JP2003306564A - マスク用フィルターおよびマスク - Google Patents

マスク用フィルターおよびマスク

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JP2003306564A
JP2003306564A JP2002114686A JP2002114686A JP2003306564A JP 2003306564 A JP2003306564 A JP 2003306564A JP 2002114686 A JP2002114686 A JP 2002114686A JP 2002114686 A JP2002114686 A JP 2002114686A JP 2003306564 A JP2003306564 A JP 2003306564A
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mask
filter
fibrils
mask filter
film
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JP2002114686A
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English (en)
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Atsuhiro Takada
敦弘 高田
Tatsuma Kuroda
竜磨 黒田
Akira Hanada
暁 花田
Takeshi Yamada
武 山田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空気透過性、透湿性や微粒子通過防止性を有
しつつ、機械的強度にも優れるマスク用フィルターおよ
びマスクを提供すること。 【解決手段】 微細孔を有する熱可塑性樹脂製の多孔性
フィルムからなるマスク用フィルターであって、前記熱
可塑性樹脂はポリオレフィン樹脂からなると共に、分子
鎖長が2850nm以上のポリオレフィンを1重量%以
上含むことを特徴とするマスク用フィルター、および前
記マスク用フィルターを少なくとも1つ含有してなるマ
スク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂製の
多孔性フィルムからなるマスク用フィルターおよびマス
クに関し、特に医療関係や食品製造加工関係で使用され
るマスク用フィルターおよび衛生マスクに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、ガーゼや不織布等を重ねた通
気性シートからなる簡易マスクが使用されている。これ
らの簡易マスクは目が荒く、花粉、粉塵、細菌等の微粒
子の通過を防ぐことができなかった。
【0003】そのため、平均孔径30μm以下の微細孔
を有する多孔性フィルターや静電加工を施した多孔性フ
ィルターをガーゼや不織布の間にはさんだマスクが開発
されている。
【0004】しかし、前記多孔性フィルターは、マスク
の変形に伴って孔構造が容易に変形し、大きな孔となっ
て微粒子の捕捉効果が低下したり、孔が潰れて通気性が
低下していまうという問題が考えられる。また、変形は
生じないまでも、多孔性フィルターの平均孔径を小さく
すると空気透過性や透湿性が極端に低下し、マスク装着
時の息苦しさやメガネの曇りを生じることも考えられ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、空気
透過性、透湿性や微粒子通過防止性を有しつつ、機械的
強度にも優れるマスク用フィルターおよびマスクを提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく、マスクに適した多孔性フィルムについて
鋭意検討した結果、多孔性フィルムの孔の構造を特定の
構造にすることによって、上記問題を解決したマスク用
フィルターおよびマスクとすることができることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明のマスク用フィルターは、微
細孔を有する熱可塑性樹脂製の多孔性フィルムからな
り、前記熱可塑性樹脂はポリオレフィン樹脂からなると
共に、分子鎖長が2850nm以上のポリオレフィンを
1重量%以上含むことを特徴とするものである。
【0008】この構成によれば、マスク用フィルターと
しての強度が高く、使用時に局部的な張力が作用して
も、形成されている個々の孔が容易に変形することがな
いので、微粒子通過防止性を維持したまま空気透過性や
透湿性も維持できる。しかも、前記フィルターは、強度
が高く厚みを薄くできるので、ごわついた感触がなく、
