JP2005139228A - ポリオレフィン樹脂多孔膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂の組成を単純にすることによって、生産工程における均一分散の実現を容易にし、単純な樹脂組成にも関わらず、細孔径が小さく空隙率が高いポリオレフィン樹脂多孔膜を提供する。
【解決手段】高密度ポリエチレン(A)とエチレンα−オレフィン共重合体(B)とからなる特定のポリオレフィン樹脂(C)を含有する樹脂組成物を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物を特定の条件で膜状成形物に成形した後、膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された多孔膜であって、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に、連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜。
【選択図】なし



Description

本発明は、ポリオレフィン樹脂多孔膜に関する。詳しくは、分離膜や電池セパレータ等に好適なポリオレフィン樹脂多孔膜に関する。
連通した細孔を有するプラスチック多孔膜は様々な用途に用いられており、医療用、工業用の濾過、分離等に用いられる分離膜や、電池セパレータ、電解コンデンサー用セパレータ等のセパレータ、更に紙おむつ用バッグシート等の衛生材料、ハウスラップや屋根下地材等の建材等に広く使用されている。特に、ポリオレフィン樹脂多孔膜は有機溶剤やアルカリ性または酸性の溶液に対する耐性を有するため、これら用途に広く好適に使用されている。
ポリオレフィン樹脂多孔膜の製造方法としては次のものが知られている。
(a)ポリオレフィン樹脂にシリカやタルク等の無機質充填剤やポリオレフィン樹脂と非相溶性のナイロンやポリエチレンテレフタレート等の有機質充填剤を混合して成形したシートを、少なくとも一方向に延伸し、ポリオレフィン樹脂と充填剤の界面に空隙(細孔)を生じさせる方法(以下「多成分延伸法」という)。
(b)高ドラフト比で製膜した高密度ポリエチレンのシートを、必要に応じて加熱処理し、少なくとも一方向に延伸し、結晶ラメラ間をフィブリル化させ多孔膜を得る方法(以下「単成分延伸法」という)。
(c)ポリオレフィン樹脂に有機液状体や無機質充填剤等を混合して成形したシートから、該有機液状体や無機質充填剤を抽出し、必要に応じ該抽出の前後に延伸を行う方法(以下「混合抽出法」という)。
上記(a)の多成分延伸法には、無機質充填剤混合系と有機質充填剤混合系が知られているが、前者の場合、無機質充填剤の添加量を多くする必要があり、マトリックスとなるポリオレフィン樹脂本来の物性や風合いが低下したり、酸やアルカリに弱い等の課題があった。また、後者の有機質充填剤混合系では、ポリオレフィン樹脂本来の物性や風合いが低下するだけでなく、ポリオレフィン樹脂への有機質充填剤の微分散が難しく、細孔の孔径が小さい多孔膜や空隙率の大きい多孔膜が得られ難い等の課題がある。
上記(b)の単成分延伸法は、高ドラフト比で製膜した膜状成形物を別工程で長時間に渡り熱処理した後、特殊な条件下で多段延伸を行うものであり、方法が特殊なだけでなく、製造に長時間を要し、生産性が低いという課題があった。また、結晶ラメラ間をフィブリル化させるため、空隙率の大きい多孔膜が得られ難く、更に、高配向でかつ高結晶化されたシートを延伸するため、得られた多孔膜が裂け易いという課題を有している。
上記(c)の混合抽出法は、シート中の有機液状体を有機溶媒にて、また、無機質充填剤をアルカリ性溶媒にて抽出する工程、抽出後のシートを洗浄及び乾燥する工程からなり、製造工程が複雑であった。また、有機液状体を用いる場合は、シート中の有機液状体の含有率が40〜60重量%にも達するため、高速製膜性や延伸性に課題がある他に、各工程でロール等への有機液状物の付着等が発生し、生産性に課題がある。
一方、容易に多孔膜を得る方法として、エチレン−プロピレンブロックコポリマーからなる成分Aとプロピレンホモポリマーまたはランダムコポリマーからなる成分B及び低分子量ポリプロピレンからなる成分Cに、必要に応じ炭酸カルシウムからなる成分Dやベータ球晶成核剤からなる成分Eを添加した高分子性組成物からなる多孔膜及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、エチレン−プロピレンブロックコポリマー単独または必要に応じポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂を併用した結晶性ポリオレフィン樹脂に融点が100℃以下の鉱物油やエステル化合物を含有させた多孔性シートが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
これらの技術では、エチレン−プロピレンブロックコポリマーだけでは十分な多孔性及び通気性を示さないため、多成分系によりその改良を図っているが、多成分であるがためにそれらの各成分を均一分散させないと均一な多孔膜が得られ難く、また、多孔膜中に形成された細孔の径が大きいため、多孔膜厚さの薄肉化に難があったり、高空隙率化が難しく通気度や透湿度の向上が図り難い等の課題を有しており、小さな細孔の径を必要とする電池セパレータや高い空隙率と通気度を必要とする精密濾過用フィルタに使用することは難しい。
特開平4−309546号公報 特開平8−208862号公報
