JP2010267466A - 扁平形非水電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 エネルギー密度が高く、生産性が良好で、安全性に優れた扁平形非水電池を提供する。
【解決手段】 正極ケースと負極ケースとが絶縁ガスケットを介してカシメ封口されて形成された空間内に、正極と負極とを積層した電極群および非水電解液を有しており、平面視で円形の扁平形非水電池であって、正極と負極とが合計で少なくとも3層積層されており、正極および負極は、平面視で略円形で、かつ集電体表面に電極合剤層が形成された本体部と、集電体の露出部で構成された集電タブ部とを有しており、正極および負極の少なくとも一方には、その本体部と、集電タブ部の少なくとも一部とに、正極と負極とを隔離するための多孔性の隔離材が形成されていることを特徴とする扁平形非水電池により、前記課題を解決する。
【選択図】 図4
【解決手段】 正極ケースと負極ケースとが絶縁ガスケットを介してカシメ封口されて形成された空間内に、正極と負極とを積層した電極群および非水電解液を有しており、平面視で円形の扁平形非水電池であって、正極と負極とが合計で少なくとも3層積層されており、正極および負極は、平面視で略円形で、かつ集電体表面に電極合剤層が形成された本体部と、集電体の露出部で構成された集電タブ部とを有しており、正極および負極の少なくとも一方には、その本体部と、集電タブ部の少なくとも一部とに、正極と負極とを隔離するための多孔性の隔離材が形成されていることを特徴とする扁平形非水電池により、前記課題を解決する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、扁平形非水電池に関し、更に詳しくは、特に携帯用電子機器などの電源として使用するのに適したエネルギー密度が高く、しかも安全性に優れた扁平形非水電池に関するものである。
非水電池の1種であるリチウムイオン電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯電話やノートPCなどの携帯機器の電源として広く用いられている。そして、近年では、携帯機器の小型化に伴い、それに用いる電池にも小型化や高機能化が要求されている。
小型携帯機器用の電池としては、例えば、アルミニウムなどの金属板をしぼり加工などして作製した有底の角薄形電池ケースに、渦巻状の巻回体電極群および電解液を入れた後、電池ケースの開口部に封口板を配置し、これらをレーザー溶接により溶接した角形電池が知られている。ところが、このような角形電池では、電池ケースの開口部を塞ぐための封口板に正極および負極の端子を取り付けている構成が一般的で、正負極間を樹脂を介することで絶縁するために、正極端子と負極端子との間に一定の距離が必要であることから、電池の薄型化や小型化には限界がある。
また、アルミニウム蒸着膜にラミネート加工によって熱溶融性の樹脂層を積層したアルミニウムラミネートの袋に、渦巻状の巻回体電極群を挿入し、前記樹脂層を利用して熱封止した構造のアルミニウムラミネート電池も多く用いられている。ここで、アルミニウムラミネート電池では、信頼性を確保するためにアルミニウムラミネートの袋の熱封止を行う部分に一定の幅を必要とする。そのため、電池の周囲に一定の幅の封止部が形成されてしまい、電池を小型化した際には、封止部の占める割合が大きくなりすぎてエネルギー密度が低くなるという欠点がある。
一方、電子式卓上計算機や、電子式腕時計などの汎用されているコイン形やボタン形の電池に、巻回体電極群を適用した扁平形リチウムイオン電池の提案もある(特許文献1)。
しかしながら、コイン形電池やボタン形電池の場合、電池の形状が通常は円盤状(平面視で円形)であり、このような円盤状の電池に通常の角形電池で用いられているような、投影面が長方形の巻回体電極群を適用した場合、電池ケース内部に格納できる巻回体電極群の投影面は、円盤状電池の内径に内接する長方形または正方形になってしまう。そのため、電池ケースに格納できる巻回体電極群の体積が小さくなってしまい、結果として電池のエネルギー密度を高くすることができない。
このような問題を解決するために、電池の形状を円盤状ではなく方形盤状とした電池も提案されている(特許文献2)。しかしながら、方形盤状の電池では、内部の圧力が電池ケースに均一にかからず、方形盤状の角部に圧力が集中することが考えられ、円盤状の電池と同様のカシメ構造では、十分な信頼性を確保することが困難であり、角形電池と同様のレーザー溶接で封止すると、生産コストの点で、封止の容易なカシメ構造を採用する場合に対して不利となる。
また、電極群を巻回体構造とはせずに、折り畳み構造とした電池も提案されている(特許文献3)。このような構成の電池とすることで、巻回体電極群を用いた場合に問題となるエネルギー密度の低下を解消できる。しかしながら、折り畳み構造の電極群では、エネルギー密度を高めるために円盤状に電極群を構成しようとすると、セパレータも円形や円が連なった形状にする必要があり、セパレータと正極および負極とを重ね合わせて折り畳む際に、ずれが生じやすくなることが予測される。セパレータと正極および負極とがずれた状態で折り畳まれてしまうと、設計した電池容量が発揮されないばかりか、正極と負極とが短絡してしまう可能性もある。このような問題は、正極、負極およびセパレータを積層して構成した積層体電極群を使用した電池(特許文献4)においても起こり得る。
また、接着成分が塗布された帯形状の絶縁性高分子フィルムに多数の負極板を整列、収納させ、下面にセパレータを位置させた後、その結果物を連続する巻紙形態で巻きながら加圧ロールに通過させて、セパレータと負極板との積層時の位置ずれを防止する方法が提案されている(特許文献5)。しかしながら、この方法では、電極およびセパレータ以外に、接着性を塗布した絶縁性高分子フィルムが必要であり、また、このフィルムは位置ずれを防止する部分にのみ用いられるため、生産効率が低いという問題があった。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エネルギー密度が高く、生産性が良好で、安全性に優れた扁平形非水電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の扁平形非水電池は、正極ケースと負極ケースとが絶縁ガスケットを介してカシメ封口されて形成された空間内に、正極と負極とを積層した電極群および非水電解液(以下、「電解液」と省略する。)を有しており、平面視で円形の扁平形非水電池であって、前記正極と前記負極とが、合計で少なくとも3層積層されており、前記正極は、平面視で略円形の本体部と、集電タブ部とを有しており、前記正極の本体部では、集電体の片面または両面に正極合剤層が形成されており、前記正極の集電タブ部は、前記集電体に正極合剤層が形成されていない正極合剤層未形成部であり、前記負極は、平面視で略円形の本体部と、集電タブ部とを有しており、前記負極の本体部では、集電体の片面または両面に負極合剤層が形成されており、前記負極の集電タブ部は、集電体に負極合剤層が形成されていない負極合剤層未形成部であり、前記正極および前記負極の少なくとも一方には、その本体部と、集電タブ部の少なくとも一部とに、前記正極と前記負極とを隔離するための多孔性の隔離材が形成されていることを特徴とするものである。
なお、電池業界においては、高さより径の方が大きい扁平形電池をコイン形電池と呼んだり、ボタン形電池と呼んだりしているが、そのコイン形電池とボタン形電池との間に明確な差はなく、本発明の扁平形非水電池には、コイン形電池、ボタン形電池のいずれもが含まれる。
本発明によれば、エネルギー密度が高く、生産性が良好で、安全性に優れた扁平形非水電池を提供することができる。
本発明の扁平形非水電池は、正極ケースと負極ケースとが絶縁ガスケットを介してカシメ封口されて形成された空間内に、正極と負極とを、合計で少なくとも3層積層した電極群を有している。そして、前記正極および前記負極は、平面視で略円形(真円形を含む。以下同じ。)の本体部と集電タブ部とを有しており、正極および負極の少なくとも一方の、本体部の表面および集電タブ部の一部の表面には、隔離材が形成されている。
図1および図2に、扁平形非水電池に係る電極(正極または負極)の一例を模式的に示している。図1は電極1の平面図、図2は図1の断面図である。なお、図1および図2は、本発明の扁平形非水電池の構造を説明するための図面であって、図示している構成要素のサイズは、必ずしも正確ではない(後記の図3から図5についても同様である。)。
本発明に係る電極1は、平面視で略円形の本体部1aと集電タブ部1bとを有している。電極1の本体部1aでは、集電体3の片面または両面に電極合剤層(正極合剤層または負極合剤層)2が形成されている。また、電極1の集電タブ部1bは、集電体3に電極合剤層2が形成されていない電極合剤層未形成部である。また、本体部1aと集電タブ部1bの一部とには、多孔性の隔離材が形成されている(図1では、隔離材の形成部分を、ドットを付して示している)。
集電タブ部1bは特に制限はないが、例えば、平面視で、図1に示す長方形などの四角形であることが好ましい。
本発明の電池では、前記形状の電極を使用することで、電池内における電極の収納体積効率が向上するため、エネルギー密度を高めることができる。なお、本体部の形状は平面視で略円形であり、例えば、図1に示すように、対極の集電タブ部との接触をより良好に抑制するために、対極の集電タブ部が位置することが予定される箇所(図1では、本体部1aの左端の箇所)において、円弧の一部を切り落とした形状としていてもよい。具体的には、本体部の平面視での面積が、円弧上の任意の1点と、該1点と直線で結ばれる円弧上の他の1点との間の距離が最長の部分の長さを直径とする円の面積の70%以上であることが好ましい。また、電池のエネルギー密度をより高める観点から、集電タブ部は可能な範囲でより小さくすることが好ましい。
図2は、本体部1aと集電タブ部の一部とに、多孔性の隔離材4を有する電極1の例である。
電極1に形成された隔離材4は、前記電極群において、正極と負極とを隔離するセパレータとして作用する。すなわち、本発明の電池においては、セパレータとして作用する隔離材が正極および/または負極と一体化しており、電池製造時において、正極および負極とセパレータとの位置ずれの問題が生じない。そのため、電池の生産性を高めることができる。
