JP7049842B2 - 積層不織布シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層不織布シート及びその製造方法に関するものである。
各種用途で使用される両面(又は片面)テープの基材(芯材)に用いられる工業用工程紙及び絶縁用途に用いられる包装材には、その用途特性から高い強度特性(引裂強度)や厚さの均一性等の品質が求められている。
特許文献1には、フィブリル化芳香族ポリアミド繊維、フィブリル化液晶性ポリエステル繊維及びマイクロガラス繊維特定の配合割合で含む湿式不織布からなる耐熱絶縁性不織布が記載されている。特許文献1に記載の技術では、膜厚が薄く均一で、耐熱性及び寸法安定性に優れる耐熱絶縁性不織布を実現している。
また、特許文献2には、乾式不織布からなる粗層上に湿式不織布からなる密層を設け、粗層から密層へと濃度勾配を有するエアーフィルターが記載されている。特許文献2に記載の技術では、粗密の濃度勾配により、濾過効率が高く、通気抵抗が小さく、ダスト保持量や再生性にも優れたエアーフィルターを実現している。
特開2003-166192号公報 特公平7-79933号公報
特許文献1に記載される湿式不織布には引裂強度が弱いという弱点があるため、上述した工業用工程紙や包装材に求められる要求品質を満たすことは困難である。また、特許文献1に記載される技術では、使用する繊維が特定の繊維に限定されるため、汎用性に乏しい。
また、特許文献2に記載される技術では、層間の接着性を向上させるためには、さらに接着性を有する樹脂を含侵させる必要があり、製造工程が増えるという問題がある。
それ故に、本発明は、引裂強度及び厚さの均一性に優れ、効率的に製造可能な積層不織布シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る積層不織布シートの製造方法は、乾式不織布と湿式不織布が熱融着により積層されたものであって、湿式不織布がポリエステル系延伸繊維と、ポリエステル系未延伸繊維、ポリエステル系芯鞘型複合繊維、ポリプロピレン系芯鞘型複合繊維の少なくとも1種類からなるバインダー繊維とを含む繊維からなり、ポリエステル系延伸繊維と前記バインダー繊維の配合率が30:70~80:20質量%であり、積層不織布シートの坪量が20.0~120.0g/m2 あり、積層不織布シートの厚さの標準偏差/坪量の値が0.05~0.40(g/m -1 であり、積層不織布シートの引裂強度(縦方向)/坪量の値が、15.0~170.0mN/(g/m )であり、引裂強度(横方向)/坪量の値が、25.0~130.0mN/(g/m )であり、乾式不織布と湿式不織布が1組以上の金属ロールと弾性ロールの組み合わせを用いたカレンダー工程で積層され、カレンダー工程の金属ロールの温度が150~250℃であることを特徴とするものである。
本発明によれば、引裂強度及び厚さの均一性に優れ、効率的に製造可能な積層不織布シート及びその製造方法を提供でき、本発明で得られる積層不織布シートは、各種用途で使用される両面(又は片面)テープの基材(芯材)に用いられる工業用工程紙及び絶縁用途に用いられる包装材に要求される強度特性(引裂強度)や厚さの均一性を満たすことができる。
以下、積層不織布シート及びその製造方法の詳細について順に説明する。なお、特に記載がない場合については、繊維又は薬剤の含有量(配合量)は、その固形分換算の数値のことをいう。
(積層不織布シート)
本発明の積層不織布シートとは、乾式不織布と湿式不織布を積層させたものである。乾式不織布は、抄紙機を用いずに製造される不織布であり、湿式不織布は、抄紙機を用いて製造される不織布である。この製造方法の違いにより、乾式不織布と湿式不織布は、それぞれ異なった特徴をもつ。以下に、これらの不織布について具体的に説明する。
(乾式不織布)
