JP2007153963A - 電線・ケーブルの難燃性シース材料および舶用電線・ケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】好ましい電線・ケーブル用の難燃性シース材料を提供すること。
【解決手段】VAの含有量が50〜70質量%のEVA100質量部に対し、金属水酸化物が50〜150質量部、赤燐が3〜10質量部、シラン系増粘剤が5〜15質量部からなる難燃性樹脂組成物であって、前記金属水酸化物の添加量が90〜50質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を100質量部から10質量部減量するごとに前記赤燐を、その最小添加量である3質量部に対して1質量部の割合で増加させて添加し、かつ金属水酸化物が100〜150質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を90質量部から10質量部増加するごとに前記シラン系増粘剤を、その最大添加量である15質量部に対して1質量部の割合で減少させて添加した難燃性樹脂組成物からなる電線・ケーブルの難燃性シース材料とすることによって、解決される。
【選択図】なし
【解決手段】VAの含有量が50〜70質量%のEVA100質量部に対し、金属水酸化物が50〜150質量部、赤燐が3〜10質量部、シラン系増粘剤が5〜15質量部からなる難燃性樹脂組成物であって、前記金属水酸化物の添加量が90〜50質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を100質量部から10質量部減量するごとに前記赤燐を、その最小添加量である3質量部に対して1質量部の割合で増加させて添加し、かつ金属水酸化物が100〜150質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を90質量部から10質量部増加するごとに前記シラン系増粘剤を、その最大添加量である15質量部に対して1質量部の割合で減少させて添加した難燃性樹脂組成物からなる電線・ケーブルの難燃性シース材料とすることによって、解決される。
【選択図】なし
Description
本発明は、ノンハロゲンの電線・ケーブル用難燃性シース材料およびそれを難燃性シースとして用いた舶用電線・ケーブルに関するものである。
燃焼時に有害なハロゲンガスを発生しないいわゆるハロゲンフリーの難燃性電線・ケーブルとしては、導体上にポリオレフィン等の樹脂およびハロゲンフリーの難燃剤からなる難燃性樹脂組成物を被覆してなるものが知られている。そしてこのような難燃性樹脂組成物の難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物を用いるのが一般的となっている。しかし、金属水酸化物自体の難燃効果はハロゲン系の難燃剤に比較するとそれ程大きくないため十分な難燃性を得ようとする場合には金属水酸化物を多量に配合することが必要で、このような金属水酸化物の多量の配合は電気的特性の低下の問題、また樹脂組成物のせん断粘度を上昇させ押出し成形性の低下や成形品の外観不良等を招き、さらに樹脂組成物の硬度や曲げ弾性率等の機械的特性も増大させるので、可とう性に乏しい絶縁電線・ケーブルとなる等の問題がある。また、ポリオレフィン系の難燃性樹脂組成物は耐熱性が不十分であったり、押出し加工をしながら架橋する場合には特別な装置が必要である等の問題もあった。さらに絶縁電線・ケーブルの難燃性シース材料の場合には、引張特性等の機械的特性に優れ、高度なノンハロゲンの難燃性を要求されたり、ゴムの押出し加工ラインによっても押出し加工性や架橋性が良好な難燃性樹脂組成物が要求される。特に舶用電線の場合には、耐油性にも優れていることが定められている。
前記に対応する難燃性樹脂組成物が、特許文献1に見られる。すなわち、電線被覆難燃性シース用難燃性樹脂組成物として、酢酸ビニル含有量が30〜70重量%であって、かつ100℃のムーニー粘度が5〜65であるゴム状のエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウム70〜250重量部、含リンチタネートカップリング剤0.2〜3重量部並びにヒンダードフェノール系及び/又はアミン系老化防止剤を0.1〜5重量部添加した難燃性樹脂組成物である。そしてこの難燃性樹脂組成物は、ハロゲンフリーであって、機械的特性と電気的特性を付与したものであるとしている。しかしながら、前記の電線被覆難燃性シース用難燃性樹脂組成物は、難燃性の指標であるOIが足らず、未架橋であるために耐油性が不足し、また押出し加工性の点に於いても弾性が低すぎてゴム製造ラインでの押出しが不可能であった。
特公平6−27225号公報
