JP2016084080A - 乗物用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】一対の力布の端部をシートフレーム側に性能良く取付けることにある。【解決手段】乗物衝突時において、エアバッグ20の膨張に伴う一対の力布31,32の引張にて破断部6SXを破断させて開口させることで、エアバッグ20がシート外に膨出可能な構成の乗物用シートにおいて、取付け部40が、シートフレーム6F本体の配設箇所(14b)に設けられて、エアバッグ20の未膨張時にシートフレーム6F本体から離間させて一対の力布31,32の他端を保持するとともに、取付け部40に設けた阻止部54にて、シートフレーム6F本体に形成されたエッジ状の部位(14d)と各力布31,32の接触を阻止する構成である。【選択図】図2

Description

本発明は、シートフレームと、シートカバーと、シート内のエアバッグと、一対の力布を備えた乗物用シートに関する。
この種の乗物用シートとして、シートフレームと、シートパッドと、シートカバーと、エアバッグと、展開力集中カバーを備えた乗物用シートが公知である(特許文献1を参照)。シートフレームは、シート骨格をなす金属製の枠体であり、側部骨格をなす部分が平板状(断面視で略横U字状)である。またシートパッドは、シート外形をなす部材(典型的に発泡樹脂製)である。またシートカバーは、シートパッドを被覆する袋状の部材であり、他の部分に比して開裂しやすい縫い目が着座側に形成される。そしてエアバッグは、エアの流入又はガスの供給により膨張可能な袋体であり、シートフレームに取付けられてシート側部内でシートパッドの裏面側に配置する。
そして展開力集中カバーは、一対の帯状部材(本発明の力布に相当)と、フック(略J字状の樹脂部材)を有する。公知技術では、一対の帯状部材を、それぞれシートカバーの裏面側でシート前後に延長しつつ、エアバッグを囲うように設ける。このとき一方の帯状部材を、エアバッグよりもシート内側に配置して、その一端側を、シートカバーの着座側(縫い目付近)に取付ける。また他方の帯状部材を、エアバッグよりもシート外側に配置して、その一端側を、同様に縫い目付近に取付ける。そして一対の帯状部材でエアバッグを囲いながら、これらの他端側を、シート前後方向で見てエアバッグの後側(平板状のシートフレームの近接位置)に導く。この状態で各帯状部材の他端に取付けられたフックを掛け合わせる(端部同士を互いに係止する)ことで、展開力集中カバーをシート側部内に配設できる。
公知技術では、乗物衝突時に、シート内のエアバッグが膨張しつつ、シートカバー(着座側の縫い目)を開裂させてシート外に膨出する。このとき展開力集中カバーの張引にて、シートカバーの縫い目を開裂(開口)させることにより、エアバッグをシート外に膨出させることができる。
米国特許第5967603号明細書
ところで公知技術では、一対の帯状部材(力布)を平板状のシートフレームに近接配置する。そして各帯状部材の他端(端部)は、フックを介して他端同士が互いに係止されてシートフレームに対して非取付け状態で配置することから、シートフレームに対して接触及び離間可能な構成である。このため公知技術の構成は、シートフレームと各帯状部材の端部が接触及び離間を繰返すなどして、シート性能にやや劣る構成となりがちであった。すなわち上記構成では、シートフレームとフックが互いに接触及び離間する際に異音(ぶつかり音等)が発生するおそれがあった。また帯状部材本体が、シートフレームの端部(エッジ状の平板部分)に勢いよく接触して破損するおそれがあった。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、一対の力布の端部をシートフレームに性能良く取付けることにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物用シートは、シート骨格をなす平板状又は柱状のシートフレームと、シートフレームを被覆するシートカバーと、シートカバーに設けた破断部と、シート内のエアバッグと、帯状の一対の力布とを備える。本発明では、一対の力布を、シートカバーの裏面側でエアバッグを囲うように設けるに際して、各力布の一端側を破断部に取付けるとともに、各力布の他端側を、取付け部を介してシートフレームに取付ける。そして乗物衝突時において、エアバッグの膨張に伴う一対の力布の引張にて破断部を破断させて開口させることで、エアバッグがシート外に膨出可能となる。この種の構成では、一対の力布の端部をシートフレーム側に性能良く取付けられることが望ましい。
