JP4193658B2 - 吸収性物品用バックシート材 - Google Patents

吸収性物品用バックシート材 Download PDF

Info

Publication number
JP4193658B2
JP4193658B2 JP2003337425A JP2003337425A JP4193658B2 JP 4193658 B2 JP4193658 B2 JP 4193658B2 JP 2003337425 A JP2003337425 A JP 2003337425A JP 2003337425 A JP2003337425 A JP 2003337425A JP 4193658 B2 JP4193658 B2 JP 4193658B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
absorbent articles
film
propylene
backsheet material
copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003337425A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005102807A (ja
JP2005102807A5 (ja
Inventor
秀志 坂本
淳一 山内
隆志 新福
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JNC Corp
JNC Petrochemical Corp
Original Assignee
Chisso Petrochemical Corp
Chisso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chisso Petrochemical Corp, Chisso Corp filed Critical Chisso Petrochemical Corp
Priority to JP2003337425A priority Critical patent/JP4193658B2/ja
Publication of JP2005102807A publication Critical patent/JP2005102807A/ja
Publication of JP2005102807A5 publication Critical patent/JP2005102807A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4193658B2 publication Critical patent/JP4193658B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

本発明は吸収性物品用バックシート材に関する。詳しくは、液バリヤー性、通気性及び透湿性に優れた、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー等に好適な吸収性物品用バックシート材に関する。
通気性を有し且つ液不透過性を有する通気性フィルムは、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品のバックシート材として近年広く使用されている。このような通気性フィルムは、一般に、ポリエチレン系樹脂に炭酸カルシウムや硫酸バリウム等の無機質充填剤を多量に添加し、これらを溶融・混練し膜状成形物とした後、少なくとも一方向に延伸し、マトリックスポリマーと充填剤の界面に空隙(細孔)を生じさせる方法(以下「無機質充填剤添加による延伸法」という)によって製造される(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この無機質充填剤添加による延伸法の場合、十分な通気性を得るためには、例えば40〜60重量%のような多量の無機質充填剤を添加する必要があり、マトリックスポリマーであるポリエチレン本来の強度等の物性や風合いが低下したり、炭酸カルシウムが塩基性であるためにこの様な通気性フィルムを用いた使い捨ておむつや生理用ナプキン等の装着時にかぶれを生じる等の問題があった。
更に、通気性自体も不十分であるため動きの激しい場合にはむれが生じやすく、女性の生理用ナプキンやパンティライナーには使用することが難しかった。
これらの問題を解決するために、無機質充填剤を多量に添加しない非ポリエチレン系の吸収性物品用バックシート材が望まれており、エチレン−プロピレンブロックコポリマー単独または必要に応じポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂を併用した結晶性ポリオレフィン樹脂に融点が100℃以下の鉱物油やエステル化合物を含有させた多孔性シートが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
使い捨ておむつには、バックシート材の腹側胴周囲部に補強用テープ(以下ランディングテープと称す)が設けられている場合がある。おむつの装着は、このランディングテープ面に、止着テープ(ファスニングテープ)の粘着面が結合することで行われる。しかしランディングテープは、おむつ構成部材を増やし製造工程を煩雑にするだけでなく、高価なため使用量によってはコストアップをもたらす。更に、おむつを着脱する時に、ファスニングテープの粘着面が直接バックシート材に粘着してそれを剥がす際にバックシート材を破損する等の不都合が生じる場合がある。この多孔性シートの場合、高強度であるため補強の必要がなく前記ランディングテープを省くことができるが、通気度を向上させるためには鉱物油等の含有量を多くする必要があり、これらが経時的に多孔シート表面に染み出しベタツキが発生したり、変色を促進する等の問題がある。
また、エチレン−プロピレンブロックコポリマーからなる成分Aとプロピレンホモポリマーまたはランダムコポリマーからなる成分B及び低分子量ポリプロピレンからなる成分Cに、必要に応じ炭酸カルシウムからなる成分Dやベータ球晶成核剤からなる成分Eを添加した高分子性組成物からなる多孔膜及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この場合、エチレン−プロピレンブロックコポリマーだけでは十分な多孔性及び通気性を示さないため、多成分系によりその改良を図っているが、多成分であるためにそれらの各成分を均一分散させないと均一な多孔膜が得られにくく、また、多孔膜中に形成された細孔の径が大きいため、吸収性物品用バックシート材に要求される厚さの薄肉化に難があったり、高空隙率化が難しく通気度や透湿度、更にはバックシート材の強度の向上が図りにくい等の問題がある。
特開昭62−10141号公報 特開平8−208862号公報 特開平4−309546号公報
