JP5262556B2 - ポリオレフィン樹脂多孔膜及びそれを用いた電池セパレータ - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオレフィン樹脂多孔膜及びそれを用いた電池セパレータに関する。
連通した細孔を有するプラスチック多孔膜は様々な用途に用いられており、医療用、工業用の濾過、分離等に用いられる分離膜や、電池セパレータ、電解コンデンサー用セパレータ等のセパレータ、更に紙おむつ用バッグシート等の衛生材料、ハウスラップや屋根下地材等の建材等に広く使用されている。特に、ポリオレフィン樹脂多孔膜は有機溶剤やアルカリ性または酸性の溶液に対する耐性を有するため、これら用途に広く好適に使用されている。
ポリオレフィン樹脂多孔膜の中でも、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を主成分とした多孔膜は、耐薬品性の観点から有機溶媒系電池セパレータに適しており、その製造方法としては、一般に次のものが知られている。
(a)高ドラフト比で製膜した結晶性ポリプロピレンのシートを、必要に応じて加熱処理し、少なくとも一方向に延伸し、結晶ラメラ間をフィブリル化させ多孔膜を得る方法(以下「単成分延伸法」という)。
(b)ポリオレフィン樹脂に有機液状体、無機質充填剤等を混合して成形したシートから、該有機液状体、無機質充填剤等を抽出し、必要に応じ該抽出の前後に延伸を行う方法(以下「混合抽出法」という)。
(c)ポリエチレンとポリプロピレン等を混合して成形したシートを、少なくとも一方向に延伸し、異種ポリマー間の界面に空隙(細孔)を生じさせる方法(以下「多成分延伸法」という)。
多成分延伸法は、マトリックスポリマーへの異種ポリマーの微分散が難しく、また、延伸性にも劣ることから、細孔の孔径が小さい電池セパレータや空隙率の大きい電池セパレータが得られ難いため、上記混合抽出法または単成分延伸法による電池セパレータが主流をなしている。
一方、有機溶媒系電池の場合、電池の誤使用等により電池内部が異常に温度上昇し発火等の事故が生じるのを防止するために、ある程度の温度に達したらセパレータが膜破れすることなく細孔を閉塞して電流をシャットダウンする機能(以下「シャットダウン機能」という)が求められている。このシャットダウン機能に対し上記単成分延伸法や溶媒抽出法だけの技術では十分なシャットダウン機能が得られず、膜破れする温度(以下「膜破れ温度」という)Tと細孔を閉塞する温度(以下「孔閉塞温度」という)Tの差ΔT=T−Tを大きくし、かつ、より早い段階で異常反応を停止し温度上昇を抑えるため孔閉塞温度を低減することが望まれている。
この要求に対して、ポリプロピレンとポリエチレンの融点差の特性を利用し、ポリプロピレン微多孔膜とポリエチレン微多孔膜とを多層化し、孔閉塞温度と膜破れ温度の差を大きくして、セパレータの安全性を高める技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この場合は製造工程が複雑なだけでなく、セパレータの薄膜化が難しく、小型化、軽量化が求められる電池のセパレータとしては不十分であった。
また、ポリプロピレンとポリエチレンを特定の割合で混合して製膜し、更に延伸することにより、電池セパレータの孔閉塞温度と膜破れ温度の改良を図る技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。電池セパレータには、脱離した正極材がセパレータを通過することを防止するために、細孔の径が小さいことが必要とされるが、該技術によって得られる細孔は、ポリプロピレンとポリエチレンの界面剥離により形成されるため、細孔径が大きく、微細孔を必要とする電池セパレータに用いることが難しかった。
一方、エチレン−プロピレンブロックコポリマーからなる成分Aとプロピレンホモポリマーまたはランダムコポリマーからなる成分B及び低分子量ポリプロピレンからなる成分Cに、必要に応じ炭酸カルシウムからなる成分Dやベータ球晶成核剤からなる成分Eを添加した高分子性組成物からなる多孔膜及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
これらの技術では、エチレン−プロピレンブロックコポリマーだけでは十分な多孔性及び通気性が得られないため、多成分系によりその改良を図っているが、形成された細孔の径が大きく、正極材の透過による正負極間の短絡が懸念されるだけでなく、膜破れ温度Tと孔閉塞温度Tの差ΔT=T−Tが小さいため、シャットダウン機能に課題を有している。また、この細孔径が大きいため、膜の薄肉化や高空隙率化が難しく、電池の電気容量の向上が図りにくい等の課題を有しており、この多孔膜を電池セパレータとして使用することは難しい。
従来のポリオレフィン樹脂多孔膜を用いた電池セパレータに関するこれらの課題を解決するため、特定のエチレン・プロピレンブロック共重合体を少なくとも一方向に延伸し、該共重合体中に微分散したランダムコポリマー(RC)部領域に細孔を形成した多孔膜からなる電池セパレータ(例えば、特許文献4参照)が提案されている。このポリオレフィン樹脂セパレータは、生産性に優れ、単純な樹脂組成にも関わらずシャットダウン機能を有し、細孔径が小さく空隙率が高い等の利点を有している。
しかしながら、このポリオレフィン樹脂セパレータは、多孔特性、電池用セパレータとして10℃/min以下の昇温速度での膜破れ特性及び孔閉塞特性の耐熱性について改善は見られ良好な特性を有しているが、20℃/min以上の昇温速度では、膜破れ温度Tと孔閉塞温度Tの差ΔT=T−Tが小さくなり、シャットダウン機能に課題を有しており、膜破れ特性、孔閉塞温度特性は必ずしも十分満足できるものではない。
特開平6−98395号公報 特開平4−206257号公報 特開平4−309546号公報 特開2003−129435号公報
本発明は、従来のポリオレフィン樹脂多孔膜を用いた電池セパレータに関する前記課題を解決すべくなされたものであり、単純な樹脂組成にも関わらずシャットダウン機能を有し、細孔径が小さく空隙率が高いポリオレフィン樹脂多孔膜及びそれを用いた電池セパレータを優れた生産性をもって提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、結晶性ポリプロピレン(A)と、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したエチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンの群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体(B)とからなる特定のポリオレフィン樹脂(C)と、メルトマスフローレイトMFR(D)(JIS K 7210に準拠し、温度190℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定)が1g/10min以上、30g/10min未満の範囲内である高密度ポリエチレン(D)と、メルトマスフローレイトMFR(E) (JIS K 7210に準拠し、温度230℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定)が0.1g/10min以上10g/10min未満の範囲内である結晶性ポリプロピレン(E)と、結晶性ポリオレフィン・エチレン−ブチレン共重合体・結晶性ポリオレフィンのトリブロックを有するブロック共重合体(CEBC)(F)を含有するポリオレフィン樹脂組成物(G)を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲内で膜状成形物に成形した後、この膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された多孔膜及びそれを用いた電池セパレータであって、共重合体(B)領域に連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜及びそれを用いた電池セパレータによって本課題が解決されることを見出しこの知見に基づいて本発明を完成した。尚、本発明において連通した細孔とは、共重合体(B)領域に連続的に形成され、結果的にポリオレフィン樹脂多孔膜及びそれを用いた電池セパレータの両面をつなぐ経路となる細孔をいう。
本発明は、以下によって構成される。