そこで本発明では、取付け部が、シートフレーム本体の配設箇所に設けられて、エアバッグの未膨張時にシートフレーム本体から離間させて一対の力布の他端を保持するとともに、取付け部に設けた阻止部にて、シートフレーム本体に形成されたエッジ状の部位と各力布の接触を阻止する構成である。本発明では、一対の力布の他端を、シートフレームに設けられた取付け部にてシートフレーム本体から離間させて保持する。こうすることでシートフレーム本体と各力布の端部(例えば端部側の樹脂部材)の接触離間が原因の異音発生を好適に抑制できる。また取付け部の阻止部にて、各力布が、シートフレーム本体のエッジ状の部位(例えば平板部分の端部や柱の角部分で形成される比較的鋭利な部位)に接触して破損することを好適に抑制できる。
第2発明の乗物用シートは、第1発明の乗物用シートであって、シート外形をなして乗員を弾性的に支持するシートパッドを有する。またシートパッドが、乗員の着座が可能な中央の天板メイン部と、天板メイン部の側方で着座側に突出する天板サイド部とを有する。そしてシートパッドを、シートフレーム本体上に配置しつつシートカバーで被覆するに際して、天板サイド部が、シートフレーム本体に支持される構成とされる。そこで本発明では、取付け部が、配設箇所から離れるに従って、天板メイン部から天板サイド部に向かう方向に次第に傾斜した状態とされて設けられる。本発明では、取付け部を、天板サイド部側に傾斜させて天板メイン部側に極力突出させない構成としたことで、天板メイン部における乗員の沈み込みを極力邪魔しない構成とすることができる。
本発明に係る第1発明によれば、一対の力布の端部を、それぞれシートフレームに性能良く取付けることができる。また第2発明によれば、一対の力布の端部を、それぞれシートフレームにさらに性能良く取付けることができる。
乗物用シートの斜視図である。 図1のII−II線断面に相当するシートバックの一部拡大断面図である。 取付け部の拡大断面図である。 取付け部と力布の一部分解斜視図である。 変形例1に係る取付け部と力布の一部拡大断面図である。 変形例2に係る取付け部と力布の一部拡大斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図6を参照して説明する。図1及び図2には、適宜、乗物用シート前方に符号F、乗物用シート後方に符号B、乗物用シート上方に符号UP、乗物用シート下方に符号DWを付す。図1の乗物用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有する。これらシート構成部材は、各々、シート骨格をなすシートフレーム4F,6F,8Fと、シート外形をなすシートパッド4P,6P,8Pと、シートパッドを被覆するシートカバー4S,6S,8Sを有する。そしてシートクッション4の後部にシートバック6が起倒可能に連結するとともに、シートバック6(起立状態)の上部にヘッドレスト8が配設される。
[シートバック]
シートバック6は、基本構成(6F,6P,6S)と、エアバッグ20と、関連構成(一対の力布31,32、破断部6SX、取付け部40)を有する(図1及び図2を参照、各部等の詳細は後述)。そして乗物衝突時において、エアバッグ20を、シートバック6側部(破断部6SX)からシート外に膨出させて乗員側部を保護する。このときエアバッグ20が、シートパッド6Pを部分的に破断しながら、破断部6SXを開口させてシート外に膨出する。
そして一対の力布31,32(詳細後述)にて破断部6SXを破断させて開口させることにより、エアバッグ20を破断部6SXからより確実に膨出させる(図2を参照)。このとき一対の力布31,32を、シートカバー6Sの裏面側でエアバッグ20を囲むように設けつつ、各力布31,32の両端部を、それぞれシートカバー6Sとシートフレーム6Fに取付ける。この種の構成では、各力布31,32の端部(後述の他端)を、シートフレーム6Fに性能良く取付けられることが望ましい。そこで後述の構成(取付け部40)にて、一対の力布31,32の端部を、それぞれシートフレーム6Fに性能良く取付けることとした。以下、各構成について詳述する。
