JP2016094493A - 透湿防水フィルムおよび透湿防水シート - Google Patents

透湿防水フィルムおよび透湿防水シート Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた透湿性能と防水性を併せ持つ多孔性フィルムにより、着用時の発汗による衣服内部の蒸れを解消し、かつ外部からの水の侵入を防止する防水作業服に好適な透湿防水フィルムを提供すること。
【解決手段】 透湿度(T)が300g/m・時以上、耐水圧(P)が40kPa以上であり、P×T≧20,000(kPa・g/m・時)を満たす透湿防水フィルムであって、フィルム長手方向の熱収応力のピーク温度が150〜180℃に存在する透湿防水フィルムとする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、透湿性と防水性を併せ持つ透湿防水フィルムに関する。詳しくは、優れた透湿特性と優れた耐水性を両立可能な透湿防水フィルムであり、防水作業服へ加工するために繊維シートとの熱接着工程での寸法変化が抑制されるために、複合化加工が容易でありなおかつ透湿性に優れることから快適に作業を行うことができる防水服を提供することが可能な、透湿防水フィルムおよび透湿防水シートに関する。
透湿防水フィルムは、水蒸気は透過するが、液体としての水は透過しないため、蒸れを防止する素材として、衣類や特殊な防護衣、作業服、衛生用品、医療用品など多様な用途に利用されている。ここで透湿防水フィルムとは、透気性と耐水性を兼ね備えているフィルムをいい、液体は透過しないが、気体は透過可能な構造を有していることが必要である。透湿防水性を有するフィルム構造としてはボイドが厚さ方向に連結し、貫通孔を有する、所謂、多孔性フィルムを挙げることができる。多孔性フィルムを用いた透湿防水フィルムとしては、構成成分に熱可塑性樹脂、特にポリオレフィン樹脂を用いた多孔性フィルムにて、各種用途に向けての提案が多数なされている。
透湿性と耐水圧を規定した多孔性ポリエチレンフィルムの提案がなされている(たとえば、特許文献1参照)。ここで提案されている透湿防水フィルムはポリエチレンからなるフィルムであるために、融点が低く耐熱性に劣る。そのため、布帛などを補強のために貼合する際に、加熱による熱接着法では構造変化や寸法変化が発生しやすく、特性を損ねる場合があった。
また、透湿性と耐水圧を規定した微多孔ポリプロピレンフィルムの提案もなされている(たとえば、特許文献2参照)。この提案では、高い耐水圧と広い透湿度領域をカバーしている多孔性フィルムが開示されているが、実際の特性制御範囲としては極めて狭く、透湿度と耐水圧について、二律背反の関係をブレークスルーし、請求項の範囲で自由に特性を制御することはできていなかった。また、耐水圧の評価はポリエステルやナイロンの織布を貼合せて評価しており、多孔性フィルム単体での耐水圧ではなく、織布で補強した後の耐水圧のみが開示されていた。これは、実際の多孔性フィルム単体での耐水圧が十分ではなく、特に高透湿性とのトレードオフの関係が強いためであり、織布による補強が必須であったためと考えられる。
さらに、ポリオレフィン多孔性フィルムを用いた透湿防水シートの提案がなされているが(たとえば、特許文献3参照)、これらの提案ではポリオレフィンフィルムを多孔化するために、無機充填剤を多量に添加し、延伸することで樹脂と充填剤界面でのはく離によりボイド形成しているフィルムが用いられている。しかし、無機充填剤を使用したフィルムの場合、使用後の透湿防水フィルムを焼却廃棄処分する際に、無機充填剤が焼却残渣として残留してしまい、焼却残渣の処分を改めて行う必要があった。さらに、樹脂と充填剤という、謂わば異物との界面でボイド形成させていることから、透湿度を良好にしようとすると耐水圧が十分でなくなるという問題があった。
また、透気度が100〜2000秒であるポリオレフィン多孔膜と、ポリオレフィン不織布を積層したポリオレフィン複合膜の提案がなされている(たとえば、特許文献4、補正後の請求項3)。しかし、この提案のフィルムは「微細な変化が容易に起こる」(特許文献4、[0032]段落)ことから、不織布との複合膜として用いることが提案されている通り、寸法安定性に問題があった。
特開2014−61505号公報 特開2006−28495号公報 特開平11−291424号公報 特開平10−44348号公報
本発明の課題は、上記した従来技術では達成できなかった特性の達成、すなわち、優れた透湿性と耐水圧を両立させ、なおかつ不織布などの布帛との熱接着時にシワが入らないように、優れた熱寸法安定性をも同時に達成した、防水作業着に好適な透湿防水フィルムを提供することにある。
上記した課題を解決するための本発明は、以下の特徴を有する。
(1)透湿度(T)が300g/m・時以上、耐水圧(P)が40kPa以上であり、P×T≧20,000(kPa・g/m・時)を満たす透湿防水フィルムであって、フィルム長手方向の熱収応力のピーク温度が150〜180℃に存在する透湿防水フィルム。
