JP2016101826A - ガラス板及びガラス板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】窓ガラスの側辺部とガラスランとの間の摩擦係数が大きくなるのを抑制する技術を提供する。【解決手段】本発明の一側面に係るガラス板は、自動車の車内と車外とを連通する開口部を形成するために車体に設けられた窓枠であって、内側にガラスランが装着された窓枠に昇降可能なように取り付けられるガラス板であって、上辺部、下辺部、及び上辺部並びに下辺部をそれぞれ連結する一対の側辺部で形成される周縁部と、所定の機能を与えるための機能液をガラス板の少なくとも一方の面に塗布することで、ガラス板の少なくとも一方の面に積層された機能性被膜と、を有し、機能性被膜は、ガラス板を昇降させる際にガラス板の少なくともいずれかの側辺部におけるガラスランに接触する領域のうちの少なくとも一部分に形成されないように、ガラス板の前記いずれかの側辺部から面方向内側に離間して設けられる。【選択図】図2

Description

本発明は、ガラス板及びガラス板の製造方法に関する。
従来から、自動車用窓ガラスに、紫外線カット用等の被膜をコーティングするための種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1では、ドアガラスの昇降機構に関わるスタビライザーにより摺動される部分を除いて、ドアガラスの車外側表面に撥水性被膜を形成する方法が提案されている。この方法では、ドアガラスを昇降する際にスタビライザーにより摺動する部分が除かれて、ドアガラスの車外側表面に撥水性被膜が形成される。そのため、ドアガラスの昇降に伴う長期の摺動作用によって撥水性被膜が劣化することを防止することができる。
また、例えば、特許文献2では、自動車の窓ガラスを立てた状態で保持し、塗布液用のノズルを窓ガラスに対して相対移動させながら、ノズルから窓ガラスに塗布液を吐出して塗布する方法が提案されている。この方法では、塗布液を窓ガラスに塗布する際に、塗布液の塗布されない非塗布領域を窓ガラスの上辺に設けている。これによって、ガラスラン等の上部フレームに塗布液の被膜が擦れることを防止し、窓を繰り返し昇降することによって、窓ガラスの上辺において塗布液の被膜に傷が付いて外観が悪くなることを抑制することができる。
特開2001−010337号公報 特開2011−256060号公報
ところで、本発明者らは、紫外線カット用等の被膜をコーティングするための機能液を窓ガラスに塗布した場合に、次のような問題が生じることを見出した。すなわち、自動車の車体に窓枠が設けられており、この窓枠の内側には窓ガラスの周縁部が嵌まり込むガラスランが取り付けられている。そのため、昇降可能に設けられた窓ガラスを閉め切り位置まで移動させた場合には、窓ガラスの上辺部だけではなく、側辺部もガラスランに挟持される。
したがって、窓ガラスを昇降させて窓の開閉操作を繰り返した場合には、窓ガラスの側辺部がガラスランに繰り返し摺動することによって、当該側辺部に形成された機能液の被膜の表面に傷が付いてしまい、当該被膜の表面粗さが大きくなってしまう。すなわち、窓ガラスの側辺部とガラスランとの間の摩擦係数が大きくなってしまう。これによって、窓ガラスを昇降する際に、被膜の表面が粗くなった窓ガラスの側辺部とガラスランとが擦れて、ビビリ音等の異音が発生する恐れがあることを本発明者らは見出した。
また、窓ガラスの側辺部とガラスランとの間の摩擦係数が大きくなってしまうことで、窓ガラスの側辺部がガラスランに摺動するときに作用する摩擦力が大きくなる。これによって、ガラスランが劣化しやすくなる可能性があることを本発明者らは見出した。
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、窓ガラスの側辺部とガラスランとの間の摩擦係数が大きくなるのを抑制する技術を提供することである。
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
すなわち、本発明の一側面に係るガラス板は、自動車の車内と車外とを連通する開口部を形成するために車体に設けられた窓枠であって、当該窓枠の内側にガラスランが装着された窓枠に昇降可能なように取り付けられるガラス板であって、上辺部、下辺部、及び前記上辺部並びに前記下辺部をそれぞれ連結する一対の側辺部で形成される周縁部と、所定の機能を与えるための機能液を前記ガラス板の少なくとも一方の面に塗布することで、当該ガラス板の少なくとも一方の面に積層された機能性被膜と、を有する。そして、前記機能性被膜は、前記ガラス板を昇降させる際に前記ガラス板の少なくともいずれかの側辺部における前記ガラスランに接触する領域のうちの少なくとも一部分に前記機能性被膜が形成されないように、前記ガラス板の当該いずれかの側辺部から面方向内側に離間して設けられる。
当該構成に係るガラス板は、ガラスランの装着された窓枠に窓ガラスとして昇降可能に取り付けられる。そして、このガラス板の少なくとも一方の面には、所定の機能を与えるための機能液が塗布されることで、機能性被膜が形成される。
ここで、当該構成によれば、この機能性被膜は、ガラス板のいずれかの側辺部から面方向内側に離間して設けられる。これによって、当該機能性被膜は、当該ガラス板を昇降させる際に当該ガラス板のいずれかの側辺部においてガラスランと接触する領域のうち少なくとも一部分には形成されないように構成することができる。
したがって、当該構成によれば、ガラス板のいずれかの側辺部から面方向内側の一領域には機能性被膜が形成されないため、ガラス板のいずれかの側辺部において、機能性被膜とガラスランとの接触する領域を小さくすることができる。すなわち、窓の開閉操作を繰り返すことで、ガラス板のいずれかの側辺部において、機能性被膜に傷が付く領域を狭くすることができるため、窓ガラスの側辺部とガラスランとの間の摩擦係数が大きくなるのを抑制することができる。これによって、窓ガラスを昇降させる際に、機能性被膜の表面が粗くなった窓ガラス板の側辺部とガラスランとが擦れることでビビリ音等の異音が発生するのを防止することができる。また、窓ガラスの側辺部における摩擦力が大きくなることによりガラスランが劣化しやすくなるのを防止することができる。
好ましくは、ガラス板の各側辺部において、ガラスランと接触する領域を除いて、機能性被膜をガラス板の少なくとも一方の面に積層する。すなわち、ガラス板の各側辺部において、ガラスランと接触する領域には機能性被膜が形成されないようにする。これによって、ガラスランによって機能性被膜に傷が付くのを防止することができ、窓ガラスの各側辺部とガラスランとの間の摩擦係数が変化するのを抑制することができる。
なお、ガラスランは、窓枠とガラス板との隙間を埋める部材である。このガラスランは、例えば、ウェザーストリップ、ガラスランチャンネル、ガスケット、モール、モールディング、シールゴム、遮蔽部材等と称されてもよい。
また、機能液は、例えば、紫外線カットコーティング液、赤外線(IR)カットコーティング液、防曇コーティング液、撥水コーティング液、防汚コーティング液、低反射コーティング液、電磁遮蔽コーティング液、着色コーティング液等である。機能性被膜の種類は、適用する機能液によって定まる。紫外線カットコーティング液を機能液として使用した場合には、機能性被膜は、紫外線をカットする機能を有する被膜となる。
また、上記一側面に係るガラス板の別の形態として、前記ガラスランは、前記いずれかの側辺部が侵入する溝部を形成する基部と、前記基部の溝部両側から前記溝部内側の方に傾斜するように延び、前記ガラス板の面に接触する一対のリップ部と、を備えてもよい。そして、前記機能性被膜は、前記いずれかの側辺部における前記機能性被膜の端部が、前記一対のリップ部それぞれが前記ガラス板の面に接触する位置と前記ガラスランの端部の位置との間に形成される遮蔽範囲内に位置するように、形成されてもよい。当該構成によれば、ガラス板を窓枠に取り付けた際に、ガラス板の面に形成される機能性被膜の端部はガラスランの遮蔽範囲に位置するよう構成される。すなわち、機能性被膜の端部がガラスランの外部に露出することを防ぐことができ、ガラス板の見栄えを良くすることができる。
また、上記一側面に係るガラス板の別の形態として、前記ガラス板を昇降させる際に前記ガラス板の両側辺部における前記ガラスランに接触する領域のうちの少なくとも一部分に前記機能性被膜が形成されないように、前記ガラス板の両側辺部から面方向内側に離間して設けられてよい。当該構成によれば、ガラス板の両側辺部において、機能性被膜に傷が付く領域を狭くすることができるため、窓ガラスの側辺部とガラスランとの間の摩擦係数が大きくなるのを更に抑制することができる。なお、好ましくは、ガラス板の両側辺部において、ガラスランと接触する領域には機能性被膜が形成されないようにする。