[基本構成]
シートフレーム6F本体(以下、単にシートフレーム6Fと呼ぶこともある)は、アーチ状の枠部材であり、剛性に優れる素材(金属や硬質樹脂等)にて形成できる(図1及び図2を参照)。シートフレーム6Fは、上部骨格をなすアッパフレーム12(略逆U字状のパイプ材)と、側部骨格をなす一対のサイドフレーム14を有する。そして一対のサイドフレーム14は、それぞれ平板状の部材(上下方向に長尺)であり、シートバック起立時を基準としてシート側部で対面状に配置する。各サイドフレーム14は、略横U字状(横断面視)をなしており、本体部分(14a)の各端に、第一屈曲部14b(後述の取付け部40の配設箇所)と、第二屈曲部14cが形成される(図2を参照)。第一屈曲部14b(比較的長尺)は、シート後部側に配置しており、その端部側(エッジ状の部位14d)が、後述の第一力布31の配置位置に向けて突出する。また第二屈曲部14c(比較的短尺)は、シート前部側に配置しており、その端部側が、シートパッド6Pの裏面側に向けて突出する。
またシートパッド6Pは、シート外形をなして乗員を弾性的に支持可能な部材であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)等の発泡樹脂で形成できる(図2を参照)。シートパッド6Pは、略矩形状(正面視)をなしており、天板メイン部6aと、天板サイド部6b(膨出部6PX)と、スリットW1,W2を有する(図2を参照)。天板メイン部6aは、シートパッド6P中央の平坦な部位であり、乗員の着座(背もたれ)が可能である。また天板サイド部6bは、天板メイン部6aの側方で着座側に突出する部位であり、例えばコーナリング走行時に乗員の側部を支持できる。そして天板サイド部6bの着座側(頂部付近)には、他の部位に比して薄肉化された膨出部6PXが形成されており、シートカバー6Sの破断部6SX(後述)に対面状に配置する。そして天板メイン部6aと天板サイド部6bの間と、天板サイド部6bの側部には、それぞれシートパッド6P内外を連通するスリットW1,W2が設けられている。スリットW1,W2には、各力布31,32(後述)が挿通され、その配置箇所の途中に配置する。
またシートカバー6Sは、シートパッド6Pを被覆可能な袋状の部材であり、エアバッグ20の膨出箇所となる破断部6SXを有する(図1及び図2を参照)。そしてシートカバー6Sは、複数の表皮ピース(SP1〜SP3)を縫合して形成されており、隣り合う表皮ピースは互いに縫合されている。SEW1とSEW2は縫合部を示す。第一表皮ピースSP1は、天板メイン部6aを被覆するピースである。また第二表皮ピースSP2は、天板サイド部6bの着座側を被覆するピースである。そして第三表皮ピースSP3は、天板サイド部6bの側面から後側を被覆するピースである。なお各表皮ピースの素材として、天然繊維又は合成繊維からなる布帛(織物,編物,不職布)や皮革(天然皮革,合成皮革)を例示できる。そして破断部6SXは、他のシートカバー部分よりも脆弱な部位であり、エアバッグ20の膨張時に破断して開口する。破断部6SXは、第二表皮ピースSP2と第三表皮ピースSP3の縫合部SEW2であり、天板サイド部6bの着座側(頂点付近)においてシート上下方向に延長する(図1を参照)。
[エアバッグ]
ここでエアバッグ20(未膨張状態)は、シート上下方向に長尺な略立方体状の部材であり、シートバック6の側部内に配設される(図1及び図2を参照)。エアバッグ20を、サイドフレーム14(本体部分14a)にボルト止めなどの手法で固定してシート側面に配置したのち、シートパッド6P(天板サイド部6b)で被覆する。そしてエアバッグ20が、乗物衝突時の衝撃を受けてシート外に膨出することにより、例えば乗員胸部から乗員腰部にかけての身体範囲を保護する。なおエアバッグ20内には、ガス供給装置が配置されている。ガス供給装置(インフレータ)にはガス発生剤又は高圧ガスが封入されている。
