JP5652572B2 - 二次電池用多孔膜及びその製造方法、二次電池用電極、二次電池用セパレーター並びに二次電池 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は以下の通りである。
前記非導電性粒子が、コアシェル構造を有する重合体の粒子であり、
前記非導電性粒子のコア部が、30℃〜90℃にガラス転移点を有し、
前記非導電性粒子のシェル部が、前記コア部よりも10℃以上高いガラス転移点を有し、
前記シェル部の厚さが、前記非導電性粒子の個数平均粒子径の0.01%〜3.0%であり、
前記非導電性粒子の個数平均粒子径(A)と、前記多孔膜用バインダーの個数平均粒子径(B)が、(A)>(B)である、二次電池用多孔膜。
〔2〕 前記非導電性粒子のシェル部及び前記多孔膜用バインダーが、(メタ)アクリレート単位を50重量%以上含む、〔1〕に記載の二次電池用多孔膜。
〔3〕 前記非導電性粒子の個数平均粒径が100nm〜1500nmである、〔1〕又は〔2〕に記載の二次電池用多孔膜。
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の二次電池用多孔膜の製造方法であって、
前記非導電性粒子、前記多孔膜用バインダー及び媒体を混合して多孔膜用スラリーを得、
前記多孔膜用スラリーを基材上に塗布してスラリー層を得、
前記スラリー層を乾燥することを含む、製造方法。
〔5〕 前記媒体が水系媒体であり、
前記多孔膜用スラリーが水性分散体である、〔4〕に記載の製造方法。
〔6〕 集電体、
電極活物質及び電極合剤層用結着剤を含み、前記集電体上に付着する電極合剤層、並びに
前記電極合剤層上に形成された〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の多孔膜を備える、二次電池用電極。
〔7〕 有機セパレーター、及び
前記有機セパレーター上に形成された〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の多孔膜を備える、二次電池用セパレーター。
〔8〕 正極、負極、セパレーター及び電解液を含む二次電池であって、
前記正極、前記負極及び前記セパレーターの少なくともいずれかが、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の多孔膜を備える、二次電池。
以下の説明において、(メタ)アクリル酸には、アクリル酸及びメタクリル酸の両者が含まれる。
また、(メタ)アクリレートには、アクリレート及びメタクリレートの両者が含まれる。
また、(メタ)アクリロニトリルには、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルの両者が含まれる。
さらに、ある物質が水溶性であるとは、25℃において、その物質0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が0.5重量%未満であることをいう。一方、ある物質が非水溶性であるとは、25℃において、その物質0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が90重量%以上であることをいう。
本発明の二次電池用多孔膜(以下、適宜「多孔膜」ということがある。)は、非導電性粒子及び多孔膜用バインダーを含む。また、非導電性粒子は、コアシェル構造を有する重合体の粒子である。ここで、コアシェル構造とは、粒子の内部にあるコア部と、このコア部を被覆するシェル部とを備える粒子の構造のことをいう。本発明に係る非導電性粒子において、コア部は所定の温度範囲にガラス転移点を有し、且つ、シェル部はコア部よりも所定温度以上に高いガラス転移点を有する。また、シェル部の厚さが、非導電性粒子の個数平均粒子径に対して所定の範囲にある。さらに、非導電性粒子の個数平均粒子径(A)と、前記多孔膜用バインダーの個数平均粒子径(B)が、(A)>(B)を満たす。
このような構成により、本発明の多孔膜は、接着性及び耐ブロッキング性に優れ、粉落ちを生じにくい。本発明の多孔膜がこのように優れた効果を発揮できる理由は定かではないが、本発明者の検討によれば、以下のように推察される。
本発明に係る非導電性粒子において、通常、コア部は相対的に低いガラス転移点を有するので、ヒートプレス時の熱によって融解しうる。しかし、通常、シェル部は相対的に高いガラス転移点を有するので、ヒートプレス時の熱によっても融解しない。そのため、ヒートプレス時には、硬化状態を維持したシェル部の内部で、コア部が融解する。ここで、ヒートプレス時に加えられる圧力によりシェル部が壊れると、壊れたシェル部の隙間からコア部の重合体の一部が融解状態で出てくる。この出てきた重合体は、別の非導電性粒子並びに有機セパレーター及び電極に密着する。その後、多孔膜を冷ますと前記の重合体は密着した状態を維持したままで硬化する。これにより、非導電性粒子は別の非導電性粒子並びに有機セパレーター及び電極に強固に固着するため、多孔膜の接着性を高めることができる。また、多孔膜用バインダーは一般に結着性を有する。よって、多孔膜用バインダーの結着性によっても、多孔膜の接着性を高めることができる。
ここで、前記のようにヒートプレス時に加えられる圧力によってシェル部が壊れうるようにするために、非導電性粒子のシェル部の厚みは所定の薄い範囲に制御されている。これにより、高い接着性を発現しうるコア部の重合体がシェル部の外に出てこられるようになっている。
他方、シェル部がヒートプレスにより壊れた場合、シェル部が過度に細かく粉砕されると、多孔膜の孔が塞がることが考えられる。そこで、本発明に係る非導電性粒子のシェル部の厚みは、非導電性粒子の隙間が塞がるほど細かくシェル部が粉砕されないように、所定の厚み以上となるように制御されている。そのため、多孔膜の孔が塞がることは無い。また、シェル部が細かく粉砕されるものではないため、ヒートプレスの後でもコア部の一部はシェル部の内部に留まり、非導電性粒子のコアシェル構造は維持される。