本発明は、従来のポリオレフィン樹脂多孔膜に関する前記課題を解決すべくなされたものであり、樹脂の組成を単純にすることによって、生産工程における均一分散の実現を容易にし、単純な樹脂組成にも関わらず、細孔径が小さく空隙率が高いポリオレフィン樹脂多孔膜を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、高密度ポリエチレン(A)とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)とからなるポリオレフィン樹脂(C)を含有する樹脂組成物を溶融し混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物を膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された多孔膜であって、ポリオレフィン樹脂(C)が高密度ポリエチレン(A)30〜80重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)20〜70重量%とからなり、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜によって本課題が解決されることを見出しこの知見に基づいて本発明を完成した。尚、本発明において連通した細孔とは、共重合体(B)領域に連続的に形成され、結果的に多孔膜の両面をつなぐ経路となる細孔をいう。
本発明は、以下によって構成される。
1.高密度ポリエチレン(A)とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)とからなるポリオレフィン樹脂(C)を含有する樹脂組成物を溶融し混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物を膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された多孔膜であって、ポリオレフィン樹脂(C)が高密度ポリエチレン(A)30〜80重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)20〜70重量%とからなり、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜。
2.高密度ポリエチレン(A)のメルトフローレートMFRPEとエチレン−α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレートMFRRCのメルトフローレート比MFRPE/MFRRCが0.1〜10であることを特徴とする前記1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
3.メルトフローレート比MFRPE/MFRRCが0.2〜5であることを特徴とする前記2項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
4.膜状溶融物を膜状成形物に成形する際のドラフト比が1〜10の範囲であることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
5.膜状溶融物を膜状成形物に成形する際のドラフト比が1〜3の範囲であることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
6.ポリオレフィン樹脂(C)が高密度ポリエチレン(A)40〜70重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)30〜60重量%とからなることを特徴とする前記1〜5項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
7.エチレン−α−オレフィン共重合体(B)のエチレン含量が30〜80重量%である前記1〜6項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
8.エチレン−α−オレフィン共重合体(B)のエチレン含量が40〜70重量%である前記1〜6項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
9.透気抵抗度(ガーレー)が1〜2,000秒/100ml、膜破れ温度Tが130℃以上であって、膜破れ温度Tと孔閉塞温度Tの差ΔTが20℃以上であることを特徴とする前記1〜8項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、高密度ポリエチレン(A)中にエチレン−α−オレフィン共重合体(B)が微分散した低温延伸性に優れたポリオレフィン樹脂(C)を用い、特定の加工方法によって共重合体(B)領域に共重合体(B)の開裂による細孔を形成させて得られた、空隙率や通気度等の多孔膜特性に優れた多孔膜である。また、本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、従来のような複雑な製造工程を用いないで得られる経済的な多孔膜であり、連通した微細孔を必要とする分離膜、電池セパレータ、通気防水材等の用途に好適に使用することができる。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
(1)ポリオレフィン樹脂
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜には、高密度ポリエチレン(A)とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)(以下単に「共重合体(B)」という場合がある)とからなるポリオレフィン樹脂(C)が使用される。
(i)高密度ポリエチレン(A)
高密度ポリエチレン(A)は、主としてエチレン重合単位からなる重合体であり、好ましくはエチレン重合単位が全体の90重量%以上であるポリエチレンである。具体的には、エチレンの単独重合体であってもよく、また、エチレン重合単位90重量%以上とα−オレフィン10重量%以下との共重合体であってもよい。高密度ポリエチレン(A)が共重合体の場合に使用されるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。このうち、エチレン単独重合体またはエチレン重合単位の含量が90重量%以上のエチレン−α―オレフィン共重合体を用いるのが、製造コストの点から好ましい。
高密度ポリエチレン(A)は、密度が0.93〜0.97g/cmの範囲のエチレン重合体であって、密度が上記の範囲内であれば多孔化が容易である。