(2)フィルム長手方向の熱収応力のピークでの最大応力が1MPa以下である(1)に記載の透湿防水フィルム。
(3)フィルム幅方向の熱収応力のピークでの最大応力が1.5MPa以下である(1)または(2)に記載の透湿防水フィルム。
(4)目付が5〜20g/mである(1)〜(3)のいずれかに記載の透湿防水フィルム。
(5)透湿度(T)が400g/m・時以上である(1)〜(4)のいずれかに記載の透湿防水フィルム。
(6)CIE L表色系におけるb値が−5〜−30である(1)〜(5)のいずれかに記載の透湿防水フィルム。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の透湿防水フィルムの少なくとも片面側に繊維シートを貼合せた透湿防水シート。
本発明により、優れた透湿性能と防水性を併せ持ち、なおかつ優れた熱寸法安定性をも有する透湿防水フィルムを提供することができ、着用時の発汗による衣服内部の蒸れを解消し、かつ外部からの水の侵入を防止する防水作業服に好適な透湿防水シートを作成できる。さらに、フィルムと布帛を熱接着する際の加工性に優れた透湿防水フィルムを提供することができる。
本発明の透湿防水フィルムは多孔性フィルムであることが好ましく、その組成は特に限定されないが、ポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレンに代表されるフッ素系ポリマーやポリウレタンなどを好ましく用いることができる。中でも、経済的に低コストで供給可能であること、種々の多孔化プロセスが知られていることからポリオレフィン樹脂を用いた多孔性フィルムが好ましく、中でも乾式で多孔性フィルムを得ることが容易なポリプロピレンを使用することが特に好ましい。
本発明の透湿防水フィルムをポリプロピレンで構成する場合、特にメルトフローレート(MFR、条件230℃、2.16kg)が4〜15g/10分の範囲のアイソタクチックポリプロピレン樹脂であることが好ましい。MFRが4〜15g/10分であれば透湿防水フィルムとして透湿性と耐水圧の制御が安定して可能となる。MFRのより好ましい範囲としては、4〜10g/10分である。ここで、MFRはJIS K 7210(1999)で規定されている樹脂の溶融粘度を示す指標であり、ポリオレフィンの特徴を示す物性値として広く用いられているものである。ポリプロピレンの場合はJIS K 7210の条件M、すなわち温度230℃、荷重2.16kgで測定を行う。なお、樹脂全体のMFRが上記好ましい範囲となるように、MFRの異なる複数のポリプロピレンを混合し、調整した混合樹脂を用いてもよい。
本発明の透湿防水フィルムは、上記したアイソタクチックポリプロピレン樹脂100質量%から構成されてもよいが、種々の機能性を持たせるために、アイソタクチックポリプロピレン樹脂を90〜99.9質量%含むポリオレフィン組成物から構成されてもよい。耐熱性の観点から92〜99質量%がポリプロピレン樹脂からなるポリプロピレン組成物であればより好ましい。ここで、ポリプロピレン組成物中のポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレンはもちろんのこと、コモノマー残基を含むポリプロピレン共重合体であってもよい。コモノマーとしては、不飽和炭化水素が好ましく、たとえばエチレンやα−オレフィンである1−ブテンや1−ペンテン、4−メチルペンテン−1、1−オクテンを挙げることができる。ポリプロピレンへのこれらコモノマーの共重合率は好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。ポリプロピレンに混合して用いても好ましいポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1やポリ4−メチルペンテン−1などのホモポリマーやこれらの共重合体などを挙げることができる。
本発明の透湿防水フィルムには、本発明の特徴を阻害しない限りにおいて、耐熱性を向上させる観点で、ポリオレフィン樹脂の他に、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などを混合して用いてもよい。
本発明における透湿防水フィルムは、ポリプロピレン樹脂を用いてβ晶法を採用して、逐次二軸延伸により空隙を形成し、フィルムに貫通孔を形成する製造方法を採用することが好ましい。その際、ポリプロピレン樹脂のβ晶形成能が40〜99%であることが好ましい。β晶形成能が40%未満ではフィルム製造時に形成されるβ晶量が少なくなるために、β晶からα晶への転移を利用して形成するフィルム中の空隙数が少なくなり、その結果、透過性に劣るフィルムしか得られない場合がある。透過性能の観点からβ晶形成能は50〜99%がより好ましい。
β晶形成能を40〜99%に制御するためには、アイソタクチックインデックスの高いポリプロピレン樹脂を使用したり、β晶核剤と呼ばれる、ポリプロピレン樹脂中に添加することでβ晶を選択的に形成させる結晶化核剤を添加剤として用いたりすることが好ましい。β晶核剤としては種々の顔料系化合物やアミド系化合物を好ましく用いることができる。β晶核剤の含有量としては、ポリプロピレン組成物全体を基準とした場合に、0.01〜0.5質量%であることが好ましく、0.05〜0.4質量%であればより好ましい。
