<第1実施形態>
以下、第1実施形態に係るシート引出収納装置としてのシェード装置10について説明する。シェード装置10は、車両のウインドウ12を遮蔽するための装置である(図1〜図4参照)。
<ウインドウ>
説明の便宜上、シェード装置10を適用するウインドウ12について説明しておく。ここでは、ウインドウ12は、自動車における車室の後端に設けられるリアウインドウである。このウインドウ12は、上側に短辺を有すると共に下側に長辺を有する台形状に形成されているものとする。もっとも、ウインドウ12は、リアウインドウ以外のウインドウであってもよいし、矩形状等の台形状以外の形状であってもよいことは言うまでもない。
ここでは、シェード装置10は、ウインドウ12の床側に配設される。より具体的には、ウインドウ12の床側には、リアパッケージトレイ、バックドアトリム等の合成樹脂により形成された内装部材14(ここではリアパッケージトレイ)が設けられている。また、この内装部材14には、内側から車室内に後述するシェード20を引き出すために、ウインドウ12の床側縁部に沿って形成されたスリット部15が形成されている。そして、シェード装置10は、内装部材14の内側に配設され、スリット部15を通じてシェード20を引き出して該シェード20によりウインドウ12を遮蔽する。もっとも、シェード装置10は、内装部材14の他に、金属パネルの内側等に配設されてもよい。
スリット部15は、シェード20及び後述する引出部材40を通過可能な幅寸法及び長さ寸法に設定されている。ここでは、スリット部15の長さ寸法は、ウインドウ12の最大幅寸法と同じかそれより大きい寸法に設定されている。
<シェード装置>
本シェード装置10は、シート状部材としてのシェード20と、巻取装置30と、引出部材40と、ワイヤー45と、引出保持機構部50とを備える。概略的には、シェード装置10は、巻取装置30に対して引出収納可能に巻き取られるシェード20を、該シェード20に取り付けられた引出部材40を移動操作することにより引き出してウインドウ12を遮蔽することが可能に構成されている。
ここでは、シェード20は、ウインドウ12に沿って床側から天井側に向けて引き出される。そして、シェード20が引出収納される方向を引出収納方向と称し、その向きを引出側、収納側と称する。
<シェード>
シェード20は、ウインドウ12を遮蔽するシート状部材である(図4参照)。このシェード20は、布材、メッシュ状の布材、樹脂シート等を裁断、縫製等して、ウインドウ12を遮蔽可能な大きさ及び形状に形成されている。ここでは、シェード20は引出側端部に短辺を有すると共に収納側端部に長辺を有する台形状に形成されている。
もっとも、シェード20は、遮蔽対象であるウインドウ12の形状に対応した形状に形成されていればよく、上記台形状以外にも矩形等の種々の形状に形成されていてよい。
<巻取装置>
上記シェード20は、巻取装置30に取り付けられている。巻取装置30は、巻取シャフト32と、回転支持部34と、図示省略の巻取付勢部とを備えている(図5参照)。そして、巻取装置30は、シェード20を引出収納方向に沿って引出収納可能に巻き取るように構成されている。
巻取シャフト32は、長尺円筒状に形成された部材であり、回転支持部34により、中心軸周りに相対回転可能に支持されている。この巻取シャフト32の外周面には、その軸方向に沿ってシェード20の収納側端部が固定されている。また、回転支持部34は、巻取シャフト32の両端部をそれぞれ中心軸周りに相対回転可能に支持する一対の支持片を有している。
また、巻取シャフト32は、巻取付勢部により、回転支持部34に対してシェード20の巻取方向に付勢されている。巻取付勢部は、例えばコイルバネであり、一端部が巻取シャフト32の内部に固定され、他端部が回転支持部34に固定されている。図5では、巻取付勢部の巻取付勢方向を矢印で示している。そして、シェード20は、巻取付勢部による巻取力より大きい引出力が作用しない状態で当該巻取力により巻取シャフト32に巻き取られ、巻取力より大きい引出力が作用すると巻取シャフト32から引き出される。
また、ここでは、巻取装置30は、固定基部80により車両に固定されている。より具体的には、回転支持部34が固定基部80に固定され、固定基部80が車両の金属パネル、フレーム又は内装部材等に固定されている。この固定基部80は、金属板を打抜きプレス等して形成された部材を組み合わせて形成されてもよいし、合成樹脂材料を射出成型又は押出成形等して形成された部材を組み合わせて形成されてもよい。
<引出部材>
シェード20には、引出側端部に沿って長尺形状の引出部材40が取り付けられている。この引出部材40は、本体部42と、突出部としてのワイヤー取付部44とを含んでいる(図4参照)。
本体部42は、シェード20の引出側端部に取り付けられる部分であり、長尺棒状に形成された部分である。この本体部42は、シェード20の引出側端部と同じかそれより大きい長手寸法に設定されている。
また、本体部42は、角部43を含んでいる。この角部43は、シェード20の厚さ方向における少なくとも後述する保持部72が設けられた一端側に、該一端側を向く面と収納側(巻取装置30側)を向く面とで形成される部分である。ここでは、角部43は、シェード20の厚さ方向のうちのウインドウ12から離間する側を向く面と収納側を向く面との交差部分で形成されている。もっとも、角部43は、シェード20の厚さ方向両側に形成されていてもよい。
ワイヤー取付部44は、後述するワイヤー45が取り付けられる部分である。このワイヤー取付部44は、本体部42の長手方向中途部から、該長手方向に直交する向き(ここでは引出側)に突出する形状に形成されている。より具体的には、ワイヤー取付部44は、先端側ほどシェード20の厚さ方向における寸法が小さくなる形状に形成されている。引出部材40の移動操作時における姿勢の安定性の観点から言うと、ワイヤー取付部44は、本体部42(引出部材40)の中間部に設けられ、ワイヤー45が引出部材40の中間部に取り付けられるようにされていることが好ましい。また、ワイヤー取付部44には、ワイヤー45を通すための貫通孔部が形成されている。
そして、この引出部材40を引出収納方向に沿って移動操作することにより、シェード20を巻取装置30に対して引出、収納することができる。シェード20が巻き取られて内装部材14内に退避した状態を収納状態、シェード20が引き出されてウインドウ12を遮蔽した状態を引出状態と称する。
上述した固定基部80は、シェード20の収納状態において、引出部材40を支持可能に形成されている。例えば、固定基部80は、引出部材40に対して凹凸嵌合可能な形状に形成された嵌合支持部82と、引出部材40を載置状に支持可能な載置支持部84とを備える構成を採用できる。なお、引出部材40自体も、嵌合支持部82に対して凹凸嵌合可能な凹凸部分を有しているとよい。
<ワイヤー>
ワイヤー45は、引出部材40をシェード20の引出側へ移動操作するための部分である。このワイヤー45は、一端部が引出部材40(ここでは長手方向中間部)に取り付けられている。ここでは、ワイヤー45の一端部は、ワイヤー取付部44に対して、貫通孔部に通す形態で固定されている。
また、ワイヤー45は、自動車の後方から前方に向けて配索されている。そして、ワイヤー45は、天井の内装部材であるルーフライナー16の内側を通して配索され、他端部が引っ張られることにより引出部材40の移動操作を行う。ここでは、ワイヤー45は、車両の前後方向において1列目の座席と2列目の座席との間の位置で且つ車両の幅方向において運転席921と助手席922との間(好ましくは車幅方向中間)の位置から車室内に引き出されている(図6参照)。例えば、図1、図2に示すように、ワイヤー45は、1列目の座席92と2列目の座席94との間で天井に配設されるルームランプ等が設けられるルーフコンソール18から引き出されるとよい。また、ワイヤー45の他端部には、引っ張り操作用の取手部47が設けられていてもよい。
また、ワイヤー45は、図1、図2に示すように、ルーフライナー16の内側に1つ又は複数(ここでは1つ)の経路規制部17により経路規制されて配索されているとよい。経路規制部17は、例えば、車両の前後方向に沿った溝状又は孔状に形成されているとよい。好ましくは、経路規制部17は、ルーフコンソール18を通じてルーフライナー16内から車室内へ引き出される手前の箇所において設けられているとよい。
このワイヤー45は、金属線(複数の金属線を撚り合わせたものを含む)、金属線を合成樹脂コーティングした或いは合成樹脂チューブで覆った線材、合成樹脂線等を採用するとよい。少なくとも、ワイヤー45は、引出部材40を、巻取装置30の巻取力に逆らって引出側に移動操作可能な程度の引張強度を有していることが好ましい。
また、ワイヤー45は、ワイヤー案内部によって、引出保持機構部50が引出部材40を保持する位置を通る経路に案内されている。このワイヤー案内部は、後述するスライダ部52のワイヤー挿通孔部55を含む部分である。
<引出保持機構部>
引出保持機構部50は、引出部材40を、シェード20が引き出された状態で保持する部分である。すなわち、引出保持機構部50により引出部材40を保持することにより、シェード20を引出状態に維持することができる。
この引出保持機構部50は、ウインドウ12の天井側縁部の付近に配設されている。引出保持機構部50は、一部がルーフライナー16の内側に配設されると共に他の部分がルーフライナー16から車室内に露出するように配設されてもよいし、全体が車室内に露出していてもよい。
引出保持機構部50は、押込部としてのスライダ部52と、支持基部62と、進出付勢部66と、リンク68と、一対の保持部72と、開付勢部74とを備えている(図7、図8参照)。概略的には、引出保持機構部50は、引出部材40を引出側に移動させることによりスライダ部52が押動され、引出部材40によりスライダ部52が支持基部62に対してシェード20の引出側に押し込まれるたびに、一対の保持部72を保持姿勢と保持解除姿勢とで姿勢変更させるように構成されている。
スライダ部52は、移動操作される引出部材40により押動される部分である。このスライダ部52は、引出部材40の移動経路上に配設されている。すなわち、スライダ部52は、引出部材40が引き出される途中の位置で該引出部材40に対して当接する。スライダ部52は、全体として略直方体形状に形成されている。そして、スライダ部52は、連結軸部53と、受け凹部54と、ワイヤー挿通孔部55と、カム部56とを備えている。
