JP6688006B2 - 捲回体 - Google Patents

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Description

本発明は捲回体に関する。
近年、リチウムイオン電池を中心とした非水電解液電池の開発が活発に行われている。通常、非水電解液電池には、微多孔膜(セパレータ)が正負極間に設けられている。このようなセパレータは、正負極間の直接的な接触を防ぎ、微多孔中に保持した電解液を通じイオンを透過させる機能を有する。
非水電解液電池のサイクル特性や安全性を向上するために、セパレータの改良が検討されている。例えば、特許文献1では、放電特性、安全性に優れた二次電池を提供することを目的として、多孔質膜からなる基材上に反応性ポリマーを塗布、乾燥した接着剤担持多孔質フィルムが提案されている。
特開2007−59271号公報
しかしながら、基材上全体に接着剤を配するとかえって、放電特性が劣るという問題がある。一方で、多孔質膜等の基材上に接着剤を単純に配するのみでは、セパレータ上に接着剤分だけ厚いところと薄いところが生じ、このようなセパレータを巻回したときには捲回体上にしわが発生するという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、しわの発生が抑制された捲回体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意検討を重ねた結果、接着剤の配置が所定の条件を満たすことで、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
セパレータが巻回される捲回体であって、
前記セパレータは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在する熱可塑性ポリマー層と、を有し、
前記熱可塑性ポリマー層において、前記セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部を選び、前記2つの島状部の中心をそれぞれ第1の中心及び第2の中心とするとき、前記第1の中心と前記第2の中心とを通る線と、前記セパレータの巻長方向に並行な線とが交差する島状部が存在し、
前記第1の中心と前記第2の中心とを通る線と前記セパレータの巻長方向に並行な線とのなす鋭角θが、0度より大きく、20度より小さく、
前記島状部の膜幅方向の長さL1で、前記セパレータを膜幅方向に等分したとき、等分された前記セパレータにおける前記熱可塑性ポリマー層であるバインダ層の面積の最大値と最小値の比が、0.3〜1.0であり、
前記熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが規則的なパターンを形成している、
捲回体。
〔2〕
前記セパレータを巻長方向からみた際に、前記2つの島状部の少なくとも一部が重なっている、前項〔1〕に記載の捲回体。
〔3〕
前記セパレータの巻長方向に均等な大きさの島状部が一列に並んでおり、前記島状部の列が前記セパレータの巻長方向に並行な線と交差する、
前項〔1〕又は〔2〕のいずれか1項に記載の捲回体。
〔4〕
前記基材が、ポリオレフィン微多孔膜を備える、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の捲回体。
〔5〕
前記基材が、ポリオレフィン微多孔膜及び該ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に配される無機層を備える、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の捲回体。
〔6〕
6インチの管に、セパレータを500m巻き取った時の、前記捲回体の外径差の最大値が0.5mm以下である、
請求項1〜のいずれか1項に記載の捲回体。
本発明によれば、しわの発生が抑制された捲回体を提供することができる。
本実施形態の第1の実施態様に係る捲回体を説明する概略図である。 本実施形態の第2の実施態様に係る捲回体を説明する概略図である。 従来の捲回体を説明する概略図である。 島状部の膜幅方向の長さL1で、接着セパレータを膜幅方向に等分したとき、等分された接着セパレータにおけるバインダ層の面積の最大値と最小値の比を説明する概略図を示す。 島状部の繰返し周期を説明する概略図を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細
に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範
囲内で種々変形して実施することができる。
〔第1の実施態様〕
〔捲回体〕
本実施形態に係る捲回体は、
セパレータが巻回される捲回体であって、
前記セパレータは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在する熱可塑性ポリマー層と、を有し、
前記熱可塑性ポリマー層において、前記セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部を選び、前記2つの島状部の中心をそれぞれ第1の中心及び第2の中心とするとき、前記第1の中心と前記第2の中心とを通る線と、前記セパレータの巻長方向に並行な線とが交差する島状部が存在する。
図3に従来のセパレータ及び捲回体を示す。従来のセパレータ100の熱可塑性ポリマー層において、熱可塑性ポリマーを含む部分101と熱可塑性ポリマーを含まない部分102とが巻長方向に並行な直線状に並ぶ場合(図3(a)参照)、セパレータの膜幅方向に周期的に厚さの厚い部分と薄い部分が生じる。このようなセパレータを巻回して得られる捲回体103においては、熱可塑性ポリマーを含む部分が重なって巻回される箇所104と、熱可塑性ポリマーを含まない部分が重なって巻回される箇所105と、が周期的に存在する(図3(b)参照)。そのため、図3(b)に示されるように、熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分との膜厚差がより顕著に現れる。このような膜厚差が、捲回体にしわを発生させる原因となる。
これに対し、本実施形態に係る捲回体であれば、セパレータを捲回体としたときに熱可塑性ポリマーを含む部分と、熱可塑性ポリマーを含まない部分との膜厚差が少なくなるため、捲回体におけるしわの発生が抑制される。
図1に第1の実施態様に係る捲回体を説明する概略図を示す。図1(a),(b)に示されるように、セパレータ1上の熱可塑性ポリマー層2は、セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部3を選び、2つの島状部3の中心をそれぞれ第1の中心及び第2の中心とするとき、第1の中心と第2の中心とを通る線と、セパレータの巻長方向に並行な線とが交差する島状部が存在するものである。このような、熱可塑性ポリマー層を有するセパレータを巻回した場合には、熱可塑性ポリマーを含む部分が重なって巻回されることが抑制できるため、膜厚差による捲回体のゆがみが抑制され、捲回体におけるしわの発生が抑制される。以下、本実施形態に係る捲回体の各構成について詳細に説明する。
〔セパレータ〕
本実施形態に用いるセパレータは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在する熱可塑性ポリマー層と、を有する。
〔基材〕
基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン微多孔膜、並びに、ポリオレフィン微多孔膜及び該ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に配される無機層を備えるものが挙げられる。
(ポリオレフィン微多孔膜)
ポリオレフィン微多孔膜に含まれるポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等のホモポリマー、並びにこれらのコポリマー、多段ポリマー等を使用することができる。ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、より具体的には、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、ポリブテン、エチレンプロピレンラバー等が挙げられる。
巻回されるセパレータを電池セパレータとして使用する場合には、低融点であり、かつ高強度である高密度ポリエチレンを主成分とする樹脂が好ましい。
また、ポリプロピレンと、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂を併用することがより好ましい。このようなポリオレフィン樹脂を用いることにより、セパレータの耐熱性がより向上する傾向にある。なお、ポリプロピレンの立体構造としては、特に限定されないが、例えば、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン及びアタクティックポリプロピレンが挙げられる。
ポリプロピレンの含有量は、ポリオレフィン樹脂100質量%に対して、1〜35質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、4〜10質量%がさらに好ましい。ポリプロピレンの含有量が上記範囲内であることにより、より高い耐熱性とより良好なシャットダウン機能を両立できる傾向にある。
ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、上述したものが挙げられ、このなかでも、ポリエチレン、ポリブテン、エチレン−プロピレンランダムコポリマー等が好ましい。このなかでも、孔が熱溶融により閉塞するシャットダウン特性の観点から、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等のポリエチレンがより好ましい。さらに、強度の観点から、JIS K 7112に従って測定した密度が0.93g/cm3以上であるポリエチレンを使用することがさらに好ましい。
なお、ポリオレフィン樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン樹脂の含有量は、基材100質量%に対して、50質量%以上100質量%以下が好ましく、60質量%以上100質量%以下がより好ましく、70質量%以上100質量%以下がさらに好ましい。ポリオレフィン樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、蓄電デバイス用セパレータとして用いた場合のシャットダウン性能がより向上する傾向にある。
ポリオレフィン樹脂の粘度平均分子量は、3万以上1200万以下が好ましく、5万以上200万以下がより好ましく、10万以上100万以下がさらに好ましい。粘度平均分子量が3万以上であることにより、溶融成形の際のメルトテンションが大きくなり基材の成形性が良好になるとともに、ポリマー同士の絡み合いにより基材がより高強度となる傾向にある。一方、粘度平均分子量が1200万以下であることにより、均一に溶融混練をすることが容易となり、シートの成形性、特に厚み安定性に優れる傾向にある。さらに、粘度平均分子量が100万以下であることにより、温度上昇時に孔を閉塞しやすく良好なシャットダウン機能が得られる傾向にある。なお、例えば、粘度平均分子量100万未満のポリオレフィンを単独で使用する代わりに、粘度平均分子量200万のポリオレフィンと粘度平均分子量27万のポリオレフィンの混合物であって、その粘度平均分子量が100万未満となるポリオレフィン樹脂混合物を用いてもよい。
本実施形態における基材は、任意の添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂以外のポリマー;無機粒子;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。
これらの添加剤の合計含有量は、基材100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。
(無機層)
無機層としては、特に限定されないが、例えば、無機フィラーと樹脂製バインダを含むものが挙げられる。
(無機フィラー)
無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、200℃以上の融点をもち、電気絶縁性が高く、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。このような無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄などの酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス、ガラス繊維などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
上記の中でも、電気化学的安定性及び多層多孔膜の耐熱特性を向上させる観点から、アルミナ、水酸化酸化アルミニウムなどの酸化アルミニウム化合物や、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライトなどのイオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物が好ましい。酸化アルミニウム化合物としては、水酸化酸化アルミニウムが好ましい。イオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物としては、安価で入手も容易なため、カオリン鉱物で主に構成されているカオリンが好ましい。カオリンには湿式カオリン及びこれを焼成処理した焼成カオリンがあるが、焼成カオリンは焼成処理の際に結晶水が放出されるのに加え、不純物が除去されるので、電気化学的安定性の点で特に好ましい。
無機フィラーの形状としては、特に限定されないが、例えば、板状、鱗片状、針状、柱状、球状、多面体状、及び塊状等が挙げられ、上記形状を有する無機フィラーを複数種組み合わせて用いてもよい。このなかでも、複数の面からなる多面体状、柱状、紡錘状が好ましい。このような無機フィラーを用いることにより、透過性がより向上する傾向にある。
無機フィラーの含有量は、無機層100質量%に対して、50質量%以上100質量%未満が好ましく、70質量%以上99.99質量%以下がより好ましく、80質量%以上99.9質量%以下がさらに好ましく、90質量%以上99質量%以下が特に好ましい。無機フィラーの含有量が上記範囲内であることにより、無機フィラーの結着性、多層多孔膜の透過性及び耐熱性等がより向上する傾向にある。
(樹脂製バインダ)
樹脂製バインダとしては、特に限定されないが、リチウムイオン二次電池の電解液に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定なものを用いることが好ましい。このような樹脂製バインダとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等の含フッ素ゴム;スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂等が挙げられる。
樹脂製バインダとしてポリビニルアルコールを使用する場合、そのケン化度は、85%以上100%以下が好ましく、90%以上100%以下がより好ましく、95%以上100%以下がさらに好ましく、99%以上100%以下が特に好ましい。ケン化度が85%以上であることにより、短絡する温度(ショート温度)が向上し、より良好な安全性能が得られる傾向にある。
また、ポリビニルアルコールの重合度は、200以上5000以下が好ましく、300以上4000以下がより好ましく、500以上3500以下がさらに好ましい。重合度が200以上であることにより、少量のポリビニルアルコールで焼成カオリン等の無機フィラーを無機層に強固に結着でき、無機層の力学的強度を維持しながら基材の透気度増加を抑えることができる傾向にある。また、重合度が5000以下であることにより、塗布液を調製する際のゲル化等を防止できる傾向にある。
樹脂製バインダとしては、樹脂製ラテックスバインダが好ましい。樹脂製ラテックスバインダを用いることにより、イオン透過性が低下しにくく高出力特性が得られやすい傾向にある。加えて異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られやすい傾向にある。
樹脂製ラテックスバインダとしては、特に限定されないが、例えば、電気化学的安定性と結着性を向上させる観点から、脂肪族共役ジエン系単量体、不飽和カルボン酸単量体、並びに、脂肪族共役ジエン系単量体及び/又は不飽和カルボン酸単量体と脂肪族共役ジエン系単量体及び/又は不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体とを乳化重合して得られるものが好ましい。乳化重合の方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。単量体及びその他の成分の添加方法については特に制限されるものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れも採用することができ、また、一段重合、二段重合又は多段階重合等の何れも採用することができる。
脂肪族共役ジエン系単量体としては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換及び側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特に1,3−ブタジエンが好ましい。
不飽和カルボン酸単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのモノ又はジカルボン酸(無水物)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
脂肪族共役ジエン系単量体及び/又は不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、特に不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が好ましい。不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、特にメチルメタクリレートが好ましい。
なお、これらの単量体に加えて様々な品質及び物性を改良するために、上記以外の単量体成分をさらに使用することもできる。
樹脂製バインダの平均粒径は、50〜800nmが好ましく、60〜700nmがより好ましく、80〜500nmがさらに好ましい。樹脂製バインダの平均粒径が50nm以上であることにより、無機層をポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面に積層した際、イオン透過性が低下しにくく高出力特性が得られやすい傾向にある。加えて異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られやすい傾向にある。樹脂製バインダの平均粒径が800nm以下であることにより、良好な結着性を発現し、多層多孔膜とした場合に熱収縮が良好となり安全性に優れる傾向にある。なお、樹脂製バインダの平均粒径は、重合時間、重合温度、原料組成比、原料投入順序、pHなどを調整することで制御することが可能である。