単独でマスクの形状として使用しても着用感が良好であ
る。
【0009】分子鎖長2850nm以上のポリオレフィ
ン含有量は、マスク用フィルターとしての十分な強度を
発揮するためには1重量%以上であり、10重量%以上
がより好ましく、20重量%以上が更に好ましく、30
重量%以上が一層好ましい。
【0010】従って、本発明によれば、空気透過性、透
湿性に優れ、かつ機械的強度の高いマスク用フィルター
を提供することができる。
【0011】前記微細孔は、前記フィルムの1方向に伸
びる幹フィブリルとこの幹フィブリル間を連結する枝フ
ィブリルとからなる3次元網状組織により形成されてお
り、前記枝フィブリルの形成密度は、前記幹フィブリル
の形成密度より高いことが好ましい。
【0012】この構成によれば、微細孔の構造が、フィ
ルムの1方向に伸びる幹フィブリルと枝フィブリルから
なる3次元網状組織により形成されているため、機械的
強度の高いマスク用フィルターを実現できることにな
る。つまり、枝フィブリルの形成密度が、幹フィブリル
の形成密度より高いことによって、最大熱収縮方向およ
びそれに直交する方向との力学強度のバランスの優れた
マスク用フィルターとなる。したがって、前記フィルタ
ーおよび前記フィルターを含有するマスクに局部的に強
い張力がかかるようなことがあったとしても、微細孔径
が大きくなったりし難いため、微粒子通過防止性を維持
できる。
【0013】この場合、枝フィブリル、幹フィブリル
は、必ずしも直線的に伸びている必要はない。また、幹
フィブリルの伸びる方向は、電子顕微鏡写真により確認
でき、フィルムの裁断により決定されるので、特に特定
されるものではない。「1方向に伸びる」とは、すべて
の幹フィブリルが直線的に平行に特定方向に伸びている
ことを要するものではなく、蛇行しつつある程度のばら
つきを有して平均的に特定方向に配向していることを意
味する。枝フィブリル、幹フィブリルのそれぞれの形成
密度は、フィルム1μm2 の面積に存在するフィブリル
の数であり、走査型電子顕微鏡によりフィルム表面を観
測して求める。具体的には、5×5μm中に存在するフ
ィブリルの数を計測して求める。本発明のマスク用フィ
ルターの有する孔構造を、ルーファー(loofah)
構造と称することがある。
【0014】本発明のマスク用フィルターにおいては、
バブルポイント法(ASTM F316−86)により
求めた前記微細孔の平均細孔直径d(μm)と、水銀圧
入法(JIS K1150)により求めた前記微細孔の
平均細孔半径r(μm)とが、下記式: 1.20≦2r/d≦1.70 を満たすものであることが好ましい。2r/dの値が
1.20未満であるとマスク用フィルターの空気透過
性、透湿性が不十分となり、1.70を超えると、マス
ク用フィルターとしての強度が不十分となる。なお、マ
スク用フィルターの強度の点から、2r/dの値は1.
65以下であることがより好ましく、1.60以下であ
ることが更に好ましい。
【0015】マスク用フィルターの厚みは、通常3〜1
00μmであり、好ましくは5〜50μm、より好まし
くは5〜30μmである。厚すぎると肌触りが悪くな
り、薄すぎると機械的強度が十分でなくなる。
【0016】前記枝フィブリルは、前記フィルムの最大
熱収縮方向に配向していることが好ましい。
【0017】この構成によれば、枝フィブリルが、フィ
ルムの最大熱収縮方向に配向することにより、最大熱収
縮方向の機械的強度が高くなる。
【0018】前記微細孔は、平均細孔直径dが0.06
〜3μmであることが好ましい。
【0019】平均細孔直径dが0.06μm未満である
と、空気透過性、透湿性が不十分であり、3μmを越え
ると、細菌の通過防止が重視される用途には適さなくな
る。
【0020】また本発明のマスク用フィルターは、ガー
レー値が1〜200秒/100cm 3 、空隙率が40〜
80%であることが好ましい。
【0021】さらに、本発明のマスクは、前記マスク用
フィルターを少なくとも1つ含有することを特徴とする
ものである。
【0022】本発明のマスクは、前記マスク用フィルタ
ー単独から構成されていてもよく、あるいは、本発明の
目的を損なわない範囲で、1つまたは複数のフィルター
を公知のガーゼまたは不織布等の材料と組み合わせて積
層した構成としてもよい。
【0023】この構成によれば、空気透過性、透湿性や
微粒子通過防止性を有しつつ、機械的強度にも優れるマ
スクとすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明のマスクを構成する多孔性
フィルムの主原料である熱可塑性樹脂としては、エチレ
ン、プロピレン、ブテン、ヘキセン等のオレフィンの単
独重合体または2種類以上のオレフィンの共重合体であ
るポリオレフィン系樹脂、ポリメチルアクリレート、ポ
