JP3779589B2 - 建築用下地材フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は建築用下地材フィルムに関し、詳しくは強度に綴れた建築用下地材フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の屋根や床において、水の移動を阻止するために、これまで種々の防水材料が使用されており、その代表的なものとして、アスファルト(アスファルト工法)、合成ゴムや合成樹脂シート(シート工法)等がある。この内,合成樹脂シートはアスファルト等に比べて軽量であり、運搬、展張作業などを行い易く、施工し易いため下地材として多用されている。これら合成樹脂シートにおいては家屋内の湿気を屋外に排出し、構造材である木材が水分により腐敗し劣化するのを防止する目的でポリエチレン繊維を高温高圧加工したものや、多孔性シートに補強材を積層したものなどが開発されている。例えば、無機充填剤を含む樹脂組成物を一軸方向に延伸して得られた多孔性シートと樹脂製織布とを積層して熟融着した建材用透湿防水シートとしたもの(特開平9−277414号公報)等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、建材用透湿防水シートとしての従来の下地材シートには、強度が不十分であるため、例えば外力が作用したり他の材料と接触したりすると破れやすいという問題がある。
【0004】
上記従来技術の有する問題点に鑑みて、本発明の目的は、強度に優れた建築用下地材フィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、強度に優れ、外力が作用しても容易には破れない建築用下地材フィルムを開発すべく鋭意研究した結果、特定の3次元網状組織を有する熱可塑性樹脂製多孔性フイルムを建築用下地材フィルムとすることにより、上記目的を達成することができることを見出した。
【0006】
すなわち、上記目的は各請求項記載の発明により達成される。本発明に係る建築用下地材フィルムの特徴構成は、多数の微細孔を有する熱可塑性樹脂製多孔性フィルムからなり、前記微細孔は、フィルムの1方向に伸びる幹フィブリルとこの幹フィプリル間を連結する枝フィブリルとからなる3次元網状組織により形成されており、前記技枝フィブリルの形成密度は、前記幹フィブリルの形成密度よりも高いことにある。このような孔構造を、(loofah)構造と称する。
【0007】
かかる構成の建築用下地材フィルムは、例えば1〜300μm程度の厚さであっても、十分に高い強度を有する。また、多数形成される微細工の微孔径などを調節することにより、通気性、透湿性および耐水圧性に優れた建築用下地材フィルムとすることができ、これを使用することにより、建屋内の湿気を屋外に効率よく逃すことができる。
【0008】
しかも、微細孔の構造が、フィルムの1方向に伸びる幹フィブリルと枝フィブリルからなる3次元網状組織により形成されているため、強度の高い建築用下地材フィルムを実現できることになる。つまり、枝フィブリルの形成密度が、幹フィブリルの形成密度よりも高いことによって、最大熱収縮方向、及びそれに直交する方向の力学強度のバランスに優れた建築用下地材フィルムとなる。従って、本発明の建築用下地材フィルムは機械的強度に優れ、局部的に強い外力が作用しても容易には破れない。また、多数形成される微細工の細孔径などを調節することにより、通気性、透湿性および耐水圧性に優れた建築用下地材フィルムとすることができ、これを使用することにより,建屋内の湿気を屋外に効率よく逃すことができる。
【0009】
この場合、枝フィブリル、幹フィブリルは、必ずしも直線的に伸びている必要はない。また、幹フィブリルの伸びる方向は、電子顕微鏡写真により確認でき、フィルムの裁断により決定されるので、特に特定されるものではない。「1方向に伸びる」とは、すべての幹フィブリルが直線的に平行に特定方向に伸びていることを要するものではなく、蛇行しつつある程度のばらつきを有して平均的に特定方向に配向していることを意味する。枝フィブリル、幹フィブリルのそれぞれの形成密度は、フィルム1μm2 の面積に存在するフィブリルの数であり、走査型電子顕微鏡によりフィルム表面を観測して求める。具体的には、5×5μm中に存在するフィブリルの数を計測して求める。
【0010】
従って、本発明によれば、強度の高い建築用下地材フィルムを提供することができ、外壁用のみならず、より高い強度の要求される屋根用下地材フィルムとしても使用できた。
【0011】