スライダ部52には、一対の保持部72が連結されている。連結軸部53は、保持部72が連結される部分である。この連結軸部53は、スライダ部52の先端部のうちの対向する一対の縁部に対して、引出部材40の長手方向(ウインドウ12の幅方向)に沿って設けられている。ここで、スライダ部52の先端部のうちの一対の縁部とは、該先端部のうちの後述する支持基部62の一対の側壁部65側の各部分である。そして、一対の保持部72が、一対の連結軸部53周りにそれぞれ相対回転可能に連結されている。
一対の保持部72は、先端部から側方に突出して引出部材40の角部43に引掛り可能な引掛部73を有した略L字形状に形成されている。また、一対の保持部72は、引掛部73を向かい合わせる形態で、基端部が連結軸部53にそれぞれ軸支され、スライダ部52に対して相対回転可能に連結されている。すなわち、一対の保持部72は、各先端部を接離するように、連結軸部53を回転中心として保持姿勢と保持解除姿勢とで姿勢変更可能である。ここで、保持姿勢とは、一対の保持部72の先端部同士が近接して、引出部材40を一対の保持部72の間に挟んで保持可能な姿勢である。この保持姿勢では、保持部72の外側の面が、スライダ部52の側端面と略面一になるように設定されている。また、保持解除姿勢とは、一対の保持部72の先端部同士が離間して引出部材40が各先端部の間を通り抜け可能となり、引出部材40を保持解除する姿勢である。
また、一対の保持部72は、一対の開付勢部74により、それぞれ先端部同士が離間する向きに、すなわち保持姿勢から保持解除姿勢に向けて付勢されている。ここでは、開付勢部74として、ねじりコイルばねが採用されている。すなわち、開付勢部74は、連結軸部53の回転軸部の外周に配設され、保持部72をスライダ部52に対して回転軸部周りに付勢している。そして、一対の保持部72に対して、先端部同士が近接する向きに各開付勢部74の付勢力より強い外力が作用すると、一対の保持部72は引出部材40を把持可能な保持姿勢となる。
受け凹部54は、スライダ部52を押動する引出部材40のワイヤー取付部44を受ける部分であり、該ワイヤー取付部44を、引出部材40の長手方向及びシェード20の厚さ方向に移動規制可能に形成されている。この受け凹部54は、スライダ部52の先端部に設けられ、ワイヤー取付部44(或いはその先端側部分)を、内側に配設可能に形成されている。より具体的には、受け凹部54は、ワイヤー取付部44の外部形状に沿った凹形状に形成されている。ここでは、受け凹部54は、一対の保持部72同士を結ぶ方向(シェード20の厚さ方向)において、奥側ほどシェード20の厚さ方向における寸法が小さくなる形状に形成されている。すなわち、シェード20の厚さ方向において、最も奥側の部分の両側に斜面を有している。また、受け凹部54は、ワイヤー取付部44(或いはその先端側部分)より大きく(ここでは僅かに大きく)設定されている。また、受け凹部54は、保持部72の保持位置(一対の保持部72の間の位置)に引出部材40が配設される位置で内側にワイヤー取付部44を配設可能な位置に設けられている。
そして、引出部材40によりスライダ部52が押動される際に、受け凹部54にワイヤー取付部44が進入すると、該ワイヤー取付部44が受け凹部54の斜面に当接することにより、引出部材40が一対の保持部72の間の保持位置に案内される。
上述したように、本装置では、ワイヤー案内部により、ワイヤー45を、引出保持機構部50が引出部材40を保持する位置を通る経路に案内する。ここでは、引出保持機構部50により、ワイヤー45を前記位置を通る経路に案内するように構成されている。そして、ワイヤー案内部は、ワイヤー挿通孔部55を含んでいる。
ワイヤー挿通孔部55は、引出部材40に取り付けられたワイヤー45を挿通可能な孔部である。より具体的には、ワイヤー挿通孔部55は、スライダ部52の先端側から基端側に貫通する形状に形成されている。ここでは、ワイヤー挿通孔部55は、スライダ部52の先端側において、受け凹部54の内側(ここでは最も奥側の部分)で開口している。
また、ワイヤー挿通孔部55は、ワイヤー45の直径より大きい(ここでは僅かに大きい)直径の断面視円形の孔状に形成されている。そして、ワイヤー挿通孔部55は、ワイヤー取付部44が受け凹部54に進入するまでの間、引出部材40から延びるワイヤー45を、シェード20の厚さ方向及び引出部材40の長手方向に移動規制する。また、ここでは、ワイヤー挿通孔部55は、貫通方向に直交する断面視において、スライダ部52の略中心に形成されている。すなわち、ワイヤー挿通孔部55は、引出部材40を、一対の保持部72の間の位置に案内する。
カム部56は、スライダ部52の表面(一対の保持部72を結ぶ方向に沿った一側面)において、溝状に形成されている(図7、図8参照)。このカム部56は、一端部が支持基部62の内面に連結されたリンク68の他端部に設けられたカムフォロア69を案内する部分である。カム部56の詳細な形状については後で詳述する。
リンク68は、長尺棒状に形成され、一端部が支持基部62の内側面に対して直交する軸周りに回転可能に連結されている。リンク68の他端部に設けられたカムフォロア部69は、スライダ部52のカム部56内に突出してその内側で移動可能な凸状に形成されている。このカムフォロア部69は、略円柱状に突出している。すなわち、カムフォロア部69は、リンク68を介して支持基部62に対して連結されている。
支持基部62は、スライダ部52を、引出部材40の移動方向(引出収納方向)に移動可能に支持する部分である。この支持基部62は、シェード20の厚さ方向に対向する一対の側壁部65を含んでいる。より具体的には、支持基部62は、一方が開口した筐状に形成されている。そして、支持基部62は、開口を通じて内側にスライダ部52が配設され、該スライダ部52が開口と底部とを結ぶ奥行方向に沿わせて移動可能となるように形成されている。なお、スライダ部52は、支持基部62に対して、先端部と基端部とを結ぶ方向が支持基部62の奥行方向に沿う姿勢で配設されている。
ここでは、支持基部62は、略直方体状の内部空間を有する形状に形成されている。より具体的には、支持基部62の内部空間には、スライダ部52が奥行方向に移動可能に配設されると共に、進出付勢部66及びリンク68が配設されている。また、支持基部62は、保持姿勢の一対の保持部72を内側に配設可能である。一方、一対の保持部72は、保持解除姿勢のままでは支持基部62の内側に配設不能である。
一対の側壁部65は、その先端部にそれぞれ延出部651を含んでいる(図7、図8参照)。この一対の延出部651は、一対の保持部72を閉操作するための部分である。つまり、一対の保持部72は、スライダ部52が支持基部62に対して退避した退避位置で一対の側壁部65の延出部651に当接して保持姿勢となる。また、一対の保持部72は、スライダ部52が支持基部62に対して収納側に進出した進出位置で、一対の側壁部65の延出部651に非当接となって保持解除姿勢となる。すなわち、一対の保持部72は、一対の開付勢部74によってそれぞれ開方向に付勢されているため、閉方向に外力が作用しない状態では保持解除姿勢に維持される。この状態は、一対の保持部72の基端部が一対の延出部651より前方に位置するようにスライダ部52が支持基部62に対して進出した状態である。一方、前記状態からスライダ部52が退避移動して、保持解除姿勢の一対の保持部72の基端部が一対の延出部651に当接すると、延出部651により保持部72に対して閉方向の力が作用する。これにより、一対の保持部72は、基端部が支持基部62の内側に進入しつつ、保持解除姿勢から保持姿勢に姿勢変更されていく。
また、一対の側壁部65の延出部651のうち、保持部72に接触する内側縁部は、丸み付け面取りした形状に形成されている。すなわち、スライダ部52が支持基部62に対して進退移動する際に、一対の保持部72は、一対の延出部651の先端部の内側縁部の曲面に沿って緩やかに姿勢変更される。
進出付勢部66は、支持基部62に対してスライダ部52を収納側に進出付勢する部分である。この進出付勢部66は、支持基部62の奥行方向に沿って支持基部62の底部とスライダ部52との間に圧縮状態で配設されている。進出付勢部66により進出側に付勢されるスライダ部52は、リンク68及びカムフォロア69によって支持基部62からの脱落を規制されている。
また、支持基部62は、ワイヤー挿通孔部64を有している。ワイヤー挿通孔部64は、スライダ部52のワイヤー挿通孔部55に挿通されるワイヤー45が挿通される部分である。このワイヤー挿通孔部64は、支持基部62の底部に奥行方向に貫通する形態で形成されている。より具体的には、ワイヤー挿通孔部64は、支持基部62の奥行方向において、スライダ部52のワイヤー挿通孔部55に重複する位置に設けられている。
この支持基部62は、車両に固定可能に形成されている。より具体的には、支持基部62は、開口部をシェード20の収納側に向ける姿勢で配設可能に構成されている。また、ここでは、支持基部62は、車両の幅方向において中間の位置に配設される。
支持基部62は、例えば図7に示すように、ネジ止め用の固定部63を底部側端部に有し、この固定部63に形成された貫通孔部を通じて車両にネジ止めされることにより固定されるとよい。もっとも、固定形態は、ネジ止めに限らず、その他種々の固定形態を採用することができ、その場合には固定部63の代わりに別の固定用の部分が設けられるとよい。支持基部62の固定箇所としては、天井側の外装パネル、ルーフライナー16等が挙げられる。
上述したように、引出保持機構部50は、スライダ部52が支持基部62に対して引出側に押し込まれるたびに引出部材40を保持、保持解除するように構成されている。すなわち、引出保持機構部50は、スライダ部52を、一対の保持部72が保持姿勢となるように支持基部62に対して押し込まれた退避位置と、一対の保持部72が保持解除姿勢となるように支持基部62に対して開口から飛び出た進出位置とに維持可能に構成されている。この引出保持機構部50の機能は、カム部56と、進出付勢部66と、リンク68とによって実現される。
カム部56は、概略的には、カムフォロア部69を、スライダ部52が支持基部62に対して収納側に進出した進出位置に維持される第1維持部と、スライダ部52が支持基部62に対して退避した退避位置に維持される第2維持部との間で循環移動可能な環状に形成されている。ここでは、カム部56は、ハートカム形状を採用している。すなわち、カム部56は支持基部62の内面で開口する略ハート形の溝状に形成されている。そして、カムフォロア部69は、進出付勢部66の付勢力により、第1維持部又は第2維持部の位置に維持される。なお、第1維持部及び第2維持部は、収納側に開いた凹状に形成されている。