無機層の層厚は、1〜50μmが好ましく、1.5〜20μmがより好ましく、2〜10μmがさらに好ましく、3〜10μmがよりさらに好ましく、3〜7μmが特に好ましい。無機層の層厚が1μm以上であることにより、基材の耐熱性及び絶縁性がより向上する傾向にある。また、無機層の層厚が50μm以下であることにより、電池容量と透過性がより向上する傾向にある。
無機層の層密度は、0.5〜2.0g/cm3が好ましく、0.7〜1.5cm3がより好ましい。無機層の層密度が0.5g/cm3以上であることにより、高温での熱収縮率が良好となる傾向にある。また、無機層の層密度が2.0g/cm3以下であることにより、透気度がより低下する傾向にある。
〔熱可塑性ポリマー層〕
熱可塑性ポリマー層は、基材の少なくとも一方の面に熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在する層である。より具体的には、熱可塑性ポリマー層2は、セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部3を選び、2つの島状部3の中心をそれぞれ第1の中心及び第2の中心とするとき、第1の中心と第2の中心とを通る線lと、セパレータの巻長方向に並行な線mとが交差する島状部が存在する層である(図1(a),(b)参照)。
なお、セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部の選び方は特に制限されない。このなかでも、セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部が、巻長方向に存在し、2つの島状部の中心間の距離が最も近い島状部であってもよい。すなわち、図1(b)のような場合には距離a,bのいずれか近いほうの2つの島状部が、セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部となる。
熱可塑性ポリマー層は、基材上に熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在する層である。海島状としては、特に限定されないが、例えば、図1(a),(b)のようなドット状、格子目状、亀甲模様状等が挙げられる。なお、熱可塑性ポリマー層は、熱可塑性ポリマーを含む部分が島状部分であっても、熱可塑性ポリマーを含む部分が海状部分であっても構わない。以下、熱可塑性ポリマー層の具体的態様について例を挙げて説明するが、本実施形態に係る熱可塑性ポリマー層の態様はこれらに限定されるものではない。
熱可塑性ポリマー層の第1の具体的態様として、図1(b)のように、セパレータの巻長方向に均等な大きさの島状部が一列に並んでおり、島状部の列lがセパレータの巻長方向に並行な線mと交差していてもよい。熱可塑性ポリマー層の第2の具体的態様として、第1の中心と第2の中心とを通る線lとセパレータの巻長方向に並行な線mとのなす鋭角θは、0度より大きく、45度より小さくてもよい。さらに、熱可塑性ポリマー層の第3の具体的態様として、セパレータを巻長方向からみた際に、2つの島状部の少なくとも一部が重なっていてもよい(図1(b)参照)。また、このような具体的態様であれば、セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部同士が膜幅方向にずれて重なりつつ巻回される。そのため、セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部同士が完全に重なった状態で巻回されることが回避されるので、膜厚差が少なくなり、捲回体におけるしわの発生が抑制される。
また、熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが規則的なパターンを形成していることが好ましい。規則的なパターンを有することにより、熱可塑性ポリマーを含む部分が重なって巻回されることが抑制できるため、膜厚差がより少なくなり、捲回体におけるしわの発生が抑制される。特に、セパレータ全体において規則的なパターンを形成していることが好ましい。なお、「規則的なパターン」とは、単位となる小パターンを複数並べて得られるパターンをいう。具体的には、図1(b)に示される規則的なパターンは、複数の小パターンPから構成される。単位となる小パターンは1種であっても2種以上を併用してもよい。
セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部の第1の中心と前記第2の中心とを通る線と前記セパレータの巻長方向に並行な線とのなす鋭角θは、0度より大きく、45度より小さいことが好ましく、1度より大きく、40度より小さいことがより好ましく、2度より大きく、35度より小さいことがさらに好ましく、20度より小さいことがよりさらに好ましく、15度より小さいことが特に好ましい。セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部の第1の中心と前記第2の中心とを通る線と前記セパレータの巻長方向に並行な線とのなす鋭角θが、上記範囲内であることにより、外径差をより小さくすることができる傾向にある。
島状部同士の間隔は、5μm〜500μmが好ましく、10μm〜400μmがより好ましく、50μm〜300μmがさらに好ましい。島状ドットの間隔が上記範囲内であることにより、密着性及びサイクル特性が両立できる傾向にある。
また、島状部の面積は、特に限定されないが、1000μm2〜1000000μm2が好ましく、2500μm2〜250000μm2がより好ましく、10000μm2〜90000μm2がさらに好ましい。島状部の面積が上記範囲内であることにより、電極への接着性と抵抗のバランスにより優れる傾向にある。島状部の面積は、塗工する液のポリマー濃度やポリマー溶液の塗布量及び塗工方法、塗工条件を変更することにより調整することができる。
島状部の形状は、特に限定されないが、例えば、丸、多角形などが挙げられる。
島状部の平均径は、好ましくは10〜500μmであり、より好ましくは20〜400μmであり、さらに好ましくは50〜300μmである。島状部の平均径が上記範囲内であることにより、電極への接着性と抵抗のバランスにより優れる傾向にある。島状部の平均径は、塗工する液のポリマー濃度やポリマー溶液の塗布量及び塗工方法、塗工条件を変更することにより調整することができる。島状部の平均径は実施例に記載の方法により測定することができる。
(熱可塑性ポリマー)
本実施の形態で使用される熱可塑性ポリマーは、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、α−ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂とこれらを含むコポリマー;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンをモノマー単位として含むジエン系ポリマー又はこれらを含むコポリマー及びその水素化物;アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどをモノマー単位として含むアクリル系ポリマー又はこれらを含むコポリマー及びその水素化物;エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。また、熱可塑性ポリマーを合成する際に使用するモノマーとして、ヒドロキシル基やスルホン酸基、カルボキシル基、アミド基、シアノ基を有するモノマーを用いることもできる。
これら熱可塑性ポリマーのうち、電極活物質との結着性及び強度や柔軟性に優れることから、ジエン系ポリマー、アクリル系ポリマー又はフッ素系ポリマーが好ましい。
(ジエン系ポリマー)
ジエン系ポリマーとは、共役の二重結合を2つ有する共役ジエンモノマー単位を含むポリマーをいう。このようなジエン系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリブタジエンやポリイソプレンなどの共役ジエンのホモポリマー、又は共役ジエン及び共役ジエンと共重合可能なモノマーを含むコポリマーが挙げられる。
共役ジエンモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンなどが挙げられる。これらは単独で重合しても共重合してもよい。
共役ジエンモノマー単位の含有量は、ジエン系ポリマー100質量%に対して、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
上記共重合可能なモノマーは、特に限定されないが、例えば、後述の(メタ)アクリレートモノマーや下記のモノマー(以下、「その他のモノマー」ともいう。)が挙げられる。
「その他のモノマー」としては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸類;スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビエルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、イソプロペニルビニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環含有ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート等のアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル化合物;β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシアルキル基含有化合物;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのアミド系モノマーなどが挙げられ、これらを1種あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(アクリル系ポリマー)