リメチルメタクリレート、エチレン−エチルアクリレー
ト共重合体等のアクリル系樹脂、ブタジエン−スチレン
共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ
スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、
スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−
アクリル酸共重合体等のスチレン系樹脂、アクリロニト
リル−ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル−エチレン等の
塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニ
リデン等のフッ化ビニル系樹脂、6−ナイロン、6,6
−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト等の飽和ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、ポ
リフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリフェニ
レンスルフィド、シリコーン樹脂、熱可塑性ポリウレタ
ン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイ
ミド、熱可塑性エラストマーやこれらの架橋物等が挙げ
られる。
【0025】前記熱可塑性樹脂は、1種類でもよく、2
種類以上の混合物であってもよい。
【0026】熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系
樹脂の使用が、化学的な安定性に優れており、医療用ま
たは食品製造加工用マスクとしてより好適である。
【0027】このようなポリオレフィン系樹脂は、1種
類のオレフィンの重合体または2種類以上のオレフィン
の共重合体を主成分とするものである。ポリオレフィン
系樹脂の原料となるオレフィンとしては、エチレン、プ
ロピレン、ブテン、ヘキセンなどが挙げられる。ポリオ
レフィン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレ
ン、線状ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重
合体)、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポ
リプロピレン系樹脂、ポリ(4 −メチルペンテン−
1)、ポリ(ブテン−1)、およびエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体等が挙げられる。
【0028】特に、ポリオレフィン系樹脂が分子鎖長が
2850nm以上の長分子鎖長ポリオレフィンを含有す
るフィルムは強度に優れており、従って機械的強度を維
持しつつ膜厚を薄くすることができる。このため空気透
過性、透湿性もより向上させることができ、本発明の効
果をより発現するマスクが得られる。マスクの強度の観
点から、ポリオレフィン系樹脂は、分子鎖長が2850
nm以上の長分子鎖長ポリオレフィンを10重量%以上
含有していることが好ましく、20重量%以上含有して
いることがより好ましく、30重量%以上含有している
ことが更に好ましい。
【0029】ポリオレフィンの分子鎖長、重量平均分子
鎖長、分子量および重量平均分子量はGPC(ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー)により測定し、特定
分子鎖長範囲または特定分子量範囲のポリオレフィンの
混合比率(重量%)はGPC測定により得られる分子量
分布曲線の積分により求めることができる。
【0030】ここに、ポリオレフィンの分子鎖長は、後
述するGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー)測定によるポリスチレン換算の分子鎖長であり、よ
り具体的には以下の手順で求められるパラメータであ
る。
【0031】すなわち、GPC測定の移動相としては、
測定する未知試料も分子量既知の標準ポリスチレンも溶
解することができる溶媒を使用する。まず、分子量が異
なる複数種の標準ポリスチレンのGPC測定を行い、各
標準ポリスチレンの保持時間を求める。ポリスチレンの
Qファクターを用いて各標準ポリスチレンの分子鎖長を
求め、これにより、各標準ポリスチレンの分子鎖長とそ
れに対応する保持時間を知る。尚、標準ポリスチレンの
分子量、分子鎖長およびQファクターは下記の関係にあ
る。
【0032】分子量=分子鎖長×Qファクター 次に、未知試料のGPC測定を行い、保持時間−溶出成