また、上記一側面に係るガラス板の別の形態として、前記ガラス板は面直方向に湾曲していてもよい。ガラス板が面直方向に湾曲している場合、ガラス板の面がガラスランに片当たりしやすくなり、窓の開閉のためにガラス板を昇降する際にガラス板の面がガラスランに接触する力が強くなってしまう。そのため、ガラス板の面とガラスランとが接触する領域に機能性被膜が形成されていると、この領域に形成されている機能性被膜に傷が付きやすくなってしまう。したがって、当該構成のように、ガラス板が面直方向に湾曲している場合には、ガラス板の各側辺部において、ガラスランに接触する領域に機能性被膜を形成しないようにすることで、窓ガラスの側辺部とガラスランとの間の摩擦係数が大きくなるのを抑制する効果がより大きく期待できる。
なお、湾曲したガラス板には、側辺部断面の曲率が一定のガラス板及び側辺部断面の曲率が一定ではないガラス板の2種類存在する。側辺部断面の曲率が一定のガラス板では、側辺部断面の曲率の誤差範囲が±150mm以内となっている。すなわち、側辺部断面の曲率が一定ではないガラス板では、側辺部断面の曲率が150mmを超えて変動する。そのため、側辺部断面の曲率が一定ではないガラス板では、ガラス板の面がガラスランに一層片当たりしやすくなる。そのため、側辺部断面の曲率が一定ではないガラス板では、ガラス板の側辺部においてガラスランに接触する領域に機能性被膜を形成しないようにすることで、窓ガラスの側辺部とガラスランとの間の摩擦係数が大きくなるのを抑制する効果がより大きく期待できる。
また、上記一側面に係るガラス板の別の形態として、前記機能液により形成される前記機能性被膜のビッカース硬さは1100Hvであってもよい。自動車の走行中等に、ガラスランには砂が侵入する場合がある。砂は、角閃石、長石、石英等を含んでおり、これらの成分のうちで石英が最も硬い。当該構成のように、機能液により形成される機能性被膜のビッカース硬さが1100Hvである場合には、硬度が1100Hv程度である石英と擦れることで、機能性被膜の表面に傷が付きやすい。そのため、ガラス板の面とガラスランとが接触する領域に機能性被膜が形成されていると、ガラスランに砂が侵入した際に、この領域に形成されている機能性被膜に傷が付きやすくなってしまう。したがって、当該構成のように、機能液により形成される機能性被膜のビッカース硬さが1100Hvである場合には、ガラス板の各側辺部において、ガラスランに接触する領域に機能性被膜を形成しないようにすることで、窓ガラスの側辺部とガラスランとの間の摩擦係数が大きくなるのを抑制する効果がより大きく期待できる。
また、本発明の一側面に係るガラス板の製造方法は、上辺部、下辺部、及び前記上辺部並びに前記下辺部をそれぞれ連結する一対の側辺部で形成される周縁部を有するガラス板であって、所定の機能を与えるための機能液を当該ガラス板の少なくも一方の面に塗布することで、当該ガラス板の少なくとも一方の面に機能性被膜が積層されたガラス板の製造方法であって、前記ガラス板に向けて前記機能液を射出するノズルを有する射出部に前記機能液を供給する第1工程と、前記ノズルから射出される前記機能液が前記ガラス板の少なくとも一方の面に塗布されるように、前記射出部に対して前記ガラス板を相対的に移動させることで、前記ガラス板の少なくとも一方の面に前記機能性被膜を形成する第2工程と、を含む。そして、前記ガラス板は、自動車の車内と車外とを連通する開口部を形成するために車体に設けられた窓枠であって、当該窓枠の内側にガラスランが装着された窓枠に昇降可能なように取り付けられる。また、前記第2工程では、前記ガラス板を昇降させる際に前記ガラス板の少なくともいずれかの側辺部における前記ガラスランに接触する領域のうちの少なくとも一部分に前記機能性被膜が形成されないように、前記ガラス板の当該いずれかの側辺部から面方向内側に離間して前記機能性被膜を設ける。
当該構成によれば、機能性被膜は、ガラス板の各側辺部から面方向内側に離間して設けられる。これによって、当該機能性被膜は、当該ガラス板を閉め切り位置に上昇させた際に当該ガラス板の各側辺部においてガラスランと接触する領域のうち少なくとも一部分には形成されないように構成することができる。
したがって、当該構成によれば、ガラス板の各側辺部から面方向内側の一領域には機能性被膜が形成されないため、ガラス板の各側辺部において、機能性被膜とガラスランとの接触する領域を小さくすることができる。すなわち、窓の開閉操作を繰り返すことで、ガラス板の各側辺部において、機能性被膜に傷が付く領域を狭くすることができるため、窓ガラスの側辺部とガラスランとの間の摩擦係数が大きくなるのを抑制することができる。
本発明によれば、窓ガラスの側辺部とガラスランとの間の摩擦係数が大きくなるのを抑制することができる。
図1は、実施の形態に係るガラス板が取り付けられるドア本体を例示する。 図2は、実施の形態に係るガラス板を例示する正面図である。 図3は、実施の形態に係るガラス板を例示する側面図である。 図4は、実施の形態に係るガラスランを模式的に例示する断面図である。 図5は、実施の形態に係るパワーウインドウ装置を例示する。 図6は、実施の形態に係る塗布システムを例示する。 図7は、実施の形態に係る塗布工程を例示する。 図8は、実施の形態に係るガラス板の右側辺部に機能液を塗布する際のガラス板の移動方向を例示する。 図9は、実施の形態に係るガラス板の上辺部に機能液を塗布する際のガラス板の移動方向を例示する。 図10は、実施の形態に係るガラス板の左側辺部に機能液を塗布する際のガラス板の移動方向を例示する。 図11は、他の形態に係る機能液の塗布工程を例示する。 図12Aは、試料A1の表面形状の顕微鏡像を示す。 図12Bは、試料A2の表面形状の顕微鏡像を示す。 図12Cは、試料Bの表面形状の顕微鏡像を示す。 図12Dは、試料Cの表面形状の顕微鏡像を示す。 図12Eは、試料Dの表面形状の顕微鏡像を示す。 図13は、各試料の表面形状の評価結果を示す。
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
§1 構成例
<ドア本体1>
まず、図1を用いて、本実施形態に係るガラス板10が取り付けられるドア本体1について説明する。図1は、本実施形態に係るドア本体1を例示する。なお、説明の便宜のため、図1の上下方向を「上下」と、図1の左右方向を「左右」と称することとする。図1は、車内側から見たドア本体1を例示している。すなわち、図1の紙面奥側が車外側であり、図1の紙面手前側が車内側である。
本実施形態に係るドア本体1は、図示を省略する自動車の車体にヒンジを介して開閉自在に取り付けられている。図1に例示されるように、このドア本体1は、車内と車外とを連通する開口部25を形成するための窓枠2を備えている。窓枠2は、湾曲した上枠部21と、この上枠部21から下方向に離間して、この上枠部21と対向するように左右方向に延びる下枠部22と、を有している。また、この窓枠2は、上枠部21の右側の端部と下枠部22の右側の端部とを連結するように上下方向に延びる右側枠部23と、上枠部21の左側の端部と下枠部22の左側の端部とを連結するように上下方向に延びる左側枠部24と、を有している。左側枠部24は、右側枠部23よりも短く形成されている。これによって、窓枠2の内側に開口部25が形成される。
ドア本体1は、下枠部22の下方に内部空間を有するように、車外側に配置された外板及び車内側に配置される内板によって形成されている(不図示)。これによって、図1に例示されるように、開口部25を開放する開放位置H1と開口部25を閉め切る閉め切り位置H2との間で昇降可能なようにガラス板10を窓枠2に取り付けることができる。
なお、開放位置H1はガラス板10の昇降範囲の下端であり、閉め切り位置H2はガラス板10の昇降範囲の上端である。そして、窓枠2の内側には後述するガラスラン6が装着されており、このガラスラン6はガラス板10の周縁部15を挟持するように構成されている。そのため、ガラス板10を閉め切り位置H2に上昇させた場合、ガラス板10の上辺部11がガラスラン6の上側部分61に嵌まり込み、ガラス板10の右側辺部13がガラスラン6の右側部分63に嵌まり込み、ガラス板10の左側辺部14がガラスランの左側部分64に嵌まり込む。これによって、窓枠2とガラス板10との間に生じ得る隙間を埋めることができる。一方、ガラス板10を開放位置H1に効果させた場合には、ガラス板10の殆どの領域がドア本体1の内部空間に収納される。
<ガラス板>
