JP2023112590A - 蓄電池用セパレータ捲回体 - Google Patents

蓄電池用セパレータ捲回体 Download PDF

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Masaaki Okada
博 宮澤
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Abstract

【課題】本発明は、保管・輸送中の長時間に亘るブロッキングの抑制又は防止、スリット時における品位の維持、および蓄電デバイス特性を兼ね備えることができる、セパレータ輸送時に用いる樹脂シート、並びにセパレータ及び樹脂シートの捲回体又は積層体を提供することを目的とする。【解決手段】蓄電デバイス用セパレータ及び樹脂シートを捲回した捲回体であって、蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材と、前記ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー層とを有し、樹脂シートのMD引張弾性率が1000kgf/cm2以上15000kgf/cm2以下であり、かつ樹脂シートのMD引張弾性率に対する前記蓄電デバイス用セパレータのMD引張弾性率の比が0.35以上10.0以下である捲回体が提供される【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電デバイス用セパレータ(以下、単に「セパレータ」ともいう。)及び樹脂シートの捲回体などに関する。より詳細には、本発明は、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー層を有するセパレータを保管・輸送する時に用いる樹脂シート、セパレータ及び樹脂シートの捲回体又は積層体などに関する。
リチウムイオン電池を中心とした非水電解液電池の開発が活発に行われている。通常、非水電解液電池には、多孔質材料、例えば微多孔膜を基材として有するセパレータが正負極間に設けられている。このようなセパレータは、正負極間の直接的な接触を防ぎ、微多孔中に保持した電解液を通じイオンを透過させる機能を有する。
近年、ポータブル機器の小型化、薄型化により、リチウムイオン二次電池などの蓄電デバイスにも小型化、薄型化が求められている。一方で、長時間携帯することを可能にするために、蓄電デバイスの体積エネルギー密度を向上させることによる高容量化も図られている。
従来から、セパレータには、異常加熱した場合に速やかに電池反応が停止される特性(ヒューズ特性)、及び高温になっても形状を維持して正極物質と負極物質とが直接反応する危険な事態を防止する性能(ショート特性)等の、安全性に関する性能が求められてきた。近年では、これらの安全性能に加えて、充放電電流の均一化、リチウムデンドライト抑制の観点から、セパレータと電極との接着性の向上が求められている。
非水電解液電池のサイクル特性または安全性、およびセパレータと電極との接着性を向上するために、多孔質膜上に、接着剤を担持したり、接着性ポリマー層または熱可塑性ポリマー層などの機能性多孔層を配置したりすることにより接着性または機能性を付与したセパレータが提案されている。接着性または機能性セパレータの形成および捲回については、更なる改良が検討されている(特許文献1,2)。
セパレータの捲回体を製造した場合、セパレータのコアへの捲回数が増加するにつれて、捲回体の内層に位置するセパレータへ掛かる圧力が高まり、熱可塑性ポリマー同士及び/又は熱可塑性ポリマーと基材とが貼り付いてしまうことがあった。このような現象は一般に「ブロッキング」と呼ばれる。ブロッキングにより、捲回体の内層側のセパレータを繰り出すことが困難となり、ハンドリング性が著しく損なわれることがあった。
例えば、特許文献1には、接着性セパレータのブロッキングによって多孔層を物理的に損なうことがなく、かつ湿潤時接着性と乾燥時接着性を兼ね備えるという観点から、ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面にフッ素樹脂含有多孔質層を備えたセパレータと、無機粒子及び熱可塑性樹脂を含むフィルムとを積層して捲回した積層捲回体において、フィルム表面の熱可塑性樹脂に由来する線状オリゴマー量を30μg/m以下にすることが記述されている。
また、特許文献2には、セパレータ基材上に機能層を転写するに際し、機能層を離型基材から容易に剥離しつつ、セパレータ基材に良好に接着させ得るという観点、そのようにして得られた非水系二次電池用積層体の捲回の観点、およびセパレータと他の電池部材との接着性の観点から、離型基材と、離型基材の一方の表面上にドット状に形成された結着材含有機能層とを備える非水系二次電池用積層体が提案されている。特許文献2には、非水系二次電池用部材の製造において、非水系二次電池用積層体の結着材含有機能層側を別の電池用基材と接着させてから、離型基材を非水系二次電池用積層体から剥離することも記述されている。
国際公開第2018/021398号 国際公開第2019/039357号
しかしながら、特許文献1に記載されているようなセパレータを含む積層捲回体、並びに特許文献2に記載されているような離型基材表面にドット状に形成された結着材含有機能層を有する非水系二次電池用積層体を用いて得られるセパレータの捲回体は、保管・輸送中の長時間に亘るブロッキングの抑制又は防止、セパレータおよびフィルムのスリット時における品位(例えば、異物混入の程度、走行性、シワの有無など)の維持、およびセパレータを含む蓄電デバイスのデバイス特性を兼ね備えるものではなかった。
本発明は、上記問題点に鑑みて、保管・輸送中の長時間に亘るブロッキングの抑制又は防止、スリット時における品位の維持、および蓄電デバイス特性を兼ね備えることができる、セパレータ輸送時に用いる樹脂シート、並びにセパレータ及び樹脂シートの捲回体又は積層体を提供することを目的とする。
上記課題は、次の技術的手段により解決されることができる。
(1) 蓄電デバイス用セパレータ及び樹脂シートを捲回した捲回体であって、
前記蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材と、前記ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー層とを有し、
前記樹脂シートのMD引張弾性率が1000kgf/cm以上15000kgf/cm以下であり、かつ
前記樹脂シートのMD引張弾性率に対する前記蓄電デバイス用セパレータのMD引張弾性率の比が0.35以上10.0以下である、捲回体。
(2) 前記蓄電デバイス用セパレータと前記樹脂シートとの剥離強度が0.1N/m以上10.0N/m以下であり、かつ前記セパレータと電極との乾燥状態での接着強度が1.0N/m以上である、項目(1)に記載の捲回体。
(3) 前記樹脂シートの目付換算突刺強度が50gf/g/m以上である、項目(1)又は(2)に記載の捲回体。
(4) 前記捲回体において、内層10%におけるロール中心方向への内圧が5MPa以下である、項目(1)~(3)の何れか1項に記載の捲回体。
(5) 前記樹脂シートの裏表面の表面自由エネルギーのうち、表面自由エネルギーの最高値が40mJ/m以下である、項目(1)~(4)の何れか1項に記載の捲回体。
(6) 前記樹脂シートの裏表面の平滑度のうち、平滑度の最低値が2000秒/10cm以上である、項目(1)~(5)の何れか1項に記載の捲回体。
(7) 前記蓄電デバイス用セパレータの裏表面の平滑度のうち、平滑度の最低値が10000秒/10cm以上である、項目(1)~(6)の何れか1項に記載の捲回体。
(8) 前記樹脂シートの突刺強度に対する前記蓄電デバイス用セパレータの突刺強度の比が0.12以上2.0以下である、項目(1)~(7)の何れか1項に記載の捲回体。
(9) 前記熱可塑性ポリマー層の主成分がアクリル樹脂である、項目(1)~(8)の何れか1項に記載の捲回体。
(10) 前記蓄電デバイス用セパレータの透気度が200秒/100cm以下である、項目(1)~(9)の何れか1項に記載の捲回体。
(11) 前記熱可塑性ポリマー層は、転写法を用いないで前記ポリオレフィン多孔性基材に付設されている、項目(1)~(10)の何れか1項に記載の捲回体。
(12) 蓄電デバイス用セパレータを輸送する時に用いる樹脂シートであって、
前記蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材と、前記ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー層とを有し、
前記樹脂シートのMD引張弾性率が1000kgf/cm以上15000kgf/cm以下であり、
前記樹脂シートのMD引張弾性率に対する前記セパレータのMD引張弾性率の比が0.35以上10.0以下の関係になる樹脂シート。
(13) 前記蓄電デバイス用セパレータと前記樹脂シートとの剥離強度が0.1N/m以上10.0N/m以下の関係になる、項目(12)に記載の樹脂シート。
(14) 蓄電デバイス用セパレータ及び樹脂シートを積層した積層体であって、
前記蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材と、前記ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー層を有し、
前記樹脂シートのMD引張弾性率が1000kgf/cm以上15000kgf/cm以下であり、
前記樹脂シートのMD引張弾性率に対する前記蓄電デバイス用セパレータのMD引張弾性率の比が0.35以上10.0以下である、積層体。
本発明によれば、蓄電デバイス用セパレータの保管・輸送中に長時間に亘ってブロッキングを抑制又は防止することができ、セパレータのスリット時にセパレータの品位を維持することができ、かつセパレータを含む蓄電デバイスのデバイス特性を確保することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本開示の一態様は、蓄電デバイス用セパレータ及び樹脂シートの積層及び/又は捲回により構成される積層体又は捲回体に関する。第一の実施形態では、蓄電デバイス用セパレータ及び樹脂シートの捲回体が提供され、そして第二の実施形態では蓄電デバイス用セパレータ及び樹脂シートの積層体が提供される。
別の態様は、蓄電デバイス用セパレータの輸送及び/又は保管に関する。第三の実施形態では、蓄電デバイス用セパレータを輸送する時に用いる樹脂シートが提供され、そして第四の実施形態では、それを用いる蓄電デバイス用セパレータの輸送及び/又は保管方法が提供される。
本開示では、MDは、ポリオレフィン多孔性基材の機械方向に平行な方向を意味する。TDは、MDを90°の角度で横切る方向を意味する。
本開示では、「主成分」とは、50質量%以上を構成する成分をいう。
<蓄電デバイス用セパレータ及び樹脂シートを捲回した捲回体>
第一の実施形態に係る捲回体は、蓄電デバイス用セパレータ及び樹脂シートを捲回して成り、かつセパレータの構成、樹脂シートのMD引張弾性率、及び樹脂シートのMD引張弾性率に対する蓄電デバイス用セパレータのMD引張弾性率の比が特定される。
第一の実施形態に係る捲回体は、セパレータが、ポリオレフィン多孔性基材と、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー層とを有し、そして樹脂シートのMD引張弾性率が1000kgf/cm以上15000kgf/cm以下であり、かつ樹脂シートのMD引張弾性率に対するセパレータのMD引張弾性率の比(MD引張弾性率セパレータ/MD引張弾性率樹脂シート)が0.35以上10.0以下であることによって、熱可塑性ポリマー層を有するセパレータの保管・輸送中に長時間に亘ってブロッキングを抑制又は防止することができ、かつ捲回体又はそれから繰り出されたセパレータのスリット時における品位を維持することができ、ひいては、セパレータを備える蓄電デバイスの特性の確保又は向上を可能にする。
第一の実施形態では、セパレータの保管時間及び/又は輸送時間は、本発明の効果を適切に奏するという観点から、1時間以上1000日以下であることが好ましく、365日以下であることがより好ましい。保管及び輸送中の温度は、60℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。保管および輸送中の相対湿度は、95rh%以下が好ましく、90rh%以下がより好ましい。スリット時の品位は、例えば、スリットロール又はスリットされたセパレータへの異物混入の程度、繰出及び/又はスリット時のセパレータの走行性、スリット後のセパレータのシワの有無などである。
第一の実施形態に係る捲回体は、所望により、セパレータ及び樹脂シートを捲き付けるための巻芯(「コア」ともいう)を備えてよい。コア上に少なくともセパレータをMDに任意の捲回数連続して巻き取ったときには、得られる捲回体のセパレータの捲回数は、50回以上であることが好ましく、500回以上であることがより好ましく、1000回以上20000回以下であることが更に好ましい。捲回数が50回以上であることで、捲き締り等による変形が起こり易い長尺セパレータでさえもブロッキングを抑制又は防止し得る。
捲回体においてセパレータと樹脂シートとの剥離強度は、捲回体からのセパレータの捲き出し性およびセパレータのスリット時の品位の観点から、0.1N/m以上10.0N/m以下であることが好ましく、0.4N/m以上9.0N/m以下であることがより好ましく、0.6N/m以上8.0N/m以下が更に好ましい。
捲回体において、内層10%におけるロール中心方向への内圧は、ブロッキングが発生し難い条件下での保管又は輸送という観点から、5MPa以下であることが好ましく、4MPa以下であることがより好ましく、0MPa以上4MPa以下であることが更に好ましい。ここでの「内層10%」とは、捲回体を側面観察したときに、捲回体の中心から、又はコアがあるときにはコアに接する最内層から、最外層に向かって捲厚方向に10%までの領域を意味する。また、「ロール中心方向への内圧」とは、捲回体を側面観察したときに、捲回体の内層10%の領域から中心方向又は最内層方向への内圧を意味する。
捲回体において、樹脂シートの突刺強度に対するセパレータの突刺強度の比(突刺強度セパレータ/突刺強度樹脂シート)は、0.12以上2.0以下であることが好ましく、0.14以上1.8以下であることがより好ましい。捲回体において比(突刺強度セパレータ/突刺強度樹脂シート)が上記の数値範囲内にあると、捲回体のスリット時に樹脂シートとセパレータのコシが適度につり合い、セパレータにシワが入り難くなる傾向にある。
<蓄電デバイス用セパレータ及び樹脂シートを積層した積層体>
第二の実施形態に係る積層体は、蓄電デバイス用セパレータ及び樹脂シートを積層して成り、かつセパレータの構成、樹脂シートのMD引張弾性率、及び樹脂シートのMD引張弾性率に対する蓄電デバイス用セパレータのMD引張弾性率の比が特定される。
第二の実施形態に係る積層体は、セパレータが、ポリオレフィン多孔性基材と、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー層とを有し、そして樹脂シートのMD引張弾性率が1000kgf/cm以上15000kgf/cm以下であり、かつ比(MD引張弾性率セパレータ/MD引張弾性率樹脂シート)が0.35以上10.0以下であることによって、熱可塑性ポリマー層を有するセパレータの保管・輸送中に長時間に亘ってブロッキングを抑制又は防止することができ、かつセパレータの捲回、捲き出し、スリット時などにおける品位を維持することができ、ひいては、セパレータを備える蓄電デバイスの特性の確保又は向上を可能にする。
