JP6718218B2 - 蓄電デバイス用セパレータ - Google Patents

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Description

本発明は、蓄電デバイス用セパレータ(以下、単に「セパレータ」ともいう。)に関する。
近年、リチウムイオン電池を中心とした非水電解液電池の開発が活発に行われている。通常、非水電解液電池には、微多孔膜(セパレータ)が正負極間に設けられている。このようなセパレータは、正負極間の直接的な接触を防ぎ、微多孔中に保持した電解液を通じイオンを透過させる機能を有する。
非水電解液電池のサイクル特性や安全性を向上するために、セパレータの改良が検討されている。また、近年、ポータブル機器の小型化、薄型化により、リチウムイオン二次電池などの蓄電デバイスにも小型化、薄型化が求められている。一方で、長時間携帯することを可能にするために体積エネルギー密度を向上させることによる高容量化も図られている。
従来、セパレータには、異常加熱した場合には速やかに電池反応が停止される特性(ヒューズ特性)、高温になっても形状を維持して正極物質と負極物質が直接反応する危険な事態を防止する性能(ショート特性)等の、安全性に関する性能が求められている。それらに加えて、最近では、充放電電流の均一化、及びリチウムデンドライト抑制の観点から、セパレータには電極との密着性の向上も求められている。
セパレータと電池電極との密接性を良くすることにより、充放電電流の不均一化が起こり難くなり、また、リチウムデンドライトが析出し難くなるため、結果として充放電サイクル寿命を長くすることが可能となる。
セパレータと電池電極との密接性を良くする技術として、セパレータと電極とを接着層で接着する技術が知られている。一方、蓄電デバイスを薄型化するために、電極−セパレータ接着体の厚みをできるだけ薄くすることが必要となっている。そのため、近年、セパレータとして、接着層を有する有機塗工膜が開発されている。そのような接着層を形成するための材料としてラテックスを用いることが公知である。
例えば、特許文献1に、架橋構造を有すると共に、反応性官能基を有し、5倍以上の膨潤度と5〜100%のゲル分率を有する反応性ポリマー粒子を相互に融着させて形成した接着剤層を基材多孔質フィルムに担持させてなることを特徴とする電池用セパレータのための接着剤担持多孔質フィルム、が提案されている。
特開2007−59271号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、反応性ポリマーから成る接着剤層が基材多孔質フィルム上に形成されているため、接着剤層が基材多孔質フィルムの孔を閉塞してしまう可能性がある。そのような接着剤担持多孔質フィルムをセパレータに用いると、セパレータの孔が閉塞されているので、蓄電デバイスでのイオン伝導が阻害され、イオン抵抗が高くなってしまうという問題があった。
したがって、本発明は、セパレータと電極との接着性を向上しつつ、イオン抵抗の増加を抑制することができる蓄電デバイス用セパレータを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、セパレータ表面に塗工したポリマーの接着層を電解液に触れさせることで、その接着層の一部を被膜化させ連続体を形成させる一方で、その接着層を完全にフィルム化させずに網目構造を持たせることで、接着性とイオン抵抗とのバランスを向上させ得る技術を見出し、本発明に到達した。具体的には、本発明者らは、セパレータを電解液に浸漬した後のポリマー層表面の開口率から、そのセパレータの接着性及びイオン抵抗のバランスに関する指標を見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである:
[1] 少なくとも多孔膜を含む基材と、前記基材の少なくとも一つの面の少なくとも一部の領域に形成された熱可塑性ポリマー層と、を備える蓄電デバイス用セパレータであって、該セパレータを電解液に浸漬した後の、該熱可塑性ポリマー層表面の単位面積当たりの投影面における開口率が1%〜20%である、蓄電デバイス用セパレータ。
[2] 前記熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度が、5倍以下である、[1]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
本発明によれば、セパレータと電極との接着性を向上しつつ、イオン抵抗の増加を抑制することができる蓄電デバイス用セパレータを提供できる。
図1は、ポリマー層の表面を観察した写真の一例を示す。 図2は、単色化処理を施された画像の明度のヒストグラムを示す。 図3は、図1の画像において閾値以下の明度を持つ領域を単色で塗りつぶした結果を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[多孔膜]
上記多孔膜としては、電子伝導性が小さく、イオン伝導性を有し、有機溶媒に対する耐性が高く、孔径の微細なものが好ましい。
そのような多孔膜としては、例えば、ポリオレフィン樹脂を含む多孔膜、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂を含む多孔膜、ポリオレフィン系の繊維を織ったもの(織布)、ポリオレフィン系の繊維の不織布、紙、並びに、絶縁性物質粒子の集合体が挙げられる。これらの中でも、塗工工程を経て多層多孔膜、すなわちセパレータを得る場合に塗工液の塗工性に優れ、セパレータの膜厚をより薄くして、電池等の蓄電デバイス内の活物質比率を高めて体積当たりの容量を増大させる観点から、ポリオレフィン樹脂を含む多孔膜(以下、「ポリオレフィン樹脂多孔膜」ともいう。)が好ましい。
ポリオレフィン樹脂多孔膜について説明する。
ポリオレフィン樹脂多孔膜は、電池用セパレータとした時のシャットダウン性能等を向上させる観点から、多孔膜を構成する樹脂成分の50質量%以上100質量%以下をポリオレフィン樹脂が占めるポリオレフィン樹脂組成物により形成される多孔膜であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂組成物におけるポリオレフィン樹脂が占める割合は、60質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上100質量%以下であることが更に好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物に含有されるポリオレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等をモノマーとして用いて得られるホモ重合体、共重合体、又は多段重合体等が挙げられる。また、これらのポリオレフィン樹脂は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
中でも、電池用セパレータとした時のシャットダウン特性の観点から、ポリオレフィン樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの共重合体、並びにこれらの混合物が好ましい。
ポリエチレンの具体例としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等、
ポリプロピレンの具体例としては、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン等、
共重合体の具体例としては、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレンプロピレンラバー等、が挙げられる。
中でも、電池用セパレータとした時に低融点かつ高強度の要求性能を満たす観点から、ポリオレフィン樹脂としてポリエチレン、特に高密度ポリエチレンを用いることが好ましい。なお、本発明において、高密度ポリエチレンとは密度0.942〜0.970g/cm3のポリエチレンをいう。なお、本発明においてポリエチレンの密度とは、JIS K7112(1999)に記載のD)密度勾配管法に従って測定した値をいう。
また、多孔膜の耐熱性を向上させる観点から、ポリオレフィン樹脂としてポリエチレン及びポリプロピレンの混合物を用いることが好ましい。この場合、ポリオレフィン樹脂組成物中の、総ポリオレフィン樹脂に対するポリプロピレンの割合は、耐熱性と良好なシャットダウン機能を両立させる観点から、1〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜20質量%、さらに好ましくは4〜10質量%である。
ポリオレフィン樹脂組成物には、任意の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、ポリオレフィン樹脂以外の重合体;無機フィラー;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。これらの添加剤の総添加量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、20質量部以下であることがシャットダウン性能等を向上させる観点から好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
多孔膜は、非常に小さな孔が多数集まって緻密な連通孔を形成した多孔構造を有しているため、イオン伝導性に非常に優れると同時に耐電圧特性も良好であり、しかも高強度であるという特徴を有する。
多孔膜は、上述した材料からなる単層膜であってもよく、積層膜であってもよい。
多孔膜の膜厚は、0.1μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上50μm以下、さらに好ましくは3μm以上25μm以下である。機械的強度の観点から0.1μm以上が好ましく、電池の高容量化の観点から100μm以下が好ましい。多孔膜の膜厚は、ダイリップ間隔、延伸工程における延伸倍率等を制御すること等によって調整することができる。
多孔膜の平均孔径は、0.03μm以上0.70μm以下が好ましく、より好ましくは0.04μm以上0.20μm以下、さらに好ましくは0.05μm以上0.10μm以下、特に好ましくは0.06μm以上0.09μm以下である。高いイオン伝導性と耐電圧の観点から、0.03μm以上0.70μm以下が好ましい。多孔膜の平均孔径は、後述する測定法で測定することができる。
平均孔径は、組成比、押出シートの冷却速度、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率を制御することや、これらを組み合わせることにより調整することができる。
多孔膜の気孔率は、好ましくは25%以上95%以下、より好ましく30%以上65%以下、更に好ましくは35%以上55%以下である。イオン伝導性向上の観点から25%以上が好ましく、耐電圧特性の観点から95%以下が好ましい。多孔膜の気孔率は、後述する方法で測定することができる。
多孔膜の気孔率は、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の混合比率、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率を制御することや、これらを組み合わせることによって調整することができる。
多孔膜がポリオレフィン樹脂多孔膜である場合、ポリオレフィン樹脂多孔膜の粘度平均分子量は、30,000以上12,000,000以下であることが好ましく、より好ましくは50,000以上2,000,000未満、さらに好ましくは100,000以上1,000,000未満である。粘度平均分子量が30,000以上であると、溶融成形の際のメルトテンションが大きくなり成形性が良好になると共に、重合体同士の絡み合いにより高強度となる傾向にあるため好ましい。一方、粘度平均分子量が12,000,000以下であると、均一に溶融混練をすることが容易となり、シートの成形性、特に厚み安定性に優れる傾向にあるため好ましい。さらに、電池用セパレータとした時に、粘度平均分子量が1,000,000未満であると、温度上昇時に孔を閉塞し易く良好なシャットダウン機能が得られる傾向にあるため好ましい。ポリオレフィン樹脂多孔膜の粘度平均分子量は、後述する方法で測定することができる。
[多孔膜の製造方法]
多孔膜を製造する方法としては特に制限はなく、公知の製造方法を採用することができる。例えば、
(1)ポリオレフィン樹脂組成物と孔形成材とを溶融混練してシート状に成形後、必要に応じて延伸した後、孔形成材を抽出することにより多孔化させる方法、
(2)ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によってポリオレフィン結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法、
(3)ポリオレフィン樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート上に成形した後、延伸によってポリオレフィンと無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法、
(4)ポリオレフィン樹脂組成物を溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させてポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法、
等が挙げられる。
以下、多孔膜を製造する方法の一例として、ポリオレフィン樹脂組成物と孔形成材とを溶融混練してシート状に成形後、孔形成材を抽出する方法について説明する。
まず、ポリオレフィン樹脂組成物と上記の孔形成材を溶融混練する。溶融混練方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂及び必要によりその他の添加剤を押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等の樹脂混練装置に投入することで、樹脂成分を加熱溶融させながら任意の比率で孔形成材を導入して混練する方法が挙げられる。
上記孔形成材としては、可塑剤、無機材又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
可塑剤としては、特に限定されないが、ポリオレフィンの融点以上において均一溶液を形成しうる不揮発性溶媒を用いることが好ましい。このような不揮発性溶媒の具体例としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素類;フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のエステル類;オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。なお、これらの可塑剤は、抽出後、蒸留等の操作により回収して再利用してよい。さらに、好ましくは、樹脂混練装置に投入する前に、ポリオレフィン樹脂、その他の添加剤及び可塑剤を、予めヘンシェルミキサー等を用いて所定の割合で事前混練しておく。より好ましくは、事前混練においては、可塑剤はその一部のみを投入し、残りの可塑剤は、樹脂混練装置に適宜加温しサイドフィードしながら混練する。このような混練方法を用いることにより、可塑剤の分散性が高まり、後の工程で樹脂組成物と可塑剤の溶融混練物のシート状成形体を延伸する際に、破膜することなく高倍率で延伸することができる傾向にある。
