JP2016109436A - 補正テーブル作成装置、エンコーダ、及び補正テーブル作成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
本発明の補正テーブル作成装置1は、検出素子の信号から回転角度位置を検出するエンコーダ2の誤差を補正する補正テーブルを作成する装置である。一回転誤差算出部110は、高精度誤差検出装置3により、被測定対象となるエンコーダ2により検出される回転角度位置の誤差を一回転分算出する。固有誤差成分算出部120は、算出された一回転分の誤差をフーリエ変換することにより固有誤差成分を算出する。補正テーブル作成部130は、算出された固有誤差成分の主要誤差周期成分の値のみを逆フーリエ変換し、各回転角度位置における誤差量を補正値とする補正テーブルを作成する。補正テーブル保存部140は、作成された補正テーブルを、エンコーダ2の記憶部に保存する。
【選択図】図1B
Description
また、エンコーダには、回転角度位置をインクリメンタル信号等に変換して、A、B相と呼ばれる2つの伝送線を用いて送信可能なもの、又は絶対値の回転角度位置データを送信可能なもの等が存在する。
しかしながら、この補正テーブルを作成する際に、高精度誤差検出装置によってエンコーダの回転角度位置を測定しても、測定に係るランダムな誤差(測定誤差)が発生する問題があった。このため、精度の高い補正テーブルを作成することが困難であった。
このように構成することで、固有誤差成分の中で主要誤差周期成分により補正テーブルを作成して、精度の高い補正テーブルを作成することが可能になる。このため、精度良く回転角度位置を検出するエンコーダを提供することができる。また、補正テーブルをエンコーダに直接保存することで、調整時間を短縮可能な補正テーブル作成装置を提供することができる。
このように構成することで、磁気式エンコーダの特性に合わせて、精度高い補正テーブルを作成することが可能になる。また、一対着磁の簡単な検出素子により回転角度位置の検出ができるので、製造時の調整工程を簡易化できる。
A相信号及びB相信号はモータ1回転当たり2周期あるので、このように構成することで、2の累乗で誤差補正量を決めることで、殆どの主要誤差周期成分を補正することができる補正テーブルを作成できる。
このように構成することで、1回転あたりの高調波成分のうち、低い方から第3次高調波成分まで含む成分を補正するようにし、充分な補正ができ、精度良い回転角度位置検出ができる補正テーブルを作成可能となる。
このように構成し、精度の高い補正テーブルを予め記憶部に記憶させているので、補正テーブルによる補正以外の処理等が必要なく、誤差補正を迅速に行うことができる。
このように構成することで、主要誤差周期成分により補正テーブルを作成して、精度高い補正テーブルを作成することが可能になる。
図1Aを参照して、本発明の実施の形態に係るエンコーダ調整システムXの構成について説明する。エンコーダ調整システムXは、補正テーブル作成装置1、エンコーダ2、高精度誤差検出装置3、及びモータ4を含んで構成される。
補正テーブル作成装置1は、例えば、エンコーダ2の製造時や工場出荷時、メンテナンスによる調整時に使用される製造装置や調整装置の一部として構成される。具体的には、補正テーブル作成装置1は、PC(Personal Computer)に専用のロジックボードを備えた装置等である。補正テーブル作成装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の制御部と、RAM(Random Access Memory )やROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等を備えている。
なお、工場出荷後や調整後等におけるエンコーダ2の実際の使用時には、補正テーブル作成装置1は取り外される。
この回転角度位置データは、回転体の回転した回数を示す多回転データと、可動被検出物を含む回転体の回転角度を示す一回転内データとを含んでいる。また、回転角度位置データは、多回転データと一回転内データとが連続したビット列となるデータである。このうち、多回転データは、数ビット〜数十ビット、一回転内データは数ビット〜数百ビットの解像度である。