[一対の力布]
一対の力布(第一力布31,第二力布32)は、それぞれ帯状の部材である(図2及び図4を参照)。ここで各力布31,32の素材は特に限定しないが、エアバッグ20の膨張(圧力)では破損しない程度の剛性を備えることが好ましく、典型的にはシートカバー6Sよりも伸び難い布帛製である。各力布31,32は、一端側が、シートカバー6Sに縫合されて、他端側に係止部材34a,34bを有する。係止部材34a,34bは、それぞれ断面視で略J字状の平板部材(樹脂製)であり、後述するサイドフレーム14の取付け部40に係止可能である。そして後述するように各力布31,32を、シートカバー6Sの裏面側でエアバッグ20を囲むように配設する。このとき各力布31,32の一端側が、シートカバー6Sの着座側に取付けられ、他端側(係止部材34a,34b)が、後述の取付け部40を介してサイドフレーム14の第一屈曲部14bに取付けられる。
[取付け部]
取付け部40は、一対の力布31,32の端部(他端)を、それぞれサイドフレーム14の第一屈曲部14bに取付けるための構成である(図2〜図4を参照)。取付け部40は、平板状の樹脂部材(正面視で略矩形)であり、一対の係止部(第一係止部41,第二係止部42)と、把持部(51,52)と、阻止部54を有する。第一係止部41は、取付け部40(一面40a側)から突出する略L字状の部位であり、先端に返し部41aが設けられて、第一力布31の他端(係止部材34a)を係止可能である(図3及び図4を参照)。第一係止部41は、取付け部40(一面40a)の途中から突出したのちその一端40c側に向けて屈曲することで形成される。また第二係止部42は、取付け部40の一端40c側に設けられた略逆U字状の部位(外面が湾曲状)であり、先端に返し部42aが設けられて、第二力布32の他端(係止部材34b)を係止可能である。第二係止部42は、取付け部40の一端40cから延長した部分が他面40b側で折返し状に湾曲することで形成される。
また把持部(51,52)は、サイドフレーム14の第一屈曲部14b(配設箇所)に取付け可能な部位であり、取付け部40の他端40d側に形成される(図2〜図4を参照)。把持部は、取付け部40他端の略U字状(断面視)の部位であり、第一屈曲部14bを圧入可能な部位(第一把持部位51,第二把持部位52)を有する。第一把持部位51と第二把持部位52は、互いに離れる方向に撓み変形可能な可撓性を有して、第一屈曲部14bの厚み寸法よりも小さい隙間をあけて対面状に配置する。そして第一把持部位51は、比較的長尺な平板部位であり、取付け部40の取付け状態を基準として第一屈曲部14bの外面側に配置する。また第二把持部位52は、比較的短尺な平板部位であり、同取付け状態を基準として第一屈曲部14bの内面側に配置する。そして第一把持部位51は、その内面途中に凹み部位51a(薄肉な部位)が形成され、先端側が、第二把持部位52に近づく向きに突出する(図3を参照)。また同様に第二把持部位52も、その内面途中に凹み部位52aが形成され、先端側が、第一把持部位51に向けて突出する。なお取付け状態の把持部(51,52)は、第一屈曲部14bに沿って上下方向にスライド移動することは許容される。
ここで把持部(51,52)は、取付け部40の他端40dから延長した部分を、その他面40b側に屈曲させることで形成できる(図2及び図3を参照)。そして把持部(51,52)の屈曲角度θを適宜調節して、取付け部40の一端40c側を、後述する取付け状態においてサイドフレーム14から適度に離間させて配置する(図2を参照)。このとき取付け状態の取付け部40を、サイドフレーム14寄りに配置して、天板メイン部6a側に過度に突出させない構成とすることが好ましい。例えば取付け部40の取付け状態において、取付け部40が、第一屈曲部14b(配設箇所)から離れるに従って、天板メイン部6aから天板サイド部6bに向かう方向に次第に傾斜した状態とされてサイドフレーム14寄りに配置する。このとき各係止部41,42が、サイドフレーム14内(両屈曲部14b,14cの先端を結ぶ仮想線VLよりもサイドフレーム14の内側)に配置することが好ましい。