第二の実施形態では、セパレータの保管時間及び/又は輸送時間は、本発明の効果を適切に奏するという観点から1時間以上1000日以下であることが好ましく、365日以下であることがより好ましい。保管及び輸送中の温度は、60℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。保管および輸送中の相対湿度は、95rh%以下が好ましく、90rh%以下がより好ましい。捲回、捲き出し、スリット時などにおける品位は、例えば、積層体を捲回して成る捲回体への異物混入の程度、スリットロール又はスリットされたセパレータへの異物混入の程度、積層体からのセパレータ又は樹脂シートの剥離時のセパレータの走行性、セパレータのスリット時のセパレータの走行性、スリット後のセパレータのシワの有無などである。
積層体においてセパレータと樹脂シートとの剥離強度は、積層体からのセパレータの剥離性およびセパレータのスリット時の品位の観点から、0.1N/m以上10.0N/m以下であることが好ましく、0.4N/m以上9.0N/m以下であることがより好ましく、0.6N/m以上8.0N/m以下が更に好ましい。
積層体において、比(突刺強度セパレータ/突刺強度樹脂シート)は、0.12以上2.0以下であることが好ましく、0.14以上1.8以下であることがより好ましい。積層体において比(突刺強度セパレータ/突刺強度樹脂シート)が上記の数値範囲内にあると、積層体のスリット時に樹脂シートとセパレータのコシが適度につり合い、セパレータにシワが入り難くなる傾向にある。
第一の実施形態に係る捲回体および第二の実施形態に係る積層体について、それらの製造方法、共通する構成、好ましい構成などを以下に説明する。
(蓄電デバイス用セパレータ及び樹脂シートの積層及び/又は捲回方法)
第一の実施形態に係る捲回体の製造方法は、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマー層を付設してセパレータを得る工程と;上記セパレータと樹脂シートとを積層する積層工程と;上記セパレータと上記樹脂シートとを捲回する捲回工程とを含む。
セパレータ及び樹脂シートの積層及び/又は捲回方法は、セパレータへの異物混入を抑制又は防止して製造コストを抑えるという観点から、転写法を用いないことが好ましく、セパレータの取得工程、積層工程および捲回工程のいずれか又は全てにおいて、転写法を用いないことがより好ましい。ここで、転写法は、ポリオレフィン多孔性基材に熱可塑性ポリマー層を付設するために用いられることを意味し、例えば、熱可塑性ポリマー層のみを樹脂シート上に又は別の部材上に予め形成しておいて、樹脂シート又は別の部材からポリオレフィン多孔性基材へ熱可塑性ポリマー層を転写する方法を含むものとする。
セパレータの取得工程は、セパレータの製造方法でよく、ポリオレフィン多孔性基材の製造方法、熱可塑性ポリマー層の形成方法、および多孔層の形成方法を含むものとして後述される。
セパレータと樹脂シートとの積層工程は、既知の方法により行われてよく、例えば、両者の重ね合わせ、貼り合わせ、圧縮、接着、ラミネート、咬合、別の部品を介した結合などにより行われることができ、転写法を用いないことが好ましい。積層工程を行なうことにより第二の実施形態に係る積層体を製造することもできる。
積層工程と捲回工程とは、同時に行うことができ、又は個別に若しくは逐次に行うことができる。例えば、ロール to ロール方式により、個別に繰り出されたセパレータ及び樹脂シートを積層しながらコアに捲き取って、捲回体を形成してよい。代替的には、シート状態のセパレータと樹脂シートとを積層して積層体を形成しておいて、その後、所望により積層体を捲回して、捲回体を形成してよい。
セパレータと樹脂シートとの捲回工程は、一般的にはMDに沿って、両者をコアに、例えば50回以上20000回以下捲回することにより行われることができる。捲回工程におけるセパレータの張力は、好ましくは10N/m以上100N/m以下であり、より好ましくは20N/m以上70N/mである。捲回張力が10N/m以上であることで、捲回体内に適度な接着力が発現し、捲回体作製時の巻ズレを抑制することができ、また捲回されたセパレータにシワが発生することが少なくなる。また、捲回張力が100N/m以下であることで、電極-セパレータ積層体作製時に、捲回体からセパレータを良好に繰り出すことができる。
捲回工程は、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマー層を付設した後から、電極-セパレータ積層体を作製する前までの間に行われることができる。
捲回工程では、セパレータ及び樹脂シートを含む捲回体からセパレータを更に繰り出してコアに捲き取って、セパレータのみの捲回体を得てよい。
セパレータを捲き取るためのコア、又はセパレータ及び樹脂シートを捲き取るためのコアは、その材料について特に限定されない。コアの材料としては、例えば、紙、樹脂、金属、及びそれらの組み合わせを使用することができる。コアの形状は、セパレータ及び/又は樹脂シートを捲き取ることができればよく、典型的には円筒形である。コアの外径は3インチ(すなわち76.2mm)、6インチ、8インチ、10インチなどが挙げられるが、特に限定されない。コアの内径も同様に3インチ、6インチ、8インチ、10インチなどが挙げられるが、特に限定されない。外周部と内周部との空間はコアの材料で満たされていてもよく、スポーク構造等のように一部に空間を有していてもよい。コアの幅は、セパレータ又は樹脂シートの幅以上であれば特に限定されない。
セパレータの捲回体は、必要に応じてスリットに供してよく、その後、所定のコアへ捲き取ることにより、スリットロールを製造することができる。セパレータ捲回体から捲き戻されたセパレータを、積層体又は電池の製造に使用することもできる。
(蓄電デバイス用セパレータ)
蓄電デバイス用セパレータは:
ポリオレフィン多孔性基材(以下、「基材」と略記することがある)と;
基材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された、熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー層と;
所望により、多孔層と;
を含む。
セパレータは、基材の少なくとも片面の少なくとも一部に、熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー層を有することにより、電極又は電極活物質との接着性に優れる。所望により、セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に多孔層があり、その多孔層の上に熱可塑性ポリマー層があるような構成を有してよい。
セパレータにおいて、熱可塑性ポリマー層は、輸送及び/又は保管時のブロッキングの抑制又は防止、スリット時の品位の維持、並びに蓄電デバイス特性の観点から、転写法を用いないで基材に付設されていることが好ましい。
基材、熱可塑性ポリマー層、及び多孔層について、それぞれ以下に説明する。
(ポリオレフィン多孔性基材)
ポリオレフィン多孔性基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂を含有するポリオレフィン樹脂組成物から構成される微多孔膜であることが好ましく、ポリオレフィン樹脂を主成分とする微多孔膜であることがより好ましい。ポリオレフィン多孔性基材中のポリオレフィン樹脂の含有量は特に限定されないが、蓄電デバイス用セパレータとして用いた場合のシャットダウン性能等の点から、基材を構成する全成分の質量分率の50%以上100%以下をポリオレフィン樹脂が占める、ポリオレフィン樹脂組成物から構成される多孔性基材であることが好ましい。基材中、ポリオレフィン樹脂が占める割合は60質量%以上100質量%以下がより好ましく、70質量%以上100質量%以下であることが更に好ましい。
(ポリオレフィン樹脂)
ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、通常の押出、射出、インフレーション、及びブロー成形等に使用するポリオレフィン樹脂、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、及び1-オクテン等のホモポリマー及びコポリマー、多段ポリマー等を使用することができる。また、これらのホモポリマー及びコポリマー、多段ポリマーから成る群から選ばれるポリオレフィンを、単独で、もしくは混合して使用することもできる。
ポリエチレンは、蓄電デバイス用セパレータを形成するための基材の材料として、低融点であり、かつ高強度であることから、ポリエチレンを主成分とする樹脂を使用することが好ましい。
ポリオレフィン樹脂の代表例としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、エチレン-プロピレンランダムコポリマー、ポリブテン、エチレンプロピレンラバー等が挙げられる。
ここで、ポリプロピレンの立体構造に限定はなく、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン及びアタクティックポリプロピレンのいずれでもよい。
ポリオレフィン樹脂組成物中の総ポリオレフィンに対するポリプロピレンの割合は、特に限定されないが、耐熱性と良好なシャットダウン機能の両立の観点から、0~35質量%であることが好ましく、より好ましくは3~20質量%、さらに好ましくは4~10質量%である。
この場合、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂としては、限定されないが、例えば、エチレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のオレフィン炭化水素のホモポリマー又はコポリマーが挙げられる。具体的には、ポリエチレン、ポリブテン、エチレン-プロピレンランダムコポリマー等が挙げられる。
多孔性基材の孔が熱溶融により閉塞するシャットダウン特性の点から、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂として、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等のポリエチレンを用いることが好ましい。これらの中でも、強度の観点から、JIS K 7112に従って測定した密度が0.93g/cm以上であるポリエチレンを使用することがより好ましい。
ポリオレフィン多孔性基材を構成するポリオレフィン樹脂の粘度平均分子量は、特に限定されないが、3万以上1200万以下であることが好ましく、より好ましくは5万以上200万未満、さらに好ましくは10万以上100万未満である。粘度平均分子量が3万以上であると、溶融成形の際のメルトテンションが大きくなり成形性が良好になると共に、ポリマー同士の絡み合いにより高強度となる傾向にあるため好ましい。一方、粘度平均分子量が1200万以下であると、均一に溶融混練をすることが容易となり、シートの成形性、特に厚み安定性に優れる傾向にあるため好ましい。さらに、粘度平均分子量が100万未満であると、温度上昇時に孔を閉塞し易く、良好なシャットダウン機能が得られる傾向にあるため好ましい。なお、例えば、粘度平均分子量100万未満のポリオレフィンを単独で使用する代わりに、粘度平均分子量200万のポリオレフィンと粘度平均分子量27万のポリオレフィンの混合物であって、その粘度平均分子量が100万未満の混合物を用いてもよい。
ポリオレフィン多孔性基材は、任意の添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン以外のポリマー;無機粒子;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。
これらの添加剤の合計含有量は、ポリオレフィン樹脂組成物100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
(ポリオレフィン多孔性基材の物性)
ポリオレフィン多孔性基材の目付は、特に限定されないが、下限について、好ましくは0.5g/m以上であり、より好ましくは1.0g/m以上であり、更に好ましくは1.5g/m以上であり、そして上限について、好ましくは10.0g/m以下であり、より好ましくは8.0g/m以下であり、更に好ましくは6.5g/m以下である。目付が0.5g/m以上であることは、電池として用いられる際に十分なシャットダウン機能を発揮する観点から好ましい。一方、目付が10.0g/m以下であることは、蓄電デバイスの質量エネルギー密度を向上させサイクル特性等の性能を高める観点から好ましい。
なお、上記目付は、可塑剤の質量分率、ダイリップ間隔、延伸倍率を調整する等により調節可能である。
ポリオレフィン多孔性基材の膜厚は、特に限定されないが、下限については、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、更に好ましくは3.0μm以上であり、そして上限については、好ましくは30.0μm以下、より好ましくは20.0μm以下、更に好ましくは15.0μm以下である。膜厚が0.5μm以上であることは、正極及び/又は負極の活物質の凹凸によって短絡する懸念を抑制する観点から好ましい。一方、膜厚が30.0μm以下であることは、蓄電デバイスの体積エネルギー密度を高める観点から好ましい。
なお、上記膜厚は、可塑剤の質量分率、ダイリップ間隔、延伸倍率を調整する等により調節可能である。
ポリオレフィン多孔性基材の突刺強度は、特に限定されないが、下限について、好ましくは50gf以上、より好ましくは100gf以上、更に好ましくは130gf以上であり、そして上限について、好ましくは1000gf以下であり、より好ましくは800gf以下であり、更に好ましくは600gf以下である。突刺強度が50gf以上であることは、電池捲回時における脱落した活物質等による破膜を抑制する観点から好ましく、また、充放電に伴う電極の膨張収縮によって短絡する懸念を抑制する観点からも好ましい。一方、突刺強度を1000gf以下とすることは、加熱時の配向緩和による幅収縮を低減できる観点から好ましい。
なお、上記突刺強度は、延伸倍率、延伸温度を調整する等により調節可能である。
ポリオレフィン多孔性基材の目付換算強度は、特に限定されないが、下限について、好ましくは30gf/g/m以上であり、より好ましくは40gf/g/m以上であり、更に好ましくは50gf/g/m以上であり、そして上限について、好ましくは200gf/g/m以下であり、より好ましくは150gf/g/m以下であり、更に好ましくは120gf/g/m以下である。目付換算強度が30gf/g/m以上であることは、電池捲回時における脱落した活物質等による破膜を抑制する観点から好ましく、また、充放電に伴う電極の膨張収縮によって短絡する懸念を抑制する観点からも好ましい。一方、目付換算強度が200gfg/m以下であることは、加熱時の配向緩和による幅収縮を低減できる観点から好ましい。
なお、上記目付換算突刺強度は、可塑剤の質量分率、ダイリップ間隔、延伸倍率、延伸温度を調整する等により調節可能である。
ポリオレフィン多孔性基材の気孔率は、特に限定されないが、好ましくは20%以上、より好ましくは35%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下である。気孔率を20%以上とすることは、セパレータの透過性を確保する観点から好ましい。一方、90%以下とすることは、突刺強さを確保する観点から好ましい。ここで、気孔率は後記の実施例の記載の方法により測定される。
なお、気孔率は、延伸倍率の変更等により調節可能である。
ポリオレフィン多孔性基材の透気度は、特に限定されないが、下限について、好ましくは10秒/100cm以上、より好ましくは50秒/100cm以上であり、そして上限について、好ましくは500秒/100cm以下、より好ましくは300秒/100cm以下、更に好ましくは150秒/100cmである。透気度を10秒/100cm以上とすることは、蓄電デバイスの自己放電を抑制する観点から好ましい。一方、透気度を500秒/100cm以下とすることは、良好な充放電特性を得る観点から好ましい。ここで、透気度は後記の実施例の記載の方法により測定される。
なお、上記透気度は、延伸温度、延伸倍率の変更等により調節可能である。