アクリル系ポリマーとは、(メタ)アクリル系モノマー単位を含むポリマーをいう。このようなアクリル系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレートモノマーのホモポリマー、又は(メタ)アクリル系モノマー及び(メタ)アクリル系モノマー単位と共重合可能なモノマーを含むコポリマーが挙げられる。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸又はメタクリル酸」を示し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を示す。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート;アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマー単位の含有量は、アクリル系ポリマー100質量%に対して、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
共重合可能なモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、上記ジエン系ポリマーの項目で列挙した「その他のモノマー」が挙げられ、これらを1種あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(フッ素系ポリマー)
フッ素系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、フッ化ビニリデンのホモポリマー、フッ化ビニリデン及びフッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーを含むコポリマーが挙げられる。フッ素系ポリマーは、電気化学的安定性の観点から好ましい。
フッ化ビニリデンモノマー単位の含有量は、フッ素系ポリマー100質量%に対して、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアクリル酸、パーフルオロメタクリル酸、アクリル酸又はメタクリル酸のフルオロアルキルエステル等のフッ素含有エチレン性不飽和化合物;シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル等のフッ素非含有エチレン性不飽和化合物;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のフッ素非含有ジエン化合物等が挙げられる。
フッ素系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、フッ化ビニリデンのホモポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレンコポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等が好ましい。このなかでも、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマーがより好ましい。このようなフッ素系ポリマーのモノマー組成は、フッ化ビニリデン30〜90質量%、テトラフルオロエチレン50〜9質量%及びヘキサフルオロプロピレン20〜1質量%が好ましい。これらのフッ素系ポリマーは、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
また、上記熱可塑性ポリマーを合成する際に使用するモノマーとして、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、アミド基、又はシアノ基を有するモノマーを用いることもできる。
ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ペンテンオール等のビニル系モノマーが挙げられる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のエチレン性二重結合を有する不飽和カルボン酸、ペンテン酸等のビニル系モノマーが挙げられる。
アミノ基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メタクリル酸2−アミノエチル等が挙げられる。
スルホン酸基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリススルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸が挙げられる。
アミド基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどが挙げられる。
シアノ基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリレート等が挙げられる。
熱可塑性ポリマーのガラス転移温度は、−50℃より大きく150℃以下が好ましく、より好ましくは−20℃以上120℃以下であり、さらに好ましくは10℃以上100℃以下である。熱可塑性ポリマーのガラス転移温度が上記範囲内であることにより、基材への結着性と塗工後のセパレータのハンドリングを両立することができる。
熱可塑性ポリマーは、単独で使用しても又は2種類以上併用してもよい。このなかでも、ポリマーを2種類以上併用することが好ましい。
(熱可塑性ポリマー層の量)
熱可塑性ポリマー層の量は、基材の面積に対して、0.05g/m2以上2.0g/m2以下が好ましく、0.07g/m2以上1.5g/m2以下がより好ましく、0.1g/m2以上1.0g/m2以下がさらに好ましい。熱可塑性ポリマー層の量が上記範囲内であることにより、基材及び電極などに対する接着力を向上させる一方で、基材の孔の目詰まりを抑制でき、サイクル特性(透過性)の低下をより抑制できる傾向にある。熱可塑性ポリマー層の量は、塗工する液のポリマー濃度やポリマー溶液の塗布量を変更することにより調整することができる。
(熱可塑性ポリマー層の厚み)
熱可塑性ポリマー層の平均厚みは、片面で2.0μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましく、1.0μm以下がさらに好ましい。熱可塑性ポリマー層の平均厚みが2.0μm以下であることにより、熱可塑性ポリマーに起因する透過性低下及び熱可塑性ポリマー同士又は熱可塑性ポリマーと基材の貼り付きがより抑制できる傾向にある。なお熱可塑性ポリマー層の平均厚みは、塗工する液のポリマー濃度やポリマー溶液の塗布量及び塗工方法、塗工条件を変更することにより調整することができる。
(熱可塑性ポリマー層によって被覆される基材の面積割合)
熱可塑性ポリマー層によって被覆される基材の面積割合(%)は、基材の全面積100%に対して、95%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、50%以下が特に好ましい。また、熱可塑性ポリマー層によって被覆される基材の面積割合(%)は、5%以上が好ましい。面積割合が95%以下であることにより、熱可塑性ポリマーによる基材の孔の閉塞をより抑制し、透過性を一層向上できる傾向にある。また、面積割合が5%以上であることにより、接着性がより向上する傾向にある。なお、面積割合は、塗工液の熱可塑性ポリマー濃度や、塗工液の塗布量、塗工方法、及び塗工条件を変更することにより調整することができる。
島状部の膜幅方向の長さL1で、接着セパレータを膜幅方向に等分したとき、等分された接着セパレータにおけるバインダ層の面積の最大値と最小値の比は、好ましくは0.3〜1.0であり、より好ましくは0.4〜1.0であり、さらに好ましくは0.5〜1.0である。最大値と最小値の比が上記範囲内であることにより、しわの発生がより抑制される傾向にある。この比は実施例に記載の方法により測定することができる。なお、島状部の幅方向の長さは、実施例に記載の島状部の平均径の測定方法により求めることができる。
図4に、上記比を説明する概略図を示す。S1及びS2は、それぞれ、島状部の膜幅方向の長さL1で、接着セパレータを膜幅方向に等分したとき、等分された接着セパレータにおけるバインダ層の面積を示す。図4に示すように、長さL1で、接着セパレータを膜幅方向に等分したとき、等分された接着セパレータにおけるバインダ層の面積は、種々の値を取りうる。第1の中心と第2の中心とを通る線と、セパレータの巻長方向に並行な線とが交差する島状部が存在すると、すなわち島状部がずれて存在すると、この面積比が1に近づく。面積比が1に近いほどしわの発生がより抑制される傾向にある。
島状部の繰返し周期は、好ましくは4〜10であり、より好ましくは5〜10であり、さらに好ましくは6〜10である。島状部の繰返し周期が上記範囲内であることにより、しわの発生がより抑制される傾向にある。島状部の繰返し周期は、実施例に記載の方法により測定することができる。なお、島状部の繰返し周期とは、パターンが幅方向に一つずれる間に巻き長方向に繰り返される回数をいう。
図5に、島状部の繰返し周期を説明する概略図を示す。図5には、巻長方向の同じ位置に島状部が現れる周期(島状部の繰返し周期)が5の場合の例が示されている。島状部の繰返し周期は、塗工パターンを変更することにより制御することができる。