次に、図2及び図3を更に用いて、本実施形態に係るガラス板10について説明する。図2は、本実施形態に係るガラス板10を例示する正面図である。また、図3は、本実施形態に係るガラス板10を例示する側面図である。
本実施形態に係るガラス板10は、自動車用の窓ガラスとして利用される。図1及び図2に例示されるように、このガラス板10は、上辺部11、下辺部12、及び上辺部11並びに下辺部12の両端部をそれぞれ連結する一対の側辺部(13、14)で形成される周縁部15を有し、取り付けられる窓枠2に応じた形状に構成される。
具体的には、上記窓枠2と同様に、ガラス板10は、上枠部21に対応するように湾曲した上辺部11と、この上辺部11から下方向に離間した下辺部12と、を有している。また、ガラス板10は、上辺部11の右側の端部と下辺部12の右側の端部とを連結するように上下方向に延び、右側枠部23に対応した形状に形成される右側辺部13を有している。同様に、ガラス板10は、上辺部11の左側の端部と下辺部12の左側の端部とを連結するように上下方向に延び、左側枠部24に対応した形状に形成される左側辺部14を有している。窓枠2と同様に、左側辺部14は、右側辺部13よりも短く形成されている。これによって、ガラス板10は窓枠2の開口部25を塞ぐことができる。
ここで、下辺部12から上方向に所定の領域は、ガラス板10を閉め切り位置H2に移動させた状態であっても、ドア本体1の内部空間に収納される領域となる。そのため、図2に例示されるように、下辺部12は、下枠部22の形状に対応していなくてもよい。本実施形態では、図2に例示されるように、下辺部12では、複数の箇所で折れ曲がっており、右側辺部13付近及び左側辺部14付近それぞれで下方向に向けて凸状に突出する部分が形成されている。そして、後述する昇降装置3のガラス側チャンネル34はこの部分に取り付けられる。
また、図3に例示されるように、ガラス板10は、車内側の第1面17と車外側の第2面18とを有しており、第1面17側が凹となり、第2面18側が凸となるように、面直方向に湾曲した形状に形成されている。本実施形態では、ガラス板10の各側辺部(13、14)断面における曲率が一定になっており、各側辺部(13、14)断面における曲率の誤差範囲は±150mm以内に抑えられている。
本実施形態では、このような形状のガラス板10における車内側の第1面17には、所定の機能を与えるための機能液が塗布されて、機能性被膜16が積層されている。なお、ガラス板10の第1面17に機能液を塗布して機能性被膜16を形成する方法については後述で詳細に説明する。
機能液は、ガラス板10に機能を与えるための機能性材料の添加された液体である。例えば、ガラス板10に紫外線をカットする機能を与えるための紫外線カットコーティング液を機能液として用いるのが好ましい。また、その他に、赤外線(IR)カットコーティング液、防曇コーティング液、撥水コーティング液、防汚コーティング液、低反射コーティング液、電磁遮蔽コーティング液、着色コーティング液を機能液として用いることができる。機能液の組成は、実施の形態に応じて適宜設定することができる。以下の表1及び表2は、紫外線カットコーティング液の組成の一例を示す。
なお、混合溶媒AP−7は、エタノール85.5wt%、n-プロパノール8.6wt%、i-プロパノール4.8wt%の混合液である。GPTMSは、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。TEOSは、テトラエトキシシランである。また、「紫外線吸収剤TINUVIN360」は、紫外線吸収剤TINUVINを3.6wt%の濃度で水に分散させた液である。
このような機能液をガラス板10の第1面17に塗布することで、この第1面17には機能性被膜16が形成される。この機能性被膜16の種類は、塗布した機能液によって定まる。例えば、紫外線カットコーティング液を機能液として使用した場合には、機能性被膜16は、紫外線をカットする機能を有する被膜となる。
ここで、図2に例示されるように、この機能性被膜16は、ガラス板10の各側辺部(13、14)から面方向内側に離間して設けられる。具体的には、機能性被膜16は、第1面17上において、上縁ラインL1、右側縁ラインL2及び左側縁ラインL3を有している。
この上縁ラインL1、右側縁ラインL2及び左側縁ラインL3は、機能液が塗布された領域(機能性被膜16の形成された領域)と機能液が塗布されていない領域(機能性被膜16の形成されていない領域)との境界を示す。すなわち、ガラス板10の上辺部11と上縁ラインL1との間、右側辺部13と右側縁ラインL2との間、及び、左側辺部14と左側縁ラインL3との間には、機能液の塗布されない領域が形成される。これによって、機能性被膜16は、ガラス板10を開放位置H1と閉め切り位置H2との間で昇降させる際にガラス板10の上辺部11及び両側辺部(13、14)それぞれにおけるガラスラン6に接触する領域のうちの少なくとも一部分に形成されないように構成することができる。
なお、このガラス板10は、種々のガラスで形成されてもよく、例えば、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラスやグリーンガラス、またはUVグリーンガラスで形成されてもよい。但し、ガラス板10は、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現するように構成される。このようなガラス板10の一例として、以下に、クリアガラスの組成の一例と、熱線吸収ガラス組成の一例を示す。
(クリアガラス)
SiO2:70〜73質量%
Al23:0.6〜2.4質量%
CaO:7〜12質量%
MgO:1.0〜4.5質量%
2O:13〜15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe23に換算した全酸化鉄(T−Fe2O3):0.08〜0.14質量%
(熱線吸収ガラス)
熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe23に換算した全酸化鉄(T−Fe23)の比率を0.4〜1.3質量%とし、CeO2の比率を0〜2質量%とし、TiO2の比率を0〜0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO2やAl23)をT−Fe23、CeO2およびTiO2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
また、ガラス板10の種類は、クリアガラス、熱線吸収ガラス等に限られず、実施の形態に応じて適宜選択可能である。例えば、ガラス板10は、アクリル系、ポリカーボネート系等の樹脂窓であってもよい。
更に、ガラス板10の厚みは、特には限定されなくてもよい。ただし、軽量化の観点からは、ガラス板10の厚みは、2.2〜5.1mmの範囲で設定されてもよく、2.4〜3.8mmの範囲で設定されてもよく、2.7〜3.2mmの範囲で設定されてもよい。更に、ガラス板10の厚みは3.1mm以下となるように設定されてもよい。
<ガラスラン>
次に、図4を更に用いて、本実施形態に係るガラス板10が取り付ける窓枠2に装着されるガラスラン6について説明する。図4は、本実施形態に係るガラスラン6の一部分(上側部分61)を例示する断面図である。ガラスラン6は、窓枠2とガラス板10との隙間を埋める部材であり、公知のガラスランを利用することができる。このガラスラン6は、例えば、ウェザーストリップ、ガラスランチャンネル、ガスケット、モール、モールディング、シールゴム、遮蔽部材等と称されてもよい。
本実施形態では、ガラスラン6は、上側部分61、下側部分62、右側部分63及び左側部分64を有している。ガラスラン6の各部分61〜64は一体に形成されていてもよいし、別々に形成されていてもよい。例えば、図4に例示されるように、窓枠2の上枠部21は断面コの字型に形成されており、この上枠部21の溝にガラスラン6の上側部分61が装着される。
ガラスラン6の上側部分61は、断面コの字型に形成され、下方向に開口した矩形状の溝部613を形成する基部610と、基部610の車外側の端部から車内側に延びる第1リップ部611と、基部610の車内側の端部から車外側に延びる第2リップ部612と、を有している。第1リップ部611及び第2リップ部612は弾性変形可能に構成されており、ガラス板10が閉め切り位置H2に配置された場合には、ガラス板10の上辺部11は、第1リップ部611及び第2リップ部612を弾性変形させて、ガラスラン6の溝部613に侵入する。
