出量1.30g/
min、紡糸温度をそれぞれ290℃と230℃として
紡糸した。紡糸繊維群をエアサッカーにて3714m/
minで牽引し、サクションコンベア上に繊度3.5d
texの複合長繊維からなるウェブを得た。このウェブ
を実施例1と同じ熱エンボス機にて凹凸ロール温度22
0℃、平滑ロール温度220℃、線圧20N/mmでプ
レスし、目付が36.0g/m2の不織布を得た。得ら
れた不織布の物性及び成形性の評価結果は表1に示す。
表1より、得られた不織布は実施例3と同様に成形状態
が良好であった。
【0038】実施例5 孔径3μm、厚さ100μmのテトラフロロエチレン製
メンブランシートの上下面に実施例2と同様の不織布を
積層後、220℃に加熱した金型でプレスすることで、
半径4mmの半球状となる凸部と凹部が、前後左右8m
m間隔で交互に並んだ積層シートを作製した。この積層
シートは、不織布が均一に伸びていることで、凸部、凹
部共にしわや破れの発生がなく、挟み込まれているメン
ブランシートも凸部、凹部の形状を保っていた。次に、
この積層シートをプリーツ折りして、ホットメルト接着
剤で内寸25cm角、高さ4cmの木枠の中に固定し、
エアフィルターを作製した。このエアフィルターをJI
S B 9908に準拠し、粉塵保持容量試験を行っ
た。その結果、凹凸部を成形加工していない同じ構成の
エアーフィルターに比べて、粉塵保持容量が21%増え
ており、フィルターの濾材として優れていることが判っ
た。
【0039】実施例6 お互いの凹凸が噛み合うように設計された突起付ロール
と窪み付ロールをそれぞれ105℃に加熱し、実施例3
と同様の不織布を突起付ロール側、線状低密度ポリエチ
レン製の微多孔フィルムを窪み付ロール側に配して、両
ロール間を流しながらプレスした。出口にて両面よりエ
アーを吹き付け冷却することで、半径2mmの半球状と
なる凸部が微多孔フィルム側に前後左右5mmの間隔で
並んだ積層シートを得た。凸部の不織布は穴開きもな
く、形状回復性も有していた。この積層シートは、微多
孔フィルムの通気性と遮水性を持ちながら、凸部による
クッション性と風合も優れているため、紙おむつのバッ
クシートに最適なものであった。
【0040】比較例1 凹凸ロールと平滑ロールの線圧を80N/mmとした以
外は、実施例1と同様の装置、原料とする熱可塑性樹
脂、処方で製造し、実施例1と同様の目付、繊度、点接
着部面積率の不織布を得た。得られた不織布の物性及び
成形性の評価結果は表1に示す。表1より、得られた不
織布は、実施例1に比べMDまたはCDの破断伸度が低
いため、成形時の大きな破れが生じた。
【0041】比較例2 凹凸ロールと平滑ロールによる線圧を60N/mmとし
た以外は、実施例3と同様の装置、原料とする熱可塑性
樹脂、処方で製造し、実施例3と同様の目付、繊度、点
接着部面積率の不織布を得た。得られた不織布の物性及
び成形性の評価結果は表1に示す。表1より、得られた
不織布は、MDまたはCDの最大強度時の伸度は実施例
3よりも高いものの、MDまたはCDの破断伸度と最大
強度時の伸度の比率が低く、また、MDまたはCDの破
断強度と最大強度の比率が高いため、実施例3に比べて
成形性が劣っていた。
【0042】比較例3 実施例4と同様の装置と原料である熱可塑性樹脂を用い
て、芯鞘複合比(容積比)1:1、単孔吐出量0.85
g/min、紡糸温度を芯成分と鞘成分で、それぞれ2
90℃と230℃として紡糸した。紡糸繊維群をエアサ
ッカーにて2426m/minで牽引し、サクションコ
ンベア上に繊度3.5dtexのウェブを得た。熱エン
ボス加工機の手前のサクションコンベア上で、70℃に
加熱した平滑ロールで予熱を行った後、線圧40N/m
m、120℃に加熱された凹凸ロールと、同じく120
℃に加熱された平滑ロールの間に導入し、目付が36.