本発明において使用するβ晶核剤としては、芳香族ジカルボン酸残基を有するアミド系化合物やテトラオキサスピロ化合物であることが好ましい。具体的には、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミドや3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを好ましいβ晶核剤として挙げることができる。
本発明の透湿防水フィルムは、透湿度(T)が300g/m・時以上であることが好ましい。透湿度が300g/m・時を下回ると、防水作業服として着用時の発汗による衣服内部の相対湿度が高まり、作業性を損ねてしまう場合がある。透湿度(T)としては、400g/m・時以上であればより好ましく、450g/m・時以上であれば特に好ましい。透湿度の上限は特段制限されるものではないが、他の特性とのバランスを考慮すると800g/m・時以下で制御することが好ましい。ここで、透湿防水フィルムの透湿度はJIS L 1099(2012)の繊維製品の透湿度試験方法に準じて行う。より具体的には試験方法として、JIS L 1099のA−1法(塩化カルシウム法)を採用して測定を行う。
本発明の透湿防水フィルムは、耐水圧(P)が40kPa以上であることが好ましい。耐水圧が40kPaを下回ると防水性能が不十分となり、防水作業服としての機能を十分に果たせない場合がある。耐水圧としては50kPa以上あればより好ましい。耐水圧の上限は特段制限されるものではないが、100kPa以下で十分な機能を発現させることができる。ここで、耐水圧はJIS L 1092(2009)の繊維製品の防水性試験方法に準じて行う。より具体的には試験方法として、JIS L 1092の耐水度試験のB法(高水圧法)を採用して測定を行う。なお、試料の前処理は行わず、また測定に際しては金網等の補強材を用いずに測定を実施する。
本発明の透湿防水フィルムはT≧300g/m・時、P≧40kPaに加えて、P×T≧20,000(kPa・g/m・時)の関係を満足する多孔性フィルムであることが好ましい。従来の透湿防水フィルムにおいても、T≧300g/m・時、もしくはP≧40kPaのいずれかを単独で満足するものはあったが、透湿度(T)が好ましい範囲にあれば、耐水圧(P)が不十分であり、逆に耐水圧(P)に優れる場合、透湿度(T)に劣り、作業快適性に劣った防水作業服でしかなかった。また、T≧300g/m・時、およびP≧40kPaを同時に満足しても、P×T≧20,000(kPa・g/m・時)を満足しない場合、透湿耐水圧の機能が共に中途半端であり、透湿性もしくは耐水圧の片方を維持したまま、他方の改良が望まれる場合が多かった。さらにはP×T≧22,000(kPa・g/m・時)を満足することが好ましく、P×T≧24,000(kPa・g/m・時)を満足すると特に好ましい。
本発明の透湿防水フィルムではP×T≧20,000(kPa・g/m・時)を満足することで、作業快適性と防水性能を両立することが可能となった。透湿度(T)と耐水圧(P)の範囲およびその値の関係を上記好ましい範囲に制御するためには、透湿防水フィルムの曲路率を大きくすることが好ましい。具体的な曲路率としては、2.5以上であることが好ましい。そのために具体的には、β晶法による多孔性ポリプロピレンフィルムにより透湿防水フィルムを構成する場合、好ましくは空孔率が40〜55%、より好ましくは空孔率が40〜50%となるように制御することが好ましい。また、ガーレ透気度は好ましくは500〜3,000秒、より好ましくは700〜2,000秒である。特性をこれら好ましい範囲に制御するためには、ポリプロピレン樹脂を用いる場合、MFRを上記した範囲の樹脂を使用し、なおかつ、孔構造を制御するために、異なるMFRのポリプロピレン樹脂を混合して用いることは好ましいことである。また、後述する延伸条件に代表されるフィルム製造条件により孔構造を制御することが好ましい。
本発明の透湿防水フィルムはフィルム長手方向の熱収応力のピーク温度が150〜180℃に存在することが好ましい。熱収応力ピークが150℃未満の場合、不織布や織布などの布帛に熱接着する場合に透湿性を発現している貫通孔が狭窄化し、透湿性が大幅に低下してしまう場合がある。一方、ピーク温度を180℃を超える温度にするためには、ポリプロピレン樹脂ではなく、更に融点の高いポリマーを使用する必要性があり、多孔化プロセスを考慮すると現実的ではない。熱収応力のピーク温度としては、155〜170℃であればより好ましい。
本発明の透湿防水フィルムの長手方向の熱収応力ピークでの最大応力は1MPa以下であることが好ましい。熱収応力の最大応力が1MPaを超えると透湿防水フィルムを防水作業服に加工する工程で特性変化が起こり、透湿性や耐水性能が低下してしまう場合がある。また、透湿防水フィルムの幅方向の熱収応力ピークでの最大応力は1.5MPa以下であることが好ましい。幅方向の熱収応力に関しても、作業服に加工する工程での特性劣化抑制の観点からであり、1MPa以下であればより好ましい。
