JP2006124594A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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英彦 松尾
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Abstract

【課題】成形加工時又は燃焼時にハロゲン系ガスを発生せず、しかも高い機械的強度、柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性等の特性と難燃性特性を有する難燃性樹脂組成物を提供する。さらに詳しくは、自動車電線、電源コード及び機器電線等の被覆材料として有用な難燃性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記の(a)〜(e)の構成要素からなる樹脂(A)に対し、金属水酸化物(B)を、さらに必要に応じてオルガノポリシロキサン(C)を配合して、難燃性樹脂組成物を得る。(a)ポリプロピレン樹脂、(b)スチレン系熱可塑性エラストマー(b2)と変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b1)である混合スチレン系熱可塑性エラストマー、(c)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、(d)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体、(e)エチレン−酢酸ビニル共重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形加工時又は燃焼時にハロゲン系ガスが発生せず、しかも高い機械的強度、柔軟性及び難燃性を有する難燃性樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、自動車電線、電源コード及び機器電線等の被覆材料として有用な難燃性樹脂組成物に関するものである。
ケーブルシース、ワイヤーハーネス、家電製品及びその部品、自動車部品等に使用される材料には難燃性が求められている。
この難燃材料にポリオレフィン系樹脂を用いる場合、係る難燃性付与の方法として、従来、ポリオレフィン系樹脂にハロゲン含有物を配合して難燃化する方法が一般的に採用されていた。しかし、この方法は成形加工時又は燃焼時にハロゲン化水素ガスが発生する問題があった。一方、ポリオレフィン系樹脂に金属水酸化物を配合し難燃化する方法も提案されている。しかし、この方法は、成形加工時又は燃焼時にハロゲン化水素ガスの発生の問題は無いものの、金属水酸化物の配合により難燃材料の機械的強度が著しく損なわれる等の問題があった。
さらに、金属水酸化物配合によりポリオレフィン類を難燃化する方法は、得られた難燃性樹脂組成物が電線類に使用される場合、組成物に要求される機械的物性及び難燃性は用途によって様々に厳しく規定若しくは要求されており、これらの規定等を押しなべて満足し得る組成物を得るのは困難であった。
それら規定等の例として、難燃性においては、自動車電線の場合は水平難燃性、電源コードの場合は60度傾斜難燃性及び機器電線の場合は垂直難燃性を満たすことが求められ、係る要求を満たすために金属水酸化物を配合すると、機械的強度、柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性等を満足することができないという相反した問題があった。
この問題を解決するため多くの提案がある。例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーとエチレン−α−オレフィンコポリマー、若しくはプロピレン相とオレフィン共重合体ゴム相とのブロックコポリマーとをベース樹脂とし、これに金属水酸化物を配合する難燃性樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)、水素添加ビニル芳香族系ブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン系熱可塑性エラストマー、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、パラフィンオイルからなる樹脂に金属水酸化物を配合する難燃性樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、水素添加ビニル芳香族系ブロック共重合体、ポリプロピレン、酸変性ポリオレフィンからなる樹脂に金属水酸化物を配合する難燃性樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)が開示されている。しかし、係る提案においても、上記問題は満足には解決されず、しかも用途によって異なる規定等を押しなべて満足できるものはなかった。
特許第3047911号公報 (第1頁) 特開2002−167494号公報 (第1頁) 特開2002−226641号公報 (第1頁)
本発明の目的は、成形加工時又は燃焼時にハロゲン系ガスを発生せず、しかも高い機械的強度、柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性等の特性と難燃性特性を有する難燃性樹脂組成物を提供することにある、さらに詳しくは、自動車電線、電源コード及び機器電線等の被覆材料として有用な難燃性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の樹脂成分を構成要素とする樹脂に金属水酸化物を配合した難燃性樹脂組成物は、成形加工時又は燃焼時にハロゲン系ガスを発生せず、且つ電線の被覆材料として要求される高い機械的強度、柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性等の特性と難燃性特性を合せ有することを見出し本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、下記の(a)〜(e)の構成要素からなる樹脂(A)100重量部に対し、金属水酸化物(B)を80〜300重量部配合したことを特徴とする難燃性樹脂組成物、及びそれを用いてなる電線に関するものである。