多孔膜用バインダーが一般に結着性を有するので、多孔膜における多孔膜用バインダーの含有量が多いと多孔膜の接着性は向上するものの、ブロッキングが生じやすくなる。これに対し、本発明の多孔膜では非導電性粒子のコア部が融解してシェル部内から出てくることにより接着性を向上させることができるので、多孔膜用バインダーの量を減らすことができる。また、非導電性粒子の表面は摩擦の小さい硬化状態であるので、非導電性粒子はブロッキングの原因とはなり難い。特に、非導電性粒子の表面に存在するシェル部はガラス転移点が高いために硬度が高く、摩擦が小さい。そのため、このように摩擦の小さいシェル部を有する非導電性粒子の作用により、多孔膜の表面の摩擦を効果的に低減させることが可能である。したがって、多孔膜を備えた本発明の二次電池用電極(以下、適宜「本発明の電池」ということがある。)又は本発明の二次電池用セパレーター(以下、適宜「本発明のセパレーター」ということがある。)を重ねた場合でも、重ねた本発明の電極又は本発明のセパレーター同士の摩擦力は大きくなり難いので、本発明の多孔膜は、耐ブロッキング性に優れる。
前記のように、シェル部から出てきたコア部及び多孔膜用バインダーの作用により、非導電性粒子同士は強固に結着されている。したがって、非導電性粒子は多孔膜から離脱し難くなっている。このため、本発明の多孔膜は、粉落ちが生じにくくなっている。
非導電性粒子は、重合体の粒子であって、コアシェル構造を有する。すなわち、非導電性粒子は、重合体を含むコア部と、重合体を含むシェル部とを備える。
非導電性粒子のコア部は、通常30℃以上、好ましくは35℃以上、より好ましくは40℃以上に、ガラス転移点を有する。これにより、ヒートプレス時にコア部の重合体の流動性が過度に高くならないようにできるので、多孔膜の空隙率の低下を防止し、二次電池のレート特性を高くすることができる。また、二次電池の使用環境におけるシェル部から出てきたコア部の重合体の融解を防止して耐ブロッキング性を高めることができる。
また、非導電性粒子のコア部は、通常90℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下に、ガラス転移点を有する。これにより、ヒートプレス時にコア部が融解しうるので、破損したシェル部の外部にコア部の重合体が出られるようになる。そのため、多孔膜の接着性及び耐粉落ち性を向上させて、二次電池のサイクル特性を高めることができる。
非導電性粒子のシェル部は、コア部よりも通常10℃以上高く、好ましくは20℃以上高く、より好ましくは30℃以上高いガラス転移点を有する。このように高いガラス転移点を有することにより、シェル部はヒートプレス時においても融解せず、また、通常の二次電池の使用状態においても融解しない。このため、非導電性粒子の表面は摩擦の小さい硬化状態となっているので、ブロッキングを防止することができる。また、シェル部が融解しないことにより非導電性粒子は粒子形状を維持できるので、多孔膜の多孔性及び剛性を維持することができる。また、シェル部のガラス転移点の上限は、通常、コア部のガラス転移点よりも200℃高い温度である。
また、メタクリレートとしては、例えば、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(D2−D1)/2=S
非導電性粒子の個数平均粒子径は、通常100nm以上、好ましくは200nm以上、より好ましくは300nm以上であり、通常1500nm以下、好ましくは1200nm以下、より好ましくは1000nm以下である。非導電性粒子の個数平均粒径をこのような範囲とすることにより、非導電性粒子同士が接触部を有しつつ、イオンの移動が阻害されない程度に、非導電性粒子同士の隙間を形成できる。したがって、多孔膜の強度が向上し、且つ電池の短絡を防止することができる。また、二次電池のサイクル特性を向上させることも可能である。
本発明の多孔膜における非導電性粒子の含有割合は、通常70重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上であり、通常98重量%以下、好ましくは96重量%以下、より好ましくは94重量%以下である。本発明の多孔膜における非導電性粒子の含有割合をこの範囲内とすることにより、非導電性粒子同士が接触部を有しつつ、イオンの移動が阻害されない程度に、非導電性粒子同士の隙間を形成できる。したがって、非導電性粒子の含有割合が前記範囲内であれば、本発明の多孔膜の強度を向上させ、電池の短絡を安定して防止することができる。
コアシェル構造を有する非導電性粒子を得る方法は特に限定されないが、例えば先の段階の重合体を後の段階の重合体が順次に被覆するような連続した多段階シード乳化重合法及び多段階懸濁重合法によって得ることができる。
重合に際しては、常法に従って、乳化剤として、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタンモノラウレート等のノニオン性界面活性剤、又はオクタデシルアミン酢酸塩等のカチオン性界面活性剤を用いることができる。また、重合開始剤として、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過硫酸カリウム、キュメンパーオキサイド等の過酸化物、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等のアゾ化合物を用いることができる。
多孔膜用バインダーは、多孔膜において結着剤として機能しうる成分である。通常、多孔膜用バインダーは多孔膜及び後述する多孔膜用スラリーにおいて粒子形状を有しており、当該粒子が非導電性粒子同士の間並びに非導電性粒子と基材との間に介在して結着作用を発揮しうる。
架橋性基としては、エポキシ基、N−メチロールアミド基、オキセタニル基、及びオキサゾリン基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。中でもエポキシ基及びN−メチロールアミド基が、架橋及び架橋密度の調節が容易な点で、より好ましい。
また、架橋性基を有するモノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