本発明は、従来の吸収性物品用バックシート材に関する前記課題を解決すべくなされたものであり、優れた通気性を有しつつ、無機質フィラーの高含有に起因する強度低下もなく、優れた強度と軽量性を有し、鉱物油等の液状成分に起因するベタツキや変色が生じない吸収性物品用バッグシートを複雑な工程を必要とすることなく容易に製造し提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、結晶性ポリプロピレン(A)40〜68重量%と、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)32〜60重量%とからなるポリオレフィン樹脂(C)を含有する樹脂組成物を溶融混練して膜状溶融物とし、膜状溶融物をドラフト比1.7〜4.2の範囲で膜状成形物に成形した後、膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された通気性バックシート材であって、該共重合体(B)領域に連通した細孔を有する吸収性物品用バックシート材によって本課題が解決されることを見出しこの知見に基づいて本発明を完成した。尚、本発明において連通した細孔とは、該共重合体(B)領域に連続的に形成され、結果的に吸収性物品用バックシート材の両面をつなぐ経路となる細孔をいう。
本発明は、以下によって構成される。
1.結晶性ポリプロピレン(A)40〜68重量%と、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)32〜60重量%とからなるポリオレフィン樹脂(C)を含有する樹脂組成物を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1.7〜4.2の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された通気性バックシート材であって、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に連通した細孔を有する吸収性物品用バックシート材。
2.プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のプロピレン含量が4070重量%である前記1項記載の吸収性物品用バックシート材。
3.ポリオレフィン樹脂(C)が、1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を製造し、連続して2段目でプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)を製造する工程を含む多段重合法により得られたことを特徴とする前記1または2項記載の吸収性物品用バックシート材。
4.結晶性ポリプロピレン(A)のメルトフローレートをMFRPPとし、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレートをMFRRCとした時、メルトフローレート比MFRPP/MFRRCが10より大きく1,000以下であることを特徴とする前記1〜2項のいずれか1項記載の吸収性物品用バックシート材。
5.無機質充填剤を0.1〜10重量%含有することを特徴とする前記1〜4項のいずれか1項記載の吸収性物品用バックシート材。
6.透気抵抗度(ガーレー)が10〜20,000秒/100ml、透湿度が200〜10,000g/m ・24hである前記1〜5項のいずれか1項記載の吸収性物品用バックシート材。
本発明の吸収性物品用バックシート材は、結晶性ポリプロピレン(A)中にプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)が微分散した、優れた低温時の延伸性を有するポリプロピレン樹脂を用いて、特定の加工方法により、該共重合体(B)領域に該共重合体(B)の開裂による細孔を形成させて得られた、優れた通気性を有しながら、優れた強度と軽量性を有する。また、本発明の吸収性物品用バックシート材は、鉱物油等を含有しないため、ベタツキや変色が生じず、樹脂の組成が単純で生産工程における均一分散が容易であるため、優れた特徴を有するにも関わらず、コスト的に有利な吸収性物品用バックシート材である。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
(1)ポリオレフィン樹脂
本発明の吸収性物品用バックシート材には、結晶性ポリプロピレン(A)と、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)(以下、単に「共重合体(B)」ということがある)とからなり、結晶性ポリプロピレン(A)のマトリックス中に共重合体(B)がドメインとして微分散しているポリオレフィン樹脂(C)が使用される。
(i)結晶性ポリプロピレン(A)
結晶性ポリプロピレン(A)は、主としてプロピレン重合単位からなる結晶性の重合体であり、好ましくはプロピレン重合単位が全体の90重量%以上であるポリプロピレンである。具体的には、プロピレンの単独重合体であってもよく、また、プロピレン重合単位90重量%以上とα−オレフィン10重量%以下とのランダムまたはブロック共重合体であってもよい。結晶性ポリプロピレン(A)が共重合体の場合に使用されるα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。このうち、プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位の含量が90重量%以上のプロピレン−エチレン共重合体を用いるのが、製造コストの点から好ましい。
また、結晶性ポリプロピレン(A)のメルトフロ−レ−トMFRPPは製膜の安定性から0.1〜50g/10分の範囲が好ましい。
(ii)プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)
プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)は、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体である。プロピレン重合単位の含量は、共重合体(B)全体に対し重量基準で30〜80重量%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは35〜75重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。プロピレン重合単位の含量が上記の範囲内であれば、結晶性ポリプロピレン(A)のマトリックス中に存在する共重合体(B)ドメインに細孔が形成され易く、結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)の界面剥離が生じ難いため低温延伸性が良好で、細孔径の小さな吸収性物品用バックシート材が得られる。
共重合体(B)に使用されるプロピレン以外のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。このうちα−オレフィンとしてエチレンを用いたプロピレン−エチレン共重合体が、製造コストの点から好ましく用いられる。
共重合体(B)のメルトフロ−レ−トMFRRCは特に限定されないが、0.1〜20g/10分の範囲が成形加工性に優れるため好適である。
(iii)ポリオレフィン樹脂(C)