そして阻止部54は、第一屈曲部14bの端部(エッジ状の部位14d)と第一力布31の接触を阻止する部位である(図2〜図4を参照)。阻止部54は、取付け部40の他端40d側の部分(特に第一把持部位51そのもの)で形成されており、取付け部40の取付け状態を基準として、第一屈曲部14bの端部(エッジ状の部位14d)を被覆した状態で配置する。なお阻止部54(第一把持部位51)の外面形状は、第一力布31を破損させないようにエッジ状の部分がない形状であることが好ましく、典型的に湾曲状又はR付けした屈曲状である。
[シートバックの組立作業]
図2を参照して、シートパッド6Pを、シートフレーム6F上に配置してシートカバー6Sで被覆しつつ、関連構成(破断部6SX,膨出部6PX、各力布31,32、取付け部40)を適宜の位置に配設する。このとき天板メイン部6aをシートフレーム6F内に配置しつつ、天板サイド部6bを、サイドフレーム(第二屈曲部14c)上に配置してそれに支持させる。またサイドフレーム14に取付けられたエアバッグ20を天板サイド部6bにて被覆しながら、膨出部6PXを、エアバッグ20の前方(着座側)に配置する。つぎに天板サイド部6bをシートカバー6Sで被覆しながら、破断部6SX(縫合部SEW2)を天板サイド部6bの頂点付近に配置する。
また上述の作業に先立って、一対の力布31,32を、シートカバー6Sの裏面側でエアバッグ20を囲うように配設する。このとき第一力布31と第二力布32の一端側を、それぞれシートカバー6Sの着座側に配置しつつ、破断部6SX(縫合部SEW2)に共縫いして取付ける。そして第一力布31を、天板サイド部6bの外側面(エアバッグ20よりもシート外方の部分)に沿って配置しつつ、その途中(スリットW1)からシートパッド6Pの裏面側に導く。また第二力布32を、天板サイド部6bの内側面(エアバッグ20よりもシート内方の部分)に沿って配置しつつ、天板メイン部6aと天板サイド部6bの間(スリットW2)からシートパッド6Pの裏面側に導く。こうして一対の力布31,32を、エアバッグ20を囲うように配置しつつ、これらの他端側を、シート前方から後方に導きながらそれぞれサイドフレーム14(後部)に取付ける。この種の構成では、力布31,32の各他端をサイドフレーム14に性能良く(例えば異音発生や力布の破損を好適に阻止できるように)取付けられることが望ましい。
そこで取付け部40によって、各力布31,32の他端をシートフレーム6Fから離間させて保持することとした。すなわち取付け部40の一端40c側を、サイドフレーム14内に配置しつつ、取付け部40の他端40d側(把持部51,52)をサイドフレーム14の第一屈曲部14bに圧入する。このとき各把持部位51,52が互いに離間する向きに撓んだのち、元の状態に戻ることで第一屈曲部14bを弾性的に押圧しつつ把持する。こうして両把持部位51,52で第一屈曲部14bを把持することで、取付け部40を、サイドフレーム14の第一屈曲部14b(配設箇所)に取付ける。そして取付け部40の一端40c側(各係止部41,42)が、サイドフレーム14から離間して配置することとなる。
そして第一力布31を、サイドフレーム14の後面側から取付け部40に沿って引き込みながら、係止部材34a(第一力布31の他端)を第一係止部41に係止する。係止部材34aは、その先端側が第一係止部41の返し部41aに係止される。このとき第一屈曲部14bの端部(エッジ状の部位14d)が阻止部54にて被覆状態とされて、第一力布31との接触が好適に阻止される。また第二力布32を、サイドフレーム14の内方に引き込みながら、係止部材34b(第二力布32の他端)を第二係止部42に係止する。係止部材34bは、他の係止部材34aとは逆向きとされて、その先端側が第二係止部42の返し部42aに係止される。こうして取付け部40が、シートフレーム6Fの第一屈曲部14bに設けられて、一対の力布31,32の他端をシートフレーム6Fから離間させて保持する。このため通常走行時(エアバッグ未膨張時)などにおいて、サイドフレーム14と各力布31,32の他端が互いに離間して配置することで、これらの接触が原因の異音発生を好適に阻止できる。また取付け部40の阻止部54にて、第一力布31が、第一屈曲部14bの端部(エッジ状の部位14d)に接触して破損することを好適に阻止することができる。