高密度ポリエチレン(A)の重量平均分子量は、1×10〜1×10の範囲が好ましく、1×10〜1×10の範囲が更に好ましい。製膜加工性や機械的物性等の改良を目的として重量平均分子量の異なるエチレン重合体を2種以上用いても構わない。特に、機械的物性の改良を目的として、重量平均分子量1×10〜1×10の範囲にある高密度ポリエチレンに重量平均分子量が1×10〜1×107の範囲にある超高分子量ポリエチレンを添加しても構わない。
また、高密度ポリエチレン(A)のメルトフローレートMFRPEは製膜の安定性から0.1〜50g/10minの範囲のものが好ましい。
(ii)エチレン−α−オレフィン共重合体(B)
共重合体(B)は、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体である。エチレン重合単位の含量は、共重合体(B)全体に対し重量基準で30〜80重量%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは35〜75重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。エチレン重合単位の含量が前記範囲より多過ぎる場合には、高密度ポリエチレン(A)のマトリックス中に存在するエチレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に細孔が形成され難く、また、エチレン重合単位の含量が前記範囲より少なすぎる場合には、高密度ポリエチレン(A)とオレフィン共重合体(B)の界面剥離が生じ易くなるため延伸性が低下し、細孔径も大きなものとなり易い。
共重合体(B)に使用されるエチレン以外のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。このうちα−オレフィンとしてプロピレンを用いたエチレン−プロピレン共重合体や1−ブテンを用いたエチレン−ブテン共重合体が、製造コストの点から好ましく用いられる。
共重合体(B)のメルトフローレートMFRRCは特に限定されないが、0.1〜20g/10minの範囲が成形加工性に優れるため好適である。
(iii)ポリオレフィン樹脂(C)
ポリオレフィン樹脂(C)は、高密度ポリエチレン(A)と共重合体(B)からなる。高密度ポリエチレン(A)のメルトフローレートMFRPEと共重合体(B)のメルトフローレートMFRRCとのメルトフローレート比MFRPE/MFRRC(以下、「MFR比」という)は、特に限定されないが、成形加工性の観点から0.1〜1,000が好ましい。
中でも、MFR比が、0.1〜10、特に0.2〜5の場合には、共重合体(B)が高密度ポリエチレン(A)中に微分散するために微細で連通した細孔が得られ易く、微細な細孔同士の接触点が増加することから、JIS P8117に規定される透気抵抗度(ガーレー)が小さく、通気性の大きな多孔膜が得られ易い。また、延伸性に優れるために空隙率の高い多孔膜が得られ易く、通気性も一層大きくなる。
MFR比が10より大きい場合は、延伸により形成される細孔の孔径は、MFR比が、0.1〜10の場合に比べて大きく、連通した細孔の割合が低下する傾向がある。
本発明においては、MFR比が0.1〜10の場合には、透気抵抗度(ガーレー)が1〜2,000秒/100ml、透湿度が1,000〜20,000g/m・24hの多孔膜を得ることができる。該多孔膜では、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察によれば、1〜2μmの微細な細孔が多数連なっており、細孔径の長軸の最大値が5μm以下の微細な細孔が認められる。このような多孔膜は、高いろ過精度が求められる分離膜や電池セパレータ等に好適に使用可能である。
尚、電池セパレータの場合、電池の誤使用等により電池内部が異常に温度上昇し発火等の事故が生じるのを防止するために、ある程度の温度に達したらセパレータが膜破れすることなく細孔を閉塞して電流をシャットダウンする機能(以下「シャットダウン機能」という)が求められており、膜破れする温度T(以下「膜破れ温度」という)と細孔を閉塞する温度(以下「孔閉塞温度」という)Tの差ΔT=T−Tを大きくし、かつ、より早い段階で異常反応を停止し温度上昇を抑えるべく孔閉塞温度を低減することが望まれているが、本発明において、MFR比が0.1〜10の場合には、膜破れ温度Tと孔閉塞温度Tの差が20℃以上とすることができることから、特に電池セパレータとして好適に用いることができる。この電池セパレータとしての優れたシャットダウン機能はMFR比を0.1〜10とすることにより、細孔径が小さく閉塞し易いこと、また、共重合体(B)自体が占める領域の中での細孔形成が多く、共重合体(B)が相溶性を有する高密度ポリエチレン(A)と強固に絡み合い、高密度ポリエチレン(A)が共重合体(B)の熱収縮を抑えることが原因と推察される。
尚、MFR比が10より大きい場合には、透気抵抗度(ガーレー)が10〜20,000秒/100ml、透湿度が200〜10,000g/m・24hの多孔膜を得ることができる。該多孔膜では、SEMによる断面観察によれば、5μm前後の細孔が多数連なっており、細孔径の長軸の最大値が10μm以下の細孔が認められる。このような多孔膜は、製造条件による品質特性の変動が少なく比較的低コストであり、通気防水材等の建築資材分野、使い捨ておむつ用通気性シート等の衛材分野等に好適に使用可能である。
ポリオレフィン樹脂(C)における、高密度ポリエチレン(A)の含量は30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%であり、共重合体(B)の含量は20〜70重量%、好ましくは30〜60重量%である。共重合体(B)の含量が20重量%未満の場合には、共重合体(B)領域に形成された細孔の連なりが少なくなることから本発明の連通した細孔が得られ難く、70重量%を超える場合には、高密度ポリエチレン(A)中に存在する共重合体(B)の微分散構造が得られ難くなる。
