JP7002229B2 - パターン塗工用スラリー - Google Patents
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Description
[1]
蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面にパターン塗工するための、パターン塗工用スラリーであって、
上記パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマーと、分散媒又は溶媒とを含み、
上記パターン塗工用スラリーは、剪断速度50000s-1以下におけるハイシェア粘度の最大値が5cps以上である、パターン塗工用スラリー。
[2]
上記ハイシェア粘度の最大値が5cps以上10cps以下である、項目1に記載のパターン塗工用スラリー。
[3]
上記パターン塗工用スラリーの表面張力が50以上100以下である、項目1又は2に記載のパターン塗工用スラリー。
[4]
上記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が100mPa・s以下であり、固形分濃度が50質量%のときの粘度が300mPa・s以上である、項目1~3のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
[5]
上記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が100mPa・s以下であり、固形分濃度が45質量%のときの粘度が150mPa・s以上である、項目1~4のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
[6]
上記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が100mPa・s以下であり、固形分濃度が40質量%のときの粘度が150mPa・s以上である、項目1~5のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
[7]
上記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が70mPa・s以下であり、固形分濃度が40質量%のときの粘度が150mPa・s以上である、項目1~6のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
[8]
上記分散媒を含み、上記分散媒が水を主成分として含む、項目1~7のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
[9]
上記熱可塑性ポリマーが、(メタ)アクリル酸エステル単量体、共役ジエン系単量体、及びフッ化ビニリデン単量体からなる群から選択される少なくとも一つを単量体単位として有する共重合体を含む、項目1~8のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリーから形成されたパターン塗工を有する、蓄電デバイス用セパレータ。
[10]
上記塗工用スラリーに含まれる熱可塑性ポリマーは、少なくとも2種の熱可塑性ポリマーを含み、全体としてガラス転移温度を少なくとも2つ有しており、
上記ガラス転移温度のうち少なくとも一つは20℃未満の領域に存在し、
上記ガラス転移温度のうち少なくとも一つは20℃以上の領域に存在する、項目1~9のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[11]
上記熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度が1倍以上10倍以下である、項目1から10のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[12]
ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、項目1~11のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリーから形成されたパターン塗工を有する、蓄電デバイス用セパレータ。
[13]
上記パターン塗工がドットパターンである、項目12に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[14]
上記ドットの径が10μm以上1000μm以下であり、上記ドットの面積占有率が5%以上80%以下である、項目12又は13に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[15]
ポリオレフィン多孔性基材と、上記ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部を被覆する熱可塑性ポリマー被覆層とを有する、蓄電デバイス用セパレータであって、
上記ポリオレフィン多孔性基材上に上記熱可塑性ポリマー被覆層が存在する部分と、上記熱可塑性ポリマー被覆層が存在しない部分とが海島状に存在し、
上記熱可塑性ポリマー被覆層に含まれる熱可塑性ポリマーは、少なくとも2種の熱可塑性ポリマーを含み、全体としてガラス転移温度を少なくとも2つ有しており、
上記ガラス転移温度のうち少なくとも一つは20℃未満の領域に存在し、
上記ガラス転移温度のうち少なくとも一つは20℃以上の領域に存在する、
蓄電デバイス用セパレータ。
本実施形態のパターン塗工用スラリーは、蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面にパターン塗工するための、パターン塗工用スラリーである。上記パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマーと、分散媒又は溶媒とを含み、上記パターン塗工用スラリーは、剪断速度50000s-1以下におけるハイシェア粘度の最大値が5cps以上である。
これに対して、本実施形態のパターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマーと、分散媒又は溶媒を含み、かつ、剪断速度50000s-1以下におけるハイシェア粘度の最大値が5cps以上であることによって、塗工用スラリーを基材へ転写する時に所望の形状に転写し易く、かつ、塗工してから乾燥に至るまでの間にスラリーが流れにくくなるため、上記要因の少なくとも一部を解消することができる。したがって、本実施形態のパターン塗工用スラリーは、ポリオレフィン多孔性基材上に、所望の形状のパターン塗工を容易に形成することができる。この効果は、微細な、例えば数mm~数μm程度のオーダーの構造を有するパターンを形成したい場合に特に有利である。
本実施形態のパターン塗工用スラリーの表面張力は、好ましくは50以上100以下、より好ましくは60以上90以下である。パターン塗工用スラリーの表面張力が50以上100以下であれば、ポリオレフィン多孔性基材との親和性が良好であるため、塗工用スラリーを基材へ転写する時に所望の形状に転写し易くなり、かつ、界面活性剤の量が多過ぎないため、スラリーが泡立ちにくくなる。
本実施形態のパターン塗工用スラリーの固形分濃度に対するスラリーの粘度の関係は以下のとおりである。
パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%の場合、粘度は、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上、さらに好ましくは15mPa・s以上であり、150mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以下、さらに好ましくは50mP・s以下である。
パターン塗工用スラリーの固形分濃度が40質量%の場合、粘度は、好ましくは30mPa・s以上、より好ましくは50mPa・s以上、さらに好ましくは80mPa・s以上であり、350mPa・s以下、より好ましくは250mPa・s以下、さらに好ましくは180mP・s以下である。
パターン塗工用スラリーの固形分濃度が45質量%の場合、粘度は、好ましくは70mPa・s以上、より好ましくは100mPa・s以上、さらに好ましくは150mPa・s以上であり、500mPa・s以下、より好ましくは400mPa・s以下、さらに好ましくは250mP・s以下である。
