JP2017078243A - 積層不織布およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
表面層が、鞘成分が高密度ポリエチレンよりなり、芯成分が前記高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる芯鞘型複合長繊維の集積体からなり、
中間層が、鞘成分が高密度ポリエチレンよりなり、芯成分が前記高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる芯鞘型複合短繊維と前記高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる単相型短繊維との集積体からなり、
裏面層が、鞘成分が高密度ポリエチレンまたは線状低密度ポリエチレンよりなり、芯成分が前記高密度ポリエチレンまたは線状低密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる芯鞘型複合長繊維の集積体からなり、
中間層を構成する芯鞘型複合短繊維および単相型短繊維の繊維長が2〜30mmであり、
芯鞘型複合短繊維の繊維径よりも単相型短繊維の繊維径が小さく、単相型短繊維の繊維径が3〜10μmであり、
3層は、それぞれの層を構成している芯鞘型複合長繊維および芯鞘型複合短繊維の鞘成分の少なくとも一部が溶融固化状態となって層同士を固着一体化していることを特徴とする積層不織布を要旨とする。
表面層は、本発明に係る積層不織布を用いて袋状物を得たとき、袋状物の外層となるものである。表面層は、鞘成分が高密度ポリエチレンよりなり、芯成分が高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる芯鞘型複合長繊維の集積体からなる。そして、鞘成分である高密度ポリエチレンの溶融固化によって芯鞘型複合長繊維相互間が結合されてなり、機械的強度に優れ、耐摩耗性が良好である。高密度ポリエチレンの融点は120〜140℃が好ましく、芯成分であるポリエステルの融点は250℃〜260℃が好ましい。両者の融点をこの範囲とすることにより、高密度ポリエチレンとポリエステルとの融点差が大きく、高密度ポリエチレンが溶融固化する際に、ポリエステルが軟化あるいは溶融することや劣化することなく、当初の繊維形態を維持する。これにより、表層面の長繊維不織布のフィルム化を防止しうるので好ましい。
抄造シートは、表面層の長繊維不織布と裏面層の長繊維不織布の間に挟持されているものであり、袋状物内に収納した粉末(特に微粉末)を外部へ飛散させないようにするためのフィルター層として機能するものである。そして、抄造シートは、鞘成分が高密度ポリエチレンよりなり、芯成分が前記高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる芯鞘型複合短繊維と前記高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる単相型短繊維との集積体により構成される。さらに、芯鞘型複合短繊維および単相型短繊維は、捲縮を有するものではなく、その繊維長が2〜30mmであり、芯鞘型複合短繊維の繊維径よりも単相型短繊維の繊維径が小さく、単相型短繊維の繊維径が3〜10μmである。
裏面層は、積層不織布を用いて袋状物を得るとき、内層に位置し、ヒートシール層となるものである。裏面層を構成する長繊維不織布は、鞘成分が高密度ポリエチレンまたは線状低密度ポリエチレンよりなり、芯成分が前記高密度ポリエチレンまたは線状低密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる芯鞘型複合長繊維の集積体からなる。そして、鞘成分である高密度ポリエチレンまたは線状低密度ポリエチレンの溶融固化によって芯鞘型複合長繊維相互間が結合されてなり、機械的強度に優れ、耐摩耗性が良好である。また、裏面層はヒートシール層として機能するため、鞘成分である高密度ポリエチレンまたは線状低密度ポリエチレンが、ヒートシール時に溶融して接着成分となる。すなわち、裏面層を構成する芯鞘型複合長繊維の鞘成分は、積層不織布の表面層の長繊維不織布面に熱源を当接してヒートシールする際に、溶融する。
上記した表面層となる芯鞘型複合長繊維不織布、中間層となる抄造シート、裏面層となる芯鞘型複合長繊維不織布とを積層し、芯鞘型複合長繊維不織布(表面層)/抄造シート/芯鞘型複合長繊維不織布(裏面層)の積層体を準備する。この積層体を、予備加熱する予熱工程を通して、熱接着一体化工程を通して、3層が積層一体化した積層不織布を得る。
[表面層および裏面層の長繊維不織布の準備]
