JP6688006B2 - 捲回体 - Google Patents
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Description
〔1〕
セパレータが巻回される捲回体であって、
前記セパレータは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在する熱可塑性ポリマー層と、を有し、
前記熱可塑性ポリマー層において、前記セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部を選び、前記2つの島状部の中心をそれぞれ第1の中心及び第2の中心とするとき、前記第1の中心と前記第2の中心とを通る線と、前記セパレータの巻長方向に並行な線とが交差する島状部が存在し、
前記第1の中心と前記第2の中心とを通る線と前記セパレータの巻長方向に並行な線とのなす鋭角θが、0度より大きく、20度より小さく、
前記島状部の膜幅方向の長さL1で、前記セパレータを膜幅方向に等分したとき、等分された前記セパレータにおける前記熱可塑性ポリマー層であるバインダ層の面積の最大値と最小値の比が、0.3〜1.0であり、
前記熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが規則的なパターンを形成している、
捲回体。
〔2〕
前記セパレータを巻長方向からみた際に、前記2つの島状部の少なくとも一部が重なっている、前項〔1〕に記載の捲回体。
〔3〕
前記セパレータの巻長方向に均等な大きさの島状部が一列に並んでおり、前記島状部の列が前記セパレータの巻長方向に並行な線と交差する、
前項〔1〕又は〔2〕のいずれか1項に記載の捲回体。
〔4〕
前記基材が、ポリオレフィン微多孔膜を備える、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の捲回体。
〔5〕
前記基材が、ポリオレフィン微多孔膜及び該ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に配される無機層を備える、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の捲回体。
〔6〕
6インチの管に、セパレータを500m巻き取った時の、前記捲回体の外径差の最大値が0.5mm以下である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の捲回体。
に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範
囲内で種々変形して実施することができる。
〔捲回体〕
本実施形態に係る捲回体は、
セパレータが巻回される捲回体であって、
前記セパレータは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在する熱可塑性ポリマー層と、を有し、
前記熱可塑性ポリマー層において、前記セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部を選び、前記2つの島状部の中心をそれぞれ第1の中心及び第2の中心とするとき、前記第1の中心と前記第2の中心とを通る線と、前記セパレータの巻長方向に並行な線とが交差する島状部が存在する。
本実施形態に用いるセパレータは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在する熱可塑性ポリマー層と、を有する。
基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン微多孔膜、並びに、ポリオレフィン微多孔膜及び該ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に配される無機層を備えるものが挙げられる。
ポリオレフィン微多孔膜に含まれるポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等のホモポリマー、並びにこれらのコポリマー、多段ポリマー等を使用することができる。ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、より具体的には、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、ポリブテン、エチレンプロピレンラバー等が挙げられる。
無機層としては、特に限定されないが、例えば、無機フィラーと樹脂製バインダを含むものが挙げられる。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、200℃以上の融点をもち、電気絶縁性が高く、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。このような無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄などの酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス、ガラス繊維などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
樹脂製バインダとしては、特に限定されないが、リチウムイオン二次電池の電解液に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定なものを用いることが好ましい。このような樹脂製バインダとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等の含フッ素ゴム;スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂等が挙げられる。