可塑剤の中でも、流動パラフィンは、ポリオレフィン樹脂がポリエチレンやポリプロピレンの場合には、これらとの相溶性が高く、溶融混練物を延伸しても樹脂と可塑剤の界面剥離が起こり難く、均一な延伸が実施し易くなる傾向にあるため好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の比率は、これらを均一に溶融混練して、シート状に成形できる範囲であれば特に限定はない。例えば、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とからなる組成物中に占める可塑剤の質量分率は、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%である。可塑剤の質量分率が90質量%以下であると、溶融成形時のメルトテンションが成形性向上のために十分なものとなる傾向にある。一方、可塑剤の質量分率が20質量%以上であると、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤との混合物を高倍率で延伸した場合でもポリオレフィン分子鎖の切断が起こらず、均一かつ微細な孔構造を形成し易く、強度も増加し易い。
無機材としては、特に限定されず、例えば、アルミナ、シリカ(珪素酸化物)、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄などの酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、電気化学的安定性の観点から、シリカ、アルミナ、チタニアが好ましく、抽出が容易である点から、シリカが特に好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物と無機材との比率は、良好な隔離性を得る観点から、これらの合計質量に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、高い強度を確保する観点から、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。
次に、溶融混練物をシート状に成形する。シート状成形体を製造する方法としては、例えば、溶融混練物を、Tダイ等を介してシート状に押出し、熱伝導体に接触させて樹脂成分の結晶化温度より充分に低い温度まで冷却して固化する方法が挙げられる。冷却固化に用いられる熱伝導体としては、金属、水、空気、或いは可塑剤等が挙げられる。これらの中でも、熱伝導の効率が高いため、金属製のロールを用いることが好ましい。また、押出した混練物を金属製のロールに接触させる際に、ロール間で挟み込むことは、熱伝導の効率がさらに高まると共に、シートが配向して膜強度が増し、シートの表面平滑性も向上する傾向にあるためより好ましい。溶融混練物をTダイからシート状に押出す際のダイリップ間隔は200μm以上3,000μm以下であることが好ましく、500μm以上2,500μm以下であることがより好ましい。ダイリップ間隔が200μm以上であると、メヤニ等が低減され、スジや欠点など膜品位への影響が少なく、その後の延伸工程において膜破断などのリスクを低減することができる。一方、ダイリップ間隔が3,000μm以下であると、冷却速度が速く冷却ムラを防げると共に、シートの厚み安定性を維持できる。
また、シート状成形体を圧延してもよい。圧延は、例えば、ダブルベルトプレス機等を使用したプレス法にて実施することができる。圧延を施すことにより、特に表層部分の配向を増すことができる。圧延面倍率は1倍を超えて3倍以下であることが好ましく、1倍を超えて2倍以下であることがより好ましい。圧延倍率が1倍を超えると、面配向が増加し最終的に得られる多孔膜の膜強度が増加する傾向にある。一方、圧延倍率が3倍以下であると、表層部分と中心内部の配向差が小さく、膜の厚さ方向に均一な多孔構造を形成することができる傾向にある。
次いで、シート状成形体から孔形成材を除去して多孔膜とする。孔形成材を除去する方法としては、例えば、抽出溶剤にシート状成形体を浸漬して孔形成材を抽出し、充分に乾燥させる方法が挙げられる。孔形成材を抽出する方法はバッチ式、連続式のいずれであってもよい。多孔膜の収縮を抑えるために、浸漬、乾燥の一連の工程中にシート状成形体の端部を拘束することが好ましい。また、多孔膜中の孔形成材残存量は多孔膜全体の質量に対して1質量%未満にすることが好ましい。
孔形成材を抽出する際に用いられる抽出溶剤としては、ポリオレフィン樹脂に対して貧溶媒で、かつ孔形成材に対して良溶媒であり、沸点がポリオレフィン樹脂の融点より低いものを用いることが好ましい。このような抽出溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン等の非塩素系ハロゲン化溶剤;エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が挙げられる。なお、これらの抽出溶剤は、蒸留等の操作により回収して再利用してよい。また、孔形成材として無機材を用いる場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を抽出溶剤として用いることができる。
また、上記シート状成形体または多孔膜を延伸することが好ましい。延伸は前記シート状成形体から孔形成材を抽出する前に行ってもよい。また、前記シート状成形体から孔形成材を抽出した多孔膜に対して行ってもよい。さらに、前記シート状成形体から孔形成材を抽出する前と後に行ってもよい。
延伸処理としては、一軸延伸又は二軸延伸のいずれも好適に用いることができるが、得られる多孔膜の強度等を向上させる観点から二軸延伸が好ましい。シート状成形体を二軸方向に高倍率延伸すると、分子が面方向に配向し、最終的に得られる多孔膜が裂け難くなり、高い突刺強度を有するものとなる。延伸方法としては、例えば、同時二軸延伸、逐次二軸延伸、多段延伸、多数回延伸等の方法を挙げることができる。突刺強度の向上、延伸の均一性、シャットダウン性の観点からは同時二軸延伸が好ましい。また面配向の制御容易性の観点からは遂次二軸延伸が好ましい。
ここで、同時二軸延伸とは、MD(微多孔膜連続成形の機械方向)の延伸とTD(微多孔膜のMDを90°の角度で横切る方向)の延伸が同時に施される延伸方法をいい、各方向の延伸倍率は異なってもよい。逐次二軸延伸とは、MD及びTDの延伸が独立して施される延伸方法をいい、MD又はTDに延伸がなされているときは、他方向は非拘束状態又は定長に固定されている状態とする。
延伸倍率は、面倍率で20倍以上100倍以下の範囲であることが好ましく、25倍以上70倍以下の範囲であることがより好ましい。各軸方向の延伸倍率は、MDに4倍以上10倍以下、TDに4倍以上10倍以下の範囲であることが好ましく、MDに5倍以上8倍以下、TDに5倍以上8倍以下の範囲であることがより好ましい。総面積倍率が20倍以上であると、得られる多孔膜に十分な強度を付与できる傾向にあり、一方、総面積倍率が100倍以下であると、延伸工程における膜破断を防ぎ、高い生産性が得られる傾向にある。
多孔膜の収縮を抑制するために、延伸工程後、又は、多孔膜形成後に熱固定を目的として熱処理を行うこともできる。また、多孔膜に、界面活性剤等による親水化処理、電離性放射線等による架橋処理等の後処理を行ってもよい。
多孔膜には、収縮を抑制する観点から熱固定を目的として熱処理を施すことが好ましい。熱処理の方法としては、物性の調整を目的として、所定の温度雰囲気及び所定の延伸率で行う延伸操作、及び/又は、延伸応力低減を目的として、所定の温度雰囲気及び所定の緩和率で行う緩和操作が挙げられる。延伸操作を行った後に緩和操作を行っても構わない。これらの熱処理は、テンターやロール延伸機を用いて行うことができる。
延伸操作は、膜のMD及び/又はTDに1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上の延伸を施すことが、さらなる高強度かつ高気孔率な多孔膜が得られる観点から好ましい。
緩和操作は、膜のMD及び/又はTDへの縮小操作のことである。緩和率とは、緩和操作後の膜の寸法を緩和操作前の膜の寸法で除した値のことである。なお、MD、TD双方を緩和した場合は、MDの緩和率とTDの緩和率を乗じた値のことである。緩和率は、1.0以下であることが好ましく、0.97以下であることがより好ましく、0.95以下であることがさらに好ましい。緩和率は膜品位の観点から0.5以上であることが好ましい。緩和操作は、MD、TD両方向で行ってもよいが、MD或いはTD片方だけ行ってもよい。
この可塑剤抽出後の延伸及び緩和操作は、好ましくはTDに行う。延伸及び緩和操作における温度は、ポリオレフィン樹脂の融点(以下、「Tm」ともいう。)より低いことが好ましく、Tmより1℃から25℃低い範囲がより好ましい。延伸及び緩和操作における温度が上記範囲であると、熱収縮率低減と気孔率とのバランスの観点から好ましい。
次に、基材の多孔層について説明する。多孔層は多孔膜上に形成される。
[無機フィラーと樹脂製バインダを含む多孔層]
無機フィラーと樹脂製バインダとを含む多孔層について説明する。
[無機フィラー]
前記多孔層に使用する無機フィラーとしては、特に限定されないが、耐熱性及び電気絶縁性が高く、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。
無機フィラーとしては、例えば、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、その他化合物が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
マグネシウム化合物としては、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
その他化合物としては、酸化物系セラミックス、窒化物系セラミックス、粘土鉱物、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂、ガラス繊維等が挙げられる。酸化物系セラミックスとしては、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等が挙げられる。窒化物系セラミックスとしては、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等が挙げられる。粘土鉱物としては、タルク、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト等が挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、複数を併用してもよい。
上記の中でも、電気化学的安定性及び耐熱特性の観点から、酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムが好ましい。酸化アルミニウムの具体例としては、アルミナが挙げられる。水酸化酸化アルミニウムの具体例としては、ベーマイトが挙げられる。ケイ酸アルミニウムの具体例としては、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライトが挙げられる。
前記酸化アルミニウムとしては、電気化学的安定性の観点から、アルミナがより好ましい。多孔層を構成する無機フィラーとして、アルミナを主成分とする粒子を採用することで、高い透過性を維持しながら、非常に軽量な多孔層を実現できる上に、より薄い多孔層厚でも多孔膜の高温での熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。アルミナには、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ等、多くの結晶形態が存在するが、いずれも好適に使用することができる。この中でα−アルミナが熱的・化学的にも安定なので最も好ましい。
前記水酸化酸化アルミニウムとしては、リチウムデンドライトの発生に起因する内部短絡を防止する観点から、ベーマイトがより好ましい。多孔層を構成する無機フィラーとして、ベーマイトを主成分とする粒子を採用することで、高い透過性を維持しながら、非常に軽量な多孔層を実現できる上に、より薄い多孔層厚でも多孔膜の高温での熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。電気化学素子の特性に悪影響を与えるイオン性の不純物を低減できる合成ベーマイトがさらに好ましい。
前記ケイ酸アルミニウムの中では、カオリン鉱物で主に構成されているカオリナイト(以下、カオリンともいう)が軽量性及び透気度の観点から好ましい。カオリンには湿式カオリン及びこれを焼成処理した焼成カオリンがあるが、焼成カオリンは焼成処理の際に結晶水が放出されるのに加え、不純物が除去されるので、電気化学的安定性の点で特に好ましい。多孔層を構成する無機フィラーとして、焼成カオリンを主成分とする粒子を採用することで、高い透過性を維持しながら、非常に軽量な多孔層を実現できる上に、より薄い多孔層厚でも多孔膜の高温での熱収縮が抑制され、優れた耐熱性を発現する傾向にある。
前記無機フィラーの平均粒径は、0.1μm以上10.0μm以下であることが好ましく、0.2μm以上5.0μm以下であることがより好ましく、0.4μm以上3.0μm以下であることが更に好ましい。無機フィラーの平均粒径を上記範囲に調整することは、透気度及び高温での熱収縮を抑制する観点から好ましい。
無機フィラーの粒度分布としては、最小粒径は0.02μm以上であることが好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましい。最大粒径は20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、7μm以下が更に好ましい。また、最大粒径/平均粒径の比率は、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下が更に好ましい。無機フィラーの粒度分布を上記範囲に調整することは、高温での熱収縮を抑制する観点から好ましい。また、最大粒径と最小粒径の間に複数の粒径ピークを有してもよい。なお、無機フィラーの粒度分布を調整する方法としては、例えば、ボールミル・ビーズミル・ジェットミル等を用いて無機フィラーを粉砕し、所望の粒度分布に調整する方法、複数の粒径分布のフィラーを調整後ブレンドする方法等を挙げることができる。
無機フィラーの形状としては、板状、鱗片状、多面体、針状、柱状、球状、紡錘状、塊状等が挙げられ、上記形状を有する無機フィラーを複数種組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、透過性向上の観点からは、板状、鱗片状、多面体が好ましい。
前記無機フィラーが、前記多孔層中に占める割合としては、透過性及び耐熱性等の観点から適宜決定することができる。上記割合は、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは97質量%以上とすることができる。また、上記割合は100質量%未満であることが好ましく、より好ましくは99.99質量%以下、さらに好ましくは99.9質量%以下、特に好ましくは99質量%以下である。
[樹脂製バインダ]
樹脂製バインダは、前述した無機フィラーを相互に結着する役割を果たす樹脂である。また、無機フィラーと多孔膜とを相互に結着する役割を果たす樹脂であることが好ましい。
樹脂製バインダの種類としては、セパレータとしたときにリチウムイオン二次電池の電解液に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定なものを用いることが好ましい。
樹脂製バインダの具体例としては、以下の1)〜7)が挙げられる。
1)ポリオレフィン:例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンラバー、及びこれらの変性体;
2)共役ジエン系重合体:例えば、スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物;
