JP2019009117A - 蓄電デバイス用セパレータの捲回体、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性ポリマー塗工層を有するセパレータの捲回体であって、セパレータと電極との接着性を損なわず、捲回体の巻ズレ及び皺の発生を抑え、かつブロッキングを低減することができる、蓄電デバイス用セパレータの捲回体を提供すること。【解決手段】蓄電デバイス用セパレータの捲回体であって、上記セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材と、上記基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー塗工層を有し、上記捲回体は、捲回数が1000回以上10000回以下であって、最内層におけるセパレータ間の剥離強度が0.5mN/mm以上10mN/mm以下である、蓄電デバイス用セパレータの捲回体。【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電デバイス用セパレータ(以下、単に「セパレータ」ともいう。)の捲回体、及びその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー塗工層を有し、蓄電デバイス用として用いられるセパレータの捲回体に関する。
近年、リチウムイオン電池を中心とした非水電解液電池の開発が活発に行われている。通常、非水電解液電池には、多孔質材料、例えば微多孔膜を基材として(本願明細書において「多孔性基材」ともいう。)有するセパレータが正負極間に設けられている。このようなセパレータは、正負極間の直接的な接触を防ぎ、微多孔中に保持した電解液を通じイオンを透過させる機能を有する。
非水電解液電池のサイクル特性や安全性を向上するために、セパレータの改良が検討されている。例えば、特許文献1では、放電特性、安全性に優れた二次電池を提供することを目的として、多孔質膜上に反応性ポリマーを塗布、乾燥することにより接着剤を担持した多孔質フィルムが提案されている。
近年、ポータブル機器の小型化、薄型化により、リチウムイオン二次電池などの蓄電デバイスにも小型化、薄型化が求められている。一方で、長時間携帯することを可能にするために、蓄電デバイスの体積エネルギー密度を向上させることによる高容量化も図られている。
従来から、セパレータには、異常加熱した場合に速やかに電池反応が停止される特性(ヒューズ特性)、及び高温になっても形状を維持して正極物質と負極物質とが直接反応する危険な事態を防止する性能(ショート特性)等の、安全性に関する性能が求められてきた。近年では、これらの安全性能に加えて、充放電電流の均一化、リチウムデンドライト抑制の観点から、セパレータと電極との接着性の向上が求められている。
セパレータと電池電極との接着性を良くすることにより、充放電電流の不均一化が起こりにくくなり、また、リチウムデンドライトが析出しにくくなるため、結果として充放電サイクル寿命を長くすることが可能となる。
例えば、特許文献1及び2には、多孔性基材上に形成された多孔性コーティング層の上に、更にポリマー溶液を塗布してセパレータを得て、該セパレータのポリマー層と電極とを接着固定することが提案されている。
国際公開第2014/017651号 国際公開第2016/047165号
しかしながら、特許文献1及び2に記載されているような従来のセパレータの捲回体を製造した場合、セパレータのコアへの捲回数が増加するにつれて、捲回体の内層に位置するセパレータへかかる圧力が高まり、熱可塑性ポリマー同士及び/又は熱可塑性ポリマーと基材とが貼り付いてしまうことがあった。このような現象は一般に「ブロッキング」と呼ばれる。ブロッキングにより、捲回体の内層側のセパレータを繰り出すことが困難となり、ハンドリング性が著しく損なわれることがあった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー塗工層を有するセパレータの捲回体であって、セパレータと電極との接着性を損なわず、捲回体の巻ズレ及び皺の発生を抑え、かつブロッキングを低減することができる、蓄電デバイス用セパレータの捲回体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するべく鋭意検討を重ねた結果、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマー塗工層を有するセパレータの捲回体において、最内層におけるセパレータ間の剥離強度を特定の範囲に調製することにより、上記課題を解決できることを見出した。また、捲回体を作製する際に、捲回張力を特定の範囲に調整することにより、上記捲回体を製造することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
蓄電デバイス用セパレータの捲回体であって、
上記セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材と、上記基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー塗工層を有し、
上記捲回体は、捲回数が1000回以上10000回以下であり、最内層におけるセパレータ間の剥離強度が0.5mN/mm以上10mN/mm以下である、蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
[2]
上記熱可塑性ポリマー塗工層が接着性を有する、項目1に記載の蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
[3]
上記熱可塑性ポリマーの少なくとも一つのガラス転移温度が40℃以上である、項目1又は2に記載の蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
[4]
上記熱可塑性ポリマー塗工層に含まれる熱可塑性ポリマーの塗工目付が0.02g/m以上2.00g/m以下である、項目1〜3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
[5]
上記熱可塑性ポリマー塗工層に含まれる熱可塑性ポリマーの塗工目付が0.02g/m以上1.00g/m以下である、項目1〜3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
[6]
上記熱可塑性ポリマー塗工層の片面あたりの厚みが2.0μm以下である、項目1〜5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
[7]
上記熱可塑性ポリマーが共役ジエン系ポリマー、アクリル系ポリマー、及びフッ素系ポリマーからなる群から選択される少なくとも一つを含む、項目1〜6のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
[8]
上記熱可塑性ポリマーが少なくとも(メタ)アクリレートモノマーをモノマー単位として含む共重合体を含む、項目1〜7のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
[9]
蓄電デバイス用セパレータの捲回体の製造方法であって、上記方法は:
ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に、熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー塗工層を付設して、セパレータを得ることと;
上記セパレータを、20N/m以上70N/m以下の張力で、コアに1000回以上10000回以下捲回することとを含む、方法。
本発明によれば、電極とセパレータとを接着させるための熱可塑性ポリマー塗工層が付設されたセパレータの捲回体であっても、電極との接着性を損なわず、さらにはブロッキングを解消した蓄電デバイス用セパレータの捲回体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[蓄電デバイス用セパレータの捲回体]
本実施形態に係る蓄電デバイス用セパレータの捲回体(以下、単に「捲回体」ともいう。)は、ポリオレフィン多孔性基材と、上記基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー塗工層を有するセパレータの捲回体である。蓄電デバイス用セパレータの捲回体は、一般的には、機械方向に連続的に製造されたセパレータが巻芯(「コア」ともいう。)に巻かれた捲回体である。捲回体の捲回数は1000回以上10000回以下であり、セパレータがコアに固着していない巻始めから、捲回数の10%以内の領域(本願明細書において「最内層」という。)におけるセパレータ間の剥離強度が、0.5mN/mm以上10mN/mm以下である。最内層の剥離強度は、好ましくは0.5mN/mm以上10.0mN/mm以下、より好ましくは0.5mN/mm以上7.0mN/mm以下、更に好ましくは0.5mN/mm以上3.0mN/mm以下である。剥離強度が0.5mN/mm以上であることで、捲回体内に適度な接着力が発現し、捲回体作製時の巻ズレを抑制することができ、また捲回されたセパレータに皺が発生することが少なくなる。また、剥離強度が10mN/mm以下であることで、電極−セパレータ積層体作製時に、捲回体からセパレータを良好に繰り出すことができる。
本実施形態の蓄電デバイス用セパレータの捲回体の製造方法は、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマー塗工層を付設してセパレータを得ることと;上記セパレータを、セパレータをコアに1000回以上10000回以下捲回することとを含む。捲回工程におけるセパレータの張力は、20N/m以上70N/m以下であり、より好ましくは20N/m以上50N/mである。捲回張力が20N/m以上であることで、捲回体内に適度な接着力が発現し、捲回体作製時の巻ズレを抑制することができ、また捲回されたセパレータに皺が発生することが少なくなる。また、捲回張力が70N/m以下であることで、電極−セパレータ積層体作製時に、捲回体からセパレータを良好に繰り出すことができる。
捲回工程は、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマー塗工層を付設した後から、電極−セパレータ積層体を作製する前までの間に行われる、セパレータを巻き取る工程である。
本実施形態に係る捲回体において、セパレータを巻き取るためのコアの材料は特に限定されない。コアの材料としては、例えば、紙、樹脂、金属、及びそれらの組み合わせを使用することができる。コアの形状は、セパレータを巻き取ることができればよく、典型的には円筒形である。コアの径は特に限定されない。コアの幅は、セパレータの幅以上であれば特に限定されない。
捲回体は、一般的にはコア上にセパレータを機械方向に任意の捲回数連続して巻き取ったものであり、本実施形態の捲回体の捲回数は、1000回以上10000回以下である。捲回数が10000回以下であることで、上記捲回張力の最大値(70N/m)であっても、セパレータ同士の貼り付きによる繰出し不良の発生を十分に低減することができる。
[熱可塑性ポリマー塗工層]
本実施形態において、熱可塑性ポリマー塗工層は、熱プレス工程を経ることにより、電極とセパレータを接着させることができる、接着性を有することが好ましい。すなわち、熱可塑性ポリマー塗工層は、電極とセパレータとの間の接着層として機能し得るものであることが好ましい。