よって本発明が解決しようとする課題は、ノンハロゲンの高難燃性を有し引張特性に優れ、また耐油性を有すると共に加工性にも優れた電線・ケーブルの難燃性シース材料を提供することにある。そして、特に前記難燃性シース材料を用いることによって、ノンハロゲンの高難燃性(OIが35以上)、引張特性(強度が9.5MPa以上、伸びが200%以上)並びに耐油性(強度の残率および伸びの残率が±40%以内)に優れた舶用電線・ケーブルを提供することにある。
前記解決しようとする課題は、請求項1に記載されるように、酢酸ビニルの含有量が50〜70質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体100質量部に対し、金属水酸化物が50〜150質量部、赤燐が3〜10質量部、シラン系増粘剤が5〜15質量部からなる難燃性樹脂組成物であって、前記金属水酸化物の添加量が90〜50質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を100質量部から10質量部減量するごとに、前記赤燐をその最小添加量である3質量部に対して1質量部の割合で増加させて添加し、かつ金属水酸化物が100〜150質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を90質量部から10質量部増加するごとに、前記シラン系増粘剤をその最大添加量である15質量部に対して1質量部の割合で減少させて添加した難燃性樹脂組成物からなる電線・ケーブルの難燃性シース材料とすることによって、解決される。特に請求項2に記載されるように、前記金属水酸化物として水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウムを用いた請求項1に記載の電線・ケーブルの難燃性シース材料とすることによって、解決される。
さらに請求項3に記載されるように、前記請求項1または2に記載の電線・ケーブルの難燃性シース材料を、難燃性シースとして被覆形成した舶用電線・ケーブルとすることによって、解決される。
酢酸ビニル(以下VA)の含有量が50〜70質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下EVA)100質量部に対し、金属水酸化物が50〜150質量部、赤燐が3〜10質量部、シラン系増粘剤が5〜15質量部からなる難燃性樹脂組成物であって、前記金属水酸化物の添加量が90〜50質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を100質量部から10質量部減量するごとに、前記赤燐をその最小添加量である3質量部に対して1質量部の割合で増加させて添加し、かつ金属水酸化物が100〜150質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を90質量部から10質量部増加するごとに、前記シラン系増粘剤をその最大添加量である15質量部に対して1質量部の割合で減少させて添加した難燃性樹脂組成物からなる電線・ケーブルの難燃性シース材料としたので、ノンハロゲンの高難燃性を有し、引張特性に優れ、耐油性を有すると共に加工性にも優れた電線・ケーブルの難燃性シース材料を提供することにある。特に前記金属水酸化物を水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウムとすることによって、前述の効果を確実に確保することができる。
また前記電線・ケーブルの難燃性シース材料を、難燃性シースとして被覆した舶用電線・ケーブルとしたので、ノンハロゲンの高難燃性(OIが35以上)、引張特性(強度が9.5MPa以上、伸びが200%以上)並びに耐油性(強度の残率および伸びの残率が±40%以内)に優れた舶用電線・ケーブルを提供できる。
以下に本発明を詳細に説明する。請求項1に記載される本発明は、VAの含有量が50〜70質量%のEVA100質量部に対し、金属水酸化物が50〜150質量部、赤燐が3〜10質量部、シラン系増粘剤が5〜15質量部からなる難燃性樹脂組成物であって、前記金属水酸化物の添加量が90〜50質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を100質量部から10質量部減量するごとに、前記赤燐をその最小添加量である3質量部に対して1質量部の割合で増加させて添加し、かつ金属水酸化物が100〜150質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を90質量部から10質量部増加するごとに、前記シラン系増粘剤をその最大添加量である15質量部に対して1質量部の割合で減少させて添加した難燃性樹脂組成物からなる電線・ケーブルの難燃性シース材料である。