(a)ポリプロピレン樹脂:5〜50重量%、
(b)カルボン酸基、その無水物、そのエステル、グリシジルメタクリレート基、又はアミノ基の群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性スチレン系熱可塑性エラストマー:20〜70重量%、
(c)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂:5〜30重量%、
(d)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体:5〜30重量%、
(e)JIS K6924−1(1998年版)に準拠し測定した酢酸ビニル含有量が20〜45重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体:5〜40重量%。
本発明は、成形加工時又は燃焼時にハロゲン系ガスを発生せず、しかも高い機械的強度、柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性等の特性と難燃性特性を合せ有する難燃性樹脂組成物を提供する。さらに詳しくは、自動車電線、電源コード及び機器電線等の被覆材料として有用な難燃性樹脂組成物を提供する。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の難燃性樹脂組成物を構成する樹脂(A)の構成要素について述べる。
「(a)ポリプロピレン樹脂」
本発明で用いる樹脂(A)を構成するポリプロピレン樹脂(a)は、プロピレンを主体とする樹脂であれば特に限定はない。係る樹脂(a)の例として、プロピレンの単独重合体であるホモポリマー;プロピレンとエチレン及びブテン、ヘキセン等の炭素数4以上のオレフィンモノマーの1種又は2種以上とをランダムに共重合させたランダムコポリマー;ポリプロピレンのマトリックス中に、プロピレンとエチレン及びブテン、ヘキセン等の炭素数4以上のオレフィンモノマーの1種又は2種以上とをランダムに共重合させたランダムコポリマーのドメインを有するブロックコポリマー等;若しくはこれらポリプロピレン樹脂の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。中でも、本発明の難燃性樹脂組成物が良好な柔軟性を有するためにはブロックコポリマーが好ましい。
また、ポリプロピレン樹脂(a)は、本発明の難燃性樹脂組成物が良好な機械的強度及び、電線成形性を有するために、そのメルトフローレイト(JIS K6921−1(1998年版)に準拠、測定条件:温度230℃、荷重21.18N)が0.1〜10g/分であることが好ましい。
本発明における樹脂(A)においてポリプロピレン樹脂(a)の構成比率は5〜50重量%である。構成比率が5重量%未満では、得られる難燃性樹脂組成物が機械的強度、耐摩耗性、耐傷付き性に劣り、一方、50重量%より多いと該難燃性樹脂組成物の柔軟性が低下する。なお、このポリプロピレン樹脂(a)の構成比率は、好ましくは5〜40重量%であり、さらに好ましくは5〜25重量%である。
「(b)変性スチレン系熱可塑性エラストマー」
本発明で用いる樹脂(A)を構成する変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b)は、未変性スチレン系熱可塑性エラストマーを、カルボン酸基、その無水物、そのエステル、、グリシジルメタクリレートグリシジルメタクリレート基、又はアミノ基の群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性した変性スチレン系熱可塑性エラストマーである。
ここで、変性スチレン系熱可塑性エラストマー(以下、「変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b1)」と称することもある。)の基材となる未変性スチレン系熱可塑性エラストマー(以下、「未変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b2)」と称することもある。)について述べる。
未変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b2)は、スチレン系モノマーとオレフィン系モノマーとのブロック共重合体、及びその水素添加物であれば特に限定はない。スチレン系モノマーの例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上が用いられる。又、オレフィン系モノマーの例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン等のモノエン類、ブタジエン、イソプレン等のジエン類等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上が用いられる。未変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b2)の具体例としては、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体、スチレンとイソプレンとのブロック共重合体等が挙げられる。中でも、未変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b2)の長期熱安定性の面から、分子鎖中のオレフィン性二重結合を水素添加により飽和させた、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの具体的な例としては、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン(以下、「SEBS」と称す。)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレン(以下、「SEPS」と称す。)等が挙げられる。
