JP2016074793A - 樹脂組成物および透明耐熱容器 - Google Patents

樹脂組成物および透明耐熱容器 Download PDF

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Abstract

【課題】 透明性、耐熱性、クリーン性、加工性および低温衝撃性等に優れ、透明耐熱容器に好適な樹脂組成物を提供する。【解決手段】 下記(a)〜(d)を満足するエチレン・α—オレフィン共重合体30〜70重量%と、下記(e)〜(f)を満足する高圧法低密度ポリエチレン0〜20重量%、下記(g)〜(h)を満足する直鎖状低密度ポリエチレン20〜60重量%を含む樹脂組成物。(a)密度が925〜945kg/m3(b)MFRが0.1以上10g/10分未満(c)結晶化が開始する温度と結晶化発熱が極大を示す温度の差が10℃以上で、DSC融解吸熱曲線が1つのピークを示す(d)溶融延伸時に伸長粘度の歪硬化性を示す(e)密度が915〜930kg/m3(f)MFRが0.1以上10g/10分未満(g)密度が890〜930kg/m3(h)MFRが0.1以上20g/10分未満【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関するものである。更に詳細には、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンの樹脂組成物、および、透明性、耐熱性、クリーン性、加工性、及び低温衝撃強度のバランスに優れる容器に関するものである。
現在市販されている医療用容器としては、ガラスや高剛性のプラスチックなどからなる硬質の容器と、柔軟なポリオレフィンや可塑剤を含むポリ塩化ビニルからなる軟質容器が知られている。
上記の硬質容器は、内容薬剤を滴下する際に通気針または通気孔付きの輸液セットを用いて空気を導入する必要があり、内容薬剤の汚染などが生じる恐れがある。また、汎用されているガラスアンプルは、収容する薬液のpHが高いとアルカリフレークの溶出を起こす問題がある。また、アンプルを開封する際に手指に切傷を生じ易いという問題や、アンプルが破損する危険性、開封時に生じる破片が薬液中に混入する危険性等の問題もある。さらに、ガラスアンプルに含まれるアルミニウムが薬液中に溶出する危険性について、米国食品医薬品局(FDA)による勧告も出されている。
一方、軟質容器は、使用時に空気の導入が不要で内容薬剤の滴下とともに容器自体が大気圧で絞られるために、安全性、運搬上の利便性などがある、しかし、ポリ塩化ビニルは、可塑剤や残留モノマーなどの毒性の強い物質を含んでいる問題がある。また、ポリオレフィンの中でも、ポリプロピレン製容器は耐熱性に優れ、高温滅菌が可能であることから、広く医療用容器の原料として用いられているが、近年、使用前に低温で運搬する機会が増えたため、低温衝撃性に劣るポリプロピレン製容器では、輸送時に容器が落下し破壊してしまうなどの問題が発生している。このため、透明性および耐熱性を有し、かつ低温衝撃性のある新たな医療用容器の出現が望まれている。
ここで、軟質容器の製造には、原材料として熱可塑性樹脂が使用され、成形法としてブロー成形法が主に採用されている。従来のブロー成形では、成形後に内壁を洗浄する工程を経ていたのに対して、近年、生産性の向上を目的に同洗浄工程を省略すべく、ブロー成形と同時に薬液を充填する同時充填ブロー成形法が開発された。同時充填ブロー成形では、溶融樹脂中に薬液を直接充填するために従来の後充填方式と比較して、薬液中に樹脂の低分子量成分に由来する微粒子数が増加する。したがって、原材料の熱可塑性樹脂には微粒子数の低減すなわち樹脂の低溶出性(クリーン性)が要求されるようになった。
このような状況下で、高圧ラジカル重合法で得られる低密度ポリエチレンは、溶融張力が高く、高剪断下での流動性に優れ、肉厚が均一で表面状態の良いブロー成形体が得られること、さらには、低溶出性や透明性に優れることからブロー成形用樹脂として広く用いられている。しかしながら、高圧法低密度ポリエチレンは、耐熱性に劣るため、容器にした際に高温滅菌ができないという問題があった。
そこで、透明性、耐熱性、クリーン性、成形性及び低温衝撃性を満足するポリエチレン容器を生産するために、高圧法低密度ポリエチレンを主成分とした樹脂組成物や多層容器が種々提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。また、耐熱性に優れるポリプロピレンの低温衝撃性を改良する方法も提案されている(例えば特許文献5、6参照)。さらに、本発明者らは、先に特定のエチレン・α−オレフィン共重合体からなる容器が透明性、耐熱性、クリーン性、成形性のバランスに優れることを見出している(特許文献7参照)。
特開平11−49820号公報 特開2002−265705号公報 特開2005−007888号公報 特開2008−018063号公報 特開2006−306476号公報 特開2012−046692号公報 特開2014−028112号公報
しかしながら、上記特許文献1〜4で提案されている方法においては、多層成形による生産コストの増加や、得られる容器の透明性、耐熱性、クリーン性、加工性、低温衝撃性のバランスが現在の顧客要求を満足しないなどの不具合が生じている。また、上記特許文献5、6で提案されている方法においては、本質的に酸化し易いポリプロピレンを使用するために酸化防止剤などの添加剤を添加せざるを得ず、このことがクリーン性の低下に繋がり、改善が求められている。さらに、本発明者らが先に提案した上特許文献7の方法では、エチレン・α−オレフィン共重合体からなる容器が透明性、耐熱性、クリーン性、加工性のバランスに優れることが記載されているが、本発明者らの更なる研究により、低温衝撃性が劣るために低温落下時に破壊してしまい、容器形状が制限される、実用化できないなどの不具合が生じることが明らかとなってきた。
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を克服し、透明性、耐熱性、クリーン性、加工性、低温衝撃性のバランスに優れる容器を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンの樹脂組成物を使用して得られた容器の透明性、耐熱性、クリーン性、加工性、低温衝撃性のバランスが優れるため、容器形状の制限、低温落下時の破壊がない容器が得られることを見出し、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明は、下記(a)〜(d)の要件を満足するエチレン・α―オレフィン共重合体(イ)30〜70重量%と、下記(e)〜(f)の要件を満足する高圧法低密度ポリエチレン(ロ)0〜20重量%、下記(g)〜(h)の要件を満足する直鎖状低密度ポリエチレン(ハ)20〜60重量%((イ)、(ロ)及び(ハ)の合計は100重量%)を含むことを特徴とする樹脂組成物。およびそれからなることを特徴とする透明耐熱容器に関するものである。
