JP6418137B2 - 難燃性樹脂組成物及び難燃性ケーブル - Google Patents

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本発明は、難燃性ケーブルの絶縁層や半導電層を構成する材料として用いることができる難燃性樹脂組成物、及び前記難燃性樹脂組成物からなる層を有する難燃性ケーブルに関する。
自動車や鉄道車両の内部配線等として使用される絶縁電線やケーブル(以下「絶縁電線・ケーブル」とも言う)やビル、工場等で使用される絶縁電線・ケーブルには、燃焼時の低発煙性、高い難燃性、高い機械的強度、特に引張強度、引張弾性率及び引張伸び等の引張特性に優れることや硬度が高く外傷を受け難いこと(耐外傷性)等が求められる場合が多い。また、高温の環境での使用に耐えられるように、高温環境においても変形し難い性質を有することや(低い加熱変形率)、一方で、低温での使用でも脆化しないように、脆化温度が低いこと(低温性)等も望まれる場合も多い。
そこで、これらの絶縁電線・ケーブル用の材料として、燃焼時の低発煙性の観点からハロゲンフリーであるとともに、高い難燃性、引張特性及び硬度を有し、さらに低い加熱変形率及び低い脆化温度を達成する成形物を形成できる難燃性樹脂組成物が望まれている。さらに、絶縁電線・ケーブルが重いと、敷設施工時に取扱いが難しくなり、輸送コストも増すので、前記難燃性樹脂組成物には、低比重であることも望まれている。
絶縁電線・ケーブルの絶縁層や半導電層等を形成するために、種々の難燃性樹脂組成物がこれまで提案されている。例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂、金属水酸化物、及び炭素−炭素二重結合を有する官能基をその末端に有する変性シリコーンを含有してなる難燃性樹脂組成物が開示されている。ここでは、熱可塑性樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂やポリエチレン樹脂が挙げられており、金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられている。
特許文献2には、シングルサイト触媒で製造されたプロピレン−エチレン系共重合体成分(A)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂やエチレン−エチルアクリレート共重合樹脂等のエチレン系共重合体成分(B)、密度0.86〜0.91g/cmのエチレン−αオレフィン共重合体、及び密度0.91〜0.97g/cmのポリエチレン系樹脂成分(C)からなる樹脂成分に、官能基含有オレフィン重合体成分及び難燃剤成分を配合してなる難燃性樹脂組成物が開示されている。ここでは、官能基含有オレフィン重合体として無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン等が、難燃剤成分としてステアリン酸表面処理合成水酸化マグネシウム等が記載されている。
特許文献3には、絶縁体及び/又はシースとしてゴム・プラスチックからなる押出被覆層を設けてなる絶縁電線・ケーブルにおいて、前記被覆層の外層側が、重量平均分子量30万以上のポリエチレンをベースポリマーとするノンハロゲン難燃性組成物からなり、内層側が密度0.925以上のポリエチレン、ポリプロピレン等である絶縁電線・ケーブルが開示されている。
特許文献4には、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体等のエチレン共重合体(A)、密度0.91〜0.96g/cmのポリエチレン樹脂(B)、及び官能基含有オレフィン重合体(C)を含む樹脂成分100質量部と、無機難燃剤(D)30〜200質量部から構成される難燃樹脂組成物からなる難燃樹脂材料が開示されている。さらに有機シリコーン化合物等の傷付き白化防止剤を配合することも記載されている。
特許文献5には、エチレン共重合体(A)及び熱可塑性エラストマー(B)から選ばれる重合体を主成分とする重合体成分100重量部に対して、無機難燃剤(C)が5〜300重量部、及びアクリル変性ポリオルガノシロキサン(D)が0.01〜20重量部配合されている難燃性組成物が開示されている。
特許文献6には、所定範囲の密度と分子量分布を有する高密度ポリエチレンと、エチレン−酢酸ビニル共重合体と、赤リンと、無機難燃剤とを含有し、比重が1.05g/cm以下に調整されていることを特徴とする難燃性樹脂組成物が開示されている。
国際公開第2014/046165号 特開2011−1506号公報 特許第3953694号明細書 特開2005−29605号公報 特許第3908195号明細書 特許第5100284号明細書
しかし、絶縁電線・ケーブル等の難燃性ケーブルに求められている前記の諸特性について、近年、より高い基準が望まれる場合が多く、前記のような従来の難燃性樹脂組成物から形成される難燃性ケーブルでは、その全ての要求特性を同時に満たすことが困難になっている。
例えば、十分な難燃性を有するためには酸素指数30以上を示す必要がある。特許文献1に記載の末端ビニル変性シリコーンの使用や特許文献2や4に記載の無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン等の官能基含有オレフィン重合体成分の使用により、難燃性が向上し酸素指数も上昇することも考えられるが、これらの使用のみでは耐熱性が不十分な場合がある。
