JP6418138B2 - 難燃性樹脂組成物および難燃性ケーブル - Google Patents

難燃性樹脂組成物および難燃性ケーブル Download PDF

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Description

本発明は、電力ケーブルの半導電層を構成する材料として用いることのできる難燃性樹脂組成物、および前記難燃性樹脂組成物を含む半導電層を有する難燃性ケーブルに関する。
一般に、送電、配電等に用いられる電力ケーブルは、基本構造として導体上に設けられた絶縁層および絶縁層等を覆うシース層(防食層も含む。以下、「シース層」とする)を有し、多くの場合、導体と絶縁層間に位置する内部半導電層や絶縁層とシース層間に位置する外部半導電層のような半導電層を有する。このような電力ケーブルには、高い難燃性、高い機械的強度、特に引張弾性率および引張伸び等の引張特性に優れることや硬度が高く外傷を受け難いこと(耐外傷性)等が求められる場合が多い。また、高温の環境での使用に耐えられるように、高温環境においても変形し難い性質を有することや(低い加熱変形率)、一方で、低温での使用でも脆化しないように、脆化温度が低いこと(低温性)等を望まれる場合もある。これらの特性は、布設や布設後の環境(例えば、温度や歪)等のケーブルの外部からの影響因子に対して備えるものであり、一般には、ケーブルの導体や絶縁体等を保護するために電力ケーブルの最外層に位置するシース層によって確保される。
従来、これらの要求特性を満たすために、様々な構成を有する電力ケーブルや電力ケーブルを構成し得る種々の材料が提案されている。例えば、特許文献1には、シース層がエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分としたオレフィン系ポリマー100重量部に対して、難燃剤として80〜200重量部の金属水酸化物、および0.5〜10重量部の架橋剤を含有する鉄道車両用の高圧ケーブルが記載されている。
また、特許文献2には、電力ケーブルの絶縁層、半導電層またはシース層に用いることのできる電力ケーブル用非架橋ポリエチレン樹脂組成物が記載されている。前記ポリエチレン樹脂組成物は、コモノマーとして炭素原子が4個以上のα−オレフィンを含み、特定のメルトインデックス、示差走査熱量測定エンタルピーおよび分子量分布を有する中密度ポリエチレン樹脂と高密度ポリエチレン樹脂を含むポリマー100重量部に対して、難燃剤、酸化安定剤、UV安定剤および加工助剤から選択される1つ以上の添加剤0.1〜10重量部、ならびにカーボンブラック1〜5重量部を含む。そして、前記ポリエチレン樹脂組成物においては、難燃剤として水酸化アルミニウム等の金属水酸化物が用いられている。
特開2014−191907号公報 特許第5690807号公報
近年、半導電層を電力ケーブルの最外層として設ける用途が存在している。従来、電力ケーブルにおいて半導電層はシース層より内側の層として存在しており、半導電層に対して高い難燃性や高い機械的強度、耐外傷性等は要求されていなかったが、半導電層を電力ケーブルの最外層に配置する場合、半導電層には半導電性を有しつつ、従来要求されていなかった高い難燃性および高い耐外傷性等を有することが求められる。
しかしながら、例えば、前記特許文献1に開示されるような従来の一般的な電力ケーブルのシース層は、当然のことながら半導電層に要求される半導電性を有しておらず、また、シース層の内側の層として存在し得る半導電層は、電力ケーブルの最外層として位置するに耐え得る難燃性を有していない。また、前記特許文献2に開示されるようなポリエチレン樹脂組成物は、特にその導電性、難燃性および硬度(耐外傷性)等の観点から、電力ケーブルの最外層として配置する半導電層を構成し得る材料としては十分に満足できるものでなかった。
これに関して、例えば前記特許文献1に開示されるような電力ケーブルのシース層を電力ケーブルの最外層に配置される半導電層として用いる場合、半導電性を付与するために、当該文献に開示されたシース層の組成に比較的多量のカーボンブラックを配合する必要がある。しかしながら、当該文献に開示されたシース層には、難燃剤として多量の金属水酸化物が含まれており、ここに多量のカーボンブラックを配合した場合、引張伸びなどの引張特性が著しく低下するため、電力ケーブルに要求される機械的特性を付与することは困難である。また、前記シース層を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分としたオレフィン系ポリマーは柔らかいため、これにより電力ケーブルの最外層に配置される層を構成する場合には外傷を受けやすく、高い硬度(耐外傷性)が要求される用途に適用するのは困難である。
さらに、前記特許文献2に開示されるようなポリエチレン樹脂組成物を、電力ケーブルの最外層に配置される半導電層を構成する材料として用いる場合、十分に高い難燃性を付与するためには難燃剤の含有量を増やす必要があり、また、導電性を向上させるためにはより多くのカーボンブラックを配合する必要もある。当該文献に開示されるポリエチレン樹脂組成物においても、難燃剤は金属水酸化物であり、ここに多量のカーボンブラックを配合した場合には、引張伸びなどの引張特性が著しく低下し、電力ケーブルに要求される機械的特性を確保することは困難である。
