JP2003210565A - 医療用多孔性フィルム - Google Patents

医療用多孔性フィルム

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JP2003210565A JP2002013244A JP2002013244A JP2003210565A JP 2003210565 A JP2003210565 A JP 2003210565A JP 2002013244 A JP2002013244 A JP 2002013244A JP 2002013244 A JP2002013244 A JP 2002013244A JP 2003210565 A JP2003210565 A JP 2003210565A
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medical porous
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Atsuhiro Takada
敦弘 高田
Tatsuma Kuroda
竜磨 黒田
Akira Hanada
暁 花田
Takeshi Yamada
武 山田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】実用的に十分な強度を有しつつ、高い透湿性及
び通気性を有する医療用多孔性フィルムを提供する。 【解決手段】熱可塑性樹脂からなり、微細孔を有する医
療用多孔性フィルムであって、微細孔は、フィルムの1
方向に伸びる幹フィブリルと幹フィブリル間を連結する
枝フィブリルからなる3次元網状組織により形成されて
おり、枝フィブリルの形成密度は、幹フィブリルの形成
密度より高い医療用多孔性フィルムとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂、好
ましくはポリオレフィン系樹脂からなる医療用多孔性フ
ィルムに関する。より詳しくは、救急絆創膏、消炎鎮痛
用貼付剤、経皮吸収型薬剤、皮膚面固定シート等として
好ましく用いられる医療用多孔性フィルムに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】救急絆創膏、消炎鎮痛用貼付剤、経皮吸
収型薬剤、皮膚面固定シート等の医療用の粘着テープや
フィルム、シートは、直接皮膚に貼付され、しかも長時
間貼付された状態で使用される。このため、医療用フィ
ルムないしシート(以下、単に医療用シート等とも称す
る。)には、まず長時間貼付使用した場合においてもム
レやカブレなどの皮膚障害を起こさないことが要求さ
れ、そのためにこれらの構成部材である支持フィルムは
透湿性、空気透過性が高い材料であることが要求され
る。
【0003】医療用シート等においては、織布、不織布
等の繊維材料又は樹脂フィルムが粘着剤、薬剤の層を形
成する基材ないし支持フィルムとして使用されている。
繊維材料は、透湿性ないし空気透過性は高い材料である
が、医療用シート等は使用状況によっては、水がかかる
場合もあり、水がかかると簡単に浸透してかえって皮膚
面を湿らせることになる。また体液がしみ出てくる部位
に貼付した場合、水や体液により湿潤した部分に雑菌が
繁殖しやすく、化膿防止などの衛生面において改善すべ
き点があった。
【0004】これに対して樹脂フィルムは、水と接触し
てもこれを通さないという点においては優れたものであ
るが、従来の樹脂製のフィルムを使用した医療用フィル
ムは、透湿性ないし空気透過性が高いものではなく、こ
れを高めるために、フィルムに機械的に孔を空けて支持
フィルムとして使用していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、樹脂フィルム
に機械的に孔をあけた支持フィルムは、水に接触すると
水が入り込み、また孔の径が大きいために雑菌が侵入し
たり、傷口に繁殖した菌が浸出してくるという問題があ
った。さらに、孔を形成した樹脂フィルムは、延伸方向
には強度を有するものではあるが、延伸方向と直交方向
の強度が極めて弱く、巻き取ったテープを剥離しつつ使
用する場合や皮膚の貼付面から剥離する際に切断しやす
いという問題を有していた。
【0006】本発明の目的は、防水性、細菌透過防止
性、並びに透湿性や空気透過性を有しつつ、機械的強度
に優れた医療用多孔性フィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、防水性、
細菌透過防止性、並びに透湿性や空気透過性を有しつ
つ、機械的強度に優れた医療用フィルムに適した多孔性
フィルムを開発すべく鋭意検討した結果、多孔性フィル
ムの孔の構造を特定の構造にすることによって、上記問
題を解決した医療用多孔性フィルムとすることができる
ことを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】即ち本発明は、微細孔を有する熱可塑性樹
脂製の多孔性フィルムからなる医療用多孔性フィルムで
あって、前記微細孔は、フィルムの1方向に伸びる幹フ
ィブリルと前記幹フィブリル間を連結する枝フィブリル
とからなる3次元網状組織により形成されており、前記
枝フィブリルの形成密度は、前記幹フィブリルの形成密
度より高いことを特徴とする。このような孔構造を、l