本発明の多孔膜は、上述した成分以外にも、任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、本発明の二次電池における電池反応に過度に好ましくない影響を及ぼさないものであれば、特に制限は無い。また、任意の成分の種類は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
本発明の多孔膜は、例えば、非導電性粒子、多孔膜用バインダー及び媒体を混合して多孔膜用スラリーを得る工程と、多孔膜用スラリーを基材上に塗布してスラリー層を得る工程と、スラリー層を乾燥する工程とを含む製造方法により、製造しうる。以下、この製造方法について説明する。
多孔膜用スラリーが含む媒体の量は、通常、本発明の多孔膜を製造する際に作業性を損なわない範囲の粘度を多孔膜用スラリーが有する範囲で任意に設定しうる。具体的には、多孔膜用スラリーの固形分濃度が、通常5重量%〜30重量%となるように媒体の量を設定してもよい。
さらに、多孔膜用スラリーは、例えば、電解液分散抑制剤を含んでいてもよい。
本発明の多孔膜は非導電性粒子の間に空隙を有することにより適度な多孔性を有し、電解液を吸液しうる。このように、本発明の多孔膜中には電解液が浸透できるので、本発明の多孔膜を本発明の電極又は本発明のセパレーターに設けても電池反応を阻害することはなく、レート特性の高い二次電池を実現できる。
本発明の電極(二次電池用電極)は、集電体、集電体上に付着した電極合剤層、及び、電極合剤層上に形成された本発明の多孔膜を備える。また、電極合剤層は、電極活物質及び電極合剤層用結着剤を含む。電極合剤層の表面に本発明の多孔膜を設けても、本発明の多孔膜には電解液が浸透できるので、レート特性に対して悪影響を及ぼすことは無い。また、本発明の多孔膜は適度な強度を有するため、電極合剤層の表面に設けられると保護膜として機能し、二次電池の製造過程における電極活物質の脱落防止および電池作動時の短絡防止ができる。さらに、本発明の多孔膜を備えているので、本発明の電極はブロッキングを生じにくくなっている。
集電体は、電気導電性を有し且つ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限されない。中でも、耐熱性を有するとの観点から、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などの金属材料が好ましい。その中でも、非水電解質二次電池の正極用としてはアルミニウムが特に好ましく、負極用としては銅が特に好ましい。
集電体は、電極合剤層との接着強度を高めるため、予め粗面化処理して使用するのが好ましい。粗面化方法としては、例えば、機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。機械的研磨法においては、例えば、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシ等が使用される。
また、電極合剤層との接着強度や導電性を高めるために、集電体表面に中間層を形成してもよい。
(電極活物質)
電極合剤層は、電極活物質を含む。以下の説明においては、電極活物質の中でも特に正極用の電極活物質のことを「正極活物質」、負極用の電極活物質のことを「負極活物質」と呼ぶことがある。通常、本発明の電極はリチウム二次電池において使用されるため、特にリチウム二次電池用の電極活物質について説明する。
また、例えば、鉄系酸化物を炭素源物質の存在下において還元焼成することで、炭素材料で覆われた複合材料を作製し、この複合材料を正極活物質として用いてもよい。鉄系酸化物は電気伝導性に乏しい傾向があるが、前記のような複合材料にすることにより、高性能な正極活物質として使用できる。
さらに、前記の化合物を部分的に元素置換したものを正極活物質として用いてもよい。
これらの正極活物質は、1種類だけを用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、前述の無機化合物と有機化合物との混合物を正極活物質として用いてもよい。
電極合剤層は、電極合剤層用結着剤を含む。電極合剤層用結着剤を含むことにより、電極合剤層の接着性が向上し、本発明の電極の撒回時等の工程上においてかかる機械的な力に対する強度が上がる。また、電極合剤層が脱離しにくくなることから、脱離物による短絡等の可能性が低くなる。
(i)ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ブチルアクリレート・スチレン共重合体、ブチルアクリレート・アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート・アクリロニトリル・グリシジルメタクリレート共重合体などの、アクリル酸またはメタクリル酸誘導体の単独重合体またはそれと共重合可能な単量体との共重合体である、アクリル系軟質重合体;
(ii)ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴム、イソブチレン・スチレン共重合体などのイソブチレン系軟質重合体;
(iii)ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などジエン系軟質重合体;
(iv)ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサンなどのケイ素含有軟質重合体;
(v)液状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、エチレン・プロピレン・スチレン共重合体などのオレフィン系軟質重合体;
(vi)ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、酢酸ビニル・スチレン共重合体などビニル系軟質重合体;
(vii)ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴムなどのエポキシ系軟質重合体;
(viii)フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴムなどのフッ素含有軟質重合体;
