JP2016072120A - 蓄電デバイス用セパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】高温における電池サイクル特性に優れる蓄電デバイス用セパレータを提供すること。
【解決手段】
多孔基材層(A)を有する蓄電デバイス用セパレータであって、
少なくともその片面側の最外層が、その一部に塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)を有していることを特徴とする、前記蓄電デバイス用セパレータ前記塩基性リン酸塩(c−1)は、好ましくはリン酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれ、そして該塩基性リン酸塩(c−1)と含む層(C)は、好ましくはドット状に存在する。
【選択図】なし

Description

本発明は蓄電デバイス用セパレータに関する。
本発明のセパレータは、非水電解液二次電池におけるセパレータとして、特に好適に用いられる。
リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスには、正負極間に微多孔膜からなるセパレータが設けられている。セパレータの機能としては、例えば正負極間の直接的な接触を防止すること、イオンを透過させること等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂多孔膜は、優れた電気絶縁性及びイオン透過性を示すことから、蓄電デバイスにおけるセパレータとして広く利用されている。特に近年では、多機能化及び軽量化の著しい携帯機器の電源として、出力密度及び容量密度の高いリチウムイオン二次電池等が使用されている。このような電池用のセパレータとしても、主としてポリオレフィン樹脂多孔膜が用いられている。
しかしながら、リチウムイオン二次電池が自動車用途で用いられる場合、携帯機器用の場合と比較して、温度、充放電電流、上限電圧等の使用条件が過酷になるため、電極及びセパレータの経時劣化が問題となる。
この点、特許文献1には、電極及びセパレータの劣化防止を目的として、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩等の金属化合物が担持された電池用セパレータが記載されている。
特開2009−146611号公報
特許文献1の技術によると、確かに、セパレータの酸化劣化が抑制され、サイクル評価における電池特性に改善が見られるものの、高温における電池サイクル特性(以下、「高温特性」ともいう。)は不十分である。
本発明は、上記の現状に鑑みてなされたものである。従って、本発明は、高温における電池サイクル特性に優れる蓄電デバイス用セパレータを提供することを目的とする。
本発明の概要は、以下のとおりである。
[1] 多孔基材層(A)を有する蓄電デバイス用セパレータであって、
少なくともその片面側の最外層が、その一部に塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)を有していることを特徴とする、前記蓄電デバイス用セパレータ。
[2] 前記塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)の面積が、前記蓄電デバイス用セパレータの塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)を有する面の全面積に対して5%以上90%以下である、[1]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[3] 前記塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)が、ドット状に存在する、[1]又は[2]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[4] 前記塩基性リン酸塩(c−1)が、リン酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[5] 前記蓄電デバイス用セパレータが、
前記多孔基材層(A)の少なくとも片側に、樹脂バインダー(b−1)及び無機充填材(b−2)を含む多孔層(B)を備え、そして
前記塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)の存在する面が前記多孔層(B)の面である、[1]〜[4]いずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[6] [1]〜[5]いずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータと、
正極と、
負極と、
電解液と
を有することを特徴とする、蓄電デバイス。
[7] 前記正極の電位がリチウム基準で4.5V以上であり、そして
非水電解液二次電池として使用される、[6]に記載の蓄電デバイス。
本発明によれば、高温における電池サイクル特性に優れる蓄電デバイス用セパレータが提供される。
本発明のセパレータは、例えば非水電解液電池のセパレータとして好適に使用することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態におけるセパレータは、少なくともその片面側の最外層が、その一部に塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)を有していることを特徴とする。
前記セパレータは、少なくとも多孔基材層(A)を有する。該多孔基材層(A)の少なくとも片側に、樹脂バインダー(b−1)及び無機充填材(b−2)を含む多孔層(B)を備えていてもよい。前記セパレータが多孔層(B)を備える場合には、前記塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)の存在する面は、前記多孔層(B)の面であることが好ましい。
<多孔基材層(A)>
本発明における多孔基材層(A)について説明する。
上記多孔基材層(A)としては、電子伝導性が小さく、イオン伝導性を有し、有機溶媒に対する耐性が高く、孔径の微細なものが好ましい。
そのような多孔基材層(A)としては、例えば、ポリオレフィン樹脂を含む多孔膜;ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂を含む多孔膜;ポリオレフィン系の繊維を織ったもの(織布);ポリオレフィン系の繊維の不織布;紙;並びに、絶縁性物質粒子の集合体が挙げられる。これらの中でも、塗工工程を経てセパレータを得る場合に塗工液の塗工性に優れ、セパレータの膜厚をより薄くして、電池等の蓄電デバイス内の活物質比率を高めて体積当たりの容量を増大させる観点から、ポリオレフィン樹脂を含む多孔膜(以下、「ポリオレフィン樹脂多孔膜」ともいう。)が好ましい。
多孔基材層(A)は、電池用セパレータとした時のシャットダウン性能等を向上させる観点から、該多孔基材層(A)を構成する樹脂成分の50質量%以上100質量%以下をポリオレフィン樹脂が占めるポリオレフィン樹脂組成物により形成される多孔基材層(A)であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂組成物におけるポリオレフィン樹脂が占める割合は、60質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物に含有されるポリオレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等をモノマーとして用いて得られるホモ重合体、共重合体、又は多段重合体等が挙げられる。また、これらのポリオレフィン樹脂は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
中でも、電池用セパレータとした時のシャットダウン特性の観点から、ポリオレフィン樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの共重合体、並びにこれらの混合物が好ましい。
ポリエチレンの具体例としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等、
ポリプロピレンの具体例としては、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン等、
共重合体の具体例としては、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレンプロピレンラバー等、が挙げられる。
中でも、電池用セパレータとした時に低融点かつ高強度の要求性能を満たす観点から、ポリオレフィン樹脂としてポリエチレン、特に高密度ポリエチレンを用いることが好ましい。なお、本発明において、高密度ポリエチレンとは密度0.942〜0.970g/cm3のポリエチレンをいう。なお、本発明においてポリエチレンの密度とは、JIS K7112(1999)に記載のD)密度勾配管法に従って測定した値をいう。
また、多孔基材層(A)の耐熱性を向上させる観点から、ポリオレフィン樹脂としてポリエチレン及びポリプロピレンの混合物を用いることが好ましい。この場合、ポリオレフィン樹脂組成物中の、総ポリオレフィン樹脂に対するポリプロピレンの割合は、耐熱性と良好なシャットダウン機能を両立させる観点から、1〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜20質量%、さらに好ましくは4〜10質量%である。
ポリオレフィン樹脂組成物には、任意の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、ポリオレフィン樹脂以外の重合体;無機材;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。これらの添加剤の総添加量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、20質量部以下であることがシャットダウン性能等を向上させる観点から好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
多孔基材層(A)は、非常に小さな孔が多数集まって緻密な連通孔を形成した多孔構造を有しているため、イオン伝導性に非常に優れると同時に耐電圧特性も良好であり、しかも高強度であるという特徴を有する。
多孔基材層(A)は、上述した材料からなる単層膜であってもよく、積層膜であってもよい。
多孔基材層(A)の膜厚は、0.1μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上50μm以下、さらに好ましくは3μm以上25μm以下である。機械的強度の観点から0.1μm以上が好ましく、電池の高容量化の観点から100μm以下が好ましい。多孔基材層(A)の膜厚は、ダイリップ間隔、延伸工程における延伸倍率等を制御すること等によって調整することができる。
多孔基材層(A)の平均孔径は、0.03μm以上0.70μm以下が好ましく、より好ましくは0.04μm以上0.20μm以下、さらに好ましくは0.05μm以上0.10μm以下、特に好ましくは0.06μm以上0.09μm以下である。高いイオン伝導性と耐電圧の観点から、0.03μm以上0.70μm以下が好ましい。多孔基材層(A)の平均孔径は、後述する測定法で測定することができる。
平均孔径は、組成比、押出シートの冷却速度、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率を制御することや、これらを組み合わせることにより調整することができる。
多孔基材層(A)の気孔率は、好ましくは25%以上95%以下、より好ましく30%以上65%以下、さらに好ましくは35%以上55%以下である。イオン伝導性向上の観点から25%以上が好ましく、耐電圧特性の観点から95%以下が好ましい。多孔基材層(A)の気孔率は、後述する方法で測定することができる。
多孔基材層(A)の気孔率は、これがポリオレフィン樹脂多孔膜である場合には、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の混合比率、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率を制御することや、これらを組み合わせることによって調整することができる。
多孔基材層(A)がポリオレフィン樹脂多孔膜である場合、該ポリオレフィン樹脂多孔膜の粘度平均分子量は、30,000以上12,000,000以下であることが好ましく、より好ましくは50,000以上2,000,000未満、さらに好ましくは100,000以上1,000,000未満である。粘度平均分子量が30,000以上であると、溶融成形の際のメルトテンションが大きくなり成形性が良好になると共に、重合体同士の絡み合いにより高強度となる傾向にあるため好ましい。一方、粘度平均分子量が12,000,000以下であると、均一に溶融混練をすることが容易となり、シートの成形性、特に厚み安定性に優れる傾向にあるため好ましい。さらに、電池用セパレータとした時に、粘度平均分子量が1,000,000未満であると、温度上昇時に孔を閉塞しやすく良好なシャットダウン機能が得られる傾向にあるため好ましい。ポリオレフィン樹脂多孔膜の粘度平均分子量は、後述する方法で測定することができる。
多孔基材層(A)としてのポリオレフィン樹脂多孔膜を製造する方法としては特に制限はなく、公知の製造方法を採用することができる。例えば;
(1)ポリオレフィン樹脂組成物と孔形成材とを溶融混練してシート状に成形後、必要に応じて延伸した後、孔形成材を抽出することにより多孔化させる方法、