乾式不織布は、繊維ウェブを製造する工程を空気中で行って製造される不織布をさし、ウェブ形成後の繊維間の接着工程に水溶液を用いて製造される不織布及び水流で絡合接着させて製造される不織布も、この乾式不織布に含まれる。乾式不織布の製造方法としては、例えば、スパンボンド法・スパンレース法・ニードルパンチ法・スプリットファイバー法・チェーンステッチング法・スプレイドファイバー法等がある。繊維ウェブを構成する原料繊維としては、木材パルプ繊維、レーヨン・ポリノジック・キュプラ等の再生繊維、アセテート・トリアセテート・プロミックス等の半合成繊維、ナイロン・アクリル・ポリエステル・ビニロン・ポリプロピレン・ポリエチンレン・ポリウレタン等の合成繊維、ガラスファイバー・ロックウール・金属繊維等の無機繊維の1種類以上を使用することができる。
(湿式不織布)
湿式不織布は、主原料に合成繊維を用いて、製紙過程と同様に水に分散させた原料を抄紙機により抄紙することにより製造された不織布をさす。主原料として使用することのできる合成繊維としては、延伸ポリエステル系繊維、未延伸ポリエステル系繊維、ポリエステル系芯鞘型複合繊維、ポプロピレン系芯鞘型複合繊維等があり、その他の繊維として、レーヨン・ポリノジック・キュプラ等の再生繊維、アセテート・トリアセテート・プロミックス等の半合成繊維を含有してもよい。湿式不織布は、乾式不織布との接着性の観点から熱融着性を有するバインダー繊維(未延伸ポリエステル系繊維、ポリエステル系芯鞘型複合繊維、ポリプロピレン芯鞘型複合繊維の1種類以上)を含む。また、延伸ポリエステル系繊維及び未延伸ポリエステル系繊維を主成分とすることで、引裂強度と積層時の接着強度を両立することができる。
(延伸ポリエステル系繊維)
延伸ポリエステル系繊維とは、紡糸した未延伸糸を延伸機にて数倍に倍速して、延伸させ巻き取ったフィラメントをいう。延伸ポリエステル系繊維を構成するポリエステル樹脂としては、基本的に多価カルボン酸とポリアルコールの重縮合体である。ポリエステル樹脂としては、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。また、ポリ乳酸としては、L-乳酸、D-乳酸のいずれかの乳酸単位の縮合体、または、それらの縮合体の混合物が挙げられる。これらのなかでもポリエチレンテレフタレートが好ましい。延伸ポリエステル系繊維を主体繊維として含有することにより、厚さの変動(標準偏差)を低減でき、積層不織布シートにした際に、カレンダー工程での外観不良を抑制することができる。
延伸ポリエステル系繊維の融点は、200℃以上260℃以下であることが好ましい。また、延伸ポリエステル系繊維の結晶化度は、10%以上40%以下であることが好ましい。延伸ポリエステル系繊維の軟化点及び結晶化度が前記範囲であることで、カレンダー工程での不織布同士の接着強度を高め、積層不織布シートの外観不良を抑制することができる。
延伸ポリエステル系繊維は、酸化チタン等の添加物を含んでもよく、吸湿性向上等の機能性付与のために修飾基により改質したものも使用できる。延伸ポリエステル系繊維は、単繊維単位の断面形状も特に限定されず、丸形、三角、八葉、扁平、Y型に代表される様々な異形断面糸も使用できる。また、延伸ポリエステル系繊維として、原糸に仮撚加工を施した仮撚加工糸を用いても良い。
延伸ポリエステル系繊維の繊度は、1.5~2.0dtexであることが好ましく、延伸ポリエステル系繊維の平均繊維長は、7.0~20.0mmであることが好ましい。
延伸ポリエステル系繊維の含有量は、30.0~80.0質量%であることが好ましく、40.0~75.0質量%であることがより好ましく、50.0~70.0質量%であることがさらに好ましい。延伸ポリエステル系繊維の含有量が30.0質量%未満であると、得られた湿式不織布の厚さの変動(標準偏差)を必要とされる範囲内に抑えることが出来ない可能性がある。延伸ポリエステル系繊維の含有量が80.0質量%を超えると、得られた湿式不織布を熱融着のみで乾式不織布に積層が出来ない可能性があり、接着性樹脂の併用が必要となる可能性が高い。