ポリオレフィン樹脂(C)は、結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)からなる。結晶性ポリプロピレン(A)のメルトフローレートMFRPPと共重合体(B)のメルトフローレートMFRRCとのメルトフローレート比MFRPP/MFRRC(以下、「MFR比」という)は、特に限定されないが、成形加工性の観点から0.1〜1,000が好ましい。
中でも、MFR比が10より大きく1,000以下の場合は、延伸により形成される細孔の孔径は、MFR比が、0.1〜10の場合に比べて大きく、連通した細孔の割合が低下する傾向があるが、樹脂組成物が製膜条件や延伸条件の変動の影響を受け難いため、特性の安定した吸収性物品用バックシート材が得られ易い。
また、MFR比が10より大きく1,000以下の場合には、通気性を示す透気抵抗度(ガーレー)が10〜20,000秒/100ml、透湿度が200〜10,000g/m・24hの吸収性物品用バックシート材を得ることができる。透気抵抗度と透湿度が上記の範囲内であると、得られる吸収性物品用バックシート材は好適な通気性を示す。
尚、該吸収性物品用バックシート材では、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察によれば、5μm前後の細孔が多数連なっており、細孔径の長軸の最大値が10μm以下の細孔が認められる。
ポリオレフィン樹脂(C)における、結晶性ポリプロピレン(A)の含量は40〜68重量%であり、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の含量は32〜60重量%である。共重合体(B)の含量が30重量%未満の場合には、共重合体(B)領域に形成された細孔の連なりが少なくなることから本発明の連通した細孔が得られにくく、70重量%を超える場合には、結晶性ポリプロピレン(A)中に存在する共重合体(B)の分散構造が得られ難くなる。
前記ポリオレフィン樹脂(C)の製造方法は特に限定されず、上記の条件を満足すれば、いかなる製造方法を用いてもよい。例えば、各々別個に重合して得られた結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)とを溶融混練等によって混合することによりポリオレフィン樹脂(C)を製造してもよい。具体的には、チタン担持触媒等のチーグラーナッタ触媒を用いて重合した共重合体(B)や共重合体(B)に該当する市販のエチレン−プロピレンゴムと結晶性ポリプロピレン(A)とを溶融混合する方法が例示できる。
また、結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)とを多段重合により連続的に重合することによってポリオレフィン樹脂(C)を製造してもよい。例えば、複数の重合器を使用し、1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を製造し、引続き2段目で結晶性ポリプロピレン(A)の存在下に共重合体(B)を製造し、ポリオレフィン樹脂(C)を連続的に製造する方法が例示できる。この連続重合法は上記した溶融混合法に比べて製造コストが低く、また、結晶性ポリプロピレン(A)中に共重合体(B)が均一に分散したポリオレフィン樹脂(C)が安定して得られるため好ましい。
本発明の吸収性物品用バックシート材には、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散した共重合体(B)領域に微細な開裂が多数認められる。共重合体(B)がプロピレン成分を含有するために結晶性ポリプロピレンと相溶性を有しており、この結晶性ポリプロピレン(A)と相溶性を有する共重合体(B)が、結晶性ポリプロピレン(A)より低強度であるため、延伸により共重合体(B)領域で開裂が発生したと推察される。このメカニズムは従来の無機質フィラーや異種ポリマーを混合及び延伸した多成分延伸法と根本的に異なるところであり、その結果、得られた吸収物品用バックシート材は、細孔径が小さく防漏性に優れ、通気性が大きいものとなる。
尚、本発明において共重合体(B)領域とは、共重合体(B)自体が占める領域、及び共重合体(B)とそれに隣接する物質との境界領域をいう。従って、共重合体(B)領域に生じる細孔には、共重合体(B)自体が占める領域の中で生じる開裂による細孔、及び結晶性ポリプロピレン(A)等と共重合体(B)との境界領域で生じる界面剥離による細孔が含まれる。
前記のようなMFR比を有するポリオレフィン樹脂(C)は、具体的には国際公開第97/19135号パンフレット、特開平8−27238号公報等に記載されている方法により製造することができる。
尚、ポリオレフィン樹脂(C)は前記の方法で製造することができる他に、市販品の中から所望の仕様のものを選択して用いてもよい。
尚、前記MFR比は、通常は結晶性ポリプロピレン(A)のMFRPP及び共重合体(B)のMFRRCを各々測定することにより求められる。しかし、ポリプロピレン樹脂を多段重合により連続的に製造した場合(最初に結晶性ポリプロピレン(A)を重合し、次いで共重合体(B)を重合する場合)は、共重合体(B)のMFRRCを直接測定できないため、直接測定可能な結晶性ポリプロピレン(A)のMFRPP、得られるポリオレフィン樹脂(C)のメルトフローレートMFRWHOLE及びポリオレフィン樹脂(C)中の共重合体(B)の含有量WRC(重量%)から、下記式によりMFRRCを算出して、MFR比を求めることができる。
log(MFRRC)={log(MFRWHOLE)−(1−WRC/100)log(MFRPP)}/(WRC/100)
(2)バックシート材形成用樹脂組成物
本発明の吸収性物品用バックシート材を形成するための膜状成形物の成形材料である樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(C)の他に、通常のポリオレフィンに使用される酸化防止剤、中和剤、α晶造核剤、β晶造核剤、ヒンダードアミン系耐候剤、紫外線吸収剤、防曇剤や帯電防止剤等の界面活性剤、無機質充填剤、滑剤、ブロッキング防止剤、抗菌剤、防黴剤、顔料等を必要に応じて配合することができる。
酸化防止剤としては、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、またはトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤等が例示できる。
中和剤としてはステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸塩類が例示でき、滑剤としてはステアリン酸アマイド等の高級脂肪酸アマイド類が例示でき、帯電防止剤としてはグリセリンモノステアレート等の脂肪酸エステル類が例示できる。