熱可塑性ポリマー塗工層の基材に対する担持量(「塗工目付」ともいう。)は、固形分として、好ましくは0.02g/m以上2.00g/m以下、より好ましくは0.02g/m以上1.50g/m以下、更に好ましくは0.02g/m以上1.00g/m以下である。熱可塑性ポリマー塗工層の基材に対する担持量を0.02g/m以上2.00g/m以下の範囲に制御することで、基材の孔の閉塞によるサイクル特性(透過性)の低下を抑制しつつ、熱可塑性ポリマー塗工層と基材との密着力を一層向上させる効果を発現する観点から好ましい。
熱可塑性ポリマー塗工層の基材に対する担持量は、例えば、塗布液中の熱可塑性ポリマー含有量、熱可塑性ポリマー溶液の塗布量等を変更することにより、調整することができる。但し、担持量の調整方法は上記に限定されない。
熱可塑性ポリマー塗工層は、基材の片面あたり、基材の全面積100%に対して、80%以下の表面被覆率で基材の表面上に存在することが好ましく、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下の表面被覆率で、基材の少なくとも片面上に存在する。また、熱可塑性ポリマー塗工層が5%以上の表面被覆率で基材上に存在することが好ましい。この熱可塑性ポリマー塗工層の表面被覆率を80%以下とすることは、熱可塑性ポリマーによる基材の孔の閉塞を更に抑制し、セパレータの透過性を向上する観点から好ましい。一方、表面被覆率を5%以上とすることは、電極との接着性を一層向上する観点から好ましい。
熱可塑性ポリマー塗工層の平均厚さは、片面で0.1〜2.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0μm以下、更に好ましくは0.1〜0.5μm以下である。熱可塑性ポリマー塗工層の平均厚みが2.0μm以下であることにより、熱可塑性ポリマーによる透過性低下を抑制するとともに、セパレータを捲回体として保管した際の熱可塑性ポリマー塗工層同士又は基材との貼り付きを効果的に抑制する観点から好ましい。また、接着性と透過性との両立の観点から、使用する熱可塑性ポリマーの粒子径に相当する厚みであることが好ましい。熱可塑性ポリマー塗工層の平均厚みが0.1μm以上であることにより、電極活物質の凹凸に追従しやすいので好ましい。熱可塑性ポリマー塗工層の平均厚さは、例えば、基材に塗布する塗布液のおける熱可塑性ポリマー含有量、塗布液の塗布量、並びに塗布方法及び塗布条件を変更することにより、調整することができる。但し、熱可塑性ポリマー塗工層の平均厚さの調整方法は、それらに限らない。
熱可塑性ポリマー塗工層における熱可塑性ポリマーは、粒状の熱可塑性ポリマーを含むことが好ましく、熱可塑性ポリマーの実質的に全てが粒状の熱可塑性ポリマーであることがより好ましい。熱可塑性ポリマーが粒状であることで、セパレータと電極との接着性、及びセパレータのハンドリング性により優れる傾向にある。
〈熱可塑性ポリマー〉
本実施形態で使用される熱可塑性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、α−ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマーとこれらを含むコポリマー;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンをモノマー単位として含む共役ジエン系ポリマー又はこれらを含むコポリマー及びその水素化物;アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等をモノマー単位として含むアクリル系ポリマー又はこれらを含むコポリマー及びその水素化物;エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。また、熱可塑性ポリマーを合成する際に使用するモノマーとして、ヒドロキシル基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミド基又はシアノ基を有するモノマーを用いることもできる。
これらの熱可塑性ポリマーのうち、電極活物質との結着性及び強度又は柔軟性に優れることから、共役ジエン系ポリマー、アクリル系ポリマー、及びフッ素系ポリマーからなる群から選択される少なくとも一つが好ましい。
これらの中でも、セパレータと電極の接着性及び、ラミネート型電池曲げ応力両立の観点から、アクリル系ポリマーが好ましい。
(ジエン系ポリマー)
ジエン系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ブタジエン、イソプレン等の共役の二重結合を2つ有する共役ジエンを重合して成るモノマー単位を含むポリマーが挙げられる。共役ジエンモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。これらは単独で重合しても共重合してもよい。
ジエン系ポリマー中の、共役ジエンから構成されるモノマー単位の割合は、特に限定されないが、例えば、全ジエン系ポリマー中40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
ジエン系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の共役ジエンのホモポリマー及び共役ジエンと共重合可能なモノマーとのコポリマーが挙げられる。共重合可能なモノマーは、特に限定されないが、例えば、後述の(メタ)アクリレートモノマー、又は下記のモノマー(以下、「その他のモノマー」ともいう。)を挙げることができる。
「その他のモノマー」としては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸類;スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビエルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、イソプロペニルビニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環含有ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート等のアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル化合物;β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシアルキル基含有化合物;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアミド系モノマー等が挙げられ、これらを1種あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(アクリル系ポリマー)
アクリル系ポリマーは、特に限定されないが、好ましくは(メタ)アクリレートモノマーから構成されるモノマー単位を含む共重合体である。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸又はメタクリル酸」を示し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を示す。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート;アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマーから構成されるモノマー単位の割合は、特に限定されないが、全アクリル系ポリマーの質量を基準として、例えば40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリレートモノマーのホモポリマー、これと共重合可能なモノマーとのコポリマーが挙げられる。
共重合可能なモノマーとしては、上記ジエン系ポリマーの項目で列挙した「その他のモノマー」が挙げられ、これらを1種あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(フッ素系ポリマー)
フッ素系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、フッ化ビニリデンのホモポリマー、これと共重合可能なモノマーとのコポリマーが挙げられる。フッ素系ポリマーは、電気化学的安定性の観点から好ましい。
フッ化ビニリデンから構成されるモノマー単位の割合は、特に限定されないが、フッ素系ポリマーを形成する全モノマーの質量を基準として、例えば、40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアクリル酸、パーフルオロメタクリル酸、アクリル酸又はメタクリル酸のフルオロアルキルエステル等のフッ素含有エチレン性不飽和化合物;シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル等のフッ素非含有エチレン性不飽和化合物;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のフッ素非含有ジエン化合物等を挙げることができる。
フッ素系ポリマーのうち、フッ化ビニリデンのホモポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレンコポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等が好ましい。特に好ましいフッ素系ポリマーは、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマーであり、そのモノマー組成は、通常、フッ化ビニリデン30〜90質量%、テトラフルオロエチレン9〜50質量%及びヘキサフルオロプロピレン1〜20質量%である。これらのフッ素樹脂粒子は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
また、上記熱可塑性ポリマーを合成する際に使用するモノマーとして、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、アミド基、又はシアノ基を有するモノマーを用いることもできる。
ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ペンテンオール等のビニル系モノマーを挙げることができる。
カルボキシル基を有するモノマーは、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のエチレン性二重結合を有する不飽和カルボン酸、ペンテン酸等のビニル系モノマーを挙げることができる。
アミノ基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メタクリル酸2−アミノエチル等を挙げることができる。
スルホン酸基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリススルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等が挙げられる。
アミド基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
シアノ基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリレート等を挙げることができる。
本実施形態で用いる熱可塑性ポリマーは、ポリマーを単独で又は2種類以上混合して使用してもよいが、ポリマーを2種類以上含むことが好ましい。