このように、従来の一般的な電力ケーブルのシース層や半導電層の構成またはそれらを構成する材料により、半導電性および高い難燃性を確保するとともに、電力ケーブルの最外層に配置される層として要求される耐外傷性および機械的強度(特に、引張特性)を同時に達成することは困難であり、これらの要求特性を満たす難燃性樹脂組成物の開発が望まれていた。
本発明は、半導電性および高い難燃性を有するとともに、高い耐外傷性および機械的強度(引張特性)を満たす難燃性樹脂組成物を提供することを課題とする。
前記課題は、以下に示す本発明の態様により解決される。
本発明の第1の態様は、
樹脂、カーボンブラック、およびホスフィン酸金属塩を含有する難燃性樹脂組成物であって、
前記樹脂は、80℃以上の融点を有するエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、80℃以上の融点を有するエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂、および80℃以上の融点を有するエチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂からなる群より選択される1種または2種以上を含み、
前記カーボンブラックの含有量は、前記樹脂100質量部に対して25質量部以上60質量部以下である、難燃性樹脂組成物
を提供するものである。
また、本発明の第2の態様は、前記第1の態様の難燃性樹脂組成物を含む半導電層を有する難燃性ケーブルを提供するものである。
本発明によれば、半導電性および高い難燃性を有するとともに、高い耐外傷性および機械的強度(引張特性)を満たす難燃性樹脂組成物および難燃性ケーブルを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
[本発明の実施形態の説明]
本発明は、以下の好適な実施態様を包含する。
[1]樹脂、カーボンブラック、およびホスフィン酸金属塩を含有する難燃性樹脂組成物であって、
前記樹脂は、80℃以上の融点を有するエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、80℃以上の融点を有するエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂、および80℃以上の融点を有するエチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂からなる群より選択される1種または2種以上を含み、
前記カーボンブラックの含有量は、前記樹脂100質量部に対して25質量部以上60質量部以下である、難燃性樹脂組成物。
[2]前記ホスフィン酸金属塩の含有量は、前記樹脂100質量部に対して10質量部以上45質量部以下である、前記[1]に記載の難燃性樹脂組成物。
[3]前記樹脂がポリエチレン樹脂を含み、その含有量が、前記樹脂100質量部のうち45質量部以下である、前記[1]または[2]に記載の難燃性樹脂組成物。
[4]前記ポリエチレン樹脂の密度は、0.90g/mL以上0.93g/mL未満である、前記[3]に記載の難燃性樹脂組成物。
[5]前記カーボンブラックは、ファーネスカーボン、ケッチェンブラックおよびアセチレンブラックからなる群より選択される1種以上である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を含む半導電層を有する、難燃性ケーブル。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の第1の態様に係る難燃性樹脂組成物は、樹脂、ホスフィン酸金属塩、およびカーボンブラックを含有する。
(1)樹脂
本発明の第1の態様において、前記樹脂は、80℃以上の融点を有するエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、80℃以上の融点を有するエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂および80℃以上の融点を有するエチレン-アクリル酸メチル共重合樹脂からなる群から選択される1種または2種以上の樹脂(以下、「樹脂(A1)」と称する場合がある)、および任意にポリエチレン樹脂(以下、「ポリエチレン樹脂(A2)」と称する場合がある)を含む。
(I)樹脂(A1)
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂およびエチレン-アクリル酸メチル共重合樹脂は、それぞれ、エチレンと酢酸ビニル、エチレンとアクリル酸エチル、またはエチレンとアクリル酸メチルとを構成単位として有する共重合体であり、その構造は限定されず、例えばブロック共重合体、ランダム共重合体またはグラフト共重合体であってよい。エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂およびエチレン-アクリル酸メチル共重合樹脂は、酸素指数が高く難燃性に優れる樹脂であり、これを含有することにより、難燃性樹脂組成物に高い難燃性を付与することができる。中でも、本発明の難燃性樹脂組成物を構成する必須成分の1つであるホスフィン酸金属塩の効果を発揮させる観点から、樹脂(A1)がエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂であること、またはエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂を含むことが好ましい。