3)アクリル系重合体:例えば、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体;
4)ポリビニルアルコール系樹脂:例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル;
5)含フッ素樹脂:例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体;
6)セルロース誘導体:例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース;
7)融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂あるいは融点を有しないが分解温度が200℃以上のポリマー:例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル。特に、耐久性の観点から全芳香族ポリアミド、中でもポリメタフェニレンイソフタルアミドが好適である。
中でも、電極とのなじみやすさの観点からは上記2)共役ジエン系重合体が好ましく、耐電圧性の観点からは上記3)アクリル系重合体及び5)含フッ素樹脂が好ましい。
上記2)共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物を単量体単位として含む重合体である。
上記共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換及び側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、特に1,3−ブタジエンが好ましい。
上記3)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル系化合物を単量体単位として含む重合体である。上記(メタ)アクリル系化合物とは、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つを示す。
上記3)アクリル系重合体に用いられる(メタ)アクリル酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸を挙げることができる。
上記3)アクリル系重合体に用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアメタクリレート;
エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート;が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
上記2)共役ジエン系重合体および3)アクリル系重合体は、これらと共重合可能な他の単量体をも共重合させて得られるものであってもよい。用いられる共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸アルキルエステル、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマール酸、イタコン酸等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特に不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が好ましい。不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、上記2)共役ジエン系重合体は、他の単量体として上記(メタ)アクリル系化合物を共重合させて得られるものであってもよい。
[多孔層の構造及び形成方法]
多孔層の層厚は、耐熱性、絶縁性を向上させる観点から1μm以上であることが好ましく、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは1.2μm以上、よりさらに好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは1.8μm以上、最も好ましくは2.0μm以上である。また、電池の高容量化と透過性を向上させる観点から50μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは7μm以下である。
多孔層における無機フィラーの充填率としては、軽量性及び高透過性の観点から、95体積%以下が好ましく、80体積%以下がより好ましく、70体積%以下がさらに好ましく、60体積%以下が特に好ましい。熱収縮抑制及びデンドライト抑制の観点から、下限は20体積%以上が好ましく、30体積%以上がより好ましく、40体積%以上が更に好ましい。無機フィラーの充填率は、多孔層の層厚、並びに無機フィラーの重量及び比重から算出することができる。
多孔層は、多孔膜の片面にのみ形成しても、両面に形成してもよい。
多孔層の形成方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂を主成分とする多孔膜の少なくとも片面に、無機フィラーと樹脂製バインダとを含む塗布液を塗布して多孔層を形成する方法を挙げることができる。
塗布液中の樹脂製バインダの形態としては、水に溶解または分散した水系溶液であっても、一般的な有機媒体に溶解または分散した有機媒体系溶液であってもよいが、樹脂製ラテックスが好ましい。「樹脂製ラテックス」とは樹脂が媒体に分散した状態のものを示す。樹脂製ラテックスをバインダとして用いた場合、無機フィラーとバインダとを含む多孔層をポリオレフィン多孔膜の少なくとも片面に積層した際、イオン透過性が低下し難く高出力特性が得られ易い。加えて異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られ易い。
樹脂製ラテックスバインダの平均粒径は、50〜1,000nmであることが好ましく、より好ましくは60〜500nm、更に好ましくは80〜250nmである。平均粒径が50nm以上である場合、無機フィラーとバインダとを含む多孔層をポリオレフィン多孔膜の少なくとも片面に積層した際、良好な結着性を発現し、セパレータとした場合に熱収縮が良好となり安全性に優れる傾向にある。平均粒径が1,000nm以下である場合、イオン透過性が低下し難く高出力特性が得られ易い。加えて異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られ易い。平均粒径は、樹脂製バインダを製造する際の重合時間、重合温度、原料組成比、原料投入順序、pH、撹拌速度などを調整することで制御することが可能である。
塗布液の媒体としては、前記無機フィラー、及び前記樹脂製バインダを均一かつ安定に分散または溶解できるものが好ましく、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、エタノール、トルエン、熱キシレン、塩化メチレン、ヘキサン等が挙げられる。
塗布液には、分散安定化や塗工性の向上のために、界面活性剤等の分散剤;増粘剤;湿潤剤;消泡剤;酸、アルカリを含むPH調整剤等の各種添加剤を加えてもよい。これら添加剤の総添加量は、無機フィラー100重量部に対して、その有効成分(添加剤が溶媒に溶解している場合は溶解している添加剤成分の重量)が20重量部以下が好ましく、より好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下である。
無機フィラーと樹脂製バインダとを、塗布液の媒体に分散または溶解させる方法については、塗布工程に必要な塗布液の分散特性を実現できる方法であれば特に限定はない。例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。
塗布液を多孔膜に塗布する方法については、必要とする層厚や塗布面積を実現できる方法であれば特に限定はなく、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法等が挙げられる。
さらに、塗布液の塗布に先立ち、多孔膜表面に表面処理を施すと、塗布液を塗布し易くなると共に、塗布後の無機フィラー含有多孔層と多孔膜表面との接着性が向上するため好ましい。表面処理の方法は、多孔膜の多孔質構造を著しく損なわない方法であれば特に限定はなく、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ放電処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、紫外線酸化法等が挙げられる。
塗布後に塗布膜から媒体を除去する方法については、多孔膜に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はなく、例えば、多孔膜を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法、抽出乾燥等が挙げられる。また電池特性に著しく影響を及ぼさない範囲においては溶媒を一部残存させても構わない。多孔膜及び多孔層を積層した多孔膜のMD方向の収縮応力を制御する観点から、乾燥温度、巻取り張力等は適宜調整することが好ましい。
次に、基材の少なくとも一つの面の少なくとも一部の領域に形成される熱可塑性ポリマー層、すなわち熱可塑性ポリマーを含有する層(以下、単に「ポリマー層」ともいう)について説明する。
[ポリマー層全般]
熱可塑性ポリマーを含有する層(ポリマー層)について説明する。
上記ポリマー層は、多孔膜、又は少なくとも一方の表面に無機フィラー及び樹脂製バインダを含む多孔層を有する多孔膜(これらをあわせて「基材」ともいう。)の少なくとも片面上の少なくとも一部に形成される。
上記ポリマー層は、熱プレスの工程を経ることにより、電極及びセパレータ間を接着させることができる。すなわち、ポリマー層は、接着層として機能し得るものである。
上記ポリマー層に含まれる熱可塑性ポリマーの具体例としては、以下の1)〜4)が挙げられる。
1)共役ジエン系重合体:例えば、スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物;
2)アクリル系重合体:例えば、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体;
3)ポリビニルアルコール系樹脂:例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル;
4)含フッ素樹脂:例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体;
中でも、電極とのなじみやすさの観点からは上記1)共役ジエン系重合体が好ましく、耐電圧性の観点からは上記2)アクリル系重合体及び4)含フッ素樹脂が好ましい。
また、上記ポリマー層は、その全量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上、上記熱可塑性ポリマーを含む。
さらに、上記ポリマー層は、上記熱可塑性ポリマー以外に、本発明の課題解決を損なわない程度の、その他の成分を含んでもよい。
[ポリマー層の構造]
ポリマー層の基材に対する担持量は、固形分で0.02g/m以上1.50g/m以下が好ましく、より好ましくは0.07g/m以上1.00g/m以下であり、更に好ましくは0.10g/m以上0.70g/m以下である。その層の基材に対する担持量を0.02g/m以上1.50g/m以下とすることは、得られるセパレータにおいて、ポリマー層と基材との接着力を一層向上させる一方で、基材の孔を閉塞することによるサイクル特性(透過性)の低下を一層抑制する観点から好ましい。
ポリマー層の基材に対する担持量は、例えば、塗布液中の熱可塑性ポリマー含有量や熱可塑性ポリマー溶液の塗布量を変更することにより調整することができる。ただし、担持量の調整方法は上記に限定されない。
ポリマー層は、基材の一面当たりの表面積に対して、80%以下の表面被覆率で基材の表面上に存在することが好ましく、より好ましくは50%以下、更に好ましくは45%以下、特に好ましくは40%以下の表面被覆率で基材の表面上に存在する。また、ポリマー層が5%以上の表面被覆率で基材の表面上に存在することが好ましい。このポリマー層の表面被覆率を80%以下とすることは、熱可塑性ポリマーによる基材の孔の閉塞を更に抑制し、セパレータの透過性を一層向上する観点から好ましい。一方、表面被覆率を5%以上とすることは、電極との接着性を一層向上する観点から好ましい。
ポリマー層の表面被覆率は、例えば、後述のセパレータの製造方法において、基材に塗布する塗布液中の熱可塑性ポリマー含有量、塗布液の塗布量、塗布方法及び塗布条件を変更することにより調整することができる。ただし、表面被覆率の調整方法は、それらに限定されない。また、ポリマー層の表面被覆率は、下記実施例に記載の方法に準じて測定される。
ポリマー層の平均厚さは、特に限定されないが、2.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.0μm以下、更に好ましくは0.5μm以下である。ポリマー層の平均厚さを2.0μm以下とすることは、ポリマー層による透過性低下を抑制すると共に、セパレータをロールとして保管した際のポリマー層同士又はポリマー層と基材との貼り付きを効果的に抑制する観点から好ましい。ポリマー層の平均厚さは、例えば、基材に塗布する塗布液における熱可塑性ポリマー含有量や塗布液の塗布量、塗布方法及び塗布条件を変更することにより調整することができる。ただし、ポリマー層の平均厚さの調整方法は、それらに限定されない。
ポリマー層の基材上での存在形態(パターン)は、特に限定されず、基材の全面に亘って存在してもよく、ドット状、格子目状、線状、縞状、亀甲模様状等のような平面形状で存在してもよい。
上記セパレータが電解液に浸漬されると、ポリマー層は、一部が被膜化して連続体を形成して膜状の形態になりつつ、完全にフィルム化せずに網目構造を有するようになる。ポリマー層は、膜状になることで、電極との接触面積を大きくでき、網目構造になることで、基材の孔の閉塞しないようにできる。そのため、ポリマー層は、電解液が存在する状態でも、セパレータと電極との間の接着性を向上しつつ、イオン伝導を阻害しないようにできる。このとき、セパレータを電解液に浸漬した後の、ポリマー層表面の単位面積当たりの投影面における開口率は1%〜20%に制御されることが好ましい。開口率が1%以上とされることは、基材の孔の閉塞が防止される観点や、このセパレータが蓄電デバイスに用いられたとき、その蓄電デバイスのサイクル特性が良好になる観点で好ましい。開口率は1%以上に制御されるのがより好ましく、2%以上が更に好ましい。また、開口率が20%以下とされることは、このセパレータを蓄電デバイスに用いたとき、電極との接着面積を十分に確保できる観点や、このセパレータを蓄電デバイスに用いたとき、電極との接着性を高める観点から好ましい。開口率は15%以下に制御されるのがより好ましく、10%以下に制御されるのが更に好ましい。
上記の開口率の算出方法は、特に制限されるものではないが、例えば、予め設定された面積や倍率の観察視野において熱可塑性ポリマー層におけるポリマーの存在する領域やポリマーの存在しない領域の面積を計測する方法が考えられる。その観察手段は、セパレータ上に塗工されたポリマー層の表面の分散粒子の大きさや分布状態によって適宜選定され、任意の方法を採用することが可能である。例えば、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、光学顕微鏡、微分干渉顕微鏡などを用いることが可能である。これらの中でも、本発明のような分散粒子の分布状態を扱う場合には、電子顕微鏡または原子間力顕微鏡を用いるのが好適である。また、観察視野内には、セパレータ全面に塗工されたポリマー層の平均的な観察視野が確保されるべきである。当該観察視野の面積又は倍率は分散粒子の平均的な分布状態が把握されるように適宜調整されるべきである。例えば、当該観察視野の倍率を固定して観察を行う。あるいは、ポリマー粒子のサイズを変更したもの同士を比較する場合には、電解液浸漬前のポリマー層において、所定の個数の粒子が当該観察視野に入るように、ポリマー粒子のサイズごとに適宜倍率を変更して観察を行う。一例としては、当該観察視野に入る分散粒子の個数が約15個±5個/1視野程度となるように、ポリマー粒子のサイズごとに倍率を適宜変更する。