(未延伸ポリエステル系繊維)
未延伸ポリエステル系繊維とは、紡糸した未延伸糸のフィラメントをいう。未延伸ポリエステル系繊維を構成するポリエステル樹脂としては、延伸ポリエステル系繊維で挙げたものを使用することができる。湿式不織布が未延伸ポリエステル系繊維を含有することにより、積層不織布シートにした際に、積層間の接着強度の向上及びカレンダー工程での外観不良を抑制することができる。
この未延伸ポリエステル系繊維の軟化点は、110℃以上140℃以下であることが好ましい。また、未延伸ポリエステル系繊維の結晶化度は、10%以下であることが好ましい。未延伸ポリエステル系繊維の軟化点及び結晶化度が前記範囲であることで、積層間の接着強度の向上及びカレンダー工程での外観不良を抑制することができる。
未延伸ポリエステル系繊維の繊度は、1.0~2.0dtexであることが好ましく、未延伸ポリエステル系繊維の平均繊維長は、3.0~10.0mmであることが好ましい。
未延伸ポリエステル系繊維の含有量は、25.0~50.0質量%であり、28.0~40.0質量%であることがより好ましく、30.0~40.0質量%であることがさらに好ましい。未延伸ポリエステル系繊維の含有量が25質量%未満であると、引裂強度及び積層間の接着強度が低下する可能性がある。未延伸ポリエステル系繊維の含有量が50.0質量%を超えると、得られた湿式不織布の厚さの変動(標準偏差)を必要とされる範囲内に抑えることができない可能性がある。
(ポリエステル系芯鞘型複合繊維)
ポリエステル系芯鞘型複合繊維とは、繊維の構造が芯鞘構造を有しており、芯部の材質及び鞘部の材質がポリエステル系樹脂である繊維をいう。ポリエステル系芯鞘型複合繊維を構成するポリエステル樹脂は、延伸ポリエステル系繊維を構成するポリエステル樹脂と同様のものを使用することができる。ポリエステル系芯鞘型複合繊維としては、例えば、芯部の材質がポリエチレンテレフタレートであり、鞘部の材質がポリエステル樹脂を変性させることで融点を低下させた低融点ポリエチレンテレフタレートである芯鞘構造の繊維が挙げられる。低融点ポリエチレンテレフタレートは、ポリエステル樹脂を変性させることで融点を低下させた変性ポリエチレンテレフタレートであり、例えば共重合ポリエチレンテレフタレートである
このポリエステル系芯鞘型複合繊維の鞘部の融点は、100℃以上140℃以下であることが好ましく、ポリエステル系芯鞘型複合繊維の芯部の融点は、200℃以上250℃以下であることが好ましい。ポリエステル系芯鞘型複合繊維の鞘部及び芯部の融点が前記範囲であることで、加熱による繊維間の接着強度が向上し、引裂強度を向上することができる。
ポリエステル系芯鞘型複合繊維の繊度は、1.1~2.0dtexであることが好ましく、ポリエステル系芯鞘型複合繊維の平均繊維長は、3.0~10.0mmであることが好ましい。
ポリエステル系芯鞘型複合繊維の含有量は、70.0質量%以下である。ポリエステル系芯鞘型複合繊維の含有量が70.0質量を超えると、延伸ポリエステル系繊維の配合割合が低下するため、得られた湿式不織布の厚さの変動(標準偏差)を必要とされる範囲に調節することができない可能性がある。
(ポリプロピレン系芯鞘型複合繊維)
ポリプロピレン系芯鞘型複合繊維とは、繊維の構造が芯鞘構造を有しており、芯部の材質及び鞘部の材質がポリプロピレン系樹脂である繊維をいう。ポリプロピレン系芯鞘型複合繊維としては、例えば芯部の材質がポリプロピレン系樹脂であり、鞘部の材質がポリプロピレン系樹脂を変性させることで融点を低下させた低融点ポリプロピレン系樹脂である芯鞘構造の繊維が挙げられる。
このポリプロピレン系芯鞘型複合繊維の芯部の融点は、130℃以上160℃以下であることが好ましく、ポリプロピレン系芯鞘型複合繊維の鞘部の融点は、110℃以上155℃以下であることが好ましい。ポリプロピレン芯鞘型複合繊維の鞘部及び芯部の融点が前記範囲であることで、加熱による繊維間の接着強度が向上し、引裂強度を向上することができる。
