JP3644592B2 - 耐熱性難燃樹脂組成物及びこれを用いた被覆電線 - Google Patents

耐熱性難燃樹脂組成物及びこれを用いた被覆電線 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性難燃樹脂組成物及びこれを用いた被覆電線に関し、更に詳しくは、自動車部品、電気・電子機器部品などに用いられる電線の電線被覆材料として好適な耐熱性難燃樹脂組成物及びこれを用いた被覆電線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車部品、電気・電子機器部品などの配線に用いられる電線の電線被覆材料としては、難燃性、機械的強度、柔軟性、コストなどのバランスに優れる点からポリ塩化ビニル樹脂が広く使用されてきた。しかしながら、ポリ塩化ビニル樹脂は、分子鎖中にハロゲン元素を含んでいるため、自動車の火災時や電気・電子機器の焼却廃棄時などに有害なハロゲン系ガスを大気中に放出し、環境汚染の原因になるという問題を有している。
【0003】
このような背景から、近年、塩素等のハロゲン成分を含まない難燃性樹脂組成物が種々研究されており、例えば、特開平5−301996号公報には、ポリオレフィン系樹脂に高密度ポリエチレンを混合した混合物に難燃剤として金属水和物を配合したノンハロゲン系難燃性樹脂組成物が開示されている。
【0004】
また例えば、特公平7−110912号公報には、熱可塑性エラストマーと低結晶性ポリオレフィン系樹脂を混合した混合物に無機難燃剤を配合したノンハロゲン系難燃性樹脂組成物が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の特開平5−301996号公報に示されるノンハロゲン系難燃性樹脂組成物の場合、自己消火性を有するほど難燃化するためには、難燃剤である金属水和物を多量に配合する必要があり、このような組成物は、耐摩耗性、引張伸び等の機械的特性が著しく低下したり、柔軟性が損なわれる等の問題がある。
【0006】
一方、機械的特性等を向上させるため、結晶性を有する高密度ポリエチレンの混合量を増加させ過ぎると、非晶質部分が少なくなって難燃剤を少量しか配合できなくなり、難燃性が低下するといった問題がある。更に、加熱変形性のような耐熱性を向上させるためには、電子線等による架橋を施す必要があり、製造工程の増加や高コスト化は避けられない。
【0007】
また、後者の特公平7−110912号公報に示されるノンハロゲン系難燃性樹脂組成物の場合も、自己消火性を有するほど難燃化するためには、無機難燃剤を多量に配合する必要があり、前者と同様に、機械的特性や柔軟性等が著しく低下するといった問題がある。そして、機械的特性等を向上させるため、低結晶性ポリオレフィンの混合量を減少させ過ぎると、非晶質部分が少なくなって無機難燃剤を少量しか配合できなくなり、難燃性が低下するといった問題が生じる。また、耐熱性についても十分満足し得るものではない。
【0008】
そのため、上述のようなノンハロゲン系難燃性樹脂組成物を電線の電線被覆材料として用いた場合、優れた電線特性を得ることができないといった問題があった。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、焼却時にハロゲン系ガスを発生することなく、耐摩耗性、引張伸び等の機械的特性や柔軟性に優れるとともに、十分な難燃性を備えつつ耐熱性に優れた耐熱性難燃樹脂組成物を提供し、また、これを用いた被覆電線を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明に係る耐熱性難燃樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂20〜93重量部に、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂1〜20重量部、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性熱可塑性エラストマー1〜30重量部及びポリメチルペンテン5〜30重量部を混合した混合物100重量部に対して、金属水和物を30〜200重量部配合したことを要旨とするものである。
【0011】
本発明に係る耐熱性難燃樹脂組成物は、ハロゲン元素を含有していないので、燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生することがない。また、ポリオレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性熱可塑性エラストマーを混合してあるので、各樹脂と金属水和物との界面接着力が向上するとともに、金属水和物と各ポリマーとの相溶性が向上する。そのため、難燃性を低下させることなく耐摩耗性、引張伸び等の機械的特性や柔軟性を向上させることができる。そして更に、ポリメチルペンテンを混合してあるので、耐熱性を向上させることができ、加熱変形性に優れた耐熱性難燃樹脂組成物を得ることが可能となる。

【0012】
また、上記範囲内で混合物が混合されているので、耐摩耗性、引張伸び等の機械的特性、柔軟性、難燃性、耐熱性等のバランスに特に優れた耐熱性難燃樹脂組成物を得ることが可能となる。

