JP2019008884A - パターン塗工用スラリー - Google Patents
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Abstract
Description
[1]
蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面にパターン塗工するための、パターン塗工用スラリーであって、
上記パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマー及び分散媒を含み、
上記パターン塗工用スラリーから上記分散媒を乾燥させる間、初期固形分以上80質量%未満の固形分領域において、固形分の上昇に対する粘度上昇率が10mPa・s/%以上となる領域を含む、パターン塗工用スラリー。
[2]
上記ポリオレフィン多孔性基材を用いた滑落法における動的接触角の滑落角が15°以上である、項目1に記載のパターン塗工用スラリー。
[3]
上記分散媒は水を含む、項目1または2に記載のパターン塗工用スラリー。
[4]
上記熱可塑性ポリマーは、ガラス転移点(Tg)又は融点(Tm)が20℃未満である熱可塑性ポリマーを含む、項目1〜3のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
[5]
上記熱可塑性ポリマーは、ガラス転移点(Tg)又は融点(Tm)が20℃以上100℃以下である熱可塑性ポリマーを含む、項目1〜4のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
[6]
上記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が100mPa・s以下である、項目1〜5のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
[7]
上記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が70mPa・s以下である、項目1〜5のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
[8]
上記ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、項目1〜7のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリーから形成されたパターン塗工を有する、蓄電デバイス用セパレータ。
[9]
上記パターン塗工がドットパターンである、項目8に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[10]
上記ドットの径が5μm以上500μm以下、かつ上記ドット同士の間隔が5μm以上2000μm以下である、項目9に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[11]
上記ポリオレフィン微多孔膜上における熱可塑性ポリマーの面積占有率が20%以上80%未満である、項目8〜10のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[12]
正極と、負極と、電解質と、項目8〜11のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータとを有する、蓄電デバイス。
本実施形態のパターン塗工用スラリーは、蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面にパターン塗工するための、パターン塗工用スラリーである。上記パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマー及び分散媒を含み、上記パターン塗工用スラリーから上記分散媒を乾燥させる間、初期固形分以上80質量%未満の固形分領域において、固形分の上昇に対する粘度上昇率が10mPa・s/%以上となる領域を含む。
ゲル化領域における粘度上昇率の下限は、10mPa・s/%以上であればよく、好ましくは15mPa・s/%以上、より好ましくは20mPa・s/%以上、更に好ましくは25mPa・s/%以上、より更に好ましくは30mPa・s/%以上である。ゲル化領域における粘度上昇率の上限は、好ましくは1000mPa・s/%以下、より好ましくは750mPa・s/%以下、更に好ましくは500mPa・s/%以下、より更に好ましくは300mPa・s/%以下である。ゲル化領域における粘度上昇率の上限が1000mPa・s/%以下であることによって、塗工部近傍での塗料凝集が抑制できるため好ましい。ゲル化領域における粘度上昇率の範囲は、好ましくは10mPa・s/%以上1000mPa・s/%以下、より好ましくは20mPa・s/%以上750mPa・s/%以下、更に好ましくは30mPa・s/%以上500mPa・s/%以下である。
本実施形態のパターン塗工用スラリーは、それが塗工されるべきポリオレフィン多孔性基材を用いた滑落法における動的接触角の滑落角が15°以上であることが好ましい。パターン塗工層を形成する工程において搬送される基材は、典型的に、搬送されながら、塗工、傾き、方向転換、及び/又は搬送速度の変化等を経験することがある。滑落角が15°以上であることにより、これらの経験によって塗工パターンの形状が変化すること、及び/又は塗工パターンの位置がずれることをより効果的に抑制することができる。