隔離材は、正極および負極のいずれか一方にのみ形成してもよく、両方に形成してもよいが、通常は、正極よりも負極のサイズを大きくするため、正極および負極のいずれか一方にのみ隔離材を形成する場合には、負極に形成する方が好ましい。
図3に、本発明の電池に係る電極群の一例を模式的に表す断面図を示す。図3に示す電極群100は、7枚の正極10と、8枚の負極20とが、交互に積層されて構成されている。そして、正極10は、正極集電体13の両面に正極合剤層12を有しており、更に、正極合剤層12の表面と、正極集電体13の露出部(正極合剤層未形成部)により構成される集電タブ部の表面の一部とに、隔離材14が形成されている。また、負極20のうち、電極群100の最外層(上下端)に位置するものは、負極集電体23の片面に負極合剤層22を有しており、それ以外の負極20は、負極集電体23の両面に負極合剤層22を有している。そして、負極合剤層22の表面と、負極集電体23の露出部(負極合剤層未形成部)により構成される集電タブ部の表面の一部とに、隔離材24が形成されている。30は最下部の負極20と、電極群が収容される電池ケースの正極ケースとを絶縁するための絶縁テープである。
また、図中右側において、各正極10の集電タブ部が集められて一体化しており、これが、電池の正極ケースや正極端子と接続される。更に、図中左側において、各負極20の集電タブ部が集められて一体化しており、これが、電池の負極ケースや負極端子と接続される。
前記隔離材としては、例えば、その少なくとも一部が、隔離材の厚みよりも粒径が小さな微粒子により構成されているものが挙げられる。
隔離材を構成する前記微粒子としては、耐熱温度が150℃以上のものが好ましい(以下、耐熱温度が150℃以上の微粒子を「耐熱性微粒子」という。)。本明細書でいう前記微粒子における「耐熱温度」とは、その温度で微粒子が変形しない温度である。
本発明に係る隔離材で使用し得る耐熱性微粒子としては、電気絶縁性を有する無機微粒子が好ましく、具体的には、酸化鉄、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、TiO2、BaTiO3などの無機酸化物微粒子;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの無機窒化物微粒子;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶微粒子;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶微粒子;モンモリロナイトなどの粘土微粒子;などが挙げられる。ここで、前記無機酸化物微粒子は、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、マイカなどの鉱物資源由来物質またはこれらの人造物などの微粒子であってもよい。また、金属、SnO2、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの導電性酸化物、カーボンブラック、グラファイトなどの炭素質材料などで例示される導電性材料の表面を、電気絶縁性を有する材料(例えば、前記の無機酸化物など)で被覆することにより電気絶縁性を持たせた粒子であってもよい。
また、隔離材に係る耐熱性微粒子には、有機微粒子を用いることもできる。有機微粒子の具体例としては、ポリイミド、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、架橋ポリメチルメタクリレート(架橋PMMA)、架橋ポリスチレン(架橋PS)、ポリジビニルベンゼン(PDVB)、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物などの架橋高分子の微粒子;熱可塑性ポリイミドなどの耐熱性高分子の微粒子;が挙げられる。これらの有機微粒子を構成する有機樹脂(高分子)は、前記例示の材料の混合物、変性体、誘導体、共重合体(ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)、架橋体(前記の耐熱性高分子の場合)であってもよい。
隔離材に係る耐熱性微粒子には、前記例示のものを1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記例示の各種微粒子の中でも、無機酸化物微粒子がより好ましく、アルミナ、シリカ、ベーマイトが更に好ましい。
隔離材を構成する耐熱性微粒子は、その粒径が隔離材の厚みよりも小さければよいが、その平均粒径が、0.001μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、また、15μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
なお、隔離材を構成する微粒子[耐熱性微粒子、および後記の樹脂(A)や樹脂(B)を含む微粒子]の平均粒径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、HORIBA社製「LA−920」)を用い、微粒子を溶解しない媒体に分散させて測定した数平均粒子径として規定することができる(なお、本明細書の実施例における各微粒子の平均粒径は、全てこの方法で測定した値である)。
また、隔離材を構成する耐熱性微粒子の形態としては、例えば、球状に近い形状を有していてもよく、板状の形状を有していてもよいが、短絡防止の点からは、板状の粒子や、一次粒子が凝集した二次粒子構造の粒子であることが好ましい。前記の板状粒子や二次粒子の代表的なものとしては、板状のアルミナや板状のベーマイト、二次粒子状のアルミナや二次粒子状のベーマイトなどが挙げられる。
板状粒子の形態としては、アスペクト比が、5以上であることが好ましく、10以上でることがより好ましく、また、100以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましい。板状粒子におけるアスペクト比は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した画像を画像解析することにより求めることができる。
隔離材における耐熱性微粒子の量は、隔離材の構成成分の全体積中、60体積%以上であることが好ましく、70体積%以上であることがより好ましく、80体積%以上であることが更に好ましい。隔離材中の前記微粒子を前記のように高含有量とすることで、良好な耐熱性を発揮し得る隔離材とすることができる。
また、隔離材には、耐熱性微粒子同士を結着するためにバインダ樹脂を含有させることが好ましく、このような観点から、隔離材における耐熱性微粒子量の好適上限値は、例えば、隔離材の構成成分の全体積中、99体積%である。なお、隔離材における耐熱性微粒子の量を60体積%未満とすると、例えば、隔離材中のバインダ樹脂量を多くする必要が生じるが、その場合には隔離材の空孔がバインダ樹脂によって埋められてしまい、イオン伝導性を喪失する虞がある。
隔離材に用いるバインダ樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA、酢酸ビニル由来の構造単位が20〜35モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリル酸共重合体、フッ素樹脂[ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など]、フッ素系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリN−ビニルアセトアミド、架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの有機バインダは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても構わない。
前記例示のバインダ樹脂の中でも、150℃以上の耐熱性を有する耐熱樹脂が好ましく、特に、エチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、SBRなどの柔軟性の高い材料がより好ましい。これらの具体例としては、三井デュポンポリケミカル社製の「エバフレックスシリーズ(EVA、商品名)」、日本ユニカー社製のEVA、三井デュポンポリケミカル社製の「エバフレックス−EEAシリーズ(エチレン−アクリル酸共重合体、商品名)」、日本ユニカー社製のEEA、ダイキン工業社製の「ダイエルラテックスシリーズ(フッ素ゴム、商品名)」、JSR社製の「TRD−2001(SBR、商品名)」、日本ゼオン社製の「EM−400B(SBR、商品名)」などが挙げられる。また、アクリル酸ブチルを主成分とし、これを架橋した構造を有する低ガラス転移温度の架橋アクリル樹脂(自己架橋型アクリル樹脂)も好ましい。
なお、これらバインダ樹脂を使用する場合には、後述する隔離材形成用の組成物(スラリーなど)の溶媒に溶解させるか、または分散させたエマルジョンの形態で用いればよい。
また、隔離材には、樹脂製の微多孔膜で構成されたものを用いることもできる。
前記微多孔膜の構成樹脂としては、電気絶縁性を有しており、電気化学的に安定で、更に後で詳述する電池の有する電解液や、セパレータ製造の際に使用する溶媒(詳しくは後述する)に安定な樹脂であれば特に制限は無い。なお、電池の温度上昇時に隔離材の空孔を塞ぎイオンの移動を阻害する所謂シャットダウン機能を隔離材が備えていることが好ましく、そのため、隔離材となる微多孔膜の構成樹脂は、融点が80℃以上(より好ましくは100℃以上)150℃以下(より好ましくは125℃以下)の熱可塑性樹脂[以下、「樹脂(A)」という場合がある。]であることが好ましい。なお、樹脂(A)の融点は、JIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度を意味している。