前記熱可塑性樹脂は、分子鎖長が2850nm以上のポリオレフィンを1重量%以上含むことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、建築用下地材フィルムは強度に特に優れたものとなる。本発明の建築用下地材フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、その強度の点で、2850nm以上のポリオレフィンを10重量%以上含有していることがより好ましく、20重量%以上含有していることが更に好ましく、30重量%以上含有していることが一層好ましい。
【0013】
本発明の建築用下地材フィルムは、バブルポイント法(ASTM F316−86)により求めた前記微細孔の平均細孔直径d(μm)と、水銀圧入法(JIS K1150)により求めた前記微細孔の平均細孔半径r(μm)とが、下記式を満たすものであることが好ましい。
1.2≦2r/d≦1.7。
【0014】
2r/dの値が前記範囲内にあると建築用下地材フィルムとして、強度、通気性、および透湿性のバランスに特に優れたものとなる。なお、フィルムの強度の点から、2r/dの値は1.65以下であることがより好ましく、1.60以下であることが更に好ましい。多孔性フィルムからなる建築用下地材フィルムの厚みは通常1〜300μmであり、好ましくは5〜100μm、より好ましくは5〜50μmである。厚すぎると軽量性に劣り、薄すぎると機械的強度が十分でなくなる。
【0015】
前記枝フィブリルは、前記フィルムの最大熱収縮方向に配向していることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、枝フィブリルが、フィルムの最大熱収縮方向に配向することにより、最大熱収縮方向の機械的強度が高くなる。
【0017】
前記微細孔は、平均細孔直径dが0.03〜3μmであることが好ましい。
【0018】
平均細孔直径dが0.03〜3μmであると、通気性および透湿性に特に優れたものとなる。また、本発明の建築用下地材フィルムに用いられる多孔性フィルムは、ガーレー値が厚さ25μmあたり10〜500秒/100cc、空隙率が40〜80%であることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、以下に詳細に説明する。
【0020】
本発明の建築用下地材フィルムを構成する多孔性フィルムの主原料である熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ブタジエンースチレン共重合体、ポリスチレン、スチしン−ブタジエンースチレン共重合体、スチレンーインプレン−スチレン共重合体などのスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリフツ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ化ビニル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、ボリフエニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、シリコーン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、熱可塑性エラストマーやこれらの架橋物などが挙げられ、水不溶性熱可塑性樹脂または水難溶性熱可塑性樹脂が好ましい。前記ポリオレフィン樹脂には、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン等)の単独重合体、2種類以上のオレフィンの共重合体、および1種以上のオレフィンと他の1種類以上の重合性単量体との共重合体が該当し、具体的には、低密度ポリエチレン、線状ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)、高密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのプロピレン系樹脂、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリ(ブテン−1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが該当する。本発明の建築用下地材フィルムを構成する多孔性フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、1種類の熱可塑性樹脂であってもよく、2種類以上の熱可塑性樹脂の混合物であってもよい。
【0021】
