JP3622955B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性樹脂組成物に関し、更に詳しくは、自動車部品、電気・電子機器部品などに用いられる電線の電線被覆材料として好適な難燃性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車部品、電気・電子機器部品などの配線に用いられる電線の電線被覆材料としては、一般に、難燃性に優れたポリ塩化ビニル樹脂が用いられており、これに耐摩耗性や引張強さ等の機械的特性、柔軟性及び加工性等の各種必要特性に応じて、可塑剤や安定剤等の配合剤が適宜配合され、また、これら配合剤の種類や配合量が調整されてきた。
【0003】
しかしながら、ポリ塩化ビニル樹脂は、それ自身難燃性を備える反面、分子鎖中にハロゲン元素を有しているため、自動車の火災時や電気・電子機器の焼却廃棄時等の燃焼時に有害なハロゲン系ガスを大気中に放出し、環境汚染の原因になるという問題を有している。
【0004】
このような背景から、近年、ハロゲン成分を含まない難燃性樹脂組成物が種々研究されており、例えば、特開平5−301996号公報には、ポリオレフィンに高密度ポリエチレンを混合した混合物に難燃剤として金属水和物を配合したノンハロゲン系難燃性樹脂組成物が開示されている。
【0005】
また例えば、特公平7−110912号公報には、熱可塑性エラストマーと低結晶性ポリオレフィンを混合した混合物に無機難燃剤を配合したノンハロゲン系難燃性樹脂組成物が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の特開平5−301996号公報に示されるノンハロゲン系難燃性樹脂組成物の場合、自己消火性を有するほど難燃化するためには、難燃剤である金属水和物を多量に配合する必要があり、このような組成物は、耐摩耗性や引張強さ等の機械的特性が著しく低下するといった問題がある。
【0007】
一方、機械的特性を向上させるため、結晶性を有し、比較的硬度の高い高密度ポリエチレンの混合量を増加させることもできるが、非晶質部分が少なくなって難燃剤を少量しか配合できなくなり、難燃性が低下するとともに柔軟性が損なわれ、また、電線被覆材料として用いた場合の加工性や押出成形性も極めて悪くなるなど、各特性に優れた樹脂組成物を得ることができない。
【0008】
また、後者の特公平7−110912号公報に示されるノンハロゲン系難燃性樹脂組成物の場合も、自己消火性を有するほど難燃化するためには、無機難燃剤を多量に配合する必要があり、前者と同様に、耐摩耗性や引張強さ等の機械的特性が著しく低下し、更には熱可塑性エラストマーの有する柔軟性が損なわれるといった問題が生じる。一方、機械的特性を向上させるため、低結晶性ポリオレフィンの混合量を減少させると、非晶質部分が少なくなって無機難燃剤を少量しか配合できなくなり、難燃性が低下するといった問題が生じ、各特性に優れた樹脂組成物を得ることができない。
【0009】
そのため、上述のような難燃性樹脂組成物を電線の電線被覆材料として用いたとしても、優れた電線特性を得ることができないといった問題があった。
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、燃焼時にハロゲン系ガスを発生することなく、十分な難燃性を有するとともに、優れた機械的特性、柔軟性及び加工性を兼ね備えた難燃性樹脂組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明に係る難燃性樹脂組成物は、請求項1に記載のように、オレフィン系熱可塑性エラストマー10〜93重量部、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリスチレン1〜20重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー5〜40重量部及びプロピレン系樹脂1〜30重量部の混合割合で混合されてなる混合物合計100重量部に対して、金属水和物を30〜200重量部配合したことを要旨とするものである。
【0012】
本発明に係る難燃性樹脂組成物は、ハロゲン元素を含有していないので、燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生することがない。また、柔軟性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマーに、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリスチレンを混合してあるので、極性の高い難燃剤である金属水和物と変性ポリスチレンの変性部分との間に強固な接着界面が形成され、難燃性、柔軟性を損なうことなく耐摩耗性、引張強さ等の機械的特性を向上させることができる。
【0013】
また、スチレン系熱可塑性エラストマーを混合してあるので、相溶性が高まり、柔軟性や加工性を向上させることができる。更に、オレフィン系樹脂の中で比較的融点が高いプロピレン系樹脂を混合してあるので、耐熱性が向上し、また、押出成形性にも優れる。このような樹脂組成物は、十分な難燃性を有するとともに、機械的特性、柔軟性のバランスに優れるので、加工性や成形性にも優れたものとなる。
