JP2009176475A - 絶縁電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも耐摩耗性に優れ、十分な難燃性を有する絶縁電線を提供すること。また他の課題は、この絶縁電線を含んだワイヤーハーネスを提供すること。
【解決手段】導体の外周に多層構造の絶縁体が被覆されており、絶縁体の最外層は、難燃剤を含有する樹脂組成物よりなり、絶縁体の最内層は、最外層よりも少量の難燃剤を含有しているか、難燃剤を含有していない樹脂組成物よりなり、最内層の弾性率は、最外層の弾性率よりも大きくなるように構成されている。そして、最内層の弾性率は、1000MPa以上であると良い。また、上記絶縁電線を含むワイヤーハーネスとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、絶縁電線およびワイヤーハーネスに関し、さらに詳しくは、車両部品、電気・電子機器部品などに好適に用いられる絶縁電線およびワイヤーハーネスに関するものである。
従来、自動車部品などの車両部品、電気・電子機器部品などの配線に用いられる絶縁電線としては、一般に、導体の外周に、ハロゲン系難燃剤を添加した塩化ビニル樹脂組成物を被覆したものが広く用いられてきた。
しかしながら、この種の塩化ビニル樹脂組成物は、ハロゲン元素を含有しているため、車両の火災時や電気・電子機器の焼却廃棄時などの燃焼時に有害なハロゲン系ガスを大気中に大量に放出するおそれがあり、環境汚染が懸念されていた。
そのため、地球環境への負荷を抑制するなどの観点から、近年では、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂などに、ノンハロゲン系難燃剤として水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を添加した、いわゆるノンハロゲン系難燃性組成物への代替が進められている。
例えば特許文献1には、エチル−アクリル酸エチル共重合体(EEA)やポリエチレン、エチレンプロピレンゴムなどの樹脂やゴムに難燃剤として水酸化マグネシウムを添加した難燃性組成物が被覆された絶縁電線が開示されている。
特許第3339154号公報
ところが、基本的にオレフィン系樹脂などは燃えやすく、また、ノンハロゲン系難燃剤は、ハロゲン系難燃剤に比較して難燃化効果に劣る。したがって、ノンハロゲン系難燃性組成物では、十分な難燃性を確保するため、金属水酸化物などの難燃剤を多量に添加する必要があった。そして、オレフィン系樹脂などに金属水酸化物を多量に添加して製造された従来の絶縁電線では、耐摩耗性などの機械的特性が著しく低下するという問題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、従来よりも耐摩耗性に優れ、十分な難燃性を有する絶縁電線を提供することにある。また、この絶縁電線を含んだワイヤーハーネスを提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、導体の外周に設けられる絶縁体の弾性率を調整することで、絶縁電線の難燃性を十分維持したまま、耐摩耗性を向上させることが可能であるという知見を得た。
すなわち、本発明に係る絶縁電線は、導体の外周に多層構造の絶縁体が被覆されており、上記絶縁体の最外層は、難燃剤を含有する樹脂組成物よりなり、上記絶縁体の最内層は、上記最外層よりも少量の難燃剤を含有しているか、難燃剤を含有していない樹脂組成物よりなり、上記最内層の弾性率は、上記最外層の弾性率よりも大きいことを要旨とするものである。
このとき、上記最内層の弾性率は1000MPa以上であることが望ましい。
そして、上記最内層の厚みは、上記絶縁体の厚みの1/2以下であることが望ましい。
さらに、上記絶縁体の厚みは、0.5mm以下であることが望ましい。
また、上記最外層は、上記最外層の樹脂成分100重量部に対して、上記難燃剤を30〜250重量部含有していることが望ましい。
また、上記最内層は、上記最内層の樹脂成分100重量部に対して、上記難燃剤を5〜50重量部含有していることが望ましい。
一方、本発明に係るワイヤーハーネスは、上記絶縁電線を含むことを要旨とするものである。
本発明に係る絶縁電線は、導体の外周に多層構造の絶縁体が被覆されており、この絶縁体の最外層は、難燃剤を含有する樹脂組成物よりなり、絶縁体の最内層は、最外層よりも少量の難燃剤を含有しているか、難燃剤を含有していない樹脂組成物よりなり、最内層の弾性率は、最外層の弾性率よりも大きくなるように構成されている。
そのため、例えば、難燃剤を多量に含有する単層の絶縁体が被覆された従来の絶縁電線と比較して、耐摩耗性に優れるとともに、十分な難燃性を維持することができる。
