<第1実施形態>
以下、第1実施形態に係るシート引出収納装置としてのシェード装置10について説明する(図1参照)。このシェード装置10は、ウインドウ12を遮蔽するための装置である。
<ウインドウ>
説明の便宜上、シェード装置10を適用するウインドウ12について説明しておく。ここで適用対象とするウインドウ12は、自動車におけるサイドドアに設けられるサイドドアウインドウである。このウインドウ12は、上側に短辺を有すると共に下側に長辺を有する略台形状に形成されているものとする。また、ウインドウ12は、上側の枠部が曲線状に形成されているものとする。もっとも、ウインドウ12は、サイドドアウインドウ以外のウインドウであってもよいし、矩形状等の台形状以外の形状であってもよいことは言うまでもない。
ここでは、シェード装置10の後述する巻取装置30は、ウインドウ12の床側に配設される。より具体的には、ウインドウ12の床側には、サイドドアトリム等の合成樹脂により形成された内装部材が設けられている(図示省略)。また、この内装部材には、内側から車室内に後述するシェード20を引き出すために、ウインドウ12の床側縁部に沿って形成されたスリット部が形成されている。そして、巻取装置30は、内装部材の内側に配設され、スリット部を通じてシェード20を引き出して該シェード20によりウインドウ12を遮蔽する。もっとも、巻取装置30は、内装部材の他に、ドアインナーパネル等の金属パネルの内側等に配設されてもよい。また、スリット部は、シェード20及び後述する引出部材40を通過可能な幅寸法及び長さ寸法に設定されている。
<シェード装置>
本シェード装置10は、シート状部材としてのシェード20と、巻取装置30と、引出部材40と、引出保持機構部50とを備える。概略的には、シェード装置10は、巻取装置30に対して引出収納可能に巻き取られるシェード20を、該シェード20に取り付けられた引出部材40を移動操作することにより引き出してウインドウ12を遮蔽することが可能に構成されている。図1には、シェード20を引き出して引出保持機構部50により引出部材40を保持した状態を示している。
ここでは、シェード20は、ウインドウ12に沿って床側から天井側に向けて引き出される。そして、シェード20が引出収納される方向を引出収納方向と称し、その向きを引出側、収納側と称する。
<シェード>
シェード20は、ウインドウ12を遮蔽するシート状部材である。このシェード20は、布材、メッシュ状の布材、樹脂シート等を裁断、縫製等して、ウインドウ12を遮蔽可能な大きさ及び形状に形成されている。ここでは、シェード20は引出側端部に短辺を有すると共に収納側端部に長辺を有し、短辺側部分が短辺に向けて徐々に幅狭になる形状に形成されている。ここでは、シェード20は、一側部の短辺側部分が内側に傾斜して、五角形を成している。
もっとも、シェード20は、遮蔽対象であるウインドウ12の形状に対応した形状に形成されていればよく、上記形状以外にも台形、その他の矩形等の種々の形状に形成されていてよい。
<巻取装置>
上記シェード20は、巻取装置30に取り付けられている(図2参照)。巻取装置30は、巻取シャフト32と、回転支持部34と、図示省略の巻取付勢部とを備えている。そして、巻取装置30は、シェード20を引出収納方向に沿って引出収納可能に巻き取るように構成されている。
巻取シャフト32は、長尺円筒状に形成された部材であり、回転支持部34により、中心軸周りに相対回転可能に支持されている。この巻取シャフト32の外周面には、その中心軸方向に沿ってシェード20の収納側端部が固定されている。また、回転支持部34は、巻取シャフト32の両端部をそれぞれ中心軸周りに相対回転可能に支持する一対の支持片を有している。
また、巻取シャフト32は、図示省略の巻取付勢部により、回転支持部34に対してシェード20の巻取方向に付勢されている。巻取付勢部は、例えばコイルバネであり、一端部が巻取シャフト32の内部に固定され、他端部が回転支持部34に固定されている。図2では、巻取付勢部の巻取付勢方向を矢印で示している。そして、シェード20は、巻取付勢部による巻取力より大きい引出力が作用しない状態で当該巻取力により巻取シャフト32に巻き取られ、巻取力より大きい引出力が作用すると巻取シャフト32から引き出される。
<引出部材>
シェード20には、引出側端部に沿って長尺形状の引出部材40が取り付けられている。そして、引出部材40を引出収納方向に沿って移動操作することにより、シェード20を巻取装置30に対して引出、収納することができる。ここで、シェード20が巻き取られて内装部材内に退避した状態をシェード装置10の収納状態、シェード20が引き出されてウインドウ12を遮蔽した状態を引出状態と称する。また、引出部材40について、シェード20を収納状態にする位置を収納位置、シェード20を引出状態にする位置を引出位置と称する。そして、上述したシェード20の引出収納方向とは、引出位置と収納位置とを結ぶ方向である。この引出部材40は、本体部42と、ノブ46とを含んでいる(図2参照)。
本体部42は、シェード20の引出側端部に取り付けられる部分であり、長尺棒状に形成された部分である。この本体部42は、シェード20の引出側端部と同じかそれより大きい長手寸法に設定されている。より具体的には、本体部42は、シェード20の引出側端部に沿って扁平な形状に形成されている。また、本体部42は、シェード20の引出側の端縁部がウインドウ12の天井側の枠部に沿った形状(ここでは曲線状)に形成されている。
また、本体部42には、後述する引出保持機構部50の係止部52が係止するための被係止部44が設けられている(図2参照)。被係止部44は、引出状態のシェード20の厚さ方向に開口する凹状(ここでは、シェード20の厚さ方向に貫通する孔状)に形成されている。また、被係止部44には、シェード20の収納側を向く被係止面45が形成されている。すなわち、被係止面45は、被係止部44のうちの収納側を向く内壁面である。この被係止面45(ここでは、引出側を向く内壁面も同様)は、引出状態におけるシェード20の引出側端部と収納側端部とを結ぶ方向に直交する形状に形成されている。また、被係止部44は、本体部42の長尺方向に間隔をあけて複数(ここでは2つ)形成されている(図1参照)。
ノブ46は、シェード20の引出収納用の操作部分である(図2参照)。このノブ46は、本体部42の長尺方向一部分から長尺方向に直交する向きに張り出す形状に形成されている。本体部の長尺方向におけるノブ46の位置は、引出収納方向の操作時に引出部材40全体が傾き等を生じにくいようにバランスを考慮して決定されるとよい。ここでは、ノブ46は、本体部42の長尺方向中央近傍で2つの被係止部44の間の位置に形成されている。また、ノブ46は、利用者が掴み易いように湾曲した板状に形成されている。
さらに、ノブ46は、本体部42に対して、本体部42の長尺方向に沿った軸周りに回転可能に配設されている。ここでは、ノブ46は、シェード20に対して略直交する姿勢の操作姿勢と、シェード20に沿って倒れた倒れ姿勢との間で姿勢変更可能に設定されている。
<引出保持機構部>
引出保持機構部50は、引出部材40を、シェード20を引出状態にする引出位置で保持する部分である(図1、図3参照)。すなわち、引出保持機構部50は、引出部材40を保持することにより、シェード20を引出状態に維持することができる。
この引出保持機構部50は、ウインドウ12の天井側縁部の付近に配設されている(図1参照)。ここでは、引出保持機構部50が車室内に露出して配設されている例を示しているが、引出保持機構部50は、部分的にウインドウ12の枠部内に収容配設されてもよい。
引出保持機構部50は、係止部52と、基部56とを有している。概略的には、引出保持機構部50は、基部56に対して係止部52が変形可能に支持され、引出部材40が係止部52を押し退けて引出位置に配設されると、係止部52が被係止部44に係止することにより引出部材40を保持する。
この引出保持機構部50には、複数の被係止部44に対応して、引出部材40の長尺方向において間隔をあけて複数の係止部52が設けられている。ここでは、引出保持機構部50は、1つの基部56に1つの係止部52が支持された保持体を複数有している。また、ここでは、引出保持機構部50は、引出部材40の長尺方向においてノブ46の両側に設けられた2つの被係止部44に対応して、2組の保持体を有している(図1参照)。