開口率を算出する手順として、以下の手順が考えられる。まず、予め設定された観測手段及び倍率で、セパレータを電解液に浸漬する前のポリマー層を観察する。図1は、観測手段を走査型電子顕微鏡とし、倍率を1万倍として、ポリマー層の表面を観察した写真の一例である。次に、この観測手段で得られた写真(画像)に単色化処理を施す。次に、単色化処理を施された画像の各画素の明度を集計して、明度ヒストグラムを作成する。図2は、単色化処理を施された画像(図1)の明度ヒストグラムを示す。ここで、頻度が最も高い明度(最頻明度)を抽出し、最頻明度の半値を、画像を二値化するための閾値に設定する。この図の例では、0〜255段階の明度において、126番の明度を最頻明度として抽出し、その半値である63番の明度を、画像を二値化するための閾値に設定している。そして、設定された閾値を用いて単色化処理を施された画像に二値化処理を施す。すなわち、単色化処理を施された画像において、閾値よりも明度が高い画素を例えば白色の画素とし、閾値以下の明度の画素を例えば黒色の画素として画像を再構成する。すなわち、閾値以下の明度を持つ画素を単色、例えば黒色で塗りつぶす。図3は、図1の画像において閾値以下の明度を持つ領域を黒色で塗りつぶした結果を示す。続いて、黒色で塗りつぶされた画素(黒色の画素)の占める面積から、黒色で塗りつぶされた面積を算出する。そして、(黒色で塗りつぶされた面積)/(画像全体の面積)により、開口率を算出する。ただし、ポリマーの開口率は、観測視野によりばらつきがある可能性があるので、複数の視野について求めた開口率の平均値を採用することが好ましい。浸漬する電解液としては、例えば炭酸エチレン/炭酸ジエチル=50/50(重量比)の混合溶媒の非水電解質を用いる。上記の開口率の具体的な算出方法は後述される。
上記ポリマー層の基材上での存在形態(パターン)の中では、透過性を確保する観点、及び電極との均一な接着性を一層向上させる観点から、ポリマー層が基材の少なくとも片面上にドット状に存在することが好ましい。「ドット状」とは、基材上にポリマー層が島状に存在し、ポリマー層が存在しない部分が海状になっている海島構造の状態を示す。なお、ポリマー層が島状に独立して存在しても、その一部が連続的な面を形成していてもよいが、ポリマー層が殆どの部分で連続し、基材の大部分がポリマー層で覆われた状態である場合(海島構造の海がポリマー層であるような場合)は含まない。
ポリマー層が島状に独立して存在する場合、島状のドットの間隔(隣り合う島状ドットの端部間の距離)は、5μm〜500μmであることが、電極への密着性とサイクル特性との両立の点から好ましい。
また、ドットの大きさ(1つのドットの最も長い径;長径)は、特に限定されないが、平均で、20μm以上1000μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以上800μm以下、更に好ましくは50μm以上500μm以下である。当該ポリマー層のドットの平均長径を20μm以上1000μm以下とすることは、電極との接着性を確保する観点から好ましい。ポリマー層のドットの平均長径は、例えば、塗布液の熱可塑性ポリマー含有量、塗布液の塗布量、塗布方法、及び塗布条件を変更することにより調整することができる。ただし、ポリマー層のドットの平均長径を調整する方法は、それらに限定されない。
また、熱可塑性ポリマー層がガラス転移温度を少なくとも2つ有していることが好ましい。これにより、電極への接着性とハンドリング性とのバランスをより良好に両立することができる。
熱可塑性ポリマー層がガラス転移温度を少なくとも2つ有している場合、上記ガラス転移温度のうち少なくとも1つが20℃未満の領域に存在することが好ましい。これにより、基材との密着性に一層優れ、その結果、セパレータは電極との密着性により優れるという効果を奏する。同様の観点から、用いる熱可塑性ポリマーのガラス転移温度のうち少なくとも1つが、15℃以下の領域に存在することがより好ましく、更に好ましくは−30℃以上15℃以下の領域に存在する。熱可塑性ポリマーと基材との密着性を高めつつ、ハンドリング性を更に良好に保持する点から、20℃未満の領域に存在するガラス転移温度が−30℃以上15℃以下の領域にのみ存在することが好ましい。
熱可塑性ポリマーがガラス転移温度を少なくとも2つ有している場合、上記ガラス転移温度のうち少なくとも1つが20℃以上の領域に存在することが好ましい。これにより、セパレータと電極との接着性及びハンドリング性に更に優れるという効果を奏する。また、用いる熱可塑性ポリマーのガラス転移温度のうち少なくとも1つが20℃以上120℃以下の領域に存在することがより好ましく、更に好ましくは50℃以上120℃以下である。上記範囲にガラス転移温度が存在することで、更に良好なハンドリング性を付与できる。さらに、電池作製時の加圧により発現する電極とセパレータとの間の密着性を一層高めることができる。熱可塑性ポリマーと基材との密着性を一層高めつつ、ハンドリング性を更に良好に保持する点から、20℃以上の領域に存在するガラス転移温度は、20℃以上120℃以下の領域にのみ存在することが好ましく、50℃以上120℃以下の領域にのみ存在することがより好ましい。
熱可塑性ポリマーがガラス転移温度を少なくとも2つ有することは、例えば、2種類以上の熱可塑性ポリマーをブレンドする方法や、コアシェル構造を備える熱可塑性ポリマーを用いる方法によって達成できるが、これらの方法に限定されない。コアシェル構造とは、中心部分に属するポリマーと、外殻部分に属するポリマーが異なる組成からなる、二重構造の形態をしたポリマーである。
特に、ポリマーブレンドやコアシェル構造は、ガラス転移温度の高いポリマーと低いポリマーとを組み合せることにより、熱可塑性ポリマー全体のガラス転移温度を制御できる。また、熱可塑性ポリマー全体に複数の機能を付与できる。
例えば、ブレンドの場合は、特にガラス転移温度が20℃以上の領域に存在するポリマーと、ガラス転移温度が20℃未満の領域に存在するポリマーとを、2種類以上ブレンドすることで、耐ベタツキ性と基材への塗れ性とを更に良好に両立することができる。ブレンドする場合の混合比としてはガラス転移温度が20℃以上の領域に存在するポリマーと、ガラス転移温度が20℃未満の領域に存在するポリマーとの比が0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲であることが好ましく、より好ましくは、5:95〜95:5であり、更に好ましくは50:50〜95:5であり、特に好ましくは60:40〜90:10である。
コアシェル構造の場合は、外殻ポリマーの種類を変えることにより、ポリオレフィン微多孔膜など他材料に対する接着性や相溶性の調整ができ、中心部分に属するポリマーの種類を変更することで、例えば熱プレス後の電極への接着性を高めたポリマーに調整することができる。また、粘性の高いポリマーと弾性の高いポリマーとを組み合わせて粘弾性の制御をすることもできる。
なお、コアシェル構造を備える熱可塑性ポリマーのシェルのガラス転移温度は、特に限定されないが、20℃未満が好ましく、15℃以下がより好ましく、−30℃以上15℃以下が更に好ましい。また、コアシェル構造を備える熱可塑性ポリマーのコアのガラス転移温度は、特に限定されないが、20℃以上が好ましく、20℃以上120℃以下がより好ましく、50℃以上120℃以下が更に好ましい。
セパレータ表面に塗工したポリマーの接着層が電解液に触れることで、その接着層の一部が被膜化し連続体を形成する一方で、その接着層が完全にフィルム化せずに網目構造を形成するには、熱可塑性ポリマーはコアシェル構造を持つことが好ましい。
さらに、シェル側の膨潤度が高く、コア側の膨潤度が低い方が好ましい。このような構造にすることにより、シェル側のポリマーが他の熱可塑性ポリマーを被膜化し易くなり、連続層を形成し易くなる一方で、コア側の膨潤度が低く被膜化し難いため、熱可塑性ポリマー粒子の全てが被膜化せず、シェル部だけが被膜化し、連続体を形成するために網目構造を形成し易くなる。
膨潤度は、架橋剤の添加量又は電解液に対して膨潤し易いモノマーの添加量を調整することにより、調整することができる。
[ポリマー層の形成方法]
ポリマー層を基材の少なくとも一方の面(片面)に担持する方法は、特に限定されない。
例えば、熱可塑性ポリマーを含有する塗布液を基材の少なくとも一方の面に塗布した後、必要に応じて塗布液の溶媒又は分散媒を除去する方法が挙げられる。上記塗布液としては、重合体粒子が媒体中に分散した分散体を用いることが好ましい。
上記分散体の固形分としては、5質量%〜70質量%であることが好ましい。
熱可塑性ポリマー粒子の平均粒径は、好ましくは50〜750nm、より好ましくは100〜400nm、更に好ましくは130〜180nmである。熱可塑性ポリマー粒子の平均粒径を50nm以上とすることは、ポリマー層と、その層を担持した後述の基材とを備えるセパレータの透気度を、より良好に維持できることから好ましい。また、熱可塑性ポリマー粒子の平均粒径を750nm以下とすることは、水分散体の分散安定性を確保する観点から好ましい。熱可塑性ポリマー粒子の平均粒径は、下記実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
塗布液に含まれる溶媒又は分散媒は、特に限定されないが、水が好ましい。塗布液を基材に塗布する際に、塗布液が基材の内部にまで入り込んでしまうと、熱可塑性ポリマーが、基材の孔の表面及び内部を閉塞し透過性が低下し易くなる。この点、塗布液の溶媒又は分散媒として水を用いる場合には、基材の内部に塗布液が入り込み難くなり、熱可塑性ポリマーは主に基材の外表面上に存在し易くなるため、透過性の低下をより効果的に抑制できるので好ましい。また、水と併用可能な溶媒又は分散媒としては、例えば、エタノール及びメタノールを挙げることができる。
また、媒体として水を用いる場合は、長期の分散安定性を保つため、そのpHが5〜12の範囲に調整されることが好ましい。pHの調整には、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びジメチルアミノエタノール等のアミン類を用いることが好ましく、アンモニア(水)又は水酸化ナトリウムによりpHを調整することがより好ましい。
上記分散体には、他の成分として、分散剤、滑剤、増粘剤、殺菌剤等が含まれていてもよい。
塗布液を基材に塗布する方法については、必要とする層厚や塗布面積を実現できる方法であれば特に限定はなく、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法が挙げられる。
塗布液の塗布に先立ち、基材表面に表面処理を施すことが、塗布液をより塗布し易くすると共に基材と熱可塑性ポリマーとの接着性を向上させる観点から好ましい。表面処理の方法は、基材の構造(例えばポリオレフィン微多孔膜の多孔質構造)を著しく損なわない方法であれば特に限定はなく、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、及び紫外線酸化法が挙げられる。
基材に塗布した塗布液から溶媒を除去する場合には、基材に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はない。例えば、基材としてポリオレフィン微多孔膜を用いる場合、基材を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法、熱可塑性ポリマーに対する貧溶媒に浸漬して熱可塑性ポリマーを凝固させると同時に溶媒を抽出する方法が挙げられる。
[ポリマー層の材料]
上記ポリマー層に含まれる熱可塑性ポリマーの具体例において、上記1)共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物を単量体単位として含む重合体である。上記共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換及び側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、特に1,3−ブタジエンが好ましい。
また、共役ジエン系重合体は、後述する(メタ)アクリル系化合物または他の単量体を単量体単位として含んでいてもよい。
上記2)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル系化合物を単量体単位として含む重合体である。上記(メタ)アクリル系化合物とは、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つを示す。
このような化合物としては、例えば、下記式(P1)で表される化合物が挙げられる。
CH=CRY1−COO−RY2 (P1)
式(P1)中、RY1は水素原子又はメチル基を示し、RY2は水素原子または1価の炭化水素基を示す。RY2が1価の炭化水素基の場合は、置換基を有していてもよくかつ鎖内にヘテロ原子を有していてもよい。1価の炭化水素基としては、例えば、直鎖であっても分岐していてもよい鎖状アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基が挙げられる。また、置換基としては、例えば、ヒドロキシル基及びフェニル基が挙げられ、ヘテロ原子としては、例えばハロゲン原子、酸素原子が挙げられる。(メタ)アクリル系化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
このような(メタ)アクリル系化合物としては、鎖状アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート、フェニル基含有(メタ)アクリレートを挙げることができる。
Y2の1種である鎖状アルキル基として、より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基である炭素原子数が1〜3の鎖状アルキル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基及びラウリル基などの炭素原子数が4以上の鎖状アルキル基が挙げられる。また、RY2の1種であるアリール基としては、例えばフェニル基が挙げられる。
そのようなRY2を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなどの鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、フェニルアクリレート及びフェニルメタクリレートなどの芳香環を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中では、電極(電極活物質)との密着性向上の観点から、炭素原子数が4以上の鎖状アルキル基を有する単量体、より具体的には、RY2が炭素原子数4以上の鎖状アルキル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましい。より具体的には、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。なお、炭素原子数が4以上の鎖状アルキル基における炭素原子数の上限は特に限定されず、例えば14であってもよいが、7が好ましい。これら(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体は、上記炭素原子数が4以上の鎖状アルキル基を有する単量体に代えて、あるいはこれに加えて、RY2としてシクロアルキル基を有する単量体も含むと好ましい。これによっても、電極との密着性が更に向上する。
