JP2014170661A - 非水電解質二次電池用セパレータ、および非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高温時の寸法安定性に優れ、高容量の非水電解質二次電池を構成し得るセパレータと、前記セパレータを有する非水電解質二次電池とを提供する。
【解決手段】 ポリオレフィンを主体とする多孔質層(I)と、リチウムイオンを吸蔵放出可能なリチウム含有複合酸化物を含有する多孔質層(II)とを有することを特徴とする非水電解質二次電池用セパレータ、および本発明の非水電解質二次電池用セパレータを有しており、かつセパレータの多孔質層(II)が正極に対向するように配置されていることを特徴とする非水電解質二次電池によって、前記課題を解決する。
【選択図】 なし
【解決手段】 ポリオレフィンを主体とする多孔質層(I)と、リチウムイオンを吸蔵放出可能なリチウム含有複合酸化物を含有する多孔質層(II)とを有することを特徴とする非水電解質二次電池用セパレータ、および本発明の非水電解質二次電池用セパレータを有しており、かつセパレータの多孔質層(II)が正極に対向するように配置されていることを特徴とする非水電解質二次電池によって、前記課題を解決する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、高温時の寸法安定性に優れ、高容量の非水電解質二次電池を構成し得るセパレータと、前記セパレータを有する非水電解質二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯電話やノートPCなどの携帯機器の電源として広く利用されている。また、こうした携帯機器の高性能化に伴い、非水電解質二次電池の高容量化は更に進む傾向にあり、安全性の確保が重要となっている。
従来から、非水電解質二次電池のセパレータとしては、厚みが20〜30μm程度のポリオレフィン系の多孔質フィルム(微多孔膜)が使用されており、そのポリオレフィンには、特に、電池の熱暴走温度以下で空孔が閉塞することによって電池の内部抵抗を上昇させ、短絡の際などに電池の安全性を向上させるシャットダウン機能を確保するために、ポリエチレンが使用されている。
しかしながら、ポリオレフィン系の多孔質フィルムでは多孔質化や強度向上などを目的として、一軸延伸や二軸延伸を施したものが用いられている。そのため、こうした多孔質フィルム製のセパレータには延伸による歪が生じているため、高温時に残留応力によって収縮するといった問題がある。
ポリエチレン製の多孔質フィルムセパレータの場合、その収縮温度は、ポリエチレンの融点、すなわちシャットダウン温度と非常に近いところに存在する。このため、ポリエチレン製の多孔質フィルムセパレータを使用するときには、充電異常時などに電池の温度がシャットダウン温度に達したときに、電流を直ちに減少させて電池の温度上昇を防止しなければならない。セパレータの空孔が十分に閉塞せず電流を直ちに減少できなかった場合には、電池の温度は容易にセパレータの収縮温度にまで上昇するため、内部短絡による発火の危険性があるからである。
こうした事情を受けて、セパレータの耐熱収縮性の向上を図り、これを用いた非水電解質二次電池などの電気化学素子の信頼性や安全性を高める検討もなされている。例えば、特許文献1には、シャットダウン機能を確保するための樹脂を主体として含む第1セパレータ層と、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む第2セパレータ層とを有する多孔質のセパレータが提案されている。特許文献1に記載の技術によれば、異常高温となった際の安全性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
ところで、例えば非水電解質二次電池の高容量化の要請は、従来にも増して高まっており、こうした要請への対応に関しては、特許文献1に記載の技術も未だ改善の余地を残している。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温時の寸法安定性に優れ、高容量の非水電解質二次電池を構成し得るセパレータと、前記セパレータを有する非水電解質二次電池とを提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の非水電解質二次電池用セパレータは、ポリオレフィンを主体とする多孔質層(I)と、リチウムイオンを吸蔵放出可能なリチウム含有複合酸化物を含有する多孔質層(II)とを有することを特徴とするものである。
また、本発明の非水電解質二次電池は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する正極、リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する負極、前記正極と前記負極との間に挿入されたセパレータ、および非水電解質を構成要素とするものであって、前記セパレータが本発明の非水電解質二次電池用セパレータであり、かつ前記セパレータの多孔質層(II)が正極に対向するように配置されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、高温時の寸法安定性に優れ、高容量の非水電解質二次電池を構成し得るセパレータと、前記セパレータを有する非水電解質二次電池とを提供することができる。本発明の非水電解質二次電池は、高容量であり、かつ高温時の安全性に優れている。
本発明の非水電解質二次電池用セパレータ(以下、単に「セパレータ」という場合がある)は、ポリオレフィンを主体とする多孔質層(I)と、リチウムイオンを吸蔵放出可能なリチウム含有複合酸化物(以下、単に「リチウム含有複合酸化物」という)を含有する多孔質層(II)とを有するものである。
本発明のセパレータにおいて、多孔質層(I)は、主にシャットダウン機能を確保するためのものであり、このセパレータを有する非水電解質二次電池が多孔質層(I)の主体となる成分である熱可塑性樹脂の融点以上に達したときには、多孔質層(I)に係る熱可塑性樹脂が溶融してセパレータの空孔を塞ぎ、電気化学反応の進行を抑制するシャットダウンを生じる。
また、本発明のセパレータにおいて、多孔質層(II)は、このセパレータを有する非水電解質二次電池の内部温度が上昇した際にも正極と負極との直接の接触による短絡を防止する機能を備えたものであり、リチウム含有複合酸化物によって、その機能を確保している。すなわち、電池が高温となった場合には、喩え多孔質層(I)が収縮しても、収縮し難い多孔質層(II)によって、セパレータが熱収縮した場合に発生し得る正負極の直接の接触による短絡を防止することができる。また、多孔質層(I)と多孔質層(II)とが一体化してセパレータを構成している場合には、この耐熱性の多孔質層(II)がセパレータの骨格として作用するため、多孔質層(I)の熱収縮、すなわちセパレータ全体の熱収縮自体も抑制できる。
なお、多孔質層(II)の含有するリチウム含有複合酸化物は、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであり、通常、非水電解質二次電池の正極活物質に使用されるものである。よって、本発明のセパレータを用いた非水電解質二次電池においては、正極の含有する正極活物質のみならず、セパレータに係る多孔質層(II)の含有するリチウム含有複合酸化物も、電池の充放電反応に関与するため、非水電解質二次電池をより高容量とすることができる。