〔セパレータの製造方法〕
(基材の製造方法)
基材を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、公知の製造方法を採用することができる。公知の製造方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂などを含む組成物(以下、「樹脂組成物」ともいう。)と可塑剤とを溶融混練してシート状に成形後、場合により延伸した後、可塑剤を抽出することにより多孔化させる方法、樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によって樹脂結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法、樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート状に成形後、延伸によって樹脂と無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法、樹脂組成物を溶解後、樹脂に対する貧溶媒に浸漬させ樹脂を凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法等が挙げられる。このようにして得られた樹脂組成物の成形体を以下「多孔膜」とも呼ぶ。
(無機層の形成方法)
基材が無機層を有する場合において、無機層の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、多孔膜の少なくとも片面に、無機フィラーと樹脂製バインダとを含む塗布液を塗布して無機層を形成する方法を挙げることができる。
無機フィラーと樹脂製バインダとを、塗布液の溶媒に分散させる方法については、特に限定されないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。
塗布液を基材に塗布する方法については、特に限定されないが、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法等が挙げられる。
塗布後に塗布膜から溶媒を除去する方法については、多孔膜に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はなく、例えば、多孔膜を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法等が挙げられる。多孔膜のMD方向の収縮応力を制御する観点から、乾燥温度、巻取り張力等は適宜調整することが好ましい。
(熱可塑性ポリマー層の形成方法)
基材上に熱可塑性ポリマー層を形成する方法は、特に限定されず、例えば熱可塑性ポリマーを含有する塗布液を基材に塗布する方法が挙げられる。
熱可塑性ポリマーを含有する塗布液を基材に塗布する方法については、特に限定されないが、例えば、図1(c)に示されるように、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法等が挙げられる。より具体的には、基材4にロール5を用いて島状部2からなる熱可塑性ポリマー層2を形成することができる。
基材に熱可塑性ポリマーを塗工する場合、塗布液が微多孔膜の内部にまで入り込んでしまうと、接着性樹脂が孔の表面及び内部を埋めてしまい透過性が低下してしまう。そのため、塗布液の媒体としては、熱可塑性ポリマーの貧溶媒が好ましい。塗布液の媒体として熱可塑性ポリマーの貧溶媒を用いた場合には、微多孔膜の内部に塗工液は入り込まず、接着性ポリマーは主に微多孔膜の表面上に存在するため、透過性の低下を抑制する観点から好ましい。このような媒体としては水が好ましい。また、水と併用可能な媒体は、特に限定されないが、エタノール、メタノール等を挙げることができる。
さらに、塗布に先立ち、基材表面に表面処理をすると、塗布液を塗布し易くなると共に、基材と接着性ポリマーとの接着性が向上するため好ましい。表面処理の方法は、基材の多孔質構造を著しく損なわない方法であれば特に限定はなく、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、紫外線酸化法等が挙げられる。
塗布後に塗布膜から溶媒を除去する方法については、基材に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はない。例えば、基材を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法、接着性ポリマーに対する貧溶媒に浸漬して接着性ポリマーを凝固させると同時に溶媒を抽出する方法等が挙げられる。
〔捲回体の製造方法〕
以上のようにして得られたセパレータを、巻回することにより捲回体を製造することができる。
〔第2の実施態様〕
〔捲回体〕
本実施形態の第2の実施態様に係る捲回体は、
セパレータが巻回される捲回体であって、
セパレータは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在する熱可塑性ポリマー層と、を有し、
6インチの管に、セパレータを500m巻き取った時の、捲回体の外径差の最大値が0.5mm以下である。
第2の実施態様に係る捲回体において、以下の態様以外については上記第1の実施態様と同様の態様であってもよい。
図2に第2の実施態様に係る捲回体を説明する概略図を示す。捲回体6の外径の差の最大値は、0.5mm以下であり、0.3mm以下が好ましく、0.2mm以下がより好ましい。図2に示されるように、外径の差の最大値(Rmax−Rmin)が0.5mm以下であれば、捲回体に捲回されたセパレータにしわが発生することを抑制することができる。
外径差を測定する場合のセパレータ幅は、製品としてしようされる幅であれば良いため。特に限定されないが、一般的には20mm以上1500mm以下である。
セパレータを巻く管の直径は、製品としてしようされる直径であれば良いため、特に限定されないが、2インチ以上が好ましく、より好ましくは3インチ以上、さらに好ましくは6インチ以上である。管の直径を大きくするほど、捲回数が少なくなり、外径差が小さくなるため好ましい。
セパレータの巻長は、特に限定されないが、電池を作製する場合の生産性の観点から、300m以上が好ましく、より好ましくは400m以上、さらに好ましくは500m以上である。
〔積層体〕
本実施形態に係る積層体は、上記セパレータと電極とが積層したものである。本実施形態の捲回体から得られるセパレータは、電極と接着することにより積層体として用いることができる。ここで、「接着」とは、セパレータと電極との剥離強度が、好ましくは4mN/mm以上、より好ましくは6mN/mm以上、さらに好ましくは8mN/mm以上であることをいう。
積層体は、蓄電デバイスのサイクル特性に優れる。そのため、積層体の用途としては、特に限定されないが、例えば、非水電解液二次電池等の電池やコンデンサー、キャパシタ等の蓄電デバイス等が挙げられる。
本実施形態の積層体に用いられる電極としては、後述の蓄電デバイスの項目に記載のものを用いることができる。
本実施形態のセパレータを用いて積層体を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態のセパレータと電極とを重ね、必要に応じて加熱及び/又はプレスして製造する方法が挙げられる。上記加熱及び/又はプレスは電極とセパレータとを重ねる際に行うことができる。また、電極とセパレータとを重ねた後に円または扁平な渦巻き状に巻回して得られる巻回体に対して加熱及び/又はプレスを行うことで製造することもできる。
また、積層体は、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順に平板状に積層し、必要に応じて加熱及び/又はプレスして製造することもできる。
より具体的には、本実施形態のセパレータを幅10〜500mm(好ましくは80〜500mm)、長さ200〜4000m(好ましくは1000〜4000m)の縦長形状のセパレータとして作製し、当該セパレータを、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順で重ね、必要に応じて加熱及び/又はプレスして製造することができる。
上記加熱時の温度としては、40〜120℃が好ましい。加熱時間は5秒〜3時間が好ましい。上記プレス時の圧力としては、0.5〜10MPaが好ましい。プレス時間は5秒〜3時間が好ましい。また、加熱とプレスの順序は、加熱をしてからプレスをしても、プレスをしてから加熱をしても、プレスと加熱を同時に行ってもよい。このなかでも、プレスと加熱を同時に行うことが好ましい。
〔蓄電デバイス〕
本実施形態の捲回体から得られるセパレータは、電池やコンデンサー、キャパシタ等におけるセパレータや物質の分離に用いることができる。特に、非水電解液電池用セパレータとして用いた場合に、電極への密着性と優れた電池性能を付与することが可能である。本実施形態の蓄電デバイスは、本実施形態の捲回体から得られるセパレータを備えるものであり、それ以外の構成は、従来知られているものと同様であってもよい。蓄電デバイスは、特に限定されないが、例えば、非水系電解液二次電池等の電池、コンデンサー及びキャパシタが挙げられる。それらの中でも、本発明による作用効果による利益がより有効に得られる観点から、電池が好ましく、非水系電解液二次電池がより好ましく、リチウムイオン二次電池が更に好ましい。以下、蓄電デバイスが非水系電解液二次電池である場合についての好適な態様について説明する。
本実施形態のセパレータを備える非水系電解液二次電池は、そのセパレータ以外に、正極、負極及び非水電解液を備える。正極、負極及び非水電解液は特に限定されず、公知のものを用いることができる。