基部56は、係止部52を変形可能なスペースをあけて部分的又は全体的に(ここでは全体的に)収容可能な筐状に形成されている。より具体的には、基部56は、一方側で開口する略直方体状に形成されている。
また、基部56には、引出位置に移動された引出部材40の本体部42における長尺方向一部分(引出側部分だけでもよい)を内側に配設可能な引出部材配設溝部58が形成されている。この引出部材配設溝部58は、基部56の開口側部分を引出部材40の長尺方向に横切って、対向する一対の壁部の開口側端部で開口する溝状に形成されている。そして、引出部材配設溝部58の内側には、引出部材40の本体部42のうちの被係止部44が形成された部位が収容される。より具体的には、引出部材配設溝部58は、引出部材40の本体部42の厚さ寸法より大きい(ここでは僅かに大きい)幅寸法で、且つ本体部42のうちの被係止部44が形成された部位まで内側に挿入可能な深さ寸法に設定されている。
また、引出部材配設溝部58は、引出部材40の長尺方向に沿った壁部(ここではウインドウ12側の壁部)に隣接して形成されている。すなわち、引出部材配設溝部58の一側部は、引出部材40の長尺方向に沿った壁部によって構成されている。この壁部をガイド壁部59という。ガイド壁部59は、シェード20の厚さ方向において、係止部52が被係止部44に係止する側とは反対側から引出位置の引出部材40に対して接触するように形成されている(図6参照)。また、ガイド壁部59は、シェード20の引出収納方向に沿って延在している。
基部56は、一対の合性樹脂成型部材を組み合わせて形成されている。そして、一対の合性樹脂成型部材は、ネジ止め等により組み合わせ状態に維持される。また、基部56は、車両に固定可能に形成されている(図1参照)。基部56は、例えば、ネジ止め用の固定部を有し、固定部に形成された貫通孔部を通じて車両にネジ止めされることによりサイドドアに固定されるとよい。もっとも、固定形態は、ネジ止めに限らず、その他種々の固定形態を採用することができる。基部56の固定箇所としては、サイドドアのうちのインナーパネル、内装部材であるドアトリム等が挙げられる。そして、基部56は、開口部を巻取装置30側(下側)に向ける姿勢でサイドドアに固定される。
係止部52は、引出部材40が引出位置に移動された状態で、被係止部44に係止する部分である(図6参照)。この係止部52は、シェード20の引出収納方向における引出部材40の引出位置への移動及び引出位置から収納側への移動に伴って押圧される位置に設けられている(図4参照)。そして、係止部52は、押圧されることによって、被係止部44に係止可能な進出形態から被係止部44に係止しない退避形態に弾性変形可能に形成されている。より具体的には、係止部52は、凹状の被係止部44に対して引出状態のシェード20の厚さ方向から内側に進入して係止可能に形成されている。
ここでは、係止部52は、基端側部分が平板状に形成され、先端側部分が側面視V字状に形成された板バネにより構成されている。そして、係止部52は、基端部が基部56の奥部に固定されることにより、基部56に弾性変形可能に支持されている。より具体的には、係止部52は、基端側部分の厚さ方向がシェード20の厚さ方向に沿うと共にV字状の先端側部分の底部がガイド壁部59側に向く姿勢で、且つ引出部材配設溝部58の内側に突出する形態で配設される。この係止部52の形態を、進出形態という。この形態で、係止部52のV字状の先端側部分の底側部分は、引出位置に配設された引出部材40の被係止部44の内側に進入する。また、係止部52は、進出形態から、先端側部分がガイド壁部59から離間する形態に弾性変形可能である。この係止部52の形態を、退避形態という。この形態で、係止部52の先端側部分は、引出位置に配設された引出部材40の被係止部44の内側から退避する。退避形態の係止部52は、進出形態と比較して、基端側部分が厚さ方向に湾曲すると共に、先端側部分が基端側部分に対して傾き、先端側部分自体が歪むように変形する。なお、図4〜図6では、簡単化した係止部52が基端部を支点に姿勢変更している簡単化した形態を示している。
また、係止部52の弾性は、引出位置に移動された引出部材40を、引出部材40並びにシェード20にかかる重力及び巻取装置30によるシェード20の巻取力がかかっても保持状態を維持可能で、且つ、それ以上の外力が加わった際に進出形態から退避形態に弾性変形するように設定されているとよい。すなわち、係止部52は、自立して引出部材40を保持可能であり、重力及び巻取力以外の利用者による引出部材40の操作力等の外力によって弾性変形可能となっている。また、係止部52は、車両走行時の振動によっても引出部材40に対する保持を維持可能な弾性を有していることが好ましい。
また、上述したように、係止部52の先端側部分は、側面視V字状に形成されている。より具体的には、係止部52の先端側部分には、進出形態において、シェード20の引出収納方向においてそれぞれ異なる向きに臨み、引出収納方向において互いに離れるにつれて進出形態から退避形態に弾性変形する向き(ガイド壁部59から離間する向き)に傾斜する一対の傾斜面が形成されている。一対の傾斜面のうち、引出側に向けてガイド壁部59から離間する向きに傾斜し、シェード20の引出側を臨む面を係止面53という。また、一対の傾斜面のうち、収納側に向けてガイド壁部59から離間する向きに傾斜し、シェード20の収納側を臨む面を当接面54という。
<シェード装置の動作>
次にシェード装置10の動作について説明する。初期状態として、シェード20が収納状態にあるものとし、シェード20の引出動作から説明する。
まず、ノブ46を持って引出部材40を引出側に移動させてシェード20を引き出す。シェード20を引出状態まで引き出す際には、引出部材40を、引出位置、すなわち本体部42が引出保持機構部50の引出部材配設溝部58の内側に配設される位置に移動させる(図4参照)。
引出部材40が引出部材配設溝部58内に進入するまで移動されると、係止部52は、引出部材40の引出位置への移動に伴って、引出部材40の引出側端部に当接して進出形態から退避形態に弾性変形する向きに押圧される(図5参照)。すなわち、まず、引出部材40の引出側端部が進出形態の係止部52の当接面54に当接する。さらに引出部材40が移動されると、引出部材40の移動力により、引出部材40の引出側端部が当接面54に摺接しつつ係止部52を押し退けていく。これにより、係止部52は、退避形態側に弾性変形される。そして、引出部材40が引出位置まで移動されると、係止部52が元の進出形態に弾性復帰して、先端側部分が被係止部44内に進入する(図6参照)。この状態で、係止部52の係止面53と被係止部44の被係止面45が当接して係止部52が被係止部44に係止し、引出保持機構部50によって引出部材40が引出位置に保持される。すなわち、シェード20が引出状態に維持される。
次に、シェード20の収納動作を説明する。
まず、ノブ46を持って引出部材40を収納側に移動させる。引出部材40が引出位置から収納側に移動されると、係止部52は、引出部材40の引出位置から収納側への移動に伴って、引出部材40の被係止部44の開口縁部に当接して進出形態から退避形態に弾性変形する向きに押圧される(図5(二点鎖線の矢印)参照)。すなわち、引出部材40の移動力により、被係止面45の係止部52側端部が係止面53に摺接しつつ係止部52を押し退けていく。これにより、係止部52は、退避形態側に弾性変形され、被係止部44内から抜け出す。すなわち、引出保持機構部50による引出部材40の保持が解除される。
さらに、引出部材40が係止部52の先端側部分の底部(係止面53と当接面54との境界部分)を超える位置まで収納側に移動されると、係止部52は、当接面54が引出部材40の引出側端部に摺接しつつ進出形態に弾性復帰する(図5(二点鎖線の矢印)参照)。そして、引出部材40をシェード20が全量収納されるまで収納側に移動させることにより、シェード20の収納動作が完了する。
<効果>