酸素指数30以上の難燃性は、例えば(酸素指数の高い)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の含有割合の高い樹脂の使用や、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物の難燃剤の配合割合を大きくすることにより達成できる。しかし、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の含有量の高い樹脂は、柔らかく絶縁被覆等の外層は外傷を受け易いものとなる。そのため、8mmの段差をつけた床を1mあたり500kgの荷重を加えたケーブルを引きずる場合に裂けないとの外傷試験に合格するためには、D硬度48以上、引張弾性率180MPa以上が求められるが、前記樹脂はこれらの要求特性を満たすことはできない。さらに、耐外傷性を一層向上させるためには、上記範囲以上のD硬度及び引張弾性率の向上が求められる。
金属水酸化物の難燃剤の配合割合を大きくすると引張伸び等の引張特性が低下し、また脆化温度が上昇するため優れた低温性が得られない。さらに、押出成型の際のトルクが高くなるとの問題もある。特許文献6等では、難燃剤として赤リンの使用が記載されており、赤リンの使用により金属水酸化物等の難燃剤の使用量を減少させることはできるが、赤リンは取扱いが困難である。
さらに、難燃性ケーブルを温水に浸漬させた場合に、体積抵抗が大きく変化してしまうと、安定した絶縁性又は半導電性を発揮することができず、長期間の使用時の安定性に問題が生じることがある。
このように前記のような従来の難燃性樹脂組成物から形成される難燃性ケーブルにおいては、ハロゲンフリーであること、難燃性、引張特性(引張強度、引張弾性率、引張伸び)、耐外傷性、耐熱性(低い加熱変形率)及び低温性(低い脆化温度)に関する要求特性を全て満たし、かつ低比重を達成することは非常に困難である。さらに、体積抵抗を安定にすること(体積抵抗安定性)をも同時に達成することは、容易に達成できることではない。
そこで本発明は、ハロゲンフリーであって、難燃性、引張特性、耐外傷性、耐熱性(低い加熱変形率)及び低温性(低い脆化温度)に優れ、かつ低比重であり、さらに体積抵抗安定性を有する難燃性樹脂組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、前記難燃性樹脂組成物からなる層、特に絶縁層又は半導電層を有する難燃性ケーブル、特に難燃性絶縁電線・ケーブルを提供することも課題とする。
前記課題は、以下に示す構成からなる態様により解決される。
本発明の第1の態様は、樹脂、ホスフィン酸金属塩、及びカーボンブラックを含有する難燃性樹脂組成物であって、
前記樹脂は、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、及びポリエチレン樹脂を含有し、
前記ポリエチレン樹脂は、0.9g/mL以上0.93g/mL未満の密度を有する低密度ポリエチレン樹脂及び0.93g/mL以上の密度を有する中高密度ポリエチレン樹脂を含有し、
前記ホスフィン酸金属塩(B)の含有量は、前記樹脂組成物の総量に対して、10〜25質量%であり、
前記カーボンブラック(C)の含有量は、前記樹脂組成物の総量に対して、1.5〜20質量%である、
難燃性樹脂組成物である。
本発明の第2の態様は、第1の態様の難燃性樹脂組成物からなる層、特に絶縁層又は半導電層を有する難燃性ケーブルである。難燃性ケーブルとしては、例えば難燃性絶縁電線・ケーブルが挙げられる。
本発明によれば、難燃性、引張特性、耐外傷性、耐熱性、低温性及び体積抵抗安定性に優れ、かつ低比重である第1の態様の難燃性樹脂組成物、及び第1の態様の難燃性樹脂組成物からなる層、例えば絶縁層又は半導電層を有する第2の態様の難燃性ケーブル、特に難燃性絶縁電線・ケーブルを提供することができる。
次に、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明の範囲はこの形態や実施例に限定されるものではなく本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明には、以下の好適な実施態様が含まれる。
[1]樹脂、ホスフィン酸金属塩、及びカーボンブラックを含有する難燃性樹脂組成物であって、
前記樹脂は、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、及びポリエチレン樹脂を含有し、
前記ポリエチレン樹脂は、0.9g/mL以上0.93g/mL未満の密度を有する低密度ポリエチレン樹脂及び0.93g/mL以上の密度を有する中高密度ポリエチレン樹脂を含有し、
前記ホスフィン酸金属塩の含有量は、前記樹脂組成物の総量に対して、10質量%以上25質量%以下であり、
前記カーボンブラックの含有量は、前記樹脂組成物の総量に対して、1.5質量%以上20質量%以下である、難燃性樹脂組成物。
[2]前記樹脂は、前記樹脂の総量100質量部に対して、10質量部以上45質量部以下の前記エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂又は前記エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、及び55質量部以上90質量部以下の前記ポリエチレン樹脂を含有し、
前記ポリエチレン樹脂は、前記樹脂の総量100質量部に対して、15質量部以上80質量部以下の前記低密度ポリエチレン樹脂及び10質量部以上40質量部以下の前記中高密度ポリエチレン樹脂を含有する、前記[1]に記載の難燃性樹脂組成物。
[3]前記中高密度ポリエチレン樹脂は0.942g/mL以上の密度を有する、前記[1]又は[2]に記載の難燃性樹脂組成物。