本発明で用いる樹脂(A)を構成する変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b)は、係る未変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b2)を、前述のように、カルボン酸基、その無水物、そのエステル、グリシジルメタクリレート基、又はアミノ基の群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性したものである。変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b)に特に限定はないが、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート基又はアミノ基で変性されたSEBSやSEPSが工業的に入手が容易なため好ましい。
又、変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b)は、本発明の難燃性樹脂組成物の機械的強度を向上させるために、さらに未変性スチレン系熱可塑性エラストマーとの混合物であり、その混合比率(未変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b2)/変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b1))が9(重量比)以下であるものが好ましい。
更に、樹脂(A)の他の構成要素(a)、(c)、(d)、及び(e)との相溶化を促進させ、本発明の難燃性樹脂組成物の柔軟性を高くするために、変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b1)及び/又は未変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b2)のスチレン含有量は20重量%以下が好ましい。
本発明における樹脂(A)において、変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b)の構成比率は、20〜70重量%、好ましくは25〜55重量%、さらに好ましくは30〜50重量%である。構成比率が20重量%未満では得られる難燃性樹脂組成物の柔軟性が低下し、一方70重量%より多いと該難燃性樹脂組成物の機械的強度、耐摩耗性、耐傷付き性が劣る。
「(c)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂」
本発明で用いる樹脂(A)を構成する直鎖状低密度ポリエチレン(c)は、構成要素(a)、(b)、(d)及び(e)相互の相溶化を促進させるために用いられ、直鎖状低密度ポリエチレンであれば特に限定はない。係る樹脂(c)の例として、本発明の難燃性樹脂組成物が良好な機械的強度、電線成形性を有するために、メルトフローレイト(JIS K6922−1(1998年版)に準拠、測定条件:温度190℃、荷重21.18N)が0.5〜10g/10分、密度(JIS K6922−1(1998年版)に準拠)が0.940g/cm3以下である直鎖状低密度ポリエチレンが好ましく、密度が0.920g/cm3以下のものがさらに好ましい。
本発明における樹脂(A)において直鎖状低密度ポリエチレン(c)の構成比率は、5〜30重量%、好ましくは、5〜20重量%、さらに好ましくは、5〜15重量%である。5重量%未満では構成要素(a)、(b)、(d)及び(e)相互の相溶化が不足し、得られる難燃性樹脂組成物の難燃性及び機械的強度、耐摩耗性が低下し、一方、30重量%より多いと該難燃性樹脂組成物の柔軟性が低下する。
「(d)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体」
本発明で用いる樹脂(A)を構成するエチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d)は、難燃性樹脂組成物の難燃性を向上させるために用いられ、下記一般式(1)式で示される繰返し単位からなる共重合体である。
Figure 2006124594
(1)式において、l+m+n=1であり、R1は炭素数1〜10の炭化水素基である。本発明の難燃性樹脂組成物が良好な機械的強度及び難燃性を有するために、l、m及びnは、l=0.60〜0.95、m=0.01〜0.39、n=0.01〜0.40であることが好ましい。
エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d)の製法は特に限定はない。例えば、エチレン、脂肪酸ビニルエステル、及びビニルアルコールの各モノマーを共重合する方法、エチレン−脂肪酸ビニル共重合樹脂を鹸化する方法等が挙げられる。中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の鹸化物は工業的に入手が容易なため好ましい。
本発明における樹脂(A)においてエチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d)の構成比率は5〜30重量%である。構成比率が5重量%より少ないと得られる難燃性樹脂組成物の難燃性が劣り、一方、30重量%より多いと該難燃性樹脂組成物の機械的強度、耐傷付き性が劣る。なお、このエチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(d)の構成比率は、好ましくは5〜25重量%であり、さらに好ましくは5〜10重量%である。
「(e)エチレン−酢酸ビニル共重合体」
本発明で用いる樹脂(A)を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体(e)は、難燃性樹脂組成物の柔軟性と難燃性を向上させるために用いられ、JIS K6924−1(1998年版)に準拠し測定した酢酸ビニル含有量が20〜45重量%、好ましくは20〜42重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体であれば特に限定はない。エチレン−酢酸ビニル共重合体(e)の酢酸ビニル含有量が20重量%より小さいと、難燃性樹脂組成物の柔軟性、難燃性に劣り、一方、酢酸ビニル含有量が45重量%より大きいと、難燃性樹脂組成物の機械的強度が低下する。