ポリオレフィン多孔性基材の平均孔径は、好ましくは0.15μm以下、より好ましくは0.1μm以下であり、下限として好ましくは0.01μm以上である。平均孔径を0.15μm以下とすることは、蓄電デバイス用セパレータとする場合に、蓄電デバイスの自己放電を抑制し、容量低下を抑制し、サイクル特性を良化させる観点から好適である。平均孔径は、ポリオレフィン多孔性基材を製造する際の延伸倍率の変更等により調節可能である。
ポリオレフィン多孔性基材は、電池に用いたときの安全性の観点から、シャットダウン温度は、好ましくは120℃以上、200℃以下であり、より好ましくは165℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
ポリオレフィン多孔性基材の耐熱性の指標であるショート温度は、好ましくは140℃以上であり、より好ましくは150℃以上であり、さらに好ましくは160℃以上である。ショート温度を140℃以上とすることは、蓄電デバイス用セパレータとする場合に、蓄電デバイスの安全性の観点から好ましい。
(ポリオレフィン多孔性基材の製造方法)
ポリオレフィン多孔性基材を製造する方法は、特に限定されず、公知の製造方法を採用することができる。例えば、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とを溶融混練してシート状に成形後、場合により延伸した後、可塑剤を抽出することにより多孔化させる方法;ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によってポリオレフィン結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法;ポリオレフィン樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート上に成形後、延伸によってポリオレフィンと無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法;ポリオレフィン樹脂組成物を溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法等が挙げられる。
以下、ポリオレフィン多孔性基材を製造する方法の一例として、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とを溶融混練してシート状に成形後、可塑剤を抽出する方法について説明する。
まず、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤を溶融混練する。溶融混練方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂及び必要によりその他の添加剤を、押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等の樹脂混練装置に投入し、樹脂成分を加熱溶融させながら任意の比率で可塑剤を導入して混練する方法が挙げられる。この際、ポリオレフィン樹脂、その他の添加剤及び可塑剤を樹脂混練装置に投入する前に、予めヘンシェルミキサー等を用い所定の割合で事前混練しておくことが好ましい。より好ましくは、事前混練において可塑剤の一部のみを投入し、残りの可塑剤を樹脂混練装置サイドフィードしながら混練することである。このようにすることにより、可塑剤の分散性を高め、後の工程で樹脂組成物と可塑剤の溶融混練合物のシート状成形体を延伸する際に、破膜することなく高倍率で延伸することができる。
可塑剤としては、ポリオレフィンの融点以上において均一溶液を形成しうる不揮発性溶媒を用いることができる。このような不揮発性溶媒の具体例として、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素類;フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のエステル類;オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。これらの中で、流動パラフィンは、ポリエチレン又はポリプロピレンとの相溶性が高く、溶融混練物を延伸しても樹脂と可塑剤の界面剥離が起こり難いので、均一な延伸が実施し易くなる傾向にあるため好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の比率は、これらを均一に溶融混練して、シート状に成形できる範囲であれば特に限定はない。例えば、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とから成る組成物中に占める可塑剤の質量分率は、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~70質量%である。可塑剤の質量分率が80質量%以下であると、溶融成形時のメルトテンションが不足し難く、成形性が向上する傾向にある。一方、可塑剤の質量分率が20質量%以上であると、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の混合物を高倍率で延伸してもポリオレフィン鎖の切断が起こらず、均一かつ微細な孔構造を形成し強度も増加しやすい。
次に、溶融混練物をシート状に成形する。シート状成形体を製造する方法としては、例えば、溶融混練物を、Tダイ等を介してシート状に押出し、熱伝導体に接触させて樹脂成分の結晶化温度より充分に低い温度まで冷却して固化する方法が挙げられる。冷却固化に用いられる熱伝導体としては、金属、水、空気、あるいは可塑剤自身等が使用できるが、金属製のロールが熱伝導の効率が高いため好ましい。この際、金属製のロールに接触させる際に、ロール間で挟み込むと、熱伝導の効率がさらに高まると共に、シートが配向して膜強度が増し、シートの表面平滑性も向上するためより好ましい。Tダイよりシート状に押出す際のダイリップ間隔は400μm以上3000μm以下であることが好ましく、500μm以上2500μm以下であることがさらに好ましい。ダイリップ間隔が400μm以上であると、メヤニ等が低減され、膜品位へ影響する欠点(例えば、スジ等)が少なく、その後の延伸工程において膜破断等を防ぐことができる傾向にある。一方、ダイリップ間隔が3000μm以下であると、冷却速度が速く冷却ムラを防げると共に、シートの厚み安定性を維持できる傾向にある。
このようにして得たシート状成形体を延伸することが好ましい。延伸処理としては、一軸延伸又は二軸延伸のいずれも好適に用いることができるが、得られる多孔膜の強度等の観点から二軸延伸が好ましい。シート状成形体を二軸方向に高倍率延伸すると、分子が面方向に配向し、最終的に得られる多孔膜が裂け難くなり、高い突刺強度を有するものとなる。延伸方法としては、例えば、同時二軸延伸、逐次二軸延、多段延伸、多数回延伸等の方法を挙げることができ、突刺強度の向上、延伸の均一性、シャットダウン性の観点から同時二軸延伸が好ましい。
なお、同時二軸延伸とは、MD方向の延伸とTD方向の延伸が同時に施される延伸方法をいい、各方向の延伸倍率は異なってもよい。逐次二軸延伸とは、MD方向、又はTD方向の延伸が独立して施される延伸方法をいい、MD方向又はTD方向に延伸がなされている際は、他方向は非拘束状態又は定長に固定されている状態とする。
延伸倍率は、面倍率で20倍以上100倍以下の範囲であることが好ましく、25倍以上50倍以下の範囲であることがさらに好ましい。各軸方向の延伸倍率は、MD方向に4倍以上10倍以下、TD方向に4倍以上10倍以下の範囲であることが好ましく、MD方向に5倍以上8倍以下、TD方向に5倍以上8倍以下の範囲であることがさらに好ましい。総面積倍率が20倍以上であると、得られる多孔膜に十分な強度を付与できる傾向にあり、一方、総面積倍率が100倍以下であると延伸工程における膜破断を防ぎ、高い生産性が得られる傾向にある。
また、シート状成形体を圧延してもよい。圧延は、例えば、ダブルベルトプレス機等を使用したプレス法にて実施することができる。圧延は特に表層部分の配向を増すことができる。圧延面倍率は1倍より大きく3倍以下であることが好ましく、1倍より大きく2倍以下であることがより好ましい。圧延倍率が1倍より大きいと、面配向が増加し最終的に得られる多孔膜の膜強度が増加する傾向にある。一方、圧延倍率が3倍以下であると、表層部分と中心内部の配向差が小さく、膜の厚さ方向に均一な多孔構造を形成することができる傾向にあるため好ましい。
次いで、シート状成形体から可塑剤を除去して多孔膜とする。可塑剤を除去する方法としては、例えば、抽出溶剤にシート状成形体を浸漬して可塑剤を抽出し、充分に乾燥させる方法が挙げられる。可塑剤を抽出する方法はバッチ式、連続式のいずれであってもよい。多孔膜の収縮を抑えるために、浸漬、乾燥の一連の工程中にシート状成形体の端部を拘束することが好ましい。また、多孔膜中の可塑剤残存量は1質量%未満にすることが好ましい。
抽出溶剤としては、ポリオレフィン樹脂に対して貧溶媒で、かつ可塑剤に対して良溶媒であり、沸点がポリオレフィン樹脂の融点より低いものを用いることが好ましい。このような抽出溶剤としては、例えば、n-ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;塩化メチレン、1,1,1-トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン等の非塩素系ハロゲン化溶剤;エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が挙げられる。なお、これらの抽出溶剤は、蒸留等の操作により回収して再利用してよい。
多孔膜の収縮を抑制するために、延伸工程後、又は、多孔膜形成後に熱固定又は熱緩和等の熱処理を行うこともできる。また、多孔膜に、界面活性剤等による親水化処理、電離性放射線等による架橋処理等の後処理を行ってもよい。放射線等による架橋処理等の後処理を行ってもよい。
(熱可塑性ポリマー層)
熱可塑性ポリマー層は、熱プレス工程を経ることにより、電極とセパレータとを接着させることができるように、接着性を有することが好ましい。すなわち、熱可塑性ポリマー層は、電極とセパレータとの間の接着層として機能し得るものであることが好ましい。
熱可塑性ポリマー層の基材に対する担持量(「塗工目付」ともいう。)は、固形分として、好ましくは0.02g/m以上2.00g/m以下、より好ましくは0.02g/m以上1.50g/m以下、更に好ましくは0.02g/m以上1.00g/m以下である。熱可塑性ポリマー層の基材に対する担持量を0.02g/m以上2.00g/m以下の範囲に制御することで、基材の孔の閉塞によるサイクル特性(透過性)の低下を抑制しつつ、熱可塑性ポリマー層と基材との密着力を一層向上させる効果を発現する観点から好ましい。
熱可塑性ポリマー層の基材に対する担持量は、例えば、塗布液中の熱可塑性ポリマー含有量、熱可塑性ポリマー溶液の塗布量等を変更することにより、調整することができる。但し、担持量の調整方法は上記に限定されない。
熱可塑性ポリマー層は、基材の片面当たり、基材の全面積100%に対して、100%以下の表面被覆率で基材の表面上に存在することが好ましく、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下の表面被覆率で、基材の少なくとも片面上に存在する。また、熱可塑性ポリマー層が5%以上の表面被覆率で基材上に存在することが好ましい。この熱可塑性ポリマー層の表面被覆率を80%以下とすることは、熱可塑性ポリマーによる基材の孔の閉塞を更に抑制し、セパレータの透過性を向上する観点から好ましい。一方、表面被覆率を5%以上とすることは、電極との接着性を一層向上する観点から好ましい。
熱可塑性ポリマー層の平均厚さは、片面で0.1~4.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1~2.0μm以下、更に好ましくは0.1~1.0μm以下である。熱可塑性ポリマー層の平均厚みが4.0μm以下であることにより、熱可塑性ポリマーによる透過性低下を抑制するとともに、セパレータを捲回体として保管した際の熱可塑性ポリマー層同士又は基材との貼り付きを効果的に抑制する観点から好ましい。また、接着性と透過性との両立の観点から、使用する熱可塑性ポリマーの粒子径に相当する厚みであることが好ましい。熱可塑性ポリマー層の平均厚みが0.1μm以上であることにより、電極活物質の凹凸に追従し易いので好ましい。
熱可塑性ポリマー層の平均厚さは、例えば、基材に塗布する塗布液のおける熱可塑性ポリマー含有量、塗布液の塗布量、並びに塗布方法及び塗布条件を変更することにより、調整することができる。但し、熱可塑性ポリマー層の平均厚さの調整方法は、それらに限らない。
熱可塑性ポリマー層における熱可塑性ポリマーは、粒状の熱可塑性ポリマーを含むことが好ましく、熱可塑性ポリマーの実質的に全てが粒状の熱可塑性ポリマーであることがより好ましい。熱可塑性ポリマーが粒状であることで、セパレータと電極との接着性、及びセパレータのハンドリング性により優れる傾向にある。
所望により、熱可塑性ポリマー層は、熱可塑性ポリマーに加えて、無機粒子を含有してよく、さらに分散剤を含有してよい。無機粒子は、特に限定されるものではないが、例えば、後述される多孔層に含まれる無機フィラーなどでよい。
(熱可塑性ポリマー)
熱可塑性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、α-ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマーとこれらを含むコポリマー;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンをモノマー単位として含む共役ジエン系ポリマー又はこれらを含むコポリマー及びその水素化物;アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等をモノマー単位として含むアクリル樹脂又はこれらを含むコポリマー及びその水素化物;エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。また、熱可塑性ポリマーを合成する際に使用するモノマーとして、ヒドロキシル基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミド基又はシアノ基を有するモノマーを用いることもできる。
これらの熱可塑性ポリマーのうち、電極活物質との結着性及び強度又は柔軟性に優れることから、共役ジエン系ポリマー、アクリル樹脂、及びフッ素系ポリマーからなる群から選択される少なくとも一つが好ましい。これらの中でも、熱可塑性ポリマー層の主成分として含まれる熱可塑性ポリマーは、セパレータと樹脂シートとの接着及び剥離性、セパレータと電極との接着性、並びにラミネート型蓄電デバイスの曲げ応力の観点から、アクリル樹脂であることが好ましい。
(ジエン系ポリマー)
ジエン系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ブタジエン、イソプレン等の共役の二重結合を2つ有する共役ジエンを重合して成るモノマー単位を含むポリマーが挙げられる。共役ジエンモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン等が挙げられる。これらは単独で重合しても共重合してもよい。
ジエン系ポリマー中の、共役ジエンから構成されるモノマー単位の割合は、特に限定されないが、例えば、全ジエン系ポリマー中40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
ジエン系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の共役ジエンのホモポリマー及び共役ジエンと共重合可能なモノマーとのコポリマーが挙げられる。共重合可能なモノマーは、特に限定されないが、例えば、後述の(メタ)アクリレートモノマー、又は下記のモノマー(以下、「その他のモノマー」ともいう。)を挙げることができる。