特に、後述するように、非水電解質二次電池の負極活物質には、従来から汎用されている黒鉛などの炭素材料よりも高容量の材料を使用することが好ましいが、こうした高容量負極材料は不可逆容量が大きく、非水電解質二次電池の最初の充電によって正極活物質から放出されて負極に到達したリチウムイオンを吸蔵すると、そのうちの比較的多くの量を次の放電時に放出し得ないといった欠点も有している。しかし、本発明のセパレータを用いた非水電解質二次電池では、最初の充電の際にセパレータの含有するリチウム含有複合酸化物から放出されたリチウムイオンを、高容量負極材料が吸蔵して次の放電時に放出し得ず、不可逆容量となってしまう部分に充てることができる。よって、不可逆容量の大きな高容量負極材料を有する非水電解質二次電池においても、本発明のセパレータを使用することで、正極の容量低下を抑えつつ、高容量負極材料の使用による高容量化効果をより有効に引き出すことができる。
本発明のセパレータのシャットダウン温度(シャットダウン層を構成する樹脂の溶融によってシャットダウンが有効に働く温度)は、高すぎると、このセパレータを有する電池の内部短絡などによる急激な発熱の際に、シャットダウンによる電流遮断が遅れて、正極活物質やセパレータに係る多孔質層(II)が含有するリチウム含有複合酸化物の発熱ピーク温度付近や、それよりも高い温度にまで電池内部が上昇してしまうなど、本発明のセパレータによる電池の安全性向上効果が小さくなる虞がある。よって、本発明のセパレータのシャットダウン温度は、正極活物質やセパレータに係る多孔質層(II)が含有するリチウム含有複合酸化物の発熱ピーク温度よりも20℃以上低いことが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。
なお、前記の「発熱ピーク温度」とは、下記の発熱開始温度測定時に得られるDSC(示差走査熱量計)曲線における発熱ピークの頂点の温度を意味している。前記の発熱開始温度は、正極活物質やセパレータに係る多孔質層(II)が含有するリチウム含有複合酸化物と、導電助剤(黒鉛やカーボンブラックなど)と、バインダ(ポリフッ化ビニリデンなど)とを含有する合剤層を金属箔などの集電体表面に形成した電極(非水電解質二次電池に使用される正極)について、充電状態とし、非水電解液(非水電解質二次電池に非水電解質として使用される非水電解液)の共存下で、DSCによって、30℃から10℃/minの昇温速度で測定を行って得られるDSC曲線において、ベースラインを高温側に延長した直線と、発熱ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度を意味している。また、電極における「充電状態」とは、電池の設計上の満充電状態を指し、より具体的には、満充電時の電池電圧をVmaxとすると、Vmaxを定電圧とし、定電流/定電圧充電で充電し、電流値が定格容量を基準とした電流値(1C)の1/10を充電終止電流として充電した場合を意味している。
ただし、セパレータのシャットダウン温度が低すぎると、このセパレータを有する電池の通常の使用時にシャットダウンが生じて電池の内部抵抗が上昇してしまう虞がある。よって、本発明のセパレータのシャットダウン温度は、100℃以上であることが好ましい。
なお、セパレータにおいてシャットダウンが有効に働いている状態の目安としては、セパレータにおいて、JIS P 8117に準拠した方法で行われ、0.879g/mm2の圧力下で100mlの空気が膜を透過する秒数で示されるガーレー値により表される透気度が、加熱前の透気度の、5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましく、100倍以上であることが更に好ましい。そして、本明細書でいうシャットダウン温度は、セパレータの加熱後の前記透気度が、加熱前の透気度の5倍となった時点での温度を意味している。
多孔質層(I)の主体となる熱可塑性樹脂は、電気化学的に安定で、かつ電池の有する非水電解液に対して安定であり、好ましくは前述のシャットダウン温度を確保し得るものであれば特に制限はない。中でも、融点、ガラス転移点などの軟化点(JIS K 7121の規定に準じて、DSCを用いて測定される)が100〜150℃である熱可塑性樹脂が好ましく、ポリオレフィン〔ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体など〕がより好ましい。
多孔質層(I)の形態としては、必要な電池特性が得られるだけのイオン伝導度を有していればどのような形態でもよいが、多孔質膜、より具体的には、微粒子が集合した形態の多孔質膜や、従来公知の溶剤抽出法、乾式または湿式延伸法などにより形成された孔を多数有するイオン透過性の多孔質膜(すなわち微多孔膜)などが例示できる。よって、前記のような形態を有するPE製の多孔質膜、PP製の多孔質膜、エチレン−プロピレン共重合体製の多孔質膜などが、多孔質層(I)として好適である。また、PE層とPP層とを積層した多層構造(2層、3層など)の多孔質膜(微多孔膜)も、多孔質層(I)に使用することができる。
多孔質層(I)は、熱可塑性樹脂を主体とするものであり、具体的には、多孔質層(I)の構成成分の全体積中〔空孔部分を除く全体積。セパレータに係る多孔質層(I)および多孔質層(II)の構成成分の体積含有率に関して、以下同じ。〕において、主体となる熱可塑性樹脂の体積含有率は、50体積%以上であり、70体積%以上であることがより好ましい。なお、例えば多孔質層(I)を前記PEの微多孔膜で形成する場合は、熱可塑性樹脂の体積含有率が100体積%となる。
多孔質層(I)は、必要に応じて、無機フィラー(シリカ、アルミナ、ベーマイトなど)などを含有していてもよい。
セパレータに係る多孔質層(II)の含有するリチウム含有複合酸化物としては、例えば、スピネル型リチウム含有複合酸化物、層状結晶構造のリチウム含有複合酸化物、オリビン型リチウム含有複合酸化物などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
スピネル型リチウム含有複合酸化物の具体例としては、例えば、LiM1 aMn2−aO4(ただし、M1は、Li、B、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Sn、Sb、In、Nb、Mo、W、Y、RuおよびRhよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.01≦a≦0.5)で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物などが挙げられる。また、層状結晶構造のリチウム含有複合酸化物の具体例としては、例えば、LibMn(1−c−b)NicM2 dO(2−k)Fl(ただし、M2は、Co、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Zr、Mo、Sn、Ca、SrおよびWよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.8≦b≦1.2、0<c<0.5、0≦d≦0.5、k+l<1、−0.1≦k≦0.2、0≦l≦0.1)で表される層状化合物、LiCo1−eM3 eO2(ただし、M3は、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦e≦0.5)で表されるリチウムコバルト複合酸化物、LiNi1−fM4 fO2(ただし、M4は、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦f≦0.5)で表されるリチウムニッケル複合酸化物などが挙げられる。更に、オリビン型リチウム含有複合酸化物の具体例としては、例えば、LiM5PO4(M5:Co、Ni、Mn、Feなど)で表されるものなどが挙げられる。
これらの中でも、電位的にリチウムイオンをより放出しやすいことなどの理由から、オリビン型リチウム含有複合酸化物を使用することが好ましい。
多孔質層(II)に含有させるリチウム含有複合酸化物の平均粒子径は、0.001μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、また、15μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