第1実施形態に係るシェード装置10によると、引出部材40及び引出保持機構部50の一方に被係止部44が設けられ、他方に引出部材40が引出位置に移動された状態で被係止部44に係止する係止部52が設けられている。そして、係止部52は、引出部材40の引出位置への移動及び引出位置から収納側への移動に伴って、進出形態から退避形態に弾性変形する。このため、引出部材40を保持、保持解除する際に、引出保持機構部50に対して引出部材40を迂回して移動させる必要がない。これにより、引出部材40の迂回スペースを省略して、引出部材40の保持に係るスペースをなるべく小さくすることができる。また、引出部材40を迂回させて移動させる必要がないため、引出部材40がウインドウに接触することを抑制することができる。
また、引出部材40の引出収納動作に伴って係止部52を弾性変形させるため、引出部材40のシェード20を引出収納方向への操作だけを行えばよく、引出部材40の保持、保持解除をより容易に行うことができる。
また、引出部材40の引出位置から収納側への移動に伴って、係止部52が進出形態から退避形態に弾性変形する。このため、引出部材40が保持された状態において不意の外力によって収納方向への力が加わっても、係止部52の弾性変形により、引出部材40に対する保持が解除され、引出部材40及び引出保持機構部50に係る負荷を軽減することができる。
また、係止部52が、引出部材40の引出位置への移動及び引出位置から収納側への移動に伴って、引出部材40の引出側端部或いは引出保持機構部50の収納側端部に当接して押圧される。このため、簡易な構成で係止部52を弾性変形させて引出部材40を保持、保持解除することができる。
また、ガイド壁部59が、シェード20の厚さ方向において、係止部52が被係止部44に係止する側とは反対側から引出位置の引出部材40に対して接触するため、引出部材40をより確実に引出保持機構部50による保持位置(引出位置)に移動させることができる。また、ガイド壁部59が引出部材40に対してシェード20の厚さ方向において係止部52とは反対側から接触するため、引出保持機構部50により引出部材40をより確実に保持することができる。
また、係止部52が、被係止部44に対して引出状態のシェード20の厚さ方向から内側に進入して係止するため、引出部材40がシェード20の厚さ方向において肉薄に形成されている場合に、引出部材40の保持に係るスペースをより小さくできる。
また、引出保持機構部50に係止部52が設けられているため、引出部材40をよりコンパクトにできる。
また、係止部52及び被係止部44が引出部材40の長尺方向において複数設けられているため、より安定して引出部材40を保持することができる。
また、引出部材40の長尺方向におけるノブの両側に係止部52及び被係止部44が設けられているため、より安定して引出部材40を保持することができる。
また、シェード20の引出収納方向においてそれぞれ異なる向きに臨む一対の傾斜面である係止面53及び当接面54が係止部52に形成されている。このため、引出部材40の収納側から引出位置への移動及び引出位置から収納側への移動において係止面53及び当接面54が引出部材40の一部に当接した際に、係止部52が進出姿勢から退避姿勢に弾性変形しやすい。なお、図4では、係止面53及び当接面54が、側面視において、シェード20の引出収納方向に直交する面に対して互いに逆向きに同角度傾斜した例を示しているが、異なる角度で傾斜していてもよい。
<変形例>
これまで、係止部52が2つ設けられている例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、係止部52は、1つ又は3つ以上の複数でもよく、好ましくは、引出部材40の保持状態において、車両の振動等により引出部材40ががたつきなく保持されるように複数設けられているとよい。なお、引出部材40の被係止部44は、係止部52の数に対応して設けられるとよい。
引出保持機構部50として、1つの基部56に1つの係止部52が支持された保持体を複数有している例で説明してきたが、1つの基部56に複数の係止部52が設けられた構造を採用してもよい。
また、係止部52は引出部材40の被係止部44の内壁面である被係止面45に係止するように構成されている例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、係止部52は、引出部材のうちのシェード20の収納側を向く被係止面に対して係止可能であればよく、被係止面としての引出部材の収納側端面に対して係止可能に設けられていてもよい。
また、係止部52が先端側部分の底部がウインドウ12側を向く姿勢で配設される例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、係止部52は、先端側部分の底部が車室内側を向く姿勢で配設されていてもよい。この場合、係止部52は、進出形態から退避形態に弾性変形する際にウインドウ12側に向けて押圧される。また、この場合、ガイド壁部59は、引出位置に移動された引出部材40に対して車室内側から接触するように設けられているとよい。
また、基部56がガイド壁部59を有する例で説明してきたが、係止部52だけで十分に引出部材40を保持できる場合等には、このガイド壁部59は省略されてもよい。
また、これまで、シェード装置10について、巻取装置30をウインドウ12の床側に配設して、シェード20を床側から天井側に引き出す例で説明してきたが、これに限られるものではない。例えば、シェード装置は、巻取装置30をウインドウ12の天井側に配設して、シェード20を天井側から床側に引き出すように構成されていてもよい。この場合、引出保持機構部50は、ウインドウ12の床側枠部の近傍に配設されるとよい。
また、シート引出収納装置がシェード装置10である例について説明してきたが、本シート引出収納装置は、乗員乗り込みスペースとラゲッジルームとを仕切るトノカバー装置など、自動車においてシート状部材が引出収納される種々の用途に適用可能である。
また、係止部52に傾斜面としての係止面53及び当接面54が形成されている例で説明してきたが、引出部材40に一対の傾斜面が形成されていてもよい。図7〜図9には、一対の傾斜面として、本体部42aの引出側端部に形成された引出側端面43a及び被係止部44aの被係止面45aの一部とを有する引出部材40aが示されている。より具体的には、引出側端面43a及び被係止面45aは、シェード20の引出収納方向においてそれぞれ異なる向きに臨み、係止部52aの退避姿勢側の一部(もっとも全体でもよい)が引出収納方向において互いに離れるにつれて係止部52aの退避形態から進出形態に弾性復帰する向きに傾斜するように形成されている。
一方、引出保持機構部50aの係止部52aは、先端側部分が側面視U字状に形成されている。すなわち、係止部52aの先端側部分は、シェード20の引出収納方向においてそれぞれ異なる向きに臨み、U字状の先端側部分の底部の両側からそれぞれ係止面53a及び当接面54aが湾曲して引出収納方向に直交する向きに延在するように形成されている。
そして、引出部材40aが引出位置に向けて移動されて、引出部材40aの引出側端面43aが係止部52aの当接面54aに当接すると、係止部52aが引出側端面43aに沿って摺接しつつ押し退けられて退避形態に弾性変形する(図8参照)。さらに引出部材40aが移動されて引出位置に移動されると、係止部52aが被係止面45aに沿って摺接しつつ進出形態に弾性復帰する(図9参照)。これにより、係止面53aが被係止面45aに係止して、引出保持機構部50aが引出部材40aを保持する。
また、引出部材40aが引出位置から収納側に移動されると、係止部52aが被係止面45aに沿って摺接しつつ押し退けられて退避形態に弾性変形する(図8の二点鎖線の矢印参照)。さらに引出部材40aが移動されると、係止部52aが引出側端面43aに沿って摺接しつつ進出形態に弾性変形する(図7の二点鎖線の矢印参照)。これにより、引出部材40aを保持解除し、シェード20を収納することができる。
これまで、基部56に対して係止部52が基端部で片持ち状に支持されている例で説明してきたが、これに限られるものではない。図10〜図12には、基部56bに係止部52bが支持された引出保持機構部50bが示されている。
係止部52bは、第1実施形態に係る係止部52と同様に板バネで形成されているが、形状が異なる。より具体的には、係止部52bは、両端側部分が平板状に形成され、中間部分が側面視V字状に形成されている。係止部52bは、基部56bに対して、両端側部分同士が相対接離移動可能に支持されることにより、V字状の中間部分の底側への突出寸法を変化させるように弾性変形可能になっている。