以下、カム部56のより具体的な形状を説明する。カム部56は、略ハート形の外周面57と内周面58とを有し、外周面57の各頂点と内周面58の各頂点とがスライダ部52の移動方向に対して直交する方向(一対の保持部72を結ぶ方向)にずれた形状を成している(図9参照)。ここでは、説明の便宜上、外周面57と内周面58について、ハート形の下端の頂点を第1の頂点571、581として、時計回りに第2の頂点572572、第3の頂点573、583、第4の頂点574、584と称する。
なお、進出付勢部66によってスライダ部52が支持基部62に対して進出側に付勢されているため、スライダ部52が押動されない状態では、リンク68のカムフォロア部69は、カム部56内においてスライダ部52の基端側に押し当てられている。より具体的には、スライダ部52が押動されない状態では、カムフォロア部69は、第1の頂点571又は第3の頂点583に押し当てられている。すなわち、第1の頂点571の内側部分が収納側に開いた凹状の上記第1維持部であり、第3の頂点583の内側部分が収納側に開いた凹状の上記第2維持部である。
第1の頂点581は、第1の頂点571に対して、一対の保持部72を結ぶ方向における一方側(以下カム部56の説明において単に一方側)の位置に設けられている。すなわち、第1の頂点581は、第1の頂点571の内側に配設されているカムフォロア部69の中心軸より一方側に位置している。そして、スライダ部52が支持基部62内に押し込まれると、カムフォロア部69は、第1の頂点581の一対の保持部72を結ぶ方向における他方側(以下カム部56の説明において単に他方側)の斜面に当接しつつ、相対的にスライダ部52の先端側に移動される。
第2の頂点572の他方側の外周面は、第2の頂点572に対して他方側且つスライダ部52の基端側から近接する斜面状に形成されている。すなわち、カムフォロア部69が第1の頂点571の内側に位置する状態からスライダ部52が押し込まれると、カムフォロア部69は、内周面58の第1の頂点581の他方側の斜面に沿って他方側に移動した後、外周面57の第2の頂点572の他方側の斜面に沿って一方側に移動する。そして、カムフォロア部69は、第2の頂点572の内側まで移動する。なお、カムフォロア部69は、第2の頂点572の内側に移動された状態では、第2の頂点572と第3の頂点573との間の斜面に当接して、それ以上一方側に移動することを規制される。
第2の頂点582は、第2の頂点572に対して他方側の位置に設けられている。すなわち、第2の頂点582は、第2の頂点572の内側に配設されているカムフォロア部69の中心軸より他方側に位置している。そして、スライダ部52に対する押し込み力が解除されると、カムフォロア部69は、進出付勢部66の付勢力により、第2の頂点582と第3の頂点583との間の斜面に沿って一方側に移動する。そして、カムフォロア部69は、第3の頂点583の内側まで移動する。なお、カムフォロア部69は、第3の頂点583の内側に移動された状態では、第3の頂点583と第4の頂点584との間の斜面に当接して、それ以上一方側に移動することを規制される。
第3の頂点573は、第3の頂点583に対して他方側の位置に設けられている。すなわち、第3の頂点573は、第3の頂点583の内側に配設されているカムフォロア部69の中心軸より他方側に位置している。そして、スライダ部52が支持基部62内に押し込まれると、カムフォロア部69は、第3の頂点573の一方側の斜面に沿って一方側に移動する。そして、カムフォロア部69は、第4の頂点574の内側まで移動する。
第4の頂点584は、第4の頂点574に対して他方側の位置に設けられている。すなわち、第4の頂点584は、第4の頂点574の内側に配設されているカムフォロア部69の中心軸より他方側に位置している。そして、スライダ部52に対する押し込み力が解除されると、カムフォロア部69は、進出付勢部66の付勢力により、内周面の第4の頂点584の基端側の斜面に沿って一方側に移動した後、外周面の第4の頂点574の基端側の斜面に沿って他方側に移動する。そして、カムフォロア部69は、第1の頂点581の内側まで移動する。
<シェード装置の動作>
次にシェード装置10の動作について説明する。初期状態として、シェード20が収納状態にあるものとし、シェード20の引出動作から説明する。
まず、ルーフコンソール18から引き出されているワイヤー45の他端部(取手部47)を引っ張る。これにより、引出部材40が引出側に移動されて、シェード20が引き出される。この際、ワイヤー45は、引出保持機構部50のワイヤー挿通孔部55、64により支持された状態で引っ張られるため、引出部材40の長手方向及び一対の保持部72を結ぶ方向における移動を規制される。
引出部材40が保持解除姿勢の一対の保持部72の間を通る位置まで引き出されると、ワイヤー取付部44がスライダ部52の受け凹部54内に進入する。この際、ワイヤー取付部44の外面が受け凹部54の内面に当接して、引出部材40が一対の保持部72によって把持可能な位置に誘導される。また、この際、ワイヤー挿通孔部55をワイヤー45が通されることによっても、引出部材40が誘導される。
ここからさらにワイヤー45が引っ張られると、スライダ部52が引出部材40によって押動されて支持基部62に対して押し込まれる。そして、スライダ部52は、一対の保持部72が延出部651の内側縁部に当接し、さらに一対の保持部72が一対の延出部651の間に配設される位置まで、支持基部62に対して押し込まれる。すなわち、一対の保持部72は、スライダ部52が支持基部62に対して押し込まれるにつれて閉方向に押動され、保持解除姿勢から保持姿勢に姿勢変更される。これにより、引出部材40は、一対の保持部72の間に把持される。また、カム部56内において、カムフォロア部69は第1の頂点571の内側の位置から第2の頂点572の内側の位置に移動される。
そして、ワイヤー45に対する引張力を解除すると、進出付勢部66によりスライダ部52が支持基部62に対して押し戻される。この際、カム部56内において、カムフォロア部69は第2の頂点572の内側の位置から第3の頂点583の内側の位置に移動される。これにより、スライダ部52は、リンク68によって、一対の保持部72が保持姿勢に維持される位置で支持基部62に対して進出移動することを規制される。
次に、シェード20の収納動作を説明する。
まず、ルーフコンソール18から引き出されているワイヤー45の他端部(取手部47)を引っ張る。これにより、引出部材40が引出側に移動され、スライダ部52が押動されて支持基部62に対して押し込まれる。すると、カムフォロア部69は、カム部56内において、第3の頂点583の内側の位置から第4の頂点574の内側の位置に移動される。
そして、ワイヤー45に対する引出力を解除すると、進出付勢部66によりスライダ部52が支持基部62に対して押し戻される。この際、カム部56内において、カムフォロア部69は、第4の頂点574の内側の位置から第1の頂点571の内側の位置に移動される。すると、スライダ部52は、一対の保持部72が延出部651に非接触となる位置まで支持基部62に対して(収納側に)進出移動する。これにより、一対の保持部72は、保持姿勢から保持解除姿勢に姿勢変更される。
一対の保持部72による保持が解除された引出部材40は、巻取装置30によるシェード20を巻き取る力により収納側に移動される。この際、ワイヤー45を操作して、シェード20が勢いよく巻き取られて引出部材40が他の部分に衝突することを抑制するとよい。
上記第1実施形態に係るシェード装置10によると、シェード20を巻取装置30によって引出収納可能に巻き取り、シェード20の引出側端部に取り付けられた引出部材40を、引出保持機構部50によってシェード20を引き出した状態で保持可能に構成されている。また、引出保持機構部50は、シェード20の引出動作に伴って移動する引出部材40に当接可能に配設されるスライダ部52と、スライダ部52を一方向(引出部材40の移動方向)に移動可能に支持する支持基部62と、スライダ部52(又は支持基部62)に連結されて引出部材40を保持可能な保持姿勢と保持解除する保持解除姿勢とで姿勢変更可能な保持部72とを含み、引出部材40によってスライダ部52が支持基部62に対して押し込まれるたびに、保持部72を保持姿勢と保持解除姿勢とで姿勢変更させるように構成されている。このため、引出部材40をシェード20が引き出されるまで移動操作することにより、引出部材40によってスライダ部52が支持基部62に対して押し込まれて引出保持機構部50により引出部材40が保持され、シェード20が引出状態に維持される。また、再度引出部材40を押動してスライダ部50を支持基部62に対して押し込むと、引出保持機構部50による引出部材40の保持が解除され、シェード20を収納することができる。このように、引出部材50の保持作業をより簡易にすることができる。
また、スライダ部52及び支持基部62の一方に形成されたカム部56が、他方に連結されたカムフォロア部69を、スライダ部52が支持基部62に対して収納側に進出した進出位置に維持される第1維持部(第1の頂点571の内側部分)と、スライダ部52が支持基部62に対して退避した退避位置に維持される第2維持部(第3の頂点583の内側部分)との間で循環移動可能な環状の溝状に形成され、カムフォロア部69が、進出付勢部66の付勢力により第1維持部又は第2維持部の位置に維持される。このため、引出部材40によりスライダ部52が支持基部62に対して押し込まれるたびに、カムフォロア部69がカム部56の内側を循環移動して、進出付勢部66の付勢力により第1維持部又は第2維持部の位置に維持される。これにより、保持部72を保持姿勢又は保持解除姿勢に維持することができる。
また、カム部56がスライダ部52の表面に形成されると共にカムフォロア部69が支持基部62に連結され、第1維持部及び第2維持部が収納側に開いた凹状に形成されている。このため、引出部材40によりスライダ部52が支持基部62に対して押し込まれるたびに、進出付勢部66の付勢力によりカムフォロア部69が第1維持部及び第2維持部の位置に移動されて維持される。これにより、保持部72を保持姿勢又は保持解除姿勢に維持することができる。