パターン塗工用スラリーの固形分濃度が50質量%の場合、粘度は、好ましくは100mPa・s以上、より好ましくは15mPa・s以上、さらに好ましくは200mPa・s以上であり、700mPa・s以下、より好ましくは600mPa・s以下、さらに好ましくは500mP・s以下である。
パターン塗工用スラリーの固形分濃度に対するスラリーの粘度が上記範囲であれば、塗工中におけるスラリーの泡立ちを抑制することができる一方。スラリーが乾燥に至るまでの間にスラリーが流れて塗工形状が崩れることを効果的に防止できる。
上記値は、スラリー中の熱可塑性ポリマーのモノマー種、モノマー添加量、粒径、増粘剤種、増粘剤添加量等を調整することで、制御可能である。
パターン塗工用スラリーに含まれる熱可塑性ポリマーの具体例としては、以下の1)~4)が挙げられる。
1)共役ジエン系重合体、
2)アクリル系重合体、
3)ポリビニルアルコール系樹脂、及び
4)含フッ素樹脂。
中でも、電極とのなじみ易さの観点からは上記1)共役ジエン系重合体が好ましく、耐電圧性の観点からは上記2)アクリル系重合体及び4)含フッ素樹脂が好ましい。
パターン塗工用スラリーは、その全量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上の、上記熱可塑性ポリマーを含む。パターン塗工用スラリーを乾燥させて得られるパターン塗工(本願明細書において、「熱可塑性ポリマー被覆層」ともいう。)は、その全量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上の、上記熱可塑性ポリマーを含む。
パターン塗工用スラリー及びパターン塗工は、上記熱可塑性ポリマー以外に、本発明の課題解決を損なわない程度の、その他の成分を含んでもよい。
また、共役ジエン系重合体は、後述する(メタ)アクリル系化合物又は他の単量体を単量体単位として含んでいてもよい。具体的には、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体及びその水素化物等である。
このような化合物としては、例えば、下記式(P1)で表される化合物が挙げられる。
CH2=CRY1-COO-RY2 (P1)
式(P1)中、RY1は水素原子又はメチル基を示し、RY2は水素原子又は1価の炭化水素基を示す。RY2が1価の炭化水素基の場合は、置換基を有していてもよくかつ鎖内にヘテロ原子を有していてもよい。1価の炭化水素基としては、例えば、直鎖であっても分岐していてもよい鎖状アルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基が挙げられる。また、置換基としては、例えば、ヒドロキシル基及びフェニル基が挙げられ、ヘテロ原子としては、例えばハロゲン原子、酸素原子等が挙げられる。(メタ)アクリル系化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
このような(メタ)アクリル系化合物としては、(メタ)アクリル酸、鎖状アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート、フェニル基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
そのようなRY2を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の、芳香環を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
そのようなシクロアルキル基を有する単量体としては、より具体的には、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。シクロアルキル基の脂環を構成する炭素原子の数は、4~8が好ましく、6及び7がより好ましく、6が特に好ましい。また、シクロアルキル基は置換基を有していても有していなくてもよい。置換基としては、例えば、メチル基及びt-ブチル基が挙げられる。これらの中では、シクロヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種が、アクリル系重合体調製時の重合安定性が良好である点で好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ラジカル重合性の二重結合を2個以上有している単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。上記多官能(メタ)アクリレートは、2官能(メタ)アクリレート、3官能(メタ)アクリレート、及び4官能(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種であってよい。具体的には、例えば、ポリオキシエチレンジアクリレート、ポリオキシエチレンジメタクリレート、ポリオキシプロピレンジアクリレート、ポリオキシプロピレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、上記と同様の観点から、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
メチロール基を有する単量体としては、例えば、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジメチロールアクリルアミド、ジメチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
上記アルコキシメチル基を有する単量体としては、アルコキシメチル基を有するエチレン性不飽和単量体が好ましく、具体的には例えば、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミド等が挙げられる。
上記加水分解性シリル基を有する単量体としては、例えば、ビニルシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
更に、スルホン酸基、リン酸基等の官能基を有する各種のビニル系単量体、及び酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、ブタジエン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等も必要に応じて使用できる。
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。また、上記他の単量体は、上記各単量体のうち2種以上に同時に属するものであってもよい。
シアノ基を有する単量体としては、シアノ基を有するエチレン性不飽和単量体が好ましく、具体的には、例えば、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
ヒドロキシル基を有する単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アクリル系重合体が、(メタ)アクリル酸を単量体単位として有する場合、その含有割合は、アクリル系重合体100質量%に対して、好ましくは0.1~5質量%である。上記単量体の含有割合が、0.1質量%以上であると、セパレータは膨潤状態でのクッション性が向上する傾向にあり、5質量%以下であると、重合安定性が良好な傾向にある。
アクリル系重合体が、架橋性単量体を単量体単位として有する場合、アクリル系重合体における架橋性単量体の含有割合は、アクリル系重合体100質量%に対して、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.1~5質量%であり、更に好ましくは0.1~3質量%である。上記単量体の含有割合が0.01質量%以上であると耐電解液性が更に向上し、10質量%以下であると膨潤状態でのクッション性の低下をより抑制することができる。
また、各種界面活性剤には非反応性界面活性剤と反応性界面活性剤があり、どちらも用いることができる。
上記界面活性剤は、単量体組成物100質量部に対して0.1~5質量部用いることが好ましい。界面活性剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ラジカル重合開始剤は、単量体組成物100質量部に対して、好ましくは0.05~2質量部用いることができる。ラジカル重合開始剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記4)含フッ素樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等が、