これによって、第1リップ部611は車外側の第2面18と当接し、第2リップ部612は車内側の第1面17に当接する。そのため、図4に示される状態でガラス板10を昇降させると、ガラス板10はガラスラン6に摺動し、すなわち、ガラス板10の第1面17は第2リップ部612と擦れ合い、第2面18が第1リップ部611と擦れ合う。したがって、ガラス板10の各面(17、18)の各リップ部(611、612)と擦れ合う部分に上記機能性被膜16が形成される場合には、各リップ部(611、612)との摩擦によって、その部分に形成された機能性被膜16の表面に傷が付く可能性がある。
ここで、第1リップ部611及び第2リップ部612は、溝部613両側から溝部613の内側の方に傾斜するように延びており、ガラスラン6の端部614よりも溝部613の内側の位置でガラス板10の各面(17、18)と接触する。そのため、ガラスラン6の溝部613に侵入するガラス板10の領域のうち、各リップ部(611、612)がガラス板10の各面(17、18)に接触する位置とガラスラン6の端部614の位置との間の範囲(図中の「遮蔽範囲」)は、ガラスラン6に視野は妨げられるが、ガラスラン6の各リップ部(611、612)に接触しない。そこで、本実施形態に係る機能性被膜16は、当該機能性被膜16の端部がこの遮蔽範囲内に位置するように形成される。これによって、ガラス板10を閉め切り位置H2に配置した際に、ガラス板10の露出する領域に機能性被膜16の及ばない範囲が生じるのを防止することができる。また、機能性被膜16の端部が外観上に露出しないようにすることで、機能性被膜16の切れ目がガラス板10の外観に現れないようにし、ガラス板10の見栄えを良くすることができる。
なお、ガラスラン6の下側部分62、右側部分63及び左側部分64はそれぞれ、上側部分61と同様に形成される。ガラスラン6の上側部分61は、窓枠2の上枠部21に装着され、ガラス板10の上辺部11から下方向の一領域を挟持する。これと同様に、ガラスラン6の下側部分62は、窓枠2の下枠部22に装着される。ただし、下側部分62は、ガラス板10がドア本体1の内部空間に収納できるように、車外側及び車内側に分離されており、ガラス板10がドア本体1の内部空間に移動するのを妨げないように構成される。その他、ガラスラン6の右側部分63は、窓枠2の右側枠部23に装着され、ガラス板10の右側辺部13から左方向の一領域を挟持する。また、ガラスラン6の左側部分64は、窓枠2の左側枠部24に装着され、ガラス板10の左側辺部14から右方向の一領域を挟持する。
より詳細には、右側部分63及び左側部分64においても同様に、ガラスラン6は、ガラス板10の各側辺部(13、14)の侵入する溝部を形成する基部と、溝部両側から溝部内側の方に傾斜するように延びる一対のリップ部と、を備える。そして、機能性被膜16は、各側辺部(13、14)における機能性被膜の端部が上記遮蔽範囲内に位置するように形成される。
ガラス板10の上辺部11は、ガラス板10を閉め切り位置H2から下方に移動させた場合には、ガラスラン6の一対のリップ部(611、612)から開放され、ドア本体1の外観上に露出しうる。そのため、上辺部11における機能性被膜16の端部をガラスラン6の遮蔽範囲内に位置するように機能性被膜16を形成しても、上辺部11における機能性被膜16の端部は、ガラス板10の位置によっては外観上に露出してしまう。
一方、ガラス板10は左右方向には固定されており、ガラス板10の各側辺部(13、14)は、ドア本体1の内部空間に収納されるか、又はガラスラン6の溝部に侵入しているため、ドア本体1の外観上に露出しない。そのため、各側辺部(13、14)における機能性被膜16の端部をガラスラン6の遮蔽範囲内に位置するように構成することで、ガラス板10の位置に依らず、各側辺部(13、14)における機能性被膜16の端部を外観上に露出しないようにすることができる。すなわち、ガラスラン6の外部に露出するガラス板10の外観を、両側辺部(13、14)に到達するように機能性被膜16を形成した場合と同様にすることができる。これによって、機能性被膜16の成形条件が複雑になるため、ガラス板10の製造コストが高くなる可能性があるが、外観上の見栄えの変化を伴わずに、各側辺部(13、14)における異音及び振動の発生を抑えることができる。
また、以上のような構成により、ガラスラン6は、窓枠2とガラス板10との隙間を埋め、雨等の侵入及び車内外の騒音の出入りを防止することができる。なお、このようなガラスラン6の素材は実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、ガラスラン6は、ゴム材等の比較的に破壊しやすい素材で作製されてもよい。
<パワーウインドウ装置>
次に、図5を更に用いて、本実施形態に係る自動車が備えるパワーウインドウ装置200について説明する。図5は、本実施形態に係るパワーウインドウ装置200の構成を例示する。図5に例示されるように、パワーウインドウ装置200は、開放位置H1と閉め切り位置H2との間でガラス板10を昇降させるための昇降装置3、昇降装置3を制御する制御部4、ガラス板10の昇降操作を行うための操作スイッチ50、及び、制御部4に電力を供給するバッテリ51を備えている。
本実施形態に係る昇降装置3は、ドア本体1の内部空間に収納されるXアーム式のレギュレータである。図1に例示されるように、昇降装置3は、ドア本体1に固定されるモータ30、モータ30によって駆動される扇形状のギア311を有する昇降アーム31、及び、昇降アーム31と交差して、その交差する点で回動可能に互いに連結され、昇降アーム31の動作に従動する従動アーム32を備えている。
ガラス板10の下辺部12付近にはガラス側チャンネル34が取り付けられており、このガラス側チャンネル34には、昇降アーム31及び従動アーム32の上方側の端部それぞれが左右方向に所定範囲だけ移動可能に連結している。また、従動アーム32の下方側の端部は左右方向に所定範囲だけ移動可能に固定チャンネル33に連結しており、この固定チャンネル33はドア本体1に固定されている。そのため、モータ30を回転させると、昇降アーム31と従動アーム32とを駆動し、各チャンネル(33、34)の移動可能は範囲において、ガラス側チャンネル34に取り付けられたガラス板10を上下方向に移動させることができる。
昇降装置3のモータ30は、図5に例示されるように、制御部4から電力供給を受けることで、回転子を正逆いずれの方向にも回転可能に構成されている。制御部4は、モータ30を正逆いずれかの方向に駆動する駆動装置40と、操作スイッチ50の操作に応じて駆動装置40によるモータ30の駆動を制御するコントローラ41と、を備えている。この制御部4には、バッテリ51から電力が供給される。
コントローラ41は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(read only memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えるマイクロコンピュータで構成されてもよい。このコントローラ41は、通常時には、操作スイッチ50の操作に応じて駆動装置40によりモータ30を駆動し、ガラス板10を昇降させる。なお、操作スイッチ50は、例えば、2段階操作が可能な揺動型スイッチ等で構成される。
ここで、本実施形態では、モータ30には回転検出装置35が設けられている。回転検出装置35は、例えば、モータ30の回転と同期したパルス信号を制御部4に出力するパルスセンサである。ガラス板10を上昇させている際に、例えば、ガラス板10の上辺部11と窓枠2の上枠部21との間に異物が挟み込まれる等、ガラス板10に反対方向(下方向)の負荷がかかった場合には、ガラス板10の上昇速度が低下し、モータ30の回転が遅くなる。
そこで、制御部4のコントローラ41は、操作スイッチ50の操作に応じてガラス板10を上昇させている際に、回転検出装置35からのフィードバックによって、このようなモータ30の回転の低下を検知することで、ガラス板10と窓枠2との間に異物が挟み込まれたか否かを判定する。そして、異物が挟み込まれたと判定した場合には、コントローラ41は、駆動装置40によるモータ30の回転方向を一時的に反対にし、ガラス板10を降下させて、挟み込まれた異物を取り出せるようにする。なお、異物が挟みこまれていないと判定した場合には、コントローラ41は、ガラス板10が閉め切り位置H2に到達するまで、ガラス板10を上昇させる。
本実施形態では、パワーウインドウ装置200は、このようにして、ガラス板10に係る負荷に基づいてガラス板10と窓枠2との間に異物が挟み込まれるのを防止するように構成される。ただし、ガラス板10に係る負荷に基づいて異物の挟み込みを防止する方法は、このような方法に限られる訳ではなく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。パワーウインドウ装置200は、ガラス板10に係る負荷に基づいて異物の挟み込みを防止する機能を有していれば、公知のパワーウインドウ装置であってよい。