本実施形態で用いる熱可塑性ポリマーは、100℃未満のガラス転移温度を有し、このガラス転移温度は、セパレータ同士のブロッキング現象を抑制する観点から、40℃以上が好ましい。ここで、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)で得られるDSC曲線から決定される。なお、本明細書では、ガラス転移温度をTgと表現する場合もある。
具体的には、DSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の変曲点における接線との交点により決定される。より詳細には、実施例に記載の方法を参照することができる。
ここで、「ガラス転移」はDSCにおいて試験片であるポリマーの状態変化に伴う熱量変化が吸熱側に生じたものを指す。このような熱量変化はDSC曲線において階段状変化形状又は階段状変化とピークとが組み合わさった形状として観測される。
「階段状変化」とは、DSC曲線において、曲線がそれまでのベースラインから離れ、新たなベースラインに移行するまでの部分を示す。なお、ピーク及び階段状変化の組み合わさった形状も含む。
「変曲点」とは、階段状変化部分のDSC曲線のこう配が最大になるような点を示す。また、階段状変化部分において上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点と表現することもできる。
「ピーク」とは、DSC曲線において、曲線がベースラインから離れてから再度ベースラインに戻るまでの部分を示す。
「ベースライン」とは、試験片に転移及び反応を生じない温度領域のDSC曲線のことを示す。
熱可塑性ポリマーが粒状であるとき、粒状熱可塑性ポリマーのガラス転移温度のうち少なくとも一つが、示差走査熱量測定法により測定されたときに、40℃以上の領域に存在することが好ましい。
40℃以上の領域に存在するガラス転移温度は、セパレータ同士のブロッキング現象を抑制する点から、45℃以上100℃以下の領域にのみ存在することが好ましい。
本実施形態において、熱可塑性ポリマーのガラス転移温度は、40℃未満の領域に存在していてもよく、40℃以上の領域に存在していてもよい。熱可塑性ポリマーのガラス転移温度が40℃以上であることにより、セパレータと電極との接着性及びハンドリング性により優れる。また、電池作製時の加圧により発現する電極とセパレータとの間の接着性を高めることができる。
本実施形態では、熱可塑性ポリマーが、40℃未満の領域と、40℃以上の領域に2つのガラス転移温度を有していてもよい。これは、2種類以上の熱可塑性ポリマーをブレンドする方法、又はコアシェル構造を備える熱可塑性ポリマーを使用する方法等によって達成できる。コアシェル構造とは、中心部分に属するポリマーと、外殻部分に属するポリマーとの組成が異なる、二重構造の形態をしたポリマーである。
ポリマーブレンド又はコアシェル構造は、ガラス転移温度の高いポリマーと低いポリマーを組み合せることにより、熱可塑性ポリマー全体のガラス転移温度を制御でき、また、熱可塑性ポリマー全体に複数の機能を付与できる。例えば、ポリマーブレンドの場合は、特にガラス転移温度を40℃以上の領域に持つポリマーと、ガラス転移温度を40℃未満の領域に持つポリマーを2種類以上ブレンドすることで、耐ベタツキ性とポリオレフィン多孔性基材への塗れ性とを両立する観点で好ましい。コアシェル構造の場合は、外殻ポリマーの組成を変えることによって、ポリオレフィン多孔性基材等のような他の材料に対する接着性又は相溶性を調整することができ、中心部分に属するポリマーを調整することで、例えば熱プレス後の電極への接着性を高めることができる。また、粘性の高いポリマーと弾性の高いポリマーとを組み合わせて、粘弾性の制御をすることもできる。
本実施形態において、熱可塑性ポリマーのガラス転移温度、すなわちTgは、例えば、熱可塑性ポリマーを製造するのに用いるモノマー成分及び各モノマーの投入比を変更することにより適宜調整できる。すなわち、熱可塑性ポリマーの製造に用いられる各モノマーについて一般に示されているそのホモポリマーのTg(例えば、「ポリマーハンドブック」(A WILEY-INTERSCIENCE PUBLICATION)に記載)と、モノマーの配合割合とから概略推定することができる。例えば、約100℃のTgのポリマーを与えるスチレン、メチルメタクリレ−ト、及びアクリルニトリル等のモノマーを高比率で配合したコポリマーは、高いTgを有する。例えば、約−80℃のTgのポリマーを与えるブタジエン、約−50℃のTgのポリマーを与えるn−ブチルアクリレ−ト及び2−エチルヘキシルアクリレ−ト等のモノマーを高い比率で配合したコポリマーは、低いTgを有する。
ポリマーのTgはFOXの式(下記式(1))より概算することができる。なお、本願の熱可塑性ポリマーのガラス転移点としては、上記DSCを用いた方法により測定したものを採用する。
1/Tg=W/Tg+W/Tg+‥‥+W/Tg+‥‥W/Tg (1)
(式(1)中において、Tg(K)は、コポリマーのTg、Tg(K)は、各モノマーiのホモポリマーのTg、Wは、各モノマーの質量分率を各々示す。)
本実施形態における熱可塑性ポリマーは、少なくとも一部が粒状となっている粒状熱可塑性ポリマーであることが好ましい。
粒状熱可塑性ポリマーの作製法としては、初めに熱可塑性ポリマーを合成し、それを種(シード)として、さらにモノマー、開始剤等を投入することにより、合成することが挙げられる。それにより、熱可塑性ポリマーの形状を粒状にすることができ、さらに熱可塑性ポリマーの粒径を大きくすることができる。
このような粒状熱可塑性ポリマーを用いることにより、セパレータと電極との接着性及びセパレータのハンドリング性により優れる傾向にある。ここで、粒状熱可塑性ポリマーの面積は、後記の実施例に記載のとおり、セパレータの最表面のSEMによる観察(倍率30000倍)によって測定される。
粒状熱可塑性ポリマーの平均粒子径は、10nm以上2000nm未満が好ましく、100nm以上1000nm未満がより好ましい。10nm以上であることは、ポリオレフィン多孔膜基材に粒状熱可塑性ポリマーを塗工したときに、熱可塑性ポリマーが基材の孔に入り込まない程度の粒径を確保することができることから好ましく、2000nm未満であることは、セパレータと電極との接着性の観点から好ましい。
[ポリオレフィン多孔性基材]
本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂を含有するポリオレフィン樹脂組成物から構成される微多孔膜であることが好ましく、ポリオレフィン樹脂を主成分とする微多孔膜であることがより好ましい。本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材中のポリオレフィン樹脂の含有量は特に限定されないが、蓄電デバイス用セパレータとして用いた場合のシャットダウン性能等の点から、基材を構成する全成分の質量分率の50%以上100%以下をポリオレフィン樹脂が占める、ポリオレフィン樹脂組成物から構成される多孔性基材であることが好ましい。基材中、ポリオレフィン樹脂が占める割合は60質量%以上100質量%以下がより好ましく、70質量%以上100質量%以下であることが更に好ましい。
〈ポリオレフィン樹脂〉
ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、通常の押出、射出、インフレーション、及びブロー成形等に使用するポリオレフィン樹脂、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等のホモポリマー及びコポリマー、多段ポリマー等を使用することができる。また、これらのホモポリマー及びコポリマー、多段ポリマーから成る群から選ばれるポリオレフィンを、単独で、もしくは混合して使用することもできる。
ポリエチレンは、蓄電デバイス用セパレータを形成するための基材の材料として、低融点であり、かつ高強度であることから、本実施形態では、ポリエチレンを主成分とする樹脂を使用することが好ましい。本願明細書において「主成分」とは、50質量%以上を構成する成分をいう。
ポリオレフィン樹脂の代表例としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、ポリブテン、エチレンプロピレンラバー等が挙げられる。
ここで、ポリプロピレンの立体構造に限定はなく、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン及びアタクティックポリプロピレンのいずれでもよい。
ポリオレフィン樹脂組成物中の総ポリオレフィンに対するポリプロピレンの割合は、特に限定されないが、耐熱性と良好なシャットダウン機能の両立の観点から、1〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜20質量%、さらに好ましくは4〜10質量%である。
この場合、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂としては、限定されないが、例えば、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のオレフィン炭化水素のホモポリマー又はコポリマーが挙げられる。具体的には、ポリエチレン、ポリブテン、エチレン−プロピレンランダムコポリマー等が挙げられる。
多孔性基材の孔が熱溶融により閉塞するシャットダウン特性の点から、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂として、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等のポリエチレンを用いることが好ましい。これらの中でも、強度の観点から、JIS K 7112に従って測定した密度が0.93g/cm以上であるポリエチレンを使用することがより好ましい。
ポリオレフィン多孔性基材を構成するポリオレフィン樹脂の粘度平均分子量は、特に限定されないが、3万以上1200万以下であることが好ましく、より好ましくは5万以上200万未満、さらに好ましくは10万以上100万未満である。粘度平均分子量が3万以上であると、溶融成形の際のメルトテンションが大きくなり成形性が良好になると共に、ポリマー同士の絡み合いにより高強度となる傾向にあるため好ましい。一方、粘度平均分子量が1200万以下であると、均一に溶融混練をすることが容易となり、シートの成形性、特に厚み安定性に優れる傾向にあるため好ましい。さらに、粘度平均分子量が100万未満であると、温度上昇時に孔を閉塞し易く、良好なシャットダウン機能が得られる傾向にあるため好ましい。なお、例えば、粘度平均分子量100万未満のポリオレフィンを単独で使用する代わりに、粘度平均分子量200万のポリオレフィンと粘度平均分子量27万のポリオレフィンの混合物であって、その粘度平均分子量が100万未満の混合物を用いてもよい。
本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材は、任意の添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン以外のポリマー;無機粒子;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。
これらの添加剤の合計含有量は、ポリオレフィン樹脂組成物100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
〈ポリオレフィン多孔性基材の物性〉