それぞれ挙げられる。
熱可塑性ポリマーは、好ましくは、ガラス転移点(Tg)又は融点(Tm)が-50℃以上、より好ましくは-40℃以上、更に好ましくは-20℃以上であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは80℃以下である熱可塑性ポリマーを含む。ガラス転移点又は融点が上記範囲内であることにより、熱プレス時に多孔性基材上の熱可塑性ポリマーが変形し易くなり、被着体である電極への接着面積が増加する。それによって、多孔性基材と熱可塑性層の接着性又はセパレータと電極との接着性がより良好になる。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+…+Wi/Tgi+…Wn/Tgn (1)
{式中、Tg(K)は、コポリマーのTgを示し、Tgi(K)は、各モノマーiのホモポリマーのTgを示し、Wiは、各モノマーの質量分率を示す}。
ゲル分率は、重合するモノマー成分及び各モノマーの投入比、重合条件を変更することにより、調整することができる。
熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度(倍)=(Wa-Wb)÷Wb
なお、ポリマー層が2種以上の共重合体を含む場合、膨潤度は、各々の共重合体の膨潤度の加重平均とする。
本実施形態のパターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマーと、その分散媒又は溶媒とを含む。本願明細書において、「溶媒」は熱可塑性ポリマーを実質的に全て溶解することができる媒体をいい、「分散媒」は、熱可塑性ポリマーの少なくとも一部を溶解せずに分散させることができる媒体をいう。分散媒は、熱可塑性ポリマーに対して貧溶媒であることが好ましい。
本実施形態のパターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマーと、分散媒又は溶媒から成ってもよく、熱可塑性ポリマー及び分散媒以外の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、界面活性剤等の分散剤、増粘剤、及びpH調整剤等が挙げられる。界面活性剤としては、例えば低分子量分散剤、例えば、カルボン酸のアンモニウム塩又はアルカリ金属塩を複数有するモノマー(Cii)、及びカルボン酸のアンモニウム塩又はアルカリ金属塩を複数有する非重合性化合物(例えば、アルギン酸ソーダ、及びヒアルロン酸ソーダ)等が挙げられる。
イオン解離性の酸基を有する場合、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、アミノ酸基、及びマレイン酸基等、またはイオン解離性の酸塩基を有する場合、例えばカルボン酸塩基、スルホン酸塩基、及びマレイン酸塩基等を複数含有するものが好ましい。具体的には、イオン解離性有機分散剤としては、ポリカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩がより好ましい。イオン解離性有機分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。界面活性剤の種類及び添加量を調整することにより、表面張力を50以上100以下にすることがより容易となる。
本実施形態のパターン塗工用スラリーの製造方法は限定されない。例えば、パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマー及び分散媒等の成分を任意の手段で混合して、分散媒中に成分を分散させることによって製造することができる。分散方法は、限定されないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。
本実施形態の蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、本実施形態のパターン塗工用スラリーから形成されたパターン塗工を有する。一実施形態において、蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材の両面にパターン塗工を有してもよい。パターン塗工は、基材の片面又は両面の全体に形成してもよく、セパレータが高いイオン透過性を有するように、片面又は両面の一部のみに形成してもよい。
パターン塗工の形状としては、限定されないが、例えば、線状、斜線状、ストライプ状、ドット状、格子目状、縞状、及び亀甲模様状等のパターンが挙げられる。パターン塗工は、好ましくは斜線パターン、ストライプパターン、及びドットパターンであり、より好ましくはドットパターンである。本願明細書において、「ストライプパターン」又は「ストライプ状」とは、ポリオレフィン基材のMD方向(機械方向)に対してほぼ平行な、複数の線を有するパターンを意味する。本願明細書において、「斜線パターン」又は「斜線状」とは、ポリオレフィン基材のMD方向以外の方向に対してほぼ平行な、複数の線を有するパターンを意味する。本願明細書において、「ドットパターン」又は「ドット状」とは、ポリオレフィン多孔質基材上に、熱可塑性ポリマーが存在しない部分と、熱可塑性ポリマーが存在する部分とが海島状である(海:熱可塑性ポリマーが存在しない部分、島:熱可塑性ポリマーが存在する部分である。)ことを意味する。
熱可塑性ポリマーが存在しない部分によってセパレータの透過性が確保できるため、高い出力の電池が得られる;並びに
基材表面に凹凸が形成されるため、電池の製造工程において電解液が侵入し易く、注液性が良い(すなわち、電池の製造工程におけるタクトタイムが短縮される)。
本発明におけるポリオレフィン多孔性基材について説明する。
ポリオレフィン多孔性基材としては、電子伝導性が小さく、イオン伝導性を有し、有機溶媒に対する耐性が高く、孔径の微細なポリオレフィン微多孔膜が好ましい。
中でも、蓄電デバイス用セパレータのシャットダウン特性の観点から、ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、若しくはこれらの共重合体、又はこれらの混合物が好ましい。
ポリエチレンの具体例としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等、
ポリプロピレンの具体例としては、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン等、
共重合体の具体例としては、エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレンプロピレンラバー等、が挙げられる。
ポリオレフィン多孔性基材は、上述した材料からなる単層膜であってもよく、積層膜であってもよい。
平均孔径は、組成比、押出シートの冷却速度、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率等から選択される1つ以上を制御することにより調整することができる。
ポリオレフィン多孔性基材の気孔率は、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の混合比率、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率等から選択される1つ以上を制御することによって調整することができる。
本実施形態の蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、本実施形態のパターン塗工用スラリーから形成されたパターン塗工を有し、それによってイオン透過性、電極との接着性、ブロッキング性、及び注液性等に優れる。
蓄電デバイス用セパレータのイオン透過性は、実施例の欄に記載するように、セパレータの透気度によって評価することができる。蓄電デバイス用セパレータの透気度は、好ましくは10~10,000秒/100ccであり、より好ましくは10~1,000秒/100ccであり、更に好ましくは50~500秒/100ccである。透気度が上記範囲内であることにより、セパレータをリチウムイオン二次電池に適用したときには、大きなイオン透過性を示す。