(a)JIS K6760に準拠した密度が925〜945kg/m
(b)ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレートが0.1以上10g/10分未満
(c)示差走査熱量計(DSC)によって220℃から40℃まで40℃/分で降温して測定して得られるDSC結晶化発熱曲線において、結晶化が開始する温度(Tcオンセット)と、結晶化発熱が極大を示す温度(Tcピーク)の差が10℃以上であって、40℃から220℃まで10℃/分で昇温して測定して得られるDSC融解吸熱曲線が1つのピークを示す
(d)溶融延伸時に伸長粘度の歪硬化性を示す
(e)JIS K6760に準拠した密度が915〜930kg/m
(f)ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレートが0.1以上10g/10分未満
(g)JIS K6760に準拠した密度が890〜930kg/m
(h)ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレートが0.1以上20g/10分未満
本発明の樹脂組成物を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体(イ)は、JIS K6760に準拠した密度が925kg/m以上945kg/m以下であり、好ましくは927kg/m以上943kg/m以下であり、ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート(MFR)が0.1g/10分以上10g/10分未満であり、好ましくは0.6g/10分以上5g/10分未満であって、示差走査熱量計(DSC)によって220℃から40℃まで40℃/分で降温して測定して得られるDSC結晶化発熱曲線において、結晶化が開始する温度(Tcオンセット)と、結晶化発熱が極大を示す温度(Tcピーク)の差が10℃以上であって、40℃から220℃まで10℃/分で昇温して測定して得られるDSC融解吸熱曲線が1つのピークを示し、溶融延伸時に伸長粘度の歪硬化性を有する、エチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。密度が925kg/m未満では耐熱性が悪くなる。また、密度が945kg/mを超えると透明性が低下してしまう。MFRが0.1g/10分未満では、加工時の流動性が悪くなるために成形容器の表面が荒れ、容器の光沢性が損なわれる。また、10g/10分以上であると加工時の耐ドローダウン性が低下し、容器形状が限定される。また、DSCによって220℃から40℃まで40℃/分で降温して測定して得られるDSC結晶化発熱曲線において、Tcオンセットと、Tcピークの差が10℃未満であると、透明性が顕著に低下する。さらに、40℃から220℃まで10℃/分で昇温して測定して得られるDSC融解吸熱曲線が1つのピークを示さないと、組成分布が広くなり、透明性が低下する。さらに、溶融延伸時に伸長粘度の歪硬化性を示さないと、成形時に溶融樹脂の垂れ下がりが大きくなり、容器の肉厚のバラつきが許容範囲を超えてしまう。
上記のエチレン・α−オレフィン共重合体(イ)としては、市販品として入手したものであってもよく、例えば(商品名)TOSOH−HMS JK46(東ソー(株)製)、(商品名)TOSOH−HMS JK25(東ソー(株)製)等を市販品として挙げることができる。
また、以下の方法により製造することができる。例えば、特開2004−346304号公報、特開2005−248013号公報、特開2006−2057号公報、特開2006−321991号公報、特開2007−169341号公報、特開2010−43152号公報、特開2011−89019号公報、特開2011−89020号公報に記載の重合触媒の存在下に、エチレンを重合する、またはエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンを共重合する方法を用いることができる。
より具体的には、例えばメタロセン化合物として、2つの置換または非置換シクロペンタジエニル基が架橋基で架橋されている架橋型ビス(置換または非置換シクロペンタジエニル)ジルコニウム錯体および/または架橋型(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウム錯体(以下、成分(a)と記す。)と、架橋型(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体および/または架橋型(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体(以下、成分(b)と記す。)を用いたメタロセン触媒の存在下に、エチレンを重合する、またはエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンを共重合する方法を用いることができる。
成分(a)の具体例としては、ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1,1−ジメチル−1−シラエタン−1,2−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、プロパン−1,3−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ブタン−1,4−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、シス−2−ブテン−1,4−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1,1,2,2−テトラメチルジシラン−1,2−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド等のジクロライドおよび上記遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体を例示することができる。また上記遷移金属化合物のシクロペンタジエニル誘導体の水素が炭化水素基で置換されたもの、中心金属のジルコニウム原子をチタン原子またはハフニウム原子に置換した化合物も例示することもできる。