前記樹脂(A1)の融点は80℃以上である。樹脂(A1)の融点が80℃未満である場合、その融点以上の温度下での応力により変形しやすくなるなど難燃性樹脂組成物の耐熱性が低下する傾向にある。したがって、樹脂(A1)の融点は90℃以上であることが好ましい。
樹脂(A1)としてエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を含む場合、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の酢酸ビニル含有量は20質量%以下であることが好ましく、17質量%以下であることがより好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の酢酸ビニル含有量が前記値以下である場合、難燃性樹脂組成物に良好な難燃性および耐熱性を付与することができる。なお、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の酢酸ビニル含有量は、通常10質量%以上である。
樹脂(A1)としてエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂を含む場合、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂のアクリル酸エチル含有量は30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂のアクリル酸エチル含有量が前記値以下である場合、難燃性樹脂組成物に良好な難燃性および耐熱性を付与することができる。なお、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂のアクリル酸エチル含有量は、通常8質量%以上である。
樹脂(A1)としてエチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂を含む場合、エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂のアクリル酸メチル含有量は25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂のアクリル酸メチル含有量が前記値以下である場合、難燃性樹脂組成物に良好な難燃性および耐熱性を付与することができる。なお、エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂のアクリル酸メチル含有量は、通常8質量%以上である。
樹脂(A1)のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.1〜30g/10分である。樹脂(A1)のMFRが前記範囲内であると、得られる難燃性樹脂組成物を成形する際に高い押出圧力を必要としないため、外観不良やヤケを抑制することができる。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、樹脂の総量100質量部のうち、前記樹脂(A1)を55〜100質量部の量で含むことが好ましく、60〜100質量部の量で含むことがより好ましく、65〜100質量部の量で含むことがさらに好ましい。樹脂(A1)を55質量部以上含むことにより、難燃性を十分に確保しながら、難燃性樹脂組成物に優れた引張特性および低温性を付与することができ、特に、難燃性樹脂組成物の老化特性を高めることができる。特に、前記範囲内で樹脂(A1)の含有量を増やすことにより、引張伸びに優れる難燃性樹脂組成物を得ることができる。これにより、難燃性樹脂組成物を含む成形物(例えば、半導電層等)は、難燃性、機械的強度、低温性および老化特性に優れる。
(II)ポリエチレン樹脂(A2)
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物はポリエチレン樹脂(A2)を含んでいてよい。ポリエチレン樹脂(A2)を含有することにより、本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物の硬度を高め、難燃性樹脂組成物を含む成形物(例えば、半導電層等)に優れた耐外傷性を付与することができる。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物が含有し得るポリエチレン樹脂(A2)としては、密度が0.90g/mL未満の超低密度ポリエチレン樹脂、密度が0.90g/mL以上0.93g/mL未満の低密度ポリエチレン樹脂、密度が0.93g/mL以上0.94g/mL未満の中密度ポリエチレン樹脂、密度が0.94g/mL以上の高密度ポリエチレン樹脂等が挙げられる。本発明の第1の態様において、ポリエチレン樹脂(A2)として、これらを単独でまたは複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、高い耐外傷性を有しつつ、優れた引張伸び等の引張特性を有する難燃性樹脂組成物を得ることができるため、ポリエチレン樹脂(A2)は、密度が0.90g/mL以上0.93g/mL未満の低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)であることが好ましい。また、本発明において、前記低密度ポリエチレン樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であってもよく、ポリエチレン樹脂(A2)が低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)である場合と同様に高い耐外傷性および優れた引張特性を有する難燃性樹脂組成物を得ることができる。本発明において、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)等の他のポリエチレン樹脂と併用してもよい。