熱可塑性ポリマー層は、基材の少なくとも一方の面に熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在する層である。より具体的には、熱可塑性ポリマー層2は、セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部3を選び、2つの島状部3の中心をそれぞれ第1の中心及び第2の中心とするとき、第1の中心と第2の中心とを通る線lと、セパレータの巻長方向に並行な線mとが交差する島状部が存在する層である(図1(a),(b)参照)。
本実施の形態で使用される熱可塑性ポリマーは、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、α−ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂とこれらを含むコポリマー;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンをモノマー単位として含むジエン系ポリマー又はこれらを含むコポリマー及びその水素化物;アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどをモノマー単位として含むアクリル系ポリマー又はこれらを含むコポリマー及びその水素化物;エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。また、熱可塑性ポリマーを合成する際に使用するモノマーとして、ヒドロキシル基やスルホン酸基、カルボキシル基、アミド基、シアノ基を有するモノマーを用いることもできる。
ジエン系ポリマーとは、共役の二重結合を2つ有する共役ジエンモノマー単位を含むポリマーをいう。このようなジエン系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリブタジエンやポリイソプレンなどの共役ジエンのホモポリマー、又は共役ジエン及び共役ジエンと共重合可能なモノマーを含むコポリマーが挙げられる。
アクリル系ポリマーとは、(メタ)アクリル系モノマー単位を含むポリマーをいう。このようなアクリル系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレートモノマーのホモポリマー、又は(メタ)アクリル系モノマー及び(メタ)アクリル系モノマー単位と共重合可能なモノマーを含むコポリマーが挙げられる。
フッ素系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、フッ化ビニリデンのホモポリマー、フッ化ビニリデン及びフッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーを含むコポリマーが挙げられる。フッ素系ポリマーは、電気化学的安定性の観点から好ましい。
熱可塑性ポリマー層の量は、基材の面積に対して、0.05g/m2以上2.0g/m2以下が好ましく、0.07g/m2以上1.5g/m2以下がより好ましく、0.1g/m2以上1.0g/m2以下がさらに好ましい。熱可塑性ポリマー層の量が上記範囲内であることにより、基材及び電極などに対する接着力を向上させる一方で、基材の孔の目詰まりを抑制でき、サイクル特性(透過性)の低下をより抑制できる傾向にある。熱可塑性ポリマー層の量は、塗工する液のポリマー濃度やポリマー溶液の塗布量を変更することにより調整することができる。
熱可塑性ポリマー層の平均厚みは、片面で2.0μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましく、1.0μm以下がさらに好ましい。熱可塑性ポリマー層の平均厚みが2.0μm以下であることにより、熱可塑性ポリマーに起因する透過性低下及び熱可塑性ポリマー同士又は熱可塑性ポリマーと基材の貼り付きがより抑制できる傾向にある。なお熱可塑性ポリマー層の平均厚みは、塗工する液のポリマー濃度やポリマー溶液の塗布量及び塗工方法、塗工条件を変更することにより調整することができる。
熱可塑性ポリマー層によって被覆される基材の面積割合(%)は、基材の全面積100%に対して、95%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、50%以下が特に好ましい。また、熱可塑性ポリマー層によって被覆される基材の面積割合(%)は、5%以上が好ましい。面積割合が95%以下であることにより、熱可塑性ポリマーによる基材の孔の閉塞をより抑制し、透過性を一層向上できる傾向にある。また、面積割合が5%以上であることにより、接着性がより向上する傾向にある。なお、面積割合は、塗工液の熱可塑性ポリマー濃度や、塗工液の塗布量、塗工方法、及び塗工条件を変更することにより調整することができる。
(基材の製造方法)
基材を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、公知の製造方法を採用することができる。公知の製造方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂などを含む組成物(以下、「樹脂組成物」ともいう。)と可塑剤とを溶融混練してシート状に成形後、場合により延伸した後、可塑剤を抽出することにより多孔化させる方法、樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によって樹脂結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法、樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート状に成形後、延伸によって樹脂と無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法、樹脂組成物を溶解後、樹脂に対する貧溶媒に浸漬させ樹脂を凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法等が挙げられる。このようにして得られた樹脂組成物の成形体を以下「多孔膜」とも呼ぶ。