成分(b)の具体例としては、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−トリメチルシリル−1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイル(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フェニル−1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フェニル−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等のジクロライドおよび上記遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体を例示することができる。また上記遷移金属化合物のシクロペンタジエニル誘導体の水素が炭化水素基で置換されたもの、中心金属のジルコニウム原子をチタン原子またはハフニウム原子に置換した化合物も例示することもできる。
また、成分(a)に対する成分(b)の量は、特に制限はなく、0.0001〜100倍モルであることが好ましく、特に好ましくは0.001〜10倍モルである。
そして、成分(a)と成分(b)を用いたメタロセン触媒としては、例えば成分(a)と成分(b)と有機アルミニウム化合物(以下、成分(c)と記す。)からなる触媒;成分(a)と成分(b)とアルミノオキサン(以下、成分(d)と記す。)からなる触媒;さらに成分(c)を含んでなる触媒;成分(a)と成分(b)とプロトン酸塩(以下、成分(e)と記す。)、ルイス酸塩(以下、成分(f)と記す。)または金属塩(以下、成分(g)と記す。)から選ばれる少なくとも1種類の塩からなる触媒;さらに成分(c)を含んでなる触媒;、成分(a)と成分(b)と成分(d)と無機酸化物(以下、成分(h)と記す。)からなる触媒;成分(a)と成分(b)と成分(h)と成分(e)、成分(f)、成分(g)から選ばれる少なくとも1種類の塩からなる触媒;さらに成分(c)を含んでなる触媒;成分(a)と成分(b)と粘土鉱物(以下、成分(i)と記す。)と成分(c)からなる触媒;成分(a)と成分(b)と有機化合物で処理された粘土鉱物(以下、成分(j)と記す。)からなる触媒を例示することができ、好ましくは成分(a)と成分(b)と成分(j)からなる触媒を用いることができる。
ここで、成分(i)および成分(j)として用いることが可能な粘土鉱物としては、微結晶状のケイ酸塩を主成分とする微粒子を挙げることができ、粘土鉱物の大部分は、その構造上の特色として層状構造を成しており、層の中に種々の大きさの負電荷を有することが挙げられる。この点で、シリカやアルミナのような三次元構造を持つ金属酸化物と大きく異なる。これらの粘土鉱物は、一般に層電荷の大きさで、パイロフィライト、カオリナイト、ディッカイトおよびタルク群(化学式当たりの負電荷がおよそ0)、スメクタイト群(化学式当たりの負電荷がおよそ0.25から0.6)、バーミキュライト群(化学式当たりの負電荷がおよそ0.6から0.9)、雲母群(化学式当たりの負電荷がおよそ1)、脆雲母群(化学式当たりの負電荷がおよそ2)に分類されている。ここで示した各群には、それぞれ種々の粘土鉱物が含まれるが、スメクタイト群に属する粘土鉱物としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト等が挙げられる。また、上記粘土鉱物は複数混合して用いることもできる。
成分(j)における有機化合物処理とは、粘土鉱物層間に有機イオンを導入し、イオン複合体を形成することをいう。有機化合物処理で用いられる有機化合物としては、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−エイコシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−ドコシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルオレイルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−ビス(n−オクタデシル)アミン塩酸塩、N−メチル−ビス(n−エイコシル)アミン塩酸塩、N−メチル−ジオレイルアミン塩酸塩、N−メチル−ジベヘニルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルアニリン塩酸塩を例示することができる。
成分(a)と成分(b)と成分(j)からなる触媒は、有機溶媒中、成分(a)と成分(b)と成分(j)を接触させることによって得ることが可能であり、成分(a)と成分(j)の接触生成物に成分(b)を添加する方法;成分(b)と成分(j)の接触生成物に成分(a)を添加する方法;成分(a)と成分(b)の接触生成物に成分(j)を添加する方法;成分(j)に成分(a)と成分(b)の接触生成物を添加する方法を例示することができる。
接触溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペンタンもしくはシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン等の芳香族炭化水素類、エチルエーテルもしくはn−ブチルエーテル等のエーテル類;塩化メチレンもしくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、1,4−ジオキサン、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランを例示することができる。
接触温度については、0〜200℃の間で選択して処理を行うことが好ましい。
各成分の使用量は、成分(j)1gあたり成分(a)が、0.0001〜100mmol、好ましくは0.001〜10mmolである。
このようにして調製された成分(a)と成分(b)と成分(j)の接触生成物は、洗浄せずに用いても良く、また洗浄した後に用いても良い。また、成分(a)または成分(b)がジハロゲン体の時、さらに成分(c)を添加することが好ましい。また、成分(j)、重合溶媒およびオレフィン中の不純物を除去することを目的に成分(c)を添加することができる。
該エチレン・α−オレフィン共重合体を製造する際には、重合温度−100〜120℃で行うことが好ましく、特に生産性を考慮すると20〜120℃が好ましく、さらには60〜120℃の範囲で行うことが好ましい。また、重合時間は10秒〜20時間の範囲が好ましく、重合圧力は常圧〜300MPaの範囲で行うことが好ましい。重合性単量体としては、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンであり、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンの供給割合として、エチレン/炭素数3〜8のα−オレフィン(モル比)が、1〜200、好ましくは3〜100、さらに好ましくは5〜50の供給割合を用いることができる。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて2段階以上に分けて行うことも可能である。また、エチレン系共重合体は、重合終了後に従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