本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材の突刺強度は、特に限定されないが、好ましくは200g/20μm以上、より好ましくは300g/20μm以上であり、好ましくは2000g/20μm以下、より好ましくは1000g/20μm以下である。突刺強度が200g/20μm以上であることは、電池捲回時における脱落した活物質等による破膜を抑制する観点から好ましい。また、充放電に伴う電極の膨張収縮によって短絡する懸念を抑制する観点からも好ましい。一方、2000g/20μm以下とすることは、加熱時の配向緩和による幅収縮を低減できる観点から好ましい。ここで、突刺強度は、後記の実施例の記載の方法により測定される。
なお、上記突刺強度は、延伸倍率、延伸温度を調整する等により調節可能である。
本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材の気孔率は、特に限定されないが、好ましくは20%以上、より好ましくは35%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下である。気孔率を20%以上とすることは、セパレータの透過性を確保する観点から好ましい。一方、90%以下とすることは、突刺強さを確保する観点から好ましい。ここで、気孔率は後記の実施例の記載の方法により測定される。
なお、気孔率は、延伸倍率の変更等により調節可能である。
本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材の透気度は、特に限定されないが、好ましくは10sec/100cc以上、より好ましくは50sec/100cc以上であり、好ましくは1000sec/100cc以下、より好ましくは500sec/100cc以下、更に好ましくは300sec/100ccである。透気度を10sec/100cc以上とすることは、蓄電デバイスの自己放電を抑制する観点から好ましい。一方、1000sec/100cc以下とすることは、良好な充放電特性を得る観点から好ましい。ここで、透気度は後記の実施例の記載の方法により測定される。
なお、上記透気度は、延伸温度、延伸倍率の変更等により調節可能である。
本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材の平均孔径は、好ましくは0.15μm以下、より好ましくは0.1μm以下であり、下限として好ましくは0.01μm以上である。平均孔径を0.15μm以下とすることは、蓄電デバイス用セパレータとする場合に、蓄電デバイスの自己放電を抑制し、容量低下を抑制する観点から好適である。平均孔径は、ポリオレフィン多孔性基材を製造する際の延伸倍率の変更等により調節可能である。
本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材は、電池に用いたときの安全性の観点から、シャットダウン温度は、好ましくは120℃以上、200℃以下であり、より好ましくは165℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材の耐熱性の指標であるショート温度は、好ましくは140℃以上であり、より好ましくは150℃以上であり、さらに好ましくは160℃以上である。ショート温度を140℃以上とすることは、蓄電デバイス用セパレータとする場合に、蓄電デバイスの安全性の観点から好ましい。
本実施系におけるポリオレフィン多孔性基材の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下である。この膜厚を2μm以上とすることは、機械的強度を向上させる観点から好ましい。一方、この膜厚を100μm以下とすることは、電池におけるセパレータの占有体積が減るため、電池の高容量化に有利となる傾向があるため好ましい。なお、上記膜厚は、キャスト後の膜の厚み、延伸倍率の変更等により調整可能である。
〈ポリオレフィン多孔性基材の製造方法〉
本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材を製造する方法は、特に限定されず、公知の製造方法を採用することができる。例えば、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とを溶融混練してシート状に成形後、場合により延伸した後、可塑剤を抽出することにより多孔化させる方法;ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によってポリオレフィン結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法;ポリオレフィン樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート上に成形後、延伸によってポリオレフィンと無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法;ポリオレフィン樹脂組成物を溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法等が挙げられる。
以下、ポリオレフィン多孔性基材を製造する方法の一例として、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とを溶融混練してシート状に成形後、可塑剤を抽出する方法について説明する。
まず、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤を溶融混練する。溶融混練方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂及び必要によりその他の添加剤を、押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等の樹脂混練装置に投入し、樹脂成分を加熱溶融させながら任意の比率で可塑剤を導入して混練する方法が挙げられる。この際、ポリオレフィン樹脂、その他の添加剤及び可塑剤を樹脂混練装置に投入する前に、予めヘンシェルミキサー等を用い所定の割合で事前混練しておくことが好ましい。より好ましくは、事前混練において可塑剤の一部のみを投入し、残りの可塑剤を樹脂混練装置サイドフィードしながら混練することである。このようにすることにより、可塑剤の分散性を高め、後の工程で樹脂組成物と可塑剤の溶融混練合物のシート状成形体を延伸する際に、破膜することなく高倍率で延伸することができる。
可塑剤としては、ポリオレフィンの融点以上において均一溶液を形成しうる不揮発性溶媒を用いることができる。このような不揮発性溶媒の具体例として、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素類;フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のエステル類;オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。これらの中で、流動パラフィンは、ポリエチレン又はポリプロピレンとの相溶性が高く、溶融混練物を延伸しても樹脂と可塑剤の界面剥離が起こり難いので、均一な延伸が実施し易くなる傾向にあるため好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の比率は、これらを均一に溶融混練して、シート状に成形できる範囲であれば特に限定はない。例えば、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とから成る組成物中に占める可塑剤の質量分率は、好ましくは30〜80質量%、より好ましくは40〜70質量%である。可塑剤の質量分率が80質量%以下であると、溶融成形時のメルトテンションが不足し難く、成形性が向上する傾向にある。一方、質量分率が30質量%以上であると、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の混合物を高倍率で延伸してもポリオレフィン鎖の切断が起こらず、均一かつ微細な孔構造を形成し強度も増加しやすい。
次に、溶融混練物をシート状に成形する。シート状成形体を製造する方法としては、例えば、溶融混練物を、Tダイ等を介してシート状に押出し、熱伝導体に接触させて樹脂成分の結晶化温度より充分に低い温度まで冷却して固化する方法が挙げられる。冷却固化に用いられる熱伝導体としては、金属、水、空気、あるいは可塑剤自身等が使用できるが、金属製のロールが熱伝導の効率が高いため好ましい。この際、金属製のロールに接触させる際に、ロール間で挟み込むと、熱伝導の効率がさらに高まると共に、シートが配向して膜強度が増し、シートの表面平滑性も向上するためより好ましい。Tダイよりシート状に押出す際のダイリップ間隔は400μm以上3000μm以下であることが好ましく、500μm以上2500μm以下であることがさらに好ましい。ダイリップ間隔が400μm以上であると、メヤニ等が低減され、膜品位へ影響する欠点(例えば、スジ等)が少なく、その後の延伸工程において膜破断等を防ぐことができる傾向にある。一方、ダイリップ間隔が3000μm以下であると、冷却速度が速く冷却ムラを防げると共に、シートの厚み安定性を維持できる傾向にある。
このようにして得たシート状成形体を延伸することが好ましい。延伸処理としては、一軸延伸又は二軸延伸のいずれも好適に用いることができるが、得られる多孔膜の強度等の観点から二軸延伸が好ましい。シート状成形体を二軸方向に高倍率延伸すると、分子が面方向に配向し、最終的に得られる多孔膜が裂け難くなり、高い突刺強度を有するものとなる。延伸方法としては、例えば、同時二軸延伸、逐次二軸延、多段延伸、多数回延伸等の方法を挙げることができ、突刺強度の向上、延伸の均一性、シャットダウン性の観点から同時二軸延伸が好ましい。
なお、同時二軸延伸とは、MD方向(多孔性基材の機械方向)の延伸とTD方向(多孔性基材のMDを90°の角度で横切る方向)の延伸が同時に施される延伸方法をいい、各方向の延伸倍率は異なってもよい。逐次二軸延伸とは、MD方向、又はTD方向の延伸が独立して施される延伸方法をいい、MD方向又はTD方向に延伸がなされている際は、他方向は非拘束状態又は定長に固定されている状態とする。
延伸倍率は、面倍率で20倍以上100倍以下の範囲であることが好ましく、25倍以上50倍以下の範囲であることがさらに好ましい。各軸方向の延伸倍率は、MD方向に4倍以上10倍以下、TD方向に4倍以上10倍以下の範囲であることが好ましく、MD方向に5倍以上8倍以下、TD方向に5倍以上8倍以下の範囲であることがさらに好ましい。総面積倍率が20倍以上であると、得られる多孔膜に十分な強度を付与できる傾向にあり、一方、総面積倍率が100倍以下であると延伸工程における膜破断を防ぎ、高い生産性が得られる傾向にある。
また、シート状成形体を圧延してもよい。圧延は、例えば、ダブルベルトプレス機等を使用したプレス法にて実施することができる。圧延は特に表層部分の配向を増すことができる。圧延面倍率は1倍より大きく3倍以下であることが好ましく、1倍より大きく2倍以下であることがより好ましい。圧延倍率が1倍より大きいと、面配向が増加し最終的に得られる多孔膜の膜強度が増加する傾向にある。一方、圧延倍率が3倍以下であると、表層部分と中心内部の配向差が小さく、膜の厚さ方向に均一な多孔構造を形成することができる傾向にあるため好ましい。
次いで、シート状成形体から可塑剤を除去して多孔膜とする。可塑剤を除去する方法としては、例えば、抽出溶剤にシート状成形体を浸漬して可塑剤を抽出し、充分に乾燥させる方法が挙げられる。可塑剤を抽出する方法はバッチ式、連続式のいずれであってもよい。多孔膜の収縮を抑えるために、浸漬、乾燥の一連の工程中にシート状成形体の端部を拘束することが好ましい。また、多孔膜中の可塑剤残存量は1質量%未満にすることが好ましい。