また、前記ポリエチレン樹脂(A2)は、例えば、酸等の種々の化合物で変性されたポリエチレン樹脂(マレイン酸変性ポリエチレン樹脂)であってもよい。この場合、ポリエチレン樹脂(A2)が低密度ポリエチレン樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂である場合と同様に、高い耐外傷性および良好な引張特性を有する難燃性樹脂組成物を得ることができる。なお、本発明において、マレイン酸変性とは、無水マレイン酸をポリエチレン樹脂にグラフトさせて変性すること、または重合段階から無水マレイン酸を共存させ共重合させることを意味する。グラフトさせて樹脂を変性することは容易であり、例えば、有機過酸化物等のラジカル発生剤の存在下、樹脂と無水マレイン酸を溶融混練する方法により製造することができる。
ポリエチレン樹脂(A2)のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.1〜30g/10分である。ポリエチレン樹脂(A2)のMFRが前記範囲内であると、得られる難燃性樹脂組成物を成形する際に高い押出圧力を必要としないため、外観不良やヤケを抑制することができる。また、樹脂(A1)とポリエチレン樹脂(A2)の混和性がよくなるため、引張特性や低温性が良好となる。
ポリエチレン樹脂(A2)の融点は80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。ポリエチレン樹脂(A2)の融点が前記範囲内であると、硬度を向上させることができ、加熱変形残率を低く抑えることができる。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物において、ポリエチレン樹脂(A2)の含有量は、本発明の難燃性樹脂組成物に含まれる樹脂の総量100質量部のうち45質量部以下であることが好ましい。ポリエチレン樹脂(A2)の含有量を45質量部以下にすることにより、高い難燃性を確保しながら、硬度が高く、良好な引張特性および低温性を有し、さらに老化特性等を有する難燃性樹脂組成物を得ることができる。また、カーボンブラックの分散不良を抑えることもできる。本発明の第1の態様において、ポリエチレン樹脂(A2)を全く含まなくてもよいが、難燃性樹脂組成物に高い耐外傷性や耐熱性をより向上させる観点からはポリエチレン樹脂(A2)を含むことが好ましい。本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、難燃性樹脂組成物に含まれる樹脂の総量100質量部のうち、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下のポリエチレン樹脂(A2)を含む。ポリエチレン樹脂(A2)の含有量の下限値は特に限定されるものではなく、例えば5質量部以上であってよい。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、前記樹脂(A1)および前記ポリエチレン樹脂(A2)の他に、他の樹脂を含んでもよい。他の樹脂としては、例えば、低温性改善、伸びの更なる向上の観点から、エチレン−プロピレン共重合ゴムやポリエチレンエラストマー等が挙げられる。なお、他の樹脂を含有する場合、他の樹脂の含有量は樹脂(A1)およびポリエチレン樹脂(A2)の含有量より少ないことが好ましい。
(2)カーボンブラック
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、カーボンブラックを含む。カーボンブラックを含むことにより、半導電層を構成し得る材料として要求される適度な半導電性を確保することができる。また、カーボンブラックを含むことにより難燃性樹脂組成物の硬度を高めることができる。本発明の第1の態様においては、カーボンブラックと樹脂(すなわち、樹脂(A1)とポリエチレン樹脂(A2))とを特定の範囲の量で含むことにより引張特性や硬度等を制御し得る。特に、本発明の第1の態様においては、前記樹脂(A1)とカーボンブラックを併用することにより、得られる難燃性樹脂組成物の硬度を適度な範囲に制御し得る。したがって、樹脂が樹脂(A1)のみからなる場合やポリエチレン樹脂(A2)の含有量が非常に少ない場合などにも、要求される硬度を難燃性樹脂組成物に付与することができる。これにより、高い耐外傷性が要求されるような用途(例えば、電力ケーブルの最外層に配置される半導電層など)に好適に用いることのできる難燃性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物におけるカーボンブラックの含有量は、前記樹脂100質量部に対して25質量部以上60質量部以下である。カーボンブラックの含有量が25質量部未満の場合、難燃性樹脂組成物に十分な導電性を付与することができず、また、十分な硬度を確保することが困難となり難燃性樹脂組成物の耐外傷性が低下する傾向にある。一方、カーボンブラックの含有量が60質量部を超える場合、難燃性樹脂組成物の引張伸びや低温性が低下する傾向にある。したがって、本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、樹脂100質量部に対して、好ましくは30〜55質量部の、より好ましくは35〜45質量部のカーボンブラックを含む。