樹脂(A)の具体例としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩素化PP、ポリシクロオレフィンなどのポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体などの共重合ポリオレフィン;などの熱可塑性樹脂が挙げられる。なお、前記共重合ポリオレフィンは、所謂ホットメルト樹脂であり、例えば、エチレン由来のユニット比率が65モル%以上であるものが好ましい。前記の熱可塑性樹脂の中でも、PE、塩素化PP、またはエチレン由来のユニット比率が65モル%以上のEVAが好適である。
また、隔離材には、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド、ポリウレタン、ポリエステルなどの耐熱性樹脂で構成される微多孔膜を用いることもできる。この場合、前記微多孔膜によってはシャットダウン機能を付与し得ないため、シャットダウン機能が不要な電池に用いることができる。また、前記耐熱性樹脂製の微多孔膜と、樹脂(A)や後記の樹脂(B)で構成されるシャットダウン層とを積層して、耐熱性とシャットダウン機能とを兼ね備えた隔離材を構成することもできる。
樹脂製の微多孔膜としては、例えば、Tダイを用いて押出成形した樹脂製フィルムを冷延伸して微多孔を形成する方法;パラフィンやシリカといった孔形成剤を、微多孔膜を構成するための樹脂に混合した原料を、Tダイを用いて押出成形し、延伸後、孔形成剤を抽出する方法;などによって製造したものを用いることができる。
また、隔離材が樹脂(A)製の微多孔膜により構成される場合、隔離材にシャットダウン機能を付与する作用を損なわない範囲で、その強度などを向上するためにフィラーなどを含有させることもでき、また、耐熱性樹脂製の微多孔膜で構成される隔離材においても、フィラーなどを含有させることができる。樹脂製の微多孔膜からなる隔離材に使用可能なフィラーとしては、例えば、前記の耐熱性微粒子を含有する隔離材において、使用可能なものとして先に例示した各種耐熱性微粒子が挙げられる。
本発明の電池に係る隔離材の厚みは、正極と負極とをより確実に隔離する観点から、6μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。他方、隔離材の厚みが大きすぎると、電池のエネルギー密度向上効果が小さくなる虞があることから、その厚みは、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
なお、本明細書でいう隔離材の厚みは、正極に設けられた隔離材の場合は正極合剤層表面(すなわち本体部)に形成された部分の厚みを、負極に設けられた隔離材の場合は負極合剤層表面(すなわち本体部)に形成された部分の厚みを、それぞれ指す。また、正負極それぞれに隔離材を設け、対向する正極−負極間に、正極の有する隔離材と負極の有する隔離材とが存在している場合には、これら両隔離材の合計厚みを指し、更に、後述するシャットダウン特性などを付与するためにシャットダウン層などを別途設けた場合には、シャットダウン層を含んだ合計厚みを指す。
本発明の電池に係る隔離材は、イオン伝導性を確保するために多孔質であることが必要であり、その空孔率としては、乾燥した状態で30%以上であることが好ましい。一方、隔離材の強度の確保と内部短絡の防止の観点から、隔離材の空孔率は、乾燥した状態で、70%以下であることが好ましい。なお、隔離材の空孔率:P(%)は、隔離材の厚み、面積あたりの質量、構成成分の密度から、下記(1)式を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算できる。
P= 100−(Σai/ρi)×(m/t) (1)
ここで、前記式中、ai:質量%で表した成分iの比率、ρi:成分iの密度(g/cm3)、m:隔離材の単位面積あたりの質量(g/cm2)、t:隔離材の厚み(cm)である。
P= 100−(Σai/ρi)×(m/t) (1)
ここで、前記式中、ai:質量%で表した成分iの比率、ρi:成分iの密度(g/cm3)、m:隔離材の単位面積あたりの質量(g/cm2)、t:隔離材の厚み(cm)である。
隔離材の平均孔径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上であって、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
本発明の扁平形非水電池は、電池の温度上昇時に隔離材の空孔を塞ぎイオンの移動を阻害する所謂シャットダウン機能を確保することができる。
シャットダウン機能を確保する方法としては、前記の通り、融点が80〜150℃の熱可塑性樹脂[樹脂(A)]により形成された微多孔膜を用いて隔離材を構成する方法が挙げられる。
また、隔離材の厚みよりも粒径が小さな微粒子(例えば、耐熱性微粒子)を含有する隔離材の場合には、前記の樹脂(A)を耐熱性微粒子と共に含有させる方法を採用することができる。
耐熱性微粒子を含有する隔離材において、樹脂(A)は、微粒子の形で用いてもよく、耐熱性微粒子と複合化した複合微粒子の形として用いてもよい。複合微粒子の形態としては、耐熱性微粒子をコアとし樹脂(A)をシェルとしたコアシェル型、樹脂(A)をコアとし、耐熱性微粒子をシェルとしたコアシェル型などのコアシェル型であることが望ましい。複合化の方法は、メカノフュージョン(商品名:ホソカワミクロン社製)などを用いた乾式の複合化法や、メカノケミカル法などの湿式複合化方法が挙げられる。
また、耐熱性微粒子を含有する隔離材において、通常、電池が使用される温度領域(およそ70℃以下)では、電解液を吸収しないか、または吸収量が限られており、従って膨潤の度合いが一定以下であるが、シャットダウンが必要となる温度まで加熱されたときには、電解液を吸収して大きく膨潤し且つ温度上昇と共に膨潤度が増大するような性質を有する樹脂[以下、「樹脂(B)」という。]を含有させることによっても、シャットダウン機能を確保することができる。
樹脂(B)を用いた場合、シャットダウン温度より低温側においては、樹脂(B)に吸収されない流動可能な電解液が隔離材の空孔内に存在するため、隔離材内部のLi(リチウム)イオンの伝導性が高くなり、良好な負荷特性を有する電池となるが、温度上昇に伴って膨潤度が増大する性質(以下、「熱膨潤性」という場合がある。)が現れる温度以上に加熱された場合には、樹脂(B)は電池内の電解液を吸収して大きく膨潤し、膨潤した樹脂(B)が隔離材の空孔を塞ぐと共に、流動可能な電解液が減少して電池が液枯れ状態となることにより、シャットダウンが生じる。しかも、シャットダウン温度を超える高温となった場合、熱膨潤性により前記液枯れが更に進行し、電池の反応が更に抑制されることになるため、シャットダウン後の高温安全性をより高めることもできる。
樹脂(B)が熱膨潤性を示し始める温度は、75℃以上であることが好ましい。樹脂(B)が熱膨潤性を示し始める温度を75℃以上とすることにより、Liイオンの伝導性が著しく減少して電池の内部抵抗が上昇する温度(いわゆるシャットダウン温度)を、およそ80℃以上に設定することができるからである。一方、熱膨潤性を示す温度の下限が高くなるほど、シャットダウン温度が高くなるので、シャットダウン温度をおよそ130℃以下に設定するために、樹脂(B)の熱膨潤性を示し始める温度は、125℃以下とするのが好ましく、115℃以下とするのがより好ましい。熱膨潤性を示す温度が高すぎると、電池内の活物質の熱暴走反応を十分に抑制できず、電池の安全性向上効果が十分に確保できないことがあり、また、熱膨潤性を示す温度が低すぎると、通常の電池の使用温度域(およそ70℃以下)におけるLiイオンの伝導性が低くなりすぎることがある。
また、熱膨潤性を示す温度より低い温度では、樹脂(B)は電解液をできるだけ吸収せず、膨潤が少ない方が望ましい。これは、電池の使用温度領域、例えば室温では、電解液は、樹脂(B)に取り込まれるよりも隔離材の空孔内に流動可能な状態で保持される方が、電池の負荷特性などの特性が良好になるからである。
常温(25℃)において樹脂(B)が吸収する電解液量は、樹脂(B)の体積変化を表す下記式(2)で定義される膨潤度BRにより評価することができる。
BR = (V0/Vi)−1 (2)
[前記式(2)中、V0は、電解液中に25℃で24時間浸漬後の樹脂(B)の体積(cm3)、Viは、電解液に浸漬する前の樹脂(B)の体積(cm3)をそれぞれ表す。]
BR = (V0/Vi)−1 (2)
[前記式(2)中、V0は、電解液中に25℃で24時間浸漬後の樹脂(B)の体積(cm3)、Viは、電解液に浸漬する前の樹脂(B)の体積(cm3)をそれぞれ表す。]
常温(25℃)における樹脂の膨潤度BRは、1以下であることが好ましく、電解液の吸収による膨潤が小さいこと、すなわち、BRはできるだけ0に近い小さな値となることが望まれる。また、熱膨潤性を示す温度より低温側では、膨潤度の温度変化ができるだけ小さくなるものが望ましい。
その一方で、樹脂(B)としては、熱膨潤性を示す温度の下限以上に加熱された時は、電解液の吸収量が大きくなり、熱膨潤性を示す温度範囲において、温度と共に膨潤度が増大するものが用いられる。例えば、120℃において測定される、下記式(3)で定義される膨潤度BTが、1以上であるものが好ましく用いられる。
BT = (V1/V0)−1 (3)
[前記式(3)中、V0は、電解液中に25℃で24時間浸漬後の樹脂(B)の体積(cm3)、V1は、電解液中に25℃で24時間浸漬後、電解液を120℃に昇温させ、120℃で1時間経過後における樹脂(B)の体積(cm3)をそれぞれ表す。]
BT = (V1/V0)−1 (3)
[前記式(3)中、V0は、電解液中に25℃で24時間浸漬後の樹脂(B)の体積(cm3)、V1は、電解液中に25℃で24時間浸漬後、電解液を120℃に昇温させ、120℃で1時間経過後における樹脂(B)の体積(cm3)をそれぞれ表す。]
なお、前記式(3)で定義される樹脂(B)の膨潤度は、大きくなりすぎると電池の変形を発生させることもあるため、10以下であることが望ましい。
前記式(3)で定義される膨潤度は、樹脂(B)の大きさの変化を、光散乱法やCCDカメラなどにより撮影された画像の画像解析といった方法を用いて、直接測定することにより見積もることができるが、例えば以下の方法を用いてより正確に測定することができる。