【0013】
一方、本発明に係る被覆電線は、上記耐熱性難燃樹脂組成物を、導体の外周に被覆してなることを要旨とするものである。この被覆電線によれば、優れた電線特性を備えた電線を得ることが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る耐熱性難燃樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性熱可塑性エラストマー及びポリメチルペンテンを混合した混合物に対して、金属水和物を配合したものからなっている。
【0015】
ここで、ポリオレフィン系樹脂とは、分子鎖が、ハロゲン元素を含まない脂肪族炭化水素で構成されたホモポリマー及びコポリマーを言う。具体的には、ホモポリマーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等が挙げられる。また、コポリマーとしては、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−エチルアクリレートコポリマー、エチレン−メチルアクリレートコポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ブテンコポリマー等が挙げられる。尚、これらは単独あるいは2種以上併用して用いても良い。
【0016】
中でも、ポリプロピレン、プロピレンを主成分(50wt%以上)とするプロピレン−エチレンブロックコポリマー、プロピレン−エチレンランダムコポリマー、プロピレン−ブテンランダムコポリマー、プロピレン/エチレン−プロピレンブロックコポリマー等のポリプロピレン系樹脂が好ましい。特に、押出加工性を向上させる観点から、温度230℃、荷重2.16kg下におけるメルトフローレイト(以下「MFR」と言う)が0.1g〜5g/10分の範囲にあるものが最も好適である。
【0017】
また、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂とは、上述したポリオレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸又はその誘導体を反応させ、共重合あるいはグラフト変性させたものを言う。具体的には、金属水和物との界面接着性に特に優れる観点から、変性ポリプロピレンが好ましい。特には、耐摩耗性、引張伸び等の機械的特性を向上させる観点から、D硬度が50以上を有する変性ポリプロピレンが最も好適である。
【0018】
また、熱可塑性エラストマーとは、分子鎖中に、架橋点に相当するハードセグメントと、常温付近でゴム弾性を示すソフトセグメントとを備え、ハロゲン元素を含まないポリマーを言う。具体的には、ハードセグメントとしては、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられ、ソフトセグメントとしては、ポリブタジエン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリイソプレン、ポリエーテル等が挙げられる。
【0019】
中でも、ハードセグメントがポリスチレンからなるポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、柔軟性を向上させる観点から、特に好適である。このようなポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、ポリスチレン及びポリブタジエン又はポリスチレン及びエチレン−プロピレンコポリマーのブロックコポリマー等が挙げられる。更には、耐熱性を向上させる観点から、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー中の二重結合を水素添加により飽和させた水素添加ポリスチレン系熱可塑性エラストマーが最も好適である。
【0020】
また、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性熱可塑性エラストマーとは、上述した熱可塑性エラストマーに不飽和カルボン酸又はその誘導体を反応させ、共重合あるいはグラフト変性させたものを言う。具体的には、金属水和物との界面接着性に特に優れる観点から、変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。より好ましくは、変性水素添加ポリスチレン系熱可塑性エラストマーが最も好適である。
【0021】
上記において、不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸等が挙げられ、不飽和カルボン酸の誘導体としては、不飽和カルボン酸の無水物、金属塩、エステル等が挙げられ、中でも耐摩耗性等の機械的特性をより向上させる観点から、無水マレイン酸が最も好適である。
【0022】
このような不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂、変性熱可塑性エラストマーの変性割合としては、金属水和物との界面接着性を向上させ、耐摩耗性、引張伸び等の機械的特性や柔軟性等の各種特性のバランスに優れる観点から、0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