本発明の透湿防水フィルムは目付が5〜20g/mであることが好ましい。目付が5g/m未満となると、空孔率が高くなりすぎる、もしくは膜厚が薄くなりすぎるため、耐水圧が低下してしまう場合がある。逆に目付が20g/mを超えるとフィルムの膜厚が厚くなり、曲げ剛性が高く、防水作業服に加工した際に作業者の動作を妨げてしまう場合がある。透湿防水フィルムの目付は5.5〜15g/mであればより好ましく。6〜12g/mが特に好ましい。目付を掛かる好ましい範囲内とするには、膜厚と空孔率を制御してやる方法が好ましい。
本発明の透湿防水フィルムは、たとえばポリプロピレンフィルムに貫通孔を形成した構造を有しているため、樹脂と孔(ボイド)の界面で可視光の全波長域での反射、吸収が起きるため通常白色フィルムとなる。白色フィルムをそのまま防水作業服に適用した場合、服のイメージが感染除去であったり、宗教的に捉えられたりすることがあり、第三者から奇異な印象を持たれる場合がある。そのため、防水作業服自体を着色することは好ましいことである。そして、本発明の透湿防水フィルムを、予め有機顔料を添加して製膜を行うなどして、着色フィルムとすることは好ましいことである。その際、L表色系におけるb値が−5〜−30であれば、清潔感のある青みがかったフィルムとなるので防水作業服に好適に用いることができる。b値を掛かる好ましい範囲に制御するためには、青色系の顔料を添加することが好ましい。青色系顔料としては、特に限定されるものではないが、ポリプロピレンフィルムの場合、ポリプロピレン樹脂に添加して使用するのに適している、たとえばC.I. Pigment Blue 15:1、同じく15:3を用いることができ、ポリプロピレン組成物中に0.01〜0.5質量%添加するのが好ましい。また、他の顔料と混合して添加してもよい。
本発明の透湿防水フィルムは以下に記載する製造方法にて製造することが望ましい。なお、本発明の透湿防水フィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
ポリプロピレン樹脂として、上記した用いることが好ましいアイソタクチックポリプロピレン樹脂を選択し、ポリプロピレン樹脂99.7質量部に対して、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド0.3質量部を混合し、樹脂温度が300℃以上となるようにして、二軸押出機を使用して予め所定の割合でβ晶核剤が添加された原料を準備する。この際、ポリプロピレン樹脂の劣化防止やβ晶核剤の形状を安定化させる目的で、酸化防止剤やポリプロピレンの重合触媒残渣の中和剤を同時に混合してもよい。酸化防止剤としては、フェノール系、リン酸系などの酸化防止剤を好ましく用いることができ、ポリオレフィン樹脂に一般的に用いられているペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名 IRGANOX1010(BASF製))やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(商品名IRGAFOS168(BASF製))を問題なく用いることができる。また、中和剤としては、飽和脂肪酸金属塩を好ましく用いることができ、中でもポリオレフィン樹脂に一般的に用いられているステアリン酸カルシウムに代表される酸金属塩が好ましい。なお、日本薬局方に記載されているように、ステアリン酸やその金属塩には炭素数の異なるパルミチン酸やその金属塩を一定量含有する混合物であることが通常であり、また、積極的に混合して用いてもよい。
次に、上記核剤添加原料を単軸または二軸の溶融押出機に供給し、200〜240℃にて溶融押出を行い、Tダイより金属ドラム上にキャストし、未延伸シートを得る。Tダイから吐出したポリマーがキャストされる金属ドラムは表面温度が110〜130℃であることが、未延伸シート中のβ晶分率を高く制御する観点から好ましい。また、シート全体のドラム上への密着状態がポリプロピレンの結晶化状態およびその均一性に影響を及ぼすので、必要に応じて全面にエアナイフを用いて空気を吹き付けることで、金属ドラムへの密着を行うことは好ましい方法である。
次に得られた未延伸シートを逐次二軸延伸により二軸配向させるとともに、フィルム中に空孔(貫通孔)を形成する。逐次二軸延伸の方式としては、フィルム長手方向に延伸後、幅方向に延伸することが望ましい。具体的な延伸条件としては、まず未延伸シートを長手方向に延伸可能な温度に制御する。温度制御の方法は、加熱した回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。また、温度制御することで、未延伸シートが熱膨張あるいは熱収縮により寸法変化する場合は、搬送速度を寸法変化に併せて制御することで、搬送ロールとの間で速度差が生じないようにすることが延伸斑を発生させない観点で好ましい。長手方向の延伸温度としてはフィルム特性とその均一性の観点から、120〜140℃、さらに好ましくは120〜135℃の温度を採用することが好ましい。延伸倍率としては4〜8倍とすることが好ましい。より好ましくは4.5〜7倍である。長手方向への延伸では通常自由幅延伸となるため、延伸前後でフィルム幅が減少方向に変化する。透湿度、耐水圧、熱収応力のピーク値を同時に好ましい範囲に制御する観点から、長手方向への延伸での幅減少率は10%以下、より好ましくは7%以下とすることが好ましい。