上記セパレータの最終的な膜厚は、2μm以上200μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上100μm以下、更に好ましくは7μm以上30μm以下である。膜厚が2μm以上であると、機械強度が十分となる傾向にある。また、200μm以下であると、セパレータの占有体積が減るため、電池の高容量化の点において有利となる傾向にある。
蓄電デバイス用セパレータの接着性は、実施例の欄に記載するように、セパレータと電極との間の剥離強度により評価することができる。蓄電デバイス用セパレータは、セパレータの熱可塑性ポリマーを含有する層側を正極に、100℃において1MPaの圧力で5秒間加圧した場合の剥離強度(以下、「加熱剥離強度」ともいう。)として測定される。上記セパレータの剥離強度としては、加熱剥離強度の値が2mN/mm以上であることが好ましい。加熱剥離強度が上記範囲にあるセパレータは、後述の蓄電デバイスに適用する際に、電極とセパレータとの密着性に優れる点で好ましい。上記の加熱剥離強度の測定方法については、後述の実施例において具体的に記載される。
蓄電デバイス用セパレータの製造方法は:
ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、パターン塗工用スラリーをパターン塗工することと;
上記パターン塗工用スラリーから分散媒を乾燥させることと
を含み、
上記パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマーと、分散媒又は溶媒とを含み、
上記パターン塗工用スラリーは、剪断速度50000s-1以下におけるハイシェア粘度の最大値が5cps以上である、方法であることが好ましい。
ポリオレフィン多孔性基材を製造する方法としては特に制限はなく、公知の製造方法を採用することができる。例えば、
(1)ポリオレフィン樹脂組成物と孔形成材とを溶融混練してシート状に成形後、必要に応じて延伸した後、孔形成材を抽出することにより多孔化させる方法、
(2)ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理及び延伸によって、ポリオレフィン結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法、
(3)ポリオレフィン樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート上に成形した後、延伸によってポリオレフィンと無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法、
(4)ポリオレフィン樹脂組成物を溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させてポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法、
等が挙げられる。
可塑剤の混合方法として、好ましくは、樹脂混練装置に投入する前に、ポリオレフィン樹脂、その他の添加剤、及び可塑剤を、予めヘンシェルミキサー等を用いて所定の割合で事前混練しておくことである。より好ましくは、事前混練において、可塑剤はその一部のみを投入し、残りの可塑剤は、適宜加温しつつ樹脂混練装置にサイドフィードして混練する。このような混練方法を用いることにより、可塑剤の分散性が高まり、後の工程で樹脂組成物と可塑剤の溶融混練物のシート状成形体を延伸する際に、破膜することなく高倍率で延伸することができることになる。
シート状成形体から孔形成材を除去する際には、多孔膜中の孔形成材残存量を多孔膜全体の質量に対して1質量%未満にすることが好ましい。
孔形成材料としてポリオレフィン樹脂を用いる場合には、例えば、n-ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;塩化メチレン、1,1,1-トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン等の非塩素系ハロゲン化溶剤;エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等を;
孔形成材として無機材を用いる場合には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を、
それぞれ、抽出溶剤として用いることができる。
延伸処理としては、一軸延伸又は二軸延伸のいずれも好適に用いることができる。得られる多孔膜の強度等を向上させる観点から、二軸延伸が好ましい。特に、シート状成形体を二軸方向に高倍率延伸すると、分子が面方向に配向し、最終的に得られる多孔膜が裂け難くなり、高い突刺強度を有するものとなる。延伸方法としては、例えば、同時二軸延伸、逐次二軸延伸、多段延伸、多数回延伸等の方法を挙げることができる。突刺強度の向上、延伸の均一性、及びシャットダウン性の観点からは、同時二軸延伸が好ましい。また、面配向の制御容易性の観点からは、遂次二軸延伸が好ましい。
緩和操作における緩和率(緩和操作後の膜の寸法を緩和操作前の膜の寸法で除した値)は、膜のMD及びTDのうちの1つ以上の方向に、1.0以下であることが好ましく、0.97以下であることがより好ましく、0.95以下であることが更に好ましい。緩和率は、膜品位の観点から0.5以上であることが好ましい。緩和操作は、MD及びTDの両方向で行ってもよいし、MD又はTDの片方だけについて行ってもよい。
この可塑剤抽出後の延伸及び緩和操作は、好ましくはTDに行う。延伸及び緩和操作における温度は、ポリオレフィン樹脂の融点(以下、「Tm」ともいう。)より低いことが好ましく、Tmより1℃から25℃低い範囲がより好ましい。延伸及び緩和操作における温度が上記範囲であると、熱収縮率低減と気孔率とのバランスの観点から好ましい。
本実施形態の蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に形成されたパターン塗工に加えて、無機フィラーと樹脂製バインダを含む多孔層を備えていてもよい。以下、無機フィラーと樹脂製バインダとを含む多孔層について説明する。
多孔層に使用する無機フィラーとしては、特に限定されないが、耐熱性及び電気絶縁性が高く、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。
無機フィラーとしては、例えば、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、その他化合物が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、例えば、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
マグネシウム化合物としては、例えば、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
その他化合物としては、例えば、酸化物系セラミックス、窒化物系セラミックス、粘土鉱物、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂、ガラス繊維等が挙げられる。酸化物系セラミックスとしては、例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等が挙げられる。窒化物系セラミックスとしては、例えば、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等が挙げられる。粘土鉱物としては、例えば、タルク、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
樹脂製バインダは、前述した無機フィラーを相互に結着する役割を果たす樹脂である。これに加えて、無機フィラーと多孔膜とを相互に結着する役割を果たす樹脂であることが好ましい。
樹脂製バインダの種類としては、セパレータとした時にリチウムイオン二次電池の電解液に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲の環境において、電気化学的に安定なものを用いることが好ましい。
1)ポリオレフィン:例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンラバー、及びこれらの変性体等;
2)共役ジエン系重合体:例えば、スチレン-ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体及びその水素化物等;