熱可塑性ポリマーとしては、限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びα−ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリフッ化ビニリデン、及びポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂、及びこれらを含むコポリマー;ブタジエン、及びイソプレン等の共役ジエンをモノマー単位として含むジエン系ポリマー、これらを含むコポリマー、及びこれらの水素化物;アクリル酸エステル、及びメタアクリル酸エステル等をモノマー単位として含むアクリル系ポリマー、これらを含むコポリマー、これらの水素化物;エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、及びポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、及びポリエステル等の、融点及び/又はガラス転移点が180℃以上の樹脂、並びにこれらの混合物等が挙げられる。電極との接着性、強度、及び柔軟性に優れることから、ジエン系ポリマー、アクリル系ポリマー、及びフッ素系ポリマーからなる群から選択される少なくとも一つの熱可塑性ポリマーが好ましい。熱可塑性ポリマーは、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
ジエン系ポリマーとしては、限定されないが、例えば、ブタジエン、及びイソプレンなどの共役の二重結合を2つ有する共役ジエンをモノマー単位として含むポリマーが挙げられる。共役ジエンモノマーとしては、限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、及び3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で重合しても共重合してもよい。
アクリル系ポリマーとしては、限定されないが、好ましくは(メタ)アクリレートモノマーをモノマー単位として含むポリマーである。本願明細書において「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
フッ素系ポリマーとしては、限定されないが、例えば、フッ化ビニリデンモノマーのホモポリマー、及びフッ化ビニリデンモノマーと共重合可能なモノマーとのコポリマーが挙げられる。フッ素系ポリマーは、電気化学的安定性の観点から好ましい。
熱可塑性ポリマーは、好ましくは、ガラス転移点(Tg)又は融点(Tm)が20℃以上100℃以下、より好ましくは25℃以上90℃以下、より好ましくは30℃以上80℃以下、更に好ましくは35℃以上70℃以下である熱可塑性ポリマーを含む。ガラス転移点又は融点が上記範囲内であることにより、熱プレス時に多孔性基材上の熱可塑性ポリマーが変形し易くなり、被着体である電極への接着面積が増加する。それによって、多孔性基材と熱可塑性層の接着性又はセパレータと電極との接着性がより良好になる。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+…+Wi/Tgi+…Wn/Tgn (1)
{式中、Tg(K)は、コポリマーのTgを示し、Tgi(K)は、各モノマーiのホモポリマーのTgを示し、Wiは、各モノマーの質量分率を示す}。
分散媒は、熱可塑性ポリマーに対して貧溶媒であることが好ましい。分散媒としては、限定されないが、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、エタノール、メタノール、トルエン、熱キシレン、塩化メチレン、ヘキサン等が挙げられる。
本実施形態のパターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマー及び分散媒から成ってもよく、熱可塑性ポリマー及び分散媒以外の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、界面活性剤(「分散剤」とも呼ばれる。)、増粘剤、及びpH調整剤等が挙げられる。界面活性剤としては、例えば低分子量分散剤、例えば、カルボン酸のアンモニウム塩又はアルカリ金属塩を複数有するモノマー(Cii)、及びカルボン酸のアンモニウム塩又はアルカリ金属塩を複数有する非重合性化合物(例えば、アルギン酸ソーダ、及びヒアルロン酸ソーダ)等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、イオン解離性の酸基、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、アミノ酸基、及びマレイン酸基等、イオン解離性有機分散剤、例えばポリカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩等、又はイオン解離性の酸塩基、例えばカルボン酸塩基、スルホン酸塩基、及びマレイン酸塩基等を複数含有するものが好ましい。具体的にはアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。これらの具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩などを挙げることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー等を挙げることができる。これらの中では、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーが好ましい。