重合はスラリー状態、溶液状態または気相状態で実施することができ、特に、重合をスラリー状態で行う場合にはパウダー粒子形状の整ったエチレン・α−オレフィン共重合体を効率よく、安定的に生産することができる。また、重合に用いる溶媒は一般に用いられる有機溶媒であればいずれでもよく、具体的には例えばベンゼン、トルエン、キシレン、プロパン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ガソリン等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
尚、本発明におけるMFRは、ASTM 1238に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定することができる。歪硬化性は、マイスナー型一軸伸長粘度計を用いて、160℃で、ひずみ速度0.07〜0.1s−1の条件で測定した伸長粘度の最大値を、その時間の線形領域の伸長粘度で除した値を非線形パラメーターλと定義し、λが1を超えること歪硬化性があると確認できる。なお、M. Yamaguchi et al.Polymer Journal 32,164(2000).に記載のように、線形領域の伸長粘度は動的粘弾性より計算できる。λが1の場合、歪硬化性がないと判断できる。
本発明の透明耐熱容器を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体(イ)のGPCにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は3.0〜6.0が好ましく、更に好ましくは3.5〜5.5である。Mw/Mnがこの範囲であると、良好な製品外観と成形性が得られるため、好ましい。Mnは15,000以上であることが好ましく、さらに好ましくは15,000〜100,000、特に15,000〜50,000が好ましい。Mnが15,000以上である場合、得られる容器の衝撃強度が高くなる。
本発明の樹脂組成物を構成する高圧法低密度ポリエチレン(ロ)は、JIS K7676を準拠し測定した密度が915〜930kg/mであり、好ましくは918〜928kg/m、特に好ましくは920〜922kg/mが好ましい、また、ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したMFRが、0.1g/10分以上10g/10分未満であり、好ましくは、0.3〜5g/10分が好ましい。密度が915kg/m未満では耐熱性が悪くなる。また、密度が930kg/mを超えると透明性が低下してしまう。MFRが0.1g/10分未満では、加工時の流動性が悪くなるために成形容器の表面が荒れ、容器の光沢性が損なわれる。また、10g/10分以上であると加工時の耐ドローダウン性が低下し、容器形状が限定される。そのような高圧法低密度ポリエチレンとして市販品を用いることが可能であり、例えばエチレンを高圧ラジカル重合法で重合することにより製造することが可能である。
本発明の樹脂組成物を構成する直鎖状低密度ポリエチレン(ハ)は、JIS K7676を準拠し測定した密度が890〜930kg/mであり、好ましくは900〜920kg/mが好ましい、また、ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したMFRが、0.1g/10分以上20g/10分未満であり、好ましくは1.0〜10g/10分が好ましい。さらに、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.0以下が好ましい。密度が890kg/m未満では耐熱性が悪くなる。また、密度が930kg/mを超えると低温衝撃性、透明性が低下してしまう。MFRが0.1g/10分未満では、加工時の流動性が悪くなるために成形容器の表面が荒れ、容器の光沢性が損なわれる。また、20g/10分以上であると加工時の耐ドローダウン性が低下し、容器形状が限定される。さらに、Mw/Mnが3.0以上の場合、得られた容器に薬液を充填した際に薬液中に溶出する容器由来の低分子量成分が少なくなるため、クリーン性が良好である。
そのような直鎖状低密度ポリエチレンとしては、市販品を用いることが可能であり、エチレンとα−オレフィンを共重合したものである。その際のα−オレフィンとしては、一般にα−オレフィンと称されているものでよく、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数3〜12のα−オレフィンであることが好ましい。例えばエチレン・ヘキセン−1共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・オクテン−1共重合体等が挙げられ、例えば高圧法、溶液法、気相法等の製造法により製造することが可能である。該直鎖状低密度ポリエチレン(ロ)を製造する際には、一般的にマグネシウムとチタンを含有する固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物からなるチーグラー触媒、シクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物と、これと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び/又は有機金属化合物からなるメタロセン触媒、バナジウム系触媒等を用いることができ、該触媒によりエチレンとα−オレフィンを共重合することにより製造することが可能となる。
本発明の透明耐熱容器を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体(イ)、高圧法低密度ポリエチレン(ロ)、直鎖状低密度ポリエチレン(ハ)の配合割合は、エチレン・α−オレフィン共重合体(イ)が30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%、高圧法低密度ポリエチレン(ロ)が0〜20重量%、好ましくは5〜15重量%、直鎖状低密度ポリエチレン(ハ)が20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%である。エチレン・α−オレフィン共重合体(イ)が30重量%未満だと耐熱性が不足し、70重量%を超える場合は低温衝撃性が低下するため好ましくない。高圧法低密度ポリエチレン(ロ)が20重量%を超える場合は低温衝撃性が低下するため好ましくない。直鎖状低密度ポリエチレン(ハ)が20重量%未満だと低温衝撃性が低下し、60重量%を超える場合は加工性が低下するため好ましくない。