「その他のモノマー」としては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β-不飽和ニトリル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸類;スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビエルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、イソプロペニルビニルケトン等のビニルケトン類;N-ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環含有ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート等のアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル化合物;β-ヒドロキシエチルアクリレート、β-ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシアルキル基含有化合物;アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のアミド系モノマー等が挙げられ、これらを1種あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂は、特に限定されないが、好ましくは(メタ)アクリレートモノマーから構成されるモノマー単位を含む共重合体である。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸又はメタクリル酸」を示し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を示す。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート;アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマーから構成されるモノマー単位の割合は、特に限定されないが、全アクリル系ポリマーの質量を基準として、例えば40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリレートモノマーのホモポリマー、これと共重合可能なモノマーとのコポリマーが挙げられる。
共重合可能なモノマーとしては、上記ジエン系ポリマーの項目で列挙した「その他のモノマー」が挙げられ、これらを1種あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(フッ素系ポリマー)
フッ素系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、フッ化ビニリデンのホモポリマー、これと共重合可能なモノマーとのコポリマーが挙げられる。フッ素系ポリマーは、電気化学的安定性の観点から好ましい。
フッ化ビニリデンから構成されるモノマー単位の割合は、特に限定されないが、フッ素系ポリマーを形成する全モノマーの質量を基準として、例えば、40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアクリル酸、パーフルオロメタクリル酸、アクリル酸又はメタクリル酸のフルオロアルキルエステル等のフッ素含有エチレン性不飽和化合物;シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル等のフッ素非含有エチレン性不飽和化合物;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のフッ素非含有ジエン化合物等を挙げることができる。
フッ素系ポリマーのうち、フッ化ビニリデンのホモポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレンコポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等が好ましい。特に好ましいフッ素系ポリマーは、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマーであり、そのモノマー組成は、通常、フッ化ビニリデン30~90質量%、テトラフルオロエチレン9~50質量%及びヘキサフルオロプロピレン1~20質量%である。これらのフッ素樹脂粒子は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
また、上記熱可塑性ポリマーを合成する際に使用するモノマーとして、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、アミド基、又はシアノ基を有するモノマーを用いることもできる。
ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ペンテンオール等のビニル系モノマーを挙げることができる。
カルボキシル基を有するモノマーは、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のエチレン性二重結合を有する不飽和カルボン酸、ペンテン酸等のビニル系モノマーを挙げることができる。
アミノ基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メタクリル酸2-アミノエチル等を挙げることができる。
スルホン酸基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリススルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸-2-スルホン酸エチル、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸等が挙げられる。
アミド基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
シアノ基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-シアノエチルアクリレート等を挙げることができる。
熱可塑性ポリマーは、ポリマーを単独で又は2種類以上混合して使用してもよいが、ポリマーを2種類以上含むことが好ましい。
熱可塑性ポリマーは、100℃未満のガラス転移温度を有し、このガラス転移温度は、セパレータ同士のブロッキング現象を抑制する観点から、40℃以上が好ましい。ここで、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)で得られるDSC曲線から決定される。なお、本明細書では、ガラス転移温度をTgと表現する場合もある。
具体的には、DSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の変曲点における接線との交点により決定される。より詳細には、実施例に記載の方法を参照することができる。
ここで、「ガラス転移」はDSCにおいて試験片であるポリマーの状態変化に伴う熱量変化が吸熱側に生じたものを指す。このような熱量変化はDSC曲線において階段状変化形状又は階段状変化とピークとが組み合わさった形状として観測される。
「階段状変化」とは、DSC曲線において、曲線がそれまでのベースラインから離れ、新たなベースラインに移行するまでの部分を示す。なお、ピーク及び階段状変化の組み合わさった形状も含む。
「変曲点」とは、階段状変化部分のDSC曲線のこう配が最大になるような点を示す。また、階段状変化部分において上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点と表現することもできる。
「ピーク」とは、DSC曲線において、曲線がベースラインから離れてから再度ベースラインに戻るまでの部分を示す。
「ベースライン」とは、試験片に転移及び反応を生じない温度領域のDSC曲線のことを示す。
熱可塑性ポリマーが粒状であるとき、粒状熱可塑性ポリマーのガラス転移温度のうち少なくとも一つが、示差走査熱量測定法により測定されたときに、40℃以上の領域に存在することが好ましい。
40℃以上の領域に存在するガラス転移温度は、セパレータ同士のブロッキング現象を抑制する点から、45℃以上100℃以下の領域にのみ存在することが好ましい。
熱可塑性ポリマーのガラス転移温度は、40℃未満の領域に存在していてもよく、40℃以上の領域に存在していてもよい。熱可塑性ポリマーのガラス転移温度が40℃以上であることにより、セパレータと電極との接着性及びハンドリング性により優れる。また、電池作製時の加圧により発現する電極とセパレータとの間の接着性を高めることができる。
熱可塑性ポリマーが、40℃未満の領域と、40℃以上の領域に2つのガラス転移温度を有していてもよい。これは、2種類以上の熱可塑性ポリマーをブレンドする方法、又はコアシェル構造を備える熱可塑性ポリマーを使用する方法等によって達成できる。コアシェル構造とは、中心部分に属するポリマーと、外殻部分に属するポリマーとの組成が異なる、二重構造の形態をしたポリマーである。
ポリマーブレンド又はコアシェル構造は、ガラス転移温度の高いポリマーと低いポリマーを組み合せることにより、熱可塑性ポリマー全体のガラス転移温度を制御でき、また、熱可塑性ポリマー全体に複数の機能を付与できる。例えば、ポリマーブレンドの場合は、特にガラス転移温度を40℃以上の領域に持つポリマーと、ガラス転移温度を40℃未満の領域に持つポリマーを2種類以上ブレンドすることで、耐ベタツキ性とポリオレフィン多孔性基材への塗れ性とを両立する観点で好ましい。コアシェル構造の場合は、外殻ポリマーの組成を変えることによって、ポリオレフィン多孔性基材等のような他の材料に対する接着性又は相溶性を調整することができ、中心部分に属するポリマーを調整することで、例えば熱プレス後の電極への接着性を高めることができる。また、粘性の高いポリマーと弾性の高いポリマーとを組み合わせて、粘弾性の制御をすることもできる。
熱可塑性ポリマーのガラス転移温度、すなわちTgは、例えば、熱可塑性ポリマーを製造するのに用いるモノマー成分及び各モノマーの投入比を変更することにより適宜調整できる。すなわち、熱可塑性ポリマーの製造に用いられる各モノマーについて一般に示されているそのホモポリマーのTg(例えば、「ポリマーハンドブック」(A WILEY-INTERSCIENCE PUBLICATION)に記載)と、モノマーの配合割合とから概略推定することができる。例えば、約100℃のTgのポリマーを与えるスチレン、メチルメタクリレ-ト、及びアクリルニトリル等のモノマーを高比率で配合したコポリマーは、高いTgを有する。例えば、約-80℃のTgのポリマーを与えるブタジエン、約-50℃のTgのポリマーを与えるn-ブチルアクリレ-ト及び2-エチルヘキシルアクリレ-ト等のモノマーを高い比率で配合したコポリマーは、低いTgを有する。
ポリマーのTgはFOXの式(下記式(1))より概算することができる。なお、本願の熱可塑性ポリマーのガラス転移点としては、上記DSCを用いた方法により測定したものを採用する。
1/Tg=W/Tg+W/Tg+‥‥+W/Tg+‥‥W/Tg (1)
(式(1)中において、Tg(K)は、コポリマーのTg、Tg(K)は、各モノマーiのホモポリマーのTg、Wは、各モノマーの質量分率を各々示す。)
熱可塑性ポリマーは、少なくとも一部が粒状となっている粒状熱可塑性ポリマーであることが好ましい。
粒状熱可塑性ポリマーの作製方法としては、初めに熱可塑性ポリマーを合成し、それを種(シード)として、さらにモノマー、開始剤等を投入することにより、合成することが挙げられる。それにより、熱可塑性ポリマーの形状を粒状にすることができ、さらに熱可塑性ポリマーの粒径を大きくすることができる。
このような粒状熱可塑性ポリマーを用いることにより、セパレータと電極との接着性及びセパレータのハンドリング性により優れる傾向にある。ここで、粒状熱可塑性ポリマーの面積は、後記の実施例に記載のとおり、セパレータの最表面のSEMによる観察(倍率30000倍)によって測定される。
粒状熱可塑性ポリマーの平均粒子径は、10nm以上10000nm未満が好ましく、100nm以上2000nm未満がより好ましい。10nm以上であることは、ポリオレフィン多孔膜基材に粒状熱可塑性ポリマーを塗工したときに、熱可塑性ポリマーが基材の孔に入り込まない程度の粒径を確保することができることから好ましく、10000nm未満であることは、セパレータと電極との接着性の観点から好ましい。
(熱可塑性ポリマー層の形成方法)
ポリオレフィン多孔性基材上に熱可塑性ポリマー層を形成する方法は、特に限定されず、既知の方法を採用してよい。熱可塑性ポリマー層の形成方法としては、例えば、熱可塑性ポリマーを含有する塗布液をポリオレフィン多孔性基材に塗布する方法、ポリオレフィン多孔性基材を構成するための樹脂組成物と熱可塑性ポリマー含有樹脂組成物との共押出積層法などが挙げられ、そしてセパレータへの異物混入を抑制又は防止して製造コストを抑えるという観点から、転写法を用いないことが好ましい。
熱可塑性ポリマーを含有する塗布液を多孔膜に塗布する方法については、必要とする層厚又は塗布面積を実現できる方法であれば特に限定はない。例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、スプレーコーター塗布法、インクジェット塗布等が挙げられる。これらのうち、熱可塑性ポリマーの塗工形状の自由度が高く、好ましい面積割合を容易に得られる点でグラビアコーター法又はスプレー塗布法が好ましい。
塗布液の媒体としては、熱可塑性ポリマーの貧溶媒が好ましい。塗布液の媒体として熱可塑性ポリマーの貧溶媒を用いた場合には、ポリオレフィン多孔性基材に熱可塑性ポリマーを塗工する際に、塗布液が多孔性基材の内部にまで入り込んで熱可塑性ポリマーが孔の表面及び内部を埋めてしまい透過性が低下してしまうことを効果的に防止できる。このような媒体としては水が好ましい。また、水と併用可能な媒体は、特に限定されないが、エタノール、メタノール等を挙げることができる。塗布液または熱可塑性ポリマー含有樹脂組成物は、所望により、熱可塑性ポリマーおよび媒体に加えて、無機粒子、分散剤などを含んでよい。
塗布に先立ち、多孔膜表面に表面処理をすると、塗布液を塗布し易くなると共に、多孔層と接着性ポリマーとの密着性が向上するため好ましい。表面処理の方法は、多孔膜の多孔質構造を著しく損なわない方法であれば特に限定はなく、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、紫外線酸化法等が挙げられる。
塗布後に塗布膜から溶媒を除去する方法については、多孔膜に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はない。例えば、多孔膜を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法、接着性ポリマーに対する貧溶媒に浸漬して接着性ポリマーを凝固させると同時に溶媒を抽出する方法等が挙げられる。
(多孔層)
蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材と熱可塑性ポリマー層に加えて、無機フィラー又は有機フィラーと樹脂製バインダを含む多孔層を備えていてもよい。多孔層の位置は、ポリオレフィン多孔性基材表面の少なくとも一部、熱可塑性ポリマー層表面の少なくとも一部、及び/又はポリオレフィン多孔性基材と熱可塑性ポリマー層との間が挙げられる。前記多孔層はポリオレフィン多孔性基材の片面であっても両面に備えていてもよい。
(無機フィラー)