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜には、高密度ポリエチレン(A)中に微分散した共重合体(B)領域に微細な開裂が多数認められる。共重合体(B)が一定以上のエチレン成分を含有するために高密度ポリエチレンと相溶性を有しており、この高密度ポリエチレン(A)と相溶性を有する共重合体(B)が、高密度ポリエチレン(A)より低強度であるため、延伸応力により共重合体(B)領域で開裂が発生したと推察される。このメカニズムは従来の無機質フィラーや異種ポリマーを混合及び延伸した多成分延伸法と根本的に異なるところであり、その結果、得られた多孔膜は、細孔径が小さく、空隙率や通気度が大きくなる。
尚、本発明において共重合体(B)領域とは、共重合体(B)自体が占める領域、及び共重合体(B)とそれに隣接する物質との境界領域をいう。従って、共重合体(B)領域に生じる細孔には、共重合体(B)自体が占める領域の中で生じる開裂による細孔、及び高密度ポリエチレン(A)等と共重合体(B)との境界領域で生じる界面剥離による細孔が含まれる。
(2)ポリオレフィン樹脂多孔膜形成用樹脂組成物
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜を形成するための膜状成形物の成形材料である樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(C)の他に、通常のポリオレフィンに使用される酸化防止剤、中和剤、α晶造核剤、β晶造核剤、ヒンダードアミン系耐候剤、紫外線吸収剤、防曇剤や帯電防止剤等の界面活性剤、無機充填剤、滑剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、防黴剤、顔料等を必要に応じて配合することができる。
酸化防止剤としては、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、またはトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤等が例示できる。
中和剤としてはステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸塩類が例示でき、無機充填剤及びブロッキング防止剤としては炭酸カルシウム、シリカ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が例示でき、滑剤としてはステアリン酸アマイド等の高級脂肪酸アマイド類が例示でき、帯電防止剤としてはグリセリンモノステアレート等の脂肪酸エステル類が例示できる。
α晶造核剤としては、タルク、アルミニウムヒドロキシ−ビス(4−t−ブチルベンゾエート)、1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(2’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(3’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−クロルベンジリデン)ソルビトール、ナトリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムジヒドロキシ−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等の公知のα晶造核剤が挙げられる。これらは単独使用でも、2種以上の併用でも良い。
これらの添加剤の配合量は、ポリオレフィン樹脂多孔膜の使用目的等により適宜選択することができるが、通常前記樹脂組成物全量に対し0.001〜5重量%程度とするのが好ましい。
また、本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜を形成するための前記樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン等の高密度ポリエチレン以外のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の他のオレフィン樹脂の1種以上を併用しても構わない。
更に、前記樹脂組成物の軟化温度や多孔膜の孔閉塞温度を低下させたり、多孔膜の柔軟性を向上させるためにシングルサイト触媒や公知のマルチサイト触媒で重合されたエチレン−ジエン弾性共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン弾性共重合体、スチレン−ブタジエン弾性共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン弾性共重合体等の弾性共重合体及びそれらの水素添加処理品を添加しても構わない。
前記ポリオレフィン樹脂(C)と上記添加剤を配合する方法は特に限定されず、例えばヘンシェルミキサー(商品名)等の高速撹拌機付混合機及びリボンブレンダー並びにタンブラーミキサー等の通常の配合装置により配合する方法(ドライブレンド)が例示でき、更に通常の単軸押出機または二軸押出機等を用いてペレット化する方法が例示できる。
(3)ポリオレフィン樹脂多孔膜の形成
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、ポリオレフィン樹脂(C)を主成分とした前記樹脂組成物を溶融混練し膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を100℃以下の温度で少なくとも一方向に延伸することにより形成することができる。その工程は、製膜工程と延伸工程からなる。尚、主成分とは一番多い成分である。
(i)製膜工程
前記樹脂組成物から膜状成形物を得るための製膜工程には、公知のインフレーションフィルム成形法、Tダイフィルム成形法、カレンダー成形法等の方法が用いられるが、膜厚さの精度が高く多層化が容易なTダイフィルム成形法が好適に用いられる。