次に、上記の一軸延伸ポリプロピレンフィルムをテンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入する。そして、好ましくは140〜160℃に加熱して幅方向に6〜12倍の延伸を行う。より好ましくは7〜11倍である。延伸温度としては145〜155℃であればより好ましい。また、幅方向への延伸速度は、40%/秒以上とすることが、透湿性と耐水圧、熱収応力のピーク値を同時に好ましい範囲に制御する観点で好ましい。延伸速度が速くなるほど、生産性が向上するので好ましいことであるが、透湿性の制御の観点で100%/秒以下とするのが現実的である。幅方向に延伸後、そのままテンター内で熱処理を行うことが好ましい。その際は、幅方向に好ましくは3〜8%の弛緩処理を施すことが幅方向の熱収応力の最大応力を低く抑えることと、幅方向の特性バラツキを両立させる観点で好ましい。熱処理を行う際の処理温度としては150〜165℃が好ましい。また、熱処理時間は3〜30秒間であることが好ましい。熱処理温度が165℃を超えると、幅方向の特性バラツキが悪化する場合がある。熱処理温度としては155〜160℃であることがより好ましい。このようにして得られたフィルムについて、フィルム端部をカットし、中央の平坦部分のみを巻き取ることで、透湿防水フィルムを得ることができる。
本発明の透湿防水フィルムは、透湿度と強度を両立させる観点から、透気抵抗が500〜3,000秒であることが好ましい。さらに好ましくは700〜2,000秒、800〜1,800秒であれば特に好ましい。透気抵抗は上記した製造時の延伸条件、特に温度、倍率条件、延伸後の熱処理条件により制御することが可能である。
本発明の透湿防水フィルムは、防水作業服に加工する際の加工適正、および加工後の着用耐久性、作業性の観点から、引張強度がフィルムの任意の方向で100MPa以上であることが好ましい。引張強度が120MPa以上であるとより好ましい。
本発明の透湿防水フィルムは加工性、耐久性、着用感といった観点から、膜厚が5〜30μmであることが好ましい。膜厚が5μm未満では、耐久性が不十分となる場合があり、30μmを超えると着用感に劣り、作業性が低下してしまう場合がある。膜厚は8〜25μmであればより好ましい。
また、本発明の透湿防水フィルムは、本発明の特徴が阻害されない限りにおいて、複数のフィルム層が積層させた積層フィルムとしてもよい。積層する層は同じ樹脂組成でも異なった樹脂組成であってもよく、積層方法も共押出法や各層毎にフィルムを製造し、後工程で接着貼りや熱接着する方法、押出ラミネーションする方法など、種々の積層方法から選択することができる。
本発明の透湿防水フィルムを構成する二軸配向多孔性ポリプロピレンフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤や無機あるいは有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレン樹脂の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して酸化防止剤を0.01〜0.5質量部添加することは好ましいことである。また、樹脂を溶融押出機などで溶融状態とする場合には、雰囲気を窒素ガス雰囲気下とするのが、樹脂の酸化劣化を抑制する観点で好ましい。
本発明の透湿防水フィルムはフィルムのままでは防水作業服に加工する際、縫製加工では縫製のための針穴から破膜してしまう場合があるので、少なくとも片面に繊維シートを貼合した透湿防水シートとして加工を行うことが好ましい。ここで、繊維シートとは織布や不織布といった布帛であれば特に限定されるものではないが、柔軟性と透湿性という観点から不織布を貼合することが好ましい。不織布を構成する繊維は特に限定されるものではないが、透湿防水フィルムとの親和性、接着性の点で、同一樹脂種を用いることが好ましく、ポリプロピレンフィルムにはポリプロピレン樹脂製繊維からなる繊維シートを用いることが好ましい。また、熱接着を行う場合には、透湿防水フィルムよりも低融点となる樹脂を用いた布帛を採用することが、透湿防水フィルムの特性を損ねることなく貼合できるという観点から望ましく、プロピレン系の共重合樹脂を用いることが好ましい。
繊維シートと透湿防水フィルムの貼合方法は熱接着だけでなく、接着剤貼りを採用してもよく、その場合には、接着剤をフィルム全面に塗布するのではなく、接着剤をミスト状に噴霧して塗布し貼合する、部分接着とすることが好ましい。また、熱接着の場合も、熱圧着ロールを用いて、膜全体を均一に熱接着するのではなく、エンボスロールを使用して、部分的に熱接着させることが好ましい。