多孔層に使用する無機フィラーとしては、特に限定されないが、200℃以上の融点を持ち、電気絶縁性が高く、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス、ガラス繊維等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
上記の中でも、電気化学的安定性及び多層多孔膜の耐熱特性を向上させる観点から、アルミナ、水酸化酸化アルミニウム等の酸化アルミニウム化合物;又はカオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト等のイオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物が好ましい。前記酸化アルミニウム化合物としては、水酸化酸化アルミニウムが特に好ましい。イオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物としては、安価で入手も容易なため、カオリン鉱物で主に構成されているカオリンがより好ましい。カオリンには湿式カオリン及びこれを焼成処理した焼成カオリンがあるが、焼成カオリンは焼成処理の際に結晶水が放出されるのに加え、不純物が除去されるので、電気化学的安定性の点で特に好ましい。
(有機フィラー)
有機フィラーとしては、例えば、架橋ポリアクリル酸、架橋ポリアクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸、架橋ポリメタクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリシリコーン(ポリメチルシルセスキオキサン等)、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体架橋物、ポリイミド、ポリアミドイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド縮合物等の各種架橋高分子微粒子;ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリアセタール、熱可塑性ポリイミド等の耐熱性高分子微粒子等が例示できる。また、これらの有機微粒子を構成する有機樹脂(高分子)は、前記例示の材料の混合物、変性体、誘導体、共重合体(ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)、架橋体(前記の耐熱性高分子の場合)であってもよい。
これらの中でも、架橋ポリアクリル酸、架橋ポリアクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸、架橋ポリメタクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸メチル、および架橋ポリシリコーン(ポリメチルシルセスキオキサン等)、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミドから成る群より選ばれる1種以上の樹脂であることが好ましい。
フィラーの平均粒径は、0.1μmを超えて4.0μm以下であることが好ましく、0.2μmを超えて3.5μm以下であることがより好ましく、0.4μmを超えて3.0μm以下であることが更に好ましい。フィラーの平均粒径を上記範囲に調整することは、多孔層の厚さが薄い場合(例えば、7μm以下)であっても、高温での熱収縮を抑制する観点から好ましい。
フィラーにおいて、0.2μmを超えて1.4μm以下の粒径を有する粒子がフィラー全体に占める割合としては、好ましくは2体積%以上、より好ましくは3体積%以上、更に好ましくは5体積%以上であり、上限としては、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下である。
フィラーにおいて、0.2μmを超えて1.0μm以下の粒径を有する粒子が無機フィラー全体に占める割合としては、好ましくは1体積%以上、より好ましくは2体積%以上であり、上限としては、好ましくは80体積%以下、より好ましくは70体積%以下である。
フィラーにおいて、0.5μmを超えて2.0μm以下の粒径を有する粒子がフィラー全体に占める割合としては、好ましくは8体積%以上、より好ましくは10体積以上であり、上限としては、好ましくは60体積%以下、より好ましくは50体積%以下である。
更に、フィラーにおいて、0.6μmを超えて1.4μm以下の粒径を有する粒子がフィラー全体に占める割合としては、好ましくは1体積%以上、より好ましくは3体積%以上であり、上限としては、好ましくは40体積%以下、より好ましくは30体積%以下である。
フィラーの粒度分布を上記範囲に調整することは、多孔層の厚さが薄い場合(例えば、7μm以下)であっても、高温での熱収縮を抑制する観点から好ましい。なお、フィラーの粒径の割合を調整する方法としては、例えば、ボールミル・ビーズミル・ジェットミル等を用いて無機フィラーを粉砕し、粒径を小さくする方法等を挙げることができる。
フィラーの形状としては、板状、鱗片状、針状、柱状、球状、多面体状、塊状等が挙げられ、上記形状を有するフィラーを複数種組み合わせて用いてもよい。多層多孔膜とした際に、後述の150℃熱収縮を10%以下に抑制することが可能であれば、フィラーの形状は、特に限定されないが、透過性向上の観点からは複数の面から成る多面体状、柱状、紡錘状が好ましい。
フィラーが多孔層中に占める割合としては、フィラーの結着性、多層多孔膜の透過性及び耐熱性等の観点から適宜決定することができ、50質量%以上100質量%未満であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上99.99質量%以下、さらに好ましくは80質量%以上99.9質量%以下、特に好ましくは90質量%以上99質量%以下である。
(樹脂製バインダ)
樹脂製バインダの種類としては、特に限定されないが、蓄電デバイス用セパレータをリチウムイオン二次電池用セパレータとして使用する場合には、リチウムイオン二次電池の電解液に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定なものを用いることが好ましい。
樹脂製バインダの具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等の含フッ素ゴム;スチレン-ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体及びその水素化物、メタクリル酸エステル-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル-アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂等が挙げられる。
樹脂製バインダとしてポリビニルアルコールを使用する場合、そのケン化度は85%以上100%以下であることが好ましい。ケン化度が85%以上であると、多層多孔膜を電池用セパレータとして使用した際に、短絡する温度(ショート温度)が向上し、より良好な安全性能が得られる傾向にあるため好ましい。ケン化度は、より好ましくは90%以上100%以下、さらに好ましくは95%以上100%以下、特に好ましくは99%以上100%以下である。また、ポリビニルアルコールの重合度は、200以上5000以下であることが好ましく、より好ましくは300以上4000以下、さらに好ましくは500以上3500以下である。重合度が200以上であると、少量のポリビニルアルコールで焼成カオリン等の無機フィラーを多孔膜に強固に結着でき、多孔層の力学的強度を維持しながら多孔層形成による多層多孔膜の透気度増加を抑えることができる傾向にあるため好ましい。また、重合度が5000以下であると、塗布液を調製する際のゲル化等を防止できる傾向にあるため好ましい。
樹脂製バインダとしては、樹脂製ラテックスバインダが好ましい。樹脂製ラテックスバインダを用いた場合、フィラーとバインダとを含む多孔層をポリオレフィン多孔膜の少なくとも片面に積層した場合は、樹脂製バインダの一部又は全てを溶媒に溶解させた後に、得られた溶液をポリオレフィン多孔膜の少なくとも片面に積層し、貧溶媒への浸漬又は乾燥による溶媒除去等により樹脂製バインダを多孔膜に結着させた場合と比較して、イオン透過性が低下し難く、高出力特性が得られ易い傾向にある。加えて異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られ易い傾向にある。
樹脂製ラテックスバインダとしては、電気化学的安定性と結着性を向上させる観点から、脂肪族共役ジエン系単量体及び不飽和カルボン酸単量体、並びにこれらと共重合可能な他の単量体を乳化重合して得られるものが好ましい。乳化重合の方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。単量体及びその他の成分の添加方法については特に制限されるものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れも採用することができ、また、一段重合、二段重合又は多段階重合等の何れも採用することができる。
脂肪族共役ジエン系単量体としては、特に限定されず、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3ブタジエン、2-クロル-1,3-ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換及び側鎖共役ヘキサジエン類等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特に1,3-ブタジエンが好ましい。
不飽和カルボン酸単量体としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のモノ又はジカルボン酸(無水物)等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
これらと共重合可能な他の単量体としては、特に限定されず、例えば、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特に不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が好ましい。不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2-エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特にメチルメタクリレートが好ましい。
なお、これらの単量体に加えて様々な品質及び物性を改良するために、上記以外の単量体成分をさらに使用することもできる。
樹脂製バインダの平均粒径は、50~500nmであることが好ましく、より好ましくは60~460nm、更に好ましくは80~250nmである。樹脂製バインダの平均粒径が50nm以上である場合、無機フィラーとバインダとを含む多孔層をポリオレフィン多孔膜の少なくとも片面に積層した際、イオン透過性が低下し難く高出力特性が得られ易い。加えて異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られ易い。樹脂製バインダの平均粒径が500nm以下である場合、良好な結着性を発現し、多層多孔膜とした場合に熱収縮が良好となり安全性に優れる傾向にある。
樹脂製バインダの平均粒径は、重合時間、重合温度、原料組成比、原料投入順序、pH等を調整することで制御することが可能である。
多孔層の層厚は、耐熱性、絶縁性を向上させる観点から1μm以上であることが好ましく、電池の高容量化と透過性を向上させる観点から50μm以下であることが好ましい。多孔層の層厚は、より好ましくは1.5μm以上20μm以下、さらに好ましくは2μm以上10μm以下、さらにより好ましくは3μm以上10μm以下、特に好ましくは3μm以上7μm以下である。
多孔層の層密度は、0.5~2.0g/cmであることが好ましく、0.7~1.5cmであることがより好ましい。多孔層の層密度が0.5g/cm以上であると、高温での熱収縮率が良好となる傾向にあり、2.0g/cm以下であると、透気度が低下する傾向にある。
(多孔層の形成方法)
多孔層の形成方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂を主成分とする多孔性基材の少なくとも片面に、無機フィラーと樹脂製バインダとを含む塗布液を塗布して多孔層を形成する方法を挙げることができる。
塗布液の溶媒としては、無機フィラー及び樹脂製バインダを均一かつ安定に分散できるものが好ましく、例えば、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、水、エタノール、トルエン、熱キシレン、塩化メチレン、ヘキサン等が挙げられる。
塗布液には、分散安定化又は塗工性の向上のために、界面活性剤等の分散剤;増粘剤;湿潤剤;消泡剤;酸、アルカリを含むpH調製剤等の各種添加剤を加えてもよい。これらの添加剤は、溶媒除去の際に除去できるものが好ましいが、リチウムイオン二次電池の使用範囲において電気化学的に安定で、電池反応を阻害せず、かつ200℃程度まで安定ならば多孔層内に残存してもよい。
フィラーと樹脂製バインダとを塗布液の溶媒に分散させる方法については、塗布工程に必要な塗布液の分散特性を実現できる方法であれば特に限定はない。例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。
塗布液を多孔膜に塗布する方法については、必要とする層厚又は塗布面積を実現できる方法であれば特に限定はなく、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法等が挙げられる。
塗布液の塗布に先立ち、多孔膜表面に表面処理を施すと、塗布液を塗布し易くなると共に、塗布後の無機フィラー含有多孔層と多孔膜表面との密着性が向上するため好ましい。表面処理の方法は、多孔膜の多孔質構造を著しく損なわない方法であれば特に限定はなく、例えば、コロナ放電処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、紫外線酸化法等が挙げられる。
塗布後に塗布膜から溶媒を除去する方法については、多孔膜に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はなく、例えば、多孔膜を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法等が挙げられる。多孔膜及び多層多孔膜のMD方向の収縮応力を制御する観点から、乾燥温度、捲回り張力等は適宜調整することが好ましい。
(セパレータの物性・用途)
蓄電デバイス用セパレータを含む蓄電デバイスの特性の観点から、セパレータと電極との乾燥状態での接着強度は、1.0N/m以上であることが好ましく、2.0N/m以上であることがより好ましく、5.0N/m以上であることが更に好ましく、9.8N/m以上であることが特に好ましい。接着強度の測定に使用される乾燥状態の電極は、蓄電デバイスの正極又は負極として後述されるものでよく、電極の活物質層を備える側を測定に使用してよく、又はアルミニウム箔若しくは銅箔などの集電体で代用してよい。セパレータの熱可塑性ポリマー層が存在する最表面と、電極との接着強度を乾燥状態で測定することが好ましい。ここでの乾燥状態での接着強度は、セパレータと電極とを積層又はプレスして、温度80℃圧力1MPaの条件下で3分間に亘って維持した後のセパレータと電極またはその代用物の間の剥離強度をいう。
蓄電デバイス用セパレータの裏表面の平滑度のうち、平滑度の最低値が10000秒/10cm以上であることが好ましい。セパレータが樹脂シートと共に積層又は捲回されるときには、セパレータが表面及び裏面を有することは、シート形態に基づいて明らかである。理論に拘束されることを望まないが、セパレータの平滑度が上記の条件を満たすと、セパレータ及び樹脂シートの捲回体又は積層体から空気が抜け易く、セパレータにシワが残り難くなることが推察される。ここで、裏表面とはセパレータの一方の面(たとえば、捲回体の形態において外側に表れている面)および他方の面(たとえば、捲回体の形態において内側を向いている面)のことを指す。