【0014】
ここで、請求項2に記載のように、前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性スチレン系熱可塑性エラストマーである場合には、変性スチレン系熱可塑性エラストマーの変性部分と金属水和物との間においても強固な接着界面が形成されるので、変性ポリスチレンとの相乗効果により、更に機械的特性を向上させることができるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る難燃性樹脂組成物は、オレフィン系熱可塑性エラストマー10〜93重量部、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリスチレン1〜20重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー5〜40重量部及びプロピレン系樹脂1〜30重量部の混合割合で混合されてなる混合物合計100重量部に対して、金属水和物を30〜200重量部配合したものからなっている。
【0016】
熱可塑性エラストマーは、分子構造中に、架橋点に相当するハードセグメントと、常温付近でゴム状弾性を示すソフトセグメントとを備えており、この構造に起因して、加熱により軟化し、外力によって塑性変形するが、常温付近でゴム状弾性を示す性質を有しているものである。
【0017】
ここで、オレフィン系熱可塑性エラストマーとは、ハードセグメントとしてのオレフィン系樹脂と、ソフトセグメントとしてのゴム系樹脂との共重合体であって、分子構造中にハロゲン元素を含まないものを言う。具体的には、ハードセグメントとして、ポリプロピレン等が挙げられ、ソフトセグメントとして、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ブチルゴム等が挙げられる。
【0018】
より具体的には、プロピレン/エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン/エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体等のオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましく、耐熱性及び柔軟性をより向上させる観点から、融点が130℃以上、D硬度60以下のものであることが好ましい。また、製造工程の増加や高コスト化を回避する観点から、電子線等による架橋が施されていない非架橋型のものが好ましい。尚、オレフィン系熱可塑性エラストマーの構造としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体であっても良く、特に限定されるものではない
【0019】
また、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリスチレンとは、ポリスチレンに不飽和カルボン酸又はその誘導体を反応させ、共重合あるいはグラフト変性させたものを言う。変性に用いる不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸等が挙げられ、不飽和カルボン酸の誘導体としては、不飽和カルボン酸の無水物、金属塩、エステル等が挙げられる。中でも、耐摩耗性等の機械的特性を向上させる観点から、無水マレイン酸が最も好適である。
【0020】
この際、変性ポリスチレンの変性割合としては、0.1〜15重量%の範囲にあることが好ましい。0.1重量%より小さいと、金属水和物表面における化学結合力が低下し十分な接着界面が得られなくなり、変性による効果が小さくなる傾向があるので好ましくなく、15重量%より大きいと、各種特性のバランスが悪くなる傾向があるので好ましくない。
【0021】
また、スチレン系熱可塑性エラストマーとは、ハードセグメントとしてのスチレン系樹脂と、ソフトセグメントとしてのゴム系樹脂との共重合体であって、分子構造中にハロゲン元素を含まないものを言う。具体的には、ハードセグメントとして、ポリスチレン、ポリo−メチルスチレン、ポリm−メチルスチレン、ポリp−メチルスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリβ−メチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリトリメチルスチレン等が挙げられ、ソフトセグメントとして、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体等が挙げられる。
【0022】
より具体的には、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン/エチレン−プロピレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。更にこれらは、耐熱性を向上させる観点から、分子鎖中の二重結合を水素添加により飽和させた水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。尚、スチレン系熱可塑性エラストマーの構造としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体であっても良く、特に限定されるものではない。
