JP2019008884A - パターン塗工用スラリー - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材上に、所望の形状にパターン塗工することが容易な、パターン塗工用スラリーを提供すること。【解決手段】蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面にパターン塗工するための、パターン塗工用スラリーであって、上記パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマー及び分散媒を含み、上記パターン塗工用スラリーから上記分散媒を乾燥させる間、初期固形分以上80質量%未満の固形分領域において、固形分の上昇に対する粘度上昇率が10mPa・s/%以上となる領域を含む、パターン塗工用スラリー。【選択図】なし

Description

本発明は、パターン塗工用スラリーに関する。より詳細には、本発明は、蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面にパターン塗工するための、パターン塗工用スラリーに関する。
近年、非水電解液電池等の蓄電デバイスの開発が活発に行われている。通常、蓄電デバイスは、正極と負極との間に、多孔性基材を含むセパレータを有する。セパレータは、正負極間の直接的な接触を防ぎ、かつ多孔性基材中に保持した電解液を通じてイオンを透過させる機能を有する。
多孔性基材としては、例えば、ポリオレフィン多孔性基材が挙げられる。ポリオレフィン多孔性基材は、電子絶縁体であるが、多孔構造によりイオン透過性を示すことから、非水電解液電池用セパレータとして広く利用されている。ポリオレフィン多孔性基材は、非水電解液電池が異常発熱を起こした際に、熱溶融により多孔を閉塞させて、電解液中のイオン伝導を遮断し、電気化学反応の進行を停止させるシャットダウン機能も有する。
このようなポリオレフィン多孔性基材の表面に熱可塑性ポリマーを含む塗工層を所定の塗工パターンで形成して、セパレータの透過性を維持しつつ、蓄電デバイスに種々の性能を付与する試みが行われている。
例えば、特許文献1〜3では、基材の少なくとも片面上の少なくとも一部に、特定の熱可塑性ポリマーを含有するスラリーをパターン塗工及び乾燥させて塗工層を形成し、これによって電極との密着性に優れた蓄電デバイス用セパレータを提供することを記載している。
特開2016−122648号公報 特開2016−201367号公報 特開2016−207659号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載されているような従来のスラリーでは、後述する様々な要因によって、塗工から乾燥までの間にパターン形状が変化することがあり、設計された形状どおりに塗工層を形成することが困難であった。
したがって、本発明の目的の一つは、蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材上に、所望の形状にパターン塗工することが容易な、パターン塗工用スラリーを提供することである。
本願発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、特定の粘度上昇率を有するスラリーを用いることにより上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面にパターン塗工するための、パターン塗工用スラリーであって、
上記パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマー及び分散媒を含み、
上記パターン塗工用スラリーから上記分散媒を乾燥させる間、初期固形分以上80質量%未満の固形分領域において、固形分の上昇に対する粘度上昇率が10mPa・s/%以上となる領域を含む、パターン塗工用スラリー。
[2]
上記ポリオレフィン多孔性基材を用いた滑落法における動的接触角の滑落角が15°以上である、項目1に記載のパターン塗工用スラリー。
[3]
上記分散媒は水を含む、項目1または2に記載のパターン塗工用スラリー。
[4]
上記熱可塑性ポリマーは、ガラス転移点(Tg)又は融点(Tm)が20℃未満である熱可塑性ポリマーを含む、項目1〜3のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
[5]
上記熱可塑性ポリマーは、ガラス転移点(Tg)又は融点(Tm)が20℃以上100℃以下である熱可塑性ポリマーを含む、項目1〜4のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
[6]
上記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が100mPa・s以下である、項目1〜5のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
[7]
上記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が70mPa・s以下である、項目1〜5のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
[8]
上記ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、項目1〜7のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリーから形成されたパターン塗工を有する、蓄電デバイス用セパレータ。
[9]
上記パターン塗工がドットパターンである、項目8に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[10]
上記ドットの径が5μm以上500μm以下、かつ上記ドット同士の間隔が5μm以上2000μm以下である、項目9に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[11]
上記ポリオレフィン微多孔膜上における熱可塑性ポリマーの面積占有率が20%以上80%未満である、項目8〜10のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[12]
正極と、負極と、電解質と、項目8〜11のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータとを有する、蓄電デバイス。
本発明によれば、蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材上に、所望の形状にパターン塗工することが容易な、パターン塗工用スラリーを提供することができる。
本発明の例示的な実施形態及び利点を記載したが、本発明の他の実施形態及び他の利点は、以下の本願明細書から明らかとなる。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)を例示する目的で詳細に説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。本願明細書において、各数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
《パターン塗工用スラリー》
本実施形態のパターン塗工用スラリーは、蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面にパターン塗工するための、パターン塗工用スラリーである。上記パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマー及び分散媒を含み、上記パターン塗工用スラリーから上記分散媒を乾燥させる間、初期固形分以上80質量%未満の固形分領域において、固形分の上昇に対する粘度上昇率が10mPa・s/%以上となる領域を含む。
蓄電デバイス用セパレータの基材上に所定パターンの塗工層を形成する工程は、典型的に、所定の初期固形分を有するスラリーをポリオレフィン多孔性基材上に所望のパターンで塗工して、徐々に固形分を上昇(すなわち、乾燥)させて塗工層を形成することを含む。従来のスラリーでは、スラリーを塗工してからそれが完全に乾燥するまでの間に、パターン形状が変化することがあり、設計された形状どおりに塗工層を形成することが困難であった。このことは、微細な、例えば数mm〜数μm程度のオーダーの構造を有するパターンを形成したい場合に特に問題となる。理論に限定されないが、パターン形状が変化する要因としては、例えば:(1)分散媒を蒸発させる際に塗工部が泡立つこと;及び(2)塗工してから乾燥に至るまでの間にスラリーが流れて、塗工形状が崩れること等が考えられる。
これに対して、本実施形態のパターン塗工用スラリーは、初期固形分以上80質量%未満の固形分領域において、固形分の上昇に対する粘度上昇率が10mPa・s/%以上となる領域(以下、本願明細書において「ゲル化領域」ともいう。)を含むことによって、(1)ゲル化領域より前の領域では塗工部が泡立つことを抑制し、及び/又は(2)ゲル化領域以降の領域ではスラリーが流れる前に塗工パターンを安定化することができるため、上記要因の少なくとも一部を解消することができる。したがって、本実施形態のパターン塗工用スラリーは、ポリオレフィン多孔性基材上に、所望の形状のパターン塗工を容易に形成することができる。この効果は、微細な、例えば数mm〜数μm程度のオーダーの構造を有するパターンを形成したい場合に特に有利である。
〈固形分及びゲル化領域〉
ゲル化領域における粘度上昇率の下限は、10mPa・s/%以上であればよく、好ましくは15mPa・s/%以上、より好ましくは20mPa・s/%以上、更に好ましくは25mPa・s/%以上、より更に好ましくは30mPa・s/%以上である。ゲル化領域における粘度上昇率の上限は、好ましくは1000mPa・s/%以下、より好ましくは750mPa・s/%以下、更に好ましくは500mPa・s/%以下、より更に好ましくは300mPa・s/%以下である。ゲル化領域における粘度上昇率の上限が1000mPa・s/%以下であることによって、塗工部近傍での塗料凝集が抑制できるため好ましい。ゲル化領域における粘度上昇率の範囲は、好ましくは10mPa・s/%以上1000mPa・s/%以下、より好ましくは20mPa・s/%以上750mPa・s/%以下、更に好ましくは30mPa・s/%以上500mPa・s/%以下である。
ゲル化領域は、初期固形分以上80質量%未満の固形分領域に存在すればよく、好ましくは、初期固形分より高くかつ5質量%以上79質量%以下、より好ましくは初期固形分より高くかつ10質量%以上70質量%以下、更に好ましくは初期固形分より高くかつ13質量%以上60質量%以下、より更に好ましくは初期固形分より高くかつ15質量%以上50質量%以下の固形分領域に存在する。これらの範囲にゲル化領域が存在することによって、(1)ゲル化領域より前の領域では塗工部が泡立つことを抑制し、かつ(2)ゲル化領域以降の領域ではスラリーが流れる前に塗工パターンを安定化することができる。
本実施形態のパターン塗工用スラリーの初期固形分は、蓄電デバイス用セパレータの基材上に所望のパターンを塗工することができ、塗工直後にその形状を保持することができれば限定されない。パターン塗工用スラリーの初期固形分は、好ましくは1質量%以上60質量%以下、より好ましくは5質量%以上55質量%以下、更に好ましくは10質量%以上50質量%以下、より更に好ましくは15質量%以上45質量%以下である。前記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度は、100mPa・s以下であることが好ましく、70mPa・s以下であることがより好ましい。