本発明の透明耐熱容器を構成するエチレン系重合体(イ)と高圧法低密度ポリエチレン(ロ)と直鎖状低密度ポリエチレン(ハ)を配合する際には、通常樹脂組成物とする際の方法を用いることができ、例えば溶融・混合方法として、押出混練、ロール混練など公知の方法を挙げることができ、該方法で溶融混練することにより得ることができる。
本発明に使用する樹脂組成物には、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、抗ブロッキング剤、スリップ剤、滑剤、核剤、顔料、カーボンブラック、タルク、ガラス粉、ガラス繊維等の無機充填剤または補強剤、有機充填剤または補強剤、難燃剤、中性子遮蔽剤等の公知の添加剤を配合することができる。また、他の熱可塑性樹脂と混合して用いることもできる。これらの例として、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン系樹脂、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、これらの無水マレイン酸グラフト物等を例示することができる。
本発明の透明耐熱容器の成形方法としては、水冷式または空冷式インフレーション成形、キャスト(Tダイ)成形、ブロー成形、シート成形、回転成形、射出(2軸延伸)ブロー成形、射出成形、チューブ成形、ドライラミネーション成形、押出ラミネーション成形等の成形法が用いられ、これらは単層または多層で用いられる。特に制限はないが、衛生性、透明性などの点から水冷インフレーション成形が好ましく、経済性などの点からブロー成形が好ましい。
容器の厚みは0.05〜2mmが好ましく、更に好ましくは0.1〜0.8mm、更には0.2〜0.6mmが最も好ましい。
本発明の透明耐熱容器は、押出機およびブロー成形用ダイスを有するブロー・フィル・シール機を使用して製造することもできる。具体的には、筒状の溶融したパリソンを、ブロー成形用ダイスを設置した押出機を用いて成形する。次に、この筒状のパリソンを容器本体部成形用の割型で挟んで、内部に空気を圧入すると同時に、金型面に設置された真空孔よりパリソンを吸引することで容器本体部を成形し、当該容器本体部に、所定および所定量の薬液を充填する。さらに、当該容器の口部を割り型で挟んで、当該口部を封止する融着部と、融着部に連結して設置される捻じ切り部とを成形することによって、本発明の容器を製造することができる。
本発明の透明耐熱容器は、製品の滅菌処理が必要な場合に、高圧蒸気滅菌法を使用できる。本高圧蒸気滅菌法とは、加圧して温度を高めた飽和水蒸気を使用して、一定時間加熱して滅菌する方法であり、この方法は、日本薬局方において、105℃で45分間、115℃で30分間または121℃で15分間の条件が定められており、製品の材質や滅菌後の製品の安全性等によって処理条件が決定され、血液バッグや輸液剤等の薬剤入り容器の滅菌に、一般的に用いられる方法である。また、水を対照として測定した時の450nmの透過率が55%以上であれば、透明性が良好で、容器の内容物の確認が十分にでき、日本薬局方基準を達成できる。さらに、50℃におけるn−ヘプタン抽出量が0.5重量%以下であれば、クリーン性(低微粒子性)が確保され、医療用容器、食品用容器および化粧品用容器などへの使用に際して、何ら問題となり得ない衛生性が確保できる。
本発明の透明耐熱容器の用途としては、医療用容器、食品用容器、化粧品用容器等が挙げられる。医療用容器としては、キット製剤容器、プラスチックアンプル、点眼剤容器、輸液ボトル、輸液セット、内服剤容器、透析液容器等が挙げられる。食品用容器としては、各種飲料容器、濃縮飲料容器、調味料容器、惣菜容器、ドレッシング容器、マヨネーズ・ケチャップ容器、各種レトルト食品容器、哺乳瓶等が挙げられる。化粧品用容器としては、整髪料、毛髪料、香水、毛染剤、アイシャドー、マニキュア、ローション、クリーム、乳液、化粧水、パーマ液等の容器が挙げられる。
本発明によって得られる透明耐熱容器は、透明性、耐熱性、クリーン性、加工性および低温衝撃性等に優れ、医療用容器、食品用容器および化粧品用容器等に好適なものである。
また、本発明によって得られる透明耐熱容器は、日本薬局方に適合し、製品外観、耐熱性、低溶出性、透明性に優れることから、注射用容器、点眼容器、点鼻容器、内服液容器等の医薬容器用に好適に利用される。
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。
〜エチレン・α−オレフィン共重合体(イ)の製造と評価〜
以下に、本発明に使用するエチレン・α−オレフィン共重合体(イ)の製造例を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、断りのない限り、用いた試薬等は市販品、あるいは既知の方法に従って合成したものを用いた。
有機変性粘土の粉砕にはジェットミル(セイシン企業社製(商品名)CO−JET SYSTEM α MARK III)を用い、粉砕後の粒径はマイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製(商品名)MT3000)を用いてエタノールを分散剤として測定した。
エチレン・α−オレフィン共重合体(イ)製造用触媒の調製、エチレン・α−オレフィン共重合体の製造および溶媒精製は全て不活性ガス雰囲気下で行った。トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(20wt%)は東ソーファインケム(株)製を用いた。さらに、実施例におけるエチレン・α−オレフィン共重合体の諸物性は、以下に示す方法により測定した。
〜密度の測定〜
JIS K6760(1995)に準拠して密度勾配管法で測定した。
〜MFRの測定〜
ASTM 1238に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
〜特性結晶化温度差、融点の測定〜
示差走査型熱量計、パーキンエルマー製「DSC−7」を用いて測定した。装置内で試料を220℃で5分間溶融させた後に、40℃/分の冷却速度で40℃まで冷却した際に得られるDSC結晶化発熱曲線の発熱が開始する位置の温度と発熱が極大を示す位置の温度の差を特性結晶化温度差とした。また、再度10℃/分の昇温速度で220℃まで昇温させたときに得られる融解吸熱曲線のピーク数を測定するとともに、ピークの温度を融点とした。
〜歪硬化性の測定〜