その他の界面活性剤として、ポリシロキサンオキシエチレン付加物のようなシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルのようなフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンのようなバイオサーファクタント等も使用することができる。
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のパターン塗工用スラリーの製造方法は限定されない。例えば、パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマー及び分散媒等の成分を任意の手段で混合して、分散媒中に成分を分散させることによって製造することができる。分散方法は、限定されないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。
本実施形態の蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、本実施形態のパターン塗工用スラリーから形成されたパターン塗工を有する。一実施形態において、セパレータを電極と共に捲回した後に捲回体がプレスバックすることを抑制するために、蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材の両面にパターン塗工を有してもよい。パターン塗工は、基材の片面又は両面の全体に形成してもよく、セパレータが高いイオン透過性を有するように、片面又は両面の一部のみに形成してもよい。
パターン塗工の形状としては、限定されないが、例えば、線状、斜線状、ストライプ状、ドット状、格子目状、縞状、及び亀甲模様状等のパターンが挙げられる。パターン塗工は、好ましくは斜線パターン、ストライプパターン、及びドットパターンであり、より好ましくはドットパターンである。本願明細書において、「ストライプパターン」又は「ストライプ状」とは、ポリオレフィン基材のMD方向(機械方向)に対してほぼ平行な、複数の線を有するパターンを意味する。本願明細書において、「斜線パターン」又は「斜線状」とは、ポリオレフィン基材のMD方向以外の方向に対してほぼ平行な、複数の線を有するパターンを意味する。本願明細書において、「ドットパターン」又は「ドット状」とは、ポリオレフィン多孔質基材上に、熱可塑性ポリマーが存在しない部分と、熱可塑性ポリマーが存在する部分とが海島状である(海:熱可塑性ポリマーが存在しない部分、島:熱可塑性ポリマーが存在する部分である。)ことを意味する。
乾燥後の熱可塑性ポリマーが基材の厚み方向に盛り上がって存在するため、電極との接着性が向上する;
熱可塑性ポリマーが存在しない部分によってセパレータの透過性が確保できるため、高い出力の電池が得られる;
セパレータの流通及び/又は保存形態がリール状である場合、あるいは複数の蓄電デバイス用セパレータを積層した形態である場合等において、重なり合うセパレータ上に存在する熱可塑性ポリマー同士の接触数が減少するため、ブロッキングを抑制することができる;並びに
基材表面に凹凸が形成されるため、電池の製造工程において電解液が侵入し易く、注液性が良い(すなわち、電池の製造工程におけるタクトタイムが短縮される)。
ポリオレフィン多孔性基材は、ポリオレフィン樹脂を主成分として含むポリオレフィン多孔性基材であればよく、ポリオレフィン樹脂から構成される多孔性基材であることが好ましい。「主成分として含む」とは、特定の成分又は部材を、50質量%を超えて含むことを意味する。「から構成される」とは、不可避成分及び混入等を除いて、特定の成分又は部材から成ることを意味する。
ポリエチレン:[η]=6.77×10−4Mv0.67(Chiangの式)
ポリプロピレン:[η]=1.10×10−4Mv0.80
気孔率=(体積−質量/膜密度)/体積×100
により求めることができる。例えば、ポリエチレンから構成されるポリオレフィン多孔性基材の場合、膜密度を0.95(g/cm3)と仮定して気孔率を計算することができる。気孔率は、ポリオレフィン多孔性基材の延伸倍率を変更すること等により調節可能である。
本実施形態の蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、本実施形態のパターン塗工用スラリーから形成されたパターン塗工を有し、それによってイオン透過性、電極との接着性、ブロッキング性、及び注液性等に優れる。
蓄電デバイス用セパレータのイオン透過性は、実施例の欄に記載するように、セパレータの透気度によって評価することができる。蓄電デバイス用セパレータの透気度は、好ましくは10〜10,000秒/100ccであり、より好ましくは10〜1,000秒/100ccであり、更に好ましくは50〜500秒/100ccである。透気度が上記範囲内であることにより、セパレータをリチウムイオン二次電池に適用したときには、大きなイオン透過性を示す。
蓄電デバイス用セパレータの接着性は、実施例の欄に記載するように、セパレータと電極との間の剥離強度により評価することができる。蓄電デバイス用セパレータは、これを電極と重ね合わせて、プレス温度100℃、プレス圧力1.0MPa、プレス時間5秒の条件でプレスをした際の剥離強度が5N/m以上であることが好ましい。上記条件で測定される剥離強度が5N/m以上であることは、セパレータと電極との接着性が良好であることを意味する。剥離強度をこの範囲に設定することにより、セパレータと電極との接着性が十分に確保され、充放電による電極の膨張収縮に伴うセパレータと電極との間の剥がれ、及び電池厚みの増大を抑制できる。その結果、均一なリチウムイオンの行き来を可能にし、リチウムデンドライトの発生を抑えて、良好なサイクル特性が達成される。