まず、難燃性樹脂組成物のベース樹脂となるEVAについて述べる。ここで用いるEVAは、VAの含有量が50〜70質量%のEVAである。これは、一般的に使用されているEVAに比べてVA含有量が高く、ゴム弾性を示しまた柔軟性に富むものである。このために、通常のゴム製造ラインによって押出し架橋を行なうことが可能となる。またVA含有量が50〜70質量%と極性部位を多く含むために、耐油性に優れたものとなる。さらには、VA含有量の高いEVAは燃焼時に不燃性のガスを多く発生することになり、難燃性も高くなる。これらのことは、特に舶用電線・ケーブルの難燃性シース材料として有用である。このようなEVAとしては、バイエル社のレバプレン700(VA含有量が70質量%)、レバプレン500(VA含有量が50質量%)等がある。
そして、本発明の難燃剤としては金属水酸化物および赤燐が使用されるが、金属水酸化物としては、請求項2に記載されるように水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが好ましい。特に水酸化マグネシウムとしては、合成水酸化マグネシウム、天然水酸化マグネシウムを、単独でもしくは組合わせて用いても良いし、粒子径を粒子径5μm以下で、平均粒子径2〜4μmのものを用いるのが好ましい。また前記金属水酸化物は、その表面を脂肪酸類、シランカップリング剤等によって表面処理したものを用いるのが好ましい。そしてその添加量は、50質量部未満ではOIが35以上の難燃性とならず、また150質量部を超えると特に引張伸びが低下し、押出し加工性も悪くなる。
また赤燐としては、リン工業社の商品名ノーバレット等が使用される。その添加量は、3質量部未満ではOIが35以上の難燃性に寄与せず、10質量部を超えて添加しても効果の向上は見られず、コスト的に不利になる。そして、種々の実験から前記赤燐の添加量は、前記金属水酸化物の添加量が90〜50質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を100質量部から10質量部減量するごとに、赤燐の最小添加量である3質量部に対して1質量部の割合で増加させて添加するのが良いことが確認された。このような配合組成とすることによって、ノンハロゲンで酸素指数(以下OI)が35以上の高難燃性を得ることが可能となる。また、難燃剤の添加量を低下させることによって、押出し加工性をより向上させることが可能となる。
以下に実験結果を説明する。すなわち、表1および表2に記載する実験例によって、引張強度および引張伸び、OI、耐油性(強度の残率および伸びの残率)、また、難燃性樹脂組成物の押出し加工性の目安として100℃におけるムーニー粘度を測定した結果、表1の実験例1〜16に示すように、シラン系増粘剤が5〜15質量部の範囲に於いては、水酸化マグネシウム(キスマ5A)、水酸化アルミニウム(ハイジライト)共に100〜150質量部、赤燐が3〜10質量部の範囲で、ノンハロゲンであって、OI、引張強度および引張伸びに優れ、また耐油性にも優れると共にムーニー粘度が好ましく加工性に優れた電線・ケーブルの難燃性シース材料とすることが判る。これに対して、実験例17〜24から明らかなとおり、シラン系増粘剤が5〜15質量部の範囲に於いては、水酸化マグネシウム(キスマ5A)、水酸化アルミニウム(ハイジライト)共に50質量部および90質量部の場合には、赤燐の添加量が7質量部および3質量部でOIが低く難燃性が問題になることが確認された。なお、試験方法等は後述する実施例や比較例の場合と同様である。
さらに表2に示す実験例から明らかなように、前記金属水酸化物の添加量が90〜50質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を100質量部から10質量部減量するごとに、前記赤燐をその最小添加量である3質量部に対して1質量部の割合で増加させて添加させることが良いことが確認された。すなわち、実験例25〜34に示すように、シラン系増粘剤の量を5質量部としたときには、水酸化マグネシウム(キスマ5A)、水酸化アルミニウム(ハイジライト)共にその添加量が50質量部の場合には赤燐を8質量部、60質量部の場合には赤燐を7質量部、70質量部の場合には赤燐を6質量部、80質量部の場合には赤燐を5質量部、90質量部の場合には赤燐を4質量部と減量することによって、ノンハロゲンであってOI、引張強度および引張伸びに優れ、また耐油性にも優れると共にムーニー粘度が好ましく加工性に優れた電線・ケーブルの難燃性シース材料となることが判る。また実験例35〜44に示すように、シラン系増粘剤の量を15質量部としたときにも、水酸化マグネシウム(キスマ5A)、水酸化アルミニウム(ハイジライト)共にその添加量が50質量部の場合には赤燐を8質量部、60質量部の場合には赤燐を7質量部、70質量部の場合には赤燐を6質量部、80質量部の場合には赤燐を5質量部、90質量部の場合には赤燐を4質量部と減量することによって、シラン系増粘剤の量を5質量部とした場合と同様にノンハロゲンであって、OI、引張強度および引張伸びに優れ、また耐油性にも優れると共にムーニー粘度が好ましく加工性に優れた電線・ケーブルの難燃性シース材料となることが判る。