ポリプロピレン系芯鞘型複合繊維の繊度は、1.5~2.5dtexであることが好ましく、ポリプロピレン系芯鞘型複合繊維の平均繊維長は、3.0~10.0mmであることが好ましい。
ポリプロピレン系芯鞘型複合繊維の含有量は、30.0質量%以下である。ポリプロピレン系芯鞘型複合繊維の含有量が30.0質量を超えると、溶融させた際に引裂強度の低下が大きくなる可能性がある。さらに、カレンダーロールへ繊維が溶融接着し加工性が悪化する可能性がある。
(添加剤)
湿式不織布においては、例えば顔料、界面活性剤、ワックス、サイズ剤、填料、防錆剤、導電剤、消泡剤、分散剤、粘性調整剤、凝集剤、凝結剤、紙力向上成分、歩留まり向上剤、紙粉脱落防止剤、嵩高剤、増粘剤等の内添剤を内添させることができる。
(積層不織布シートの製造例)
乾式不織布と湿式不織布の積層は、例えば、ハードニップカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー等のカレンダー設備を用いて行うことができ、好ましくは最終の積層工程に金属ロールと弾性ロールの組み合わせたカレンダー設備で行い、(カレンダー工程)更に好ましくは、金属ロールと弾性ロールの1組の組み合わせからなるカレンダー設備(カレンダー工程)で行うことで、積層工程の効率化及び引裂強度の低下率を抑制することが可能である。
ソフトカレンダーで積層させることで、ロール幅の広範囲に圧力を均一に掛けることにより積層不織布シートの密度の変動を抑えることができ、積層不織布の接着強度向上ができる。また、金属ロールで加熱される面の裏面に非加熱の弾性ロールが設けられるため、積層不織布シートに、シワや筋等の外観異常が発生し難くなる。
金属ロールとは、鋳鋼製であり、加熱されるカレンダーロールのことである。弾性ロールとは、コットン、エポキシ樹脂、特殊ポリエステル、アラミド等の材質からなり、非加熱側のカレンダーロールのことである。弾性ロールのショア硬さは、D80以上D95以下が好ましい。D80未満であると、加圧時のニップ幅が広く圧力が分散するため、積層不織布同士の接着性が低下する可能性がある。D95超えると、弾性ロールそのものが熱を保持しやすく、積層不織布シートが剥離し難くなり外観不良になる可能性がある。
カレンダー工程の線圧は、50kg/cm以上350kg/cm以下であることが好ましい。積層不織布シートの厚さの均一性を向上させる観点から、カレンダー工程の線圧は120kg/cm以上180kg/cm以下がより好ましい。カレンダー工程の線圧が50kg/cm未満であると不織布同士が積層出来ない可能性がある。また、350kg/cmを超えると積層不織布シートの繊維間の接合が破壊され、引裂強度の低下が大きくなり、更に外観不良となる可能性がある。
カレンダー工程の金属ロールの表面温度(加熱温度)は、120℃以上250℃以下であることが好ましい。積層不織布シートの引裂強度の低下率(乾式不織布と湿式不織布の和算値)を抑える観点から、カレンダー工程の金属ロールの表面温度は、150℃以上200℃以下であることがより好ましい。前記金属ロールの表面温度が120℃未満であると、不織布同士が積層出来ない可能性がある。また、250℃を超えると、積層不織布シートが外観不良となる可能性がある。
積層時には、金属ロールに乾式不織布を接触させ、弾性ロールに湿式不織布を接触させて加熱及び加圧を行うことが好ましい。湿式不織布を金属ロールに接触させて上記の温度域で加熱すると、湿式不織布に含まれる接着性の繊維(未延伸繊維または鞘芯型複合繊維)が溶けて湿式不織布が金属ロールに貼り付きやすく、加工条件によっては剥がれず積層不織布シートを得ることができなくなる場合がある。湿式不織布を弾性ロール側とすると、乾式不織布を介して金属ロールから伝わる熱により湿式不織布が弾性ロールに貼り付くが、非加熱の弾性ロールからの剥離は容易である。また、湿式不織布が積層時に弾性ロールに貼り付くことによって、湿式不織布が収縮することを抑制することもできる。