分量曲線を得る。標準ポリスチレンのGPC測定におい
て、保持時間Tであった標準ポリスチレンの分子鎖長を
Lとするとき、未知試料のGPC測定において保持時間
Tであった成分の「ポリスチレン換算の分子鎖長」をL
とする。この関係を用いて、当該未知試料の前記保持時
間−溶出成分量曲線から、当該未知試料のポリスチレン
換算の分子鎖長分布(ポリスチレン換算の分子鎖長と溶
出成分量との関係)が求められる。
【0033】本発明のマスク用フィルターは、無機充填
剤または有機充填剤等の充填剤を含有していてもよい。
【0034】本発明のマスク用フィルターは、本発明の
目的を妨げない範囲で脂肪酸エステルや低分子量ポリオ
レフィン樹脂等の延伸助剤、安定化剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、抗菌剤、防黴剤等の添加剤を含有してもよ
い。
【0035】本発明のマスク用フィルターは、例えば分
子鎖長が2850nm以上の長分子鎖長ポリオレフィン
を含有するポリオレフィン系樹脂を原料とする場合、樹
脂原料と無機化合物および/または樹脂の微粉末とを、
強混練できるようセグメント設計した2軸混練機を使用
して混練した後、ロール圧延法によりフィルム化し、得
られた原反フィルムを延伸機により延伸することによっ
て、製造することができる。
【0036】延伸に使用する装置としては、公知の延伸
装置が限定なく使用可能であり、クリップテンターが好
適な手段として例示される。
【0037】上述の無機化合物の微粉末としては、平均
粒子径が0.1〜1μmの酸化アルミニウムや水酸化ア
ルミニウム、酸化マグネシウムや水酸化マグネシウム、
ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが例示される。
特に、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムを使用し、マ
スク用フィルターを作製後に酸性水により溶解、除去す
ることが、安定した透湿性、空気透過性を得る上で好適
である。
【0038】本発明のマスク用フィルターを構成してい
る熱可塑性樹脂は、放射線の照射により架橋されていて
もよい。熱可塑性樹脂が架橋されているマスクは、非架
橋の熱可塑性樹脂からなるマスクよりも耐熱性や強度に
おいて優れている。
【0039】本発明のマスク用フィルターは、厚みが5
〜30μm程度であることが効果的である。また、この
場合、フィルターを構成する熱可塑性樹脂が放射線照射
により架橋されていることが更に効果的である。通常
は、フィルターを薄くすると、強度が低下してしまうと
いう問題がある。これに対して、本発明のマスク用フィ
ルターであって、その厚みが5〜30μm程度であり、
かつ、それを構成する熱可塑性樹脂が放射線の照射によ
り架橋されているフィルターは、空気透過性、透湿性や
微粒子通過防止性が特に安定しており、かつ高い強度を
有する。
【0040】本発明のマスク用フィルターであって熱可
塑性樹脂が架橋されているフィルターは、非架橋の熱可
塑性樹脂を用いて製造したフィルターに対して更に放射
線を照射することにより得ることができる。
【0041】架橋のためにフィルターに照射する放射線
の種類は特に限定されないが、ガンマー線、アルファー
線、電子線などが好ましく用いられ、生産速度や安全性
の面から電子線の使用が特に好ましい。
【0042】放射線源としては、加速電圧が100〜3
000kVの電子線加速器が好ましく用いられる。加速
電圧が100kVより小さいと電子線の透過深さが充分
でなく、3000kVより大きいと装置がおおがかりで
コスト的に好ましくない。放射線照射装置の例として
は、バンデグラーフ型などの電子線走査型装置やエレク
トロンカーテン型などの電子線固定・コンベア移動型装
置などが挙げられる。
【0043】放射線の吸収線量は0.1〜100Mra
dであることが好ましく、0.5〜50Mradである
ことがより好ましい。吸収線量が0.1Mradより小
さい場合には樹脂を架橋させる効果が充分でなく、10
0Mradより大きい場合は強度が著しく低下するため
好ましくない。
【0044】フィルターに放射線を照射するときの照射
雰囲気は空気でも構わないが、窒素など不活性ガス雰囲
気が好ましい。
【0045】このようにして製造された本発明のマスク
用フィルターは、マスクに適する形状に適宜裁断して用
いる。フィルターの形状(マスク本体の形状)は、口や
鼻を覆うことができる通常の形状、例えば長方形、楕円
形とすることができる。さらに、前記形状のフィルター
を折りたたんでプリーツ状とすることもできる。
【0046】本発明のマスクは、前記マスク用フィルタ
ーを少なくとも1つ含有するものである。したがって、