パターン塗工用スラリーのゲル化領域は、熱可塑性ポリマー、分散媒、及び任意のその他の成分、例えば増粘剤等の、種類、官能基、量、及び粒径等、並びにこれらの組合せによって調整することができる。
〈滑落角〉
本実施形態のパターン塗工用スラリーは、それが塗工されるべきポリオレフィン多孔性基材を用いた滑落法における動的接触角の滑落角が15°以上であることが好ましい。パターン塗工層を形成する工程において搬送される基材は、典型的に、搬送されながら、塗工、傾き、方向転換、及び/又は搬送速度の変化等を経験することがある。滑落角が15°以上であることにより、これらの経験によって塗工パターンの形状が変化すること、及び/又は塗工パターンの位置がずれることをより効果的に抑制することができる。
滑落角の下限は、15°以上であればよく、好ましくは25°以上、より好ましくは35°以上、更に好ましくは45°以上、より更に好ましくは55°以上である。滑落角の上限は、限定されないが、好ましくは90°以下、より好ましくは85°以下、更に好ましくは80°以下である。滑落角の範囲は、好ましくは25°以上90°以下、より好ましくは35°以上85°以下、更に好ましくは45°以上80°以下である。
滑落角は、熱可塑性ポリマー、分散媒、及び任意のその他の成分、例えば増粘剤、及び界面活性剤等の、種類、官能基、量、及び粒径等、並びにこれらの組合せによって調整することができる。
〈熱可塑性ポリマー〉
熱可塑性ポリマーとしては、限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びα−ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリフッ化ビニリデン、及びポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂、及びこれらを含むコポリマー;ブタジエン、及びイソプレン等の共役ジエンをモノマー単位として含むジエン系ポリマー、これらを含むコポリマー、及びこれらの水素化物;アクリル酸エステル、及びメタアクリル酸エステル等をモノマー単位として含むアクリル系ポリマー、これらを含むコポリマー、これらの水素化物;エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、及びポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、及びポリエステル等の、融点及び/又はガラス転移点が180℃以上の樹脂、並びにこれらの混合物等が挙げられる。電極との接着性、強度、及び柔軟性に優れることから、ジエン系ポリマー、アクリル系ポリマー、及びフッ素系ポリマーからなる群から選択される少なくとも一つの熱可塑性ポリマーが好ましい。熱可塑性ポリマーは、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
(ジエン系ポリマー)
ジエン系ポリマーとしては、限定されないが、例えば、ブタジエン、及びイソプレンなどの共役の二重結合を2つ有する共役ジエンをモノマー単位として含むポリマーが挙げられる。共役ジエンモノマーとしては、限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、及び3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で重合しても共重合してもよい。
ジエン系ポリマー中の共役ジエンモノマー単位の割合は、限定されないが、例えば、全ジエン系ポリマー中40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
ジエン系ポリマーは、ポリブタジエン、及びポリイソプレン等の共役ジエンモノマーのホモポリマーであってもよく、共役ジエンモノマーと共重合可能なモノマーとのコポリマーであってもよい。共役ジエンモノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、後述の(メタ)アクリレートモノマー、及び下記「その他のモノマー」が挙げられ、これらを1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
「その他のモノマー」としては、例えば、アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、及びフマル酸等の不飽和カルボン酸類;スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、α−メチルスチレン、及びジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;エチレン、及びプロピレン等のオレフィン類;塩化ビニル、及び塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、及び安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、及びブチルビエルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、及びイソプロペニルビニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、及びビニルイミダゾール等の複素環含有ビニル化合物;メチルアクリレート、及びメチルメタクリレート等のアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル化合物;β−ヒドロキシエチルアクリレート、及びβ−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシアルキル基含有化合物;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、及びアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアミド系モノマーなどが挙げられる。これらのその他のモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(アクリル系ポリマー)
アクリル系ポリマーとしては、限定されないが、好ましくは(メタ)アクリレートモノマーをモノマー単位として含むポリマーである。本願明細書において「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート;アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのモノマーは、単独で重合しても共重合してもよい。
(メタ)アクリレートモノマー単位の割合は、限定されないが、例えば、全アクリル系ポリマー中40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリレートモノマーのホモポリマーであってもよく、(メタ)アクリレートモノマーと共重合可能なモノマーとのコポリマーであってもよい。(メタ)アクリレートモノマーと共重合可能なモノマーとしては、上記ジエン系ポリマーの項目で列挙した共役ジエンモノマー、及び「その他のモノマー」が挙げられ、これらを1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(フッ素系ポリマー)
フッ素系ポリマーとしては、限定されないが、例えば、フッ化ビニリデンモノマーのホモポリマー、及びフッ化ビニリデンモノマーと共重合可能なモノマーとのコポリマーが挙げられる。フッ素系ポリマーは、電気化学的安定性の観点から好ましい。
フッ化ビニリデンモノマー単位の割合は、限定されないが、例えば、全フッ素系ポリマー中40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
フッ化ビニリデンモノマーと共重合可能なモノマーとしては、限定されないが、例えば、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアクリル酸、パーフルオロメタクリル酸、及びアクリル酸又はメタクリル酸のフルオロアルキルエステル等のフッ素含有エチレン性不飽和化合物;シクロヘキシルビニルエーテル、及びヒドロキシエチルビニルエーテル等のフッ素非含有エチレン性不飽和化合物;ブタジエン、イソプレン、及びクロロプレン等のフッ素非含有ジエン化合物等が挙げられる。
フッ素系ポリマーのうち、フッ化ビニリデンのホモポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレンコポリマー、及びフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等が好ましい。より好ましいフッ素系ポリマーは、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマーであり、そのモノマー組成は、通常、フッ化ビニリデン30〜90質量%、テトラフルオロエチレン50〜9質量%、及びヘキサフルオロプロピレン20〜1質量%である。これらのフッ素系ポリマーは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性ポリマーを合成する際に使用するモノマーとして、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、アミド基、及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーを用いることもできる。
ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、限定されないが、例えば、ペンテンオール等のビニル系モノマーを挙げることができる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のエチレン性二重結合を有する不飽和カルボン酸;並びにペンテン酸等のビニル系モノマーを挙げることができる。
アミノ基を有するモノマーとしては、限定されないが、例えば、メタクリル酸2−アミノエチル等を挙げることができる。
スルホン酸基を有するモノマーとしては、限定されないが、例えば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリススルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及び3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等が挙げられる。
アミド基を有するモノマーとしては、限定されないが、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、及びN−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
シアノ基を有するモノマーとしては、限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリレート等を挙げることができる。