蓄電デバイス用セパレータの製造方法は:
ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、パターン塗工用スラリーをパターン塗工することと;
上記パターン塗工用スラリーから分散媒を乾燥させることと
を含み、
上記パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマー及び分散媒を含み、
上記パターン塗工用スラリーは、上記乾燥の過程で、初期固形分以上80質量%未満の固形分領域において、固形分の上昇に対する粘度上昇率が10mPa・s/%以上となる、方法であることが好ましい。
本実施形態におけるポリオレフィン多孔性基材を製造する方法は、特に限定されず、公知の製造方法を採用することができる。例えば、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とを溶融混練してシート状に成形後、場合により延伸した後、可塑剤を抽出することにより多孔化させる方法(湿式法)、ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によってポリオレフィン結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法(乾式法)、ポリオレフィン樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート上に成形後、延伸によってポリオレフィンと無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法、ポリオレフィン樹脂組成物を溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法等が挙げられる。一般的に、乾式法で製造したポリオレフィン多孔性基材は表面状態の影響から良好なパターン塗工が困難であるが、本発明のスラリーを用いることで乾式法により製造されたポリオレフィン基材においても良好なパターン塗工が可能である。
パターン塗工の方法は、所望のパターン及び層厚等を実現できれば限定されず、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、及びスプレー塗布法等が挙げられる。パターン塗工の方法は、熱可塑性ポリマーの塗工形状の自由度が高く、所望の面積割合を容易に得ることができること等から、好ましくはグラビアコーター法である。
分散媒を乾燥させる方法は、塗布後のパターン塗工から分散媒を実質的に除去して多孔性基材上に、熱可塑性ポリマーを含むパターン塗工を残すことができれば限定されない。乾燥後のパターン塗工に許容量の分散媒が残留してもよい。分散媒を乾燥させる方法としては、例えば、多孔性基材を固定しながらその融点以下の温度で乾燥させる方法、及び低温で減圧乾燥させる方法等が挙げられる。多孔性基材のMD方向(多孔性基材の機械方向)の収縮応力を制御する観点から、乾燥温度、及び巻取り張力等を調整することが好ましい。
本実施形態の蓄電デバイスは、正極と、負極と、電解質と、本実施形態の蓄電デバイス用セパレータとを有する。蓄電デバイスは、典型的には、正極と、本実施形態の蓄電デバイス用セパレータと、負極とが、この順に積層した電極積層体、又は電極積層体を捲回した電極捲回体を有する。
〈固形分〉
パターン塗工用スラリーをアルミ皿上に約1g精秤し、このとき量り取った試料の質量をa(g)とした。これを、130℃の熱風乾燥機で1時間乾燥し、乾燥後の試料の乾燥質量をb(g)とした。下記式によりパターン塗工用スラリーの固形分を算出した。
固形分=(b/a)×100(%)
パターン塗工用スラリーを、初期固形分から80質量%未満の固形分に至るまで分散媒を乾燥させ、固形分Δ5%上昇するごとにスラリーの粘度を測定した。固形分Δ5%ごとの粘度上昇から、粘度上昇率(mPa・s/%)を算出した。スラリーの粘度は、B形粘度計(東機産業株式会社製、TVB10型粘度計)を使用して、回転数60rpmの条件で測定した。
パターン塗工用スラリーの滑落角は、接触角計(共和界面科学株式会社製、DMs−401)、及び動的滑落法キット(共和界面科学株式会社製、SA−Co1/SA−Cs1)を用いて測定した。パターン塗工用スラリーの液量は10μLであった。液滴の移動量が10mmを超えた角度を、滑落角とした。滑落角は、測定対象のパターン塗工用スラリーが塗工されることが予定された基材を用いて測定する。
熱可塑性ポリマーの平均粒径は、粒子径測定装置(日機装株式会社製、Microtrac UPA150)を使用して測定した。測定条件は、ローディングインデックス=0.15〜0.3、測定時間300秒であった。得られたデータにおける50%粒子径の数値(D50)を平均粒径として記載した。
熱可塑性ポリマーのガラス転移点及び融点は、示差走査熱量測定(DSC)で得られるDSC曲線から決定した。
熱可塑性ポリマーを含む水分散体(固形分=38〜42質量%、pH=9.0)を、アルミ皿に適量取り、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後の乾燥皮膜約17mgを測定用アルミ容器に詰め、DSC測定装置(島津製作所社製、DSC6220)にて窒素雰囲気下におけるDSC曲線及びDDSC曲線を得た。測定条件は下記のとおりとした。
1段目昇温プログラム:70℃スタート、毎分15℃の割合で昇温。110℃に到達後5分間維持。