3)アクリル系重合体:例えば、メタクリル酸エステル-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル-アクリル酸エステル共重合体等;
4)ポリビニルアルコール系樹脂:例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル;
5)含フッ素樹脂:例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等;
6)セルロース誘導体:例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等;
7)融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂、或いは融点を有しないが分解温度が200℃以上のポリマー:例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等。特に、耐久性の観点から全芳香族ポリアミド、中でもポリメタフェニレンイソフタルアミドが好適である。
中でも、電極とのなじみやすさの観点からは、上記2)共役ジエン系重合体が好ましく、耐電圧性の観点からは上記3)アクリル系重合体及び5)含フッ素樹脂空なる群より選択される1種以上が好ましい。
上記共役ジエン化合物としては、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-クロル-1,3-ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換及び側鎖共役ヘキサジエン類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、特に1,3-ブタジエンが好ましい。
上記3)アクリル系重合体に用いられる(メタ)アクリル酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等を挙げることができる。
上記3)アクリル系重合体に用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアメタクリレート等;
エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等;が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特にアクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
上記2)共役ジエン系重合体は、他の単量体として上記(メタ)アクリル系化合物を共重合させて得られるものであってもよい。
多孔層の層厚は、耐熱性、絶縁性を向上させる観点から、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは1.0μm以上、更に好ましくは1.2μm以上、特に好ましくは1.5μm以上、とりわけ好ましくは1.8μm以上、最も好ましくは2.0μm以上である。また、電池の高容量化と透過性を向上させる観点から、50μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下、特に好ましくは7μm以下である。
パターン塗工の方法は、所望のパターン及び層厚等を実現できれば限定されず、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、及びスプレー塗布法等が挙げられる。パターン塗工の方法は、熱可塑性ポリマーの塗工形状の自由度が高く、所望の面積割合を容易に得ることができること等から、好ましくはグラビアコーター法である。
分散媒を乾燥させる方法は、塗布後のパターン塗工から分散媒を実質的に除去して多孔性基材上に、熱可塑性ポリマーを含むパターン塗工を残すことができれば限定されない。乾燥後のパターン塗工に許容量の分散媒が残留してもよい。分散媒を乾燥させる方法としては、例えば、多孔性基材を固定しながらその融点以下の温度で乾燥させる方法、及び低温で減圧乾燥させる方法等が挙げられる。多孔性基材のMD方向(多孔性基材の機械方向)の収縮応力を制御する観点から、乾燥温度、及び巻取り張力等を調整することが好ましい。
本実施形態の蓄電デバイスは、正極と、負極と、電解質と、本実施形態の蓄電デバイス用セパレータとを有する。蓄電デバイスは、典型的には、正極と、本実施形態の蓄電デバイス用セパレータと、負極とが、この順に積層した電極積層体、又は電極積層体を捲回した電極捲回体を有する。
上記の加熱及びプレスは、それぞれ、電極とセパレータとを重ねた状態で行うことができる。例えば、上述の巻回体又は積層体を形成して加熱及びプレスのうちの少なくとも1種の加工を行うことができる。
上記加熱及びプレスは、それぞれ、電極及びセパレータを、外装体に収容する前に行ってもよく、外装体に収容した後に行ってもよく、更には外装体に収容する前及び後の双方に行ってもよい。
加熱及びプレスのうちの少なくとも1種の加工を、電極及びセパレータを外装体に収容した後に行う場合には、外装体に電解液を注入する前に行ってもよく、注入した後に行ってもよく、更には、電解液を注入する前及び後の双方に行ってもよい。
特に外装体として袋状のフィルムを使用する場合には、電極及びセパレータを外装体に収容し、更に電解液を注入した後に、加熱及びプレスのうちの少なくとも1種の加工を行うことが好ましい。この時、電極及びセパレータのずれを防止する観点から、これらを外装体に収容する前に加熱及びプレスのうちの少なくとも1種の加工を行うことが好ましい。
〈ハイシェア粘度〉
ハイシェア回転式粘度計PM9002HV(三井電気精機製)を用いて、室温にて0rpmから12000rpmまで1200rpm/secの条件で回転数を増加させ測定した。
セルガード製C2500の表面にスラリーを乗せ、23℃において1分間放置した後、日本国協和界面科学製、CA-X150型接触角計を用いて測定した。
B型粘度計を使用して、25℃での塗工液の粘度(mPa・s)をせん断速度60s-1の条件で測定した。
各スラリーの固形分濃度は、スラリー100mlを40℃のホットスターラー上にて、スラリーを100rpmにて撹拌しながら徐々に溶媒を蒸発させることで調整した。
テフロン(登録商標)板上に、熱可塑性ポリマーの塗工液(不揮発分=38~42%、pH=9.0)をスポイトで滴下し(直径5mm以下)、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後、乾燥皮膜を約0.5g精秤(a)し、それを50mLポリエチレン容器に取り、そこに30mLのトルエンを注ぎ入れ、3時間室温で振とうした。その後、内容物を325メッシュでろ過し、メッシュ上に残ったトルエン不溶分をメッシュごと、130℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させた。なお、ここで使用する325メッシュは、予めその乾燥質量を測っておいたものである。
そして、トルエンを揮発させた後、トルエン不溶分の乾燥体及び325メッシュの合計質量から、予め測っておいた325メッシュ質量を差し引くことにより、トルエン不溶分の乾燥質量(b)を得た。ゲル分率(トルエン不溶分)は、以下の計算式を用いて算出した。
熱可塑性ポリマーのゲル分率(トルエン不溶分)(%)=(b)/(a)×100
熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマーを分散させた溶液を130℃のオーブン中に1時間静置した後、乾燥させた熱可塑性ポリマーを0.5gになるように切り取り、所定の成分及び混合比の混合溶媒10gと一緒に50mLのバイアル瓶に入れ、所定時間浸透させた後、サンプルを取り出し、上記混合溶媒にて洗浄し、質量(Wa)を測定した。その後、150℃のオーブン中に1時間静置したあと質量(Wb)を測定し、以下の式より熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度を測定した。
熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度(倍)=(Wa-Wb)/(Wb)
上記混合溶媒の成分、混合比、及び浸透時間は、それぞれ、以下のとおりとした。
混合比 エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)
浸透時間 3時間