1g/m2の複合繊維からなる不織布を得た。得られた
不織布の物性及び成形性の評価結果は表1に示す。エア
サッカーによる紡糸速度を遅くして、繊維伸度が高くな
る条件で製造したが、表1から明らかなように、得られ
た不織布は、実施例4よりも成形性に劣っていた。
【0043】
【表1】 ※MD:縦方向(生産装置流れ方向)、CD:横方向
(生産装置幅方向)
【0044】
【発明の効果】本発明の易成形性不織布は、従来の不織
布の欠点であった、成形加工時に生じる不織布の穴開き
や破れを防ぎ、成形品の地合均一性や表面の仕上がり状
態を良好にすることができる。また、複合繊維を用いた
不織布は成形加工後の型保持性に優れ、他のシートとの
積層加工も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る不織布と従来の不織布の引張試験
における強度と伸度の関係を示す図面である。
【図2】本発明に係る不織布の成形性評価に用いた金型
の概略を示す側面図である。
【符号の説明】
1 従来の不織布における強伸度曲線 2 本発明の不織布における強伸度曲線 3a 最大強度(従来の不織布) 3b 破断強度(従来の不織布) 4a 最大強度時の伸度(従来の不織布) 4b 破断伸度(従来の不織布) 5a 最大強度(本発明の易成形性不織布) 5b 破断強度(本発明の易成形性不織布) 6a 最大強度時の伸度(本発明の易成形性不織布) 6b 破断伸度(本発明の易成形性不織布) 7 破断点 8 オス型 8a オス型の押し込み部分 9 メス型 9a メス型の嵌入される部分 10 押さえリング 11 不織布

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性繊維を含むウェブが点接着され
    てなる不織布であって、該不織布の縦方向もしくは横方
    向の破断伸度と最大強度時の伸度との比率が、下記一般
    式1を満足することを特徴とする易成形性不織布。 110≦{(破断伸度)/(最大強度時の伸度)}×100≦400 (1)
  2. 【請求項2】 縦方向もしくは横方向強度の破断強度と
    最大強度との比率が、下記一般式2を満足する請求項1
    記載の易成形性不織布。 2≦{(破断強度)/(最大強度)}×100≦90 (2)
  3. 【請求項3】 熱可塑性繊維が、10℃以上の融点差を
    有する低融点の熱可塑性樹脂と高融点の熱可塑性樹脂と
    からなる複合繊維である請求項1もしくは請求項2記載
    の易成形性不織布。
  4. 【請求項4】 ウェブに含まれる熱可塑性繊維のうち、
    少なくとも1種の熱可塑性繊維がオレフィン系樹脂から
    なる熱可塑性繊維である請求項1〜3の何れか1項記載
    の易成形性不織布。
  5. 【請求項5】 熱可塑性繊維が、低融点の熱可塑性樹脂
    としてポリエチレン系樹脂を、高融点の熱可塑性樹脂と
    してポリプロピレン系樹脂を用いた複合繊維である請求
    項3記載の易成形性不織布。
  6. 【請求項6】 熱可塑性繊維が、低融点の熱可塑性樹脂
    としてポリエチレン系樹脂を、高融点の熱可塑性樹脂と
    してポリエステル系樹脂を用いた複合繊維である請求項
    3記載の易成形性不織布。
  7. 【請求項7】 易成形性不織布がスパンボンド法によっ
    て得られる長繊維不織布である請求項1〜6の何れか1
    項記載の易成形性不織布。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れか1項記載の易成形
    性不織布が、熱可塑性フィルムまたはシートの少なくと
    も片面に積層された積層シート。
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