JP2018056031A - 非水系リチウム型蓄電素子 - Google Patents
非水系リチウム型蓄電素子 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018056031A JP2018056031A JP2016192776A JP2016192776A JP2018056031A JP 2018056031 A JP2018056031 A JP 2018056031A JP 2016192776 A JP2016192776 A JP 2016192776A JP 2016192776 A JP2016192776 A JP 2016192776A JP 2018056031 A JP2018056031 A JP 2018056031A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lithium
- layer
- carbon atoms
- storage element
- carbonate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Cell Separators (AREA)
- Secondary Cells (AREA)
Abstract
【解決手段】非水系リチウム型蓄電素子のためのセパレータ上に、良質な被膜を形成する。
【選択図】なし
Description
[1]
正極;
負極;
セパレータ;及び
リチウムイオンを含む非水系電解液;
を含む非水系リチウム型蓄電素子であって、
前記セパレータが、絶縁性を有する第一の層と、前記正極に接する第二の層とを含み、かつ
前記第二の層が、下記式(1)〜(3):
LiX1−OR1O−X2Li・・・・・・(1)
{式(1)中、R1は、炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキレン基であり、かつX1及びX2は、それぞれ独立に−(COO)n(ここで、nは0又は1である。)である。}
LiX1−OR1O−X2R2・・・・・・(2)
{式(2)中、R1は、炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキレン基であり、R2は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のモノ若しくはポリヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のモノ若しくはポリヒドロキシアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、又はアリール基であり、かつX1及びX2は、それぞれ独立に−(COO)n(ここで、nは0又は1である。)である。}
R2X1−OR1O−X2R3・・・・・・(3)
{式(3)中、R1は、炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキレン基であり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のモノ若しくはポリヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のモノ若しくはポリヒドロキシアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、又はアリール基であり、かつX1及びX2は、それぞれ独立に−(COO)n(ここで、nは0又は1である。)である。}
から選択される1種以上の化合物を前記第二の層の単位質量当たり1.60×10−6mol/g〜3.00×10−1mol/g含有する、
前記非水系リチウム型蓄電素子。
[2]
前記第二の層が、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、窒化リチウム、又はヨウ素化リチウムから選ばれるリチウム化合物を1種類以上含む、[1]に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[3]
前記リチウム化合物の平均粒径が0.1μm以上4μm以下である、[2]に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[4]
前記リチウム化合物の平均粒径が0.1μm以上3μm以下である、[2]又は[3]に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[5]
前記第二の層の膜厚が1μm以上10μm以下である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[6]
前記第二の層の膜厚が1μm以上8μm以下である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[7]
前記第二の層が導電性材料を1質量%以上20質量%以下含む、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[8]
前記非水系電解液が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート及びフルオロエチレンカーボネートから成る群から選択される少なくとも1種の有機溶媒を含有する、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[9]
前記非水電解液が、LiPF6及びLiBF4のうち少なくとも1種を含有する、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
本実施形態におけるセパレータは、蓄電素子を組み立てる前のセパレータ前駆体として、リチウム化合物を含むことが好ましい。後述のように、本実施形態では蓄電素子を組み立てる工程において、負極にリチウムイオンをプレドープすることが好ましい。本実施形態におけるプレドープ方法としては、リチウム化合物を含むセパレータ前駆体と、正極と、負極と、非水系電解液とを用いて蓄電素子を組み立てた後に、正極と負極との間に電圧を印加することが好ましい。リチウム化合物は、セパレータの第二の層内に含有されていることが好ましい。
本願明細書では、リチウムドープ工程前におけるセパレータを「セパレータ前駆体」、リチウムドープ工程後におけるセパレータを「セパレータ」と定義する。
絶縁性を有する第一の層と、正極に接する第二の層と
を含み、かつ
前記第二の層が、下記式(1)〜(3)から選択される1種以上の化合物を第二の層の単位質量当たり1.60×10−6mol/g〜3.00×10−1mol/g含有する。