本発明の建築用下地材フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、分子鎖長が2850nm以上のポリオレフイン(以下、長分子鎖長ポリオレフィンと記すことがある)を1重量%以上含有することが好ましい。これにより、本発明の建築用下地材フィルムは従来品に比して強度に優れるものとなる。本発明の建築用下地材フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、長分子鏡長ポリオレフインを10重量%以上含有していることが好ましく、20重量%以上含有することがより好ましく、30重量%以上含有することが一層好ましい。また、本発明の建築用下地材フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、その50重量%を超える部分がポリオレフィン樹脂であることが好ましく、熱可塑性樹脂全部がポリオレフィン樹脂であることも好ましい。ポリオレフィン樹脂は、機械的強度および化学的安定性に優れるからである。すなわち、本発明の建築用下地材フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン樹脂であることが好ましく、該ポリオレフィン樹脂は、前記長分子鎖長ポリオレフィンを1重量%以上含有することが好ましく、10重量%以上含有することが特に好ましく、20重量%以上含有することが特に好ましく、30重量%以上含有することがとりわけ好ましい。
【0022】
ポリオレフィンの分子鎖長、重量平均分子鎖長、分子量および重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定し、特定分子鎖長範囲または特定分子量範囲のポリオレフィンの混合比率(重量%)はGPC測定により得られる分子量分布曲線の積分により求めることができる。
【0023】
ここに、ポリオレフィンの分子鎖長は、後述するGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の分子鎖長であり、より具体的には以下の手順で求められるパラメータである。
【0024】
すなわち、GPC測定の移動相としては、測定する未知試料も分子量既知の標準ポリスチレンも溶解することができる溶媒を使用する。まず、分子量が異なる複数種の標準ポリスチレンのGPC測定を行い、各標準ポリスチレンの保持時間を求める。ポリスチレンのQファクターを用いて各標準ポリスチレンの分子鎖長を求め、これにより、各標準ポリスチレンの分子鎖長とそれに対応する保持時間を知る。尚、標準ポリスチレンの分子量、分子鎖長およびQファクターは下記の関係にある。
分子量=分子鎖長×Qファクター
次に、未知試料のGPC測定を行い、保持時間ー溶出成分量曲線を得る。標準ポリスチレンのGPC測定において、保持時間Tであった標準ポリスチレンの分子鎖長をLとするとき、未知試料のGPC測定において保持時間Tであった成分の「ポリスチレン換算の分子鎖長」をLとする。この関係を用いて、当該未知試料の前記保持時間ー溶出成分量曲線から、当該未知試料のポリスチレン換算の分子鎖長分布(ポリスチレン換算の分子鎖長と溶出成分量との関係)が求められる。
【0025】
上記建築用下地材に用いるフィルムは、無機充填剤あるいは有機充填剤などの充填剤を含有していてもよく、本発明の効果を妨げない範囲で脂肪酸エステルや低分子量ポリオレフィン樹脂などの延伸助剤、安定化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などの添加剤を含有してもよい。
【0026】
上記建築用下地材に用いるフィルムとして、例えば分子鎖長が2850nm以上の長分子鎖長ポリオレフィンを含有するポリオレフィン系樹脂を原料とする場合、樹脂原料と無機化合物および/又は樹脂の微粉末とを、強混練できるようセグメント設計した2軸混練機を使用して混練した後、ロール圧延法によりフィルム化し、得られた原反フィルムを延伸機により延伸することによって、目的とするフィルムを製造することができる。延伸に使用する装置としては、公知の延伸装置が限定なく使用可能であり、クリップテンターが好適な手段として例示される。
【0027】
上述の無機化合物の微粉末としては、平均粒子径が0.1〜1μmの酸化アルミニウムや水酸化アルミニウム、酸化マグネシウムや水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが例示される。特に、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムを使用し、フィルム作製後に、酸性水により溶解、除去することが、安定した特性を有する建築用下地材フィルムを得る上で好適である。
【0028】
建築用下地材フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、放射線の照射により架橋されていてもよい。熱可塑性樹脂が架橋されているフィルムは、非架橋の熱可塑性樹脂からなる建築用下地材フィルムよりも耐熱性や強度において優れる。
