JP2006225604A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、成形加工時或いは燃焼時にハロゲン系ガスを発生せず、しかも高い機械的強度、柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性等の特性と難燃性特性を有する難燃性樹脂組成物を提供する。さらに詳しくは、自動車電線、電源コード及び機器電線等の被覆材料として有用な難燃性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記の(a)〜(f)の構成要素からなる樹脂(A)に対し、金属水酸化物(B)を配合して、難燃性樹脂組成物を得る。
(a)結晶性樹脂、(b)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、(c)弾性重合体、(d)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体、(e)エチレン−酢酸ビニル共重合体、(f)変性樹脂。
【選択図】 なし。
【解決手段】下記の(a)〜(f)の構成要素からなる樹脂(A)に対し、金属水酸化物(B)を配合して、難燃性樹脂組成物を得る。
(a)結晶性樹脂、(b)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、(c)弾性重合体、(d)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体、(e)エチレン−酢酸ビニル共重合体、(f)変性樹脂。
【選択図】 なし。
Description
本発明は、成形加工時或いは燃焼時にハロゲン系ガスが発生せず、しかも高い機械的強度、柔軟性及び難燃性を有する難燃性樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、自動車電線、電源コード及び機器電線等の被覆材料として有用な難燃性樹脂組成物に関するものである。
ケーブルシース、ワイヤーハーネス、家電製品及びその部品、自動車部品等に使用される材料には難燃性が求められている。
この難燃材料にポリオレフィン系樹脂を用いる場合、係る難燃性付与の方法として、従来、ポリオレフィン系樹脂にハロゲン含有物を配合して難燃化する方法が一般的に採用されていた。しかし、この方法は成形加工時或いは燃焼時にハロゲン化水素ガスが発生する問題があった。一方、ポリオレフィン系樹脂に金属水酸化物を配合し難燃化する方法も提案されている。しかし、この方法は、成形加工時或いは燃焼時にハロゲン化水素ガスの発生の問題は無いものの、金属水酸化物の配合により難燃材料の機械的強度が著しく損なわれる等の問題があった。
さらに、金属水酸化物配合によりポリオレフィン類を難燃化する方法は、得られた難燃性樹脂組成物が電線類に使用される場合、組成物に要求される機械的物性及び難燃性は用途によって様々に厳しく規定若しくは要求されており、これらの規定若しくは要求を押しなべて満足し得る組成物を得るのは困難であった。
それら規定等の例として、難燃性においては、自動車電線の場合は水平難燃性、電源コードの場合は60度傾斜難燃性及び機器電線の場合は垂直難燃性を満たすことが求められ、係る要求を満たすために金属水酸化物を配合すると、機械的強度、柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性等を満足することができないという相い反した問題があった。
この問題を解決するため多くの提案がある。例えば、エチレンと1−オクテンとを共重合して得られる直鎖状低密度ポリエチレンと他のポリオレフィン系樹脂とをベース樹脂とし、これに金属水酸化物を配合する難燃性樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)、極性基含有樹脂とオレフィン系重合体、天然或いは合成ゴム、熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも1種からなる樹脂混合物に、金属水酸化物を配合する難燃性樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)が開示されている。しかし、係る提案においても、上記問題を満足には解決されず、しかも用途によって異なる規定若しくは要求を押しなべて満足できるものではなかった。
特開2001−143532号公報 (第1頁)
特開2003−277633号公報 (第1頁)
本発明の目的は、成形加工時或いは燃焼時にハロゲン系ガスを発生せず、しかも高い機械的強度、柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性等の特性と難燃性特性を有する難燃性樹脂組成物を提供することにある、さらに詳しくは、自動車電線、電源コード及び機器電線等の被覆材料として有用な難燃性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の樹脂成分を構成要素とする樹脂に金属水酸化物を配合した難燃性樹脂組成物は、成形加工時或いは燃焼時にハロゲン系ガスを発生せず、且つ電線の被覆材料として要求される高い機械的強度、柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性等の特性と難燃性特性を合せ有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、下記の(a)〜(f)の構成要素からなる樹脂(A)100重量部に対し、金属水酸化物(B)を80〜300重量部配合したことを特徴とする難燃性樹脂組成物、及びそれを用いてなる電線に関するものである。
(a)下記の(a1)及び/又は(a2)の結晶性樹脂(以下、「結晶性樹脂(a)」と称す。):5〜50重量%、
(a1)ポリプロピレン樹脂
(a2)ポリプロピレン樹脂を除く、示差走査熱量測定で測定した溶融温度が120℃を越えるポリオレフィン系樹脂
(b)示差走査熱量測定で測定した溶融温度が120℃以下であり、かつ密度(JIS K6922−1(1998年版)に準拠し測定。)が0.920g/cm3以下である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下、「直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b)」と称す。):10〜65重量%、
(c)下記の(c1)及び/又は(c2)からなる弾性重合体(以下、「弾性重合体(c)」と称す。):5〜45重量%
(c1)エチレン−プロピレンゴム
(c2)エチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマー
(d)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(以下、「エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d)」と称す。):5〜30重量%、
(e)JIS K6924−1(1998年版)に準拠し測定した酢酸ビニル含有量が20〜45重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「エチレン−酢酸ビニル共重合体(e)」と称す。):5〜50重量%、
(f)下記の(f1)、(f2)、及び(f3)の群から選ばれる少なくとも1種以上の変性樹脂(以下、「変性樹脂(f)」と称す。):5〜30重量%
(f1):カルボン酸、その無水物、そのエステル、及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性ポリプロピレン樹脂
(f2):カルボン酸、その無水物、そのエステル、及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂
(f3):カルボン酸、その無水物、そのエステル、及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性エチレン−プロピレンゴム。
(a1)ポリプロピレン樹脂
(a2)ポリプロピレン樹脂を除く、示差走査熱量測定で測定した溶融温度が120℃を越えるポリオレフィン系樹脂
(b)示差走査熱量測定で測定した溶融温度が120℃以下であり、かつ密度(JIS K6922−1(1998年版)に準拠し測定。)が0.920g/cm3以下である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下、「直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b)」と称す。):10〜65重量%、
(c)下記の(c1)及び/又は(c2)からなる弾性重合体(以下、「弾性重合体(c)」と称す。):5〜45重量%
(c1)エチレン−プロピレンゴム
(c2)エチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマー
(d)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(以下、「エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d)」と称す。):5〜30重量%、
(e)JIS K6924−1(1998年版)に準拠し測定した酢酸ビニル含有量が20〜45重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「エチレン−酢酸ビニル共重合体(e)」と称す。):5〜50重量%、