前記式(2)および式(3)と同様に定義される、25℃および120℃における膨潤度が分かっているバインダ樹脂を用い、その溶液またはエマルジョンに、樹脂(B)を混合してスラリーを調製し、これをポリエチレンテレフタレート(PET)シートやガラス板などの基材上に塗布してフィルムを作製し、その質量を測定する。次に、このフィルムを、25℃の電解液中に24時間浸漬して質量を測定し、更に、電解液を120℃に加熱昇温させ、120℃で1時間保持後における質量を測定し、下記式(4)〜(10)によって膨潤度BTを算出する。なお、下記(4)〜(10)式では、25℃から120℃までの昇温した際の、電解液以外の成分の体積増加は無視できるものとする。
Vi = Mi×W/PA (4)
VB = (M0−Mi)/PB (5)
VC = M1/Pc−M0/PB (6)
VV = Mi×(1−W)/PV (7)
V0 = Vi+VB−VV×(BB+1) (8)
VD = VV×(BB+1) (9)
BT = {V0+VC−VD×(BC+1)}/V0−1 (10)
ここで、前記式(4)〜(10)中、
Vi:電解液に浸漬する前の樹脂(B)の体積(cm3)、
V0:電解液中に25℃で24時間浸漬後の樹脂(B)の体積(cm3)、
VB:電解液中に常温で24時間浸漬後に、フィルムに吸収された電解液の体積(cm3)、
Vc:電解液中に常温に24時間浸漬した時点から、電解液を120℃まで昇温させ、更に120℃で1時間経過するまでの間に、フィルムに吸収された電解液の体積(cm3)、
VV:電解液に浸漬する前のバインダ樹脂の体積(cm3)、
VD:電解液中に常温で24時間浸漬後のバインダ樹脂の体積(cm3)、
Mi:電解液に浸漬する前のフィルムの質量(g)、
M0:電解液中に常温で24時間浸漬後のフィルムの質量(g)、
Ml:電解液中に常温で24時間浸漬した後、電解液を120℃まで昇温させ、更に120℃で1時間経過した後におけるフィルムの質量(g)、
W:電解液に浸漬する前のフィルム中の樹脂(B)の質量比率、
PA:電解液に浸漬する前の樹脂(B)の比重(g/cm3)、
PB:常温における電解液の比重(g/cm3)、
PC:所定温度での電解液の比重(g/cm3)、
PV:電解液に浸漬する前のバインダ樹脂の比重(g/cm3)、
BB:電解液中に常温で24時間浸漬後のバインダ樹脂の膨潤度、
BC:前記(2)式で定義される昇温時のバインダ樹脂の膨潤度
である。
VB = (M0−Mi)/PB (5)
VC = M1/Pc−M0/PB (6)
VV = Mi×(1−W)/PV (7)
V0 = Vi+VB−VV×(BB+1) (8)
VD = VV×(BB+1) (9)
BT = {V0+VC−VD×(BC+1)}/V0−1 (10)
ここで、前記式(4)〜(10)中、
Vi:電解液に浸漬する前の樹脂(B)の体積(cm3)、
V0:電解液中に25℃で24時間浸漬後の樹脂(B)の体積(cm3)、
VB:電解液中に常温で24時間浸漬後に、フィルムに吸収された電解液の体積(cm3)、
Vc:電解液中に常温に24時間浸漬した時点から、電解液を120℃まで昇温させ、更に120℃で1時間経過するまでの間に、フィルムに吸収された電解液の体積(cm3)、
VV:電解液に浸漬する前のバインダ樹脂の体積(cm3)、
VD:電解液中に常温で24時間浸漬後のバインダ樹脂の体積(cm3)、
Mi:電解液に浸漬する前のフィルムの質量(g)、
M0:電解液中に常温で24時間浸漬後のフィルムの質量(g)、
Ml:電解液中に常温で24時間浸漬した後、電解液を120℃まで昇温させ、更に120℃で1時間経過した後におけるフィルムの質量(g)、
W:電解液に浸漬する前のフィルム中の樹脂(B)の質量比率、
PA:電解液に浸漬する前の樹脂(B)の比重(g/cm3)、
PB:常温における電解液の比重(g/cm3)、
PC:所定温度での電解液の比重(g/cm3)、
PV:電解液に浸漬する前のバインダ樹脂の比重(g/cm3)、
BB:電解液中に常温で24時間浸漬後のバインダ樹脂の膨潤度、
BC:前記(2)式で定義される昇温時のバインダ樹脂の膨潤度
である。
また、前記の方法により前記(4)式および前記(8)式から求められるViおよびV0から、前記(2)式を用いて常温での膨潤度BRを求めることができる。
なお、本発明の扁平形非水電池は、非水電解液を有する電池であるが、従来から知られている非水電解液を有する電池では、例えば、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液が非水電解液として用いられている(リチウム塩や有機溶媒の種類、リチウム塩濃度などの詳細は後述する)。よって、樹脂(B)としては、リチウム塩の有機溶媒溶液中で、75〜125℃のいずれかの温度に達した時に前記の熱膨潤性を示し始め、好ましくは該溶液中において膨潤度BRおよびBTが前記の値を満足するように膨潤し得るものが推奨される。
樹脂(B)としては、耐熱性および電気絶縁性を有しており、電解液に対して安定であり、更に、電池の作動電圧範囲において酸化還元されにくい電気化学的に安定な材料が好ましく、そのような材料としては、例えば、樹脂架橋体が挙げられる。より具体的には、スチレン樹脂〔ポリスチレン(PS)など〕、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル樹脂〔ポリメチルメタクリレート(PMMA)など〕、ポリアルキレンオキシド〔ポリエチレンオキシド(PEO)など〕、フッ素樹脂〔ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など〕およびこれらの誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂の架橋体;尿素樹脂;ポリウレタン;などが例示できる。樹脂(B)には、前記例示の樹脂を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、樹脂(B)は、必要に応じて、樹脂に添加される公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤などを含有していても構わない。
前記の構成材料の中でも、スチレン樹脂架橋体、アクリル樹脂架橋体およびフッ素樹脂架橋体が好ましく、架橋PMMAが特に好ましく用いられる。
これら樹脂架橋体が、温度上昇により電解液を吸収して膨潤するメカニズムについては明らかでないが、ガラス転移点(Tg)との相関が考えられる。すなわち、樹脂は、一般にそのTgまで加熱されたときに柔軟になるため、前記のような樹脂は、Tg以上の温度で多くの電解液の吸収が可能となり膨潤するのではないかと推測される。従って、樹脂(B)としては、実際にシャットダウン作用が生じる温度が樹脂(B)の熱膨潤性を示し始める温度より多少高くなることを考慮し、およそ75〜125℃にTgを有する樹脂架橋体を用いることが望ましいと考えられる。なお、本明細書でいう樹脂(B)である樹脂架橋体のTgは、JIS K 7121の規定に準じて、DSCを用いて測定される値である。
前記樹脂架橋体では、電解液を含む前の所謂乾燥状態においては、温度上昇により膨張しても、温度を下げることにより再び収縮するというように、温度変化に伴う体積変化にある程度可逆性があり、また、熱膨潤性を示す温度よりもかなり高い耐熱温度を有するため、熱膨潤性を示す温度の下限が100℃くらいであっても、200℃またはそれ以上まで加熱することが可能な材料を選択することができる。そのため、隔離材や電池の製造工程などで加熱を行っても、樹脂が溶解したり樹脂の熱膨潤性が損なわれたりすることがなく、一般の加熱プロセスを含む製造工程での取り扱いが容易となる。
なお、樹脂(B)についても、前述の樹脂(A)と同様に、樹脂(B)のみで構成される微粒子として用いてもよく、耐熱性微粒子と複合化した複合微粒子として用いてもよい。
樹脂(A)や樹脂(B)は、単独の微粒子、または前述のコアシェル型微粒子として用いる場合には、その平均粒径は、0.1μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがより好ましく、また、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
更に、前記の樹脂(A)や樹脂(B)で構成されるシャットダウン層を、耐熱性微粒子を含有する層の表面(電極側表面または電極とは反対側の表面)に形成して、シャットダウン層を有する隔離材とすることで、シャットダウン機能を確保することもできる。シャットダウン層は、樹脂(A)製の微多孔膜や、樹脂(A)および/または樹脂(B)の微粒子を含有する層により構成することができる。
隔離材の厚みよりも粒径が小さな微粒子(例えば耐熱性微粒子)を含有する隔離材の場合には、前記微粒子や、バインダ樹脂、さらには必要に応じて樹脂(A)や樹脂(B)を含む微粒子を、溶媒に溶解または分散させたスラリーを調製し、これを電極(正極および/または負極)の本体部表面(電極合剤層表面)、および集電タブ部の一部の表面にキャストまたはスプレーし、その後乾燥などにより溶媒を除去する方法により、多孔性の隔離材を有する電極を製造することができる。
また、前記微粒子などを含む前記のスラリーを基板表面にキャストし、溶媒を除去した後に基板から剥離して得た隔離材を、接着、粘着、ヒートプレスなどの方法で電極と一体化することによっても、隔離材を有する電極を製造することができる。
樹脂製の微多孔膜によって隔離材を形成する場合には、前記微多孔膜を接着、粘着、ヒートプレスなどの方法で、電極(正極および/または負極)の本体部表面(電極合剤層表面)、および集電タブ部の一部の表面と一体化する方法で、隔離材を有する電極を製造することができる。
更に、正極および負極のいずれか一方の表面に、隔離材の厚みよりも粒径が小さな微粒子を含有する隔離材を形成し、他方の表面に樹脂製の微多孔膜からなる隔離材を形成して電池を構成することも可能である。