また、前記難燃性樹脂組成物に機械的な補強効果を持たせるために、シラン系増粘剤が5〜15質量部添加されが、このような添加量とするのは、5質量未満では特に引張強度が不足し、また15質量部を超えて添加しても効果がそれ程向上せず、コスト的にもメリットがないためである。そして、このシラン系増粘剤の添加量も金属水酸化物が100〜150質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を90質量部から10質量部増加するごとに、シラン系増粘剤の最大添加量である15質量部に対して1質量部の割合で減少させて添加するのが良いことが確認された。すなわち、表3および表4に記載する実験例によって、引張強度および引張伸び、OI、耐油性(強度の残率および伸びの残率)、また難燃性樹脂組成物の押出し加工性の目安として、100℃におけるムーニー粘度を測定した結果から明らかである。なお、試験方法等は後述する実施例や比較例の場合と同様である。
表3の実験例45〜60から明らかなように、金属水酸化物が90〜50質量部の範囲に於いては、赤燐が3〜10質量部、シラン系増粘剤が5〜15質量部の範囲とすることによって、ノンハロゲンのOIが高い難燃性であり、引張強度、引張伸びに優れ、耐油性(強度の残率および伸びの残率)にも優れると共に100℃のムーニー粘度が適切で押出し加工性に優れた電線・ケーブルの難燃性シース材料であることが判る。これに対して、実験例61〜68から明らかなとおり、赤燐が3〜10質量部の範囲では水酸化マグネシウム(キスマ5A)、水酸化アルミニウム(ハイジライト)共に100質量部および150質量部に於いては、本発明の範囲に入るシラン系増粘剤の添加量(14質量部および11質量部)であっても、難燃性の指標としたOIが35未満と低くなり、またムーニー粘度が30〜45から外れて加工性が悪いことが確認された。
そして表4の実験例から明らかなように、金属水酸化物が100〜150質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を90質量部から10質量部増加するごとに、前記シラン系増粘剤をその最大添加量である15質量部に対して1質量部の割合で減少させて添加するのが良いことが判る。すなわち実験例69〜80に示すように、赤燐の添加量を3質量部としたときには、水酸化マグネシウム(キスマ5A)、水酸化アルミニウム(ハイジライト)共にその添加量が100質量部の場合にはシラン系増粘剤を15質量部、110質量部の場合には14質量部、120質量部の場合には13質量部、130質量部の場合には12質量部、140質量部の場合には11質量部、150質量部の場合には10質量部と減量することによって、ノンハロゲンであってOI、引張強度および引張伸びに優れ、また耐油性にも優れると共にムーニー粘度が好ましく加工性に優れた電線・ケーブルの難燃性シース材料となることが判る。また、実験例81〜92に示すように、赤燐の添加量を10質量部としたときには、水酸化マグネシウム(キスマ5A)、水酸化アルミニウム(ハイジライト)共にその添加量が100質量部の場合にはシラン系増粘剤を15質量部、110質量部の場合には14質量部、120質量部の場合には13質量部、130質量部の場合には12質量部、140質量部の場合には11質量部、150質量部の場合には10質量部と減量することによって、赤燐の量を3質量部とした場合と同様にノンハロゲンであって、OI、引張強度および引張伸びに優れ、また耐油性にも優れると共にムーニー粘度が好ましく加工性に優れた電線・ケーブルの難燃性シース材料となることが判る。