抽出溶剤としては、ポリオレフィン樹脂に対して貧溶媒で、かつ可塑剤に対して良溶媒であり、沸点がポリオレフィン樹脂の融点より低いものを用いることが好ましい。このような抽出溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン等の非塩素系ハロゲン化溶剤;エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が挙げられる。なお、これらの抽出溶剤は、蒸留等の操作により回収して再利用してよい。
多孔膜の収縮を抑制するために、延伸工程後、又は、多孔膜形成後に熱固定又は熱緩和等の熱処理を行うこともできる。また、多孔膜に、界面活性剤等による親水化処理、電離性放射線等による架橋処理等の後処理を行ってもよい。放射線等による架橋処理等の後処理を行ってもよい。
[多孔層]
本実施形態では、蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材と熱可塑性ポリマー塗工層に加えて、無機フィラー又は有機フィラーと樹脂製バインダを含む多孔層を備えていてもよい。多孔層の位置は、ポリオレフィン多孔性基材表面の少なくとも一部、熱可塑性ポリマー塗工層表面の少なくとも一部、及び/又はポリオレフィン多孔性基材と熱可塑性ポリマー塗工層との間が挙げられる。前記多孔層はポリオレフィン多孔性基材の片面であっても両面に備えていてもよい。
〈無機フィラー〉
多孔層に使用する無機フィラーとしては、特に限定されないが、200℃以上の融点を持ち、電気絶縁性が高く、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス、ガラス繊維等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
上記の中でも、電気化学的安定性及び多層多孔膜の耐熱特性を向上させる観点から、アルミナ、水酸化酸化アルミニウム等の酸化アルミニウム化合物;又はカオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト等のイオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物が好ましい。前記酸化アルミニウム化合物としては、水酸化酸化アルミニウムが特に好ましい。イオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物としては、安価で入手も容易なため、カオリン鉱物で主に構成されているカオリンがより好ましい。カオリンには湿式カオリン及びこれを焼成処理した焼成カオリンがあるが、焼成カオリンは焼成処理の際に結晶水が放出されるのに加え、不純物が除去されるので、電気化学的安定性の点で特に好ましい。
〈有機フィラー〉
有機フィラーとしては、例えば、架橋ポリアクリル酸、架橋ポリアクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸、架橋ポリメタクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリシリコーン(ポリメチルシルセスキオキサン等)、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体架橋物、ポリイミド、ポリアミドイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物等の各種架橋高分子微粒子;ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリアセタール、熱可塑性ポリイミド等の耐熱性高分子微粒子等が例示できる。また、これらの有機微粒子を構成する有機樹脂(高分子)は、前記例示の材料の混合物、変性体、誘導体、共重合体(ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)、架橋体(前記の耐熱性高分子の場合)であってもよい。
これらの中でも、架橋ポリアクリル酸、架橋ポリアクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸、架橋ポリメタクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸メチル、および架橋ポリシリコーン(ポリメチルシルセスキオキサン等)、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミドから成る群より選ばれる1種以上の樹脂であることが好ましい。
フィラーの平均粒径は、0.1μmを超えて4.0μm以下であることが好ましく、0.2μmを超えて3.5μm以下であることがより好ましく、0.4μmを超えて3.0μm以下であることが更に好ましい。フィラーの平均粒径を上記範囲に調整することは、多孔層の厚さが薄い場合(例えば、7μm以下)であっても、高温での熱収縮を抑制する観点から好ましい。
フィラーにおいて、0.2μmを超えて1.4μm以下の粒径を有する粒子がフィラー全体に占める割合としては、好ましくは2体積%以上、より好ましくは3体積%以上、更に好ましくは5体積%以上であり、上限としては、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下である。
フィラーにおいて、0.2μmを超えて1.0μm以下の粒径を有する粒子が無機フィラー全体に占める割合としては、好ましくは1体積%以上、より好ましくは2体積%以上であり、上限としては、好ましくは80体積%以下、より好ましくは70体積%以下である。
フィラーにおいて、0.5μmを超えて2.0μm以下の粒径を有する粒子がフィラー全体に占める割合としては、好ましくは8体積%以上、より好ましくは10体積以上であり、上限としては、好ましくは60体積%以下、より好ましくは50体積%以下である。
更に、フィラーにおいて、0.6μmを超えて1.4μm以下の粒径を有する粒子がフィラー全体に占める割合としては、好ましくは1体積%以上、より好ましくは3体積%以上であり、上限としては、好ましくは40体積%以下、より好ましくは30体積%以下である。
フィラーの粒度分布を上記範囲に調整することは、多孔層の厚さが薄い場合(例えば、7μm以下)であっても、高温での熱収縮を抑制する観点から好ましい。なお、フィラーの粒径の割合を調整する方法としては、例えば、ボールミル・ビーズミル・ジェットミル等を用いて無機フィラーを粉砕し、粒径を小さくする方法等を挙げることができる。
フィラーの形状としては、板状、鱗片状、針状、柱状、球状、多面体状、塊状等が挙げられ、上記形状を有するフィラーを複数種組み合わせて用いてもよい。多層多孔膜とした際に、後述の150℃熱収縮を10%以下に抑制することが可能であれば、フィラーの形状は、特に限定されないが、透過性向上の観点からは複数の面から成る多面体状、柱状、紡錘状が好ましい。
フィラーが多孔層中に占める割合としては、フィラーの結着性、多層多孔膜の透過性及び耐熱性等の観点から適宜決定することができ、50質量%以上100質量%未満であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上99.99質量%以下、さらに好ましくは80質量%以上99.9質量%以下、特に好ましくは90質量%以上99質量%以下である。
〈樹脂製バインダ〉
樹脂製バインダの種類としては、特に限定されないが、本実施形態において蓄電デバイス用セパレータをリチウムイオン二次電池用セパレータとして使用する場合には、リチウムイオン二次電池の電解液に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定なものを用いることが好ましい。
樹脂製バインダの具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等の含フッ素ゴム;スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂等が挙げられる。
樹脂製バインダとしてポリビニルアルコールを使用する場合、そのケン化度は85%以上100%以下であることが好ましい。ケン化度が85%以上であると、多層多孔膜を電池用セパレータとして使用した際に、短絡する温度(ショート温度)が向上し、より良好な安全性能が得られる傾向にあるため好ましい。ケン化度は、より好ましくは90%以上100%以下、さらに好ましくは95%以上100%以下、特に好ましくは99%以上100%以下である。また、ポリビニルアルコールの重合度は、200以上5000以下であることが好ましく、より好ましくは300以上4000以下、さらに好ましくは500以上3500以下である。重合度が200以上であると、少量のポリビニルアルコールで焼成カオリン等の無機フィラーを多孔膜に強固に結着でき、多孔層の力学的強度を維持しながら多孔層形成による多層多孔膜の透気度増加を抑えることができる傾向にあるため好ましい。また、重合度が5000以下であると、塗布液を調製する際のゲル化等を防止できる傾向にあるため好ましい。
樹脂製バインダとしては、樹脂製ラテックスバインダが好ましい。樹脂製ラテックスバインダを用いた場合、フィラーとバインダとを含む多孔層をポリオレフィン多孔膜の少なくとも片面に積層した場合は、樹脂製バインダの一部又は全てを溶媒に溶解させた後に、得られた溶液をポリオレフィン多孔膜の少なくとも片面に積層し、貧溶媒への浸漬又は乾燥による溶媒除去等により樹脂製バインダを多孔膜に結着させた場合と比較して、イオン透過性が低下し難く、高出力特性が得られ易い傾向にある。加えて異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られ易い傾向にある。
樹脂製ラテックスバインダとしては、電気化学的安定性と結着性を向上させる観点から、脂肪族共役ジエン系単量体及び不飽和カルボン酸単量体、並びにこれらと共重合可能な他の単量体を乳化重合して得られるものが好ましい。乳化重合の方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。単量体及びその他の成分の添加方法については特に制限されるものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れも採用することができ、また、一段重合、二段重合又は多段階重合等の何れも採用することができる。
脂肪族共役ジエン系単量体としては、特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換及び側鎖共役ヘキサジエン類等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特に1,3−ブタジエンが好ましい。
不飽和カルボン酸単量体としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のモノ又はジカルボン酸(無水物)等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
これらと共重合可能な他の単量体としては、特に限定されず、例えば、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特に不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が好ましい。不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特にメチルメタクリレートが好ましい。
なお、これらの単量体に加えて様々な品質及び物性を改良するために、上記以外の単量体成分をさらに使用することもできる。