本明細書でいう各種粒子(リチウム含有複合酸化物や、後述する負極活物質など)の平均粒子径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、堀場製作所製「LA−920」)を用い、粒子を溶解しない媒体に、これら粒子を分散させて測定した平均粒子径D50%である。
リチウム含有複合酸化物の形状は、球状、板状、板状以外の多面体形状などのいずれの形状であってもよい。
多孔質層(II)におけるリチウム含有複合酸化物の体積含有率は、その使用による効果(セパレータが使用される非水電解質二次電池の高容量化効果および安全性向上効果)をより良好に確保する観点から、10体積%以上であることが好ましく、50体積%以上であることがより好ましい。なお、多孔質層(II)には、例えば、後述するようにバインダなどを含有させることが好ましい。よって、リチウム含有複合酸化物の体積含有率は、98体積%以下であることが好ましい。
多孔質層(II)には、リチウム含有複合酸化物などの多孔質層(II)の含有成分同士を結着したり、多孔質層(II)と多孔質層(I)とを一体化する場合に、これら同士を結着したりすることを目的として、バインダを含有させることができる。
バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA、酢酸ビニル由来の構造単位が20〜35モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリN−ビニルアセトアミド、架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられるが、特に、150℃以上の耐熱温度を有する耐熱性のバインダが好ましく用いられる。バインダは、前記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記例示のバインダの中でも、EVA、エチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、SBRなどの柔軟性の高いバインダが好ましい。このような柔軟性の高いバインダの具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の「エバフレックスシリーズ(EVA)」、日本ユニカー社のEEA、三井デュポンポリケミカル社の「エバフレックス−EEAシリーズ(エチレン−アクリル酸共重合体)」、日本ユニカー社のEEA、ダイキン工業社の「ダイエルラテックスシリーズ(フッ素ゴム)」、JSR社の「TRD−2001(SBR)」、日本ゼオン社の「BM−400B(SBR)」などがある。
また、アクリル酸ブチルを主成分とし、これを架橋した構造の低ガラス転移点の架橋アクリル樹脂も、多孔質層(II)用のバインダとして好ましく使用される。
前記のバインダを多孔質層(II)に使用する場合には、後述する多孔質層(II)形成用の組成物の溶媒に溶解させるか、または分散させたエマルジョンの形態で用いればよい。
多孔質層(II)におけるバインダの体積含有率は、2〜15体積%であることが好ましい。
また、多孔質層(II)には導電助剤を含有させることもできる。多孔質層(II)に導電助剤を含有させることで、このセパレータを用いた非水電解質二次電池の容量を更に高めることができる。
多孔質層(II)に係る導電助剤としては、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック(商品名)、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維;アルミニウム粉などの金属粉末;フッ化炭素;酸化亜鉛;チタン酸カリウムなどからなる導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多孔質層(II)に導電助剤を含有させる場合、その体積含有率は、5〜50体積%であることが好ましい。
多孔質層(II)は、例えば、リチウム含有複合酸化物とバインダとだけで構成してもよく、また、リチウム含有複合酸化物とバインダと導電助剤とだけで構成してもよいが、耐熱性を損なわない範囲で、多孔質性の基材を用いてもよい。多孔質性の基材には、耐熱性樹脂で形成された多孔質膜(微多孔膜)、または耐熱性の繊維で形成された織布や不織布を用いることができる。
多孔質性の基材の構成材料としては、例えば、セルロース、セルロース変成体(CMCなど)、PP、ポリエステル〔ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)など〕、ポリアクリロニトリル(PAN)、アラミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの樹脂;ガラス、アルミナ、シリカなどの無機材料(無機酸化物);などが挙げられる。多孔質性の基材は、これらの構成材料のうちの1種のみを含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。また、多孔質性の基材の構成成分として、これらの構成材料の他に、必要に応じて、公知の添加剤(例えば、樹脂である場合には酸化防止剤など)を含有していてもよい。
多孔質層(II)における前記の多孔質性の基材の体積含有率は、例えば、10体積%以上であることが好ましく、30体積%以上であることがより好ましく、また、90体積%以下であることが好ましく、70体積%以下であることがより好ましい。
本発明のセパレータにおいて、多孔質層(I)と多孔質層(II)とは一体化していてもよく、また、それぞれを独立した膜として存在し、これらが電池内で重ね合わせられてセパレータを構成してもよい。また、多孔質層(I)および多孔質層(II)の少なくとも一方を、電池の有する電極(正極または負極)と一体化してもよい。
多孔質層(I)と多孔質層(II)とが一体化した構成のセパレータの場合、例えば、リチウム含有複合酸化物やバインダなどを含有する多孔質層(II)形成用組成物(スラリー、ペーストなど)を、多孔質層(I)を構成するための微多孔膜などのシート状物の表面に塗布し、所定の温度に乾燥して多孔質層(II)を形成することにより製造することができる。
多孔質層(II)形成用組成物は、リチウム含有複合酸化物やバインダなどを含有し、これらを溶媒(分散媒を含む。以下同じ。)に分散させたものである。なお、バインダについては溶媒に溶解させることもできる。多孔質層(II)形成用組成物に用いられる溶媒は、リチウム含有複合酸化物を均一に分散でき、また、バインダを均一に溶解または分散できるものであればよいが、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素、テトラヒドロフランなどのフラン類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類など、一般的な有機溶媒が好適に用いられる。なお、これらの溶媒に、界面張力を制御する目的で、アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、または、モノメチルアセテートなどの各種プロピレンオキサイド系グリコールエーテルなどを適宜添加してもよい。また、バインダが水溶性である場合、エマルジョンとして使用する場合などでは、水を溶媒としてもよく、この際にもアルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)を適宜加えて界面張力を制御することもできる。
多孔質層(II)形成用組成物は、リチウム含有複合酸化物やバインダなどを含む固形分含量を、例えば10〜80質量%とすることが好ましい。