そして、係止部52bは、側面視V字状の中間部分の底部がガイド壁部59側を向く姿勢で、中間部分が引出部材配設溝部58bの内側に突出する形態で配設される(進出形態、図10参照)。この形態で、係止部52bのV字状の中間部分の底側部分は、引出位置に配設された引出部材40の被係止部44の内側に進入する。また、係止部52bは、進出形態から、中間部分がガイド壁部59から離間する形態に弾性変形可能である(退避形態(図11参照)。この形態で、係止部52bの中間部分は、引出位置に配設された引出部材40の被係止部44の内側から退避する。退避形態の係止部52bは、進出形態と比較して、シェード20の厚さ方向における中間部分の寸法が小さくなり(開いたV字状になり)、両端側部分同士が離間する。
また、上述したように、係止部52bの中間部分は、側面視V字状に形成されている。より具体的には、係止部52bの中間部分には、進出形態において、シェード20の引出収納方向においてそれぞれ異なる向きに臨み、引出収納方向において互いに離れるにつれて進出形態から退避形態に弾性変形する向き(ガイド壁部59から離間する向き)に傾斜する一対の傾斜面が形成されている。一対の傾斜面のうち、引出側に向けてガイド壁部59から離間する向きに傾斜し、シェード20の引出側を臨む面を係止面53bという。また、一対の傾斜面のうち、収納側に向けてガイド壁部59から離間する向きに傾斜し、シェード20の収納側を臨む面を当接面54bという。
そして、引出部材40が引出位置に向けて移動されて、引出部材40の引出側端部が係止部52bの当接面54bに当接すると、引出部材40が当接面54bに沿って摺接し、係止部52bを押し退けて退避形態に弾性変形させる(図11参照)。さらに引出部材40が移動されて引出位置に移動されると、係止部52bが進出形態に弾性復帰する。これにより、係止面53bが被係止面45に係止して、引出保持機構部50bが引出部材40を保持する(図12参照)。
また、引出部材40が引出位置から収納側に移動されると、被係止面45が係止面53bに沿って摺接し、係止部52bを押し退けて退避形態に弾性変形させる(図11の二点鎖線の矢印参照)。さらに引出部材40が移動されると、引出部材40が係止面53bに沿って摺接し、引出部材40が係止部52cを越えた位置で係止部52bが進出形態に弾性復帰する(図10の二点鎖線の矢印参照)。これにより、引出部材40を保持解除し、シェード20を収納することができる。
また、図13〜図15には、基部56cに係止部52cが支持された引出保持機構部50cが示されている。
係止部52cは、弾性変形可能なゴム、エラストマー等により形成されている。より具体的には、係止部52cは、側面視において、矩形状部分の先端に二等辺三角形が設けられた五角形状に形成されている。
そして、係止部52cは、先端部がガイド壁部59側を向く姿勢で、先端部が引出部材配設溝部58の内側に突出する形態で配設される(進出形態、図13参照)。この形態で、係止部52cの先端部は、引出位置に配設された引出部材40の被係止部44の内側に進入する。また、係止部52cは、進出形態から、中間部分がガイド壁部59から離間する形態に弾性変形可能である(退避形態、図14参照)。この形態で、係止部52cの先端部は、引出位置に配設された引出部材40の被係止部44の内側から退避する。退避形態の係止部52cは、進出形態と比較して、シェード20の厚さ方向に圧縮されている。
また、上述したように、係止部52cの先端部は、側面視二等辺三角形状に形成されている。より具体的には、係止部52cの先端部には、進出形態において、シェード20の引出収納方向においてそれぞれ異なる向きに臨み、引出収納方向において互いに離れるにつれて進出形態から退避形態に弾性変形する向き(ガイド壁部59から離間する向き)に傾斜する一対の傾斜面が形成されている。一対の傾斜面のうち、引出側に向けてガイド壁部59から離間する向きに傾斜し、シェード20の引出側を臨む面を係止面53cという。また、一対の傾斜面のうち、収納側に向けてガイド壁部59から離間する向きに傾斜し、シェード20の収納側を臨む面を当接面54cという。
そして、引出部材40が引出位置に向けて移動されて、引出部材40の引出側端部が係止部52cの当接面54cに当接して押圧すると、引出部材40が当接面54cに沿って摺接し、係止部52cを押し退けて退避形態に弾性変形させる(図14参照)。さらに引出部材40が移動されて引出位置に移動されると、係止部52cが進出形態に弾性復帰する。これにより、係止面53cが被係止面45に係止して、引出保持機構部50cが引出部材40を保持する(図15参照)。
また、引出部材40が引出位置から収納側に移動されると、被係止面45が係止面53cに沿って摺接し、係止部52cを押し退けて退避形態に弾性変形させる(図14の二点鎖線の矢印参照)。さらに引出部材40が移動されると、引出部材40が係止面53cに沿って摺接し、引出部材40が係止部52cを越えた位置で係止部52cが進出形態に弾性復帰する(図13の二点鎖線の矢印参照)。これにより、引出部材40を保持解除し、シェード20を収納することができる。
また、これまで、係止部52がシェード20の厚さ方向一方側から引出部材40の被係止部44に対して係止する例で説明してきたが、これに限られるものではない。図16〜図18には、一対の係止部52が基部156に対して支持され、シェード20の厚さ方向両側から引出部材40の被係止部44に対して係止する引出保持機構部150を示している。
一対の係止部52は、基部156に対して、V字状の先端側部分の底部同士を向かい合わせ、基端側部分を平行にした姿勢で基端部が固定されている(進出形態、図16参照)。一対の係止部52の先端側部分同士の間隔は、シェード20の厚さ方向における引出部材40の寸法より小さく設定されている。この形態で、一対の係止部52の先端側部分の底側部分は、引出位置に配設された引出部材40の被係止部44に対して貫通方向両側から進入する。また、一対の係止部52は、進出形態から、先端側部分同士が離間する形態(退避形態、図17参照)に弾性変形可能である。この形態で、一対の係止部52は、引出位置に配設された引出部材40の被係止部44の内側から退避する。
そして、引出部材40が引出位置に向けて移動されて、引出部材40の引出側端部が一対の係止部52の当接面54に当接すると、引出部材40が当接面54に沿って摺接し、一対の係止部52を押し退けて退避形態に弾性変形させる(図17参照)。すなわち、引出部材40は、一対の係止部52の間に向けて移動され、一対の係止部52を、先端側部分同士が離間するように押し広げる。さらに引出部材40が移動されて引出位置に移動されると、被係止面45が係止面53に沿って摺接し、一対の係止部52が進出形態に弾性復帰する(図18参照)。これにより、一対の係止部52の各係止面53が被係止面45に係止して、引出保持機構部150が引出部材40を保持する。
また、引出部材40が引出位置から収納側に移動されると、被係止面45が一対の係止部52の各係止面53に沿って摺接し、一対の係止部52を押し退けて退避形態に弾性変形させる(図17の二点鎖線の矢印参照)。さらに引出部材40が移動されると、引出部材40が一対の係止部52を越えた位置で各係止部52が進出形態に弾性復帰する(図16の二点鎖線の矢印参照)。これにより、引出部材40を保持解除し、シェード20を収納することができる。
また、図19、図20には、引出部材補助部60を備えるシェード装置110を示している。引出部材補助部60は、引出位置に移動された引出部材40のがたつきを抑える部分である。この引出部材補助部60は、引出部材40の長尺方向において、引出保持機構部50に対して間隔をあけた位置に設けられ、引出位置の引出部材40に対して引出状態のシェード20の厚さ方向少なくとも一方から接触するように形成されている。ここでは、ウインドウ12の天井側枠部の近傍において、引出部材40の長尺方向における引出保持機構部50の両側の位置に、2つの引出部材補助部60が設けられている。より具体的には、2つの引出部材補助部60は、引出位置に移動された引出部材40の長尺方向両端近傍の部位に接触可能に設けられている。また、引出部材補助部60は、シェード20の厚さ方向において、引出部材40に対して係止部52とは反対側(ウインドウ12側)から接触するように設けられている。