パターン塗工用スラリーが初期固形分以上80質量%未満の固形分領域にゲル化領域を有し、及び/又は滑落角が15°以上であるよう調整するために、好ましい熱可塑性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びα−ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂、及びこれらを含むコポリマー;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンをモノマー単位として含むジエン系ポリマー、これらを含むコポリマー、及びこれらの水素化物;アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどをモノマー単位として含むアクリル系ポリマー、これらを含むコポリマー、及びこれらの水素化物;エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、及びポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、及びポリエステル等が挙げられる。また、熱可塑性ポリマーを合成する際に使用するモノマーとして、ヒドロキシル基やスルホン酸基、カルボキシル基、アミド基、シアノ基を有するモノマーを用いることもできる。これら熱可塑性ポリマーのうち、電極活物質との結着性及び強度や柔軟性に優れることから、ジエン系ポリマー、アクリル系ポリマー、又はフッ素系ポリマーが好ましい。
熱可塑性ポリマーは、粒子状であることが好ましい。熱可塑性ポリマー粒子の平均粒径は、好ましくは0.01μm以上5μm以下、より好ましくは0.05μm以上3μm以下、更に好ましくは0.1μm以上1μm以下である。熱可塑性ポリマーの平均粒径が上記範囲内であれば、パターン塗工用スラリーが初期固形分以上80質量%未満の固形分領域にゲル化領域を有し、及び/又は滑落角が15°以上であるよう調整することがより容易となる。
熱可塑性ポリマーの平均粒径は、熱可塑性ポリマーの重合時間、重合温度、原料組成比、原料投入順序、pH等を調整することで制御可能である。
(熱可塑性ポリマーのガラス転移点及び融点)
熱可塑性ポリマーは、好ましくは、ガラス転移点(Tg)又は融点(Tm)が20℃以上100℃以下、より好ましくは25℃以上90℃以下、より好ましくは30℃以上80℃以下、更に好ましくは35℃以上70℃以下である熱可塑性ポリマーを含む。ガラス転移点又は融点が上記範囲内であることにより、熱プレス時に多孔性基材上の熱可塑性ポリマーが変形し易くなり、被着体である電極への接着面積が増加する。それによって、多孔性基材と熱可塑性層の接着性又はセパレータと電極との接着性がより良好になる。
融点及びガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC)で得られるDSC曲線から決定される。具体的には、融点は、DSC曲線におけるベースラインと融解吸熱ピークの傾きの接線との交点により、ガラス転移点は、DSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の変曲点における接線との交点により決定される。
本願明細書において、「ガラス転移」とは、DSCにおいてポリマーの状態変化に伴う熱量変化が吸熱側に生じたものを指す。「ベースライン」とは、試験片に転移及び反応を生じない温度領域のDSC曲線のことを示す。「ピーク」とは、DSC曲線において、曲線がベースラインから離れて、再度ベースラインに戻るまでの部分を示す。「階段状変化」とは、DSC曲線において、曲線がそれまでのベースラインから離れて、新たなベースラインに移行するまでの部分を示す。階段状変化は、ピーク及び階段状変化の組み合わさった形状も含む。「変曲点」とは、階段状変化部分のDSC曲線のこう配が最大になるような点を示す。言い換えれば、変曲点とは、階段状変化部分において上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点と表現することもできる。
熱可塑性ポリマーのTgは、例えば、熱可塑性ポリマーの製造に用いるモノマーの種類及び各モノマーの配合比を変更することにより、適宜調整できる。熱可塑性ポリマーのTgは、その製造に用いられる各モノマーについて一般に示されているそのホモポリマーのTg(例えば、「ポリマーハンドブック」(A WILEY-INTERSCIENCE PUBLICATION)に記載)とモノマーの配合比とから、概略で推定することができる。例えば約100℃のTgのポリマーを与えるスチレン、メチルメタクリレ−ト、及びアクリルニトリル等のモノマーを高比率で配合する熱可塑性ポリマーは、高いTgを有する。また、例えば約−80℃のTgのポリマーを与えるブタジエン、約−50℃のTgのポリマーを与えるn−ブチルアクリレ−ト及び2−エチルヘキシルアクリレ−ト等のモノマーを高い比率で配合した熱可塑性ポリマーは、低いTgを有する。熱可塑性ポリマーのTgは、FOXの式(下記式1)により概算することができる。熱可塑性ポリマーのガラス転移点としては、上記DSCを用いた方法により測定したものを採用する。
1/Tg=W/Tg+W/Tg+…+W/Tg+…W/Tg (1)
{式中、Tg(K)は、コポリマーのTgを示し、Tg(K)は、各モノマーiのホモポリマーのTgを示し、Wは、各モノマーの質量分率を示す}。
熱可塑性ポリマーは、ガラス転移点を少なくとも2つ有していることも好ましい。この場合、熱可塑性ポリマーのTgのうち少なくとも1つが20℃未満であることが好ましく、より好ましくは15℃以下、更に好ましくは−50℃以上15℃以下の領域に存在する。これにより、塗工層と多孔性基材との密着性により優れ、その結果、セパレータが電極との密着性により優れるので、蓄電デバイスの剛性、及びサイクル特性が向上する。熱可塑性ポリマーと多孔性基材との密着性を向上させ、セパレータのハンドリング性を向上させ、及び/又は熱可塑性層の粉落ちを抑制するために、20℃未満の領域に存在するTgは、−30℃以上15℃以下の領域にのみ存在することがより更に好ましい。
熱可塑性ポリマーがガラス転移点を少なくとも2つ有する場合、熱可塑性ポリマーのTgのうちの少なくとも1つが20℃以上100℃以下であることが好ましく、より好ましくは30℃以上100℃以下、より好ましくは40℃以上60℃以下の領域に存在する。これにより、熱可塑性層は、蓄電デバイスの作製のためにセパレータが加熱又は加圧されるときに、熱可塑性ポリマーの少なくとも一部が粒子の状態を維持するため、セパレータのハンドリング性及び電極とセパレータの密着性を保持することができる。
ガラス転移点を少なくとも2つ有する熱可塑性ポリマーは、例えば、2種類以上の熱可塑性ポリマーをブレンドすること、コアシェル構造を備える熱可塑性ポリマーを用いること等によって得ることができる。本明細書において「コアシェル構造」とは、ポリマーが中心部分(コア)と、コアを覆う外殻部分(シェル)との二重構造の形態を有し、かつコアのポリマー組成とシェルのポリマー組成とが異なるポリマーをいう。ポリマーブレンド及びコアシェル構造において、Tgの高いポリマーとTgの低いポリマーとを組み合せることにより、熱可塑性ポリマー全体のガラス転移点を制御し、かつ熱可塑性ポリマー全体に複数の機能を付与することができる。
ポリマーブレンドの場合は、ガラス転移点が20℃以上の領域に存在するポリマーと、ガラス転移点が20℃未満の領域に存在するポリマーとを、2種類以上ブレンドすることにより、耐ベタツキ性と基材への塗れ性とを両立させることができる。ブレンドする場合の混合比としては、ガラス転移点が20℃以上の領域に存在するポリマーと、ガラス転移点が20℃未満の領域に存在するポリマーとの質量比は、好ましくは0.1:99.9〜99.9:0.1、より好ましくは5:95〜95:5、更に好ましくは50:50〜95:5、より更に好ましくは60:40〜90:10である。
コアシェル構造の場合は、シェルのポリマーの種類を変えることにより、他の材料(例えばポリオレフィン多孔性基材等)に対する接着性及び相溶性を調整することができる。コアのポリマーの種類を変更することにより、例えば、熱プレス後の電極に対するポリマーの接着性を調整することができる。コアシェル構造の場合は、粘性の高いポリマーと弾性の高いポリマーとを組み合わせることにより、粘弾性を制御することもできる。コアシェル構造を有する熱可塑性ポリマーの場合、シェルのポリマーのガラス転移点は、限定されないが、好ましくは20℃以上120℃以下、より好ましくは40℃以上100℃以下である。コアのポリマーのガラス転移点は、限定されないが、好ましくは20℃未満、より好ましくは15℃以下、更に好ましくは−30℃以上15℃以下である。
〈分散媒〉
分散媒は、熱可塑性ポリマーに対して貧溶媒であることが好ましい。分散媒としては、限定されないが、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、エタノール、メタノール、トルエン、熱キシレン、塩化メチレン、ヘキサン等が挙げられる。
分散媒は、水、又は水と水溶性有機媒体との混合溶媒であること好ましい。水溶性有機媒体としては、例えば、アセトン、エタノール、及びメタノール等を挙げることができる。分散媒は水を含むことが好ましく、水であることが更に好ましい。スラリーの分散媒として水を用いると、スラリーがポリオレフィン多孔性基材の内部に浸透しにくくなり、熱可塑性ポリマーが概ね基材の表面上に存在し易くなるため、設計したとおりのパターンを形成することがより容易になり、かつ、透過性の低下を効果的に抑制することができるので好ましい。
〈その他の成分〉
本実施形態のパターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマー及び分散媒から成ってもよく、熱可塑性ポリマー及び分散媒以外の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、界面活性剤(「分散剤」とも呼ばれる。)、増粘剤、及びpH調整剤等が挙げられる。界面活性剤としては、例えば低分子量分散剤、例えば、カルボン酸のアンモニウム塩又はアルカリ金属塩を複数有するモノマー(Cii)、及びカルボン酸のアンモニウム塩又はアルカリ金属塩を複数有する非重合性化合物(例えば、アルギン酸ソーダ、及びヒアルロン酸ソーダ)等が挙げられる。
パターン塗工用スラリーが初期固形分以上80質量%未満の固形分領域にゲル化領域を有し、及び/又は滑落角が15°以上であるよう調整するために、界面活性剤等の分散剤、増粘剤、湿潤剤、消泡剤、酸やアルカリを含むpH調製剤等の各種添加剤を加えてもよい。これらの添加剤は、溶媒除去や可塑剤抽出の際に除去できるものが好ましいが、リチウムイオン二次電池の使用範囲において電気化学的に安定で、電池反応を阻害しないものであれば、電池内に残存してもよい。好ましい添加剤としては、界面活性剤または増粘剤、更には両方を含むことが好ましい。
界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、これらの中では、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、イオン解離性の酸基、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、アミノ酸基、及びマレイン酸基等、イオン解離性有機分散剤、例えばポリカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩等、又はイオン解離性の酸塩基、例えばカルボン酸塩基、スルホン酸塩基、及びマレイン酸塩基等を複数含有するものが好ましい。具体的にはアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。これらの具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩などを挙げることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー等を挙げることができる。これらの中では、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーが好ましい。
その他の界面活性剤として、ポリシロキサンオキシエチレン付加物のようなシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルのようなフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンのようなバイオサーファクタント等も使用することができる。