また、エンコーダ2は、補正テーブル作成装置1からの指示に応じて、回転角度位置データを補正テーブル作成装置1へ出力する。また、エンコーダ2は、補正テーブル作成装置1から補正テーブル400(図1C)を取得する。
エンコーダ2による回転角度検出の方式の詳細については後述する。
また、高精度誤差検出装置3は、例えば、補正テーブル作成装置1からの制御信号に応じて、回転角度位置データを取得し、補正テーブル作成装置1に出力する。
なお、使用時においては、高精度誤差検出装置3も取り外される。
モータ4は、ロータ(rotor)、ベアリング(bearing)、ステータ(stator)、ブラケット(bracket)等を備え、高精度の回転制御が可能なサーボモータ等である。
図1Bによると、補正テーブル作成装置1は、一回転誤差算出部110(一回転誤差算出手段)、固有誤差成分算出部120(固有誤差成分算出手段)、補正テーブル作成部130(補正テーブル作成手段)、及び補正テーブル保存部140(補正テーブル保存手段)等を備えている。
なお、固有誤差成分算出部120は、主要誤差周期成分の抽出の際、24の成分である16周期成分を主要誤差成分として取得してもよい。また、固有誤差成分算出部120は、18周期成分についても取得してもよい。
本実施形態における回転角度位置の算出の方式については後述する。
使用状態において、この補正された回転角度位置は、上位装置(図示せず)等に送信される。この際、補正部220は、例えば、位相がそれぞれ90度ずれた信号のHL(Hは、ハイレベル信号、Lはローレベル信号を示す)のエッジでA相、B相の二つの伝送線等でインクリメンタル信号として回転角度位置を送信してもよい。
記憶部230は、補正テーブル作成装置1により作成された補正テーブル400を記憶している。
なお、この補正テーブル400は、エンコーダ2の角度分解能に対応する全ての回転角度位置についての補正値を記憶していなくてもよい。この場合、補正テーブル400は、一回転を特定の分割数で分割した分割角度位置に対応した補正値を記憶する。具体的に、補正テーブル400は、例えば、エンコーダ2の角度分解能が20ビット以上あるような場合でも、8ビット〜16ビットといった分割角度位置に対応する補正値を記憶する。なお、このような補正値が使用状態で読み出された場合は、線形補間やスプライン補間等して用いられてもよい。
ここで、図2、図3により、本発明の実施の形態に係るエンコーダ2による回転角度位置の算出の方式について説明する。
図2によると、エンコーダ2は、検出素子と、信号処理部20とを含んでいる。このうち、検出素子は、S極とN極の磁極が一対着磁されたマグネットを有する可動被検出物22と、マグネットに対向するセンサチップ21とから構成される。
センサチップ21は、図2に示すように、マグネットの回転中心軸線L上に配置されており、マグネットの着磁境界部分に回転中心軸線Lの方向で対向している。このため、センサチップ21の感磁膜は、抵抗値の飽和感度領域以上の磁界強度で、回転磁界を検出することができる。
また、センサチップ21は、内部に、マグネットの位相に対して互いに90°(π/2)の位相差を有するA相感磁センサ、及びB相感磁センサを含んでいる。センサチップ21からのA相信号及びB相信号は、それぞれアンプ(Amplifier)により増幅されて、信号処理部20に入力される。
また、信号処理部20は、A/D変換後の信号に基づいて、回転角度位置や回転速度等を検出する。このため、信号処理部20は、記憶媒体に記憶された制御プログラム(図示せず)を実行することで、上述した回転角度位置算出部210及び補正部220として機能する。
図3(a)によると、A相感磁センサからは、可動被検出物22の変位に対応した正弦波状のA相信号(sin)が出力され、B相感磁センサからは正弦波状のB相信号(cos)が出力される。また、A相信号とB相信号との位相差は、略π/2(90°)となる。なお、図3(a)のグラフにおいて、横軸は角度(°)、縦軸は値を示す。
図3(b)によると、回転角度位置算出部210は、A相信号及びB相信号から、X軸をB相信号、Y軸をA相信号とするXY平面上のリサージュ波形を算出し、解析することによって、可動被検出物22の角度位置θを検出する。