【0023】
また、これらのスチレン系熱可塑性エラストマーを、上述した不飽和カルボン酸又はその誘導体により変性して変性スチレン系熱可塑性エラストマーとしても良く、特に限定されるものではない。尚、この場合の変性割合としては、変性ポリスチレンとの相乗効果を高め、耐摩耗性、引張伸び等の機械的特性を一層向上させる観点から、0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
【0024】
また、プロピレン系樹脂とは、プロピレンの重合体、プロピレンを主体とする重合体であって、分子構造中にハロゲン元素を含まないものを言う。これら重合体の構造としては、単独重合体、ランダム重合体、交互重合体、ブロック重合体であっても良く、特に限定されるものではない。
【0025】
具体的には、ポリプロピレン、プロピレンを主成分(50wt%以上)とするプロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン/エチレン−プロピレンブロック共重合体等のプロピレン系樹脂が挙げられる。特に、加工性、押出成形性等を向上させる観点から、温度230℃、荷重2.16kg下におけるメルトフローレイト(以下「MFR」と言う)が0.1g〜5g/10分の範囲にあるものを好適に用いる。
【0026】
本発明に係る難燃樹脂組成物において、上述した樹脂を混合してなる混合物の混合割合としてはそれぞれ、オレフィン系熱可塑性エラストマー10〜93重量部、変性ポリスチレン1〜20重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー5〜40重量部(変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとした場合も、5〜40重量部)及びプロピレン系樹脂1〜30重量部の範囲内にあることが好ましい。
【0027】
オレフィン系熱可塑性エラストマーが10重量部より少ないと、柔軟性が低下する傾向があり、93重量部より多いと、耐摩耗性や加工性が損なわれる傾向があるので好ましくない。また、変性ポリスチレンが1重量部より少ないと、金属水和物表面における化学結合力が不十分となって、良好な接着界面が得られず、耐摩耗性が低下する傾向があり、20重量部より多いと、引張伸びが出なくなり、柔軟性が損なわれる傾向があるので好ましくない。
【0028】
また、スチレン系熱可塑性エラストマーが5重量部より少ないと、柔軟性が低下する傾向があり、30重量部より多いと、耐摩耗性が低下する傾向があるので好ましくない。また、プロピレン系樹脂が1重量部より少ないと、耐摩耗性が低下する傾向があり、30重量部より多いと、柔軟性が低下する傾向があるので好ましくない。
【0029】
特に好ましくは、オレフィン系熱可塑性エラストマー30〜75重量部、変性ポリスチレン5〜15重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー10〜30重量部及びプロピレン系樹脂10〜25重量部の混合割合が好ましい。
【0030】
また、難燃剤として配合する金属水和物は、ハロゲン元素を含まないものであり、具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、中でも、水酸化マグネシウムが最も好適である。これら金属水和物の平均粒径としては、耐摩耗性等の機械的特性をより向上させる観点から、0.1〜20μmのものを用いることが好ましい。
【0031】
また、ポリマー中への分散性やポリマーとの反応性を高める観点から、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、メタクリロキシシラン等のシランカップリング剤又は脂肪酸等で金属水和物の粒子表面に表面処理を施すことが好ましく、特には、ポリマーとの反応性に優れる観点から、シランカップリング剤により表面処理を施すことが好ましい。
【0032】
このような金属水和物の配合量としては、上述した混合割合で混合された混合物合計100重量部に対して、30〜200重量部の範囲で配合するのが好ましい。金属水和物の配合量が30重量部より少ないと、十分な難燃性が得られず、200重量部より多いと、機械的特性や柔軟性等が損なわれるので好ましくない。特に好ましくは50〜150重量部の範囲で配合するのが最も好ましい。
【0033】
尚、ハロゲン元素を含有しない酸化防止剤、金属不活性剤(銅外防止剤等)、加工助剤(滑剤、ワックス等)、着色剤、難燃助剤(ホウ酸亜鉛、シリコン系難燃剤等)等の配合剤を各特性を低下させない範囲で適宜配合しても良く、特に限定されるものではない。
【0034】
次に、本発明に係る難燃性樹脂組成物の作用について説明する。
【0035】
本発明に係る難燃性樹脂組成物は、ハロゲン元素を含有していないので、燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生することがない。そのため、自動車部品、電気・電子機器部品などに用いられる電線の電線被覆材料として用いた場合、自動車火災時や電気・電子機器の焼却廃棄時等にハロゲン系ガスを大気中に放出することがなく、環境汚染の原因になることがない。