前記樹脂組成物は、160℃以上の押出成形温度で製膜することができるが、ダイス内圧力を低減させ後述のドラフト比を低減させる目的と、マトリックスとなる高密度ポリエチレン(A)の剛性を向上させて高密度ポリエチレン(A)中に分散した共重合体(B)領域に均一かつ微細な細孔が生じさせ易くするため、200〜300℃の押出成形温度が好適に用いられる。
溶融混練された前記樹脂組成物は、ダイリップより押し出されるが、この際、ダイリップを通過する樹脂組成物の流れ方向(MD)の線速度VCLと膜状成形物の流れ方向(MD)の線速度Vの比で定義されるドラフト比(VCL/V)が本願発明を達成するための重要な要因である。一般に熱可塑性樹脂フィルムの成形時にはドラフト比は10〜50程度である。本発明においては、該樹脂組成物を製膜する際のドラフト比は1〜10であり、これによって得られる膜状成形物は延伸性に優れ、延伸によって微細な連通した細孔が形成され易くなる。
また、インフレーションフィルム成形法の場合には、前記ドラフト比に加え、インフレーションフィルムの周長Lと円形リップの周長Lの比で表されるブロー比L/Lにより得られるオレフィン樹脂多孔膜の特性も変化するが、ドラフト比が上記範囲内であれば、ブロー比は1〜10程度の範囲が好適に用いられる。ブロー比が上記範囲内であれば、膜状成形物の安定生産が可能で、得られる膜状成形物の多孔化がし易い。
MFR比が0.1〜10の場合、前記ドラフト比は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。また、MFR比が10より大きく1,000以下の場合には、該ドラフト比1〜5がより好ましい。
上記の方法によって、一般的なドラフト比においては連通した細孔が得られ難いMFR比が10より大きいポリオレフィン樹脂(C)においても、連通した細孔の形成が可能である。また、ポリオレフィン樹脂(C)が高密度ポリエチレン(A)と共重合体(B)のみの二成分系でも、得られる多孔膜は衛材や建築資材の用途には十分な通気性を有する。
また、マトリックスとなる高密度ポリエチレン(A)の剛性を向上させて高密度ポリエチレン(A)中に分散した共重合体(B)領域に均一かつ微細な細孔を生じさせ易くするため、ダイリップより押出される膜状成形物の冷却は、徐冷とすることが望ましく、冷却ロールの温度を60〜120℃、好ましくは70〜110℃の範囲で冷却することが望ましい。60℃未満のロール温度では所期の多孔化が得られ難く、120℃を超えると溶融樹脂がロールへ密着し易く生産性に劣る等の課題がある。
製膜工程で得られた膜状成形物の厚さは特に限定されるものではないが、次の延伸工程における延伸及び熱処理条件と多孔膜の用途の要求特性によって決定され、20μm〜2mm、好ましくは50〜500μm程度であって、製膜速度は1〜100m/分の範囲が好適に用いられる。これらの厚さの膜状成形物は、インフレーション成形装置をはじめとして、前記冷却ロールとエアー吹き出し口を有するエアーナイフ、前記冷却ロールと一対の金属ロール、前記冷却ロールとステンレスベルト等の組み合わせからなるTダイフィルム成形装置やカレンダー成形装置等の各種製膜装置により得られる。
更に、本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、公知の無機質充填剤、有機質充填剤等を含有した樹脂組成物を本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜形成用樹脂組成物と共押出しして膜状成形物としても構わない。この場合、充填剤等を含有した樹脂組成物を構成するポリマーは、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂が相溶性の観点から望ましい。
尚、得られた膜状成形物には、次の延伸工程に供する前に、結晶化度を更に向上させるために熱処理を施しても構わない。熱処理は、例えば、加熱空気循環オーブンまたは加熱ロールにより、60〜120℃程度の温度で1〜30分間程度加熱することにより実施される。
(ii)延伸工程
前記製膜工程で製膜された膜状成形物は、次いで少なくとも縦(MD)方向もしくは横(TD)方向のいずれか一方向に延伸され、高密度ポリエチレン(A)中に微分散した共重合体(B)領域に連通した細孔が形成される。この点が、本発明の製造方法が、従来技術である単成分延伸法、多成分延伸法及び混合抽出法等と根本的に異なるところである。これにより本発明の製造方法は、混合抽出法のような複雑な抽出及び乾燥工程等の製造工程や、高密度ポリエチレン(A)のラメラ結晶間のフィブリル化により細孔を発現させる単成分延伸法に見られる製膜後の熱処理による結晶化工程等を必ずしも必要とせず、高密度ポリエチレン(A)と充填剤の界面に空隙を生じさせる多成分延伸法の場合の延伸性不良や平均細孔径が大きくなり易く空隙率が低い等の課題を大幅に改善し、任意の平均細孔径や空隙率を有する多孔膜を優れた生産性を以って提供することを可能にする。
延伸の方法は、一方向に延伸する一軸延伸法の他に、一方向に延伸した後、もう一方の方向に延伸する逐次二軸延伸法、縦横方向に同時に延伸する同時二軸延伸法、更に、一軸方向に多段延伸を行う方法、逐次二軸延伸や同時二軸延伸の後に更に延伸を行う方法が挙げられ、何れの方法を用いても良い。尚、膜状成形物は前記製膜工程においてドラフトされるため、例え低ドラフト比で製膜された膜状成形物であっても、高密度ポリエチレン(A)中に微分散する共重合体(B)は樹脂の流れ方向つまり縦(MD)方向に沿って配向しており、一段目の延伸は横方向への一軸延伸法もしくは縦横方向への同時二軸延伸法により行うことが望ましいが、一段目に縦方向への延伸を行い二段目に横方向へ延伸を行う逐次二軸延伸法でも構わない。
この一段目の延伸温度は、共重合体(B)の融点もしくは軟化点より低いことが好ましく、10〜100℃の温度範囲、更に好ましくは10〜60℃の温度範囲が好適に用いられるが、更に本発明では、ポリオレフィン樹脂(C)を特定の組成とすることによりこれらの温度領域における延伸性に優れることを見出した。また、延伸倍率は、特に限定はなく必要に応じ行われる二段目の延伸条件や多孔膜の用途の要求特性から決定されるが、MFR比が1〜10の場合は、MFR比が10より大きい場合に比べて、延伸性が優れるため、通常1.5倍〜7倍の範囲である。また、MFR比が10より大きい場合は、延伸倍率は通常1.5〜4倍の範囲である。