又、エチレン−酢酸ビニル共重合体(e)は、良好な難燃性樹脂組成物の機械的強度、電線の成形性を得るために、そのメルトフローレイト(JIS K6924−1(1998年版)に準拠、測定条件:温度190℃、荷重21.18N)が0.1〜10g/10分の範囲であることが好ましい。
樹脂(A)におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体(e)の構成比率は、5〜40重量%、好ましくは5〜35重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。構成比率が5重量%より少ないと難燃性樹脂組成物の難燃性が劣り、一方40重量%より多いと難燃性樹脂組成物の機械的強度、耐傷付き性が劣る。
なお、本発明の難燃性樹脂組成物は、その機械的強度、柔軟性、耐摩耗性及び耐傷付き性等の向上のために、該難燃性樹脂組成物を構成する樹脂(A)に下記の樹脂(f1)及び/又は(f2)を樹脂(A)の構成要素としてさらに加えるのが好ましい。
(f1):カルボン酸基、その無水物、そのエステル、又はグリシジルメタクリレート基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性ポリプロピレン樹脂
(f2):カルボン酸基、その無水物、そのエステル、又はグリシジルメタクリレート基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂。
係る樹脂(f1)及び/又は(f2)が樹脂(A)に含まれる量は、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下、特に好ましくは5〜15重量%である。
係る変性ポリプロピレン樹脂(f1)は、前述の(a)ポリプロピレン樹脂で説明したポリプロピレン樹脂を、カルボン酸基、その無水物、そのエステル、又はグリシジルメタクリレート基の群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性した変性ポリプロピレン樹脂であれば特に限定はない。なお、本発明の難燃性樹脂組成物が良好な機械的強度、電線の成形性を有するめに、変性ポリプロピレン樹脂(f1)のメルトフローレイト(JIS K6921−1(1998年版)に準拠、測定条件:温度230℃、荷重21.18N)は0.1〜30g/分の範囲のものが好ましい。
又、係る変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(f2)は、前述の(c)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂で説明した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を、カルボン酸基、その無水物、そのエステル、又はグリシジルメタクリレート基の群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性した変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であれば特に限定はない。なお、本発明の難燃性樹脂組成物が良好な機械的強度、電線の成形性を有するために、変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(f2)のメルトフローレイト(JIS K6922−1(1998年版)に準拠、測定条件:温度190℃、荷重21.18N)が0.5〜30g/10分、及び密度(JIS K6922−1(1998年版)に準拠)が0.940g/cm3以下が好ましい。
なお、本発明において、変性ポリプロピレン樹脂(f1)及び変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(f2)は、それぞれ単独で用いることもできるし、両者を混合して用いることもできる。
次に、樹脂(A)に配合する金属水酸化物(B)、及びその配合比について述べる。
本発明で用いられる金属水酸化物(B)は金属水酸化物であれば特に限定はない。例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト類、カルシウム・アルミネート水和物、下記一般式(2)
Mg1-xx(OH)2 (2)
(ここでMはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Znから選ばれる1種以上の元素であり、Xは0より大きく0.1以下の値である)で示される複合水酸化マグネシウム等、及びこれらの少なくとも1種若しくは2種以上を含む金属水酸化物混合物が挙げられる。なお、ここで言う複合水酸化マグネシウムとは、水酸化マグネシウムとマグネシウム以外の2価金属元素Mの水酸化物との固溶体を言う。
金属水酸化物(B)は、好ましくは、金属水酸化物が高い分解温度を有し、得られる難燃性樹脂組成物が良好な難燃性を有することから、水酸化マグネシウム、及び/又は複合水酸化マグネシウムである。
本発明の金属水酸化物(B)は、その表面が被覆処理されているもの、若しくはされていないもののいずれも用いることができる。好ましくは、表面が被覆処理されているものを用いる。
表面が被覆処理される場合の、表面被覆処理剤は特に限定はない。例えば、高級脂肪酸(例えば、ステアリン酸、オレイン酸等)、及びそのアルカリ金属塩、アニオン系界面活性剤(例えば、高級アルコールの硫酸エステル等)、リン酸エステル(例えば、オルトリン酸と高級アルコールのエステル類等)、シラン系カップリング剤(例えば、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等)、チタネート系カップリング剤(例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等)、アルミニウム系カップリング剤(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等)、多価アルコールと脂肪酸のエステル類(グリセリンモノステアレート等)等が挙げられる。これら表面処理剤の中で、難燃性樹脂組成物の機械的強度、耐傷付き性の面からシラン系カップリング剤が好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物において金属水酸化物(B)の配合量は樹脂(A)100重量部に対し金属水酸化物(B)を80〜300重量部である。金属水酸化物(B)の配合量が80重量部より少ないと所望の難燃性を有する難燃性樹脂組成物を得ることできず、一方300重量部より多いと所望の柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性を得ることできない。なお、この金属水酸化物(B)の好ましい配合量は、本発明の難燃性樹脂組成物の用途を考慮すると、例えば自動車電線用途の場合は好ましくは80〜150重量部、さらに好ましくは90〜100重量部であり、電源コード用途の場合は好ましくは150〜225重量部、さらに好ましくは150〜175重量部であり、機器電線用途の場合は好ましくは225〜300重量部、さらに好ましくは225〜250重量部である。
