JP6692619B2 - 二次電池用セパレータ - Google Patents
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Description
非水電解液電池の電気特性、生産性、及び安全性に加えて、充放電電流の均一化及びリチウムデンドライト抑制の観点から、セパレータには電極との接着性の向上も求められている。
特許文献1〜4では、電極との接着性の高いセパレータを提供することを目的として、接着層と電極の接着性が検証されている。しかしながら、基材と接着層との接着性については検証されていない。
特許文献6〜8では、接着層とセパレータ基材との接着性は一切検証されていない。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 1又は複数のポリエチレンからなるポリオレフィン微多孔膜を含む基材、ここで赤外分光法により測定される該ポリオレフィン微多孔膜の末端ビニル基濃度が、全体として、炭素原子10,000当たり2個以上である;並びに
該基材の少なくとも片面に配置された、粒子状のアクリル樹脂含有重合体を含む接着層;
を含む二次電池用セパレータであって、該アクリル樹脂含有重合体が(メタ)アクリル酸エステル単量体と芳香族ビニル単量体に由来する単位を有する二次電池用セパレータ。
[2] 前記ポリオレフィン微多孔膜の末端ビニル基濃度は、炭素原子10,000個当たり6個以上である、[1]に記載の二次電池用セパレータ。
[3] 前記ポリオレフィン微多孔膜は、重量平均分子量が1.0×106以上3.0×106未満の超高分子量ポリエチレンを含んでいる、[1]又は[2]に記載の二次電池用セパレータ。
[4] 前記アクリル樹脂含有重合体は、重合性不飽和基を二つ以上有する化合物に由来する単位をさらに有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の二次電池用セパレータ。
[5] 前記アクリル樹脂含有重合体は、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位をさらに有する、[4]に記載の二次電池用セパレータ。
[6] 前記重合性不飽和基を二つ以上有する化合物は、多官能(メタ)アクリル酸エステルである、[4]又は[5]に記載の二次電池用セパレータ。
[7] 前記芳香族ビニル単量体はスチレン化合物である、[1]〜[6]のいずれかに記載の二次電池用セパレータ。
[8] 前記(メタ)アクリル酸エステル単量体は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルから成る群から選ばれる少なくとも一つである、[1]〜[7]のいずれかに記載の二次電池用セパレータ。
本実施形態における基材は、少なくともポリオレフィン微多孔膜を含む。所望により、基材は、無機フィラー及び樹脂製バインダーを含む多孔層をさらに含んでよい。
本実施形態におけるポリオレフィン微多孔膜は、1又は複数のポリエチレンからなり、かつ、赤外分光法により測定される前記ポリオレフィン微多孔膜の末端ビニル基濃度が、全体として、炭素原子10,000当たり2個(以下「2個/10,000C」と表現する)以上である。
微多孔膜の末端ビニル基濃度は、より好ましくは4個/10,000C以上、さらに好ましくは6個/10,000C以上、最も好ましくは7個/10,000C以上である。末端ビニル基濃度が2個/10,000C以上であると、基材の極性基が増え、接着層との間に電気的相互作用が働き、基材と接着層の接着力が向上するため好ましい。また、末端ビニル基濃度が大きくなるほど、当該接着力が大きくなる。これは、末端ビニル基濃度が大きくなるほど後述する電子供与性または、電子吸引性が強くなり、基材/接着層界面に働く電気的相互作用が強くなるためであると考えられる。
そして、基材と接着層の接着力が向上するため、二次電池用セパレータとして用いた際に、冷熱サイクル時に界面ずれが生じないため、耐冷熱サイクル特性が向上する。
微多孔膜の末端ビニル基濃度の上限として、特に限定されないが、好ましくは20個/10,000C以下、より好ましくは15個/10,000C以下である。
また、ポリオレフィン樹脂は、全体としての末端ビニル基濃度が上記の範囲内であれば、ポリエチレン以外のポリオレフィン、及びポリオレフィン以外の樹脂を含む組成物であってもよい。
ポリオレフィン微多孔膜全体に対するポリエチレンの割合は、特に限定されないが、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
(a)Mwが1.0×106未満であり、かつ、赤外分光法により測定される末端ビニル基濃度が2個/10,000C以上であるポリエチレン(以下「PEa」ともいう);
(b)PEaと、Mwが1.0×106以上の超高分子ポリエチレン(以下「UHMwPE」ともいう)とから成る組成物;
(c)PEaと、Mwが1.0×106未満であり、かつ、赤外分光法により測定される末端ビニル基濃度が2個/10,000C未満であるポリエチレン(以下「PEb」ともいう)とから成る組成物;又は
(d)PEa、PEb及びUHMwPEから成る組成物
であることができる。
多孔膜を二次電池用セパレータとして使用する場合には、低融点であり、かつ高強度であることから、特にHDPEを主成分とする樹脂を使用することが好ましい。
UHMwPEのMwは1.0×106以上であり、好ましくは1.5×106以上、より好ましくは1.7×106以上であり、好ましくは1.5×107未満、より好ましくは5.0×106未満である。
PEbのポリオレフィン微多孔膜全体に対する質量割合は、特に限定されないが、60質量%以下であることが好ましく、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下である。
UHMwPEのポリオレフィン微多孔膜全体に対する質量割合は、特に限定されないが、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。UHMwPEの質量割合が50質量%以下であると、成形時に圧力上昇をもたらすことがなく、生産性が良好になるため好ましい。またUHMwPEを用いたポリオレフィン微多孔膜は引張強度が向上するため、二次電池用セパレータとして用いた際に、電池の耐屈曲性が向上する。
上記の範囲でポリオレフィン微多孔膜を得ることは、成形性の観点で好ましい。
これらの添加剤の合計含有量は、ポリオレフィン樹脂組成物100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
セパレータは、無機フィラー及び樹脂バインダーを含む多孔層をさらに含んでもよい。セパレータがフィラー多孔層を備える位置は、基材の片面又は両面でよい。
無機フィラーとしては、例えば、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、その他の化合物が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、例えば、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
マグネシウム化合物としては、例えば、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
その他の化合物としては、例えば、酸化物系セラミックス、窒化物系セラミックス、粘土鉱物、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂、ガラス繊維等が挙げられる。酸化物系セラミックスとしては、例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等が挙げられる。窒化物系セラミックスとしては、例えば、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等が挙げられる。粘土鉱物としては、例えば、タルク、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
本実施形態における粒子状のアクリル樹脂含有重合体を含む接着層は、上記のような基材の少なくとも片面に配置される。
本実施形態において、基材の面のうちの、接着層が配置される面の全面積に対する接着層の面積割合は、特に限定されないが、80%以下、75%以下、又は70%であることが好ましく、また、この面積割合は、5%以上、10%以上、又は15%以上であることが好ましい。より好ましくは、この面積割合は、20%以上60%以下である。この面積割合は、得られるセパレータの接着層形成面をSEMで観察することによって測定される。
基材上に配置される接着層の厚さは、片面当たり、0.01〜5μmであることが好ましく、0.1〜3μmであることがより好ましく、0.1〜1μmであることが更に好ましい。
本実施形態における粒子状のアクリル樹脂含有重合体(以下「粒子状重合体」ともいう)は、アクリル樹脂のみから成る重合体であってもよいし、アクリル樹脂を含む複数の組成の混合物から成る重合体であってもよいし、コアシェル構造を有する粒子であってもよい。
本実施形態におけるアクリル樹脂は、(メタ)アクリル系化合物をモノマー単位として含むポリマーである。上記(メタ)アクリル系化合物とは、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つを示す。これらの中では、(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
より詳細には、粒子状重合体がアクリル樹脂を含むとき、ポリオレフィン微多孔膜基材に含まれるビニル基と、接着層との間の界面に電気的相互作用が働き、前記界面の接着力が向上すると共に、界面ずれが抑制される。この様に電極/接着層界面の接着力向上による電極/接着層の界面ずれ抑制だけでなく、接着層/基材の界面ずれが抑制されることによって、二次電池用セパレータとして用いた際に、二次電池の耐屈曲性が向上する。
したがって、粒子状のアクリル樹脂含有重合体を含む接着層は、所定の末端ビニル基濃度以上の基材と組み合わせることで、電極/接着層/基材の各界面の接着性を向上するため、冷熱サイクルによる各界面ずれが抑制され、かつ、接着層の粒子状のアクリル樹脂含有重合体が冷熱サイクルによる電極、基材の膨張、収縮を緩和する応力緩和層として働くため、耐冷熱サイクル特性が向上する。
CH2=CRY1−COO−RY2 (P1)
式(P1)中、RY1は水素原子又はメチル基を示し、RY2は水素原子又は1価の炭化水素基を示す。RY2が1価の炭化水素基の場合は、置換基を有していてもよくかつ鎖内にヘテロ原子を有していてもよい。1価の炭化水素基としては、例えば、直鎖であっても分岐していてもよい鎖状アルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基が挙げられる。また、置換基としては、例えば、ヒドロキシル基及びフェニル基が挙げられ、ヘテロ原子としては、例えばハロゲン原子、酸素原子等が挙げられる。(メタ)アクリル系化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
このような(メタ)アクリル系化合物としては、(メタ)アクリル酸、鎖状アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート、フェニル基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中でも鎖状アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
そのようなRY2を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の、芳香環を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、及びメタクリル酸から選択される1種以上であることが好ましい。
アクリル樹脂における(メタ)アクリル酸に由来するモノマー単位の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である。
アクリル樹脂における(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位の割合は、好ましくは45重量%以上、より好ましくは50重量%以上、特により更に好ましくは55重量%以上、特に好ましくは65重量%以上であり、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下、特に好ましくは85重量%以下である。
本実施形態におけるアクリル樹脂含有重合体は、芳香族ビニル単量体に由来する単位を有することが好ましい。アクリル樹脂含有重合体が、芳香族ビニル単量体に由来する単位を有することによって、アクリル樹脂含有重合体の弾性率が向上し、二次電池用セパレータとして用いた際に、二次電池の耐屈曲性が向上する。
アクリル樹脂含有重合体全体に対する芳香族ビニル単量体の含有割合は、特に限定されないが、1〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜40質量%、さらに好ましくは5〜20質量%である。
本実施形態におけるアクリル樹脂含有重合体は、重合性不飽和基を二つ以上有する化合物に由来する単位をさらに有することが好ましい。アクリル樹脂含有重合体が、重合性不飽和基を二つ以上有する化合物に由来する単位を有することによって、アクリル樹脂含有重合体内の架橋点に伴い接着層の剛性が向上し、二次電池用セパレータとして用いた際に、二次電池の耐屈曲性が向上する。
本実施形態におけるアクリル樹脂含有重合体は、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位をさらに有することが好ましい。加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルがシランカップリング剤として働くことによって、アクリル樹脂含有重合体が基材及び電極に強く接着する。接着性の向上により、電極と接着層との界面、又は、基材と接着層との界面でのずれが抑制され、二次電池用セパレータとして用いた際に、二次電池の耐屈曲性が向上すると共に、耐冷熱サイクル特性が向上する。
アクリル樹脂含有重合体全体に対する加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有割合は、特に限定されないが、0.1〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜4質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%である。
本実施形態におけるアクリル樹脂含有重合体は、上記以外の化合物に由来する単位を有してもよい。そのようなその他のモノマーは、特に限定されないが、例えば、
ペンテン酸、イタコン酸、マレイン酸、及びフマル酸等の不飽和カルボン酸;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及びペンテンオール等のヒドロキシ基含有モノマー;
メタクリル酸2−アミノエチル等のアミノ基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアミド基含有モノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、及びα−シアノエチルアクリレート等のシアノ基含有モノマー;並びに
グリシジル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル等のエポキシ基含有モノマー; 等を挙げることができる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
本実施形態におけるアクリル樹脂含有重合体は、コアシェル構造を有することが好ましい。コアシェル構造とは、中心部分に属するポリマーと、外殻部分に属するポリマーが異なる組成からなる、二重構造の形態をしたポリマーである。
シェル部を構成するポリマーとしてスチレンを用いた場合、接着層の弾性率が向上し、二次電池用セパレータとして用いた際に、二次電池の耐屈曲性が向上する。また、スチレンのフェニル基が電子供与基であるため、ポリオレフィン微多孔膜基材のビニル基と強い電気的相互作用が働き、基材/接着層界面の接着性が向上し、二次電池の耐屈曲性が向上すると共に、冷熱サイクル時に基材/接着層界面の界面ずれが生じないため、耐冷熱サイクル特性が向上する。そして、ポリスチレンはTgが100℃程度であり、室温時の接着層のベタツキを抑え、ハンドリング性が向上する。
シェル部を構成するポリマーに含まれるスチレン化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、及びスチレンスルホン酸等が挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。
[ポリオレフィン微多孔膜の製造方法]
本実施形態におけるポリオレフィン微多孔膜を製造する方法は、特に限定されず、公知の製造方法を採用することができる。例えば、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とを溶融混練してシート状に成形後、場合により延伸した後、可塑剤を抽出することにより多孔化させる方法、ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によってポリオレフィン結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法、ポリオレフィン樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート上に成形後、延伸によってポリオレフィンと無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法、ポリオレフィン樹脂組成物を溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法等が挙げられる。
先ず、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤を溶融混練する。溶融混練方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂及び必要によりその他の添加剤を、押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等の樹脂混練装置に投入し、樹脂成分を加熱溶融させながら任意の比率で可塑剤を導入して混練する方法が挙げられる。この際、ポリオレフィン樹脂、その他の添加剤及び可塑剤を樹脂混練装置に投入する前に、予めヘンシェルミキサー等を用い所定の割合で事前混練しておくことが好ましい。より好ましくは、事前混練において可塑剤の一部のみを投入し、残りの可塑剤を樹脂混練装置サイドフィードしながら混練することである。
上記のようにして製造されたポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面上に、接着層を配置する。ポリオレフィン微多孔膜上に、接着層を配置する方法としては、特に限定されず、例えば、アクリル樹脂含有重合体を含有する塗布液をポリオレフィン微多孔膜に塗布する方法が挙げられる。
塗布液中のアクリル樹脂含有重合体の含有量としては、該塗布液の全量に対するアクリル樹脂含有重合体の質量割合として、1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%が更に好ましい。
[二次電池]
本実施形態に係るセパレータを電極と接着することにより、セパレータと電極とが積層している積層体を得ることができる。
積層体は、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順に平板状に積層し、加圧及び必要に応じて補助的に加熱して製造することもできる。
(1)重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、分子量分布Mw/Mnの測定方法
Waters社製 ALC/GPC 150C型(商標)を用い、以下の条件で測定し、標準ポリスチレンを用いて較正曲線を作成した。これの各分子量成分に0.43(ポリエチレンのQファクター/ポリスチレンのQファクター=17.7/41.3)を乗じることによりポリエチレン換算の分子量分布曲線を得た。
カラム:東ソー製 GMH6−HT(商標)2本 + GMH6−HTL(商標)2本
移動相:o−ジクロロベンゼン
検出器:示差屈折計
流速:1.0ml/min
カラム温度:140℃
ポリオレフィン微多孔膜の赤外分光法による末端ビニル基濃度は、下記文献の記載を参考にして測定した。
J. Polym. Sci., B , 2, PP.339−341 (1964)
高分子分析ハンドブック 第2版 P240 (1985)
実施例及び比較例にかかるポリオレフィン微多孔膜を数枚重ね、加熱プレスを用いて1mm程度の厚さにした後、赤外分光光度計(株式会社バリアンテクノロジーズジャパンリミテッド製FTS60A/896/UMA300)を用いて、赤外吸収スペクトルを得た。そして、910cm−1における吸光度、前記プレス後のポリオレフィン微多孔膜の密度(g/cm3)及びサンプルの厚さ(mm)より、末端ビニル基濃度、すなわちポリオレフィン中の炭素原子10,000個あたりの末端ビニル基個数を以下の式より算出した。なお、小数点以下を切り捨てて算出した。
末端ビニル基濃度(個/10,000C)=11.4×吸光度/(密度・厚さ)
なお、密度の単位はg/cm3であり、厚さの単位はmmである。
走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用い、セパレータの断面観察により測定した。より具体的には、セパレータを1.5mm×2.0mm程度の面積で切り取り、ルテニウム染色した。ゼラチンカプセル内に染色後のサンプルとエタノールとを収容し、液体窒素により凍結させた後、ハンマーでサンプルを割断した。次いで、サンプルをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、30000倍にて観察し、接着層、無機フィラー多孔層の平均厚さを算出した。
粒径測定装置(LEED&NORTHRUP社製、商品名「MICROTRAC UPA150」)を用いて光散乱法により原料ポリマーの50%粒径(nm)を平均粒径として測定した。
粒子状重合体を、可視光硬化性樹脂(日本電子株式会社製「D−800」)に十分分散させた後、包埋し、粒子状重合体を含有するブロック片を作製した。得られたブロック片を、ダイヤモンド刃を備えたミクロトームで厚さ100nmの薄片状に切り出して、測定用試料を作製した。その後、四酸化ルテニウムを用いて測定用試料に染色処理を施した。
次いで、染色した測定用試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子社製「JEM−3100F」)にセットして、加速電圧80kVにて、粒子状重合体の断面構造を写真撮影した。電子顕微鏡の倍率は、視野に粒子状重合体1個の断面が入るように倍率を設定した。
撮影された粒子状重合体の断面構造において、コア部の周の長さD1、及び、コア部の外表面とシェル部とが当接する部分の長さD2を計測し、下記(1)式により、その粒子状重合体のコア部の外表面がシェル部によって覆われる割合Rcを算出した。
被覆割合Rc(%)=D2/D1×100 (1)
前記の被覆割合Rcを、任意に選択した20個の粒子状重合体について測定し、その平均値を計算して、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合とした。
粒子状重合体のシェル部の平均厚みを、以下の手順で測定した。
シェル部が重合体の粒子により構成されている場合、上記(5)と同様にして、透過型電子顕微鏡によって、粒子状重合体の断面構造を観察した。観察された粒子状重合体の断面構造から、シェル部を構成する重合体の粒子の最長径を測定した。任意に選択した20個の粒子状重合体について、前記の方法でシェル部を構成する重合体の粒子の最長径を測定し、その最長径の平均値をシェル部の平均厚みとした。
また、シェル部が粒子以外の形状を有している場合、上記(5)と同様にして、透過型電子顕微鏡によって、粒子状重合体の断面構造を観察した。観察された粒子状重合体の断面構造から、シェル部の最大厚みを測定した。任意に選択した20個の粒子状重合体について、前記の方法でシェル部の最大厚みを測定し、その最大厚みの平均値をシェル部の平均厚みとした。
そして、測定されたシェル部の平均厚みを粒子状重合体の体積平均粒子径で割ることにより、コアシェル比率を計算した。
a.正極の作製
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)を96質量部と、正極導電剤としてカーボンブラック粉末を2質量部と、正極バインダー(結着剤)としてポリフッ化ビニリデンを2質量部と、を乾式混合し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させて正極合剤スラリーを調製した。この正極合剤スラリーを、正極集電体となる厚さ13μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥した後、圧延することにより、正極を作製した。この時の正極活物質層の充填密度及び厚みは、集電体の両面に正極活物質層が形成されている部分で3.95g/cc、及び140μmであった。
炭素系活物質(人造黒鉛)を97質量部と、ケイ素系活物質(SiOx)(x=1.05)を3質量部と、を混合した。
得られた混合物を98質量部と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)を1質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の微粒子を1質量部と、を混合し、これらを水に分散させて負極合剤スラリーを得た。
この負極合剤スラリーを負極集電体となる厚さ8μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥した後、圧延した。次いで、圧延後の負極合剤をPVDFの融点以上の温度である170℃で加熱した。これにより、炭素系活物質及びケイ素系活物質の表面にPVDF微粒子を融着させた。以上の工程により、負極を作製した。この時の負極活物質層の充填密度及び厚みは、集電体の両面に負極活物質層が形成されている部分で1.75g/cc、及び137μmであった。
エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=3:7(質量比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.2mol/Lとなるように溶解させることにより、非水電解液を調製した。
a.で調製された正極と、b.で調製された負極と、実施例又は比較例で調製されたセパレータとを、それぞれ切り出して、重ね合わせた後(実施例17(基材A5)については、無機フィラー多孔層面を正極に、もう一方の面を負極に重ね)、室温にて長手方向に巻回してつぶすことにより、扁平状巻回電池素子を作製した。この電池素子を、内側から外側に向かってポリプロピレン/アルミ/ナイロン(nylon)の3層からなる厚み120μmのラミネートフィルムに挿入し、電極端子を熱融着により外装材に取り出した。電池素子を収容した外装部材内に、前記非水電解液を注入し、減圧下で外装材の残りの1辺を熱融着して減圧封止した。これを金属板間で80℃3分間加熱することで、厚み2mm×幅30mm×高さ30mmである電池を得た。
次いで、実施例及び比較例のセパレータを用いた各二次電池について、25℃で56mAの定電流で4.35Vまで充電し、続いて充電電流14mAまで定電圧充電を行った。
上記の定電圧充電後に充電状態の二次電池の抵抗(1kHz交流インピーダンス:Ω)を測定し、この抵抗を初期抵抗とした。
初期抵抗を測定後、56mAで終止電圧2.75Vまで定電流放電を行った。
実施例及び比較例のセパレータを用いた各二次電池について、上記の初回放電容量を測定後、島津製作所社製卓上型精密万能試験機AGS−Xを用いて、d.で組み立てた二次電池の座屈強度(耐座屈性)を測定した。具体的には、二次電池を、15mmの間隙を持った治具に載せ、間隙直径2mmφの曲率、幅30mmの圧子を捲回素子に対して平行になるように配置した。そして、圧子で下方に5mm/分で押していく際に掛かる荷重を計測し、荷重の最大値を二次電池の座屈点とみなし、座屈強度とした。実施例および比較例のセパレータを用いた各二次電池の座屈強度を下記基準で評価した。
A:座屈強度が4000mN/mm以上
B:座屈強度が3500mN/mm以上4000mN/mm未満
C:座屈強度が3000mN/mm以上3500mN/mm未満
D:座屈強度が2500mN/mm以上3000mN/mm未満
E:座屈強度が2000mN/mm以上2500mN/mm未満
F:座屈強度が2000mN/mm未満
実施例及び比較例で得たセパレータを使用し、上記(7)a〜dのように組み立てた各二次電池について、耐冷熱サイクル特性の評価を行った。
上記の電池を25℃で56mAの定電流で4.35Vまで充電した。次いで、熱衝撃試験機(エスペック製 TSA−71H−W)を用いて、70℃に昇温し4時間維持した。その後、電池を20℃で2時間に亘って保持し、次に−40℃で4時間に亘って保持するというサイクルを50回繰り返した。上記(7)dと同様の方法で、二次電池の抵抗(1kHz交流インピーダンス:Ω)を測定した。この結果と上記(7)dで測定した初期抵抗から、冷熱サイクル前後の抵抗変化量(冷熱サイクル後の抵抗−初期抵抗)を算出し、下記基準で評価した。
◎:冷熱サイクル前後の抵抗変化量が0Ω以上5Ω未満
○:冷熱サイクル前後の抵抗変化量が5Ω以上10Ω未満
△:冷熱サイクル前後の抵抗変化量が10Ω以上20Ω未満
×:冷熱サイクル前後の抵抗変化量が20Ω以上
実施例及び比較例で得たセパレータを、それぞれ20mm×100mmの寸法を有するように2枚切り出して、それらを重ね合わせた後、2枚のテフロン(登録商標)シート(ニチアス株式会社製のナフロン(商標)PTFEシート TOMBO−No.9000)で挟んだ。得られたサンプルについて、温度25℃、圧力10MPaの条件で2分間プレスを行った。プレス後のサンプルにおけるセパレータ同士の90°剥離強度を、(株)イマダ製のフォースゲージZP5N及びMX2−500Nを用いて、引張速度50mm/分で測定した。得られた剥離強度値を、セパレータのハンドリング性として、下記の評価基準により評価した。
○:剥離強度が40mN/mm未満
△:剥離強度が40mN/mm以上50mN/mm未満
×:剥離強度が50mN/mm以上
実施例1,7,10,11及び比較例3,4で得たセパレータの接着層に対して、幅12mm×長さ100mmのテープ(3M社製、製品名:スコッチ600)を貼りつけた。テープをサンプルから50mm/分の速度で剥がすときの力を、90°剥離強度測定器(IMADA社製、製品名IP−5N)を用いて測定した。得られた剥離強度の値を、接着層と基材の剥離強度として、下記評価基準により評価した。
◎:剥離強度が70N/m以上
○:剥離強度が60N/m以上70N/m未満
△:剥離強度が40N/m以上60N/m未満
×:剥離強度が40N/m未満
[製造例A1]
(基材A1の製造)
Mwが2.0×106の超高分子量ポリエチレン(Mw/Mn:8.0)20質量部(以下、UHMwPE1とも言う)と、
Mwが3.0×105の高密度ポリエチレン(Mw/Mn:13.5、末端ビニル基濃度0.9個/10000炭素あたり)(以下、HDPE1とも言う)80質量部と、
を、ドライブレンドし、ポリオレフィン組成物を得た。
酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]メタンを、ポリオレフィン組成物100質量部当たり0.2質量部ドライブレンドし、ポリオレフィン樹脂を調製した。得られたポリオレフィン樹脂25質量部を強混練二軸押出機に供給し、75質量部の液体パラフィン(40℃で50cSt)をサイドフィーダーから二軸押出機に供給した。210℃、200rpmの条件下で溶融混練してポリオレフィン溶液を調製した。
(基材A2の製造)
UHMwPE1を30質量部と、
HDPE1を70質量部と
を、ドライブレンドし、ポリオレフィン組成物を得たこと以外は、基材A1の製造と同様にして、基材A2(ポリオレフィン微多孔膜)を得た。
(基材A3の製造)
UHMwPE1を30質量部と、
HDPE1を25質量部と、
Mwが2.5×105の高密度ポリエチレン(Mw/Mn:8.6、末端ビニル基濃度0.1個/10000炭素あたり)(以下、HDPE2とも言う)を45質量部と、
を、ドライブレンドし、ポリオレフィン組成物を得たこと以外は、基材A1の製造と同様にして、基材A3(ポリオレフィン微多孔膜)を得た。
(基材A4の製造)
HDPE1をポリオレフィン組成物として用いた以外は、基材A1の製造と同様にして、基材A4(ポリオレフィン微多孔膜)を得た。
(基材A5の製造)
前記基材A1の表面に下記方法により耐熱層を形成した。
水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.0μm)96.0質量部、アクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)4.0質量部、及びポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)1.0質量部を100質量部の水に均一に分散させて塗工液を調製した。
次いで、その塗工液を、ポリオレフィン微多孔膜(基材A1)の表面(片面)にグラビアコーターを用いて塗工した。その後、60℃において乾燥して水を除去して、ポリオレフィン微多孔膜(基材A1)上に水酸化アルミニウム(無機フィラーの多孔層)が厚さ2μmで形成されている基材A5を得た。
(基材A6の製造)
UHMwPE1を20質量部と、
HDPE2を77質量部と、
Mwが9.7×104のポリプロピレン (Mw/Mn:2.6)を3質量部と、
を、ドライブレンドし、ポリオレフィン組成物を得たこと以外は、基材A1の製造と同様にして、基材A6(ポリオレフィン微多孔膜)を得た。
(基材A7の製造)
UHMwPE1を30質量部と、
HDPE1を20質量部と、
HDPE2を50質量部と、
を、ドライブレンドし、ポリオレフィン組成物を得たこと以外は、基材A1の製造と同様にして、基材A7(ポリオレフィン微多孔膜)を得た。
(基材A8の製造)
UHMwPE1を40質量部と、
HDPE1を10質量部と、
HDPE2を50質量部と、
を、ドライブレンドし、ポリオレフィン組成物を得たこと以外は、基材A1の製造と同様にして、基材A8(ポリオレフィン微多孔膜)を得た。
[合成例B1]
(粒子状重合体B1の合成)
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、
粒子状重合体の合成に用いる単量体組成物として、メタクリル酸メチル76質量部、メタクリル酸4質量部、アクリロニトリル20質量部;
乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1質量部;イオン交換水150質量部;並びに、重合開始剤として過硫酸カリウム0.5質量部を入れ、十分に攪拌した。その後、60℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になるまで重合を継続させることにより、粒子状重合体B1を含む水分散液を得た。
粒子状重合体B1の体積平均粒子径D50は、0.45μmであった。
(粒子状重合体B2の合成)
メタクリル酸メチル76質量部、メタクリル酸4質量部、スチレン20質量部を、粒子状重合体の合成に用いる単量体組成物として使用した以外は、粒子状重合体B1の合成と同様にして、粒子状重合体B2を含む水分散液を得た。
粒子状重合体B2の体積平均粒子径D50は、0.45μmであった。
(粒子状重合体B3の合成)
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、コア質量部の製造に用いる単量体組成物として、メタクリル酸メチル76質量部、メタクリル酸4質量部;
乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1質量部;イオン交換水150質量部;並びに、重合開始剤として過硫酸カリウム0.5質量部を入れ、十分に攪拌した。その後、60℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になるまで重合を継続させることにより、コア部を構成する粒子状重合体を含む水分散液を得た。
次いで、得られた水分散液を70℃に加温した。前記水分散液に、シェル部の製造に用いる単量体組成物としてスチレン20質量部を30分かけて連続で供給し、重合を継続した。重合転化率が96%になった時点で冷却して反応を停止することにより、粒子状重合体B3を含む水分散液を得た。
粒子状重合体B3の体積平均粒子径D50は、0.45μmであった。得られた粒子状重合体の断面を観察したところ、シェル部は重合体の粒子によって構成されていた。粒子状重合体B3について、上述した方法で測定したところ、コアシェル比率は10%で、コア部の表面がシェル部によって覆われる平均割合は61%であった。
(粒子状重合体B4の合成)
メタクリル酸メチル75質量部、メタクリル酸4質量部、エチレンジメタクリレート1質量部を、コア部の製造に用いる単量体組成物として使用した以外は、粒子状重合体B3の合成と同様にして、コアシェル構造を有する粒子状重合体B4を含む水分散液を得た。
粒子状重合体B4は、体積平均粒子径D50が0.45μm、コアシェル比率が10%、コア部の表面がシェル部によって覆われる平均割合が62%であった。
(粒子状重合体B5の合成)
メタクリル酸メチル75質量部、メタクリル酸4質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート1質量部を、コア部の製造に用いる単量体組成物として使用した以外は、粒子状重合体B3の合成と同様にして、コアシェル構造を有する粒子状重合体B5を含む水分散液を得た。
粒子状重合体B5は、体積平均粒子径D50が0.45μm、コアシェル比率が10%、コア部の表面がシェル部によって覆われる平均割合が63%であった。
(粒子状重合体B6の合成)
メタクリル酸メチル75質量部、メタクリル酸4質量部、エチレンジメタクリレート0.5質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.5質量部を、コア部の製造に用いる単量体組成物として使用した以外は、粒子状重合体B3の合成と同様にして、コアシェル構造を有する粒子状重合体B6を含む水分散液を得た。
粒子状重合体B6は、体積平均粒子径D50が0.45μm、コアシェル比率が10%、コア部の表面がシェル部によって覆われる平均割合が62%であった。
(粒子状重合体B7の合成)
メタクリル酸メチル74.5質量部、メタクリル酸4質量部、エチレンジメタクリレート1質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を、コア部の製造に用いる単量体組成物として使用した以外は、粒子状重合体B3の合成と同様にして、コアシェル構造を有する粒子状重合体B7を含む水分散液を得た。
粒子状重合体B7は、体積平均粒子径D50が0.45μm、コアシェル比率が10%、コア部の表面がシェル部によって覆われる平均割合が65%であった。
(粒子状重合体B8の合成)
メタクリル酸メチル74.5質量部、メタクリル酸4質量部、エチレンジメタクリレート1質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部、スチレン20質量部を、粒子状重合体の合成に用いる単量体組成物として使用した以外は、粒子状重合体B1の合成と同様にして、粒子状重合体B8を含む水分散液を得た。
粒子状重合体B8は、体積平均粒子径D50が0.45μmであった。
(粒子状重合体B9の合成)
メタクリル酸メチル74.5質量部、メタクリル酸4質量部、エチレンジメタクリレート1質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を、コア部の製造に用いる単量体組成物として使用した。また、スチレン5質量部、アクリロニトリル15質量部を、シェル部の製造に用いる単量体組成物として使用した。以上の事項以外は粒子状重合体B3の合成と同様にして、コアシェル構造を有する粒子状重合体B9を含む水分散液を得た。
粒子状重合体B9は、体積平均粒子径D50が0.45μm、コアシェル比率が10%、コア部の表面がシェル部によって覆われる平均割合が60%であった。
(粒子状重合体B10の合成)
メタクリル酸メチル54.5質量部、2−エチルヘキシルアクリレート20質量部、メタクリル酸4質量部、エチレンジメタクリレート1質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を、コア部の製造に用いる単量体組成物として使用した以外は、粒子状重合体B7の合成と同様にして、コアシェル構造を有する粒子状重合体B10を含む水分散液を得た。
粒子状重合体B10は、体積平均粒子径D50が0.45μm、コアシェル比率が10%、コア部の表面がシェル部によって覆われる平均割合が55%であった。
(粒子状重合体B11の合成)
メタクリル酸メチル54.5質量部、ブチルアクリレート20質量部、メタクリル酸4質量部、エチレンジメタクリレート1質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を、コア部の製造に用いる単量体組成物として使用した以外は、粒子状重合体B7の合成と同様にして、コアシェル構造を有する粒子状重合体B11を含む水分散液を得た。
粒子状重合体B11は、体積平均粒子径D50が0.45μm、コアシェル比率が10%、コア部の表面がシェル部によって覆われる平均割合が57%であった。
(粒子状重合体B12の合成)
メタクリル酸メチル74.5質量部、メタクリル酸2質量部、アクリル酸2質量部、エチレンジメタクリレート1質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を、コア部の製造に用いる単量体組成物として使用した以外は、粒子状重合体B7の合成と同様にして、コアシェル構造を有する粒子状重合体B12を含む水分散液を得た。
粒子状重合体B12は、体積平均粒子径D50が0.45μm、コアシェル比率が10%、コア部の表面がシェル部によって覆われる平均割合が63%であった。
接着層用バインダーを下記方法で製造した。
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70質量部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(花王ケミカル社製、製品名「エマール2F」)0.15質量部、並びに過流酸アンモニウム0.5質量部を、それぞれ供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
一方、別の容器でイオン交換水50質量部、分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5質量部、並びに、重合性単量体として、ブチルアクリレート94質量部、アクリロニトリル2質量部、メタクリル酸2質量部、N−メチロールアクリルアミド1部及びアクリルアミド1質量部を混合して単量体混合物を得た。この単量体混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。添加中は、60℃で反応を行った。添加終了後、さらに70℃で3時間撹拌して反応を終了し、ポリマー水分散液からなる接着層用バインダーを得た。
上記<粒子状重合体の合成>に記載の粒子状重合体を含む水分散液を固形分相当で100質量部、前記接着層用バインダーの水分散液を固形分相当で6質量部、及び、エーテル化度0.8〜1.0のカルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム社製、製品名「Daicel1220」)0.5質量部を混合し、さらにイオン交換水を固形分濃度が20%になるように混合し、スラリー状の接着剤を得た。
得られた接着剤と基材を、表1及び2の記載に従って組み合わせ、二次電池用セパレータを作製した。具体的には、表1に記載の基材の片面の表面にグラビアコーターを用いて接着剤を塗工し、60℃で乾燥して水を除去した。さらに、基材のもう片面にも同様に接着剤を塗工し、再度乾燥させることにより、片面あたりの厚さが2μmの接着層を基材の両面に備える二次電池用セパレータを作製した。
接着層を備えることなく、基材A1(ポリオレフィン微多孔膜)を二次電池用セパレータとして用いた。
粒子状重合体を含む水分散液の代わりに、ポリスチレン粒子を含む水分散液(ポリスチレン粒子の体積平均粒子径45μm)を固形分相当で100質量部を用いた以外は、参考例1と同様にして、片面あたりの厚さが60μmの接着層を基材の両面に備える二次電池用セパレータを作製した。
粒子状重合体を含む水分散液の代わりに、ポリメタクリル酸メチル系架橋物粒子(エポスター(登録商標)MA、タイプ1002、日本触媒製、平均粒子径2.5μm)を含む水分散液を固形分相当で100質量部を用いた以外は、参考例1と同様にして、片面あたりの厚さが5μmの接着層を基材の両面に備える二次電池用セパレータを作製した。
粒子状重合体を含む水分散液の代わりに、ポリメタクリル酸メチル系架橋物粒子(エポスター(登録商標)MX、タイプ200W、日本触媒製、平均粒子径0.35μm)を含む水分散液を固形分相当で100質量部用いた以外は、参考例1と同様にして、二次電池用セパレータを作製した。
基材A1の片面の表面にグラビアコーターを用いてポリフッ化ビニリデンのNMP溶液(濃度12質量%)を塗工し、60℃で乾燥してNMPを除去した。さらに、基材のもう片面にも同様にポリフッ化ビニリデンのNMP溶液(濃度12質量%)を塗工し、再度乾燥させることにより、片面あたりの厚さが2μmのポリフッ化ビニリデン層を基材の両面に備える二次電池用セパレータを作製した。
MMA:メタクリル酸メチル
EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
EDMA:エチレンジメタクリレート
A−TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート
AcSi:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
AN:アクリロニトリル
ST:スチレン
PST:ポリスチレン
PVDF:ポリフッ化ビニリデン
Claims (8)
- 1又は複数のポリエチレンからなるポリオレフィン微多孔膜を含む基材、ここで赤外分光法により測定される該ポリオレフィン微多孔膜の末端ビニル基濃度が、全体として、炭素原子10,000当たり2個以上である;並びに
該基材の少なくとも片面に配置された、粒子状のアクリル樹脂含有重合体を含む接着層;
を含む二次電池用セパレータであって、該アクリル樹脂含有重合体が(メタ)アクリル酸エステル単量体と芳香族ビニル単量体に由来する単位を有する二次電池用セパレータ。 - 前記ポリオレフィン微多孔膜の末端ビニル基濃度は、炭素原子10,000個当たり6個以上である、請求項1に記載の二次電池用セパレータ。
- 前記ポリオレフィン微多孔膜は、重量平均分子量が1.0×106以上3.0×106未満の超高分子量ポリエチレンを含んでいる、請求項1又は2に記載の二次電池用セパレータ。
- 前記アクリル樹脂含有重合体は、重合性不飽和基を二つ以上有する化合物に由来する単位をさらに有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池用セパレータ。
- 前記アクリル樹脂含有重合体は、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位をさらに有する、請求項4に記載の二次電池用セパレータ。
- 前記重合性不飽和基を二つ以上有する化合物は、多官能(メタ)アクリル酸エステルである、請求項4又は5に記載の二次電池用セパレータ。
- 前記芳香族ビニル単量体はスチレン化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の二次電池用セパレータ。
- 前記(メタ)アクリル酸エステル単量体は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルから成る群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の二次電池用セパレータ。
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