(ix)天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのその他の軟質重合体;などが挙げられる。これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性により官能基を導入したものであってもよい。
電極合剤層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、電極活物質及び電極合剤層用結着剤以外にも、任意の成分が含まれていてもよい。その例を挙げると、導電性付与材(導電材ともいう)、補強材などが挙げられる。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
導電性付与材及び補強剤の使用量は、電極活物質100重量部に対して、それぞれ、通常0重量部以上、好ましくは1重量部以上であり、通常20重量部以下、好ましくは10重量部以下である。
通常、電極合剤層は、電極活物質、電極合剤層用結着剤及び溶媒、並びに必要に応じて任意の成分を含むスラリー(以下、適宜「合剤スラリー」ということがある。)を集電体に付着させて製造する。
電極合剤層は、例えば、集電体の少なくとも片面、好ましくは両面に電極合剤層を層状に接着させることにより製造してもよい。具体例を挙げると、合剤スラリーを集電体に塗布及び乾燥し、次いで、120℃以上で1時間以上加熱処理して電極合剤層を製造してもよい。
また、電極合剤層用結着剤として硬化性の重合体を用いる場合、合剤スラリーを塗布した後の適切な時期に電極合剤層用結着剤を硬化させることが好ましい。
本発明の電極は、電極合剤層上に本発明の多孔膜を備える。これにより、電極合剤層からの電極活物質等の脱離、電極合剤層の剥離、電池の内部短絡等を防止することができる。
1)多孔膜用スラリーを電極合剤層の表面に塗布し、次いで乾燥する方法;
2)多孔膜用スラリーに電極合剤層を浸漬後、これを乾燥する方法;
3)多孔膜用スラリーを、剥離フィルム上に塗布、乾燥して本発明の多孔膜を製造し、得られた本発明の多孔膜を電極合剤層の表面に転写する方法;
などが挙げられる。これらの中でも、前記1)の方法が、本発明の多孔膜の膜厚制御をしやすいことから特に好ましい。
本発明の電極は、本発明の効果を著しく損なわない限り、集電体、電極合剤層及び本発明の多孔膜以外の構成要素を備えていてもよい。例えば、必要に応じて、電極合剤層と本発明の多孔膜との間に他の層を設けてもよい。この場合、本発明の多孔膜は電極合剤層上に間接的に設けられることになる。また、本発明の多孔膜上に、更に別の層を設けてもよい。
本発明のセパレーター(二次電池用セパレーター)は、有機セパレーターと、有機セパレーター上に形成された本発明の多孔膜とを備える。本発明のセパレーターが本発明の多孔膜を備えていても、本発明の多孔膜には電解液が浸透できるので、レート特性等に対して悪影響を及ぼすことは無い。また、本発明の多孔膜を備えているので、本発明のセパレーターはブロッキングを生じにくくなっている。
1)多孔膜用スラリーを有機セパレーターの表面に塗布し、次いで乾燥する方法;
2)多孔膜用スラリーに有機セパレーターを浸漬後、これを乾燥する方法;
3)多孔膜用スラリーを、剥離フィルム上に塗布、乾燥して本発明の多孔膜を製造し、得られた本発明の多孔膜を有機セパレーターの表面に転写する方法;
などが挙げられる。これらの中でも、前記1)の方法が、本発明の多孔膜の膜厚制御をしやすいことから特に好ましい。
本発明の二次電池は、正極、負極、セパレーター及び電解液を備える。また、本発明の二次電池は、正極、負極及びセパレーターの少なくともいずれかが、本発明の多孔膜を備える。すなわち、本発明の二次電池は、下記の要件(A)及び(B)の一方又は両方を満たす。
(A)正極及び負極の少なくとも一方として、本発明の電極を備える。
(B)セパレーターとして、本発明のセパレーターを備える。
また、本発明の多孔膜では高温環境においても孔が塞がり難くなっているので、本発明の二次電池は、レート特性に優れる。
本発明の二次電池は、原則として、正極及び負極の一方又は両方として、本発明の電極を備える。ただし、本発明の二次電池がセパレーターとして本発明のセパレーターを備える場合には、正極及び負極の両方として本発明の電極以外の電極を備えていてもよい。
本発明の二次電池は、原則として、セパレーターとして本発明のセパレーターを備える。ただし、本発明の二次電池が正極及び負極の一方又は両方として本発明の電極を備える場合には、セパレーターとして本発明のセパレーター以外のセパレーターを備えていてもよい。
電解液としては、通常、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。支持電解質としては、例えば、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C4F9SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)NLiなどが挙げられる。中でも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すので、LiPF6、LiClO4、CF3SO3Liが好ましい。また、電解質は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。通常は、解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導度が高くなる傾向があるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
本発明の二次電池の製造方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
まず、正極と負極とをセパレーターを介して重ね合わせる。これにより、正極、セパレーター及び負極をこの順に備える積層体を得る。この積層体は、電極合剤層と有機セパレーターとの間に、本発明の多孔膜を有する。
また、必要に応じて、ヒューズ、PTC素子等の過電流防止素子、リード板、エキスパンドメタルなどを入れ、過充放電の防止、電池内部の圧力上昇の防止をしてもよい。電池の形状は、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、何れであってもよい。