α晶造核剤としては、タルク、アルミニウムヒドロキシ−ビス(4−t−ブチルベンゾエート)、1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(2’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(3’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−クロルベンジリデン)ソルビトール、ナトリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムジヒドロキシ−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等の公知のα晶造核剤が挙げられる。これらは単独使用でも、2種以上の併用でも良い。
無機質充填剤は、隠蔽性が必要とされる場合や通気性の更なる向上を目的としてポリオレフィン系樹脂(C)に0.1〜10重量%添加することができる。無機質充填剤の添加量が上記の範囲であれば所期の目的が達成され、延伸工程での延伸切れ発生もなく、また、得られる吸収物品用バックシート材の強度も十分である。特に、隠蔽性については、吸収性物品による尿等の吸収が着用時であっても見えやすくするには必要ないが、見えないようにするためには無機質充填剤を添加することが望ましい。
無機質充填剤としては、炭酸カルシウム、石膏、硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、水和珪酸、無水珪酸、ソーダ灰、硫酸バリウム、タルク、クレー、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の公知の無機質充填剤が挙げられるが、隠蔽性が必要な場合には、酸化チタン、炭酸カルシウムや硫酸バリウム等が好適に用いられる。
また、本発明の吸収物品用バックシート材を形成するための前記樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン以外の単量体との二元以上のランダム重合体やポリエチレン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の他のオレフィン樹脂の1種以上を併用しても構わない。
更に、前記樹脂組成物の軟化温度を低下させたり柔軟性を向上させるためにシングルサイト触媒や公知のマルチサイト触媒で重合されたエチレン−ジエン弾性共重合体、エチレンープロピレン弾性共重合体、スチレン−ブタジエン弾性共重合体等の弾性共重合体を添加しても構わない。
前記ポリオレフィン樹脂(C)と上記添加剤を配合する方法は特に限定されず、例えばヘンシェルミキサー(商品名)等の高速撹拌機付混合機及びリボンブレンダー並びにタンブラーミキサー等の通常の配合装置により配合する方法(ドライブレンド)が例示でき、更に通常の単軸押出機または二軸押出機等を用いてペレット化する方法が例示できる。
(3)吸収物品用バックシート材の形成
本発明の吸収物品用バックシート材は、ポリオレフィン樹脂(C)を主成分とした前記樹脂組成物を溶融混練し膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜5の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を100℃以下の温度で少なくとも一方向に延伸することにより形成することができる。その工程は、製膜工程と延伸工程からなる。
(i)製膜工程
前記樹脂組成物から膜状成形物を得るための製膜工程には、公知のインフレーションフィルム成形法、Tダイフィルム成形法、カレンダー成形法等の方法が用いられる。
前記樹脂組成物は、180℃以上の押出成形温度で製膜することができるが、ダイス内圧力を低減させ後述のドラフト比を低減させる目的と、マトリックスポリマーである結晶性ポリプロピレン(A)の剛性を向上させて結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)ドメインに均一な細孔が生じさせやすくするため、220〜300℃の押出成形温度が好適に用いられる。
溶融混練された前記樹脂組成物は、ダイリップより押し出されるが、この際、ダイリップを通過する樹脂組成物の流れ方向(MD)の線速度VCLと膜状成形物の流れ方向(MD)の線速度Vの比で定義されるドラフト比(VCL/V)が本願発明を達成するための重要な要因である。一般に熱可塑性樹脂フィルムの成形時にはドラフト比は10〜50程度である。本発明においては、該樹脂組成物を製膜する際のドラフト比は1.7〜4.2であり、これによって得られる膜状成形物は延伸性に優れ、延伸によって微細な連通した細孔が形成され易くなる。
上記の方法によって、一般的なドラフト比においては連通した細孔が得られ難いポリオレフィン樹脂(C)においても、連通した細孔の形成が可能であり、ポリオレフィン樹脂(C)が結晶性ポリプロピレン(A)とプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のみの二成分系でも、得られる吸収物品用バックシート材は十分な通気性を有する。
また、インフレーションフィルム成形法の場合には、前記ドラフト比に加え、インフレーションフィルムの周長Lと円形リップの周長Lの比で表されるブロー比L/Lにより得られる吸収物品用バックシートの通気性も変化するが、ドラフト比が上記範囲内であれば、ブロー比は1〜10程度の範囲が好適に用いられる。ブロー比が上記範囲内であれば、膜状成形物の安定生産が可能で、得られる膜状成形物の多孔化がし易い。
マトリックスポリマーである結晶性ポリプロピレン(A)の剛性を向上させて結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に均一な細孔を生じさせやすくするため、ダイリップより押出される膜状成形物の冷却は、徐冷とすることが望ましく、Tダイ成形法では、冷却ロールの温度を60〜120℃、更に好ましくは70〜110℃の範囲で冷却することが望ましい。冷却ロールの温度が上記の範囲内であれば、所期の吸収性物品用バックシート材が得られ易く、溶融樹脂がロールへ密着して生産性を損なう恐れもない。また、インフレーション成形法では、通常、ダイリップから押し出された溶融した筒状体をエアーにより冷却するが、エアー風量を下げたり、エアーを加温したりして、該筒状体を徐冷することが望ましい。
製膜工程で得られた膜状成形物の厚さは特に限定されるものではないが、次の延伸工程における延伸及び熱処理条件とバックシート材の用途の要求特性によって決定され、20μm〜2mm、好ましくは50μm〜500μm程度であって、製膜速度は1〜100m/分の範囲が好適に用いられる。これらの厚さの膜状成形物は、インフレーション成形装置を初めとして、前記冷却ロールとエアー吹き出し口を有するエアーナイフ、前記冷却ロールと一対の金属ロール、前記冷却ロールとステンレスベルト等の組み合わせからなるTダイフィルム成形装置やカレンダー成形装置等の各種製膜装置により得られる。
更に、本発明の吸収性物品用バックシート材は、公知の無機質充填剤、有機質充填剤等を含有した樹脂組成物を本発明の吸収性物品用バックシート材を形成するための樹脂組成物と共押出しして膜状成形物としても構わない。この場合、充填剤等を含有した樹脂組成物を構成するポリマーは、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂が相溶性の観点から望ましい。