図3(a)及び図3(b)によれば、回転角度位置算出部210は、リサージュ波形を、可動被検出物22の一回転当たり2周期算出する。これは、A相感磁センサ及びB相感磁センサは、それぞれ磁界の強さのみ検出するためである。このため、回転角度位置算出部210は、図示しないホール素子等により、A相信号(sin)、B相信号(cos)で形成されたリサージュ波形のいずれの区間に位置するかを算出する。回転角度位置算出部210は、可動被検出物22の角度位置θと、この区間とから最終的な回転角度位置を算出する。この回転角度位置は、アブソリュート値(絶対値)であり、1周を角度分解能Rで分解した値を単位として表した整数値である。この角度分解能Rの値は、20ビットの分解能の検出素子を使用した場合は2^20=1048576となる。また、この整数値については、符号が1ビット分含まれる2の補数を使用してもよい。
次に、図4〜図7Cにより、本発明の実施の形態に係るエンコーダ調整システムXによる回転角度位置検出処理の説明を行う。
本実施形態の処理では、まず、高精度誤差検出装置3とエンコーダ2から取得した回転角度位置から誤差が算出される。次に、算出された誤差から、FFTにより主要誤差成分を抽出される。この抽出された主要誤差成分のみをIFFTすることで補正テーブル400が作成される。作成された補正テーブル400は、エンコーダ2に保存される。
本実施形態の回転角度位置検出処理は、主に補正テーブル作成装置1の制御部(図示せず)が、記憶部(図示せず)に記憶された制御プログラム(図示せず)を、各部と協働しハードウェア資源を用いて実行する。また、補正テーブル作成装置1の記憶部には、エンコーダ2及び高精度誤差検出装置3から取得した回転角度位置データ、これらの回転角度位置データから算出された一回転誤差テーブル、補正テーブル400等が一時的に記憶され、処理に用いられる。
以下で、図4のフローチャートにより、回転角度位置検出処理の詳細をステップ毎に説明する。
まず、一回転誤差算出部110が、一回転誤差算出処理を行う。
一回転誤差算出部110は、モータ4を一回転分、回転させる制御を行い、エンコーダ2と高精度誤差検出装置3に、回転角度位置を送信するよう制御信号を送信する。この際、一回転誤差算出部110は、シリアル通信等でエンコーダ2に制御信号を送信して、「調整モード」等の動作モードに変更させる。エンコーダ2は、この「調整モード」では、記憶部230に記憶された補正テーブル400を使用せず、回転角度位置の補正をしないで補正テーブル作成装置1に送信する。
一回転誤差算出部110は、エンコーダ2と高精度誤差検出装置3とから、それぞれの回転角度位置を取得する。一回転誤差算出部110は、高精度誤差検出装置3の回転角度位置から、エンコーダ2の回転角度位置を差分したものを誤差Eとして算出する。また、一回転誤差算出部110は、算出した各誤差Eを各回転角度位置に対応した一回転誤差テーブルとして、一時的に記憶する。この際、一回転誤差算出部110は、一回転誤差テーブルを、分割角度位置に対応した標本点の集合として記憶する。
次に、固有誤差成分算出部120が、固有誤差成分算出処理を行う。
固有誤差成分算出部120は、一回転誤差テーブルについて、一次元FFTを実行して、各周波数成分を固有誤差成分として算出する。また、固有誤差成分算出部120は、算出された固有誤差成分のうち、1周期成分、2周期成分、4周期成分、及び8周期成分を主要誤差周期成分として抽出する。検出素子の特性により、解析するリサージュ波形は、モータ4の一回転当たり2周期あり2の累乗となるため、これらの周期成分のみ抽出することで、エンコーダ2の主要な誤差を補正可能となる。
図5(a)は、1周期成分の概念図である。図5(a)は、高精度誤差検出装置3のA相信号A0と、1周期成分の誤差のあるエンコーダ2のA相信号A1がプロットされたグラフを示している。1周期成分は、主に取り付け誤差、つまり、エンコーダ2の可動被検出物22の回転中心軸線Lの軸ズレに関する誤差である。図5(a)のグラフにおいて、横軸は角度(°)、縦軸は値を示す。具体的に説明すると、この誤差は、マグネットの公転中心がズレているために生じる。マグネットは自転しながら公転しているため、マグネットが磁気抵抗素子に近づくと遅く、遠いと早く変化するように値が変化する。