樹脂製バインダの平均粒径は、50〜500nmであることが好ましく、より好ましくは60〜460nm、更に好ましくは80〜250nmである。樹脂製バインダの平均粒径が50nm以上である場合、無機フィラーとバインダとを含む多孔層をポリオレフィン多孔膜の少なくとも片面に積層した際、イオン透過性が低下し難く高出力特性が得られ易い。加えて異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られ易い。樹脂製バインダの平均粒径が500nm以下である場合、良好な結着性を発現し、多層多孔膜とした場合に熱収縮が良好となり安全性に優れる傾向にある。
樹脂製バインダの平均粒径は、重合時間、重合温度、原料組成比、原料投入順序、pH等を調整することで制御することが可能である。
多孔層の層厚は、耐熱性、絶縁性を向上させる観点から1μm以上であることが好ましく、電池の高容量化と透過性を向上させる観点から50μm以下であることが好ましい。多孔層の層厚は、より好ましくは1.5μm以上20μm以下、さらに好ましくは2μm以上10μm以下、さらにより好ましくは3μm以上10μm以下、特に好ましくは3μm以上7μm以下である。
多孔層の層密度は、0.5〜2.0g/cmであることが好ましく、0.7〜1.5cmであることがより好ましい。多孔層の層密度が0.5g/cm以上であると、高温での熱収縮率が良好となる傾向にあり、2.0g/cm以下であると、透気度が低下する傾向にある。
〈多孔層の形成方法〉
多孔層の形成方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂を主成分とする多孔性基材の少なくとも片面に、無機フィラーと樹脂製バインダとを含む塗布液を塗布して多孔層を形成する方法を挙げることができる。
塗布液の溶媒としては、無機フィラー及び樹脂製バインダを均一かつ安定に分散できるものが好ましく、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、エタノール、トルエン、熱キシレン、塩化メチレン、ヘキサン等が挙げられる。
塗布液には、分散安定化又は塗工性の向上のために、界面活性剤等の分散剤;増粘剤;湿潤剤;消泡剤;酸、アルカリを含むpH調製剤等の各種添加剤を加えてもよい。これらの添加剤は、溶媒除去の際に除去できるものが好ましいが、リチウムイオン二次電池の使用範囲において電気化学的に安定で、電池反応を阻害せず、かつ200℃程度まで安定ならば多孔層内に残存してもよい。
フィラーと樹脂製バインダとを塗布液の溶媒に分散させる方法については、塗布工程に必要な塗布液の分散特性を実現できる方法であれば特に限定はない。例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。
塗布液を多孔膜に塗布する方法については、必要とする層厚又は塗布面積を実現できる方法であれば特に限定はなく、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法等が挙げられる。
塗布液の塗布に先立ち、多孔膜表面に表面処理を施すと、塗布液を塗布し易くなると共に、塗布後の無機フィラー含有多孔層と多孔膜表面との密着性が向上するため好ましい。表面処理の方法は、多孔膜の多孔質構造を著しく損なわない方法であれば特に限定はなく、例えば、コロナ放電処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、紫外線酸化法等が挙げられる。
塗布後に塗布膜から溶媒を除去する方法については、多孔膜に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はなく、例えば、多孔膜を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法等が挙げられる。多孔膜及び多層多孔膜のMD方向の収縮応力を制御する観点から、乾燥温度、捲回り張力等は適宜調整することが好ましい。
[セパレータ]
本実施形態では、セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー塗工層を有することにより、電極活物質との接着性に優れる。
熱可塑性ポリマー塗工層が存在するセパレータの最表面に対して、アルミニウム箔を、温度80℃及び圧力10MPaの条件下で3分間に亘ってプレスした場合、セパレータとアルミニウム箔との間の剥離強度(以下「加熱剥離強度」ともいう)が、9.8N/m(10gf/cm)以上であることが好ましく、15gf/cm以上であることがより好ましく、20gf/cm以上であることがさらに好ましい。
アルミニウム箔は電極集電体として一般的に使用されるので、加熱剥離強度の測定によって、加熱時のセパレータの電極に対する接着性を簡便に確認することができる。加熱剥離強度が10gf/cm以上であれば、蓄電デバイスの組立工程又は使用時に、電極とセパレータの剥離が低減され、蓄電デバイスの性能がより向上する。常温剥離強度及び加熱剥離強度は実施例に記載の方法により測定される。
本実施形態では、蓄電デバイス用セパレータの厚さ(すなわち、ポリオレフィン多孔性基材、熱可塑性ポリマー塗工層、任意の多孔層等を含むセパレータ全体の厚さ)は、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上であり、上限として好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下である。厚さを2μm以上とすることは、蓄電デバイス用セパレータの強度確保の観点から好適である。一方、100μm以下とすることは、良好な充放電特性を得る観点から好ましい。
本実施形態における蓄電デバイス用セパレータの透気度は、好ましくは10sec/100cc以上、より好ましくは50sec/100cc以上であり、上限として好ましくは10000sec/100cc以下、さらに好ましくは1000sec/100cc以下である。透気度を10sec/100cc以上とすることは、蓄電デバイス用セパレータとする場合に、蓄電デバイスの自己放電を一層抑制する観点から好適である。一方、10000sec/100cc以下とすることは、良好な充放電特性を得る観点から好ましい。蓄電デバイス用セパレータの透気度は、ポリオレフィン多孔性基材を製造する際の延伸温度、延伸倍率の変更、熱可塑性ポリマーの面積割合、存在形態等により調節可能である。
蓄電デバイス用セパレータは、耐熱性の指標であるショート温度が、好ましくは140℃以上であり、より好ましくは150℃以上であり、さらに好ましくは160℃以上である。ショート温度を160℃以上とすることは、蓄電デバイス用セパレータとする場合に、蓄電デバイスの安全性の観点から好ましい。
[熱可塑性ポリマー塗工層の形成方法]
ポリオレフィン多孔性基材上に熱可塑性ポリマーを形成する方法は、特に限定されず、例えば熱可塑性ポリマーを含有する塗布液をポリオレフィン多孔性基材に塗布する方法が挙げられる。
熱可塑性ポリマーを含有する塗布液を多孔膜に塗布する方法については、必要とする層厚又は塗布面積を実現できる方法であれば特に限定はない。例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、スプレーコーター塗布法、インクジェット塗布等が挙げられる。これらのうち、熱可塑性ポリマーの塗工形状の自由度が高く、好ましい面積割合を容易に得られる点でグラビアコーター法又はスプレー塗布法が好ましい。
塗布液の媒体としては、熱可塑性ポリマーの貧溶媒が好ましい。塗布液の媒体として熱可塑性ポリマーの貧溶媒を用いた場合には、ポリオレフィン多孔性基材に熱可塑性ポリマーを塗工する際に、塗布液が多孔性基材の内部にまで入り込んで熱可塑性ポリマーが孔の表面及び内部を埋めてしまい透過性が低下してしまうことを効果的に防止できる。このような媒体としては水が好ましい。また、水と併用可能な媒体は、特に限定されないが、エタノール、メタノール等を挙げることができる。
塗布に先立ち、多孔膜表面に表面処理をすると、塗布液を塗布し易くなると共に、多孔層と接着性ポリマーとの密着性が向上するため好ましい。表面処理の方法は、多孔膜の多孔質構造を著しく損なわない方法であれば特に限定はなく、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、紫外線酸化法等が挙げられる。
塗布後に塗布膜から溶媒を除去する方法については、多孔膜に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はない。例えば、多孔膜を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法、接着性ポリマーに対する貧溶媒に浸漬して接着性ポリマーを凝固させると同時に溶媒を抽出する方法等が挙げられる。
蓄電デバイス用セパレータは、捲回時のハンドリング性及び蓄電デバイスのレート特性が優れ、さらには、熱可塑性ポリマーとポリオレフィン多孔性基材との密着性及び透過性にも優れる。そのため、蓄電デバイス用セパレータの用途としては、特に限定されないが、例えば、非水電解液二次電池等の電池又はコンデンサー、キャパシタ等の蓄電デバイス用セパレータ、物質の分離等に好適に使用できる。
本実施形態に係るセパレータ捲回体は、上記の方法で得られたセパレータを、必要に応じてスリットした後、所定の巻き芯へ巻き取ることにより、製造される。セパレータ捲回体から巻き戻されたセパレータを、後述される積層体又は電池の製造に使用することもできる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて詳細に説明をするが、本発明は実施例に限定されるものではない。以下の製造例、実施例、及び比較例において使用した各種物性の測定方法や評価方法は、以下のとおりである。なお、特に記載のない限り各種測定および評価は室温23℃、1気圧、相対湿度50%の条件で行った。
[測定及び評価方法]
(1)ポリオレフィンの粘度平均分子量(以下、「Mv」ともいう。)
ASRM−D4020に準拠して、デカリン溶媒中における135℃での極限粘度[η](dl/g)を求めた。
ポリエチレンのMvは次式により算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67
ポリプロピレンのMvは次式より算出した。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
(2)膜厚(μm)
(2−1) ポリオレフィン多孔性基材、及び蓄電デバイス用セパレータの膜厚(μm)
ポリオレフィン多孔性基材、及び蓄電デバイス用セパレータから、各々、10cm×10cmのサンプルを切り出し、格子状に9箇所(3点×3点)を選んで、膜厚を微小測厚器(東洋精機製作所(株) タイプKBM)を用いて室温23±2℃で測定した。各々、9箇所の測定値の平均値を、ポリオレフィン多孔性基材、及び蓄電デバイス用セパレータの膜厚(μm)とした。
(2−2) 熱可塑性ポリマー被覆層の厚み(μm)
熱可塑性ポリマー被覆層の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用い、セパレータの断面観察により測定した。サンプルのセパレータを1.5mm×2.0mm程度に切り取り、ルテニウム染色した。ゼラチンカプセル内に染色サンプルとエタノールを入れ、液体窒素により凍結させた後、ハンマーでサンプルを割断した。サンプルをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、30,000倍にて観察し、熱可塑性ポリマー塗工層の厚みを算出した。なお、SEM画像にてポリオレフィン多孔性基材断面の多孔構造が見えない最表面領域を熱可塑性ポリマー被覆層の領域とした。
(3)ポリオレフィン多孔性基材の気孔率(%)