(f)下記の(f1)、(f2)、及び(f3)の群から選ばれる少なくとも1種以上の変性樹脂(以下、「変性樹脂(f)」と称す。):5〜30重量%
(f1):カルボン酸、その無水物、そのエステル、及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性ポリプロピレン樹脂
(f2):カルボン酸、その無水物、そのエステル、及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂
(f3):カルボン酸、その無水物、そのエステル、及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性エチレン−プロピレンゴム。
本発明は、成形加工時或いは燃焼時にハロゲン系ガスを発生せず、しかも高い機械的強度、柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性等の特性と難燃性特性を合せ有する難燃性樹脂組成物を提供する。さらに詳しくは、自動車電線、電源コード及び機器電線等の被覆材料として有用な難燃性樹脂組成物を提供する。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の難燃性樹脂組成物を構成する樹脂(A)の構成要素(a)〜(f)と、その構成比率について述べる。
「結晶性樹脂(a)」
本発明で用いる樹脂(A)を構成する結晶性樹脂(a)は、下記の(a1)及び/又は(a2)からなる結晶性樹脂である。
(a1):ポリプロピレン樹脂、
(a2):ポリプロピレン樹脂を除く、示差走査熱量測定(以下、「DSC」と称す。)で測定した溶融温度が120℃を越えるポリオレフィン系樹脂。
本発明で用いる樹脂(A)を構成する結晶性樹脂(a)は、下記の(a1)及び/又は(a2)からなる結晶性樹脂である。
(a1):ポリプロピレン樹脂、
(a2):ポリプロピレン樹脂を除く、示差走査熱量測定(以下、「DSC」と称す。)で測定した溶融温度が120℃を越えるポリオレフィン系樹脂。
該結晶性樹脂(a)は本発明の難燃性樹脂組成物の機械的強度、耐摩耗性及び耐熱変形性等を向上させる。
該ポリプロピレン樹脂(a1)は、プロピレンを主体とする樹脂であれば特に限定はない。ポリプロピレン樹脂(a1)の例として、プロピレンの単独重合体であるホモポリマー;プロピレンとエチレン及びブテン、ヘキセン等の炭素数4以上のオレフィンモノマーの1種或いは2種以上とをランダムに共重合させたランダムコポリマー;ポリプロピレンのマトリックス中に、プロピレンとエチレン及びブテン、ヘキセン等の炭素数4以上のオレフィンモノマーの1種或いは2種以上とをランダムに共重合させたランダムコポリマーのドメインを有するブロックコポリマー等;若しくはこれらポリプロピレン樹脂の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。中でも、本発明の難燃性樹脂組成物が良好な柔軟性を有するためにはブロックコポリマーが好ましい。
さらに、ポリプロピレン樹脂(a1)は、本発明の難燃性樹脂組成物が良好な機械的強度及び、電線成形性を有するために、そのメルトフローレイト(JIS K6921−1(1998年版)に準拠、測定条件:温度230℃、荷重21.18N)が0.1〜10g/分であることが好ましい。
また、該ポリオレフィン系樹脂(a2)は本発明の難燃性樹脂組成物に上記の向上効果を付与するためにDSCで測定した溶融温度が120℃を越えるポリオレフィン系樹脂でなければならず、この条件を満たす限り、そのポリオレフィン系樹脂に特に限定はない。係るポリオレフィン系樹脂(a2)の例として、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。中でも難燃性樹脂組成物の柔軟性の面から直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
また、ポリオレフィン系樹脂(a2)が直鎖状低密度ポリエチレンである場合、本発明の難燃性樹脂組成物が良好な機械的強度、柔軟性、電線成形性を有するために、そのメルトフローレイト(JIS K6922−1(1998年版)に準拠、測定条件:温度190℃、荷重21.18N)は0.5〜10g/10分が好ましく、密度(JIS K6922−1(1998年版)に準拠)は0.940g/cm3以下が好ましく、0.920〜0.930g/cm3がさらに好ましい。
本発明における樹脂(A)において、結晶性樹脂(a)の構成比率は5〜50重量%である。構成比率が5重量%未満では、本発明の難燃性樹脂組成物の機械的強度、耐摩耗性、耐熱変形性が劣り、一方、50重量%より多いと該難燃性樹脂組成物の柔軟性が低下する。
「直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b)」
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b)は樹脂(A)における構成要素(a)、(c)、(d)、(e)及び(f)相互の相溶化を促進させ、本発明の難燃性樹脂組成物に柔軟性を向上させる。
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b)は樹脂(A)における構成要素(a)、(c)、(d)、(e)及び(f)相互の相溶化を促進させ、本発明の難燃性樹脂組成物に柔軟性を向上させる。
該直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b)は、前述のポリオレフィン系樹脂(a2)とは異なり、DSCで測定した溶融温度が120℃以下であり、かつ密度(JIS K6922−1(1998年版)に準拠し測定。)が0.920g/cm3以下である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂である。即ち、係る直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b)において、その溶融温度及び密度条件は同時に満足されなければならない、この条件が満足されないと本発明の難燃性樹脂組成物の柔軟性が所望の値より低下し過ぎる結果となる。なお、係る溶融温度及び密度条件は、好ましくは溶融温度110℃以下かつ密度0.910g/cm3以下であり、さらに好ましく溶融温度100℃以下かつ密度0.905g/cm3以下である。
また、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b)は、本発明の難燃性樹脂組成物が良好な機械的強度、電線の成形性を得るために、そのメルトフローレイト(JIS K6924−1(1998年版)に準拠、測定条件:温度190℃、荷重21.18N)が0.1〜10g/10分の範囲であることが好ましい。
本発明における樹脂(A)において、直鎖状低密度ポリエチレン(b)の構成比率は、10〜65重量%である。構成比率が10重量%未満では構成要素(a)、(c)、(d)(e)及び(f)相互の相溶化が不足し、本発明の難燃性樹脂組成物の柔軟性が低下し、一方、65重量%より多いと該難燃性樹脂組成物の機械的強度が低下する。
「弾性重合体(c)」
本発明で用いる樹脂(A)を構成する弾性重合体(c)は下記の(c1)及び/又は(c2)のからなる弾性重合体である。
(c1)エチレン−プロピレンゴム
(c2)エチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマー
該弾性重合体(c)は本発明の難燃性樹脂組成物の柔軟性を向上させる。
本発明で用いる樹脂(A)を構成する弾性重合体(c)は下記の(c1)及び/又は(c2)のからなる弾性重合体である。
(c1)エチレン−プロピレンゴム
(c2)エチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマー
該弾性重合体(c)は本発明の難燃性樹脂組成物の柔軟性を向上させる。
該エチレン−プロピレンゴム(c1)は、エチレンとプロピレンとからなるランダム二元共重合ゴム;エチレン、プロピレンとジエン成分とからなるランダム多元共重合ゴム;若しくはそれらの混合物であるエチレン−プロピレンゴムであれば特に限定はない。また、このようなエチレン−プロピレンゴムである限り、ナフテン系、パラフィン系等の鉱物油系伸展油が添加されていっても差し支えない。
なお、通常、エチレン−プロピレンゴムと称されるものはエチレン含有量40〜80重量%、プロピレン含有量60〜20重量%、ジエン成分含有量0〜20重量%からなるものが一般的であるが、本発明において用いるエチレン−プロピレンゴム(c1)は、エチレン含有量が65重量%以上のものが、樹脂(A)の他の構成要素(a)、(b)、(d)、(e)及び(f)との相溶化を促進させ、本発明の難燃性樹脂組成物の柔軟性を高くすることから好ましく、また、ジエン成分含有量が10重量%以下のものが、本発明の難燃性組成物の長期熱安定性を向上することから好ましい。さらに、ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1、4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン等を1種以上用いるものが一般的であるが、中でもエチリデンノルボルネン単独、或いはエチリデンノルボルネンとジシクロペンタジエンの併用するものは、工業的に入手が容易なため好ましい。
該エチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマー(c2)は、エチレン−α−オレフィン系共重合体(1)と結晶性ポリエチレン系樹脂(2)を含有し、かつエチレン−α−オレフィン系共重合体(1)からなるマトリックス中に結晶性ポリエチレン系樹脂(2)のオレフィン結晶が三次元網目構造を構成しているもの;エチレン−α−オレフィン系共重合体(1)と結晶性ポリエチレン系樹脂(2)に加えさらにブロック共重合体(3)を含有し、かつエチレン−α−オレフィン系共重合体(1)からなるマトリックス中に、結晶性ポリエチレン系樹脂(2)のオレフィン結晶と、ブロック共重合体(3)の結晶性のエチレン系ブロックとが高次の三次元網目構造を構成しているもの;若しくはそれらの混合物であるエチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマーであれば特に限定はない。さらに、この様なエチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマーであれば、ナフテン系、パラフィン系等の鉱物油系伸展油が添加されていても差し支えない。
係るエチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマー(c2)の好ましい例示として、国際公開番号WO01/064784号パンフレットで開示されている熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
なお、上記のエチレン−α−オレフィン系共重合体(1)は特に限定はなく、例えばエチレンとエチレンを除くモノエン類のオレフィンとを主成分とする二元共重合体、エチレンとエチレンを除くモノエン類のオレフィンと非共役ジエン成分とを主成分とする三元共重合体等が挙げられる。ここで、エチレンを除くモノエン類のオレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が例示され、非共役ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1、4−ヘキサジエン等が例示される。中でもエチレン−α−オレフィン系共重合体(1)として、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン三元共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ブテン−1−エチリデンノルボルネン三元共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−オクテン−エチリデンノルボルネン三元共重合体等が好ましく用いられる。
また、上記結晶性ポリエチレン系樹脂(2)は、エチレン含有量が90モル%以上である結晶性のエチレン系重合体であれば特に限定はなく、例えばエチレン単独重合体、エチレン含有量が90モル%以上であり、プロピレン、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の炭素数が3〜8等のα−オレフィンとの共重合体等を挙げることができる。
さらに、上記ブロック共重合体(3)は、結晶性のエチレン系ブロックと非晶性のブロックとからなり、かつ係る結晶性のエチレン系ブロックは上記の結晶性ポリエチレン系樹脂(2)とともに高次のオレフィン結晶を構成し、係る非晶性ブロックはエチレン−α−オレフィン系共重合体(1)により多く相溶しているブロック共重合体であれば特に限定はなく、例えば、結晶性エチレン−(エチレン・ブチレン)−結晶性エチレンブロック共重合体等が挙げられる。
本発明における樹脂(A)において、弾性重合体(c)の構成比率は、5〜45重量%である。構成比率が5重量%未満では本発明の難燃性樹脂組成物の柔軟性が低下し、一方、45重量%より多いと該難燃性樹脂組成物の機械的強度が低下する。
「(d)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体」
本発明で用いる樹脂(A)を構成するエチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d)は、下記一般式(1)式で示される繰返し単位からなる共重合体である。
本発明で用いる樹脂(A)を構成するエチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d)は、下記一般式(1)式で示される繰返し単位からなる共重合体である。
(1)式において、l+m+n=1であり、R1は炭素数1〜10の炭化水素基である。本発明の難燃性樹脂組成物が良好な機械的強度及び難燃性を有するために、l、m及びnは、l=0.60〜0.95、m=0.01〜0.39、n=0.01〜0.40であることが好ましい。
該エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d)は本発明の難燃性樹脂組成物の難燃性を向上させる。
エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d)の製法は特に限定はない。例えば、エチレン、脂肪酸ビニルエステル、及びビニルアルコールの各モノマーを共重合する方法、エチレン−脂肪酸ビニル共重合樹脂を鹸化する方法等が挙げられる。中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の鹸化物は工業的に入手が容易なため好ましい。
本発明における樹脂(A)において、エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d)の構成比率は5〜30重量%である。構成比率が5重量%より少ないと本発明の難燃性樹脂組成物の難燃性が劣り、一方、30重量%より多いと該難燃性樹脂組成物の機械的強度、耐傷付き性が劣る。
「(e)エチレン−酢酸ビニル共重合体」
本発明で用いる樹脂(A)を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体(e)はJIS K6924−1(1998年版)に準拠し測定した酢酸ビニル含有量が20〜45重量%、好ましくは20〜42重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体であれば特に限定はない。
本発明で用いる樹脂(A)を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体(e)はJIS K6924−1(1998年版)に準拠し測定した酢酸ビニル含有量が20〜45重量%、好ましくは20〜42重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体であれば特に限定はない。
該エチレン−酢酸ビニル共重合体(e)は本発明の難燃性樹脂組成物の柔軟性と難燃性を向上させる。
該エチレン−酢酸ビニル共重合体(e)の酢酸ビニル含有量が20重量%より小さいと、難燃性樹脂組成物の柔軟性、難燃性に劣り、一方、酢酸ビニル含有量が45重量%より大きいと、難燃性樹脂組成物の機械的強度が低下する。
また、該エチレン−酢酸ビニル共重合体(e)は、良好な難燃性樹脂組成物の機械的強度、電線の成形性を得るために、そのメルトフローレイト(JIS K6924−1(1998年版)に準拠、測定条件:温度190℃、荷重21.18N)が0.1〜10g/10分の範囲であることが好ましい。
本発明における樹脂(A)において、エチレン−酢酸ビニル共重合体(e)の構成比率は、5〜50重量%である。構成比率が5重量%より少ないと本発明の難燃性樹脂組成物の難燃性が劣り、一方50重量%より多いと該難燃性樹脂組成物の機械的強度、耐摩耗性、耐傷付き性が劣る。
「(f)変性樹脂」
本発明で用いる樹脂(A)を構成する変性樹脂(f)は下記の(f1)、(f2)、及び(f3)の群から選ばれる少なくとも1種以上の変性樹脂である。なお、変性樹脂(f)として、(f1)、(f2)及び(f3)を、それぞれ単独で、若しくは2種以上を混合して用いることもできる。
(f1):カルボン酸、その無水物、そのエステル、及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性ポリプロピレン樹脂。
(f2):カルボン酸、その無水物、そのエステル、及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂。
(f3):カルボン酸、その無水物、そのエステル、及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性エチレン−プロピレンゴム。
本発明で用いる樹脂(A)を構成する変性樹脂(f)は下記の(f1)、(f2)、及び(f3)の群から選ばれる少なくとも1種以上の変性樹脂である。なお、変性樹脂(f)として、(f1)、(f2)及び(f3)を、それぞれ単独で、若しくは2種以上を混合して用いることもできる。
(f1):カルボン酸、その無水物、そのエステル、及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性ポリプロピレン樹脂。
(f2):カルボン酸、その無水物、そのエステル、及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂。
(f3):カルボン酸、その無水物、そのエステル、及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性エチレン−プロピレンゴム。