〔個数平均粒子径の算出方法〕
電界放出形走査電子顕微鏡(日立ハイテク社製「Hitachi S−4700」)にて25000倍の倍率で撮影した写真から200個の粒子を任意に選択した。その粒子像の最長辺をLa、最短辺をLbとしたとき、(La+Lb)/2を粒径とし、200個の平均から平均粒径を算出した。
測定試料10mgをアルミパンに計量し、示差熱分析測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「EXSTAR DSC6220」)にて、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲−100℃〜500℃の間で、昇温速度10℃/minで、常温常湿窒素下で、DSC曲線を測定した。この昇温過程で、微分信号(DDSC)が0.05mW/min/mg以上となるDSC曲線の吸熱ピークが出る直前のベースラインと、吸熱ピーク後に最初に現れる変曲点でのDSC曲線の接線との交点を、ガラス転移点(Tg)として求めた。
非導電性粒子のシェル部の厚み(S)は、シェル部の形成前のコア粒子の個数平均粒子径(D1)およびシェル部の形成後の非導電性粒子の個数平均粒子径(D2)を測定し、以下の式より算出した。
(D2−D1)/2=S
多孔膜付セパレーター及び多孔膜付電極を電極打ち抜き機で直径19mmの円形に打ち抜き、打ち抜き刃に対する多孔膜片付着の有無を目視で観察し、下記の基準により判定した。打ち抜き刃への多孔膜片の付着発生が遅いほど、電極合剤層上又は有機セパレーター上に形成した多孔膜層の粉落ち性が優れることを示す。なお、多孔膜片付着の有無は打ち抜き100回毎に行い、最大1000回まで確認した。
(評価基準)
A:1000回打ち抜いても多孔膜片の付着はみられない。
B:501〜999回の打ち抜きで多孔膜片の付着が発生。
C:101〜500回の打ち抜きで多孔膜片の付着が発生。
D:100回以下の打ち抜きで多孔膜片の付着が発生。
多孔膜付電極又は多孔膜付セパレーターを幅5cm×長さ5cmに切り出し試験片とする。これを2枚積層させ、60℃、1時間、1MPaの条件でプレスした後の多孔膜付電極又は多孔膜付セパレーターの接着状態(ブロッキング状態)を目視で確認した。
なお、多孔膜付電極のブロッキング試験は、多孔膜付電極の多孔膜同士が接するように積層させる。
(評価基準)
A:まったく接着していない。
B:僅かに接着しているが、手で触れるだけで剥がれ落ちる。
C:僅かに接着しているが、容易に剥がし取れる。
D:接着している。
多孔膜付セパレーターを幅5cm×長さ5cm、正極および負極をそれぞれ幅3cm×長さ3cmに切り出し試験片とする。上記正極の正極合剤層側の面上に、多孔膜付セパレーターを配置した。さらに、セパレーター上に負極を、負極合剤層側の面がセパレーターに対向するように配置した。この積層体に、卓上型テストプレスで、温度90℃、時間10秒、圧力1MPaの条件でヒートプレスを施した。この積層体から、速度50mm/秒、角度90°で各電極を剥がし取った際に、多孔膜付セパレーターに接着残存した電極合剤層の割合(R1)を以下の式で算出することで、多孔膜付セパレーターの電極への接着性を評価した。この割合が高いほど、接着性に優れることを示す。
(R1)=(多孔膜付セパレーターに接着残存した電極合剤層の面積/使用した電極合剤層の面積)×100
(評価基準)
A:70%以上
B:50%以上70%未満
C:30%以上50%未満
D:30%未満
有機セパレーターを幅5cm×長さ5cm、多孔膜付き正極および多孔膜付き負極をそれぞれ幅3cm×長さ3cmに切り出し試験片とする。上記多孔膜付き正極の多孔膜層側の面上に、有機セパレーターを配置した。さらに、有機セパレーター上に多孔膜付負極を、多孔膜層側の面が有機セパレーターに対向するように配置した。この積層体に、卓上テストプレスで、温度90℃、時間10秒、圧力1MPaの条件でヒートプレスを施した。この積層体から、速度50mm/秒、角度90°で各電極を剥がし取った際に、有機セパレーターに接着残存した電極合剤層の割合(R2)を以下の式で算出することで、多孔膜付電極のセパレーターへの接着性を評価した。この割合が高いほど、接着性に優れることを示す。
(R2)=(有機セパレーターに接着残存した多孔膜付電極合剤層の面積/使用した電極合剤層の面積)×100
(評価基準)
A:70%以上
B:50%以上70%未満
C:30%以上50%未満
D:30%未満
ラミネート型のリチウムイオン二次電池を、24時間静置した後に、25℃、0.1Cの充放電レートにて、4.2Vまで充電し3.0Vまで放電する充放電の操作を行った。その後、25℃で0.1Cの充電レートで4.2Vまで充電し、1.0Cの放電レートで3.0Vまで放電する充放電サイクルと、3.0Cの放電レートで3.0Vまで放電する充放電サイクルをそれぞれ行った。1.0Cにおける電池容量に対する3.0Cにおける電池容量の割合を百分率で算出して充放電レート特性とし、下記の基準で判断した。この値が高いほど内部抵抗が小さく、高速充放電が可能であることを示す。
(評価基準)
A:70%以上
B:65%以上70%未満
C:60%以上65%未満
D:60%未満
ラミネート型のリチウムイオン二次電池を、24時間静置した後に、25℃、4.2V、0.1Cの充放電レートにて充放電の操作を行い、初期容量C0を測定した。さらに、60℃環境下で、0.1Cの充放電レートで4.2Vに充電し、3.0Vまで放電する充放電を繰り返し、100サイクル後の容量C1を測定した。高温サイクル特性はΔC=C1/C0×100(%)で示す容量維持率にて評価した。この値が高いほど放電容量の低下が少なく、サイクル特性に優れている。
(評価基準)
A:82%以上
B:77%以上82%未満
C:72%以上77%未満
D:72%未満
(1−1.シードポリマー粒子A1の製造)
撹拌機を備えた反応器に、ドデシル硫酸ナトリウムを0.074部、過硫酸アンモニウムを0.23部、及びイオン交換水を100部入れて混合し組成物A1とし、80℃に昇温した。