【0023】
0.1重量%より小さいと、金属水和物との界面接着力が低くなり、変性による効果が小さくなる傾向があるので好ましくなく、10重量%より大きいと、各種特性のバランスが悪くなる傾向があるので好ましくない。
【0024】
また、ポリメチルペンテンは、耐熱性を向上させるために混合するもので、密度やMFRなど特に限定されるものではなく、各種製法により製造されたものを用いることができる。
【0025】
本発明に係る耐熱性難燃樹脂組成物において、上述した樹脂を混合した混合物の混合割合はそれぞれ、ポリオレフィン系樹脂20〜93重量部、変性ポリオレフィン系樹脂1〜20重量部、変性熱可塑性エラストマー1〜30重量部、ポリメチルペンテン5〜30重量部の範囲内とする。
【0026】
ポリオレフィン系樹脂が20重量部より少ないと、耐摩耗性が低下する傾向があり、93重量部より多いと、柔軟性が損なわれる傾向があるため好ましくない。また、変性ポリオレフィン系樹脂が1重量部より少ないと、金属水和物との界面接着性が不十分となり、20重量部より多いと、引張伸びが出なくなり、柔軟性が損なわれてしまう傾向があるので好ましくない。
【0027】
また、変性熱可塑性エラストマーが1重量部より少ないと、金属水和物との界面接着性が不十分となり、30重量部より多いと、耐摩耗性が損なわれてしまう傾向があるので好ましくない。また、ポリメチルペンテンが5重量部より少ないと、耐熱性が向上せず加熱変形性が不十分となり、30重量部より多いと、引張伸びが低下し、耐摩耗性や柔軟性が損なわれる傾向があるので好ましくない。
【0028】
特に好ましくは、混合割合が、ポリオレフィン系樹脂40〜80重量部、変性ポリオレフィン系樹脂5〜15重量部、変性熱可塑性エラストマー5〜25重量部、ポリメチルペンテン10〜20重量部の範囲内にあることが好ましい。
【0029】
そしてこれら混合物に配合する金属水和物は、難燃剤として配合するものであり、具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。中でも、水酸化マグネシウムが最も好適である。これら金属水和物の平均粒径としては、耐摩耗性等の機械的特性をより向上させる観点から0.1〜20μmのものを用いることが好ましい。また、ポリマー中への分散性やポリマーとの反応性を高める観点から、ビニルシラン、アミノシラン、エポキシシラン、メタクリロキシシラン等のシランカップリング剤又は脂肪酸等で金属水和物の粒子表面に表面処理を施すことが好ましい。
【0030】
また、金属水和物の配合量としては、上記混合物100重量部に対して、30〜200重量部の範囲で配合するのが好ましい。金属水和物の配合量が30重量部より少ないと、難燃性が十分に得られず、200重量部より多いと、機械的特性や柔軟性等が損なわれるので好ましくない。特に好ましくは50〜150重量部の範囲で配合するのが最も好ましい。
【0031】
尚、ハロゲン元素を含有しない酸化防止剤、金属不活性剤(銅外防止剤等)、加工助剤(滑剤、ワックス等)、着色剤、難燃助剤(ホウ酸亜鉛、シリコン系難燃剤等)等の配合剤を各特性を低下させない範囲で適宜配合しても良く、特に限定されるものではない。
【0032】
次に、本発明に係る耐熱性難燃樹脂組成物の作用について説明する。
【0033】
本発明に係る耐熱性難燃樹脂組成物は、ハロゲン元素を含有していないので、燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生することがない。そのため、自動車部品、電気・電子機器部品などに用いられる電線の電線被覆材料として用いた場合、自動車火災時や電気・電子機器の焼却廃棄時などにハロゲン系ガスを大気中に放出することがなく、環境汚染の原因になることがない。
【0034】
また、ポリオレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性熱可塑性エラストマーを混合してあるので、変性ポリオレフィン系樹脂及び変性熱可塑性エラストマー中の変性された部分と高い極性を有する金属水和物の表面部分との間で化学反応が生じ、強固な接着界面が形成されるとともに、金属水和物と各ポリマーとの相溶性が向上する。
【0035】
また、熱可塑性エラストマーは、その構造に起因して十分な柔軟性を有している。そのため、これらのことより、難燃性を低下させることなく耐摩耗性、引張伸び等の機械的特性や柔軟性を向上させることができる。
【0036】
また、融点が240℃と高く、温度が高くなっても変形が生じにくいポリメチルペンテンを混合してあるので、耐熱性を向上させることができ、優れた加熱変形性を付与することが可能となる。また、電子線等による架橋を施すことなく耐熱性を付与することができるので、製造工程が増加したり、コスト高となることがない。
【0037】
更に、上述した範囲内で混合物が混合されているので、各ポリマーによる相乗効果により、耐摩耗性、引張伸び等の機械的特性、柔軟性、難燃性、耐熱性等のバランスに特に優れた耐熱性難燃樹脂組成物を得ることが可能となる。