この変形例に係る構成によると、引出部材補助部60が引出位置の引出部材40に接触するため、保持された引出部材40のがたつきをより効果的に抑制することができる。
また、引出部材40の長尺方向において、引出保持機構部の両側の位置にそれぞれ引出部材補助部60が設けられる場合、基部56に係止部52が支持された保持体を1つだけ備える引出保持機構部50sを採用してもよい。すなわち、図21に示した引出保持機構部50sは、引出位置に移動された引出部材40のノブ46の一側方のみに設けられた1つの保持体から構成されている。
また、図22、図23に示すシェード装置110aのように、上述した引出部材補助部60の代わりに引出部材補助部60aを採用してもよい。引出部材補助部60aは、引出部材40の引出側端部を内側に配設可能な溝状に形成されている。すなわち、引出部材補助部60aは、引出位置に移動された引出部材40に対して、シェード20の厚さ方向両側から接触する。
この変形例に係る構成によると、保持された引出部材40のがたつきを、シェード20の厚さ方向においてより効果的に抑制することができる。
また、シェード装置は、収納保持機構部をさらに備えていてもよい。収納保持機構部は、引出部材40を、シェード20を収納状態にする収納位置で保持可能に構成されている。収納保持機構部には、引出保持機構部50の係止部52と同様に引出部材40の被係止部44に対して弾性変形可能に係止可能な係止部が設けられる。すなわち、収納保持機構部の係止部は、引出部材40が収納位置に移動された際に、被係止部44に対して内側に進入して係止する。なお、収納保持機構部については、第2実施形態に係るシェード装置210の変形例において、より詳細に説明している。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態に係るシート引出収納装置としてのシェード装置210について説明する(図24〜図26参照)。シェード装置210のうち、第1実施形態に係るシェード装置10と異なる部分は引出部材240及び引出保持機構部250であり、同様の構成部分については同符号を付して説明を省略する。
<引出部材>
シェード20には、引出側端部に沿って長尺形状の引出部材240が取り付けられている。そして、引出部材240を引出収納方向に沿って移動操作することにより、シェード20を巻取装置30に対して引出、収納することができる。この引出部材240は、本体部242と、ノブ46(図示省略)とを含んでいる。
本体部242は、第1実施形態に係る引出部材40の本体部42とほぼ同様の外形に形成されているが、被係止部44の代わりに係止部243を有している。係止部243は、引出部材240が引出位置に移動された状態で後述する引出保持機構部250の被係止部254に係止するように形成されている(図26参照)。この係止部243は、シェード20の引出収納方向における引出部材240の引出位置への移動及び引出位置から収納側への移動に伴って押圧される位置に設けられている。そして、係止部243は、押圧されることによって、被係止部254に係止可能な進出形態から被係止部254に係止しない退避形態に弾性変形可能に形成されている。より具体的には、係止部243は、凹状の被係止部254に対して引出状態のシェード20の厚さ方向から内側に進入して係止可能に形成されている。
ここでは、係止部243は、両端側部分が平板状に形成され、中間部分が側面視V字状に形成された板バネにより構成されている。係止部243は、本体部242に対して、両端側部分同士が相対接離移動可能に支持されることにより、V字状の中間部分の底側への突出寸法を変化させるように弾性変形可能になっている。より具体的には、本体部242には、係止部243の両端側部分を内側に配設すると共に、中間部分を外部に突出させる凹部が形成されている。
また、係止部243は、本体部242の長尺方向に間隔をあけて複数(ここでは2つ)設けられている。より具体的には、係止部243は、本体部242の長手方向において、ノブ46の両側の位置に設けられている。
そして、係止部243は、側面視V字状の中間部分の底部がシェード20の厚さ方向一方側(ここでは車室内側)を向く姿勢で、中間部分が本体部242から突出する形態で配設される(図24参照)。この係止部243の形態を、進出形態という。この形態で、引出位置に配設された引出部材240の係止部243のV字状の中間部分の底側部分は、後述する引出保持機構部250の基部256に形成された被係止部254の内側に進入する(図26参照)。また、係止部243は、進出形態から、中間部分が本体部242に押し込まれた形態に弾性変形可能である(図25参照)。この係止部243の形態を、退避形態という。この形態で、係止部243の中間部分は、被係止部254の内側から退避する。退避形態の係止部243は、進出形態と比較して、シェード20の厚さ方向において本体部242から突出する中間部分の寸法が小さくなり(開いたV字状になり)、両端側部分同士が本体部242の内側で離間する。
また、上述したように、係止部243の中間部分は、側面視V字状に形成されている。より具体的には、係止部243の中間部分には、進出形態において、シェード20の引出収納方向においてそれぞれ異なる向きに臨み、引出収納方向において互いに離れるにつれて進出形態から退避形態に弾性変形する向き(ガイド壁部259に近接する向き)に傾斜する一対の傾斜面が形成されている。一対の傾斜面のうち、引出側に向けてガイド壁部259に近接する向きに傾斜し、シェード20の引出側を臨む面を当接面245という。また、一対の傾斜面のうち、収納側に向けてガイド壁部259に近接する向きに傾斜し、シェード20の収納側を臨む面を係止面244という。
<引出保持機構部>
引出保持機構部250は、引出部材240を、シェード20を引出状態にする引出位置で保持する部分である(図26参照)。すなわち、引出保持機構部250は、引出部材240を保持することにより、シェード20を引出状態に維持することができる。この引出保持機構部250は、ウインドウ12の天井側縁部の付近に配設されている。
引出保持機構部250は、基部256に被係止部254が形成され、引出部材240が引出位置に配設されると、係止部243が被係止部254に係止することにより引出部材240を保持する。この引出保持機構部250には、複数の係止部243に対応して、引出部材240の長尺方向において間隔をあけて複数の被係止部254が設けられている。ここでは、引出保持機構部250は、1つの基部256に1つの被係止部254が形成された保持体を複数有している。また、ここでは、引出保持機構部250は、引出部材240の長尺方向においてノブ46の両側に設けられた2つの係止部243に対応して、2つの保持体を有している。
基部256は、一方側で開口する略直方体状に形成されている。基部256には、引出位置に移動された引出部材240の本体部242における長尺方向一部分(引出側部分だけでもよい)を内側に配設可能な引出部材配設溝部258が形成されている。この引出部材配設溝部258は、基部256の開口側部分を引出部材240の長尺方向に横切って、対向する一対の壁部の開口側端部で開口する溝状に形成されている。より具体的には、引出部材配設溝部258は、引出部材240の本体部242のうちの係止部243が設けられた部位が収容される。より具体的には、引出部材配設溝部258は、引出部材240の本体部242の厚さ寸法より大きい(ここでは僅かに大きい)幅寸法で、且つ本体部242のうちの係止部243が形成された部位まで内側に挿入可能な深さ寸法に設定されている。
また、引出部材配設溝部258の一側部は、引出部材240の長尺方向に沿った壁部によって構成されている。この壁部をガイド壁部259という。ガイド壁部259は、シェード20の厚さ方向において、係止部243が被係止部254に係止する側と反対側から引出位置の引出部材240に対して接触するように形成されている。また、ガイド壁部259は、シェード20の引出収納方向に沿って延在している。
また、基部256には、引出部材配設溝部258の内壁面の一部で開口する凹状の被係止部254が形成されている。より具体的には、被係止部254は、引出位置に移動された引出部材240の係止部243と対向する位置で開口している。また、被係止部254は、本体部242から突出する進出形態の係止部243を内側に配設可能な大きさに形成されている。