また、多孔質層(II)形成用組成物を基材上に塗布し、乾燥して多孔質層(II)とするためのシート状物を形成し、これを基材から剥離した後、多孔質層(I)を構成するための微多孔膜などのシート状物と重ね合わせたり貼り合わせたりしてセパレータを製造することもできる。多孔質層(I)を構成するためのシート状物と多孔質層(II)を構成するためのシート状物とを貼り合せるには、熱プレスなどを利用することができる。
セパレータは、多孔質層(I)と多孔質層(II)とを、それぞれ1層ずつ有していてもよいが、例えば、多孔質層(II)を複数有していたり、多孔質層(I)を複数有していたりしてもよい。多孔質層(I)、多孔質層(II)を複数有する場合、多孔質層(II)が、このセパレータが使用される電池の正極と接触していればよい。ただし、層数を増やすことでセパレータの厚みが増え、内部抵抗の増加やエネルギー密度の低下を招く虞があるので、層数を多くしすぎるのは好ましくなく、セパレータを構成する層〔多孔質層(I)および多孔質層(II)〕の総数は5層以下であることが好ましく、より好ましくは2層の構成である。
セパレータの厚みは、正極と負極とをより確実に隔離する観点から、6μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。他方、セパレータが厚すぎると、電池のエネルギー密度が低下してしまうことがあるため、その厚みは、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
また、セパレータを構成する多孔質層(I)の厚みをA(μm)、多孔質層(II)の厚みをB(μm)としたとき、AとBとの比率A/Bは、5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、また、1/4以上であることが好ましく、1/2以上であることがより好ましい。本発明のセパレータでは、前記のように、多孔質層(I)の厚み比率を大きくし多孔質層(II)を薄くしても、非水電解質二次電池において、セパレータの熱収縮による短絡の発生を高度に抑制することができる。なお、セパレータにおいて、多孔質層(I)が複数存在する場合には、厚みAはその総厚みであり、多孔質層(II)が複数存在する場合には、厚みBはその総厚みである。
具体的な値で表現すると、多孔質層(I)の厚み〔多孔質層(I)が複数存在する場合には、その総厚み〕は、5μm以上であることが好ましく、また、30μm以下であることが好ましい。そして、多孔質層(II)の厚み〔多孔質層(II)が複数存在する場合には、その総厚み〕は、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、4μm以上であることが更に好ましく、また、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。多孔質層(I)が薄すぎると、シャットダウン特性が弱くなる虞があり、厚すぎると、電池のエネルギー密度の低下を引き起こす虞があることに加えて、多孔質層(II)と多孔質層(I)とが一体化している構造のセパレータでは、熱収縮しようとする力が大きくなり、セパレータ全体の熱収縮を抑える効果が小さくなる虞がある。そして、多孔質層(II)が薄すぎると、高温下での正極と負極とを隔離する働きが低下する虞や、耐熱層とシャットダウン層とが一体化している構造のセパレータではセパレータ全体の熱収縮を抑制する効果が小さくなる虞があり、厚すぎると、セパレータ全体の厚みの増大を引き起こしてしまう。
セパレータの平均孔径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上であって、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。また、多孔質層(I)の平均孔径は、0.01〜0.5μmであることが好ましく、多孔質層(II)の平均孔径は、0.05〜1μmであることが好ましい。正極と負極とをセパレータを介して渦巻状に巻回してなる巻回電極体を用いた電池においては、電極体の巻回に伴ってセパレータが屈曲するために、多孔質層(II)割れなどが発生する虞がある。しかし、前記の平均孔径を有する場合〔特に多孔質層(I)の平均孔径が前記の平均孔径を有する場合〕には、喩え多孔質層(II)に割れなどが生じていても、かかる部分でのリチウムデンドライトによる貫通を防止することができる。なお、巻回電極体を使用せず、正極、負極およびセパレータを積層することにより構成される所謂積層タイプの電極体を用いて電池を構成する場合には、セパレータ、多孔質層(I)および多孔質層(II)の平均孔径は前記好適値を満足していなくてもよいが、満足していることがより好ましい。
セパレータ全体の空孔率としては、非水電解質(液状の非水電解質である非水電解液)の保液量を確保してイオン透過性を良好にする観点から、乾燥した状態で、30%以上であることが好ましい。一方、セパレータ強度の確保と内部短絡の防止の観点から、その空孔率は、乾燥した状態で、70%以下であることが好ましい。なお、セパレータの空孔率:P(%)は、セパレータの厚み、面積あたりの質量、構成成分の密度から、下記式(1)を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算できる。
P = 100−(Σai/ρi)×(m/t) (1)
ここで、前記式中、ai:質量%で表した成分iの比率、ρi:成分iの密度(g/cm3)、m:セパレータの単位面積あたりの質量(g/cm2)、t:セパレータの厚み(cm)である。
P = 100−(Σai/ρi)×(m/t) (1)
ここで、前記式中、ai:質量%で表した成分iの比率、ρi:成分iの密度(g/cm3)、m:セパレータの単位面積あたりの質量(g/cm2)、t:セパレータの厚み(cm)である。
また、前記式(1)において、mを多孔質層(I)の単位面積あたりの質量(g/cm2)とし、tを多孔質層(I)の厚み(cm)とすることで、前記式(1)を用いて多孔質層(I)の空孔率:P(%)を求めることもできる。この方法により求められる多孔質層(I)の空孔率は、30〜70%であることが好ましい。
更に、前記式(1)において、mを多孔質層(II)の単位面積あたりの質量(g/cm2)とし、tを多孔質層(II)の厚み(cm)とすることで、前記式(1)を用いて多孔質層(II)の空孔率:P(%)を求めることもできる。この方法により求められる多孔質層(II)の空孔率は、20〜60%であることが好ましい。
また、本発明のセパレータは、JIS P 8117に準拠した方法で行われ、0.879g/mm2の圧力下で100mlの空気が膜を透過する秒数で示されるガーレー値が、30〜300secであることが望ましい。透気度が大きすぎると、イオン透過性が小さくなり、他方、小さすぎると、セパレータの強度が小さくなることがある。更に、セパレータの強度としては、直径1mmのニードルを用いた突き刺し強度で50g以上であることが望ましい。かかる突き刺し強度が小さすぎると、リチウムのデンドライト結晶が発生した場合に、セパレータの突き破れによる短絡が発生する場合がある。これまでに記載してきた構造のセパレータとすることにより、前記の透気度や突き刺し強度を確保することができる。
本発明の非水電解質二次電池は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する正極、リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する負極、前記正極と前記負極との間に挿入されたセパレータ、および非水電解質を有しており、セパレータが本発明の非水電解質二次電池用セパレータであって、かつセパレータの多孔質層(II)が正極に対向するように配置されていればよく、その他の構成および構造については特に制限はなく、従来から知られているリチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池で採用されている各種構成および構造を適用することができる。