本発明のマスクは、前記マスク用フィルター単独で構成
されていてもよい。この場合、耳掛け部分は、フィルタ
ーを耳の形状に合わせてくり抜き、前記マスク本体の形
状部分の両端に一体に形成されたものでもよく、通常の
簡易マスクに使用されているゴム、紐等を用いてもよ
い。
【0047】また、本発明のマスクは、1つまたは複数
の前記フィルターと、マスクに汎用されているガーゼお
よび/または不織布とを積層した構成であってもよい。
フィルターを1つ用いる場合は、フィルターを前記ガー
ゼおよび/または不織布で挟んだサンドイッチ構造とす
ることができる。複数のフィルターを用いる場合、フィ
ルターを直接接触させた層とするか、フィルターの間に
前記ガーゼおよび/または不織布を挿入した層とし、こ
れらのフィルター層をさらに前記ガーゼおよび/または
不織布で挟んだ構造とすることができる。この場合の耳
掛け部分は、通常の簡易マスクに使用されているゴム、
紐等を使用すればよい。
【0048】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に説明するために
実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に制限される
ものではない。実施例および比較例に示すマスク用フィ
ルターの物性は、下記の評価方法により測定した。
【0049】[評価方法] (1)透湿度 透湿度は、40℃、相対湿度90%の雰囲気中で1時間
状態調整した後、その時点から1時間後の水蒸気透過量
を測定し、フィルムの単位面積あたり1日に通過した水
蒸気の量を測定して表した(JIS Z0208に規定
されるカップ法)。つまり、この値が大きい程透湿性に
優れている。
【0050】(2)突刺し強度 直径12mmのワッシャーにて固定したフィルターに、
直径1mm、針先曲率半径0.5mmの金属製の針を、
200mm/分の速さで突き刺した際に、孔が開口する
最大荷重を測定し、突刺し強度とした。
【0051】(3)ガーレー通気度 フィルターのガーレー値(秒/100cm3 )は、JI
S P8117に準じて、B型デンソメーター(東洋精
機製)にて測定した。
【0052】(4)平均細孔直径 ASTM F316−86に準拠し、バブルポイント法
により、Perm−Porometer(PMI社製)
にて平均細孔直径d(μm)を測定した。
【0053】(5)平均細孔半径 JIS K1150に準拠し、水銀圧入法により、オー
トポア III9420(MICROMERITICS社
製)にて平均細孔半径r(μm)を測定した。尚、平均
細孔半径を求めるにあたり、0.0032〜7.4μm
の範囲の細孔半径分布を測定した。
【0054】(6)荷重試験 多孔性フィルムを5×5cm2 のアルミ板(厚み0.5
mm)で挟み、その上から70kgの荷重を30秒間加
えた。
【0055】[マスク用フィルターの製造] (実施例1)炭酸カルシウムスターピゴット15A(白
石カルシウム社製、平均粒子径0.15μm)30vo
l%と、ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン34
0M,三井化学製、重量平均分子鎖長17000nm、
重量平均分子量300万、融点136℃)70重量%と
ポリエチレンワックス(ハイワックス110P,三井化
学製、重量平均分子量1000、融点110℃)30重
量%の混合ポリエチレン樹脂70vol%とを強混練で
きるようセグメント設計した2軸混練機(プラスチック
工学研究所製)を使用して混練して樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物中の分子鎖長2850nm以上のポリエ
チレンの含有率は、27重量%であった。この樹脂組成
物をロール圧延(ロール温度150℃)することによ
り、約70μmの膜厚の原反フィルムを作製した。
【0056】得られた原反フィルムをテンター延伸機に
より延伸温度110℃で約5倍に延伸し、loofah
構造の多孔性フィルムからなるマスク用フィルターを得
た。得られたマスク用フィルターの表面の走査電子顕微
鏡写真を図1に示す。図1のV方向に蛇行しながら配向
しているやや太めの繊維が幹フィブリルであり、V方向
と直交する方向に枝フィブリルが形成されている。図1
から明らかなように、枝フィブリルの形成密度は、幹フ
ィブリルよりも高い。幹フィブリルと枝フィブリルによ
り、多数の微細な孔が形成されている。
【0057】この実施例1にて得られたマスク用フィル
ターの突刺し強度、通気度、透湿度、膜厚、平均細孔直
径d、平均細孔半径rならびに2r/dの測定結果を表
1に示す。
【0058】(比較例1)市販されている多孔性フィル
ムをマスク用フィルターとしたときの突刺し強度、通気
度、透湿度、膜厚、平均細孔直径d、平均細孔半径rな