<塗布システム>
次に、図6を用いて、ガラス板10に機能液を塗布する塗布システム100について説明する。図6は、本実施形態に係る塗布システム100を例示する。
本実施形態に係る塗布システム100は、上記ガラス板10の第1面17に機能液を塗布することで機能性被膜16の積層したガラス板10を製造するシステムである。図6に例示されるように、塗布システム100は、ガラス板10を保持しながら移動させるロボットアーム7と、機能液を射出する射出部8と、を備える。
射出部8は、ガラス板10の方向を向くノズル82と、このノズル82を支持する基部81と、この基部81内に機能液を導入する連結部83と、を有している。そして、連結部83には機能液を供給するチューブ部材84が連結されている。チューブ部材84は、機能液を送り出すポンプ(不図示)等から配送される機能液を射出部8に供給する。そして、基部81を介してノズル82と連結部83とは貫通しており、チューブ部材84により供給される機能液は、連結部83を介して、ノズル82から射出される。
なお、チューブ部材84は、例えば、塩化ビニル、フッ素樹脂、ゴム等の軟質の素材で構成される。この場合、例えば、チューブ部材84内が汚れたとき等に、当該チューブ部材84を交換することが容易である。また、チューブ部材84のコストを抑えることができ、チューブ部材84を配設する自由度を高めることができる。ただし、チューブ部材84の素材は、軟質の素材に限定されなくてもよく、例えば、金属、樹脂等の硬質の素材で構成されてもよい。
図6に例示されるように、この射出部8は固定部材9で固定されている。固定部材9は、例えば、矩形状の第1板部材92及び第2板部材93で構成されており、逆L字状になっている。第1板部材92は垂直方向に延びる支柱となっており、その上端部に、水平方向に延びる第2板部材93の片方の端部が連結している。そして、射出部8は、第2板部材93の先端部付近に取り付けられている。
なお、第1板部材92と第2板部材93とが交差する付近には係止部91が設けられている。この係止部91にはチューブ部材84を係止させることができる。これにより、固定部材9の支柱としての第1板部材92にチューブ部材84の重みの一部を支えさせることができるため、機能液の搬送時におけるチューブ部材84の振動を低減することができる。
ロボットアーム7は、先端部分に、ガラス板10を吸着することのできる吸盤71を有している。そのため、ロボットアーム7は、この吸盤71によりガラス板10を保持し、固定された射出部8に対してこのガラス板10を移動させることができる。これによって、ノズル82から射出される機能液をガラス板10の第1面17の所定領域に塗布することができる。
なお、これらの構成要素は、例えば、制御部(不図示)によって、制御される。制御部は、例えば、1又は複数のプロセッサと、このプロセッサの処理に利用される周辺回路(ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、インタフェース回路等)を備え、ROM等の周辺回路に記憶されたプログラムに従い動作する。本実施形態では、このような塗布システム100を用いることで、ガラス板10の第1面17に機能液を塗布することができる。
§2 製造方法
続いて、図7〜図10を用いて、上記塗布システム100によりガラス板10に機能液を塗布することで、機能性被膜16の積層されたガラス板10を製造する工程を説明する。図7は、本実施形態に係る塗布システム100による機能液の塗布工程を例示する。図8は、ガラス板10の第1面17上において、右側辺部13に沿って機能液を塗布する際のガラス板10の移動方向を例示する。図9は、ガラス板10を上から見た図であり、ガラス板10の第1面17上において、上辺部11に沿って機能液を塗布する際のガラス板10の移動方向を例示する。図10は、ガラス板10の第1面17上において、左側辺部14に沿って機能液を塗布する際のガラス板10の移動方向を例示する。
(前処理)
まず、機能液を塗布する対象となるガラス板10は立てられた状態で載置されており、機能液の塗布を開始する塗布開始領域Raがガラス板10の第1面17上で規定されているとする。この場合、塗布システム100は、機能液をガラス板10に塗布する前に、立てられた状態で載置されているガラス板10をロボットアーム7の吸盤71を用いて保持する。
ここで、本実施形態に係るロボットアーム7は、ロボットアーム7の吸盤71が吸着する部分を基準として、車外側の第2面18が鉛直方向から角度d傾いた状態で、ガラス板10を保持する。図8に示されるとおり、右回りの角度を正、左回りの角度を負とすると、本実施形態に係るロボットアーム7がガラス板10を保持する角度dは、例えば、−30度〜+30度の間で設定される。すなわち、本実施形態に係るロボットアーム7は、ガラス板10の第2面18と鉛直方向とのなす角度が30度以内となるように、ガラス板10を保持する。このガラス板10の保持状態を「鉛直方向に立てられた状態」と称してもよい。換言すると、ガラス板10が鉛直方向に立てられた状態には、ガラス板10と垂直方向とのなす角度が0度である状態の他、ガラス板10が鉛直方向に対して若干傾いた状態が含まれてもよい。
次に、塗布システム100は、ロボットアーム7を制御して、射出部8のノズル82から機能液を噴射させた場合に、塗布開始領域Raに機能液が当たる(射出される)位置までガラス板10を移動させる。塗布開始領域Raに機能液が射出される位置までガラス板10を移動させると、塗布システム100は、次に説明するステップS101〜S103の順で、機能液を噴射する。これにより、本実施形態では、ガラス板10に当たらない余分な機能液の噴射を抑えることができるため、効率よく機能液をガラス板10に塗布することが可能になる。
(ステップS101)
ステップS101では、図7及び図8に例示されるように、塗布システム100は、ガラス板10の第1面17上において、右側辺部13に沿って機能液を塗布する。具体的には、塗布システム100は、射出部8に機能液を供給して、射出部8のノズルから機能液を噴射させる。続いて、ノズル82から塗布開始領域Raへ機能液を噴射した後、ロボットアーム7を制御して、ガラス板10を下方向(図8の矢印U)に移動させる。そして、機能液の塗布位置が領域Rbに到達すると、塗布システム100は、次のステップS102に処理を進める。なお、矢印Gは、ノズル82から噴射される機能液の軌跡を示している。
ガラス板10を下方向に移動させると、第1面17上において、ノズル82から噴射される機能液の塗布位置が上方向に移動する。つまり、塗布システム100は、このようにガラス板10を下方向に移動させることで、ガラス板10の第1面上において、右側辺部13に沿って機能液を塗布することができる。
ここで、本ステップS101では、塗布システム100は、ノズル82から噴射される機能液が右側辺部13に到達しない程度に面方向内側に機能液を射出し、右側辺部13から面方向内側(図2の左方向)の一領域に機能性被膜16が形成されないようにする。これによって、機能性被膜16の右側縁ラインL2が、ガラス板10の右側辺部13から面方向内側に現れる。すなわち、ガラス板10を開放位置H1と閉め切り位置H2との間で昇降させる際にガラス板10の右側辺部13がガラスラン6の右側部分63に接触する領域のうちの少なくとも一部分に機能性被膜16が形成されないように、ガラス板10の右側辺部13から面方向内側に離間して機能性被膜16を設けることができる。好ましくは、ガラス板10を開放位置H1と閉め切り位置H2との間で昇降させる際にガラスラン6と接触する領域に機能性被膜16が形成されない程度に、ガラス板10の右側辺部13から面方向内側に離間させて機能性被膜16を形成する。
(ステップS102)
次のステップS102では、図7及び図9で例示されるように、塗布システム100は、ガラス板10の第1面17上において、上縁ラインL1を形成しつつ、上辺部11に沿って機能液を塗布する。具体的には、塗布システム100は、チューブ部材84を介して供給される機能液をノズル82から噴射する状態を上記ステップS101から維持しつつ、ロボットアーム7を制御して、ガラス板10を右方向(図9の矢印V)に移動させる。そして、機能液の塗布位置が領域Rbから領域Rcに到達すると、塗布システム100は、次のステップS103に処理を進める。