(2)ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によってポリオレフィン結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法、
(3)ポリオレフィン樹脂組成物と無機材とを溶融混練してシート上に成形した後、延伸によってポリオレフィンと無機材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法、
(4)ポリオレフィン樹脂組成物を溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させてポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法
等が挙げられる。
以下、多孔基材層(A)としてのポリオレフィン樹脂多孔膜を製造する方法の一例として、ポリオレフィン樹脂組成物と孔形成材とを溶融混練してシート状に成形後、孔形成材を抽出する方法について説明する。
まず、ポリオレフィン樹脂組成物と上記の孔形成材を溶融混練する。溶融混練方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂及び必要によりその他の添加剤を押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等の樹脂混練装置に投入することで、樹脂成分を加熱溶融させながら任意の比率で孔形成材を導入して混練する方法が挙げられる。
上記孔形成材としては、可塑剤、無機材又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
可塑剤としては、特に限定されないが、ポリオレフィンの融点以上において均一溶液を形成しうる不揮発性溶媒を用いることが好ましい。このような不揮発性溶媒の具体例としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素類;フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のエステル類;オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。なお、これらの可塑剤は、抽出後、蒸留等の操作により回収して再利用してよい。さらに、好ましくは、樹脂混練装置に投入する前に、ポリオレフィン樹脂、その他の添加剤及び可塑剤を、予めヘンシェルミキサー等を用いて所定の割合で事前混練しておく。より好ましくは、事前混練においては、可塑剤はその一部のみを投入し、残りの可塑剤は、樹脂混練装置に適宜加温しサイドフィードしながら混練する。このような混練方法を用いることにより、可塑剤の分散性が高まり、後の工程で樹脂組成物と可塑剤の溶融混練物のシート状成形体を延伸する際に、破膜することなく高倍率で延伸することができる傾向にある。
可塑剤の中でも、流動パラフィンは、ポリオレフィン樹脂がポリエチレンやポリプロピレンの場合には、これらとの相溶性が高く、溶融混練物を延伸しても樹脂と可塑剤の界面剥離が起こりにくく、均一な延伸が実施し易くなる傾向にあるため好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の比率は、これらを均一に溶融混練して、シート状に成形できる範囲であれば特に限定はない。例えば、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とからなる組成物中に占める可塑剤の質量分率は、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%である。可塑剤の質量分率が90質量%以下であると、溶融成形時のメルトテンションが成形性向上のために十分なものとなる傾向にある。一方、可塑剤の質量分率が20質量%以上であると、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤との混合物を高倍率で延伸した場合でもポリオレフィン分子鎖の切断が起こらず、均一かつ微細な孔構造を形成し易く、強度も増加し易い。
無機材としては、特に限定されず、例えば、アルミナ、シリカ(珪素酸化物)、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、電気化学的安定性の観点から、シリカ、アルミナ、チタニアが好ましく、抽出が容易である点から、シリカが特に好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物と無機材との比率は、良好な隔離性を得る観点から、これらの合計質量に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、高い強度を確保する観点から、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。
次に、溶融混練物をシート状に成形する。シート状成形体を製造する方法としては、例えば、溶融混練物を、Tダイ等を介してシート状に押出し、熱伝導体に接触させて樹脂成分の結晶化温度より充分に低い温度まで冷却して固化する方法が挙げられる。冷却固化に用いられる熱伝導体としては、金属、水、空気、或いは可塑剤等が挙げられる。これらの中でも、熱伝導の効率が高いため、金属製のロールを用いることが好ましい。また、押出した混練物を金属製のロールに接触させる際に、ロール間で挟み込むことは、熱伝導の効率がさらに高まると共に、シートが配向して膜強度が増し、シートの表面平滑性も向上する傾向にあるためより好ましい。溶融混練物をTダイからシート状に押出す際のダイリップ間隔は200μm以上3,000μm以下であることが好ましく、500μm以上2,500μm以下であることがより好ましい。ダイリップ間隔が200μm以上であると、メヤニ等が低減され、スジや欠点等膜品位への影響が少なく、その後の延伸工程において膜破断等のリスクを低減することができる。一方、ダイリップ間隔が3,000μm以下であると、冷却速度が速く冷却ムラを防げると共に、シートの厚み安定性を維持できる。
また、シート状成形体を圧延してもよい。圧延は、例えば、ダブルベルトプレス機等を使用したプレス法にて実施することができる。圧延を施すことにより、特に表層部分の配向を増すことができる。圧延面倍率は1倍を超えて3倍以下であることが好ましく、1倍を超えて2倍以下であることがより好ましい。圧延倍率が1倍を超えると、面配向が増加し最終的に得られる多孔基材層(A)の膜強度が増加する傾向にある。一方、圧延倍率が3倍以下であると、表層部分と中心内部の配向差が小さく、膜の厚み方向に均一な多孔構造を形成することができる傾向にある。
次いで、シート状成形体から孔形成材を除去して多孔基材層(A)とする。孔形成材を除去する方法としては、例えば、抽出溶剤にシート状成形体を浸漬して孔形成材を抽出し、充分に乾燥させる方法が挙げられる。孔形成材を抽出する方法はバッチ式、連続式のいずれであってもよい。多孔基材層(A)の収縮を抑えるために、浸漬、乾燥の一連の工程中にシート状成形体の端部を拘束することが好ましい。また、多孔基材層(A)中の孔形成材残存量は多孔基材層(A)全体の質量に対して1質量%未満にすることが好ましい。
孔形成材を抽出する際に用いられる抽出溶剤としては、多孔基材層(A)がポリオレフィン樹脂である場合、ポリオレフィン樹脂に対して貧溶媒で、かつ孔形成材に対して良溶媒であり、沸点がポリオレフィン樹脂の融点より低いものを用いることが好ましい。このような抽出溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン等の非塩素系ハロゲン化溶剤;エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が挙げられる。なお、これらの抽出溶剤は、蒸留等の操作により回収して再利用してよい。また、孔形成材として無機材を用いる場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を抽出溶剤として用いることができる。
また、上記シート状成形体又は多孔基材層(A)を延伸することが好ましい。延伸は前記シート状成形体から孔形成材を抽出する前に行ってもよい。また、前記シート状成形体から孔形成材を抽出した多孔基材層(A)に対して行ってもよい。さらに、前記シート状成形体から孔形成材を抽出する前と後に行ってもよい。
延伸処理としては、一軸延伸又は二軸延伸のいずれも好適に用いることができるが、得られる多孔基材層(A)の膜強度等を向上させる観点から二軸延伸が好ましい。シート状成形体を二軸方向に高倍率延伸すると、分子が面方向に配向し、最終的に得られる多孔基材層(A)が裂けにくくなり、高い突刺強度を有するものとなる。延伸方法としては、例えば、同時二軸延伸、逐次二軸延伸、多段延伸、多数回延伸等の方法を挙げることができる。突刺強度の向上、延伸の均一性、シャットダウン性の観点からは同時二軸延伸が好ましい。また面配向の制御容易性の観点からは遂次二軸延伸が好ましい。
ここで、同時二軸延伸とは、MD(多孔基材層(A)を連続成形する時の機械方向(長さ方法))の延伸とTD(多孔基材層(A)のMDを90°の角度で横切る方向)の延伸が同時に施される延伸方法をいい、各方向の延伸倍率は異なってもよい。逐次二軸延伸とは、MD及びTDの延伸が独立して施される延伸方法をいい、MD又はTDに延伸がなされているときは、他方向は非拘束状態又は定長に固定されている状態とする。
延伸倍率は、面倍率で20倍以上100倍以下の範囲であることが好ましく、25倍以上70倍以下の範囲であることがより好ましい。各軸方向の延伸倍率は、MDに4倍以上10倍以下、TDに4倍以上10倍以下の範囲であることが好ましく、MDに5倍以上8倍以下、TDに5倍以上8倍以下の範囲であることがより好ましい。総面積倍率が20倍以上であると、得られる多孔基材層(A)に十分な強度を付与できる傾向にあり、一方、総面積倍率が100倍以下であると、延伸工程における膜破断を防ぎ、高い生産性が得られる傾向にある。
多孔基材層(A)の収縮を抑制するために、延伸工程後、又は、多孔基材層(A)形成後に熱固定を目的として熱処理を行うこともできる。また、多孔基材層(A)に、界面活性剤等による親水化処理、電離性放射線等による架橋処理等の後処理を行ってもよい。
多孔基材層(A)には、収縮を抑制する観点から熱固定を目的として熱処理を施すことが好ましい。熱処理の方法としては、物性の調整を目的として、所定の温度雰囲気及び所定の延伸率で行う延伸操作、及び/又は、延伸応力低減を目的として、所定の温度雰囲気及び所定の緩和率で行う緩和操作が挙げられる。延伸操作を行った後に緩和操作を行っても構わない。これらの熱処理は、テンターやロール延伸機を用いて行うことができる。
延伸操作は、膜のMD及び/又はTDに1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上の延伸を施すことが、さらなる高強度かつ高気孔率な多孔基材層(A)が得られる観点から好ましい。
緩和操作は、膜のMD及び/又はTDへの縮小操作のことである。緩和率とは、緩和操作後の膜の寸法を緩和操作前の膜の寸法で除した値のことである。なお、MD、TD双方を緩和した場合は、MDの緩和率とTDの緩和率を乗じた値のことである。緩和率は、1.0以下であることが好ましく、0.97以下であることがより好ましく、0.95以下であることがさらに好ましい。緩和率は膜品位の観点から0.5以上であることが好ましい。緩和操作は、MD、TD両方向で行ってもよいが、MD或いはTD片方だけ行ってもよい。
この可塑剤抽出後の延伸及び緩和操作は、好ましくはTDに行う。延伸及び緩和操作における温度は、ポリオレフィン樹脂の融点(以下、「Tm」ともいう。)より低いことが好ましく、Tmより1℃から25℃低い範囲がより好ましい。延伸及び緩和操作における温度が上記範囲であると、熱収縮率低減と気孔率とのバランスの観点から好ましい。
<多孔層(B)>
本発明におけるセパレータは、上記のような多孔基材層(A)の少なくとも片側に、樹脂バインダー(b−1)及び無機充填材(b−2)を含む多孔層(B)を備えていてもよい。
前記多孔層(B)に使用する無機充填材(b−2)としては、特に限定されないが、耐熱性及び電気絶縁性が高く、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。
無機充填材(b−2)としては、例えば、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、その他化合物が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
マグネシウム化合物としては、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
その他化合物としては、酸化物系セラミックス、窒化物系セラミックス、粘土鉱物、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂、ガラス繊維等が挙げられる。酸化物系セラミックスとしては、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等が挙げられる。窒化物系セラミックスとしては、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等が挙げられる。粘土鉱物としては、タルク、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト等が挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、複数を併用してもよい。