該変性樹脂(f)は本発明の難燃性樹脂組成物の機械的強度、耐摩耗性及び耐傷付き性等を向上させる。
係る、変性ポリプロピレン樹脂(f1)は、前述のポリプロピレン樹脂(a1)で述べたポリプロピレン樹脂を、カルボン酸、その無水物、そのエステル、及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性した変性ポリプロピレン樹脂であれば特に限定はない。さらに、本発明の難燃性樹脂組成物が良好な機械的強度、電線の成形性を有するめに、変性ポリプロピレン樹脂(f1)のメルトフローレイト(JIS K6921−1(1998年版)に準拠、測定条件:温度230℃、荷重21.18N)は0.1〜30g/分の範囲のものが好ましい。
また、係る変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(f2)は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を、カルボン酸、その無水物、そのエステル及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性した変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であれば特に限定はない。さらに、本発明の難燃性樹脂組成物が良好な機械的強度、電線の成形性を有するために、変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(f2)のメルトフローレイト(JIS K6922−1(1998年版)に準拠、測定条件:温度190℃、荷重21.18N)は0.5〜30g/10分、及び密度(JIS K6922−1(1998年版)に準拠)は0.940g/cm3以下が好ましい。
さらに、係る変性エチレン−プロピレンゴム(f3)は、エチレン−プロピレンゴム(c1)で述べたエチレン−プロピレンゴムを、カルボン酸、その無水物、そのエステル、及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性した変性エチレン−プロピレンゴムであれば特に限定はない。
本発明における樹脂(A)において、変性樹脂(f)の構成比率は、5〜30重量%である。構成比率が5重量%より少ないと本発明の難燃性樹脂組成物の機械的強度、耐摩耗性、耐傷付き性が劣り、一方30重量%より多いと該難燃性樹脂組成物の柔軟性が劣る。
次に、樹脂(A)に配合する金属水酸化物(B)、及びその配合比について述べる。
本発明で用いられる金属水酸化物(B)は金属水酸化物であれば特に限定はない。例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト類、カルシウム・アルミネート水和物、下記一般式(2)
Mg1−xMx(OH)2 (2)
(ここでMはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Znから選ばれる1種以上の元素であり、Xは0より大きく0.1以下の値である)で示される複合水酸化マグネシウム等、及びこれらの少なくとも1種若しくは2種以上を含む金属水酸化物混合物が挙げられる。なお、ここで言う複合水酸化マグネシウムとは、水酸化マグネシウムとマグネシウム以外の2価金属元素Mの水酸化物との固溶体を言う。
(ここでMはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Znから選ばれる1種以上の元素であり、Xは0より大きく0.1以下の値である)で示される複合水酸化マグネシウム等、及びこれらの少なくとも1種若しくは2種以上を含む金属水酸化物混合物が挙げられる。なお、ここで言う複合水酸化マグネシウムとは、水酸化マグネシウムとマグネシウム以外の2価金属元素Mの水酸化物との固溶体を言う。
金属水酸化物(B)は、金属水酸化物が高い分解温度を有し、得られる難燃性樹脂組成物が良好な難燃性を有することから、好ましくは、水酸化マグネシウム、及び/又は複合水酸化マグネシウムである。
本発明の金属水酸化物(B)は、その表面が被覆処理されているもの、若しくはされていないもののいずれも用いることができ、表面が被覆処理されているものを用いるのが好ましくい。
表面が被覆処理される場合の、表面被覆処理剤は特に限定はない。例えば、高級脂肪酸(例えば、ステアリン酸、オレイン酸等)、及びそのアルカリ金属塩、アニオン系界面活性剤(例えば、高級アルコールの硫酸エステル等)、リン酸エステル(例えば、オルトリン酸と高級アルコールのエステル類等)、シラン系カップリング剤(例えば、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等)、チタネート系カップリング剤(例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等)、アルミニウム系カップリング剤(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等)、多価アルコールと脂肪酸のエステル類(グリセリンモノステアレート等)等が挙げられる。これら表面処理剤の中で、難燃性樹脂組成物の機械的強度、耐摩耗性、耐傷付き性の面からシラン系カップリング剤が好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物において金属水酸化物(B)の配合量は樹脂(A)100重量部に対し金属水酸化物(B)を80〜300重量部である。金属水酸化物(B)の配合量が80重量部より少ないと所望の難燃性を有する難燃性樹脂組成物を得ることできず、一方300重量部より多いと所望の柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性を得ることできない。
なお、金属水酸化物(B)の配合量は上記範囲内であれば特に限定はなく、中でも80〜150重量部配合の難燃性樹脂組成物は自動車電線用途に好適であり、150〜225重量部配合の難燃性樹脂組成物は電源コード用途に好適であり、並びに225〜300重量部配合の難燃性樹脂組成物は機器電線用途に好適である。
なお、金属水酸化物(B)の配合量が80〜150重量部の場合は、樹脂(A)の構成要素(a)〜(f)が下記の構成比率を有することがさらに好適である。
結晶性樹脂(a):25〜50重量%、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b):10〜50重量%、
弾性重合体(c):5〜20重量%、
エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d):5〜30重量%、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(e):5〜30重量%、
変性樹脂(f):10〜30重量%。
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b):10〜50重量%、
弾性重合体(c):5〜20重量%、
エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d):5〜30重量%、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(e):5〜30重量%、
変性樹脂(f):10〜30重量%。
また、金属水酸化物(B)の配合量が150〜225重量部の場合は、樹脂(A)の構成要素(a)〜(f)が下記の構成比率を有することがさらに好適である。
結晶性樹脂(a):5〜30重量%、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b):30〜65重量%、
弾性重合体(c):10〜40重量%、
エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d):5〜30重量%、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(e):10〜40重量%、
変性樹脂(f):5〜20重量%。
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b):30〜65重量%、
弾性重合体(c):10〜40重量%、
エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d):5〜30重量%、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(e):10〜40重量%、
変性樹脂(f):5〜20重量%。
さらに、金属水酸化物(B)の配合量が225〜300重量部の場合は、樹脂(A)の構成要素(a)〜(f)が下記の構成比率を有することがさらに好適である。
結晶性樹脂(a):5〜20重量%、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b):10〜35重量%、
弾性重合体(c):20〜45重量%、
エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d):5〜30重量%、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(e):20〜50重量%、
変性樹脂(f):5〜20重量%。