融点256℃のポリエステルと融点134℃の高密度ポリエチレンを、複合溶融紡糸装置に導入し、ポリエステルを芯成分とし高密度ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型複合長繊維を溶融紡糸すると共に、コンベア上に集積して長繊維ウェブを得た。この長繊維ウェブを、加熱凹凸ロールと平滑ロールとで構成されたエンボス装置に導入し、鞘成分である高密度ポリエチレンのみを溶融固化して、第一芯鞘型複合長繊維相互間が結合されてなる第一長繊維不織布を得た。なお、第一芯鞘型複合長繊維の繊維径は3.3dtex(繊維径20μm)であり、芯成分と鞘成分の重量比は1:1であった。また、長繊維不織布の目付は15g/m2であった。
[抄造シートの準備]
融点256℃のポリエステルが芯成分、融点134℃の高密度ポリエチレンが鞘成分を構成する芯鞘型複合短繊維(繊維径13μm×繊維長5mm)と融点256℃のポリエステルからなる単相型短繊維(繊維径6μm×繊維長5mm)とが質量比で、芯鞘型複合短繊維:ポリエステル短繊維=80:20となるように混合して、水中に分散して抄きあげた後、ヤンキードライヤーを用いて鞘成分である高密度ポリエチレンのみを溶融固化して、構成繊維間を一体化して、目付30g/m2の抄造シートを得た。
[積層一体化]
長繊維不織布/抄造シート/長繊維不織布の順に積層し、両ロールともに135℃に加熱してなる一対のロール間にS字かけで通して予備加熱し、次いで、加熱ロール(表面温度120℃)と樹脂ロールとからなり、いずれも表面が平滑の一対のロール間に通して、線圧200kgf/cmで熱接着一体化し、表面が平滑化された積層不織布を得た。なお、熱接着一体化工程において、加熱ロール側に位置した長繊維不織布側を裏面層とした。得られた積層不織布は、目付が60g/m2、通気度が1.2cc/cm2・秒、平均孔径5μm、表面層の長繊維不織布面のベック平滑度が26秒であった。また、積層不織布を折り曲げたり、屈曲させたりしたが、層間は強固に接着されていた。
表面層の長繊維不織布および抄造シートは、実施例1で用いたものを準備した。裏面層の長繊維不織布として、下に記載する鞘成分が線状低密度ポリエチレンにより構成される芯鞘型複合長繊維不織布を用いた。
[裏面層の長繊維不織布]
融点256℃のポリエステルと、融点102℃でメルトフローレート15g/10分の線状低密度ポリエチレンを、複合溶融紡糸装置に導入し、ポリエステルを芯成分とし線状低密度ポリエチレンを鞘成分とする第二芯鞘型複合長繊維を溶融紡糸すると共に、コンベア上に集積して長繊維ウェブを得た。この長繊維ウェブを、加熱凹凸ロールと平滑ロールとで構成されたエンボス装置に導入し、鞘成分である線状低密度ポリエチレンのみを溶融固化して、芯鞘型複合長繊維相互間が結合されてなる長繊維不織布を得た。なお、芯鞘型複合長繊維の繊維径は3.3dtex(繊維径20μm)であり、芯成分と鞘成分の重量比は1:1であった。また、長繊維不織布の目付は30g/m2であった。
[積層一体化]
長繊維不織布(表面層)/抄造シート/長繊維不織布(裏面層)の順に積層し、表面層に接するロールは135℃、裏面層に接するロールは130℃に加熱してなる一対のロール間にS字かけで通して予備加熱し、次いで、加熱ロール(表面温度120℃)と樹脂ロールとからなり、いずれも表面が平滑の一対のロール間に通して、線圧200kgf/cmで熱接着一体化し、表面が平滑化された積層不織布を得た。なお、熱接着一体化工程において、加熱ロール側が裏面層の長繊維不織布と接するように処理した。得られた積層不織布は、目付が75g/m2、通気度が0.8cc/cm2・秒、平均孔径5μm、表面層の長繊維不織布面のベック平滑度が16秒であった。また、積層不織布を折り曲げたり、屈曲させたりしたが、層間は強固に接着されていた。
実施例1において、抄造シートの構成繊維として、芯鞘型複合短繊維のみを使用し、単相のポリエステル短繊維を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして積層不織布を得た。得られた積層不織布は、目付が60g/m2、通気度が3.0cc/cm2・秒、平均孔径10μm、表面層の長繊維不織布面のベック平滑度が18秒であった。
比較例1の積層不織布は、本発明の積層不織布を比較して、通気度が高く、平均孔径が大きいものであった。
実施例1において、中間層の抄造シートに代えて、ポリプロピレン極細繊維(繊維径4μm)からなる目付30g/m2の不織布(メルトブローン法による)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層不織布を得た。得られた積層不織布は、目付が60g/m2、通気度が0.8cc/cm2・秒、平均孔径4μm、表面層の長繊維不織布面のベック平滑度が70秒であった。
比較例2の積層不織布は、本発明の積層不織布を比較して、表面の平滑度に劣るものであり、また、積層不織布を折り曲げたり、屈曲させたところ、層間が剥離して、表面に浮きしわが発生した。
Claims (8)