一方、別の容器中でアクリル酸ブチル93.8部、メタクリル酸2.0部、アクリロニトリル2.0部、アリルグリシジルエーテル1.0部、N−メチロールアクリルアミド1.2部、ドデシル硫酸ナトリウム0.1部、及びイオン交換水100部を混合して、単量体混合物A1の分散体を調製した。
この単量体混合物A1の分散体を、4時間かけて、組成物A1中に連続的に添加して重合させた。単量体混合物A1の分散体の連続的な添加中の反応系の温度は80℃に維持し、反応を行った。連続的な添加の終了後、さらに90℃で3時間反応を継続させた。
これにより、個数平均粒子径292nmのシードポリマー粒子A1の水分散体を得た。
次に、撹拌機を備えた反応器に、工程(1−1)で得たシードポリマー粒子A1の水分散体を固形分基準(即ち、シードポリマー粒子A1の重量基準)で10部、単量体としてスチレンを70部、アクリル酸ブチルを30部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1.0部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製「パーブチルO」)を4.0部、及びイオン交換水を200部入れた。これを35℃で12時間撹拌することで、シードポリマー粒子A1に単量体及び重合開始剤を完全に吸収させた。その後、90℃で5時間反応を行った。これにより、成長したシードポリマー粒子であるコア粒子A1の水分散体を得た。このコア粒子A1の個数平均粒子径は644nmであった。
これにより、個数平均粒子径650nmのコアシェル構造を有する非導電性粒子A1の水分散体を得た。
撹拌機を備えた反応器に、ドデシル硫酸ナトリウムを0.06部、過硫酸アンモニウムを0.23部、及びイオン交換水を100部入れて混合し組成物B1とし、80℃に昇温した。
一方、別の容器中でアクリル酸ブチル83.8部、メタクリル酸2.0部、アクリロニトリル12.0部、アリルグリシジルエーテル1.0部、N−メチロールアクリルアミド1.2部、ドデシル硫酸ナトリウム0.1部、及びイオン交換水100部を混合して、単量体混合物B1の分散体を調製した。
この単量体混合物B1の分散体を、4時間かけて、上で得た組成物B1中に、連続的に添加して重合させた。単量体混合物B1の分散体の連続的な添加中の反応系の温度は80℃に維持し、反応を行った。連続的な添加の終了後、さらに90℃で3時間反応を継続させた。これにより、多孔膜用バインダーの水分散体を得た。
得られた多孔膜用バインダーの水分散体を25℃に冷却後、これにアンモニア水を添加してpHを7に調整し、その後スチームを導入して未反応の単量体を除去した。その後、イオン交換水で固形分濃度調整を更に行いながら、200メッシュ(孔径:約77μm)のステンレス製金網でろ過を行った。これにより、個数平均粒子径370nm、固形分濃度40%の粒子状の多孔膜用バインダーB1の水分散液を得た。
工程(1−2)で得た非導電性粒子A1の水分散体、工程(1−3)で得た多孔膜用バインダーB1の水分散液、粘度調整剤としてカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学社製「ダイセル1220」)、及び湿潤剤(サンノプコ株式会社製「SNウエット980」)を、固形分重量比が82:12:5:1となるように水中で混合して、固形分濃度20%の多孔膜用スラリーを得た。
湿式法により製造された単層のポリエチレン製セパレーター(厚さ16μm)を、有機セパレーターとして用意した。この有機セパレーターの一方の面に、工程(1−4)で得た二次電池用スラリーを、乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布してスラリー層を得た。その後、スラリー層を50℃で10分間乾燥し、多孔膜を形成した。続いて、有機セパレーターのもう一方の面にも、同様に多孔膜を形成し、両面に多孔膜を有する、多孔膜付セパレーターを得た。
正極活物質としてLiCoO2を95部用意し、これに、正極用結着剤としてのPVDF(ポリフッ化ビニリデン;呉羽化学社製「KF−1100」)を固形分換算量で3部となるように加え、さらに、アセチレンブラック2部、及びN−メチルピロリドン20部を加えて、これらをプラネタリーミキサーで混合して、正極用スラリーを得た。この正極用スラリーを、厚さ18μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、120℃で3時間乾燥した。その後、ロールプレスして、全厚みが100μmの正極合剤層を有する正極を得た。
負極活物質としての粒径20μm、比表面積4.2m2/gのグラファイト98部を用意した。これに、負極用結着剤としてのSBR(スチレン−ブタジエンゴム、ガラス転移点が−10℃)を固形分換算量で1部混合した。この混合物にさらにカルボキシメチルセルロースを1.0部加えて、これらをプラネタリーミキサーで混合して、負極用スラリーを調製した。この負極用スラリーを厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、120℃で3時間乾燥した。その後、ロールプレスして、全厚みが100μmの負極合剤層を有する負極を得た。
工程(1−6)で得られた正極を幅40mm×長さ40mmに切り出して、正方形の正極を得た。工程(1−7)で得られた負極を幅42mm×長さ42mmに切り出して、正方形の負極を得た。また、工程(1−5)で得られた多孔膜付きセパレーターを幅46mm×長さ46mmに切り出して、正方形の多孔膜付セパレーターを得た。
得られた多孔膜付セパレーターについて、粉落ち試験、ブロッキング試験及び電極への接着試験を行った。また、得られた二次電池のレート特性及び高温サイクル特性の評価試験を行った。