oofah構造と称する。
【0009】また、枝フィブリルの形成密度が、幹フィ
ブリルの形成密度より高いことによって、最大熱収縮方
向、及びそれに直交する方向との力学強度のバランスの
優れた医療用多孔性フィルムとなり、使用時並びに貼付
状態からの剥離において切断することがない。
【0010】枝フィブリル、幹フィブリルは、必ずしも
直線的に伸びている必要はない。また、幹フィブリルの
伸びる方向は、電子顕微鏡写真により確認でき、フィル
ムの裁断により決定されるので、特に特定されるもので
はない。「1方向に伸びる」とは、すべての幹フィブリ
ルが直線的に平行に特定方向に伸びていることを要する
ものではなく、蛇行しつつある程度のばらつきを有して
平均的に特定方向に配向していることを意味する。
【0011】枝フィブリル、幹フィブリルのそれぞれの
形成密度は、フィルム1μm2 の面積に存在するフィブ
リルの数であり、走査型電子顕微鏡によりフィルム表面
を観測して求める。具体的には、5×5μmの中に存在
するフィブリルの数を計測して求める。
【0012】上述の医療用多孔性フィルムにおいては、
バブルポイント法(ASTM F316−86)により
求めた前記微細孔の平均細孔直径d(μm)と、水銀圧
入法(JIS K1150)により求めた前記微細孔の
平均細孔半径r(μm)とが下記式 1.2≦2r/d≦1.7 を満たすものであることが好ましい。
【0013】2r/dの値が上記範囲内にあると、医療
用多孔性フィルムとして、強度、透湿性、及び空気透過
性のバランスが特に優れたものとなる。なお、フィルム
の強度の点から、2r/dの値は1.65以下であるこ
とが好ましく、1.60以下であることがより好まし
い。
【0014】本発明の医療用多孔性フィルムの膜厚Yは
通常10〜200μmであり、好ましくは20〜150
μm、より好ましくは30〜100μmである。厚すぎ
ると透湿性や空気透過性が低下し、薄すぎると物理的強
度が十分でなくなる。
【0015】上述の医療用多孔性フィルムにおいては、
前記枝フィブリルは、フィルムの最大熱収縮方向に配向
していることが好ましい。
【0016】枝フィブリルが、フィルムの最大熱収縮方
向に配向することにより、最大熱収縮方向の機械的強度
が高くなる。
【0017】本発明の医療用多孔性フィルムにおいて
は、前記微細孔は、平均細孔直径dが0.03〜0.5
μmであることが好ましい。
【0018】平均細孔直径dが0.03μm未満の場合
には透湿性、空気透過性が不十分であり、0.5μmを
超えると細菌の侵入、浸出防止が重視される用途には使
用することが難しくなる。
【0019】また本発明の医療用多孔性フィルムは、厚
さ25μmあたりのガーレー値が10〜500秒/10
0cc、空隙率が40〜80%であることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の医療用多孔性フィルムを
構成する多孔性フィルムの主原料である熱可塑性樹脂と
しては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン等の
オレフィンの単独重合体または2種類以上のオレフィン
の共重合体であるポリオレフィン系樹脂、ブタジエン−
スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ブタジエ
ン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレ
ン共重合体等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル−エチレン等の塩化ビニ
ル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等
のフッ化ビニル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロ
ン、12−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽
和ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニ
レンオキサイド、ポリアセタール、ポリフェニレンスル
フィド、シリコーン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、
ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、熱
可塑性エラストマーやこれらの架橋物等が挙げられる。
【0021】本発明の医療用多孔性フィルムを構成して
いる熱可塑性樹脂は、1種類あるいは2種類以上の混合
物であってもよい。
【0022】熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系
樹脂の使用が、化学的な安定性に優れており、医療用多
孔性フィルムとしてより好適である。
【0023】このようなポリオレフィン系樹脂は、1種
類のオレフィンの重合体または2種類以上のオレフィン
の共重合体を主成分とするものである。ポリオレフィン
系樹脂の原料となるオレフィンとしては、エチレン、プ
ロピレン、ブテン、ヘキセンなどが挙げられる。ポリオ
レフィン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレ
ン、線状ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重
合体)、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポ
リプロピレン系樹脂、ポリ(4 −メチルペンテン−
1)、ポリ(ブテン−1)、及びエチレン−酢酸ビニル
共重合体等が挙げられる。
【0024】特に、ポリオレフィン系樹脂が分子鎖長が
2850nm以上の長分子鎖長ポリオレフィンを含有す
る医療用多孔性フィルムは強度に優れており、従って機
械的強度を維持しつつ膜厚を薄くすることができる。こ
のため透湿性、空気透過性もより向上させることがで
き、本発明の効果をより発現する医療用多孔性フィルム
が得られる。医療用多孔性フィルムの強度の観点から、
ポリオレフィン系樹脂は、分子鎖長が2850nm以上
の長分子鎖長ポリオレフィンを10重量%以上含有して
いることが好ましく、20重量%以上含有していること
がより好ましく、30重量%以上含有していることが更
に好ましい。
【0025】ポリオレフィンの分子鎖長、重量平均分子
鎖長、分子量及び重量平均分子量はGPC(ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー)により測定し、特定分
子鎖長範囲又は特定分子量範囲のポリオレフィンの混合
比率(重量%)はGPC測定により得られる分子量分布
曲線の積分により求めることができる。
【0026】ここに、ポリオレフィンの分子鎖長は、後
述するGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー)測定によるポリスチレン換算の分子鎖長であり、よ
り具体的には以下の手順で求められるパラメータであ
る。
【0027】すなわち、GPC測定の移動相としては、
測定する未知試料も分子量既知の標準ポリスチレンも溶
解することができる溶媒を使用する。まず、分子量が異
なる複数種の標準ポリスチレンのGPC測定を行い、各
標準ポリスチレンの保持時間を求める。ポリスチレンの
Qファクターを用いて各標準ポリスチレンの分子鎖長を
求め、これにより、各標準ポリスチレンの分子鎖長とそ
れに対応する保持時間を知る。尚、標準ポリスチレンの
分子量、分子鎖長およびQファクターは下記の関係にあ
る。
【0028】分子量=分子鎖長×Qファクター 次に、未知試料のGPC測定を行い、保持時間ー溶出成
分量曲線を得る。標準ポリスチレンのGPC測定におい
て、保持時間Tであった標準ポリスチレンの分子鎖長を
Lとするとき、未知試料のGPC測定において保持時間
Tであった成分の「ポリスチレン換算の分子鎖長」をL
とする。この関係を用いて、当該未知試料の前記保持時
間ー溶出成分量曲線から、当該未知試料のポリスチレン
換算の分子鎖長分布(ポリスチレン換算の分子鎖長と溶
出成分量との関係)が求められる。
【0029】本発明の医療用多孔性フィルムは無機充填
剤あるいは有機充填剤等の充填剤を含有していてもよ
い。
【0030】本発明の医療用多孔性フィルムは本発明の
目的を妨げない範囲で脂肪酸エステルや低分子量ポリオ
レフィン樹脂等の延伸助剤、安定化剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、抗菌剤、防黴剤等の添加剤を含有してもよ
い。
【0031】本発明の医療用多孔性フィルムは、例えば
分子鎖長が2850nm以上の長分子鎖長ポリオレフィ
ンを含有するポリオレフィン系樹脂を原料とする場合、
樹脂原料と無機化合物及び/又は樹脂の微粉末とを、強
混練できるようセグメント設計した2軸混練機を使用し
て混練した後、ロール圧延法によりフィルム化し、得ら
れた原反フィルムを延伸機により延伸することによっ
て、製造することができる。
【0032】延伸に使用する装置としては、公知の延伸
装置が限定なく使用可能であり、クリップテンターが好
適な手段として例示される。
【0033】上述の無機化合物の微粉末としては、平均
粒子径が0.04〜1μmの酸化アルミニウムや水酸化
アルミニウム、酸化マグネシウムや水酸化マグネシウ
ム、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが例示され
る。特に、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムは、医療
用多孔性フィルムを作製後に、酸性水により溶解、除去
することができるので好適である。
【0034】本発明の医療用多孔性フィルムを構成して
いる熱可塑性樹脂は、放射線の照射により架橋されてい
てもよい。熱可塑性樹脂が架橋されている医療用多孔性
フィルムは、非架橋の熱可塑性樹脂からなる医療用多孔
性フィルムよりも耐熱性や強度において優れている。
【0035】本発明の医療用多孔性フィルムは厚み10
〜200μm程度の薄膜であることが効果的である。ま
た、この場合、医療用多孔性フィルムを構成する熱可塑
性樹脂が放射線照射により架橋されていることが更に効
果的である。通常は、医療用多孔性フィルムを薄膜化す
ると、膜強度が低下してしまうという問題がある。これ
に対して、本発明にかかる医療用多孔性フィルムであっ
て、その膜厚が10〜200μm程度であり、かつ、そ