非水電解質二次電池の正極には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダを含有する正極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものを使用することができる。
正極活物質には、多孔質層(II)に含有させ得るものとして先に例示したリチウム含有複合酸化物と同じものを使用することができる。なお、本発明の非水電解質二次電池においては、セパレータに係る多孔質層(II)の含有するリチウム含有複合酸化物と、正極活物質として使用するリチウム含有複合酸化物とが、同じ種類のものであってもよく、異なる種類のものであってもよい。
正極合剤層に係る導電助剤には、セパレータの多孔質層(II)に含有させ得るものして先に例示した各種導電助剤と同じものを使用することができる。また、正極合剤層に係るバインダには、PVDFなどのフッ素樹脂などを用いることができる。
正極の集電体としては、アルミニウムなどの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、厚みが10〜30μmのアルミニウム箔が好適に用いられる。
正極は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダー処理を施す工程を経て製造される。ただし、正極の製造方法は、前記の方法に制限される訳ではなく、他の製造方法で製造してもよい。
正極側のリード部は、通常、正極製造時に、集電体の一部に正極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体にアルミニウム製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
正極の正極合剤層の組成としては、正極活物質の量が80〜98質量%であることが好ましく、導電助剤の量が1〜18質量%であることが好ましく、バインダの量が1〜10質量%であることが好ましい。また、正極合剤層の厚み(集電体の両面に正極合剤層を設ける場合には、集電体の片面あたりの厚み)は、20〜100μmであることが好ましい。
非水電解質二次電池に係る負極には、例えば、負極活物質やバインダを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものを使用することができる。また、負極活物質が金属や合金である場合には、これらの箔を単独で負極に用いたり、これらの箔を集電体の片面または両面に貼り付けるなどして一体化した構造の負極を用いたりすることもできる。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維などのリチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si、Sn、Ge、Bi、Sb、Inなどの合金またはリチウム含有窒化物、酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、もしくはリチウム金属やリチウム/Al合金も負極活物質として用いることができる。負極活物質には、前記例示のもののうち、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記の負極活物質の中でも、電池の高容量化を図るには、Si、一般式SiOx(ただし、Siに対するOの原子比xは0.5≦x≦1.5である。以下、当該材料を「SiOx」という。)で表される材料、およびSn合金よりなる群から選択される少なくとも1種の活物質(高容量負極材料)を使用することが好ましく、SiOxを使用することがより好ましい。なお、これらの高容量負極材料は、例えば、非水電解質二次電池の負極活物質に汎用されている黒鉛に比べて不可逆容量が大きいが、前記の通り、本発明の非水電解質二次電池では、セパレータの含有するリチウム含有複合酸化物から放出されるリチウムイオンを、負極の不可逆容量分に充てることができるため、正極の容量低下を抑えつつ、高容量負極材料の使用による高容量化効果をより有効に引き出すことができる。
SiOxは、Siの酸化物のみに限定されず、Siの微結晶または非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶または非晶質相のSiを含めた比率となる。すなわち、SiOxには、非晶質のSiO2マトリックス中に、Si(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiO2と、その中に分散しているSiを合わせて、前記の原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiO2マトリックス中に、Siが分散した構造で、SiO2とSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
SiOxの平均粒子径は、後述する炭素材料との複合化の効果を高め、また、充放電での微細化を防ぐため、0.5〜10μmのものが好ましく用いられる。
SiOxの粒子形態は、一次粒子であってもよいし、複数の一次粒子が複合した複合粒子であってもよい。
なお、SiOxは導電性が低いことから、例えば、SiOxを炭素材料と複合化した複合体として用いることがより好ましい。SiOxと炭素材料との複合体としては、SiOxと炭素材料との造粒体や、SiOxの表面を炭素材料で被覆した複合体などが挙げられ、SiOxの表面を炭素材料で被覆した複合体を用いることが更に好ましい。SiOxと炭素材料との複合体を用いることにより、負極における導電ネットワークを、より良好に形成することができる。
SiOxの表面を被覆するための炭素材料には、例えば、低結晶性炭素、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維などを使用することができる。
なお、炭化水素系ガスを気相中で加熱し、炭化水素系ガスの熱分解により生じた炭素材料を、SiOx粒子の表面上に堆積する方法〔気相成長(CVD)法〕で、SiOxの表面を炭素で被覆すると、炭化水素系ガスがSiOx粒子の隅々にまで行き渡り、粒子の表面や表面の空孔内に、導電性を有する炭素材料を含む薄くて均一な皮膜(炭素被覆層)を形成できることから、少量の炭素によってSiOx粒子に均一性よく導電性を付与できる。
CVD法で使用する炭化水素系ガスの液体ソースとしては、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどを用いることができるが、取り扱いやすいトルエンが特に好ましい。これらを気化させる(例えば、窒素ガスでバブリングする)ことにより炭化水素系ガスを得ることができる。また、メタンガスやエチレンガス、アセチレンガスなどを用いることもできる。
CVD法の処理温度としては、例えば、600〜1200℃であることが好ましい。また、CVD法に供するSiOxは、公知の手法で造粒した造粒体(複合粒子)であることが好ましい。
SiOxの表面を炭素材料で被覆する場合、炭素材料の量は、SiOx:100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、また、95質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましい。
なお、SiOxは、電池の充放電に伴う体積変化が大きいため、負極活物質には、SiOxと黒鉛とを併用することが好ましい。これにより、SiOxの使用による高容量化を図りつつ、電池の充放電に伴う負極の膨張収縮を抑えて、充放電サイクル特性をより高く維持することが可能となる。