上記の中でも、電気化学的安定性及び耐熱特性の観点から、酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムが好ましい。酸化アルミニウムの具体例としては、アルミナが挙げられる。水酸化酸化アルミニウムの具体例としては、ベーマイトが挙げられる。ケイ酸アルミニウムの具体例としては、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライトが挙げられる。
前記酸化アルミニウムとしては、電気化学的安定性の観点から、アルミナがより好ましい。多孔層(B)を構成する無機充填材(b−2)として、アルミナを主成分とする粒子を採用することで、高い透過性を維持しながら、非常に軽量な多孔層(B)を実現できる上に、多孔層(B)の厚みがより薄い場合であってもセパレータの高温における熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。アルミナには、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ等、多くの結晶形態が存在するが、いずれも好適に使用することができる。この中でα−アルミナが熱的・化学的にも安定なので最も好ましい。
前記水酸化酸化アルミニウムとしては、リチウムデンドライトの発生に起因する内部短絡を防止する観点から、ベーマイトがより好ましい。多孔層(B)を構成する無機充填材(b−2)として、ベーマイトを主成分とする粒子を採用することで、高い透過性を維持しながら、非常に軽量な多孔層(B)を実現できる上に、多孔層(B)の厚みがより薄い場合であってもセパレータの高温における熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。電気化学素子の特性に悪影響を与えるイオン性の不純物を低減できる合成ベーマイトがさらに好ましい。
前記ケイ酸アルミニウムの中では、カオリン鉱物で主に構成されているカオリナイト(以下、カオリンともいう)が軽量性及び透気度の観点から好ましい。カオリンには湿式カオリン及びこれを焼成処理した焼成カオリンがあるが、焼成カオリンは焼成処理の際に結晶水が放出されるのに加え、不純物が除去されるので、電気化学的安定性の点で特に好ましい。多孔層(B)を構成する無機充填材(b−2)として、焼成カオリンを主成分とする粒子を採用することで、高い透過性を維持しながら、非常に軽量な多孔層(B)を実現できる上に、多孔層(B)の厚みがより薄い場合であってもセパレータの高温における熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。
前記無機充填材(b−2)の平均粒径は、0.1μm以上10.0μm以下であることが好ましく、0.2μm以上5.0μm以下であることがより好ましく、0.4μm以上2.0μm以下であることがさらに好ましい。無機充填材(b−2)の平均粒径を上記範囲に調整することは、透気度及び高温での熱収縮を抑制する観点から好ましい。
無機充填材(b−2)の粒度分布としては、最小粒径が0.02μm以上であることが好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましい。最大粒径は20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、7μm以下がさらに好ましい。また、最大粒径/平均粒径の比率は、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。無機充填材(b−2)の粒度分布を上記範囲に調整することは、高温での熱収縮を抑制する観点から好ましい。また、最大粒径と最小粒径の間に複数の粒径ピークを有してもよい。なお、無機充填材(b−2)の粒度分布を調整する方法としては、例えば、ボールミル・ビーズミル・ジェットミル等を用いて無機充填材(b−2)を粉砕し、所望の粒度分布に調整する方法、複数の粒径分布の無機充填材(b−2)を調整後ブレンドする方法等を挙げることができる。
無機充填材(b−2)の形状としては、板状、鱗片状、多面体、針状、柱状、球状、紡錘状、塊状等が挙げられ、上記形状を有する無機充填材(b−2)を複数種組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、透過性向上の観点からは、板状、鱗片状、多面体が好ましい。
前記無機充填材(b−2)が、多孔層(B)中に占める割合は、セパレータの透過性及び耐熱性、多孔層(B)中に無機充填材(b−2)を結着させる樹脂バインダー(b−1)の必要量等の観点から適宜決定することができる。上記無機充填材(b−2)の割合は、セパレータの透過性及び耐熱性の観点から、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは97質量%以上とすることができる。また、上記多孔層(B)中に無機充填材(b−2)を結着させる樹脂バインダー(b−1)の必要量の観点から、無機充填材(b−2)の割合は100質量%未満であることが好ましく、より好ましくは99.5質量%以下、さらに好ましくは99質量%以下である。
樹脂バインダー(b−1)は、前述した無機充填材(b−2)を相互に結着する役割を果たす樹脂である。また、無機充填材(b−2)と多孔基材層(A)とを相互に結着する役割をも果たす樹脂であることが好ましい。
樹脂バインダー(b−1)の種類としては、セパレータとしたときにリチウムイオン二次電池の電解液に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定なものを用いることが好ましい。
樹脂バインダー(b−1)の具体例としては、以下の1)〜6)が挙げられる。
1)ポリオレフィン:例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンラバー、及びこれらの変性体;
2)共役ジエン系重合体:例えば、スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物;
3)アクリル系重合体:例えば、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体;
4)ポリビニルアルコール系樹脂:例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル;
5)含フッ素樹脂:例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体;
6)融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂あるいは融点を有しないが分解温度が200℃以上のポリマー:例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル。特に、耐久性の観点から全芳香族ポリアミド、中でもポリメタフェニレンイソフタルアミドが好適である。
中でも、電極とのなじみやすさの観点からは上記2)共役ジエン系重合体が好ましく、耐電圧性の観点からは上記3)アクリル系重合体及び5)含フッ素樹脂が好ましい。
上記2)共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物をモノマー単位として含む重合体である。
上記共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換及び側鎖共役ヘキサジエン類等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、特に1,3−ブタジエンが好ましい。
上記3)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル系化合物をモノマー単位として含む重合体である。上記(メタ)アクリル系化合物とは、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つを示す。
上記3)アクリル系重合体に用いられる(メタ)アクリル酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸を挙げることができる。
上記3)アクリル系重合体に用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、 (メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート;
エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート;が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記2)共役ジエン系重合体及び3)アクリル系重合体は、これらと共重合可能な他のモノマーをも共重合させて得られるものであってもよい。用いられる共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸アルキルエステル、芳香族ビニル系モノマー、シアン化ビニル系モノマー、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和モノマー、不飽和カルボン酸アミドモノマー、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマール酸、イタコン酸等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特に不飽和カルボン酸アルキルエステルモノマーが好ましい。不飽和カルボン酸アルキルエステルモノマーとしては、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、上記2)共役ジエン系重合体は、他のモノマーとして上記(メタ)アクリル系化合物を共重合させて得られるものであってもよい。
樹脂バインダー(b−1)のガラス転移温度は、好ましくは−80〜30℃であり、より好ましくは−80〜15℃であり、さらに好ましくは−80〜0℃である。樹脂バインダー(b−1)のガラス転移温度が上記の範囲内にあることは、多孔基材層(A)との密着性、及び無機充填材(b−2)との結着強度の観点から好ましい。
上記のような樹脂バインダー(b−1)としては、上記の中から選択される1種のみを使用してもよいし、上記の中から選択される2種以上を混合して用いてもよい。
樹脂バインダー(b−1)が多孔層(B)中に占める割合としては、0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、さらに好ましくは1.5〜10質量%である。この値を0.5質量%以上とすることにより、電極との密着性、多孔基材層(A)との接着強度、及び無機充填材(b−2)の結着強度に優れることとなり、30質量%以下とすることにより、セパレータ最表面のべたつき性、及びハンドリング性に優れることとなる。
多孔層(B)の層厚は、耐熱性、絶縁性を向上させる観点から1μm以上であることが好ましく、より好ましくは1.5μm以上、さらに好ましくは2.0μm以上である。また、電池の高容量化と透過性を向上させる観点から50μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは7μm以下である。
多孔層(B)における無機充填材(b−2)の充填率としては、軽量性及び高透過性の観点から、95体積%以下が好ましく、80体積%以下がより好ましく、70体積%以下がさらに好ましく、60体積%以下が特に好ましい。熱収縮抑制及びデンドライト抑制の観点から、下限は20体積%以上が好ましく、30体積%以上がより好ましく、40体積%以上がさらに好ましい。無機充填材(b−2)の充填率は、多孔層(B)の層厚、並びに無機充填材(b−2)の質量及び比重から算出することができる。
多孔層(B)の表面軟化温度は、好ましくは30〜60℃であり、より好ましくは30〜50℃であり、さらに好ましくは35〜45℃である。表面軟化温度が30℃以上の場合、製造時にセパレータをロール状に巻いた後、電極との圧着時にセパレータを巻出そうとした時にセパレータ同志の密着がなく、シワなくセパレータの巻き出すことができる点で好ましく、60℃以下の場合、電極とセパレータとを高温プレス機を用いて圧着させる際に、セパレータを構成する多孔基材層(A)に一般的に使用されるポリオレフィン樹脂はガラス転移温度が高くないが、圧着後でも得られる積層体にシワが発生しない点で好ましい。
多孔層(B)は、多孔基材層(A)の片面にのみ形成しても、両面に形成してもよい。
多孔層(B)の形成方法としては、例えば、多孔基材層(A)の少なくとも片面に、無機充填材(b−2)と樹脂バインダー(b−1)とを、所定量で含む塗工液を塗工して多孔層(B)を形成する方法を挙げることができる。
塗工液中の樹脂バインダー(b−1)の形態としては、水に溶解又は分散した水系溶液であっても、一般的な有機媒体に溶解又は分散した有機媒体系溶液であってもよいが、樹脂ラテックスが好ましい。「樹脂ラテックス」とは樹脂が媒体に分散した状態のものを示す。樹脂ラテックスを樹脂バインダー(b−1)として用いた場合、無機充填材(b−2)と樹脂バインダー(b−1)とを含む多孔層(B)を多孔基材層(A)の少なくとも片面に積層した際、イオン透過性が低下しにくく高出力特性が得られやすい。加えて異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られやすい。