2段目降温プログラム:110℃から毎分40℃の割合で降温。−50℃に到達後5分間維持。
3段目昇温プログラム:−50℃から毎分15℃の割合で130℃まで昇温。この3段目の昇温時にDSC及びDDSCのデータを取得。
融点は、DSC曲線におけるベースラインと融解吸熱ピークの傾きの接線との交点により決定した。ガラス転移点は、DSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の変曲点における接線との交点により決定した。
熱可塑性ポリマーについて、ASRM−D4020に準拠して、デカリン溶剤中、135℃における極限粘度[η]を求めた。この[η]値を用いて、下記数式の関係から熱可塑性ポリマーの粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ポリエチレンの場合:[η]=0.00068×Mv0.67
ポリプロピレンの場合:[η]=1.10×Mv0.80
ポリオレフィン多孔性基材から10cm×10cm角の試料を切り取り、格子状に9箇所(3点×3点)の測定箇所を選んで、微小測厚器(株式会社東洋精機製作所 タイプKBM)を用いて、室温23±2℃で、各測定箇所の膜厚を測定した。得られた9個の測定値の平均値を、基材の膜厚として算出した。
ポリオレフィン多孔性基材から10cm×10cm角の試料を切り取り、その体積(cm3)及び質量(g)を求めた。これらの値を用い、基材の密度を0.95(g/cm3)として、以下の式により気孔率を計算した:
気孔率(%)=(1−質量/体積/0.95)×100
パターン塗工用スラリーの、ポリオレフィン多孔性基材へのパターン形成性(%)は、グラビアコーター上に加工されたパターンと、ポリオレフィン多孔性基材に実際に塗工されたパターンとの寸法のずれを評価するための指標である。
以下の手法を用いてパターン形成性を算出した。なお、ポリオレフィン多孔性基材上の平均パターン面積は、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製作所製、S−4800)で観察した。
パターン形成性(倍)=ポリオレフィン多孔性基材上の平均パターン面積/
グラビア版の平均パターン面積
パターン形成性は以下の基準で評価した。
S:0.7以上2.0倍以下
A:0.6以上0.7未満、又は2.0倍超3.0倍以下
B:0.4以上0.6未満、又は3.0倍超5.0倍以下
C:0.4未満、又は5.0倍超
蓄電デバイス用セパレータの透気度は、一般的な多孔性基材の透気度と同様に、JIS P−8117に準拠して測定される透気抵抗度である。透気抵抗度は、単位面積及び単位圧力差当たり、規定された体積の空気が透過するのに要する時間であり、100mL当たりの時間(秒)で表される。東洋精器(株)製のガーレー式透気度計G−B2(商標)により測定した透気抵抗度を透気度(s−1)とした。
次いで、ポリオレフィン微多孔基材の透気度から、パターン塗工した後のセパレータの登記を差し引くことで透気度上昇(s−1)を算出した。
透気度上昇を以下の基準で評価した。
S:10s−1未満
A:10s−1以上20s−1未満
B:20s−1以上30s−1未満
C:30s−1以上
蓄電デバイス用セパレータと、被着体としての正極(enertech社製、正極材料:LiCoO2、導電助剤:アセチレンブラック、バインダ:PVDF、LiCoO2/アセチレンブラック/PVDF(重量比)=95/2/3、L/W:両側について36mg/cm2、密度:3.9g/cc、Al集電体の厚み:15μm、プレス後の正極の厚み:107μm)とを、それぞれ幅15mm及び長さ60mmの長方形状に切り取った。セパレータの熱可塑性ポリマー層と正極活物質とが相対するようにこれらを重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体を、以下の条件でプレスした。
プレス圧:1MPa
温度:100℃
プレス時間:5秒
プレス後の積層体について、(株)イマダ製のフォースゲージZP5N及びMX2−500N(製品名)を用いて、電極を固定し、セパレータを把持して引っ張る方式によって、剥離速度50mm/分にて90°剥離試験を行い、剥離強度を調べた。このとき、上記の条件で行った長さ40mm分の剥離試験における剥離強度の平均値を剥離強度とした。電極との接着性を以下の基準で評価した。
評価基準
S:15N/m以上
A:10N/m以上15N/m未満
B:5N/m以上10N/m未満
C:5N/m未満
蓄電デバイス用セパレータの塗工面同士を重ね合わせ、温度30℃及び圧力5MPaの条件下で3分間に亘ってプレスを行った。その後、重なり合った塗工面同士の剥離強度を、株式会社島津製作所製オートグラフAG−IS型(商標)を用いて、JIS K6854−2に準じて引張速度200mm/分で測定した。剥離強度の値に基づいて、下記評価基準によりブロッキング性を評価した。
評価基準
A(良好):5N/m未満
B(許容):5N/m以上10N/未満
C(悪) :10N/m以上20N/未満
D(不良):20N/m以上
a.正極の作製
正極活物質としてニッケル、マンガン、コバルト複合酸化物(NMC)(Ni:Mn:Co=1:1:1(元素比)、密度4.70g/cm3)を90.4質量%、導電助材としてグラファイト粉末(KS6)(密度2.26g/cm3、数平均粒子径6.5μm)を1.6質量%及びアセチレンブラック粉末(AB)(密度1.95g/cm3、数平均粒子径48nm)を3.8質量%、並びにバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(密度1.75g/cm3)を4.2質量%の比率で混合し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターを用いて塗布し、130℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機を用いて圧縮成形することにより、正極を作製した。この時の正極活物質塗布量は109g/m2であった。