負極活物質にSiOxと黒鉛とを併用する場合、負極活物質全量中におけるSiOxの割合は、SiOxの使用による前記の効果を良好に確保する観点から0.5質量%以上とすることが好ましく、また、SiOxによる負極の膨張収縮を抑制する観点から10質量%以下とすることが好ましい。
負極合剤層に係るバインダには、例えば、PVDF、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが好適に用いられる。
また、負極合剤層には、必要に応じて導電助剤を含有させてもよい。負極合剤層に係る導電助剤には、正極合剤層に使用し得るものとして先に例示した各種導電助剤と同じものが使用できる。
負極は、負極合剤層を有する負極の場合には、例えば、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて導電助剤などを、NMPや水などの溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の負極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダー処理を施す工程を経て製造される。ただし、負極の製造方法は、前記の方法に制限される訳ではなく、他の製造方法で製造してもよい。
負極合剤層の組成としては、例えば、負極活物質の量が80.0〜99.8質量%であることが好ましく、バインダの量が0.1〜10質量%であることが好ましい。また、負極合剤層に導電助剤を含有させる場合には、負極合剤層における導電助剤の量は0.1〜10質量%であることが好ましい。また、負極合剤層の厚み(集電体の両面に負極合剤層を設ける場合には、集電体の片面あたりの厚み)は、70〜350μmであることが好ましい。
負極に集電体を用いる場合、集電体としては銅またはニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みが30μm以下のものが好ましく、また、5μm以上のものが好ましい。
負極側のリード部は、通常、負極製造時に銅製の集電体の一部に負極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、この負極側のリード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体に銅製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
前記の正極と前記の負極とは、例えば、本発明のセパレータを介して重ね合わせた積層体(積層電極体)や、更にこの積層体を渦巻状に巻回した巻回体(巻回電極体)の形態で本発明の非水電解質二次電池に使用される。
なお、多孔質層(II)にリチウム含有複合酸化物を含有させたことによる高容量化の作用をより有効に発揮させるために、前記の積層電極体や巻回電極体においては、多孔質層(II)が正極と対向するようにセパレータを配置する。
また、前記の積層電極体や巻回電極体においては、多孔質層(I)が負極と対向するようにセパレータを配置することが好ましく、これにより、セパレータの酸化による劣化を抑制したり、シャットダウン機能をより有効に発揮させたりすることができる。特に、正極活物質に対リチウム電位で4.5V以上まで充電可能な活物質(LiCoPO4、LiNi0.5Mn1.5O4、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2など)を使用して、最高充電電位を4.5V以上とし得るように構成した電池の場合には、多孔質層(I)が負極と対向するようにセパレータを配置することによるセパレータの酸化劣化の抑制効果がより顕著となる。
本発明の非水電解質二次電池に係る非水電解質には、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸メチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマーブチロラクトン、エチレングリコールサルファイト、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどの有機溶媒に、例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li2C2F4(SO3)2、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiCnF2n+1SO3(n≧2)、LiN(RfOSO2)2〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などのリチウム塩から選ばれる少なくとも一種を溶解させることによって調製した非水電解液(非水電解質溶液)などが使用される。このイオン塩の電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/lであることが好ましく、0.9〜1.25mol/lであることがより好ましい。
また、前記の非水電解液に公知のポリマーなどのゲル化剤を添加してゲル状としたもの(ゲル状電解質)を、本発明の非水電解質二次電池に使用してもよい。
本発明の非水電解質二次電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形など)などが挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
本発明の非水電解質二次電池は、従来から知られている非水電解質二次電池が適用されている各種用途と同じ用途に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<正極の作製>
正極活物質であるLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2:90質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:7質量部、およびバインダであるPVDF:3質量部を、NMPを溶剤として均一になるように混合して正極合剤含有ペーストを調製した。そのペーストを、集電体となる厚みが15μmのアルミニウム箔の両面に、塗布長が表面280mm、裏面210mmとなるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が150μmになるように正極合剤層の厚みを調整し、幅43mmになるように切断して正極を作製した。そして、切断後の正極のアルミニウム箔の露出部にリード体を取り付けた。
<正極の作製>
正極活物質であるLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2:90質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:7質量部、およびバインダであるPVDF:3質量部を、NMPを溶剤として均一になるように混合して正極合剤含有ペーストを調製した。そのペーストを、集電体となる厚みが15μmのアルミニウム箔の両面に、塗布長が表面280mm、裏面210mmとなるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が150μmになるように正極合剤層の厚みを調整し、幅43mmになるように切断して正極を作製した。そして、切断後の正極のアルミニウム箔の露出部にリード体を取り付けた。
<負極の作製>
負極活物質である黒鉛:95質量部とバインダであるPVDF:5質量部とをNMPを溶剤として均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを、銅箔からなる厚みが10μmの集電体の両面に、塗布長が表面290mm、裏面230mmとなるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整し、幅45mmになるように切断して負極を作製した。そして、切断後の負極の銅箔の露出部にリード体を取り付けた。