尚、得られた膜状成形物には、次の延伸工程に供する前に、結晶化度を更に向上させるために熱処理を施しても構わない。熱処理は、例えば、加熱空気循環オーブンまたは加熱ロールにより、80〜150℃程度の温度で1〜30分間程度加熱することにより実施される。
(ii)延伸工程
前記製膜工程で製膜された膜状成形物は、次いで少なくとも縦(MD)方向もしくは横(TD)方向のいずれか一方向に延伸され、結晶性ポリプロピレン(A)中に微分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に連通した細孔が形成される。
延伸の方法は、一方向に延伸する一軸延伸法の他に、一方向に延伸した後、もう一方の方向に延伸する逐次二軸延伸法、縦横方向に同時に延伸する同時二軸延伸法、更に、一軸方向に多段延伸を行ったり、逐次二軸延伸や同時二軸延伸の後に更に延伸を行う方法が挙げられ、何れの方法を用いても良い。
一段目の延伸温度は、共重合体(B)の融点Tmαより低いことが好ましく、10〜100℃の温度範囲が好適に用いられるが、更に本発明では、ポリオレフィン樹脂(C)を特定の組成とすることによりこれらの温度領域における延伸性に優れることを見出した。また、延伸倍率は、特に限定はなく必要に応じ行われる二段目の延伸条件やバックシート材の用途の要求特性から決定されるが、通常1.5〜4倍の範囲で、優れた特性を有する吸収物品用バックシート材が得られ、延伸切れの多発による生産性低下の恐れもない。
本発明の吸収物品用バックシート材は、通気度を更に必要とする場合などには、必要に応じ、一段目の延伸方向に対して直角の方向への二段目の延伸を行うが、二段目の延伸温度は、結晶性ポリプロピレン(A)の融点Tmcより10℃以上低いことが好ましい。
また、該延伸温度が共重合体(B)の融点Tmαより高い場合には、空隙率がそれほど増加せず、得られる吸収物品用バックシート材の厚さが低減する傾向がある。更に、該延伸温度がTmαより低い場合には、空隙率が増加するが、厚さがあまり低減しない傾向がある。
二段目の延伸倍率は、必要とする通気度等の特性により決定されるが、通常1.5〜4倍の範囲である。延伸倍率が上記の範囲内であれば、延伸効果が十分であり、延伸切れにより生産性が低下する恐れもない。
上記の延伸工程で細孔が形成され多孔質となった膜状成形物は、次いで熱処理されることが好ましい。この熱処理は、形成された細孔を保持するための熱固定を主なる目的とするものであり、通常、加熱ロール上、加熱ロール間または熱風循環炉を通すことによって行なわれる。
この熱処理(熱固定)は、延伸状態を保持したまま細孔を有する膜状成形物を結晶性ポリプロピレン(A)の融点Tmcより5〜60℃低い温度に加熱し、緩和率を0〜50%とすることにより実施される。加熱温度が上記の範囲内であれば、形成された細孔が閉塞することもなく、また、熱固定が十分に行われる。
本発明の吸収物品用バックシート材の厚さは、特に限定されるものではないが、生産性及び柔軟性の観点から10〜100μmが好ましく、20〜50μmが更に好ましい。
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。尚、用いられた測定方法及び評価方法は下記の通りである。
(1)メルトフローレート(MFR):JIS K 7210に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nの条件にて測定した。
(2)空隙率:吸収性物品用バックシート材から100×100mmのサンプルを切り出し、該サンプルの重量と厚みを測定し、下記計算式より求めた。
空隙率(%)=(1−嵩比重/真比重)×100
嵩比重=サンプル重量(mg)÷{10×サンプル厚み(μm)}
なお、真比重は、延伸前の多孔化されていない膜状成形物100×100mmについて(株)東洋精機製作所製の自動比重計DENSIMETER D−S(商品名)にて測定した。
(3)透湿度:JIS L 1099に準じて測定した。
(4)透気抵抗度(ガーレー):通気性を示す指標であり、JIS P 8117に準拠し、B型ガーレーデンソメーター(商品名、テスター産業(株)製)により空気100mlが通過する時間を測定した。
(5)引張破断強度:ASTM D882に準拠し測定した。
(6)延伸性:縦一軸延伸機を用い、延伸ロール温度40℃、繰り出し速度を10m/minとし、延伸倍率0.5倍ごとに縦方向の一軸延伸を実施した。延伸破断しない延伸倍率を可延伸倍率とし、延伸性を評価した。可延伸倍率が高いほど延伸性が優れる。
1)バックシート材用樹脂組成物の作成
表1の実施例1に示すポリオレフィン樹脂(C)に、フェノール系酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.1重量%、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトを0.1重量%、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.1重量%配合し、ヘンシェルミキサー(商品名)で混合後、2軸押出機(口径50mm)を用いて溶融混練してペレット化し、バックシート材用樹脂組成物を得た。尚、ここで用いたポリオレフィン樹脂(C)は、連続重合法により1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を重合し、2段目でプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)(プロピレン−エチレン共重合体)を重合することによって得た。
2)吸収物品用バックシート材の作成
[製膜工程/未延伸膜状成形物の作成]
前記ペレット状の樹脂組成物を、50mm押出機を用い、押出温度240℃、吐出量10kg/hrで溶融混練し、周長236mm(直径75mmφ)、リップクリアランス0.mmの円形リップより筒状に押出し、風速2m/minのエアーを当てながら冷却し、厚み120μm、周長707mm(折径225mm)の膜状成形物であるインフレーションフィルムを作成した。
3)[延伸工程/吸収物品用バックシート材の作成]
前記膜状成形物を、縦一軸延伸機を用い、延伸ロール温度40℃、繰り出し速度10m/min、延伸倍率3倍の条件で、縦方向(MD)に一軸延伸を実施した。更に、延伸温度80℃、変形速度200%の条件で縦方向を拘束しながら横方向(TD)に延伸を実施し吸収物品用バックシート材を得た。得られた吸収物品用バックシート材は優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と吸収物品用バックシート材の特性の評価結果を表1に示した。
表1の実施例2に示すポリオレフィン樹脂(C)を用いた以外は、実施例1に準じて吸収物品用バックシート材を得た。得られた吸収物品用バックシート材は優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と吸収物品用バックシート材の特性の評価結果を表1に示した。