【0036】
また、柔軟性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマーに、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリスチレンを混合してあるので、高い極性を有する金属水和物と変性ポリスチレンの変性部分との間で化学反応が生じ、金属水和物表面に強固な接着界面が形成される。そのため、難燃性、柔軟性を損なうことなく耐摩耗性、引張強さ等の機械的特性を向上させることができる。
【0037】
また、金属水和物は、変性ポリスチレンのポリスチレン部分により周囲が覆われた構造となるため、混合するスチレン系熱可塑性エラストマーとの相溶性が高まり、更に、スチレン系熱可塑性エラストマーは、優れた柔軟性及び加工性を有しているので、柔軟性及び加工性を向上させることができる。
【0038】
この際、スチレン系熱可塑性エラストマーとして不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性スチレン系熱可塑性エラストマーを用いた場合には、この変性スチレン系熱可塑性エラストマーの変性部分と、金属水和物との間においても化学反応が生じ、金属水和物表面に強固な接着界面が形成されるので、変性ポリスチレンとの相乗効果により、更に機械的特性を向上させることができる。
【0039】
また、オレフィン系樹脂の中で比較的融点が高いプロピレン系樹脂を配合してあるので、耐熱性が向上し、押出成形性にも優れる。また、プロピレン系樹脂は、オレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマーとの相溶性にも優れるので、各種特性を損なうことがない。
【0040】
上記のような樹脂組成物は、十分な難燃性を有するとともに、適度な硬度、適度なしなやかさを有している、すなわち、機械的特性、柔軟性のバランスに優れているので、加工性や成形性にも優れたものとなる。
【0041】
また、オレフィン系熱可塑性エラストマー30〜75重量部、変性ポリスチレ5〜15重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー10〜30重量部及びプロピレン系樹脂10〜25重量部の混合割合とした場合には、難燃性、機械的特性、柔軟性、加工性、成形性等のバランスに特に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0042】
このようにして得られる難燃性樹脂組成物を例えば、自動車部品、電気・電子機器部品などに用いられる電線の電線被覆材料として用いた場合には、優れた電線特性を備えた電線を得ることが可能となる。
【0043】
【実施例】
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0044】
本発明に係る実施例1〜6として、プロピレン/エチレン−プロピレン共重合体(温度230℃、荷重2.16kg下におけるMFR=1.5g/10分、以下省略する)、無水マレイン酸変性ポリスチレン(温度230℃、荷重2.16kg下におけるMFR=2.0g/10分、以下省略する)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(温度230℃、荷重2.16kg下におけるMFR=5.0g/10分、以下省略する)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(温度230℃、荷重2.16kg下におけるMFR=0.5g/10分、以下省略する)、水酸化マグネシウム(平均粒径1.0μm、シランカップリング剤表面処理を施したもの、以下省略する)、老化防止剤を表1に示す割合で混練して各樹脂組成物を作製した。
【0045】
一方、比較例1〜5として、プロピレン/エチレン−プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性ポリスチレン、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、水酸化マグネシウム、老化防止剤を表2に示す割合で混練して各樹脂組成物を作製した。尚、これらは主に実施例1〜6との関係において対比されるものである。
【0046】
また、本発明に係る実施例7〜12として、プロピレン/エチレン−プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性ポリスチレン、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(温度230℃、荷重2.16kg下におけるMFR=5.0g/10分、以下省略する)、プロピレン−エチレンブロック共重合体、水酸化マグネシウム、老化防止剤を表3に示す割合で混練して各樹脂組成物を作製した。
【0047】
一方、比較例6〜10として、プロピレン/エチレン−プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性ポリスチレン、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、水酸化マグネシウム、老化防止剤を表4に示す割合で混練して各樹脂組成物を作製した。尚、これらは主に実施例7〜12との関係において対比されるものである。