正極材料(正極活物質)としては、特に限定されないが、例えば、LiCoO2、LiNiO2、スピネル型LiMnO4、オリビン型LiFePO4等のリチウム含有複合酸化物が挙げられる。また、負極材料としては、特に限定されないが、例えば、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、複合炭素体等の炭素材料;シリコン、スズ、金属リチウム、各種合金材料が挙げられる。正極及び負極はそれぞれ集電体を備えてもよく、正極集電体としては、例えばアルミニウム箔が挙げられ、負極集電体としては、例えば銅箔が挙げられる。
非水電解液としては、特に限定されないが、電解質を有機溶媒に溶解した電解液を用いることができ、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。また、電解質としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6等のリチウム塩が挙げられる。
本実施形態の蓄電デバイスは、特に限定されないが、例えば、下記のようにして製造される。すなわち、本実施形態のセパレータを幅10〜500mm(好ましくは80〜500mm)、長さ200〜4000m(好ましくは1000〜4000m)の縦長形状のセパレータとして作製する。次に、当該セパレータを、正極及び負極と共に、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順で重ねて積層物を得る。次いで、その積層物を、円筒形の又は扁平な渦巻状に巻回して巻回体を得る。そして、当該巻回体を電池缶内に収納し、更に電解液を注入することにより、蓄電デバイスが得られる。また、本実施形態の蓄電デバイスは、正極−セパレータ−負極−セパレータ−正極、又は負極−セパレータ−正極−セパレータ−負極の順に平板状に積層して積層物を得た後、袋状のフィルム内に収容してラミネートし、そこに電解液を注入する工程を経て製造することもできる。また、上記巻回体として上述の積層体を円又は扁平な渦巻き状に巻回したものを用いて製造することもできる。また、蓄電デバイスは、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順に平板状に積層したもの、または上述の積層体を袋状のフィルムでラミネートし、電解液を注入する工程と、場合によって加熱及び/又はプレスを行う工程を経て製造することもできる。上記の加熱及び/又はプレスを行う工程は、上記電解液を注入する工程の前及び/又は後に行うことができる。
以下、本発明を実施例、比較例に基づいて詳細に説明をするが、本発明は実施例に限定されるものではない。以下の製造例、実施例、比較例において使用された各種物性の測定方法や評価方法は、以下のとおりである。なお、特に記載のない限り各種測定および評価は室温23℃、1気圧、相対湿度50%の条件で行った。
[測定方法]
(1)粘度平均分子量(以下、「Mv」ともいう。)
ASRM−D4020に基づき、デカリン溶剤における135℃での極限粘度[η]を求め、ポリエチレンのMvは次式により算出した。
[η]=0.00068×Mv0.67
また、ポリプロピレンのMvは次式より算出した。
[η]=1.10×Mv0.80
(2)ポリオレフィン微多孔膜の目付
10cm×10cm角の試料をポリオレフィン微多孔膜から切り取り、(株)島津製作所製の電子天秤AEL−200を用いて重量を測定した。得られた重量を100倍することで1m2当りの膜の目付け(g/m2)を算出した。
(3)ポリオレフィン微多孔膜の気孔率(%)
10cm×10cm角の試料をポリオレフィン微多孔膜から切り取り、その体積(cm3)と質量(g)を求め、膜密度を0.95(g/cm3)として次式を用いて気孔率を計算した。
気孔率=(体積−質量/膜密度)/体積×100
(4)透気度(sec/100cc)
JIS P−8117に準拠し、東洋精器(株)製のガーレー式透気度計G−B2(商標)により測定した透気抵抗度を透気度とした。
(5)ポリオレフィン微多孔膜の突刺強度(g)
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES−G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーでポリオレフィン微多孔膜を固定した。次に固定されたポリオレフィン微多孔膜の中央部を、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secで、25℃雰囲気下にて突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として突刺強度(g)を得た。
(7)厚み(μm)
(7)−1 ポリオレフィン微多孔膜及びセパレータの膜厚(μm)
ポリオレフィン微多孔膜及びセパレータから、各々、10cm×10cmのサンプルを切り出し、格子状に9箇所(3点×3点)を選んで、膜厚を微小測厚器(東洋精機製作所(株) タイプKBM)を用いて室温23±2℃で測定した。各々、9箇所の測定値の平均値を、ポリオレフィン微多孔膜、セパレータの膜厚(μm)とした。
(7)−2 熱可塑性ポリマー層の塗工厚み(μm)
熱可塑性ポリマー覆層の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用い、セパレータの断面観察により測定した。サンプルのセパレータを1.5mm×2.0mm程度に切り取り、ルテニウム染色した。ゼラチンカプセル内に染色サンプルとエタノールを入れ、液体窒素により凍結させた後、ハンマーでサンプルを割断した。サンプルをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、30000倍にて観察し、熱可塑性ポリマー層の厚みを算出した。なお、SEM画像にてポリオレフィン微多孔膜断面の多孔構造が見えない最表面領域を熱可塑性ポリマー層の領域とした。
(8)熱可塑性ポリマーのガラス転移温度
熱可塑性ポリマーの塗工液(不揮発分=38〜42%、pH=9.0)を、アルミ皿に適量とり、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後の乾燥皮膜約17mgを測定用アルミ容器に詰め、DSC測定装置(島津製作所社製、DSC6220)にて窒素雰囲気下におけるDSC曲線及びDDSC曲線を得た。なお測定条件は下記の通りとした。
(1段目昇温プログラム)
70℃スタート、毎分15℃の割合で昇温。110℃に到達後5分間維持。
(2段目降温プログラム)
110℃から毎分40℃の割合で降温。−50℃に到達後5分間維持。
(3段目昇温プログラム)
−50℃から毎分15℃の割合で130℃まで昇温。この3段目の昇温時にDSC及びDDSCのデータを取得。
ベースライン(得られたDSC曲線におけるベースラインを高温側に延長した直線)と、変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)における接線との交点をガラス転移温度(Tg)とした。
(9)熱可塑性ポリマーのゲル分率(トルエン不溶分)
テフロン(登録商標)板上に、熱可塑性ポリマーの塗工液(不揮発分=38〜42%、pH=9.0の)をスポイトで滴下し(直径5mm以下)、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後、乾燥皮膜を約0.5g精秤(a)し、それを50mLポリエチレン容器に取り、そこに30mLのトルエンを注ぎ入れ3時間室温で振とうした。その後、内容物を325メッシュでろ過し、メッシュ上に残ったトルエン不溶分をメッシュごと、130℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させた。なお、ここで使用する325メッシュはあらかじめその乾燥重量を量っておいた。
トルエンを揮発させた後、トルエン不溶分の乾燥体と325メッシュの重量から、あらかじめ量っておいた325メッシュ重量を差し引くことでトルエン不溶分の乾燥重量(b)を得た。ゲル分率(トルエン不溶分)は、以下の計算式で算出した。
熱可塑性ポリマーのゲル分率(トルエン不溶分)=(b)/(a)×100 [%]
(10)熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度(倍)
熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマーを分散させた溶液を130℃のオーブン中に1時間静置した後、乾燥させた熱可塑性ポリマーを0.5gになるように切り取り、エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒10gと一緒に50mLのバイアル瓶に入れ、3時間浸透させた後、サンプルを取り出し、上記混合溶媒にて洗浄し、重量(Wa)を測定した。その後、150℃のオーブン中に1時間静置したあと重量(Wb)を測定し、以下の式より熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度を測定した。
熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度(倍)=(Wa−Wb)÷(Wb)
(11)熱可塑性ポリマー層によって被覆されるポリオレフィン微多孔膜の面積割合