本発明の第1の態様において、カーボンブラックは、ファーネスカーボン、ケッチェンブラックおよびアセチレンブラックからなる群から1種以上を選択することが好ましい。これらのカーボンブラックは、単独で用いても、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、ファーネスカーボンはカーボンブラックとして汎用されており、比較的安価に入手し得るため、例えば工業的規模の製造においては、そのコスト面からファーネスカーボンを用いることがより好ましい。
(3)ホスフィン酸金属塩
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、ホスフィン酸金属塩を含む。ホスフィン酸金属塩を含むことにより、高い難燃性を付与することができる。
本発明の第1の態様において、ホスフィン酸金属塩とは、式(I)で表される化合物である。なお、式中RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基または炭素数12以下のアリール基であり、Mは、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リチウム、アンモニウム、バリウム若しくはストロンチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、3価の金属、1価〜3価の遷移金属、またはアンモニウムである。Mとしては、樹脂(A1)との分散性が良好であり、難燃性を高めやすいとの観点から、カルシウム、アルミニウムおよび亜鉛が好ましく、より好ましくはアルミニウムである。
ホスフィン酸金属塩のリン含有率は、難燃性を発現する観点から、15質量%以上であることが好ましく、より好ましくは18質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。ホスフィン酸金属塩としては、市販品を用いてもよい。具体的には、有機ホスフィン酸のアルミニウム塩等を挙げることができる。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物におけるホスフィン酸金属塩の含有量は、前記樹100質量部対して10質量部以上45質量部以下であることが好ましい。ホスフィン酸金属塩の含有量が、樹脂100質量部に対して10質量部以上であると、難燃性樹脂組成物に十分に高い難燃性を付与することができる。一方、ホスフィン酸金属塩の含有量が多過ぎる場合には、引張強さや引張伸びなどの引張特性や低温性が低下する傾向にある。したがって、本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、樹脂100質量部に対して、好ましくは15質量部以上40質量部以下の、より好ましくは18質量部以上35質量部以下のホスフィン酸金属塩を含む。ホスフィン酸金属塩の含有量が前記範囲内にあると、十分に高い難燃性を得ることができ、引張特性や低温性も良好となる。
また、本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物におけるホスフィン酸金属塩の含有量は、難燃性樹脂組成物の総量に対して6〜25質量%であることが好ましく、8〜20質量%であることがより好ましく、10〜18質量%であることがさらに好ましい。ホスフィン酸金属塩の含有量を、難燃性樹脂組成物の総量に対して前記範囲内とすることにより、十分に高い難燃性を確保しながら、優れた引張特性や低温性を有する難燃性樹脂組成物を得ることができる。
半導電層を電力ケーブルの最外層として配置しようとする場合、半導電層には半導電性と高い難燃性とともに、外部からの衝撃に耐え得る高い耐外傷性等が要求される。多量のカーボンブラックを配合することは半導電性と適度な硬度を付与するために有効な手段であるが、従来行われているように難燃剤として多量の金属水酸化物を配合している場合(例えば、上述した特許文献1および2)には、半導電層として要求される十分な半導電性を確保するためにカーボンブラックの含有量を増やすと、得られる組成物の引張特性や低温性が極端に低下し、電力ケーブルに要求される耐外傷性や機械的強度を満たすことは困難である。また、難燃剤として金属水酸化物を用いる組成において多量のカーボンブラックを添加した結果として付与できる半導電性および難燃性には限界があり、最外層として配置される半導電層を構成するための材料としては十分に満足いくものではない。
これに対して、本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、特定の量のカーボンブラックとホスフィン酸金属塩を含み、その相互作用により難燃性をより向上させるものであり、カーボンブラックの配合により付与される導電性や適度な硬度を低下させることなく、比較的少量のホスフィン酸金属塩の添加により効果的に高い難燃性を確保することができる。
(4)他の成分