[エアバッグの挙動]
図2を参照して、乗物衝突時において、エアバッグ20をシート外に膨出させて乗員側部を保護する。このときエアバッグ20が、天板サイド部6bの着座側に向けて膨張しつつ膨出部6PXを突き破りながらシートカバー6S側に膨出する。そしてエアバッグ20周りの一対の力布31,32が緊張して破断部6SXを開裂(開口)させることにより、エアバッグ20をシート外に膨出させる。このとき一対の力布31,32の他端が、取付け部40にてサイドフレーム14に比較的強固に連結される。このため各力布31,32の緊張状態が好適に維持されて、破断部6SXを素早く開裂させて開口状態とすることができる(エアバッグ20の展開速度向上に資する構成である)。
ところで上述のシート構成では、乗物衝突時において、天板メイン部6aに乗員が押し付けられてシートパッド6Pに沈み込むことがある。このときシート内の部材(例えば取付け部40)が、乗員の沈み込みを極力阻害しないことが望まれる。そこで取付け部40が、第一屈曲部14b(配設箇所)から離れるに従って、天板メイン部6aから天板サイド部6bに向かう方向に次第に傾斜した状態とされて設けられる。こうして取付け部40を、天板サイド部6b側に傾斜させて天板メイン部6a側に極力突出させない構成としたことで、天板メイン部6aにおける乗員の沈み込みを極力阻害しない構成とすることができる。また各係止部41,42が、サイドフレーム14内(仮想線VLよりも内側)に配置することで、乗員の押圧が原因(例えば沈み込んだシートパッドとの接触が原因)の係止部材34a,34bの係脱を好適に回避できる。
以上説明したとおり、一対の力布31,32の他端を、シートフレーム6Fに設けられた取付け部40にてシートフレーム6Fから離間させて保持する。こうすることで取付け部40にて、シートフレーム6Fと各力布31,32の端部(例えば係止部材34a,34b)の接触離間が原因の異音発生を好適に抑制できる。また取付け部40の阻止部54にて、第一力布31が、第一屈曲部14bの端部(エッジ状の部位14d)に接触することを好適に抑制できる。さらに取付け部40を、天板サイド部6b側に傾斜させて天板メイン部6a側に極力突出させない構成としたことで、天板メイン部6aにおける乗員の沈み込みを極力邪魔しない構成とすることができる。このため一対の力布31,32の端部を、それぞれシートフレーム6Fに性能良く取付けることができる。
[変形例1]
ここで取付け部の構成は、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば図5に示す変形例1の取付け部40Aでは、第一把持部位61の内面と第二把持部位62の内面が略平坦とされる(凹み部が省略される)。このため把持部(61,62)にて、第一屈曲部14bを安定感よく把持することができる(取付け安定性に優れる構成である)。
[変形例2]
また各力布31,32の他端は、対応する係止部41,42に直接(係止部材を介することなく)係止することもできる。例えば図6に示す変形例2では、各力布31,32の他端に、対応する係止部を挿入可能な孔部31H,32Hを形成する。各孔部31H,32Hは、対応する力布31,32をその厚み方向に貫通する貫通孔であり、その周縁に補強部材70(輪状の金属部材)が嵌装される。本変形例では、係止部材を用いることなく、各力布31,32の他端を、対応する係止部41,42にそれぞれ安定感良く係止することができる(比較的シンプルな構成である)。
本実施形態の乗物用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。例えば取付け部40の構成(形状,寸法,配設位置,配設数等)を例示したが、同部の構成を限定する趣旨ではない。取付け部は、シートフレームと一体の構成でもよく、この場合の取付け部は金属製でもよい。そして取付け部が、シートフレーム本体(本体部分と両屈曲部)から力布の他端を離間させて保持することとなる。また取付け部は、力布の配置位置等を考慮して、シートフレームの適宜の位置(例えば本体部分、第一屈曲部、第二屈曲部の少なくとも一つの配設箇所)に設けることができる。そして取付け部は、取付け状態において天板メイン部側に突出していてもよい。なお取付け部の途中にヒンジ部を設けて、乗員の沈み込み時に、シートフレーム側に曲げ変形させることもできる。また取付け部の途中に脆弱な箇所(薄肉部)を設けて、乗員の沈み込み時に途中で破損する構成とすることもできる。また各力布の一端側は、破断部そのものに取付けてもよく、破断部を破断可能である限りその周囲に取付けることもできる。