基板表面に前記スラリーをキャストし溶媒除去後に基板から剥離して得た隔離材や、樹脂製の微多孔膜からなる隔離材を電極と一体化する方法としては、隔離材に接着剤や粘着剤を塗布した後、電極と貼り合わせて一体化する方法;微多孔膜の構成樹脂が熱可塑性樹脂の場合や、隔離材中のバインダ樹脂が熱可塑性の場合に、隔離材を電極に重ねてヒートプレスする方法;ホットメルト樹脂を隔離材の表面に塗布した後、電極と重ねてヒートプレスする方法;などが挙げられる。なお、隔離材がシャットダウン機能を有する場合には、ホットメルト樹脂は、隔離材の有するシャットダウン樹脂[樹脂(A)]の軟化点、融点より低い温度で溶融して接着性を発現するものを使用することが好ましい。これらの方法によれば、特に隔離材がシャットダウン機能を有する場合には、そのシャットダウン機能を損なうことなく、電極と一体化することができる。
なお、隔離材と電極との一体化に使用する接着剤や粘着剤としては、電気化学的に安定で、電解液に溶解しないものが望ましい。このような接着剤や粘着剤の具体例としては、例えば、架橋性のアクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。また、隔離材と電極との一体化に使用し得るホットメルト樹脂としては、例えば、PE、PPなどの低融点のポリオレフィン;EVA、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体などの共重合ポリオレフィン;などが挙げられる。
電極の集電タブ部は、正極の場合には正極ケースや正極端子との電気的接続が可能なように、また、負極の場合には負極と負極ケースや負極端子との電気的接続が可能なように、隔離材を形成せずに集電体を露出させる部分を設ける必要がある。そのため、集電タブ部においては、その全面ではなく一部にのみ隔離材を形成する。なお、図3に示すように、正極と負極とを積層した電極群においては、集電タブ部は折り曲げられるなどするため、集電タブ部が対極と接触することによる短絡を防止可能な箇所に、隔離材を形成しておくことが好ましい。具体的には、集電タブ部においては、少なくとも本体部との境界部分に隔離材を形成することが好ましい。
なお、集電タブ部における隔離材の形成箇所は、集電タブ部と本体部との境界から、0mm以上の箇所までであることがより好ましく、0.1mm以上の箇所までであることが更に好ましく、また、10mm以下の箇所までであることがより好ましく、5mm以下の箇所までであることが更に好ましい。
本発明の扁平形非水電池に係る正極は、従来から知られている非水電池に用いられている正極であれば特に制限はなく、例えば、リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質を用いた正極が使用できる。すなわち、例えば活物質として、一般式LiMnxM1 (1−x)O4(M1:Fe、Ni、Mg、Zn、Co、Cr、Al、B、V、Si、Sn、Nb、Ta、Cu、Mo、TiおよびWよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦x≦0.1)で表されるスピネル型リチウム含有複合酸化物、一般式LiM2PO4(M2:Co、Ni、MnまたはFe)で表されるオリビン型リチウム含有複合酸化物、一般式Li(1+a)M3 2bMn(0.5−b)Ni(0.5−b)O2(M3:Fe、Mg、Zn、Co、Cr、Al、B、V、Si、Sn、Nb、Ta、Cu、Mo、TiおよびWよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、−0.1<a<0.1、0≦b≦0.05)で表される層状結晶構造のリチウム含有複合酸化物、一般式Li(1+y+α)Ni(1−y−z+δ)/2Mn(1−y−z−δ)/2M4 zO2(M4:Ti、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Al、Ge、Sn、MgおよびZrよりなる群から選択される少なくとも1種の元素、0≦y≦0.05、−0.05≦α≦0.05、0≦z<0.45、−0.24≦δ≦0.24)で表されるリチウム含有複合酸化物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物などを適用することが可能であり、それらの正極活物質に導電助剤やポリフッ化ビニリデンなどの結着剤などを適宜添加した正極合剤で構成される正極合剤層を、集電体の片面または両面に形成した正極が使用できる。
正極における正極合剤層の組成としては、正極活物質:80〜99質量%、導電助剤:0.5〜15質量%、結着剤:0.5〜10質量%とすることが好ましい。また、正極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり20〜200μmであることが好ましい。
本発明において、正極の集電体としてはアルミニウム製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、厚み10μm以上30μm以下のアルミニウム箔が好適に用いられる。
正極の集電タブ部は、正極製造時に集電体の一部を、正極合剤層を形成しない正極合剤層未形成部(集電体の露出部)として設けられる。
本発明の扁平形非水電池に係る負極としては、従来から知られている非水電池に用いられている負極であれば特に制限はなく、例えば、リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質を用いた負極が使用できる。負極活物質としては、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維などのリチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si,Sn、Ge,Bi,Sb、Inなどの合金またはリチウム含有窒化物、酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、もしくはリチウム金属やリチウム/Al合金も負極活物質として用いることができる。負極には、これらの負極活物質に導電助剤やポリフッ化ビニリデンなどの結着剤などを適宜添加した負極合剤からなる負極合剤層を、集電体の片面または両面に形成したものが使用できる。
負極における負極合剤層の組成としては、負極活物質:80〜99質量%、結着剤:0.5〜10質量%とすることが好ましい。また、導電助剤を使用する場合、負極合剤層中の導電助剤量を、0.5〜10質量%とすることが好ましい。更に、負極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり20〜200μmであることが好ましい。
本発明において、負極の集電体としては銅製またはニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、より高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みが30μm以下であることが好ましく、また、厚みは5μm以上であることが好ましい。
負極の集電タブ部も正極の集電タブ部と同様に、負極製造時に集電体の一部を、負極合剤層を形成しない負極合剤層未形成部(集電体の露出部)として設けられる。
本発明の扁平形非水電池では、例えば図3に示すように、前記の正極と前記の負極とを、隔離材が対極との間に介在するように、全電極数が3層以上となるように積層して構成した電極群を使用する。なお、電極群における正極と負極との合計数の上限値については特に制限はない。
なお、電極群とした際に、電極エッジ部(例えば図3中の左右端)でのリチウム析出による内部短絡を防止する観点から、互いに対向する正極と負極とにおいては、正極の正極合剤層形成部分の面積(平面視での面積。後記の負極についても同じ。)を、負極の負極合剤層形成部分の面積よりも小さくすることが好ましい。
電極群を形成するにあたっては、正極の集電タブ部と負極の集電タブ部とは、互いに接触しない位置であれば、それらの向きに特に制限はない。本発明の電池は平面視で円形であるため、正極の集電タブ部や負極の集電タブ部の向きを変更しても、電池内に収容できる電極本体部(発電に関与する電極合剤層が形成された本体部)の大きさは同じであり、エネルギー密度が低下するなどの問題は生じない。ただし、電極群の形成の容易さを考慮すると、図3に示すように、正極の集電タブ部と、負極の集電タブ部とが、互いに対向するように配置することが好ましい。
本発明の扁平形非水電池は、前記の電極群と、電解液とを、正極ケースと負極ケースとが絶縁ガスケットを介してカシメ封口された空間内に収容して構成される。
図4に、本発明の扁平形非水電池の一例を模式的に表す断面図を示している。図4では、図3と機能が共通するものについては、同じ符号を付している。なお、図4では、図面が複雑になることを避けるために、正極および負極については、集電体、正負極の合剤層および隔離材を区別して示しておらず、また、正極と負極とをほぼ同じサイズで示している。
図4に示す電池200では、正極ケース31の開口部に、負極ケース32が、断面L字状で環状の絶縁ガスケット33を介して嵌合しており、正極ケース31の開口端部が内方に締め付けられ、これにより絶縁ガスケット33が負極ケース32に当接することで、正極ケース31の開口部が封口されて電池100内部が密閉構造となっている。そして、その内部に、正極10と負極20とを複数積層して構成した電極群と、電解液(図示しない)とが収容されている。そして、正極ケース31は正極端子を兼ね、負極ケース32は負極端子を兼ねている。また、電極群に係る最下端の負極20と正極ケース31との間には、絶縁テープ30が介在している。
このように、本発明の電池では、正極ケースと負極ケースとを、絶縁ガスケットを介してカシメ封口する構造とすることで、例えば、正極ケースと負極ケースとの間をレーザー溶接などにより封止する場合よりも、生産コストを下げ、電池の生産性を高めている。
正極ケースとしては、例えば、ステンレス鋼製のケースが好ましく、電池内側にアルミニウム層を設けたステンレス鋼−アルミニウムクラッドを用いて構成したケースがより好ましい。また、負極ケースは、ステンレス鋼製のケースが好ましい。更に、絶縁ガスケットとしては、ナイロン66などのポリアミド製のものなどが好ましい。