温度160℃に設定したマイスナー型一軸伸長粘度計(東洋精機製作所製、商品名:メルテンレオメーター)を用いて測定した。非線型パラメータ(λ)は、ひずみ速度0.07〜0.1s−1の条件で測定した伸長粘度の最大値を、その時間の線形領域の伸長粘度で除した値として求めた。なお、線形領域における伸長粘度の値は、福田猛著,新高分子実験学1,高分子実験の基礎,分子特性解析,“3−4.分子形状および形態”,295(1994).に記載の方法に従い、動的粘弾性より近似式を用いて計算した。得られたλが1を越える場合は歪硬化性ありと判断した。
〜重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)〜
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は、GPCによって測定した。GPC装置(東ソー(株)製(商品名)HLC−8121GPC/HT)およびカラム(東ソー(株)製(商品名)TSKgel GMHhr−H(20)HT)を用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mlの濃度で調製し、0.3ml注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正した。なお、MwおよびMnは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
製造例1
[エチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)の製造]
(1)粘土の変性
蒸留水6リットルに、濃塩酸150g、ジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンDM22D)424g(1.2mol)及び合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRD)1kgを添加させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の蒸留水6リットルで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより1.2kgの変性粘土を得た。この変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
(2)触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された5リットルのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた変性粘土500gとヘキサンを3.1リットル入れ、次いでジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド8.81g及び20%トリイソブチルアルミニウム1.4リットルを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、4リットルのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを4リットル加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:11.0wt%)。
(3)エチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)の製造
内容積540Lの重合器に、ヘキサンを145kg/時、エチレンを30kg/時、ブテン−1を4.5kg/時、水素を5NL/時およびポリマー生産量が30kg/時になるように上記(2)で調製した触媒懸濁液を連続的に供給し、全圧を3,000kPa、重合器内温を70℃に保ちながら連続的に重合反応を行った。
重合器から連続的にスラリー抜き出し、未反応の水素、エチレン、ブテン−1を除去した後、分離、乾燥の工程を経てエチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)粉末を得た。これを200℃に設定した50mm径の単軸押出機を使用して溶融混練し、ペレタイズすることでエチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)ペレットを得た。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)ペレットの密度は927kg/m、MFRは2.5g/10分、特性結晶化温度差14.5℃、融点115℃、歪硬化性あり、溶融張力67mN、Mn17,000、Mw/Mn5.3であった。
製造例2
[エチレン・α−オレフィン共重合体(A−2)の製造]
(1)粘土の変性
(2)触媒懸濁液の調製
製造例1と同様に実施した。
(3)エチレン・α−オレフィン共重合体(A−2)の製造
内容積540Lの重合器に、ヘキサンを145kg/時、エチレンを30kg/時、ブテン−1を2.0kg/時、水素を7NL/時およびポリマー生産量が30kg/時になるように上記(2)で調製した触媒懸濁液を連続的に供給し、全圧を3,000kPa、重合器内温を75℃に保ちながら連続的に重合反応を行った。
重合器から連続的にスラリー抜き出し、未反応の水素、エチレン、ブテン−1を除去した後、分離、乾燥の工程を経てエチレン・α−オレフィン共重合体(A−2)粉末を得た。これを200℃に設定した50mm径の単軸押出機を使用して溶融混練し、ペレタイズすることでエチレン・α−オレフィン共重合体(A−2)ペレットを得た。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)ペレットの密度は935kg/m、MFRは3.3g/10分、特性結晶化温度差13.8℃、融点121℃、歪硬化性あり、溶融張力57mN、Mn17,000、Mw/Mn5.6であった。
製造例3
[エチレン・α−オレフィン共重合体(A−3)の製造]
(1)粘土の変性
(2)触媒懸濁液の調製
製造例1と同様に実施した。
(3)エチレン・α−オレフィン共重合体(A−3)の製造
内容積540Lの重合器に、ヘキサンを145kg/時、エチレンを30kg/時、ブテン−1を1.2kg/時、水素を10NL/時およびポリマー生産量が30kg/時になるように上記(2)で調製した触媒懸濁液を連続的に供給し、全圧を3,000kPa、重合器内温を75℃に保ちながら連続的に重合反応を行った。
重合器から連続的にスラリー抜き出し、未反応の水素、エチレン、ブテン−1を除去した後、分離、乾燥の工程を経てエチレン・α−オレフィン共重合体(A−3)粉末を得た。これを200℃に設定した50mm径の単軸押出機を使用して溶融混練し、ペレタイズすることでエチレン・α−オレフィン共重合体(A−3)ペレットを得た。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(A−3)ペレットの密度は938kg/m、MFRは0.8g/10分、特性結晶化温度差13.4℃、融点126℃、歪硬化性あり、溶融張力100mN、Mn25,000、Mw/Mn4.4であった。