本発明の透湿防水フィルムは、優れた透湿性能と防水性能を併せ持つため、着用した際の発汗による衣服内部の蒸れを解消し、なおかつ外部からの水の侵入を防止できるため、防水作業服に好適に用いることができる。さらに、本発明の透湿防水フィルムはウィルスバリア性が安定的に高いレベルで維持することが可能なため、感染防護服といった化学防護服全般に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)透湿度
JIS L 1099(2012)のA−1法(塩化カルシウム法)に準拠して測定した。測定は場所を変えて3箇所から採取したサンプルを用いて行い、その平均値を当該サンプルの透湿度(g/m・時)とした。
(2)耐水圧
JIS L 1092(2009)の耐水度試験B法(高水圧法)に準拠して測定した。測定は場所を変えて5箇所から採取したサンプルを用いて行い、その平均値を当該サンプルの耐水圧(kPa)とした。
(3)熱収応力
フィルムから、長手方向および幅方向に、長さ50mm、幅4mmの矩形サンプルを切り出し、熱機械特性(TMA)測定を行った。測定条件は以下の通り。
測定装置:セイコーインスツルメンツ製 TMA/SS6100
測定モード:引張り L制御モード
チャック間距離:20mm
温度条件:20℃→100℃、5℃/分、20分間保持
チャック間距離一定のまま昇温しながら、フィルムの収縮力測定を行った。収縮力を初期断面積(サンプル幅(4mm)×フィルム厚み)で除し、収縮応力に換算した。収縮応力のピーク値とそのピーク温度を読み取った。測定は2回行い、その平均値を採用した。
なお、サンプル厚みは、接触式の膜厚計ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A(10.5mmφ超硬球面測定子、測定荷重0.06N)にてサンプル内の任意の3箇所で測定しその平均値を用いた。
(4)色調(b値)
分光式色差計(日本電色工業製 SE−2000、光源 ハロゲンランプ、0°−45°後分光方式)を用いて、フィルム一枚を透過法により測定し、b値を求めた。なお、測定は各実験例とも任意の5カ所について行い、その平均値を採用した。
(5)目付
多孔性フィルムから100mm×100mmの大きさの正方形を切り出しサンプルとする。サンプルの対角線の長さをノギスを用いて測定し、対角線の長さから、ひし形の面積の公式を用いて、サンプル面積を算出する。次にサンプルを電子天秤を用いて質量を測定し、以下の式を用いて目付を算出した。
目付(g/m)=質量(g)÷サンプル面積(m
(6)透気度
多孔性フィルムを100mm×100mmの大きさの正方形を切取りサンプルとする。JIS P 8117(2009)の王研式試験機法に準拠した、デジタル型王研式透気度試験機(旭精工(株)製、EGO1−55−1MR)を用いて、23℃、相対湿度65%にて、透気抵抗度指示値の測定を行った。
(実施例1)
多孔性フィルムの原料樹脂として、MFRが8g/10分のホモポリプロピレン(以下PP−1と表記)を94.3質量部、MFRが0.5g/10分のホモポリプロピレン(以下、PP−2と表記)を5質量部、β晶核剤としてN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド(新日本理化(株)製、Nu−100、以下、β晶核剤−1と表記)を0.3質量部、さらに酸化防止剤であるBASFジャパン製IRGANOX1010とIRGAFOS168を各々0.15、0.25質量部(以下、順に酸防剤A、Bと表記)を、この比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、20℃に温度制御した水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてチップ原料とした。
チップ原料を225℃に温度制御した単軸押出機に供給し溶融押出を行い、Tダイから120℃に温度調整した金属ドラム上に吐出、キャストして未延伸シートを得た。この際、エアナイフを用いて溶融ポリマーを金属ドラムに密着させ、そのまま金属ドラム上で20秒間温度保持してシートを得た。
次に、125℃に加熱した金属ロールを用いて加熱を行い、同じく125℃に加熱したロールと40℃の金属ロールの周速差を利用して、フィルムのMD方向に5倍延伸を行い、一旦冷却した。MD方向への延伸前後でフィルム幅は6.8%減少していた。さらに、テンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃でTD方向に延伸速度45%/秒にて8倍延伸し、そのまま幅方向に5%のリラックスを掛けながら160℃で10秒間の熱処理を行い、厚み25μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例2)