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b):10〜35重量%、
弾性重合体(c):20〜45重量%、
エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d):5〜30重量%、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(e):20〜50重量%、
変性樹脂(f):5〜20重量%。
本発明の難燃性樹脂組成物を製造する方法は特に限定はない。具体例として、樹脂(A)の構成要素(a)〜(f)、並びに金属水酸化物(B)を、押出機、ニーダ、バンバリーミキサー、ロール等を用いて混練する。なお、係る混練においては、一時に混練機に投入して混練しても、逐次投入して混練しても、いずれでも構わない。
また、本発明では、本発明の趣旨を損なわない限りにおいて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、充填剤、架橋剤、架橋助剤、他の難燃剤等の、他の副資材や添加剤を併用してもよい。
更には、本発明の難燃性樹脂組成物は、成形後に架橋してもよい。その方法としては、有機過酸化物やアゾ化合物の熱分解によって生成するラジカルを利用する化学架橋、電子線等の電離放射線を照射する電離放射線架橋、有機シラン化合物を用いるシラン架橋等が例示される。
本発明の難燃性樹脂組成物は、高い機械的強度、柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性等の特性と難燃性特性が必要とされる用途、例えばケーブルシース、ワイヤーハーネス、家電製品及びその部品、自動車及びその部品等に使用され、特に自動車電線、電源コード及び機器電線等の電線被覆材に好適に使用される。
次に、本発明を実施例及び比較例によって説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において、樹脂(A)の構成要素(a)〜(f)、及び金属水酸化物(B)として以下のものを用いた。
「樹脂(A)の構成要素(a)〜(f)」
(a1−1)ポリプロピレン樹脂(出光石油化学(株)製 商品名「IDEMITSU PP E250G」、メルトフローレイト=1g/10分)
(a2−1)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンL F15R」、DSCで測定した溶融温度=124℃、密度=0.925、メルトフローレイト=0.8g/10分)
(a2−2)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンZ 7P08B」、DSCで測定した溶融温度=117℃、密度=0.925、メルトフローレイト=2.0g/10分)
(b−1)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンZ 7P04B」、DSCで測定した溶融温度=95℃、密度=0.900、メルトフローレイト=2g/10分)
(b−2)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンZ 1P53A」、DSCで測定した溶融温度=82℃、密度=0.890、メルトフローレイト=2g/10分)
(b−3)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンZ ZF231」、DSCで測定した溶融温度=122℃、密度=0.917、メルトフローレイト=2g/10分)
(b−4)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンZ 0P54A」、DSCで測定した溶融温度=117℃、密度=0.925、メルトフローレイト=4g/10分)
(c1−1)エチレン−プロピレンゴム(JSR(株)製、商品名「EP961SP」、エチレン含有量=74%)
(c2−1)エチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマー(JSR(株)製、商品名「EXCELINK3700N」)
(d−1)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(東ソー(株)製、商品名「メルセンH6820」、l=0.817、m=0.021、n=0.162)
(d−2)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(東ソー(株)製、商品名「メルセンH6410」、l=0.851、m=0.065、n=0.084)
(e−1)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセンYX13A」、酢酸ビニル含有量=32%、メルトフローレイト=1g/10分)
(e−2)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン627」、酢酸ビニル含有量=20%、メルトフローレイト=0.8g/10分)
(e−3)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセンYX21」、酢酸ビニル含有量=41%、メルトフローレイト=0.4g/10分)
(e−4)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン626」、酢酸ビニル含有量=15%、メルトフローレイト=3g/10分)
(f1−1)無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(日本ポリオレフィン(株)製、商品名「アドテックスER320P」、メルトフローレイト=20g/10分)
(f2−1)無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(三井化学(株)製、商品名「アドマーXE070」、メルトフローレイト=3g/10分、密度=0.89)
(f3−1)無水マレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム(JSR(株)製、商品名「T7761P」)
(a1−1)ポリプロピレン樹脂(出光石油化学(株)製 商品名「IDEMITSU PP E250G」、メルトフローレイト=1g/10分)
(a2−1)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンL F15R」、DSCで測定した溶融温度=124℃、密度=0.925、メルトフローレイト=0.8g/10分)
(a2−2)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンZ 7P08B」、DSCで測定した溶融温度=117℃、密度=0.925、メルトフローレイト=2.0g/10分)
(b−1)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンZ 7P04B」、DSCで測定した溶融温度=95℃、密度=0.900、メルトフローレイト=2g/10分)
(b−2)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンZ 1P53A」、DSCで測定した溶融温度=82℃、密度=0.890、メルトフローレイト=2g/10分)
(b−3)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンZ ZF231」、DSCで測定した溶融温度=122℃、密度=0.917、メルトフローレイト=2g/10分)
(b−4)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンZ 0P54A」、DSCで測定した溶融温度=117℃、密度=0.925、メルトフローレイト=4g/10分)
(c1−1)エチレン−プロピレンゴム(JSR(株)製、商品名「EP961SP」、エチレン含有量=74%)
(c2−1)エチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマー(JSR(株)製、商品名「EXCELINK3700N」)
(d−1)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(東ソー(株)製、商品名「メルセンH6820」、l=0.817、m=0.021、n=0.162)
(d−2)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(東ソー(株)製、商品名「メルセンH6410」、l=0.851、m=0.065、n=0.084)
(e−1)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセンYX13A」、酢酸ビニル含有量=32%、メルトフローレイト=1g/10分)
(e−2)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン627」、酢酸ビニル含有量=20%、メルトフローレイト=0.8g/10分)
(e−3)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセンYX21」、酢酸ビニル含有量=41%、メルトフローレイト=0.4g/10分)
(e−4)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン626」、酢酸ビニル含有量=15%、メルトフローレイト=3g/10分)