本発明の難燃性樹脂組成物は、その難燃性と柔軟性の向上のために、さらにオルガノポリシロキサン(C)を配合するのが好ましい。
用いるオルガノポリシロキサン(C)はオルガノポリシロキサン化合物であれば特に限定はない。具体例として、オルガノポリシロキサンオイル類、例えば、ジメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等のストレートシリコーンオイル、及びアミノ、エポキシ、カルボキシル、カルビノール、メタクリル、メルカプト、フェノール、ポリエーテル、メチルスチリル、アルキル、高級脂肪酸エステル、高級アルコキシ等の1種以上の官能基で変性された変性シリコーンオイル等;オルガノポリシロキサンゴム類、例えば、ジメチルシリコーンゴム、ジフェニルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、メチルビニルシリコ−ンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム等、及びこれらのシリコーンゴムがアミノ、エポキシ、カルボキシル、カルビノール、メタクリル、メルカプト、フェノール、ポリエーテル、メチルスチリル、アルキル、高級脂肪酸エステル、高級アルコキシ等の1種以上の官能基で変性された変性シリコーンゴム等;オルガノポリシロキサンレジン類、例えば、メチルシリコーンレジン、フェニルシリコーンレジン等、及びこれらシリコーンレジンがアルッキド、エポキシ、アクリル、ポリエステル、メラミン、ウレタン等で変性された変性シリコーンレジン等;オルガノポリシロキサンパウダー類、例えばジメチルシリコーンゴムパウダーに代表されるオルガノポリシロキサンゴムを架橋したシリコーンゴムパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダーに代表される(RSiO1.5n(式中、Rはメチル基、エチル基、フェニル基等の炭化水素基を示し、nは繰返し単位数を表す。)で表わされる構造を有するポリシルセスキオキサンのパウダー、合成アモルファスシリカの表面をジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンで代表されるシリコーン剤で処理した合成シリカパウダー、ジメチルシリコーンゴムパウダーをメチルシリコーンレジンで被覆したもの、若しくはその被覆物がメタクリル、エポキシ、ビニル、アミノ等の1種以上の官能基で変性されたもの等、が挙げられる。また、これらのものを単独で、若しくは1種若しくは2種以上を含む混合物として用いることもできる。
オルガノポリシロキサン(C)として、好ましくは、オルガノポリシロキサンゴム類、及び/又はオルガノポリシロキサンパウダー類を用いる。又、オルガノポリシロキサンパウダー類を用いる場合は、パウダーの良好な分散性、及びパウダーを配合した難燃性樹脂組成物の機械的強度を得るために、パウダーの平均粒子径は20μm以下であることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物におけるオルガノポリシロキサン(C)の配合量は、好ましくは2〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部、特に好ましくは2〜5重量部である。
本発明の難燃性樹脂組成物を製造する方法は特に限定はない。具体例として、樹脂(A)の構成要素(a)〜(f)、並びに金属水酸化物(B)及び必要に応じてオルガノポリシロキサン(C)を、押出機、ニーダ、バンバリーミキサー、ロール等を用いて混練する。なお、係る混練においては、一時に混練機に投入して混練しても、逐次投入して混練しても、いずれでも構わない。
また、本発明では、本発明の趣旨を損なわない限りにおいて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、充填剤、架橋剤、架橋助剤、他の難燃剤等の、他の副資材や添加剤を併用してもよい。
更には、本発明の難燃性樹脂組成物は、成形後に架橋してもよい。その方法としては、有機過酸化物やアゾ化合物の熱分解によって生成するラジカルを利用する化学架橋、電子線等の電離放射線を照射する電離放射線架橋、有機シラン化合物を用いるシラン架橋等が例示される。
本発明の難燃性樹脂組成物は、高い機械的強度、柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性等の特性と難燃性特性が必要とされる用途、例えばケーブルシース、ワイヤーハーネス、家電製品及びその部品、自動車及びその部品等に使用される自動車電線、電源コード及び機器電線等の電線被覆材料等に使用される。
次に、本発明を実施例及び比較例によって説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において、樹脂(A)の構成要素(a)〜(f)、金属水酸化物(B)及びオルガノポリシロキサン(C)として以下のものを用いた。
「樹脂(A)の構成要素(a)〜(f)」
(a−1)ポリプロピレン樹脂(出光石油化学(株)製 商品名「IDEMITSU PP E250G」、メルトフローレイト=1g/10分)
(b1−1)無水マレイン酸変性SEBS(旭化成(株)製、商品名「タフテックM1943」、スチレン含有量=20重量%)、
(b1−2)アミノ変性SEBS(JSR(株)製、商品名「ダイナロン8630P」、スチレン含有量=15重量%)、