また、被係止部254には、引出側を向く被係止面255が形成されている。すなわち、被係止面255は、被係止部254のうちの引出側を向く内壁面である。この被係止面255(ここでは、引出側を向く内壁面も同様)は、引出状態におけるシェード20の引出側端部と収納側端部とを結ぶ方向に直交する形状に形成されている。
基部256は、ネジ止め等により組み合わせ状態に維持される一対の合性樹脂成型部材により構成されているとよい。また、基部256は、ネジ止め等により、車両のサイドドアに固定可能に形成されているとよい。
<シェード装置の動作>
次にシェード装置210の動作について説明する。初期状態として、シェード20が収納状態にあるものとし、シェード20の引出動作から説明する。
まず、ノブ46を持って引出部材240を引出側に移動させてシェード20を引き出す。シェード20を引出状態まで引き出す際には、引出部材240を、引出位置、すなわち本体部242が引出保持機構部250の引出部材配設溝部258の内側に配設される位置に移動させる。
引出部材240が引出部材配設溝部258内に進入するまで移動されると、係止部243は、引出部材240の引出位置への移動に伴って、引出保持機構部250の引出部材配設溝部258の開口縁部に当接して進出形態から退避形態に弾性変形する向きに押圧される。すなわち、まず、引出部材配設溝部258の開口縁部が進出形態の係止部243の当接面245に当接する。さらに引出部材240が移動されると、引出部材240の移動力により、引出部材配設溝部258の開口縁部が当接面245に摺接しつつ係止部243を押し込んでいく。これにより、係止部243は、退避形態側に弾性変形される(図25参照)。そして、引出部材240が引出位置まで移動されると、係止部243が元の進出形態に弾性復帰して、中間部分が被係止部254内に進入する(図26参照)。この状態で、係止部243の係止面244と被係止部254の被係止面255が当接して係止部243が被係止部254に係止し、引出保持機構部250によって引出部材240が引出位置に保持される。すなわち、シェード20が引出状態に維持される。
次に、シェード20の収納動作を説明する。
まず、ノブ46を持って引出部材240を収納側に移動させる。引出部材240が引出位置から収納側に移動されると、係止部243は、引出部材240の引出位置から収納側への移動に伴って、引出保持機構部250の被係止部254の開口縁部に当接して進出形態から退避形態に弾性変形する向きに押圧される。すなわち、引出部材240の移動力により、被係止面255の開口側端部が係止面244に摺接しつつ係止部243を押し込んでいく。これにより、係止部243は、退避形態側に弾性変形され、被係止部254内から抜け出す(図25の二点鎖線の矢印参照)。すなわち、引出保持機構部250による引出部材240の保持が解除される。
さらに、係止部243の中間部分の底部(係止面244と当接面245との境界部分)が引出保持機構部250を超える位置まで収納側に移動されると、係止部243は、当接面245が引出部材配設溝部258の開口縁部に摺接しつつ進出形態に弾性復帰する(図24の二点鎖線の矢印参照)。そして、引出部材240をシェード20が全量収納されるまで収納側に移動させることにより、シェード20の収納動作が完了する。
<効果>
第2実施形態に係るシェード装置210によると、第1実施形態に係るシェード装置10と同様の構成により得られる効果を奏すると共に、引出部材240に係止部243が設けられているため、引出保持機構部250をよりコンパクトにすることができる。
<変形例>
これまで、係止部243が2つ設けられている例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、係止部243は、1つ又は3つ以上の複数でもよく、好ましくは、引出部材240の保持状態において、車両の振動等により引出部材240ががたつきなく保持されるように複数設けられているとよい。なお、引出保持機構部250の被係止部254は、係止部243の数に対応して設けられるとよい。
また、引出保持機構部250について、1つの基部256に1つの被係止部254が形成されている例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、引出保持機構部250は、1つの基部に複数の被係止部254が形成された構成であってもよい。
また、係止部243が中間部分の底部が車室内側を向く姿勢で配設される例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、係止部243は、中間部分の底部がウインドウ12側を向く姿勢で配設されていてもよい。この場合、被係止部254は車室内側に向けて開口し、係止部243は進出形態から退避形態に弾性変形する際に車室内側に向けて押圧される。また、この場合、ガイド壁部259は、引出位置に移動された引出部材240に対して車室内側から接触するように設けられているとよい。
また、基部256がガイド壁部259を有する例で説明してきたが、係止部243と被係止部254との係止だけで十分に引出部材240を保持できる場合等には、このガイド壁部259は省略されてもよい。
また、これまで、シェード装置210について、巻取装置30をウインドウ12の床側に配設して、シェード20を床側から天井側に引き出す例で説明してきたが、巻取装置30をウインドウ12の天井側に配設して、シェード20を天井側から床側に引き出すように構成されていてもよい。この場合、引出保持機構部250は、ウインドウ12の床側枠部の近傍に配設されるとよい。
また、シート引出収納装置がシェード装置210である例について説明してきたが、本シート引出収納装置は、乗員乗り込みスペースとラゲッジルームとを仕切るトノカバー装置など、自動車においてシート状部材が引出収納される種々の用途に適用可能である。
また、図27〜図30に示すシェード装置210aのように、収納保持機構部270をさらに備えていてもよい。収納保持機構部270は、引出部材240を、シェード20を収納状態にする収納位置に保持可能に構成されている。
収納保持機構部270には、引出保持機構部250の被係止部254と同様に引出部材240の係止部243が係止可能な被係止部274が設けられている(図30参照)。すなわち、収納保持機構部270は、引出部材240が収納位置に移動された際に、係止部243が収納保持機構部270の被係止部274に係止することにより引出部材240を保持する。
より具体的には、収納保持機構部270は、ドアトリムの上端部に形成されたシェード20引出用のスリットを挟んだ一対の壁部271、272を有している。この一対の壁部271、272は、ドアトリム又はドアインナーパネルと一体に形成されていてもよいし、巻取装置30の一部と一体に形成されていてもよい。一方の壁部271は、スリットのウインドウ12側に設けられ、収納位置の引出部材240に対してシェード20の厚さ方向一方側から接触する。また、他方の壁部272は、スリットの車室内側で、一方の壁部271に対して、引出部材40を配設可能な間隔をあけて設けられている。そして、引出部材240は、収納位置に移動されると一対の壁部271、272の間に配設される。
この他方の壁部272には、係止部243が係止可能な被係止部274が形成されている。この被係止部274は、引出部材240の複数の係止部243に対応して、引出部材240の長尺方向において間隔をあけて複数(ここでは引出部材240のノブ46の両側の2つの係止部243に対応して2つ)設けられている。
被係止部274は、一方の壁部271側に開口する凹状に形成されている。より具体的には、被係止部274は、収納位置に移動された引出部材240の係止部243と対向する位置で開口している。また、被係止部274は、本体部242から突出する進出形態の係止部243を内側に配設可能な大きさに形成されている。
また、被係止部274には、収納側を向く被係止面275が形成されている。すなわち、被係止面275は、被係止部274のうちの収納側を向く内壁面である。この被係止面275(ここでは、引出側を向く内壁面も同様)は、シェード20の引出収納方向に直交する形状に形成されている。