表1の実施例3に示すポリオレフィン樹脂(C)を用いた以外は、実施例1に準じて吸収物品用バックシート材を得た。得られた吸収物品用バックシート材は優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と吸収物品用バックシート材の特性の評価結果を表1に示した。
表1の実施例4に示すポリオレフィン樹脂(C)を用いた以外は、実施例1に準じて吸収物品用バックシート材を得た。得られた吸収物品用バックシート材は優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と吸収物品用バックシート材の特性の評価結果を表1に示した。
(比較例1)
線状低密度ポリエチレン(FS150A(商品名)、東ソー(株)製、密度0.921、MFR1.0g/10min)40重量%と平均粒径1μmの炭酸カルシウム60重量%とをヘンシェルミキサー(商品名)で混合後、2軸押出機(口径50mm)を用いて溶融混練してペレット化し、バックシート材用樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を、50mm押出機を用い、押出温度220℃、吐出量10kg/hrで溶融混練し、周長236mm(直径75mmφ)、リップクリアランス0.mmの円形リップより筒状に押出し、エアーを当てながら冷却し、厚み80μm、周長472mm(折径150mm)の膜状成形物であるインフレーションフィルムを作成した。次に、前記膜状成形物を、縦一軸延伸機を用い、延伸ロール温度60℃、繰り出し速度10m/min、延伸倍率2倍の条件で、縦方向(MD)に一軸延伸を実施した。更に、延伸温度80℃、変形速度200%の条件で縦方向を拘束しながら横方向(TD)に1.5倍延伸を実施し吸収物品用バックシート材を得た。得られた吸収物品用バックシート材は透湿度の値の割には透気抵抗度が大きく、強度が低めであった。膜状成形物の延伸性と吸収物品用バックシート材の特性を表1に示した。
また、市販の使い捨ておむつの止着テープ(ファスニングテープ)を、実施例1で得られた吸収物品バックシート材と比較例1で得られた吸収物品バックシート材の表面に貼付した後、バックシート材に対し90℃の方向に止着テープを剥離した。実施例1の吸収物品バックシート材は全く問題なく剥離することが可能であったが、比較例1の吸収性バックシート材には破れが発生した。実施例1の吸収物品バックシート材を用いれば、使い捨ておむつからランディングテープを省くことが可能と判断される。
(比較例2)
表1の比較例2に示すポリオレフィン樹脂(C)を用い、実施例1に準じて吸収物品用バックシート材を作成した。比較例2では、横方向への延伸時に、延伸倍率2倍未満で延伸切れが発生して延伸性に劣り、吸収物品用バックシート材としての特性は得られなかった。
(比較例3)
ポリオレフィン樹脂(C)に代えて、MFRが2.4g/10minのプロピレン単独重合体の結晶性ポリプロピレン50重量%とMFRが2.0g/minのエチレン単独重合体(高密度ポリエチレン)50重量%を用いた以外は、実施例1に準じて吸収物品用バックシート材を作成したが、横方向への延伸時に、延伸倍率1.5倍未満で延伸切れが発生し延伸性に劣るものであった。
製膜工程において、ブロー比1.2、ドラフト比1.7とし、膜状成形物の厚みを300μmとする以外は実施例2と同様に実施した。得られた吸収物品用バックシート材は優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と吸収物品用バックシート材の特性の評価結果を表2に示した。
製膜工程において、ブロー比1.2、ドラフト比2.5とし、膜状成形物の厚みを200μmとする以外は実施例2と同様に実施した。得られた吸収物品用バックシート材は優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と吸収物品用バックシート材の特性の評価結果を表2に示した。
製膜工程において、ブロー比1.2、ドラフト比4.2とし、膜状成形物の厚みを120μmとする以外は実施例2と同様に実施した。得られた吸収物品用バックシート材は優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と吸収物品用バックシート材の特性の評価結果を表2に示した。
また、得られた吸収物品用バックシート材をMFRが35g/10minのプロピレン単独重合体よりなるポリプロピレン系スパンボンド不織布(繊維径18μm、目付け重量15g/m)に重ね合わせ、該バックシート材面よりドットによる熱エンボス加工を実施し、該バックシート材とポリプロピレン系スパンボンド不織布を積層一体化した。ドット部分を観察すると、得られた吸収物品用バックシート材のドット接触部は半透明であった。
製膜工程において、ブロー比3.0、ドラフト比2.5、膜状成形物の厚みを80μmとし、横方向(TD)への延伸は行わず縦延伸だけを行った以外は実施例2と同様に実施した。得られた吸収物品用バックシート材は優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と吸収物品用バックシート材の特性の評価結果を表2に示した。縦方向(MD)の一軸延伸だけであっても吸収物品用バックシート材として十分な特性を有するものであった。
実施例7のポリオレフィン樹脂(C)に、酸化チタンを10%含有するポリプロピレン樹脂組成物を10重量%添加した以外は実施例8と同様に実施した。得られた吸収物品用バックシート材は優れた通気性と強度とを有していた。膜状成形物の延伸性と吸収物品用バックシート材の特性の評価結果を表2に示した。
また、得られた吸収物品用バックシート材をMFRが35g/10minのプロピレン単独重合体よりなるポリプロピレン系スパンボンド不織布(繊維径18μm、目付け重量15g/m)に重ね合わせ、該バックシート材面よりドットによる熱エンボス加工を実施し、該バックシート材とポリプロピレン系スパンボンド不織布を積層一体化した。ドット部分を観察すると、得られた吸収物品用バックシート材のドット接触部分は隠蔽性が十分であった。
(比較例4)
製膜工程において、ブロー比1.2、ドラフト比8.3とし、膜状成形物の厚みを120μmとする以外は実施例2と同様に実施した。膜状成形物の延伸性と吸収物品用バックシート材の特性を表2に示した。通気性を示す透気抵抗度(ガーレー)は測定範囲を越え、吸収物品用バックシート材として実用に耐えないものであった。
(比較例5)
市販の使い捨ておむつから厚さ20μmのバックシート材を取り出して評価した結果、該バックシート材は透気抵抗度(ガーレー)1,200秒/100ml、透湿度5,200g/m/24hの通気特性を有するものの、縦方向の引張強度が13MPa、横方向の引張強度が6MPaであり、強度面で不十分なものであった。
Figure 0004193658
Figure 0004193658
本発明の吸収物品用バックシート材は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナ等に好適に使用される。また、従来の吸収物品用バックシート材と同様に、絆創膏用テープ、建材や衣料等の透湿防水用途等、各種の分野に用いることができる。