【0048】
そして、これら各樹脂組成物の特性について、電線状態で確認するため、押出成形機を用いて、断面積0.5mmの導体(直径0.32mmの軟銅線を7本撚り合わせたもの)上に0.3mm厚に押出被覆し、各被覆電線を作製した。この際、押出成形時に用いたダイス・ニップルは、それぞれ1.6mmφ、1.0mmφであり、押出温度は、ダイス210〜230℃、シリンダ200〜240℃の温度範囲とし、線速は100m/分とした。
【0049】
尚、上記実施例及び比較例において用いた各樹脂及び配合剤の製造会社及び商品名は次の通りである。すなわち、プロピレン/エチレン−プロピレン共重合体がトクヤマ社製「PER」(商品名)、無水マレイン酸変性ポリスチレンがノヴァケミカルジャパン社製「DYLARK」(商品名)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体及び無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体が旭化成工業社製「タフテック」(商品名)、プロピレン−エチレンブロック共重合体がトクヤマ社製「徳山ポリプロ」(商品名)、水酸化マグネシウムが協和化学工業社製「キスマ5(グレード5NH)」(商品名)、老化防止剤が吉富製薬社製「トミノックス」(商品名)である。
【0050】
以上のように作製した各被覆電線について、難燃性試験、耐摩耗性試験、引張強さ及び引張伸び試験、柔軟性試験及び加工性試験を行い、本発明品及び比較品の特性評価を行った。以下に各試験及び評価方法について説明する。
【0051】
(難燃性)
難燃性については、社団法人自動車技術会規格「JASO D611−94」に準拠して試験を行った。すなわち、本発明品及び比較品の各被覆電線を300mmの長さに切り出して試験片とした。次に各試験片を鉄製の試験箱に入れて水平に支持し、口径10mmのブンゼンバーナーを用いて、還元炎の先端を試験片中央部の下側から30秒以内で燃焼するまで当て、炎を静かに取り去った後の残炎時間を測定した。この際、残炎時間が15秒以内を合格とし、15秒を越えるものを不合格とした。
【0052】
(耐摩耗性)
耐摩耗性試験については、社団法人自動車技術会規格「JASO D611−94」に準拠し、ブレード往復法により試験を行った。すなわち、本発明品及び比較品の各被覆電線を750mmの長さに切り出して試験片とした。そして、23±5℃の室温下で、台上に固定した各試験片の被覆材表面を軸方向に10mm以上の長さに渡って、ブレードを往復して摩耗させ、ブレードを毎分50回の速さで往復させたときの被覆材の摩耗により、ブレードが導体に接触するまでの往復回数を測定した。この際、ブレードにかける荷重は7Nとした。
【0053】
次いで各試験片を100mm移動させて、時計方向に90度回転し、上記の測定を繰り返した。この測定を同一試験片で計3回行い、各値の平均値が300回以上のものを合格とした。
【0054】
(引張強さ及び引張伸び)
引張強さ及び引張伸びについては、社団法人自動車技術会規格「JASO D611−94」に準拠して試験を行った。すなわち、本発明品及び比較品の各被覆電線を150mmの長さに切り出し、導体を除いて管状試験片とし、その中央部に50mmの間隔で標線を印した。そして、23±5℃の室温下で各試験片の両端を試験機のチャックに取り付けた後、引張速さ200mm/分にて引張り、各試験片切断時の荷重及び標線間の長さを測定した。この際、引張強さについては、15.7MPa以上、引張伸びについては、125%以上のものを合格とした。
【0055】
(柔軟性)
柔軟性については、各被覆電線を手で折り曲げた際の手感触により良好のものを合格とした。
【0056】
(加工性)
加工性については、次のように試験を行った。すなわち、各被覆電線の端末部の樹脂被覆部を皮剥した際に、ヒゲが形成されるか否かを確認し、ヒゲが形成されないものを合格とした。
【0057】
以上による本発明品及び比較品の各被覆電線についての作製条件と評価結果をまとめたものを表1〜4に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0003622955
【0059】
【表2】
Figure 0003622955
【0060】
【表3】
Figure 0003622955
【0061】
【表4】
Figure 0003622955
【0062】
表1及び表2における本発明品及び比較品の評価結果から以下のことが分かる。本発明の一実施例に係る実施例1〜6の各被覆電線は、難燃性、耐摩耗性、引張強さ、引張伸び、柔軟性及び加工性を全て満足しているのに対し、比較例1〜5の各被覆電線は全ての特性を満足するものがないことが分かる。
【0063】
すなわち、比較例1は、無水マレイン酸変性ポリスチレンを混合していないので、金属水和物表面において良好な接着界面を得ることができず、耐摩耗性が低下し、加工性も損なわれたことが分かる。比較例2は、柔軟性に優れた水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体を混合していないので、柔軟性が損なわれたことが分かる。
【0064】