負極活物質である黒鉛:95質量部とバインダであるPVDF:5質量部とをNMPを溶剤として均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを、銅箔からなる厚みが10μmの集電体の両面に、塗布長が表面290mm、裏面230mmとなるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整し、幅45mmになるように切断して負極を作製した。そして、切断後の負極の銅箔の露出部にリード体を取り付けた。
<セパレータの作製>
LiFePO4(平均粒子径0.1μm):95質量部とバインダであるPVDF:5質量部とを、NMPを溶剤として均一になるように混合して、多孔質層(II)形成用のペーストを調製した。このペーストを、PE製微多孔膜(厚み12μm)の片面に、マイクログラビアコーターを用いて塗布した後、乾燥することによって、PE製微多孔膜からなる多孔質層(I)の片面に、LiFePO4を含有する多孔質層(II)を有し、かつ厚みが16μmのセパレータを得た。得られたセパレータを幅47mmに切断した。
LiFePO4(平均粒子径0.1μm):95質量部とバインダであるPVDF:5質量部とを、NMPを溶剤として均一になるように混合して、多孔質層(II)形成用のペーストを調製した。このペーストを、PE製微多孔膜(厚み12μm)の片面に、マイクログラビアコーターを用いて塗布した後、乾燥することによって、PE製微多孔膜からなる多孔質層(I)の片面に、LiFePO4を含有する多孔質層(II)を有し、かつ厚みが16μmのセパレータを得た。得られたセパレータを幅47mmに切断した。
<電池の組み立て>
前記の正極と前記の負極とを、多孔質層(II)が正極と対向するようにセパレータを介在させつつ重ね、渦巻状に巻回して巻回電極体を形成した。この巻回電極体を押しつぶして扁平状にし、アルミニウム合金製の電池ケースに入れ、非水電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比で1対2に混合した溶媒にLiPF6を1.2Mの濃度で溶解した溶液)を注入してから真空封止を行って、図1に示す構造で、図2に示す外観の非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)を得た。
前記の正極と前記の負極とを、多孔質層(II)が正極と対向するようにセパレータを介在させつつ重ね、渦巻状に巻回して巻回電極体を形成した。この巻回電極体を押しつぶして扁平状にし、アルミニウム合金製の電池ケースに入れ、非水電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比で1対2に混合した溶媒にLiPF6を1.2Mの濃度で溶解した溶液)を注入してから真空封止を行って、図1に示す構造で、図2に示す外観の非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)を得た。
ここで図1および図2に示す電池について説明すると、図1は部分断面図であって、この図1に示すように、正極1と負極2とはセパレータ3を介して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の巻回電極体6として、角形(角筒形)の電池ケース4に非水電解液と共に収容されている。ただし、図1では、煩雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用した集電体としての金属箔や、セパレータの各層、非水電解液などは図示していない。
電池ケース4はアルミニウム合金製で電池の外装体を構成するものであり、この電池ケース4は正極端子を兼ねている。そして、電池ケース4の底部にはPEシートからなる絶縁体5が配置され、正極1、負極2およびセパレータ3からなる扁平状巻回電極体6からは、正極1および負極2のそれぞれ一端に接続された正極リード体7と負極リード体8が引き出されている。また、電池ケース4の開口部を封口するアルミニウム合金製の封口用蓋板9にはポリプロピレン製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は電池ケース4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、電池ケース4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。また、図1の電池では、蓋板9に非水電解液注入口14が設けられており、この非水電解液注入口14には、封止部材が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている。更に、蓋板9には、電池の温度が上昇した際に内部のガスを外部に排出する機構として、開裂ベント15が設けられている。
この実施例1の電池では、正極リード体7を蓋板9に直接溶接することによって電池ケース4と蓋板9とが正極端子として機能し、負極リード体8をリード板13に溶接し、そのリード板13を介して負極リード体8と端子11とを導通させることによって端子11が負極端子として機能するようになっているが、電池ケース4の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図2は前記図1に示す電池の外観を模式的に示す斜視図であり、この図2は前記電池が角形電池であることを示すことを目的として図示されたものであって、この図2では電池を概略的に示しており、電池の構成部材のうち特定のものしか図示していない。また、図1においても、電極体の内周側の部分は断面にしていない。
実施例2
LiFePO4(平均粒径0.1μm):90質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:5質量部、およびバインダであるPVDF:5質量部を、NMPを溶剤として均一になるように混合して多孔質層(II)形成用のペーストを調製した。このペーストを用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製し、このセパレータを用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
LiFePO4(平均粒径0.1μm):90質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:5質量部、およびバインダであるPVDF:5質量部を、NMPを溶剤として均一になるように混合して多孔質層(II)形成用のペーストを調製した。このペーストを用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製し、このセパレータを用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
比較例1
Al2O3(平均粒径1.0μm):97質量部とバインダであるPVDF:3質量部とを、NMPを溶剤として均一になるように混合して多孔質層(II)形成用のペーストを調製した。このペーストを用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製し、このセパレータを用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
Al2O3(平均粒径1.0μm):97質量部とバインダであるPVDF:3質量部とを、NMPを溶剤として均一になるように混合して多孔質層(II)形成用のペーストを調製した。このペーストを用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製し、このセパレータを用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例1、2および比較例1の非水電解質二次電池、およびこれらの非水電解質二次電池に使用したセパレータについて、以下の各評価を行った。
<セパレータの熱収縮率測定>
実施例1、2および比較例1で作製したセパレータを、それぞれ、3cm×3cmのサイズで、一方の辺の方向がMD方向(セパレータに使用したPE製微多孔膜の製造方向に平行な方向)となるように切断して測定試料を作製した。これらの測定試料のそれぞれを、厚みが5mmの2枚のガラス板に挟んだ状態で、150℃に調整した恒温槽内に1時間放置した。その後恒温槽から取り出した各測定試料について、MD方向の長さを測定し、恒温槽内に放置する前の長さとの変化量を求め、これらの変化量の、恒温槽内に放置する前の長さに対する比率を百分率で表して、熱収縮率を求めた。
実施例1、2および比較例1で作製したセパレータを、それぞれ、3cm×3cmのサイズで、一方の辺の方向がMD方向(セパレータに使用したPE製微多孔膜の製造方向に平行な方向)となるように切断して測定試料を作製した。これらの測定試料のそれぞれを、厚みが5mmの2枚のガラス板に挟んだ状態で、150℃に調整した恒温槽内に1時間放置した。その後恒温槽から取り出した各測定試料について、MD方向の長さを測定し、恒温槽内に放置する前の長さとの変化量を求め、これらの変化量の、恒温槽内に放置する前の長さに対する比率を百分率で表して、熱収縮率を求めた。
<非水電解質二次電池の電池特性測定>
実施例1、2および比較例1の非水電解質二次電池について、0.2Cの電流値で4.2Vになるまで定電流充電し、その後4.2Vで電流値が0.05Cになるまで定電圧充電する定電流−定電圧充電を行った。充電後の各電池について、0.2Cの電流値で終止電圧を3Vとして定電流放電を行い、放電容量(電池容量)を求めると共に、放電容量を充電容量で除した値を百分率で表して初回充放電効率を求めた。
実施例1、2および比較例1の非水電解質二次電池について、0.2Cの電流値で4.2Vになるまで定電流充電し、その後4.2Vで電流値が0.05Cになるまで定電圧充電する定電流−定電圧充電を行った。充電後の各電池について、0.2Cの電流値で終止電圧を3Vとして定電流放電を行い、放電容量(電池容量)を求めると共に、放電容量を充電容量で除した値を百分率で表して初回充放電効率を求めた。
<非水電解質二次電池の150℃加熱試験>
実施例1、2および比較例1の非水電解質二次電池について、0.2Cの電流値で4.25Vになるまで定電流充電し、その後4.25Vで電流値が0.05Cになるまで定電圧充電する定電流−定電圧充電を行った。充電後の各電池を、150℃に加熱した恒温槽中に入れて3時間放置し、その間の各電池の表面温度を熱電対で測定し、熱暴走の有無を観察した。
実施例1、2および比較例1の非水電解質二次電池について、0.2Cの電流値で4.25Vになるまで定電流充電し、その後4.25Vで電流値が0.05Cになるまで定電圧充電する定電流−定電圧充電を行った。充電後の各電池を、150℃に加熱した恒温槽中に入れて3時間放置し、その間の各電池の表面温度を熱電対で測定し、熱暴走の有無を観察した。
前記の各評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、リチウム含有複合酸化物を含有する多孔質層(II)を有するセパレータを用いた実施例1、2の非水電解質二次電池は、電池の充放電反応に関与しないAl2O3を含有する多孔質層(I)を有するセパレータを用いた比較例1の電池に比べて、電池容量が大きく、初回充放電効率も高い。また、実施例1、2の非水電解質二次電池に使用したセパレータは、比較例1の電池に使用したセパレータと同様に熱収縮率が小さいことから、これらを用いた実施例1、2の非水電解質二次電池は、異常過熱下での安全性が良好になるといえ、現に、これらの電池では加熱試験時において熱暴走が認められず、比較例1の電池と同様に優れた安全性を有している。
実施例3
黒鉛:92質量部、平均粒子径が8μmであるSiOの表面を炭素材料で被覆した複合体(複合体における炭素材料の量が10質量%):3質量部、およびPVDF:5質量部を、NMPを溶剤として均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを用いた以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
黒鉛:92質量部、平均粒子径が8μmであるSiOの表面を炭素材料で被覆した複合体(複合体における炭素材料の量が10質量%):3質量部、およびPVDF:5質量部を、NMPを溶剤として均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを用いた以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
比較例2
実施例3で作製したものと同じ負極を用いた以外は、比較例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例3で作製したものと同じ負極を用いた以外は、比較例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例3および比較例2の非水電解質二次電池について、実施例1などの非水電解質二次電池と同じ評価を行った。これらの結果を表2に示す。
実施例3および比較例2は、不可逆容量が黒鉛よりも大きなSiOを負極活物質に使用した例であるが、リチウム含有複合酸化物を含有する多孔質層(II)を有するセパレータを用いた実施例3の非水電解質二次電池は、電池の充放電反応に関与しないAl2O3を含有する多孔質層(I)を有するセパレータを用いた比較例2の電池に比べて、初回充放電効率が高く不可逆容量が小さくなっており、また、電池容量も大きい。更に、実施例3の非水電解質二次電池も加熱試験時において熱暴走が認められず、比較例2の電池と同様に優れた安全性を有している。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
2 負極
3 セパレータ
Claims (5)
- ポリオレフィンを主体とする多孔質層(I)と、リチウムイオンを吸蔵放出可能なリチウム含有複合酸化物を含有する多孔質層(II)とを有することを特徴とする非水電解質二次電池用セパレータ。
- 多孔質層(II)は、リチウムイオンを吸蔵放出可能なリチウム含有複合酸化物として、スピネル型リチウム含有複合酸化物、層状結晶構造のリチウム含有複合酸化物およびオリビン型リチウム含有複合酸化物よりなる群から選択される少なくとも1種を含有している請求項1に記載の非水電解質二次電池用セパレータ。
- 多孔質層(II)は、導電助剤を含有している請求項1または2に記載の非水電解質二次電池用セパレータ。
- リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する正極、リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する負極、前記正極と前記負極との間に挿入されたセパレータ、および非水電解質を構成要素とする非水電解質二次電池であって、
前記セパレータが、請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池用セパレータであり、かつ前記セパレータの多孔質層(II)が正極に対向するように配置されていることを特徴とする非水電解質二次電池。 - 負極は、Si、一般式SiOx(ただし、Siに対するOの原子比xは0.5≦x≦1.5である)で表される材料、およびSn合金よりなる群から選択される少なくとも1種の活物質を含有している請求項4に記載の非水電解質二次電池。
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