樹脂ラテックス中の樹脂バインダー(b−1)の平均粒径は、50〜1,000nmであることが好ましく、より好ましくは70〜500nm、さらに好ましくは80〜250nmである。平均粒径が50nm以上である場合、無機充填材(b−2)と樹脂バインダー(b−1)とを含む多孔層(B)を多孔基材層(A)の少なくとも片面に積層した際、良好な結着性を発現し、セパレータとした場合に熱収縮が良好となり安全性に優れる傾向にある。平均粒径が1,000nm以下である場合、イオン透過性が低下しにくく高出力特性が得られやすい。加えて異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られやすい。平均粒径は、樹脂ラテックスを製造する際の重合時間、重合温度、原料組成比、原料投入順序、pH、撹拌速度等を調整することで制御することが可能である。
塗工液の媒体としては、前記無機充填材(b−2)、及び前記樹脂バインダー(b−1)を均一かつ安定に分散又は溶解できるものが好ましく、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、エタノール、トルエン、熱キシレン、塩化メチレン、ヘキサン等が挙げられる。
塗工液には、分散安定化や塗工性の向上のために、界面活性剤等の分散剤;増粘剤;湿潤剤;消泡剤;酸、アルカリを含むpH調整剤等の各種添加剤を加えてもよい。これら添加剤の総添加量は、無機充填材(b−2)100質量部に対して、その有効成分(添加剤が溶媒に溶解している場合は溶解している添加剤成分の質量)が20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
無機充填材(b−2)と樹脂バインダー(b−1)とを、塗工液の媒体に分散又は溶解させる方法については、塗工工程に必要な塗工液の分散特性を実現できる方法であれば特に限定はない。例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。
塗工液を多孔基材層(A)に塗工する方法については、必要とする層厚や塗布面積を実現できる方法であれば特に限定はなく、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗工法等が挙げられる。
さらに、塗工液の塗布に先立ち、多孔基材層(A)の表面に表面処理を施すと、塗工液を塗工し易くなると共に、塗工後の多孔層(B)と多孔基材層(A)表面との接着性が向上するため好ましい。表面処理の方法は、多孔基材層(A)の多孔質構造を著しく損なわない方法であれば特に限定はなく、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ放電処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、紫外線酸化法等が挙げられる。
塗工後に塗工膜から媒体を除去する方法については、多孔基材層(A)に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はなく、例えば、多孔基材層(A)を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法、抽出乾燥等が挙げられる。また電池特性に著しく影響を及ぼさない範囲においては溶媒を一部残存させても構わない。多孔基材層(A)及び多孔層(B)を積層した積層体のMD方向の収縮応力を制御する観点から、乾燥温度、巻取り張力等は適宜調整することが好ましい。
塗工膜から媒体を除去する温度は、20〜100℃とすることが好ましく、30〜80℃とすることがより好ましく、特に40〜70℃とすることが好ましい。除去時間は、好ましくは10秒〜30分であり、より好ましくは30秒〜20分であり、さらに好ましくは40秒〜10分であり、特に1〜3分とすることが好ましい。
本実施形態における多孔層(B)は、上記のような態様を採ることにより、多孔基材層(A)との間の密着性に優れると共に、べたつきを生じず、良好なサイクル特性を示す蓄電デバイスを与えることができ、さらには耐光性にも優れるのである。
<塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)>
本実施形態における蓄電デバイス用セパレータは、
少なくともその片面側の最外層が、その一部に塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)を有していることを特徴とする。
本実施形態における蓄電デバイス用セパレータが多孔基材層(A)のみから成る場合には、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)は、該多孔基材層(A)の片面又は両面に形成され;
蓄電デバイス用セパレータが、多孔基材層(A)の両面に多孔層(B)が形成された積層体である場合には、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)は、最外層である多孔層(B)の内の片方又は両方の面上に形成されることができる。
蓄電デバイス用セパレータが、多孔基材層(A)の片面に多孔層(B)が形成された積層体である場合には、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)は、多孔基材層(A)の面上若しくは多孔層(B)の面上、又はこれら双方の面上に形成されることができる。この場合、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)は、多孔層(B)の面上のみに形成されることが好ましい。
(塩基性リン酸塩(c−1))
本実施形態において用いられる塩基性リン酸塩(c−1)としては、特に限定されないが、例えば、従来公知の塩基性を示すリン酸塩であることができる。
この「塩基性」は、従来公知の判定方法により判断できる。従来公知の判定方法としては、特に限定されないが、
例えば塩基性リン酸塩が水溶性であれば、塩基性リン酸塩に含まれるアニオンの塩基解離定数(pKb)を測定する方法;
例えば塩基性リン酸塩が非水溶性又は難水溶性であれば、酸性ガスであるCOの昇温離脱法によって測定する方法
等が挙げられる。塩基性リン酸塩に含まれるアニオンの塩基解離定数(pKb)は、10.83以下が好ましく、7.65以下がより好ましく、2.00以下がさらに好ましい。酸性ガスであるCOの昇温離脱法におけるCOの脱離温度は、100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。pKb又はCOの脱離温度が上記範囲内であることにより、当該リン酸塩は塩基性であると判定できる。
pKb又はCOの脱離温度が上記範囲内であるリン酸塩を使用することにより、高温における電池特性及び安全性により優れる蓄電デバイスを与えるセパレータを得ることができる。
塩基性リン酸塩(c−1)におけるアニオンとしては、特に限定されず、種々の重合度を有するリン酸アニオンを使用することができる。具体的には、例えば、PO 3−、P 4−、P10 5−、P13 6−等が挙げられる。塩基性リン酸塩のアニオンは、いずれの形態でも構わないが、オルトリン酸塩であるPO 3−、HPO 2−、又はHPO4−が好ましい。このようなアニオンを用いることにより、高温特性がより優れるセパレータを得ることができる。
塩基性リン酸塩(c−1)における対カチオンとしては、特に限定されないが、例えば、Li、Na及びK等のアルカリ金属;Mg2+、Ca2+等のアルカリ土類金属;Zn3+、Al3+、Ce3+等のその他の金属からなる群より選ばれる1種類以上が好ましい。
塩基性リン酸塩(c−1)が、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる対カチオンを含むことにより、高温特性がより優れるセパレータを得ることができる。これらの中でも、Li塩及びNa塩から選ばれる1種以上の塩が好ましく、さらにはLi塩が含まれることが好ましい。塩基性リン酸塩(c−1)がナトリウム塩及びリチウム塩から選ばれる1種以上の塩を含むことにより、高温特性がより優れるセパレータを得ることができる。また、単一の金属カチオンを含む塩基性リン酸塩は、構造が安定であるため、高温特性がさらに優れるセパレータを得ることができ、好ましい。
塩基性リン酸塩(c−1)の形状としては、特に限定されないが、例えば、粒子状、針状、板状、立方体状が挙げられる。このなかでも粒子状が好ましく、多数の粒子が集合した凝集粒子状がより好ましい。また、粒子状の塩基性リン酸塩(c−1)の凝集粒径は、0.01μm以上30μm以下が好ましく、0.1μm以上10μm以下がより好ましく、0.2μm以上5μm以下がさらに好まし好ましく、0.2μm以上2μm以下が最も好ましい。塩基性リン酸塩(c−1)が、粒子状であり、凝集粒径が上記範囲内であることにより、充放電を繰り返した後の直流絶縁抵抗がより低い蓄電デバイスを与えるセパレータとなる傾向にある。ここで、「凝集粒径」とは、1凝集粒子の外周における任意の2点間の最大距離をいう。
(樹脂バインダー(c−2))
塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)は、上記のような塩基性リン酸塩(c−1)のみからなっていてもよく、塩基性リン酸塩(c−1)と共に、その他の成分を含んでいてもよい。
塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)として特に好ましくは、上記のような塩基性リン酸塩(c−1)が樹脂バインダー(c−2)により結着されて、本実施形態のセパレータ上にパターン状塗工されている場合である。
前記樹脂バインダー(c−2)として好ましい物質は、熱可塑性ポリマーである。熱可塑性ポリマーは、セパレータとの結着性を確保する観点から好ましい。
本実施の形態で使用される熱可塑性ポリマーは、特に限定されないが、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、α−ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;
ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;
ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等を含むコポリマー;
ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンをモノマー単位として含むジエン系ポリマー;
上記ジエン系ポリマーの水素化物;
アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等をモノマー単位として含むアクリル系ポリマー;
上記アクリル系ポリマーの水素化物;
エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;
ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の、融点若しくはガラス転移温度又はこれらの双方が180℃以上の樹脂;
及びこれらの混合物等が挙げられる。上記熱可塑性ポリマーの共重合モノマーとして、例えばヒドロキシル基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミド基、シアノ基等の官能基を有するモノマーを用いてもよい。
これら熱可塑性ポリマーのうち、塩基性リン酸塩(c−1)との結着性、強度、柔軟性、溶解性等に優れることから、ジエン系ポリマー、アクリル系ポリマー又はゴム類が好ましい。特に好ましくはポリビニルアルコール又はアクリル系ポリマーである。
塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)における樹脂バインダー(c−2)としてポリビニルアルコールを使用する場合、そのケン化度は85%以上100%以下であることが好ましい。ケン化度が85%以上であると、得られるセパレータを蓄電デバイスに組み込んで使用した際に、短絡する温度(ショート温度)が向上し、より良好な安全性能が得られる傾向にあるため好ましい。ケン化度は、より好ましくは90%以上100%以下、さらに好ましくは95%以上100%以下、特に好ましくは99%以上100%以下である。
ポリビニルアルコールの重合度は、200以上5,000以下であることが好ましく、より好ましくは300以上4,000以下、さらに好ましくは500以上3,500以下である。重合度が200以上であると、少量のポリビニルアルコールで塩基性リン酸塩(c−1)を強固に結着できる傾向にあるため好ましい。また、重合度が5,000以下であると、塗工液を調製する際のゲル化等を防止できる傾向にあるため好ましい。
塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)における樹脂バインダー(c−2)の存在比率は、0.1〜99質量%であることが好ましく、1〜70質量%であることがより好ましく、1.5〜50質量%であることがさらに好ましく、2〜30質量%であることが特に好ましい。樹脂バインダー(c−2)をこのような範囲で使用することにより、塩基性リン酸塩(c−1)を粉落ちせずに結着することができ、高温サイクル特性を有効に発現することができる。
(塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)の態様)