また、保持部72は、スライダ部52の先端部のうちの支持基部62の側壁部65側の部分に設けられ、スライダ部52が支持基部62に対して収納側に進出した進出位置で側壁部65に非当接となって保持解除姿勢となり、スライダ部52が支持基部62に対して退避した退避位置で側壁部65に当接して保持姿勢となる。このため、より簡易な構成で保持姿勢と補遺解除姿勢とで姿勢変更可能な保持部72を実現することができる。
また、支持基部62が、側壁部65の保持部72に接触する内側縁部が丸み付け面取りした形状に形成されているため、保持部72の姿勢変更をよりスムーズにすることができる。
また、保持部72が、スライダ部52の先端部のうちの支持基部72の一対の側壁部65側の各部分に、保持姿勢において引出部材40を挟む位置に一対設けられている。このため、一対の保持部72両方が保持解除姿勢となり、引出部材40を保持位置に配設し易い。
また、保持部72が、スライダ部52の先端部に対して引出部材40の長手方向に沿った連結軸部53周りに相対回転可能に連結され、開付勢部74によって保持姿勢から保持解除姿勢に向けて付勢されている。このため、保持部72に対して保持姿勢側に向かう外力が加えられると保持部72が保持姿勢に姿勢変更され、外力が加えられない状態では保持解除姿勢に維持される。
また、引出部材40が、シェード20の厚さ方向における少なくとも保持部72が設けられた一端側に、該一端側を向く面と収納側を向く面とで形成される角部43を含み、保持部72が、先端部から側方に突出して引出部材40の角部43に引掛り可能な引掛部73を含む。このため、保持部72によって引出部材40をより確実に保持することができる。
また、引出部材40が長手方向中途部から引出側に突出するワイヤー取付部44を含み、スライダ部52が、先端部に保持部72の保持位置に引出部材40が配設される位置でワイヤー取付部44を配設可能な受け凹部54を含む。このため、ワイヤー取付部44が受け凹部54内に配設される位置に引出部材40を移動操作することによって、保持部72により引出部材40をより正確に保持することができる。
また、引出部材40のワイヤー取付部44が、先端部ほどシェード20の厚さ方向における寸法が小さくなる形状に形成され、スライダ部52の受け凹部54が、ワイヤー取付部44の外部形状に沿って奥側ほどシェード20の厚さ方向における寸法が小さくなる形状に形成されている。このため、引出部材40の位置が保持部72の保持位置に対してシェード20の厚さ方向に若干ずれていても、引出部材40を引出側に移動することによって、ワイヤー取付部44及び受け凹部54の形状により引出部材40が保持部72の保持位置に近接する。
これまで、引出保持機構部50について、一対の保持部72が設けられている例で説明してきたが、これに限られるものではない。例えば、図16、図17に示す引出保持機構部150のように、保持部72が1つだけ設けられた構成を採用することもできる。すなわち、保持部は、スライダ部52の進出側端部のうちの側壁部65側の部位に1つ設けられるとよい。また、支持基部62は、保持姿勢の保持部72に対向し、保持姿勢の保持部72との間に引出部材40を挟み込み可能に設けられた保持用壁部652を含むとよい。この保持用壁部652は、他方の延出部651より大きく延出する形状に形成されている。そして、引出部材40が引出側に移動されてスライダ部52を支持基部62に対して押し込むと、保持部72が保持解除姿勢から保持姿勢に姿勢変更し、引出部材40を保持用壁部652との間に挟み込んで保持する。さらに、引出保持機構部は、上記以外にも、一方の保持部だけで引出部材を保持可能な形状に形成されていてもよい。例えば、保持部が、フック状に形成されていてもよい。
また、引出保持機構部は、カム機構を用いないで、ワイヤー45の操作によって移動された引出部材40を保持、保持解除する構成でもよい。
また、カム部56がスライダ部52に設けられ、カムフォロア部69がリンク部68を介して支持基部62に連結される例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、カム部が支持基部に設けられ、カムフォロア部がスライダ部に連結されていてもよい。
さらに、カムフォロア部69がリンク部68を介して支持基部62に連結される例で説明してきたが、カムフォロア部69は、カム部56に対して、一対の保持部72を結ぶ方向に移動可能に支持基部62に連結されていればよい。例えば、カムフォロア部は、支持基部に対して、一対の側壁部65を結ぶ方向に沿って移動可能に嵌合する形態で連結されていてもよい。
また、ワイヤー45を、引出保持機構部50が引出部材40を保持する位置を通る経路に案内するワイヤー案内部(ここではワイヤー挿通孔部55)が設けられる例で説明してきたが、ワイヤー案内部(経路規制部17とは別構成)は省略されてもよい。ワイヤー案内部が省略される場合、引出部材40を引出収納方向に沿って案内するガイドレールが設けられるなどして、引出部材40を引出保持機構部50によって保持可能な位置に案内するように構成されているとよい。
また、ワイヤー45が引出部材40の長手方向中間部に取り付けられている例で説明してきたが、ワイヤー45の引出部材40に対する取付態様はこれに限られるものではない。例えば、図18に示すように、ワイヤー145は、長手方向中途部で二股になった形状に形成され、二股部分146の各端部が引出部材140の長手方向両端部に取り付けられていてもよい。引出部材140は、二股部分146の各端部が取り付けられるワイヤー取付部144が長手方向両端部に形成された形状が採用されるとよい。そして、この場合、引出保持機構部50は、引出部材140の長手方向両端部を保持可能に一対設けられているとよい。すなわち、一対の引出保持機構部50は、それぞれ、ワイヤー145の二股部分146がワイヤー挿通孔部55、64に挿通され、引出側に移動される引出部材140の長手方向両端部を保持する。なお、車幅方向中間部において、引出保持機構部50の前方側には、経路規制部17が設けられ、ワイヤー145の二股部分146を合流させるとよい。
そして、上記構成を採用すると、ワイヤー145を操作することにより引出部材140をより安定して移動させることができ、シェード20を安定して引出収納することができる。また、ワイヤー145をウインドウ12の幅方向中央ではなく側縁部寄りの位置で配索できるため、見栄えが向上する。
また、ワイヤー45は、引出部材40を遠隔操作可能にするものであるが、省略されても構わない。すなわち、利用者は、引出部材40を直接シェード20の引出収納方向に操作してシェード20の引出収納することができる。この場合、利用者は、シェード20の引出操作時に、引出部材40を引出保持機構部50に向けて移動操作するとよい。
また、これまで、シェード装置10について、巻取装置30をウインドウ12の床側に配設して、シェード20を床側から天井側に引き出す例で説明してきたが、これに限られるものではない。例えば、シェード装置は、巻取装置30をウインドウ12の天井側に配設して、シェード20を天井側から床側に引き出すように構成されていてもよい。この場合、シェード装置は、ルーフライナー、ウインドウ12の上方のバックドアトリム等の内装部材又は金属パネルの内側に配設されるとよい。また、ワイヤー45を、床側に配設される内装部材の内側等に配索し、運転席921と助手席922のコンソールボックスの後端付近から車室内に引き出すとよい。
もっとも、ワイヤー45の配索経路は、その他の経路に設定されてもよい。すなわち、ワイヤー45は、天井又は床のうちの側端部寄りに配索されてもよい。
また、これまで、シェード装置10について説明してきたが、本シート引出収納装置は、乗員乗り込みスペースとラゲッジルームとを仕切るトノカバー装置など、自動車においてシート状部材が引出収納される種々の用途に適用可能である。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るシート引出収納装置としてのシェード装置210について説明する(図19参照)。このシェード装置210は、ウインドウ212を遮蔽するための装置である。
<ウインドウ>
説明の便宜上、シェード装置210を適用するウインドウ212について説明しておく。ここで適用対象とするウインドウ212は、自動車におけるサイドドアに設けられるサイドドアウインドウである。このウインドウ212は、上側に短辺を有すると共に下側に長辺を有する略台形状に形成されているものとする。また、ウインドウ212は、上側の枠部が曲線状に形成されているものとする。もっとも、ウインドウ212は、サイドドアウインドウ以外のウインドウであってもよいし、矩形状等の台形状以外の形状であってもよいことは言うまでもない。
ここでは、シェード装置210の後述する巻取装置230は、ウインドウ212の床側に配設される。より具体的には、ウインドウ212の床側には、サイドドアトリム等の合成樹脂により形成された内装部材が設けられている(図示省略)。また、この内装部材には、内側から車室内に後述するシェード220を引き出すために、ウインドウ212の床側縁部に沿って形成されたスリット部が形成されている。そして、シェード装置210は、内装部材の内側に配設され、スリット部を通じてシェード220を引き出して該シェード220によりウインドウ212を遮蔽する。もっとも、シェード装置210は、内装部材の他に、ドアインナーパネル等の金属パネルの内側等に配設されてもよい。また、スリット部は、シェード220及び後述する引出部材240を通過可能な幅寸法及び長さ寸法に設定されている。
<シェード装置>
本シェード装置210は、シート状部材としてのシェード220と、巻取装置230と、引出部材240と、引出保持機構部250とを備える。概略的には、シェード装置210は、巻取装置230に対して引出収納可能に巻き取られるシェード220を、該シェード220に取り付けられた引出部材240を移動操作することにより引き出してウインドウ212を遮蔽することが可能に構成されている。
ここでは、シェード220は、ウインドウ212に沿って床側から天井側に向けて引き出される。そして、シェード220が引出収納される方向を引出収納方向と称し、その向きを引出側、収納側と称する。
<シェード>
シェード220は、ウインドウ212を遮蔽するシート状部材である。このシェード220は、布材、メッシュ状の布材、樹脂シート等を裁断、縫製等して、ウインドウ212を遮蔽可能な大きさ及び形状に形成されている。ここでは、シェード220は引出側端部に短辺を有すると共に収納側端部に長辺を有する台形状に形成されている。