(b2−1)SEBS(旭化成(株)製、商品名「タフテックH1041」、スチレン含有量=30重量%)、
(b2−2)SEBS(旭化成(株))製、商品名「タフテックH1221」、スチレン含有量=12重量%)、
(c−1)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンL F15R」、メルトフローレイト=0.8g/10分、密度=0.925)、
(c−2)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンZ ZF231」、メルトフローレイト=2g/10分、密度=0.936)、
(c−3)直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名「ニポロンZ 7P04B」、メルトフローレイト=2g/10分、密度=0.900)、
(d−1)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(東ソー(株)製、商品名「メルセンH6820」、l=0.817、m=0.021、n=0.162)、
(d−2)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体(東ソー(株)製、商品名「メルセンH6410」、l=0.851、m=0.065、n=0.084)、
(e−1)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセンYX13A」、酢酸ビニル含有量=32%、メルトフローレイト=1g/10分)、
(e−2)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン627」、酢酸ビニル含有量=20%、メルトフローレイト=0.8g/10分)、
(e−3)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセンYX21」、酢酸ビニル含有量=41%、メルトフローレイト=0.4g/10分)、
(e−4)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン626」、酢酸ビニル含有量=15%、メルトフローレイト=3g/10分)、
(f1−1)無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(日本ポリオレフィン(株)製、商品名「アドテックスER320P」、メルトフローレイト=20g/10分)、
(f2−1)無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(三井化学(株)製、商品名「アドマーNF528」、メルトフローレイト=2.2g/10分、密度=0.91)、
(f2−2)無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(三井化学(株)製、商品名「アドマーXE070」、メルトフローレイト=3g/10分、密度=0.89)。
金属水酸化物(B)として以下のものを用いた。
(B−1)水酸化マグネシウム1(ティーエムジー(株))製、商品名「ファインマグMO−E」、シランカップリング処理をしたもの)、
(B−2)複合水酸化マグネシウム1(ティーエムジー(株)製、商品名「ファインマグSN−E」、Ni固溶体の複合金属水酸化マグネシウム Mg0.98Ni0.02(OH)2であり、シランカップリング処理をしたもの)。
オルガノポリシロキサン(C)として以下のものを用いた。
(C−1)シリコーンパウダー(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名「DC4−7081」、1次粒子の平均粒子径1μm)、
(C−2)ジメチルシリコーンゴム(信越シリコーン(株)製、商品名「KE76」)、
(C−3)ジメチルシリコーンオイル(信越シリコーン(株))製、商品名「KF96−300」)。
各評価は次に様に行った。
「引張試験」
引張試験用の試料をJIS K6251の3号型ダンベルで打ち抜いた後、装置名テンシロンUTM−2.5TPL(東洋ボールドウィン社製)を用いて、200mm/分にて引張試験を行い、自動車電線被覆材料の評価ではJASO D611に基づき、引張強度が15.7MPa以上で、引張伸びが125%以上であるものを合格とし、電源コード被覆材料の評価ではJIS C3306の二種ビニルコードの規格に基づき、引張強度が10MPa以上で、引張伸びが120%以上であるものを合格とし、機器電線被覆材料の評価ではUL subject758に基づき、引張強度10MPa以上で、引張伸び100%以上を合格とした。尚、引張伸び率は、組成物の柔軟性の表わすものとし、高い数値のものほど柔軟性に優れ、また引張伸びから以下の様にランク分けをし、その優劣を判断した。
(引張伸びのランク)
BEST :伸びが300%以上で最も良い、
BETTER:伸びが200%以上300%未満でかなり良い、
GOOD :伸びが各規格値以上200%未満で良い、
POOR :伸びが各規格値未満で悪い。
「燃焼試験」
「JASO D611燃焼試験」
自動車電線被覆材料の難燃性評価として行った。JASO D611に準じて、5本の試料で試験を行った。なお難燃性の判定はJASO D611に準じて行い、各試料の燃焼時間が15秒以内であるものを合格とした。
「JIS C3005の60度傾斜燃焼試験」
電源コード被覆材料の難燃性評価として行った。JIS C3005に準じて、5本の試料で試験を行った。なお難燃性の判定はJIS C3306に準じて行い、各試料の燃焼時間が60秒以内であるものを合格とした。
「VW−1燃焼試験」
機器電線被覆材料の難燃性評価として行った。UL−1581に準じて、5本の試料で試験を行った。なお難燃性の判定はUL−1581に準じて行い、各試料の燃焼時間が60秒以内であり、かつクラフト紙が燃焼による損傷のないものを合格とした。
「耐摩耗性試験」
自動車電線被覆材料の評価として行った。JASO D611のブレード往復法に準じ、ブレードにかかる荷重を7Nとして行った。摩耗抵抗の基準を200回とし、200回以上のものを合格とした。
「耐傷付き性試験」