基材が無機層を有する場合において、無機層の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、多孔膜の少なくとも片面に、無機フィラーと樹脂製バインダとを含む塗布液を塗布して無機層を形成する方法を挙げることができる。
基材上に熱可塑性ポリマー層を形成する方法は、特に限定されず、例えば熱可塑性ポリマーを含有する塗布液を基材に塗布する方法が挙げられる。
以上のようにして得られたセパレータを、巻回することにより捲回体を製造することができる。
〔捲回体〕
本実施形態の第2の実施態様に係る捲回体は、
セパレータが巻回される捲回体であって、
セパレータは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在する熱可塑性ポリマー層と、を有し、
6インチの管に、セパレータを500m巻き取った時の、捲回体の外径差の最大値が0.5mm以下である。
本実施形態に係る積層体は、上記セパレータと電極とが積層したものである。本実施形態の捲回体から得られるセパレータは、電極と接着することにより積層体として用いることができる。ここで、「接着」とは、セパレータと電極との剥離強度が、好ましくは4mN/mm以上、より好ましくは6mN/mm以上、さらに好ましくは8mN/mm以上であることをいう。
本実施形態の捲回体から得られるセパレータは、電池やコンデンサー、キャパシタ等におけるセパレータや物質の分離に用いることができる。特に、非水電解液電池用セパレータとして用いた場合に、電極への密着性と優れた電池性能を付与することが可能である。本実施形態の蓄電デバイスは、本実施形態の捲回体から得られるセパレータを備えるものであり、それ以外の構成は、従来知られているものと同様であってもよい。蓄電デバイスは、特に限定されないが、例えば、非水系電解液二次電池等の電池、コンデンサー及びキャパシタが挙げられる。それらの中でも、本発明による作用効果による利益がより有効に得られる観点から、電池が好ましく、非水系電解液二次電池がより好ましく、リチウムイオン二次電池が更に好ましい。以下、蓄電デバイスが非水系電解液二次電池である場合についての好適な態様について説明する。
(1)粘度平均分子量(以下、「Mv」ともいう。)
ASRM−D4020に基づき、デカリン溶剤における135℃での極限粘度[η]を求め、ポリエチレンのMvは次式により算出した。
[η]=0.00068×Mv0.67
また、ポリプロピレンのMvは次式より算出した。
[η]=1.10×Mv0.80
10cm×10cm角の試料をポリオレフィン微多孔膜から切り取り、(株)島津製作所製の電子天秤AEL−200を用いて重量を測定した。得られた重量を100倍することで1m2当りの膜の目付け(g/m2)を算出した。
10cm×10cm角の試料をポリオレフィン微多孔膜から切り取り、その体積(cm3)と質量(g)を求め、膜密度を0.95(g/cm3)として次式を用いて気孔率を計算した。
気孔率=(体積−質量/膜密度)/体積×100
JIS P−8117に準拠し、東洋精器(株)製のガーレー式透気度計G−B2(商標)により測定した透気抵抗度を透気度とした。
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES−G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーでポリオレフィン微多孔膜を固定した。次に固定されたポリオレフィン微多孔膜の中央部を、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secで、25℃雰囲気下にて突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として突刺強度(g)を得た。
(7)−1 ポリオレフィン微多孔膜及びセパレータの膜厚(μm)
ポリオレフィン微多孔膜及びセパレータから、各々、10cm×10cmのサンプルを切り出し、格子状に9箇所(3点×3点)を選んで、膜厚を微小測厚器(東洋精機製作所(株) タイプKBM)を用いて室温23±2℃で測定した。各々、9箇所の測定値の平均値を、ポリオレフィン微多孔膜、セパレータの膜厚(μm)とした。
熱可塑性ポリマー覆層の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用い、セパレータの断面観察により測定した。サンプルのセパレータを1.5mm×2.0mm程度に切り取り、ルテニウム染色した。ゼラチンカプセル内に染色サンプルとエタノールを入れ、液体窒素により凍結させた後、ハンマーでサンプルを割断した。サンプルをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、30000倍にて観察し、熱可塑性ポリマー層の厚みを算出した。なお、SEM画像にてポリオレフィン微多孔膜断面の多孔構造が見えない最表面領域を熱可塑性ポリマー層の領域とした。