もっとも、シェード220は、遮蔽対象であるウインドウ212の形状に対応した形状に形成されていればよく、上記台形状以外にも矩形等の種々の形状に形成されていてよい。
<巻取装置>
上記シェード220は、巻取装置230に取り付けられている(図20参照)。巻取装置230は、巻取シャフト232と、回転支持部234と、図示省略の巻取付勢部とを備えている。そして、巻取装置230は、シェード220を引出収納方向に沿って引出収納可能に巻き取るように構成されている。
巻取シャフト232は、長尺円筒状に形成された部材であり、回転支持部234により、中心軸周りに相対回転可能に支持されている。この巻取シャフト232の外周面には、その中心軸方向に沿ってシェード220の収納側端部が固定されている。また、回転支持部234は、巻取シャフト232の両端部をそれぞれ中心軸周りに相対回転可能に支持する一対の支持片を有している。
また、巻取シャフト232は、巻取付勢部により、回転支持部234に対してシェード220の巻取方向に付勢されている。巻取付勢部は、例えばコイルバネであり、一端部が巻取シャフト232の内部に固定され、他端部が回転支持部234に固定されている。図20では、巻取付勢部の巻取付勢方向を矢印で示している。そして、シェード220は、巻取付勢部による巻取力より大きい引出力が作用しない状態で当該巻取力により巻取シャフト232に巻き取られ、巻取力より大きい引出力が作用すると巻取シャフト232から引き出される。
<引出部材>
シェード220には、引出側端部に沿って長尺形状の引出部材240が取り付けられている(図20参照)。この引出部材240は、本体部242と、ノブ244とを含んでいる。
本体部242は、シェード220の引出側端部に取り付けられる部分であり、長尺棒状に形成された部分である。この本体部242は、シェード220の引出側端部と同じかそれより大きい長手寸法に設定されている。より具体的には、本体部242は、シェード220の引出側端部に沿って扁平な形状に形成されている。また、本体部242は、シェード220の引出側の端縁部がウインドウ212の天井側の枠部に沿った形状(ここでは曲線状)に形成されている。
また、本体部242には、係止用凹部243が形成されている。この係止用凹部243は、後述する引出保持機構部250の保持部272が係止するための部分である(図32参照)。係止用凹部243は、車室内側の外面で開口しており、ここではシェード220の厚さ方向に貫通する孔状に形成されている。また、係止用凹部243には、シェード220の収納側を向く被係止面243aが形成されている。すなわち、被係止面243aは、係止用凹部243のうちの収納側を向く内壁面である。この被係止面243a(ここでは、引出側を向く内壁面も同様)は、引出状態におけるシェード220の引出側端部と収納側端部とを結ぶ方向に直交する形状に形成されている。また、係止用凹部243は、複数(ここでは2つ)設けられる保持部272に対応して、本体部242の長手方向に間隔をあけて複数(ここでは2つ)形成されている。
ノブ244は、シェード220の引出収納用の操作部分である。このノブ244は、本体部242の長手方向一部分に形成されている。より具体的には、ノブ244は、引出収納方向の操作時に引出部材240全体が傾き等を生じにくいようにバランスを考慮して決定されるとよい。ここでは、ノブ244は、本体部242の長手方向中央近傍で2つの係止用凹部243の間の位置に形成されている。また、ノブ244は、利用者が掴み易いように湾曲した板状に形成されている。
また、ノブ244は、本体部242に対して、本体部242の長手方向に沿った軸周りに回転可能に配設されている。より具体的には、ノブ244は、シェード220に対して略直交する姿勢の操作姿勢と、シェード220に沿って倒れた倒れ姿勢との間で姿勢変更可能に設定されている。
また、ノブ244には、押し面245が形成されている。この押し面245は、引出保持機構部250の後述するボタン251に対してボタン251の移動方向に当接可能に形成されている(図28参照)。より具体的には、押し面245は、ノブ244の操作姿勢においてシェード220の引出収納方向に略直交して引出側を向く平面状に形成されている。そして、押し面245は、操作姿勢のノブ244を引出側に操作してシェード220が引出状態近傍まで引き出されると、ボタン251の先端部に対して当接する。
そして、この引出部材240を引出収納方向に沿って移動操作することにより、シェード220を巻取装置230に対して引出、収納することができる。ここで、シェード220が巻き取られて内装部材内に退避した状態をシェード装置210の収納状態、シェード220が引き出されてウインドウ212を遮蔽した状態を引出状態と称する。
<引出保持機構部>
引出保持機構部250は、引出部材240を、シェード220が引き出された状態で保持する部分である(図21〜図23参照)。すなわち、引出保持機構部250は、引出部材240を保持することにより、シェード220を引出状態に維持することができる。
この引出保持機構部250は、ウインドウ212の天井側縁部の付近に配設されている(図19参照)。ここでは、引出保持機構部250が車室内に露出して配設されている例を示しているが、引出保持機構部250は、部分的にウインドウ212の枠部内に収容されて配設されてもよい。
引出保持機構部250は、押込部としてのボタン251と、保持作動部254と、押込維持部としてのローター258と、解除付勢部257と、支持基部261と、保持部272と、保持部付勢部278とを備えている。概略的には、引出保持機構部250は、支持基部261の内側に、ボタン251、保持作動部254、解除付勢部257、ローター258及び保持部272が収容配設されて構成されている。そして、引出保持機構部250は、引出部材240を引出側に移動させる動作に伴ってボタン251が引出側に押込まれ、ボタン251が押し込まれるたびに、保持部272を保持姿勢と保持解除姿勢とで姿勢変更させるように構成されている。
ボタン251は、移動操作される引出部材240により押動される部分であり、進出位置と退避位置との間で移動可能に設けられている。ここで、進出位置とは後述する支持基部261から突出した位置であり、退避位置とは前記進出位置より支持基部261に押し込まれた位置である。また、ここでは、ボタン251は、退避位置より奥側まで移動可能に設けられている。このボタン251は、引出部材240の移動経路上に配設されている。すなわち、ボタン251は、シェード220の引出操作に伴って移動する引出部材240に対して引出途中の位置で当接する。ボタン251は、全体として有底の円筒形状に形成され、先端部に底部を有すると共に基端部に開口を有している。そして、ボタン251は、被案内突部252と、第1カム253とを備えている(図22、図23参照)。
被案内突部252は、後述する支持基部261によって案内される部分である。この被案内突部252は、ボタン251の有底円筒形状の本体部分の外周部から外周側に突出する形状に形成されている。ここでは、被案内突部252は、有底円筒形状の本体部分の基端部(開口側端部)における外周部に形成されている。そして、被案内突部252は、周方向において等間隔に複数(ここでは3つ)設けられている。
第1カム253は、後述するローター258のカムフォロア259をローター258の回転軸周りの周方向に案内する部分である。この第1カム253は、有底円筒形状の本体部分の基端部に形成されている。そして、第1カム253は、周方向に凹凸が並ぶ形状に形成され、ボタン251の基端側を向く凹凸状のカム面に沿ってカムフォロアを案内する。第1カム253のより詳細な形状については、第2カム及びカムフォロア259の説明と併せて後で詳述する。
保持作動部254は、後述する支持基部261に対して、保持部272を保持姿勢にする作動位置と保持部272を保持解除姿勢にする解除位置との間でボタン251の移動方向と同方向に相対移動可能に支持されている(図27、図31参照)。この保持作動部254は、略角棒状に形成され、ローター受部255と、作用部256とを有している。
ローター受部255は、後述するローター258をボタン251の移動方向に沿った回転軸周りに相対回転可能に支持する(図23参照)。より具体的には、ローター受部255は、ローター258の基端側部分を収容支持可能な略円柱状空間を有している。このローター受部255は、内部空間の中心軸方向一方側で開口し、開口を通じてローター258の基端側部分が収容配設される。ここでは、ローター受部255は、ローター258の最外径より大きい直径の略円柱状空間を有する大きさに形成されているとよい。また、ここでは、ローター受部255は、保持作動部254のうちの長手方向中央部に形成されている。
作用部256は、後述する保持部272に接触して該保持部272を姿勢変更させる部分である。ここでは、作用部256は、2つの保持部272に対応して、保持作動部254のうちの長手方向両端部に設けられている。この作用部256は、保持部272の後述する被作用部276の移動経路上を移動可能に配設されている。また、作用部256は、保持作動部254のうちの他の部位より薄肉に形成され、保持部272のうちの後述する被作用部276を除く部位に対する干渉を避ける経路を移動可能に配設されている。
また、保持作動部254のうち移動方向に沿った外面の一部には、前記移動方向に沿って延在するリブが形成されている。これにより、保持作動部254が支持基部261に対して移動方向に滑り易くなり、保持作動部254の移動をスムーズにすることができる。
解除付勢部257は、保持作動部254を支持基部261に対して解除位置側(ここではシェード220の収納側)に付勢するように配設されている(図22参照)。より具体的には、解除付勢部257は、コイルバネであり、保持作動部254に対してシェード220の引出側で、該保持作動部254と支持基部261の内面との間に圧縮状態で配設されている。ここでは、解除付勢部257は、保持作動部254の長手方向において中央部から両側に等距離の2箇所を付勢するように2つ設けられている。
ローター258は、ボタン251が支持基部261に対して押込まれるのに伴って保持作動部254を作動位置に維持するように配設されている(図22、図23参照)。このローター258は、サイズが異なる円柱状部分が中心軸を一致させて連続する小径の先端側部分と大径の基端側部分とを有する形状に形成されている。