(f1−1)無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(日本ポリオレフィン(株)製、商品名「アドテックスER320P」、メルトフローレイト=20g/10分)
(f2−1)無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(三井化学(株)製、商品名「アドマーXE070」、メルトフローレイト=3g/10分、密度=0.89)
(f3−1)無水マレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム(JSR(株)製、商品名「T7761P」)
金属水酸化物(B)として以下のものを用いた。
(B−1)水酸化マグネシウム1(ティーエムジー(株))製、商品名「ファインマグMO−E」、シランカップリング処理をしたもの)
(B−2)複合水酸化マグネシウム1(ティーエムジー(株)製、商品名「ファインマグSN−E」、Ni固溶体の複合金属水酸化マグネシウム Mg0.98Ni0.02(OH)2であり、シランカップリング処理をしたもの)
各評価は次のに様に行った。
(B−1)水酸化マグネシウム1(ティーエムジー(株))製、商品名「ファインマグMO−E」、シランカップリング処理をしたもの)
(B−2)複合水酸化マグネシウム1(ティーエムジー(株)製、商品名「ファインマグSN−E」、Ni固溶体の複合金属水酸化マグネシウム Mg0.98Ni0.02(OH)2であり、シランカップリング処理をしたもの)
各評価は次のに様に行った。
「示差走査熱量測定(DSC)」
示差走査熱量装置(パーキンエルマー社製、商品名「DSC−7」)を用いて測定を行った。5〜10mgの試料をアルミニウム製サンプルパンに挿填し、示差走査熱量装置に設置した後、80℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、230℃で3分間保持した。その後10℃/分の降温速度で−10℃まで冷却し、再度、10℃/分の昇温速度で−10℃から230℃まで昇温する降温/昇温操作を行い、2回目の昇温時に観測される吸熱曲線のピークを溶融温度とした。
示差走査熱量装置(パーキンエルマー社製、商品名「DSC−7」)を用いて測定を行った。5〜10mgの試料をアルミニウム製サンプルパンに挿填し、示差走査熱量装置に設置した後、80℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、230℃で3分間保持した。その後10℃/分の降温速度で−10℃まで冷却し、再度、10℃/分の昇温速度で−10℃から230℃まで昇温する降温/昇温操作を行い、2回目の昇温時に観測される吸熱曲線のピークを溶融温度とした。
「引張試験」
引張試験用の試料をJIS K6251の3号型ダンベルで打ち抜いた後、装置名テンシロンUTM−2.5TPL(東洋ボールドウィン社製)を用いて、200mm/分にて引張試験を行い、自動車電線被覆材料の評価ではJASO D611に基づき、引張強度が15.7MPa以上で、引張伸びが125%以上であるものを合格とし、電源コード被覆材料の評価ではJIS C3306の二種ビニルコードの規格に基づき、引張強度が10MPa以上で、引張伸びが120%以上であるものを合格とし、機器電線被覆材料の評価ではUL subject758に基づき、引張強度10MPa以上で、引張伸び100%以上を合格とした。尚、引張伸び率は、組成物の柔軟性の表わすものとし、高い数値のものほど柔軟性に優れ、また引張伸びから以下の様にランク分けをし、その優劣を判断した。
(引張伸びのランク)
BEST :伸びが300%以上で最も良い、
BETTER:伸びが200%以上300%未満でかなり良い、
GOOD :伸びが各規格値以上200%未満で良い、
POOR :伸びが各規格値未満で悪い。
引張試験用の試料をJIS K6251の3号型ダンベルで打ち抜いた後、装置名テンシロンUTM−2.5TPL(東洋ボールドウィン社製)を用いて、200mm/分にて引張試験を行い、自動車電線被覆材料の評価ではJASO D611に基づき、引張強度が15.7MPa以上で、引張伸びが125%以上であるものを合格とし、電源コード被覆材料の評価ではJIS C3306の二種ビニルコードの規格に基づき、引張強度が10MPa以上で、引張伸びが120%以上であるものを合格とし、機器電線被覆材料の評価ではUL subject758に基づき、引張強度10MPa以上で、引張伸び100%以上を合格とした。尚、引張伸び率は、組成物の柔軟性の表わすものとし、高い数値のものほど柔軟性に優れ、また引張伸びから以下の様にランク分けをし、その優劣を判断した。
(引張伸びのランク)
BEST :伸びが300%以上で最も良い、
BETTER:伸びが200%以上300%未満でかなり良い、
GOOD :伸びが各規格値以上200%未満で良い、
POOR :伸びが各規格値未満で悪い。
「燃焼試験」
「JASO D611燃焼試験」
自動車電線被覆材料の難燃性評価として行った。JASO D611に準じて、5本の試料で試験を行った。なお難燃性の判定はJASO D611に準じて行い、各試料の燃焼時間が15秒以内であるものを合格とした。
「JIS C3005の60度傾斜燃焼試験」
電源コード被覆材料の難燃性評価として行った。JIS C3005に準じて、5本の試料で試験を行った。なお難燃性の判定はJIS C3306に準じて行い、各試料の燃焼時間が60秒以内であるものを合格とした。
「VW−1燃焼試験」
機器電線被覆材料の難燃性評価として行った。UL−1581に準じて、5本の試料で試験を行った。なお難燃性の判定はUL−1581に準じて行い、各試料の燃焼時間が60秒以内であり、かつクラフト紙が燃焼による損傷のないものを合格とした。
「JASO D611燃焼試験」
自動車電線被覆材料の難燃性評価として行った。JASO D611に準じて、5本の試料で試験を行った。なお難燃性の判定はJASO D611に準じて行い、各試料の燃焼時間が15秒以内であるものを合格とした。
「JIS C3005の60度傾斜燃焼試験」
電源コード被覆材料の難燃性評価として行った。JIS C3005に準じて、5本の試料で試験を行った。なお難燃性の判定はJIS C3306に準じて行い、各試料の燃焼時間が60秒以内であるものを合格とした。
「VW−1燃焼試験」
機器電線被覆材料の難燃性評価として行った。UL−1581に準じて、5本の試料で試験を行った。なお難燃性の判定はUL−1581に準じて行い、各試料の燃焼時間が60秒以内であり、かつクラフト紙が燃焼による損傷のないものを合格とした。
「耐摩耗性試験」
自動車電線被覆材料の評価として行った。JASO D611のブレード往復法に準じ、ブレードにかかる荷重を7Nとして行った。摩耗抵抗の基準を200回とし、200回以上のものを合格とした。
自動車電線被覆材料の評価として行った。JASO D611のブレード往復法に準じ、ブレードにかかる荷重を7Nとして行った。摩耗抵抗の基準を200回とし、200回以上のものを合格とした。
「耐傷付き性試験」
電源コード被覆材料の評価として行った。JASO D611のブレード往復法に用いる試験機で行った。ブレードとして、先端径0.225mmのベニヤ板製のものを作製し、これを試験機に装着した。ブレードにかかる荷重を7Nとし、ブレードを20回往復させ、被覆材料の損傷の程度を以下の様に分類した。またA、B、Cを合格とし、Dは不合格とした。
(損傷の分類)
A:僅かな擦れ傷が認められる、
B:損傷が認められるが小さい(損傷の深さが被覆厚みの1/3より小さい)、
C:損傷が少し大きい(損傷の深さが被覆厚みの1/3から1/2である)、
D:損傷が極めて大きい(損傷の深さが被覆厚みの1/2より大きい)。
電源コード被覆材料の評価として行った。JASO D611のブレード往復法に用いる試験機で行った。ブレードとして、先端径0.225mmのベニヤ板製のものを作製し、これを試験機に装着した。ブレードにかかる荷重を7Nとし、ブレードを20回往復させ、被覆材料の損傷の程度を以下の様に分類した。またA、B、Cを合格とし、Dは不合格とした。
(損傷の分類)
A:僅かな擦れ傷が認められる、
B:損傷が認められるが小さい(損傷の深さが被覆厚みの1/3より小さい)、
C:損傷が少し大きい(損傷の深さが被覆厚みの1/3から1/2である)、
D:損傷が極めて大きい(損傷の深さが被覆厚みの1/2より大きい)。
「耐熱変形性試験」
JIS K6251の3号型ダンベルで打ち抜いた試験片の平行部に20mmの標線を入れ、それを120℃に加熱したギヤーオーブンに吊るし、1日間加熱した。加熱後試験片を48時間以上室温で冷却し、標線間の距離を測定した。20mmの標線間距離に変化がなかったものを合格とし、20mmを越えて標線距離が長くなったものを不合格とした。
JIS K6251の3号型ダンベルで打ち抜いた試験片の平行部に20mmの標線を入れ、それを120℃に加熱したギヤーオーブンに吊るし、1日間加熱した。加熱後試験片を48時間以上室温で冷却し、標線間の距離を測定した。20mmの標線間距離に変化がなかったものを合格とし、20mmを越えて標線距離が長くなったものを不合格とした。
実施例1