なお、本発明の電池においては、エネルギー密度をより高める観点から、電極群における正極の本体部と負極の本体部とが対向する部分の、電極面に垂直な方向の最大投影面積(以下、単に「電極群の最大投影面積」という場合がある。)が、前記電極面に垂直な方向と同一軸から見たときの、正極ケースと負極ケースとから形成される空間の最大投影面積(以下、単に「正極ケースと負極ケースとから形成される空間の最大投影面積」という場合がある。)の、好ましくは60%以上、より好ましくは70%となるように、電極群に係る電極のサイズと、正極ケースおよび負極ケースのサイズとを調整することが推奨される。
本発明の電池では、正極に係る集電タブ部は、正極ケースが正極端子を兼ねる場合は正極ケース、そうでない場合は正極端子と接続し、負極に係る集電タブ部は、負極ケースが負極端子を兼ねる場合は負極ケース、そうでない場合は負極端子と接続する。なお、図4では、正極に係る集電タブ部と正極ケースとを直接接続し、また、負極に係る集電タブ部と負極ケースとを直接接続した例を示しているが、例えば、正極に係る各集電タブ部を纏め、これをリード体を介して正極ケースや正極端子と間接的に接続してもよく、また、負極端子に係る各集電タブ部を纏め、これをリード体を介して負極ケースや負極端子と間接的に接続してもよい。
本発明の扁平形非水電池に係る電解液としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸メチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマーブチロラクトン、エチレングリコールサルファイト、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどの有機溶媒に、例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li2C2F4(SO3)2、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiCnF2n+1SO3(n≧2)、LiN(RfOSO2)2〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などのリチウム塩から選ばれる少なくとも一種を溶解させることによって調製したものが使用される。このイオン塩の電解液中の濃度としては、0.5〜1.5 mol/l、特に0.9〜1.25 mol/lが好ましい。また、これらの電解液に安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。
本発明の扁平形非水電池は、小型携帯機器の電源用途を始めとして、従来から知られている非水電池が適用されている各種用途(特に小型の非水電池が要求される用途)に好ましく用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではない。
実施例1
正極の作製:
正極活物質であるLiCoO2:80質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:10質量部および結着剤であるポリフッ化ビニリデン:5質量部を、N−メチルピロリドンを溶剤として均一になるように混合し、正極合剤含有ペーストを調製した。そのペーストを、集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、塗布長が表裏それぞれ20mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が150μmになるように正極合剤層の厚みを調整して正極を得た。
正極の作製:
正極活物質であるLiCoO2:80質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:10質量部および結着剤であるポリフッ化ビニリデン:5質量部を、N−メチルピロリドンを溶剤として均一になるように混合し、正極合剤含有ペーストを調製した。そのペーストを、集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、塗布長が表裏それぞれ20mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が150μmになるように正極合剤層の厚みを調整して正極を得た。
負極の作製:
負極活物質である黒鉛:95質量部とポリフッ化ビニリデン:5質量部とを、N−メチルピロリドンを溶剤として均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製し、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の両面に、塗布長が表裏それぞれ20mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整して負極を得た。また、前記の負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の片面に、塗布長が20mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が76mmになるように負極合剤層の厚みを調整して、集電体の片面に負極合剤層を有する負極も作製した。
負極活物質である黒鉛:95質量部とポリフッ化ビニリデン:5質量部とを、N−メチルピロリドンを溶剤として均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製し、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の両面に、塗布長が表裏それぞれ20mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整して負極を得た。また、前記の負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の片面に、塗布長が20mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が76mmになるように負極合剤層の厚みを調整して、集電体の片面に負極合剤層を有する負極も作製した。
隔離材の作製:
バインダであるSBRのエマルジョン(固形分比率40質量%):100gと、水:4000gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に耐熱性微粒子であるアルミナ粉末(平均粒径0.4μm):4000gを4回に分けて加え、ディスパーにより2800rpmで5時間攪拌して均一なスラリーを調製した。このスラリーに増粘剤としてキサンタンガムを24g加えて溶解し、スラリーの粘度を300mPa・sに調整した。このスラリーを、ギャップ50μmで、前記集電体の両面に負極合剤層を形成した負極の表面、および集電体の片面に負極合剤層を形成した負極の、負極合剤層側表面に摺り切り塗布し、乾燥して、厚み15μmの隔離材を形成した負極を得た。
バインダであるSBRのエマルジョン(固形分比率40質量%):100gと、水:4000gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に耐熱性微粒子であるアルミナ粉末(平均粒径0.4μm):4000gを4回に分けて加え、ディスパーにより2800rpmで5時間攪拌して均一なスラリーを調製した。このスラリーに増粘剤としてキサンタンガムを24g加えて溶解し、スラリーの粘度を300mPa・sに調整した。このスラリーを、ギャップ50μmで、前記集電体の両面に負極合剤層を形成した負極の表面、および集電体の片面に負極合剤層を形成した負極の、負極合剤層側表面に摺り切り塗布し、乾燥して、厚み15μmの隔離材を形成した負極を得た。
前記の隔離材を塗布した負極と、正極とを、図1に示す形状に打ち抜いた。なお、負極については、略円形の本体部1aには負極合剤層および隔離材が形成されており、集電体の露出部よりなる集電タブ部1bの、本体部1aとの境界部分にも、隔離材が形成されているように打ち抜いた。また、正極については、略円形の本体部1aには正極合剤層が形成されており、集電タブ部1bは集電体の露出部で構成されるように打ち抜いた。
また、正極は、図1に示す本体部1aにおける径rを7mm、直線部aおよびdの長さを5mmとし、集電タブ部におけるbの長さを5mm、cの長さを3mmとした。更に、負極は、図1に示す本体部1aにおける径rを7.5mm、直線部aおよびdの長さを5mmとし、集電タブ部におけるbの長さを3mm、cの長さを3mmとした。なお、正極および負極の本体部は、平面視での面積が、円弧上の任意の1点と、該1点と直線で結ばれる円弧上の他の1点との間の距離が最長の部分の長さを直径とする円の面積の98%である。
前記のように打ち抜いた正極7枚と負極8枚とを、図3に示すように積層し、各正極の集電タブ部同士、および各負極の集電タブ部同士を溶接により接続して、積層型の電極群を作製した。なお、前記電極群の両最外層は負極とし、これら両最外層の負極には、集電体の片面に負極合剤層および隔離材を形成した負極を用い、集電体の露出面が電極群の最外部となるように配置した。また、電極群の正極ケースに対向することが予定される部分には、ポリイミド製の絶縁テープを貼り付けた。
前記の電極群を、外側がステンレス鋼製で内部がアルミニウム製のステンレス鋼−アルミニウムクラッドで構成した正極ケースに入れ、電極群に係る正極の集電タブ部を正極ケースに溶接により接続した。正極ケース内に電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比で1対2に混合した溶媒に、LiPF6を濃度1.2Mで溶解した溶液)を注入し、ステンレス鋼製の負極ケースを、ナイロン66製の絶縁ガスケットを介して正極ケースの開口部に配置し、カシメ封口して、外形20mm、厚み3.2mmの扁平形非水電池(扁平形非水二次電池)を作製した。なお、電池の負極側は、電極群と負極ケースとの接触により接続されている。
なお、電極群の最大投影面積は1.74cm2、正極ケースと負極ケースとから形成される空間の最大投影面積は2.01cm2であり、その比率(Q)は86%であった。
実施例2