カレンダー工程は、線圧及び加熱温度ともに前記条件下で行うことで、本願発明の効果を奏することができる。
(坪量)
積層不織布シートの坪量は、「紙及び板紙-坪量の測定方法」JIS P8124(2011)に準拠して測定した数値である。本発明の積層不織布シートの坪量は、強度特性及び厚さの均一性を満たす観点から、20.0~120.0g/m2であり、30.0~70.0g/m2であることが好ましい。坪量が、20.0g/m2未満の場合、工業用工程紙や包装材に求められる引裂強度が得られなくなる場合がある。一方、坪量が120.0g/m2を越える場合、積層不織布シートの厚みが大きくなり、本発明で規定するカレンダー条件では不織布層間の熱融着が出来なくなる。尚、積層不織布シートの坪量は、積層させる湿式不織布と乾式不織布の坪量の組み合わせで調整することが可能である。
積層不織布シートの坪量を100%としたときの乾式不織布の坪量と湿式不織布の坪量の比率は40:60~60:40%であることが好ましい。積層不織布シートにした際の各不織布層間の接着強度と引裂強度の向上の観点から、前記比率は42:50~58:50%であることがより好ましい。積層不織布シートの坪量に対する乾式不織布の比率が40%未満であると、積層不織布シートに要求される引裂強度が得られない可能性がある。また、積層不織布シートの坪量に対する乾式不織布の比率が60%を超えると、張合性が不十分になる可能性がある。
(厚さ)
積層不織布シートの厚さは、「紙及び板紙-厚さ、密度及び比容積の試験方法」JIS-P8118(2014)に準拠して、測定圧は50kPaにて測定した数値である。
(厚さの標準偏差)
積層不織布シートの厚さの標準偏差は、厚さを抄紙機の巾方向(CD)に20点以上測定し、その測定値から求めた値である。
積層不織布シートの厚さの標準偏差/坪量の値は、0.05~0.40(g/m2-1が好ましい。厚さの均一性を抑制し、引裂強度を向上させる観点から、積層不織布シートの厚さの標準偏差/坪量の値0.10~0.20がより好ましい。厚さの標準偏差/坪量の値が0.05(g/m2-1未満の場合、積層不織布シート表面の平坦性が向上しすぎることをさし、不織布の繊維が溶融し過ぎるため、引裂強度の低下が起こる可能性がある。一方、厚さの標準偏差/坪量の値が0.40(g/m2-1を超える場合、積層不織布シート表面が祖粗になりすぎることをさし、不織布の繊維が溶融し難く、積層不織布シートの貼合強度が低下する可能性がある。
(引裂強度)
引裂強度は、「紙及び板紙-引裂強さ試験方法」 JIS P8116(2000)に準拠して測定した値であり、縦方向の引裂強度は、積層不織布シートに予め入れた切れ目の方向を湿式不織布の縦方向(MD方向)として測定した値であり、横方向の引裂強度は、積層不織布シートに予め入れた切れ目の方向を湿式不織布の横方向(CD方向)として測定した値である。
積層不織布シートの引裂強度(縦方向)/坪量の値は、15.0~170.0mN/(g/m2)であり、積層不織布シートの引裂強度(横方向)/坪量の値は、25.0~130.0mN/(g/m2)であることが好ましい。積層不織布シートの引裂強度/坪量の値が好ましい範囲(上限又は下限)を外れると、工業用工程紙や包装材に求められる要求品質を満足できない可能性がある。また、積層不織布シートの引裂強度/坪量の値は、数値が大きいことが、比引裂強度が高いことを示すが、数値が大きくなることでも、厚み標準偏差/坪量の数値が小さいことが求められる。
以上説明したように、本発明に係る積層不織布シートは、乾式不織布及び湿式不織布が熱溶着により積層されて構成されるため、引裂強度及び厚さの均一性に優れ、カレンダーロールを用いて効率的に製造が可能である。
以下、本発明に係る積層不織布シート及びその製造方法を具体的に実施した実施例を説明する。但し、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1~14)