Claims (6)

  1. 結晶性ポリプロピレン(A)40〜68重量%と、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)32〜60重量%とからなるポリオレフィン樹脂(C)を含有する樹脂組成物を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1.7〜4.2の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された通気性バックシート材であって、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に連通した細孔を有する吸収性物品用バックシート材。
  2. プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のプロピレン含量が4070重量%である請求項1記載の吸収性物品用バックシート材。
  3. ポリオレフィン樹脂(C)が、1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を製造し、連続して2段目でプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)を製造する工程を含む多段重合法により得られたことを特徴とする請求項1または2記載の吸収性物品用バックシート材。
  4. 結晶性ポリプロピレン(A)のメルトフローレートをMFRPPとし、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレートをMFRRCとした時、メルトフローレート比MFRPP/MFRRCが10より大きく1,000以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の吸収性物品用バックシート材。
  5. 無機質充填剤を0.1〜10重量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の吸収性物品用バックシート材。
  6. 透気抵抗度(ガーレー)が10〜20,000秒/100ml、透湿度が200〜10,000g/m ・24hである請求項1〜5のいずれか1項記載の吸収性物品用バックシート材。
JP2003337425A 2003-09-29 2003-09-29 吸収性物品用バックシート材 Expired - Fee Related JP4193658B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003337425A JP4193658B2 (ja) 2003-09-29 2003-09-29 吸収性物品用バックシート材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003337425A JP4193658B2 (ja) 2003-09-29 2003-09-29 吸収性物品用バックシート材