前記したとおり、本実施形態におけるセパレータは、その少なくとも最外層の片面が、その一部に塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)を有する。この塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)の面積割合(%)は、前記蓄電デバイス用セパレータの塩基性リン酸塩に(c−1)を含む層(C)を有する面の全面積に対して、90%以下が好ましく、より好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下である。この面積割合(%)は、5%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。この面積割合が90%以下であることにより、塩基性リン酸塩(c−1)による多孔機材層(A)の孔の閉塞を抑制し、イオンの透過性を維持することができる。また、面積割合が5%以上であることにより、高温におけるサイクル特性をより向上させることができる。
上記のような面積割合の被覆は、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)が存在する領域と、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)が存在しない領域とが、海島状を形成する態様によって実現されることが好ましい。海島状としては、特に限定されないが、例えば、線状、ドット状、格子目状、縞状、亀甲模様状等が挙げられる。この中でも、透過性確保及び電極との均一な接着性の確保の観点から、ドット状であることが好ましい。ここで、「ドット状」としては、セパレータの面上に塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)が島状に存在し、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)が存在しない部分が海状になっている海島構造の状態であることが好ましい。この時、塩基性リン酸塩層(c−1)を含む層(C)は、そのすべてが島状に独立して存在してもよく、複数の島が連結して連続的な面を形成していてもよい。しかしながら、本実施形態における「ドット状」の概念には、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)が殆どの部分で連続し、面の大部分が塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)で覆われた状態である場合(海島構造の海が塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)であるような場合)は含まれない。
島状に独立して存在する場合のドットの形状としては、特に限定されないが、例えば円形状、楕円形状、多角形状、不定形状等、及びこれらが結合した形状を挙げることができる。これらのうち、イオン透過性確保及び電極との均一な接着性の確保の観点から、円形状が最も好ましい。
一つ一つのドットの大きさとしては、特に限定されないが、ドット平均長径として、10μm以上1,000μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以上800μm以下であり、さらに好ましくは、50μm以上500μm以下である。ドット平均長径が10μm以上1,000μm以下であることが、電極への密着性と高温サイクル特性の両立の点で好ましい。
また、各ドットの平均間隔は、1μm以上1,000μm以下であることが好ましく、1μm以上500μm以下であることがより好ましく、3μm以上200μm以下であることがさらに好ましく、5μm以上100μm以下であることが特に好ましい。各ドットの平均間隔は、1μm以上1,000μm以下であることが、電極への密着性と高温サイクル特性の両立の点から好ましい。
塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)から成るドットの平均長径は、塗工する液の塩基性リン酸塩(c−1)濃度、塩基性リン酸塩(c−1)溶液の塗工量、版のドット形状、並びに塗工方法及び塗工条件を変更することにより、任意に調整することができる。
ドットの配置パターンとしては、周期的及び非周期的な任意のパターンを採用することができる。例えば三方格子状、正方格子状、六方格子状の配置パターンの他;
平行四辺形による平面充填、平行六辺形による平面充填、アルキメデスの平面充填(8種類)、ペンローズ・タイル、ヴォルダーベルクのタイル等の、多角形による平面充填における各多角形の頂点に相当する位置にドットを配置するパターン等を例示することができる。
このようなドット配置において、単位格子の一辺の長さと、ドットの大きさと、を適宜に調整することにより、所望の面積割合の塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)のパターンをデザインすることが可能である。
塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)の厚みは、電池の高温サイクル特性及び透気性の観点から、0.05〜15μmとすることが好ましく、0.1〜5μmとすることがより好まし好ましく、0.1〜3μmとすることがさらに好ましい。塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)の厚みを0.05μm以上にすることで電池の高温サイクル特性が向上し、また厚みを15μm以下にすることでセパレータの良好な透気度が維持できる。
(塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)の形成方法)
前記の塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)は、
セパレータの少なくとも片面上に、
塩基性リン酸塩(c−1)と、好ましくはさらに樹脂バインダー(c−2)と溶媒とを、各所定量含有する組成物(塗工液)をパターン状に塗工して塗膜を形成し、次いで該塗膜から溶媒を除去することにより、形成することができる。
前記塗工液には、塩基性リン酸塩(c−1)、樹脂バインダー(c−2)、及び溶媒のみから成っていてもよく、これら以外にその他の成分をさらに含有していてもよい。ここで使用されるその他の成分としては、例えば
分散安定化及び塗工性向上のための分散剤(界面活性剤等);
増粘剤;
湿潤剤;
消泡剤;
pH調製剤(酸、アルカリ等)等
を挙げることができる。これらの添加剤は、溶媒除去の際に除去できるものが好ましいが、リチウムイオン二次電池の使用範囲において電気化学的に安定で、電池反応を阻害せず、且つ200℃程度まで安定ならば、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)内に残存してもよい。
前記溶媒としては、塩基性リン酸塩(c−1)を溶解せず、且つ樹脂バインダー(c−2)を溶解する物から選択されることが好ましい。
樹脂バインダー(c−2)としてポリビニルアルコールを使用する場合、この溶媒としては、例えば水;エタノール、イソプロパノール等のアルコール;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル;ジメチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン
等を例示することができる。溶媒の使用量は、塗工液の固形分濃度が5〜60質量%となる量とすることが好ましく、10〜50質量%となる量とすることがより好まし好ましく、15〜40質量%となる量とすることがさらに好ましい。
前記塗工液中の各成分を、溶媒中に分散させる方法については、塗工工程に必要な塗布液の分散特性を実現できる方法であれば特に限定はない。例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。
前記塗工液をセパレータに塗工する方法については、必要とする層厚及び塗工面積を実現できる方法であれば特に限定はない。例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗工法等が挙げられる。
前記塗工液の塗工に先立って、多孔基材層(A)の表面に表面処理を施してもよい。表面処理により、塗工液を塗布し易くなると共に、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)とセパレータ表面との接着性が向上するため好ましい。表面処理の方法は、セパレータの多孔質構造を著しく損なわない方法であれば特に限定はない。例えば、コロナ放電処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、紫外線酸化法等が挙げられる。
<セパレータ>
次に、本実施形態のセパレータについて説明する。
本実施形態のセパレータは、蓄電デバイスのセパレータとして好適である。
最外層の一部に塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)を有する上記セパレータは、耐熱性に優れ、シャットダウン機能を有している。そのため、本実施形態のセパレータは、電池の中で正極と負極とを隔離する機能を発現すべき電池用セパレータに適している。 上記セパレータは、高温においても短絡し難いため、特に、高起電力電池用のセパレータとしても安全に使用できる。
上記セパレータの透気度は、10秒/100cc以上650秒/100cc以下であることが好ましく、より好ましくは20秒/100cc以上500秒/100cc以下、さらに好ましくは30秒/100cc以上450秒/100cc以下、特に好ましくは50秒/100cc以上400秒/100cc以下である。透気度が10秒/100cc以上であると電池用セパレータとして使用した際の自己放電が少なくなる傾向にあり、650秒/100cc以下であると良好な充放電特性が得られる傾向にある。
セパレータの最終的な膜厚は、2μm以上200μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上100μm以下、さらに好ましくは7μm以上30μm以下である。膜厚が2μm以上であると機械強度が十分となる傾向にあり、また、200μm以下であるとセパレータの占有体積が減るため、電池の高容量化の点において有利となる傾向にある。
<蓄電デバイス>
前述のとおり、本実施形態のセパレータは、蓄電デバイスのセパレータとして好適である。
該蓄電デバイスは、本実施形態のセパレータを備えるものである。それ以外の構成は、従来知られているものと同様であってよい。この蓄電デバイスは、例えば、正極と、負極と、電解液とを有するものであることができる。
蓄電デバイスとして、具体的には、特に限定されないが、例えば、非水電解液電池等の電池、コンデンサー、キャパシタ等が挙げられる。それらの中でも、本実施形態の作用効果による利益がより有効に得られる観点から、非水電解液電池が好ましく、非水電解液二次電池がより好ましく、リチウムイオン二次電池がさらに好ましい。以下、蓄電デバイスが非水電解液電池である場合についての好適な態様について説明する。
(非水電解液電池)
本実施形態における非水電解液電池は、
本実施形態の蓄電デバイス用セパレータと、、正極と、負極と、非水電解液とを有する。これらの正極、負極、及び非水電解液としては、特に限定はなく、公知のものを用いることができる。
−正極−
正極は、例えば集電体上に、正極活物質、導電材、及び結着材から成る正極活物質層を形成したものであることができる。
正極活物質層に含まれる正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な公知のものを用いることができる。その中でも、正極活物質としては、リチウムを含む材料が好ましい。正極活物質としては、例えば、式(1):
LiMn2−y (1)
(式中、Mは、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0<x≦1.3、0.2<y<0.8、3.5<z<4.5である。)
で表される酸化物、式(2):
Li (2)
(式中、Mは遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0<x≦1.3、0.8<y<1.2、1.8<z<2.2である。)
で表される層状酸化物、式(3):
LiMn−xMa (3)
(式中、Maは遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0.2≦x≦0.7である。)
で表されるスピネル型酸化物、式(4):
LiMcO (4)
(式中、Mcは、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)で表される酸化物と、式(5):
LiMdO (5)
(式中、Mdは、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)で表される酸化物との複合酸化物であって、式(6):
zLiMcO −(1−z)LiMdO (6)
(式中、Mc及びMdは、それぞれ上記式(4)及び(5)におけるものと同義であり、0.1≦z≦0.9である。)
で表されるLi過剰層状酸化物正極活物質、式(7):
LiMb1−yFePO (7)
(式中、Mbは、Mn及びCoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0≦y≦1.0である。)
で表されるオリビン型正極活物質、式(8):
LiMePOF (8)
(式中、Meは、遷移金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)で表される化合物等が挙げられる。これらの正極活物質は、1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