図5(b)は、2周期成分の概念図である。図5(b)は、高精度誤差検出装置3のA相信号A0、B相信号B0と、2周期成分の誤差のあるエンコーダ2のA相信号A2、B相信号B2がプロットされたリサージュ波形を示している。この2周期成分の誤差は、主にリサージュ波形の中心軸、つまりA相信号とB相信号の波形のズレに関する誤差を示している。この2周期成分の誤差は、経年変化や温度変化、A相感磁センサ及びB相感磁センサのブリッジの抵抗の誤差等により発生する。
図6(a)は、4周期成分の概念図である。図6(a)は、図5(b)と同様のA相信号A0、B相信号B0と、4周期成分の誤差のあるエンコーダ2のA相信号A4、B相信号B4がプロットされたリサージュ波形を示している。この4周期成分の誤差は、リサージュ波形が楕円状になるように表現される誤差である。この4周期成分の誤差は、センサチップ21の形状とマグネットの形状と磁束との関係により生じる誤差等を含む。
図6(b)は、8周期成分の概念図である。図6(b)は、図5(b)、図6(a)と同様のA相信号A0、B相信号B0と、8周期成分の誤差のあるエンコーダ2のA相信号A8、B相信号B8がプロットされたリサージュ波形を示している。この8周期成分の誤差は、リサージュ波形において、π/2の頂点同士を結ぶ各1/4円弧の中点が内側になるように表現される誤差である。この8周期成分の誤差は、磁気抵抗素子の特性に由来する誤差であり、主に、磁気抵抗素子の磁束による抵抗値変化の飽和が影響している誤差を含んでいる。
1、2、4、8周期成分のスペクトル強度が高く、支配的であることが分かる。このため、各周波数成分のうち、1周期成分、2周期成分、4周期成分、及び8周期成分を固有誤差成分とすることで、エンコーダ2の主要な誤差成分を抽出できる。
なお、16周期成分も全誤差成分のうち1%〜2%程度存在し、18周期成分も0.5%程度存在する。それ以外の成分は、高精度誤差検出装置3とエンコーダ2との測定に係るランダムな誤差(ホワイトノイズ)であると考えられる。このランダムな誤差は、ベアリング等の摺動、熱雑音、電源ノイズ等が含まれる。
次に、補正テーブル作成部130が、補正テーブル作成処理を行う。
補正テーブル作成部130は、算出された固有誤差成分のうち、抽出された主要誤差周期成分の値のみを逆フーリエ変換する。
具体的に、補正テーブル作成部130は、抽出された固有誤差成分である1周期成分、2周期成分、4周期成分、及び8周期成分の値についてのみ用いて、一次元IFFTを実行する。具体的には、補正テーブル作成部130は、IFFTにより、各回転角度位置のうち、一回転を特定の分割数で分割した分割角度位置に対応した値を算出する。補正テーブル作成部130は、この算出した値を補正値として補正テーブル400を作成し、一時的に記憶する。
図7Cは、図7Bの一部を拡大した図である。
このように、補正テーブル作成部130により主要誤差周期成分の値のみを逆フーリエ変換して作成した補正テーブル400は、一回転誤差テーブルよりもなめらかな変化を示している。つまり、測定に係るランダムな誤差を少なくして、固有誤差成分をよく反映していることが分かる。このようななめらかな補正テーブル400によりエンコーダ2を補正すると、測定の精度が高まる。
次に、補正テーブル保存部140が、補正テーブル保存処理を行う。
補正テーブル保存部140は、エンコーダ2に特定の制御信号を送信して、例えば、「補正テーブル400書き換えモード」になるように制御する。エンコーダ2は、この「補正テーブル400書き換えモード」では、補正テーブル作成装置1から送信された補正テーブル400を記憶部230に記憶する。
補正テーブル保存部140は、「補正テーブル400書き換えモード」になったエンコーダ2に、作成された補正テーブル400を送信する。これにより、補正テーブル保存部140は、エンコーダ2の記憶部230に補正テーブル400を記憶させる。
以上により、本発明の実施の形態に係る補正テーブル作成処理を終了する。
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来、エンコーダの回転角度位置の誤差を補正する際、各回転角度位置での高精度誤差検出装置との誤差を測定し、その値を補正テーブルとしてエンコーダに記憶させている。しかしながら、当該測定には計測誤差が含まれていた。