このとき、最内層の弾性率は1000MPa以上であれば、耐摩耗性により優れる。
また、最内層の厚みが絶縁体の厚みの1/2以下であれば、絶縁電線の難燃
性に優れる。
そして、絶縁体の厚みが0.5mm以下であれば、細径電線として用いることができる。
さらに、最外層が、上記最外層の樹脂成分100重量部に対して、難燃剤を30〜250重量部含有していれば、絶縁電線の難燃性により優れる。
また、最内層が、上記最内層の樹脂成分100重量部に対して、難燃剤を5〜50重量部含有していれば、絶縁電線の難燃性に一層優れる。
一方、本発明に係るワイヤーハーネスは、上記絶縁電線を含んでいるので、従来よりも耐摩耗性に優れ、十分な難燃性を有する。そのため、ワイヤーハーネスの使用時に、絶縁電線が摩耗し難いので、長期に亘って高い信頼性を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明に係る絶縁電線は、導体の外周に、多層構造を有する絶縁体が被覆されてなる。絶縁体の層構成は、2層以上であれば良く、特に限定されるものではない。一般的には、層数が多くなると製造工程が煩雑になるため、量産性を考慮すると、絶縁体は2層または3層であることが好ましい。絶縁体が2層よりなる場合、最外層と最内層とで構成される。3層以上よりなる場合、最外層と最内層との間には、1層以上の中間層を有している。
上記多層構造を有する絶縁体のうち、導体に接触している最内層の弾性率は、最外層の弾性率よりも大きくなるように構成されている。そして、層数が3層以上である場合には、最内層と最外層との間に設けられる中間層の弾性率は、最外層の弾性率より大きく構成すると良い。さらに、中間層の弾性率は、最内層の弾性率よりも小さくなるように構成すると良い。
最内層の弾性率は、耐摩耗性の観点から、1000MPa以上であることが好ましい。より好ましくは、1200MPa以上、さらに好ましくは、1500MPa以上であると良い。
一方、加工性の観点から、最内層の弾性率は、4000MPa以下であることが好ましい。より好ましくは、3800MPa以下、さらに好ましくは、3500MPa以下であると良い。
絶縁体の最外層は、難燃剤を含有する樹脂組成物よりなり、絶縁体の最内層は、最外層よりも少量の難燃剤を含有しているか、難燃剤を含有していない樹脂組成物よりなる。
この場合、最内層と最外層との間に設けられる中間層は、各々、難燃剤を含有する樹脂組成物により形成されても良いし、難燃剤を含有しない樹脂組成物により形成されても良い。中間層が難燃剤を含有している場合には、その含有量は、最外層より多くても良いし、最外層より少なくても良い。また、最内層より多くても良いし、難燃剤を含有するときの最内層より少なくても良い。
具体例として、例えば、最外層が最も多く難燃剤を含有し、最外層から最内層に向かって内層になるにしたがって、含有される難燃剤の量が徐々に少なくなっている構成(傾斜配合)、最外層は難燃剤を含有しているが、最外層よりも内側の層は難燃剤を含有していない構成、最内層は難燃剤を含有していないが、最内層よりも外側の層は難燃剤を含有している構成などを示すことができる。このとき、最外層は、難燃効果を発揮するのに十分な量の難燃剤を含有していると良い。
最外層は、難燃性の観点から、樹脂成分100重量部に対して、難燃剤を30重量部以上含有していることが好ましい。より好ましくは、50重量部以上、さらに好ましくは、60重量部以上である。一方、耐摩耗性などの機械特性を十分に得るためには、最外層の樹脂成分100重量部に対して、難燃剤を250重量部以下とすることが好ましい。より好ましくは、200重量部以下、さらに好ましくは、180重量部以下である。
最外層の厚みは、特に限定されるものではないが、十分な難燃性を有する程度に厚みを有していることが好ましい。例えば、最外層に含有される難燃剤の量との関係などを考慮して、適宜調節することができる。また、中間層を有する場合には、中間層に含有される難燃剤の量や中間層の厚みとの関係などを考慮して、適宜調節することができる。最外層の厚みとしては、好ましくは、0.05〜0.4mmの範囲内である。より好ましくは、0.1〜0.2mmの範囲内である。
最内層は、導体に接する層であり、絶縁体と導体との間の密着性に寄与する。最内層に含有される難燃剤の量が少ないと、導体との間の密着性が高くなる。そのため、最内層は、難燃剤を含有していないか、含有していても少量であることが好ましい。少なくとも、最外層よりも少量である。
難燃剤を含有する場合には、樹脂成分100重量部に対して、5〜50重量部とすることが好ましい。この範囲内にあれば、絶縁体と導体との間の密着性に優れる。また、絶縁体と導体との間の密着性に優れると、絶縁体の耐寒性も高くなる。