このローター258は、保持作動部254に対して、ボタン251の移動方向に沿った回転軸周りに相対回転可能に支持されている。より具体的には、ローター258は、基端部の外周部から外周側に張り出す円形状の鍔部が形成されている。この鍔部の外径は、保持作動部254のローター受部255の内径より小さく(ここでは僅かに小さく)設定されている。そして、ローター258は、ローター受部255によりボタン251の移動方向に沿った回転軸(ローター258の中心軸)周りに回転可能に支持される。
また、ローター258は、ボタン251に対してボタン251の移動方向に沿った回転軸周りに相対回転可能且つ回転軸方向に相対移動可能に配設されている(図33〜図40参照)。ここでは、ローター258の先端側部分は、ボタン251の内側に配設可能に形成されている。より具体的には、ローター258の先端側部分は、ボタン251の内径より小さい(ここでは僅かに小さい)外径の円柱状に形成されている。これにより、ローター258は、先端側部分がボタン251の内側に配設された状態で、ボタン251に対して回転軸(中心軸)周りに相対回転可能且つ回転軸方向に相対移動可能となる。ここでは、ボタン251の内側には、ローター258に対してボタン251を進出位置側に付勢する付勢部251sが配設されているとよい(図25、図26参照)。より具体的には、付勢部251sは、ローター258の先端部とボタン251の内面の底部との間に圧縮状態で配設されたコイルバネである。また、付勢部251sの付勢力は、解除付勢部257の付勢力より弱く設定されている。すなわち、付勢部251sの付勢力は、第1カム267又は第2カム268にカムフォロア259が係止したローター258が、解除付勢部257の付勢力に逆らって保持作動部254側に押し返されないように設定されている。より好ましくは、付勢部251sは、ボタン251のボタン支持部266及びローター258に対するがたつきを抑制できる程度に大きく設定されているとよい。そして、この付勢部251sは、ボタン251のローター258及び後述するボタン支持部266に対するがたつきを抑制する。もっとも、付勢部251sは、コイルバネに限られず、ローター258に対してボタン251を進出位置側に付勢できるものであればよい。
また、ローター258には、外周部から外周側に張り出すカムフォロア259が形成されている。より具体的には、カムフォロア259は、ローター258の基端側部分外周部から回転軸方向に沿った形状で外周側に張り出すリブ形状に形成されている。ここでは、カムフォロア259は、基端側部分からローター258の先端側にも突出している。また、カムフォロア259の先端部は、周方向に対して周方向一方側ほど先端側に傾斜する形状に形成されている。そして、ローター258の先端部がボタン251の内側に配設された状態で、カムフォロア259の先端部がボタン251の第1カム253のカム面に当接し、ローター258がカム面に沿って回転方向に誘導される。また、カムフォロア259は、回転軸周りの周方向において等間隔に複数(ここでは3つ)形成されている。
支持基部261は、ボタン251、保持作動部254、ローター258及び保持部272等を収容又は支持するケース部分である(図21、図23参照)。支持基部261は、保持作動部収容部262と、保持部収容部264と、ガイド壁部265と、ボタン支持部266とを有している。
この支持基部261は、合性樹脂材料を用いて射出成型等により形成された一対の分割支持基部261a、261bを組み合わせて形成されている(図21、図23参照)。そして、一対の分割支持基部261a、261bは、ネジ止め等により組み合わせ状態に維持される。
また、支持基部261は、車両に固定可能に形成されている(図19参照)。支持基部261は、例えば、ネジ止め用の固定部を有し、固定部に形成された貫通孔部を通じて車両にネジ止めされることにより固定されるとよい。もっとも、固定形態は、ネジ止めに限らず、その他種々の固定形態を採用することができる。支持基部261の固定箇所としては、サイドドアのインナーパネル、ドアトリム等が挙げられる。ここでは、支持基部261は、一方の分割支持基部261aが車室内側に、他方の分割支持基部261bがウインドウ212側に位置する姿勢で配設される。
支持基部261の保持作動部収容部262は、保持作動部254を作動位置と解除位置との間で移動可能に収容支持する部分である(図27、図31参照)。この保持作動部収容部262は、一方向に長尺な筐状に形成されている。より具体的には、保持作動部収容部262は、長手方向に直交する方向において、保持作動部254を、ローター受部255の円柱状空間の中心軸方向に移動可能な空間をあけて収容可能に設定されている。また、保持作動部収容部262は、保持作動部254のローター受部255に配設されるローター258も収容可能に形成されている。さらに、保持作動部収容部262には、長手方向に沿った一の内壁面と保持作動部254のローター受部255とは反対側の面との間に2つの解除付勢部257が圧縮状態で配設されている。保持作動部収容部262の内壁面及び保持作動部254の対向する部位には、それぞれ解除付勢部257の端部と嵌合する凹凸が形成されていてもよい。
ボタン支持部266は、ボタン251を進出位置と進出位置から押込まれた退避位置とを結ぶ一方向に移動可能に支持する部分である(図33、図35参照)。この進出位置と退避位置とを結ぶ方向は、引出部材240の移動方向(収納状態のシェード220の引出側端部と収納側端部とを結ぶ方向)と略一致する。また、ボタン支持部266は、ボタン251をローター258の回転軸周りに相対回転不能に支持している。
ボタン支持部266は、保持作動部収容部262の長手方向に沿った壁部のうち、保持作動部収容部262に収容される保持作動部254に対して解除付勢部257とは反対側の壁部の略中央に設けられている(図21参照)。そして、ボタン支持部266は、保持作動部254の移動方向に貫通する円筒状に形成されている。このボタン支持部266は、貫通方向に移動可能にボタン251を配設可能な大きさに形成されている。ここでは、ボタン支持部266は、内径がボタン251の柱状周面の直径より僅かに大きく形成されている。また、ボタン支持部266は、ボタン251の柱状部分と略同径に形成されたローター258の基端側の柱状部分も配設可能に形成されている。
ボタン支持部266には、ローター258側に向けて凹凸し、環状に交互に並んだ第1凹部267と第2凹部268とを含む第2カムが形成されている(図33〜図40参照)。この第2カムは、カムフォロア259をローター258の回転軸周りの周方向において、第2凹部268から第1凹部267に誘導可能に形成されている。より具体的には、第2カムにおいて、第1凹部267と第2凹部268とは、ボタン支持部266の周方向に交互に並んで複数(ここでは3つずつ)設けられている。
第1凹部267は、ボタン251の被案内突部252及びローター258のカムフォロア259を内側に通して、ボタン251及びローター258を回転軸に沿った一方向に案内すると共にローター258の回転軸周りに回転不能にする部分である。この第1凹部267は、ローター258が保持作動部254を解除位置に維持する位置でカムフォロア259を受ける凹状に形成されている(図33参照)。より具体的には、第1凹部267は、保持作動部収容部262の内側で開口すると共にボタン支持部266の貫通方向に沿って延在して保持作動部収容部262の外側に底部を有している。換言すると、第1凹部267は、ボタン支持部266の内周面から外周側に凹んでボタン支持部266の貫通方向に沿って延在する溝状に形成されている。
この第1凹部267は、保持作動部収容部262の内側からボタン251の被案内突部252及びローター258のカムフォロア259の先端側部分を挿入配設可能な大きさに形成されている。ここでは、被案内突部252及びカムフォロア259の外周側への突出寸法は、略同一に設定されている。これに対応して、第1凹部267の深さ寸法は、被案内突部252及びカムフォロア259の外周側への突出寸法より僅かに大きく設定されている。また、第1凹部267の周方向における寸法は、被案内突部252及びカムフォロア259の周方向における寸法より僅かに大きく設定されている。
そして、ボタン251は、ボタン支持部266により、進出位置と退避位置との間で移動可能且つローター258の回転軸周りに回転不能に支持される(図33、図35参照)。また、ローター258は、カムフォロア259が第1凹部267に挿入された状態では、ボタン251及び保持作動部254の移動方向に移動可能且つ回転軸周りに回転不能に支持される(図33参照)。すなわち、この状態で、第1凹部267は、ローター258が保持作動部254を解除位置に維持する位置でボタン251の被案内突部252を介してカムフォロア259を受けている。一方、カムフォロア259が第1凹部267から抜け出した状態では、ローター258は、基端側部分が保持作動部254のローター受部255に支持されると共に先端側部分がボタン251に支持されて、回転軸周りに回転可能となる(図35参照)。
第2凹部268は、ローター258が保持作動部254を作動位置に移動させた位置でカムフォロア259を受ける凹状に形成されている(図36参照)。ボタン支持部266の周方向において、第1凹部267同士の間には、周方向一方側から他方側に向けて徐々に凹む2つの傾斜面が段差を介して並ぶように設けられている。そして、一方の傾斜面と段差部分とにより、第2凹部268が形成されている。他方の傾斜面269は、カムフォロア259を第1凹部267に案内する部分である。そして、第1凹部267同士の間に位置する第2凹部268及び他方の傾斜面269は、ボタン支持部266の貫通方向において鋸歯状の凹凸形状を形成している。また、一方の傾斜面及び他方の傾斜面269は、接触するカムフォロア259の先端部の傾斜方向と同じ向き(傾斜角度の異同は問わない)に傾斜している。
そして、カムフォロア259は、一方の傾斜面に接触する位置では、保持作動部254を介した解除付勢部257の付勢力により、一方の傾斜面に沿って移動して第2凹部268の底部に配設される(図35、図36参照)。この状態で、ローター258は、保持作動部254を作動位置に維持する位置に支持される。また、カムフォロア259は、他方の傾斜面269に接触する位置にある状態では、保持作動部254を介した解除付勢部257の付勢力により、他方の傾斜面269に沿って移動して第1凹部267の底側に配設される(図39、図40参照)。この状態で、ローター258は、保持作動部254を解除位置に維持する位置に支持される。