製造例4
[エチレン・α−オレフィン共重合体(A−4)の製造]
(1)粘土の変性
(2)触媒懸濁液の調製
製造例1と同様に実施した。
(3)エチレン・α−オレフィン共重合体(A−4)の製造
内容積540Lの重合器に、ヘキサンを145kg/時、エチレンを30kg/時、ブテン−1を1.3kg/時、水素を7NL/時およびポリマー生産量が30kg/時になるように上記(2)で調製した触媒懸濁液を連続的に供給し、全圧を3,000kPa、重合器内温を80℃に保ちながら連続的に重合反応を行った。
重合器から連続的にスラリー抜き出し、未反応の水素、エチレン、ブテン−1を除去した後、分離、乾燥の工程を経てエチレン・α−オレフィン共重合体(A−4)粉末を得た。これを200℃に設定した50mm径の単軸押出機を使用して溶融混練し、ペレタイズすることでエチレン・α−オレフィン共重合体(A−4)ペレットを得た。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(A−4)ペレットの密度は940kg/m、MFRは4.0g/10分、特性結晶化温度差13.4℃、融点130℃、歪硬化性あり、溶融張力72mN、Mn23,000、Mw/Mn3.7であった。
製造例5
[エチレン・α−オレフィン共重合体(A−5)の製造]
(1)粘土の変性
水60mLにエタノール60mLと37%濃塩酸2.0mLを加えた後、得られた溶液にN−メチルジオレイルアミン 11.7g(0.022mol)を添加し、60℃に加熱することによって、N−メチルジオレイルアミン塩酸塩溶液を調製した。この溶液にヘクトライト20gを加えた。この懸濁液を60℃で3時間撹拌し、上澄液を除去した後、60℃の水1Lで洗浄した。その後、60℃、10−3torrで24時間乾燥し、ジェットミルで粉砕することによって、平均粒径5.2μmの変性ヘクトライトを得た。元素分析の結果、変性ヘクトライト1g当たりのイオン量は0.85mmolであった。
(2)触媒懸濁液の調製
上記変性ヘクトライト8.0gをヘキサン29mLに懸濁させ、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)46mLを添加し、室温で1時間攪拌することによって、成分(b)と成分(c)の接触生成物を得た。一方、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド111.5mg(320μmol)をトルエンに溶解させたものを添加し、室温で一晩攪拌することによって、触媒スラリー(100g/L)を得た。
(3)マクロモノマーの製造
2Lオートクレーブに、ヘキサン1,200mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)1.0mLを導入し、オートクレーブの内温を90℃に昇温した。このオートクレーブに、上記触媒スラリー0.25mLを添加し、エチレンを分圧が1.2MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が1.2MPaに保たれるようにエチレンを連続的に導入した。また、重合温度を90℃に制御した。重合開始34分後に、内温を50℃まで降温してオートクレーブの内圧を0.1MPaまで脱圧した後、オートクレーブに窒素を0.6MPaになるまで導入して脱圧した。この操作を5回繰り返した。
(4)エチレン・α−オレフィン共重合体(A−5)の製造
上記で製造したマクロモノマーが含まれる2Lオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)1.0mLを導入し、ブテン−1を3ml添加した後、オートクレーブの内温を85℃に昇温した。温度を保ち30分間撹拌した後、このオートクレーブに、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド5μmolのトルエン溶液20mLを添加し、温度を保ちながら1時間撹拌した。エチレンを分圧が0.1MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.1MPaに保たれるようにエチレンを連続的に導入した。また、重合温度を85℃に制御した。重合開始90分後に、オートクレーブの内圧を脱圧した後、内容物を吸引ろ過した。乾燥後、113gのポリマーが得られた。得られエチレン・マクロモノマー共重合体のMFRは5.0g/10分、密度は953kg/mであった。
以下に、実施例および比較例で用いた加工性及び容器の評価方法を示す。
〜加工性の評価〜
〜表面光沢性の評価〜
ダイコアが19.3mm、ダイ直径が19.8mmのブロー成形ダイ、500ml円筒ボトル用金型、及び50mmφの押出スクリューを備えたブロー成形機(タハラ社製)を用いて、成形温度180℃、スクリュー回転数6rpm、ダイギャップ1.4mmの条件で評価樹脂の500ml円筒ボトルを成形した。得られたボトルの表面の光沢性を目視観察し、評価した。
○:表面が平滑であり、光沢性良好
△:表面が平滑であるが、光沢性がない
×:表面が梨地であり、光沢性がない
〜耐ドローダウン性の評価〜
前記ブロー成形機(タハラ社製)を用いて、成形温度180℃、スクリュー回転数6rpmで評価樹脂のパリソンを押し出した。パリソンがリップから250mm垂下するまでにかかる時間を垂下時間として評価した。
○:垂下時間15秒以上
△:垂下時間10秒以上15秒未満
×:垂下時間10秒未満
〜容器の評価〜
〜低温衝撃性の評価〜
実施例に記載の方法で製造した容器を−20℃の冷凍庫にて24時間冷却した。この容器を、高さ1mからコンクリート面に落下させた。
10個中、10個とも割れの発生なし…○、
10個中、2〜3個、割れ、ヒビ等が発生…△、
10個中、5個以上、割れ、ヒビ等が発生…×
〜耐熱性の評価〜
実施例に記載の方法で製造した容器をオートクレーブ内にセットした後、日本薬局方に準拠し、高圧蒸気滅菌法により、105℃の温度で45分間滅菌処理した後、容器を取り出し、容器の外観を以下の項目について観察して評価した。
変形:容器の波打ち状態を観察した。
○:全く容器の波打ちが見られたかったもの。
△:わずかに容器の波打ちが見られたもの。
×:容器の波打ちが大きかったもの。
〜クリーン性の評価〜