[4]前記ポリエチレン樹脂は、前記樹脂の総量100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下のマレイン酸変性ポリエチレン樹脂を含む、前記[1]から[3]のいずれか1つに記載の難燃性樹脂組成物。
[5]前記カーボンブラックはファーネスカーボン又はアセチレンブラックであり、前記カーボンブラックの含有量は、前記樹脂組成物の総量に対して、1.5質量%以上8質量%以下である、前記[1]から[4]のいずれか1つに記載の難燃性樹脂組成物。
[6]前記カーボンブラックはケッチェンブラックであり、前記カーボンブラックの含有量は、前記樹脂組成物の総量に対して、3質量%以上20質量%以下である、前記[1]から[4]のいずれか1つに記載の難燃性樹脂組成物。
[7]前記[1]から[4]のいずれか1つに記載の難燃性樹脂組成物かるなる層を有する難燃性ケーブル。
[8]前記[5]に記載の難燃性樹脂組成物からなる絶縁層を有する難燃性ケーブル。
[9]前記[6]に記載の難燃性樹脂組成物からなる半導電層を有する難燃性ケーブル。
第1の態様の難燃性樹脂組成物は、(A)樹脂、(B)ホスフィン酸金属塩、及び(C)カーボンブラックを含有する。
(A)樹脂
第1の態様において、前記樹脂(A)は、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(A1)及びポリエチレン樹脂(A2)を含む。
(A1)エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂
エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂は、エチレンとアクリル酸エチル又は酢酸ビニルとを構成単位として有する共重合体であり、その共重合体構造は限定されず、例えばブロック共重合体構造、ランダム共重合体構造又はグラフト共重合体構造であってもよい。エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂は、酸素指数が高く難燃性に優れる樹脂である。成分(A1)としては、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂が、ホスフィン酸金属塩の保持性を高め、特にホスフィン酸金属塩の効果を発揮させる観点から好ましい。
成分(A1)がエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂である場合、ホスフィン酸金属塩の分散性を向上させ、難燃性を発揮させる観点から、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂のアクリル酸エチル含有量は好ましくは8質量%以上30質量%以下(融点が85〜110℃)、より好ましくは10質量%以上25質量%以下(融点が90〜105℃)である。
成分(A1)がエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂である場合、その酢酸ビニルの含有量が高くなると、難燃性は向上するが、融点が低下し、加熱により変形し易くなるため、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の酢酸ビニル含有量が30質量%以下であることが好ましい。より低い加熱変形率を達成するとの観点からは、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の酢酸ビニル含有量が28質量%以下であること(融点が71℃以上)が好ましい。なお、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の酢酸ビニル含有量は、通常10質量%以上である。
第1の態様において、樹脂(A)は、樹脂(A)の総量100質量部に対して、好ましくは10質量部以上45質量部以下、より好ましくは10質量部以上40質量部以下、さらに好ましくは15質量部以上35質量部以下のエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(A1)を含む。樹脂(A)におけるエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(A1)の含有量が上記下限値以上であると、ホスフィン酸金属塩の分散性を向上させ、難燃性樹脂組成物の難燃性を高めることができる。樹脂(A)におけるエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(A1)の含有量が上記上限値以下であると、難燃性を高めることができ、同時に耐外傷性を向上させることができる。エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(A1)の含有量が低すぎると、外傷を受け難くなるが、難燃性が低下するおそれがある。エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(A1)の含有量が高すぎると、難燃性を高くすることができるが、耐外傷性が低下するおそれがある。
(A2)ポリエチレン樹脂
第1の態様において、ポリエチレン樹脂(A2)は、低密度ポリエチレン樹脂及び中高密度ポリエチレン樹脂を含有する。