以上のようなEVAをベース樹脂とする難燃性樹脂組成物は、通常有機過酸化物によって架橋される。具体的な有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド(以下DCP)、ターシャリーブチルクミルパーオキサイド、α,α´ビス−ターシャリーブチルパーオキシ−m−イソプロピルベンゼン等が挙げられる。また有機過酸化物の添加量は、EVA100質量部に対して2質量部までとされる。これは、2質量部を超えて添加しても架橋による効果が期待できないためである。さらに架橋助剤として、日本化成社のTAIC(トリアリルイソシアヌレート)等が、EVA100質量部に対して0.5質量部まで添加される。また耐候性剤としてHALS(ヒンダートアミンライトスタビライザー)が、EVA100質量部に対して0.2質量部まで添加される。具体的には、チバスペシャリティケミカル社のチソープ622等を挙げることができる。さらに、カーボンブラックが顔料として添加される。また必要に応じて種々の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合しても良い。このようにして得られた本発明の電線・ケーブルの難燃性シース材料は、ノンハロゲンの高難燃性を有し、引張特性に優れ、耐油性を有すると共に加工性にも優れた材料である。そしてこの難燃性シース材料は、前述した各成分を二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど通常用いられる混練機で溶融・混練して得られる。得られた難燃性シース材料は、通常用いられる電線製造用の押出し成形機を用いて絶縁心線上にシースとして押出し被覆することによって、難燃性電線・ケーブルとすることができる。
そして、前記難燃性シース材料は請求項3に記載されるように、前記請求項1または2に記載の電線・ケーブルの難燃性シース材料を、難燃性シースとして被覆形成した電線・ケーブルとすることによって、舶用電線・ケーブルとして有用となる。舶用電線・ケーブルは、船舶等に使用される汎用の電線・ケーブルであるが、舶用電線規格であるIEC60092−359に合格することが必要であり、その設置環境によっては特に、耐油性に優れていることが必要とされる。本発明の難燃性シース材料をシースとして被覆した舶用電線・ケーブルは、ノンハロゲンの高難燃性(OIが35以上)、引張特性(強度が9.5MPa以上、伸びが200%以上)並びに耐油性(強度の残率および伸びの残率が±40%以内)に優れたものであるから、舶用電線・ケーブルとして種々の船舶用に使用できる。
表5に記載する実施例、表6に記載した比較例の各配合成分の難燃性シース材料を、架橋ゴム絶縁心線上に難燃性シースとして押出し被覆して舶用電線を作製し、本発明の効果を確認した。各配合成分としては、EVAとしてバイエル社のレバプレン700(VA含有量70vol%)、水酸化マグネシウムとして協和化学社のキスマ5A(脂肪酸表面処理)、水酸化アルミニウムとして昭和電工社のハイジライト、赤燐としてリン工業社のノーバレド、シラン系増粘剤として日本アエロジル社のアエロジル、架橋剤として日本油脂社のDCP(ジクミルパーオキサイド)、耐候性剤(HALS)としてチバスペシャリティケミカル社のチソープ622、架橋助剤として日本化成社のTAICを用いた。
これらの試料について、JIS K6251に準拠して引張強度(MPa)および引張伸び(%)を測定した。引張強度が9.0MPa以上、引張伸びが200%以上を合格として○印で記載した。また難燃性の目安として、OIを東洋精機社のD形キャンドル式燃焼試験機を用いて測定し、OIが35以上のものを合格として○印で記載した。さらに耐油性について、舶用電線規格IEC60092−359、SHF−2による強度の残率および伸びの残率を測定した。それぞれの残率が±40%以内を合格として、○印で記載した。また、難燃性樹脂組成物の押出し加工性の目安として、100℃におけるムーニー粘度を島津製作所社製のMooney Viscometer SMV−202によって測定し、ムーニー粘度が30〜45を合格として○印で記載した。実施例の結果を表5に、比較例の結果を表6に示した。
表5に示した実施例1〜22から明らかなとおり、本発明は、VAの含有量が50〜70質量%のEVA100質量部に対し、金属水酸化物が50〜150質量部、赤燐が3〜10質量部、シラン系増粘剤が5〜15質量部からなる難燃性樹脂組成物であって、前記金属水酸化物の添加量が90〜50質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を100質量部から10質量部減量するごとに、前記赤燐をその最小添加量である3質量部に対して1質量部の割合で増加させて添加し、かつ金属水酸化物が100〜150質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を90質量部から10質量部増加するごとに、前記シラン系増粘剤をその最大添加量である15質量部に対して1質量部の割合で減少させて添加した難燃性樹脂組成物からなる電線・ケーブルの難燃性シース材料であるから、引張強度は9.0MPa以上、引張伸びは200%以上で、難燃性の目安としたOIが35以上であり、耐油性についても強度の残率および伸びの残率が±40%以内のものであった。また、押出し加工性の目安とした100℃におけるムーニー粘度も30〜45と良好なものである。