b.負極の作製
負極活物質としてグラファイト粉末A(密度2.23g/cm3、数平均粒子径12.7μm)を87.6質量%及びグラファイト粉末B(密度2.27g/cm3、数平均粒子径6.5μm)を9.7質量%、並びにバインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%(固形分換算)(固形分濃度1.83質量%水溶液)及びジエンゴム系ラテックス1.7質量%(固形分換算)(固形分濃度40質量%水溶液)を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機で圧縮成形することにより、負極を作製した。この時の負極活物質塗布量は5.2g/m2であった。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.0mol/Lとなるように溶解させることにより、非水電解液を調製した。
d−1.電池組立
各実施例及び比較例で得られた蓄電デバイス用セパレータを50mmφ、正極及び負極をそれぞれ40mmφの円形に切り出した。正極と負極の活物質面とが対向するように、負極、セパレータ、正極の順に重ね、プレス又はヒートプレスをして、蓋付きステンレス金属製容器に収容した。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と、それぞれ接していた。この容器内に上記非水電解液を、容器の側面を伝わらせてから0.5ml注入して密閉した後、インピーダンスアナライザーに接続し、抵抗を測定することで注液性を確認した。
注液性は、抵抗の値がΩ以下となるまでにかかった時間で評価を行った。
評価基準
S(良好):200秒未満
A(許容):200秒以上400秒未満
B(悪) :400秒以上600秒未満
C(不良):600秒以上
d−2.電池組立
各実施例及び比較例で得られた蓄電デバイス用セパレータを24mmφ、正極及び負極をそれぞれ16mmφの円形に切り出した。正極と負極の活物質面とが対向するように、負極、セパレータ、正極の順に重ね、プレス又はヒートプレスをして、蓋付きステンレス金属製容器に収容した。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と、それぞれ接していた。この容器内に上記非水電解液を0.2ml注入して密閉することにより、電池を組み立てた。
e.レート特性の評価
上記d−2.で組み立てた簡易電池を、25℃において、電流値3mA(約0.5C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法により、電池作成後の最初の充電を合計約6時間行った。その後、電流値3mAで電池電圧3.0Vまで放電した。
次に、25℃において、電流値6mA(約1.0C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計約3時間充電を行った。その後、電流値6mAで電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量を1C放電容量(mAh)とした。
次に、25℃において、電流値6mA(約1.0C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計約3時間充電を行った。その後、電流値90mA(約15C)で電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量を15C放電容量(mAh)とした。
そして、1C放電容量に対する15C放電容量の割合を算出し、この値をレート特性とした。
ハイレート特性(%)=(15C放電容量/1C放電容量)×100
評価基準
S:60%以上
A:50%以上60%未満
B:40%以上50%未満
C:30%以上40%未満
D:30%未満
〈水分散体a1〉
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、イオン交換水70.4質量部と、乳化剤として「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液、表中「KH1025」と表記。以下同様。)0.5質量部と、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液、表中「SR1025」と表記。以下同様。)0.5質量部とを投入した。次いで、反応容器内部の温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウムの2%水溶液(表中「APS(aq)と表記。以下同様。」)を7.5質量部添加し、初期混合物を得た。過硫酸アンモニウム水溶液を添加終了した5分後に、乳化液を滴下槽から反応容器に150分かけて滴下した。
ポリエチレングリコール基含有単量体単位(P)を構成するモノマーとしてメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(表中PEGMと表記。以下同様。)10質量部;
シクロアルキル基含有単量体単位(A)を構成するモノマーとしてシクロヘキシルメタクリレート(表中、「CHMA」と表記。以下同様。)30質量部;