そして、引出部材240が一対の壁部271、272の間に進入するまで移動されると、係止部243は、引出部材240の収納位置への移動に伴って、収納保持機構部270の他方の壁部272の縁部に当接して進出形態から退避形態に弾性変形する向きに押圧される。すなわち、まず、他方の壁部272の引出側縁部が進出形態の係止部243の係止面244に当接する。さらに引出部材240が移動されると、引出部材240の移動力により、他方の壁部272の引出側縁部が係止面244に摺接しつつ係止部243を押し込んでいく。これにより、係止部243は、退避形態側に弾性変形される(図29参照)。そして、引出部材240が収納位置まで移動されると、係止部243が元の進出形態に弾性復帰して、中間部分が被係止部274内に進入する(図30参照)。この状態で、係止部243の当接面245と被係止部274の被係止面275が当接して係止部243が被係止部274に係止し、収納保持機構部270によって引出部材240が収納位置に保持される。すなわち、引出部材240が保持され、シェード20が収納状態に維持される。
また、引出部材240が収納位置から引出側に移動されると、係止部243は、引出部材240の収納位置から引出側への移動に伴って、収納保持機構部270の被係止部274の開口縁部に当接して進出形態から退避形態に弾性変形する向きに押圧される。すなわち、引出部材240の移動力により、被係止面275の開口側端部が係止面245に摺接しつつ係止部243を押し込んでいく。これにより、係止部243は、退避形態側に弾性変形され、被係止部274内から抜け出す(図29の二点鎖線の矢印参照)。すなわち、収納保持機構部270による引出部材240の保持が解除される。
さらに、係止部243の中間部分の底部(係止面244と当接面245との境界部分)が他方の壁部272を超える位置まで引出側に移動されると、係止部243は、係止面244が他方の壁部272の引出側縁部に摺接しつつ進出形態に弾性復帰する(図28の二点鎖線の矢印参照)。そして、引出部材240が引出側に移動されることによりシェード20が引き出され、引出部材240が引出位置まで移動されると、係止部243が被係止部254に係止して引出動作が完了する。
この変形例に係る構成によると、収納保持機構部270によって収納位置で引出部材240を保持可能であるため、シェード20の収納状態における引出部材240のがたつきを抑制することができる。
<第3実施形態>
以下、第3実施形態に係るシート引出収納装置としてのシェード装置310について説明する(図31〜図33参照)。シェード装置310のうち、第1実施形態に係るシェード装置10と異なる部分は引出部材340及び引出保持機構部350であり、同様の構成部分については同符号を付して説明を省略する。
<引出部材>
シェード20には、引出側端部に沿って長尺形状の引出部材340が取り付けられている。そして、引出部材340を引出収納方向に沿って移動操作することにより、シェード20を巻取装置30に対して引出、収納することができる。この引出部材340は、本体部342と、ノブ46とを含んでいる。
本体部342は、シェード20の引出側端部に取り付けられる部分であり、長尺棒状に形成された部分である。本体部342には、後述する引出保持機構部350の係止部352が係止するための被係止部344が設けられている。被係止部344は、引出部材340の長尺方向に開口する凹状に形成されている。また、被係止部344には、シェード20の収納側を向く被係止面345が形成されている。すなわち、被係止面345は、被係止部344のうちの収納側を向く内壁面である。ここでは、本体部342には、長尺方向部分的に引出側に突出する突出部分が形成され、その側部に長尺方向に開口する凹状の被係止部344が形成されている。もっとも、本体部342の形状はこれに限られず、引出側に開口する凹部が形成され、その凹部の側壁面において開口する凹状の被係止部が形成されていてもよい。この被係止面345(ここでは、引出側を向く内壁面も同様)は、シェード20の引出収納方向に直交する形状に形成されている。
また、被係止部344は、本体部342の長尺方向に間隔をあけて複数形成されている。ここでは、本体部342の突出部分の両側で異なる向きに開口する1組(2つ)の被係止部344が形成され、引出部材340の長尺方向において間隔をあけて複数組の被係止部344が設けられている。本体部342には、長尺方向において複数の突出部分が形成されている。
<引出保持機構部>
引出保持機構部350は、引出部材340を、シェード20を引出状態にする引出位置で保持する部分である(図33参照)。この引出保持機構部350は、係止部352と、基部356とを有している。概略的には、引出保持機構部350は、基部356に対して係止部352が変形可能に支持され、引出部材340が自身の長尺方向に係止部352を押し退けて引出位置に配設されると、係止部352が被係止部344に係止することにより引出部材340を保持する。
この引出保持機構部350には、引出部材40の長尺方向において間隔をあけて複数の係止部352が設けられている。より具体的には、引出保持機構部350は、1つの基部356に2つの係止部352が支持された保持体を複数有している。ここでは、引出保持機構部350は、引出部材340の長尺方向においてノブ46の両側に設けられた2組の被係止部344に対応して、2つの係止部352(2組の保持体)を有している。
基部356は、係止部352を変形可能なスペースをあけて部分的又は全体的に(ここでは全体的に)収容可能な筐状に形成されている。より具体的には、基部356は、一方側で開口する略直方体状に形成されている。なお、図31〜図33では、基部356の内部を示している。
また、基部356には、引出位置に移動された引出部材340の本体部342における長尺方向一部分(引出側部分だけでもよい)を内側に配設可能な引出部材配設溝部358が形成されている。この引出部材配設溝部358は、基部356の開口側部分を引出部材340の長尺方向に横切って、対向する一対の壁部の開口側端部で開口する溝状に形成されている。そして、引出部材配設溝部358の内側には、引出部材340の本体部342のうちの被係止部344が形成された部位が収容される。より具体的には、引出部材配設溝部358は、引出部材340の本体部342の厚さ寸法より大きい(ここでは僅かに大きい)幅寸法で、且つ本体部342のうちの被係止部344が形成された部位まで内側に挿入可能な深さ寸法に設定されている。
また、引出部材配設溝部358は、引出部材340の長尺方向に沿った壁部(ここではウインドウ12側の壁部)に隣接して形成されている。すなわち、引出部材配設溝部358の一側部は、引出部材340の長尺方向に沿った壁部によって構成されている。この壁部をガイド壁部359という。ガイド壁部359は、シェード20の厚さ方向の両側(若しくは片側)から引出位置の引出部材340に対して接触するように形成されている。また、ガイド壁部359は、シェード20の引出収納方向に沿って延在している。
係止部352は、引出部材340が引出位置に移動された状態で、被係止部344に係止する部分である。この係止部352は、シェード20の引出収納方向における引出部材340の引出位置への移動及び引出位置から収納側への移動に伴って押圧される位置に設けられている。そして、係止部352は、押圧されることによって、被係止部344に係止可能な進出形態から被係止部344に係止しない退避形態に弾性変形可能に形成されている(図32参照)。より具体的には、係止部352は、凹状の被係止部344に対して引出部材340の長尺方向から内側に進入して係止可能に形成されている(図33参照)。
ここでは、係止部352は、基端側部分が平板状に形成され、先端側部分が側面視V字状に形成された板バネにより構成されている。そして、係止部352は、基端部が基部356の奥部に固定されることにより、基部356に弾性変形可能に支持されている。より具体的には、一対の係止部352は、基端側部分の厚さ方向が引出部材340の長尺方向に沿うと共に側面視V字状の先端側部分の底部同士が向き合う姿勢で配設される。この係止部352の形態を、進出形態という。この形態で、係止部352のV字状の先端側部分の底側部分は、引出位置に配設された引出部材340の被係止部344の内側に進入する。また、一対の係止部352は、進出形態から、先端側部分が互いに離間する形態に弾性変形可能である。この係止部352の形態を、退避形態という。この形態で、係止部352の先端側部分は、引出位置に配設された引出部材340の被係止部344の内側から退避する。退避形態の係止部352は、進出形態と比較して、基端側部分が厚さ方向に湾曲すると共に、先端側部分が基端側部分に対して傾き、先端側部分自体が歪むように変形する。なお、図32では、係止部352が基端部を支点に姿勢変更している簡単化した形態を示している。
また、上述したように、係止部352の先端側部分は、側面視V字状に形成されている。より具体的には、係止部352の先端側部分には、進出形態において、シェード20の引出収納方向においてそれぞれ異なる向きに臨み、引出収納方向において互いに離れるにつれて進出形態から退避形態に弾性変形する向きに傾斜する一対の傾斜面が形成されている。一対の傾斜面のうち、引出側に向けてもう一方の係止部352から離間する向きに傾斜し、シェード20の引出側を臨む面を係止面353という。また、一対の傾斜面のうち、収納側に向けてもう一方の係止部352から離間する向きに傾斜し、シェード20の収納側を臨む面を当接面354という。
<シェード装置の動作>
次にシェード装置310の動作について説明する。初期状態として、シェード20が収納状態にあるものとし、シェード20の引出動作から説明する。
まず、ノブ46を持って引出部材340を引出側に移動させてシェード20を引き出す。シェード20を引出状態まで引き出す際には、引出部材340を、引出位置、すなわち本体部342が引出保持機構部350の引出部材配設溝部358の内側に配設される位置に移動させる。
引出部材340が引出部材配設溝部358内に進入するまで移動されると、係止部352は、引出部材340の引出位置への移動に伴って、引出部材340の突出部分に当接して進出形態から退避形態に弾性変形する向きに押圧される。すなわち、まず、引出部材340の突出部分が進出形態の係止部352の当接面354に当接する。さらに引出部材340が移動されると、引出部材340の移動力により、引出部材340の突出部分が当接面354に摺接しつつ係止部352を押し退けていく。これにより、係止部352は、退避形態側に弾性変形される(図32参照)。そして、引出部材340が引出位置まで移動されると、係止部352が元の進出形態に弾性復帰して、先端側部分が被係止部344内に進入する(図33参照)。この状態で、係止部352の係止面353と被係止部344の被係止面345が当接して係止部352が被係止部344に係止し、引出保持機構部350によって引出部材340が引出位置に保持される。すなわち、シェード20が引出状態に維持される。
次に、シェード20の収納動作を説明する。
まず、ノブ46を持って引出部材340を収納側に移動させる。引出部材340が引出位置から収納側に移動されると、係止部352は、引出部材340の引出位置から収納側への移動に伴って、引出部材340の被係止部344の開口縁部に当接して進出形態から退避形態に弾性変形する向きに押圧される。すなわち、引出部材340の移動力により、被係止面345の開口側端部が係止面353に摺接しつつ係止部352を押し退けていく。これにより、係止部352は、退避形態側に弾性変形され、被係止部344内から抜け出す(図32の二点鎖線の矢印参照)。すなわち、引出保持機構部350による引出部材340の保持が解除される。
さらに、引出部材340の突出部分が係止部352の先端側部分の底部(係止面353と当接面354との境界部分)を超える位置まで収納側に移動されると、係止部352は、当接面354が引出部材340の突出部分に摺接しつつ進出形態に弾性復帰する(図33の二点鎖線の矢印参照)。そして、引出部材340をシェード20が全量収納されるまで収納側に移動させることにより、シェード20の収納動作が完了する。
<効果>
第3実施形態に係るシェード装置310によると、係止部352が、被係止部344に対して引出部材340の長尺方向から内側に進入して係止するため、引出部材340がシェード20の厚さ方向において肉厚に形成されている場合に、引出部材340の保持に係るスペースをより小さくできる。
<変形例>
これまで、係止部352が2組設けられている例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、係止部352は、1組又は3組以上の複数でもよく、好ましくは、引出部材340の保持状態において、車両の振動等により引出部材340ががたつきなく保持されるように複数設けられているとよい。なお、引出部材340の被係止部344は、係止部352の数に対応して設けられるとよい。
引出保持機構部350として、1つの基部356に1つの係止部352が支持された保持体を複数有している例で説明してきたが、1つの基部356に複数の係止部352が設けられた構造を採用してもよい。
また、1組の係止部352が、先端側部分の底部同士を向かい合わせて配設される例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、図34〜図36に示すシェード装置310aのように、1組(2つ)の係止部352が、先端側部分の底部同士が互いに反対側を向く姿勢で配設されていてもよい。この場合、引出部材340aの本体部342aには、引出側に開口する凹部が形成され、この凹部のうちの引出部材340aの長尺方向に対向する壁面において開口するように1組の凹状の被係止部344aが形成される。この1組の被係止部344aは、それぞれ収納側を向く被係止面345aを有している。
そして、引出部材340aが引出位置に向けて移動されると、引出部材340aの凹部の引出側縁部が進出形態の係止部352の当接面354に当接する。さらに引出部材340が移動されて基部356aの引出部材配設溝部358内に進入すると、引出部材340の移動力により、引出部材340aの凹部の引出側縁部が当接面354に摺接しつつ係止部352を押し退けていく。これにより、係止部352は、退避形態側に弾性変形される(図35参照)。そして、引出部材340aが引出位置まで移動されると、係止部352が元の進出形態に弾性復帰して、先端側部分が被係止部344a内に進入する(図36参照)。この状態で、係止部352の係止面353と被係止部344aの被係止面345aが当接して係止部352が被係止部344aに係止し、引出保持機構部350aによって引出部材340aが引出位置に保持される。すなわち、シェード20が引出状態に維持される。
また、引出部材340aが引出位置から収納側に移動されると、係止部352は、引出部材340aの引出位置から収納側への移動に伴って、引出部材340aの被係止部344aの開口縁部に当接して進出形態から退避形態に弾性変形する向きに押圧される。すなわち、引出部材340aの移動力により、被係止面345aの係止部352側端部が係止面353に摺接しつつ係止部352を押し退けていく。これにより、係止部352は、退避形態側に弾性変形され、被係止部344a内から抜け出す(図35の二点鎖線の矢印参照)。すなわち、引出保持機構部350による引出部材340aの保持が解除される。
さらに、引出部材340aの凹部の引出側縁部が係止部352の先端側部分の底部を超える位置まで収納側に移動されると、係止部352は、当接面354が引出部材340aの突出部分に摺接しつつ進出形態に弾性復帰する(図34の二点鎖線の矢印参照)。そして、引出部材340aをシェード20が全量収納されるまで収納側に移動させることにより、シェード20の収納動作が完了する。
また、基部356aがガイド壁部359を有する例で説明してきたが、係止部352だけで十分に引出部材340aを保持できる場合等には、このガイド壁部359は省略されてもよい。
また、シェード装置は、巻取装置30をウインドウ12の天井側に配設して、シェード20を天井側から床側に引き出すように構成されていてもよい。
また、シート引出収納装置がシェード装置310である例について説明してきたが、本シート引出収納装置は、乗員乗り込みスペースとラゲッジルームとを仕切るトノカバー装置など、自動車においてシート状部材が引出収納される種々の用途に適用可能である。
以上のように、シート引出収納装置は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。