熱可塑性ポリマー層によって被覆されるポリオレフィン微多孔膜の面積割合は、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて測定した。セパレータをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、50倍にて観察して得られた面積を用いて、以下の式から面積割合を算出した。なお、SEM画像にてポリオレフィン微多孔膜表面が見えない領域を熱可塑性ポリマー領域とした。上記測定を3回行い、その平均値を各サンプルの面積割合とした。
熱可塑性ポリマーの面積割合(%)=熱可塑性ポリマーの面積÷画像全体の面積×100
(12)島状部同士の間隔a
熱可塑性ポリマー層によって被覆されるポリオレフィン微多孔膜の島状部同士の間隔aは、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて測定した。セパレータをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、島状部が30個程度(縦5個、横5個程度)入る倍率にて観察した。画像上に存在する島状部の最も短い部分の長さを測定し、それを島状部同士の間隔とした。
(13)島状部の面積
熱可塑性ポリマー層によって被覆されるポリオレフィン微多孔膜の島状部の面積は、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて測定した。セパレータをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、島状部が30個程度(縦5個、横5個程度)入る倍率にて観察した。画像上に存在する島状部の面積の平均値を算出し、それを島状部の面積とした。
(14)角度θ
熱可塑性ポリマー層によって被覆されるポリオレフィン微多孔膜の島状部の面積は、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて測定した。セパレータをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、島状部が30個程度(縦5個、横5個程度)入る倍率にてセパレータ幅方向の端部が視野に入るように観察した。該端部に平行な直線をセパレータの巻長方向に平行な線とした。また、熱可塑性ポリマー島状部の巻長方向に隣り合う2つの島状部を選び、前記2つの島状部の中心をそれぞれ第1の中心及び第2の中心とするとき、前記第1の中心と前記第2の中心とを通る線と、前記セパレータの巻長方向に並行な線との鋭角の角度を求め、20組についての平均値をθとした。
(15)島状部の平均径(μm)
島状部の平均粒径は、オスミウム蒸着したセパレータを、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて、加速電圧1.0kV、島状部が30個程度(縦5個、横5個程度)入る倍率にて観察することにより測定した。熱可塑性ポリマーによって形成された島状部の一番径が大きい部分を島状部の径とし、20個の平均値を島状部の平均径とした。
(16)島状部の膜幅方向の長さL1で、接着セパレータを膜幅方向に等分したとき、等分された接着セパレータにおけるバインダ層の面積の最大値と最小値の比
オスミウム蒸着したセパレータを、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて、加速電圧1.0kV、島状部が300個(縦15〜20個、横15〜20個程度)程度入る倍率にて写真を撮影した。得られた写真を、上記で得られた島状部の平均径をL1で任意に等分し、等分された接着セパレータにおけるバインダ層の面積の最大値と最小値の比を求めた。なお、島状部は接着セパレータ上に所定のパターンで配置されているため、このように、そのパターンを含む範囲の電子顕微鏡写真に基づいて、上記比を算出することができる。
(17)島状部の繰返し周期
島状部の繰返し周期は、島状部の平均粒径は、オスミウム蒸着したセパレータを、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて、加速電圧1.0kV、島状部が300個程度(縦15〜20個、横15〜20個程度)入る倍率にて観察することにより測定した。
(18)外径差の測定
作製したセパレータ捲回体の外径差は、LSM902/6900(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定した。幅400mm、直径6インチのプラスチック管に、作製したセパレータ(300mm幅)を巻取り張力8Nで500m巻き、セパレータ捲回体を作製した。セパレータ捲回体を図5のようにセットし、光源、受光部膜幅方向に50mm/secで移動させ、セパレータ捲回体の幅方向の外径の最大値と最小値を測定し、外径の最大値と最小値の差から外径差を算出した。
(19)熱可塑性ポリマーの平均粒径
熱可塑性ポリマーの平均粒径は、粒子径測定装置(日機装株式会社製、Microtrac UPA150)を使用し、測定した。測定条件としては、ローディングインデックス=0.15〜0.3、測定時間300秒とし、得られたデータにおいて50%粒子径の数値を粒子径として記載した。
(正極の作製)
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を92.2質量%、導電材としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3質量%、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2質量%をN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、正極の活物質塗布量は250g/m2、活物質嵩密度は3.00g/cm3になるようにした。
(負極の作製)
負極活物質として人造グラファイト96.9質量%、バインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%とスチレン−ブタジエンコポリマーラテックス1.7質量%を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、負極の活物質塗布量は106g/m2、活物質嵩密度は1.35g/cm3になるようにした。
(20)捲回性及び電池のサイクル特性
(20−1)評価用サンプルの作製
<電極>
正極及び負極を上記のように作製した。正極を幅約57mmに負極を幅約58mmに切断してそれぞれ帯状にすることで評価用電極を作製した。
<非水電解液の調整>
非水電解液は、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.0mol/Lとなるように溶解させることにより調製した。
<セパレータ>
実施例及び比較例で得られたセパレータを60mmにスリットして帯状にすることにより評価用セパレータを作製した。
(20−2)捲回性の評価
(20−1)で得られた、負極、セパレータ、正極、セパレータを、この順に重ね、250gfの巻取張力で渦巻状に複数回捲回することで電極積層体を作製した。10個作製した電極積層体のうちセパレータの撚れやシワの有無を目視で観察し、下記評価基準にて評価をした。
(評価基準)
○:撚れやシワ等の外観不良が全く生じなかったもの。
△:撚れやシワ等の外観不良が1個生じたもの。
×:撚れやシワ等の外観不良が2個以上発生したもの。
(21−3)電池のサイクル特性の評価
<電池組立て>
(20−1)で得られた、負極、セパレータ、正極、セパレータを、この順に重ね、巻取張力を250gf、捲回速度を45mm/秒として、渦巻状に複数回捲回することで電極積層体を作製した。この電極積層体を外径が18mmで高さが65mmのステンレス製容器に収納し、正極集電体から導出したアルミニウム製タブを容器蓋端子部に、負極集電体から導出したニッケル製タブを容器壁に溶接した。その後、真空下、80℃で12時間の乾燥を行った。アルゴンボックス内にて、組立てた電池容器内に上記非水電解液を注入し、封口した。
<前処理>
組立てた電池を1/3Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後、4.2Vの定電圧充電を8時間行い、その後1/3Cの電流で3.0Vの終止電圧まで放電を行った。次に、1Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後、4.2Vの定電圧充電を3時間行い、その後1Cの電流で3.0Vの終止電圧まで放電を行った。最後に1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電をした後、4.2Vの定電圧充電を3時間行い前処理とした。なお、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表す。
<サイクル試験>
上記前処理を行った電池を温度25℃の条件下で、放電電流1Aで放電終止電圧3Vまで放電を行った後、充電電流1Aで充電終止電圧4.2Vまで充電を行った。これを1サイクルとして充放電を繰り返し、初期容量に対する200サイクル後の容量保持率を用いて、以下の基準でサイクル特性を評価した。
(評価基準)
◎:容量保持率95%以上100%以下
○:容量保持率90%以上95%未満
×:容量保持率90%未満
[製造例1−1A](ポリオレフィン微多孔膜1Aの製造)