カルボキシル基含有単量体単位(b1)を構成するモノマーとしてメタクリル酸(表中、「MAA」と表記。以下同様。)1.0質量部;
アクリル酸(表中、「AA」と表記。以下同様。)1.0質量部;
アミド基含有単量体単位(b2)を構成するモノマーとしてアクリルアミド(表中、「AM」と表記。以下同様。)0.1質量部;
ヒドロキシル基含有単量体単位(b3)を構成するモノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレート(表中、「2HEMA」と表記。以下同様。)5質量部;
架橋性単量体単位(b4)を構成するモノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学工業株式会社製商品名、表中、「A−TMPT」と表記。以下同様。)0.5質量部;
上記以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(b5)を構成するモノマーとしてメチルメタクリレート(表中、「MMA」と表記。以下同様。)1.0質量部;
ブチルメタクリレート(表中、「BMA」と表記。以下同様。)0.4質量部;
ブチルアクリレート(表中、「BA」と表記。以下同様。)1.0質量部;
2−エチルヘキシルアクリレート(表中、「2EHA」と表記。以下同様。)50.0質量部;
乳化剤として「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)3質量部と「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液)3質量部とp−スチレンスルホン酸ナトリウム(表中、「NaSS」と表記。以下同様。)0.05質量部;
過硫酸アンモニウムの2%水溶液7.5質量部;及び
イオン交換水52質量部
の混合物を、ホモミキサーにより5分間混合させて調製した。
表2及び3に記載の初期混合物を水分散体a1と同様な配合比に、それ以外の乳化液は表2及び3の配合比に変更し、a1と同様な合成を行うことでA1〜A9の各シードポリマー水分散体(40%固形分)を得た。引き続き初期混合物及び乳化液を表2および3示すように変更した以外は、水分散体a1と同様にして合成することで、水分散体A1〜A9を得た。得られた水分散体A1〜A9及びa1の共重合体について、上記方法により、粒子径、及びガラス転移点(Tg)を測定した。得られた結果を表2及び3に示す。なお、表中、原材料の組成は質量基準である。
〈基材B1〉
Mvが70万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、
Mvが30万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、
Mvが40万であるホモポリマーのポリプロピレン5質量部と、
を、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。
得られたポリオレフィン混合物99質量部に酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。
得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。
また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
押し出される全混合物中の、流動パラフィンの割合が65質量部、及びポリマー濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
このシートを同時二軸延伸機にて、温度112℃において倍率7×6.4倍に延伸した。その後、延伸物を塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去後、乾燥し、更にテンター延伸機を用いて温度130℃において横方向に2倍延伸した。
その後、この延伸シートを幅方向に約10%緩和して熱処理を行い、ポリオレフィン多孔性基材B1を得た。得られた基材B1の物性を表1に示す。
以下の材料:
SiO2「DM10C」(商標、トクヤマ社製)、
粘度平均分子量が70万の高密度ポリエチレン、
粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン、
粘度平均分子量40万のホモポリプロピレン、
可塑剤として、流動パラフィン、及び
酸化防止剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
をスーパーミキサーにて予備混合することにより、第一原料を調製した。
粘度平均分子量が70万の高密度ポリエチレン、粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン、
粘度平均分子量40万のホモポリプロピレン、
可塑剤として、流動パラフィン、及び
酸化防止剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
をスーパーミキサーにて予備混合することにより、第二原料を調製した。
ポリオレフィン多孔性基材B3として、ポリプロピレン単層膜であるセルガードの型番「CG2500」(旭化成株式会社製乾式法ポリオレフィン基材)を用意した。使用した基材を表1に記す。