延伸倍率が上記の範囲であれば優れた特性を持つ多孔膜が得られ、延伸切れの多発による生産性低下の恐れもない。また、同時二軸延伸の場合には、面積倍率(=縦延伸倍率×横延伸倍率)は2〜50倍が好ましく、更に好ましくは4〜40倍である。面積倍率がこの範囲であれば優れた特性を持つ多孔膜が得られ、延伸切れの多発による生産性低下の恐れもない。
本発明の多孔膜は、必要に応じ二段目の延伸を行うが、二段目の延伸温度は、高密度ポリエチレン(A)の融点Tmcより10℃以上低いことが好ましい。また、該延伸温度が共重合体(B)の融点Tmαより高い場合には、空隙率がそれほど増加せず、得られる多孔膜の厚さが低減する傾向がある。更に、該延伸温度がTmαより低い場合には、空隙率が増加するが、厚さがあまり低減しない傾向がある。
二段目の延伸倍率は、多孔膜の用途の要求特性により決定されるが、MFR比が1〜10の場合は、MFR比が10より大きい場合に比べて、延伸性が優れるため、通常1.5倍〜7倍の範囲である。また、MFR比が10より大きい場合は、延伸倍率は通常1.5〜4倍の範囲である。
延伸倍率が上記の範囲内であれば、延伸効果が十分で、延伸切れにより生産性が低下する恐れがない。
上記の延伸工程で細孔が形成され多孔質となった膜状成形物は、次いで熱処理されることが好ましい。この熱処理は、形成された細孔を保持するための熱固定を主なる目的とするものであり、通常、加熱ロール上、加熱ロール間または熱風循環炉を通すことによって行なわれる。
この熱処理(熱固定)は、延伸状態を保持したまま多孔質となった膜状成形物を高密度ポリエチレン(A)の融点Tmcより5〜60℃低い温度に加熱し、緩和率を0〜50%とすることにより実施される。加熱温度が上記の上限温度より高いと、形成された細孔が閉塞することもあり、また、温度が上記の下限温度より低いと熱固定が不十分となり易く、後に細孔が閉鎖したり、またポリオレフィン樹脂多孔膜として使用する際に温度変化により熱収縮を起こし易くなる。
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜の空隙率は、特に限定されるものではないが、20〜90%が好ましく、30〜80%がより好ましく、50〜80%が更に好ましい。空隙率が上記の範囲内であれば、多孔膜としての機能が得られ、強度が低下する恐れがない。
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜の厚さは、特に限定されるものではないが、生産性の観点から10〜200μm程度が好ましい。
本発明のオレフィン樹脂多孔膜には、必要に応じ、界面活性剤処理、コロナ放電処理、低温プラズマ処理、スルホン化処理、紫外線処理、放射線グラフト処理等の親水化処理を施すことができ、また各種塗膜を形成することができる。
上記の方法で得られるポリオレフィン樹脂多孔膜は、従来の多孔膜と同様に、空気清浄化や水処理用の濾過膜または分離膜、電池や電気分解用のセパレータ、建材や衣料等の透湿防水用途等、各種の分野に用いることができる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。尚、用いられた測定方法及び評価方法は下記の通りである。
(1)空隙率:延伸後の多孔膜サンプル100×100mmから嵩比重を求め、また、延伸前の多孔化されていない膜状成形物サンプル100×100mmから(株)東洋精機製作所製の自動比重計DENSIMETER,D−Sにて真比重を求め、下記式より空隙率を求めた。
空隙率(%)=(1−嵩比重/真比重)×100
(2)最大細孔径:縦(MD)及び横(TD)の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、細孔の長軸方向の長さの最大値をもって最大細孔径とした。
(3)透湿度:JIS L 1099に準じて測定した。
(4)メルトフローレート(MFR):JIS K 7210に準拠し、温度190℃、荷重21.18Nの条件にて測定した。
(5)透気抵抗度(ガーレー):JIS P8117に準じて、B型ガーレーデンソメーター(テスター産業(株)製)により空気100mlが通過する時間を測定した。
(6)孔閉塞温度Tと膜破れ温度T:サンプルを直径76mm(3インチ)の円形ホルダーに固定したものを100℃から140℃の温度域で5℃ごとに恒温槽に1時間放置し熱処理し、透気抵抗度(ガーレー)を測定し、10,000秒/100ml以上となる温度を孔閉塞温度Tとした。また、同等に熱処理し膜破れが発生する温度を膜破れ温度Tとした。
(7)延伸性:縦一軸延伸機を用い、延伸ロール温度40℃、繰り出し速度を10m/minとし、延伸倍率0.5倍ごとに縦方向の一軸延伸を実施した。延伸破断しない延伸倍率を可延伸倍率とし、延伸性を評価した。可延伸倍率が高いほど延伸性が優れる。
1)多孔膜形成用樹脂組成物の作成
表1の実施例1に示すポリオレフィン樹脂(C)に、フェノール系酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.1重量%、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトを0.1重量%、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.1重量%配合し、ヘンシェルミキサー(商品名)で混合後、2軸押出機(口径50mm)を用いて溶融混練してペレット化し、多孔膜形成用樹脂組成物を得た。
2)多孔膜の作成
[製膜工程/未延伸膜状成形物の作成]
前記ペレット状の樹脂組成物を、50mm押出機を用い、押出温度240℃、吐出量10kg/hrで溶融混練し、周長236mm(直径75mmφ)、リップクリアランス0.4mmの円形リップより筒状に押出し、風速2m/minのエアーを当てながら冷却し、厚さ120μm、周長707mm(折径225mm)の膜状成形物であるインフレーションフィルムを作成した。