【0038】
このようにして得られる耐熱性難燃樹脂組成物を例えば、自動車部品、電気・電子機器部品などに用いられる電線の電線被覆材料として用いた場合には、優れた電線特性を備えた電線を得ることが可能となる。
【0039】
【実施例】
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0040】
(実施例1)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(密度0.90、温度230℃、荷重2.16kg下でのMFR0.5g/10分、以下省略)50重量部、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマー(密度0.91、温度230℃、荷重2.16kg下でのMFR20.0g/10分、以下省略)10重量部、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー(密度0.92、温度230℃、荷重2.16kg下でのMFR5.0g/10分、以下省略)20重量部、ポリメチルペンテン(密度0.84、温度260℃、荷重5kg下でのMFR22.0g/10分、以下省略)20重量部の計100重量部に対して、水酸化マグネシウム(平均粒子径1.0μm、シランカップリング剤表面処理を施したもの、以下、「水酸化マグネシウムA」という)70重量部、老化防止剤1重量部とを、混合温度250℃にて2軸混練機で混練して樹脂組成物を作製した。
【0041】
その後、押出成形機を用いて、この樹脂組成物を断面積0.5mmの導体(軟銅線を7本撚り合わせ、この導体外面を平滑にするため、円形に圧縮したもの)上に0.2mm厚に押出被覆し、被覆電線を作製した。尚、押出成形時に用いたダイス・ニップルは、それぞれ1.25mmφ、0.88mmφであり、押出温度は、ダイス210〜230℃、シリンダ200〜240℃の温度範囲とし、線速は100m/分とした。この被覆電線を実施例1とする。
【0042】
(実施例2)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー60重量部、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマー15重量部、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー5重量部、ポリメチルペンテン20重量部の計100重量部に対して、水酸化マグネシウム(平均粒子径1.0μm、表面未処理のもの、以下、「水酸化マグネシウムB」という)70重量部、老化防止剤1重量部とした以外は、実施例1と同様に被覆電線を作製した。この被覆電線を実施例2とする。
【0043】
(実施例3)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー20重量部、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマー20重量部、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー30重量部、ポリメチルペンテン30重量部の計100重量部に対して、水酸化マグネシウムA90重量部、老化防止剤1重量部とした以外は、実施例1と同様に被覆電線を作製した。この被覆電線を実施例3とする。
【0044】
(実施例4)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー93重量部、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマー1重量部、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー1重量部、ポリメチルペンテン5重量部の計100重量部に対して、水酸化マグネシウムA100重量部、老化防止剤1重量部とした以外は、実施例1と同様に被覆電線を作製した。この被覆電線を実施例4とする。
【0045】
(実施例5)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー50重量部、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマー10重量部、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー20重量部、ポリメチルペンテン20重量部の計100重量部に対して、水酸化マグネシウムB30重量部、老化防止剤1重量部とした以外は、実施例1と同様に被覆電線を作製した。この被覆電線を実施例5とする。
【0046】
(実施例6)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー50重量部、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマー10重量部、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー20重量部、ポリメチルペンテン20重量部の計100重量部に対して、水酸化マグネシウムA200重量部、老化防止剤1重量部とした以外は、実施例1と同様に被覆電線を作製した。この被覆電線を実施例6とする。