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また必要に応じて防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加することもできる。
増粘剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ウレタン変性ポリエーテル、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、及びビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体などの合成高分子;カルボメトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体;キサンタンガム、ダイユータンガム、ウェランガム、ジェランガム、グアーガム、及びカラギーナンガムなどの天然多糖類;並びにデキストリン、及びアルファー化でんぷんなどのでんぷん類が挙げられる。増粘剤は、スラリーの粘度、ポットライフ及び粒度分布の観点から適宜選択される。添加剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせても用いられる。
《パターン塗工用スラリーの製造方法》
本実施形態のパターン塗工用スラリーの製造方法は限定されない。例えば、パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマー及び分散媒等の成分を任意の手段で混合して、分散媒中に成分を分散させることによって製造することができる。分散方法は、限定されないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。
熱可塑性ポリマーを乳化重合によって合成し、乳化重合によって得られるエマルジョンをパターン塗工用スラリーとして使用することが好ましい。乳化重合の方法及び条件は限定されない。
《蓄電デバイス用セパレータ》
本実施形態の蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、本実施形態のパターン塗工用スラリーから形成されたパターン塗工を有する。一実施形態において、セパレータを電極と共に捲回した後に捲回体がプレスバックすることを抑制するために、蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材の両面にパターン塗工を有してもよい。パターン塗工は、基材の片面又は両面の全体に形成してもよく、セパレータが高いイオン透過性を有するように、片面又は両面の一部のみに形成してもよい。
〈パターン塗工〉
パターン塗工の形状としては、限定されないが、例えば、線状、斜線状、ストライプ状、ドット状、格子目状、縞状、及び亀甲模様状等のパターンが挙げられる。パターン塗工は、好ましくは斜線パターン、ストライプパターン、及びドットパターンであり、より好ましくはドットパターンである。本願明細書において、「ストライプパターン」又は「ストライプ状」とは、ポリオレフィン基材のMD方向(機械方向)に対してほぼ平行な、複数の線を有するパターンを意味する。本願明細書において、「斜線パターン」又は「斜線状」とは、ポリオレフィン基材のMD方向以外の方向に対してほぼ平行な、複数の線を有するパターンを意味する。本願明細書において、「ドットパターン」又は「ドット状」とは、ポリオレフィン多孔質基材上に、熱可塑性ポリマーが存在しない部分と、熱可塑性ポリマーが存在する部分とが海島状である(海:熱可塑性ポリマーが存在しない部分、島:熱可塑性ポリマーが存在する部分である。)ことを意味する。
パターン塗工がドットパターンであることにより、以下のいずれか一つ以上の利点が提供される:
乾燥後の熱可塑性ポリマーが基材の厚み方向に盛り上がって存在するため、電極との接着性が向上する;
熱可塑性ポリマーが存在しない部分によってセパレータの透過性が確保できるため、高い出力の電池が得られる;
セパレータの流通及び/又は保存形態がリール状である場合、あるいは複数の蓄電デバイス用セパレータを積層した形態である場合等において、重なり合うセパレータ上に存在する熱可塑性ポリマー同士の接触数が減少するため、ブロッキングを抑制することができる;並びに
基材表面に凹凸が形成されるため、電池の製造工程において電解液が侵入し易く、注液性が良い(すなわち、電池の製造工程におけるタクトタイムが短縮される)。
パターン塗工の寸法は、限定されないが、微細な、例えば数mm〜数μm程度のオーダーの構造を有することが好ましい。例えば、パターン塗工は、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1000μm以下、更に好ましくは500μm以下、より更に好ましくは200μm以下の構造を有することが好ましい。本願明細書において、パターン塗工が例えば「2000μm以下の構造を有する」とは、パターン塗工の設計上、パターンの幅、長さ、間隔、及び曲率半径等の寸法の少なくとも一部を、2000μm以下に制御することを意味する。パターン塗工の寸法が上記範囲内であることにより、本発明による利点、すなわちパターン塗工性がより顕著になる。
パターン塗工がドットパターンである場合、ドットの径は、好ましくは5μm以上500μm以下、より好ましくは20μm以上400μm以下、更に好ましくは35μm以上300μm以下、より更に好ましくは50μm以上200μm以下である。「ドットの径」とは、ドットが円形の場合は直径を意味し、円形以外の場合は、その重心を通りかつ最長の径を意味する。ドット同士の間隔は、好ましくは5μm以上2000μm以下、より好ましくは10μm以上1500μm以下、更に好ましくは25μm以上1000μm以下、より更に好ましくは50μm以上500μm以下である。「ドット同士の間隔」とは、ドットが円形の場合は中心同士の間隔を意味し、円形以外の場合は、その重心間の距離を意味する。一つのドットの面積は、好ましくは1000μm以上1000000μm以下、より好ましくは2500μm以上250000μm以下、更に好ましくは10000μm以上90000μm以下である。ドットパターンの寸法が上記範囲内であることにより、パターン塗工がドットパターンであることによる上記利点がより顕著になる。
一実施形態において、パターン塗工がドットパターンであり、ドットの径が5μm以上500μm以下、かつドット同士の間隔が5μm以上2000μm以下であることが好ましく、ドットの径が20μm以上400μm以下、かつドット同士の間隔が10μm以上の1500μm以下であることがより好ましく、ドットの径が35μm以上300μm以下、かつドット同士の間隔が25μm以上の1000μm以下であることがより更に好ましい。ドットパターンの寸法が上記範囲内であることにより、パターン塗工がドットパターンであることによる上記利点が更に顕著になる。
パターン塗工が斜線状又はストライプ状である場合、線の幅は、好ましくは5μm以上500μm以下、より好ましくは20μm以上400μm以下、更に好ましくは35μm以上300μm以下、より更に好ましくは50μm以上200μm以下である。線同士の距離は、好ましくは5μm以上2000μm以下、より好ましくは10μm以上1500μm以下、更に好ましくは25μm以上1000μm以下、より更に好ましくは50μm以上500μm以下である。
ポリオレフィン多孔性基材上における熱可塑性ポリマーの面積占有率は、好ましくは20%以上80%未満であり、より好ましくは20%以上70%以下、更に好ましくは20%以上60%以下である。「面積占有率」とは、パターン塗工がポリオレフィン多孔性基材の片面に配置されている場合、基材の片面の全面積に対して、熱可塑性ポリマーが存在する部分の面積割合を意味し、パターン塗工がポリオレフィン多孔性基材の両面に配置されている場合、基材の両面の全面積に対して、熱可塑性ポリマーが存在する部分の面積割合を意味する。
上記面積占有率に調製することで、セパレータをリール上に巻いた際の熱可塑性ポリマー同士の接触確率が抑制されるためブロッキング性に優れ、また電解液注液工程での注液性が良好となる。更には、ポリオレフィン微多孔膜表面の気孔が維持されるため、蓄電デバイス用セパレータとして使用した際のハイレート特性に優れる。なお、ブロッキングとは、一般的に、セパレータの流通及び/又は保存形態がリール状である場合、あるいは複数の蓄電デバイス用セパレータを積層した形態である場合等において、重なり合うセパレータ上に存在する熱可塑性ポリマー同士が圧着することをいう。蓄電デバイス用セパレータの注液性は、電池の製造工程における電解液の侵入し易さを示す指標である。注液性が高いほど、電池の製造工程におけるタクトタイムが短縮されるため好ましい。
パターン塗工の厚さは、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは6μm以下、より更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは4μm以下である。パターン塗工が多孔性基材の両面に配置されている場合、熱可塑性層の厚さは、多孔性基材の片面当たりの厚さを意味する。パターン塗工の厚さが0.01μm以上であれば、セパレータをプレスした際に熱可塑性ポリマーを熱可塑性層の表面にマイグレーションさせ易く、その結果、熱可塑性層が接着層として機能してセパレータと電極との接着強度及び蓄電デバイスの剛性を確保することができる。熱可塑性層の厚さが6μm以下であれば、セパレータのイオン透過性の低下を抑制することができるため好ましい。
〈ポリオレフィン多孔性基材〉
ポリオレフィン多孔性基材は、ポリオレフィン樹脂を主成分として含むポリオレフィン多孔性基材であればよく、ポリオレフィン樹脂から構成される多孔性基材であることが好ましい。「主成分として含む」とは、特定の成分又は部材を、50質量%を超えて含むことを意味する。「から構成される」とは、不可避成分及び混入等を除いて、特定の成分又は部材から成ることを意味する。
セパレータのシャットダウン機能の観点から、ポリオレフィン多孔性基材の50質量%超、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上をポリオレフィン樹脂が占めることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、限定されないが、一般的な押出、射出、インフレーション、及びブロー成形に使用されるポリオレフィン樹脂、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等の、ホモポリマー、コポリマー、及び多段ポリマー等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及び超高分子量ポリエチレン等のポリエチレン;アイソタクティックポリプロピレン、及びアタクティックポリプロピレン等のポリプロピレン;エチレン−プロピレンランダムコポリマー、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、ポリブテン、及びエチレン−プロピレンラバー等もまた挙げられる。
ポリエチレン樹脂としては、低融点かつ高強度であることから、高密度ポリエチレンが好ましい。柔軟性を付与するために、2種以上のポリエチレンを併用してもよい。ポリエチレンの重合に用いられる重合触媒としては、限定されないが、例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、フィリップス系触媒、及びメタロセン系触媒等が挙げられる。