工程(1−2)において、コア粒子を製造する際のスチレンの量を63部に変更し、アクリル酸ブチルの量を37部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、コア粒子を製造する際のスチレンの量を79部に変更し、アクリル酸ブチルの量を21部に変更したこと、並びに、シェル部を形成する際にシェル部を形成するための単量体としてメタクリル酸メチル1.8部及びメタクリル酸1.2部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、シェル部を形成する際にシェル部を形成するための単量体としてメタクリル酸メチル2.8部及びアクリル酸ブチル0.2部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、シェル部を形成する際のメタクリル酸メチルの量を0.47部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、シェル部を形成する際のメタクリル酸メチルの量を5.0部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、コア粒子を製造する際のスチレンの量を58部に変更し、アクリル酸ブチルの量を42部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、コア粒子を製造する際のスチレンの量を87部に変更し、アクリル酸ブチルの量を13部に変更したこと、並びに、シェル部を形成する際にシェル部を形成するための単量体としてメタクリル酸メチル1.8部及びメタクリル酸1.2部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、シェル部を形成する際にシェル部を形成するための単量体としてメタクリル酸メチル2.55部及びアクリル酸ブチル0.45部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、シェル部を形成する際のメタクリル酸メチルの量を0.12部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、シェル部を形成する際のメタクリル酸メチルの量を19.0部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、シェル部を形成する際にシェル部を形成するための単量体としてメタクリル酸メチルの代わりにスチレン3.0部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
撹拌機を備えた反応器に、ドデシル硫酸ナトリウムを0.06部、過硫酸アンモニウムを0.23部、及びイオン交換水を100部入れて混合し組成物B13とし、80℃に昇温した。
一方、別の容器中でスチレン22.0部、ブタジエン64.0部、メタクリル酸2.0部、アクリロニトリル12.0部、アリルグリシジルエーテル1.0部、N−メチロールアクリルアミド1.2部、ドデシル硫酸ナトリウム0.1部、及びイオン交換水100部を混合して、単量体混合物B13の分散体を調製した。
この単量体混合物B13の分散体を、4時間かけて、上で得た組成物B13中に、連続的に添加して重合させた。単量体混合物B13の分散体の連続的な添加中の反応系の温度は80℃に維持し、反応を行った。連続的な添加の終了後、さらに90℃で3時間反応を継続させた。これにより、多孔膜用バインダーの水分散体を得た。
得られた多孔膜用バインダーの水分散体を25℃に冷却後、これにアンモニア水を添加してpHを7に調整し、その後スチームを導入して未反応の単量体を除去した。その後、イオン交換水で固形分濃度調整を更に行いながら、200メッシュ(孔径:約77μm)のステンレス製金網でろ過を行った。これにより、個数平均粒子径370nm、固形分濃度40%の粒子状の多孔膜用バインダーB13の水分散液を得た。
(14−1.多孔膜付正極の製造)
実施例1の工程(1−6)で得た正極の正極合剤層側の面に、実施例1の工程(1−4)で得た多孔膜用スラリーを、乾燥後の多孔膜の厚みが2μmとなるように塗布してスラリー層を得た。この際、多孔膜用スラリーは、正極合剤層を完全に覆うように塗布した。その後、スラリー層を50℃で10分間乾燥し、多孔膜を形成し、多孔膜付正極を得た。得られた多孔膜付正極は、(多孔膜)/(正極合剤層)/(アルミ箔)の層構成を有していた。
実施例1の工程(1−7)で得た負極の負極合剤層側の面に、実施例1の工程(1−4)で得た多孔膜用スラリーを、乾燥後の多孔膜の厚みが2μmとなるように塗布してスラリー層を得た。この際、多孔膜用スラリーは、負極合剤層を完全に覆うように塗布した。その後、スラリー層を50℃で10分間乾燥し、多孔膜を形成し、多孔膜付負極を得た。得られた多孔膜付負極は、(多孔膜)/(負極合剤層)/(銅箔)の層構成を有していた。
下記の事項i.〜iv.を変更したこと以外は、実施例1の工程(1−8)と同様に操作して、二次電池を製造した。
i.多孔膜付セパレーターに代えて、有機セパレーター(湿式法により製造された単層のポリエチレン製セパレーター、厚さ16μm)をそのまま用いた。
ii.正極に代えて、上記工程(14−1)で得た多孔膜付正極を用いた。
iii.負極に代えて、上記工程(14−2)で得た多孔膜付負極を用いた。
iv.多孔膜付正極の多孔膜層側の面上に有機セパレーターを配置した。さらに、有機セパレーター上に多孔膜付負極を、多孔膜層側の面が有機セパレーターに対向するように配置した。
工程(1−2)において、シェル部を形成する際のメタクリル酸メチルの量を1.28部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、コア粒子を製造する際のスチレンの量を52部に変更し、アクリル酸ブチルの量を48部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、コア粒子を製造する際のスチレンの量を92部に変更し、アクリル酸ブチルの量を8部に変更したこと、並びに、シェル部を形成する際にシェル部を形成するための単量体としてメタクリル酸メチル1.8部及びメタクリル酸1.2部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、シェル部を形成する際にシェル部を形成するための単量体としてメタクリル酸メチル2.46部及びアクリル酸ブチル0.54部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、シェル部を形成する際のメタクリル酸メチルの量を0.03部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