熱可塑性ポリマーの塗工液(不揮発分=38〜42%、pH=9.0)を、アルミ皿に適量とり、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後の乾燥皮膜約17mgを測定用アルミ容器に詰め、DSC測定装置(島津製作所社製、DSC6220)にて窒素雰囲気下におけるDSC曲線及びDDSC曲線を得た。なお測定条件は下記の通りとした。
(1段目昇温プログラム)
70℃スタート、毎分15℃の割合で昇温。110℃に到達後5分間維持。
(2段目降温プログラム)
110℃から毎分40℃の割合で降温。−50℃に到達後5分間維持。
(3段目昇温プログラム)
−50℃から毎分15℃の割合で130℃まで昇温。この3段目の昇温時にDSC及びDDSCのデータを取得。
テフロン(登録商標)板上に、熱可塑性ポリマーの塗工液(不揮発分=38〜42%、pH=9.0の)をスポイトで滴下し(直径5mm以下)、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後、乾燥皮膜を約0.5g精秤(a)し、それを50mLポリエチレン容器に取り、そこに30mLのトルエンを注ぎ入れ3時間室温で振とうした。その後、内容物を325メッシュでろ過し、メッシュ上に残ったトルエン不溶分をメッシュごと、130℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させた。なお、ここで使用する325メッシュはあらかじめその乾燥重量を量っておいた。
熱可塑性ポリマーのゲル分率(トルエン不溶分)=(b)/(a)×100 [%]
熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマーを分散させた溶液を130℃のオーブン中に1時間静置した後、乾燥させた熱可塑性ポリマーを0.5gになるように切り取り、エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒10gと一緒に50mLのバイアル瓶に入れ、3時間浸透させた後、サンプルを取り出し、上記混合溶媒にて洗浄し、重量(Wa)を測定した。その後、150℃のオーブン中に1時間静置したあと重量(Wb)を測定し、以下の式より熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度を測定した。
熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度(倍)=(Wa−Wb)÷(Wb)
熱可塑性ポリマー層によって被覆されるポリオレフィン微多孔膜の面積割合は、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて測定した。セパレータをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、50倍にて観察して得られた面積を用いて、以下の式から面積割合を算出した。なお、SEM画像にてポリオレフィン微多孔膜表面が見えない領域を熱可塑性ポリマー領域とした。上記測定を3回行い、その平均値を各サンプルの面積割合とした。
熱可塑性ポリマーの面積割合(%)=熱可塑性ポリマーの面積÷画像全体の面積×100
熱可塑性ポリマー層によって被覆されるポリオレフィン微多孔膜の島状部同士の間隔aは、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて測定した。セパレータをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、島状部が30個程度(縦5個、横5個程度)入る倍率にて観察した。画像上に存在する島状部の最も短い部分の長さを測定し、それを島状部同士の間隔とした。
熱可塑性ポリマー層によって被覆されるポリオレフィン微多孔膜の島状部の面積は、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて測定した。セパレータをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、島状部が30個程度(縦5個、横5個程度)入る倍率にて観察した。画像上に存在する島状部の面積の平均値を算出し、それを島状部の面積とした。
熱可塑性ポリマー層によって被覆されるポリオレフィン微多孔膜の島状部の面積は、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて測定した。セパレータをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、島状部が30個程度(縦5個、横5個程度)入る倍率にてセパレータ幅方向の端部が視野に入るように観察した。該端部に平行な直線をセパレータの巻長方向に平行な線とした。また、熱可塑性ポリマー島状部の巻長方向に隣り合う2つの島状部を選び、前記2つの島状部の中心をそれぞれ第1の中心及び第2の中心とするとき、前記第1の中心と前記第2の中心とを通る線と、前記セパレータの巻長方向に並行な線との鋭角の角度を求め、20組についての平均値をθとした。
島状部の平均粒径は、オスミウム蒸着したセパレータを、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて、加速電圧1.0kV、島状部が30個程度(縦5個、横5個程度)入る倍率にて観察することにより測定した。熱可塑性ポリマーによって形成された島状部の一番径が大きい部分を島状部の径とし、20個の平均値を島状部の平均径とした。