これに対して表6に示した比較例では、引張強度、引張伸び、難燃性の目安としたOI、耐油性に関する強度の残率および伸びの残率、および押出し加工性の目安とした100℃におけるムーニー粘度のいずれかが不合格となった。詳細に述べる。比較例1〜4に示すように、水酸化マグネシウム並びに水酸化マグネシウムの添加量が40質量部と少ないと、OIが不合格となる。また、比較例5〜8のように、水酸化マグネシウム並びに水酸化マグネシウムの添加量が160質量部と多くなると、引張伸びが不合格となる。さらに、比較例9および10のように、赤燐の添加量が2質量部と少ないと、水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム共にOIが不合格となる。また比較例11および12のように、シラン系増粘剤の添加量が4質量部と少ないと、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム共に、ムーニー粘度が小さく押出し加工性が悪くなる。さらに、比較例13、14および比較例16および17のように金属水酸化物の種類が異なってもシラン系増粘剤の添加量が16質量部と多くなると、赤燐が3質量部或いは10質量部であっても引張伸びが不合格となり、またムーニー粘度が大きくなって押出し加工性が悪くなる。また比較例15或いは18のように、金属水酸化物が50質量部あって赤燐を10質量部としても、シラン系増粘剤の添加量が16質量部と多くなると引張伸びが不合格となり、またムーニー粘度が大きくなって押出し加工性が悪くなった。
本発明の難燃性シース材料は、種々の難燃性電線・ケーブル用の難燃性シース材料として使用される。また押出し加工性にも優れているので、製造上からも有利である。特に、この難燃性シース材料を難燃性シースに用いた舶用電線・ケーブルは、ノンハロゲンで高い難燃性を有し、引張特性や耐油性に優れたものである。
Claims (3)
- 酢酸ビニルの含有量が50〜70質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体100質量部に対し、金属水酸化物が50〜150質量部、赤燐が3〜10質量部、シラン系増粘剤が5〜15質量部からなる難燃性樹脂組成物であって、前記金属水酸化物の添加量が90〜50質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を100質量部から10質量部減量するごとに、前記赤燐をその最小添加量である3質量部に対して1質量部の割合で増加させて添加し、かつ金属水酸化物が100〜150質量部の範囲に於いては、金属水酸化物の添加量を90質量部から10質量部増加するごとに、前記シラン系増粘剤をその最大添加量である15質量部に対して1質量部の割合で減少させて添加した難燃性樹脂組成物からなることを特徴とする電線・ケーブルの難燃性シース材料。
- 前記金属水酸化物が水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載の電線・ケーブルの難燃性シース材料。
- 前記請求項1または2に記載の電線・ケーブルの難燃性シース材料を、難燃性シースとして被覆形成したことを特徴とする舶用電線・ケーブル。
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CN108129742A (zh) * | 2017-12-20 | 2018-06-08 | 苏州希普拉斯新材料有限公司 | 高阻燃热塑性低烟无卤聚烯烃材料 |
CN108559165A (zh) * | 2017-12-20 | 2018-09-21 | 苏州希普拉斯新材料有限公司 | 高阻燃热塑性低烟无卤聚烯烃材料的制备工艺 |
CN112143032A (zh) * | 2019-06-28 | 2020-12-29 | 合肥杰事杰新材料股份有限公司 | 一种改性氢氧化铝、阻燃聚氯乙烯材料及其制备方法 |
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2005
- 2005-12-01 JP JP2005348123A patent/JP2007153963A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108129742A (zh) * | 2017-12-20 | 2018-06-08 | 苏州希普拉斯新材料有限公司 | 高阻燃热塑性低烟无卤聚烯烃材料 |
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