電源コード被覆材料の評価として行った。JASO D611のブレード往復法に用いる試験機で行った。ブレードとして、先端径0.225mmのベニヤ板製のものを作製し、これを試験機に装着した。ブレードにかかる荷重を7Nとし、ブレードを20回往復させ、被覆材料の損傷の程度を以下の様に分類した。またA、B、Cを合格とし、Dは不合格とした。
(損傷の分類)
A:僅かな擦れ傷が認められる、
B:損傷が認められるが小さい(損傷の深さが被覆厚みの1/3より小さい)、
C:損傷が少し大きい(損傷の深さが被覆厚みの1/3から1/2である)、
D:損傷が極めて大きい(損傷の深さが被覆厚みの1/2より大きい)。
実施例1
(a−1)ポリプロピレン樹脂が25重量%、(b2−2)SEBSが35重量%、(b1−1)無水マレイン酸変性SEBSが15重量%、(c−3)直鎖状低密度ポリエチレンが10重量%、(d−1)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体が5重量%、(e−1)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が10重量%からなる樹脂(A)100重量部と、(B−1)水酸化マグネシウム1が90重量部からなる配合成分を用い(各成分の配合率を表1に示す。)、各成分を180℃に加熱した加圧ニーダに投入し、10分間混練した。混練物をロールで圧延しシート状にし、これをシートペレタイザーで裁断して、ペレット状の組成物を調製した。このペレット状の組成物を電線成形用のダイを装着した20mm単軸押出機に投入し、素線径が0.26mm、素線数7本の撚り銅線に0.5mmの厚みで組成物を被覆し、電線を成形した。成形温度は200℃で行った。この電線で、JASO D611燃焼試験、耐摩耗性試験を行った。また前記シート状の組成物を180℃に加熱したプレス成形機で5分間プレスし、厚み1mmのシートを成形した。この1mmのシートで引張試験を行った。その評価結果を表1に併せて示した。
表1から明らかな様に、実施例1の難燃性樹脂組成物は、引張強度、引張伸びは共にJASO D611で判定し合格であり、JASO D611燃焼試験も合格であり、摩耗抵抗もJASO D611で判定し合格であった。
実施例2〜8
構成要素(a)〜(f)からなる樹脂(A)に金属水酸化物(B)、オルガノポリシロキサン(C)を配合して難燃性樹脂組成物を作成し、評価した。各成分の配合率を表1に示す。
実施例1と同様の方法でペレット状の組成物並びに1mmシートを作成し、実施例1と同様の方法で評価した。引張強度、引張伸びは共にJASO D611で判定し合格であり、JASO D611燃焼試験も合格であり、摩耗抵抗もJASO D611で判定し合格であった。その評価結果を表1に併せて示した。
Figure 2006124594
実施例9
(a−1)ポリプロピレン樹脂が25重量%、(b2−2)SEBSが40重量%、(b1−1)無水マレイン酸変性SEBSが5重量%、(c−3)直鎖状低密度ポリエチレンが5重量%、(d−1)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体が5重量%、(e−1)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が20重量%からなる樹脂(A)100重量部と、(B−1)水酸化マグネシウム1が175重量部からなる配合成分を用い(各成分の配合率を表2に示す。)、実施例1と同様の方法でペレット状の組成物並びに1mmシートを作成した。
ペレット状の組成物については、素線系が0.18mm、素線数20本の撚り銅線に0.8mmの厚みで組成物を被覆して電線を成形し、JIS C3305の60度傾斜燃焼試験、耐傷付き性試験を行った。また1mmシートについては、引張試験を行った。その評価結果を表2に併せて示した。
表2から明らかな様に、実施例9の難燃性樹脂組成物は、引張強度、引張伸びは共にJIS C3306で判定し合格であり、またJIS C3005の60度傾斜燃焼試験も合格であり、耐傷付き性も損傷の分類から判断し合格であった。
実施例10〜16
構成要素(a)〜(f)からなる樹脂(A)に金属水酸化物(B)、オルガノポリシロキサン(C)を配合して難燃性樹脂組成物を作成し、評価した。各成分の配合率を表2に示す。
実施例1と同様の方法でペレット状の組成物並びに1mmシートを作成し、実施例9と同様の方法で評価した。引張強度、引張伸びは共にJIS C3306で判定し合格であり、またJIS C3005の60度傾斜燃焼試験も合格であり、耐傷付き性も損傷の分類から判断し合格であった。その評価結果を表2に併せて示した。
Figure 2006124594
実施例17
(a−1)ポリプロピレン樹脂が25重量%、(b2−2)SEBSが40重量%、(b1−1)無水マレイン酸変性SEBSが5重量%、(c−3)直鎖状低密度ポリエチレンが5重量%、(d−1)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体が5重量%、(e−1)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が20重量%からなる樹脂(A)100重量部と、(B−1)水酸化マグネシウム1が225重量部からなる配合成分を用い(各成分の配合率を表3に示す。)、実施例1と同様の方法でペレット状の組成物並びに1mmシートを作成した。
ペレット状の組成物については、外径が0.5mmの銅線に0.4mmの厚みで組成物を被覆して電線を成形し、VW−1斜燃焼試験を行った。また1mmシートについては、引張試験を行った。その評価結果を表3に併せて示した。
表3から明らかな様に、実施例17の難燃性樹脂組成物は、引張強度、引張伸びは共にUL Subject758で判定し合格であり、またVW−1燃焼試験もUL1581で判定し合格であった。
実施例18〜35
構成要素(a)〜(f)からなる樹脂(A)に金属水酸化物(B)、オルガノポリシロキサン(C)を配合して難燃性樹脂組成物を作成し、評価した。各成分の配合率を表3に示す。
実施例1と同様の方法でペレット状の組成物並びに1mmシートを作成し、実施例17と同様の方法で評価した。引張強度、引張伸びは共にUL Subject758で判定し合格であり、またVW−1燃焼試験もUL1581で判定し合格であった。その評価結果を表3に併せて示した。