ここで、本ステップS102では、塗布システム100は、ガラス板10を閉め切り位置H2に上昇させた際にガラスラン6の上側部分61に接触する領域に応じて、上辺部11からやや隙間をあけて、機能液を塗布する。そのため、第1面17上において、機能液が射出された領域に沿うように機能性被膜16の上縁ラインL1が形成される。
また、本ステップS102において上縁ラインL1付近に射出された機能液は下方に流れ落ち、これによって、第1面17上において、上縁ラインL1より下方に機能液が塗布される。すなわち、本実施形態では、いわゆるフローコート法によって、上縁ラインL1(塗布ライン)から下方の部分に機能液が塗布される。そのため、本ステップS102では、機能液を直接射出しない部分にも機能液を行き巡らせることができ、ガラス板10に機能液を塗布するのに用いる機能液の量を低減することができる。
(ステップS103)
次のステップS103では、図7及び図10で例示されるように、塗布システム100は、ガラス板10の第1面17上において、左側辺部14に沿って機能液を塗布する。具体的には、塗布システム100は、機能液をノズル82から噴射する状態をステップS102から維持しつつ、ロボットアーム7を制御して、ノズル82が機能液を射出する方向において、ノズル82に対してガラス板10を離間(図10の矢印Wの方向)させるように移動させる。
ガラス板10をノズル82から離間させる方向に移動させると、ノズル82とガラス板10との間の距離が拡がるため、図10の機能液の軌跡(矢印G)により示されるように、機能液が当たる塗布位置が第1面17上において下方に移動する。すなわち、塗布システム100は、ガラス板10を上方に移動させることなく、ガラス板10の第1面17上において、機能液を射出する位置を下方向に移動させることができる。
ここで、本ステップS103では、塗布システム100は、ノズル82から噴射される機能液が左側辺部14に到達しない程度の面方向内側に機能液を射出し、左側辺部14から面方向内側(図2の右方向)の一領域に機能性被膜16が形成されないようにする。これによって、機能性被膜16の左側縁ラインL3が、ガラス板10の左側辺部14から面方向内側に現れる。すなわち、ガラス板10を開放位置H1と閉め切り位置H2との間で昇降させる際にガラス板10の左側辺部14がガラスラン6の左側部分64に接触する領域のうちの少なくとも一部分に機能性被膜16が形成されないように、ガラス板10の左側辺部14から面方向内側に離間して機能性被膜16を設けることができる。好ましくは、ガラス板10を開放位置H1と閉め切り位置H2との間で昇降させる際にガラスラン6と接触する領域に機能性被膜16が形成されない程度に、ガラス板10の左側辺部14から面方向内側に離間させて機能性被膜16を形成する。
なお、ガラス板10を上方に移動させることなく、ガラス板10をノズル82から離間させる方向に移動させて、左側辺部14に沿って機能液を塗布することにより次のような効果を得ることができる。すなわち、ガラス板10をノズル82から離間させる方向に移動させると、ノズル82とガラス板10との間の距離が拡がり、ガラス板10の第1面17に当たる直前の機能液の勢いは弱まる。そのため、機能液が左側辺部14まで塗布されたり、第2面18に回り込んだりすることを抑制することができる。
機能液の塗布位置が領域Rcから領域Rdに到達すると、本実施形態におけるガラス板10に対する機能液の塗布は終了であり、塗布システム100は、射出部8からの機能液の射出を停止する。そして、塗布システム100は、ロボットアーム7を制御して、ガラス板10を所定の場所に載置し、本製造工程に係る処理を終了する。この後、塗布システム100は、再度動作を繰り返し、次のガラス板10に対して機能液を塗布してもよい。
なお、上記ステップS101〜S103において、チューブ部材84を介して射出する機能液を射出部8に供給する工程が本発明の「第1工程」に相当する。また、上記ステップS101〜S103において、射出部8から機能液を射出し、第1面17にこの機能液を塗布する工程が本発明の「第2工程」に相当する。
<特徴>
本実施形態に係るガラス板10では、機能性被膜16は、各側辺部(13、14)から面方向内側に離間して設けられる。これによって、このガラス板10を昇降可能な窓ガラスとして車体の窓枠2に取り付けた場合に、ガラス板10を昇降させる過程で窓枠2に装着されたガラスラン6と接触する領域のうちの少なくとも一部には機能性被膜16が形成されないようにすることができる。すなわち、右側縁ラインL2と右側辺部13との間、及び、左側縁ラインL3と左側辺部14との間で、機能液が塗布されない領域を設けることができる。
そのため、本実施形態によれば、ガラス板10を昇降させる過程において、機能性被膜16のガラスラン6に接触する領域を小さくすることができる。すなわち、ガラス板10の昇降操作(窓ガラスの開閉操作)を繰り返すことで、ガラス板10の各側辺部(13、14)において機能性被膜16に傷が付く領域を狭くすることができるため、ガラス板10の各側辺部(13、14)とガラスラン6との間の摩擦係数が大きくなるのを抑制することができる。これによって、ガラス板10を昇降させる際に、機能性被膜16の表面が粗くなったガラス板10の各側辺部(13、14)とガラスラン6とが擦れることでビビリ音等の異音が発生するのを防止することができる。また、ガラス板10の各側辺部(13、14)における摩擦力が大きくなることによりガラスラン6が劣化しやすくなるのを防止することができる。
また、本実施形態では、ガラス板10は面直方向に湾曲している。この場合、ガラス板10の各面(17、18)はガラスラン6に片当たりしやすくなる。例えば、本実施形態では、第1面17が凹となり、第2面18が凸となるように、ガラス板10は湾曲している。そのため、ガラス板10の第1面17はガラスラン6の第2リップ部612に片当たりしやすくなる。
そうすると、ガラス板10を昇降する際に、ガラス板10の第1面17がガラスラン6(特に、第2リップ部612)に接触する力が強くなってしまう。そのため、ガラス板10が面直方向に湾曲している場合には、ガラスラン6と接触する領域に形成される機能性被膜16は劣化しやすくなる。したがって、本実施形態のように、ガラス板10が面直方向に湾曲している場合には、ガラス板10の各側辺部(13、14)から機能性被膜16を離間させることで、各側辺部(13、14)とガラスラン6との間の摩擦係数が大きくなるのを抑制する効果がより大きく期待できる。
また、本実施形態では、機能液により形成される機能性被膜16のビッカース硬さを1100Hvにすることができる。自動車の走行中等に、ガラスランには砂が侵入する場合がある。砂は、角閃石、長石、石英等を含んでおり、これらの成分のうちで石英が最も硬い。そのため、機能性被膜16のビッカース硬さが1100Hvである場合には、ビッカース硬さが1100Hv程度である石英を含む砂に接触することで、機能性被膜16の表面に傷が付きやすい。すなわち、ガラス板10の第1面17のガラスラン6と接触する領域に機能性被膜16を形成すると、ガラスラン6に砂が侵入した際に、この領域に形成される機能性被膜16に傷が付きやすくなってしまう。したがって、機能性被膜16のビッカース硬さが1100Hvである場合には、ガラス板10の各側辺部(13、14)から機能性被膜16を離間させることで、各側辺部(13、14)とガラスラン6との間の摩擦係数が大きくなるのを抑制する効果がより大きく期待できる。なお、ビッカース硬さは公知の方法で測定可能である。
§3 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
(ガラス板)
例えば、ガラス板10の上記具体的な構成に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略、変更、置換、及び追加が行われてもよい。例えば、上記ガラス板10は、前方側に湾曲した形状を有しているが、平らな形状であってもよい。また、上記ガラス板10は、自動車の前部又は後部のドアの窓に取り付けられる窓ガラスとして利用されるが、その他の車両の窓ガラスとして利用されるガラス板であってもよい。更に、上記実施形態では、車内側の第1面17に機能性被膜16を積層した。しかしながら、機能性被膜16を積層する面は第1面17に限られる訳ではなく、ガラス板10の少なくとも一方の面に機能性被膜16が積層されればよい。すなわち、第1面17に機能性被膜16を積層せず、又は、第1面17に機能性被膜16を積層した上で、車外側の第2面18に機能性被膜16を積層してもよい。