PP−1を92.3質量部、MFRが1g/10分のホモポリプロピレン(以下、PP―3と表記)を7質量部、β晶核剤−1を0.3質量部、さらに酸防剤A、酸防剤Bを各々0.15、0.25質量部の比率となるように二軸押出機に供給し、樹脂温度305℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、20℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてチップ原料とした。
チップ原料を225℃に温度制御した単軸押出機に供給し溶融押出を行い、Tダイから120℃に温度調整した金属ドラム上に吐出、キャストして未延伸シートを得た。この際、エアナイフを用いて溶融ポリマーを金属ドラムに密着させ、そのまま金属ドラム上で20秒間温度保持してシートを得た。
次に、125℃に加熱した金属ロールを用いて加熱を行い、同じく125℃に加熱したロールと40℃の金属ロールの周速差を利用して、フィルムのMD方向に5倍延伸を行い、一旦冷却した。MD方向への延伸前後でフィルム幅は7.1%減少していた。さらに、テンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃でTD方向に延伸速度50%/秒にて8倍延伸し、そのまま幅方向に5%のリラックスを掛けながら160℃で8秒間の熱処理を行い、厚み18μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例3)
PP−1を93.3質量部、PP−2を3質量部、PP−3を3質量部、β晶核剤−1を0.3質量部、酸防剤Aを0.15質量部、酸防剤Bを0.25質量部の比率となるように二軸押出機に供給した。樹脂温度が305℃となるように溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、20℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてチップ原料とした。
チップ原料を225℃に温度制御した単軸押出機に供給し溶融押出を行い、Tダイから125℃に温度調整した金属ドラム上に吐出、キャストして未延伸シートを得た。この際、エアナイフを用いて溶融ポリマーを金属ドラムに密着させ、そのまま金属ドラム上で20秒間温度保持してシートを得た。
次に、130℃に加熱した金属ロールを用いて加熱を行い、同じく130℃に加熱したロールと40℃の金属ロールの周速差を利用して、フィルムのMD方向に5。2倍延伸を行い、一旦冷却した。MD方向への延伸前後でフィルム幅は7.5%減少していた。さらに、テンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃でTD方向に延伸速度55%/秒にて8倍延伸し、そのまま幅方向に7%のリラックスを掛けながら155℃で7秒間の熱処理を行い、厚み40μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例4)
実施例1において、準備したチップ原料98質量部に、C.I. Pigment Blue 15:1を2質量%含有するMFR=4g/10分の原着ポリプロピレン樹脂を2質量部混合して単軸押出機に供給し、溶融押出を行った。Tダイから120℃に温度調整した金属ドラム上に吐出、キャストして未延伸シートを得た。この際、エアナイフを用いて溶融ポリマーを金属ドラムに密着させ、そのまま金属ドラム上で20秒間温度保持してシートを得た。
次に、125℃に加熱した金属ロールを用いて加熱を行い、同じく125℃に加熱したロールと40℃の金属ロールの周速差を利用して、フィルムのMD方向に5倍延伸を行い、一旦冷却した。MD方向への延伸前後でフィルム幅は6.9%減少していた。さらに、テンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃でTD方向に延伸速度45%/秒にて8倍延伸し、そのまま幅方向に7%のリラックスを掛けながら155℃で10秒間の熱処理を行い、b値が−10で厚み25μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例1)
PP−1を99.3質量部、β晶核剤−1を0.3質量部、さらに酸防剤A、酸防剤Bを各々0.15、0.25質量部の比率で二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、20℃に温度制御した水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてチップ原料とした。
チップ原料を220℃に温度制御した単軸押出機に供給し溶融押出を行い、Tダイから120℃に温度調整した金属ドラム上に吐出、キャストして未延伸シートを得た。この際、エアナイフを用いて溶融ポリマーを金属ドラムに密着させ、そのまま金属ドラム上で20秒間温度保持してシートを得た。