1.結晶性ポリプロピレン(A)30〜70重量%と、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したエチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンの群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体(B)30〜70重量%とからなるポリオレフィン樹脂(C)35〜89重量%、メルトマスフローレイトMFR(D)(JIS K 7210に準拠し、温度190℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定)が1g/10min以上、30g/10min未満の範囲内である高密度ポリエチレン(D)5〜25重量%、メルトマスフローレイトMFR(E)(JIS K 7210に準拠し、温度230℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定)が0.1g/10min以上、10g/10min未満の範囲内である結晶性ポリプロピレン(E)5〜25重量%、及び結晶性ポリオレフィン・エチレン−ブチレン共重合体・結晶性ポリオレフィンのトリブロックを有するブロック共重合体(CEBC)(F)1〜15重量%を含有するポリオレフィン樹脂組成物(G)を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲内で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することによって生じる開裂によって形成される連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜。
2.結晶性ポリプロピレン(A)のメルトマスフローレイトをMFRPP(JIS K 7210に準拠し、温度230℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定)とし、エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンの群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体(B)のメルトマスフローレイトをMFRRC(JIS K 7210に準拠し、温度230℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定)とした時、メルトマスフローレイト比MFRPP/MFRRCが10を超え1,000以下の範囲内である前記1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
3.膜状溶融物を膜状成形物に成形する際のドラフト比が1〜5の範囲内である前記1または2項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
4.エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンの群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体(B)のプロピレン含量が30〜80重量%である前記1〜3項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
5.ポリオレフィン樹脂(C)が、1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を製造し、連続して2段目でエチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンの群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体(B)を製造する工程を含む多段重合法により得られる前記1〜4項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
6.多孔膜の通気抵抗度(ガーレー)が10〜20,000s/100mlの範囲内、ASTM F 316に準拠して測定された細孔の平均孔径が0.05〜0.2μmの範囲内、孔径分布指数(最大孔径/平均孔径)が1.3〜2.0の範囲内である前記1〜5項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
7.ポリオレフィン樹脂組成物(G)を膜状成形物に成形する成膜法がカレンダー成形法である前記1〜6項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
8.前記1〜7項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜を用いた電池セパレータ。
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、特定の加工方法のもと、結晶性ポリプロピレン(A)中にエチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンの群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体(B)が微分散した特定のポリプロピレン樹脂(C)に、特定の高密度ポリエチレン(D)、結晶性ポリプロピレン(E)、結晶性ポリオレフィン・エチレン−ブチレン共重合体・結晶性ポリオレフィンのトリブロックを有するブロック共重合体(CEBC)(F)を併用することで、多孔膜製造における低温時の延伸性を向上させ、共重合体(B)領域内のラメラ結晶を発達させ、共重合体(B)のラメラ間の開裂による細孔を形成させた多孔膜である。
また、本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜を用いた電池セパレータは、従来のような複雑な製造工程を用いないで得られる経済的な電池セパレータであり、孔閉塞温度が低く、膜破れ温度が高いため、安全性の高い電池セパレータである。更に、細孔が微細であって延伸性及び高空隙率化に優れるため、安全性だけでなく高電池容量や薄肉化の目的に適った優れた電池セパレータである。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
(1)ポリオレフィン樹脂組成物(G)
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜及びそれを用いた電池セパレータには、結晶性ポリプロピレン(A)とエチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンの群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体(B)(以下、単に「共重合体(B)」ということがある)とからなり結晶性ポリプロピレン(A)のマトリックス中に共重合体(B)がドメインとして微分散しているポリオレフィン樹脂(C)、高密度ポリエチレン(D)、結晶性ポリプロピレン(E)、及び結晶性ポリオレフィン・エチレン−ブチレン共重合体・結晶性ポリオレフィンのトリブロックを有するブロック共重合体(CEBC)(F)からなるポリオレフィン樹脂組成物(G)が使用される。
(i)結晶性ポリプロピレン(A)
結晶性ポリプロピレン(A)は、主としてプロピレン重合単位からなる結晶性の重合体であり、好ましくはプロピレン重合単位が全体の90重量%以上であるポリプロピレンである。具体的には、プロピレンの単独重合体であってもよく、また、プロピレン重合単位90重量%以上とエチレン及び/またはα−オレフィン10重量%以下との共重合体であってもよい。結晶性ポリプロピレン(A)が共重合体の場合に使用されるα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。このうち、プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位の含量が90重量%以上のプロピレン−エチレン共重合体を用いるのが、製造コストの点から好ましい。
また、結晶性ポリプロピレン(A)のメルトマスフローレイトMFRPPは、製膜の安定性から、樹脂組成物(G)に結晶性ポリプロピレン(E)が使用されない場合は好ましくは0.1〜50g/10min、より好ましくは30〜40g/10minの範囲内のものが用いられる。
(ii)共重合体(B)
共重合体(B)は、エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンの群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとのランダム共重合体である。プロピレン重合単位の含量は、共重合体(B)全体に対し重量基準で30〜80重量%の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは35〜75重量%、更に好ましくは40〜70重量%、最も好ましくは60〜70重量%である。プロピレン重合単位の含量が前記範囲内であれば、結晶性ポリプロピレン(A)のマトリックス中に存在する共重合体(B)領域に細孔が形成され易く、また、結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)の界面剥離が生じにくくなるため低温延伸性の低下がなく、細孔径も微細なものとなり易い。
共重合体(B)に使用されるプロピレン以外のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。このうちα−オレフィンとしてエチレンを用いたプロピレン−エチレン共重合体が、製造コストの点から好ましく用いられる。
共重合体(B)のメルトマスフローレイトMFRRCは特に限定されないが、0.05〜20g/10minの範囲内が成形加工性に優れるため好適である。
(iii)ポリオレフィン樹脂(C)
ポリオレフィン樹脂(C)は、結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)からなる。結晶性ポリプロピレン(A)のメルトマスフローレイトMFRPPと共重合体(B)のメルトマスフローレイトMFRRCとのメルトマスフローレイト比MFRPP/MFRRC(以下、「MFR比」という)は、特に限定されないが、成形加工性の観点から10を超え1,000以下の範囲内が好ましく、500〜800がより好ましい。
ポリオレフィン樹脂(C)における、結晶性ポリプロピレン(A)の含量は30〜70重量%が好ましく、40〜60重量%がより好ましく、共重合体(B)の含量は70〜30重量%が好ましく、60〜40重量%がより好ましい。結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)の含量が上記の範囲内であれば連通した細孔が得られ共重合体(B)の分散性も良い。
前記ポリオレフィン樹脂(C)の製造方法は特に限定されず、上記の条件を満足すれば、いかなる製造方法を用いてもよい。例えば、各々別個に重合して得られた結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)とを溶融混練等によって混合することによりポリオレフィン樹脂(C)を製造してもよい。具体的には、チタン担持触媒等のチーグラーナッタ触媒を用いて重合した共重合体(B)や共重合体(B)に該当する市販のエチレン−プロピレンゴムと結晶性ポリプロピレン(A)とを溶融混合する方法が例示できる。
また、結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)とを多段重合により連続的に重合することによってポリオレフィン樹脂(C)を製造してもよい。例えば、複数の重合器を使用し、1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を製造し、引続き2段目で結晶性ポリプロピレン(A)の存在下に共重合体(B)を製造し、ポリオレフィン樹脂(C)を連続的に製造する方法が例示できる。この連続重合法は、上記した溶融混合法に比べて製造コストが低く、また、結晶性ポリプロピレン(A)中に共重合体(B)が均一に分散したポリオレフィン樹脂(C)が安定して得られるため好ましい。
本発明において、特に好ましいポリオレフィン樹脂(C)は、上記連続重合法により製造し、前記MFR比を10を超え1,000以下、更に好ましくは500〜800の範囲内となるように調整したものである。MFR比をこの範囲内とすることにより、結晶性ポリプロピレン(A)中に共重合体(B)が均一にかつ微細に分散するため、ポリオレフィン樹脂(C)の延伸処理を行う際に、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散した共重合体(B)領域内のラメラ結晶間に均一かつ微細な細孔が生じ、その結果、細孔径が小さく空隙率の大きいポリオレフィン樹脂製電池セパレータが得られる。
更に、共重合体(B)がエチレン−プロピレン共重合体の場合を例に取ると、本発明のポリオレフィン樹脂製電池セパレータは、低融点の共重合体(B)中に形成された細孔が温度上昇とともに閉塞する一方で、マトリックスポリマーである結晶性ポリプロピレン(A)が高融点のために180℃近傍まで膜破れすることがなく、優れたシャットダウン機能を有することが認められる。
尚、本発明において共重合体(B)領域とは、共重合体(B)自体が占める領域をいう。従って、共重合体(B)領域内のラメラ結晶間に生じる細孔とは、共重合体(B)領域内のラメラ結晶とラメラ結晶間で生じる開裂による細孔である。
前記のようなMFR比を有するポリオレフィン樹脂(C)は、具体的には国際公開第97/19135号パンフレット、特開平8−27238号公報等に記載されている方法により製造することができる。
尚、ポリオレフィン樹脂(C)は前記の方法で製造することができる他に、市販品の中から所望の仕様のものを選択して用いてもよい。
尚、前記MFR比は、通常は結晶性ポリプロピレン(A)のMFRPP及び共重合体(B)のMFRRCを各々測定することにより求められる。しかし、ポリプロピレン樹脂を多段重合により連続的に製造した場合(最初に結晶性ポリプロピレン(A)を重合し、次いで共重合体(B)を重合する場合)は、共重合体(B)のMFRRCを直接測定できないため、直接測定可能な結晶性ポリプロピレン(A)のMFRPP、得られるポリオレフィン樹脂(C)のメルトフローレートMFRWHOLE(JIS K 7210に準拠し、温度230℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定)及びポリオレフィン樹脂(C)中の共重合体(B)の含有量WRC(重量%)から、下記式によりMFRRCを算出して、MFR比を求めることができる。
log(MFRRC)={log(MFRWHOLE)−(1−WRC/100)log(MFRPP)}/(WRC/100)
(iv)高密度ポリエチレン(D)
高密度ポリエチレン(D)は、主としてエチレン重合単位からなる重合体であり、好ましくはエチレン重合単位が全体の90重量%以上であるポリエチレンである。具体的には、エチレンの単独重合体であってもよく、また、エチレン重合単位90重量%以上とα−オレフィン10重量%以下との共重合体であってもよい。高密度ポリエチレン(E)が共重合体の場合に使用されるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。このうち、エチレン単独重合体またはエチレン重合単位の含量が90重量%以上のプロピレン−エチレン共重合体を用いるのが、製造コストの点から好ましい。
特定の高密度ポリエチレン(D)を併用することで、共重合体(B)領域内のラメラ結晶を発達させ、共重合体(B)のラメラ間の開裂が盛んとなり、空隙率、通気度や細孔径等の多孔膜特性が向上する。高密度ポリエチレン(D)のメルトマスフローレイトMFR(D)が1g/10min以上、30g/10min未満である。また、添加量は、5〜25重量%である。メルトマスフローレイトMFR(D)及び添加量が、この範囲内であれば、製膜時のロールへの粘着がなく、また、共重合体(B)領域内のラメラ結晶が十分で多孔性が改善され、延伸性にも問題がない。
(v)結晶性ポリプロピレン(E)
結晶性ポリプロピレン(E)は、主としてプロピレン重合単位からなる結晶性の重合体であり、好ましくはプロピレン重合単位が全体の90重量%以上であるポリプロピレンである。具体的には、プロピレンの単独重合体であってもよく、また、プロピレン重合単位90重量%以上とエチレン及び/またはα−オレフィン10重量%以下とのランダムまたはブロック共重合体であってもよい。結晶性ポリプロピレン(E)が共重合体の場合に使用されるα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。このうち、プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位の含量が90重量%以上のプロピレン−エチレン共重合体を用いるのが、製造コストの点から好ましい。
結晶性ポリプロピレン(E)のメルトマスフローレイトMFR(E)は0.1g/10min以上10g/10min未満、好ましくは0.1〜8.0g/10min、より好ましくは4〜7g/10minの範囲内である。また、添加量は、5〜25重量%、好ましくは10〜20重量%であり、この範囲内であれば、ポリオレフィン樹脂製電池セパレータを形成する際の延伸性にも問題がなく、細孔径の小さな多孔膜が形成される。
(VI)ブロック共重合体(CEBC)(F)
ブロック共重合体(CEBC)(F)は、硬質部となる結晶性ポリオレフィンブロックと軟質部となる非晶部分(ゴム部分)のエチレン−ブチレン共重合体ブロックとからなる、結晶性ポリオレフィン・エチレン−ブチレン共重合体・結晶性ポリオレフィンのトリブロックを有するブロック共重合体である。
市販品の具体例としては、結晶性ポリオレフィンブロックのポリオレフィンがポリエチレンであるダイナロン6200P(商品名、JSR(株))が挙げられる。
ブロック共重合体(F)は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、ポリオレフィン樹脂組成物(G)におけるブロック共重合体(F)の含有量は、1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%であり、この範囲内であれば、ポリオレフィン樹脂多孔膜を形成する際の延伸性にも問題がなく、細孔径が小さく孔径分布が均一なポリオレフィン樹脂多孔膜が形成される。
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜には、結晶性ポリプロピレン(A)中に微分散した共重合体(B)領域内のラメラ結晶間に微細な開裂が多数認められる。共重合体(B)は、一定以上のプロピレン成分を含有するために結晶性ポリプロピレン(E)と相溶性を有し、高密度ポリエチレン(D)及びブロック共重合体(CEBC)(F)は、共重合体(B)と相溶性を有するため、共重合体(B)領域内にラメラ結晶が発達する。この結晶性ポリプロピレン(A)と相溶性を有する共重合体(B)領域のラメラ結晶間領域が、結晶性ポリプロピレン(A)より低強度であるため、延伸応力により共重合体(B)領域内のラメラ結晶間で開裂が発生したと推察される。このメカニズムは従来の無機質フィラーや異種ポリマーを混合及び延伸した多成分延伸法と根本的に異なるところであり、その結果、得られたポリオレフィン樹脂多孔膜を用いた電池セパレータは、細孔径が小さいため安全性に優れ、また、空隙率が高いため電気容量を大きくすることができる。
本発明のオレフィン樹脂多孔膜の空隙率は、特に限定されるものではないが、10〜90%が好ましく、30〜80%がより好ましく、50〜80%が更に好ましい。空隙率が上記の範囲内であれば、電池セパレータとしての機能が得られ、強度が低下する恐れがない。特に、空隙率が50〜80%の場合は、電池の大容量化や小型化が可能となる。
本発明のオレフィン樹脂多孔膜の透気抵抗度(ガーレー)は、特に限定されるものではないが10〜20,000s/100mlが好ましく、30〜1,000s/100mlがより好ましく、30〜200s/100mlが更に好ましい。透気抵抗度(ガーレー)が上記の範囲内であれば、電池セパレータとしての機能が得られ、強度が低下する恐れがない。特に、透気抵抗度(ガーレー)が30〜200s/100mlの場合は、電池の高容量化や小型化が可能となる。
尚、電池セパレータには、電池の誤使用等により電池内部が異常に温度上昇し発火等の事故が生じるのを防止するために、ある程度の温度に達したら電池セパレータが膜破れすることなく細孔を閉塞して電流をシャットダウンする機能(以下「シャットダウン機能」という)が求められている。また、膜破れする温度Tと細孔を閉塞する温度(以下「シャットダウン温度」という)Tの差ΔT=T−Tを大きくし、かつ、より早い段階で異常反応を停止し温度上昇を抑えるべくシャットダウン温度を低減することが望まれている。
本発明では、電池セパレータとして、ポリオレフィン樹脂組成物(G)を特定の製造条件で加工して得られた多孔膜を用いることによって、膜破れ温度Tとシャットダウン温度Tの差を30℃以上とすることができる。ポリオレフィン樹脂組成物(G)中の高密度ポリエチレン(D)と結晶性ポリプロピレン(E)は、それらの合計含有量に比例してシャットダウン機能特性を発揮し、一方、ブロック共重合体(CEBC)(F)は、相乗的にシャットダウン機能特性を発揮する。
メルトマスフローレイトMFR(D)が1g/10min以上、30g/10min未満の範囲内である高密度ポリエチレン(D)を5〜25重量%と、メルトマスフローレイトMFR(E)が0.1g/10min以上10g/10min未満の範囲内である結晶性ポリプロピレン(E)を5〜25重量%と、ブロック共重合体(CEBC)(F)を1〜15重量%の範囲内で使用した多孔膜を用いると、膜破れする温度Tと孔閉塞温度Tの差ΔT=T−Tが30℃以上の電池セパレータが得られることになる。これらの範囲内であれば、多孔膜製造時の延伸性に問題がなく、膜破れ温度Tとシャットダウン温度Tの差が30℃以上の安全性の高い電池セパレータを提供することができる。
(2)ポリオレフィン樹脂組成物(G)
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜の成形材料であるポリオレフィン樹脂組成物(G)には、通常ポリオレフィンに使用される酸化防止剤、中和剤、α晶造核剤、β晶造核剤、ヒンダードアミン系耐候剤、紫外線吸収剤、防曇剤や帯電防止剤等の界面活性剤、無機充填剤、滑剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、防黴剤、顔料等を必要に応じて配合することができる。
酸化防止剤としては、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、またはトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤等が例示できる。
中和剤としてはステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸塩類が例示でき、無機充填剤及びブロッキング防止剤としては炭酸カルシウム、シリカ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が例示でき、滑剤としてはステアリン酸アマイド等の高級脂肪酸アマイド類が例示でき、帯電防止剤としてはグリセリンモノステアレート等の脂肪酸エステル類が例示できる。
α晶造核剤としては、タルク、アルミニウムヒドロキシ−ビス(4−t−ブチルベンゾエート)、1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(2’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(3’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−クロルベンジリデン)ソルビトール、ナトリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムジヒドロキシ−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等の公知のα晶造核剤が挙げられる。これらは単独使用でも、2種以上の併用でも良い。
これらの添加剤の配合量は、ポリオレフィン樹脂多孔膜の使用目的等により適宜選択することができるが、通常、前記樹脂組成物(G)全量に対し0.001〜5重量%程度とするのが好ましい。
また、本発明のポリオレフィン樹脂組成物(G)には、本発明の効果を損なわない範囲内で、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン以外の単量体との二元以上のランダム共重合体やポリエチレン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の他のオレフィン樹脂の1種以上を併用しても構わない。
更に、電池セパレータの細孔の閉塞温度を低減させたり柔軟性を向上させるためにシングルサイト触媒や公知のマルチサイト触媒で重合されたエチレン−ジエン弾性共重合体、エチレンープロピレン弾性共重合体、スチレン−ブタジエン弾性共重合体等の弾性共重合体を添加しても構わない。
前記樹脂組成物(G)に上記添加剤を配合する方法は特に限定されず、例えばヘンシェルミキサー(商品名)等の高速撹拌機付混合機及びリボンブレンダー並びにタンブラーミキサー等の通常の配合装置により配合する方法(ドライブレンド)が例示でき、更に通常の単軸押出機または二軸押出機等を用いてペレット化する方法が例示できる。
(3)ポリオレフィン樹脂多孔膜の形成
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、樹脂組成物(G)を溶融混練し膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲内で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を100℃以下の温度で少なくとも一方向に延伸することにより形成することができる。その工程は、製膜工程と延伸工程からなる。
(i)製膜工程
前記樹脂組成物から膜状成形物を得るための製膜工程には、公知のインフレーションフィルム成形法、Tダイフィルム成形法、カレンダー成形法等の方法が用いられるが、ドラフト比のコントロールが容易なカレンダー成形法が好適に用いられる。
インフレーションフィルム成形法、Tダイフィルム成形法の場合、前記樹脂組成物は、180℃以上の押出成形温度で製膜することができるが、ダイス内圧力を低減させ後述のドラフト比を低減させる目的と、マトリックスポリマーである結晶性ポリプロピレン(A)の剛性を向上させて結晶性ポリプロピレン(A)中に分散した共重合体(B)領域内のラメラ結晶間に均一かつ微細な細孔が生じさせやすくするため、220〜300℃の押出成形温度が好適に用いられる。
溶融混練された前記樹脂組成物は、ダイリップより押し出されるが、この際、ダイリップを通過する樹脂組成物の流れ方向(MD)の線速度VCLと膜状成形物の流れ方向(MD)の線速度Vの比で定義されるドラフト比(VCL/V)が本願発明を達成するための重要な要因である。一般に熱可塑性樹脂フィルムの成形時にはドラフト比は10〜50程度である。本発明においては、該樹脂組成物を製膜する際のドラフト比は1〜10であり、これによって得られる膜状成形物は延伸性に優れ、延伸によって微細な連通した細孔が形成され易くなる。
カレンダー成形法の場合、カレンダーへの投入以前の該組成物の予備混練には、バンバリーミキサー、予備混練ロールを使用する方法、単軸、2軸、プラネタリー等のイクストルーダーを用いる方法等、公知の方法が用いられるが、前述のマトリックスポリマーである結晶性ポリプロピレン(A)の剛性を向上させて結晶性ポリプロピレン(A)中に分散した共重合体(B)領域内のラメラ結晶間に均一かつ微細な細孔が生じさせやすくするため、220〜300℃の温度が好適に用いられ、また該温度を保って安定したカレンダーへの予備混練物を投入するには、イクストルーダーが好適に使用される。
カレンダー成形法は、ロールの本数として2本〜6本、配列としてL型、逆L型、Z型、およびロール径を代えたもの等既知のカレンダー装置を用いることができるが、特に200μm以下の薄い製膜には厚み精度の面から4本以上のロールが好適に用いられ、カレンダーロールの温度としては160〜220℃が好ましい。
また、最終ロールを剥離したフィルムはテイクオフロールへと巻き取られるが、カレンダー最終ロールの回転表面速度(V0)とテイクオフロールの回転表面速度(V1)の比(V1/V0)がドラフト比として定義され、この場合も上記同様に本発明においては、該樹脂組成物を製膜する際のドラフト比は1〜10であり、より好ましくはドラフト比1〜5であり、これによって得られる膜状成形物は延伸性に優れ、延伸によって微細な連通した細孔が形成され易くなる。
また、マトリックスポリマーである結晶性ポリプロピレン(A)の剛性を向上させて結晶性ポリプロピレン(A)中に分散した共重合体(B)領域内のラメラ結晶間に均一かつ微細な細孔を生じさせやすくするため、ダイリップより押出される膜状成形物の冷却は、徐冷とすることが望ましく、インフレーション成形の場合は空冷式の冷却方式が望ましく、Tダイフィルム成形法の場合はテイクオフロール100〜150℃、冷却ロールの温度70〜120℃の範囲内で冷却することが望ましい。
また、カレンダー成形法の場合は、テイクオフロール100〜150℃、冷却ロールの温度70〜120℃の範囲内で冷却することが望ましい。前記の温度範囲内であれば、所期の多孔化が得られ易く、溶融樹脂がロールへ密着して生産性を低下させることもない。
製膜工程で得られた膜状成形物の厚さは特に限定されるものではないが、次の延伸工程における延伸及び熱処理条件と多孔膜の用途の要求特性によって決定され、20μm〜2mm、好ましくは50μm〜500μm程度であって、製膜速度は1〜100m/minの範囲内が好適に用いられる。これらの厚さの膜状成形物は、インフレーション成形装置を初めとして、前記冷却ロールとエアー吹き出し口を有するエアーナイフ、前記冷却ロールと一対の金属ロール、前記冷却ロールとステンレスベルト等の組み合わせからなるTダイフィルム成形装置やカレンダー成形装置等の各種製膜装置により得られる。
更に、本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、製膜工程において、樹脂組成物(G)と、公知の無機質充填剤や有機質充填剤等を含有した樹脂組成物とを共押出しして膜状成形物としても構わない。この場合、充填剤等を含有した樹脂組成物を構成するポリマーは、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂が相溶性の観点から望ましい。
尚、得られた膜状成形物には、次の延伸工程に供する前に、結晶化度を更に向上させるために熱処理を施しても構わない。熱処理は、例えば、加熱空気循環オーブンまたは加熱ロールにより、80〜150℃程度の温度で1〜30min間程度加熱することにより実施される。
(ii)延伸工程
前記製膜工程で製膜された膜状成形物は、次いで少なくとも縦(MD)方向もしくは横(TD)方向のいずれか一方向に延伸され、結晶性ポリプロピレン(A)中に微分散した共重合体(B)領域内のラメラ結晶間に連通した細孔が形成される。この点が、本発明の製造方法が、従来技術である単成分延伸法、多成分延伸法及び混合抽出法等と根本的に異なるところである。これにより本発明の製造方法は、混合抽出法のような複雑な抽出及び乾燥工程等の製造工程や、結晶性ポリオレフィン(A)のラメラ結晶間のフィブリル化により細孔を発現させる単成分延伸法に見られる製膜後の熱処理による結晶化工程等を不要とするだけでなく、マトリックスポリマーと充填剤の界面に空隙を生じさせる多成分延伸法の場合の延伸性不良や平均細孔径が大きくなりやすく空隙率が低い等の課題を大幅に改善し、任意の平均細孔径や空隙率を有する電池セパレータを優れた生産性を以って提供することを可能にする。
延伸の方法は、一方向に延伸する一軸延伸法の他に、一方向に延伸した後、もう一方の方向に延伸する逐次二軸延伸法、縦横方向に同時に延伸する同時二軸延伸法、更に、一軸方向に多段延伸を行ったり、逐次二軸延伸や同時二軸延伸の後に更に延伸を行う方法が挙げられ、何れの方法を用いても良い。尚、膜状成形物は前記製膜工程においてドラフトされるため、例え低ドラフト比で製膜された膜状成形物であっても、結晶性ポリプロピレン(A)中に微分散する共重合体(B)は樹脂の流れ方向つまり縦(MD)方向に沿って配向しており、一段目の延伸は横方向への一軸延伸法もしくは縦横方向への同時二軸延伸法により行うことが望ましいが、一段目に縦方向への延伸を行い二段目に横方向へ延伸を行う逐次二軸延伸法でも構わない。
この一段目の延伸温度は、共重合体(B)の融点Tmαより低いことが好ましく、10〜100℃の温度範囲内が好適に用いられるが、更に本発明では、樹脂組成物(G)を特定の組成とすることによりこれらの温度領域における低温延伸性に優れることを見出した。また、延伸倍率は、特に限定はなく必要に応じ行われる二段目の延伸条件や多孔膜の用途の要求特性から決定されるが、通常1.5倍〜7倍の範囲内である。
延伸倍率が上記の範囲内であれば優れた特性を持つ多孔膜が得られ、延伸切れの多発による生産性低下の恐れもない。また、同時二軸延伸の場合には、面積倍率(=縦延伸倍率×横延伸倍率)は2〜50倍が好ましく、更に好ましくは4〜40倍である。面積倍率がこの範囲内であれば優れた特性を持つポリオレフィン樹脂多孔膜が得られ、延伸切れの多発による生産性低下の恐れもない。
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、必要に応じ二段目の延伸を行うが、二段目の延伸温度は、高密度ポリエチレン(D)の融点Tmcより10℃以上低いことが好ましい。また、該延伸温度が共重合体(B)の融点Tmαより高い場合には、空隙率がそれほど増加せず、得られる多孔膜の厚さが低減する傾向がある。更に、該延伸温度がTmαより低い場合には、空隙率が増加するが、厚さがあまり低減しない傾向がある。
二段目の延伸倍率は、ポリオレフィン樹脂多孔膜の用途の要求特性により決定されるが、通常1.5倍〜7倍の範囲内である。
延伸倍率が上記の範囲内であれば、延伸効果が十分で、延伸切れによる生産性低下の恐れがない。
上記の延伸工程で細孔が形成され多孔質となった膜状成形物は、次いで熱処理されることが好ましい。この熱処理は、形成された細孔を保持するための熱固定を主なる目的とするものであり、通常、加熱ロール上、加熱ロール間または熱風循環炉を通すことによって行なわれる。
この熱処理(熱固定)は、延伸状態を保持したまま多孔質となった膜状成形物を高密度ポリエチレン(D)の融点Tmcより5〜60℃低い温度に加熱し、緩和率を0〜50%とすることにより実施される。加熱温度が上記の範囲内であれば、形成された細孔が閉塞することもなく、また、熱固定が十分なため後に細孔が閉鎖しにくく、ポリオレフィン樹脂多孔膜を電池セパレータとして使用する際に温度変化により熱収縮を起こしにくくなる。
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜の厚さは、特に限定されるものではないが、生産性の観点から5〜100μm程度が好ましく、10〜50μmが更に好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜には、必要に応じ、界面活性剤処理、コロナ放電処理、低温プラズマ処理、スルホン化処理、紫外線処理、放射線グラフト処理等の親水化処理を施すことができ、また各種塗膜を形成することができる。
また、本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、多孔膜自体の補強や電池容量の向上等の公知の特性付与を目的として、不織布、織布や他素材の多孔膜等を積層して用いても構わない。
このように構成された本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜を電池セパレータとして使用した二次電池は従来と同様の電池性能を発揮し、シャットダウン特性、メルトダウン特性に優れた安全な電池を得ることができる。ここでそのイオン種は特に限定されないが、特にリチウムイオンが汎用性の面で好ましい。本発明に関わる二次電池は本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜を電池セパレータとして用いること以外は、常法に従って製造することができる。
リチウム二次電池は、正極と負極が電池セパレータを介して積層されており、電池セパレータが電解液(電解質)を含有している。電極の構造は特に限定されず、公知の構造であってよい。例えば、円盤状の正極及び負極が対向するように配設された電極構造(コイン型)、平板状の正極及び負極が交互に積層された電極構造(積層型)、帯状の正極及び負極が重ねられて巻回された電極構造(捲回型)等にすることができる。
正極は、通常(a) 集電体と、(b) その表面に形成され、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質を含む層とを有する。正極活物質としては、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物(リチウム複合酸化物)、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられ、遷移金属としては、V、Mn、Fe、Co、Ni等が挙げられる。リチウム複合酸化物の好ましい例としては、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、α−NaFeO型構造を母体とする層状リチウム複合酸化物等が挙げられる。負極は、(a) 集電体と、(b) その表面に形成され、負極活物質を含む層とを有する。負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック等の炭素質材料が挙げられる。
電解液はリチウム塩を有機溶媒に溶解することにより得られる。リチウム塩としては、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、Li10Cl10、LiN(CSO、LiPF(CF、LiPF(C、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等の高沸点及び高誘電率の有機溶媒や、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキソラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の低沸点及び低粘度の有機溶媒が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。特に高誘電率の有機溶媒は粘度が高く、低粘度の有機溶媒は誘電率が低いため、両者の混合物を用いるのが好ましい。
電池を組み立てる際、電池セパレータに電解液を含浸させる。これにより電池セパレータにイオン透過性を付与することができる。通常、含浸処理は電池セパレータを常温で電解液に浸漬することにより行う。円筒型電池を組み立てる場合、例えば正極シート、電池セパレータ、及び負極シートをこの順に積層し、得られた積層体を一端より巻き取って捲回型電極素子とする。得られた電極素子を電池缶に挿入し、上記電解液を含浸させ、さらに安全弁を備えた正極端子を兼ねる電池蓋を、ガスケットを介してかしめることにより電池を作製することができる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いたポリオレフィン樹脂(C)は、連続重合法により1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を重合し、2段目で共重合体(B)(プロピレン−エチレン共重合体)を重合して得られたものである。
高密度ポリエチレン(D)としては、MFR(D)が13g/10minのM6901(商品名、京葉ポリエチレン(株)製)を用いた。
結晶性ポリプロピレン(E)としては、MFR(E)が5.3g/10minのプロピレン単独重合体を用いた。
また、結晶性ポリオレフィン・エチレン−ブチレン共重合体・結晶性ポリオレフィンのトリブロックを有するブロック共重合体(CEBC)(F)として、ダイナロン6200P(商品名、JSR(株)製、メルトマスフローレイトMFR(JIS K 7210に準拠し、温度230℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定)2.5g/10min)を用いた。
尚、実施例及び比較例で用いた測定方法及び評価方法は下記の通りである。
(1)空隙率:延伸後の多孔膜サンプル100×100mmから嵩比重を求め、また、延伸前の多孔化されていないサンプル100×100mmから(株)東洋精機製作所製の自動比重計DENSIMETER,D−Sにて真比重を求め、下記式より空隙率を求めた。
空隙率(%)=(1−嵩比重/真比重)×100
(2)平均孔径及び最大細孔径:ASTM F 316に準拠し、PMI社製のPerm−Porometerを用いGalwic(商品名)の試薬を使用してポリオレフィン樹脂多孔膜の孔径を測定し、平均流量細孔径を平均細孔径、バブルポイント細孔径を最大細孔径とした。
(3)孔閉塞温度及び破膜温度
〔評価セルの作製方法〕
図1に示すように、ガラス基板(A,B)用意し、一方のガラス基盤Aにほぼ方形状の10μmのアルミニウム箔Cを配置し、アルミニウム箔の表面にイミドテープDを貼り付けたセル片Aと、ガラス基盤Bにほぼ方形状の10μmのアルミニウム箔Cを配置したセル片Bを用意する。そして、図2に示すようにセル片Aとセル片B間に下記各電池セパレータEとして実施例及び比較例で得られた多孔膜を挟持させて、これらをクリップで固定することにより評価セルFを作製した。
尚、イミドテープDを貼り付けているのは、バリによるショートを防止するためであり
、また、イミドテープDのほぼ中央には直径19mmの穴Gが形成されている。さらに、
この評価セルFの電解液としては、溶質としてのLiBFを1.0モル/リットルの濃
度になるように炭酸プロピレン/炭酸エチレン/γ−ブチロラクトン(溶媒の体積比1/
1/2)中に溶解させたものを用いた。
〔評価装置〕
評価装置として、いすず製作所製の電気炉TS−25K・R型と東陽テクニカ製の電気
化学測定インピーダンス測定装置1280C型を用いて孔閉塞温度及び破膜温度を評価す
る。
〔SD温度及びMD温度の測定方法〕
上記評価セルを電気炉中にセットし昇温速度5℃/min及び25℃/minで室温(
23℃)〜200℃付近まで昇温する。このときのインピーダンス変化をインピーダンス
測定装置にて交流20kHzの条件下で測定する。この測定において、昇温速度5℃/m
in測定時のインピーダンスが1,000Ωに達した時点の温度を孔閉塞温度(SD)と
し、その後インピーダンスが1,000Ωを下回った時点の温度を膜破れ温度(MD)と
する。また、昇温速度25℃/min測定時の孔閉塞温度を高速孔閉塞温度(HRSD)
及び膜破れ温度を高速膜破れ温度(HRMD)とする。
(4)メルトマスフローレイト(MFR):JIS K 7210に準拠し、温度230℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定した。但し、MFR(D)だけはJIS K 7210に準拠し、温度190℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定した。
(5)透気抵抗度(ガーレー):JIS P 8117に準じて、B型ガーレーデンソメーター(テスター産業(株)製)により空気100mlが通過する時間を測定した。
(実施例1)
1)多孔膜形成用樹脂組成物の作成
表1の実施例1に示す樹脂組成物(G)に、フェノール系酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.1重量%、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトを0.1重量%、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.1重量%、滑剤として特殊脂肪酸エステル(商品名EW−100、理研ビタミン(株)製)を0.4%配合し、ヘンシェルミキサー(商品名)で混合後、2軸押出機(口径50mm)を用いて溶融混練してペレット化し、多孔膜形成用樹脂組成物を得た。
2)[製膜工程/未延伸膜状成形物の作成]
プラネタリーローラーイクストルーダーを用い、前記のペレット状の樹脂組成物(G)を、押出温度240℃、吐出量15kg/hで溶融しヘッドより棒状に押出して、逆L型に配置した4本のロールからなるカレンダー装置に供給して圧延した後、テイクオフロールで引き取り、アニーリングロール上で冷却固化し、幅600mm、厚さ100μmの膜状成形物を作成した。尚、カレンダロール温度、テイクオフロール温度、及びアニーリングロール温度は、それぞれ180℃、140℃、及び90℃とし、最終カレンダーロールとテイクオフロールの表面速度比のドラフト比は、2とした。得られた膜状成形物の製膜性、延伸性の評価結果を表1に示した。
3)[延伸工程/多孔膜の作成]
前記膜状成形物を、三菱重工業(株)製の逐次延伸装置にて、MD方向に、延伸温度23℃、延伸倍率3倍の条件で近接延伸したのち、更に、TD方向に延伸温度120℃、延伸倍率3倍の条件で延伸しポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。得られた電池セパレータの特性を表1に示した。実施例1で得られたポリオレフィン樹脂製電池セパレータについて、膜破れ温度MD、孔閉塞温度SD及び高速膜破れ温度HRMD、孔閉塞温HRSDを測定した結果、それぞれMD190℃、SD140℃、HRMD185℃、HRSD145℃であった。ΔTが50℃、ΔHRTが40℃であり電池セパレータとして優れたシャットダウン機能を有していた。
(実施例2)
表1の実施例2に示す樹脂組成物(G)を用いた以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。多孔膜の延伸性と多孔膜の特性を表1に示した。実施例2で得られたポリオレフィン樹脂多孔膜について、膜破れ温度MD、孔閉塞温度SD及び高速膜破れ温度HRMD、孔閉塞温HRSDを測定した結果、それぞれMD185℃、SD135℃、HRMD180℃、HRSD140℃であった。ΔTが50℃、ΔHRTが40℃であり電池セパレータとして優れたシャットダウン機能を有していた。
(実施例3)
表1の実施例3に示す樹脂組成物(G)を用いた以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。多孔膜の延伸性と多孔膜の特性を表1に示した。実施例3で得られたポリオレフィン樹脂多孔膜について、膜破れ温度MD、孔閉塞温度SD及び高速膜破れ温度HRMD、孔閉塞温HRSDを測定した結果、それぞれMD190℃、SD140℃、HRMD185℃、HRSD145℃であった。ΔTが50℃、ΔHRTが40℃であり電池セパレータとして優れたシャットダウン機能を有していた。
(実施例4)
表1の実施例4に示す樹脂組成物(G)を用いた以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。多孔膜の延伸性と多孔膜の特性を表1に示した。実施例4で得られたポリオレフィン樹脂多孔膜について、膜破れ温度MD、孔閉塞温度SD及び高速膜破れ温度HRMD、孔閉塞温HRSDを測定した結果、それぞれMD190℃、SD145℃、HRMD185℃、HRSD150℃であった。ΔTが45℃、ΔHRTが35℃であり電池セパレータとして優れたシャットダウン機能を有していた。
(実施例5)
表1の実施例5に示す樹脂組成物(G)を用いた以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。多孔膜の延伸性と多孔膜の特性を表1に示した。実施例5で得られたポリオレフィン樹脂多孔膜について、膜破れ温度MD、孔閉塞温度SD及び高速膜破れ温度HRMD、孔閉塞温HRSDを測定した結果、それぞれMD185℃、SD138
℃、HRMD180℃、HRSD142℃であった。ΔTが47℃、ΔHRTが38℃であり電池セパレータとして優れたシャットダウン機能を有していた。
(実施例6)
表1の実施例6に示す樹脂組成物(G)を用いた以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。多孔膜の延伸性と多孔膜の特性を表1に示した。実施例6で得られたポリオレフィン樹脂多孔膜について、膜破れ温度MD、孔閉塞温度SD及び高速膜破れ温度HRMD、孔閉塞温HRSDを測定した結果、それぞれMD190℃、SD147
℃、HRMD185℃、HRSD152℃であった。ΔTが43℃、ΔHRTが33℃であり電池セパレータとして優れたシャットダウン機能を有していた。
(比較例1)
表1の比較例1に示す樹脂組成物(G)を用い、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を作成した。多孔膜の延伸性と多孔膜の特性を表1に示した。比較例1で得られたポリオレフィン樹脂多孔膜について、膜破れ温度MD、孔閉塞温度SD及び高速膜破れ温度HRMD、孔閉塞温HRSDを測定した結果、それぞれMD180℃、SD160℃、HRMD175℃、HRSD165℃であった。ΔTが20℃、ΔHRTが10℃であり電池セパレータとして5℃/minの昇温速度では若干のシャットダウン機能を有していたが、25℃/minの昇温速度では、膜破れ温度と孔閉塞温度の差が小さくなり、シャットダウン機能に課題を有していた。
(比較例2)
表1の比較例2に示す樹脂組成物(G)を用い、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を作成した。多孔膜の延伸性を表1に示した。比較例2では、縦方向への延伸時に、延伸倍率1.5倍未満で延伸切れが発生して延伸性に劣り、縦延伸倍率1.3倍程度の僅かな延伸では電池セパレータとしての特性は得られなかった。
(比較例3)
表1の比較例3に示す樹脂組成物(G)を用い、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を作成した。多孔膜の延伸性と多孔膜の特性を表1に示した。比較例3で得られたポリオレフィン樹脂多孔膜について、膜破れ温度MD、孔閉塞温度SD及び高速膜破れ温度HRMD、孔閉塞温HRSDを測定した結果、それぞれMD170℃、SD160℃、HRMD165℃、HRSD165℃であった。ΔTが10℃、ΔHRTが0℃であり電池セパレータとして5℃/minの昇温速度では若干のシャットダウン機能を有していたが、25℃/minの昇温速度では、膜破れ温度と孔閉塞温度の差がなく、シャットダウン機能は認められなかった。
(比較例4)
表1の比較例4に示す樹脂組成物(G)を用い、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を作成した。多孔膜の延伸性と多孔膜の特性を表1に示した。比較例4で得られたポリオレフィン樹脂多孔膜について、膜破れ温度MD、孔閉塞温度SD及び高速膜破れ温度HRMD、孔閉塞温HRSDを測定した結果、それぞれMD175℃、SD155℃、HRMD170℃、HRSD160℃であった。ΔTが20℃、ΔHRTが10℃であり電池セパレータとして5℃/minの昇温速度では若干のシャットダウン機能を有していたが、25℃/minの昇温速度では、膜破れ温度と孔閉塞温度の差が小さくなり、シャットダウン機能に課題を有していた。
(比較例5)
表1の比較例5に示す樹脂組成物(G)を用い、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を作成した。多孔膜の延伸性と多孔膜の特性を表1に示した。比較例5で得られたポリオレフィン樹脂多孔膜について、膜破れ温度MD、孔閉塞温度SD及び高速膜破れ温度HRMD、孔閉塞温HRSDを測定した結果、それぞれMD180℃、SD160℃、HRMD175℃、HRSD165℃であった。ΔTが20℃、ΔHRTが10℃であり電池セパレータとして5℃/minの昇温速度では若干のシャットダウン機能を有していたが、25℃/minの昇温速度では、膜破れ温度と孔閉塞温度の差が小さくなり、シャットダウン機能に課題を有していた。
(比較例6)
表1の比較例6に示す樹脂組成物(G)を用い、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を作成した。多孔膜の延伸性を表1に示した。比較例6では、縦方向への延伸時に、延伸倍率1.5倍未満で延伸切れが発生して延伸性に劣り、縦延伸倍率1.3倍程度の僅かな延伸では電池セパレータとしての特性は得られなかった。
(比較例7)
表1の比較例7に示す樹脂組成物(G)を用い、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を作成した。多孔膜の延伸性を表1に示した。比較例7では、縦方向への延伸時に、延伸倍率1.5倍未満で延伸切れが発生して延伸性に劣り、縦延伸倍率1.3倍程度の僅かな延伸では電池セパレータとしての特性は得られなかった。
(比較例8)
実施例1で得られたポリオレフィン樹脂多孔膜を用いる代わりに市販の電池セパレータ(商品名セルガード2400、セルガード(株)製、厚さ27μm、空隙率38%、透気抵抗度600s/100ml)を用いる以外は実施例1と同様にSD温度、MD温度及びHRMD温度、HRSD温度の測定試験を行った。測定した結果、それぞれMD170℃、SD160℃、HRMD165℃、HRSD165℃であった。ΔTが10℃、ΔHRTが0℃であり電池セパレータとして5℃/minの昇温速度では若干のシャットダウン機能を有していたが、25℃/minの昇温速度では、膜破れ温度と孔閉塞温度の差がなく、シャットダウン機能は認められなかった。
(比較例9)
実施例1で得られたポリオレフィン樹脂多孔膜を用いる代わりに市販の電池セパレータ(商品名ハイポアH6022、旭化成ケミカルズ(株)製、厚さ27μm、空隙率49%、透気抵抗度90s/100ml)を用いる以外は実施例1と同様にSD温度、MD温度及びHRMD温度、HRSD温度の測定試験を行った。測定した結果、それぞれMD155℃、SD135℃、HRMD135℃、HRSD135℃であった。ΔTが20℃、ΔHRTが0℃であり電池セパレータとして5℃/minの昇温速度では若干のシャットダウン機能を有していたが、25℃/minの昇温速度では、膜破れ温度と孔閉塞温度の差がなく、シャットダウン機能は認められなかった。
Figure 0005262556

Figure 0005262556
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜を用いた電池セパレータは、高空隙率化が可能なため電池の高容量化が可能であって、優れたシャットダウン機能を有する電池セパレータであり、リチウム一次電池、リチウムイオン二次電池及びリチウム二次電池等の有機溶媒系電池セパレータに好適に使用される。
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、電池セパレータ以外に、分離膜、通気防水材等の建築資材、使い捨ておむつ用通気性シート等の衛材にも好適に使用される。
ポリオレフィン製電池セパレータの孔閉塞温度と膜破れ温度を評価するための評価セルの分解平面図である。 ポリオレフィン製電池セパレータの孔閉塞温度と膜破れ温度を評価するための評価セルの断面図である。
符号の説明
A ガラス基盤
B ガラス基盤
C アルミニウム箔
D イミドテープ
E 電池セパレータ
F 評価セル

Claims (7)

  1. 結晶性ポリプロピレン(A)30〜70重量%と、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したエチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンの群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体(B)30〜70重量%とからなるポリオレフィン樹脂(C)35〜89重量%、メルトマスフローレイトMFR(D)(JIS K 7210に準拠し、温度190℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定)が1g/10min以上、30g/10min未満の範囲内である高密度ポリエチレン(D)5〜25重量%、メルトマスフローレイトMFR(E)(JIS K 7210に準拠し、温度230℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定)が0.1g/10min以上、10g/10min未満の範囲内である結晶性ポリプロピレン(E)5〜25重量%、及び結晶性ポリオレフィン・エチレン−ブチレン共重合体・結晶性ポリオレフィンのトリブロックを有するブロック共重合体(CEBC)(F)1〜15重量%を含有するポリオレフィン樹脂組成物(G)を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲内で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することによって生じる開裂によって形成される連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜であり、ポリオレフィン樹脂(C)が、1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を製造し、連続して2段目でエチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンの群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体(B)を製造する工程を含む多段重合法により得られるポリオレフィン樹脂であるポリオレフィン樹脂多孔膜
  2. 結晶性ポリプロピレン(A)のメルトマスフローレイトをMFRPP(JIS K 7210に準拠し、温度230℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定)とし、エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンの群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体(B)のメルトマスフローレイトをMFRRC(JIS K 7210に準拠し、温度230℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定)とした時、メルトマスフローレイト比MFRPP/MFRRCが10を超え1,000以下の範囲内である請求項1記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  3. 膜状溶融物を膜状成形物に成形する際のドラフト比が1〜5の範囲内である請求項1または2記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  4. エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンの群から選ばれる少なくとも1種とプロピレンとの共重合体(B)のプロピレン含量が30〜80重量%である請求項1〜3のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  5. 多孔膜の通気抵抗度(ガーレー)が10〜20,000s/100mlの範囲内、ASTM F 316に準拠して測定された細孔の平均孔径が0.05〜0.2μmの範囲内、孔径分布指数(最大孔径/平均孔径)が1.3〜2.0の範囲内である請求項1〜のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  6. ポリオレフィン樹脂組成物(G)を膜状成形物に成形する成膜法がカレンダー成形法である請求項1〜のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  7. 請求項1〜のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜を用いた電池セパレータ。
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