【0047】
(比較例1)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー70重量部、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー30重量部の計100重量部に対して、水酸化マグネシウムA70重量部、老化防止剤1重量部とした以外は、実施例1と同様に被覆電線を作製した。この被覆電線を比較例1とする。
【0048】
(比較例2)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー67重量部、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマー10重量部、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー20重量部、ポリメチルペンテン3重量部の計100重量部に対して、水酸化マグネシウムA80重量部、老化防止剤1重量部とした以外は、実施例1と同様に被覆電線を作製した。この被覆電線を比較例2とする。
【0049】
(比較例3)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー40重量部、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマー10重量部、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー10重量部、ポリメチルペンテン40重量部の計100重量部に対して、水酸化マグネシウムA80重量部、老化防止剤1重量部とした以外は、実施例1と同様に被覆電線を作製した。この被覆電線を比較例3とする。
【0050】
(比較例4)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー40重量部、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマー10重量部、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー40重量部、ポリメチルペンテン10重量部の計100重量部に対して、水酸化マグネシウムA70重量部、老化防止剤1重量部とした以外は、実施例1と同様に被覆電線を作製した。この被覆電線を比較例4とする。
【0051】
(比較例5)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー50重量部、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマー40重量部、ポリメチルペンテン10重量部の計100重量部に対して、水酸化マグネシウムA100重量部、老化防止剤1重量部とした以外は、実施例1と同様に被覆電線を作製した。この被覆電線を比較例5とする。
【0052】
尚、上記実施例及び比較例において用いた各樹脂及び配合剤の製造会社及び商品名は次の通りである。すなわち、プロピレン−エチレンブロックコポリマーがトクヤマ社製「徳山ポリプロ」(商品名)、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマーが日本ポリオレフィン社製「アドテックスER」(商品名)、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマーが旭化成工業社製「タフテック」(商品名)、ポリメチルペンテンが三井化学社製「TPX」(商品名)、水酸化マグネシウムAが協和化学工業社製「キスマ5(グレード5LH)」(商品名)、水酸化マグネシウムBがMARTINSWERK(ドイツ)社製「マグニフィンH5」(商品名)、老化防止剤が吉富製薬社製「トミノックス」(商品名)である。
【0053】
以上のように作製した各被覆電線について、耐摩耗性試験、引張伸び試験、柔軟性試験、難燃性試験及び加熱変形性試験を行い、本発明品及び比較品の特性評価を行った。以下に各試験及び評価方法について説明する。
【0054】
(耐摩耗性)
耐摩耗性試験については、社団法人自動車技術会規格「JASO D611−94」に準拠し、ブレード往復法により試験を行った。すなわち、本発明品及び比較品の各被覆電線を750mmの長さに切り出して試験片とした。そして、23±5℃の室温下で、台上に固定した各試験片の被覆材表面を軸方向に10mm以上の長さに渡って、ブレードを往復して摩耗させ、ブレードを毎分50回の速さで往復させたときの被覆材の摩耗により、ブレードが導体に接触するまでの往復回数を測定した。この際、ブレードにかける荷重は7Nとした。
【0055】
次いで各試験片を100mm移動させて、時計方向に90度回転し、上記の測定を繰り返した。この測定を同一試験片で計3回行い、各値の最小値が300回以上のものを合格とした。
【0056】
(引張伸び)