上述するように、絶縁体と導体との間の密着性を確保するためには、最内層の難燃剤の量は少ないほうが良い。しかしながら、最内層の難燃剤の量が少ないと、最内層の難燃性は低下する。このとき、難燃性の低い最内層の絶縁体全体に占める割合が大きいと、絶縁体全体の難燃性も低下する。したがって、絶縁体全体の難燃性確保の観点より、難燃性の低い最内層の厚みは、絶縁体の厚みの1/2以下であることが好ましい。
また、絶縁体全体の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば自動車用途であれば、自動車用電線は軽量化・細径化される傾向にあるため、自動車用途で細径電線に用いることができる観点からいえば、絶縁体の厚みは、0.5mm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.3mm以下であると良い。
絶縁体の最外層、最内層、中間層を形成する材料の樹脂成分としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンの単独または相互共重合体あるいは、これらの混合物を例示することができる。
絶縁体を形成する材料は、熱可塑性エラストマーを含有していても良い。熱可塑性エラストマーを含有すると、柔軟性や加工性などが向上する傾向が見られる。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマーや、エチレン系熱可塑性エラストマーなどがある。これらは1種または2種以上併用しても良い。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)などを例示することができる。
エチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、および/または1−ヘキセンとの共重合体を例示することができる。
エラストマーは、酸変性したものであっても良い。酸を導入する方法としては、グラフト法や直接(共重合)法などが挙げられる。酸としては、不飽和カルボン酸やその誘導体などがある。具体的には、不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸などが挙げられ、その誘導体としては、無水マレイン酸(MAH)、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステルなどが挙げられる。これらは、1種または2種以上併用しても良い。これらのうち、好ましくは、マレイン酸、無水マレイン酸である。
絶縁体形成材料に添加する難燃剤としては、ノンハロゲン系の難燃剤が良く、例えば、金属水酸化物などが好ましい。金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどを例示することができる。好ましくは、水酸化マグネシウムである。水酸化マグネシウムとしては、いわゆる合成品でも良いし、天然鉱物を粉砕して得られる天然品でも良い。
金属水酸化物の平均粒径は、0.1〜20μmの範囲内にあることが好ましい。より好ましくは0.2〜10μmの範囲内、さらに好ましくは、0.5〜5μmの範囲内である。平均粒径が0.1μm未満では、粒子同士の二次凝集が起こりやすく、電線の機械特性が低下しやすい。一方、20μmを超えると、電線形状の外観不良になる傾向がある。
金属水酸化物は、表面処理剤により表面処理されていても良い。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤(ビニルシラン、アクリルシランなど)、チタネートカップリング剤、高級脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸など)、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、オレフィン系ワックスなどを例示することができる。これらは1種または2種以上併用しても良い。表面処理剤により表面処理された金属水酸化物は、樹脂成分との密着性が向上する。
表面処理剤は、金属水酸化物100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、0.1〜5重量部の範囲内である。0.1重量部未満では、電線特性の向上効果が低下しやすく、10重量部を超えると、過剰に添加されたものが不純物として残存しやすくなり、電線の物性を低下させやすい。
金属水酸化物は、あらかじめ表面処理剤により表面処理されていても良いし、表面処理剤とともに絶縁体を形成する樹脂組成物中に配合されて、樹脂組成物を混練することにより表面処理されても良い。