バインダ樹脂であるEVA(コモノマー中の酢酸ビニルの比率が15モル%、日本ユニカー社製)100gと、トルエン6000gとを容器に入れ、均一に溶解するまで室温にて撹拌した。ここに、樹脂(A)としてPE粉末(融点107℃、平均粒径6μm)3000gを4回に分けて加え、ディスパーにより2800rpmで1時間分散した。ここに、アルミナ微粒子(平均粒径0.4μm)300gを加え、ディスパーにより2800pmで3時間攪拌して、均一なスラリーを調製した。このスラリーを用いて隔離材を形成した以外は実施例1と同様にして負極を作製し、これらの負極を用いた以外は実施例1と同様にして扁平形非水電池を作製した。
バインダ樹脂であるEVA(コモノマー中の酢酸ビニルの比率が15モル%、日本ユニカー社製)100gと、トルエン6000gとを容器に入れ、均一に溶解するまで室温にて撹拌した。ここに、樹脂(A)としてPE粉末(融点107℃、平均粒径6μm)3000gを4回に分けて加え、ディスパーにより2800rpmで1時間分散した。ここに、アルミナ微粒子(平均粒径0.4μm)300gを加え、ディスパーにより2800pmで3時間攪拌して、均一なスラリーを調製した。このスラリーを用いて隔離材を形成した以外は実施例1と同様にして負極を作製し、これらの負極を用いた以外は実施例1と同様にして扁平形非水電池を作製した。
実施例3
バインダ樹脂であるSBRのエマルジョン(固形分比率40質量%):100gと、水:4000gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に耐熱性微粒子であるベーマイト粉末(平均粒径1μm、アスペクト比10、板状):4000gを4回に分けて加え、ディスパーにより2800rpmで5時間攪拌して均一なスラリーを調製した。更に、このスラリーにCMCを30g添加して溶解し、スラリーの粘度を300mPa・sに調整した。このスラリーを用いて隔離材を形成した以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。
バインダ樹脂であるSBRのエマルジョン(固形分比率40質量%):100gと、水:4000gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に耐熱性微粒子であるベーマイト粉末(平均粒径1μm、アスペクト比10、板状):4000gを4回に分けて加え、ディスパーにより2800rpmで5時間攪拌して均一なスラリーを調製した。更に、このスラリーにCMCを30g添加して溶解し、スラリーの粘度を300mPa・sに調整した。このスラリーを用いて隔離材を形成した以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。
また、実施例1と同様に作製した正極(打ち抜き前の正極)の正極合剤層表面に、PEのエマルジョン(平均粒径1μm、固形分比率25%、融点125℃)をギャップ30μmで摺り切り塗布し、乾燥して、厚み15μmのシャットダウン層を形成した。その後、実施例1と同様にして打ち抜いて、正極合剤層表面にシャットダウン層を有する正極を得た。
前記の正極と前記の負極とを用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形非水電池を作製した。
実施例4
バインダ樹脂であるSBRのエマルジョン(固形分比率40質量%):100gと、水:4000gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に耐熱性微粒子であるベーマイト粉末(平均粒径0.6μm、二次粒子状):4000gを4回に分けて加え、ディスパーにより2800rpmで5時間攪拌して均一なスラリーを調製した。更に、このスラリーにシャットダウン粒子として架橋PMMA粒子[樹脂(B)、平均粒径0.3μm]1000gを加えて、均一に分散するまで室温で攪拌してスラリーを調製した。このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。
バインダ樹脂であるSBRのエマルジョン(固形分比率40質量%):100gと、水:4000gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に耐熱性微粒子であるベーマイト粉末(平均粒径0.6μm、二次粒子状):4000gを4回に分けて加え、ディスパーにより2800rpmで5時間攪拌して均一なスラリーを調製した。更に、このスラリーにシャットダウン粒子として架橋PMMA粒子[樹脂(B)、平均粒径0.3μm]1000gを加えて、均一に分散するまで室温で攪拌してスラリーを調製した。このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。
また、前記のスラリーを、実施例1と同様に作製した正極(打ち抜き前の正極)の正極合剤層表面および集電体の露出部の一部にギャップ50μmで塗布し、乾燥して、厚みが15μmの隔離材を形成した。その後、これを実施例1と同様の形状で、かつ略円形の本体部1aには正極合剤層および隔離材が形成されており、集電体の露出部よりなる集電タブ部1bの、本体部1aとの境界部分にも、隔離材が形成されているように打ち抜いて正極を得た。
前記の正極と前記の負極とを用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形非水電池を作製した。
実施例5
PE製微多孔膜(厚み20μm、融点136℃)に、PP製ホットメルト樹脂のエマルジョン(樹脂の融点85℃、固形分比率20質量%)を乾燥後の厚みが1μmになるように塗布して乾燥した後、実施例1と同様にして作製した正極(打ち抜き前の正極)の両面に重ね、ヒートプレスによりPE製微多孔膜からなる隔離材と正極とを一体化した。その後、これを実施例4と同様に打ち抜いて、正極合剤層を有する本体部、および集電タブ部の本体部との境界部分に隔離材が形成された正極を得た。
PE製微多孔膜(厚み20μm、融点136℃)に、PP製ホットメルト樹脂のエマルジョン(樹脂の融点85℃、固形分比率20質量%)を乾燥後の厚みが1μmになるように塗布して乾燥した後、実施例1と同様にして作製した正極(打ち抜き前の正極)の両面に重ね、ヒートプレスによりPE製微多孔膜からなる隔離材と正極とを一体化した。その後、これを実施例4と同様に打ち抜いて、正極合剤層を有する本体部、および集電タブ部の本体部との境界部分に隔離材が形成された正極を得た。
また、実施例1で作製した負極(打ち抜き前の負極)を、隔離材を形成せずに実施例1と同じサイズに打ち抜いた。
前記の正極と前記の負極とを用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形非水電池を作製した。
実施例6
バインダ樹脂であるSBRのエマルジョン(固形分比率40質量%):100gと、水:4000gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に耐熱性微粒子であるベーマイト粉末(平均粒径1μm、アスペクト比10、板状):4000gを4回に分けて加え、ディスパーにより2800rpmで5時間攪拌して均一なスラリーを調製した。更に、このスラリーにCMCを30g添加して溶解し、スラリーの粘度を300mPa・sに調整した。このスラリーをPE製微多孔膜(厚み16μm、融点136℃)の片側に摺り切り塗布し、乾燥して、厚み20μmのフィラー層を形成した微多孔膜を得た。
バインダ樹脂であるSBRのエマルジョン(固形分比率40質量%):100gと、水:4000gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に耐熱性微粒子であるベーマイト粉末(平均粒径1μm、アスペクト比10、板状):4000gを4回に分けて加え、ディスパーにより2800rpmで5時間攪拌して均一なスラリーを調製した。更に、このスラリーにCMCを30g添加して溶解し、スラリーの粘度を300mPa・sに調整した。このスラリーをPE製微多孔膜(厚み16μm、融点136℃)の片側に摺り切り塗布し、乾燥して、厚み20μmのフィラー層を形成した微多孔膜を得た。
前記のフィラー層を有する微多孔膜のPE製微多孔膜面に、実施例5で使用したものと同じPP製ホットメルト樹脂のエマルジョンを、乾燥後の厚みが1μmになるように塗布して乾燥した。この微多孔膜を用いた以外は、実施例5と同様にして正極を作製した。
前記の正極を用いた以外は、実施例5と同様にして扁平形非水電池を作製した。
比較例1
実施例1と同様にして正極(打ち抜き前の正極)および負極(打ち抜き前の負極)を作製し、いずれにも隔離材を形成することなく、実施例1と同じ形状で打ち抜いた。そして、これらの正極と負極とを用い、隔離材に代えて実施例5で用いたものと同じPE製微多孔膜をセパレータとして正極と負極との間に介在させた以外は、実施例1と同様にして扁平形非水電池を作製した。
実施例1と同様にして正極(打ち抜き前の正極)および負極(打ち抜き前の負極)を作製し、いずれにも隔離材を形成することなく、実施例1と同じ形状で打ち抜いた。そして、これらの正極と負極とを用い、隔離材に代えて実施例5で用いたものと同じPE製微多孔膜をセパレータとして正極と負極との間に介在させた以外は、実施例1と同様にして扁平形非水電池を作製した。
比較例1の電池について、実施例1と同様にして計算した電極群の最大投影面積の、正極ケースと負極ケースとから形成される空間の最大投影面積との比率(Q)は86%であった。
比較例2
正極の作製:
実施例1と同様にして調製した正極合剤含有ペーストを、集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、塗布長が表面77.0mm、裏面52.0mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が143μmになるように正極合剤層の厚みを調整し、幅10.0mmになるように切断して、長さ81.0mm、幅10.0mmの正極を作製した。更に、この正極のアルミニウム箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
正極の作製:
実施例1と同様にして調製した正極合剤含有ペーストを、集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、塗布長が表面77.0mm、裏面52.0mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が143μmになるように正極合剤層の厚みを調整し、幅10.0mmになるように切断して、長さ81.0mm、幅10.0mmの正極を作製した。更に、この正極のアルミニウム箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
負極の作製:
実施例1と同様にして調製した負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ8μmの集電体の両面に、塗布長が表面78.5mm、裏面53.5mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って全厚が130μmになるように負極合剤層の厚みを調整し、幅10.5mmになるように切断して、長さ78.5mm、幅10.5mmの負極を作製した。
実施例1と同様にして調製した負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ8μmの集電体の両面に、塗布長が表面78.5mm、裏面53.5mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って全厚が130μmになるように負極合剤層の厚みを調整し、幅10.5mmになるように切断して、長さ78.5mm、幅10.5mmの負極を作製した。
比較例1でセパレータに用いたものと同じPE製微多孔膜を幅11.0mm、長さ160mmに裁断してセパレータとし、前記の正極と負極とを、前記のセパレータを挟んで積層し、更に渦巻状に巻回して押し潰し、扁平状巻回体電極群を作製した。この巻回体電極群を模式的に表す断面図を図5に示すが、この図5にあるように、巻回体電極群300の最外周の外側は、電池上側となる部分が負極20の集電体23の露出部で、電池下側となる残りの部分がセパレータ40になるように巻回した。
前記の巻回体電極群300を、実施例1で用いたものと同じ正極ケースに入れ、電極群300に係る正極10のリード15を正極ケースに溶接により接続した。実施例1で用いたものと同じ電解液を正極ケース内に注入し、実施例1で用いたものと同じ負極ケースを、実施例1で用いたものと同じ絶縁ガスケットを介して正極ケースの開口部に配置し、カシメ封口して外形20mm、厚み3.2mmの扁平形非水電池を作製した。なお、電池の負極側は、電極群と負極ケースとの接触により接続されている。
なお、電極群の最大投影面積は1.10cm2、正極ケースと負極ケースとから形成される空間の最大投影面積は2.01cm2であり、その比率(Q)は55%であった。
電気化学的評価:
実施例1〜6および比較例1、2の扁平形非水電池について、3.0Vから4.2Vまで、0.2Cでの定電流充電を行い、引き続き4.2Vで2h低電圧充電を行った。その後、各電池を4.2Vから3.0Vまで0.2Cでの定電流放電を行って放電容量を測定した。その結果、いずれの電池も良好な充放電挙動を示した。
実施例1〜6および比較例1、2の扁平形非水電池について、3.0Vから4.2Vまで、0.2Cでの定電流充電を行い、引き続き4.2Vで2h低電圧充電を行った。その後、各電池を4.2Vから3.0Vまで0.2Cでの定電流放電を行って放電容量を測定した。その結果、いずれの電池も良好な充放電挙動を示した。
安全性評価:
シャットダウン温度測定のために、実施例1〜6および比較例1、2の電池をオーブン中に置き、5℃/分の速度で150℃まで加熱したときに電池の内部抵抗が室温時の5倍以上に上昇したときの温度を測定した。更に150℃で60分放置した後に各電池を分解し、隔離材の様子を観察した。
シャットダウン温度測定のために、実施例1〜6および比較例1、2の電池をオーブン中に置き、5℃/分の速度で150℃まで加熱したときに電池の内部抵抗が室温時の5倍以上に上昇したときの温度を測定した。更に150℃で60分放置した後に各電池を分解し、隔離材の様子を観察した。
更に、前記のシャットダウン温度測定を行ったものとは別の電池をオーブン中に置き、5℃/分の速度で130℃まで加熱し、更に130℃で60分放置した後に各電池を分解し、隔離材の様子を観察した。
前記の各評価結果を、各電池の比率Qと併せて表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜4の電池は、150℃で60分放置後においても隔離材の大きさに変化はなく、安全性が高い。
また、実施例5の電池は、150℃で60分放置後では隔離材に収縮が見られるが、130℃で60分放置しても収縮が見られず、比較例の電池に比べて安全性が向上している。これは、隔離材に用いた微多孔膜は、実施例5の電池と比較例の電池とで同じであるが、実施例5では、隔離材と電極とが一体化しているために、隔離材の熱収縮が抑制されたものと推測される。
更に、実施例6の電池は、実施例1〜4の電池と同様に150℃で60分放置後にも隔離材の大きさに変化がない。これは、実施例6の電池では、樹脂製の微多孔膜の表面に耐熱性微粒子を含有する層を形成して隔離材を構成したことで、微多孔膜の熱収縮が抑制されたためである。
また、表1に示す通り、実施例1〜6の電池は、同じ容積の比較例2の電池に比べて、放電容量が約1.6倍大きい。
このように、実施例1〜6の電池は、比較例の電池に比べてエネルギー密度が高いと共に、安全性にも優れた電池であることが分かる。
更に、実施例1〜6の電池では、セパレータ(隔離材)と電極との位置合わせの煩雑さがなく、電池ケースの封止にカシメ封口を採用していることもあり、高い生産性を有していた。
1 電極(正極または負極)
1a 本体部
1b 集電タブ部
2 電極合剤層(正極合剤層または負極合剤層)
3 集電体
4、14、24 隔離材
10 正極
12 正極合剤層
13 正極集電体
20 負極
22 負極合剤層
23 負極集電体
31 正極ケース
32 負極ケース
33 絶縁ガスケット
100 電極群
200 扁平形非水電池
1a 本体部
1b 集電タブ部
2 電極合剤層(正極合剤層または負極合剤層)
3 集電体
4、14、24 隔離材
10 正極
12 正極合剤層
13 正極集電体
20 負極
22 負極合剤層
23 負極集電体
31 正極ケース
32 負極ケース
33 絶縁ガスケット
100 電極群
200 扁平形非水電池
Claims (11)
- 正極ケースと負極ケースとが絶縁ガスケットを介してカシメ封口されて形成された空間内に、正極と負極とを積層した電極群および非水電解液を有しており、平面視で円形の扁平形非水電池であって、
前記正極と前記負極とが、合計で少なくとも3層積層されており、
前記正極は、平面視で略円形の本体部と、集電タブ部とを有しており、前記正極の本体部では、集電体の片面または両面に正極合剤層が形成されており、前記正極の集電タブ部は、前記集電体に正極合剤層が形成されていない正極合剤層未形成部であり、
前記負極は、平面視で略円形の本体部と、集電タブ部とを有しており、前記負極の本体部では、集電体の片面または両面に負極合剤層が形成されており、前記負極の集電タブ部は、集電体に負極合剤層が形成されていない負極合剤層未形成部であり、
前記正極および前記負極の少なくとも一方には、その本体部と、集電タブ部の少なくとも一部とに、前記正極と前記負極とを隔離するための多孔性の隔離材が形成されていることを特徴とする扁平形非水電池。 - 正極および/または負極の隔離材が、少なくとも、集電タブ部における、本体部との境界部分に形成されており、
正極の集電タブ部が、正極ケースまたは正極ケースと接続した正極端子と、直接または間接的に接続しており、
負極の集電タブ部が、負極ケースまたは負極ケースと接続した負極端子と、直接または間接的に接続している請求項1に記載の扁平形非水電池。 - 電極群における正極の本体部と負極の本体部とが対向する部分の、電極面に垂直な方向の最大投影面積が、前記電極面に垂直な方向と同一軸から見たときの、正極ケースと負極ケースとから形成される空間の最大投影面積の60%以上である請求項1または2に記載の扁平形非水電池。
- 互いに対向する正極と負極とにおいて、前記正極の正極合剤層形成部分の面積が、前記負極の負極合剤層形成部分の面積よりも小さい請求項1〜3のいずれかに記載の扁平形非水電池。
- 隔離材の少なくとも一部は、隔離材の厚みよりも粒径が小さな微粒子により構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の扁平形非水電池。
- 隔離材の厚みよりも粒径が小さな微粒子は、耐熱温度が150℃以上の微粒子であり、前記微粒子同士がバインダ樹脂で接着している請求項5に記載の扁平形非水電池。
- 耐熱温度が150℃以上の微粒子が、アルミナ、シリカおよびベーマイトよりなる群から選択される少なくとも1種の微粒子である請求項6に記載の扁平形非水電池。
- 隔離材の少なくとも一部は、樹脂製の微多孔膜により構成されている請求項1〜7のいずれかに記載の扁平形非水電池。
- 隔離材が、融点が80〜150℃の樹脂、または非水電解液中で膨潤でき、かつ温度の上昇により膨潤度が増大する微粒子を含有しており、
80〜150℃の温度範囲で、電池の内部抵抗が5倍以上に上昇する請求項1〜8のいずれかに記載の扁平形非水電池。 - 融点が80〜150℃の樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、またはこれらの誘導体である請求項9に記載の扁平形非水電池。
- 非水電解液中で膨潤でき、かつ温度の上昇により膨潤度が増大する微粒子が、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアルキレンオキシド、フッ素樹脂、スチレンブタジエンゴム、およびこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂の架橋体の微粒子、尿素樹脂の微粒子、またはポリウレタンの微粒子である請求項9に記載の扁平形非水電池。
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