次に、125℃に加熱した金属ロールを用いて加熱を行い、同じく125℃に加熱したロールと40℃の金属ロールの周速差を利用して、フィルムのMD方向に4.5倍延伸を行い、一旦冷却した。MD方向への延伸前後でフィルム幅が12%減少するように、延伸ロール間隙を調整した。さらに、テンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃でTD方向に延伸速度25%/秒にて8倍延伸し、そのまま幅方向に5%のリラックスを掛けながら160℃で15秒間の熱処理を行い、厚み25μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例2)
比較例1で準備したチップ原料を210℃に温度制御した単軸押出機に供給し溶融押出を行い、Tダイから120℃に温度調整した金属ドラム上に吐出、キャストして未延伸シートを得た。この際、エアナイフを用いて溶融ポリマーを金属ドラムに密着させ、そのまま金属ドラム上で20秒間温度保持してシートを得た。
次に、125℃に加熱した金属ロールを用いて加熱を行い、同じく125℃に加熱したロールと40℃の金属ロールの周速差を利用して、フィルムのMD方向に5倍延伸を行い、一旦冷却した。MD方向への延伸前後でフィルム幅が10%減少した。さらに、テンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃でTD方向に延伸速度50%/秒にて8倍延伸し、そのまま幅方向に5%のリラックスを掛けながら160℃で8秒間の熱処理を行い、厚み20μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例3)
実施例3で準備したチップ原料を210℃に温度制御した単軸押出機に供給し溶融押出を行い、Tダイから120℃に温度調整した金属ドラム上に吐出、キャストして未延伸シートを得た。この際、エアナイフを用いて溶融ポリマーを金属ドラムに密着させ、そのまま金属ドラム上で20秒間温度保持してシートを得た。
次に、125℃に加熱した金属ロールを用いて加熱を行い、同じく125℃に加熱したロールと40℃の金属ロールの周速差を利用して、フィルムのMD方向に5倍延伸を行い、一旦冷却した。MD方向への延伸前後でフィルム幅が15%減少した。さらに、テンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃でTD方向に延伸速度28%/秒にて8倍延伸し、そのまま幅方向に5%のリラックスを掛けながら160℃で12秒間の熱処理を行い、厚み15μmの多孔性ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例4)
MFRが4g/10分の線状低密度ポリエチレン30質量部とMFRが3g/10分の分岐状低密度ポリエチレン7質量部に平均粒径1μmの炭酸カルシウム粒子を60質量部と硬化ヒマシ油3質量部をタンブラーミキサーにて混合し、溶融押出機にて230℃で溶融混練してストランド状に押出し、水槽にて冷却固化、カットし、チップ原料に加工した。
チップ原料を220℃に温度制御した単軸押出機に供給し、溶融押出を行い、Tダイから30℃に温度調整した金属ドラム上に吐出、キャストして未延伸シートを得た。次に、60℃に加熱した金属ロールを用いて加熱し、そのままロール周速差を利用してフィルム長手方向に2倍延伸を行い、厚み35μmの多孔性ポリエチレンフィルムを得た。
Figure 2016094493
Figure 2016094493
本発明により、優れた透湿性能と防水性を両立した透湿防水性フィルムを提供することができ、繊維シートとの貼り合せを行い、防水作業服に縫製加工を行うことで、着用時の発汗による衣服内部の蒸れを解消した、作業時の快適性を著しく改善した防水作業服に活用することができる。

Claims (7)

  1. 透湿度(T)が300g/m・時以上、耐水圧(P)が40kPa以上であり、P×T≧20,000(kPa・g/m・時)を満たす透湿防水フィルムであって、フィルム長手方向の熱収応力のピーク温度が150〜180℃に存在する透湿防水フィルム。
  2. フィルム長手方向の熱収応力のピークでの最大応力が1MPa以下である、請求項1に記載の透湿防水フィルム。
  3. フィルム幅方向の熱収応力のピークでの最大応力が1.5MPa以下である、請求項1または2に記載の透湿防水フィルム。
  4. 目付が5〜20g/mである、請求項1〜3のいずれかに記載の透湿防水フィルム。
  5. 透湿度(T)が400g/m・時以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の透湿防水フィルム。
  6. CIE L表色系におけるb値が−5〜−30である、請求項1〜5のいずれかに記載の透湿防水フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の透湿防水フィルムの少なくとも片面側に繊維シートを貼合せた透湿防水シート。
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