ポリオレフィン多孔性基材の耐熱性を向上させるために、ポリオレフィン樹脂は、ポリプロピレンと、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂とを含むことが好ましい。ポリプロピレンの立体構造は限定されず、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、及びアタクティックポリプロピレンのいずれでもよい。ポリオレフィン樹脂組成物中のポリオレフィン樹脂の合計質量に対するポリプロピレンの割合は、限定されないが、耐熱性と良好なシャットダウン機能とを両立させる観点から、好ましくは1〜35質量%、より好ましくは3〜20質量%、更に好ましくは4〜10質量%である。ポリプロピレンの重合に用いられる重合触媒としては、限定されないが、例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、及びメタロセン系触媒が挙げられる。
ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂としては、限定されないが、例えば、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等のオレフィン炭化水素の、ホモポリマー、及びコポリマーが挙げられる。具体的には、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリブテン、及びエチレン−プロピレンランダムコポリマー等が挙げられる。
ポリオレフィン多孔性基材のシャットダウン機能の観点から、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂として、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及び超高分子量ポリエチレン等のポリエチレンを用いることが好ましい。これらの中でも、強度の観点から、JIS K7112に従って測定された密度が0.93g/cm以上であるポリエチレンを使用することがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、限定されないが、好ましくは30,000以上12,000,000以下、より好ましくは50,000以上2,000,000未満、更に好ましくは100,000以上1,000,000未満である。ポリオレフィン樹脂の粘度平均分子量が30,000以上であると、基材を溶融成形する際のメルトテンションが大きく、成形性が良好になると共に、ポリマー同士の絡み合いにより高強度の基材が得られる傾向にあるため好ましい。粘度平均分子量が12,000,000以下であると、より均一に溶融混練をすることができ、シートの成形性、特に厚み安定性に優れる傾向にあるため好ましい。粘度平均分子量が1,000,000未満であると、温度上昇時に基材の孔が閉塞され易く、良好なシャットダウン機能が得られる傾向にあるため好ましい。
粘度平均分子量(Mv)は、ASTM−D4020に基づき、溶剤としてデカリンを用い、測定温度135℃で測定された極限粘度[η]から、下記式により算出される。
ポリエチレン:[η]=6.77×10−4Mv0.67(Chiangの式)
ポリプロピレン:[η]=1.10×10−4Mv0.80
粘度平均分子量が1,000,000未満のポリオレフィンを単独で使用する代わりに、粘度平均分子量が約2,000,000のポリオレフィンと、粘度平均分子量が約270,000のポリオレフィンとの混合物である結果、混合物全体としての粘度平均分子量が1,000,000未満である混合物を用いてもよい。
ポリオレフィン多孔性基材は、任意の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、限定されないが、例えば、ポリオレフィン以外のポリマー、無機粒子、酸化防止剤、金属石鹸類、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、及び着色顔料等が挙げられる。酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、及びイオウ系等の酸化防止剤が挙げられる。金属石鹸類としては、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類が挙げられる。任意の添加剤の合計含有量は、ポリオレフィン多孔性基剤100質量部に対して、好ましくは0.001質量%以上20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
ポリオレフィン多孔性基材の気孔率は、好ましくは20%以上、より好ましくは35%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。気孔率が20%以上であれば、イオン透過性の高いセパレータが得られる。気孔率が90%以下であれば、突刺強度の高いセパレータが得られる。
ポリオレフィン多孔性基材の気孔率は、例えば、基材の体積(cm)、質量(g)、膜密度(g/cm)から、下記数式:
気孔率=(体積−質量/膜密度)/体積×100
により求めることができる。例えば、ポリエチレンから構成されるポリオレフィン多孔性基材の場合、膜密度を0.95(g/cm)と仮定して気孔率を計算することができる。気孔率は、ポリオレフィン多孔性基材の延伸倍率を変更すること等により調節可能である。
ポリオレフィン多孔性基材の透気度は、限定されないが、好ましくは10秒/100cc以上、より好ましくは50秒/100cc以上であり、好ましくは1,000秒/100cc以下、より好ましくは500秒/100cc以下である。透気度が10秒/100cc以上であれば、蓄電デバイスの自己放電が抑制されるため好ましい。透気度が1,000秒/100cc以下であれば、良好な充放電特性が得られるため好ましい。本明細書では、透気度は、JIS P−8117に準拠して測定される透気抵抗度である。透気度は、多孔性基材の延伸温度及び/又は延伸倍率等を変更することで調節可能である。
ポリオレフィン多孔性基材の平均孔径は、好ましくは0.15μm以下、より好ましくは0.1μm以下であり、好ましくは0.01μm以上である。平均孔径が0.15μm以下であれば、蓄電デバイスの自己放電が抑制され、かつ容量低下が抑制されるため好ましい。平均孔径は、ポリオレフィン多孔性基材を製造する際の延伸倍率等を変更することにより調節可能である。
ポリオレフィン多孔性基材の突刺強度は、限定されないが、好ましくは200g/20μm以上、より好ましくは300g/20μm以上であり、好ましくは2,000g/20μm以下、より好ましくは1,000g/20μm以下である。突刺強度が200g/20μm以上であれば、電池捲回時に脱落した活物質等による破膜が抑制され、また、充放電に伴う電極の膨張及び収縮による短絡が抑制されるため好ましい。突刺強度が2,000g/20μm以下であれば、加熱時の配向緩和による幅収縮が低減されるため好ましい。突刺強度は、ポリオレフィン多孔性基材の延伸倍率及び/又は延伸温度等を調整することにより調節可能である。
ポリオレフィン多孔性基材の膜厚は、限定されないが、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下、更に好ましくは50μm以下である。膜厚が2μm以上であれば、機械強度が向上するため好ましい。膜厚が100μm以下であれば、電池におけるセパレータの占有体積が減り、電池の高容量化に寄与する傾向があるため好ましい。
ポリオレフィン多孔性基材は、蓄電デバイスの自己放電を抑制し、電池におけるセパレータの占有体積を低減して、電池の高容量化を図る観点から、平均孔径が0.15μm以下であり、かつ膜厚が100μm以下のポリオレフィン微多孔膜であることがより好ましい。
〈蓄電デバイス用セパレータの物性〉
本実施形態の蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、本実施形態のパターン塗工用スラリーから形成されたパターン塗工を有し、それによってイオン透過性、電極との接着性、ブロッキング性、及び注液性等に優れる。
(イオン透過性)
蓄電デバイス用セパレータのイオン透過性は、実施例の欄に記載するように、セパレータの透気度によって評価することができる。蓄電デバイス用セパレータの透気度は、好ましくは10〜10,000秒/100ccであり、より好ましくは10〜1,000秒/100ccであり、更に好ましくは50〜500秒/100ccである。透気度が上記範囲内であることにより、セパレータをリチウムイオン二次電池に適用したときには、大きなイオン透過性を示す。
(接着性)
蓄電デバイス用セパレータの接着性は、実施例の欄に記載するように、セパレータと電極との間の剥離強度により評価することができる。蓄電デバイス用セパレータは、これを電極と重ね合わせて、プレス温度100℃、プレス圧力1.0MPa、プレス時間5秒の条件でプレスをした際の剥離強度が5N/m以上であることが好ましい。上記条件で測定される剥離強度が5N/m以上であることは、セパレータと電極との接着性が良好であることを意味する。剥離強度をこの範囲に設定することにより、セパレータと電極との接着性が十分に確保され、充放電による電極の膨張収縮に伴うセパレータと電極との間の剥がれ、及び電池厚みの増大を抑制できる。その結果、均一なリチウムイオンの行き来を可能にし、リチウムデンドライトの発生を抑えて、良好なサイクル特性が達成される。
剥離強度の測定に用いる電極は、正極又は負極のいずれでもよいが、蓄電デバイス用セパレータの接着性を適切に把握するためには、正極であることが好ましい。正極集電体上に、正極活物質を含む正極活物質層が形成されたリチウムイオン二次電池用正極を、上記正極活物質層とセパレータのパターン塗工層形成面とが相対するように重ね合わせ、上記条件でプレスしてから剥離強度を測定することが適切である。
《蓄電デバイス用セパレータの製造方法》
蓄電デバイス用セパレータの製造方法は:
ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、パターン塗工用スラリーをパターン塗工することと;
上記パターン塗工用スラリーから分散媒を乾燥させることと
を含み、
上記パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマー及び分散媒を含み、
上記パターン塗工用スラリーは、上記乾燥の過程で、初期固形分以上80質量%未満の固形分領域において、固形分の上昇に対する粘度上昇率が10mPa・s/%以上となる、方法であることが好ましい。
〈ポリオレフィン多孔性基材の製造方法〉
本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材を製造する方法は、特に限定されず、公知の製造方法を採用することができる。例えば、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とを溶融混練してシート状に成形後、場合により延伸した後、可塑剤を抽出することにより多孔化させる方法(湿式法)、ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によってポリオレフィン結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法(乾式法)、ポリオレフィン樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート上に成形後、延伸によってポリオレフィンと無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法、ポリオレフィン樹脂組成物を溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法等が挙げられる。一般的に、乾式法で製造したポリオレフィン多孔性基材は表面状態の影響から良好なパターン塗工が困難であるが、本発明のスラリーを用いることで乾式法により製造されたポリオレフィン基材においても良好なパターン塗工が可能である。