熱可塑性ポリマーの平均粒径は、粒子径測定装置(日機装株式会社製、Microtrac UPA150)を使用して測定した。測定条件は、ローディングインデックス=0.15~0.3、測定時間300秒であった。得られたデータにおける50%粒子径の数値(D50)を平均粒径として記載した。
熱可塑性ポリマーのガラス転移点及び融点は、示差走査熱量測定(DSC)で得られるDSC曲線から決定した。
熱可塑性ポリマーを含む水分散体(固形分=38~42質量%、pH=9.0)を、アルミ皿に適量取り、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後の乾燥皮膜約17mgを測定用アルミ容器に詰め、DSC測定装置(島津製作所社製、DSC6220)にて窒素雰囲気下におけるDSC曲線及びDDSC曲線を得た。測定条件は下記のとおりとした。
1段目昇温プログラム:70℃スタート、毎分15℃の割合で昇温。110℃に到達後5分間維持。
2段目降温プログラム:110℃から毎分40℃の割合で降温。-50℃に到達後5分間維持。
3段目昇温プログラム:-50℃から毎分15℃の割合で130℃まで昇温。この3段目の昇温時にDSC及びDDSCのデータを取得。
融点は、DSC曲線におけるベースラインと融解吸熱ピークの傾きの接線との交点により決定した。ガラス転移点は、DSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の変曲点における接線との交点により決定した。
熱可塑性ポリマーについて、ASRM-D4020に準拠して、デカリン溶剤中、135℃における極限粘度[η]を求めた。この[η]値を用いて、下記数式の関係から熱可塑性ポリマーの粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ポリエチレンの場合:[η]=0.00068×Mv0.67
ポリプロピレンの場合:[η]=1.10×Mv0.80
ポリオレフィン多孔性基材から10cm×10cm角の試料を切り取り、格子状に9箇所(3点×3点)の測定箇所を選んで、微小測厚器(株式会社東洋精機製作所 タイプKBM)を用いて、室温23±2℃で、各測定箇所の膜厚を測定した。得られた9個の測定値の平均値を、基材の膜厚として算出した。
ポリオレフィン多孔性基材から10cm×10cm角の試料を切り取り、その体積(cm3)及び質量(g)を求めた。これらの値を用い、基材の密度を0.95(g/cm3)として、以下の式により気孔率を計算した:
気孔率(%)=(1-質量/体積/0.95)×100
蓄電デバイス用セパレータの透気度は、一般的な多孔性基材の透気度と同様に、JIS P-8117に準拠して測定される透気抵抗度である。透気抵抗度は、単位面積及び単位圧力差当たり、規定された体積の空気が透過するのに要する時間であり、100mL当たりの時間(秒)で表される。東洋精器(株)製のガーレー式透気度計G-B2(商標)により測定した透気抵抗度を透気度(s-1)とした。
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES-G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーでポリオレフィン多孔性基材を固定した。次に、固定されたポリオレフィン多孔性基材の中央部を、先端の曲率半径0.5mmの針を用いて、突刺速度2mm/secで、25℃雰囲気下において突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として突刺強度(g)を得た。
パターン塗工用スラリーの、ポリオレフィン多孔性基材へのパターン形成性(%)は、ポリオレフィン多孔性基材としてセルガードの型番「CG2500」(旭化成株式会社製)を用いて測定及び評価する。パターン形成性は、グラビアコーター上に加工されたパターンと、ポリオレフィン多孔性基材に実際に塗工されたパターンとの寸法のずれを評価するための指標である。
測定対象のパターン塗工用スラリーを、CG2500上に塗工し、以下の手法を用いてパターン形成性を算出した。なお、ポリオレフィン多孔性基材上の平均パターン面積は、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製作所製、S-4800)で観察した。:
パターン形成性(倍)=ポリオレフィン多孔性基材上の平均パターン面積/
グラビア版の平均パターン面積
S:0.7以上2.0倍以下
A:0.6以上0.7未満、2.0倍超3.0倍以下
B:0.4以上~0.6未満、3.0倍超5.0倍以下
C:0.4~5.0倍の範囲外
各パターン塗工用スラリーの泡立ち易さは、JIS K3362:2008(8.5 起泡力および泡の安定度)に準じて評価した。
得られたパターン塗工用スラリー(固形分濃度30%)200mLを採取し、常温下にて、900mmの高さから30秒間かけて200mLを液面上に落下させたときに生じる泡の高さ(初期泡立ち高さ)を測定した。さらに、5分経過後の泡の高さ(5分後泡立ち高さ)を測定した。測定は3回実施し、その平均値を測定値とした。
蓄電デバイス用セパレータと、被着体としての正極(enertech社製、正極材料:LiCoO2、導電助剤:アセチレンブラック、バインダ:PVDF、LiCoO2/アセチレンブラック/PVDF(重量比)=95/2/3、L/W:両側について36mg/cm2、密度:3.9g/cc、Al集電体の厚み:15μm、プレス後の正極の厚み:107μm)とを、それぞれ幅15mm及び長さ60mmの長方形状に切り取った。セパレータの熱可塑性ポリマー層と正極活物質とが相対するようにこれらを重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体を、以下の条件でプレスした。
プレス圧:1MPa
温度:100℃
プレス時間:5秒
プレス後の積層体について、(株)イマダ製のフォースゲージZP5N及びMX2-500N(製品名)を用いて、電極を固定し、セパレータを把持して引っ張る方式によって、剥離速度50mm/分にて90°剥離試験を行い、剥離強度を調べた。このとき、上記の条件で行った長さ40mm分の剥離試験における剥離強度の平均値を剥離強度とした。
セパレータの熱可塑性ポリマー被覆層に対し、幅12mm×長さ100mmのテープ(3M社製)を貼りつけた。テープをサンプルから50mm/分の速度で剥がすときの力を、90°剥離強度測定器(IMADA社製、製品名IP-5N)を用いて測定した。得られた測定結果に基づいて、下記評価基準で接着力を評価した。
○:6gf/mm以上
×:6gf/mm未満
蓄電デバイス用セパレータの塗工面同士を重ね合わせ、温度30℃及び圧力5MPaの条件下で3分間に亘ってプレスを行った。その後、重なり合った塗工面同士の剥離強度を、株式会社島津製作所製オートグラフAG-IS型(商標)を用いて、JIS K6854-2に準じて引張速度200mm/分で測定した。剥離強度の値(N/m)が小さいほどハンドリング性に優れる。
a.正極の作製
正極活物質としてニッケル、マンガン、コバルト複合酸化物(NMC)(Ni:Mn:Co=1:1:1(元素比)、密度4.70g/cm3)を90.4質量%、導電助材としてグラファイト粉末(KS6)(密度2.26g/cm3、数平均粒子径6.5μm)を1.6質量%及びアセチレンブラック粉末(AB)(密度1.95g/cm3、数平均粒子径48nm)を3.8質量%、並びにバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(密度1.75g/cm3)を4.2質量%の比率で混合し、これらをN-メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターを用いて塗布し、130℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機を用いて圧縮成形することにより、正極を作製した。この時の正極活物質塗布量は109g/m2であった。
b.負極の作製
負極活物質としてグラファイト粉末A(密度2.23g/cm3、数平均粒子径12.7μm)を87.6質量%及びグラファイト粉末B(密度2.27g/cm3、数平均粒子径6.5μm)を9.7質量%、並びにバインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%(固形分換算)(固形分濃度1.83質量%水溶液)及びジエンゴム系ラテックス1.7質量%(固形分換算)(固形分濃度40質量%水溶液)を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機で圧縮成形することにより、負極を作製した。この時の負極活物質塗布量は5.2g/m2であった。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.0mol/Lとなるように溶解させることにより、非水電解液を調製した。