ローター258の回転軸周りの回転動作は、ボタン251の第1カム253によっても行われる。第1カム253は、環状に並んでローター258側に向けて凹凸する形状に形成されている(図23、図33参照)。そして、第1カム253は、支持基部261に対して押し込まれるたびにカムフォロア259をローター258の回転軸周りの周方向に誘導可能に形成されている。この第1カム253は、ボタン支持部266の第2凹部268及び他方の傾斜面269の傾斜方向と同じ向き(傾斜角度の異同は問わない)に傾斜するカム面を有する三角歯状の凹凸が複数並んで形成されている。すなわち、第1カム253は、複数の歯間にカムフォロア259を受ける複数の凹部を有している。また、第1カム253は、被案内突部252が第1凹部267内に配設された状態で、第1凹部267又は第2凹部268に配設されるカムフォロア259の先端部に対してボタン251の移動方向にカム面の延在方向中途部が重複する位置に形成されている(図33、図36参照)。
そして、カムフォロア259が第1凹部267に配設されている状態でボタン251を押し込むと、カムフォロア259は第1カム253のカム面に押動されて第1凹部267から抜き出される(図33、図34参照)。カムフォロア259が第1凹部267から抜け出る位置までボタン251が押し込まれると、保持作動部254を介した解除付勢部257の付勢力により、カムフォロア259は第1カム253のカム面に沿って移動して凹部の底部に配設される(図35参照)。この状態からボタン251の押し込みが解除されると、一方の傾斜面に接触し、該一方の傾斜面に沿って移動して第2凹部267の底部に配設される(図36参照)。
また、カムフォロア259が第2凹部268に配設されている状態でボタン251を押し込むと、カムフォロア259は、第1カム253の次のカム面に押動されて第2凹部268から抜き出される(図37、図38参照)。カムフォロア259が第2凹部268から抜け出る位置までボタン251が押し込まれると、保持作動部254を介した解除付勢部257の付勢力により、カムフォロア259は第1カム253の前記次のカム面に沿って移動して凹部の底部に配設される。この状態からボタン251の押し込みが解除されると、他方の傾斜面269に接触し、該他方の傾斜面269に沿って移動して第1凹部267の底側に配設される(図39、図40参照)。
保持部272は、引出部材240を保持可能な保持姿勢と引出部材240を保持解除する保持解除姿勢とで姿勢変更可能に構成されている(図27、図30参照)。この保持部272は、保持部付勢部278により、保持解除姿勢側に付勢されている。ここでは、保持部付勢部278は、ねじりコイルばねにより形成されている。また、保持部272は、引出部材240の長手方向において間隔をあけた位置に複数(ここでは2つ)設けられている。より具体的には、保持部272は、支持基部261の保持部収容部264内に姿勢変更可能に収容されている。
保持部収容部264は、保持作動部収容部262の長手方向両端部から、ボタン支持部266側に延出している(図21参照)。そして、保持部収容部264は、保持作動部収容部262と連通し、保持部272を姿勢変更可能に収容する先端側が開口した筐状に形成されている(図27参照)。より具体的には、保持部収容部264の内側には、保持作動部収容部262の長手方向に沿って配設された姿勢変更軸部277周りに回転可能に保持部272が支持されている。ここで、姿勢変更軸部277は、車室内側に配設される一方の分割支持基部261aのうち、保持部収容部264を形成する部分における対向する壁部に両端部が支持されている(図24参照)。また、保持部収容部264には、先端部に引出部材配設凹部264hとガイド壁部265とが形成されている。
引出部材配設凹部264hは、ボタン251を押し込んだ位置に配設される引出部材240の一部を保持部収容部264の内側に配設するための凹状部分である(図31参照)。より具体的には、2つの引出部材配設凹部264hは、引出部材240のうちの長手方向において2つの係止用凹部243が形成された部位をそれぞれ内側に配設可能に形成されている。そして、保持部272の先端部は、引出部材配設凹部264hの内側の空間に対して、保持解除姿勢で退避し(図27参照)、保持姿勢で進出する(図32参照)。
ガイド壁部265は、引出部材240をボタン251に当接する位置且つ保持部272により保持可能な位置にガイドする部分である(図28参照)。引出部材240を保持部272により保持可能な位置とは、引出部材240の先端側部分が引出部材配設凹部264hの内側に配設される位置である。このガイド壁部265は、保持部272により保持された引出部材240に対して、シェード220の厚さ方向において保持部272とは反対側から接触可能に設けられている(図32参照)。すなわち、ガイド壁部265は、引出部材240を保持部272により保持される位置に支持する部分でもある。
保持部272は、先端部に引出部材240に対して係止可能な係止部274を有している。係止部274は、引出部材240の係止用凹部243内に挿入可能に形成されている。より具体的には、係止部274には、シェード220の引出側(ボタン251の退避位置側)を向く係止面274aが形成されている。すなわち、保持部272は、係止部274が引出部材240の係止用凹部243に挿入された状態で、係止面274aが係止用凹部243の被係止面243aに係止することにより、引出部材240を保持する。
保持部272は、保持姿勢において、引出部材240の収納側への移動力を受けて保持解除姿勢側に弾性変形可能に形成されている(図32の二点鎖線参照)。すなわち、保持部272は、引出部材240を保持した状態において、不意の外力が作用した際に破壊すること等を抑制するため、引出部材240を保持しつつ、不意の外力が作用した際に力を逃がせるように形成されている。より具体的には、保持部272は、姿勢変更軸部277から離れた先端側に弾性部273を有し、基端側で姿勢変更軸部277に軸支された剛性部275を有している。
弾性部273は、剛性部275に連結され、先端部に上記係止部274を有している。ここでは、弾性部273は、保持部272の姿勢変更方向に板バネにより形成されている。また、係止部274の係止面274aは、先端側から基端側に向けて徐々に引出側に傾斜する形状に形成されている。すなわち、保持部272が引出部材240を保持した状態で引出部材240に収納側への不意の外力が作用すると、係止用凹部243の被係止面243aの端縁部が係止部274の傾斜した係止面274aに摺接し、係止部274を保持解除姿勢側に押し動かす。これにより、弾性部273が保持解除姿勢側に弾性変形し、引出部材240は収納側へ移動可能となる。
剛性部275は、保持作動部254の移動力を受ける被作用部276を有している。被作用部276は、姿勢変更軸部277の径方向のうち弾性部273の延出方向と異なる方向に突出する形状に形成されている。この被作用部276は、保持部付勢部278の付勢力により保持部272が保持解除姿勢にある状態で、保持作動部254の移動経路上に位置する。すなわち、被作用部276は、保持作動部254が解除位置に位置する状態で、保持作動部254の作用部256の作動位置側に位置する。
そして、ボタン251が支持基部261に対して押し込まれて相対移動することにより、保持部272が保持姿勢と保持解除姿勢とで姿勢変更される。より具体的には、支持基部261から飛び出た進出位置にあるボタン251が押し込まれると、保持作動部254が解除位置から作動位置に移動される。保持作動部254の移動により作用部256が被作用部276を押動して、保持部272が保持解除姿勢から保持姿勢に姿勢変更される。これにより、引出部材配設凹部264hの内側に配設された引出部材240の係止用凹部243に対して保持部272の係止部274が係止し、保持部272により引出部材240が保持される。また、支持基部261に押し込まれた退避位置にあるボタンが押し込まれると、保持作動部254が解除付勢部257の付勢力により作動位置から解除位置に移動される。保持作動部254が解除位置側に移動すると、保持部付勢部278の付勢力により、保持部272が保持姿勢から保持解除姿勢に姿勢変更される。これにより、保持部272による引出部材240の保持状態が解除される。
<シェード装置の動作>
次にシェード装置210の全体動作について説明する。初期状態として、シェード220が収納状態にあるものとし、シェード220の引出動作から説明する(図27参照)。
まず、引出部材240のノブ244を持ってシェード220を引き出す。シェード220を引出状態まで引き出す際には、引出部材240を、本体部242が引出保持機構部250の引出部材配設凹部264hの内側に配設される位置に移動させる(図28参照)。これと共に、ノブ244の押し面245により進出位置にあるボタン251を支持基部261に対して押し込む(図29〜図31参照)。これにより、ローター258を介して保持作動部254が解除位置から作動位置に移動される。そして、保持作動部254の作用部256が保持部272の被作用部276を押動することにより、保持部272が保持解除姿勢から保持姿勢に姿勢変更する。すると、引出部材配設凹部264hの内側に配設された引出部材240の係止用凹部243に保持部272の係止部274が係止して、引出部材240が保持される(図32参照)。これにより、シェード220は、引出状態に維持される。この際、引出部材240のノブ244は、本体部242に沿う向きに倒して倒れ姿勢に維持しておくとよい。
引出保持機構部250による引出部材240の保持状態は、押込維持部としてのローター258により維持される。より具体的には、ボタン251が支持基部261に対して押し込まれると、第1凹部267内において、ボタン251の第1カム253によりカムフォロア259が押されて、ローター258が保持作動部254側に押動される(図33、図34参照)。カムフォロア259は、先端部が第2凹部268を越える位置まで押動されると、第1凹部253のカム面に沿って凹部の底部に移動する(図35参照)。さらに、ボタン251が奥まで押し込まれた後に引出部材240によるボタン251の押圧が解除されると、カムフォロア259が第2凹部268の一方の傾斜面に沿って第2凹部268の底部に移動する(図36参照)。すなわち、ローター258は、回転軸周りに一方側から他方側に向けて回転され、これにより、保持作動部254を作動位置に維持する位置に留まる。
次に、シェード220の収納動作を説明する。