- 表面層、中間層および裏面層の3層が積層してなる積層不織布であり、
表面層が、鞘成分が高密度ポリエチレンよりなり、芯成分が前記高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる芯鞘型複合長繊維の集積体からなり、
中間層が、鞘成分が高密度ポリエチレンよりなり、芯成分が前記高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる芯鞘型複合短繊維と前記高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる単相型短繊維との集積体からなり、
裏面層が、鞘成分が高密度ポリエチレンまたは線状低密度ポリエチレンよりなり、芯成分が前記高密度ポリエチレンまたは線状低密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる芯鞘型複合長繊維の集積体からなり、
中間層を構成する芯鞘型複合短繊維および単相型短繊維の繊維長が2〜30mmであり、
芯鞘型複合短繊維の繊維径よりも単相型短繊維の繊維径が小さく、単相型短繊維の繊維径が3〜10μmであり、
3層は、それぞれの層を構成している芯鞘型複合長繊維および芯鞘型複合短繊維の鞘成分の少なくとも一部が溶融固化状態となって層同士を固着一体化していることを特徴とする積層不織布。 - 通気度が0.3〜2cc/cm2/secであることを特徴とする請求項1記載の積層不織布。
- 平均孔径が1〜9μmであることを特徴とする請求項1記載の積層不織布。
- 表面層側のベック平滑度が15秒以上であることを特徴とする請求項1記載の積層不織布。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の積層不織布の裏面層同士が重ね合った状態で、端部が溶融接合していることを特徴とする袋状物。
- 鞘成分が高密度ポリエチレンよりなり、芯成分が前記高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる芯鞘型複合長繊維不織布と、
鞘成分が高密度ポリエチレンよりなり、芯成分が前記高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる芯鞘型複合短繊維と前記高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる単相型短繊維とが湿式抄造法によって得られた抄造シートであって、芯鞘型複合短繊維および単相型短繊維の繊維長が2〜30mm、芯鞘型複合短繊維の繊維径よりも単相型短繊維の繊維径が小さく、単相型短繊維の繊維径が3〜10μmである抄造シートを準備し、
芯鞘型複合長繊維不織布/抄造シート/芯鞘型複合長繊維不織布の順に積層し、
予熱工程、熱接着一体化工程を通して、高密度ポリエチレンを溶融軟化させて、3層の不織布を接着一体化する製造方法であり、予熱工程では、裏面層側と表面層側のいずれ側からも加熱することを特徴とする積層不織布の製造方法。 - 鞘成分が高密度ポリエチレンよりなり、芯成分が前記高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる芯鞘型複合長繊維不織布(表面層)と、
鞘成分が高密度ポリエチレンよりなり、芯成分が前記高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる芯鞘型複合短繊維と前記高密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる単相型短繊維とが湿式抄造法によって得られた抄造シートであって、芯鞘型複合短繊維および単相型短繊維の繊維長が2〜30mm、芯鞘型複合短繊維の繊維径よりも単相型短繊維の繊維径が小さく、単相型短繊維の繊維径が3〜10μmである抄造シートと、
鞘成分が線状低密度ポリエチレンよりなり、芯成分が前記線状低密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を持つポリエステルよりなる芯鞘型複合長繊維不織布(裏面層)を準備し、
芯鞘型複合長繊維不織布(表面層)/抄造シート/芯鞘型複合長繊維不織布(裏面層)の順に積層し、
予熱工程、熱接着一体化工程を通して、高密度ポリエチレンおよび線状低密度ポリエチレンを溶融軟化させて、3層の不織布を接着一体化する製造方法であり、予熱工程では、裏面層側と表面層側のいずれ側からも加熱することを特徴とする積層不織布の製造方法。 - 予熱工程後の熱接着一体化工程において、一対のロールに通して熱接着一体化を行う際、表面層に接するロールは加熱せず、裏面層と接するロールを加熱することを特徴とする請求項6または7記載の積層不織布の製造方法。
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