引張伸びについては、社団法人自動車技術会規格「JASO D611−94」に準拠して試験を行った。すなわち、本発明品及び比較品の各被覆電線を150mmの長さに切り出し、導体を除いて管状試験片とし、その中央部に50mmの間隔で標線を印した。そして、23±5℃の室温下で各試験片の両端を試験機のチャックに取り付けた後、引張速さ200mm/分にて引張り、各試験片切断時の標線間の長さを測定した。この際、引張伸びが125%以上のものを合格とした。
【0057】
(柔軟性)
柔軟性については、各被覆電線を手で折り曲げた際の手感触により良好のものを合格とした。
【0058】
(難燃性)
難燃性については、社団法人自動車技術会規格「JASO D611−94」に準拠して試験を行った。すなわち、本発明品及び比較品の各被覆電線を300mmの長さに切り出して試験片とした。次に各試験片を鉄製の試験箱に入れて水平に支持し、口径10mmのブンゼンバーナーを用いて、還元炎の先端を試験片中央部の下側から30秒以内で燃焼するまで当て、炎を静かに取り去った後の残炎時間を測定した。この際、残炎時間が15秒以内を合格とし、15秒を越えるものを不合格とした。
【0059】
(加熱変形性)
加熱変形性については、次のように試験を行った。すなわち、190℃の恒温槽内にて、各被覆電線を10分間放置した後、幅0.7mmのヘッド先端部により、荷重300g、1分間加圧した。その後、荷重を取り去り、各被覆電線の被覆材が溶け、導体が露出するか否かについて確認した。電線形状を保持しているものを合格とし、電線形状を保持することができず、導体が露出したものを不合格とした。
【0060】
以上による本発明品及び比較品の各被覆電線についての作製条件と評価結果をまとめたものを表1及び表2に示す。
【0061】
【表1】
Figure 0003644592
【0062】
【表2】
Figure 0003644592
【0063】
表1及び表2における本発明品及び比較品の評価結果から以下のことが分かる。本発明の一実施例に係る実施例1〜6の各被覆電線は、耐摩耗性、引張伸び、柔軟性、難燃性、加熱変形性を全て満足しているのに対し、比較例1〜5の各被覆電線は全ての特性を満足するものがないことが分かる。
【0064】
これは、比較例1は、融点が240℃と高いポリメチルペンテンを混合していないので、耐熱性が無く、変形が生じ易くなり、加熱変形性が不合格となったためである。また、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマーを混合していないので、金属水和物表面部分における良好な接着界面が得られず、耐摩耗性が低下したためである。
【0065】
また、比較例2については、ポリメチルペンテンの混合量が5重量部より少ないので、耐熱性が向上せず、加熱変形性が不十分となり、ポリメチルペンテン混合による効果を十分発揮することができなかったためである。逆に比較例3のように、ポリメチルペンテンの混合量を30重量部より多くしてしまうと、引張伸びが低下し、耐摩耗性や柔軟性が損なわれてしまうことも分かる。
【0066】
また、比較例4については、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマーが30重量部より多いので、耐摩耗性が損なわれてしまい、比較例5については、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマーが20重量部より多いので、引張伸びが出なくなり、柔軟性が損なわれてしまうことが分かる。
【0067】
以上実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、本実施例では配合剤として老化防止剤を配合したが、それ以外にも、ハロゲン元素を含有しない酸化防止剤、金属不活性剤(銅害防止剤等)、加工助剤(滑剤、ワックス等)、着色剤、難燃助剤(ホウ酸亜鉛、シリコン系難燃剤等)等の配合剤を各特性を低下させない範囲で適宜配合しても良く、特に限定されるものではない。
【0068】
【発明の効果】
本発明に係る耐熱性難燃樹脂組成物によれば、燃焼時にハロゲン系ガスを発生することなく、耐摩耗性、引張伸び等の機械的特性や柔軟性に優れるとともに、十分な難燃性を備えつつ耐熱性に優れた耐熱性難燃樹脂組成物を得ることができるという効果がある。また、本発明に係る被覆電線によれば、優れた電線特性を備えた電線を得ることができるという効果がある。

Claims (2)

  1. ポリオレフィン系樹脂20〜93重量部に、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂1〜20重量部、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性熱可塑性エラストマー1〜30重量部及びポリメチルペンテン5〜30重量部を混合した混合物100重量部に対して、金属水和物を30〜200重量部配合したことを特徴とする耐熱性難燃樹脂組成物。
  2. 導体の外周に、請求項1に記載の耐熱性難燃樹脂組成物を被覆したことを特徴とする被覆電線
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