(a1−1)ポリプロピレン樹脂が25重量%、(b−1)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が25重量%、(c1−1)エチレン−プロピレンゴムが10重量%、(d−1)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体が5重量%、(e−1)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が20重量%、(f2−1)無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が15重量%からなる樹脂(A)100重量部と、(B−1)水酸化マグネシウム1が100重量部からなる配合成分を用い(樹脂(A)の各構成要素の配合率を表1に示す。)、各成分を180℃に加熱した加圧ニーダに投入し、10分間混練した。混練物をロールで圧延しシート状にし、これをシートペレタイザーで裁断して、ペレット状の組成物を調製した。このペレット状の組成物を電線成形用のダイを装着した20mm単軸押出機に投入し、素線径が0.26mm、素線数7本の撚り銅線に0.5mmの厚みで組成物を被覆し、電線を成形した。成形温度は200℃で行った。この電線で、JASO D611燃焼試験、耐摩耗性試験を行った。また前記シート状の組成物を180℃に加熱したプレス成形機で5分間プレスし、厚み1mmのシートを成形した。この1mmのシートで引張試験、耐熱変形性試験を行った。その評価結果を表1に併せて示した。
(a1−1)ポリプロピレン樹脂が25重量%、(b−1)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が25重量%、(c1−1)エチレン−プロピレンゴムが10重量%、(d−1)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体が5重量%、(e−1)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が20重量%、(f2−1)無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が15重量%からなる樹脂(A)100重量部と、(B−1)水酸化マグネシウム1が100重量部からなる配合成分を用い(樹脂(A)の各構成要素の配合率を表1に示す。)、各成分を180℃に加熱した加圧ニーダに投入し、10分間混練した。混練物をロールで圧延しシート状にし、これをシートペレタイザーで裁断して、ペレット状の組成物を調製した。このペレット状の組成物を電線成形用のダイを装着した20mm単軸押出機に投入し、素線径が0.26mm、素線数7本の撚り銅線に0.5mmの厚みで組成物を被覆し、電線を成形した。成形温度は200℃で行った。この電線で、JASO D611燃焼試験、耐摩耗性試験を行った。また前記シート状の組成物を180℃に加熱したプレス成形機で5分間プレスし、厚み1mmのシートを成形した。この1mmのシートで引張試験、耐熱変形性試験を行った。その評価結果を表1に併せて示した。
表1から明らかな様に、実施例1の難燃性樹脂組成物は、引張強度、引張伸びは共にJASO D611で判定し合格であり、JASO D611燃焼試験も合格であり、摩耗抵抗もJASO D611で判定し合格であり、また耐熱変形性試験も合格であった。
実施例2〜8
構成要素(a)〜(f)からなる樹脂(A)に金属水酸化物(B)を配合して難燃性樹脂組成物を作製し、評価した。樹脂(A)の各構成要素の配合率及び金属水酸化物(B)の配合量を表1に示す。
構成要素(a)〜(f)からなる樹脂(A)に金属水酸化物(B)を配合して難燃性樹脂組成物を作製し、評価した。樹脂(A)の各構成要素の配合率及び金属水酸化物(B)の配合量を表1に示す。
実施例1と同様の方法でペレット状の組成物並びに1mmシートを作成し、実施例1と同様の方法で評価した。引張強度、引張伸びは共にJASO D611で判定し合格であり、JASO D611燃焼試験も合格であり、摩耗抵抗もJASO D611で判定し合格であり、また耐熱変形性試験も合格であった。その評価結果を表1に併せて示した。
実施例9
(a2−1)DSCで測定した溶融温度124℃の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が5重量%、(b−2)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が55重量%、(c2−1)エチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマ−が10重量%、(d−1)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体が5重量%、(e−1)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が20重量%、(f2−1)無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が5重量%からなる樹脂(A)100重量部と、(B−1)水酸化マグネシウム1が150重量部からなる配合成分を用い(樹脂(A)の各構成要素の配合率を表2に示す。)、実施例1と同様の方法でペレット状の組成物並びに1mmシートを作成した。
(a2−1)DSCで測定した溶融温度124℃の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が5重量%、(b−2)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が55重量%、(c2−1)エチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマ−が10重量%、(d−1)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体が5重量%、(e−1)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が20重量%、(f2−1)無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が5重量%からなる樹脂(A)100重量部と、(B−1)水酸化マグネシウム1が150重量部からなる配合成分を用い(樹脂(A)の各構成要素の配合率を表2に示す。)、実施例1と同様の方法でペレット状の組成物並びに1mmシートを作成した。
ペレット状の組成物については、素線系が0.18mm、素線数20本の撚り銅線に0.8mmの厚みで組成物を被覆して電線を成形し、JIS C3005の60度傾斜燃焼試験、耐傷付き性試験を行った。また1mmシートについては、引張試験、耐熱変形性試験を行った。その評価結果を表2に併せて示した。
表2から明らかな様に、実施例9の難燃性樹脂組成物は、引張強度、引張伸びは共にJIS C3306で判定し合格であり、またJIS C3005の60度傾斜燃焼試験もJIS C3306で判定し合格であり、耐傷付き性も損傷の分類から判断し合格であり、また耐熱変形性も合格であった。
実施例10〜18
構成要素(a)〜(f)からなる樹脂(A)に金属水酸化物(B)を配合して難燃性樹脂組成物を作製し、評価した。樹脂(A)の各構成要素の配合率及び金属水酸化物(B)の配合量を表2に示す。
構成要素(a)〜(f)からなる樹脂(A)に金属水酸化物(B)を配合して難燃性樹脂組成物を作製し、評価した。樹脂(A)の各構成要素の配合率及び金属水酸化物(B)の配合量を表2に示す。
実施例1と同様の方法でペレット状の組成物並びに1mmシートを作成し、実施例9と同様の方法で評価した。引張強度、引張伸びは共にJIS C3306で判定し合格であり、またJIS C3005の60度傾斜燃焼試験もJIS C3306で判定し合格であり、耐傷付き性も損傷の分類から判断し合格であり、また耐熱変形性も合格であった。その評価結果を表2に併せて示した。
実施例19
(a2−1)DSCで測定した溶融温度124℃の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が5重量%、(b−2)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が15重量%、(c2−1)エチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマ−が30重量%、(d−1)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体が5重量%、(e−1)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が40重量%、(f2−1)無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が5重量%からなる樹脂(A)100重量部と、(B−1)水酸化マグネシウム1が225重量部からなる配合成分を用い(樹脂(A)の各構成要素の配合率を表3に示す。)、実施例1と同様の方法でペレット状の組成物並びに1mmシートを作成した。
(a2−1)DSCで測定した溶融温度124℃の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が5重量%、(b−2)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が15重量%、(c2−1)エチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマ−が30重量%、(d−1)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体が5重量%、(e−1)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が40重量%、(f2−1)無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が5重量%からなる樹脂(A)100重量部と、(B−1)水酸化マグネシウム1が225重量部からなる配合成分を用い(樹脂(A)の各構成要素の配合率を表3に示す。)、実施例1と同様の方法でペレット状の組成物並びに1mmシートを作成した。