そのようなシクロアルキル基を有する単量体としては、より具体的には、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、アダマンチルアクリレート及びアダマンチルメタクリレートが挙げられる。シクロアルキル基の脂環を構成する炭素原子の数は、4〜8が好ましく、6及び7がより好ましく、6が特に好ましい。また、シクロアルキル基は置換基を有していても有していなくてもよい。置換基としては、例えば、メチル基及びt−ブチル基が挙げられる。これらの中では、シクロヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートがアクリル系重合体調製時の重合安定性が良好である点で好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
また、アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体として、上記のものに代えて、あるいは加えて、好ましくは上記のものに加えて、架橋性単量体を含むことが好ましい。架橋性単量体としては、特に限定されないが、例えば、ラジカル重合性の二重結合を2個以上有している単量体、重合中又は重合後に自己架橋構造を与える官能基を有する単量体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ラジカル重合性の二重結合を2個以上有している単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
重合中又は重合後に自己架橋構造を与える官能基を有する単量体としては、例えば、エポキシ基を有する単量体、メチロール基を有する単量体、アルコキシメチル基を有する単量体、及び加水分解性シリル基を有する単量体が挙げられる。
また、上記アクリル系重合体は、様々な品質及び物性を改良するために、上記以外の単量体を単量体単位として更に有してもよい。そのような単量体としては、例えば、カルボキシル基を有する単量体、アミド基を有する単量体、シアノ基を有する単量体、及び芳香族ビニル単量体が挙げられる。
さらに、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基等の官能基を有する各種のビニル系単量体、及び酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、ブタジエン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等も必要に応じて使用できる。
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。また、上記他の単量体は、上記各単量体のうち2種以上に同時に属するものであってもよい。
シアノ基を有する単量体としては、シアノ基を有するエチレン性不飽和単量体が好ましく、具体的には、アクリロニトリル、及びメタクリロニトリルが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等が挙げられる。好ましくはスチレンである。
上記アクリル系重合体における(メタ)アクリル系化合物を単量体単位として含有する割合は、アクリル系重合体100質量%に対して、好ましくは5〜95質量%である。その下限値は、より好ましくは15質量%であり、更に好ましくは20質量%であり、特に好ましくは30質量%である。上記単量体単位の含有割合が5質量%以上であると、基材への結着性及び耐酸化性の点で好ましい。一方、より好ましい上限値は92質量%であり、更に好ましい上限値は80質量%であり、特に好ましい上限値は60質量%である。上記単量体の含有割合が95質量%以下であると、基材との密着性が向上するため好ましい。
アクリル系重合体が、鎖状アルキル(メタ)アクリレートまたはシクロアルキル(メタ)アクリレートを単量体単位として有する場合、それらの含有割合の合計は、アクリル系重合体100質量%に対して、好ましくは、3〜92質量%であり、より好ましくは10〜90質量%であり、更に好ましくは15〜75質量%であり、特に好ましくは25〜55質量%である。これらの単量体の含有割合が3質量%以上であると耐酸化性の向上の点で好ましく、92質量%以下であると、基材との結着性が向上するため好ましい。
アクリル系重合体が、(メタ)アクリル酸を単量体単位として有する場合、その含有割合は、アクリル系重合体100質量%に対して、好ましくは0.1〜5質量%である。上記単量体の含有割合が、0.1質量%以上であると、セパレータは膨潤状態でのクッション性が向上する傾向にあり、5質量%以下であると、重合安定性が良好な傾向にある。
アクリル系重合体が、架橋性単量体を単量体単位として有する場合、アクリル系重合体における架橋性単量体の含有割合は、アクリル系重合体100質量%に対して、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜3質量%である。上記単量体の含有割合が0.01質量%以上であると耐電解液性がさらに向上し、10質量%以下であると膨潤状態でのクッション性の低下をより抑制することができる。
アクリル系重合体は、例えば、通常の乳化重合法によって得られる。乳化重合の方法に関しては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
例えば、水性媒体中で上述の単量体、界面活性剤、ラジカル重合開始剤、及び必要に応じて用いられる他の添加剤成分を基本組成成分とする分散系において、上記各単量体を含む単量体組成物を重合することによりアクリル系重合体が得られる。重合に際しては、供給する単量体組成物の組成を全重合過程で一定にする方法や、重合過程で逐次又は連続的に変化させることによって、生成する樹脂分散体の粒子の形態的な組成変化を与える方法等、必要に応じて様々な方法が利用できる。アクリル系重合体を乳化重合により得る場合、例えば、水と、その水中に分散した粒子状のアクリル系重合体とを含む水分散体(ラテックス)の形態であってもよい。
界面活性剤は、一分子中に少なくとも1つ以上の親水基と1つ以上の親油基とを有する化合物である。各種界面活性剤には非反応性界面活性剤と反応性界面活性剤があり、好ましくは反応性界面活性剤が好ましく、より好ましくはアニオン性の反応性界面活性剤であり、さらに好ましくはスルホン酸基を有する反応性界面活性剤である。
上記界面活性剤は、単量体組成物100質量部に対して0.1〜5質量部用いることが好ましい。界面活性剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ラジカル重合開始剤としては、熱又は還元性物質によりラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤及び有機系開始剤のいずれも用いることができる。また、ラジカル重合開始剤としては、水溶性又は油溶性の重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤は、単量体組成物100質量部に対して、好ましくは0.05〜2質量部用いることができる。ラジカル重合開始剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[ポリマー層の物性]
熱可塑性ポリマーのガラス転移温度(以下、「Tg」とも表記する。)は、特に限定されないが、−50℃以上であってもよく、好ましくは20℃以上であり、より好ましくは20℃〜120℃であり、さらに好ましくは20℃〜100℃である。熱可塑性ポリマーのTgが20℃以上であると、上記ポリマー層を備えるセパレータの最表面がべたつくのを抑制でき、ハンドリング性が向上する傾向にある。また、Tgが120℃以下であると、セパレータの電極(電極活物質)との密着性がより良好になる傾向にある。
ここで、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)で得られるDSC曲線から決定される。具体的には、DSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の変曲点における接線との交点により決定される。
また、「ガラス転移」はDSCにおいて試験片であるポリマーの状態変化に伴う熱量変化が吸熱側に生じたものを指す。このような熱量変化はDSC曲線において階段状変化の形状として観測される。「階段状変化」とは、DSC曲線において、曲線がそれまでの低温側のベースラインから離れ新たな高温側のベースラインに移行するまでの部分を示す。なお、階段状変化とピークとが組み合わされたものも階段状変化に含まれることとする。
さらに、「変曲点」とは、階段状変化部分のDSC曲線のこう配が最大になるような点を示す。また、階段状変化部分において、上側を発熱側とした場合に、上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点と表現することもできる。「ピーク」とは、DSC曲線において、曲線が低温側のベースラインから離れてから再度同じベースラインに戻るまでの部分を示す。「ベースライン」とは、試験片に転移及び反応を生じない温度領域のDSC曲線のことを示す。
熱可塑性ポリマーのTgは、例えば、熱可塑性ポリマーを製造するのに用いるモノマーの種類及び各モノマーの配合比を変更することにより適宜調整できる。熱可塑性ポリマーのTgは、その製造に用いられる各モノマーについて一般に示されているそのホモポリマーのTg(例えば、「ポリマーハンドブック」(A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION)に記載)とモノマーの配合比から概略で推定することができる。例えば約100℃のTgのポリマーを与えるスチレン、メチルメタクリレ−ト、及びアクリルニトリルなどのモノマーを高比率で配合した熱可塑性ポリマーは、高いTgを有する。また、例えば約−80℃のTgのポリマーを与えるブタジエンや約−50℃のTgのポリマーを与えるn−ブチルアクリレ−ト及び2−エチルヘキシルアクリレ−トなどのモノマーを高い比率で配合した熱可塑性ポリマーは、低いTgを有する。
また、ポリマーのTgはFOXの式(下記式(2))より概算することができる。なお、熱可塑性ポリマーのガラス転移温度としては、上記DSCを用いた方法により測定したものを採用する。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+‥‥+Wi/Tgi+‥‥Wn/Tgn (2)
ここで、式(2)中において、Tg(K)は、コポリマーのTgを示し、Tgi(K)は、各モノマーiのホモポリマーのTgを示し、Wiは、各モノマーの質量分率を示す。
熱可塑性ポリマーのゲル分率は、特に限定されないが、電解液中への溶解の抑制や電池内部での熱可塑性ポリマーの強度維持の観点から80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。ここで、ゲル分率は、トルエン不溶分の測定により求められる。
ゲル分率は、重合するモノマー成分及び各モノマーの投入比、重合条件を変更することにより調整することができる。
熱可塑性ポリマーは、サイクル特性等の電池特性の点から、電解液に対する膨潤性を有することが好ましい。乾燥させた熱可塑性ポリマー(あるいは熱可塑性ポリマー分散液)に電解液を3時間浸透させ、洗浄した後の熱可塑性ポリマー(A)の重量をWa、Aを150℃のオーブン中に1時間静置したあと重量をWbとするとき、以下の式により熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度を算出することができる。膨潤度は、5倍以下が好ましく、4.5倍以下がより好ましく、4倍以下がさらに好ましい。また、膨潤度は、1倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましい。
熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度(倍)=(Wa−Wb)÷Wb
熱可塑性ポリマーの膨潤度が1倍以上であることは、電解液との高い親和性の観点や、セパレータや電極との良好な接着性の観点から好ましい。一方、5倍以下であることは、熱可塑性ポリマーの十分な強度の観点や、セパレータや電極との良好な接着性の観点から好ましい。
[蓄電デバイス用セパレータ]
次に、本発明における蓄電デバイス用セパレータについて説明する。このセパレータは、基材上にポリマー層を備えるため、電極活物質との接着性に優れる。
上記セパレータの透気度は、10秒/100cc以上650秒/100cc以下であることが好ましく、より好ましくは20秒/100cc以上500秒/100cc以下、さらに好ましくは30秒/100cc以上450秒/100cc以下、特に好ましくは50秒/100cc以上400秒/100cc以下である。透気度が10秒/100cc以上であると電池用セパレータとして使用した際の自己放電が少なくなる傾向にあり、650秒/100cc以下であると良好な充放電特性が得られる傾向にある。
上記セパレータの最終的な膜厚は、2μm以上200μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上100μm以下、さらに好ましくは7μm以上30μm以下である。膜厚が2μm以上であると機械強度が十分となる傾向にあり、また、200μm以下であるとセパレータの占有体積が減るため、電池の高容量化の点において有利となる傾向にある。
上記セパレータの剥離強度(セパレータと電極との接着性)は、特に限定されないが、後述の方法で測定される、熱可塑性ポリマーを含有する層側を正極集電体のアルミニウム箔に80℃、10MPaの圧力で2分間加圧した場合の剥離強度(以下、「加熱剥離強度」ともいう。)が、条件1及び条件2のいずれかにおいて4mN/mm以上であることが好ましい。加熱剥離強度が上記範囲にあるセパレータは、後述の蓄電デバイスに適用する際に、電極とセパレータとの密着性に優れる点で好ましい。上記条件1及び条件2の測定方法については、後述される。
また、本実施形態におけるセパレータは、後述の実施例に記載の方法に準じて測定される、2枚重ねて、その積層方向に、温度25℃、圧力5MPaで3分間加圧した後の90°剥離強度(以下、「常温剥離強度」ともいう。)が40mN/mm以下であることが好ましく、20mN/mm以下であることがより好ましい。これにより、セパレータが耐ブロッキング性に更に優れ、そのハンドリング性がより良好になるという効果が得られる。
常温剥離強度及び加熱剥離強度が上記範囲内であると、上記セパレータを電極に加熱プレスした際の密着性が更に向上する観点から好ましい。このような効果が得られる理由は定かでないが、常温剥離強度が上記範囲内にあることは、上記セパレータの熱可塑性ポリマーを含有する層において、その最表面側にガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂が多く存在し、かつ、基材側にガラス転移温度の低い熱可塑性樹脂が多く存在していることを示していると考えられる。すなわち、熱可塑性ポリマーを含有する層の最表面側にガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂が多く存在することでベタツキ性が更に抑制され、また、ガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂は電極との密着性に優れるため、結果としてベタツキ性が低く、かつ電極への密着性に優れたセパレータが得られるものと考えられる。