また、上記実施形態では、ガラス板10の各側辺部(13、14)断面における曲率が一定になっており、各側辺部(13、14)断面における曲率の誤差範囲は±150mm以内に抑えられている。しかしながら、ガラス板10の各側辺部(13、14)断面における曲率は一定でなくてもよく、各側辺部(13、14)断面における曲率は150mmを超えて変動してもよい。ガラス板10の各側辺部(13、14)断面における曲率が一定ではない場合には、各側辺部(13、14)における部分的な凹凸形状の変化が激しくなるため、ガラス板10の面がガラスラン6に一層片当たりしやすくなる。そのため、このような各側辺部(13、14)断面における曲率が一定ではないガラス板10では、ガラス板10の各側辺部(13、14)においてガラスラン6に接触する領域に機能性被膜16を形成しないようにすることで、ガラス板10の各側辺部(13、14)とガラスラン6との間の摩擦係数が大きくなるのを抑制する効果がより大きく期待できる。
(塗布システムの構成)
また、例えば、塗布システム100の上記具体的な構成に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略、変更、置換、及び追加が行われてもよい。例えば、塗布システム100は、機能液を塗布している間に、既に塗布した機能液を乾燥させるため、ガラス板10に送風を行う1又は複数のファンで構成される送風ユニットを備えてもよい。また、ガラス板10を保持し移動させる手段として、ロボットアーム7以外の手段が用いられてもよい。更に、射出部8及びロボットアーム7は、1つの制御部によって制御されてもよいし、別々の制御部によって制御されてもよい。
(固定部材)
また、例えば、上記塗布システム100では、逆L字状の固定部材9によって射出部8が固定されている。しかしながら、固定部材9の構成及び形状は、上記構成及び上記形状に限定されなくてもよく、射出部8及びチューブ部材84が固定される限り、その他の構成及び形状であってもよい。射出部8を固定する方法は、実施の形態に応じて、適宜、選択されてよい。
(風乾工程)
また、例えば、上記塗布システム100は、ガラス板10への機能液の塗布が終了した後に、機能液を塗布した領域全体を乾燥させる風乾工程を行うための送風ユニットを更に備えてもよい。例えば、塗布システム100は、ガラス板10の全域に送風することのできる送風ユニットによって風乾工程を行ってもよい。
(ガラス板の移動方向)
また、上記各ステップS101〜S103において、ガラス板10を移動させる方向は実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。例えば、ステップS101において、塗布システム100は、ガラス板10を射出部8に近接するように移動させてもよい。これにより、ノズル82とガラス板10との距離が短くなるため、ノズル82から射出される機能液が当たる塗布位置を第1面17上において上方向に移動させることができる。
(射出量の変動)
また、上記塗布システム100は、射出部8から機能液を射出する勢いを変更することで、ガラス板10の第1面17上において機能液を射出する位置を上下方向に移動させてもよい。例えば、塗布システム100は、射出部8から機能液を射出する勢いを弱めることで、第1面17上の機能液の塗布位置を下方向に移動させてもよい。また、塗布システム100は、射出部8から機能液を射出する勢いを強めることで、第1面17上の機能液の塗布位置を上方向に移動させてもよい。これによって、射出部8及びガラス板10を共に移動させなくても、機能液を射出する位置を上下方向に変更することができる。
(ガラス板の保持角度)
また、上記塗布システム100のロボットアーム7がガラス板10を保持する角度dは、上記のような角度でなくてもよく、例えば、垂直であってもよい。このようにすると、ガラス板10は、鉛直方向に立てられた状態で機能液を塗布される。そのため、ガラス板10の第1面17上に射出された機能液は流れ落ちやすくなるため、上記のようなフローコート法において、機能液の塗布にかかる時間を短くすることが可能になる。なお、上記実施形態では、ロボットアーム7の吸盤71が吸着する部分に基づいてガラス板10の角度を説明した。その他の基準に基づいて、ガラス板10の角度dが説明されてもよい。
(ガラス板の向き)
また、上記塗布システム100は、上記各ステップS101〜S103において、上辺部11が鉛直上向きの状態でガラス板10を保持している。しかしながら、ガラス板10を保持する向きはこのような例に限られず、塗布システム100は、上辺部11が鉛直下向きになるようにガラス板10を保持してもよい。
図11は、ガラス板10の上辺部11を鉛直下向きに向けて機能液を塗布する工程を例示する。図11で例示されるステップS200は、上記ステップS102とほぼ同様である。ステップS200では、塗布システム100は、塗布ラインLaを形成するように機能液を塗布する。塗布ラインLaは、ガラス板10の第1面17上において、機能液が射出された領域に沿うように形成される。そして、塗布ラインLaに射出された機能液は、矢印Jに沿って流れ落ちることで、ガラス板10の上辺部11まで塗布されていく。ここで、塗布システム100は、各側辺部(13、14)まで機能性被膜16が形成されないように、機能液を塗布する量、塗布ラインLaの長さ等を制御する。すなわち、塗布システム100は、各側辺部(13、14)から面方向内側に各側縁ライン(Lb、Lc)が形成されるように、ガラス板10の第1面17に機能液を塗布する。
(ガラス板の移動)
また、上記実施形態では、射出部8を固定し、ガラス板10を移動させることで、ガラス板10の第1面17に機能性被膜16を積層した。しかしながら、ガラス板10は射出部8に対して相対的に移動すればよく、塗布システム100は、射出部8及びガラス板10を共に移動させてもよいし、ガラス板10を固定して、射出部8を移動させてもよい。
なお、上記実施形態のように射出部8を固定し、ガラス板10を移動させた場合には、次のような効果を得ることができる。すなわち、射出部8を移動させて機能液をガラス板10に塗布したとすると、配送する機能液の分だけ重くなったチューブ部材84が射出部8の移動に伴って振動してしまう。これによって、このチューブ部材84の振動が射出部8に伝達することによって、機能液は、射出部8に伝達した振動に応じて波打った状態でノズル82からガラス板10に向けて噴射される。
そうすると、上記ステップS101及びS103において右側辺部13及び左側辺部14にまで機能液が塗布されてしまったり、第2面18側に機能液が回り込んでしまったり、各ライン(L1〜L3)の見栄えが悪くなったりする等の不具合が生じてしまう可能性がある。特に、上記実施形態では、チューブ部材84は、軟質の素材で構成され、振動しやすくなっているため、そのような不具合の生じる可能性が高くなっている。
これに対して、上記実施形態によれば、射出部8を移動させずに固定する。そのため、チューブ部材84で発生する振動を抑えて、機能液を塗布する際に生じる機能液のうねりを抑制することができ、これによって、上記のような不具合が生じるのを防止することができる。
(機能性被膜の形成方法)
また、上記実施形態に係る塗布システム100は、ステップS101及びS103において、ガラス板10の各側辺部(13、14)に到達しないように機能液を射出している。これによって、上記実施形態では、機能性被膜16は、各側辺部(13、14)から面方向内側に離間して設けられる。しかしながら、各側辺部(13、14)から面方向内側に離間した機能性被膜16の形成する方法は、このような方法に限られず、実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。例えば、機能性被膜16を各側辺部(13、14)に到達するように形成し、各側辺部(13、14)から所定範囲の機能性被膜16をセリコ等のガラス研磨剤で研磨することによって削り取ることで、各側辺部(13、14)から面方向内側に離間した機能性被膜16の形成してもよい。
(機能性被膜の形成範囲)
また、上記実施形態に係る機能性被膜16は、ガラス板10の右側辺部13及び左側辺部14から離間して設けられる。しかしながら、機能性被膜16の形成範囲はこのような例に限られず、機能性被膜16は、右側辺部13及び左側辺部14のいずれかに到達するように設けられてもよい。すなわち、右側辺部13及び左側辺部14のいずれか一方において、機能液の塗布されない領域が形成されなくてもよい。また、機能性被膜16は、各側辺部(13、14)における機能性被膜16の端部がガラスラン6の外部に露出し、外観上に現れるように形成されてもよい。いずれかの側辺部(13、14)において機能性被膜16の形成されない領域が設けられるのであれば、機能性被膜16を形成する範囲は実施の形態に応じて適宜決定されてよい。