本発明の第1の態様において、難燃性樹脂組成物は、樹脂、カーボンブラックおよびホスフィン酸金属塩に加えて、本発明の趣旨を損ねない範囲で、他の成分を配合することもできる。他の成分としては、例えば、炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク等の無機フィラーや、酸化防止剤や滑材、変性シリコーン等が挙げられる。また、着色のため顔料・染料などが含有されてもよい。
無機フィラーは、引張特性、硬度等の向上のために、必要に応じて少量配合されてもよい。具体的には、第1の態様の難燃性樹脂組成物における無機フィラーの含有量は、前記樹脂100質量部に対して20質量部以下であることが好ましい。しかしながら、無機フィラーが含まれることによって、引張強度や弾性率、硬度が向上する一方で、伸びの大幅な低下、低温性の低下のような問題が生じ得る。したがって、本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、無機フィラーを含有しないことが好ましい。
また、変性シリコーンを第1の態様の難燃性樹脂組成物に含有させることにより難燃性をさらに向上させることができる。難燃性の向上効果を発現させるためには、その含有量は、前記樹脂の総量に対して0.5質量%以上であることが好ましい。一方、第1の態様の難燃性樹脂組成物は、無機フィラーが少ないまたは無機フィラーを含まないため、変性シリコーンを多量に添加すると製品の表面にブリードアウトする等の問題が生じる場合があるので、その含有量の上限値は5質量%以下であることが好ましい。
(5)難燃性樹脂組成物の特性
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物のJIS K7201に準拠する酸素指数は、例えば29以上であってよい。特に、電力ケーブルの最外層として配置されるような高い難燃性を要求される半導電層を構成するための難燃性樹脂組成物としては、酸素指数が30以上であることが好ましく、32以上であることがより好ましく、33以上であることが特に好ましい。酸素指数は、後述する実験例に示される方法によって測定することができる。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、耐外傷性に優れる樹脂組成物である。そのため、例えば、JIS K7215 タイプDに準拠するD硬度は、好ましくは45以上であり、より好ましくは46以上である。D硬度は、後述する実験例に示される方法によって測定することができる。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、半導電性を有する樹脂組成物である。そのため、例えば、体積抵抗は、好ましくは10000Ω・cm未満であり、より好ましくは6000Ω・cm未満であり、さらに好ましくは3000Ω・cm未満である。体積抵抗は、後述する実験例に示される方法によって測定することができる。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、優れた機械的強度を有する樹脂組成物である。そのため、JIS K6251に準拠する引張強度は、好ましくは9.0MPa以上であり、より好ましくは9.3MPa以上であり、さらに好ましくは9.5MPa以上である。また、引張伸びは好ましくは200%以上であり、より好ましくは250%以上であり、さらに好ましくは300%以上である。引張強度および引張伸びは、後述する実験例に示される方法によって測定することができる。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、低温性に優れる樹脂組成物である。そのため、例えば、JIS K7216に準拠する脆化温度は、好ましくは−25℃未満である。脆化温度は、以下の実験例に示される方法によって測定することができる。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、老化特性に優れる樹脂組成物である。そのため、例えば、100℃で168時間放置した後の引張強度残率は、好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは93%以上であり、特に好ましくは95%以上である。また、100℃で168時間放置した後の引張伸び残率は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは93%以上であり、特に好ましくは95%以上である。前記引張強度残率および引張伸び残率は、後述する実験例に示される方法によって測定することができる。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、耐熱性に優れる樹脂組成物である。そのため、例えば、JIS C3005に準拠する加熱変形率は、好ましくは25%以下であり、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは15%以下である。加熱変形率は、後述する実験例に示される方法によって測定することができる。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、樹脂、カーボンブラックおよびホスフィン酸金属塩、ならびに場合により他の成分を、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー等の公知の溶融混練法を用いて、公知の条件に準じて混合して製造することができる。例えば、各成分を常温において混合した後、二軸の混練押出機を用いて溶融混練を行う方法を挙げることができる。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、電力ケーブルの半導電層を構成する材料として、半導電層の形成に好適に用いることができるが、用途はこれに限定されない。本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物は、半導電性と高い難燃性とを併せ持つので、特に電力ケーブルの最外層として配置される半導電層を構成する材料として好適に用いることができる。