れを構成する熱可塑性樹脂が放射線の照射により架橋さ
れているフィルムは、透湿性が特に安定しており、かつ
高い強度を有する医療用多孔性フィルムとなり得る。
【0036】本発明の医療用多孔性フィルムであって熱
可塑性樹脂が架橋されているフィルムは、非架橋の熱可
塑性樹脂を用いて製造した本発明の医療用多孔性フィル
ムに対して更に放射線を照射することにより得ることが
できる。
【0037】架橋のために本発明の医療用多孔性フィル
ムに照射する放射線の種類は特に限定されないが、ガン
マー線、アルファー線、電子線などが好ましく用いら
れ、生産速度や安全性の面から電子線の使用が特に好ま
しい。
【0038】放射線源としては、加速電圧が100〜3
000kVの電子線加速器が好ましく用いられる。加速
電圧が100kVより小さいと電子線の透過深さが充分
でなく、3000kVより大きいと装置がおおがかりで
コスト的に好ましくない。放射線照射装置の例として
は、バンデグラーフ型などの電子線走査型装置やエレク
トロンカーテン型などの電子線固定・コンベア移動型装
置などが挙げられる。
【0039】放射線の吸収線量は0.1〜100Mra
dであることが好ましく、0.5〜50Mradである
ことがより好ましい。吸収線量が0.1Mradより小
さい場合には樹脂を架橋させる効果が充分でなく、10
0Mradより大きい場合は強度が著しく低下するため
好ましくない。
【0040】本発明の医療用多孔性フィルムに放射線を
照射するときの照射雰囲気は空気でも構わないが、窒素
など不活性ガス雰囲気が好ましい。
【0041】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に説明するために
実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に制限される
ものではない。実施例及び比較例に示す医療用多孔性フ
ィルムの物性は下記の評価方法により測定した。
【0042】[評価方法] (1)突刺強度 直径12mmのワッシャーにて固定したフィルムに、直
径1mm、針先曲率半径0.5mmの金属製の針を、2
00mm/分の速さで突き刺した際に、孔が開口する最
大荷重を測定し、突刺強度とした。
【0043】(2)ガーレー値 フィルムのガーレー値(秒/100cc)は、JIS
P8117に準じて、B型デンソメーター(東洋精機
製)にて測定した。
【0044】(3)平均細孔直径 ASTM F316−86に準拠し、バブルポイント法
により、Perm−Porometer(PMI社製)
にて平均細孔直径d(μm)を測定した。
【0045】(4)平均細孔半径 JIS K1150に準拠し、水銀圧入法により、オー
トポア III9420(MICROMERITICS社
製)にて平均細孔半径r(μm)を測定した。尚、平均
細孔半径を求めるにあたり、0.0032〜7.4μm
の範囲の細孔半径分布を測定した。
【0046】(5)透湿度 JIS Z 0208に規定されるカップ法に準拠し、
40℃、相対湿度90%の雰囲気中で1時間状態調整を
し、状態調整完了時点から1時間後の水蒸気透過量を測
定し、フィルムの単位面積あたり1日に透過した水蒸気
の量に換算して透湿度として表わした。この透湿度は、
値が大きいほど透湿性に優れていることを示す。
【0047】(6)耐水圧 JIS L 1092に規定される静水圧A法(低水圧
法)に準じて測定し、mm水柱単位にて表示した。耐水
圧は、その値が大きいほど耐水性に優れていることを示
す。
【0048】[医療用多孔性フィルムの製造] (実施例1)炭酸カルシウム(スターピゴット15A、
白石カルシウム社製、平均粒子径0.15μm)30v
ol%と、ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン3
40M,三井化学製、重量平均分子鎖長17000n
m、重量平均分子量300万、融点136℃)70重量
%とポリエチレンワックス(ハイワックス110P,三
井化学製、重量平均分子量1000、融点110℃)3
0重量%の混合ポリエチレン樹脂70vol%とを強混
練できるようセグメント設計した2軸混練機(プラスチ
ック工学研究所製)を使用して混練して樹脂組成物を得
た。この樹脂組成物中の分子鎖長2850nm以上のポ
リエチレンの含有率は、27重量%であった。この樹脂
組成物をロール圧延(ロール温度150℃)することに
より、約70μmの膜厚の原反フィルムを作製した。
【0049】得られた原反フィルムをテンター延伸機に
より延伸温度110℃で約5倍に延伸しloofah構
造の多孔性フィルムからなる医療用多孔性フィルムを得
た。得られた医療用多孔性フィルムの表面の走査電子顕
微鏡写真を図1に示した。図1のV方向に蛇行しながら
配向しているやや太めの繊維が幹フィブリルであり、V
方向と直交する方向に枝フィブリルが形成されている。
図1から明らかなように、枝フィブリルの形成密度は、
幹フィブリルよりも高い。幹フィブリルと枝フィブリル
により、多数の微細な孔が形成されている。
【0050】この実施例1にて得られた医療用多孔性フ
ィルムの機械的強度、突刺し強度、通気度、膜厚、平均
細孔直径d、平均細孔半径r並びに2r/dの測定結果
を表1に示した。
【0051】(実施例2)実施例1の炭酸カルシウムを
ピゴット10(白石カルシウム社製、平均粒子径0.1
μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして膜厚6
0μmの原反フィルムを作製した。得られた原反フィル
ムをテンター延伸機により、延伸温度110℃で5倍に
延伸し、loofah構造の多孔性フィルムを得た。こ
の多孔性フィルムの物性を表1に示した。
【0052】(比較例1)市販されている多孔性フィル
ムの機械的強度、突刺し強度、並びに通気度、膜厚、平
均細孔直径d、平均細孔半径r並びに2r/dの測定結
果を表1に示した。この多孔性フィルムは、高ドラフト
比(引取速度/押出速度)にて成形したポリプロピレン
層/ポリエチレン層/ポリプロピレン層という層構成の
積層フィルムに結晶化熱処理を施した後、これを低温延
伸し、次いで高温延伸して結晶界面を剥離させて成形し
たフィルムであり、loofah構造を有するものでは
ない。
【0053】(比較例2)市販されている多孔性フィル
ムの耐水圧、通気度、膜厚、平均細孔直径d,平均細孔
半径r並びに2r/d,突刺強度の測定結果を表1に示
した。この多孔性フィルムは、ポリエチレン40重量%
と炭酸カルシウム(平均粒子径1.25μm)60重量
%からなる樹脂組成物をTダイ成形機により製膜し、ロ
ール延伸機により延伸して製造されたものであり、lo
ofah構造を有するものではない。この多孔性フィル
ムの物性も表1に示した。このフィルムを構成するポリ
エチレンについてGPC測定をしたところ、分子鎖長2
850nm以上のポリエチレンの含有量は1%未満であ
った。
【表1】 表1の結果に示した通り、実施例1、2は、比較例1、
2に比べて通気性、透湿性に優れ、かつ強度が優れてい
ることがわかる。
【0054】
【発明の効果】本発明の医療用多孔性フィルムはloo
fah状構造をとることによって高い透湿性及び通気性
を得ることができると共に、強度を向上することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の医療用多孔性フィルムの電子顕微鏡
写真
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 花田 暁 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 山田 武 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住化プ ラステック株式会社内 Fターム(参考) 4C081 AA02 AA03 AA12 BA14 BB01 BB02 BB08 CA021 CA031 CA041 CA091 CA121 CA131 CA161 CA201 CA211 CA231 CA281 CB011 CB051 CC06 CC08 CF25 DA02 DB01 DB03 DB05 DB06 DC13 DC15 EA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細孔を有する熱可塑性樹脂製の多孔性
    フィルムからなる医療用多孔性フィルムであって、 前記微細孔は、フィルムの1方向に伸びる幹フィブリル
    と前記幹フィブリル間を連結する枝フィブリルとからな
    る3次元網状組織により形成されており、前記枝フィブ
    リルの形成密度は、前記幹フィブリルの形成密度より高
    いことを特徴とする医療用多孔性フィルム。
  2. 【請求項2】 バブルポイント法(ASTM F316
    −86)により求めた前記微細孔の平均細孔直径d(μ
    m)と、水銀圧入法(JIS K1150)により求め
    た前記微細孔の平均細孔半径r(μm)とが下記式を満
    たすものである請求項1に記載の医療用多孔性フィル
    ム。 1.2≦2r/d≦1.7
  3. 【請求項3】 前記枝フィブリルは、フィルムの最大熱
    収縮方向に配向している請求項1又は2に記載の医療用
    多孔性フィルム。
  4. 【請求項4】 前記微細孔は、平均細孔直径dが0.0
    3〜0.5μmである請求項1〜3のいずれかに記載の
    医療用多孔性フィルム。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂がポリオレフィンである請
    求項1〜4のいずれかに記載の医療用多孔性フィルム。
  6. 【請求項6】 前記ポリオレフィンは、分子鎖長が28
    50nm以上のポリオレフィンを少なくとも10%以上
    含むものである請求項5に記載の医療用多孔性フィル
    ム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016102202A (ja) * 2014-11-12 2016-06-02 東レ株式会社 多孔性フィルム、透湿防水シート、複合体および防護服
JP2016102203A (ja) * 2014-11-12 2016-06-02 東レ株式会社 多孔性フィルム、および透湿防水シート
JP6090428B2 (ja) * 2013-12-03 2017-03-08 東レ株式会社 防水・透湿材料およびそれを用いた医療用衣服ならびに防護服

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