これに対して、本発明の実施の形態に係る補正テーブル作成装置1は、検出素子の信号から回転角度位置を検出するエンコーダ2の誤差を補正する補正テーブル400を作成する補正テーブル作成装置1であって、エンコーダ2により検出される回転角度位置の誤差を、高精度誤差検出装置3を利用して一回転分算出する一回転誤差算出部110と、一回転誤差算出部110により算出された一回転分の誤差をフーリエ変換することにより固有誤差成分を算出する固有誤差成分算出部120と、固有誤差成分算出部120により算出された固有誤差成分の主要誤差周期成分の値のみを逆フーリエ変換し、各回転角度位置における誤差量を補正値とする補正テーブル400を作成する補正テーブル作成部130と、補正テーブル作成部130により作成された補正テーブル400を、エンコーダ2の記憶部230に保存する補正テーブル保存部140とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、固有誤差成分から抽出された主要誤差周期成分により誤差の補正量を算出し、精度の高い補正テーブル400を作成可能となる。つまり、主要誤差周期成分により補正テーブル400を作成することで、高精度誤差検出装置3により誤差を測定するときの計測誤差を抑えることが可能になる。このため、この補正テーブル400を備えたエンコーダ2では、精度良く回転角度位置を検出することができる。
また、本実施形態の補正テーブル作成装置1は、直接、誤差の補正値の補正テーブル400をエンコーダ2の記憶部230に記憶させることができる。このため、回転角度位置を迅速に調整することができる。加えて、誤差調整の手間を削減し、調整コストを削減することができる。
このように構成することで、固有誤差成分の主要誤差周期成分を算出しやすくなり、精度の高い補正テーブル400を作成可能となる。また、一対着磁の簡単なマグネットを有する検出素子により回転角度位置の検出をするエンコーダ2を用いることで、製造工程での回転角度位置の調整が容易となる。
ここで、リサージュ波形は、モータ4の一回転当たり2周期ある。よって、このように構成し、2の累乗の主要誤差成分から補正量を算出することで、エンコーダ2の殆どの固有誤差を補正することができる補正テーブルを作成できる。
ここで、1周期成分と、2周期成分と、4周期成分と、8周期成分とは、2の累乗でいう、20、21、22、23の成分である。つまり、一回転あたりの高調波成分のうち、低い方から第3次高調波成分まで含む固有誤差成分を主要誤差成分として用いることで、充分な補正ができて、固有誤差成分をよく反映した補正テーブル400を作成することができる。このため、エンコーダ2にて精度良い回転角度位置検出が可能となる。
このように構成することで、記憶部230に予め精度の高い補正テーブル400を記憶させているのでこの補正テーブル400を読み出して誤差補正を行うだけで、迅速に精度の高い回転角度位置の測定を行うことができる。この際、補正テーブル400以外の補正式等による補正をする必要がなくなり、信号処理部20の補正の処理負担を軽減し、迅速に回転角度位置を検出して出力することができる。また、精度の高い補正テーブル400を記憶部230に記憶させているので、経年劣化等による回転角度位置検出の調整の頻度を少なくすることができる。
なお、上述の実施の形態では、補正テーブル作成装置1が高精度誤差検出装置3及びエンコーダ2の回転角度位置を取得して誤差を算出するように記載した。
しかしながら、高精度誤差検出装置3がエンコーダ2の回転角度位置を直接取得して誤差を算出し、誤差のみを補正テーブル作成装置1に送信し、補正テーブル作成装置1の一回転誤差算出部110が取得するような構成であってもよい。また、高精度誤差検出装置3自体が、補正テーブル作成装置1の機能を備えた検査装置であってもよい。
また、上述の実施の形態では、補正テーブル作成装置1が補正テーブル400を作成後、直接、エンコーダ2に記憶させる例について記載した。
しかしながら、補正テーブル作成装置1にて補正テーブル400を作成後、フラッシュメモリカード等の外部記憶媒体等に保存して、この外部器緒媒体をエンコーダ2に記憶させることも可能である。
このように構成することで、エンコーダ調整システムの構成を柔軟にでき、コストを削減可能となる。