第1の態様において、低密度ポリエチレン樹脂は、通常0.9g/mL以上0.93g/mL未満、好ましくは0.905g/mL以上0.925g/mL以下、より好ましくは0.91g/mL以上0.92g/mL以下の密度を有する。低密度ポリエチレン樹脂の密度が上記範囲内であると、第1の態様の難燃性樹脂組成物を含む成形物(絶縁層、半導電層)に引張伸びと引張弾性率(耐外傷性に寄与)の両立が可能で優れた引張特性を付与することができ、また低温性を向上させることができる。低密度ポリエチレン樹脂の密度が上記範囲外であると、成分(A1)と成分(A2)との相溶性に劣る結果、優れた引張特性等の特性を発揮することが困難となる。低密度ポリエチレン樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂であってもよい。
第1の態様において、中高密度ポリエチレン樹脂は、通常0.93g/mL以上、好ましくは0.942g/mL以上の密度を有する。中高密度ポリエチレン樹脂の密度が上記範囲内であると、高い剛性を付与することができ、耐外傷性を向上させることができる。なお、中高密度ポリエチレン樹脂の密度の上限値は、通常0.97g/mL以下である。
ポリエチレン樹脂(A2)のMFRは、好ましくは0.01g/10min以上100g/10min以下、より好ましくは0.1g/10min以上10g/10min以下である。ポリエチレン樹脂(A2)のMFRが上記下限値以上であると、成形物(絶縁層、半導電層)の成形時に押出圧力が高くなり過ぎず、外観不良やヤケを抑制することができる。ポリエチレン樹脂(A2)のMFRが上記上限値以下であると、高結晶化が抑えられ引張伸びがさらに良好となり、また低温性をさらに向上させることができる。
樹脂(A)は、樹脂(A)の総量100質量部に対して、好ましくは55質量部以上90質量部以下、より好ましくは60質量部以上90質量部以下、さらに好ましくは65質量部以上90質量部以下のポリエチレン樹脂(A2)を含む。ポリエチレン樹脂(A2)の含有量が上記下限値以上であると、難燃性を向上させることができ、同時に耐外傷性を高めることが可能となる。ポリエチレン樹脂(A2)の含有量が上記上限値以下であると、耐外傷性を高めることができ、同時に難燃性を向上させることが可能となる。ポリエチレン樹脂(A2)の含有量が低すぎると、難燃性は向上するが、一方で外傷を受け易くなり、また引張弾性率や引張強度等の引張特性も低下するおそれがある。ポリエチレン樹脂(A2)の含有量が高すぎると、外傷を受け難くなるが、難燃性、引張伸びや低温性が低下するおそれがある。
ポリエチレン樹脂(A2)は、樹脂(A)の総量100質量部に対して、好ましくは15質量部以上80質量部以下、より好ましくは17質量部以上75質量部以下、さらに好ましくは20質量部以上70質量部以下の低密度ポリエチレン樹脂を含有する。低密度ポリエチレン樹脂の含有量が上記下限値以上であると、引張伸びや低温性を高めることができ、同時に高い弾性率による耐外傷性を高めることが可能となる。低密度ポリエチレン樹脂の含有量が上記上限値以下であると、高い弾性率による耐外傷性を高めることができ、同時に引張伸びや低温性を高めることが可能となる。
ポリエチレン樹脂(A2)は、樹脂(A)の総量100質量部に対して、好ましくは10質量部以上40質量部以下、より好ましくは15質量部以上40質量部以下、さらに好ましくは20質量部以上40質量部以下の中高密度ポリエチレン樹脂を含有する。中高密度ポリエチレン樹脂の含有量が上記下限値以上であると、優れた硬度向上効果を得ることができ、弾性率の向上、耐外傷性を高めることが可能となる。中高密度ポリエチレン樹脂の含有量が上記上限値以下であると、高結晶化が抑えられ引張伸び、低温性がさらに良好となり、また難燃剤の分散不良を抑制できる。
ポリエチレン樹脂(A2)は、低密度ポリエチレン樹脂及び中高密度ポリエチレン樹脂に加えて、他のポリエチレン樹脂を含んでもよい。例えば、ポリエチレン樹脂(A2)は、酸等の種々の化合物で変性されたポリエチレン樹脂(マレイン酸変性ポリエチレン樹脂)を含んでもよい。マレイン酸変性ポリエチレン樹脂はホスフィン酸金属塩と樹脂との相互作用を高めることができ、低温性、引張伸び及び引張強度等の引張特性をさらに向上させることができるため、第1の態様において、ポリエチレン樹脂(A2)はマレイン酸変性ポリエチレン樹脂を含むことが好ましい。
ここで、マレイン酸変性とは、無水マレイン酸をポリエチレン樹脂にグラフトさせて変性すること、又は重合段階から無水マレイン酸を共存させ共重合させることを意味する。グラフトさせて樹脂を変性することは容易であり、例えば、有機過酸化物等のラジカル発生剤の存在下、樹脂と無水マレイン酸を溶融混練する方法により製造することができる。無水マレイン酸で変性したポリエチレン樹脂を一部配合することにより、難燃剤等と樹脂との相互作用を高めることができ、低温性と引張伸び等の引張特性を向上させることができる。なお、ポリエチレン樹脂中の低密度ポリエチレン樹脂の含有量が高い場合、マレイン酸変性エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂を配合してもよい。マレイン酸変性ポリエチレン樹脂又はエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂としては、市販品を使用することもできる。マレイン酸変性ポリエチレン樹脂に含まれる(無水)マレイン酸含有量は、低温性及び引張特性の観点から、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.3質量%以上2質量%以下である。