この中でも、コストの観点から、マンガンを含むリチウム遷移金属酸化物を含むことが好ましい。そのような酸化物としては、特に限定されないが、例えば、式(1)、(3)及び(7)のそれぞれで表される化合物が挙げられる。
さらに、正極活物質の電位は、リチウム基準で4.5V以上であることが好ましい。正極活物質の電位がリチウム基準で4.5V以上であることにより、電解質が分解したとしても、付随して発生するフッ酸を塩基性化合物により除去できるので、より効果的である。
正極活物質層における正極活物質の割合は、0.5〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは3〜20質量%である。
正極活物質層に含まれる導電材としては、電子を伝導できる公知のものを用いることができる。このような導電材としては、特に限定されないが、例えば、グラファイト、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維等が挙げられる。活性炭、各種コークス、カーボンブラック、アセチレンブラック等の、非黒鉛炭素質材料及び黒鉛から選択される材料が好ましい。これらは1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
正極活物質層における導電材の割合は、0.5〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは3〜20質量%である。
正極活物質層に含まれる結着材としては、正極活物質、導電材、及び集電体のうち少なくとも2つを結着できる公知のものを用いることができる。このような結着材としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム、ポリエチレン、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ブチルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、スチレンブタジエン共重合体、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、クロロプレンゴム、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン共重合体、及びフッ化ビニリデン共重合体等から選択される材料が好ましく、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン共重合体、フッ素ゴムがより好ましい。結着材は1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
正極活物質層における結着材の割合は、0.5〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.7〜15質量%、さらに好ましくは1.0〜8.0質量%である。二次電池正極形成用バインダーの含有量は、活物質と導電材との間、及び集電体相互間の接触抵抗の観点から、15質量%以下が好ましく、
正極活物質と、導電材および集電体との接着性の観点から、0.5質量%以上が好ましい。
正極活物質層の厚みは、1μm以上200μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以上100μm以下である。1μm未満であると、セル全体に対する集電体の体積密度が大きくなり、セル体積あたりのエネルギー密度が低下してしまうため望ましくない。また、200μm以上であると、電極の電気抵抗が増大し、セルの出力密度が低下してしまうため望ましくない。
正極に含まれる集電体としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、チタン、ステンレス等の金属箔;
エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等の、箔以外の金属材料;
カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料
等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。アルミニウム箔を用いることが最も好ましい。
集電体の厚みは、例えば1〜500μmとすることができる。
−負極−
本実施形態に用いられる負極は、例えば集電体上に、負極活物質及び結着材から成る負極活物質層を形成したものであることができる。
負極活物質層に含まれる負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な公知のものを用いることができる。このような負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維等の、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素系材料の1種を単独で又は2種以上の混合物が挙げられる他;
S、Sn、Ge、Bi、Sb、In等の元素及びその合;
リチウム含有窒化物等のリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物;
リチウム金属;
リチウム/アルミニウム合金等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
負極活物質層に含まれる結着材としては、負極活物質、導電材、及び集電体のうち少なくとも2つを結着できる公知のものを用いることができる。このような結着材としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジエンの架橋ゴムラテックス、アクリル系ラテックス及びポリフッ化ビニリデンから選択される材料が好ましい。これらは1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
負極活物質層における結着材の割合は、0.5〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.7〜10質量%、さらに好ましくは1.0〜8.0質量%である。結着材の含有量は、負極活物質と導電材との間、及び集電体相互間の接触抵抗の観点から、15質量%以下が好ましく、負極活物質と、導電材および集電体との接着性の観点から、0.5質量%以上が好ましい。
負極に含まれる集電体としては、特に限定されないが、例えば、銅、ニッケル及びステンレス等の金属箔;
エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等の、箔以外の金属材料;
カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料
等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
−非水電解液−
本実施形態における非水電解液は、電解質又はその塩、及び非水溶媒を含有する。
本実施形態で用いる非水電解液に含まれる電解質(塩)としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。このような電解質としては、特に限定されないが、例えば、LiPF(六フッ化リン酸リチウム)、LiClO、LiBF、LiAsF、LiSiF、LiOSOCkF2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiN(SO2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiPF(CkF2k+16−n〔nは1〜5の整数、kは1〜8の整数〕、LiPF(C)、LiPF(C等が挙げられる。この中でもLiPFが好ましい。LiPFを用いることにより、高温においても電池特性及び安全性により優れる傾向にある。これらの電解質は、1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
本実施形態における非水電解液に用いられる非水溶媒としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。このような非水溶媒としては、特に限定されないが、例えば、非プロトン性極性溶媒が好ましい。非プロトン性極性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート等の環状カーボネート;
γープチロラクトン、γーバレロラクトン等のラクトン;
スルホラン等の環状スルホン;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;
エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロビルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネート等の鎖状カーボネート;
アセトニトリル等のニトリル;
ジメチルエーテル等の鎖状エーテル;
プロピオン酸メチル等の鎖状カルボン酸エステル;
ジメトキシエタン等の鎖状エーテルカーボネート化合物
等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
非水電解液における前記電解質(塩)の濃度としては、0.1〜3モル/リットルとすることが好ましく、0.5〜2モル/リットルとすることがより好ましい。
−開回路電圧−
前述のとおり、本実施形態の非水電解液電池の完全充電状態における開回路電圧は、4.50V以上6.00V以下が好ましく、4.55V以上5.50V以下がより好ましく、4.60V以上5.00V以下がさらに好ましい。開回路電圧が上記範囲内であることにより、高温特性が優れる傾向にある。
従来知られている非水電解液電池においては、開回路電圧が4.5V以上ではサイクル容量の低下が著しく大きい。公知の電池は、例えば4.2Vではサイクル容量の低下が比較的少ないものの、開回路電圧を4.5Vとすると、充放電に伴って容量が急激に低下するのである。
これに対して、本実施形態に係る電池であれば、開回路電圧が4.5V以上であっても、サイクル容量の低下をより抑制することができる。この有利な現象は、セパレータの最外層に、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)が部分的に形成されたセパレータを用いたことの効果であると考えられる。
また、本実施形態の電池は、開回路電圧が4.5V未満の場合であっても、サイクル容量の低下をより高いレベルで抑制することができる。
−加熱処理−
本実施形態に係る非水電解液電池は、製造した後、初充電後に加熱処理を実施してから使用に供することが好ましい。この加熱処理を実施することにより、電池の高温特性が向上するのみならず、例えば25℃程度の常温付近においてもサイクル特性等の寿命特性に改善が見られる。
加熱処理前に行う初充電の際の到達電圧としては、4.4V以上が好ましく、より好ましくは4.5V以上であり、さらに好ましくは4.6V以上である。初充電の際の到達電圧の上限は、好ましくは6.0V以下であり、より好ましくは5.5V以下であり、さらに好ましくは5.2V以下である。初充電時の到達電圧が上記範囲内であることにより、加熱処理による改善効果により優れる傾向にある。
加熱処理温度は、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは55℃以上であり、さらに好ましくは60℃以上である。加熱処理温度の上限は特に限定されないが、85℃以下が好ましい。加熱処理温度が上記範囲内であることにより、加熱処理による改善効果により優れる傾向にある。
(蓄電デバイスの製造方法)
本実施形態の蓄電デバイスは、特に限定されないが、例えば、下記のようにして製造される。蓄電デバイスは、例えば巻回体状、積層体状等の形態であることができる。
−巻回体状の蓄電デバイスを製造する場合−
すなわち、上記セパレータを、例えば、幅10〜500mm(好ましくは80〜500mm)、長さ200〜4,000m(好ましくは1,000〜4,000m)の縦長形状のセパレータとして作製する。次に、このセパレータを、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順で重ねて積層物を得る。ここで、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)を片面のみに形成したセパレータを使用する場合には、該塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)が負極に接するように積層する。
次いで、この積層物を、渦巻状に巻回して巻回体を得る。巻回の方向は、渦巻きの軸方向が、セパレータの長辺方向及び短辺方向のどちらとなってもよいが、よりコンパクトな電池を得るためには、渦巻きの軸方向をセパレータの短辺方向と一致させた扁平な巻回体とすることが好ましい。
そして、当該巻回体を外装体内に収納し、さらに電解液を注入する等の工程を経ることにより、蓄電デバイスが得られる。外装体としては、電池缶や袋状のフィルムを用いることができる。
−積層体状の蓄電デバイスを製造する場合−
また、上記蓄電デバイスは、セパレータ、正極、及び負極を、それぞれ平板状に形成した後、正極−セパレータ−負極−セパレータ−正極、又は負極−セパレータ−正極−セパレータ−負極のように順次に積層して、積層体を得た後、外装体内に収容し、そこに電解液を注入する等の工程を経て製造することもできる。外装体としては、電池缶や袋状のフィルムを用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて詳細に説明をするが、本発明は実施例に限定されるものではない。以下の製造例、実施例、及び比較例における各種物性の測定方法及び評価方法は、以下のとおりである。特に記載のない限り、各種の測定及び評価は、室温23℃、1気圧、相対湿度50%の条件下で行った。