オスミウム蒸着したセパレータを、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて、加速電圧1.0kV、島状部が300個(縦15〜20個、横15〜20個程度)程度入る倍率にて写真を撮影した。得られた写真を、上記で得られた島状部の平均径をL1で任意に等分し、等分された接着セパレータにおけるバインダ層の面積の最大値と最小値の比を求めた。なお、島状部は接着セパレータ上に所定のパターンで配置されているため、このように、そのパターンを含む範囲の電子顕微鏡写真に基づいて、上記比を算出することができる。
島状部の繰返し周期は、島状部の平均粒径は、オスミウム蒸着したセパレータを、走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用いて、加速電圧1.0kV、島状部が300個程度(縦15〜20個、横15〜20個程度)入る倍率にて観察することにより測定した。
作製したセパレータ捲回体の外径差は、LSM902/6900(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定した。幅400mm、直径6インチのプラスチック管に、作製したセパレータ(300mm幅)を巻取り張力8Nで500m巻き、セパレータ捲回体を作製した。セパレータ捲回体を図5のようにセットし、光源、受光部膜幅方向に50mm/secで移動させ、セパレータ捲回体の幅方向の外径の最大値と最小値を測定し、外径の最大値と最小値の差から外径差を算出した。
熱可塑性ポリマーの平均粒径は、粒子径測定装置(日機装株式会社製、Microtrac UPA150)を使用し、測定した。測定条件としては、ローディングインデックス=0.15〜0.3、測定時間300秒とし、得られたデータにおいて50%粒子径の数値を粒子径として記載した。
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を92.2質量%、導電材としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3質量%、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2質量%をN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、正極の活物質塗布量は250g/m2、活物質嵩密度は3.00g/cm3になるようにした。
負極活物質として人造グラファイト96.9質量%、バインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%とスチレン−ブタジエンコポリマーラテックス1.7質量%を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、負極の活物質塗布量は106g/m2、活物質嵩密度は1.35g/cm3になるようにした。
(20−1)評価用サンプルの作製
<電極>
正極及び負極を上記のように作製した。正極を幅約57mmに負極を幅約58mmに切断してそれぞれ帯状にすることで評価用電極を作製した。
非水電解液は、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.0mol/Lとなるように溶解させることにより調製した。
実施例及び比較例で得られたセパレータを60mmにスリットして帯状にすることにより評価用セパレータを作製した。
(20−1)で得られた、負極、セパレータ、正極、セパレータを、この順に重ね、250gfの巻取張力で渦巻状に複数回捲回することで電極積層体を作製した。10個作製した電極積層体のうちセパレータの撚れやシワの有無を目視で観察し、下記評価基準にて評価をした。
(評価基準)
○:撚れやシワ等の外観不良が全く生じなかったもの。
△:撚れやシワ等の外観不良が1個生じたもの。
×:撚れやシワ等の外観不良が2個以上発生したもの。
<電池組立て>
(20−1)で得られた、負極、セパレータ、正極、セパレータを、この順に重ね、巻取張力を250gf、捲回速度を45mm/秒として、渦巻状に複数回捲回することで電極積層体を作製した。この電極積層体を外径が18mmで高さが65mmのステンレス製容器に収納し、正極集電体から導出したアルミニウム製タブを容器蓋端子部に、負極集電体から導出したニッケル製タブを容器壁に溶接した。その後、真空下、80℃で12時間の乾燥を行った。アルゴンボックス内にて、組立てた電池容器内に上記非水電解液を注入し、封口した。
組立てた電池を1/3Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後、4.2Vの定電圧充電を8時間行い、その後1/3Cの電流で3.0Vの終止電圧まで放電を行った。次に、1Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後、4.2Vの定電圧充電を3時間行い、その後1Cの電流で3.0Vの終止電圧まで放電を行った。最後に1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電をした後、4.2Vの定電圧充電を3時間行い前処理とした。なお、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表す。
上記前処理を行った電池を温度25℃の条件下で、放電電流1Aで放電終止電圧3Vまで放電を行った後、充電電流1Aで充電終止電圧4.2Vまで充電を行った。これを1サイクルとして充放電を繰り返し、初期容量に対する200サイクル後の容量保持率を用いて、以下の基準でサイクル特性を評価した。
(評価基準)
◎:容量保持率95%以上100%以下
○:容量保持率90%以上95%未満
×:容量保持率90%未満