蓄電デバイス用セパレータの厚さ(すなわち、ポリオレフィン多孔性基材、熱可塑性ポリマー層、任意の多孔層等を含むセパレータ全体の厚さ)は、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上であり、上限として好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下である。厚さを2μm以上とすることは、蓄電デバイス用セパレータの強度確保の観点から好適である。一方、100μm以下とすることは、良好な充放電特性を得る観点から好ましい。
蓄電デバイス用セパレータの透気度の上限は、200秒/100cm以下であることが好ましい。理論に拘束されることを望まないが、セパレータの透気度が上記の数値範囲内にあると、セパレータ及び樹脂シートの捲回体又は積層体から空気が抜け易く、セパレータにシワが残り難くなるため、セパレータ品位が向上し、ひいてはセパレータを含む蓄電デバイスの特性も向上することが推察される。セパレータの透気度の下限は、セパレータを含む蓄電デバイスの自己放電を抑制する観点から、好ましくは10秒/100cm以上、より好ましくは50秒/100cm以上である。セパレータの透気度は、ポリオレフィン多孔性基材を製造する際の延伸温度、延伸倍率の変更、熱可塑性ポリマーの面積割合、存在形態等により調節可能である。
蓄電デバイス用セパレータの突刺強度は、特に限定されないが、下限について、好ましくは50gf以上、より好ましくは100gf以上、更に好ましくは130gf以上であり、そして上限について、好ましくは1000gf以下であり、より好ましくは800gf以下であり、更に好ましくは600gf以下である。突刺強度が50gf以上であることは、電池捲回時における脱落した活物質等による破膜を抑制する観点から好ましく、また、充放電に伴う電極の膨張収縮によって短絡する懸念を抑制する観点からも好ましい。一方、突刺強度を1000gf以下とすることは、加熱時の配向緩和による幅収縮を低減できる観点から好ましい。
なお、上記突刺強度は、ポリオレフィン多孔性基材を製造する際の延伸温度、延伸倍率を調整する等により調節可能である。
蓄電デバイス用セパレータのMD引張弾性率は、特に限定されないが、セパレータのスリット時に繰り出し性を安定化するという観点から、1000kgf/cm以上20000kgf/cm以下であることが好ましく、1200kgf/cm以上15000kgf/cm以下であることがより好ましく、1500kgf/cm以上10000kgf/cm以下であることが更に好ましい。
なお、上記MD引張弾性率は、ポリオレフィン多孔性基材を製造する際の延伸温度、延伸倍率を調整する等により調節可能である。
蓄電デバイス用セパレータの120℃におけるMDおよびTD熱収縮率は、特に限定されないが、電池の発熱時にセパレータが収縮して短絡し、電池の熱暴走に至るのを抑制するという観点、および熱可塑性ポリマー層を有するセパレータ積層体および捲回体が保管及び輸送中に経時変形してブロッキングすることを抑制する観点から、MDおよびTDがいずれも20%以下かつ0%以上であることが好ましく、18%以下かつ0%以上であることがより好ましく、15%以下かつ0%以上であることが更に好ましい。
なお、上記120℃におけるMDおよびTD熱収縮率は、ポリオレフィン多孔性基材を製造する際の延伸温度、延伸倍率、熱固定温度を調整する等により調節可能である。
蓄電デバイス用セパレータは、耐熱性の指標であるショート温度が、好ましくは140℃以上であり、より好ましくは150℃以上であり、さらに好ましくは160℃以上である。ショート温度を160℃以上とすることは、蓄電デバイス用セパレータとする場合に、蓄電デバイスの安全性の観点から好ましい。
蓄電デバイス用セパレータは、捲回時のハンドリング性及び蓄電デバイスのレート特性が優れ、さらには、熱可塑性ポリマーとポリオレフィン多孔性基材との密着性及び透過性にも優れる。そのため、蓄電デバイス用セパレータの用途としては、特に限定されないが、例えば、非水電解液二次電池等の電池又はコンデンサー、キャパシタ等の蓄電デバイス用セパレータ、物質の分離等に好適に使用できる。
<樹脂シート>
樹脂シートは、樹脂を主成分として含み、かつMD引張弾性率が1000kgf/cm以上15000kgf/cm以下である。樹脂シートは、第一の実施形態に係る捲回体及び第二の実施形態に係る積層体を部分的に構成することができ、又は第三の実施形態に係る樹脂シートとして提供されたり、第四の実施形態に係る蓄電デバイス用セパレータの輸送及び/又は保管方法に使用されたりすることができる。
第三の実施形態に係る樹脂シートは、基材と基材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー層とを有するセパレータを輸送する時に用いられ、樹脂シートのMD引張弾性率が、1000kgf/cm以上15000kgf/cm以下であり、かつ比(MD引張弾性率セパレータ/MD引張弾性率樹脂シート)が0.35以上10.0以下の関係になるように構成される。
樹脂シートのMD引張弾性率が、1000kgf/cm以上15000kgf/cm以下であり、かつ比(MD引張弾性率セパレータ/MD引張弾性率樹脂シート)が0.35以上10.0以下の関係になると、樹脂シート及びセパレータを捲き取る際に、張力による樹脂シートのTD縮み(ポアソン変形)の影響を無くしたり、減らしたりすることができる。
第三の実施形態に係る樹脂シートは、1000kgf/cm≦MD引張弾性率樹脂シート≦15000kgf/cm、かつ0.35≦MD引張弾性率セパレータ/MD引張弾性率樹脂シート≦10.0の関係になるように構成されるため、熱可塑性ポリマー層により接着性を有するセパレータの輸送中に、長時間に亘って、例えば1時間以上1000日以下の期間に亘って、好ましくは365日以下で、ブロッキングを抑制又は防止することができ、ひいてはセパレータのスリット時にセパレータの品位を維持することができ、かつセパレータを含む蓄電デバイスのデバイス特性の確保又は向上を可能にする。
上記と同様の観点に加えて、セパレータのスリット時に繰り出し性を安定化するという観点から、樹脂シートのMD引張弾性率は、1100kgf/cm以上14000kgf/cm以下であることが好ましく、1200kgf/cm以上13000kgf/cm以下であることがより好ましく、かつ/又は比(MD引張弾性率セパレータ/MD引張弾性率樹脂シート)は、0.40以上9.5以下の関係になることが好ましく、0.45以上9.0以下の関係になることがより好ましい。
セパレータの輸送及び/又は保管の後、セパレータ及び樹脂シートの捲回体又は積層体からセパレータを剥離するという観点から、蓄電デバイス用セパレータと樹脂シートとの剥離強度が0.1N/m以上10.0N/m以下の関係になる樹脂シートが好ましい。
樹脂シートを構成する樹脂の比重は、セパレータを構成する樹脂の比重と近いことが好ましい。樹脂シートとセパレータの比重を上記のように調整すると、セパレータ及び樹脂シートの捲回時の張力の設定が容易になり、スリット時のセパレータ品位が良好になる傾向にある。
樹脂シートを構成する樹脂としては、限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタラート、酢酸セルロース、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリフェニレンサルファイドなどが挙げられる。これらのうち、適度な剛性を有し、積層体又は捲回体を製造する際にシワになり難いという観点から、PET、ポリエチレン、及びポリプロピレンから成る群から選択される少なくとも1つが好ましい。
上記と同様の観点から、ポリプロピレンとしては、配向ポリプロピレン(OPP)が好ましい。特に、OPPは、その比重が軽く、セパレータ中の樹脂成分の比重と近く、MD引張弾性率の値が適度に高いため、OPP含有樹脂シート及びセパレータの捲回時の張力設定が容易になり、スリット時のセパレータ品位が良好になる傾向にある。OPPを含むか、又はOPPから成る樹脂シートは、例えば、原料PPの二軸延伸により製造されることができる。
樹脂シートの厚さは、5μm以上50μm以下であることが好ましい。樹脂シートの厚さが5μm以上であれば、十分な平面性が得られ易い。また、樹脂シートの厚さが50μm以下であれば、捲回体の嵩が過度に大きくなり難く、コストも抑えられる。
樹脂シートの目付は、樹脂シートを用いる蓄電デバイス用セパレータの輸送及び/又は保管の観点から、下限について、1.0g/m以上であることが好ましく、3.0g/m以上であることがより好ましく、5.0g/m以上であることが更に好ましく、そして上限について、100.0g/m以下であることが好ましく、75.0g/m以下であることが好ましく、50.0g/m以下であることが好ましい。
上記と同様の観点から、樹脂シートの目付換算突刺強度が50gf/g/m以上であることが好ましく、52gf/g/m以上100gf/g/m以下であることがより好ましく、60gf/g/m以上であることが更に好ましい。また、同様の観点から、樹脂シートの突刺強度の下限が、100gf以上であることが好ましく、150gf以上であることがより好ましく、200gf以上であることが更に好ましく、そして樹脂シートの突刺強度の上限が、2000gf以下であることが好ましく、1000gf以下であることがより好ましく、800gf以下であることが更に好ましい。
樹脂シートの裏表面の表面自由エネルギーのうち、表面自由エネルギーの最高値が40mJ/m以下であることが好ましい。樹脂シートの表面自由エネルギーが上記の条件を満たすと、捲回体からのセパレータの繰り出し性、又は積層体からのセパレータ若しくは樹脂シートの剥離性が向上する傾向にある。このような観点から、樹脂シートの裏表面の表面自由エネルギーのうち、高い方の表面自由エネルギーは、35mJ/m以下であることがより好ましい。ここで、裏表面とは樹脂シートの一方の面(たとえば、捲回体の形態において外側に表れている面)および他方の面(たとえば、捲回体の形態において内側を向いている面)のことを指す。
樹脂シートの裏表面の平滑度のうち、平滑度の最低値が2000秒/10cm以上であることが好ましい。理論に拘束されることを望まないが、樹脂シートの平滑度が上記の条件を満たすと、セパレータ及び樹脂シートの捲回体又は積層体から空気が抜け易く、セパレータにシワが残り難くなることが推察される。
樹脂シートのヘイズは、JIS-K7136に従って測定されるときに、30%以下であることが好ましい。樹脂シートのヘイズが30%以下であると、第一の実施形態に係る捲回体または第二の実施形態に係る積層体を搬送しながら検査も行うことができる。
(樹脂シートを用いる蓄電デバイス用セパレータを輸送及び/又は保管方法)
第四の実施形態では、上記で説明された樹脂シートを用いる蓄電デバイス用セパレータを輸送及び/又は保管方法が提供される。
第四の実施形態に係るセパレータを輸送及び/又は保管方法では、樹脂シートを間紙として使用して、例えば樹脂シート及びセパレータの積層体又は捲回体の状態で、セパレータを輸送及び/又は保管することができ、それにより長期間に亘って、例えば1時間以上1000日以下の期間に亘って、好ましくは365日以下で、セパレータのブロッキングを抑制又は防止することができ、ひいてはセパレータのスリット時にセパレータの品位を維持することができ、かつセパレータを含む蓄電デバイスのデバイス特性の確保又は向上を可能にする。保管及び輸送中の温度は、60℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。保管および輸送中の相対湿度は、95rh%以下が好ましく、90rh%以下がより好ましい。
<蓄電デバイス>
上記で説明されたセパレータは、電池、コンデンサー、キャパシタ等におけるセパレータや物質の分離に用いることができる。特に、蓄電デバイス用セパレータとして用いた場合に、電極への密着性と優れた電池性能を付与することが可能である。以下、蓄電デバイスが非水電解液二次電池である場合に好適な態様を説明する。
上記で説明されたセパレータを用いて非水電解液二次電池を製造する場合、正極、負極、非水電解液に限定はなく、公知のものを用いることができる。
正極材料は、特に限定されないが、例えば、LiCoO、LiNiO、スピネル型LiMnO、オリビン型LiFePO等のリチウム含有複合酸化物等が挙げられる。正極集電体としては、例えば、アルミニウム箔などを使用してよい。
負極材料は、特に限定されないが、例えば、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、複合炭素体等の炭素材料;シリコン、スズ、金属リチウム、各種合金材料等が挙げられる。負極集電体としては、例えば、銅箔などを使用してよい。
非水電解液二次電池の製造において、正極及び負極の少なくとも一方は、電池特性の観点から、乾燥状態でのセパレータとの接着強度が1.0N/m以上であるように選択されることが好ましい。
非水電解液は、特に限定されないが、電解質を有機溶媒に溶解した電解液を用いることができ、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等が、電解質としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩が挙げられる。
蓄電デバイスの製造方法は、特に限定されないが、蓄電デバイスが二次電池の場合、例えば、セパレータを幅10~500mm(好ましくは80~500mm)、長さ200~4000m(好ましくは1000~4000m)の縦長形状のセパレータとして調製し、当該セパレータを、正極-セパレータ-負極-セパレータ、又は負極-セパレータ-正極-セパレータの順で重ね、円または扁平な渦巻状に捲回して捲回体を得て、当該捲回体を電池缶内に収納し、更に電解液を注入することで製造することができる。
この際、捲回体に対して加熱および/またはプレスを行うことで上述の積層体を形成してもよい。また、捲回体として上述の積層体を円または扁平な渦巻き状に捲回したものを用いて製造することもできる。また、蓄電デバイスは、正極-セパレータ-負極-セパレータ、又は負極-セパレータ-正極-セパレータの順に平板状に積層したもの、または上述の積層体を袋状のフィルムでラミネートし、電解液を注入する工程と、場合によって加熱および/またはプレスを行う工程を経て製造することもできる。上記の加熱および/またはプレスを行う工程は、電解液を注入する工程の前および/または後に行うことができる。
なお、上述した各種パラメータの測定値については、特に断りの無い限り、後述する実施例における測定法に準じて測定される値である。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて詳細に説明をするが、本発明は実施例に限定されるものではない。以下の製造例、実施例、及び比較例において使用した各種物性の測定方法や評価方法は、以下のとおりである。なお、特に記載のない限り各種測定および評価は室温23℃、1気圧、相対湿度50%の条件で行った。
[測定及び評価方法]
(1)ポリオレフィンの粘度平均分子量(以下、「Mv」ともいう。)
ASRM-D4020に準拠して、デカリン溶媒中における135℃での極限粘度[η](dl/g)を求めた。
ポリエチレンのMvは次式により算出した。
[η]=6.77×10-4Mv0.67
ポリプロピレンのMvは次式より算出した。
[η]=1.10×10-4Mv0.80
(2)厚さ(μm)
ポリオレフィン多孔性基材および多孔層、蓄電デバイス用セパレータ、及び樹脂シートから、各々、10cm×10cmのサンプルを切り出し、格子状に9箇所(3点×3点)を選んで、厚さを微小測厚器(東洋精機製作所(株) タイプKBM)を用いて室温23±2℃で測定した。各々、9箇所の測定値の平均値を、ポリオレフィン多孔性基材、蓄電デバイス用セパレータ、及び樹脂シートの膜厚(μm)とした。必要に応じて、蓄電デバイス用セパレータの厚さからポリオレフィン多孔性基材ならびに多孔層の厚さを引くことにより、熱可塑性ポリマー層の厚さを算出した。