<測定方法>
(1)多孔基材層(A)の気孔率(体積%)
多孔基材層(A)から10cm×10cm角の試料を切り取り、その体積(cm)と質量(g)を測定し、膜密度を0.95(g/cm)として、下記数式を用いて計算した。
気孔率(%)=(体積−質量/膜密度)/体積×100
(2)セパレータの透気度(sec/100cc)
JIS P−8117に準拠し、(株)東洋精機製作所製のガーレー式デンソメータG−B2(商標)により測定した透気抵抗度を透気度とした。
(3)多孔基材層(A)の平均孔径(μm)
キャピラリー内部の流体は、流体の平均自由工程がキャピラリーの孔径より大きいときはクヌーセンの流れに、小さい時はポアズイユの流れに従うことが知られている。そこで、樹脂多孔膜の透気度測定における空気の流れはクヌーセンの流れに、多孔膜の透水度測定における水の流れはポアズイユの流れに、それぞれ従うと仮定する。
平均孔径d(μm)は、空気の透過速度定数Rgas(m/(m・sec・Pa))、水の透過速度定数Rliq(m/(m・sec・Pa))、空気の分子速度ν(m/sec)、水の粘度η(Pa・sec)、及び標準圧力Ps(=101,325Pa)から、下記数式を用いて求めた。
d=2ν×(Rliq/Rgas)×(16η/3Ps)×10
ここで、Rgas及びRliqは、それぞれ、下記数式を用いて求められる。
gas=0.0001/(透気度×(6.424×10−4)×(0.01276×101,325))
liq=透水度/100
透気度及び透水度は、それぞれ、次のように求められる。
[透気度]
ここでいう透気度は、多孔基材層(A)について前記「(2)セパレータの透気度」の記載に準拠して測定することにより、透気抵抗度として得ることができる。
[透水度]
直径41mmのステンレス製の透液セルに、予めエタノールに浸しておいたポリオレフィン樹脂多孔膜をセットし、該膜のエタノールを水で洗浄した。その後、約50,000Paの差圧で水を透過させ、120sec経過した際の透水量(cm)より、単位時間・単位圧力・単位面積当たりの透水量を計算し、これを透水度とした。
また、νは気体定数R(=8.314)、絶対温度T(K)、円周率π、及び空気の平均分子量M(=2.896×10−2kg/mol)から、下記数式を用いて求められる。
ν={(8R×T)/(π×M)}1/2
(4)厚み(膜厚、μm)
(4)−1 多孔基材層(A)及びセパレータの厚み(μm)
多孔基材層(A)及びセパレータから、それぞれ、10cm×10cm角のサンプルを切り出し、格子状に選んだ9箇所(3点×3点)の膜厚を、微小測厚器(東洋精機製作所(株) タイプKBM)を用いて室温23±2℃において測定した。9箇所の測定値の平均値を、多孔基材層(A)、及びセパレータの厚み(μm)とした。
(4)−2 多孔層(B)、及び塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)の厚み(μm)
多孔層(B)、及び塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用い、セパレータの断面観察により測定した。サンプルのセパレータを1.5mm×2.0mm程度に切り取り、ルテニウム染色した。ゼラチンカプセル内に染色サンプル及びエタノールを入れて液体窒素により凍結させた後、ハンマーでサンプルを割断した。サンプルをルテニウム染色し、加速電圧1.0kV、30,000倍にて観察し、多孔層(B)及び塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)の厚さを算出した。この時、SEM画像において、多孔基材層(A)断面の多孔構造が見えない領域のうち、構造の違い(連続構造又は海島構造)により、多孔層(B)と塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)と峻別し、それぞれの領域とした。
(5)樹脂バインダー(b−1)のガラス転移温度(Tg)
樹脂バインダー(b−1)含有ラテックスを、アルミ皿に適量とり、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥し、乾燥皮膜を得た。得られた乾燥皮膜約17mgを測定用アルミ容器に詰め、DSC測定装置(島津製作所社製、DSC6220)を用いて、窒素雰囲気下におけるDSC曲線及びDDSC(DSCの微分)曲線を得た。測定条件は下記の通りとした。
(1段目昇温プログラム)
70℃スタート、毎分15℃の割合で昇温。110℃に到達後5分間維持。
(2段目降温プログラム)
110℃から毎分40℃の割合で降温。−70℃に到達後5分間維持。
(3段目昇温プログラム)
−70℃から毎分15℃の割合で300℃まで昇温。この3段目の昇温時にDSC及びDDSC(DSCの微分)のデータを取得。DDSCのピークトップ温度をガラス転移温度とした。
(6)塩基性リン酸塩(c)の凝集粒径
多層多孔膜の断面走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察し、任意に10点選出した塩基性リン酸塩(c−1)の粒子状の凝集体の各最大距離の平均値を凝集粒径とした。「最大距離」は、1凝集粒子の外周における任意の2点間の最大距離とした。0.1μm単位以下で測定し、平均値はμm単位で表した。
(7)電池のサイクル特性
(7−1)評価用サンプルの作製
[電極の作製]
(負極の作製)
負極活物質としてグラファイト粉末(大阪ガスケミカル社製、OMAC1.2H/SS)90質量%及びグラファイト粉末(TIMCAL社製、SFG6)10質量部、並びにバインダーとしてカルボキシメチルセルロース1.8質量%(固形分換算)及びスチレン−ブタジエンコポリマーラテックス(ガラス転移温度:−40℃、粒径:80nm、40質量%水溶液)1.5質量%(固形分換算)を精製水中に分散させて、固形分45質量%のスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚み18μmの銅箔の片面にダイコーターで塗工し、120℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機で圧縮成形することにより、負極を得た。この時、負極の活物質塗工量は106g/m、活物質嵩密度は1.35g/cmになるようにした。
(正極活物質の合成)
LiNi0.5Mn1.5の合成
遷移金属元素のモル比として1:3の割合の硫酸ニッケルと硫酸マンガンとを水に溶解し、金属イオン濃度の総和が2mol/Lになるようにニッケル−マンガン混合水溶液を調製した。次いで、このニッケル−マンガン混合水溶液を、70℃に加温した濃度2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液3L中に、12.5mL/minの添加速度で120分間かけて滴下した。滴下時には、攪拌の下、200mL/minの流量の空気を水溶液中にバブリングしながら吹き込んだ。この操作により析出物質が生成した。生成した析出物質を回収し、蒸留水で十分洗浄し、乾燥して、ニッケルマンガン化合物を得た。得られたニッケルマンガン化合物と粒子径2μmの炭酸リチウムとを、リチウム:ニッケル:マンガンのモル比が1:0.5:1.5になるように秤量し、1時間乾式混合した後、酸素雰囲気下、1,000℃において5時間焼成することにより、LiNi0.5Mn1.5で表される正極活物質を得た。
(正極の作製)
上述のようにして得られた正極活物質80質量部と、導電助剤としてグラファイトの粉末(TIMCAL社製、KS−6)5質量部及びアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製、HS−100)5質量部と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン10質量部(固形分換算と)を、分散溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン中に混合・分散させて、固形分35質量%のスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗工し、130℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機で圧縮成形することにより、正極を得た。この時、正極の活物質塗工量は250g/m、活物質嵩密度は3.00g/cmになるようにした。
正極は幅約57mmに、負極は幅約58mmに、それぞれ切断して帯状にすることにより、評価用電極を作製した。
[非水電解液の調製]
非水電解液は、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/2(体積比)からなる混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0モル/リットルとなるように溶解させることにより調製した。
[セパレータの作製]
実施例及び比較例で得られた各セパレータを60mmに切断して帯状にすることにより、評価用セパレータを作製した。
(7−2)電池のサイクル特性の評価
[電池の組立て]
(7−1)で得られた、電極及びセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータの順に重ね、巻取張力を250gf、捲回速度を45mm/秒として、渦巻状に複数回捲回して、電極積層体を作製した。ここで、セパレータは、リン酸塩パターンを形成した面を負極側として積層した。この電極積層体を、外径18mm、高さ65mmのステンレス製容器に収納し、正極集電体から導出したアルミニウム製タブを容器蓋端子部に、負極集電体から導出したニッケル製タブを容器壁に溶接した。その後、真空下、80℃で12時間の乾燥を行った。アルゴンボックス内において、組立てた電池容器内に前記の非水電解液を注入し、封口することにより、評価用電池を作製した。
[前処理]
前記のように組立てた電池を55℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、恒温槽PLM−73S)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、充放電装置ACD−01)に接続した。次いで、その電池を0.05Cの定電流で充電し、4.8Vに到達した後、4.8Vの定電圧で2時間充電し、0.3Cの定電流で3.0Vまで放電し、初期充放電を行った。
なお、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表す。
[サイクル試験]
上記前処理(初期充放電)を行った電池につき、55℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、恒温槽PLM−73S)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、充放電装置ACD−01)に接続した。次いで、その電池を0.5Cの定電流で4.8Vまで充電し、0.5Cの定電流で3.0Vまで放電した。この一連の充放電を1サイクルとし、更に28サイクル充放電した。続いて、その電池を0.1Cの定電流で充電し、4.8Vに到達した後、4.8Vの定電圧で1時間充電し、0.1Cの定電流で3.0Vまで放電した(30サイクル目)。
この試験における1サイクル後及び30サイクル後の放電容量を、表1にそれぞれ示した。1サイクル目の放電容量に対する30サイクル目の放電容量の放電容量維持率が80%以上である場合、短絡なしで高温サイクル特性が良好であると評価することができる。
[DC−IR(絶縁抵抗値)]
上記30目の放電時において、放電10秒後の電圧値から下記数式によりDC−IRを算出した。
DC−IR(Ω)=(4.8−放電10秒後の電圧)/放電電流値
この値が60Ω以下である場合、正負極間の絶縁抵抗性は良好であると評価することができる。
<樹脂バインダー(b−1)の製造>
[合成例1]アクリル系ポリマーラテックスの製造
攪拌機、還流冷却器、滴下槽、及び温度計を取り付けた反応容器に、初期仕込みとして、水74質量部、アクアロンKH1025(ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩:25質量%水溶液/第一工業製薬(株)製)0.125質量部(固形分換算)、及びアデカリアソープSR1025(25質量%水溶液/(株)ADEKA製)0.125質量部(固形分換算)を投入し、反応容器中の温度を75℃に保ち、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(10質量水溶液)0.15質量部(固形分換算)を添加した。添加した5分後に、非架橋性モノマーとして、メチルメタクリレート11.8質量部、シクロヘキシルメタクリレート5質量部、ブチルメタクリレート1質量部、ブチルアクリレート33質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート42質量部、メタクリル酸0.1質量部、アクリル酸0.1質量部、グリシジルメタクリレート0.8質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5質量部、及びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.2質量部;
架橋性モノマーとして、トリメチロールプロパントリアクリレート1質量部;