一方、熱可塑性ポリマーを含有する層の基材側にガラス転移温度の低い熱可塑性樹脂が多く存在することで、基材と熱可塑性ポリマーとの接着性が向上する結果、基材と熱可塑性樹脂との界面における剥離が抑制され、結果として電極への密着性に優れたセパレータが得られるものと考えられる。
[蓄電デバイス]
次に、本発明における蓄電デバイスについて説明する。上記蓄電デバイスは、上記セパレータを備えるものであり、それ以外の構成は、従来知られているものと同様であってもよい。蓄電デバイスは、特に限定されないが、例えば、非水電解液電池等の電池、コンデンサー及びキャパシタが挙げられる。それらの中でも、非水電解液電池が好ましく、非水電解液二次電池がより好ましく、リチウムイオン二次電池が更に好ましい。以下、蓄電デバイスが非水電解液電池である場合についての好適な態様について説明する。
上記セパレータを備える非水電解液電池は、セパレータ以外に、正極、負極及び非水電解液を備える。正極、負極及び非水電解液は特に限定されず、公知のものを用いることができる。
正極材料(正極活物質)としては、特に限定されないが、例えば、LiCoO、LiNiO、スピネル型LiMnO、オリビン型LiFePO等のリチウム含有複合酸化物が挙げられる。また、負極材料としては、特に限定されないが、例えば、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、複合炭素体等の炭素材料;シリコン、スズ、金属リチウム、各種合金材料が挙げられる。正極及び負極はそれぞれ集電体を備えてもよく、正極集電体としては、例えばアルミニウム箔が挙げられ、負極集電体としては、例えば銅箔が挙げられる。
非水電解液としては、特に限定されないが、電解質を有機溶媒に溶解した電解液を用いることができ、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。また、電解質としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩が挙げられる。
上記蓄電デバイスは、特に限定されないが、例えば、下記のようにして製造される。すなわち、上記セパレータを幅10〜500mm(好ましくは80〜500mm)、長さ200〜4000m(好ましくは1000〜4000m)の縦長形状のセパレータとして作製する。次に、当該セパレータを、正極及び負極と共に、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順で重ねて積層物を得る。次いで、その積層物を、円筒形の又は扁平な渦巻状に巻回して巻回体を得る。そして、当該巻回体を外装体内に収納し、更に電解液を注入する等の工程を経ることにより、蓄電デバイスが得られる。
また、上記蓄電デバイスは、セパレータ、正極、および負極を平板状に形成した後、正極−セパレータ−負極−セパレータ−正極、又は負極−セパレータ−正極−セパレータ−負極の順に積層して積層体を得た後、外装体内に収容し、そこに電解液を注入する等の工程を経て製造することもできる。
なお、上記外装体としては、電池缶や袋状のフィルムを用いることができる。これらの中でも、上記セパレータによる作用効果による利益がより有効に得られる観点から、角型電池缶や袋状のフィルムを用いることが好ましい。
なお、上記蓄電デバイスにおいて、上記セパレータは、電極と接着されていることが好ましい。以下、上記セパレータと電極とを接着して得られたものを「電極−セパレータ接着体」、また単に「接着体」ともいう。ここで、「接着」とは、セパレータと電極との剥離強度が、好ましくは4mN/mm以上、より好ましくは6mN/mm以上、さらに好ましくは8mN/mm以上であることをいう。
上記接着体を製造するための方法は、特に限定されないが、例えば、上記セパレータと電極とを重ねた後、加熱及び/又はプレスすることで製造することができる。
上記の加熱及び/又はプレスは電極とセパレータとを重ねて行うことができる。
例えば、上述の巻回体または積層体を形成して加熱及び/又はプレスを行うこともできる。
上記加熱及び/又はプレスは、電極およびセパレータを、外装体に収容する前に行ってもよく、外装体に収容した後に行ってもよく、さらには外装体に収容する前後で行ってもよい。
加熱及び/又はプレスを電極およびセパレータを外装体に収容した後に行う場合には、外装体に電解液を注入する前に行ってもよく、注入した後に行ってもよく、さらには、電解液を注入する前後に行ってもよい。
特に外装体として袋状のフィルムを使用する場合には、電極およびセパレータを外装体に収容した後、さらに電解液を注入後に加熱及び/又はプレスを行うことが好ましい。この際、電極およびセパレータのずれを防止する観点から、これらを外装体に収容する前に加熱及び/又はプレスを行うことが好ましい。
上記加熱時の温度としては、40〜120℃が好ましい。加熱時間は5秒〜30分が好ましい。
上記プレス時の圧力としては、1〜30MPaが好ましい。プレス時間は5秒〜30分が好ましい。
また、加熱とプレスの順序は、加熱をしてからプレスをしても、プレスをしてから加熱をしても、プレスと加熱を同時に行ってもよい。このなかでも、プレスと加熱を同時に行うことが好ましい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例又は比較例中の物性は以下の方法により測定した。なお、特に測定雰囲気が明示されていないものは、23℃、1気圧、相対湿度50%の大気中にて測定した。
(1)ポリオレフィンの粘度平均分子量(Mv)
ASTM−D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η](dl/g)を求めた。
ポリエチレンについては、次式により算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67
ポリプロピレンについては、次式によりMvを算出した。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
(2)多孔膜の目付
10cm×10cm角の試料を多孔膜から切り取り、(株)島津製作所製の電子天秤AEL−200を用いて重量を測定した。得られた重量を100倍することで1m当りの膜の目付け(g/m)を算出した。
(3)多孔膜の気孔率
10cm×10cm角の試料を多孔膜から切り取り、その体積(cm)と質量(g)を求め、多孔膜の密度を0.95(g/cm)として、次式を用いて計算した。
気孔率(%)=(1−質量/体積/0.95)×100
(4)多孔膜の突刺強度(g)
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES−G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーで多孔膜を固定した。次に固定された多孔膜の中央部を、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secで、25℃雰囲気下にて突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として突刺強度(g)を得た。
(5)平均孔径(μm)
多孔膜のキャピラリー内部の流体は、流体の平均自由工程がキャピラリーの孔径より大きいときはクヌーセンの流れに、小さい時はポアズイユの流れに従うことが知られている。そこで、微多孔膜の透気度測定における空気の流れがクヌーセンの流れに、また微多孔膜の透水度測定における水の流れがポアズイユの流れに従うと仮定する。
平均孔径d(μm)は、空気の透過速度定数Rgas(m/(m・sec・Pa))、水の透過速度定数Rliq(m/(m・sec・Pa))、空気の分子速度ν(m/sec)、水の粘度η(Pa・sec)、標準圧力Ps(=101325Pa)、気孔率ε(%)、膜厚L(μm)から、次式を用いて求めた。
d=2ν×(Rliq/Rgas)×(16η/3Ps)×10
ここで、Rgasは透気度(sec)から次式を用いて求められる。
gas=0.0001/(透気度×(6.424×10−4)×(0.01276×101325))
また、Rliqは透水度(cm/(cm・sec・Pa))から次式を用いて求められる。
liq=透水度/100
なお、透水度は次のように求められる。直径41mmのステンレス製の透液セルに、あらかじめエタノールに浸しておいた微多孔膜をセットし、該膜のエタノールを水で洗浄した後、約50000Paの差圧で水を透過させ、120sec間経過した際の透水量(cm)より、単位時間・単位圧力・単位面積当たりの透水量を計算し、これを透水度とした。
また、νは気体定数R(=8.314)、絶対温度T(K)、円周率π、空気の平均分子量M(=2.896×10−2kg/mol)から次式を用いて求められる。
ν=((8R×T)/(π×M))1/2
(6)厚み
(6−1)基材及び蓄電デバイス用セパレータ層の厚み(μm)
基材及び蓄電デバイス用セパレータからそれぞれMD10mm×TD10mmのサンプルを切り出し、格子状に9箇所(3点×3点)を選んで、膜厚を微小測厚器(東洋精機製作所(株) タイプKBM)を用いて室温23±2℃で測定した。各々、9箇所の測定値の平均値を、基材及び蓄電デバイス用セパレータの膜厚(μm)とした。
(6−2)ポリマー層の厚み(μm)
ポリマー層の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用い、セパレータの断面観察により測定した。サンプルのセパレータを1.5mm×2.0mm程度に切り取り、ルテニウム染色した。ゼラチンカプセル内に染色サンプルとエタノールを入れ、液体窒素により凍結させた後、ハンマーでサンプルを割断した。サンプルをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、30000倍にて観察し、ポリマー層の厚みを算出した。なお、SEM画像にて基材断面の多孔構造が見えない最表面領域をポリマー層の領域とした。
(6−3)多孔膜及び多孔層の厚み
基材が、多孔膜と多孔層とを含む多層多孔膜である場合、それぞれの膜厚は以下のように測定する。多孔膜及び多層多孔膜からそれぞれMD10mm×TD10mmのサンプルを切り出し、格子状に9箇所(3点×3点)を選んで、膜厚をダイヤルゲージ(尾崎製作所製PEACOCK No.25(登録商標))を用いて測定し、9箇所の測定値の平均値を多孔膜及び多層多孔膜の膜厚(μm)とした。また、このように測定された多層多孔膜の膜厚と多孔膜の膜厚との差を多孔層の層厚(μm)とした。
(7)基材及びセパレータの透気度
JIS P−8117準拠のガーレー式透気度計(東洋精機製G−B2(商標)、内筒質量:567g)を用い、645mmの面積(直径28.6mmの円)の基材及びセパレータについて、空気100ccが通過する時間(秒)を測定し、これを基材及びセパレータの透気度(秒/100cc)とした。
(8)熱可塑性ポリマーの開口率
走査型電子顕微鏡S−4800(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用い、倍率1万倍でセパレータ上のポリマー層の表面を写真撮影し、その写真(デジタル画像)に単色化処理を施した。次に、単色化処理を施されたデジタル画像の各画素の明度を集計して、明度ヒストグラムを作成した。ここで、頻度が最も高い明度(最頻明度)を抽出し、最頻明度の半値を、デジタル画像を二値化するための閾値に設定した。そして、設定された閾値を用いて、単色化処理を施されたデジタル画像に二値化処理を施した。続いて、二値化処理を施されたデジタル画像において、黒色で塗りつぶされた画素の占める面積から、黒色で塗りつぶされた面積を算出した。その後(黒色で塗りつぶされた面積)/(デジタル画像全体の面積)により、開口率を算出した。そして、開口率の3視野分の平均をとり、最終的な開口率を算出した。ここで、写真(デジタル画像)のデータ処理(単色化処理、明度ヒストグラム生成、二値化処理、開口率算出)は、画像処理ソフトウェア「A像くん」(登録商標;旭化成エンジニアリング株式会社製)を用いて自動的に行った。セパレータを電解液に浸漬した後の粒状の熱可塑性ポリマーの開口率は、セパレータを非水電解質に浸漬した後に、上記写真撮影を行って求める。非水電解質としては、炭酸エチレン/炭酸ジエチル=50/50(重量比)の混合溶媒を用い、非水電解液にセパレータを24時間浸漬し、105℃で5時間減圧乾燥して、非水電解液に浸漬した後のセパレータを得た。
(9)熱可塑性ポリマーのガラス転移温度
熱可塑性ポリマーの塗工液(不揮発分=38〜42%、pH=9.0)を、アルミ皿に適量とり、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後の乾燥皮膜約17mgを測定用アルミ容器に詰め、DSC測定装置(島津製作所社製、DSC6220)にて窒素雰囲気下におけるDSC曲線及びDDSC曲線を得た。なお測定条件は下記の通りとした。
(1段目昇温プログラム)
70℃スタート、毎分15℃の割合で昇温。110℃に到達後5分間維持。
(2段目降温プログラム)
110℃から毎分40℃の割合で降温。−50℃に到達後5分間維持。
(3段目昇温プログラム)
−50℃から毎分15℃の割合で130℃まで昇温。この3段目の昇温時にDSC及びDDSCのデータを取得。
そして、ベースライン(得られたDSC曲線におけるベースラインを高温側に延長した直線)と、変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)における接線との交点をガラス転移温度(Tg)とした。
(10)熱可塑性ポリマーのゲル分率(トルエン不溶分)
テフロン(登録商標)板上に、熱可塑性ポリマーの塗工液(不揮発分=38〜42%、pH=9.0の)をスポイトで滴下し(直径5mm以下)、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後、乾燥皮膜を約0.5g精秤(a)し、それを50mLポリエチレン容器に取り、そこに30mLのトルエンを注ぎ入れ3時間室温で振とうした。その後、内容物を325メッシュでろ過し、メッシュ上に残ったトルエン不溶分をメッシュごと、130℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させた。なお、ここで使用する325メッシュはあらかじめその乾燥重量を量っておいた。
その後、トルエンを揮発させた後、トルエン不溶分の乾燥体と325メッシュの重量から、あらかじめ量っておいた325メッシュ重量を差し引くことでトルエン不溶分の乾燥重量(b)を得た。ゲル分率(トルエン不溶分)は、以下の計算式で算出した。
熱可塑性ポリマーのゲル分率(トルエン不溶分)(%)=(b)/(a)×100
(11)熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度(倍)
熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマーを分散させた溶液を130℃のオーブン中に1時間静置した後、乾燥させた熱可塑性ポリマーを0.5gになるように切り取り、エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒10gと一緒に50mLのバイアル瓶に入れ、3時間浸透させた後、サンプルを取り出し、上記混合溶媒にて洗浄し、重量(Wa)を測定した。その後、150℃のオーブン中に1時間静置したあと重量(Wb)を測定し、以下の式より熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度を測定した。
なお、上記混合溶媒には電解質が含まれていないが、電解質の有無に係わらず、熱可塑性ポリマーの膨潤度に差がないことを確認した。
熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度(倍)=(Wa−Wb)/(Wb)
(12)粒状熱可塑性ポリマーの面積割合
蓄電デバイス用セパレータの最表面に存在する熱可塑性ポリマーに対する粒状熱可塑性ポリマーの面積割合(S)は、以下の式より算出した。
S(%)=(粒状熱可塑性ポリマーの面積)/(セパレータの最表面に存在する熱可塑性ポリマーの全面積)×100
ただし、粒状熱可塑性ポリマーの面積は、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて測定した。蓄電デバイス用セパレータをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、30000倍にて観察することにより測定した。
(13)熱可塑性ポリマーの平均粒径
熱可塑性ポリマーの平均粒径は、粒子径測定装置(日機装株式会社製、Microtrac UPA150)を使用し、測定した。測定条件としては、ローディングインデックス=0.15〜0.3、測定時間300秒とし、得られたデータにおいて50%粒子径の数値を粒子径として記載した。
(14)ポリマー層の目付(ポリマー層の基材に対する担持量)
10cm×10cm角の試料を基材(ポリオレフィン微多孔膜、又は、ポリオレフィン微多孔膜+無機フィラー多孔層)から切り取り、(株)島津製作所製の電子天秤AEL−200を用いて重量を測定した。得られた重量を100倍することで1m当りの基材の目付け(g/m)を算出した。次に、10cm×10cm角の試料をセパレータ(ポリマー層+基材)から切り取り、(株)島津製作所製の電子天秤AEL−200を用いて重量を測定した。得られた重量を100倍することで1m当りのセパレータの目付け(g/m)を算出した。1m当りのセパレータの目付け(g/m)から1m当りの基材の目付け(g/m)を減算することにより、1m当りのポリマー層の目付け(g/m)(ポリマー層の基材に対する担持量)を算出した。
(15)加熱剥離強度(セパレータと電極との接着性)
被着体として正極集電体(冨士加工紙(株)製アルミニウム箔、厚さ:20μm)を30mm×150mmに切り取る。一方、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを2:3の比率(体積比)にて混合した電解液(富山薬品工業製)に、セパレータ(サイズ:幅20mm、長さ100mm)を浸漬して十分に濡らした後に引き上げる。次いで、上記集電体に十分に濡らしたセパレータをそのポリマー層側から重ね合わせた後、それらを2枚のテフロン(登録商標)シート(ニチアス(株)製ナフロンPTFEシート TOMBO−No.9000(製品名))で挟む。それらに対して80℃、10MPaの条件で、2分間プレスを行って得られた積層体を加熱剥離強度試験用(条件1)のサンプルとする。得られた試験用サンプルのセパレータと集電体との間の90°剥離強度を、(株)イマダ製のフォースゲージZP5N及びMX2−500N(製品名)を用いて、引張速度50mm/分で測定する。
加熱剥離強度の評価基準
◎:剥離強度が、8mN/mm以上
○:剥離強度が、6mN/mm以上8mN/mm未満
△:剥離強度が、4mN/mm以上6mN/mm未満
×:剥離強度が、4mN/mm未満
(16)常温剥離強度(ハンドリング性)
基材を幅2cm×長さ15cmに2枚切りとり、熱可塑性ポリマーの塗工面が向い合せになるようにして、25℃、5MPaにて3分間プレスして得られた積層体をハンドリング性の試験用のサンプルとする。得られた試験用サンプルの基材間の90°剥離強度を、(株)イマダ製のフォースゲージZP5N及びMX2−500N(製品名)を用いて、引張速度50mm/分で測定する。
ハンドリング性(常温剥離強度)の評価基準
○:常温剥離強度が、20mN/mm以下
△:常温剥離強度が、20mN/mm超40mN/mm以下
×:常温剥離強度が、40mN/mm超
(17)ポリオレフィン微多孔膜自体のレート特性
a.正極の作製
正極活物質としてニッケル、マンガン、コバルト複合酸化物(NMC)(Ni:Mn:Co=1:1:1(元素比)、密度4.70g/cm)を90.4質量%、導電助材としてグラファイト粉末(KS6)(密度2.26g/cm、数平均粒子径6.5μm)を1.6質量%とアセチレンブラック粉末(AB)(密度1.95g/cm、数平均粒子径48nm)を3.8質量%、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(密度1.75g/cm)を4.2質量%の比率で混合し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターを用いて塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機を用いて圧縮成形した。このときの正極活物質塗布量が109g/mであった。
b.負極の作製
負極活物質としてグラファイト粉末A(密度2.23g/cm、数平均粒子径12.7μm)を87.6質量%とグラファイト粉末B(密度2.27g/cm、数平均粒子径6.5μm)を9.7質量%、バインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%(固形分換算)(固形分濃度1.83質量%水溶液)とジエンゴム系ラテックス1.7質量%(固形分換算)(固形分濃度40質量%水溶液)を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このときの負極活物質塗布量が5.2g/mであった。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/Lとなるように溶解させて調製した。
d.電池組立
ポリオレフィン微多孔膜を24mmφ、正極及び負極を16mmφの円形に切り出し、正極と負極の活物質面が対向するように、負極、ポリオレフィン微多孔膜、正極の順に重ね、蓋付きステンレス金属製容器に収容した。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と接していた。この容器内に前記非水電解液を0.4ml注入して密閉した。
e.レート特性の評価
d.で組み立てた簡易電池を、25℃において、電流値3mA(約0.5C)で電池電圧4.2Vまで充電し、さらに4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法で、合計約6時間、電池作成後の最初の充電を行い、その後電流値3mAで電池電圧3.0Vまで放電した。
次に、25℃において、電流値6mA(約1.0C)で電池電圧4.2Vまで充電し、さらに4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法で、合計約3時間充電を行い、その後電流値6mAで電池電圧3.0Vまで放電して、その時の放電容量を1C放電容量(mAh)とした。
次に、25℃において、電流値6mA(約1.0C)で電池電圧4.2Vまで充電し、さらに4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法で、合計約3時間充電を行い、その後電流値12mA(約2.0C)で電池電圧3.0Vまで放電して、その時の放電容量を2C放電容量(mAh)とした。
1C放電容量に対する2C放電容量の割合を算出し、この値をレート特性とした。
レート特性(%)=(2C放電容量/1C放電容量)×100
レート特性(%)の評価基準
◎:レート特性が、90%超
○:レート特性が、85%超90%以下
△:レート特性が、80%超85%以下
×:レート特性が、80%以下
(18)サイクル特性
a.正極の作製
正極活物質としてニッケル、マンガン、コバルト複合酸化物(NMC)(Ni:Mn:Co=1:1:1(元素比)、密度4.70g/cm)を90.4質量%、導電助材としてグラファイト粉末(KS6)(密度2.26g/cm、数平均粒子径6.5μm)を1.6質量%とアセチレンブラック粉末(AB)(密度1.95g/cm、数平均粒子径48nm)を3.8質量%、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(密度1.75g/cm)を4.2質量%の比率で混合し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターを用いて塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機を用いて圧縮成形した。このときの正極活物質塗布量が109g/mであった。
b.負極の作製
負極活物質としてグラファイト粉末A(密度2.23g/cm、数平均粒子径12.7μm)を87.6質量%とグラファイト粉末B(密度2.27g/cm、数平均粒子径6.5μm)を9.7質量%、バインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%(固形分換算)(固形分濃度1.83質量%水溶液)とジエンゴム系ラテックス1.7質量%(固形分換算)(固形分濃度40質量%水溶液)を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このときの負極活物質塗布量が5.2g/mであった。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/Lとなるように溶解させて調製した。
d.電池組立
セパレータを24mmφ、正極及び負極を16mmφの円形に切り出し、正極と負極の活物質面が対向するように、負極、セパレータ、正極の順に重ね、蓋付きステンレス金属製容器に収容した。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と接していた。この容器内に前記非水電解液を0.4ml注入して密閉した。
e.サイクル特性の評価
セパレータとして各実施例及び比較例で得たセパレータを使用して上記a〜dのように組み立てた簡易電池を用いて、サイクル特性の評価を行った。
上記の電池を、1/3Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後、4.2Vの定電圧充電を8時間行い、その後1/3Cの電流で3.0Vの終止電圧まで放電を行った。次に、1Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後、4.2Vの定電圧充電を3時間行い、更に1Cの電流で3.0Vの終止電圧まで放電を行った。最後に1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電をした後、4.2Vの定電圧充電を3時間行い、前処理とした。なお、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表す。
上記前処理を行った電池を、温度25℃の条件下で、放電電流1Aで放電終止電圧3Vまで放電を行った後、充電電流1Aで充電終止電圧4.2Vまで充電を行った。これを1サイクルとして充放電を繰り返した。そして、初期容量(第1回目のサイクルにおける容量)に対する200サイクル後の容量保持率を用いて、以下の基準でサイクル特性を評価した。
サイクル特性(%)の評価基準
◎:レート特性が、90%超
○:レート特性が、85%超90%以下
△:レート特性が、80%超85%以下
×:レート特性が、80%以下
[基材の製造]
(基材B1−1の製造)
Mvが70万であり、ホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、
Mvが30万であり、ホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、
Mvが40万であるホモポリマーのポリプロピレンと、
Mvが15万であるホモポリマーのポリプロピレンとの混合物(質量比=4:3)10質量部とを、
タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。
得られたポリオレフィン混合物99質量部に酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。
得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。
また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
押し出される全混合物中に占める流動パラフィンの割合が65質量部となるように、すなわち、ポリマー濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
次いで、それらを二軸押出機内で230℃に加熱しながら溶融混練し、得られた溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度80℃に制御された冷却ロール上に押し出し、その押出物を冷却ロールに接触させ成形(cast)して冷却固化することにより、シート状成形物を得た。
このシートを同時二軸延伸機にて、倍率7×6.4倍、温度112℃下という条件下で延伸した後、塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去後乾燥し、テンター延伸機にて、温度130℃で横方向に2倍延伸した。
その後、この延伸シートを幅方向に約10%緩和して熱処理を行い、ポリオレフィン樹脂多孔膜である基材B1−1を得た。
得られた基材B1−1について、上記方法により各種物性を測定した。得られた結果を表1に示す。
(基材B2−1の製造)
上記方法で基材B1−1を製造した。次に、水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.0μm)96.0質量部、アクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)4.0質量部、及びポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)1.0質量部を100質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製した。続いて、その塗布液を、ポリオレフィン樹脂多孔膜(基材B1−1)の表面にマイクログラビアコーターを用いて塗布した。その後、60℃にて乾燥して水を除去した。このようにして、ポリオレフィン樹脂多孔膜(基材B1−1)上に水酸化酸化アルミニウム(無機フィラーの多孔層)を厚さ2μmで形成した、基材B2−1を得た。
得られた基材B2−1について、上記方法により各種物性を測定した。得られた結果を表1に示す。
[セパレータの製造]
水分散体(表中「原料ポリマー」と表記。以下同様。)A1の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、イオン交換水70.4質量部と、「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液、表中「KH1025」と表記。以下同様。)0.5質量部と、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液、表中「SR1025」と表記。以下同様。)0.5質量部と、を投入し、反応容器内部温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)(表中「APS(aq)」と表記。以下同様。)を7.5質量部添加した。