Mvが70万であり、ホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、Mvが30万であり、ホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、Mvが40万であるホモポリマーのポリプロピレンとMvが15万であるホモポリマーのポリプロピレンとの混合物(質量比=4:3)10質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリオレフィン混合物99質量部に酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-52/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。押し出される全混合物中に占める流動パラフィンの割合が65質量部となるように、すなわち、ポリマー濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
次いで、それらを二軸押出機内で230℃に加熱しながら溶融混練し、得られた溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度80℃に制御された冷却ロール上に押し出し、その押出物を冷却ロールに接触させ成形(cast)して冷却固化することにより、シート状成形物を得た。このシートを同時二軸延伸機にて倍率7×6.4倍、温度112℃下で延伸した後、塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去後乾燥し、テンター延伸機にて温度130℃、横方向に2倍延伸した。その後、この延伸シートを幅方向に約10%緩和して熱処理を行い、表1に示すポリオレフィン微多孔膜1Aを得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜1Aについて、上記方法により物性を測定した。また得られたポリオレフィン微多孔膜をそのままセパレータとして、上記方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
[製造例1−2A](ポリオレフィン微多孔膜2Aの製造)
水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.0μm)を96.0質量部とアクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)4.0質量部、ポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)1.0質量部を100質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製し、ポリオレフィン樹脂多孔膜1Aの表面にマイクログラビアコーターを用いて塗布した。60℃にて乾燥して水を除去し、多孔層を2μmの厚さで形成して、ポリオレフィン微多孔膜2Aを得た。得られたポリオレフィン微多孔膜2Aを製造例1−1Aと同様に上記方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
〔熱可塑性ポリマーの合成方法〕
[製造例2−1B](原料ポリマー1Bの製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、イオン交換水70.4質量部と、「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)0.5質量部と、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液)0.5質量部と、を投入し、反応容器内部温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)を7.5質量部添加した。
過硫酸アンモニウム水溶液を添加した5分後に、メタクリル酸メチル52.5質量部、アクリル酸n−ブチル19.5質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル20.4質量部、メタクリル酸0.1質量部、アクリル酸0.1質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2質量部、アクリルアミド5質量部、メタクリル酸グリシジル0.4質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学工業株式会社製)0.4質量部、「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)3質量部、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液)3質量部、p−スチレンスルホン酸ナトリウム0.05質量部、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)7.5質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3質量部、及びイオン交換水52質量部の混合物を、ホモミキサーにより5分間混合させて、乳化液を作製した。得られた乳化液を、滴下槽から反応容器に150分かけて滴下した。
乳化液の滴下終了後、反応容器内部温度を80℃に保ったまま90分間維持し、その後室温まで冷却した。得られたエマルジョンを、水酸化アンモニウム水溶液(25%水溶液)でpH=9.0に調整し、濃度40%のアクリル系コポリマーラテックスを得た(原料ポリマー1B)。得られた原料ポリマー1Bについて、上記方法により評価した。得られた結果を表2に示す。
〔熱可塑性ポリマー層の形成方法〕
表2に記載の原料ポリマー1Bを表1に記載のポリオレフィン微多孔膜1Aの片面表面にグラビアコーターを用いて塗工液をパターン塗布し、60℃にて乾燥して塗工液の水を除去した。さらに、もう片面も同様に塗工液を塗布し、再度乾燥させることにより、ポリオレフィン微多孔膜の両面に熱可塑性ポリマーを有するセパレータの捲回体(実施例1A)を得た。得られたセパレータについて、上記方法により、評価した。得られた結果を表3に示す。グラビアコーターは所定のパターンになるよう、作製したものを用いた。また、同様にして、実施例2A〜7A、比較例1A〜2Aの捲回体を得た。
なお、実施例、比較例の熱可塑性ポリマー層のパターンは、図1(b)に示すようなパターンを有し、巻長方向に重なりを有する。また、実施例の熱可塑性ポリマー層のパターンはセパレータを巻長方向からみた際に、2つの島状部の少なくとも一部が重なっている。
MMA :メタクリル酸メチル
BA :アクリル酸n−ブチル
EHA :アクリル酸2−エチルヘキシル
MAA :メタクリル酸
AA :アクリル酸
HEMA :メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
AM :アクリルアミド
GMA :メタクリル酸グリシジル
NaSS :p−スチレンスルホン酸ナトリウム
APS(aq):過硫酸アンモニウム
本発明に係る捲回体は、電池用等のセパレータの捲回体として、産業上の利用可能性を有する。
1…セパレータ、2…熱可塑性ポリマー層、3…島状部分、4…基材、5…ロール、6…捲回体、7…熱可塑性ポリマーを含む部分が重なって巻回される箇所、8…熱可塑性ポリマーを含まない部分が重なって巻回される箇所、100…セパレータ、101…熱可塑性ポリマーを含む部分、102…熱可塑性ポリマーを含まない部分、103…捲回体、104…熱可塑性ポリマーを含む部分が重なって巻回される箇所、105…熱可塑性ポリマーを含まない部分が重なって巻回される箇所。

Claims (6)

  1. セパレータが巻回される捲回体であって、
    前記セパレータは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在する熱可塑性ポリマー層と、を有し、
    前記熱可塑性ポリマー層において、前記セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部を選び、前記2つの島状部の中心をそれぞれ第1の中心及び第2の中心とするとき、前記第1の中心と前記第2の中心とを通る線と、前記セパレータの巻長方向に並行な線とが交差する島状部が存在し、
    前記第1の中心と前記第2の中心とを通る線と前記セパレータの巻長方向に並行な線とのなす鋭角θが、0度より大きく、20度より小さく、
    前記島状部の膜幅方向の長さL1で、前記セパレータを膜幅方向に等分したとき、等分された前記セパレータにおける前記熱可塑性ポリマー層であるバインダ層の面積の最大値と最小値の比が、0.3〜1.0であり、
    前記熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが規則的なパターンを形成している、
    捲回体。
  2. 前記セパレータを巻長方向からみた際に、前記2つの島状部の少なくとも一部が重なっている、請求項1に記載の捲回体。
  3. 前記セパレータの巻長方向に均等な大きさの島状部が一列に並んでおり、前記島状部の列が前記セパレータの巻長方向に並行な線と交差する、
    請求項1又は2に記載の捲回体。
  4. 前記基材が、ポリオレフィン微多孔膜を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の捲回体。
  5. 前記基材が、ポリオレフィン微多孔膜及び該ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に配される無機層を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の捲回体。
  6. 6インチの管に、セパレータを500m巻き取った時の、前記捲回体の外径差の最大値が0.5mm以下である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の捲回体。
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