乳化剤として、アクアロンKH1025:0.15質量部(固形分換算)、及びアデカリアソープSR1025(25質量%水溶液):0.15質量部(固形分換算);
開始剤として、ペルオキソ二硫酸アンモニウム10%水溶液:0.15質量部(固形分換算)、並びに水65質量部からなる乳化混合液を、2.5時間かけて反応容器へ追添した。その間反応液温度が75℃になるようにコントロールした。乳化混合液添加終了後、75℃で1時間撹拌し、次に75℃から85℃まで1時間で昇温し、さらに85℃で1時間撹拌し、反応を完結させた。その後反応液を室温まで冷却した。反応開始から完結までの間、反応液のpHは4以下に維持した。
冷却後、反応液を200メッシュの金網でろ過を行いし、凝集物等を除去した。ろ過後、25質量%のアンモニア水でpHを8に調整し、固形分が40質量%となるように水を添加した。調整終了後次いで、325メッシュの金網でろ過を行なうことにより、アクリル系ポリマー(1a)を含有するラテックスを得た。
透過型電子顕微鏡(TEM)による観察の結果、このアクリル系ポリマー(1a)は、粒子径141nmの球形粒子が単分散しており、該ポリマーのガラス転移温度は−40℃であった。
<樹脂バインダー(c−2)の製造>
[合成例2]アクリル系ポリマーラテックスの製造
以下の成分の使用量を以下に記載したとおりに変更した他は、前記合成例1と同様に操作することにより、固形分濃度40質量%のアクリル系ポリマー(1b)を含有するラテックスを得た。
[初期仕込み]
アクアロンKH1025:0.45質量部(固形分換算)
アデカリアソープSR1025:0.45質量部(固形分換算)
過硫酸アンモニウム(2質量%水溶液):0.15質量部(固形分換算)
[乳化液中のモノマー]
メタクリル酸メチル:44.3質量部
アクリル酸n−ブチル:47.0質量部
アクリル酸2−エチルヘキシル:2質量部
メタクリル酸:1質量部
アクリル酸:1.5質量部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル:2質量部
アクリルアミド:0.2質量部
メタクリル酸グリシジル:2質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート:0.7質量部
透過型電子顕微鏡(TEM)による観察の結果、アクリル系ポリマー(1b)は、粒子径119nmの球形粒子が単分散しており、該ポリマーのガラス転移温度は5℃であった。
実施例1
[多孔基材層(A)の製造]
体積平均分子量70万のホモポリマーのポリエチレン47.5質量部と体積平均分子量30万のホモポリマーのポリエチレン47.5質量部と体積平均分子量40万のホモポリマーのポリプ口ピレン5質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリマー混合物99質量部に対して、酸化防止剤としてペンタエリスリチルーテトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー卜]を1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマ一等混合物を得た。
得られたポリマ一等混合物は、窒素置換した後に、窒素雰囲気下でフィーダーにより、二軸押出機へ供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5m2/s)を、プランジャーポンプにより押出機シリンダーに注入した。溶融混練して押し出される全混合物中に占める流動パラフィンの量比が67質量%(ポリマー等混合物濃度が33質量%)となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、スクリユ一回転数100rpm、及び吐出量12kg/hとして、混練を行った。
得られた溶融混練物を、表面温度25℃に制御された冷却ロール上にT−ダイ経由で押出しキャス卜することにより、厚み1,600μmのゲルシートを得た。次に、このゲルシートを同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度112℃とした。延伸後のゲルシートをメチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去した後、メチルエチルケトンを乾燥除去した。次に、前記処理後のシートをTDテンターに導き、熱固定を行った。熱固定温度は128℃、TD最大倍率は2.0倍とした。その後、131℃において緩和率は0.90にて緩和することにより、膜厚12μm、気孔率40%、透気度140秒/100cc、平均孔径d=0.07μmのポリオレフィン樹脂多孔膜(A1)を得た。
[塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)から成るパターンの形成]
塩基性リン酸塩(c−1)としてLiPOを70重量部、及び樹脂バインダー(c−2)としてポリビニルアルコール(平均重合度1,700、ケン化度99%以上)20質量(固形分換算)を、250質量部の水に均一に分散させて塗工液を調製した。
次いで、この塗工液を、上記で得たポリオレフィン樹脂多孔膜(A1)の片面上に、ドット加工したグラビアコーターを用いてドット状に塗工した。次いで、60℃に加熱して水を除去することにより、前記多孔基材層(A1)の片面上に、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)のパターンを厚み2μmにて形成したセパレータを得た。
ここで採用したドットパターンは、以下の「パターン1」である。
[パターン1]
ドット形状:円形
ドット配置パターン:三角格子状
単位格子の大きさ(三角格子における三角形の一辺の長さ):135μm
ドットの直径:100μm
面積割合:50%
塩基性リン酸塩(c−1)の凝集粒径は3μmであった。
上記で得られたセパレータについて、上記方法により評価した。得られた結果を表1に示した。
実施例2
本実施例においては、実施例1と同様にして得たポリオレフィン樹脂多孔膜(A1)の片面に多孔層(B)を形成し、該多孔層(B)上に塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)をパターン状に塗工したものを、セパレータとして使用した。
[多孔層(B)形成用塗工液の調製]
無機充填材(b−2)としての水酸化酸化アルミニウム(平均粒径0.9μm)を95.0質量部、
樹脂バインダー(b−1)として、前記合成例1で得たアクリル系ポリマー(1a)ラテックス4質量部(固形分換算)、及び
ポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製、SNディスパーサント5468)1.0質量部(固形分換算)と
を100質量部の水に均一に分散させることにより、固形分50質量%の塗工液を調製した。
[多孔層(B)の形成]
前記[多孔基材層(A)の製造]と同様にして得たポリオレフィン樹脂多孔膜(A1)の片面にコロナ放電処理(放電量50W)を施した後、前記の塗工液を、マイクログラビアコーターにより塗工した。得られた塗膜を、60℃において乾燥して水を除去することにより、ポリオレフィン樹脂多孔膜(A1)の片面に厚み2.0μmの多孔層(B)を形成した。
[塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)から成るパターンの形成]
実施例1の[塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)から成るパターンの形成]において、ドットパターンを以下の「パターン2」にしたほかは実施例1と同様にして、多孔層上にリン酸塩のパターンを厚み2μmにて被覆したセパレータを得た。
[パターン2]
ドット形状:円形
ドット配置パターン:三角格子状
単位格子の大きさ(三角格子における三角形の一辺の長さ):103μm
ドット直径:100μm
面積割合:85%
塩基性リン酸塩(c−1)の凝集粒径は3μmであった。
得られたセパレータについて、上記方法により評価した。得られた結果を表1に示した。
実施例3及び4、並びに比較例2
実施例3及び4においては、塩基性リン酸塩(c−1)として、それぞれ表1に記載のものを使用し、ドットパターンとして「パターン1」を採用した他は実施例2と同様にして、セパレータを得た。これらの実施例における塩基性リン酸塩(c−1)の凝集粒径は3μmであった。
比較例2においては、塩基性リン酸塩(c−1)の代わりに非塩基性リン酸塩であるLiCOを用いた他は、上記と同様に行った。LiCOの凝集粒径は3μmであった。
得られた各セパレータについて、上記方法により評価した。得られた結果を表1に示した。
実施例5
塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)に使用する樹脂バインダー(c−2)として、上記合成例2で得たアクリル系ポリマー(1b)を用い、ドットパターンとして「パターン1」を採用した以外は、実施例2と同様にして、セパレータを得た。塩基性リン酸塩(c−1)の凝集粒径は3μmであった。
得られたセパレータについて、上記方法により評価した。得られた結果を表1に示した。
実施例6
ドットパターンとして「パターン1」を採用し、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)の厚みを0.5μmに変更した以外は、実施例2と同様にして、セパレータを得た。塩基性リン酸塩(c−1)の凝集粒径は3μmであった。
得られたセパレータについて、上記方法により評価した。得られた結果を表1に示した。
実施例7〜9
塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)のドットパターンを、それぞれ、以下のパターン3〜5とした以外は、実施例2と同様にして、セパレータを得た。塩基性リン酸塩(c−1)の凝集粒径は、いずれも、3μmであった。
[パターン3]
ドット形状:円形
ドット配置パターン:三角格子状
単位格子の大きさ(三角格子における三角形の一辺の長さ):213μm
ドット直径:100μm
面積割合:20%
[パターン4]
ドット形状:円形
ドット配置パターン:三角格子状
単位格子の大きさ(三角格子における三角形の一辺の長さ):301μm
ドット直径:100μm
面積割合:10%
[パターン5]
ドット形状:円形
ドット配置パターン:三角格子状
単位格子の大きさ(三角格子における三角形の一辺の長さ):674μm
ドット直径:100μm
面積割合:2%
得られた各セパレータについて、上記方法により評価した。得られた結果を表1に示した。
比較例1
塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)から成るパターンの形成において、ドットパターンを採用せず、全面塗工とした他は、実施例2と同様にしてセパレータを得た。なお、本比較例における塩基性リン酸塩酸塩(c−1)を含む塗工液の塗工にはグラビアロールを用いた。
得られたセパレータについて、上記方法により評価した。得られた結果を表1に示した。
比較例3
実施例2において、塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)を形成する前の((C)層を有さない)セパレータを評価に供した。得られた結果を表1に示した。
Figure 2016072120

Claims (7)

  1. 多孔基材層(A)を有する蓄電デバイス用セパレータであって、
    少なくともその片面側の最外層が、その一部に塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)を有していることを特徴とする、前記蓄電デバイス用セパレータ。
  2. 前記塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)の面積割合が、前記蓄電デバイス用セパレータの塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)を有する面の全面積に対して5%以上90%以下である、請求項1に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  3. 前記塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)がドット状に存在する、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  4. 前記塩基性リン酸塩(c−1)が、リン酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  5. 前記蓄電デバイス用セパレータが、
    前記多孔基材層(A)の少なくとも片側に、樹脂バインダー(b−1)及び無機充填材(b−2)を含む多孔層(B)を備え、そして
    前記塩基性リン酸塩(c−1)を含む層(C)の存在する面が前記多孔層(B)の面である、請求項1〜4いずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  6. 請求項1〜5いずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータと、
    正極と、
    負極と、
    電解液と
    を有することを特徴とする、蓄電デバイス。
  7. 前記正極の電位がリチウム基準で4.5V以上であり、そして
    非水電解液二次電池として使用される、請求項6に記載の蓄電デバイス。
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