3)[延伸工程/多孔膜の作成]
前記膜状成形物を、縦一軸延伸機を用い、延伸ロール温度40℃、繰り出し速度10m/min、延伸倍率3倍の条件で、縦方向(MD)に一軸延伸を実施した。更に、延伸温度60℃、変形速度200%の条件で縦方向を拘束しながら横方向(TD)に延伸を実施しポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。得られたポリオレフィン樹脂多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表1に示した。
表1の実施例2に示すポリオレフィン樹脂(C)を用いた以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。得られたポリオレフィン樹脂多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表1に示した。
表1の実施例3に示すポリオレフィン樹脂(C)を用いた以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。得られたポリオレフィン樹脂多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表1に示した。
表1の実施例4に示すポリオレフィン樹脂(C)を用いた以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。得られたポリオレフィン樹脂多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表1に示した。
表1の実施例5に示すポリオレフィン樹脂(C)を用い、製膜時の押出温度を220℃とする以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。得られたポリオレフィン樹脂多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表1に示した。
表1の実施例6に示すポリオレフィン樹脂(C)を用い、製膜時の押出温度を200℃とする以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。尚、実施例6では、縦方向への延伸時に、延伸倍率3倍の条件で延伸切れが多発したため延伸倍率2.5倍にて延伸しポリオレフィン樹脂多孔膜とした。得られたポリオレフィン樹脂多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表1に示した。
表1の実施例7に示すポリオレフィン樹脂(C)を用い、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。得られたポリオレフィン樹脂多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表1に示した。
(比較例1)
線状低密度ポリエチレン(FS150A(商品名)、東ソー(株)製、密度0.921、MFR1.0g/10min)40重量%と平均粒径1μmの炭酸カルシウム60重量%とをヘンシェルミキサー(商品名)で混合後、2軸押出機(口径50mm)を用いて溶融混練してペレット化し、ポリオレフィン樹脂多孔膜用樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を、50mm押出機を用い、押出温度220℃、吐出量10kg/hrで溶融混練し、周長236mm(直径75mmφ)、リップクリアランス0.6mmの円形リップより筒状に押出し、エアーを当てながら冷却し、厚さ80μm、周長472mm(折径150mm)の膜状成形物であるインフレーションフィルムを作成した。次に、前記膜状成形物を、縦一軸延伸機を用い、延伸ロール温度60℃、繰り出し速度10m/min、延伸倍率2倍の条件で、縦方向(MD)に一軸延伸を実施した。更に、延伸温度80℃、変形速度200%の条件で縦方向を拘束しながら横方向(TD)に1.5倍延伸を実施しポリオレフィン樹脂多孔膜を得たが、SEM観察による最大孔径が14μmと大きく、透気抵抗度が1,600秒/100mlであり十分な通気性を有するものではなかった。得られたポリオレフィン樹脂多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表2に示した。
(比較例2)
表1の比較例1に示すポリオレフィン樹脂(C)を用い、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を作成した。比較例2では、縦方向への延伸時に、延伸倍率2倍未満で延伸切れが発生して延伸性に劣ったことから、縦延伸倍率を1.5倍とし、横延伸倍率を1.5倍としたが、透湿度及び透気抵抗度が測定範囲外であり、通気性を有する多孔膜としての特性は得られなかった。得られたポリオレフィン樹脂多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表2に示した。
(比較例3)
ポリオレフィン樹脂(C)に代えて、密度が0.960g/cm、MFR(温度190℃、荷重21.18N)が0.90g/10minの高密度ポリエチレン50重量%と、密度が0.910g/cm、MFR(温度230℃、荷重21.18N)が2.4g/10minのプロピレン単独重合体樹脂50重量%とを用いた以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を作成したが、縦方向への延伸時に、延伸倍率1.5倍未満で延伸切れが発生し延伸性が極端に劣っていたため、多孔膜は得られなかった。
実施例2に示すポリオレフィン樹脂(C)を用い、製膜工程においてダイリップクリアランス1.2mm、ブロー比1.4、ドラフト比2.9とする以外は、実施例2と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表2に示した。