工程(1−2)において、シェル部を形成する際のメタクリル酸メチルの量を29部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター及び二次電池を製造し、評価した。
(C6−1.シードポリマー粒子Ac6の製造)
撹拌機を備えた反応器に、ドデシル硫酸ナトリウムを0.17部、過硫酸アンモニウムを0.23部、及びイオン交換水を100部入れて混合し組成物Ac6とし、80℃に昇温した。
一方、別の容器中でアクリル酸ブチル93.8部、メタクリル酸2.0部、アクリロニトリル2.0部、アリルグリシジルエーテル1.0部、N−メチロールアクリルアミド1.2部、ドデシル硫酸ナトリウム0.1部、及びイオン交換水100部を混合して、単量体混合物Ac6の分散体を調製した。
この単量体混合物Ac6の分散体を、4時間かけて、組成物Ac6中に、連続的に添加して重合させた。単量体混合物Ac6の分散体の連続的な添加中の反応系の温度は80℃に維持し、反応を行った。連続的な添加の終了後、さらに90℃で3時間反応を継続させた。
これにより、個数平均粒子径126nmのシードポリマー粒子Ac6の水分散体を得た。
次に、撹拌機を備えた反応器に、工程(C6−1)で得たシードポリマー粒子Ac6の水分散体を固形分基準(即ち、シードポリマー粒子Ac6の重量基準)で10部、単量体としてスチレンを70部、アクリル酸ブチル30部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1.0部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製「パーブチルO」)を4.0部、及びイオン交換水を200部入れた。これを35℃で12時間撹拌することで、シードポリマー粒子Ac6に単量体及び重合開始剤を完全に吸収させた。その後、90℃で5時間反応を行った。これにより、成長したシードポリマー粒子であるコア粒子Ac6の水分散体を得た。このコア粒子Ac6の個数平均粒子径は277nmであった。
これにより、個数平均粒子径280nmのコアシェル構造を有する非導電性粒子Ac6の水分散体を得た。
以下、表1〜表5において実施例及び比較例の構成を示し、表6〜表10において実施例及び比較例の結果を示した。
表において、各略称の意味は、以下の通りである。
Tg:ガラス転移点
ΔTg:シェル部とコア部のガラス転移点の差
厚み比:非導電性粒子の個数平均粒子径に対するシェル部の厚みの比
ST:スチレン
BA:アクリル酸ブチル
LASNa:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
PBO:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
MMA:メタクリル酸メチル
MAA:メタクリル酸
VA−086:2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド)
(メタ)アクリレート率:(メタ)アクリレート単位の比率
セパ:セパレーター
前記の表から分かるように、実施例においては、接着試験、ブロッキング試験及び粉落ち試験のいずれにおいても良好な結果が得られている。このことから、本発明によれば、接着性及び耐ブロッキング性に優れ、粉落ちを生じにくい二次電池用多孔膜を実現しうることが確認された。また、この二次電池用多孔膜を備えた二次電池はレート特性及びサイクル特性に優れることも確認された。
Claims (8)
- 非導電性粒子及び多孔膜用バインダーを含み、
前記非導電性粒子が、コアシェル構造を有する重合体の粒子であり、
前記非導電性粒子のコア部が、30℃〜90℃にガラス転移点を有し、
前記非導電性粒子のシェル部が、前記コア部よりも10℃以上高いガラス転移点を有し、
前記シェル部の厚さが、前記非導電性粒子の個数平均粒子径の0.01%〜3.0%であり、
前記非導電性粒子の個数平均粒子径(A)と、前記多孔膜用バインダーの個数平均粒子径(B)が、(A)>(B)であり、
前記非導電性粒子のシェル部が、(メタ)アクリレート単位を含む重合体、又は、芳香族ビニル系モノマーを含むモノマーの重合体であり、
前記多孔膜用バインダーが、(メタ)アクリレート単位を50重量%以上含む重合体である、二次電池用多孔膜。 - 前記非導電性粒子のシェル部及び前記多孔膜用バインダーが、(メタ)アクリレート単位を50重量%以上含む、請求項1に記載の二次電池用多孔膜。
- 前記非導電性粒子の個数平均粒径が100nm〜1500nmである、請求項1又は2に記載の二次電池用多孔膜。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次電池用多孔膜の製造方法であって、
前記非導電性粒子、前記多孔膜用バインダー及び媒体を混合して多孔膜用スラリーを得、
前記多孔膜用スラリーを基材上に塗布してスラリー層を得、
前記スラリー層を乾燥することを含む、製造方法。 - 前記媒体が水系媒体であり、
前記多孔膜用スラリーが水性分散体である、請求項4に記載の製造方法。 - 集電体、
電極活物質及び電極合剤層用結着剤を含み、前記集電体上に付着する電極合剤層、並びに
前記電極合剤層上に形成された請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔膜を備える、二次電池用電極。 - 有機セパレーター、及び
前記有機セパレーター上に形成された請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔膜を備える、二次電池用セパレーター。 - 正極、負極、セパレーター及び電解液を含む二次電池であって、
前記正極、前記負極及び前記セパレーターの少なくともいずれかが、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔膜を備える、二次電池。
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