また係止部41,42と把持部51,52と阻止部54の構成を例示したが、これら各部は、シート構成に応じて適宜変更可能である。例えば係止部の構成は、力布の端部の構成(係止部材)に応じて適宜変更可能であり、力布の端部を取外し不能に取付けることもできる。そして把持部の構成も、シートフレームに応じて適宜変更可能である。例えば把持部に突出部を設けて、シートフレームの孔部に挿入係止する構成としてもよい。そして阻止部の構成も、シートフレームや他の各部の構成に応じて適宜変更可能であり、例えば把持部とは異なる構成であってもよい。
またシートフレーム6Fの構成を例示したが、同部の構成を限定する趣旨ではない。例えば柱状のシートフレームの場合、その角部がエッジ状の部位となる。そして柱状のシートフレーム形状に応じて、それを保持可能なように取付け部の把持部の構成を適宜変更できる。
また乗物用シート2の構成(シート構成部材,エアバッグ等)の構成は適宜変更可能である。例えばエアバッグは、シート構成部材の適宜の位置に配設できる。また力布の構成(形状,寸法,配設位置,配設数等)も、エアバッグの配設位置等に応じて適宜変更可能である。また専らシートバックを一例に説明したが、本実施形態の構成は、シートクッション等の各種シート構成部材に適用可能である。そして本実施形態の構成は、車両や航空機や電車等の乗物用シート全般に適用可能である。
2 乗物用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
6F シートフレーム
6P シートパッド
6S シートカバー
6SX 破断部
6PX 膨出部
12 アッパフレーム
14 サイドフレーム
14b 第一屈曲部(取付け部の配設箇所)
14d エッジ状の部位
20 エアバッグ
31 第一力布
32 第二力布
34a,34b 係止部材
40 取付け部
41,42 係止部
51,52 把持部位(把持部)
54 阻止部

Claims (2)

  1. シート骨格をなす平板状又は柱状のシートフレームと、前記シートフレームを被覆するシートカバーと、前記シートカバーに設けた破断部と、シート内のエアバッグと、帯状の一対の力布とを備え、
    前記一対の力布を、前記シートカバーの裏面側で前記エアバッグを囲うように設けるに際して、各力布の一端側を前記破断部に取付けるとともに、前記各力布の他端側を、取付け部を介して前記シートフレームに取付け、
    乗物衝突時において、前記エアバッグの膨張に伴う前記一対の力布の引張にて前記破断部を破断させて開口させることで、前記エアバッグがシート外に膨出可能な構成の乗物用シートにおいて、
    前記取付け部が、前記シートフレーム本体の配設箇所に設けられて、前記エアバッグの未膨張時に前記シートフレーム本体から離間させて前記一対の力布の他端を保持するとともに、前記取付け部に設けた阻止部にて、前記シートフレーム本体に形成されたエッジ状の部位と前記各力布の接触を阻止する構成の乗物用シート。
  2. 前記乗物用シートが、シート外形をなして乗員を弾性的に支持するシートパッドを有するとともに、前記シートパッドが、乗員の着座が可能な中央の天板メイン部と、前記天板メイン部の側方で着座側に突出する天板サイド部とを有し、前記シートパッドを、前記シートフレーム本体上に配置しつつ前記シートカバーで被覆するに際して、前記天板サイド部が、前記シートフレーム本体に支持される構成とされ、
    前記取付け部が、前記配設箇所から離れるに従って、前記天板メイン部から前記天板サイド部に向かう方向に次第に傾斜した状態とされて設けられる請求項1に記載の乗物用シート。
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