絶縁体形成材料中には、必要に応じて、物性を損なわない範囲で他の添加剤が配合されていても良い。例えば、電線被覆材などに用いられる一般的な充填剤や、顔料、酸化防止剤、老化防止剤、銅害防止剤などが配合されていても良く、特に限定されるものではない。
最外層、最内層、および中間層は、同じ樹脂成分により形成されていても良いし、異なる樹脂成分により形成されていても良い。量産性を考慮すれば、各層は、流動性に差がない(差が小さい)材料により形成されていることが好ましい。量産性を考慮すれば、導体の外周に、各層を形成する材料を同時に押出成形することが好ましく、そのためには、押出成形時において、材料の流動性に差がないほうが良いからである。
導体としては、単線の金属線、複数本の金属素線が撚り合わされた撚線、撚線が圧縮加工されたものなどが挙げられる。その導体径や材質などは、特に限定されるものではなく、用途などに応じて適宜選択することができる。
次に、本発明に係る絶縁電線の製造方法について説明する。製造方法としては、一般に知られる手法を用いることができ、特に限定されるものではない。
製造方法の一例としては、まず、絶縁体を形成する樹脂組成物を調製する。例えば、絶縁体が最外層と最内層の2層よりなる場合、最外層を形成する樹脂組成物と、最内層を形成する樹脂組成物とをそれぞれ調製する。例えば、上記樹脂、エラストマー、金属水酸化物、および、必要に応じて、他の成分や添加剤などを任意に配合し、これらを通常のタンブラーなどでドライブレンドしたり、あるいは、バンバリミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロールなどの通常の混練機で溶融混練して均一に分散するなどにより、それぞれの樹脂組成物を調製する。
次いで、押出成形機などを用いて、導体の外周に、調製した樹脂組成物を任意の厚さで被覆する。このとき、最内層を形成する樹脂組成物を導体表面に押出した後、最外層を形成する樹脂組成物を押出するようにしても良いし、最内層を形成する樹脂組成物と、最外層を形成する樹脂組成物とを同時に押出しても良い。量産性を考慮すると、同時押出することが好ましい。
絶縁体が3層以上よりなる場合にも、上記方法と同様にして絶縁体を形成する樹脂組成物を調製し、調製した樹脂組成物を連続的に、または同時に押出すると良い。
次に、本発明に係るワイヤーハーネスについて説明する。
本発明に係るワイヤーハーネスは、本発明に係る絶縁電線のみを複数本、または、本発明に係る絶縁電線と他の電線からなる電線束が、ワイヤーハーネス保護材により被覆されてなる。他の電線としては、ハロゲン元素を含有している電線(塩化ビニル系の電線など)であっても良いし、ハロゲン元素を含有していない電線であっても良い。電線の本数は、任意に定めることができ、特に限定されるものではない。
ワイヤーハーネス保護材は、複数本の絶縁電線が束ねられた電線束の外周を覆い、内部の電線束を外部環境などから保護する役割を有するものである。ワイヤーハーネス保護材を構成する基材としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂組成物が好ましい。樹脂組成物には、金属水酸化物などの難燃剤を適宜添加すると良い。
ワイヤーハーネス保護材の形態としては、テープ状に形成された基材の少なくとも一方の面に粘着剤が塗布されたものや、チューブ状、シート状などに形成された基材を有するものなどを、用途に応じて適宜選択して用いることができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(供試材料および製造元など)
本実施例において使用した供試材料を製造元、商品名、物性値などとともに示す。
絶縁体材料
・ポリプロピレン[日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックPP EC7」]
・ポリエチレン[日本ユニカー(株)製、商品名「NUC 8008」]
・水酸化マグネシウム[マーティンスベルグ(株)製、商品名「マグニフィン H10」、平均粒子径=1.0μm]
(最外層組成物および最内層組成物の調製)
二軸混練機を用いて、後述の表1および2に示す成分を200℃で混練した後、ペレタイザーを用いて、得られた混練物をペレット状に成形して、各樹脂組成物を調製した。
(絶縁電線の作製)
押出成形機を用いて、軟銅線を7本撚り合わせた軟銅撚線導体(断面積0.5mm)の外周に、後述の表1および2に示す厚みで各層組成物を押出被覆して(絶縁体の厚み0.2mm)、実施例および比較例に係る絶縁電線を作製した。また作製した試料の弾性率を以下の方法で測定した。