本発明の第1の態様の難燃性樹脂組成物により、半導電性および高い難燃性を有するとともに、高い耐外傷性および機械的強度(引張特性)を有し、さらに優れた低温性(低い脆化温度)、老化特性(低い機械的強度変化)および耐熱性(低い加熱変形率)を有する、第2の態様の難燃性ケーブルの半導電層を形成することができる。難燃性ケーブルにおいて、前記半導電層は内部半導電層および外部半導電層のいずれとしても存在し得るが、半導電性を有しながら、難燃性、耐外傷性、機械的強度(引張特性)、低温性、老化特性および耐熱性に優れることから、特に、電力ケーブルの最外層に好適に配置され得る。
本発明の一実施形態によれば、第1の態様の難燃性樹脂組成物を含む半導電層を有する第2の態様の難燃性ケーブルを提供することができる。前記第2の態様の難燃性ケーブルは、半導電性および高い難燃性を有するとともに、高い耐外傷性および機械的強度(引張特性)を有し、さらに優れた低温性(低い脆化温度)、老化特性(低い機械的強度変化)および耐熱性(低い加熱変形率)を有する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は以下の実施例の内容に限定されるものではない。
(使用した材料)
下記の実験例(実施例、比較例)で使用した材料について述べる。
[エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂]
・EVA1:酢酸ビニル含有量14質量%、融点92℃、MFR1.3g/10分(MFRは、190℃・21.6kgの測定条件で測定した。以下同じである。)
・EVA2:酢酸ビニル含有量25質量%、融点77℃、MFR2.0g/10分
[エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂]
・EEA:アクリル酸エチル含有量15質量%、融点100℃、MFR0.8g/10分
[エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂]
・EMA:アクリル酸メチル含有量14質量%、融点87℃、MFR6.0g/10分
[ポリエチレン樹脂]
・LDPE(低密度ポリエチレン):密度0.92g/mL、融点110℃、MFR1.4g/10分
・LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン):密度0.92g/mL、融点126℃、MFR0.6g/10分
・MAH−LLDPE(マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン):密度0.928g/mL、融点122℃、MFR1.5g/10分、マレイン酸含有量0.8質量%
・MDPE(中密度ポリエチレン):密度0.936g/mL、融点126℃、MFR0.5g/10分
[ホスフィン酸金属塩]
ホスフィン酸金属塩:ジエチルホスフィン酸アルミニウム、密度1.35g/mL、リン含有率23〜24質量%、平均粒径20〜40μm
[カーボンブラック]
・ファーネスカーボン:算術平均粒子径38nm、窒素吸着比表面積49m/g
・ケッチェンブラック:算術平均粒子径39.5nm、窒素吸着比表面積800m/g
[水酸化アルミニウム]
・水酸化アルミニウム:平均粒径1.0μm、表面未処理品
(試験片作製用のシートの作製)
上記の使用材料を、表1〜4に示す配合(質量比)で、加圧ニーダーにて180℃で混練した後、160℃でプレス成形し、厚さ1mm、2mm、3mmのシートを作製した。
(測定方法)
下記の実験例(実施例、比較例)で行った物性等の測定方法について述べる。
・酸素指数:160℃でプレス成形した厚さ3mmのシートから試験片を作製し、JIS K7201に準拠して酸素指数を測定した。酸素指数は40まで測定した。
・D硬度:厚さ3mmのシートを用いて、ショアD硬度計(製造メーカ:高分子計器社)においてJIS K7215 タイプDに準じて測定した。
厚さ1mmのシートについて、常温下で500Vの電圧で初期の体積抵抗を測定した。
(体積抵抗が1.0E+10Ω・cm以上のサンプルにおける測定)
体積抵抗測定時にはシートの測定中心部の厚みを測定し、またアジレントテクノロジー社製の4339B High Resistanceメータを用いて電流値を測定し、その測定値から体積抵抗を算出した。
(体積抵抗が1.0E+10Ω・cm未満のサンプルにおける測定)
体積抵抗測定時にはシートの測定中心部の厚みを測定し、また日置電機社製抵抗計RM3545メータ等を用いて電流値を測定し、その測定値から体積抵抗を算出した。
・引張強度および引張伸び