d.電池組立
各実施例及び比較例で得られた蓄電デバイス用セパレータを24mmφ、正極及び負極をそれぞれ16mmφの円形に切り出した。正極と負極の活物質面とが対向するように、負極、セパレータ、正極の順に重ね、プレス又はヒートプレスをして、蓋付きステンレス金属製容器に収容した。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と、それぞれ接していた。この容器内に上記非水電解液を0.2ml注入して密閉することにより、電池を組み立てた。
e.レート特性の評価
上記d-2.で組み立てた簡易電池を、25℃において、電流値3mA(約0.5C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法により、電池作成後の最初の充電を合計約6時間行った。その後、電流値3mAで電池電圧3.0Vまで放電した。
次に、25℃において、電流値6mA(約1.0C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計約3時間充電を行った。その後、電流値6mAで電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量を1C放電容量(mAh)とした。
次に、25℃において、電流値6mA(約1.0C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計約3時間充電を行った。その後、電流値60mA(約10C)で電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量を10C放電容量(mAh)とした。
そして、1C放電容量に対する10C放電容量の割合を算出し、この値をレート特性とした。
レート特性(%)=(10C放電容量/1C放電容量)×100
評価基準
〈水分散体a1〉
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、イオン交換水70.4質量部と、乳化剤として「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液、表中「KH1025」と表記。以下同様。)0.5質量部と、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液、表中「SR1025」と表記。以下同様。)0.5質量部とを投入した。次いで、反応容器内部の温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウムの2%水溶液(表中「APS(aq)と表記。以下同様。」)を7.5質量部添加し、初期混合物を得た。過硫酸アンモニウム水溶液を添加終了した5分後に、乳化液を滴下槽から反応容器に150分かけて滴下した。
ポリエチレングリコール基含有単量体単位(P)を構成するモノマーとしてメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(表中PEGMと表記。以下同様。)10質量部;
シクロアルキル基含有単量体単位(A)を構成するモノマーとしてシクロヘキシルメタクリレート(表中、「CHMA」と表記。以下同様。)30質量部;
カルボキシル基含有単量体単位(b1)を構成するモノマーとしてメタクリル酸(表中、「MAA」と表記。以下同様。)1.0質量部;
アクリル酸(表中、「AA」と表記。以下同様。)1.0質量部;
アミド基含有単量体単位(b2)を構成するモノマーとしてアクリルアミド(表中、「AM」と表記。以下同様。)0.1質量部;
ヒドロキシル基含有単量体単位(b3)を構成するモノマーとして2-ヒドロキシエチルメタクリレート(表中、「2HEMA」と表記。以下同様。)5質量部;
架橋性単量体単位(b4)を構成するモノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート(A-TMPT、新中村化学工業株式会社製商品名、表中、「A-TMPT」と表記。以下同様。)0.5質量部;
上記以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(b5)を構成するモノマーとしてメチルメタクリレート(表中、「MMA」と表記。以下同様。)1.0質量部;
ブチルメタクリレート(表中、「BMA」と表記。以下同様。)0.4質量部;
ブチルアクリレート(表中、「BA」と表記。以下同様。)1.0質量部;
2-エチルヘキシルアクリレート(表中、「2EHA」と表記。以下同様。)50.0質量部;
乳化剤として「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)3質量部と「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液)3質量部とp-スチレンスルホン酸ナトリウム(表中、「NaSS」と表記。以下同様。)0.05質量部;
過硫酸アンモニウムの2%水溶液7.5質量部;及び
イオン交換水52質量部
の混合物を、ホモミキサーにより5分間混合させて調製した。
原材料の種類及び配合比を表2及び3に示すように変更した以外は、水分散体a1と同様にして、水分散体A1~A20を得た。得られた水分散体A1~A20及びa1の共重合体について、上記方法により、粒子径、及びガラス転移点(Tg)を測定した。得られた結果を表2及び3に示す。なお、表中、原材料の組成は質量基準である。
〈基材B1〉
Mvが70万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、
Mvが30万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、
Mvが40万であるホモポリマーのポリプロピレン5質量部と、
を、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。
得られたポリオレフィン混合物99質量部に酸化防止剤としてテトラキス-[メチレン-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。
得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。
また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
押し出される全混合物中の、流動パラフィンの割合が65質量部、及びポリマー濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
このシートを同時二軸延伸機にて、温度112℃において倍率7×6.4倍に延伸した。その後、延伸物を塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去後、乾燥し、更にテンター延伸機を用いて温度130℃において横方向に2倍延伸した。
その後、この延伸シートを幅方向に約10%緩和して熱処理を行い、ポリオレフィン多孔性基材B1を得た。得られた基材B1の物性を表1に示す。
ポリオレフィン多孔性基材B2として、ポリプロピレン単層膜であるセルガードの型番「CG2500」(旭化成株式会社製)を用意した。使用した基材を表1に記す。
水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.0μm)97.0質量部、アクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)3.0質量部、及びポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)1.0質量部を100質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製した。続いて、その塗布液を、ポリオレフィン多孔性基材B2の表面にグラビアコーターを用いて塗布した。その後、60℃において乾燥して水を除去した。このようにして、ポリオレフィン多孔性基材B2上に水酸化酸化アルミニウム層(無機フィラーの多孔層)を厚さ2μmで形成することにより、ポリオレフィン多孔性基材B3を得た。