表1に記載の乾式不織布(市販品:スパンポンド不織布)及び湿式不織布を金属ロールと弾性ロール(ショア硬さD90)の組み合わせを用いた1組のカレンダー工程にて積層し、実施例1~14に係る積層不織布シートを得た。カレンダー工程においては、乾式不織布を金属ロール側、湿式不織布を弾性ロール側とし、金属ロールを表2に記載の温度に加熱すると共に、表2に記載の線圧で加圧した。
(比較例1)
表1に記載の湿式不織布2枚を実施例1~14と同じ金属ロールと弾性ロールの組み合わせを用い、表2に記載の加工条件でカレンダー工程により積層し、比較例1に係る積層不織布シートを得た。
(比較例2)
表1に記載の乾式不織布2枚を実施例1~14と同じ金属ロールと弾性ロールの組み合わせを用い、表2に記載の加工条件でカレンダー工程により積層しようとしたが、貼り合わされず、積層不織布シートを得ることができなかった。
(比較例3)
表1に記載の乾式不織布及び湿式不織布を実施例1~14と同じ金属ロールと弾性ロールの組み合わせを用い、表2に記載の加工条件でカレンダー工程により積層しようとしたが、乾式不織布の坪量が大きすぎるために表1のカレンダー加工条件では貼り合わされず、積層不織布シートを得ることができなかった。
(比較例4)
表1に記載の乾式不織布及び湿式不織布を実施例1~14と同じ金属ロールと弾性ロールの組み合わせを用い、表2に記載の加工条件でカレンダー工程により積層しようとしたが、積層後のシートが金属ロールに貼り付いて剥がれず、積層不織布シートを得ることができなかった。
表1に実施例1~14及び比較例1~4で用いた乾式不織布及び湿式不織布の特性を示す。
Figure 0007049842000001
また、表2にカレンダー工程における加工条件(温度、圧力)と、得られた積層不織布シートの坪量、厚さ、厚さの標準偏差、厚さの標準偏差/坪量の値、引裂強度(縦、横)、引裂強度(縦、横)/坪量の値と、外観及び貼合性の評価結果を併せて示す。尚、比較例3の厚さ及び引裂強度の測定値は、貼り合っていない乾式不織布及び湿式不織布を重ねた状態で測定した参考値である。また、表中の「-」は、未評価であることを示す。
Figure 0007049842000002
(各評価値の測定・算出方法)
(1)坪量は、JIS P8124(2011)に準拠して測定した。
(2)厚さは、JIS-P8118(2014)に準拠し、測定圧50kPaにて測定した。
(3)厚さの標準偏差は、積層不織布シートの厚さを抄紙機の巾方向(CD)に20点測定し、その測定値から算出した。
(4)引裂強度は、JIS P8116(2000)に準拠して測定した。縦方向の引裂強度は、積層不織布シートに予め入れた切れ目の方向を湿式不織布の縦方向(MD方向)として測定し、横方向の引裂強度は、積層不織布シートに予め入れた切れ目の方向を湿式不織布の横方向(CD方向)として測定した。
(5)外観は、得られた積層不織布シートを目視で観察し、以下の3段階で評価した。
○:積層不織布シートにシワや収縮がない。
△:積層不織布シートにシワまたは収縮が僅かにあるが、実用上問題がない。
×:積層不織布シートにシワまたは収縮があり、実用に適さない。
(6)貼合性は、得られた不織布シートを構成する乾式不織布及び湿式不織布の剥離を試み、手で剥離できたか否かを以下の3段階で官能評価した。
○:乾式不織布及び湿式不織布を剥離できない。
△:強い力を加えれば乾式不織布及び湿式不織布を剥離できるが、実用上問題がない。
×:乾式不織布及び湿式不織布が貼合しない、または、乾式不織布及び湿式不織布を手で容易に剥離でき、実用に適さない。
表2に示すように、実施例1~14に積層不織布シートは、厚さの標準偏差が積層前の乾式不織布と比べて低減されており、厚さの均一性に優れる。また、積層不織布シートの引裂強度(特に、湿式不織布の縦方向の引裂強度)も、積層前の湿式不織布より高くなっている。