160℃でプレス成形した厚さ1mmのシートから引張試験片を打ち抜き、島津製作所社製オートグラフを使用してJIS K6251に準拠して、200mm/分の試験速度で引張試験を行った。
・脆化温度
160℃でプレス成形した厚さ2mmのシートから引張試験片を打ち抜き、東洋精機社製の測定機を使用して、JIS K7216に準じて測定した。なお、測定は−25℃まで行った。
・加熱後引張強度残率および引張強度伸び残率
160℃でプレス成形した厚さ1mmのシートから引張試験片を打ち抜き、100℃設定のギアオーブン中でつりさげ、168h加熱後、常温下に取出し、サンプル温度が下がっていることを確認のうえ、島津製作所社製オートグラフを使用してJIS K6251に準拠して、200mm/分の試験速度で引張試験を行った。なお、加熱後引張強度残率および加熱後引張伸び残率は以下の式に従い算出した。
加熱後引張強度残率(%)=加熱後引張強度/初期引張強度×100
加熱後引張伸び残率(%)=加熱後引張伸び/初期引張伸び×100
・加熱変形率
安田精機社製の測定機を使用して、JIS C3005に準じ、75℃、4kgの条件で、直径10mmの鉄棒にて押込みを行って測定した。
表1〜3に示されている結果より、本発明の第1の態様に従う実験例1〜15、17および19においては、29以上の酸素指数、45以上のD硬度、10000Ω・cm未満の体積抵抗、9.0MPa以上の引張強度、200%以上の引張伸びが確認されており、得られた樹脂組成物が半導電性および難燃性を有し、かつ高い耐外傷性および機械的特性(引張特性)を有することが明らかである。また、特に実験例1〜15においては、−25℃以下の脆化温度、90%以上の加熱後引張強度残率および引張伸び残率、ならびに25%以下の加熱変形率が得られており、得られた樹脂組成物が前記特性に加えて低温性、老化特性および耐熱性の要求特性もすべて満たしていることが明らかである。さらに、樹脂として樹脂(A1)およびポリエチレン樹脂(A2)を含む場合(実験例4〜10)には、樹脂として樹脂(A1)のみを含む場合(実験例1〜3)と比較して、D硬度が高くなり、加熱変形率も低くなることから、樹脂(A1)とともにポリエチレン樹脂(A2)を特定の範囲内の量で含む場合に、耐外傷性や耐熱性がより向上することがわかる。さらに、実験例4、8および10の結果より、ポリエチレン樹脂(A2)が、直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレン樹脂である場合には、中密度ポリエチレン樹脂を用いた場合と比較してより良好な引張伸びが得られることがわかる。
一方、樹脂の1つであるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の融点が80℃未満である実験例16では加熱変形率が高くなり、樹脂(A1)を含まない実験例18では加熱後引張強度残率および引張伸び残率が低かった。また、カーボンブラックの含有量が本発明の第1の態様における下限値に満たない実験例20では、導電性が低く、硬度も低かった。一方、カーボンブラックの含有量が本発明の第1の態様における上限値を超える実験例21では、引張強度および引張伸びが低く、また脆化温度が高く低温性に劣った。難燃剤としてホスフィン酸金属塩に代えて水酸化アルミニウムを用いた実験例22では、硬度は高くなるが引張強度および引張伸びは著しく低く、また、酸素指数が低く難燃性に劣り、相当量のカーボンブラックを配合しているにもかかわらず導電性も低かった。

Claims (6)

  1. 樹脂、カーボンブラック、およびホスフィン酸金属塩を含有する難燃性樹脂組成物であって、
    前記樹脂は、80℃以上の融点を有するエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、80℃以上の融点を有するエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂、および80℃以上の融点を有するエチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂からなる群より選択される1種または2種以上を含み、
    前記カーボンブラックの含有量は、前記樹脂100質量部に対して25質量部以上60質量部以下である、難燃性樹脂組成物。
  2. 前記ホスフィン酸金属塩の含有量は、前記樹脂100質量部に対して10質量部以上45質量部以下である、請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記樹脂がさらにポリエチレン樹脂を含み、その含有量が、前記樹脂100質量部のうち45質量部以下である、請求項1または2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記ポリエチレン樹脂の密度は、0.90g/mL以上0.93g/mL未満である、請求項3に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 前記カーボンブラックは、ファーネスカーボン、ケッチェンブラックおよびアセチレンブラックからなる群より選択される1種以上である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物を含む半導電層を有する、難燃性ケーブル。
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