そして、以上のように作製した各絶縁電線について、耐摩耗性試験、難燃性試験を実施した。以下に、弾性率および各試験方法について説明する。
(弾性率の測定)
JASO D611−94に準拠して行った。すなわちチャック間距離20mmで試験片(チューブ状)を挟み込み、引張速度50mm/min、荷重100Nで引っ張り、応力−伸び曲線を測定し、その傾きから弾性率を求めた。
(耐摩耗性試験)
JASO D611−94に準拠し、ブレード往復法により行った。すなわち、作製した各絶縁電線を750mmの長さに切り出して試験片とした。次いで、23±5℃の室温下にて、台上に固定した試験片の絶縁体表面を軸方向に10mm以上の長さでブレードを往復させ、絶縁体の摩耗によってブレードが導体に接触するまでの往復回数を測定した。この際、ブレードにかける荷重は7Nとし、ブレードは毎分50回の速度で往復させた。次いで、試験片を100mm移動させて、時計方向に90°回転させ、上記の測定を繰り返した。この測定を同一試験片について合計3回行い、最低値が200回以上のものを合格とし、200回未満のものを不合格とした。
(難燃性試験)
JASO D611−94に準拠して行った。すなわち、作製した各絶縁電線を300mmの長さに切り出して試験片とした。次いで、各試験片を鉄製試験箱に入れて水平に支持し、口径10mmのブンゼンバーナーを用いて還元炎の先端を試験片中央部の下側から30秒以内で燃焼するまで当て、炎を静かに取り去った後の残炎時間を測定した。この残炎時間が15秒以内のものを合格とし、15秒を超えるものを不合格とした。
以下、表1に実施例、表2に比較例の組成物の成分配合および評価結果を示す。なお、組成物の成分配合は重量部で記載してある。
Figure 2009176475
Figure 2009176475
表2によれば、比較例に係る絶縁電線は、耐摩耗性、難燃性の何れかに難点があることが分かる。
具体的には、比較例1に係る絶縁電線の絶縁体は導体に接する最内層のみからなり、最内層は難燃剤を含有していないので、難燃性に劣っている。比較例2および3に係る絶縁電線の絶縁体は、導体に接する最外層のみからなり、最外層は難燃剤を多量に含有しているので、絶縁体と導体との間の密着性が悪くなって、耐摩耗性に劣っている。さらに、比較例4は最内層と最外層の弾性率が同じであるため、耐摩耗性に劣っている。また、比較例5は、最内層の弾性率が、最外層の弾性率よりも小さいため、耐摩耗性に劣っている。
これらに対し、実施例に係る絶縁電線は、導体の外周に2層構造もしくは3層構造の絶縁体が被覆されており、絶縁体の最外層は、難燃剤を多く含有する樹脂組成物よりなり、絶縁体の最内層は、難燃剤を含有していないか、最外層よりも少量の難燃剤を含有している樹脂組成物よりなり、最内層の弾性率は、最外層の弾性率よりも大きく構成されている。そのため、耐摩耗性および難燃性に優れていることが確認できた。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

Claims (7)

  1. 導体の外周に多層構造の絶縁体が被覆されており、
    前記絶縁体の最外層は、難燃剤を含有する樹脂組成物よりなり、
    前記絶縁体の最内層は、前記最外層よりも少量の難燃剤を含有しているか、難燃剤を含有していない樹脂組成物よりなり、
    前記最内層の弾性率は、前記最外層の弾性率よりも大きいことを特徴とする絶縁電線。
  2. 前記最内層の弾性率は1000MPa以上であることを特徴とする請求項1記載の絶縁電線。
  3. 前記最内層の厚みは、前記絶縁体の厚みの1/2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁電線。
  4. 前記絶縁体の厚みは、0.5mm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の絶縁電線。
  5. 前記最外層は、前記最外層の樹脂成分100重量部に対して、前記難燃剤を30〜250重量部含有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の絶縁電線。
  6. 前記最内層は、前記最内層の樹脂成分100重量部に対して、前記難燃剤を5〜50重量部含有していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の絶縁電線。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の絶縁電線を含むことを特徴とするワイヤーハーネス。
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