ポリエチレン樹脂(A2)におけるマレイン酸変性ポリエチレン樹脂の含有量は、樹脂(A)の総量100質量部に対して、好ましくは1質量部以上15質量部以下、より好ましくは3質量部以上13質量部以下、さらに好ましくは5質量部以上10質量部以下である。マレイン酸変性ポリエチレン樹脂の含有量が上記下限値以上であると、第1の態様の難燃性樹脂組成物からなる層、特に絶縁層又は半導電層は、脆化温度をさらに低く、また引張伸び及び引張弾性率をさらに高くすることができる。マレイン酸変性ポリエチレン樹脂の含有量が上記上限値以下であると、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂の含有量に応じて比例的に上記特性を向上させることができ、過剰量のマレイン酸変性ポリエチレン樹脂を使用することがないため、工業的に有利である。
樹脂(A)は、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(A1)及びポリエチレン樹脂(A2)の他に、他の樹脂を含んでもよい。他の樹脂としては、例えば、難燃剤の分散性や弾性率の調整の観点から、エチレン−プロピレン共重合ゴムや超低密度ポリエチレン樹脂、ポリエチレンエラストマーが挙げられる。なお、他の樹脂は、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(A1)及びポリエチレン樹脂(A2)の含有量より少ないことが好ましい。
(B)ホスフィン酸金属塩
第1の態様の難燃性樹脂組成物はホスフィン酸金属塩(B)を含む。第1の態様において、ホスフィン酸金属塩とは、式(I)で表される化合物である。なお、式中R及びRは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数12以下のアリール基であり、好ましくは水素、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6以下のアリール基である。Mは、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リチウム、アンモニウム、バリウム若しくはストロンチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、3価の金属、1価〜3価の遷移金属、又はアンモニウムである。Mとしては、樹脂(A1)との分散性が良好で難燃性を高めやすい観点から、カルシウム、アルミニウム又は亜鉛が好ましく、より好ましくはアルミニウムである。
ホスフィン酸金属塩のリン含有率は、難燃性を発現する観点から、好ましくは15質量%以上、より好ましくは18質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。ホスフィン酸金属塩としては、市販品を用いてもよい。具体的には、有機ホスフィン酸のアルミニウム塩等を挙げることができる。
第1の態様の難燃性樹脂組成物におけるホスフィン酸金属塩(B)の含有量は、樹脂組成物の総量に対して、10質量%以上25質量%以下、好ましくは12質量%以上20質量%以下、より好ましくは13質量%以上18質量%以下である。ホスフィン酸金属塩(B)の含有量が上記下限値以上であると、高い難燃性を得ることができる。ホスフィン酸金属塩(B)の含有量が上記上限値以下であると、優れた低温性を得ることができ、さらに引張伸びも良好となる。
(C)カーボンブラック
第1の態様の難燃性樹脂組成物はカーボンブラック(C)を含む。第1の態様の難燃性樹脂組成物は、成形物(絶縁層、半導電層)の耐候性及び難燃性をさらに向上させることができる観点から、樹脂組成物の総量に対して、1.5質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上であり、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下のカーボンブラック(C)を含む。
カーボンブラック(C)としては、例えばファーネスカーボン、アセチレンブラック及びケッチェンブラック等が挙げられる。
カーボンブラック(C)がファーネスカーボン又はアセチレンブラックである場合、難燃性、引張特性、耐外傷性、耐熱性(低い加熱変形率)及び低温性(低い脆化温度)に優れ、さらに体積抵抗安定性を有し、絶縁性(高い体積抵抗)に優れた難燃性樹脂組成物を得ることができる。カーボンブラック(C)がファーネスカーボン又はアセチレンブラックである場合には、かかる難燃性樹脂組成物からなる層は通常、絶縁性を示し、絶縁層が形成される。
カーボンブラック(C)がファーネスカーボン又はアセチレンブラックである場合、第1の態様の難燃性樹脂組成物におけるカーボンブラック(C)の含有量は、樹脂組成物の総量に対して、好ましくは1.5質量%以上8質量%以下、より好ましくは2質量%以上7質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上6質量%以下である。カーボンブラック(C)の含有量が上記下限値以上であると、高い絶縁性及び難燃性を得ることができる。カーボンブラック(C)の含有量が上記上限値以下であると、難燃性樹脂組成物からなる層である成形物(絶縁層)の体積抵抗が高く、十分な絶縁性を有し、また引張特性に優れた難燃性樹脂組成物を得ることができる。
また、カーボンブラック(C)がケッチェンブラックである場合、難燃性、引張特性、耐外傷性、耐熱性(低い加熱変形率)、低温性(低い脆化温度)、低比重及び体積抵抗安定性に加え、半導電性を備えた難燃性樹脂組成物を得ることができる。カーボンブラック(C)がケッチェンブラックである場合には、かかる難燃性樹脂組成物からなる層は通常、半導電性を示し、半導電層が形成される。この場合、第1の態様の難燃性樹脂組成物におけるカーボンブラック(C)の含有量は、樹脂組成物の総量に対して、好ましくは3質量%以上20質量%以下、より好ましくは4質量%以上15質量%以下である。カーボンブラック(C)の含有量が上記下限値以上であると、高い難燃性及び半導電性を有する半導電層を得ることができる。カーボンブラック(C)の含有量が上記上限値以下であると、引張特性に優れた難燃性樹脂組成物を得ることができる。