また、本実施形態に係るセパレータにおいて、第一の層と第二の層は、接するか、又は離間することができる。第一の層と第二の層が離間している場合には、第一の層と第二の層の間に、任意の機能層が配置されることができる。
絶縁性を有する第一の層について説明する。
第一の層は、特に限定されないが、例えば、電気化学的な安定性、電解液に対する耐性等を有する熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂、フッ素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂の含有量は、第一の層100質量%に対して、50〜100質量%が好ましく、60〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%がさらに好ましい。
上記で列挙された樹脂の中でも、ポリオレフィン樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂を用いることにより、電池用セパレータのシャットダウン性能や耐熱収縮性が高く安全性がより向上する傾向にある。ポリオレフィン樹脂の含有量は、第一の層に含まれる熱可塑性樹脂100質量%に対して、50〜100質量%が好ましく、60〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%がさらに好ましい。
これらの添加剤の総添加量は、必要に応じて適宜決定することができる。添加剤の総添加量は、第一の層100質量部に対して、50質量部未満が好ましく、20質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。また、添加剤の総添加量は、第一の層100質量部に対して、0質量部を超えることができる。
孔数の制御は、熱可塑性樹脂と可塑剤の混合比率、押出した第一の層の冷却速度、押出した第一の層の圧延度合、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率などを組み合わせることにより可能である。このなかでも延伸温度、延伸倍率、熱固定温度が孔数に与える影響が大きい。
孔径の制御は、熱可塑性樹脂と可塑剤の混合比率、押出した第一の層の冷却速度、押出した第一の層の圧延度合、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率を組み合わせることにより可能である。このなかでも熱可塑性樹脂と可塑剤の混合比率、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度が孔径に与える影響が大きい。
第一の層を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、公知の製造方法を採用することができる。公知の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂と可塑剤とを溶融混練してシート状に成形後、場合により延伸した後、可塑剤を抽出することにより多孔化させる方法、熱可塑性樹脂を溶融混練して高ドロー比(引取り速度と押出し速度の比)で押出した後、熱処理と延伸によって熱可塑性樹脂の結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法、熱可塑性樹脂と無機粒子とを溶融混練してシート上に成形後、延伸によって熱可塑性樹脂と無機粒子との界面を剥離させることにより多孔化させる方法、熱可塑性樹脂を溶解後、熱可塑性樹脂に対する貧溶媒に浸漬させ熱可塑性樹脂を凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法等が挙げられる。
まず、熱可塑性樹脂と可塑剤を溶融混練する。溶融混練方法としては、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂及び必要によりその他の添加剤を、押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等の樹脂混練装置に投入し、樹脂成分を加熱溶融させながら任意の比率で可塑剤を導入して混練する方法が挙げられる。この際、熱可塑性樹脂、その他の添加剤及び可塑剤を樹脂混練装置に投入する前に、予めヘンシェルミキサー等を用い所定の割合で事前混練しておくことが好ましい。
この中でも、第一の層には、収縮を抑制する観点から熱固定を施すことが好ましい。熱固定の方法としては、特に限定されないが、例えば、所定の温度雰囲気及び所定の緩和率で緩和操作を行う方法が挙げられる。このような操作は、テンターやロール延伸機を利用して行うことができる。ここで「緩和操作」とは、膜のMD及び/又はTDへの縮小操作のことである。また、「緩和率」とは、緩和操作後の膜のMD寸法を操作前の膜のMD寸法で除した値、緩和操作後のTD寸法を操作前の膜のTD寸法で除した値、又はMD、TD双方を緩和した場合は、MDの緩和率とTDの緩和率を乗じた値のことである。緩和率は、1.0以下が好ましく、0.97以下がより好ましく、0.95以下がさらに好ましい。
正極に接する第二の層について説明する。
第二の層は、下記式(1)〜(3)から選択される1種以上の化合物を含有する。
LiX1−OR1O−X2Li・・・・・・(1)
{式(1)中、R1は、炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキレン基であり、かつX1及びX2は、それぞれ独立に−(COO)n(ここで、nは0又は1である。)である。}
LiX1−OR1O−X2R2・・・・・・(2)
{式(2)中、R1は、炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキレン基であり、R2は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のモノ若しくはポリヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のモノ若しくはポリヒドロキシアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、又はアリール基であり、かつX1及びX2は、それぞれ独立に−(COO)n(ここで、nは0又は1である。)である。}
R2X1−OR1O−X2R3・・・・・・(3)
{式(3)中、R1は、炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキレン基であり、かつR2及びR3は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のモノ若しくはポリヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のモノ若しくはポリヒドロキシアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、又はアリール基であり、かつX1及びX2は、それぞれ独立に−(COO)n(ここで、nは0又は1である。)である。}