〈パターン塗工の方法〉
パターン塗工の方法は、所望のパターン及び層厚等を実現できれば限定されず、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、及びスプレー塗布法等が挙げられる。パターン塗工の方法は、熱可塑性ポリマーの塗工形状の自由度が高く、所望の面積割合を容易に得ることができること等から、好ましくはグラビアコーター法である。
グラビアコーター法を用いる場合、所望のパターン加工が施されたグラビアコーターを用いてパターン塗工を行う。グラビアコーターにおけるパターンの形状としては、上記「〈パターン塗工〉」の欄に挙げた形状に対応する形状であることができ、好ましくはドット、斜線、又はストライプのパターンである。それぞれのパターンの好ましい径、幅、距離、面積等は、上記「〈パターン塗工〉」の欄を参照されたい。
パターン塗工に先立ち、多孔性基材の表面に表面処理を施すと、スラリーを塗布し易くなるとともに、基材とパターン塗工との接着性が向上するため好ましい。表面処理の方法は、基材の多孔質構造を著しく損なわない方法であれば限定されず、例えば、コロナ放電処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、及び紫外線酸化法等が挙げられる。
〈乾燥方法〉
分散媒を乾燥させる方法は、塗布後のパターン塗工から分散媒を実質的に除去して多孔性基材上に、熱可塑性ポリマーを含むパターン塗工を残すことができれば限定されない。乾燥後のパターン塗工に許容量の分散媒が残留してもよい。分散媒を乾燥させる方法としては、例えば、多孔性基材を固定しながらその融点以下の温度で乾燥させる方法、及び低温で減圧乾燥させる方法等が挙げられる。多孔性基材のMD方向(多孔性基材の機械方向)の収縮応力を制御する観点から、乾燥温度、及び巻取り張力等を調整することが好ましい。
パターン形成性の観点から、乾燥方法としては特に限定されないが、スラリーを塗布してからゲル化領域の固形分に達するまでの時間が20秒以内であることが好ましく、より好ましくは15秒以内、より好ましくは10秒以内、更に5秒以内であることが好ましい。ゲル化領域以降は、ポリオレフィン微多孔基材の気孔が閉塞しない程度の条件で乾燥させることが好ましい。
《蓄電デバイス》
本実施形態の蓄電デバイスは、正極と、負極と、電解質と、本実施形態の蓄電デバイス用セパレータとを有する。蓄電デバイスは、典型的には、正極と、本実施形態の蓄電デバイス用セパレータと、負極とが、この順に積層した電極積層体、又は電極積層体を捲回した電極捲回体を有する。
蓄電デバイスとしては、限定されないが、例えば、非水系電解液二次電池等の電池、コンデンサー、及びキャパシタが挙げられる。本実施形態の効果による利益がより有効に得られる観点から、蓄電デバイスは、好ましくは電池であり、より好ましくは非水系電解液二次電池であり、更に好ましくはリチウムイオン二次電池である。蓄電デバイスがリチウムイオン二次電池等の非水系電解液二次電池である場合について、好適な態様を以下に説明する。
本実施形態の蓄電デバイス用セパレータを用いてリチウムイオン二次電池を製造する場合、正極、負極、及び電解液は限定されず、それぞれ既知の材料を用いることができる。
正極としては、正極集電体上に、正極活物質を含む正極活物質層が形成された正極を好適に用いることができる。正極集電体としては、例えばアルミニウム箔等が挙げられる。正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiNiO、スピネル型LiMnO、及びオリビン型LiFePO等のリチウム含有複合酸化物等が挙げられる。正極活物質層は、正極活物質に加えて、バインダ、及び導電材等を含んでもよい。
負極としては、負極集電体上に、負極活物質を含む負極活物質層が形成された負極を好適に用いることができる。負極集電体としては、例えば銅箔等が挙げられる。負極活物質としては、例えば、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、及び複合炭素体等の炭素材料;シリコン、スズ、金属リチウム、及び各種合金材料等が挙げられる。
電解液としては、非水電解液を用いることができる。非水電解液としては、限定されないが、電解質を有機溶媒に溶解した電解液を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネート等が挙げられる。電解質としては、例えば、LiClO、LiBF、及びLiPF等のリチウム塩が挙げられる。
本実施形態の蓄電デバイス用セパレータを用いて、蓄電デバイス、好ましくはリチウムイオン二次電池等の非水系電解液二次電池を製造する方法を以下に例示する。
本実施形態の蓄電デバイス用セパレータを、幅10〜500mm(好ましくは80〜500mm)、長さ200〜4,000m(好ましくは1,000〜4,000m)の縦長形状を有するセパレータとして製造する。得られたセパレータを、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順に積層し、円又は扁平な渦巻状に捲回して電極捲回体を得て、電極捲回体を電池容器内に入れて、電解液を注液することにより、蓄電デバイスを製造することができる。
代替的には、本実施形態の蓄電デバイス用セパレータと、正極と、負極とから構成される電極積層体、又は電極積層体を折り畳んだものを電池容器に入れて、電解液を注液することにより、蓄電デバイスを製造してもよい。電極積層体は、例えば、正極−セパレータ−負極−セパレータ−正極、又は負極−セパレータ−正極−セパレータ−負極の順に平板状に積層した電極積層体であることができる。電池容器は、例えば、アルミニウム製のフィルムであることができる。
いずれの場合にも、電極積層体又は電極捲回体に対してプレスを行うことができる。具体的には、本実施形態の蓄電デバイス用セパレータ、正極、及び負極を、セパレータのパターン塗工層と電極の活物質層とが対向するように重ね合わせて、プレスを行う方法が挙げられる。
プレス温度は、効果的に接着性を発現できる温度、例えば、20℃以上が好ましい。プレスによるセパレータ孔の目詰まり又は熱収縮を抑える点で、プレス温度は、ポリオレフィン多孔性基材の融点よりも低いことが好ましく、120℃以下であることがさらに好ましい。プレス圧力は、セパレータ孔の目詰まりを抑える観点から、20MPa以下が好ましい。プレス時間は、ロールプレスを用いたときに1秒以下でもよく、面プレスを用いたときに数時間でもよい。本実施形態の蓄電デバイス用セパレータを用いて、上記のプレス方法を行うことにより、電極及びセパレータを含む電極捲回体をプレス成形した際のプレスバックを効果的に抑制することができ;又は、電極及びセパレータを含む電極積層体をプレス成形した後の、剥がれ及び位置ズレを防ぐことができる。したがって、電池組立工程における歩留まり低下を抑制し、生産工程時間を短縮することができるので、上記のプレス方法を含む製造工程を使用して蓄電デバイスを製造することが好ましい。
電極積層体又は電極捲回体に電解液を注液した後に、熱プレスを行うこともできる。その場合、プレス温度としては、効果的に接着性を発現できる温度、例えば20℃以上が好ましい。熱プレスによるセパレータ孔の目詰まり又は熱収縮を抑える観点から120℃以下であることが好ましい。プレス圧力はセパレータ孔の目詰まりを抑える観点から20MPa以下が好ましい。プレス時間は生産性の観点から2時間以下が好ましい。
本実施形態の蓄電デバイスは、イオン透過性、電極との接着性等に優れる本実施形態の蓄電デバイス用セパレータを有するため、ハイレート特性に優れる。
以下、実施例及び比較例により本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
《測定及び評価方法》
〈固形分〉
パターン塗工用スラリーをアルミ皿上に約1g精秤し、このとき量り取った試料の質量をa(g)とした。これを、130℃の熱風乾燥機で1時間乾燥し、乾燥後の試料の乾燥質量をb(g)とした。下記式によりパターン塗工用スラリーの固形分を算出した。
固形分=(b/a)×100(%)
〈ゲル化領域〉
パターン塗工用スラリーを、初期固形分から80質量%未満の固形分に至るまで分散媒を乾燥させ、固形分Δ5%上昇するごとにスラリーの粘度を測定した。固形分Δ5%ごとの粘度上昇から、粘度上昇率(mPa・s/%)を算出した。スラリーの粘度は、B形粘度計(東機産業株式会社製、TVB10型粘度計)を使用して、回転数60rpmの条件で測定した。
〈滑落角〉
パターン塗工用スラリーの滑落角は、接触角計(共和界面科学株式会社製、DMs−401)、及び動的滑落法キット(共和界面科学株式会社製、SA−Co1/SA−Cs1)を用いて測定した。パターン塗工用スラリーの液量は10μLであった。液滴の移動量が10mmを超えた角度を、滑落角とした。滑落角は、測定対象のパターン塗工用スラリーが塗工されることが予定された基材を用いて測定する。
〈平均粒径〉
熱可塑性ポリマーの平均粒径は、粒子径測定装置(日機装株式会社製、Microtrac UPA150)を使用して測定した。測定条件は、ローディングインデックス=0.15〜0.3、測定時間300秒であった。得られたデータにおける50%粒子径の数値(D50)を平均粒径として記載した。
〈ガラス転移点(Tg)及び融点(Tm)〉
熱可塑性ポリマーのガラス転移点及び融点は、示差走査熱量測定(DSC)で得られるDSC曲線から決定した。
熱可塑性ポリマーを含む水分散体(固形分=38〜42質量%、pH=9.0)を、アルミ皿に適量取り、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後の乾燥皮膜約17mgを測定用アルミ容器に詰め、DSC測定装置(島津製作所社製、DSC6220)にて窒素雰囲気下におけるDSC曲線及びDDSC曲線を得た。測定条件は下記のとおりとした。
1段目昇温プログラム:70℃スタート、毎分15℃の割合で昇温。110℃に到達後5分間維持。
2段目降温プログラム:110℃から毎分40℃の割合で降温。−50℃に到達後5分間維持。
3段目昇温プログラム:−50℃から毎分15℃の割合で130℃まで昇温。この3段目の昇温時にDSC及びDDSCのデータを取得。
融点は、DSC曲線におけるベースラインと融解吸熱ピークの傾きの接線との交点により決定した。ガラス転移点は、DSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の変曲点における接線との交点により決定した。
〈粘度平均分子量(Mv)〉
熱可塑性ポリマーについて、ASRM−D4020に準拠して、デカリン溶剤中、135℃における極限粘度[η]を求めた。この[η]値を用いて、下記数式の関係から熱可塑性ポリマーの粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ポリエチレンの場合:[η]=0.00068×Mv0.67
ポリプロピレンの場合:[η]=1.10×Mv0.80
〈膜厚〉
ポリオレフィン多孔性基材から10cm×10cm角の試料を切り取り、格子状に9箇所(3点×3点)の測定箇所を選んで、微小測厚器(株式会社東洋精機製作所 タイプKBM)を用いて、室温23±2℃で、各測定箇所の膜厚を測定した。得られた9個の測定値の平均値を、基材の膜厚として算出した。
〈気孔率〉
ポリオレフィン多孔性基材から10cm×10cm角の試料を切り取り、その体積(cm)及び質量(g)を求めた。これらの値を用い、基材の密度を0.95(g/cm)として、以下の式により気孔率を計算した:
気孔率(%)=(1−質量/体積/0.95)×100
〈パターン形成性〉
パターン塗工用スラリーの、ポリオレフィン多孔性基材へのパターン形成性(%)は、グラビアコーター上に加工されたパターンと、ポリオレフィン多孔性基材に実際に塗工されたパターンとの寸法のずれを評価するための指標である。
以下の手法を用いてパターン形成性を算出した。なお、ポリオレフィン多孔性基材上の平均パターン面積は、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製作所製、S−4800)で観察した。
パターン形成性(倍)=ポリオレフィン多孔性基材上の平均パターン面積/
グラビア版の平均パターン面積
パターン形成性は以下の基準で評価した。
S:0.7以上2.0倍以下
A:0.6以上0.7未満、又は2.0倍超3.0倍以下
B:0.4以上0.6未満、又は3.0倍超5.0倍以下
C:0.4未満、又は5.0倍超
〈透気度上昇〉
蓄電デバイス用セパレータの透気度は、一般的な多孔性基材の透気度と同様に、JIS P−8117に準拠して測定される透気抵抗度である。透気抵抗度は、単位面積及び単位圧力差当たり、規定された体積の空気が透過するのに要する時間であり、100mL当たりの時間(秒)で表される。東洋精器(株)製のガーレー式透気度計G−B2(商標)により測定した透気抵抗度を透気度(s−1)とした。
次いで、ポリオレフィン微多孔基材の透気度から、パターン塗工した後のセパレータの登記を差し引くことで透気度上昇(s−1)を算出した。
透気度上昇を以下の基準で評価した。
S:10s−1未満
A:10s−1以上20s−1未満
B:20s−1以上30s−1未満
C:30s−1以上
〈剥離強度〉
蓄電デバイス用セパレータと、被着体としての正極(enertech社製、正極材料:LiCoO、導電助剤:アセチレンブラック、バインダ:PVDF、LiCoO/アセチレンブラック/PVDF(重量比)=95/2/3、L/W:両側について36mg/cm、密度:3.9g/cc、Al集電体の厚み:15μm、プレス後の正極の厚み:107μm)とを、それぞれ幅15mm及び長さ60mmの長方形状に切り取った。セパレータの熱可塑性ポリマー層と正極活物質とが相対するようにこれらを重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体を、以下の条件でプレスした。
プレス圧:1MPa
温度:100℃
プレス時間:5秒
プレス後の積層体について、(株)イマダ製のフォースゲージZP5N及びMX2−500N(製品名)を用いて、電極を固定し、セパレータを把持して引っ張る方式によって、剥離速度50mm/分にて90°剥離試験を行い、剥離強度を調べた。このとき、上記の条件で行った長さ40mm分の剥離試験における剥離強度の平均値を剥離強度とした。電極との接着性を以下の基準で評価した。
評価基準
S:15N/m以上
A:10N/m以上15N/m未満
B:5N/m以上10N/m未満
C:5N/m未満
〈ブロッキング性〉
蓄電デバイス用セパレータの塗工面同士を重ね合わせ、温度30℃及び圧力5MPaの条件下で3分間に亘ってプレスを行った。その後、重なり合った塗工面同士の剥離強度を、株式会社島津製作所製オートグラフAG−IS型(商標)を用いて、JIS K6854−2に準じて引張速度200mm/分で測定した。剥離強度の値に基づいて、下記評価基準によりブロッキング性を評価した。
評価基準
A(良好):5N/m未満
B(許容):5N/m以上10N/未満
C(悪) :10N/m以上20N/未満
D(不良):20N/m以上
〈注液性〉
a.正極の作製
正極活物質としてニッケル、マンガン、コバルト複合酸化物(NMC)(Ni:Mn:Co=1:1:1(元素比)、密度4.70g/cm)を90.4質量%、導電助材としてグラファイト粉末(KS6)(密度2.26g/cm、数平均粒子径6.5μm)を1.6質量%及びアセチレンブラック粉末(AB)(密度1.95g/cm、数平均粒子径48nm)を3.8質量%、並びにバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(密度1.75g/cm)を4.2質量%の比率で混合し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターを用いて塗布し、130℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機を用いて圧縮成形することにより、正極を作製した。この時の正極活物質塗布量は109g/mであった。
b.負極の作製
負極活物質としてグラファイト粉末A(密度2.23g/cm、数平均粒子径12.7μm)を87.6質量%及びグラファイト粉末B(密度2.27g/cm、数平均粒子径6.5μm)を9.7質量%、並びにバインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%(固形分換算)(固形分濃度1.83質量%水溶液)及びジエンゴム系ラテックス1.7質量%(固形分換算)(固形分濃度40質量%水溶液)を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機で圧縮成形することにより、負極を作製した。この時の負極活物質塗布量は5.2g/mであった。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/Lとなるように溶解させることにより、非水電解液を調製した。
d−1.電池組立
各実施例及び比較例で得られた蓄電デバイス用セパレータを50mmφ、正極及び負極をそれぞれ40mmφの円形に切り出した。正極と負極の活物質面とが対向するように、負極、セパレータ、正極の順に重ね、プレス又はヒートプレスをして、蓋付きステンレス金属製容器に収容した。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と、それぞれ接していた。この容器内に上記非水電解液を、容器の側面を伝わらせてから0.5ml注入して密閉した後、インピーダンスアナライザーに接続し、抵抗を測定することで注液性を確認した。
注液性は、抵抗の値がΩ以下となるまでにかかった時間で評価を行った。
評価基準
S(良好):200秒未満
A(許容):200秒以上400秒未満
B(悪) :400秒以上600秒未満
C(不良):600秒以上
〈ハイレート特性〉
d−2.電池組立
各実施例及び比較例で得られた蓄電デバイス用セパレータを24mmφ、正極及び負極をそれぞれ16mmφの円形に切り出した。正極と負極の活物質面とが対向するように、負極、セパレータ、正極の順に重ね、プレス又はヒートプレスをして、蓋付きステンレス金属製容器に収容した。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と、それぞれ接していた。この容器内に上記非水電解液を0.2ml注入して密閉することにより、電池を組み立てた。
e.レート特性の評価
上記d−2.で組み立てた簡易電池を、25℃において、電流値3mA(約0.5C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法により、電池作成後の最初の充電を合計約6時間行った。その後、電流値3mAで電池電圧3.0Vまで放電した。
次に、25℃において、電流値6mA(約1.0C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計約3時間充電を行った。その後、電流値6mAで電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量を1C放電容量(mAh)とした。
次に、25℃において、電流値6mA(約1.0C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計約3時間充電を行った。その後、電流値90mA(約15C)で電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量を15C放電容量(mAh)とした。
そして、1C放電容量に対する15C放電容量の割合を算出し、この値をレート特性とした。
ハイレート特性(%)=(15C放電容量/1C放電容量)×100
評価基準
S:60%以上
A:50%以上60%未満
B:40%以上50%未満
C:30%以上40%未満
D:30%未満
《熱可塑性ポリマー粒子の合成》
〈水分散体a1〉
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、イオン交換水70.4質量部と、乳化剤として「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液、表中「KH1025」と表記。以下同様。)0.5質量部と、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液、表中「SR1025」と表記。以下同様。)0.5質量部とを投入した。次いで、反応容器内部の温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウムの2%水溶液(表中「APS(aq)と表記。以下同様。」)を7.5質量部添加し、初期混合物を得た。過硫酸アンモニウム水溶液を添加終了した5分後に、乳化液を滴下槽から反応容器に150分かけて滴下した。
なお、上記乳化液は:
ポリエチレングリコール基含有単量体単位(P)を構成するモノマーとしてメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(表中PEGMと表記。以下同様。)10質量部;
シクロアルキル基含有単量体単位(A)を構成するモノマーとしてシクロヘキシルメタクリレート(表中、「CHMA」と表記。以下同様。)30質量部;
カルボキシル基含有単量体単位(b1)を構成するモノマーとしてメタクリル酸(表中、「MAA」と表記。以下同様。)1.0質量部;
アクリル酸(表中、「AA」と表記。以下同様。)1.0質量部;
アミド基含有単量体単位(b2)を構成するモノマーとしてアクリルアミド(表中、「AM」と表記。以下同様。)0.1質量部;
ヒドロキシル基含有単量体単位(b3)を構成するモノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレート(表中、「2HEMA」と表記。以下同様。)5質量部;
架橋性単量体単位(b4)を構成するモノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学工業株式会社製商品名、表中、「A−TMPT」と表記。以下同様。)0.5質量部;
上記以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(b5)を構成するモノマーとしてメチルメタクリレート(表中、「MMA」と表記。以下同様。)1.0質量部;
ブチルメタクリレート(表中、「BMA」と表記。以下同様。)0.4質量部;
ブチルアクリレート(表中、「BA」と表記。以下同様。)1.0質量部;
2−エチルヘキシルアクリレート(表中、「2EHA」と表記。以下同様。)50.0質量部;
乳化剤として「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)3質量部と「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液)3質量部とp−スチレンスルホン酸ナトリウム(表中、「NaSS」と表記。以下同様。)0.05質量部;
過硫酸アンモニウムの2%水溶液7.5質量部;及び
イオン交換水52質量部
の混合物を、ホモミキサーにより5分間混合させて調製した。