製膜工程において、ドラフト比を4.3とする以外は実施例8と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表2に示した。
製膜工程において、ドラフト比を7.1とする以外は実施例8と同様に実施した。得られたポリオレフィン樹脂多孔膜の特性と膜状成形物の延伸性の評価結果を表2に示した。
実施例2で得られたポリオレフィン樹脂多孔膜について、膜破れ温度T及び孔閉塞温度Tを測定した結果、それぞれTが140℃、Tが110℃であった。ΔTが30℃であり、また、孔閉塞温度T自体も低いことから電池セパレータとして優れたシャットダウン機能(電池の誤使用等により電池内部が異常に温度上昇し発火等の事故が生じるのを防止するために、ある程度の温度に達したらセパレータが膜破れすることなく細孔を閉塞して電流をシャットダウンする機能)及び安全性を有していた。
実施例5で得られたポリオレフィン樹脂多孔膜について、膜破れ温度T及び孔閉塞温度Tを測定した結果、それぞれTが140℃、Tが130℃であった。ΔTが10℃であり電池セパレータとして若干のシャットダウン機能を有していた。
(比較例4)
比較例1で得られたポリオレフィン樹脂多孔膜について、膜破れ温度T及び孔閉塞温度Tを測定した結果、Tは125℃と低く、また、120℃でも透気抵抗度が1800秒/100mlであり10,000秒/100ml以上とはならず、孔閉塞温度Tは測定不可能であった。
(比較例5)
市販の電池セパレータ(商品名セルガード2400、セルガード(株)製、厚さ27μm、空隙率38%、透気抵抗度600秒/100ml)について、膜破れ温度T及び孔閉塞温度Tを測定した結果、Tは165℃であったが、160℃でも透気抵抗度が710秒/100mlであり10,000秒/100ml以上とはならず、孔閉塞温度Tは測定不可能であり、電池セパレータとしてシャットダウン機能は認められなかった。
(表1)
Figure 2005139228
(表2)
Figure 2005139228
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、電池セパレータや分離膜、通気防水材等の建築資材分野、使い捨ておむつ用通気性シート等の衛材分野に好適に使用される。

Claims (9)

  1. 高密度ポリエチレン(A)とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)とからなるポリオレフィン樹脂(C)を含有する樹脂組成物を溶融し混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物を膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された多孔膜であって、ポリオレフィン樹脂(C)が高密度ポリエチレン(A)30〜80重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)20〜70重量%とからなり、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)領域に連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜。
  2. 高密度ポリエチレン(A)のメルトフローレートMFRPEとエチレン−α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレートMFRRCのメルトフローレート比MFRPE/MFRRCが0.1〜10であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  3. メルトフローレート比MFRPE/MFRRCが0.2〜5であることを特徴とする請求項2記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  4. 膜状溶融物を膜状成形物に成形する際のドラフト比が1〜10の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  5. 膜状溶融物を膜状成形物に成形する際のドラフト比が1〜3の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  6. ポリオレフィン樹脂(C)が高密度ポリエチレン(A)40〜70重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)30〜60重量%とからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  7. エチレン−α−オレフィン共重合体(B)のエチレン含量が30〜80重量%である請求項1〜6のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  8. エチレン−α−オレフィン共重合体(B)のエチレン含量が40〜70重量%である請求項1〜6のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  9. 透気抵抗度(ガーレー)が1〜2,000秒/100ml、膜破れ温度Tが130℃以上であって、膜破れ温度Tと孔閉塞温度Tの差ΔTが20℃以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2014054726A1 (ja) * 2012-10-03 2016-08-25 東レバッテリーセパレータフィルム株式会社 二軸延伸微多孔フィルム
JP2018037310A (ja) * 2016-08-31 2018-03-08 住友化学株式会社 非水電解液二次電池用セパレータ
KR102260536B1 (ko) * 2019-12-24 2021-06-03 한화토탈 주식회사 폴리에틸렌 수지 조성물 및 이로부터 제조된 이차전지용 분리막

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