ペレット状の組成物については、外径が0.5mmの単銅線に0.4mmの厚みで組成物を被覆して電線を成形し、VW−1燃焼試験を行った。また1mmシートについては、引張試験、耐熱変形性試験を行った。その評価結果を表3に併せて示した。
表3から明らかな様に、実施例19の難燃性樹脂組成物は、引張強度、引張伸びは共にUL Subject758で判定し合格であり、VW−1燃焼試験もUL1581で判定し合格であり、また耐熱変形性も合格であった。
実施例20〜27
構成要素(a)〜(f)からなる樹脂(A)に金属水酸化物(B)を配合して難燃性樹脂組成物を作製し、評価した。樹脂(A)の各構成要素の配合率及び金属水酸化物(B)の配合量を表3に示す。
構成要素(a)〜(f)からなる樹脂(A)に金属水酸化物(B)を配合して難燃性樹脂組成物を作製し、評価した。樹脂(A)の各構成要素の配合率及び金属水酸化物(B)の配合量を表3に示す。
実施例1と同様の方法でペレット状の組成物並びに1mmシートを作成し、実施例19と同様の方法で評価した。引張強度、引張伸びは共にUL Subject758で判定し合格であり、VW−1燃焼試験もUL1581で判定し合格であり、また耐熱変形性も合格であった。その評価結果を表3に併せて示した。
比較例1〜20
構成要素(a)〜(f)からなる樹脂(A)に金属水酸化物(B)を配合して難燃性樹脂組成物を作製し、評価した。樹脂(A)の各構成要素の配合率及び金属水酸化物(B)の配合量を表4に示す。
構成要素(a)〜(f)からなる樹脂(A)に金属水酸化物(B)を配合して難燃性樹脂組成物を作製し、評価した。樹脂(A)の各構成要素の配合率及び金属水酸化物(B)の配合量を表4に示す。
比較例1〜7の難燃性樹脂組成物の調製は実施例1と同様に、評価は実施例1と同様の方法で行った。比較例8〜15の難燃性樹脂組成物の調製は実施例1と同様に、評価は実施例9と同様の方法で行った。また比較例16〜20の難燃性樹脂組成物の調製は実施例1と同様に、評価は実施例19と同様の方法で行った。それぞれの評価結果を表4に併せて示した。
表4から明らかな様に、比較例1〜20の難燃性樹脂組成物は本発明の構成要件のいずれかを満たさず、即ち、樹脂(A)に対する金属水酸化物(B)の配合量(比較例1、16)、樹脂(A)における(a)〜(f)の各構成要素の比率(比較例2、4〜7、10〜13、15、17〜20)、結晶性樹脂(a)において、ポリオレフィン系樹脂(a2)のDSCで測定した溶融温度が120℃以下(比較例3)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b)のDSCで測定した溶融温度、又は密度(比較例8、9)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(e)の酢酸ビニル含有量(比較例14)を満たさないため、比較例1〜7はJASO D611で判定し不合格であり、比較例8〜15はJIS C3306で判定し不合格であり、また比較例16〜20はUL Subject758で判定し不合格であった。
本発明の難燃性樹脂組成物は、高い機械的強度、柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性等の特性と難燃性特性を合せ有するので、自動車電線、電源コード及び機器電線等の被覆材料として有用である。
Claims (10)
- 下記の(a)〜(f)の構成要素からなる樹脂(A)100重量部に対し、金属水酸化物(B)を80〜300重量部配合したことを特徴とする難燃性樹脂組成物。
(a)下記の(a1)及び/又は(a2)からなる結晶性樹脂:5〜50重量%、
(a1)ポリプロピレン樹脂、
(a2)ポリプロピレン樹脂を除く、示差走査熱量測定で測定した溶融温度が120℃を越えるポリオレフィン系樹脂、
(b)示差走査熱量測定で測定した溶融温度が120℃以下であり、かつ密度(JIS K6922−1(1998年版)に準拠し測定。)が0.920g/cm3以下である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂:10〜65重量%、
(c)下記の(c1)及び/又は(c2)からなる弾性重合体:5〜45重量%、
(c1)エチレン−プロピレンゴム、
(c2)エチレン−α−オレフィン系熱可塑性エラストマー、
(d)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体:5〜30重量%、
(e)JIS K6924−1(1998年版)に準拠し測定した酢酸ビニル含有量が20〜45重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体:5〜50重量%、
(f)下記の(f1)、(f2)及び(f3)の群から選ばれる少なくとも1種以上の変性樹脂:5〜30重量%、
(f1):カルボン酸、その無水物、そのエステル及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性ポリプロピレン樹脂、
(f2):カルボン酸、その無水物、そのエステル及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、
(f3):カルボン酸、その無水物、そのエステル及びグリシジルメタクリレートの群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性エチレン−プロピレンゴム。 - 金属水酸化物(B)を80〜150重量部配合したことを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- 金属水酸化物(B)を150〜225重量部配合したことを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- 金属水酸化物(B)を225〜300重量部配合したことを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- 樹脂(A)の構成要素(a)〜(f)が下記の構成比率を有することを特徴とする請求項2に記載の難燃性樹脂組成物。
結晶性樹脂(a):25〜50重量%、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b):10〜50重量%、
弾性重合体(c):5〜20重量%、
エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d):5〜30重量%、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(e):5〜30重量%、
変性樹脂(f):10〜30重量%。 - 樹脂(A)の構成要素(a)〜(f)の構成比率が下記の構成比率であることを特徴とする請求項3に記載の難燃性樹脂組成物。
結晶性樹脂(a):5〜30重量%、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b):30〜65重量%、
弾性重合体(c):10〜40重量%、
エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d):5〜30重量%、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(e):10〜40重量%、
変性樹脂(f):5〜20重量%。 - 樹脂(A)の構成要素(a)〜(f)の構成比率が下記の構成比率であることを特徴とする請求項4に記載の難燃性樹脂組成物。
結晶性樹脂(a):5〜20重量%、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b):10〜35重量%、
弾性重合体(c):20〜45重量%、
エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d):5〜30重量%、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(e):20〜50重量%、
変性樹脂(f):5〜20重量%。 - 金属水酸化物(B)が水酸化マグネシウム及び/又は一般式(2)
Mg1−xMx(OH)2 (2)
(ここでMはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Znから選ばれる1種以上の元素であり、Xは0より大きく0.1以下の値である)
で示される複合水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。 - 金属水酸化物(B)がシラン系カップリング剤により表面処理されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を用いることを特徴とする自動車電線、電源コード又は機器電線。
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