比較例3は、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体を過剰に混合したため、引張伸びについては高い値を示すものの、耐摩耗性が低下したことが分かる。比較例4も、プロピレン/エチレン−プロピレン共重合体を過剰に混合したため、耐摩耗性及び加工性が損なわれたことが分かる。
【0065】
比較例5は、無水マレイン酸変性ポリスチレンを過剰に混合したため、引張強さについては高い値を示したが、引張伸びが極端に低下し、柔軟性が損なわれたことが分かる。
【0066】
次に、表3及び表4における本発明品及び比較品の評価結果から以下のことが分かる。本発明の一実施例に係る実施例7〜12の各被覆電線は、難燃性、耐摩耗性、引張強さ、引張伸び、柔軟性及び加工性を全て満足しているのに対し、比較例6〜10の各被覆電線は全ての特性を満足するものがないことが分かる。
【0067】
すなわち、比較例6は、無水マレイン酸変性ポリスチレンを混合していないので、金属水和物表面において良好な接着界面を得ることができず、耐摩耗性が損なわれたことが分かる。比較例7は、柔軟性に優れた無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体を混合していないので、柔軟性が損なわれたことが分かる。
【0068】
比較例8は、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体を過剰に混合したため、引張伸びについては高い値を示したものの、耐摩耗性が低下したことが分かる。比較例9も、プロピレン/エチレン−プロピレン共重合体を過剰に混合したため、耐摩耗性及び加工性が損なわれたことが分かる。
【0069】
比較例10は、無水マレイン酸変性ポリスチレンを過剰に混合したため、引張強さについては高い値を示したが、引張伸びが極端に低下し、柔軟性も損なわれたことが分かる。
【0070】
また次に、表1及び表3から、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体を無水マレイン酸により変性した無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体を用いた場合には、変性ポリスチレンの変性部分に加え、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体の変性部分と金属水和物との間においても化学反応が生じ、金属水和物表面に強固な接着界面が形成されるので、変性ポリスチレンとの相乗効果により、各特性を損なうことなく、引張強さ等の機械的特性を向上させることができることが分かる。
【0071】
以上実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、本実施例では配合剤として老化防止剤を配合したが、それ以外にも、ハロゲン元素を含有しない酸化防止剤、金属不活性剤(銅外防止剤等)、加工助剤(滑剤、ワックス等)、着色剤、難燃助剤(ホウ酸亜鉛、シリコン系難燃剤等)等の配合剤を特性を低下させない範囲で適宜配合しても良く、特に限定されるものではない。
【0072】
【発明の効果】
本発明に係る難燃性樹脂組成物は、オレフィン系熱可塑性エラストマー10〜93重量部、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリスチレン1〜20重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー5〜40重量部及びプロピレン系樹脂1〜30重量部の混合割合で混合されてなる混合物合計100重量部に対して、金属水和物を30〜200重量部配合したものからなっているので、燃焼時にハロゲン系ガスを発生することなく、十分な難燃性を有するとともに、優れた機械的特性、柔軟性及び加工性を兼ね備えているという効果がある。
【0073】
また、スチレン系熱可塑性エラストマーとして、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性スチレン系熱可塑性エラストマーを用いた場合には、変性ポリスチレンとの相乗効果により、更に機械的特性を向上させることができるという効果がある。

Claims (2)

  1. オレフィン系熱可塑性エラストマー10〜93重量部、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリスチレン1〜20重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー5〜40重量部及びプロピレン系樹脂1〜30重量部の混合割合で混合されてなる混合物合計100重量部に対して、金属水和物を30〜200重量部配合したことを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 前記スチレン系熱可塑性エラストマーは、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性スチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
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