【0029】
本発明の建築用下地材フィルムは、厚み5〜50μm程度であることが特に好ましく、当該フィルムを構成する熱可塑性樹脂が放射線照射により架橋されていることが更に効果的である。通常は、フィルムを薄くすると、強度が低下してしまうという問題がある。これに対して、本発明にかかる建築用下地材フィルムに用いる多孔性フィルムであって、その厚みが5〜50μm程度が好ましく、かつ、それを構成する熱可塑性樹脂が放射線の照射により架橋されているフィルムは、透湿性が特に優れており、かつ高い耐水圧強度を有する建築用下地材に用いるフィルムとなり得る。
【0030】
本発明の建築用下地材フィルムであって熱可塑性樹脂が架橋されているフィルムは、非架橋の熱可塑性樹脂を用いて製造した多孔性フィルムに対して、更に放射線を照射することにより得ることができる。
【0031】
架橋のために未架橋の多孔性フィルムに照射する放射線の種類は特に限定されないが、ガンマー線、アルファー線、電子線などが好ましく用いられ、生産速度や安全性の面から電子線の使用が特に好ましい。
【0032】
放射線源としては、加速電圧が100〜3000kVの電子線加速器が好ましく用いられる。加速電圧が100kVより小さいと電子線の透過深さが充分でなく、3000kVより大きいと装置が大掛かりとなって、コスト的に好ましくない。放射線照射装置の例としては、バンデグラーフ型などの電子線走査型装置やエレクトロンカーテン型などの電子線固定・コンベア移動型装置などが挙げられる。
【0033】
放射線の吸収線量は0.1〜100Mradであることが好ましく、0.5〜50Mradであることがより好ましい。吸収線量が0.1Mradより小さい場合には樹脂を架橋させる効果が充分でなく、100Mradより大きい場合は強度が著しく低下するため好ましくない。
【0034】
放射線を照射するときの照射雰囲気は、空気中としてもよいが、窒素など不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を更に具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
実施例および比較例に示す建築用下地材フィルムの物性は、下記の評価方法により測定した。
【0036】
[評価方法]
(1)耐水性評価
フィルムの耐水圧(単位:mm水柱)をJIS L1092に規定されている静水圧A法(低水圧法)に準じて測定した。耐水圧が高いほど、耐水圧性は優れる。
【0037】
(2)透湿性評価
フィルムの透湿度(単位:g/m2 ・day)をJIS Z0208に規定されているカップ法に準じて測定した。透湿度が高いほど、透湿性は優れる。
【0038】
(3)通気性評価
フィルムのガーレー値(秒/100cc)は、JIS P8117に準じて、B型デンソメーター(東洋精機製)にて測定した。ガーレー値が小さいほど、通気性は優れる。
【0039】
(4)フィルム厚み測定
フィルムの厚みは、山文電気社製、オフラインシート厚み計(TOF2 Var3.22)を用いて、幅方向、長さ方向にわたり、10点でフィルムの厚みを測定し、全測定値の平均値を算出した。その平均値をフィルムの厚みとした。
【0040】
(5)平均細孔直径
ASTM F316−86に準拠し、バブルポイント法により、Perm−Porometer(PMI社製)にて平均細孔直径d(μm)を測定した。
【0041】
(6)平均細孔半径
JIS K1150に準拠し、水銀圧入法により、オートポア III9420(MICROMERITICS社製)にて平均細孔半径r(μm)を測定した。尚、平均細孔半径を求めるにあたり、0.0032〜7.4μmの範囲の細孔半径分布を測定した。
【0042】
(7)突刺強度
直径12mmのワッシャーにて固定したフィルムに、直径1mm、針先曲率半径0.5mmの金属製の針を、200mm/分の速さで突き刺した際に、孔が開口する最大荷重を測定し、突刺強度とした。
【0043】
(実施例1)
炭酸カルシウム(商品名:スターピゴット15A、白石カルシウム社製、平均粒子径0.15μm)30vol%と、ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン340M、三井化学製、重量平均分子鎖長17000nm、重量平均分子量300万、融点136℃)70重量%とポリエチレンワックス(ハイワックス110、三井化学製、重量平均分子量1000、融点110℃)30重量%の混合ポリエチレン樹脂70vol%とを強混練できるようセグメント設計した2軸混練機(プラスチック工学研究所製)を使用して混練して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物中の分子鎖長2850nm以上のポリエチレンの含有率は、27重量%であった。この樹脂組成物をロール圧延(ロール温度150℃)することにより、約80μmの膜厚の原反フィルムを作製した。