10cm×10cm角の試料をポリオレフィン多孔性基材から切り取り、その体積(cm)と質量(g)を求め、膜密度を0.95(g/cm)として次式を用いて計算した。
気孔率=(1−質量/体積/0.95)×100
なお、膜密度は0.95(g/cm)として算出した。
(4)透気度(sec/100cc)
JIS P−8117に準拠し、東洋精器(株)製のガーレー式透気度計、G−B2(商標)により測定した。
(5)突刺強度(g)
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES−G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーでポリオレフィン多孔性基材を固定した。次に固定されたポリオレフィン多孔性基材の中央部を、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secで、25℃雰囲気下にて突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として生の突刺強度(g)を得た。
(6)熱可塑性ポリマーのガラス転移温度
熱可塑性ポリマーの塗工液(不揮発分=38〜42%、pH=9.0)を、アルミ皿に適量とり、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後の乾燥皮膜約17mgを測定用アルミ容器に詰め、DSC測定装置(島津製作所社製、DSC6220)にて窒素雰囲気下におけるDSC曲線及びDDSC曲線を得た。なお測定条件は下記のとおりとした。
(1段目昇温プログラム)
70℃から毎分15℃の割合で昇温。110℃に到達後5分間維持。
(2段目降温プログラム)
110℃から毎分40℃の割合で降温。−50℃に到達後5分間維持。
(3段目昇温プログラム)
−50℃から毎分15℃の割合で130℃まで昇温。この3段目の昇温時にDSC及びDDSCのデータを取得。
そして、ベースライン(得られたDSC曲線におけるベースラインを高温側に延長した直線)と、変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)における接線との交点をガラス転移温度(Tg)とした。
(7)熱可塑性ポリマーのゲル分率(トルエン不溶分)
テフロン(登録商標)板上に、熱可塑性ポリマーの塗工液(不揮発分=38〜42%、pH=9.0)をスポイトで滴下し(直径5mm以下)、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後、乾燥皮膜を約0.5g精秤(a)し、それを50mLポリエチレン容器に取り、そこに30mLのトルエンを注ぎ入れ3時間室温で振とうした。その後、内容物を325メッシュでろ過し、メッシュ上に残ったトルエン不溶分をメッシュごと、130℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させた。なお、ここで使用する325メッシュはあらかじめその乾燥重量を量っておいた。
そして、トルエンを揮発させた後、トルエン不溶分の乾燥体と325メッシュの重量から、あらかじめ量っておいた325メッシュ重量を差し引くことでトルエン不溶分の乾燥重量(b)を得た。ゲル分率(トルエン不溶分)は、以下の計算式で算出した。
熱可塑性ポリマーのゲル分率(トルエン不溶分)=(b)/(a)×100 [%]
(8)熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度(倍)
熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマーを分散させた溶液を130℃のオーブン中に1時間静置した後、乾燥させた熱可塑性ポリマーを0.5gになるように切り取り、エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒10gと一緒に50mLのバイアル瓶に入れ、3時間浸透させた後、サンプルを取り出し、上記混合溶媒にて洗浄し、重量(Wa)を測定した。その後、150℃のオーブン中に1時間静置したあと重量(Wb)を測定し、以下の式より熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度を測定した。
熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度(倍)=(Wa−Wb)÷(Wb)
(9)熱可塑性ポリマーの平均粒径(nm)
熱可塑性ポリマーの平均粒径を、粒子径測定装置(日機装株式会社製、Microtrac UPA150)を使用し、測定した。測定条件としては、ローディングインデックス=0.15〜0.3、測定時間300秒とし、得られたデータにおける50%粒子径の数値を粒子径として記載した。
(10)熱可塑性ポリマー塗工層の目付(熱可塑性ポリマー塗工層の基材に対する担持量)
10cm×10cm角の試料を基材(ポリオレフィン多孔性基材又は、ポリオレフィン多孔性基材+無機フィラー多孔層)から切り取り、(株)島津製作所製の電子天秤AEL−200を用いて重量を測定した。得られた重量を100倍することで1m当りの基材膜の目付け(g/m)を算出した。次に、10cm×10cm角の試料をセパレータ(熱可塑性ポリマー塗工層+基材)から切り取り、(株)島津製作所製の電子天秤AEL−200を用いて質量を測定した。得られた質量を100倍することにより、1m当りのセパレータの目付(g/m)を算出した。1m当りのセパレータの目付(g/m)から1m当りの基材の目付(g/m)を減算することにより、1m当りの熱可塑性ポリマー塗工層の目付(熱可塑性ポリマー塗工層の基材に対する担持量、g/m)を算出した。
(11)捲回体のハンドリング性(最内層の剥離強度)
捲回体のハンドリング性は、最内層の剥離強度で評価した。捲回体を最内層まで繰出していき、最も内側のセパレータと前記最も内側のセパレータの上に捲回されたセパレータとが重なった状態で切り出してサンプルを得た。得られたサンプルは、MD方向に75mm、TD方向に20mmに切り出して測定用サンプルを作製した。測定用サンプルはセパレータ間の90°剥離強度を、(株)イマダ製のフォースゲージZP5N及びMX2−500N(製品名)を用いて、引張速度50mm/分で測定し、以下の基準で評価した。
◎(良好):最内層の剥離強度が3.0mN/mm未満
○(許容):最内層の剥離強度が3.0mN/mm以上7.0mN/mm未満
△(悪):最内層の剥離強度が7.0mN/mm以上10.0mN/mm未満
×(不可):最内層の剥離強度が10.0mN/mm以上
(12)加熱剥離強度
セパレータ及び被着体としての正極集電体(株式会社UACJ製箔、合金番号A1085、厚さ:20μm)を、それぞれ30mm×150mmに切り取り、重ね合わせて積層体を得た後に、積層体をテフロン(登録商標)シート(ニチアス株式会社製ナフロン(商標)PTFEシート TOMBO−No.9000)で挟んでサンプルを得た。得られた各サンプルについて、温度80℃及び圧力1MPaの条件下で、3分間に亘って積層方向にプレスを行うことによって試験用プレス体を得た。
得られた各試験用プレス体の基材又はセパレータと正極集電体との間の剥離強度を、株式会社島津製作所製オートグラフAG−IS型(商標)を用いて、JIS K6854−2に準じて引張速度200mm/分で測定した。剥離強度の値に基づいて、下記評価基準により電極との接着性を評価した。
評価基準
◎(優秀):15N/m以上
○(良好):9.8N/m以上15N/m未満
△(許容):5N/m以上9.8N/m未満
×(不良):5N/m未満
温度80℃及び圧力1MPaの条件下で、1分間に亘って積層方向にプレスした試験用プレス体の剥離強度が5N/m以上あると、生産性の良いデバイス作製をする点において好ましい。
(13)電極との接着性
セパレータと電極との接着性も以下の手順で評価した。
(負極の作製)
負極活物質として人造グラファイト96.9質量%、バインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%とスチレン−ブタジエンコポリマーラテックス1.7質量%を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、負極の活物質塗布量は106g/m、活物質嵩密度は1.35g/cmになるようにした。
(電極との接着性評価)
上記方法により得られた負極を幅20mm、長さ40mmにカットした。この電極上にエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを2:3の比率(体積比)にて混合した電解液(富山薬品工業製)を負極が浸る程度にたらし、この上にセパレータを重ねた。この積層体をアルミジップに入れ、80℃、1MPaの条件下で、2分間プレスを行った後、積層体を取り出し、セパレータを電極から剥がした。
(評価基準)
◎:セパレータの100%の面積に負極活物質が付着した場合。
○:セパレータの30%以上100%未満の面積に負極活物質が付着した場合。
△:セパレータの10%以上30%未満の面積に負極活物質が付着した場合。
×:セパレータの10%未満の面積に負極活物質が付着した場合。
(14)基材との接着性
セパレータの熱可塑性ポリマー被覆層に対し、幅12mm×長さ100mmのテープ(3M社製)を貼りつけた。テープを熱可塑性ポリマー被覆層とともに、基材(ポリオレフィン微多孔膜)から50mm/分の速度で剥がすときの力を90°剥離強度測定器(IMADA社製 製品名IP−5N)を用いて測定した。得られた測定結果に基づいて、下記評価基準で基材との接着力を評価した。
◎:6gf/mm以上
○:2gf/mm以上6gf/mm未満
△:2gf/mm未満
[製造例1−1A](ポリオレフィン微多孔膜1Aの製造)
粘度平均分子量(Mv)が70万のホモポリマーである高密度ポリエチレン45質量部と、Mvが30万のホモポリマーである高密度ポリエチレン45質量部と、粘度平均分子量が40万のホモポリマーであるポリプロピレン5質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリオレフィン混合物99質量部に、酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。押し出される全混合物中に占める流動パラフィンの割合が65質量部となるように、すなわち、ポリマー濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
次いで、それらを二軸押出機内で230℃に加熱しながら溶融混練し、得られた溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度80℃に制御された冷却ロール上に押し出し、その押出物を冷却ロールに接触させ成形(cast)して冷却固化することにより、シート状成形物を得た。このシートを同時二軸延伸機にて倍率7×6.4倍、温度112℃下で延伸した後、塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去後乾燥し、テンター延伸機にて温度130℃、横方向に2倍延伸した。その後、この延伸シートを幅方向に約10%緩和して熱処理を行い、表1に示すポリオレフィン微多孔膜1Aを得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜1Aについて、上記方法により物性を測定した。得られた結果を表1に示す。
[製造例1−2A](ポリオレフィン微多孔膜2Aの製造)
ポリオレフィン微多孔膜2Aとして、ポリプロピレン単層膜であるセルガードの型番「CG2500」(旭化成株式会社製)を用意した。使用した基材を表1に記す。