水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.0μm)97.0質量部、アクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)3.0質量部、及びポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)1.0質量部を100質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製した。続いて、その塗布液を、ポリオレフィン多孔性基材B3の表面にグラビアコーターを用いて塗布した。その後、60℃において乾燥して水を除去した。このようにして、ポリオレフィン多孔性基材B3上に水酸化酸化アルミニウム層(無機フィラーの多孔層)を厚さ2μmで形成することにより、ポリオレフィン多孔性基材B4を得た。
表2に記載の水分散体A3とa1とを固形分重量比でA3:a1=80:20となるように混合し、精製水を加えることで固形分25質量%の有機バインダー含有スラリーを作製した。次いでスラリーに添加剤として、固形分濃度1.5質量%に調製したキサンタンガム(三晶株式会社製、ケルザンM)水溶液、及びアルキルスルホン酸系界面活性剤(三井サイテック株式社製、OT−75)をそれぞれ少量加え5分間撹拌し、粘度上昇率が10mPa/%以上となる固形分、及び滑落角を測定した。上記添加材料の調整を繰り返すことによって、粘度上昇率が10mPa/%以上となる固形分が35質量%であり、かつ滑落角が60°であるパターン塗工用スラリーを得た。
実施例2では、斜線幅200μm、深さ5μmに刻印されたグラビアロールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてパターン塗工を行い、塗工後のポリオレフィン基材への転写線の幅は280μm、線の間隔は200μmであった。実施例3では、ストライプ状の幅200μm、深さ5μmに刻印されたグラビアロールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてパターン塗工を行い、塗工後のポリオレフィン基材への転写線の幅は280μm、線の間隔は200μmであった。
表1〜3に示したポリオレフィン微多孔性基材、水分散体、調整済みスラリーを用いたこと以外は実施例1〜3と同様にして、パターン塗工を行い、それぞれのセパレータを得た。なお、実施例19及び比較例4における基材4への塗工に関しては、水酸化酸化アルミニウムの層上ではなく、ポリオレフィン面へのパターン塗工を行った。
Claims (12)
- 蓄電デバイス用セパレータの基材として用いられるポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面にパターン塗工するための、パターン塗工用スラリーであって、
前記パターン塗工用スラリーは、熱可塑性ポリマー及び分散媒を含み、
前記パターン塗工用スラリーから前記分散媒を乾燥させる間、初期固形分以上80質量%未満の固形分領域において、固形分の上昇に対する粘度上昇率が10mPa・s/%以上となる領域を含む、パターン塗工用スラリー。 - 前記ポリオレフィン多孔性基材を用いた滑落法における動的接触角の滑落角が15°以上である、請求項1に記載のパターン塗工用スラリー。
- 前記分散媒は水を含む、請求項1または2に記載のパターン塗工用スラリー。
- 前記熱可塑性ポリマーは、ガラス転移点(Tg)又は融点(Tm)が20℃未満である熱可塑性ポリマーを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
- 前記熱可塑性ポリマーは、ガラス転移点(Tg)又は融点(Tm)が20℃以上100℃以下である熱可塑性ポリマーを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
- 前記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が100mPa・s以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
- 前記パターン塗工用スラリーの固形分濃度が30質量%のときの粘度が70mPa・s以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリー。
- 前記ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも片面に、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパターン塗工用スラリーから形成されたパターン塗工を有する、蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記パターン塗工がドットパターンである、請求項8に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記ドットの径が5μm以上500μm以下、かつ前記ドット同士の間隔が5μm以上2000μm以下である、請求項9に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記ポリオレフィン微多孔膜上における熱可塑性ポリマーの面積占有率が20%以上80%未満である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 正極と、負極と、電解質と、請求項8〜11のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータとを有する、蓄電デバイス。
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