しかしながら、高精度誤差検出装置3とエンコーダ2とから複数回転分の誤差を算出して、これを平均化する等した誤差テーブルを作成し、補正テーブル400を作成してもよい。また、作成された補正テーブル400自体にも、平滑化等の後処理をしてもよい。
これにより、測定誤差を軽減し、エンコーダ2の主要誤差周期成分を確実に反映した誤差テーブルを作成することができる。
2 エンコーダ
3 高精度誤差検出装置
4 モータ
20 信号処理部
21 センサチップ
22 可動被検出物
110 一回転誤差算出部
120 固有誤差成分算出部
130 補正テーブル作成部
140 補正テーブル保存部
210 回転角度位置算出部
220 補正部
230 記憶部
400 補正テーブル
L 回転軸
X エンコーダ調整システム
Claims (6)
- 検出素子の信号から回転角度位置を検出するエンコーダの誤差を補正する補正テーブルを作成する補正テーブル作成装置であって、
前記エンコーダにより検出される前記回転角度位置の誤差を、高精度誤差検出装置を利用して一回転分算出する一回転誤差算出手段と、
該一回転誤差算出手段により算出された一回転分の誤差をフーリエ変換することにより固有誤差成分を算出する固有誤差成分算出手段と、
該固有誤差成分算出手段により算出された前記固有誤差成分の主要誤差周期成分の値のみを逆フーリエ変換し、各前記回転角度位置における誤差量を補正値とする前記補正テーブルを作成する補正テーブル作成手段と、
該補正テーブル作成手段により作成された前記補正テーブルを、前記エンコーダの記憶手段に保存する補正テーブル保存手段とを備える
ことを特徴とする補正テーブル作成装置。 - 前記エンコーダは、
前記検出素子が、S極とN極の磁極が一対着磁されたマグネットを有する可動被検出物と、前記マグネットに対向するA相感磁センサ及びB相感磁センサとを含み、
前記可動被検出物の変位に対応して前記A相感磁センサから正弦波状のA相信号が出力され、前記可動被検出物の変位に対応して前記B相感磁センサから正弦波状のB相信号が出力され、前記A相信号と前記B相信号とは位相差が略π/2であり、
前記A相信号と前記B相信号とからXY平面上のリサージュ波形を算出、解析することによって前記可動被検出物の角度位置を検出する回転角度位置算出手段を備え、
前記回転角度位置算出手段は、前記リサージュ波形を、前記可動被検出物の一回転当たり2周期算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の補正テーブル作成装置。 - 前記主要誤差周期成分は、一回転当たり、2の累乗の周期成分である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の補正テーブル作成装置。 - 前記主要誤差周期成分は、一回転当たり、少なくとも1周期成分、2周期成分、4周期成分、及び8周期成分である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の補正テーブル作成装置。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の補正テーブル作成装置により作成され前記記憶手段に保存された前記補正テーブルから、使用状態における前記回転角度位置に対応した前記補正値を読み出し、該補正値により誤差を補正する補正手段を備える
ことを特徴とするエンコーダ。 - 検出素子の信号から回転角度位置を検出するエンコーダの誤差を補正する補正テーブルを作成する補正テーブル作成装置により実行される補正テーブル作成方法であって、
高精度誤差検出装置を利用して、被測定対象となる前記エンコーダにより検出される前記回転角度位置の誤差を一回転分算出し、
算出された一回転分の誤差をフーリエ変換することにより固有誤差成分を測定し、
算出された前記固有誤差成分の主要誤差周期成分の値のみを逆フーリエ変換し、各前記回転角度位置における誤差量を補正値とする前記補正テーブルを作成し、
作成された前記補正テーブルを前記エンコーダの記憶手段に保存する
ことを特徴とする補正テーブル作成方法。
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