これに対して、湿式不織布を2枚積層した比較例1に係る積層不織布シートでは、厚さの均一性には優れるものの、縦方向及び横方向のいずれの引裂強度も実施例1~14に係る積層不織布シートより劣っていた。
また、比較例2及び3では、上述の通り、乾式不織布を表2の加工条件では熱融着させることができず、積層不織布シートを得ることができなかった。
比較例4では、上述の通り、表2の加工条件では積層された不織布が金属ロールに熱融着して剥がすことができず、実用可能な積層不織布シートを得ることができなかった。
したがって、本発明によれば、湿式不織布に由来する厚さの均一性を保ちつつ、湿式不織布の欠点である縦方向の引裂強度不足が補われ、厚さの均一性と引裂強度に優れた積層不織布シートを得られることが確認された。
本発明に係る積層不織布シートは、各種用途で使用されるテープの基材等に用いられる工業用工程紙や絶縁用途に用いられる包装材等に好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 乾式不織布と湿式不織布が熱融着により積層された積層不織布シートの製造方法であって、
    前記湿式不織布がポリエステル系延伸繊維と、ポリエステル系未延伸繊維、ポリエステル系芯鞘型複合繊維、ポリプロピレン系芯鞘型複合繊維の少なくとも1種類からなるバインダー繊維とを含む繊維からなり、
    前記ポリエステル系延伸繊維と前記バインダー繊維の配合率が30:70~80:20質量%であり、
    前記積層不織布シートの坪量が20.0~120.0g/m2 あり、
    前記積層不織布シートの厚さの標準偏差/坪量の値が0.05~0.40(g/m -1 であり、
    前記積層不織布シートの引裂強度(縦方向)/坪量の値が、15.0~170.0mN/(g/m )であり、
    引裂強度(横方向)/坪量の値が、25.0~130.0mN/(g/m )であり、
    前記乾式不織布と前記湿式不織布が1組以上の金属ロールと弾性ロールの組み合わせを用いたカレンダー工程で積層され、
    前記カレンダー工程の金属ロールの温度が120~250℃であることを特徴とする、積層不織布シートの製造方法。
  2. 前記積層不織布シートの坪量を100%としたときの前記乾式不織布の坪量と前記湿式不織布の坪量の比率が、40:60~60:40%である、請求項1に記載の積層不織布シートの製造方法。
  3. 前記カレンダー工程における加圧圧力が50~350kg/cmである、請求項1又はに記載の積層不織布シートの製造方法。
  4. 前記弾性ロールのショア硬さがD80~D95である、請求項1~のいずれかに記載の積層不織布シートの製造方法。
  5. 前記カレンダー工程が、金属ロールに乾式不織布を接触させ、弾性ロールに湿式不織布を接触させることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の積層不織布シートの製造方法。
  6. 乾式不織布と湿式不織布が熱融着により積層された積層不織布シートであって、
    前記湿式不織布がポリエステル系延伸繊維と、ポリエステル系未延伸繊維、ポリエステル系芯鞘型複合繊維、ポリプロピレン系芯鞘型複合繊維の少なくとも1種類からなるバインダー繊維とを含む繊維からなり、
    前記ポリエステル系延伸繊維と前記バインダー繊維の配合率が30:70~80:20質量%であり、
    前記積層不織布シートの坪量が20.0~120.0g/m あり、
    前記積層不織布シートの厚さの標準偏差/坪量の値が0.05~0.40(g/m -1 であり、
    前記積層不織布シートの引裂強度(縦方向)/坪量の値が、15.0~170.0mN/(g/m )であり、
    引裂強度(横方向)/坪量の値が、25.0~130.0mN/(g/m )であることを特徴とする、積層不織布シート。
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