表2に記載の水分散体A1を、精製水を加えることで固形分30質量%に調整し、有機バインダ含有スラリーを作製した。次いでスラリーに添加剤として、固形分濃度1.5質量%に調製したキサンタンガム(三晶株式会社製、ケルザンM)水溶液を作製し、有機バインダ量対比で0.5質量%となるように、スラリーに添加し、12時間撹拌した。スラリーの測定結果については、表4に示す。
キサンタンガム(三晶株式会社製、ケルザンM)の添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様にしてスラリーを作製した。スラリーの測定結果については、表4に示す。
キサンタンガム(三晶株式会社製、ケルザンM)をCMC(ダイセル社製、カルボキシメチルセルロース 2200)に変更し、バインダを表4に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてスラリーを作製した。スラリーの測定結果については、表4に示す。
キサンタンガム(三晶株式会社製、ケルザンM)をCMC(ダイセル社製、カルボキシメチルセルロース 2200)に変更し、界面活性剤としてアルキルスルホン酸系界面活性剤(三井サイテック株式社製、OT-75)を有機バインダ量対比0.1質量%となるように添加したこと以外は、実施例5と同様にしてスラリーを作製した。スラリーの測定結果については、表4に示す。
有機バインダをA4に変更し、界面活性剤としてアルキルスルホン酸系界面活性剤(三井サイテック株式社製、OT-75)を有機バインダ量対比0.1質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にしてスラリーを作製した。スラリーの測定結果については、表4に示す。
有機バインダをA11に変更し、添加剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてスラリーを作製した。スラリーの測定結果については、表4に示す。
有機バインダー量が80:20質量%となるようにA7とA1を混合し、その後、固形分濃度が30質量%となるよう精製水を添加し、12時間撹拌したこと以外は、実施例8と同様にしてスラリーを作製した。スラリーの測定結果については、表4に示す。
有機バインダー量が80:20質量%となるようにA10とA1を混合し、その後、固形分濃度が30質量%となるよう精製水を添加し、12時間撹拌したこと以外は、実施例9と同様にしてスラリーを作製した。スラリーの測定結果については、表4に示す。
表4に示すスラリー組成としたこと以外は、実施例10と同様にしてスラリーを作製した。スラリーの測定結果については、表4に示す。
調整したスラリーC1を、表1に記載のポリオレフィン微多孔基材B2の片面表面にドット径800μm、深さ5μmにドット型刻印されたグラビアロールを用いて塗工液をパターン塗布し、60℃にて乾燥して塗工液の水を除去することでセパレータS1を得た。測定結果は表5に示す。
調整したスラリー、塗工する基材を表5に示すように変更した。また、ドット径、及び面積占有率が表5になるように使用するグラビアロール版を変更したこと以外は、S1と同様にしてセパレータを作製した。
Claims (14)
- 蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面にパターン塗工するための、パターン塗工用スラリーであって、
前記パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマーと、分散媒又は溶媒とを含み、
前記パターン塗工用スラリーは、剪断速度50000s-1以下におけるハイシェア粘度の最大値が5cps以上である、パターン塗工用スラリー。 - 前記ハイシェア粘度の最大値が5cps以上10cps以下である、請求項1に記載のパターン塗工用スラリー。
- 前記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が100mPa・s以下であり、固形分濃度が50質量%のときの粘度が300mPa・s以上である、請求項1又は2に記載のパターン塗工用スラリー。
- 前記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が100mPa・s以下であり、固形分濃度が45質量%のときの粘度が150mPa・s以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
- 前記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が100mPa・s以下であり、固形分濃度が40質量%のときの粘度が150mPa・s以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
- 前記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が70mPa・s以下であり、固形分濃度が40質量%のときの粘度が150mPa・s以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
- 前記分散媒を含み、前記分散媒が水を主成分として含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
- 前記熱可塑性ポリマーが、(メタ)アクリル酸エステル単量体、共役ジエン系単量体、及びフッ化ビニリデン単量体からなる群から選択される少なくとも一つを単量体単位として有する共重合体を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリーから形成されたパターン塗工を有する、蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記塗工用スラリーに含まれる熱可塑性ポリマーは、少なくとも2種の熱可塑性ポリマーを含み、全体としてガラス転移温度を少なくとも2つ有しており、
前記ガラス転移温度のうち少なくとも一つは20℃未満の領域に存在し、
前記ガラス転移温度のうち少なくとも一つは20℃以上の領域に存在する、請求項8に記載の蓄電デバイス用セパレータ。 - 前記熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度が1倍以上10倍以下である、請求項8又は9に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、請求項1~7のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリーから形成されたパターン塗工を有する、蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記パターン塗工がドットパターンである、請求項11に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記ドットの径が10μm以上1000μm以下であり、前記ドットの面積占有率が5%以上80%以下である、請求項12に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- ポリオレフィン多孔性基材と、前記ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部を被覆する、請求項1~7のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリーから形成された熱可塑性ポリマー被覆層とを有する、蓄電デバイス用セパレータであって、
前記ポリオレフィン多孔性基材上に前記熱可塑性ポリマー被覆層が存在する部分と、前記熱可塑性ポリマー被覆層が存在しない部分とが海島状に存在し、
前記熱可塑性ポリマー被覆層に含まれる熱可塑性ポリマーは、少なくとも2種の熱可塑性ポリマーを含み、全体としてガラス転移温度を少なくとも2つ有しており、
前記ガラス転移温度のうち少なくとも一つは20℃未満の領域に存在し、
前記ガラス転移温度のうち少なくとも一つは20℃以上の領域に存在する、
蓄電デバイス用セパレータ。
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