(3)気孔率(%)
10cm×10cm角の試料をポリオレフィン多孔性基材又はセパレータから切り取り、その体積(cm)と質量(g)を求め、膜密度を0.95(g/cm)として次式を用いて計算した。
気孔率=(1-質量/体積/0.95)×100
なお、膜密度は0.95(g/cm)として算出した。
(4)透気度(秒/100cm
JIS P-8117に準拠し、東洋精器(株)製のガーレー式透気度計、G-B2(商標)により試料の透気度を測定した。
(5)孔径(nm):ハーフドライ
ハーフドライ法に準拠し、パームポロメータ(Porous Materials,Inc.社:CFP-1500AE)を用い、平均孔径(nm)を測定した。浸液には同社製のパーフルオロポリエステル(商品名「Galwick」、表面張力15.6dyn/cm)を用いた。乾燥曲線、及び湿潤曲線について、印加圧力、及び空気透過量の測定を行い、得られた乾燥曲線の1/2の曲線と湿潤曲線とが交わる圧力PHD(Pa)から、次式により平均孔径dHD(nm)を求め、孔径とした。
dHD=2860×γ/PHD
(6)突刺強度(gf),目付換算突刺強度(gf/g/m
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES-G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーでポリオレフィン多孔性基材および多孔層、セパレータ又は樹脂シートを試料として固定した。次に固定された試料の中央部を、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secで、25℃雰囲気下にて突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として生の突刺強度(gf)を得た。また、生の突刺強度を試料の目付で換算することにより目付換算突刺強度(gf/g/m)を算出した。
(7)熱可塑性ポリマーのガラス転移温度
熱可塑性ポリマーの塗工液(不揮発分=38~42%、pH=9.0)を、アルミ皿に適量とり、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後の乾燥皮膜約17mgを測定用アルミ容器に詰め、DSC測定装置(島津製作所社製、DSC6220)にて窒素雰囲気下におけるDSC曲線及びDDSC曲線を得た。なお測定条件は下記のとおりとした。
(1段目昇温プログラム)
70℃から毎分15℃の割合で昇温。110℃に到達後5分間維持。
(2段目降温プログラム)
110℃から毎分40℃の割合で降温。-50℃に到達後5分間維持。
(3段目昇温プログラム)
-50℃から毎分15℃の割合で130℃まで昇温。この3段目の昇温時にDSC及びDDSCのデータを取得。
そして、ベースライン(得られたDSC曲線におけるベースラインを高温側に延長した直線)と、変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)における接線との交点をガラス転移温度(Tg)とした。
(8)熱可塑性ポリマーのゲル分率(トルエン不溶分)
テフロン(登録商標)板上に、熱可塑性ポリマーの塗工液(不揮発分=38~42%、pH=9.0)をスポイトで滴下し(直径5mm以下)、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後、乾燥皮膜を約0.5g精秤(a)し、それを50mLポリエチレン容器に取り、そこに30mLのトルエンを注ぎ入れ3時間室温で振とうした。その後、内容物を325メッシュでろ過し、メッシュ上に残ったトルエン不溶分をメッシュごと、130℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させた。なお、ここで使用する325メッシュはあらかじめその乾燥重量を量っておいた。
そして、トルエンを揮発させた後、トルエン不溶分の乾燥体と325メッシュの重量から、あらかじめ量っておいた325メッシュ重量を差し引くことでトルエン不溶分の乾燥重量(b)を得た。ゲル分率(トルエン不溶分)は、以下の計算式で算出した。
熱可塑性ポリマーのゲル分率(トルエン不溶分)=(b)/(a)×100 [%]
(9)熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度(倍)
熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマーを分散させた溶液を130℃のオーブン中に1時間静置した後、乾燥させた熱可塑性ポリマーを0.5gになるように切り取り、エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒10gと一緒に50mLのバイアル瓶に入れ、3時間浸透させた後、サンプルを取り出し、上記混合溶媒にて洗浄し、重量(Wa)を測定した。その後、150℃のオーブン中に1時間静置したあと重量(Wb)を測定し、以下の式より熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度を測定した。
熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度(倍)=(Wa-Wb)÷(Wb)
(10)熱可塑性ポリマーの平均粒径(nm)
熱可塑性ポリマーの平均粒径を、粒子径測定装置(日機装株式会社製、Microtrac UPA150)を使用し、測定した。測定条件としては、ローディングインデックス=0.15~0.3、測定時間300秒とし、得られたデータにおける50%粒子径の数値を粒子径として記載した。
(11)目付
(11a)熱可塑性ポリマー層の目付(熱可塑性ポリマー層の基材に対する担持量)
10cm×10cm角の試料を基材(ポリオレフィン多孔性基材又は、ポリオレフィン多孔性基材+無機フィラー多孔層)から切り取り、(株)島津製作所製の電子天秤AEL-200を用いて重量を測定した。得られた重量を100倍することで1m当りの基材膜の目付(g/m)を算出した。次に、10cm×10cm角の試料をセパレータ(熱可塑性ポリマー層+基材)から切り取り、(株)島津製作所製の電子天秤AEL-200を用いて質量を測定した。得られた質量を100倍することにより、1m当りのセパレータの目付(g/m)を算出した。1m当りのセパレータの目付(g/m)から1m当りの基材の目付(g/m)を減算することにより、1m当りの熱可塑性ポリマー層の目付(熱可塑性ポリマー層の基材に対する担持量、g/m)を算出した。
(11b)樹脂シートの目付
10cm×10cm角の試料を樹脂シートからから切り取り、(株)島津製作所製の電子天秤AEL-200を用いて重量を測定した。得られた重量を100倍することで1m当りの樹脂シートの目付(g/m)を算出し、必要に応じて、1cm当りの重量に換算した。
(12)セパレータと樹脂シートとの剥離強度(N/m)
セパレータ及び樹脂シートの積層体、又はセパレータ及び樹脂シートの捲回体から繰り出されたセパレータ及び樹脂シートの積層体について、セパレータと樹脂シートの間の90°剥離強度(N/m)を、(株)イマダ製のフォースゲージZP5N及びMX2-500N(製品名)を用いて、引張速度50mm/分で測定した。
(13)捲回体の内層10%におけるロール中心方向への内圧(MPa)
セパレータ及び樹脂シートの捲回体について、上述のとおりに側面観察して決定された内層10%の領域の上面に感圧素子(TEKSCAN社製 型番A201-25)を取り付け、その後、23±1℃の環境下にて、抵抗測定機(三和電気計器株式会社 型番:デジタルマルチメータCD771型)にて抵抗値を測定し、ロール中心方向への内圧に換算した。
抵抗値から内圧への換算については、プレス機を用いて、上記感圧素子を異なる圧力でプレスして得られた抵抗値から検量線を作成し、その検量線を用いて算出した。
(14)MD及びTDの引張弾性率(MPa)
個別に用意されたセパレータ若しくは樹脂シート、又は捲回体若しくは積層体から剥離したセパレータ若しくは樹脂シートのMD及びTD測定を行なった。MD及びTDの測定について、MDサンプル(MD120mm×TD10mm)及びTDサンプル(MD10mm×TD120mm)を切り出した。雰囲気温度23±2℃、湿度40±2%の状況下でJIS K7127に準拠し、島津製作所製の引張試験機、オートグラフAG-A型(商標)を用いて、サンプルのMD及びTDの引張弾性率を測定した。サンプルをチャック間距離が50mmとなるようにセットし、引張速度200mm/分でチャック間が60mm、すなわち歪みが20.0%に達するまでサンプルを伸張した。引張弾性率(MPa)は、得られる応力-歪曲線における歪み1.0%から4.0%の傾きから求めた。樹脂シートの引張弾性率に対するセパレータの引張弾性率の比も算出した。
(15)表面自由エネルギー(mJ/m
接触角計又は表面自由エネルギー解析装置を用いて、少なくとも2種類の液体試薬(例えば、水及びジヨードメタン)について、樹脂シートの表面及び裏面に対する接触角を測定し、OWRK法又はFowkes法に従って、樹脂シートの表面自由エネルギー(mJ/m)を算出した。下記表では、樹脂シートの裏表面のうち、高い方の表面自由エネルギーを示す。
(16)平滑度(sec/10cm
ISO 8791-5:2020に準拠し、旭精工(株)製の透気度平滑度計EYO-5型において内径0.15mm、長さ50mmのステンレス製のノズルを用いて、温度30℃、及び湿度40%の雰囲気でポリオレフィン微多孔膜、樹脂シートおよび蓄電デバイス用セパレータの平滑度を測定した。
樹脂シートおよび蓄電デバイス用セパレータの一方の表面と他方の表面について、それぞれ表面平滑度の測定を行った。下記表では、樹脂シートおよび蓄電デバイス用セパレータの裏表面のうち、低い方の平滑度を示す。
(17)セパレータと電極との乾燥状態での接着強度(N/m)
セパレータと、被着体としての正極(enertech社製、正極材料:LiCoO、導電助剤:アセチレンブラック、バインダ:PVDF、LiCoO/アセチレンブラック/PVDF(質量比)=95/2/3、L/W:両側について36mg/cm、密度:3.9g/cm、Al集電体の厚み:15μm、プレス後の正極のx:107μm)とをそれぞれ幅15mm及び長さ50mmの長方形状に切り取り、セパレータの熱可塑性ポリマー層と、正極活物質とが相対するように重ね合わせて積層体を得た後、その積層体を、以下の条件でプレスした。測定は、セパレータの一方の面と他方の面について行なった。下記表では、裏表面の接着強度のうち、高い方の接着強度を示す。
プレス圧:1MPa
温度:80℃
プレス時間:3分間
プレス後の積層体について、(株)イマダ製のフォースゲージZP5N及びMX2-500N(製品名)を用いて、電極を固定し、セパレータを把持して引っ張る方式によって剥離速度50mm/分にて90°剥離試験を行い、剥離強度を測定した。このとき、上記の条件で行った長さ40mm分の剥離試験における剥離強度の平均値を乾燥状態での接着強度として採用した。
(18)120℃,1時間での熱収縮率(%)
サンプルとして、多孔膜をMDに100mmかつTDに100mm、MDに50mmでかつTDに50mm、またはMDに30mmかつTDに30mmの加熱前の長さ(mm)に切り取り、120℃のオーブン中に1時間静置した。このとき、温風が直接サンプルに当たらないように、サンプルを10枚の紙に挟んだ。サンプルをオーブンから取り出して冷却した後、長さを測定して加熱後の長さ(mm)とし、下式にて熱収縮率を算出した。測定はMDとTDでそれぞれ行い、数値の大きい方を熱収縮率とした。
熱収縮率(%)={(加熱前の長さ-加熱後の長さ)/加熱前の長さ}×100
(19)長期保管・輸送性
幅50mm、表4又は5に記載の長さのセパレータ及び樹脂シートの積層体又は捲回体を180日に亘って温度35℃・湿度90rh%で保管した。その後、捲回体の内層10%または積層耐の任意の部分についてセパレータ同士およびセパレータと樹脂シートのブロッキングの有無を観察した。具体的には、セパレータおよび樹脂シートの積層体又は捲回体を長さ1mに切り出し、隣り合う2枚のセパレータおよび樹脂シートを剥離した際に、積層もしくは捲回前のセパレータ表面の熱可塑性ポリマーの量に対するセパレータ表面の熱可塑性ポリマーが樹脂シートに転写した量と(転写割合)を観察することで、耐ブロッキング性を評価した。剥離は、イマダ製のフォースゲージZP5N及びMX2-500N(製品名)を用いて引張速度50mm/分で実施した。表面状態の観察にはキーエンス製デジタルマイクロープVHX-8000を用いた。
A(極めて良好):転写割合が0%以上15%未満
B(良好):転写割合が15%以上30%未満
C(不良):転写割合が30%以上
(20)スリット時の品位
セパレータ及び樹脂シートの積層体若しくは捲回体をスリットするか、積層体から剥離されたセパレータをスリットするか、又は捲回体から繰り出されたセパレータをすることによって、スリット時のセパレータの品位を評価した。品位の評価では、異物混入の程度、走行性、シワの有無などに基づいて、以下のように総合的に評価した。
A(極めて良好);異物混入なし、走行性問題なし、セパレータにシワなし
B(良好);異物混入、走行性、セパレータのシワが一部見られるが、合格判定
C(不良);異物混入、走行性、セパレータのシワが見られ、不合格判定
(21)電池特性(サイクル特性)
a.正極の作製
正極活物質としてニッケル、マンガン、コバルト複合酸化物(NMC)(Ni:Mn:Co=1:1:1(元素比)、密度4.70g/cm)を90.4質量%、導電助材としてグラファイト粉末(KS6)(密度2.26g/cm、数平均粒子径6.5μm)を1.6質量%とアセチレンブラック粉末(AB)(密度1.95g/cm、数平均粒子径48nm)を3.8質量%、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(密度1.75g/cm)を4.2質量%の比率で混合し、これらをN-メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターを用いて塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機を用いて圧縮成形した。このときの正極活物質塗布量が109g/mであった。
b.負極の作製
負極活物質としてグラファイト粉末A(密度2.23g/cm、数平均粒子径12.7μm)を87.6質量%とグラファイト粉末B(密度2.27g/cm、数平均粒子径6.5μm)を9.7質量%、バインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%(固形分換算)(固形分濃度1.83質量%水溶液)とジエンゴム系ラテックス1.7質量%(固形分換算)(固形分濃度40質量%水溶液)を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このときの負極活物質塗布量が5.2g/mであった。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/Lとなるように溶解させて調製した。
d.電池組立
捲回体から繰り出したセパレータ又は積層体から剥離したセパレータを24mmφ、正極及び負極を16mmφの円形に切り出し、正極と負極の活物質面が対向するように、負極、セパレータ、正極の順に重ね、蓋付きステンレス金属製容器に収容した。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と接していた。この容器内に前記非水電解液を0.4ml注入して密閉した。
e.サイクル特性の評価