(D)他の成分
第1の態様において、難燃性樹脂組成物は、成分(A)〜(C)に加えて、発明の趣旨を損ねない範囲で、他の成分を配合することもできる。他の成分としては、例えば酸化防止剤や滑材、変性シリコーン等が挙げられる。また、着色のため顔料・染料などが含有されてもよい。
無機フィラーは、引張特性、硬度(耐外傷性)、体積抵抗(絶縁性)向上のために、必要に応じて、難燃性樹脂組成物に配合されてもよい。第1の態様の難燃性樹脂組成物における無機フィラーの含有量は、難燃性及び引張特性の観点から、樹脂(A)の総量に対して、30質量%以下が好ましい。ただし、無機フィラーが含まれることによって、引張特性や硬度が向上する一方で、温水浸漬時に体積抵抗の低下が生じたり(体積抵抗安定性の低下)、比重が高くなることによって絶縁電線・ケーブル等の難燃性ケーブル敷設施工時の取扱いが難くなり、輸送コストも増すといった問題が生じ得る。そのため、第1の態様の難燃性樹脂組成物は、一実施態様においては、無機フィラーを含有しないことが好ましい。
また、変性シリコーンを第1の態様の難燃性樹脂組成物に含有させることにより難燃性をさらに向上させることができる。難燃性の向上効果を発現させるためには、その含有量は、樹脂(A)の総量に対して、0.5質量%以上が好ましい。一方、第1の態様の難燃性樹脂組成物は、変性シリコーンを多量に添加すると製品の表面にブリードアウトする等の問題が生じる場合があるので、その含有量の上限値は5質量%以下が好ましい。
第1の態様の難燃性樹脂組成物は、難燃性に優れる樹脂組成物である。そのため、例えばJIS K7201に準拠する酸素指数について、難燃性試験を満足する一般的なレベルは30以上であるが、好ましくは33以上、より好ましくは34以上、さらに好ましくは35以上である。酸素指数は、以下の実験例に示される方法によって測定することができる。
第1の態様の難燃性樹脂組成物は、耐外傷性に優れる樹脂組成物である。そのため、例えば、JIS K7215 タイプDに準拠するD硬度は好ましくは50以上である。また、第1の態様の難燃性樹脂組成物は引張特性に優れ、JIS K6251に準拠して、引張弾性率は好ましくは220MPa以上であり、引張強度は好ましくは10MPa以上、より好ましくは11MPa以上であり、引張伸びは好ましくは280%以上、より好ましくは300%以上、さらに好ましくは350%以上である。D硬度、引張弾性率、引張強度及び引張伸びは、以下の実施例に示される方法によって測定することができる。
第1の態様の難燃性樹脂組成物は、耐熱性に優れる樹脂組成物である。そのため、例えば、JIS C3005に準拠する加熱変形率は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%未満である。加熱変形率は、以下の実験例に示される方法によって測定することができる。
第1の態様の難燃性樹脂組成物は、低温性に優れる樹脂組成物である。そのため、例えば、JIS K7216に準拠する脆化温度は、好ましくは−15℃以下、より好ましくは−20℃以下、さらに好ましくは−25℃以下である。脆化温度は、以下の実験例に示される方法によって測定することができる。
第1の態様の難燃性樹脂組成物は、比重が低いため、難燃性ケーブル敷設施工時の取扱いが比較的容易であり、また輸送コストを抑制することができる。第1の態様の難燃性樹脂組成物は、好ましくは1.15未満、より好ましくは1.10未満の比重を有する。
第1の態様の難燃性樹脂組成物は、温水に浸漬させた場合であっても、体積抵抗が大きく変化しない。そのため、例えば温水(例えば80℃)に浸漬してから長期間(例えば1ヶ月)が経過した後の500Vでの体積抵抗と初期の体積抵抗の比率(以下、体積抵抗変化という)は好ましくは10−3倍以上、より好ましく10−2倍以上である。なお、体積抵抗変化は、(温水浸漬後の体積抵抗)/(初期の体積抵抗)の比率である。また、第1の態様の難燃性樹脂組成物を絶縁層として用いる場合、十分な絶縁性の達成のためには、初期の体積抵抗及び長期間の温水浸漬後の体積抵抗が1.0×1014Ω・cm以上1.0×1018Ω・cm以下であることが好ましい。
第1の態様の難燃性樹脂組成物は、成分(A)〜(C)及び場合により他の成分を、二軸押出機、ロール又はバンバリーミキサー等の公知の溶融混練法を用い、公知の条件に準じて混合して製造することができる。例えば、各成分を常温において混合した後、二軸の混練押出機を用いて溶融混練を行う方法を挙げることができる。
第1の態様の難燃性樹脂組成物は、難燃性ケーブルの絶縁層又は半導電層の形成、例えば絶縁電線の絶縁被覆やケーブルの外被(シース)の形成に好適に用いることができるが、用途はこれらに限定されない。なお、単に「絶縁被覆」と言うときは、絶縁電線の絶縁被覆とともにケーブルの外被(シース)等の絶縁材を含む意味でも用いられる。
第1の態様の難燃性樹脂組成物により、難燃性、引張特性、耐外傷性、耐熱性(低い加熱変形率)及び低温性(低い脆化温度)に優れ、かつ低比重であり、さらに体積抵抗安定性を有する、第2の態様の難燃性ケーブル、特に絶縁電線・ケーブルの絶縁層又は半導電層を形成することができる。