Figure 2006124594
Figure 2006124594
比較例1〜18
構成要素(a)〜(f)からなる樹脂(A)に金属水酸化物(B)、オルガノポリシロキサン(C)を配合して難燃性樹脂組成物を作成し、評価した。各成分の配合率を表4に示す。
比較例1〜4の難燃性樹脂組成物の調製は実施例1と同様に、評価は実施例1と同様の方法で行った。比較例5〜10の難燃性樹脂組成物の調製は実施例1と同様に、評価は実施例9と同様の方法で行った。また、比較例11〜20の難燃性樹脂組成物の調製は実施例1と同様に、評価は実施例17と同様の方法で行った。それぞれの評価結果を表4に併せて示した。
表4から明らかな様に、比較例1〜18の難燃性樹脂組成物は、樹脂(A)に対する金属水酸化物(B)の配合量(比較例1、11)、樹脂(A)における(a)〜(f)の各構成要素の比率(比較例2〜10、12、14〜17)、スチレン系熱可塑性エラストマー(f1)と変性スチレン系熱可塑性エラストマー(f2)の混合比率(比較例13)、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量(比較例18)のいずれかにおいて本発明の構成要件を満たさないため、比較例1〜4はJASO D611で判定し不合格であり、比較例5〜10はJIS C3306で判定し不合格であり、また比較例11〜18はUL Subject758で判定し不合格であった。
Figure 2006124594
Figure 2006124594
Figure 2006124594

Claims (12)

  1. 下記の(a)〜(e)の構成要素からなる樹脂(A)100重量部に対し、金属水酸化物(B)を80〜300重量部配合したことを特徴とする難燃性樹脂組成物。
    (a)ポリプロピレン樹脂:5〜50重量%、
    (b)カルボン酸基、その無水物、そのエステル、グリシジルメタクリレート基、又はアミノ基の群から選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性スチレン系熱可塑性エラストマー:20〜70重量%、
    (c)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂:5〜30重量%、
    (d)エチレン−脂肪酸ビニルエステル−ビニルアルコール共重合体:5〜30重量%、
    (e)JIS K6924−1(1998年版)に準拠し測定した酢酸ビニル含有量が20〜45重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体:5〜40重量%。
  2. 前記樹脂(A)100重量部に対し、金属水酸化物(B)を80〜150重量部配合したことを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記樹脂(A)100重量部に対し、金属水酸化物(B)を150〜225重量部配合したことを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記樹脂(A)100重量部に対し、金属水酸化物(B)を225〜300重量部配合したことを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 前記樹脂(A)100重量部に対し、請求項1に記載の樹脂(A)の構成要素として、更に下記樹脂(f1)及び/又は(f2)を30重量%以下、加えたことを特徴とする請求項1〜4に記載の難燃性樹脂組成物。
    (f1):カルボン酸基、その無水物、そのエステル、又はグリシジルメタクリレート基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性ポリプロピレン樹脂
    (f2):カルボン酸基、その無水物、そのエステル、又はグリシジルメタクリレート基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の官能基で変性された変性直鎖状低密度ポリエチレン樹脂。
  6. オルガノポリシロキサン(C)を2〜20重量部配合したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 変性スチレン系熱可塑性エラストマー(b)が、さらに未変性スチレン系熱可塑性エラストマーとの混合物であり、その混合比率(未変性スチレン系熱可塑性エラストマー/変性スチレン系熱可塑性エラストマー)が9(重量比)以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  8. 変性スチレン系熱可塑性エラストマー及び/又は未変性スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量が20重量%以下であることを特徴とする請求項7に記載の難燃性樹脂組成物。
  9. 直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(c)の密度(JIS K6922−1(1998年版)に準拠し測定。)が0.920g/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  10. 金属水酸化物(B)が水酸化マグネシウム及び/又は一般式(2)
    Mg1-xx(OH)2 (2)
    (ここでMはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Znから選ばれる1種以上の元素であり、Xは0より大きく0.1以下の値である)
    で示される複合水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  11. 金属水酸化物(B)がシラン系カップリング剤により表面が被覆処理されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を用いることを特徴とする自動車電線、電源コード又は機器電線。

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