Mvが70万であり、ホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、Mvが30万であり、ホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、Mvが40万であるホモポリマーのポリプロピレンとMvが15万であるホモポリマーのポリプロピレンとの混合物(質量比=4:3)10質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリオレフィン混合物99質量部に酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。押し出される全混合物中に占める流動パラフィンの割合が65質量部となるように、すなわち、ポリマー濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.0μm)を96.0質量部とアクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)4.0質量部、ポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)1.0質量部を100質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製し、ポリオレフィン樹脂多孔膜1Aの表面にマイクログラビアコーターを用いて塗布した。60℃にて乾燥して水を除去し、多孔層を2μmの厚さで形成して、ポリオレフィン微多孔膜2Aを得た。得られたポリオレフィン微多孔膜2Aを製造例1−1Aと同様に上記方法により評価した。得られた結果を表1に示す。
[製造例2−1B](原料ポリマー1Bの製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、イオン交換水70.4質量部と、「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)0.5質量部と、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液)0.5質量部と、を投入し、反応容器内部温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)を7.5質量部添加した。
表2に記載の原料ポリマー1Bを表1に記載のポリオレフィン微多孔膜1Aの片面表面にグラビアコーターを用いて塗工液をパターン塗布し、60℃にて乾燥して塗工液の水を除去した。さらに、もう片面も同様に塗工液を塗布し、再度乾燥させることにより、ポリオレフィン微多孔膜の両面に熱可塑性ポリマーを有するセパレータの捲回体(実施例1A)を得た。得られたセパレータについて、上記方法により、評価した。得られた結果を表3に示す。グラビアコーターは所定のパターンになるよう、作製したものを用いた。また、同様にして、実施例2A〜7A、比較例1A〜2Aの捲回体を得た。
BA :アクリル酸n−ブチル
EHA :アクリル酸2−エチルヘキシル
MAA :メタクリル酸
AA :アクリル酸
HEMA :メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
AM :アクリルアミド
GMA :メタクリル酸グリシジル
NaSS :p−スチレンスルホン酸ナトリウム
APS(aq):過硫酸アンモニウム
Claims (6)
- セパレータが巻回される捲回体であって、
前記セパレータは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在する熱可塑性ポリマー層と、を有し、
前記熱可塑性ポリマー層において、前記セパレータの巻長方向に隣り合う2つの島状部を選び、前記2つの島状部の中心をそれぞれ第1の中心及び第2の中心とするとき、前記第1の中心と前記第2の中心とを通る線と、前記セパレータの巻長方向に並行な線とが交差する島状部が存在し、
前記第1の中心と前記第2の中心とを通る線と前記セパレータの巻長方向に並行な線とのなす鋭角θが、0度より大きく、20度より小さく、
前記島状部の膜幅方向の長さL1で、前記セパレータを膜幅方向に等分したとき、等分された前記セパレータにおける前記熱可塑性ポリマー層であるバインダ層の面積の最大値と最小値の比が、0.3〜1.0であり、
前記熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが規則的なパターンを形成している、
捲回体。 - 前記セパレータを巻長方向からみた際に、前記2つの島状部の少なくとも一部が重なっている、請求項1に記載の捲回体。
- 前記セパレータの巻長方向に均等な大きさの島状部が一列に並んでおり、前記島状部の列が前記セパレータの巻長方向に並行な線と交差する、
請求項1又は2に記載の捲回体。 - 前記基材が、ポリオレフィン微多孔膜を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の捲回体。
- 前記基材が、ポリオレフィン微多孔膜及び該ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に配される無機層を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の捲回体。
- 6インチの管に、セパレータを500m巻き取った時の、前記捲回体の外径差の最大値が0.5mm以下である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の捲回体。
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