クリーン性の指標として50℃におけるn−ヘプタン抽出量を採用した。測定方法は以下の通りである。実施例に記載の方法で製造した容器を冷凍粉砕し、200メッシュパスの粉砕試料10gを秤量し、400mlのn−ヘプタンを加えて、50℃で2時間抽出を行い、抽出量からn−ヘプタンを蒸発させて、乾燥固化させて得た抽出物の重量の初期重量に対する割合を求めることにより算出した。
〜透明性の評価〜
実施例に記載の方法で製造し、105℃の温度で45分間滅菌処理した後の容器から厚さ500μm、幅9.5mm、長さ50mmのサンプル片を切り出し、日立製作所製「紫外可視分光光度計220A」を用いて、純水中で波長450nmの透過率を測定した。
実施例1
(1)樹脂組成物の製造
製造例1で得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(イ)と市販の高圧法低密度ポリエチレン(ロ)(商品名:ペトロセン175K、東ソー製、MFR=0.6g/10分、密度=922kg/m)と市販の直鎖状低密度ポリエチレン(ハ)(商品名:ニポロンZHM300K、東ソー製、MFR=4.0g/10分、密度=900kg/m)を50:10:40(重量%)の比率でドライブレンドを行い、これをプラコー社製50mm径単軸押出機にてストランド状に溶融押出し、ペレタイザーを用いてペレット状に造粒を行った。バレルの温度はC1;180℃、C2;200℃、C3;220℃、ダイヘッド;220℃とした。
(2)容器の製造
上記樹脂組成物を ブロー用ダイスを備えるブロー・フィル・シール機を用いて、内部に純水10mlを充填してなるプラスチックアンプル(内容積10ml)を製造した。このアンプルは、胴部の肉厚が500μmであった。
結果を表1に示す。
実施例2〜3
エチレン・α−オレフィン共重合体(イ)と高圧法低密度ポリエチレン(ロ)と直鎖状低密度ポリエチレン(ハ)のブレンド比率を表1のように変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例4〜5
高圧法低密度ポリエチレン(ロ)を表1のように変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例6〜7
直鎖状低密度ポリエチレン(ハ)を表1のように変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例8〜10
エチレン・α−オレフィン共重合体(イ)を表1のように変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
結果を表1に示す。
Figure 2016074793
比較例1
樹脂組成物に代えて製造例1で得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(イ)を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
比較例2
樹脂組成物に代えて市販の高圧法低密度ポリエチレン(ロ)(商品名:ペトロセン175K、東ソー製、MFR=0.6g/10分、密度=922kg/m)を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
比較例3
樹脂組成物に代えて市販の直鎖状低密度ポリエチレン(ハ)(商品名:ニポロンZ7P02A、東ソー製、MFR=2.0g/10分、密度=920kg/m)を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
比較例4〜8
エチレン・α−オレフィン共重合体(イ)と高圧法低密度ポリエチレン(ロ)、直鎖状低密度ポリエチレン(ハ)のブレンド比率を表1のように変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
比較例9
エチレン・α−オレフィン共重合体(イ)を製造例5で得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(イ)に変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
Figure 2016074793

Claims (8)

  1. 下記(a)〜(d)の要件を満足するエチレン・α―オレフィン共重合体(イ)30〜70重量%と、下記(e)〜(f)の要件を満足する高圧法低密度ポリエチレン(ロ)0〜20重量%、下記(g)〜(h)の要件を満足する直鎖状低密度ポリエチレン(ハ)20〜60重量%((イ)、(ロ)及び(ハ)の合計は100重量%)を含むことを特徴とする樹脂組成物。
    (a)JIS K6760に準拠した密度が925〜945kg/m
    (b)ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレートが0.1g/10分以上10g/10分未満
    (c)示差走査熱量計(DSC)によって220℃から40℃まで40℃/分で降温して測定して得られるDSC結晶化発熱曲線において、結晶化が開始する温度(Tcオンセット)と、結晶化発熱が極大を示す温度(Tcピーク)の差が10℃以上であって、40℃から220℃まで10℃/分で昇温して測定して得られるDSC融解吸熱曲線が1つのピークを示す
    (d)溶融延伸時に伸長粘度の歪硬化性を示す
    (e)JIS K6760に準拠した密度が915〜930kg/m
    (f)ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレートが0.1g/10分以上10g/10分未満
    (g)JIS K6760に準拠した密度が890〜930kg/m
    (h)ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレートが0.1g/10分以上20g/10分未満
  2. 請求項1に記載の樹脂組成物からなることを特徴とする透明耐熱容器。
  3. 105℃以上の条件下で高圧蒸気滅菌した後の水を対照として測定した時の波長450nmの透過率が55%以上であることを特徴とする請求項2に記載の透明耐熱容器。
  4. 50℃におけるn−ヘプタン抽出量が0.5重量%以下であること特徴とする請求項2又は3に記載の透明耐熱容器。
  5. 透明耐熱容器がブロー成形で得られる薬液充填用容器であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の透明耐熱容器。
  6. 透明耐熱容器がキット製剤容器であることを特徴とする請求項5に記載の透明耐熱容器
  7. 透明耐熱容器がプラスチックアンプルであることを特徴とする請求項5に記載の透明耐熱容器。
  8. 透明耐熱容器が点眼容器であることを特徴とする請求項5に記載の透明耐熱容器。
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