乳化液の滴下終了後、反応容器内部の温度を80℃に保ったまま90分間維持し、その後室温まで冷却した。得られたエマルジョンを、25%の水酸化アンモニウム水溶液(表中、「AW」と表記。)でpH=8.0に調整し、少量の水を加えて固形分40%の水分散体を得た(水分散体a1)。得られた水分散体a1中の共重合体について、上記方法により、平均粒径、ガラス転移点、熱可塑性層形成後の形状、及び熱可塑性層形成後の粒径を測定した。得られた結果を表2に示す。
〈水分散体A1〜A9〉
表2及び3に記載の初期混合物を水分散体a1と同様な配合比に、それ以外の乳化液は表2及び3の配合比に変更し、a1と同様な合成を行うことでA1〜A9の各シードポリマー水分散体(40%固形分)を得た。引き続き初期混合物及び乳化液を表2および3示すように変更した以外は、水分散体a1と同様にして合成することで、水分散体A1〜A9を得た。得られた水分散体A1〜A9及びa1の共重合体について、上記方法により、粒子径、及びガラス転移点(Tg)を測定した。得られた結果を表2及び3に示す。なお、表中、原材料の組成は質量基準である。
《ポリオレフィン多孔性基材の製造(湿式法)》
〈基材B1〉
Mvが70万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、
Mvが30万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、
Mvが40万であるホモポリマーのポリプロピレン5質量部と、
を、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。
得られたポリオレフィン混合物99質量部に酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。
得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。
また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
押し出される全混合物中の、流動パラフィンの割合が65質量部、及びポリマー濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
次いで、それらを二軸押出機内で230℃に加熱しながら溶融混練し、得られた溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度80℃に制御された冷却ロール上に押し出し、その押出物を冷却ロールに接触させ成形(cast)して冷却固化することにより、シート状成形物を得た。
このシートを同時二軸延伸機にて、温度112℃において倍率7×6.4倍に延伸した。その後、延伸物を塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去後、乾燥し、更にテンター延伸機を用いて温度130℃において横方向に2倍延伸した。
その後、この延伸シートを幅方向に約10%緩和して熱処理を行い、ポリオレフィン多孔性基材B1を得た。得られた基材B1の物性を表1に示す。
〈基材B2〉
以下の材料:
SiO「DM10C」(商標、トクヤマ社製)、
粘度平均分子量が70万の高密度ポリエチレン、
粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン、
粘度平均分子量40万のホモポリプロピレン、
可塑剤として、流動パラフィン、及び
酸化防止剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
をスーパーミキサーにて予備混合することにより、第一原料を調製した。
以下の原料:
粘度平均分子量が70万の高密度ポリエチレン、粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン、
粘度平均分子量40万のホモポリプロピレン、
可塑剤として、流動パラフィン、及び
酸化防止剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
をスーパーミキサーにて予備混合することにより、第二原料を調製した。
上記第一及び第二原料を、フィーダーにより2台の二軸同方向スクリュー式押出機フィード口へ供給した。このとき、各原料とともに、溶融混練して押し出される全混合物中に占める可塑剤(流動パラフィン)の量比が60質量%となるように、流動パラフィンを二軸押出機シリンダーへサイドフィードした。
続いて、溶融混練物をそれぞれ、ギアポンプ、導管、及び2種3層の共押出しが可能なTダイを経て、一対のロール間に押出し、上記第一原料からなる第一層を表層とし、上記第二原料からなる第二層を中間層とするシート状の組成物(第一層−第二層−第一層)を得た。その後、延伸温度と緩和率の調整をしたこと以外は、ポリオレフィン多孔性基材B1の製造例と同様の操作を行うことにより、ポリオレフィン多孔性基材B2を得た。
〈基材B3〉
ポリオレフィン多孔性基材B3として、ポリプロピレン単層膜であるセルガードの型番「CG2500」(旭化成株式会社製乾式法ポリオレフィン基材)を用意した。使用した基材を表1に記す。
〈基材B4〉
水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.0μm)97.0質量部、アクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)3.0質量部、及びポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)1.0質量部を100質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製した。続いて、その塗布液を、ポリオレフィン多孔性基材B3の表面にグラビアコーターを用いて塗布した。その後、60℃において乾燥して水を除去した。このようにして、ポリオレフィン多孔性基材B3上に水酸化酸化アルミニウム層(無機フィラーの多孔層)を厚さ2μmで形成することにより、ポリオレフィン多孔性基材B4を得た。
《実施例1》
表2に記載の水分散体A3とa1とを固形分重量比でA3:a1=80:20となるように混合し、精製水を加えることで固形分25質量%の有機バインダー含有スラリーを作製した。次いでスラリーに添加剤として、固形分濃度1.5質量%に調製したキサンタンガム(三晶株式会社製、ケルザンM)水溶液、及びアルキルスルホン酸系界面活性剤(三井サイテック株式社製、OT−75)をそれぞれ少量加え5分間撹拌し、粘度上昇率が10mPa/%以上となる固形分、及び滑落角を測定した。上記添加材料の調整を繰り返すことによって、粘度上昇率が10mPa/%以上となる固形分が35質量%であり、かつ滑落角が60°であるパターン塗工用スラリーを得た。
調整した塗料を、表1に記載のポリオレフィン微多孔基材B3の片面表面にドット径200μm、深さ5μmにドット型刻印されたグラビアロールを用いて塗工液をパターン塗布し、60℃にて乾燥して塗工液の水を除去することでセパレータS1を得た。セパレータ上に形成されたドットの径は250μm、ドット同士の間隔は300μmであった。
《実施例2及び3》
実施例2では、斜線幅200μm、深さ5μmに刻印されたグラビアロールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてパターン塗工を行い、塗工後のポリオレフィン基材への転写線の幅は280μm、線の間隔は200μmであった。実施例3では、ストライプ状の幅200μm、深さ5μmに刻印されたグラビアロールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてパターン塗工を行い、塗工後のポリオレフィン基材への転写線の幅は280μm、線の間隔は200μmであった。
《実施例4〜20及び比較例1〜4》
表1〜3に示したポリオレフィン微多孔性基材、水分散体、調整済みスラリーを用いたこと以外は実施例1〜3と同様にして、パターン塗工を行い、それぞれのセパレータを得た。なお、実施例19及び比較例4における基材4への塗工に関しては、水酸化酸化アルミニウムの層上ではなく、ポリオレフィン面へのパターン塗工を行った。
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本発明のパターン塗工用スラリーは、蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面にパターン塗工するために用いることができる。得られる蓄電デバイス用セパレータは、蓄電デバイス、例えばリチウムイオン電池の製造に用いることができる。

Claims (12)

  1. 蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面にパターン塗工するための、パターン塗工用スラリーであって、
    前記パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマー及び分散媒を含み、
    前記パターン塗工用スラリーから前記分散媒を乾燥させる間、初期固形分以上80質量%未満の固形分領域において、固形分の上昇に対する粘度上昇率が10mPa・s/%以上となる領域を含む、パターン塗工用スラリー。
  2. 前記ポリオレフィン多孔性基材を用いた滑落法における動的接触角の滑落角が15°以上である、請求項1に記載のパターン塗工用スラリー。
  3. 前記分散媒は水を含む、請求項1または2に記載のパターン塗工用スラリー。
  4. 前記熱可塑性ポリマーは、ガラス転移点(Tg)又は融点(Tm)が20℃未満である熱可塑性ポリマーを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
  5. 前記熱可塑性ポリマーは、ガラス転移点(Tg)又は融点(Tm)が20℃以上100℃以下である熱可塑性ポリマーを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
  6. 前記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が100mPa・s以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
  7. 前記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が70mPa・s以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
  8. 前記ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリーから形成されたパターン塗工を有する、蓄電デバイス用セパレータ。
  9. 前記パターン塗工がドットパターンである、請求項8に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  10. 前記ドットの径が5μm以上500μm以下、かつ前記ドット同士の間隔が5μm以上2000μm以下である、請求項9に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  11. 前記ポリオレフィン微多孔膜上における熱可塑性ポリマーの面積占有率が20%以上80%未満である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  12. 正極と、負極と、電解質と、請求項8〜11のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータとを有する、蓄電デバイス。
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