本発明に係るセパレータの第二の層は、上記で説明された式(1)〜(3)から選択される1種以上の化合物を、第二の層の単位質量当たり1.60×10−6mol/g〜3.00×10−1mol/g含有する。
LiOC2H4OLi、LiOC3H6OLi、LiOC2H4OCOOLi、LiOCOOC3H6OLi、LiOCOOC2H4OCOOLi及びLiOCOOC3H6OCOOLiで表される化合物である。
LiOC2H4OH、LiOC3H6OH、LiOC2H4OCOOH、LiOC3H6OCOOH、LiOCOOC2H4OCOOH、LiOCOOC3H6OCOOH、LiOC2H4OCH3、LiOC3H6OCH3、LiOC2H4OCOOCH3、LiOC3H6OCOOCH3、LiOCOOC2H4OCOOCH3、LiOCOOC3H6OCOOCH3、LiOC2H4OC2H5、LiOC3H6OC2H5、LiOC2H4OCOOC2H5、LiOC3H6OCOOC2H5、LiOCOOC2H4OCOOC2H5、及びLiOCOOC3H6OCOOC2H5で表される化合物である。
HOC2H4OH、HOC3H6OH、HOC2H4OCOOH、HOC3H6OCOOH、HOCOOC2H4OCOOH、HOCOOC3H6OCOOH、HOC2H4OCH3、HOC3H6OCH3、HOC2H4OCOOCH3、HOC3H6OCOOCH3、HOCOOC2H4OCOOCH3、HOCOOC3H6OCOOCH3、HOC2H4OC2H5、HOC3H6OC2H5、HOC2H4OCOOC2H5、HOC3H6OCOOC2H5、HOCOOC2H4OCOOC2H5、HOCOOC3H6OCOOC2H5、CH3OC2H4OCH3、CH3OC3H6OCH3、CH3OC2H4OCOOCH3、CH3OC3H6OCOOCH3、CH3OCOOC2H4OCOOCH3、CH3OCOOC3H6OCOOCH3、CH3OC2H4OC2H5、CH3OC3H6OC2H5、CH3OC2H4OCOOC2H5、CH3OC3H6OCOOC2H5、CH3OCOOC2H4OCOOC2H5、CH3OCOOC3H6OCOOC2H5、C2H5OC2H4OC2H5、C2H5OC3H6OC2H5、C2H5OC2H4OCOOC2H5、C2H5OC3H6OCOOC2H5、C2H5OCOOC2H4OCOOC2H5、及びC2H5OCOOC3H6OCOOC2H5で表される化合物である。
第二の層に式(1)〜(3)で表される化合物を混合する方法、
第二の層に式(1)〜(3)で表される化合物を吸着させる方法、
第二の層に式(1)〜(3)で表される化合物を電気化学的に析出させる方法
等が挙げられる。
中でも、非水系電解液中に、分解してこれらの前記化合物を生成し得る前駆体を含有させておき、蓄電素子を作製する工程における前記前駆体の分解反応を利用して、第二の層内に前記化合物を堆積させる方法が好ましい。
また、式(1)〜(3)で表される化合物の総量は、第二の層の単位質量当たり、3.00×10−1mol/g以下であり、8.00×10−2mol/g以下であることがより好ましく、4.00×10−2mol/g以下であることが最も好ましい。前記化合物の総量が第二の層の単位質量当たり3.00×10−1mol/g以下であれば、Liイオンの拡散を阻害することがなく、高い入出力特性を発現することができる。
本願明細書において、「リチウム化合物」とは、正極活物質ではなく、かつ式(1)〜(3)の化合物でもないリチウム化合物を意味する。
リチウム化合物は、後述のドープ工程での電圧の印加によって分解され、負極へのリチウムドープのドーパント源として機能する。リチウム化合物がドープされると、分解されて第二の層の中で空孔に変化するため、出力特性に優れるセパレータを形成することができる。リチウム化合物はドープによって全てが分解されてもよいが、その一部が第二の層に残存していることがより好ましい。リチウム化合物が第二の層に存在することで、空孔の割合が高くてもセパレータの耐熱性を十分に確保できる。
リチウム化合物の微粒子化には、様々な方法を用いることができる。例えば、ボールミル、ビーズミル、リングミル、ジェットミル、ロッドミル等の粉砕機を使用することができる。
セパレータ中に含まれるリチウム化合物の同定方法は特に限定されないが、例えば下記の方法により同定することができる。リチウム化合物の同定には、以下に記載する複数の解析手法を組み合わせて同定することが好ましい。
以下に記載するSEM−EDX、ラマン、XPS、イオンクロマトグラフィーを測定する際には、アルゴンボックス中で非水系リチウム型蓄電素子を解体してセパレータを取り出し、セパレータ表面に付着した電解質を洗浄した後に測定を行うことが好ましい。セパレータの洗浄方法については、セパレータ表面に付着した電解質を洗い流せればよいため、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート溶媒が好適に利用できる。洗浄方法としては例えば、セパレータ重量の50〜100倍のジエチルカーボネート溶媒にセパレータを10分間以上浸漬させ、その後溶媒を取り替えて再度セパレータを浸漬させる。その後セパレータをジエチルカーボネートから取り出し、真空乾燥(温度:0〜200℃、圧力:0〜20kPa、時間:1〜40時間の範囲でセパレータ中のジエチルカーボネートの残存が1質量%以下になる条件とする。ジエチルカーボネートの残存量については、後述する蒸留水洗浄、液量調整後の水のGC/MSを測定し、予め作成した検量線を基に定量することができる。)させた後に、上記SEM−EDX、ラマン、XPSの解析を実施する。
イオンクロマトグラフィーについては、セパレータを蒸留水で洗浄した後の水を解析することにより陰イオンを同定することができる。
上記解析手法にてリチウム化合物を同定できなかった場合、その他の解析手法として、7Li−固体NMR、XRD(X線回折)、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析)、AES(オージェ電子分光)、TPD/MS(加熱発生ガス質量分析)、DSC(示差走査熱量分析)等を用いることにより、リチウム化合物を同定することもできる。
第二の層に使用する無機粒子としては、特に限定されないが、例えば、200℃以上の融点をもち、電気絶縁性が高く、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。このような無機粒子としては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄などの酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維などが挙げられる。無機粒子は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
この中でも、アルミナ、水酸化酸化アルミニウムなどの酸化アルミニウム化合物;又はカオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライトなどのイオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物が好ましい。このような無機粒子を用いることにより、電気化学的安定性及びセパレータの熱収縮抑制性がより向上する傾向にある。
なお、これらの単量体に加えて様々な品質及び物性を改良するために、上記以外の単量体成分をさらに使用することもできる。
第二の層の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、第一の層の少なくとも片面に、リチウム化合物、無機粒子、導電性材料、及びバインダーとを含む塗布液を塗布して第二の層を形成する方法を挙げることができる。
正極は、正極活物質と、導電材と、結着材と、集電体とを含むことが好ましい。
LixMn2−yMyOz (P1)
(式中、Mは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0<x≦1.3、0.2<y<0.8、3.5<z<4.5である。)
で表される酸化物;
式(P2):
LixMyOz (P2)
(式中、Mは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0<x≦1.3、0.8<y<1.2、1.8<z<2.2である。)
で表される層状酸化物;
式(P3):
LiMn2−xMaxO4 (P3)
(式中、Maは遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0.2≦x≦0.7である。)
で表されるスピネル型酸化物;
式(P4):
Li2McO3 (P4)
(式中、Mcは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)で表される酸化物と、式(P5):
LiMdO2 (P5)
(式中、Mdは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)で表される酸化物との複合酸化物であって、式(P6):
zLi2McO3−(1−z)LiMdO2 (P6)
(式中、Mc及びMdは、それぞれ上記式(P4)及び(P5)におけるものと同義であり、0.1≦z≦0.9である。)
で表されるLi過剰層状酸化物正極活物質;
式(P7):
LiMb1−yFeyPO4 (P7)
(式中、Mbは、Mn及びCoから成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0≦y≦1.0である。)
で表されるオリビン型正極活物質;及び、
式(P8):
Li2MePO4F (P8)
(式中、Meは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)で表される化合物が挙げられる。
これらの正極活物質は、1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
本実施形態に用いられる負極は、負極活物質と、結着材と、集電体とを含むことが好ましい。
[組立]
セル組み立て工程では、枚葉の形状にカットした正極前駆体及び負極を、セパレータを介して積層して成る積層体に、正極端子及び負極端子を接続して、電極積層体を作製する。あるいは、正極前駆体及び負極を、セパレータを介して積層及び捲回した捲回体に、正極端子及び負極端子を接続して、電極捲回体を作製する。電極捲回体の形状は円筒型であっても、扁平型であってもよい。
外装体としては、金属缶、ラミネート包材等を使用できる。金属缶としては、アルミニウム製のものが好ましい。ラミネート包材としては、金属箔と樹脂フィルムとを積層したフィルムが好ましく、外層樹脂フィルム/金属箔/内装樹脂フィルムの3層から構成されるラミネート包材が例示される。外層樹脂フィルムは、接触等により金属箔が損傷を受けることを防止するためのものであり、ナイロン又はポリエステル等の樹脂が好適に使用できる。金属箔は水分及びガスの透過を防ぐためのものであり、銅、アルミニウム、ステンレス等の箔が好適に使用できる。また、内装樹脂フィルムは、内部に収納する電解液から金属箔を保護するとともに、外装体のヒートシール時に溶融封口させるためのものであり、ポリオレフィン、酸変成ポリオレフィン等が好適に使用できる。
乾燥した電極積層体または電極捲回体は、金属缶やラミネート包材に代表される外装体の中に収納し、開口部を1方だけ残して封止することが好ましい。外装体の封止方法は特に限定されないが、ラミネート包材を用いる場合は、ヒートシールやインパルスシールなどの方法を用いることができる。
外装体の中に収納した電極積層体または電極捲回体は、乾燥することで残存溶媒を除去することが好ましい。乾燥方法は限定されないが、真空乾燥などにより乾燥することができる。残存溶媒は、正極活物質層または負極活物質層の重量を基準として、1.5質量%以下が好ましい。残存溶媒が1.5質量%より多いと、系内に溶媒が残存し、自己放電特性やサイクル特性を悪化させることがあるため好ましくない。
本実施形態における電解液は、リチウムイオンを含む非水系電解液である。すなわちこの非水系電解液は、後述する非水溶媒を含む。非水系電解液は、非水系電解液の合計体積を基準として、0.5mol/L以上のリチウム塩を含有することが好ましい。すなわち、非水系電解液は、リチウムイオンを電解質として含む。
本実施形態では、リチウム塩の溶解性と高リチウムイオン伝導度を確保し、かつ上記式(1)〜(3)で表される化合物の前駆体を蓄電素子内に含有させるという観点から、非水系電解液が、有機溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート及びフルオロエチレンカーボネートから成る群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
組立工程の終了後に、外装体の中に収納された電極積層体に、非水系電解液を注液する。注液後に、更に含浸を行い、正極、負極、及びセパレータを非水系電解液で十分に浸すことが望ましい。正極、負極、及びセパレータのうちの少なくとも一部に非水系電解液が浸っていない状態では、後述するリチウムドープ工程において、リチウムドープが不均一に進むため、得られるリチウムイオン二次電池の抵抗が上昇したり、耐久性が低下したりする。含浸の方法としては、特に制限されないが、例えば、非水系電解液を注液後に、電極積層体を外装材が開口した状態で減圧チャンバーに設置し、真空ポンプを用いてチャンバー内を減圧状態にし、再度大気圧に戻す方法等を用いることができる。含浸後には、外装材が開口した状態で電極積層体を減圧しながら封止することで密閉することができる。
本実施形態において、リチウムイオンを含む正極活物質と、セパレータ前駆体の第二の層に含まれるリチウム化合物が、負極活物質へのリチウムイオンのドーパント源として機能する。リチウムドープ工程では、正極前駆体と負極との間に電圧を印加して、セパレータ前駆体中のリチウム化合物を分解してリチウムイオンを放出し、負極でリチウムイオンを還元することにより負極活物質層にリオチウムイオンをプレドープすることが好ましい。
等を挙げることができる。
リチウムドープ後に、電極積層体にエージングを行うことが好ましい。エージングでは、非水系電解液中の溶媒が負極で分解し、負極表面にリチウムイオン透過性の固体高分子被膜が形成される。
エージング後に、更にガス抜きを行い、電解液、正極、及び負極中に残存しているガスを確実に除去することが好ましい。電解液、正極、及び負極の少なくとも一部にガスが残存している状態では、イオン伝導が阻害されるため、得られるリチウムイオン二次電池の抵抗が上昇してしまう。
ASTM-D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η](dl/g)を求めた。
なお、ポリエチレン(以下、「PE」ともいう。)については、次式により算出した。
[η]=6.77×10-4Mv0.67
また、ポリプロピレン(以下、「PP」ともいう。)については、次式によりMvを算出した。
[η]=1.10×10-4Mv0.80
第一の層からMD10mm×TD10mmのサンプルを切り出し、格子状に9箇所(3点×3点)を選んで、膜厚をダイヤルゲージ(尾崎製作所製PEACOCK No.25(登録商標))を用いて測定し、9箇所の測定値の平均値を第一の層の膜厚(μm)とした。また、第二の層に第一の層を塗工したセパレータについても上記第一の層と同様の方法で測定し、このように測定されたセパレータと第一の層の膜厚の差を第二の層の膜厚(μm)とした。
無機粒子を粉砕しない場合の平均粒径の測定としては、無機粒子を蒸留水に加え、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を少量添加してから超音波ホモジナイザで1分間分散させた後、レーザー式粒度分布測定装置(日機装(株)製マイクロトラックMT3300EX)を用いて粒径分布を測定し、体積累積頻度が50%となる粒径を平均粒径(μm)とした。
<セパレータの作製>
[I]第一の層の作製
Mv700,000のホモポリマーのポリエチレン47.5質量部と、Mv250,000のホモポリマーのポリエチレン47.5質量部と、Mv400,000のホモポリマーのポリプロピレン5質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドして、ポリオレフィン樹脂混合物を得た。得られたポリオレフィン樹脂混合物99wt%に対して、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1wt%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリオレフィン樹脂組成物を得た。
イオン交換水中に、リチウム化合物として平均粒径2.05μmの炭酸リチウム(Li2O3)と、無機粒子としてケイ酸アルミニウム(Al2O3・2SiO2)と、極微量のポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ製SNディスパーサント5468)を入れ、混合した。混合後、ビーズミル処理を行い、ケイ酸アルミニウムの平均粒径(Dp50)を1.9μmに調整し分散液を得た。さらに、得られた分散液に、バインダーとしてアクリルラテックス懸濁液(固形分濃度40%、平均粒径150nm)を混合して分散液を調製した。分散液中の固形分比率は、リチウム化合物:無機粒子:バインダー=48:48:4であった。なお、樹脂製ラテックスバインダーの平均粒径は、光散乱法による粒径測定装置(LEED&NORTHRUP社製MICROTRACTMUPA150)を用い、体積平均粒子径(nm)を測定し、平均粒径として求めた。
上記第一の層の表面にマイクログラビアコーターを用いて上記分散液を塗布した。60℃にて乾燥して水を除去し、第一の層上に厚さ5μmの第二の層を形成し、炭酸リチウムとケイ酸アルミニウムとを含む第二の層を有する実施例1のセパレータ前駆体を得た。
正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2(日本化学工業社製)と、導電剤としてアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン溶液(クレハ社製)とを、90:6:4の固形分質量比で混合し、分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分40質量%となるように添加して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延して正極とした。圧延物を、タブ部を除き30mm×50mmの長方形状に打ち抜いて正極を得た。正極合剤層の厚みは70μmであった。
負極活物質としてグラファイト粉末(大阪ガスケミカル社製、商品名「OMAC1.2H/SS」)及び別のグラファイト粉末(TIMCAL社製、商品名「SFG6」)と、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース水溶液とを、90:10:1.5:1.8の固形分質量比で混合した。得られた混合物を、固形分濃度が45質量%となるように、分散溶媒としての水に添加して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延物を、タブ部を除き32mm×52mmの長方形状に打ち抜いて負極を得た。負極合剤層の厚みは50μmであった。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lとなるように溶解して、非水電解質である電解液を得た。
上述のようにして作製した正極と負極とを、セパレータ前駆体の第二の層に正極が接するように、セパレータ前駆体を介して積層して、積層体を得た。得られた積層体を、アルミニウム箔(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正負極の端子を突設させながら挿入した後、上述のようにして得られた非水系電解液を0.5mL袋内に注入し、−90kPaに減圧後、−30kPaに戻す操作を2回実施した後、−95kPaで5分間保持した。常圧に戻した後、−85kPaに減圧後、仮封止を行って、シート状リチウムイオン二次電池を作製した。減圧、仮封止に際しては、株式会社テクニー製の減圧シール装置(型式:M−3295)を用いた。
仮封止により得られたシート状リチウムイオン二次電池に対して、アスカ電子(株)製の充放電装置を用いて、45℃環境下、電流値0.5Aで電圧4.5Vに到達するまで定電流充電を行った後、続けて4.5V定電圧充電を任意時間行うことで負極にリチウムドープを行った。
リチウムドープ後のリチウムイオン二次電池を25℃環境下、0.5Aで電圧3.0Vに到達するまで定電流放電を行った後、3.0V定電流放電を1時間行うことにより電圧を3.0Vに調整した。続いて、リチウムイオン二次電池を60℃の恒温槽に5時間保管した。
エージング後のリチウムイオン二次電池を、温度25℃、露点−40℃のドライエアー環境下でラミネートフィルムの一部を開封した。続いて、減圧チャンバーの中に前記リチウムイオン二次電池を入れ、大気圧から−80kPaまで3分間かけて減圧した後、3分間かけて大気圧に戻す工程を合計3回繰り返した。その後、減圧シール機にリチウムイオン二次電池を入れ、−90kPaに減圧した後、200℃で10秒間、0.1MPaの圧力でシールすることによりラミネートフィルムを封止した。
実施例1において、炭酸リチウムの平均粒径を1.52μmのものに変更した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1において、炭酸リチウムの平均粒径を3.58μmのものに変更した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1において、炭酸リチウムの平均粒径を5.49μmのものに変更した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1において、セパレータ塗工用分散液の組成を変更し、固形分比率をリチウム化合物:無機粒子:バインダー=24:72:4にした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1において、セパレータ塗工用分散液の組成を変更し、固形分比率をリチウム化合物:無機粒子:バインダー=72:24:4にした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1において、セパレータ塗工用分散液を作製する際に、無機粒子を使用せず、分散液組成の固形分比率を、リチウム化合物:バインダー=96:4にした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1において、セパレータ塗工用分散液を作製する際に、導電性材料としてアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製、HS−100)を加え、分散液組成の固形分比率をリチウム化合物:無機粒子:導電性材料:バインダー=46:46:4:4にした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1において、セパレータ塗工用分散液を作製する際に、導電性材料としてアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製、HS−100)を加え、分散液組成の固形分比率をリチウム化合物:無機粒子:導電性材料:バインダー=40:40:16:4にした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1において、第二の層の厚みを2μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1において、第二の層の厚みを9μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1において、第二の層の厚みを13μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1おいて、炭酸リチウムの平均粒径を0.78μmのものに変更し、セパレータ塗工用分散液を作製する際に、導電性材料としてアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製、HS−100)を加え、分散液組成の固形分比率をリチウム化合物:無機粒子:導電性材料:バインダー=7:85:4:4にした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1において、炭酸リチウムを酸化リチウム(粒径2.05μm)に変更した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1において、炭酸リチウムを水酸化リチウム(粒径2.05μm)に変更した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1において、リチウムドープ工程、エージング工程、ガス抜き工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1において、セパレータ塗工用分散液を作製する際に、リチウム化合物を使用せず、分散液組成の固形分比率を、無機粒子:バインダー=96:4にした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池を得た。
実施例1〜15、及び比較例1〜2で得られたリチウムイオン二次電池を2.9Vに調整した後、23℃の部屋に設置された露点−90℃以下、酸素濃度1ppm以下で管理されているアルゴン(Ar)ボックス内で解体してセパレータを取り出した。取り出したセパレータをジメチルカーボネート(DMC)で浸漬洗浄した後、大気非暴露を維持した状態で、サイドボックス中で真空乾燥させた。
単位質量当たりの存在量(mol/g)=A×B÷C ・・・(数式2)
により、第二の層に堆積する各化合物の、第二の層単位質量当たりの存在量(mol/g)を求めた。
[XOCH2CH2OXについて]
XOCH2CH2OXのCH2:3.7ppm(s,4H)
CH3OX:3.3ppm(s,3H)
CH3CH2OXのCH3:1.2ppm(t,3H)
CH3CH2OXのCH2O:3.7ppm(q,2H)
上記において、Xは、それぞれ、−(COO)nLiまたは−(COO)nR1(ここで、nは0又は1であり、かつR1は、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基である。)である。
得られたリチウムイオン二次電池を、露点温度−72℃のアルゴンボックス中で解体し、得られたセパレータを30gのジエチルカーボネート溶媒に浸し、時折ピンセットでセパレータを動かし、10分間洗浄した。続いてセパレータを取り出し、アルゴンボックス中で5分間風乾させ、新たに用意した30gのジエチルカーボネート溶媒にセパレータを浸し、上記と同様の方法にて10分間洗浄した。セパレータをアルゴンボックスから取り出し、真空乾燥機(ヤマト科学製、DP33)を用いて、温度25℃、圧力1kPaの条件にて20時間乾燥し、セパレータ試料1を得た。
セパレータ試料1から1cm×1cmの小片を切り出し、10Paの真空中にてスパッタリングにより第二の層の表面に金をコーティングした。続いて以下に示す条件にて、大気暴露下でセパレータ第二の層の表面のSEM、及びEDXを測定した。
・測定装置:日立ハイテクノロジー製、電解放出型走査型電子顕微鏡 FE−SEM S−4700
・加速電圧:10kV
・エミッション電流:1μA
・測定倍率:2000倍
・電子線入射角度:90°
・X線取出角度:30°
・デッドタイム:15%
・マッピング元素:C、O
・測定画素数:256×256ピクセル
・測定時間:60sec.
・積算回数:50回
・明るさは最大輝度に達する画素がなく、明るさの平均値が輝度40%〜60%の範囲に入るように輝度及びコントラストを調整した。
実施例1〜14、及び比較例1〜2で得られたリチウムイオン二次電池について、25℃に設定した恒温槽内で、アスカ電子(株)製の充放電装置を用いて、0.1Cの電流値で4.35Vに到達するまで定電流充電を行い、続いて4.35Vの定電圧を印加する定電圧充電を1時間行った際の充電容量Q(mAh)を、表1にまとめた。
前記充電後のリチウムイオン二次電池について、3.0Vまで0.1Cの電流値で定電流放電を行った際の放電容量Q’(mAh)を表1にまとめた。
前記工程で得られたリチウムイオン二次電池について、25℃に設定した恒温槽内で、アスカ電子(株)製の充放電装置を用いて、0.1Cの電流値で4.35Vに到達するまで定電流充電し、続いて4.35Vの定電圧を印加する定電圧充電を1時間行い、続いて、5Cの電流値で3.0Vまで定電流放電を行って、放電カーブ(時間−電圧)を得た。この放電カーブにおいて、放電時間1秒及び10秒の時点における電圧値から、直線近似にて外挿して得られる放電時間=0秒における電圧をEoとし、降下電圧ΔE=4.35−Eo、及びR=ΔE/(1C(電流値A))により内部抵抗Ra(Ω)を算出し、表1にまとめた。
Claims (9)
- 正極;
負極;
セパレータ;及び
リチウムイオンを含む非水系電解液;
を含む非水系リチウム型蓄電素子であって、
前記セパレータが、絶縁性を有する第一の層と、前記正極に接する第二の層とを含み、かつ
前記第二の層が、下記式(1)〜(3):
LiX1−OR1O−X2Li・・・・・・(1)
{式(1)中、R1は、炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキレン基であり、かつX1及びX2は、それぞれ独立に−(COO)n(ここで、nは0又は1である。)である。}
LiX1−OR1O−X2R2・・・・・・(2)
{式(2)中、R1は、炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキレン基であり、R2は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のモノ若しくはポリヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のモノ若しくはポリヒドロキシアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、又はアリール基であり、かつX1及びX2は、それぞれ独立に−(COO)n(ここで、nは0又は1である。)である。}
R2X1−OR1O−X2R3・・・・・・(3)
{式(3)中、R1は、炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキレン基であり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のモノ若しくはポリヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のモノ若しくはポリヒドロキシアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、又はアリール基であり、かつX1及びX2は、それぞれ独立に−(COO)n(ここで、nは0又は1である。)である。}
から選択される1種以上の化合物を前記第二の層の単位質量当たり1.60×10−6mol/g〜3.00×10−1mol/g含有する、
前記非水系リチウム型蓄電素子。 - 前記第二の層が、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、窒化リチウム、又はヨウ素化リチウムから選ばれるリチウム化合物を1種類以上含む、請求項1に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
- 前記リチウム化合物の平均粒径が0.1μm以上4μm以下である、請求項2に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
- 前記リチウム化合物の平均粒径が0.1μm以上3μm以下である、請求項2又は3に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
- 前記第二の層の膜厚が1μm以上10μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
- 前記第二の層の膜厚が1μm以上8μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
- 前記第二の層が導電性材料を1質量%以上20質量%以下含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
- 前記非水系電解液が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート及びフルオロエチレンカーボネートから成る群から選択される少なくとも1種の有機溶媒を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
- 前記非水電解液が、LiPF6及びLiBF4のうち少なくとも1種を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016192776A JP2018056031A (ja) | 2016-09-30 | 2016-09-30 | 非水系リチウム型蓄電素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016192776A JP2018056031A (ja) | 2016-09-30 | 2016-09-30 | 非水系リチウム型蓄電素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018056031A true JP2018056031A (ja) | 2018-04-05 |
JP2018056031A5 JP2018056031A5 (ja) | 2019-09-05 |
Family
ID=61836987
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016192776A Pending JP2018056031A (ja) | 2016-09-30 | 2016-09-30 | 非水系リチウム型蓄電素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018056031A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2020230825A1 (ja) * | 2019-05-13 | 2021-11-11 | 旭化成株式会社 | 蓄電デバイス用セパレータ及び蓄電デバイス |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010108732A (ja) * | 2008-10-30 | 2010-05-13 | Hitachi Ltd | リチウム二次電池 |
JP2013114764A (ja) * | 2011-11-25 | 2013-06-10 | Sony Corp | リチウムイオン電池およびセパレータ、並びに電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム |
-
2016
- 2016-09-30 JP JP2016192776A patent/JP2018056031A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010108732A (ja) * | 2008-10-30 | 2010-05-13 | Hitachi Ltd | リチウム二次電池 |
JP2013114764A (ja) * | 2011-11-25 | 2013-06-10 | Sony Corp | リチウムイオン電池およびセパレータ、並びに電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
荒川 正文: "粒度測定入門", 粉体工学会誌, vol. 17, no. 6, JPN6020011773, 10 June 1980 (1980-06-10), JP, pages 299 - 307, ISSN: 0004376584 * |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2020230825A1 (ja) * | 2019-05-13 | 2021-11-11 | 旭化成株式会社 | 蓄電デバイス用セパレータ及び蓄電デバイス |
JP7351906B2 (ja) | 2019-05-13 | 2023-09-27 | 旭化成株式会社 | 蓄電デバイス用セパレータ及び蓄電デバイス |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10276849B2 (en) | Separator including polyolefin microporous membrane and inorganic porous layer, and nonaqueous electrolyte battery using the same | |
TWI629176B (zh) | 多孔膜及多層多孔膜 | |
JP6425484B2 (ja) | 電池用セパレータ | |
JP6545238B2 (ja) | 非水電解質二次電池 | |
KR101479822B1 (ko) | 다층 다공막 및 그의 제조 방법 | |
JP6396154B2 (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ | |
JP5196969B2 (ja) | 多層多孔膜 | |
JP6347580B2 (ja) | 電池用セパレータ及び非水系電解液電池 | |
JP6692619B2 (ja) | 二次電池用セパレータ | |
JP6382051B2 (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ | |
CN112352344B (zh) | 具有微细图案的分隔件、卷绕体及非水电解质电池 | |
JPWO2019235112A1 (ja) | 多層セパレータ | |
JP2016072117A (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ | |
JP6444122B2 (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ、セパレータ用スラリー及び非水電解液二次電池 | |
JP7271786B2 (ja) | 非水電解質電池用セパレータ、捲回体および非水電解質電池 | |
JP6426422B2 (ja) | 蓄電デバイス用セパレータ及び非水電解液電池 | |
JP2018056435A (ja) | 非水系リチウム型蓄電素子 | |
TWI813152B (zh) | 蓄電裝置用分隔件、及包含此之蓄電裝置 | |
JP2018056031A (ja) | 非水系リチウム型蓄電素子 | |
JP2018147884A (ja) | 非水電解液二次電池用セパレータ | |
JP7344644B2 (ja) | ポリオレフィン微多孔膜を備える多層多孔膜 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190726 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190726 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200318 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200331 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20201110 |