[製造例1−3A](ポリオレフィン微多孔膜3Aの製造)
水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.0μm)を96.0質量部、アクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)4.0質量部、及びポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)1.0質量部を、100質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製した。得られた塗布液をポリオレフィン樹脂多孔膜4Aの表面にマイクログラビアコーターを用いて塗布した。60℃にて乾燥して水を除去し、多孔層を2μmの厚さで形成して、微多孔膜3Aを得た。得られたポリオレフィン微多孔膜3Aを製造例1−1Aと同様に上記方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
[製造例1−4A](ポリオレフィン微多孔膜4Aの製造)
押し出し量を1/2に変更した以外は、ポリオレフィン微多孔膜1Aと同様の操作を行うことにより、ポリオレフィン微多孔膜4Aを得た。得られたポリオレフィン微多孔膜4Aを物性を表1に示す。
[製造例1−5A](ポリオレフィン微多孔膜5Aの製造)
以下の材料:
SiO「DM10C」(商標、トクヤマ社製)、
粘度平均分子量が70万の高密度ポリエチレン、
粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン、
粘度平均分子量40万のホモポリプロピレン、
可塑剤として、流動パラフィン、及び
酸化防止剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
をスーパーミキサーにて予備混合することにより、第一原料を調製した。
以下の原料:
粘度平均分子量が70万の高密度ポリエチレン、粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン、
粘度平均分子量40万のホモポリプロピレン、
可塑剤として、流動パラフィン、及び
酸化防止剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
をスーパーミキサーにて予備混合することにより、第二原料を調製した。
上記第一及び第二原料を、フィーダーにより2台の二軸同方向スクリュー式押出機のフィード口へ個別に供給した。このとき、各原料とともに、溶融混練して押し出される全溶融混練物中に占める可塑剤(流動パラフィン)の量比が60質量%となるように、流動パラフィンをそれぞれの二軸押出機シリンダーへサイドフィードした。
続いて、第一及び第二原料の溶融混練物を、それぞれ、ギアポンプ及び導管を経て、2種3層の共押出しが可能なTダイを通し、一対のロール間に押出した。このようにして、上記第一原料からなる第一層を表層とし、上記第二原料からなる第二層を中間層とするシート状の組成物(第一層−第二層−第一層)を得た。その後、延伸温度と緩和率の調整をしたこと以外は、ポリオレフィン微多孔膜1Aの製造例と同様の操作を行うことにより、ポリオレフィン微多孔膜5Aを得た。
Figure 2019009117
[製造例2−1B〜4B](アクリルエマルジョンの塗工液の製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、イオン交換水70.4部と「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)0.34部と「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液)0.34部を投入し、反応容器内部温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)を7.5部添加して、初期混合物を得た。
過硫酸アンモニウム水溶液(APS)を添加した5分後に、メタクリル酸メチル(MMA)71.5部、アクリル酸n−ブチル(BA)18.9部、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)2部、メタクリル酸(MAA)0.1部、アクリル酸(AA)0.1部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)2部、アクリルアミド(AM)5部、メタクリル酸グリシジル(GMA)0.4部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学工業株式会社製)0.4部、「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)3部、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液)3部、p−スチレンスルホン酸ナトリウム(NaSS)0.05部、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)7.5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3部、イオン交換水52部の混合物をホモミキサーにより5分間混合させて作製した乳化液を、滴下槽から反応容器に150分かけて滴下した。
乳化液の滴下終了後、反応容器内部温度を80℃に保ったまま90分間維持し、その後室温まで冷却した。得られたエマルジョンを、水酸化アンモニウム水溶液(25%水溶液)でpH=9.0に調整し、熱可塑性ポリマー含有塗布液1Bを得た。
モノマー及びその他使用原料の組成を、表2に記載のとおりに変更する以外は、2−1Bと同様にして、アクリル系コポリマーラテックスを得た(2−2B〜4B)。得られた1B〜4Bについて、上記方法により評価した。得られた結果を表2に記す。
[製造例2−5B]
水分散させたラテックス上のポリビニリデンフルオロイド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(HFP7mоl%、Tg:−30℃、50%平均粒径:150nm)(以下、水系PVdFとも言う。)をポリマー濃度30%で水に均一に分散させた原料ポリマー5Bを用意した。
Figure 2019009117
表2に記載の原料ポリマー1B〜4BのTgは全てFOXの式による概算値である。
表2中の略称は、それぞれ以下の材料を意味する。
MMA :メタクリル酸メチル
BA :アクリル酸n−ブチル
EHA :アクリル酸2−エチルヘキシル
MAA :メタクリル酸
AA :アクリル酸
HEMA :メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
AM :アクリルアミド
GMA :メタクリル酸グリシジル
NaSS :p−スチレンスルホン酸ナトリウム
A−TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
KH1025:アクアロンKH1025(登録商標、第一工業製薬株式会社製)
SR1025:アデカリアソープSR1025(登録商標、株式会社ADEKA製)
APS :過硫酸アンモニウム
[実施例1]
表2に記載の原料ポリマー1Bを表1に記載のポリオレフィン微多孔膜1Aの片面の表面にグラビアコーターを用いて塗工液を塗布し、60℃にて乾燥して塗工液の水を除去した。さらに、もう片面も同様に塗工液を塗布し、再度乾燥させることにより、ポリオレフィン微多孔膜の両面に熱可塑性ポリマーを有するセパレータの捲回体(実施例1A)を得た。得られたセパレータについて、上記方法により、評価した。得られた結果を表3及び4に示す。
[実施例2A〜14A及び16A〜18A、並びに比較例1A〜2A]
また、同様にして、実施例2A〜14A及び16A〜18A、比較例1Aの捲回体を得た。比較例2Aは捲回体を得られなかった。得られた結果を表3及び4に示す。
[実施例15A]
表2に記載の原料ポリマー1Bと4Bの固形分比率が1B:4B=80:20となるようにスラリーを調整し、それをポリオレフィン微多孔膜1Aに塗工した以外は、実施例1と同様にセパレータの捲回体(実施例15A)を得た。得られたセパレータについて、上記方法により、評価した。得られた結果を表3及び4に示す。
Figure 2019009117
Figure 2019009117
本実施形態に係る多孔膜の用途は、特に限定されないが、捲回時のハンドリング性及び蓄電デバイス用セパレータとしたときの蓄電デバイスのレート特性が優れ、さらには、熱可塑性ポリマーとポリオレフィン多孔性基材との接着性及び透過性にも優れるため、例えば、非水電解液二次電池等の電池やコンデンサー、キャパシタ等の蓄電デバイス用セパレータ、物質の分離等に好適に使用できる。

Claims (9)

  1. 蓄電デバイス用セパレータの捲回体であって、
    前記セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材と、前記基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー塗工層を有し、
    前記捲回体は、捲回数が1000回以上10000回以下であり、最内層におけるセパレータ間の剥離強度が0.5mN/mm以上10mN/mm以下である、蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
  2. 前記熱可塑性ポリマー塗工層が接着性を有する、請求項1に記載の蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
  3. 前記熱可塑性ポリマーの少なくとも一つのガラス転移温度が40℃以上である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
  4. 前記熱可塑性ポリマー塗工層に含まれる熱可塑性ポリマーの塗工目付が0.02g/m以上2.00g/m以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
  5. 前記熱可塑性ポリマー塗工層に含まれる熱可塑性ポリマーの塗工目付が0.02g/m以上1.00g/m以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
  6. 前記熱可塑性ポリマー塗工層の片面あたりの厚みが2.0μm以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
  7. 前記熱可塑性ポリマーが共役ジエン系ポリマー、アクリル系ポリマー、及びフッ素系ポリマーからなる群から選択される少なくとも一つを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
  8. 前記熱可塑性ポリマーが少なくとも(メタ)アクリレートモノマーをモノマー単位として含む共重合体を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータの捲回体。
  9. 蓄電デバイス用セパレータの捲回体の製造方法であって、前記方法は:
    ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー塗工層を付設して、セパレータを得ることと;
    前記セパレータを、20N/m以上70N/m以下の張力で、コアに1000回以上10000回以下捲回することとを含む、方法。
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