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005102807A JP2005102807A (ja) 2005-04-21
JP2005102807A5 JP2005102807A5 (ja) 2006-06-22
JP4193658B2 true JP4193658B2 (ja) 2008-12-10

Family

ID=34533250

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003337425A Expired - Fee Related JP4193658B2 (ja) 2003-09-29 2003-09-29 吸収性物品用バックシート材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4193658B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4797813B2 (ja) * 2006-06-05 2011-10-19 Jnc株式会社 ポリオレフィン樹脂多孔膜
JP6126454B2 (ja) * 2013-05-14 2017-05-10 株式会社リブドゥコーポレーション 吸収性物品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005102807A (ja) 2005-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100634939B1 (ko) 다공성 폴리프로필렌 필름, 그의 제조 방법 및 상기필름을 이용한 흡수성 물품
JP2001233982A (ja) 多孔質ポリオレフィンフィルム及びその製造方法
JP3474677B2 (ja) 多孔性シート及びそれを用いた吸収性物品
JP2005145998A (ja) 熱可塑性樹脂多孔膜
JP4797813B2 (ja) ポリオレフィン樹脂多孔膜
JP4894794B2 (ja) ポリオレフィン樹脂多孔膜
JP6350222B2 (ja) 透湿性フィルムおよび透湿性フィルム積層体
JP4193658B2 (ja) 吸収性物品用バックシート材
JP4466039B2 (ja) ポリオレフィン樹脂多孔膜
JP2015229722A (ja) 透湿性フィルム
JP5705605B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂多孔シート及びポリプロピレン系樹脂多孔シートの製造方法
JP2003327731A (ja) ポリオレフィン樹脂多孔膜
JP4305133B2 (ja) 粘着シート用基材シート
JP6442876B2 (ja) 透湿性フィルム
JP4742213B2 (ja) ポリオレフィン樹脂脂取りフィルム
JP4742214B2 (ja) ポリオレフィン樹脂多孔膜
JP2001151917A (ja) 多孔性フィルム及びその製造方法
JP2015229721A (ja) 透湿性フィルム
KR100616467B1 (ko) 고투습성 통기성 필름용 컴파운드 조성물 및 이를 이용한통기성 필름
JP3675612B2 (ja) 多孔性フィルムの製造方法
JP2001294717A (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物及び該組成物から得られるポリオレフィンフィルム
JPH093225A (ja) 多孔性シート及びそれを用いた吸収性物品
JP4238692B2 (ja) 建材用通気性フィルム
JP2005139228A (ja) ポリオレフィン樹脂多孔膜
JPH07265358A (ja) 通気性おむつバックシート用樹脂組成物及び該組成物から製造した通気性おむつバックシート

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060508

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060508

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080401

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080708

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080728

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080902

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080915

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111003

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111003

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111003

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121003

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121003

Year of fee payment: 4

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121003

Year of fee payment: 4

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121003

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121003

Year of fee payment: 4

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121003

Year of fee payment: 4

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121003

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131003

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees