JP2016102203A - 多孔性フィルム、および透湿防水シート - Google Patents

多孔性フィルム、および透湿防水シート Download PDF

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Abstract

【課題】耐水圧性及び透湿性に優れるにも関わらず、柔軟な多孔性フィルム、およびそれを用いた透湿防水シートの提供。【解決手段】透湿度(T)が300g/m2・時以上、耐水圧(P)が40kPa以上であり、P×T≧20,000(kPa・g/m2・時)を満たす多孔性フィルムであって、厚み25μm換算のループスティフネスが500μN/cm未満である多孔性フィルム。多孔性フィルムがポリプロピレンを主成分とし、キャストシートを二軸配向させ、フィルム中に空孔を形成したものであり、前記多孔性フィルムと布帛を積層した透湿防水シート。【選択図】なし

Description

本発明は、耐水性と透湿性、また柔軟性に優れた透湿防水シートに関する。詳しくは、衣服などとして用いた際に使用環境に対する耐性に優れ、透湿性があるため蒸れ感を軽減し、さらに柔軟性に優れるため、着心地が快適で、特に医療用生地や防護服の基材などに好適に用いることのできる多孔性フィルムおよびそれを用いた透湿防水シートに関する。
透湿性と耐水性を兼ね備える透湿防水シートは、衣服として用いた際に、発汗による水蒸気の衣服外への放出と、水滴の衣服内への侵入を防ぐ機能とを有しており、防寒着やスポーツウェアなどの衣料材料として好適である。
このような透湿防水シートの構成の一つとして不織布と多孔性フィルムの複合体があり、その高い防水性から、雨具や建築用シートとして、またそれに加え、粒子、血液、ウィルスなどに対するバリア性から医療用術衣や防護服用の生地として特に好ましく用いられている。
不織布と多孔性フィルムから成る透湿防水シートを衣服として用いる場合の要求特性の一つとして、柔軟性が求められる。しかしながら、透湿性と耐水性を両立すると多孔性フィルムの厚みが厚くなり、十分な柔軟性が得られないという問題点があった(例えば、特許文献1参照)。例えば特許文献2には、複合体の柔軟性について記載があるが、多孔性フィルム単体の耐水性は低く、強度も不十分なため水にさらされたり、高温多湿等の使用環境での十分な耐久性が得られない場合があった。
特開2008−111134号公報 特開2003−145697号公報
本発明の目的は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、耐水圧性及び透湿性に優れる上に、柔軟な多孔性フィルムおよびそれを用いた透湿防水シートを提供することにある。
上記した課題は、透湿度(T)が300g/m・時以上、耐水圧(P)が40kPa以上であり、P×T≧20,000(kPa・g/m・時)を満たす多孔性フィルムであって、厚み25μm換算のループスティフネスが500μN/cm未満である多孔性フィルムによって達成可能である。
本発明の多孔性フィルムは、耐水圧と透湿性に優れ、加えて柔軟性をも兼ね備えているため、医療用の生地や防護服の基材として好適であり、さらに多孔性フィルムと布帛とを積層した透湿防水シートとして好適に使用することができる。
本発明の多孔性フィルムは、フィルムの両表面を貫通し、透気性を有する貫通孔を複数有しているフィルムであることが好ましい。
多孔性フィルムを構成する樹脂は、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、フッ素系樹脂などいずれでも構わないが、耐熱性、成形性、生産コストの低減、耐薬品性、耐酸化・還元性などの観点からポリオレフィン樹脂が望ましい。
ポリオレフィン樹脂の中でも、単量体成分として、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、5−エチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンを用いることが好ましく、これらの単独重合体や上記単量体成分から選ばれる少なくとも2種以上の共重合体、およびこれら単独重合体や共重合体のブレンド物を用いることが好ましい。上記の単量体成分以外にも、例えば、ビニルアルコール、無水マレイン酸を共重合、グラフト重合しても構わないが、これらに限定されるわけではない。上記のポリオレフィン樹脂の中でも、エチレンを単量体成分として用いたポリエチレンおよび/またはプロピレンを単量体成分として用いたポリプロピレンが好ましく、耐熱性、透気性、空孔率などの観点からプロピレンを単量体成分として用いたポリプロピレンが主成分であることが特に好ましい。ここで、本発明における主成分とは、全成分中に占める割合が50質量%以上であることを意味する。本発明でポリプロピレン樹脂を用いる場合、ホモポリプロピレン樹脂を用いることができるのはもちろんのこと、製膜工程での安定性や造膜性、物性の均一性の観点から、ポリプロピレンにエチレン成分やブテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン成分を5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下の範囲で共重合した樹脂を用いることもできる。なお、ポリプロピレンへのコモノマー(共重合成分)の導入形態としては、ランダム共重合でもブロック共重合でもいずれでも構わない。
本発明の多孔性フィルムをポリプロピレン樹脂で構成する場合、メルトフローレート(以下、MFRと表記する、測定条件は230℃、2.16kg)が2〜30g/10分のアイソタクチックポリプロピレンを用いることが好ましい。MFRが2g/10分未満であると、樹脂の溶融粘度が高くなり高精度濾過が困難となり、フィルムの品位が低下する場合がある。MFRが30g/10分を超えると、分子量が低くなりすぎるため、延伸時のフィルム破れが起こりやすくなり、生産性が低下する場合がある。より好ましくは、MFRは3〜20g/10分である。なお、樹脂全体のMFRが上記好ましい範囲となるように、MFRの異なる複数のポリプロピレンを混合し、調整した混合樹脂を用いてもよい。
また、アイソタクチックポリプロピレン樹脂を用いる場合、アイソタクチックインデックスは90〜99.9%であることが好ましく、95〜99%がより好ましい。アイソタクチックインデックスが90%未満であると、樹脂の結晶性が低く、高い透気性を達成するのが困難な場合がある。
本発明において、ポリオレフィン樹脂を用いる場合、多孔性フィルムに貫通孔を形成する方法としては、たとえば、(1)ポリオレフィン樹脂をマトリックス樹脂とし、シート化後に抽出する被抽出物を添加、混合し、被抽出物の良溶媒を用いて被抽出物のみを抽出することで、マトリックス樹脂中に空隙を生成せしめる湿式法、(2)溶融押出時に低温押出、高ドラフト比を採用することにより、シート化した延伸前のフィルム中のラメラ構造を制御し、これを一軸延伸することでラメラ界面での開裂を発生させ、空隙を形成する方法、(3)無機粒子またはマトリックス樹脂であるポリプロピレンなどに非相溶な樹脂を粒子として多量添加し、シートを形成して延伸することにより粒子とポリプロピレン樹脂界面で開裂を発生させ、空隙を形成する方法、(4)ポリプロピレンの結晶多形であるα型結晶(α晶)とβ型結晶(β晶)の結晶密度の差と結晶転移を利用してフィルム中に空隙を形成させる方法など、溶媒を使用せずに延伸工程で貫通孔を形成する乾式法((2)〜(4))が存在し、いずれの方法を採用してもよい。
上記の多孔化方法の中でも、β晶法を用いてフィルムに貫通孔を形成する方法を採用するのが好ましい。β晶法により多孔化を行うためには、使用するポリプロピレン樹脂のβ晶形成能が40%以上であることが好ましい。β晶形成能が40%未満ではフィルム製造時にβ晶量が少ないためにα晶への転移を利用してフィルム中に形成される空隙数が少なくなり、その結果、透過性の低いフィルムしか得られない場合がある。一方、β晶形成能の上限は特に限定されるものではないが、99.9%を超えるようにするのは、後述するβ晶核剤を多量に添加したり、使用するポリプロピレン樹脂の立体規則性を極めて高くしたりする必要があり、製膜安定性が低下するなど工業的な実用価値が低い。工業的にはβ晶形成能は65〜99.9%が好ましく、70〜95%が特に好ましい。
β晶形成能を40%以上に制御するためには、アイソタクチックインデックスが90〜99%のポリプロピレン樹脂を使用することが好ましい。さらに、β晶核剤と呼ばれる、ポリプロピレン樹脂中に添加することでβ晶を選択的に形成させる結晶化核剤を添加剤として用いることが好ましい。β晶核剤としては、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、コハク酸マグネシウムなどのカルボン酸のアルカリあるいはアルカリ土類金属塩、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミドに代表されるアミド系化合物、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどのテトラオキサスピロ化合物、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどの芳香族スルホン酸化合物、イミドカルボン酸誘導体、フタロシアンニン系顔料、キナクリドン系顔料などを好ましく挙げることができるが、特にN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミドに代表されるアミド系化合物、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどのテトラオキサスピロ化合物を好ましく用いることができる。β晶核剤の含有量としては、上記好ましいβ晶核剤の場合、ポリプロピレン樹脂全体を基準とした場合に、0.05〜0.5質量%であることが好ましく、0.1〜0.3質量%であればより好ましい。0.05質量%未満では、β晶の形成が不十分となり、多孔性フィルムの透気性が低下する場合がある。0.5質量%を超えると、粗大ボイドを形成し、弾性率、突き刺し強度、引張強度などの機械強度が低下する場合がある。
本発明の多孔性フィルムではポリプロピレンを用いる場合、主成分となるポリプロピレン(以下、ポリプロピレン原料(I)とする。)に加えて柔軟性を向上させるために、結晶性や立体規則性の低いポリプロピレン(以下、ポリプロピレン原料(II)とする。)を用いることが好ましい。このようなポリプロピレン原料(II)としては、非晶性ポリプロピレンや低立体規則性ポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、α−オレフィン共重合体などを用いることができるが、少ない含有量で優れた柔軟性を得ることができることから、非晶性ポリプロピレンや低立体規則性ポリプロピレンが特に好ましい。
非晶性ポリプロピレンとしては、主としてアタクチックな立体規則性を有するポリプロピレンポリマーが主成分であることが好ましく、具体的には、ホモポリマーあるいは、α−オレフィンとのコポリマーが挙げられる。特に後者、即ち、非晶性ポリプロピレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。該α−オレフィンとしては、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、あるいはプロピレン−エチレン−1−ブテンなどが望ましい。またこのようなα−オレフィンを用いた非晶性ポリプロピレン−α−オレフィン共重合体としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−環状オレフィン共重合体、プロピレン−エチレン−ブタジエン共重合体などが挙げられる。
低立体規則性ポリプロピレンとしては、プロピレンの単独重合体であって、重合触媒としてメタロセン触媒を用いて製造されたものが好ましい。低立体規則性ポリプロピレンの融点は、100℃以下であることが好ましく、60〜90℃であることがより好ましく、65〜85℃であることが特に好ましい。重量平均分子量(Mw)は4万〜20万であることが好ましく、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は1〜3であることが好ましい。
本発明の多孔性フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤や無機あるいは有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレン樹脂の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して酸化防止剤を0.01〜0.5質量部添加することは好ましいことである。
本発明における多孔性フィルムの透湿度は300g/m・時以上である。透湿度が300g/m・時未満では、これを積層し衣服として用いた場合、発汗による水蒸気を外に逃がしにくくなり、着心地が低下することがある。耐水圧との両立の観点から、透湿度は高いほうが好ましいが、上限は現実的には、2,000g/m・時より高いと衣服として用いた場合の耐水圧、バリア性や機械強度の低下が起こる場合がある。透湿度は、原料中のβ晶核剤の添加量、結晶化温度を調整すること、長手方向の延伸倍率と温度を調整することで制御することができる。例えば、原料中のβ晶核剤の含有量を0.05〜0.5質量%の範囲内でより増加させたり、結晶化温度を高くしたり、長手方向の延伸温度を90〜140℃の範囲内でより低温にすることで高めることができ、長手方向の延伸倍率を3〜7倍の範囲内でより高倍にすることで透湿度を増大せしめることができる。
本発における多孔性フィルムの耐水圧は40kPa以上である。これより低いと透湿防水シートとして防水性能に劣り、水にさらされる環境下での使用に耐えない場合がある。耐水圧の上限は特に制限されるものではないが、100kPa以下で十分な機能を発現させることができる。耐水圧は、キャストドラムの温度、長手方向の延伸倍率と温度、横延伸速度と倍率、熱処理工程での温度と時間、およびリラックスゾーンでの弛緩率を調整することで制御することができる。例えば、長手方向の延伸温度を90〜140℃の範囲内でより高温にすることで高めることができ、長手方向の延伸倍率を3〜7倍の範囲内でより低倍にしたり、横延伸速度を500〜10,000%/分の範囲内でより早くしたり、横延伸倍率を4〜15倍の範囲内でより高倍にしたり、熱処理工程での温度を140〜170℃の範囲内でより高温にしたり、リラックスゾーンでの弛緩率を5〜35%の範囲内でより高くすることで耐水圧を高めることができる。
本発明の多孔性フィルムはP×T≧20,000(kPa・g/m・時)を満足する。これにより、作業快適性と防水性能を両立することが可能となる。透湿度(T:単位g/m・時)と耐水圧(P:単位kPa)の範囲およびその値の関係を上記好ましい範囲に制御するためには、後述する延伸条件に代表されるフィルム製造条件により孔構造を制御することが好ましい。さらにはP×T≧21,000(kPa・g/m・時)を満足することが好ましく、P×T≧22,000(kPa・g/m・時)を満足すると特に好ましい。
本発明の多孔性フィルムは、多孔性フィルムの厚み25μm換算のループスティフネスが500μN/cm未満である。500μN/cm以上であると、曲げ剛性が大きくなり柔軟性が低下し、衣服の生地として使用した際の着心地が低下する場合がある。より好ましくは400μN/cm以下であり、さらに好ましくは300μN/cm以下である。ループスティフネスの下限は特に設けないが、30μN/cmより低いとフィルムのコシが低下し過ぎて加工時のハンドリング性が低下する場合がある。多孔性フィルムの厚み25μm換算のループスティフネスの値を上記範囲とするためには、多孔性フィルムの原料組成を後述する範囲とし、原料の押出安定性を維持しつつ、曲げ剛性を低減させること、また、製膜条件や多孔性フィルムの厚みを後述する範囲とすることが好ましい。
本発明の多孔性フィルムは突き刺し強度が25gf/μm以上であることが好ましく、30gf/μm以上であることがより好ましい。突き刺し強度が25gf/μm未満では、例えば、縫製などの加工性が低下したり、引っかきや磨耗、突き刺しなど、着用時のダメージにより衣服が破れ、防水性バリア性が低下してしまうことがある。透湿度または/およびループスティフネスと突き刺し強度の両立の観点から、突き刺し強度の上限は現実的には100gf/μm以下となる。
本発明の多孔性フィルムは、目付が15g/m以下が好ましい。より好ましくは13g/m以下である。目付が15g/mを超える場合、衣服としたときに軽量さが失われたり、十分な透湿性が得られずに着心地が悪くなる場合がある。突き刺し強度と耐水圧の観点から目付けの下限は現実的には0.1g/m以上となる。
本発明の多孔性フィルムは、フィルム厚みが1μm〜20μmであることが好ましい。厚みが1μm未満では加工時または使用時にフィルムが破断する場合がある。20μmより厚いと柔軟性が低下し衣服の生地として使用する際の着心地が低下する場合がある。フィルム厚みは5μm〜15μmであればより好ましい。
以下に本発明の多孔性フィルムの製造方法を具体的な一例をもとに説明する。なお、本発明の多孔性フィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
ポリプロピレン原料(I)として、MFR4g/10分の市販のホモポリプロピレン樹脂99.5質量部、β晶核剤としてN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド0.3質量部、酸化防止剤0.2質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給して溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、0〜25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットする。この際、溶融温度は280〜310℃とすることが好ましい。これをポリプロピレン原料(A)とする。
本発明において、ポリプロピレン原料(A)とポリプロピレン原料(II)のブレンド方法としては溶融混練が好ましく、後述する条件で溶融混練することが好ましい。ドライブレンドでは、ポリプロピレン原料(A)とポリプロピレン原料(II)が均一に分散しない場合やポリプロピレン原料(II)が押出機入口や押出機内で溶融粘着したり、低融点成分が押出機内で昇華したりして樹脂劣化を引き起こし十分な機能が得られない場合がある。溶融混練の方法としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー、例えばバンバリーミキサー、ニーダー、一軸または二軸押出機など採用することができる。
本発明における、ポリプロピレン原料(A)とポリプロピレン原料(II)の混合割合として10:90〜95:5(質量比。以下同じ)の比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し溶融混練を行う。より好ましくは30:70〜90:10、更に好ましくは40:60〜85:15である。ポリプロピレン原料(II)の混合割合が90を超えると、安定した押出が困難となり生産性が低下する場合がある。5未満であるとフィルムの柔軟性が低下する場合がある。ストランドをダイから吐出して、0〜25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン原料(B)を準備する。
ポリプロピレン原料(A)とポリプロピレン原料(II)は高せん断で溶融混練することが好ましい。樹脂にせん断が強くかかると、樹脂の温度は押出機温度よりも高くなる場合がある。溶融混練時の押出機温度は樹脂温度に対して20〜40℃低くすることで、高せん断で溶融混練することができる。20℃より低いとポリプロピレン原料(A)とポリプロピレン原料(II)の相溶性が下がり十分な機能が得られなかったり、延伸時に破膜が頻発したりする場合がある。また40℃より高いと樹脂が分解しやすくなり樹脂の劣化を引き起こす場合がある。
本発明において溶融混練時の樹脂温度は200〜250℃とすることが好ましく、より好ましくは210〜240℃、さらに好ましくは215〜235℃である。樹脂温度が250℃を超えるとポリプロピレン原料(II)の低融点成分の劣化や柔軟性成分の昇華が起こり、充分な効果が得られない場合がある。また、樹脂温度が200℃より低いと、溶融樹脂の粘度が高くなりすぎて、生産性が低下や、押出安定性の低下を招いてしまう場合がある。
樹脂を溶融押出機などで溶融状態とする場合には、雰囲気を窒素ガス雰囲気下とするのが、樹脂の酸化劣化を抑制する観点で好ましい。
次に、ポリプロピレン原料(B)を単軸押出機に供給し、200〜230℃にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、Tダイよりキャストドラム上に吐出し、未延伸の積層キャストシートを得る。キャストドラムは、表面温度が105〜130℃であることが、キャストシートのβ晶分率を高く制御する観点から好ましい。この際、特にシートの端部の成形が、後の延伸性に影響するので、端部にスポットエアーを吹き付けてドラムに密着させることが好ましい。また、シート全体のドラム上への密着状態から、必要に応じて全面にエアナイフを用いて空気を吹き付けてもよい。
次に、得られたキャストシートを二軸配向させ、フィルム中に空孔を形成する。二軸配向させる方法としては、フィルム長手方向に延伸後幅方向に延伸、あるいは幅方向に延伸後長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、またはフィルムの長手方向と幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができるが、透湿性、耐水圧の観点で逐次二軸延伸法を採用することが好ましく、特に、長手方向に延伸後、幅方向に延伸することが好ましい。
具体的な延伸条件としては、まず、キャストシートを長手方向に延伸する温度に制御するとよい。温度制御の方法は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。長手方向の延伸温度としては、90〜140℃であることが好ましい。90℃未満では、フィルムが破断したり、伸度が低下したり、耐水圧が低下する場合がある。140℃を超えると、透湿性が低下する場合がある。長手方向の延伸温度は、より好ましくは110〜135℃、特に好ましくは125〜130℃である。延伸倍率としては、3〜7倍であることが好ましい。3倍未満では透湿性が低下する場合がある。延伸倍率を高くするほど透湿性は良化するが、7倍を超えて延伸すると、フィルムが破断したり、伸度が低下したり、耐水圧が低下する場合がある。透湿性、伸度、耐水圧の両立の観点から、延伸倍率はより好ましくは4〜7倍である。
次に、テンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入する。横延伸温度は、好ましくは130〜155℃である。130℃未満ではフィルムが破断したり、伸度が低下したり、耐水圧が低下する場合があり、155℃を超えると透湿性が低下する場合がある。透湿性、伸度、耐水圧の両立の観点から、より好ましくは140〜155℃である。幅方向の延伸倍率は4〜15倍であることが好ましい。4倍未満であると、透湿性が低下する場合がある。耐水圧、伸度の観点から、延伸倍率は高倍が好ましいが、15倍を超えると、フィルムが破断し生産性が低下したり、透湿性が低下したりする場合がある。透湿性、伸度、耐水圧の両立の観点から、延伸倍率はより好ましくは6〜12倍、更に好ましくは8〜11倍である。なお、このときの横延伸速度としては、500〜10,000%/分で行うことが好ましく、1,500〜7,000%/分であればより好ましい。面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)としては、好ましくは30〜90倍である。
横延伸に続いて、テンター内で幅方向に熱処理を行う。その際、弛緩処理も行うことができる。熱処理温度は140〜170℃であることが好ましい。140℃未満であると、伸度が低下したり、耐水圧が低下する場合がある。170℃を超えると、多孔性フィルム表面が溶融し透湿性が低下したり、多孔性フィルムが幅方向に収縮し熱処理工程で破断してしまい、生産性が低下する場合がある。熱処理時間は、伸度、耐水圧と生産性の両立の観点から0.1秒以上10秒以下であることが好ましく、3秒以上8秒以下であるとより好ましい。また弛緩率は5〜35%であることが好ましい。弛緩率が5%未満であると伸度が低下したり、耐水圧が低下したり、幅方向の幅方向の熱収縮率が大きくなる場合がある。35%を超えると透湿性が低下したり物性ムラが大きくなる場合がある。透湿性、伸度、耐水圧の両立の観点から、5〜15%であるとより好ましい。熱処理および弛緩処理の速度は、100〜1,000%/分であることが好ましい。処理速度が100%/分未満であると、製膜速度を遅くしたり、テンター長さを長くする必要があり、生産性に劣る場合がある。1,000%/分を超えると、テンターのレール幅が縮む速度よりフィルムが収縮する速度が遅くなり、テンター内でフィルムがばたついて破れたり、幅方向のムラが大きくなったり平面性低下を生じる場合がある。処理速度は、150〜500%/分であることがより好ましい。
本発明においては、上記した多孔性フィルムを用いて透湿防水シートを構成することが好ましいが、少なくとも片面に布帛を積層することもできる。ここで、布帛とは織布や不織布等であれば特に限定されるものではないが、柔軟性と透湿性という観点から不織布を貼合することが好ましい。不織布を構成する繊維は特に限定されるものではないが、多孔性フィルムとの親和性、接着性の点で、同一樹脂種を用いることが好ましく、ポリプロピレンフィルムにはポリプロピレン製繊維からなる布帛を用いることが好ましい。この透湿防水シートの目付は100g/m以下が好ましく、50g/m以下であることがより好ましく、45g/m以下であることがさらに好ましい。多孔性フィルムと布帛から成る透湿防水シートを医療用生地や防護服として用いる場合、100g/mより大きいと重量感があり、着心地が低下する場合がある。
本発明の多孔性フィルムは、透湿性、耐水圧、柔軟性に優れることから、防護服用途、カイロ用包材、おむつや生理用品、絆創膏、油吸着シート、土木建材用途、医療用途においても好適に用いることができる。また、本発明の多孔性フィルムは加工での工程通過性に優れており、布帛と貼り合せることで、低目付および透湿性に優れることから着用した際の軽量感および蒸れ感を軽減し着衣快適性に優れ、耐水圧に優れることから、化学防護服全般や、医療用生地として好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)透湿度(P:単位kPa)
JIS L 1099(2012)のA−1法(塩化カルシウム法)に準拠して測定した。測定は場所を変えて3箇所から採取したサンプルを用いて行い、その平均値を当該サンプルの透湿度とした。
(2)耐水圧(T:単位g/m・時)
JIS L 1092(2009)の耐水度試験B法(高水圧法)に準拠して測定した。測定は場所を変えて5箇所から採取したサンプルを用いて行い、その平均値を当該サンプルの耐水圧とした。なお、評価時は裏打ち材は使用しなかった。
(3)フィルム厚み
ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A(10.5mmφ超硬球面測定子、測定荷重0.06N)を用いて、任意の10点について厚み(t:μm)を測定しその平均値を多孔性フィルムの厚みとした。
(4)ループスティフネス(曲げ剛性)
多孔性フィルムを試験方向長さ300mm、幅25.4mmの矩形に切り出しサンプルとした。東洋精機製作所株式会社製ループスティフネステスタを用いて曲げ剛性(mg)を測定した。ループ長は50mm、押しつぶし距離は5mmとした。測定は長手方向及び幅方向それぞれにつきサンプリング位置の異なるサンプル5個を用い測定し、その平均値(r)を求めた。厚みの異なるサンプルを規格化するため、以下の式で厚み25μm換算のループスティフネスを算出した。
厚み25μm換算のループスティフネス=(r/t)×25
t:試料の厚み((3)による測定値を使用)
(5)突き刺し強度
カトーテック(株)製ハンディー圧縮試験機KES−G5を用いて、試験速度を120mm/minとしたことを除いて、JIS Z 1707(1997)に準じて測定を行った。測定時にピン先端を試験片に対し一定速度で突き刺した際のピンが貫通する際の最大応力を読み取り、各サンプル5回ずつ行いその平均値を算出した。
(6)目付
多孔性フィルム等の試料を100mm×100mmの大きさの正方形を切り出しサンプルとする。サンプルの対角線の長さをノギスを用いて測定し、対角線の長さから、ひし形の面積の公式を用いて、サンプル面積を算出する。次にサンプルを電子天秤を用いて質量を測定し、以下の式を用いて目付を算出した。
目付(g/m)=質量(g)÷サンプル面積(m
(7)着用テスト
不織布Aとしてポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付40g/m、引張強力:57.6N/50mm、破裂強さ:500kPa、摩耗強さ:4.5級)を用い、実施例または比較例の多孔性フィルムと不織布Aを不織布A/多孔性フィルム/不織布Aの3層構成にて、ホットメルト接着剤‘モレスコメルト TN−608Z’を不織布Aの片面に1.7g/mとなるよう吹き付け、これに多孔性フィルムを貼り合せて、透湿・防水材料を作製した。作製した透湿・防水材料を、型紙に合わせて切り出した。切り出した透湿・防水材料の縫製部分をミシンまたは超音波にて縫製し、防護服を作製した。ミシン縫いした箇所には、2cm幅のシームテープを貼り付けた。
被験者がシャツ1枚、作業ズボン1枚の上から作製した防護服を着用し、6m/分の速度で30分間歩行し、防護服内の湿度データおよび着用性をそれぞれ市販の旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ(株)製のタイベックソフトウェアIII型と比較した。これを3人の被験者に対して実施した。
○:タイベックソフトウェアIII型と同様に歩行に支障が出ないおよび10%以上湿度が低い
×:10%未満湿度が低いまたは/かつイベックソフトウェアIII型とに比較して作製した防護服が硬く、歩行に支障が発生する
(実施例1)
多孔性フィルムのポリプロピレン原料(I)として、住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を94.5質量部、MFRが0.5g/10分のホモポリプロピレンを5質量部、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、Nu−100)を0.3質量部、さらに酸化防止剤であるBASF製IRGANOX1010を0.1質量部、IRGAFOS168を0.1質量部の割合で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し樹脂温度300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン原料(A)とした。次にポリプロピレン原料(A)を90質量部とポリプロピレン原料(II)として出光興産(株)製、エルモーデュS901(MFR:50g/10分、分子量分布:2、融点:80℃)を10質量部の割合で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、樹脂温度230℃で溶融混練を行った。ストランドをダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン原料(B)を準備した。
次にポリプロピレン原料(B)を単軸押出機に供給して225℃で溶融押出を行い、フィルターで異物を除去後、Tダイから120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出しキャストすることで未延伸シートを得た。ついで、120℃に加熱したロールを用いて加熱しフィルムの長手方向に5倍延伸し一旦冷却した。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、幅方向に150℃で延伸速度2,800%/分にて7倍延伸した。引き続き幅方向に155℃で15%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、膜厚15μmの多孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムの物性測定結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1の長手延伸工程において125℃に加熱したロールを用いて加熱しフィルムの長手方向に5.5倍延伸し一旦冷却した。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃で9倍に延伸速度2,800%/分で延伸した。引き続き幅方向に162℃で10%のリラックスを掛けながら熱処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして膜厚10μmの多孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムの物性測定結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の長手延伸工程において120℃に加熱したロールを用いて加熱しフィルムの長手方向に5倍延伸し一旦冷却した。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃で7倍に延伸速度2,500%/分で延伸した。引き続き幅方向に160℃で10%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、膜厚15μmの多孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムの物性測定結果を表1に示す。
(実施例4)
ポリプロピレン原料(B)として、ポリプロピレン原料(A)を95質量部とポリプロピレン原料(II)として出光興産(株)製、エルモーデュS901(MFR:50g/10分)を5質量部の割合で混合したこと以外は実施例1と同様にして膜厚15μmの多孔性フィルムを得た。
(実施例5)
実施例1の長手延伸工程において130℃に加熱したロールを用いて加熱しフィルムの長手方向に6.5倍延伸し一旦冷却した。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、145℃で加熱後、4.5倍に、延伸速度2,800%/分で延伸した。引き続き幅方向に160℃で10%のリラックスを掛けながら熱処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして膜厚15μmの多孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムの物性測定結果を表1に示す。
(実施例6)
ポリプロピレン原料(C)として、ポリプロピレン原料(A)を85質量部とポリプロピレン原料(II)として出光興産(株)製、エルモーデュS901(MFR:50g/10分)を15質量部の割合で混合した。
得られたポリプロピレン原料(C)を用いて実施例1の長手延伸工程において125℃に加熱したロールを用いて加熱しフィルムの長手方向に1.4倍延伸した後、さらに5.0倍延伸し、一旦冷却した。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、155℃で加熱後、7.5倍に、延伸速度3,000%/分で延伸した。引き続き幅方向に160℃で10%のリラックスを掛けながら熱処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして膜厚15μmの多孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムの物性測定結果を表1に示す。
(実施例7)
多孔性フィルムのポリプロピレン原料(I)として、MFRが4.0g/10分のホモポリプロピレン樹脂を99.5質量部、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、Nu−100)を0.3質量部、さらに酸化防止剤であるBASF製IRGANOX1010を0.1質量部、IRGAFOS168を0.1質量部の割合で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し樹脂温度300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン原料(D)とした。次にポリプロピレン原料(D)を90質量部とポリプロピレン原料(II)として出光興産(株)製、エルモーデュS901(MFR:50g/10分、分子量分布:2、融点:80℃)を10質量部の割合で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、樹脂温度230℃で溶融混練を行った。ストランドをダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン原料(D)を準備した。
得られたポリプロピレン原料(D)を用いて実施例1と同様にして膜厚15μmの多孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムの物性測定結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で準備したポリプロピレン原料(A)を単軸押出機に供給して225℃で溶融押出を行い、フィルターで異物を除去後、Tダイから120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出しキャストすることで未延伸シートを得た。ついで、125℃に加熱したロールを用いて予熱を行いフィルムの長手方向に5倍延伸を行った。一旦冷却後、次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃で予熱後、150℃で7倍に、延伸速度2,800%/分で延伸した。引き続き幅方向に162℃で10%のリラックスを掛けながら熱処理を行った事以外は実施例1と同様にして膜厚15μmの多孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムの物性測定結果を表1に示す。
(比較例2)
MFRが7g/10分のプロピレン・エチレンランダム共重合体を37質量部と炭酸カルシウム(平均粒子径2μm)63質量部をドライブレンドした後、インフレーションフイルム成形機を用いて温度200℃で溶融押出した。このフィルムをロール法により50℃の温度で1軸方向に8倍延伸し、厚さ15μmの多孔フィルムを得た。得られた多孔性フィルムの物性測定結果を表1に示す。この多孔フィルムでは透湿度が低いため、(7)着用テストで服内の湿度が比較品よりも高かった。
(比較例3)
実施例1で準備したポリプロピレン原料(A)を90質量部とポリプロピレン原料(II)を10質量部の割合でドライブレンドし単軸押出機に供給した事以外は実施例1と同様にして多孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムはポリプロピレン原料(A)とポリプロピレン原料(II)の分散性が悪く、均一に延伸できなかったため、厚み、透湿度、耐水圧、ループスティフネス、突き刺し強度、目付の物性ムラが大きいフィルムとなったため、正確な物性測定は困難であった。また、(7)着用テストも物性ムラが大きいために実施しなかった。
(比較例4)
多孔性フィルムのポリプロピレン原料(I)として、住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を95.3質量部、MFRが1g/10分のホモポリプロピレンを4質量部、β晶核剤−1を0.3質量部、さらに酸化防止剤であるBASF製IRGANOX1010を0.15質量部、IRGAFOS168を0.25質量部の比率となるように二軸押出機に供給し、樹脂温度305℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてチップ原料とした。
チップ原料を220℃に温度制御した単軸押出機に供給し溶融押出を行い、Tダイから120℃に温度調整した金属ドラム上に吐出、キャストして未延伸シートを得た。ついで、125℃に加熱した金属ロールを用いて加熱し、フィルムの長手方向に5倍延伸し一旦冷却した。つぎに、テンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、152℃で幅方向に延伸速度3000%/分にて8倍延伸し、そのまま幅方向に5%のリラックスを掛けながら160℃で8秒間の熱処理を行い、厚み15μmの多孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムの物性測定結果を表1に示す。この多孔性フィルムを用いた(7)着用テストでは、生地が硬いために歩行しにくかった。
Figure 2016102203
本発明の多孔性フィルムは耐水圧と透湿性に優れ、さらに柔軟性も兼ね備えているため、多孔性フィルムを用いた透湿防水シートとして医療用の生地や防護服の基材などに好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 透湿度(T)が300g/m・時以上、耐水圧(P)が40kPa以上であり、P×T≧20,000(kPa・g/m・時)を満たす多孔性フィルムであって、厚み25μm換算のループスティフネスが500μN/cm未満である多孔性フィルム。
  2. 突き刺し強度が25gf/μm以上である、請求項1に記載の多孔性フィルム。
  3. 目付が15g/m以下である、請求項1または2に記載の多孔性フィルム。
  4. 多孔性フィルムがポリプロピレンを主成分とする、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の多孔性フィルムと布帛が積層された透湿防水シート。
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