本発明の一実施形態によれば、第1の態様の難燃性樹脂組成物からなる層、特に絶縁層又は半導電層を有する第2の態様の難燃性ケーブルを提供することができる。第2の態様の難燃性ケーブル、特に絶縁電線・ケーブルは、難燃性、引張特性、耐外傷性、耐熱性(低い加熱変形率)及び低温性(低い脆化温度)に優れ、かつ低比重であり、さらに体積抵抗安定性を有する。
絶縁電線とは、銅、アルミニウム等の金属から構成される導体線と、その導体線の外表面を被覆する絶縁材から構成される絶縁層(絶縁被覆等)を有する電線を言う。導体線は単線であってもよく、撚線等、複数の電線から構成されるものでもよい。難燃性絶縁電線は、絶縁層又は半導電層が第1の態様の難燃性樹脂組成物で形成されるが、これらの層の形成方法は、従来の絶縁電線等の難燃性ケーブルにおける絶縁層や半導電層の形成と同様な方法、条件により行うことができる。例えば、導体線の上に第1の態様の難燃性樹脂組成物を押出被覆することにより作製することができる。
ケーブルとは、上記のような絶縁電線の1本又は複数本を束ねたものの外周を絶縁性の外被(シース)で覆ったものを言い、場合により内部に遮蔽層、遮水層などの金属層、半導電層を含み得る。なお、上記のように、単に絶縁被覆と言うときには、ケーブルの外被(シース)も含む意味である。
第2の態様において、難燃性ケーブルが有する層、特に絶縁層又は半導電層は、第1の態様の難燃性樹脂組成物からなるので、その絶縁層又は半導電層は、難燃性、引張特性、耐外傷性、耐熱性(低い加熱変形率)及び低温性(低い脆化温度)に優れ、かつ低比重であり、さらに体積抵抗安定性を有する。本発明の一実施態様によれば、これらの特性全てを同時に達成することができる難燃性樹脂組成物が提供されるため、この難燃性樹脂組成物から構成される絶縁層又は半導電層を含む難燃性ケーブルは、使用者にとって施工しやすく、さらに耐熱性等の要求物性を満足するだけでなく、同時に、難燃性ケーブルを温水に浸漬させた場合において体積抵抗が大きく変化しにくいため、安定した絶縁性又は半導電性を発揮することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は以下の実施例の内容に限定されるものではない。
(使用した材料)
下記の実験例(実施例、比較例)で使用した材料について述べる。
[エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂]
・EEA:アクリル酸エチル含有量15質量%、融点100℃
[エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂]
・EVA:酢酸ビニル含有量25質量%、融点77℃
[低密度ポリエチレン樹脂]
・LDPE(低密度ポリエチレン):密度 0.92g/mL、MFR 1.4g/10min(MFRは、190℃・21.6kgの測定条件で測定した。以下同じである。)
・LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン):密度 0.92g/mL、MFR 0.6g/10min
・MAH−LLDPE(マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン):密度 0.928g/mL、MFR 1.5g/10min、融点 122℃、マレイン酸含有量0.8質量%
[中高密度ポリエチレン樹脂]
・HDPE1(高密度ポリエチレン):密度 0.951g/mL、MFR 0.8g/10min
・HDPE2(高密度ポリエチレン):密度 0.958g/mL、MFR 0.1g/10min
・HDPE3(高密度ポリエチレン):密度 0.943g/mL、MFR 0.2g/10min
・MDPE(中密度ポリエチレン):密度 0.936g/mL、MFR 0.5g/10min
[ホスフィン酸金属塩]
・ホスフィン酸金属塩:ジエチルホスフィン酸アルミニウム、密度 1.35g/mL、リン含有率 23〜24質量%、平均粒径 20〜40μm
[カーボンブラック]
・カーボンブラック1:ファーネスカーボン、算術平均粒子径 38nm、窒素吸着比表面積 49m/g
・カーボンブラック2:ケッチェンブラック、算術平均粒子径 39.5nm、窒素吸着比表面積 800m/g
[無機フィラー]
・水酸化アルミニウム:平均粒径 1.0μm、表面未処理品
・炭酸カルシウム:平均粒径 1.8μm、比表面積 12000cm/g
(試験片作製用のシートの作製)
上記の使用材料を、表1〜3に示す配合(質量比)で、加圧ニーダーにて180℃で混練した後、160℃でプレス成形し、厚さ1mm、2mm及び3mmのシートを作製した。
(測定方法)
下記の実験例(実施例、比較例)で行った物性等の測定方法について述べる。
・酸素指数:厚さ3mmのシートから試験片を作製し、JIS K7201に準拠して酸素指数を測定した。酸素指数は40まで測定した。
・D硬度:厚さ3mmのシートを用いて、ショアD硬度計(製造メーカ:高分子計器社)においてJIS K7215 タイプDに準じて測定した。
・引張弾性率、引張強度、引張伸び
厚さ1mmのシートから試験片を作製し、島津製作所社製オートグラフを用いてJIS K6251に準拠して、200mm/分の試験速度で引張試験を行った。
・脆化温度
厚さ2mmのシートから引張試験片を作製し、東洋精機社製の測定機においてJIS K7216に準じて測定した。なお、測定は−25℃まで行った。
・加熱変形率
厚さ1mmのシートを用いて、安田精機社製の測定機においてJIS C3005に準じ、75℃、4kgの条件で、直径10mmの鉄棒にて押込みを行って測定した。
・体積抵抗、体積抵抗変化