過硫酸アンモニウム水溶液を添加した5分後に、メタクリル酸メチル(表中「MMA」と表記。以下同様。)71.5質量部、アクリル酸n−ブチル(表中「BA」と表記。以下同様。)18.9質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(表中「EHA」と表記。以下同様。)2質量部、メタクリル酸(表中「MAA」と表記。以下同様。)0.1質量部、アクリル酸(表中「AA」と表記。以下同様。)0.1質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(表中「HEMA」と表記。以下同様。)2質量部、アクリルアミド(表中「AM」と表記。以下同様。)5質量部、メタクリル酸グリシジル(表中「GMA」と表記。以下同様。)2.8質量部、「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)3質量部、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液)3質量部、p−スチレンスルホン酸ナトリウム(表中「NaSS」と表記。以下同様。)0.05質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、表中「A−TMPT」と表記。以下同様。)0.7質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3質量部、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)7.5質量部、及びイオン交換水52質量部の混合物を、ホモミキサーにより5分間混合させて、乳化液を作製した。得られた乳化液を、滴下槽から反応容器に150分かけて滴下した。
乳化液の滴下終了後、反応容器内部温度を80℃に保ったまま90分間維持し、その後室温まで冷却した。得られたエマルジョンを、水酸化アンモニウム水溶液(25%水溶液)でpH=9.0に調整し、濃度40%のアクリル系コポリマーラテックスを得た(原料ポリマーA1)。得られた原料ポリマー(水分散体)A1について、上記方法により評価した。得られた結果を表2に示す。
水分散体A2〜A3の合成
モノマー及びその他の使用原料の組成を、表2に記載のとおりに変更する以外は、原料ポリマー(水分散体)A1と同様にして、アクリル系コポリマーラテックスを得た(原料ポリマーA2〜A3)。得られた原料ポリマー(水分散体)A2〜A3について、上記方法により評価した。得られた結果を表2に示す。
製造例A1−1
上記製造例A1で得た水分散体A1の一部をとり、これをシードポリマーとする多段重合を行うことにより、水分散体A1−1を合成した。
撹拌機、還流冷却器、滴下槽、及び温度計を取り付けた反応容器に、上記水分散体A1を固形分換算で20質量部、アクアロンKH1025(登録商標)0.5質量部、及びアデカリアソープSR1025(登録商標)0.5質量部を投入し、反応容器内部温度を80℃に昇温した。その後、80℃の容器内部温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)を7.5質量部添加した。以上が初期仕込みである。
一方、メタクリル酸メチル38.5質量部、アクリル酸n−ブチル19.6質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル31.9質量部、メタクリル酸0.1質量部、アクリル酸0.1質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2質量部、アクリルアミド5質量部、メタクリル酸グリシジル1質量部、アクアロンKH1025(登録商標、25%水溶液)3質量部、アデカリアソープSR1025(登録商標、25%水溶液)3質量部、p−スチレンスルホン酸ナトリウム0.05質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.4質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3質量部、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)7.5質量部、及びイオン交換水52質量部の混合物を、ホモミキサーにより5分間混合させて、乳化液を作製した。
得られた乳化液を滴下槽から上記反応容器に滴下した。滴下は反応容器に過硫酸アンモニウム水溶液を添加した5分後に開始し、150分かけて乳化液の全量を滴下した。乳化液の滴下中は、容器内部温度を80℃に維持した。
乳化液の滴下終了後、反応容器内部温度を80℃に保ったまま90分間維持し、その後室温まで冷却し、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを、水酸化アンモニウム水溶液(25%水溶液)を用いてpH=9.0に調整し、濃度40質量%のアクリル系コポリマーラテックスを得た(原料ポリマーA1−1)。得られた原料ポリマー(水分散体)A1−1について、上記方法により評価した。得られた結果を表3に示す。
製造例A1−2〜A3−2
シードポリマー、モノマー及びその他使用原料の組成を、それぞれ、表3に記載のとおりに変更する以外は、原料ポリマー(水分散体)A1−1と同様にして、多段重合によって各コポリマーラテックスを得た。得られた原料ポリマー(水分散体)について、それぞれ、上記方法により評価した。得られた結果を表3に示す。
製造例C1−1〜C3−2のシェル部分
また、シェル側のみの水分散体の物性を確認するために、シェル部分のみの組成を用いて水分散体C1−1を合成した。
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、イオン交換水70.4質量部と、「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液、表中「KH1025」と表記。以下同様。)0.5質量部と、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液、表中「SR1025」と表記。以下同様。)0.5質量部と、を投入し、反応容器内部温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)(表中「APS(aq)」と表記。以下同様。)を7.5質量部添加した。
過硫酸アンモニウム水溶液を添加した5分後に、メタクリル酸メチル(表中「MMA」と表記。以下同様。)38.5質量部、アクリル酸n−ブチル(表中「BA」と表記。以下同様。)19.6質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(表中「EHA」と表記。以下同様。)31.9質量部、メタクリル酸(表中「MAA」と表記。以下同様。)0.1質量部、アクリル酸(表中「AA」と表記。以下同様。)0.1質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(表中「HEMA」と表記。以下同様。)2質量部、アクリルアミド(表中「AM」と表記。以下同様。)5質量部、メタクリル酸グリシジル(表中「GMA」と表記。以下同様。)1質量部、「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)3質量部、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液)3質量部、p−スチレンスルホン酸ナトリウム(表中「NaSS」と表記。以下同様。)0.05質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、表中「A−TMPT」と表記。以下同様。)0.4質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3質量部、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)7.5質量部、及びイオン交換水52質量部の混合物を、ホモミキサーにより5分間混合させて、乳化液を作製した。得られた乳化液を、滴下槽から反応容器に150分かけて滴下した。
乳化液の滴下終了後、反応容器内部温度を80℃に保ったまま90分間維持し、その後室温まで冷却した。得られたエマルジョンを、水酸化アンモニウム水溶液(25%水溶液)でpH=9.0に調整し、濃度40%のアクリル系コポリマーラテックスを得た(原料ポリマーC1−1)。得られた原料ポリマー(水分散体)C1−1について、上記方法により評価した。得られた結果を表4に示す。
水分散体C1−2〜C3−2の合成
モノマー及びその他の使用原料の組成を、表4に記載のとおりに変更する以外は、原料ポリマー(水分散体)C1−1と同様にして、アクリル系コポリマーラテックスを得た(原料ポリマーC1−2〜C3−2)。得られた原料ポリマー(水分散体)C1−2〜C3−2について、上記方法により評価した。得られた結果を表4に示す。
上記表2〜4における原材料名の略称は、それぞれ、以下の意味である。
<乳化剤>
KH1025:アクアロンKH1025、第一工業製薬株式会社製、25%水溶液
SR1025:アデカリアソープSR1025、株式会社ADEKA製、25%水溶液
NaSS:p−スチレンスルホン酸ナトリウム
<開始剤>
APS:過硫酸アンモニウム(2%水溶液)
<単量体>
(酸モノマー)
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
((メタ)アクリル酸エステル)
MMA:メタクリル酸メチル
BA:アクリル酸n−ブチル
BMA:メタクリル酸n−ブチル
EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
(その他の官能基含有モノマー)
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
AM:アクリルアミド
(架橋性単量体)
GMA:メタクリル酸グリシジル
A−TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート
AcSi:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
[実施例1]
固形分で100質量部の水分散体A1−1を水に均一に分散させて、熱可塑性ポリマーを含む塗布液(固形分15質量%)を調製した。次いで、基材B1−1の片面にグラビアコーターを用いて、ポリマー層が全面を覆うように塗布液を塗布した。その後、60℃にて塗布後の塗布液を乾燥して水を除去した。さらに、基材B1−1のもう片面にも同様に塗布液を塗布し、再度上記と同様にして乾燥させた。こうして、基材B1−1の両面にポリマー層を形成したセパレータを得た。得られたセパレータについて、上記方法により、各種特性を評価した。得られた結果を表5に示す。
[実施例2]
水分散体をA1−2とした以外は、実施例1の場合と同様の方法でセパレータを作製した。得られたセパレータについて、上記方法により、各種特性を評価した。得られた結果を表5に示す。
[実施例3]
水分散体をA1−4とした以外は、実施例1の場合と同様の方法でセパレータを作製した。得られたセパレータについて、上記方法により、各種特性を評価した。得られた結果を表5に示す。
[実施例4]
水分散体をA1−5とした以外は、実施例1の場合と同様の方法でセパレータを作製した。得られたセパレータについて、上記方法により、各種特性を評価した。得られた結果を表5に示す。
[実施例5]
水分散体をA1−7とした以外は、実施例1の場合と同様の方法でセパレータを作製した。得られたセパレータについて、上記方法により、各種特性を評価した。得られた結果を表5に示す。
[実施例6(参考例である)
水分散体をA2−3とした以外は、実施例1の場合と同様の方法でセパレータを作製した。得られたセパレータについて、上記方法により、各種特性を評価した。得られた結果を表5に示す。
[実施例7(参考例である)
水分散体をA3とA3−2の混合物とした以外は、実施例1の場合と同様の方法でセパレータを作製した。得られたセパレータについて、上記方法により、各種特性を評価した。得られた結果を表5に示す。
[実施例8(参考例である)
基材をB2−1とした以外は、実施例7の場合と同様の方法でセパレータを作製した。得られたセパレータについて、上記方法により、各種特性を評価した。得られた結果を表5に示す。
[比較例1]
水分散体をA1−3とした以外は、実施例1の場合と同様の方法でセパレータを作製した。得られたセパレータについて、上記方法により、各種特性を評価した。得られた結果を表5に示す。
[比較例2]
製造方法において、塗布液中の固形分を8%とした以外は、比較例1の場合と同様の方法でセパレータを作製した。得られたセパレータについて、上記方法により、各種特性を評価した。得られた結果を表5に示す。
[比較例3]
水分散体をA1−6とした以外は、実施例1の場合と同様の方法でセパレータを作製した。得られたセパレータについて、上記方法により、各種特性を評価した。得られた結果を表5に示す。
[比較例4]
水分散体をA2−4とした以外は、実施例1の場合と同様の方法でセパレータを作製した。得られたセパレータについて、上記方法により、各種特性を評価した。得られた結果を表5に示す。
[比較例5]
水分散体をA2−5とした以外は、実施例1の場合と同様の方法でセパレータを作製した。得られたセパレータについて、上記方法により、各種特性を評価した。得られた結果を表5に示す。
実施例1〜8では、開口率が1〜20%であり、セパレータと電極との接着性及びサイクル特性が△以上の評価である。一方、比較例1〜5では、開口率が20%より大きいか、又は、1%より小さく、セパレータと電極との接触性及びサイクル特性の少なくとも一方が×の評価である。したがって、実施例1〜8は、比較例1〜5と比較してセパレータと電極との接触性及びサイクル特性の両方が良好であることが分かる。

Claims (3)

  1. 少なくとも多孔膜を含む基材と、前記基材の少なくとも一つの面の少なくとも一部の領域に形成された熱可塑性ポリマー層と、を備える蓄電デバイス用セパレータであって、
    該熱可塑性ポリマー層に含まれる熱可塑性ポリマーが、コアシェル構造を備える粒子であってコアのガラス転移温度が20℃以上であり、かつシェルのガラス転移温度が20℃未満である粒子であり、
    該セパレータを炭酸エチレン/炭酸ジエチル=50/50(重量比)の混合溶媒に浸漬した後の、該熱可塑性ポリマー層表面の単位面積当たりの投影面における開口率が1%〜20%であり、かつ
    該開口率は、該セパレータを該混合溶媒に24時間浸漬し、105℃で5時間減圧乾燥し、電子顕微鏡又は原子間力顕微鏡で該熱可塑性ポリマー層表面の観察画像を得て、該観察画像を単色化し、次に、単色化画像の各画素の明度を集計して、明度ヒストグラムを作成し、該明度ヒストグラムから最頻明度を抽出し、該最頻明度の半値を閾値として設定し、該閾値を用いて該単色化画像に二値化処理を施し、該単色化画像において閾値以下の明度の画素を単色で塗りつぶし、単色で塗りつぶされた画素から、単色で塗りつぶされた面積を算出し、該単色で塗りつぶされた面積を該単色化画像の全体の面積で除することにより百分率として算出される、蓄電デバイス用セパレータ。
  2. 前記熱可塑性ポリマーのエチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に対する膨潤度において、前記コアシェル構造を備える粒子のシェル側の膨潤度が、コア側の膨潤度と同等であるか、又はコア側の膨潤度より大きい、請求項1に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  3. 前記熱可塑性ポリマーのエチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に対する膨潤度が、5倍以下である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
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