(その他)
また、窓枠2の形状は、実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。窓枠2は、車体に設けられればよく、ドア本体1以外の場所に配置されてもよい。また、ガラスラン6の形状及び構成は、実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。また、パワーウインドウ装置200の上記具体的な構成に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略、変更、置換、及び追加が行われてもよい。上記実施形態では、パワーウインドウ装置200のウインドウレギュレータ方式は、Xアーム式である。しかしながら、パワーウインドウ装置200のウインドウレギュレータ方式は、このような例に限定されなくてもよく、シングルアーム式、ワイヤー式、等であってもよい。
ガラス板10がガラスラン6に繰り返し摺動することにより、機能性被膜16の表面がどのように粗くなるかを調べるために、以下の5つの試料を用意した。
上記表1の組成の紫外線カットコーティング液を10cm×10cmのグリーンガラスの表面に塗布することで、紫外線をカットする機能を有する機能性被膜が積層されたグリーンガラスを得た。そして、この機能性被膜の積層されたグリーンガラスに公知のガラスランを9N/10cmの荷重で押し付け、移動速度25cm/秒でガラスランを上下運動させた。この上下運動の往復を5000回繰り返すという耐久試験を実施した後に、ガラスランと接触した領域で機能性被膜の残存する部分から試料A1を得た。また、この耐久試験の後、ガラスランと接触した領域でグリーンガラス表面から機能性被膜が剥がれた部分について、試料A2を得た。
また、機能液を塗布せず、機能性被膜の積層されていないグリーンガラスを用意することで、試料Bを得た。同様に、試料Cとして、上記表1の組成の紫外線カットコーティング液をグリーンガラスの表面に塗布することで、紫外線をカットする機能を有する機能性被膜が積層されたグリーンガラスを得た。更に、試料Dとして、上記表2の組成の紫外線カットコーティング液をグリーンガラスの表面に塗布することで、紫外線をカットする機能を有する機能性被膜が積層されたグリーンガラスを得た。なお、試料B〜Dでは、上記耐久試験は行わなかった。
1cm角に切断した各試料を試料台に乗せて、走査型プローブ顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製、型番:SPA−400)で各試料の表面形状を測定した。走査型プローブ顕微鏡の測定モードはダイナミックモードとし、型番:SI−DF40のカンチレバーを利用した。また、走査型プローブ顕微鏡の視野範囲を10μm×10μmとした。図12A〜図12Eそれぞれは各試料の表面形状の顕微鏡像を示す。また、図13は、各試料の表面形状の評価結果を示す。
図12A〜図12Eそれぞれにより示される各試料の表面形状の顕微鏡像及び図13により示される各試料の表面形状の評価結果では、上記の耐久試験を行っていない試料B〜Dの算術平均粗さ及び二乗平均平方根粗さの値は殆ど同じであった。すなわち、機能性被膜の有無及び機能液の種類によっては、ガラス板の表面粗さは殆ど変らないことが分かった。
一方で、上記の耐久試験を行った試料A1の表面粗さ(算術平均粗さ、二乗平均平方根粗さ、十点平均粗さ)は、耐久試験を行っていない試料Cの表面粗さに比べて顕著に大きくなった。したがって、機能性被膜をガラス板の各側辺部まで設けた場合には、ガラス板を繰り返し昇降することで、各側辺部のガラスランと接触する部分で機能性被膜の劣化が生じ、これによって、機能性被膜の表面の摩擦係数が高くなるのが分かった。
また、上記の耐久試験によって機能性被膜の剥がれた部分の試料A2と耐久試験を行っておらず、機能性被膜のない試料Bとを比べると、耐久試験後で表面粗さは粗くなっているものの、上記のような機能性被膜の存在する部分よりは表面粗さは変化していないことが分かった。つまり、機能性被膜の存在する部分(残存する部分)で特に表面粗さが大きく変化する(粗くなる)ことが分かった。
1…ドア本体、
10…ガラス板、11…上辺部、12…下辺部、13…右側辺部、14…左側辺部、
15…周縁部、16…機能性被膜、
17…第1面(車内側)、18…第2面(車外側)、
2…窓枠、21…上枠部、22…下枠部、23…右側枠部、24…左側枠部、
25…開口部、
200…パワーウインドウ装置、
3…昇降装置、30…モータ、
31…昇降アーム、311…ギア、32…従動アーム、
33…固定チャンネル、34…ガラス側チャンネル、35…回転検出装置、
4…制御部、40…駆動装置、41…コントローラ、
50…スイッチ、51…バッテリ、
6…ガラスラン、
61…上側部分、
610…基部、611…第リップ部、612…第2リップ部、613…溝部、
62…下側部分、63…右側部分、64…左側部分、
100…塗布システム、
7…ロボットアーム、71…吸盤、
8…射出部、81…基部、82…ノズル、83…連結部、84…チューブ部材、
9…固定部材、91…係止部、92…第1板部材、93…第2板部材、
H1…開放位置、H2…閉め切り位置、
L1…上縁ライン、L2…右側縁ライン、L3…左側縁ライン

Claims (6)

  1. 自動車の車内と車外とを連通する開口部を形成するために車体に設けられた窓枠であって、当該窓枠の内側にガラスランが装着された窓枠に昇降可能なように取り付けられるガラス板であって、
    上辺部、下辺部、及び前記上辺部並びに前記下辺部をそれぞれ連結する一対の側辺部で形成される周縁部と、
    所定の機能を与えるための機能液を前記ガラス板の少なくとも一方の面に塗布することで、当該ガラス板の少なくとも一方の面に積層された機能性被膜と、
    を有し、
    前記機能性被膜は、前記ガラス板を昇降させる際に前記ガラス板の少なくともいずれかの側辺部における前記ガラスランに接触する領域のうちの少なくとも一部分に前記機能性被膜が形成されないように、前記ガラス板の当該いずれかの側辺部から面方向内側に離間して設けられる、
    ガラス板。
  2. 前記ガラスランは、前記いずれかの側辺部が侵入する溝部を形成する基部と、前記基部の溝部両側から前記溝部内側の方に傾斜するように延び、前記ガラス板の面に接触する一対のリップ部と、を備え、
    前記機能性被膜は、前記いずれかの側辺部における前記機能性被膜の端部が、前記一対のリップ部それぞれが前記ガラス板の面に接触する位置と前記ガラスランの端部の位置との間に形成される遮蔽範囲内に位置するように、形成される、
    請求項1に記載のガラス板。
  3. 前記機能性被膜は、前記ガラス板を昇降させる際に前記ガラス板の両側辺部における前記ガラスランに接触する領域のうちの少なくとも一部分に前記機能性被膜が形成されないように、前記ガラス板の両側辺部から面方向内側に離間して設けられる、
    請求項1又は2に記載のガラス板。
  4. 前記ガラス板は面直方向に湾曲している、
    請求項1から3のいずれか1項に記載のガラス板。
  5. 前記機能液により形成される前記機能性被膜のビッカース硬さは1100Hv以下である、
    請求項1から4のいずれか1項に記載のガラス板。
  6. 上辺部、下辺部、及び前記上辺部並びに前記下辺部をそれぞれ連結する一対の側辺部で形成される周縁部を有するガラス板であって、所定の機能を与えるための機能液を当該ガラス板の少なくも一方の面に塗布することで、当該ガラス板の少なくとも一方の面に機能性被膜が積層されたガラス板の製造方法であって、
    前記ガラス板に向けて前記機能液を射出するノズルを有する射出部に前記機能液を供給する第1工程と、
    前記ノズルから射出される前記機能液が前記ガラス板の少なくとも一方の面に塗布されるように、前記射出部に対して前記ガラス板を相対的に移動させることで、前記ガラス板の少なくとも一方の面に前記機能性被膜を形成する第2工程と、を含み、
    前記ガラス板は、自動車の車内と車外とを連通する開口部を形成するために車体に設けられた窓枠であって、当該窓枠の内側にガラスランが装着された窓枠に昇降可能なように取り付けられ、
    前記第2工程では、前記ガラス板を昇降させる際に前記ガラス板の少なくともいずれかの側辺部における前記ガラスランに接触する領域のうちの少なくとも一部分に前記機能性被膜が形成されないように、前記ガラス板の前記いずれかの側辺部から面方向内側に離間して前記機能性被膜を設ける、
    ガラス板の製造方法。
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