80℃の恒温槽中で乾燥させた厚さ1mmのシートについて、常温下で500Vの電圧で初期の体積抵抗を測定した。その後、80℃の温水にこのシートを1ヶ月浸漬し、シート表面の水滴を拭き取った後、再度常温下で体積抵抗を測定した。これらの測定値から体積抵抗変化を算出した。ここで、体積抵抗測定時にはシートの測定中心部の厚さを測定し、またアジレントテクノロジー社製の4339B High Resistanceメータを用いて電流値を測定し、その測定値から体積抵抗を算出した。なお、体積抵抗変化は(温水浸漬1ヶ月経過後の体積抵抗)/(初期の体積抵抗)の比率である。
・比重
AND社製の電子天秤を使用して、エタノール法にて測定した。
表1〜3に示されている結果より、実験例1〜9及び12においては、30以上の酸素指数、220MPa以上の引張弾性率、10MPa以上の引張強度、280%以上の引張伸び、50以上のD硬度、10%以下の加熱変形率、−15℃以下の脆化温度、及び1.15未満の比重が得られており、難燃性、引張特性、耐外傷性、加熱変形率、低温性、及び比重について高い性能を発揮していることが明らかである。また、体積抵抗は1.0×1015Ω・cm以上であり、カーボンブラックとしてファーネスカーボンを用いることで絶縁性にも優れることが明確である。さらに、80℃の温水に浸漬して1ヶ月経過後の体積抵抗は、初期値から大きく低下せず、経時的に安定であり、体積抵抗安定性にも優れることが分かる。
また、実験例10及び11においては、カーボンブラックとしてケッチェンブラックを用いることにより、難燃性、引張特性、耐外傷性、加熱変形率、低温性、低比重及び体積抵抗安定性に加えて、半導電性を発揮できることが分かる。
一方、中高密度ポリエチレン樹脂を含有しない実験例13では硬度が低く、中高密度ポリエチレン樹脂に変えて無機フィラーを含有する実験例14及び15では、硬度は高いものの、体積抵抗の低下が顕著である。エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂のいずれも含有していない実験例16においては、酸素指数は低く難燃性が十分でない。また、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、中高密度ポリエチレン樹脂、ホスフィン酸金属塩及びカーボンブラックを含む場合であっても、ホスフィン酸金属塩比率が低い実験例17及びカーボンブラック比率が低い実験例18においては、酸素指数が低く難燃性が十分でない。これより、本発明において規定する特徴を満足しない実験例13〜18はいずれも、本発明の課題を解決できないことが明らかである。

Claims (9)

  1. 樹脂、ホスフィン酸金属塩、及びカーボンブラックを含有する難燃性樹脂組成物であって、
    前記樹脂は、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、及びポリエチレン樹脂を含有し、
    前記ポリエチレン樹脂は、0.9g/mL以上0.93g/mL未満の密度を有する低密度ポリエチレン樹脂及び0.93g/mL以上の密度を有する中高密度ポリエチレン樹脂を含有し、
    前記ホスフィン酸金属塩の含有量は、前記樹脂組成物の総量に対して、10質量%以上25質量%以下であり、
    前記カーボンブラックの含有量は、前記樹脂組成物の総量に対して、1.5質量%以上20質量%以下であり、
    無機フィラーの含有量が、前記樹脂の総量に対して30質量%以下である、難燃性樹脂組成物。
  2. 前記樹脂は、前記樹脂の総量100質量部に対して、10質量部以上45質量部以下の前記エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂又は前記エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、及び55質量部以上90質量部以下の前記ポリエチレン樹脂を含有し、
    前記ポリエチレン樹脂は、前記樹脂の総量100質量部に対して、15質量部以上80質量部以下の前記低密度ポリエチレン樹脂及び10質量部以上40質量部以下の前記中高密度ポリエチレン樹脂を含有する、請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記中高密度ポリエチレン樹脂は0.942g/mL以上の密度を有する、請求項1又は請求項2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記ポリエチレン樹脂は、前記樹脂の総量100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下のマレイン酸変性ポリエチレン樹脂を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 前記カーボンブラックはファーネスカーボン又はアセチレンブラックであり、前記カーボンブラックの含有量は、前記樹脂組成物の総量に対して、1.5質量%以上8質量%以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 前記カーボンブラックはケッチェンブラックであり、前記カーボンブラックの含有量は、前記樹脂組成物の総量に対して、3質量%以上20質量%以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物からなる層を有する難燃性ケーブル。
  8. 請求項5に記載の難燃性樹脂組成物からなる絶縁層を有する難燃性ケーブル。
  9. 請求項6に記載の難燃性樹脂組成物からなる半導電層を有する難燃性ケーブル。
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