しかしながら、前記した特許文献1に記載された自動車のドア窓におけるサンシェードの係止構造では、サンシェードの上端部に形成された係止孔は、サンシェード固定具のフック部の下側先端部の内側面に接触した状態で係止される。このため、不意の外力によって、サンシェードがフック部の先端部方向へ押圧された場合には、サンシェードの係止孔とサンシェード固定具のフック部との係止状態が解除されやすいという問題がある。一方、サンシェード固定具のフック部の下側先端部を大きく上方に延出した場合には、サンシェードの係止孔を大きく上方に回り込むように持ち上げて、サンシェード固定具のフック部に係止する必要があるため、サンシェードの取り付け作業が煩雑になるという問題がある。
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、不意の外力によって、シート材の使用状態が解除されることを簡易な構成で抑止できるシート材の係止構造及び遮蔽装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため請求項1に係るシート材の係止構造は、被遮蔽物を覆うシート材と、前記シート材を巻取方向に付勢して巻回収納すると共に前記被遮蔽物の一側縁に配置される巻取収納装置と、前記シート材の引き出し側端縁部に設けられた係止部材と、前記被遮蔽物の前記一側縁と対向する該被遮蔽物の対向側縁に配置されて、前記シート材を引き出した状態で前記係止部材が係止される被係止部材と、を備え、前記被係止部材は、前記係止部材が係止されるフック部と、前記フック部を前記シート材の巻取方向に対して交差する軸線回りに回動可能に支持する支持部と、前記フック部を回動付勢して該フック部を前記係止部材と係止可能な初期位置に保持する回動付勢部材と、を有し、前記係止部材が前記フック部に係止された際に、前記シート材の巻取方向の付勢力によって、前記フック部は、前記回動付勢部材の回動付勢力に抗して前記初期位置から前記軸線と前記軸線に対して交差する前記シート材の巻取方向の直線とを含む面側へ回動されることを特徴とする。
また、請求項2に係るシート材の係止構造は、請求項1に記載のシート材の係止構造において、前記フック部は、前記シート材の幅方向に沿うように設けた前記軸線の断面方向において凹状部を有し、その先端部が前記支持部との間で隙間を形成するように配置されてなり、前記係止部材を該フック部に係止する際に、該係止部材が通過する前記隙間は前記回動付勢部材によって拡がる方向へ回動付勢されており、前記係止部材が前記フック部に係止された際に、前記フック部は、前記隙間を狭める方向へ回動されることを特徴とする。
また、請求項3に係るシート材の係止構造は、請求項2に記載のシート材の係止構造において、前記係止部材が前記フック部に係止された際に、前記隙間は、前記係止部材が通過できない間隔であることを特徴とする。
また、請求項4に係るシート材の係止構造は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のシート材の係止構造において、前記支持部は、前記回動付勢部材による前記フック部の回動角度を規制し、該フック部の先端部が略最下点に保持されるための規制部を有し、前記フック部は、前記規制部に当接した状態で回動規制されて前記初期位置に保持されることを特徴とする。
また、請求項5に係るシート材の係止構造は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシート材の係止構造において、前記係止部材は、前記シート材の引き出し側端縁部の全幅に亘って取り付けられた引出部と、側面視略T字状でその縦棒端部が前記引出部の幅方向略中央部に、前記シート材の幅方向に沿った軸を中心として回動可能に取り付けられたレバー部と、を有し、前記レバー部のT字の横棒一端には、前記シート材の引出巻取操作を行うノブが形成され、前記レバー部のT字の横棒他端には、前記フック部が挿通される貫通孔と、前記被係止部材と係止する係止部が形成されていることを特徴とする。
また、請求項6に係るシート材の係止構造は、請求項2乃至請求項5のいずれかに記載のシート材の係止構造において、前記フック部と前記支持部とのうち、少なくとも一方に、前記係止部材を前記フック部に係止する際に、前記係止部材が当接することで前記隙間から前記フック部の内部に案内するガイド部が設けられていることを特徴とする。
また、請求項7に係る遮蔽装置は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のシート材の係止構造を備え、前記巻取収納装置は、前記被遮蔽物の外縁を囲む周辺部材の一方側に配置され、前記被係止部材は、前記周辺部材の一方側に対向すると共に前記シート材の引出方向側に位置する前記周辺部材の他方側に配置され、前記シート材を引き出して、前記係止部材を前記フック部に係止することによって、前記シート材が前記被遮蔽物を覆うことを特徴とする。
更に、請求項8に係る遮蔽装置は、請求項7に記載の遮蔽装置において、前記シート材は、車両用のサンシェードであり、前記被遮蔽物は、ウインドウであり、前記周辺部材は、前記ウインドウの外縁を囲むウインドウフレームであり、前記サンシェードを引き出して、前記係止部材を前記フック部に係止することによって、前記サンシェードは、前記ウインドウを覆うことを特徴とする。
請求項1に係るシート材の係止構造では、シート材を引き出した状態で、係止部材を被係止部材のフック部に係止した場合には、フック部は、回動付勢部材の回動付勢力に抗して初期位置からシート材の巻取方向の直線とシート材の巻取方向に対して交差する軸線とを含む面側へ回動される。つまり、フック部と係止部材とが相対移動するため、係止部材はフック部の奥側へ移動して係止される。
これにより、シート材が風に揺られる等、不意の外力に対しても、フック部が外力に追従して揺動するため、係止部材のフック部への係止が解除され難くなり、シート材の使用状態が解除されることを簡易な構成で容易に抑止することができる。
また、係止部材がフック部に係止された状態では、フック部がシート材の巻取方向へ付勢されて安定した状態に位置しており、且つ回動付勢部材の付勢力がフック部を介して係止部材に伝わっている。その結果、シート材に外力が作用してフック部が揺動した場合には、回動付勢部材がダンパーの役割を果たし、フック部が揺動したときに発生する異音を極力抑止することができる。
また、請求項2に係るシート材の係止構造では、フック部は、係止部材が通過するフック部の凹状部の先端部と支持部との間に隙間が形成され、この隙間の間隔を拡げる方向へ回動付勢部材によって回動付勢されている。このため、係止部材をフック部に容易に係止することができる。また、係止部材がフック部に係止された場合には、フック部は、凹状部の先端部と支持部との隙間を狭める方向へ回動されるため、シート材に不意の外力が作用した際に、シート材の使用状態が解除されることを簡易な構成で容易に抑止できる。
また、請求項3に係るシート材の係止構造では、係止部材がフック部に係止された際には、凹状部の先端部と支持部との隙間は、係止部材が通過できない間隔となるため、シート材に不意の外力が作用しても、シート材の使用状態が解除されることを簡易な構成で更に抑止することができる。
また、請求項4に係るシート材の係止構造では、フック部は、支持部に設けられた規制部に当接した状態で回動規制されて初期位置に保持され、フック部の先端部が略最下点に保持される。これにより、フック部の初期位置が安定し、係止部材をフック部に更に係止し易くなると共に、振動等による異音の発生を抑止することができる。
また、請求項5に係るシート材の係止構造では、引出部がシート材の引き出し側端縁部の全幅に渡って取り付けられている。引出部の幅方向略中央部には、側面視略T字状のレバー部が、その縦棒端部をシート材の幅方向に沿った軸を中心として回動可能に取り付けられている。また、側面視略T字状のレバー部の横棒一端には、シート材の引出巻取操作を行うノブが形成され、このレバー部の横棒他端には、フック部が挿通される貫通孔と、被係止部材と係止する係止部が形成されている。従って、ユーザは、レバー部のノブを持って、シート材を引き出し、ノブの先端側に形成された貫通孔をフック部に挿通することによって、係止部を被係止部材に容易に係止させることができ、レバー部を介して、シート材を使用状態に容易に取り付けることができる。
更に、請求項6に係るシート材の係止構造では、係止部材をガイド部に当接させつつフック部に係止することによって、係止部材がフック部と支持部との隙間から内部に案内されるため、ユーザは、係止部材をガイド部に当接させて、フック部に容易に係止することができる。
また、請求項7に係る遮蔽装置では、シート材を引き出した状態で、係止部材を被係止部材のフック部に係合した場合には、フック部は、回動付勢部材の回動付勢力に抗して初期位置からシート材の巻取方向の直線とシート材の巻取方向に対して交差する軸線とを含む面側へ回動されて、係止部材がフック部に係止される。つまり、フック部と係止部材とが相対移動するため、係止部材はフック部の奥側へ移動して係止される。
これにより、係止部材を介して、シート材を使用状態に容易、且つ、確実に取り付けることができ、被遮蔽物をシート材で容易、且つ、確実に覆うことができる。また、フック部が支持部に回動可能に支持されているため、シート材が風に揺られる等、不意の外力に対しても、フック部が外力に追従して揺動するため、係止部材のフック部への係止が解除され難くなり、シート材の使用状態が解除されることを容易に抑止できる。
また、巻取収納装置によるシート材を巻取方向に付勢する付勢力によって、フック部は回動されるため、シート材を使用状態に係止する係止構造の簡素化を図ることができる。また、係止部材がフック部に係止された状態では、フック部がシート材の巻取方向へ付勢されて安定した状態に位置しており、且つ回動付勢部材の付勢力がフック部を介して係止部材に伝わっている。その結果、シート材に外力が作用してフック部が揺動した場合には、回動付勢部材がダンパーの役割を果たし、フック部が揺動したときに発生する異音を極力抑止することができる。
更に、請求項8に係る遮蔽装置では、サンシェードを引き出した状態で、係止部材をウインドウフレームに設けられたフック部に係合することによって、係止部材を介して、サンシェードを使用状態に容易、且つ、確実に取り付けることができる。その結果、ウインドウをサンシェードで容易、且つ、確実に覆うことができる。また、フック部がウインドウフレームに回動可能に支持されているため、車両走行時に発生する風等により、サンシェードが風に揺られる等、不意の外力に対しても、フック部が外力に追従して揺動する。その結果、係止部のフック部への係止が解除され難くなり、サンシェードの使用状態が解除されることを容易に抑止できる。また、回動付勢部材の付勢力がフック部を介して係止部材に伝わりダンパーの役割を果たすため、車両走行時の振動や風等の外力がサンシェードに作用してフック部が揺動した場合でも、異音が発生することを極力抑止することができる。
以下、本発明に係るシート材の係止構造及び遮蔽装置を車両用ドアに設けられるサンシェード装置について具体化した第1実施形態乃至第3実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
[概略構成]
先ず、第1実施形態に係るサンシェード装置1の概略構成について図1乃至図6に基づき説明する。
図1は第1実施形態に係るサンシェード6が使用状態に係止されたサンシェード装置1を示す正面図である。図2は第1実施形態に係るサンシェード6が収納された状態のサンシェード装置1を示す正面図である。図3はサンシェード6が引き出された状態のサンシェード装置1をウインドウ5側から見た斜視図である。図4は図2のX1−X1矢視拡大断面図である。図5は被係止部材13の正面図である。図6は係止部材8を各被係止部材13に係止する方法を説明する説明図である。
図1乃至図3に示すように、サンシェード装置1は、ウインドウフレーム3と、ウインドウフレーム3で囲まれたウインドウ開口3Aを上下動する被遮蔽物の一例としてのウインドウ5と、ウインドウ5の室内側を覆うように引き出されてウインドウ5を遮光するシート材の一例として機能するサンシェード6と、サンシェード6を巻取方向(図1中、下方向である。)に付勢すると共に、引出可能に巻取収納する巻取収納装置7とから構成されている。
サンシェード6の引き出し側端縁部には、略細長板状の係止部材8が全幅に渡って取り付けられている。また、巻取収納装置7は、ドアトリム9によって室内側が覆われており、ドアトリム9の上端部にサンシェード6を引き出す横長の開口部9Aが形成されている。また、係止部材8の長手方向中央部には、上端部から室内側に所定長さ(例えば、長さ約3cmである。)突出する板状のレバー11が形成されている。
また、係止部材8の長手方向両端部から少し中央部よりの位置には、それぞれにおいて断面横長四角形に貫通する各係止孔12が形成されている。一方、ウインドウフレーム3のウインドウ開口3Aにおけるサンシェード6の引出方向側の周縁部であるウインドウフレーム3Aのウインドウ開口3Aの上縁には、係止部材8の上端部をウインドウ開口3Aの周縁部にほぼ達するまで引き上げた際に、各係止孔12に対向する位置に、各係止孔12が係止される2つの各被係止部材13が設けられている。
図1、図2、図4及び図5に示すように、ウインドウフレーム3は、ウインドウ5の周縁部に対向する側に凹溝3Bが形成され、ウインドウ5の周縁部をシールするウエザーストリップ4が凹溝3B内に嵌着されている。また、各被係止部材13は、ウインドウフレーム3のウインドウ開口3Aの上縁にネジ止め等によって取り付けられる略直方体状の支持部15と、支持部15の下端部に室内側方向へ、つまり、サンシェード6の巻取方向に対して交差する方向へ回動可能に支持されるフック部16と、フック部16をウインドウ5側へ回動付勢する回動付勢部材の一例として機能する側面視L字形の板バネ17とから構成されている。
側面視L字形の板バネ17は、支持部15の平坦な下端面15Aに対して略平行になるように埋め込まれた平板部17Aと、平板部17Aのウインドウ5側端縁部から下方に延出された突出部17Bとから構成されている。突出部17Bは、基端部が支持部15のウインドウ5側の端面に対して略平行に突出すると共に、ウインドウ5側へ少し斜めに傾いて(例えば、ウインドウ5側へ角度約30度傾いて)斜め下方へ所定長さ(例えば、長さ約15mmである。)突出している。
図4及び図5に示すように、フック部16は、支持部15の下端面15Aに当接可能な平板状の当接部16Aと、当接部16Aのウインドウ5側端縁部から略直角下方に所定長さ(例えば、長さ約20mmである。)延出された延出部16Bと、延出部16Bの下端部から側面視U字状に室内側へ延出された凹状部16Cと、凹状部16Cの延出部16Bに対して反対側の端部である先端部16Dとから構成されている。従って、フック部16は、室内側へ開口する側面視略C形状に形成されている。
また、フック部16は、当接部16Aの室内側端縁部に、支持部15の下端面に両端部を支持された断面円形の支持軸18が嵌挿され、室内側へ回動可能に保持されている。また、支持軸18は、サンシェード6の巻取方向に対して交差する軸線18Aを中心としてフック部16を回動可能に支持している。また、延出部16Bには、板バネ17の厚さよりも大きい幅寸法で上端面から下方に窪んで、該板バネ17の突出部17Bが上下方向全長に渡って挿入される案内溝21が形成されている。
また、図4及び図6に示すように、板バネ17の突出部17Bは、案内溝21内のウインドウ5側の側面に当接して、支持軸18の中心を通る軸線18Aと、軸線18Aに対して交差するサンシェード6の巻取方向の直線とを含む仮想の面19を基準として、フック部16を面19から離れる方向へ回動付勢している。また、板バネ17の回動付勢方向は、フック部16の先端部16Dと、支持部15の下端面15Aとの間の隙間20が拡がる方向である。つまり、板バネ17は、フック部16をウインドウ5側方向へ回動するように回動付勢している。また、サンシェード6が巻取収納装置7に収納されて、係止部材8が被係止部材13に係止されていない場合には、フック部16は、当接部16Aが支持部15の下端面15Aに形成された規制部15Bに当接されて回動規制され、安定した状態で初期位置に位置規制されている。
次に、サンシェード6を引き出して係止部材8を各被係止部材13に係止する方法について図1、図2、図6乃至図8に基づいて説明する。図6乃至図8は係止部材8を被係止部材13に係止する方法を説明する説明図である。
図2、図6及び図7に示すように、先ず、ユーザは、係止部材8のレバー11を持って、係止部材8の上端部をウインドウフレーム3のウインドウ開口3Aの上縁にほぼ達するまで上方向(図6中、上方向である。)へ引き上げ、各係止孔12を室内側から各被係止部材13のフック部16に対向させる。
そして、図7に示すように、ユーザは、各係止孔12の上縁部を隙間20から各フック部16の内部に挿入し、各係止孔12内に各フック部16の凹状部16Cを挿入して、レバー11から手を放す。その結果、係止部材8の各係止孔12は、各フック部16の凹状部16Cの奥側方向略中央部に対向し、各フック部16を回動可能に支持する支持軸18よりもウインドウ5側に位置する。そのため、図8に示すように、各フック部16は、係止部材8を介して、サンシェード6を巻取方向(図8中、下方向、つまり、矢印22方向である。)に付勢する巻取収納装置7の付勢力23によって、サンシェード6の巻取方向へ回動付勢される。その結果、各フック部16は、各係止孔12がフック部16の凹状部16Cに係止される際に通過する隙間20が狭くなる方向であり、且つ、仮想の面19へと近づく方向(図8中、矢印25方向である。)へ回動される。
つまり、各フック部16は、係止部材8と支持軸18の軸線18Aとを結ぶ直線方向が、サンシェード6の巻取方向と一致した状態になるまで、初期位置から隙間20が狭くなる方向へ回動される。これにより、各フック部16の凹状部16Cが、各係止孔12内を挿入方向に移動しつつ、支持軸18を中心に室内側へ回動されて、各フック部16の側面視略U字状の底部分に各係止孔12の内周部が当接される。尚、図8に示すように、各板バネ17の突出部17Bの先端部は、各フック部16の案内溝21内に挿入されている。
また、サンシェード6の巻取方向が支持軸18の真下となるように巻取収納装置7が配置されており、サンシェード6や係止部材8、レバー11の自重に加えて巻取収納装置7による付勢力が支持軸18の真下方向に働く。そのため、各フック部16は、各板バネ17の回動付勢力に抗して、係止部材8と支持軸18の軸線18Aとを結ぶ直線方向が、サンシェード6の巻取方向と一致した状態になるまで、初期位置から室内側(図8中、矢印25方向である。)へ回動される。尚、ウインドウフレーム3のウインドウ開口3Aの上縁が支持部15としての機能を有するようにしてもよい。
この結果、図1に示すように、係止部材8がウインドウフレーム3に係止され、サンシェード6がウインドウ5を覆う。また、各フック部16は、各凹状部16Cの先端部16Dが、初期位置よりも上方に回動して、各係止孔12を係止する。このため、サンシェード6が風に煽られる等の不意の外力によって、サンシェード6が室内側方向又はウインドウ5側方向へ押圧された場合にも、フック部16が外力に追従して揺動するため、サンシェード6の使用状態が不意の外力によって解除されることを容易に抑止できる。また、各板バネ17による付勢力がフック部16を介して各係止孔12に常に伝わっているため、板バネ17がダンパーとしての役割を果たし、各フック部16が揺動した際に各係止孔12と各凹状部16Cとの係合箇所から発生する異音の発生を、極力抑止することができる。
次に、係止部材8の各被係止部材13への係止を解除する方法について図9及び図6に基づいて説明する。図9は係止部材8の被係止部材13への係止を解除する方法を説明する説明図である。
図9に示すように、先ず、ユーザが係止部材8のレバー11を持って、少し上側へ(図9中、矢印26方向である。)持ち上げることによって、巻取収納装置7の付勢力等によるフック部16への負荷が無くなる。これにより、回動付勢部材である板バネ17の付勢力によって、各フック部16が各係止孔12内を移動し、隙間20が拡がる方向、つまり、ウインドウ5側へ回動可能となる。
そのため、各フック部16は、延出部16Bの案内溝21内に挿入されている各板バネ17の突出部17Bによる回動付勢力によって、延出部16Bに形成された案内溝21に沿って支持軸18回りにウインドウ5側方向へ(図9中、矢印27方向である。)へ回動される。そして、各フック部16は、当接部16Aが支持部15の下端面15Aに形成された規制部15Bに当接されて回動規制され、安定した状態で初期位置に位置規制される。
その後、ユーザが係止部材8のレバー11を持って、手前側に移動させることによって、各係止孔12と各フック部16との係止が解除される。そして、図6に示すように、ユーザが係止部材8をドアトリム9の開口部9Aに挿入することによって、係止部材8は、サンシェード6が巻取収納装置7に巻き取られた初期状態の位置に保持される。
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係るサンシェード装置1では、ユーザは、サンシェード6を引き出した状態で、係止部材8の各係止孔12を室内側から各被係止部材13のフック部16に対向させる。そして、ユーザは、各係止孔12の上縁部を隙間20から各フック部16の内部に挿入し、各係止孔12内に各フック部16の凹状部16Cを挿入して、レバー11から手を放す。
それにより、各フック部16がサンシェード6の巻取方向に付勢されるため、板バネ17の突出部17Bによる回動付勢力に抗して、各フック部16が支持軸18を中心に室内側へ回動される。この結果、各フック部16と各係止孔12とが相対移動するため、各係止孔12は各フック部16の奥側へ移動して、係止部材8が各フック部16に係止される。つまり、各フック部16は、先端部16Dと支持部15の下端面15Aとの隙間20が狭くなる方向であり、且つ、仮想の面19へと近づく方向へ回動されて安定した状態となり、各係止孔12が各フック部16に係止される。
これにより、係止部材8の各係止孔12を各フック部16に係合させることによって、各フック部16は、各先端部16Dが初期位置よりも上方に回動して、各係止孔12を係止する。このため、サンシェード6が風に煽られる等の不意の外力によって、サンシェード6が室内側方向又はウインドウ5側方向へ押圧された場合にも、フック部16が外力に追従して揺動するため、サンシェード6の使用状態が不意の外力によって解除されることを容易に抑止できる。また、各板バネ17による付勢力がフック部16を介して各係止孔12に常に伝わっているため、板バネ17がダンパーとしての役割を果たし、各フック部16が揺動した際に各係止孔12と各凹状部16Cとの係合箇所から発生する異音の発生を、極力抑止することができる。
また、各フック部16の先端部16Dを大きくサンシェード6の引出方向に延出する必要がないため、係止部材8の各係止孔12を各フック部16に容易に係合させることができ、係止部材8を介して、サンシェード6を使用状態に容易に取り付けることができる。また、各フック部16は、板バネ17の突出部17Bによってウインドウ5側方向へ回動された場合には、支持部15の下端面15Aに形成された規制部15Bに当接部16Aが当接されて回動規制され、安定した状態で初期位置に位置規制される。このため、簡易な構成で各フック部16を初期位置に安定して保持することができ、係止部材8の各係止孔12を各フック部16に容易に係合させることができる。
尚、係止孔12と被係止部材13を3対以上設けるようにしてもよい。これにより、係止孔12と被係止部材13とが3対以上設けられているため、サンシェード6を使用状態に係止する係止部材8の保持力の向上を図ることが可能となる。その結果、各被係止部材13の強度要件を緩和することが可能となるため、更なる小型化を図ることができ、サンシェード装置1の見栄えを更に良くすることが可能となる。
次に、第2実施形態に係るサンシェード装置31について図10乃至図22に基づいて説明する。尚、以下の説明において、上記図1乃至図9に示す第1実施形態に係るサンシェード装置1の構成等と同一符号は、第1実施形態に係るサンシェード装置1の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
第2実施形態に係るサンシェード装置31の概略構成は、第1実施形態に係るサンシェード装置1とほぼ同じ構成である。
但し、第2実施形態に係るサンシェード装置31は、係止部材8に替えて、引出部34とレバー部35とから構成される係止部材32が設けられると共に、2つの被係止部材13に替えて、被係止部材33が設けられている点で異なっている。
[概略構成]
先ず、第2実施形態に係るサンシェード装置31の概略構成について図10乃至図15に基づき説明する。
図10は第2実施形態に係るサンシェード6が使用状態に係止されたサンシェード装置31を示す正面図である。図11は第2実施形態に係るサンシェード6が収納された状態のサンシェード装置31を示す正面図である。図12はサンシェード6が引き出された状態のサンシェード装置31をウインドウ5側から見た斜視図である。図13は被係止部材33とレバー部35の先端側を斜め下から見た拡大斜視図である。図14は被係止部材33を示す拡大側断面図である。図15は図11のX2−X2矢視要部断面図である。
図10乃至図12に示すように、サンシェード6の引き出し側端縁部には、略細長板状の引出部34が全幅に渡って取り付けられている。図12、図13及び図15に示すように、引出部34の長手方向略中央部には、上端部から全高さの約1/3の深さ、及び、レバー部35の幅よりも少し狭い幅で、厚さ方向全幅に渡って切り欠かれた切欠部36が形成されている。そして、レバー部35の切欠部36に対向する下面には、両側縁部に対して少し内側の位置から相対向するように立設された側面視略長方形で板状の一対の支持片37が設けられている。従って、レバー部35は、側面視略T字状に形成されている。
図12、図13及び図15に示すように、一対の支持片37は、先端部に断面円形の貫通孔37Aが同軸に形成される共に、先端側外周面が貫通孔37Aと同心の断面略半円形状に形成されている。そして、引出部34の長手方向一端側から切欠部36内を通るように挿通された断面円形の軸支部38が、切欠部36内に配置された一対の支持片37の各貫通孔37Aに嵌挿され、レバー部35が軸支部38回りに回動可能に支持されている。
従って、図15に示すように、サンシェード6が巻取収納装置7に収納された場合には、レバー部35は、巻取収納装置7若しくはドアトリム9の外観形状に沿った状態に回動されて、ドアトリム9の開口部9Aに配置される。また、図12、図13及び図15に示すように、レバー部35には、一対の支持片37の基端部から先端側において、後述のように被係止部材33のフック部42の凹状部42Cが挿通される貫通孔39が形成されている。
また、この貫通孔39の先端側の側縁部には、上側方向に突出する断面略三角形状に形成されて、フック部42の凹状部42Cに係止される係止部40が形成されている。また、レバー部35は、支持片37を基準として、貫通孔39に対して反対側に、サンシェード6の引き出し、及び巻き取り操作を行うための板状に形成されたノブ35Aが設けられている。これにより、引出部34とレバー部35によってサンシェード6を被係止部材33に係止する係止部材32が構成される。
一方、図10及び図11に示すように、ウインドウフレーム3のウインドウ開口3Aにおけるサンシェード6の引出方向側の周縁部であるウインドウフレーム3のウインドウ開口3Aの上縁には、引出部34の上端部をウインドウ開口3Aの周縁部にほぼ達するまで引き上げた際に、レバー部35に対向する位置に、レバー部35の貫通孔39の先端側の側縁部に形成された係止部40が係止される被係止部材33が設けられている。
図11、図13及び図14に示すように、被係止部材33は、ウインドウフレーム3の室内側側面部にネジ止め等によって取り付けられる室内側が開放された側面視略三角形の箱体状の支持部41と、支持部41内にウインドウ5側方向へ、つまり、サンシェード6の引き出し方向に対して交差する方向へ回動可能に支持されるフック部42と、フック部42を室内側へ回動付勢して回動付勢部材の一例として機能する捩りコイルバネ43とから構成されている。尚、フック部42は、ウインドウフレーム3に直接回動可能に支持されてもよい。つまり、ウインドウフレーム3が支持部41として機能するように構成してもよい。
図13乃至図15に示すように、フック部42は、支持部41の内側天井部41Aの室内側端縁部に設けられた規制部41Gと当接可能な平板状の当接部42Aと、当接部42Aの内側天井部41A側の端縁部から略直角ウインドウ5側へ延出し係止部40をフック部42の内部に案内するガイド部42Bと、当接部42Aの規制部41Gに対して反対側の下端縁部から側面視略U字状にウインドウ5側へ延出された凹状部42Cと、凹状部42Cの当接部42Aとは反対側の端部である先端部42Eとから構成されている。凹状部42Cの内側面は、側面視略V字状に形成されている。また、凹状部42Cのウインドウ5側の先端部42Eは、ガイド部42Bの先端部よりも室内側になるように形成されている。
また、フック部42は、当接部42Aの内側天井部41A側端縁部に、支持部41の両側面部41Bに両端部を支持された断面円形の支持軸45が嵌挿され、ウインドウ5側へ回動可能に保持されている。また、回動付勢部材としての捩りコイルバネ43は、支持軸45の外周部を囲むように巻回されて、一端側43Aが支持部41の内側天井部41Aに取り付けられ、他端側43Bがフック部42の当接部42Aに取り付けられている。
また、捩りコイルバネ43は、支持軸45からサンシェード6の巻取方向へと延長する仮想の面44を基準として、フック部42を仮想の面44から離れる方向に回動付勢している。また、捩りコイルバネ43は、フック部42の先端部42Eと、後述する支持部41に設けられた案内部41Eと、の間の隙間50が拡がる方向に回動するようにフック部42を回動付勢している。
つまり、フック部42は、捩りコイルバネ43によって支持軸45を中心として室内側方向へ(図14中、矢印46方向である。)回動するように付勢されている。また、サンシェード6が収納されて、係止部材32が被係止部材33に係止されていない場合には、フック部42は捩りコイルバネ43によって回動され、当接部42Aが支持部41の内側天井部41Aの室内側端縁部に設けられた規制部41Gに当接することで回動規制され、安定した状態で初期位置に位置規制されている。
また、支持部41は、フック部42のガイド部42Bに対向する奥側壁部41Cが、支持軸45を中心として、ガイド部42Bの長さよりも少し長い曲率半径(例えば、約2mm長い曲率半径である。)の側面視円弧状に形成されている。この奥側壁部41Cの下端部の室内側端縁部41Dは、初期位置に位置するフック部42のガイド部42Bの先端部にほぼ対向するように形成されている。
また、奥側壁部41Cの下端部の室内側端縁部41Dと、フック部42のガイド部42Bや、レバー部35の先端部に形成された係止部40とにおける幅寸法とほぼ同じ、若しくは、少し大きい寸法(例えば、約1mm大きい寸法である。)の隙間50を形成している。また、支持部41は、奥側壁部41Cの下端部の室内側端縁部41Dからウインドウ5側へ斜め下方向に傾斜して、後述のように、レバー部35の先端側に形成された係止部40が当接してフック部42側へ案内される案内部41Eが形成されている。
次に、サンシェード6を引き出して係止部材32を被係止部材33に係止する方法について図10、図11、図15乃至図19に基づいて説明する。図16乃至図18は係止部材32を被係止部材33に係止する方法を説明する説明図である。図19はフック部42とレバー部35との係止状態を示す図18の要部拡大図である。
図11、図15及び図16に示すように、先ず、ユーザは、係止部材32のレバー部35に設けられたノブ35Aを持って、引出部34の上端部をウインドウ開口3Aの周縁部にほぼ達するまで上方向(図16中、矢印47方向である。)へ引き上げる。そして、ユーザは、レバー部35の係止部40を被係止部材33の支持部41の案内部41Eに当接させつつ、引出部34を上方向に引き上げて、係止部40を隙間50からフック部42の内部へ挿入して、レバー部35の貫通孔39内にフック部42の凹状部42Cを挿入する。
そして、図17に示すように、ユーザは、レバー部35を手前側に(図17中、矢印48方向である。)移動させて、レバー部35の係止部40の貫通孔39側を側面視略U字状の凹状部42Cの内周面に当接させた後、レバー部35から手を放す。その結果、図18及び図19に示すように、レバー部35は、引出部34を介して、サンシェード6を巻取方向(図18中、下方向である。)に付勢する付勢力51によって、フック部42の凹状部42Cに当接する部分を中心に、ウインドウ5側へ(図18中、矢印52方向である。)回動され、サンシェード6に対して略平行な状態になる。
また、フック部42は、凹状部42Cに係止されたレバー部35を介して、サンシェード6を巻取方向に付勢する付勢力51、引出部34の自重、及び、サンシェード6の自重等によって、捩りコイルバネ43による室内側方向への回動付勢力に抗して、初期位置から仮想の面44(図15参照)に近づく方向であり、隙間50が狭くなる方向に回動する。つまり、フック部42は、ウインドウ5側へ(図18中、矢印52方向である。)回動される。その結果、フック部42は、当接部42Aが、支持部41の内側天井部41Aの室内側端縁部に設けられた規制部41Gに当接する初期位置からウインドウ5側方向へ回動され、凹状部42Cの先端部が支持部41の案内部41E側へ近づくように支持軸45を中心に回動される。
そして、フック部42とレバー部35とが、上下方向にほぼ一直線状に配置された状態で、レバー部35の係止部40がフック部42の凹状部42Cに係止される。また、図19に示すように、レバー部35の係止部40がフック部42の凹状部42Cに係止された場合には、断面略三角形状に形成された係止部40は、係止部40の貫通孔39側の側縁部が、サンシェード6の巻取方向への付勢力51等によって、側面視略V字状に形成された凹状部42Cの内周面に当接される。
また、巻取収納装置7は、支持軸45の真下から離間した位置に取り付けられており、サンシェード6の巻取方向が斜め方向となる。そして、巻取収納装置7の付勢力によって凹状部42Cと係止部40とが、巻取方向に向かってほぼ一直線状となるように回動される。ここで、巻取方向への付勢力では、係止部40が凹状部42Cの内側部で回動しない形状に形成されているため、フック部42が回動することが規制される。それによって、凹状部42Cと係止部40とが、巻取方向に向かって完全に一直線状にならない状態で安定し、係止部40が凹状部42Cに係止される。
この結果、図10に示すように、引出部34がレバー部35を介してウインドウフレーム3の被係止部材33に係止され、サンシェード6がウインドウ5を覆う。また、フック部42が支持部41の案内部41E側へ回動して、凹状部42Cの先端部42Eと案内部41Eとの間の隙間50が狭くなる。これにより、フック部42からレバー部35の係止部40が脱落し難くなり、サンシェード6の使用状態がウインドウ5側方向及びサンシェード6の巻取方向への不意の外力によって解除されることを抑止できる。
次に、係止部材32の被係止部材33への係止を解除する方法について図20乃至図22、及び図15に基づいて説明する。図20乃至図22は係止部材32の被係止部材33への係止を解除する方法を説明する説明図である。
図20及び図21に示すように、先ず、ユーザは、レバー部35のノブ35Aを持って室内側方向(図20中、矢印53方向である。)へ回動させる。これにより、係止部40の先端部が、支持部41の内側天井部41Aの室内側端縁部41Dに当接し、その当接した箇所を始点としてレバー部35が回動し、係止部40が凹状部42Cの先端部42Eを乗り上げていき、係止部40とフック部42の係合が解除される。
そして、図22に示すように、ユーザがノブ35Aを更に上側方向(図22中、矢印53方向である。)へ回動させることによって、レバー部35の係止部40が、隙間50から巻取収納装置7側に進出する。これにより、フック部42は、捩りコイルバネ43による回動付勢力によって、支持軸45を中心に隙間50が拡がる方向、つまり、室内側方向(図20中、矢印54方向である。)へ回動される。その結果、フック部42は、当接部42Aが支持部41の規制部41Gに当接した初期位置に位置規制され、安定した状態で支持部41に支持される。
その後、ユーザは、レバー部35の係止部40を支持部41の案内部41Eに当接させつつ、引出部34を下方向に引き下げることによって、レバー部35の係止部40とフック部42との係止が解除される。そして、図15に示すように、ユーザが引出部34をドアトリム9の開口部9Aに挿入することによって、係止部材32は、サンシェード6が巻取収納装置7に巻き取られた初期状態の位置に保持される。
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係るサンシェード装置31では、ユーザは、引出部34に回動可能に設けられたレバー部35のノブ35Aを持って上方向へ引き上げ、レバー部35の貫通孔39内にフック部42の凹状部42Cを挿入する。そして、ユーザは、レバー部35を手前側に移動させて、係止部40の貫通孔39側の側縁部を凹状部42Cの内周面に当接させた後、レバー部35から手を放す。
その結果、レバー部35は、サンシェード6の巻取方向に付勢されて、フック部42の凹状部42Cに当接する部分を中心に、ウインドウ5側へ回動され、サンシェード6に対して略平行な状態になる。また、フック部42は、凹状部42Cに係合されたレバー部35を介して、サンシェード6の巻取方向に付勢されて、捩りコイルバネ43による室内側方向への回動付勢力に抗して、初期位置からウインドウ5側へ支持軸45を中心に回動される。
従って、レバー部35の係止部40を被係止部材33のフック部42に係合させることによって、レバー部35及びフック部42がウインドウ5側へそれぞれ回動して、係止部40と凹状部42Cとが上下方向にほぼ一直線状に配置されるようにフック部42と貫通孔39とが相対移動する。この結果、レバー部35の貫通孔39の先端側に形成された断面略三角形状の係止部40は、この係止部40の貫通孔39側の側縁部が、フック部42の凹状部42Cの先端部42E側から当接部42A側に移動して、係止部材32が被係止部材33に係止される。
これにより、レバー部35の係止部40を被係止部材33のフック部42に係合させることによって、フック部42が回動して係止部40を凹状部42Cの奥側に移動して係止される。このため、サンシェード6が風に煽られる等の不意の外力によって、サンシェード6が室内側方向又はウインドウ5側方向へ押圧された場合にも、フック部42が外力に追従して揺動するため、サンシェード6の使用状態が解除されることを容易に抑止できる。
また、捩りコイルバネ43の付勢力がフック部42を介して係止部40に常に伝わっているため、捩りコイルバネ43がダンパーとしての役割を果たし、フック部42が揺動した際に、係止部40と凹状部42Cとの係合箇所から発生する異音の発生を、極力抑止することができる。また、フック部42は、隙間50が拡がる方向に回動付勢されているため、係止部40を係止する際には係止し易い。また、係止部40を係止した状態では、フック部42は、隙間50を狭める方向に回動されて、係止部40が隙間50を通過できない間隔となるため、不意の外力によって係止が解除されるのを更に抑止することができる。
また、サンシェード6の引出収納操作を行うための持ち手であるノブ35Aと係止部40とが同じレバー部35に設けられているため、フック部42に係止部40を係止し易い。また、フック部42にガイド部42Bが設けられているため、係止部40をフック部42の内側に挿入する際に、係止部40を引出方向に余分に引き出したとしても、ガイド部42Bによって係止部40がフック部42の内部に誘導されるので、係止し易い。尚、ガイド部42Bは、支持部41に形成されていてもよい。
また、フック部42の凹状部42Cの先端部42Eを大きくサンシェード6の引出方向に延出する必要がないため、レバー部35の係止部40をフック部42に容易に係合させることができ、レバー部35を介して、サンシェード6を使用状態に容易に取り付けることができる。また、フック部42は、捩りコイルバネ43によって支持部41の内側天井部41Aの室内側端縁部に形成された規制部41Gに当接部42Aが当接されて初期位置に位置規制されるため、簡易な構成でフック部42を初期位置に安定して保持することができ、レバー部35の係止部40をフック部42に容易に係合させることができる。
また、ユーザは、レバー部35のノブ35Aを略水平に持って、サンシェード6を引き出し、レバー部35の先端部に貫通孔39によって形成された係止部40をフック部42に容易に係止させることができ、レバー部35を介して、サンシェード6を使用状態に容易に取り付けることができる。レバー部35は、フック部42に係止部40が係止された場合に、サンシェード6とほぼ平行になるように回動するため、サンシェード6を使用状態に取り付けた状態で、レバー部35が目障りにならず、見栄えを向上させることができる。
また、レバー部35がサンシェード6の引出方向(図22中、矢印53方向である。)へ回動された場合には、レバー部35の係止部40の下面が、フック部42の凹状部42Cの内側面のウインドウ5側端縁部に乗り上げる。このため、ユーザは、レバー部35のノブ35Aを略水平に持つことによって、サンシェード6の使用状態を容易に解除することができる。
次に、第3実施形態に係るサンシェード装置61について図23乃至図25に基づいて説明する。尚、以下の説明において、上記図1乃至図9に示す第1実施形態に係るサンシェード装置1の構成等と同一符号は、第1実施形態に係るサンシェード装置1の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
第3実施形態に係るサンシェード装置61の概略構成は、第1実施形態に係るサンシェード装置1とほぼ同じ構成である。
但し、第3実施形態に係るサンシェード装置61は、係止部材8に替えて、係止部材62が設けられている点で異なっている。
先ず、係止部材62の概略構成について図23乃至図25に基づいて説明する。図23は第3実施形態に係るサンシェード6が使用状態に係止されたサンシェード装置61を示す正面図である。図24は図23のA1部の要部拡大図である。図25は図23のX3−X3矢視要部断面図である。
図23乃至図25に示すように、サンシェード6の引き出し側端縁部には、係止部材62が縫製結合されることにより、全幅に渡って取り付けられている。係止部材62は、サンシェード6の幅方向に長い細長袋状に縫製、若しくは溶着された収納袋体63と、この収納袋体63内に収納された細長軸状又は細長筒状に形成された引出部65と、から構成されている。また、引出部65の長手方向中央部には、板状のレバー66の長手方向一端側が固定され、収納袋体63の長手方向中央部に形成された不図示の挿通用孔から室内側へ所定長さ(例えば、長さ約3cmである。)突出している。
引出部65は、アルミニウムやステンレス等の金属やABS等の樹脂で形成され、軸方向が収納袋体63の上端縁部に沿う状態で、収納袋体63内の長手方向全幅に渡って配置されている。また、引出部65は、略円柱状、略四角柱状、又は、略円筒状、略四角筒状に形成されるのが好ましい。
収納袋体63は、サンシェード6の引き出し側端縁部の全幅にほぼ等しい長さの細長い1枚の布材からなる本体布が幅方向に二つ折りにされて、長手方向両端部を縫製されることにより浅い横長の袋状に形成される。また、本体布は、長手方向の各被係止部材13に対向する部分に、二つ折りの折り線を中心とする矩形状で、フック部16の幅よりも広い幅の一対の切り欠き孔68が形成されている。また、本体布は、長手方向略中央位置に、板状のレバー66が挿通される不図示の挿通用孔が形成されている。
そして、浅い横長の袋状に形成された収納袋体63内に引出部65を収納した状態で、収納袋体63内にサンシェード6の引き出し側端縁部を所定長さ(例えば、長さ約1cmである。)差し込んで、3枚一緒に縫製、若しくは溶着することによって、サンシェード6の引き出し側端縁部が収納袋体63に挟まれた状態で縫製、若しくは溶着結合される。また、板状のレバー66が収納袋体63の長手方向中央部に形成された不図示の挿通用孔から室内側へ所定長さ突出される。
これにより、図23及び図24に示すように、レバー66を持って係止部材62の上端部をウインドウ開口3Aの周縁部にほぼ達するまで引き上げた際には、各被係止部材13のフック部16に対向する位置に、収納袋体63の二つ折りにされた各切り欠き孔68と引出部65とによって、該フック部16の凹状部16Cが挿通される正面視横長四角形の一対の係止孔69が形成される。
このように構成された係止部材62を各被係止部材13に係止する方法について図23及び図25に基づいて説明する。図23及び図25に示すように、先ず、ユーザは、係止部材62のレバー66を持って、係止部材62の上端部をウインドウフレーム3のウインドウ開口3Aの上縁にほぼ達するまで上方向(図23中、上方向である。)へ引き上げる。そして、ユーザは、各係止孔69の上辺部を形成する引出部65を隙間20から各フック部16の内部に挿入し、各係止孔69内に各フック部16の凹状部16Cを挿入して、レバー66から手を放す。
その結果、係止部材62の各係止孔69の上辺部を形成する引出部65は、各フック部16の凹状部16Cの奥側方向略中央部に対向し、各フック部16を回動可能に支持する支持軸18よりもウインドウ5側に位置する。そのため、図25に示すように、各フック部16は、係止部材62を介して、サンシェード6を巻取方向(図25中、下方向、つまり、矢印71方向である。)に付勢する巻取収納装置7の付勢力72によって、サンシェード6の巻取方向へ回動付勢される。その結果、各フック部16は、各係止孔69の上辺部を形成する引出部65がフック部16の凹状部16Cに係止される際に通過する隙間20が狭くなる方向であり、且つ、仮想の面19へと近づく方向(図25中、矢印73方向である。)へ回動される。
つまり、各フック部16は、係止部材62の引出部65と支持軸18の軸線18Aとを結ぶ直線方向が、サンシェード6の巻取方向と一致した状態になるまで、初期位置から隙間20が狭くなる方向へ回動される。これにより、各フック部16の凹状部16Cが、各係止孔69内を挿入方向に移動しつつ、支持軸18を中心に室内側へ回動されて、各フック部16の側面視略U字状の底部分に各係止孔69の上辺部を形成する引出部65が当接される。尚、図25に示すように、各板バネ17の突出部17Bの先端部は、各フック部16の案内溝21内に挿入されている。
また、サンシェード6の巻取方向が支持軸18の真下となるように巻取収納装置7が配置されており、サンシェード6や係止部材62、レバー66の自重に加えて巻取収納装置7による付勢力が支持軸18の真下方向に働く。そのため、各フック部16は、各板バネ17の回動付勢力に抗して、係止部材62と支持軸18の軸線18Aとを結ぶ直線方向が、サンシェード6の巻取方向と一致した状態になるまで、初期位置から室内側(図25中、矢印73方向である。)へ回動される。
この結果、図23及び図25に示すように、係止部材62がウインドウフレーム3に係止され、サンシェード6がウインドウ5を覆う。また、各フック部16は、各凹状部16Cの先端部16Dが、初期位置よりも上方に回動して、各係止孔69の上辺を形成する引出部65を係止する。このため、サンシェード6が風に煽られる等の不意の外力によって、サンシェード6が室内側方向又はウインドウ5側方向へ押圧された場合にも、フック部16が外力に追従して揺動するため、サンシェード6の使用状態が不意の外力によって解除されることを容易に抑止できる。
また、各板バネ17による付勢力がフック部16を介して各係止孔69の上辺を形成する引出部65に常に伝わっているため、板バネ17がダンパーとしての役割を果たし、各フック部16が揺動した際に各係止孔69の上辺を形成する引出部65と各凹状部16Cとの係合箇所から発生する異音の発生を、極力抑止することができる。
次に、係止部材62の各被係止部材13への係止を解除する方法について説明する。先ず、ユーザが係止部材62のレバー66を持って、少し上側へ持ち上げることによって、巻取収納装置7の付勢力等によるフック部16への負荷が無くなる。これにより、回動付勢部材である板バネ17の付勢力によって、各フック部16が各係止孔69内を移動し、隙間20が拡がる方向、つまり、ウインドウ5側へ回動可能となる。
そのため、各フック部16は、延出部16Bの案内溝21内に挿入されている各板バネ17の突出部17Bによる回動付勢力によって、延出部16Bに形成された案内溝21に沿って支持軸18回りにウインドウ5側方向へ回動される。そして、各フック部16は、当接部16Aが支持部15の下端面15Aに形成された規制部15Bに当接されて回動規制され、安定した状態で初期位置に位置規制される。
その後、ユーザが係止部材62のレバー66を持って、手前側に移動させることによって、各係止孔69の上辺を形成する引出部65と各フック部16との係止が解除される。そして、ユーザが係止部材62をドアトリム9の開口部9Aに挿入することによって、係止部材62は、サンシェード6が巻取収納装置7に巻き取られた初期状態の位置に保持される。
以上詳細に説明した通り、第3実施形態に係るサンシェード装置61では、ユーザは、サンシェード6を引き出した状態で、係止部材62の各係止孔69を室内側から各被係止部材13のフック部16に対向させる。そして、ユーザは、各係止孔69の上辺部を形成する引出部65を隙間20から各フック部16の内部に挿入し、各係止孔69内に各フック部16の凹状部16Cを挿入して、レバー66から手を放す。
それにより、各フック部16がサンシェード6の巻取方向に付勢されるため、板バネ17の突出部17Bによる回動付勢力に抗して、各フック部16が支持軸18を中心に室内側へ回動される。この結果、各フック部16と各係止孔69の上辺部を形成する引出部65とが相対移動するため、各係止孔69の上辺部を形成する引出部65は各フック部16の奥側へ移動して、係止部材62が各フック部16に係止される。つまり、各フック部16は、先端部16Dと支持部15の下端面15Aとの隙間20が狭くなる方向であり、且つ、仮想の面19へと近づく方向へ回動されて安定した状態となり、各係止孔69の上辺部を形成する引出部65が各フック部16に係止される。
これにより、係止部材62の各係止孔69を各フック部16に係合させることによって、各フック部16は、各先端部16Dが初期位置よりも上方に回動して、各係止孔69の上辺部を形成する引出部65を係止する。このため、サンシェード6が風に煽られる等の不意の外力によって、サンシェード6が室内側方向又はウインドウ5側方向へ押圧された場合にも、フック部16が外力に追従して揺動するため、サンシェード6の使用状態が不意の外力によって解除されることを容易に抑止できる。また、各板バネ17による付勢力がフック部16を介して各係止孔69の上辺部を形成する引出部65に常に伝わっているため、板バネ17がダンパーとしての役割を果たし、各フック部16が揺動した際に各係止孔69の上辺部を形成する引出部65と各凹状部16Cとの係合箇所から発生する異音の発生を、極力抑止することができる。
また、各フック部16の先端部16Dを大きくサンシェード6の引出方向に延出する必要がないため、係止部材62の各係止孔69を各フック部16に容易に係合させることができ、係止部材62を介して、サンシェード6を使用状態に容易に取り付けることができる。また、各フック部16は、板バネ17の突出部17Bによってウインドウ5側方向へ回動された場合には、支持部15の下端面15Aに形成された規制部15Bに当接部16Aが当接されて回動規制され、安定した状態で初期位置に位置規制される。このため、簡易な構成で各フック部16を初期位置に安定して保持することができ、係止部材62の各係止孔69を各フック部16に容易に係合させることができる。
尚、係止孔69と被係止部材13を3対以上設けるようにしてもよい。これにより、係止孔69と被係止部材13とが3対以上設けられているため、サンシェード6を使用状態に係止する係止部材62の保持力の向上を図ることが可能となる。その結果、各被係止部材13の強度要件を緩和することが可能となるため、更なる小型化を図ることができ、サンシェード装置61の見栄えを更に良くすることが可能となる。
尚、本発明は前記第1実施形態乃至第3実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。