らびに2r/dの測定結果を表1に示す。
【0059】この多孔性フィルムは、ポリエチレン40
重量%と炭酸カルシウム(平均粒子径1.25μm)6
0重量%とからなる樹脂組成物をTダイ成形機により製
膜し、ロール延伸機により延伸して製造されており、l
oofah構造を有するものではない。また、GPC測
定において分子鎖長2850nm以上のポリエチレンの
含有量は1%未満であった。
【0060】(比較例2)市販されている多孔性フィル
ムの機械的強度、突刺し強度、並びに通気度、膜厚、平
均細孔直径d、平均細孔半径r並びに2r/dの測定結
果を表1に示した。この多孔性フィルムは、高ドラフト
比(引取速度/押出速度)にて成形したポリプロピレン
層/ポリエチレン層/ポリプロピレン層という層構成の
積層フィルムに結晶化熱処理を施した後、これを低温延
伸し、次いで高温延伸して結晶界面を剥離させて成形し
たフィルムであり、loofah構造を有するものでは
ない。
【0061】
【表1】 さらに、実施例1および比較例1のマスク用フィルター
を酸水溶液にて洗浄し、2.8kg/cm2 の荷重をか
けた後の通気性について調べた結果を表2に示す。
【0062】
【表2】 比較例1のフィルターでは、荷重試験後通気性が約1.
4倍悪化したのに対し、実施例1のフィルターは、荷重
試験後も通気性が維持されていることがわかる。
【0063】
【発明の効果】本発明のマスク用フィルターは、loo
fah状構造をとることによって高い空気透過性、透湿
性を得ることができると共に、強度を向上することがで
きる。前記フィルターを用いた本発明のマスクは、空気
透過性、透湿性や微粒子通過防止性を有しつつ、機械的
強度にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のマスク用フィルターの電子顕微鏡写
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 花田 暁 千葉県市原市姉崎海岸5番1号 住友化学 工業株式会社内 (72)発明者 山田 武 千葉県袖ヶ浦市北袖2番1号 住化プラス テック株式会社内 Fターム(参考) 2E185 AA07 BA16 CA03 CB07 CB11 CB18 4F074 AA13 AA16 AA17 AA23 AA24 AA32 AA33 AA36 AA38 AA48 AA57 AA65 AA66 AA70 AA71 AA74 AA76 AA77 AA78 AA87 AA88 AC17 AC19 AC20 AC24 AC26 BB25 CA01 CC02 DA45 DA53

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細孔を有する熱可塑性樹脂製の多孔性
    フィルムからなるマスク用フィルターであって、前記熱
    可塑性樹脂はポリオレフィン樹脂からなると共に、分子
    鎖長が2850nm以上のポリオレフィンを1重量%以
    上含むことを特徴とするマスク用フィルター。
  2. 【請求項2】 前記微細孔は、前記フィルムの1方向に
    伸びる幹フィブリルとこの幹フィブリル間を連結する枝
    フィブリルとからなる3次元網状組織により形成されて
    おり、前記枝フィブリルの形成密度は、前記幹フィブリ
    ルの形成密度より高い請求項1に記載のマスク用フィル
    ター。
  3. 【請求項3】 バブルポイント法(ASTM F316
    −86)により求めた前記微細孔の平均細孔直径d(μ
    m)と、水銀圧入法(JIS K1150)により求め
    た前記微細孔の平均細孔半径r(μm)とが下記式:
    1.20≦2r/d≦1.70を満たすものである請求
    項1または2に記載のマスク用フィルター。
  4. 【請求項4】 前記枝フィブリルが前記フィルムの最大
    熱収縮方向に配向している請求項2または3に記載のマ
    スク用フィルター。
  5. 【請求項5】 前記微細孔は、平均細孔直径dが0.0
    6〜3μmである請求項1〜4いずれかに記載のマスク
    用フィルター。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれかに記載のマスク用
    フィルターを少なくとも1つ含有してなるマスク。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015083665A1 (ja) * 2013-12-03 2015-06-11 東レ株式会社 多孔性フィルム、防水・透湿材料およびそれを用いた医療用衣服ならびに防護服

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