【0044】
得られた原反フィルムをテンター延伸機により延伸温度110℃で約5倍に延伸し、建築用下地材フィルムを得た。得られたフィルムの物性等を表1に示す。
【0045】
得られた原反フィルムをテンター延伸機により延伸温度110℃で約5倍に延伸し、loofah構造の多孔性フィルムからなる建築用下地材フィルムを得た。得られた建築用下地材フィルムの表面の走査電子顕微鏡写真を図1に示す。図1のV方向に蛇行しながら配向しているやや太めの繊維が幹フィブリルであり、V方向と直交する方向に枝フィブリルが形成されている。図1から明らかなように、枝フィブリルの形成密度は、幹フィブリルよりも高い。幹フィブリルと枝フィブリルにより、多数の微細な孔が形成されている。また枝フィブリルは、最大熱収縮方向であるTD方向に配向している。
【0046】
この実施例1にて得られた建築用下地材フィルムの耐水性、通気度、膜厚、平均細孔直径d、平均細孔半径r並びに2r/d、突刺強度の測定結果を表1に示す。
【0047】
(実施例2)
炭酸カルシウム(商品名:ピゴット10、白石カルシウム社製,平均粒子径0.1μm)30vol%と、ポリエチレン粉末(ハイゼックスミリオン340M、三井化学製、重量平均分子鎖長17000nm、重量平均分子量300万、融点136℃)70重量%とポリエチレンワックス(ハイワックス110P、三井化学製、重量平均分子量1000、融点110℃)30重量%の混合ポリエチレン樹脂70vol%とを実施例1で使用したのと同じ2軸混練機を使用して混練して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物をロール圧延(ロール温度150℃)することにより、約60μmの膜厚の原反フィルムを作製した。
【0048】
得られた原反フィルムををテンター延伸機により延伸温度110℃で約5倍に延伸し、建築用下地材フィルムを得た。得られたフィルムの物性等を表1に示す。
【0049】
(比較例1)
市販されている多孔性フィルムを建築用下地材フィルムとして使用したときの耐水性、通気度、膜厚、平均細孔直径d、平均細孔半径r並びに2r/d、突刺強度の測定結果を表1に示す。この多孔性フィルムは、高ドラフト比(引取速度/押出速度)にて成形したポリプロピレン層/ポリエチレン層/ポリプロピレン層という層構成の積層フィルムに結晶化熱処理を施した後、これを低温延伸し、次いで高温延伸して結晶界面を剥離させて成形したフィルムであり、loofah構造を有するものではない。
【0050】
【表1】
表1に示す通り、loofah構造からなる本発明の実施例1および実施例2の多孔性フィルムが、比較例1の多孔性フィルムと比較して、強度に優れ、かつ透湿性および通気性にも優れたものであることがわかる。
【0051】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施形態では、ポリオレフィン樹脂製の多孔性フィルムを単独に使用する例を示したが、多孔性フィルムの透湿性を損なわない範囲で不織布、各種織布、編地などを積層した複合フィルムまたは複合シートとして用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の建築用下地材フィルムに用いられる多孔性フィルムの電子顕微鏡写真
Claims (5)
- 多数の微細孔を有する熱可塑性樹脂製多孔性フィルムからなり、前記微細孔は、フィルムの1方向に伸びる幹フィブリルとこの幹フィブリル間を連結する枝フィブリルとからなる3次元網状組織により形成されており、前記枝フィブリルの形成密度は、前記幹フィブリルの形成密度より高いことを特徴とする建築用下地材フィルム。
- 前記熱可塑性樹脂は、分子鎖長が2850nm以上のポリオレフィンを1重量%以上含む請求項1の建築用下地材フィルム。
- バブルポイント法(ASTM F316−86)により求めた前記微細孔の平均細孔直径d(μm)と、水銀圧入法(JIS K1150)により求めた前記微細孔の平均細孔半径r(μm)とが、下記式を満たすものである請求項1又は2の建築用下地材フィルム、
1.2≦2r/d≦1.7 - 前記枝フィブリルは、前記フィルムの最大熱収縮方向に配向している請求項2又は3の建築用下地材フィルム。
- 前記微細孔は、平均細孔直径dが0.03〜3μmである請求項1〜4のいずれかの建築用下地材フィルム。
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