上記d.で組み立てた簡易電池を、25℃において、(i)電流量0.5C、上限電圧4.2V、合計3時間の定電流定電圧充電、(ii)10分間の休止、(iii)電流量0.5C、終止電圧3.0Vの定電流放電、(iv)10分間の休止、のサイクル条件下で都合100回の充放電を行った。上記充放電処理は全て25℃の雰囲気下にてそれぞれ実施した。その後、上記初回電池容量X(mAh)に対する上記100サイクル目の放電容量の比を100倍することで、容量維持率(%)を求めた。なお、下記基準に即して容量維持率を評価した。
サイクル特性の評価基準
A(極めて良好):容量維持率が90%以上
B(良好):容量維持率が70%以上90%未満
C(不良):容量維持率が70%以下
[製造例1-1A](ポリオレフィン微多孔膜1Aの製造)
粘度平均分子量(Mv)が70万のホモポリマーである高密度ポリエチレン45質量部と、Mvが30万のホモポリマーである高密度ポリエチレン45質量部と、粘度平均分子量が40万のホモポリマーであるポリプロピレン5質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリオレフィン混合物99質量部に、酸化防止剤としてテトラキス-[メチレン-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。押し出される全混合物中に占める流動パラフィンの割合が65質量部となるように、すなわち、ポリマー濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
次いで、それらを二軸押出機内で200℃に加熱しながら溶融混練し、得られた溶融混練物を、T-ダイを経て表面温度80℃に制御された冷却ロール上に押し出し、その押出物を冷却ロールに接触させ成形(cast)して冷却固化することにより、500μmの厚みのシート状成形物を得た。このシートを同時二軸延伸機にて倍率7×6.4倍、温度118℃下で延伸した後、塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去後乾燥し、テンター延伸機にて温度130℃、横方向に2倍延伸した。その後、この延伸シートを幅方向に約10%緩和して熱処理を行い、表1に示すポリオレフィン微多孔膜1Aを得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜1Aについて、上記方法により物性を測定した。得られた結果を表1に示す。
[製造例1-2A](ポリオレフィン微多孔膜2Aの製造)
製造例1-1Aにおいて、900μmの厚みのシート状成型物を得て、120℃下で延伸し、テンター延伸機で128℃で処理したこと以外は製造例1-1Aと同様の方法で表1に示すポリオレフィン微多孔膜2Aを得て、製造例1-1Aと同様に上記方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
[製造例1-3A](ポリオレフィン微多孔膜3Aの製造)
製造例1-1Aにおいて、1300μmの厚みのシート状成型物を得て、115℃下で延伸し、テンター延伸機で125℃で処理したこと以外は製造例1-1Aと同様の方法で表1に示すポリオレフィン微多孔膜3Aを得て、製造例1-1Aと同様に上記方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
[製造例1-4A](ポリオレフィン微多孔膜および多孔層4Aの製造)
水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.0μm)を96.0質量部、アクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)4.0質量部、及びポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)1.0質量部を、100質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製した。得られた塗布液をポリオレフィン樹脂多孔膜3Aの表面にマイクログラビアコーターを用いて塗布した。60℃にて乾燥して水を除去し、多孔層を1μmの厚さで形成して、微多孔膜4Aを得た。得られたポリオレフィン微多孔膜および多孔層4Aを製造例1-1Aと同様に上記方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
[製造例1-5A](ポリオレフィン微多孔膜および多孔層5Aの製造)
製造例1-4Aにおいて、ポリオレフィン樹脂多孔膜2Aの表面に多孔層を3μmの厚みで形成したこと以外は製造例1-4Aと同様の方法で表1に示すポリオレフィン微多孔膜および多孔層5Aを得て、製造例1-1Aと同様に上記方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
[製造例1-6A](ポリオレフィン微多孔膜および多孔層6Aの製造)
製造例1-4Aにおいて、ポリオレフィン樹脂多孔膜1Aの表面に多孔層を5μmの厚みで形成したこと以外は製造例1-4Aと同様の方法で表1に示すポリオレフィン微多孔膜および多孔層6Aを得て、製造例1-1Aと同様に上記方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
[製造例1-7A](ポリオレフィン微多孔膜および多孔層7Aの製造)
製造例1-4Aにおいて、ポリオレフィン樹脂多孔膜2Aの表面に多孔層を1μmの厚みで形成し、更にその後同様の方法でポリオレフィン微多孔膜のもう一方の表面にも多孔層を1μm形成(両面の合計で2μm厚みの多孔層を形成)したこと以外は製造例1-4Aと同様の方法で表1に示すポリオレフィン微多孔膜および多孔層7Aを得得て、製造例1-1Aと同様に上記方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
[製造例1-8A](ポリオレフィン微多孔膜および多孔層8Aの製造)
製造例1-4Aにおいて、ポリオレフィン樹脂多孔膜1Aの表面に多孔層を3μmの厚みで形成し、更にその後同様の方法でポリオレフィン微多孔膜のもう一方の表面にも多孔層を3μm形成(両面の合計で6μm厚みの多孔層を形成)したこと以外は製造例1-4Aと同様の方法で表1に示すポリオレフィン微多孔膜および多孔層8Aを得て、製造例1-1Aと同様に上記方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
[製造例2-1B~3B](アクリルエマルジョンの塗工液の製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、イオン交換水70.4部と「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)0.34部と「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液)0.34部を投入し、反応容器内部温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)を7.5部添加して、初期混合物を得た。
過硫酸アンモニウム水溶液(APS)を添加した5分後に、メタクリル酸メチル(MMA)71.5部、アクリル酸n-ブチル(BA)18.9部、アクリル酸2-エチルヘキシル(EHA)2部、メタクリル酸(MAA)0.1部、アクリル酸(AA)0.1部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)2部、アクリルアミド(AM)5部、メタクリル酸グリシジル(GMA)0.4部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A-TMPT、新中村化学工業株式会社製)0.4部、「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)3部、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液)3部、p-スチレンスルホン酸ナトリウム(NaSS)0.05部、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)7.5部、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3部、イオン交換水52部の混合物をホモミキサーにより5分間混合させて作製した乳化液を、滴下槽から反応容器に150分かけて滴下した。
乳化液の滴下終了後、反応容器内部温度を80℃に保ったまま90分間維持し、その後室温まで冷却した。得られたエマルジョンを、水酸化アンモニウム水溶液(25%水溶液)でpH=9.0に調整し、熱可塑性ポリマー含有塗布液1Bを得た。得られた1Bについて、上記方法により評価した。得られた結果を表2に記す。
表2に記載の原料ポリマー1B~2BのTgは全てFOXの式による概算値である。
表2中の略称は、それぞれ以下の材料を意味する。
MMA :メタクリル酸メチル
BA :アクリル酸n-ブチル
EHA :アクリル酸2-エチルヘキシル
MAA :メタクリル酸
AA :アクリル酸
HEMA :メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
AM :アクリルアミド
GMA :メタクリル酸グリシジル
NaSS :p-スチレンスルホン酸ナトリウム
A-TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
KH1025:アクアロンKH1025(登録商標、第一工業製薬株式会社製)
SR1025:アデカリアソープSR1025(登録商標、株式会社ADEKA製)
APS :過硫酸アンモニウム
[樹脂シート3-1C]
上記方法による評価で、厚み16.5μm、目付14.1m、突刺強度889gf、目付換算突刺強度63gf/g/m、MD引張弾性率4453kgf/cm、表面自由エネルギー31mJ/m、平滑度15590秒/10cmであるOPPシートを用意した。得られた結果を表3に示す。
[樹脂シート3-2C~5C]
樹脂シート3-1Cと同様に表3に示される構成樹脂及び物性を有する樹脂シートを用意した。
[実施例1~9、比較例1~8]
表4又は表5に示すとおり、表2中の原料ポリマー又は重量平均分子量が30万、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンのモル比が93/7であるフッ化ビニリデンーヘキサフルオロプロピレン共重合体(表中にてPVdFと示す)を、表1中のポリオレフィン微多孔膜の片面の表面にグラビアコーターを用いて塗工液を塗布し、60℃にて乾燥して塗工液の水を除去した。また、必要に応じて、もう片面も同様に塗工液を塗布し、再度乾燥させることにより、ポリオレフィン微多孔膜の両面に熱可塑性ポリマーを有するセパレータを作製した。
実施例9においては、水酸化酸化アルミニウム(平均粒径0.5μm)を100.0質量部、表2中の1Bと同組成で粒子径(50%粒径)が4200μmの原料ポリマーを7.0質量部、アクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)4.0質量部、及びポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)1.0質量部を、100質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製した。得られた塗布液をポリオレフィン樹脂多孔膜2Aの表面にマイクログラビアコーターを用いて塗布し、60℃にて乾燥して水を除去し、多孔層を4μmの厚さで形成した。
さらに、表4又は表5に示すとおり、セパレータと、表3中の樹脂シートとを積層して積層体を得て、積層体を外径8インチ・内径3インチで、外周と内周をつなぐ8本のスポークを有するABS製コアに捲回して捲回体を得た。
セパレータ、樹脂シート、積層体及び捲回体について、上記方法により、測定及び評価を行なった。得られた結果を表4又は表5に示す。

Claims (14)

  1. 蓄電デバイス用セパレータ及び樹脂シートを捲回した捲回体であって、
    前記蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材と、前記ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー層とを有し、
    前記樹脂シートのMD引張弾性率が1000kgf/cm以上15000kgf/cm以下であり、かつ
    前記樹脂シートのMD引張弾性率に対する前記蓄電デバイス用セパレータのMD引張弾性率の比が0.35以上10.0以下である、捲回体。
  2. 前記蓄電デバイス用セパレータと前記樹脂シートとの剥離強度が0.1N/m以上10.0N/m以下であり、かつ前記セパレータと電極との乾燥状態での接着強度が1.0N/m以上である、請求項1に記載の捲回体。
  3. 前記樹脂シートの目付換算突刺強度が50gf/g/m以上である、請求項1又は2に記載の捲回体。
  4. 前記捲回体において、内層10%におけるロール中心方向への内圧が5MPa以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の捲回体。
  5. 前記樹脂シートの裏表面の表面自由エネルギーのうち、表面自由エネルギーの最高値が40mJ/m以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の捲回体。
  6. 前記樹脂シートの裏表面の平滑度のうち、平滑度の最低値が2000秒/10cm以上である、請求項1~5の何れか1項に記載の捲回体。
  7. 前記蓄電デバイス用セパレータの裏表面の平滑度のうち、平滑度の最低値が10000秒/10cm以上である、請求項1~6の何れか1項に記載の捲回体。
  8. 前記樹脂シートの突刺強度に対する前記蓄電デバイス用セパレータの突刺強度の比が0.12以上2.0以下である、請求項1~7の何れか1項に記載の捲回体。
  9. 前記熱可塑性ポリマー層の主成分がアクリル樹脂である、請求項1~8の何れか1項に記載の捲回体。
  10. 前記蓄電デバイス用セパレータの透気度が200秒/100cm以下である、請求項1~9の何れか1項に記載の捲回体。
  11. 前記熱可塑性ポリマー層は、転写法を用いないで前記ポリオレフィン多孔性基材に付設されている、請求項1~10の何れか1項に記載の捲回体。
  12. 蓄電デバイス用セパレータを輸送する時に用いる樹脂シートであって、
    前記蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材と、前記ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー層とを有し、
    前記樹脂シートのMD引張弾性率が1000kgf/cm以上15000kgf/cm以下であり、
    前記樹脂シートのMD引張弾性率に対する前記セパレータのMD引張弾性率の比が0.35以上10.0以下の関係になる樹脂シート。
  13. 前記蓄電デバイス用セパレータと前記樹脂シートとの剥離強度が0.1N/m以上10.0N/m以下の関係になる、請求項12に記載の樹脂シート。
  14. 蓄電デバイス用セパレータ及び樹脂シートを積層した積層体であって、
    前記蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材と、前記ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面の少なくとも一部に熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー層を有し、
    前記樹脂シートのMD引張弾性率が1000kgf/cm以上15000kgf/cm以下であり、
    前記樹脂シートのMD引張弾性率に対する前記蓄電デバイス用セパレータのMD引張弾性率の比が0.35以上10.0以下である、積層体。
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