まず、ノブ244を持って、引出部材240を引出側に移動させる。すなわち、ノブ244の押し面245により、退避位置にあるボタン251を支持基部261に対してさらに押し込む(図32、図31の順に参照)。すなわち、ボタン251の第1カム253によりカムフォロア259が押されて、ローター258が保持作動部254側に移動される(図37、図38参照)。カムフォロア259は、先端部が第2凹部268の一方の傾斜面と他方の傾斜面269との段差部分を越える位置まで押動されると、第1凹部267のカム面に沿って次の凹部の底部に移動する。さらに、引出部材240によるボタン251の押圧が解除されると、カムフォロア259が第2カムの他方の傾斜面269に沿って移動すると共に第1凹部267の底側に移動する(図39、図40参照)。すなわち、ローター258は、回転軸周りに一方側から他方側に向けて回転され、これにより、保持作動部254を解除位置に移動可能にする。
この状態で解除付勢部257の付勢力により保持作動部254が解除位置側に移動されると、保持部付勢部278の付勢力により保持部272が保持姿勢から保持解除姿勢に姿勢変更する(図30、図29、図28の順に参照)。これにより、保持部272による引出部材240の保持状態が解除される。そして、引出部材240を収納側に移動させることにより、シェード220が収納される。
上記第2実施形態に係るシェード装置210によると、シェード220の引出動作に伴って移動する引出部材240によってボタン251を押し込んで移動させることが可能であり、ボタン251が押込まれるたびに保持部272が引出部材240を保持する保持姿勢と引出部材240を保持解除する保持解除姿勢とで姿勢変更する。このため、シェード220の引き出しに伴う引出部材240の移動操作の途中でボタン251を押込むことにより引出部材240を保持してシェード220を引出状態に維持する。このように、引出部材240の保持作業をより簡易にすることができる。
また、シェード220の引出動作に伴って移動する引出部材240自体がボタン251に当接し、ボタン251を支持基部261に対して押込んで相対移動させることにより、保持部272を保持姿勢と保持解除姿勢とで姿勢変更させて、より容易に引出部材240の保持作業を行うことができる。
また、ボタン251を押込むことにより、作動位置に移動された保持作動部254がローター258によって作動位置に維持されるため、保持部272を保持姿勢に維持することができる。
また、ボタン251が支持基部261に対して押込まれるたびに、ボタン251の第1カム253によってカムフォロア259が案内されてローター258の回転軸周りの周方向に誘導される。そして、カムフォロア259が支持基部261の第2カムの第1凹部267に配設されると、ローター258により保持作動部254が解除位置に維持されて、保持部272が保持解除姿勢に維持される。また、カムフォロア259が支持基部261の第2カムの第2凹部268に配設されると、ローター258により保持作動部254が作動位置に維持されて、保持部272が保持姿勢に維持される。このように、保持部272を保持姿勢又は保持解除姿勢に維持することができる。
また、保持部272が引出部材240の長手方向において間隔をあけた位置に複数設けられているため、引出部材240をより安定して保持することができる。
また、保持部272が、保持姿勢において引出部材240の収納側への移動力を受けて保持解除姿勢側に弾性変形可能であるため、保持部272による引出部材240の保持状態において、不意の外力によって引出部材240がシェード220の収納側に移動されても保持解除でき、非常時の各部に対する負荷を軽減することができる。
また、保持部272の係止面274aが傾斜しているため、保持部272がよりスムーズに弾性変形して引出部材240の保持を解除できる。
また、引出部材240が保持部272により保持された状態でシェード220の厚さ方向において保持部272とは反対側からガイド壁部265が接触するため、より確実に引出部材240の保持状態を維持することができる。また、引出部材240をより確実に保持部272による保持用位置に移動させることができる。
また、引出部材240のうちのノブ244に、ボタン251に対して移動方向進出位置側から当接可能な押し面245が形成されているため、押し面245によりボタン251をより確実に押込むことができる。
これまで、保持部272が2つ設けられている例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、保持部272は、1つ又は3つ以上の複数でもよく、好ましくは、引出部材240の保持状態において、車両の振動等により引出部材240ががたつきなく保持されるように複数設けられているとよい。なお、引出部材240の係止用凹部243は、保持部272の数に対応して設けられるとよい。
また、保持部272は引出部材240の係止用凹部243の内壁面である被係止面243aに係止するように構成されている例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、保持部272は、引出部材のうちのシェード220の収納側を向く被係止面に対して係止可能であればよく、被係止面としての引出部材の収納側端面に対して係止可能に設けられていてもよい。
また、保持部272が車室内側の保持解除姿勢からウインドウ212側の保持姿勢に間で姿勢変更する例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、保持部272は、ウインドウ212側の保持解除姿勢から車室内側の保持姿勢に姿勢変更するように設けられていてもよい。
また、保持部272が板バネである弾性部273と剛性部275とを含み、引出部材240の収納側への移動により弾性変形して保持解除可能に形成されている例で説明してきたが、これに限られるものではない。例えば、保持部は、弾性部273と剛性部275とが一体となった他形状で全体として剛性体で形成されていてもよい。
また、保持部272の係止面274aが傾斜した形状に形成されている例で説明してきたが、これに限られるものではない。例えば、引出部材の係止用凹部の被係止面が保持部272の保持姿勢側から保持解除姿勢側に向けて徐々に引出側に傾斜する形状に形成されていてもよいし、係止面274a及び被係止面の両方が傾斜していてもよい。不意の引出部材240の収納側への移動に伴う保持部272の保持解除動作をスムーズにする観点では上記構成を採用することが好ましいが、係止面又は被係止面の両方がシェード220の引出収納方向(ボタン251の移動方向)に直交するように形成されていても構わない。
また、支持基部261がガイド壁部265を有する例で説明してきたが、保持部272だけで十分に引出部材240を保持できる場合等には、このガイド壁部265は省略されてもよい。
また、引出部材240にノブ244が設けられ、このノブ244に押し面245が形成されている例で説明してきたが、押し面245、さらにはノブ244は省略されてもよい。すなわち、本体部242により又は利用者が直接ボタン251を押すこともできる。
また、図41、図42には、引出部材補助部260を備えるシェード装置310を示している。引出部材補助部260は、引出位置に移動された引出部材240のがたつきを抑える部分である。この引出部材補助部260は、引出部材240の長尺方向において、引出保持機構部250に対して間隔をあけた位置に設けられ、引出位置の引出部材240に対して引出状態のシェード220の厚さ方向少なくとも一方から接触するように形成されている。ここでは、ウインドウ212の天井側枠部の近傍において、引出部材240の長尺方向における引出保持機構部250の両側の位置に、2つの引出部材補助部260が設けられている。より具体的には、2つの引出部材補助部260は、引出位置に移動された引出部材240の長尺方向両端近傍の部位に接触可能に設けられている。また、引出部材補助部260は、シェード220の厚さ方向において、引出部材240に対して保持部272とは反対側(ウインドウ212側)から接触するように設けられている。
この変形例に係る構成によると、引出部材補助部260が引出位置の引出部材240に接触するため、保持された引出部材240のがたつきをより効果的に抑制することができる。
また、引出部材240の長尺方向において、引出保持機構部の両側の位置にそれぞれ引出部材補助部260が設けられる場合、保持部272を1つだけ備える引出保持機構部250sを採用してもよい。すなわち、図43に示した引出保持機構部250sは、上述した引出保持機構部250から一方の保持部272に関する構成だけを省略した構成である。より具体的には、引出保持機構部250sは、上述した引出保持機構部250と同様にボタン251、ローター258、1つの保持部272及び保持部付勢部278を有している。そして、引出保持機構部250sは、例えば、一方の作用部256が省略された保持作動部と、一方の保持部収容部264が省略された支持基部とを有しているとよい。
また、図44、図45に示すシェード装置310aのように、上述した引出部材補助部260の代わりに引出部材補助部260aを採用してもよい。引出部材補助部260aは、引出部材240の引出側端部を内側に配設可能な溝状に形成されている。すなわち、引出部材補助部260aは、引出位置に移動された引出部材240に対して、シェード220の厚さ方向両側から接触する。
この変形例に係る構成によると、保持された引出部材240のがたつきを、シェード220の厚さ方向においてより効果的に抑制することができる。
また、これまで、シェード装置210について、巻取装置230をウインドウ212の床側に配設して、シェード220を床側から天井側に引き出す例で説明してきたが、これに限られるものではない。例えば、シェード装置は、巻取装置230をウインドウ212の天井側に配設して、シェード220を天井側から床側に引き出すように構成されていてもよい。この場合、シェード装置は、ルーフライナー、ウインドウ212の上方のドアトリム等の内装部材又は金属パネルの内側に配設されるとよい。
また、シート引出収納装置がシェード装置210である例について説明してきたが、本シート引出収納装置は、乗員乗り込みスペースとラゲッジルームとを仕切るトノカバー装置など、自動車においてシート状部材が引出収納される種々の用途に適用可能である。
以上のように、シート引出収納装置としてのシェード装置10、210は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。すなわち、シート引出収納装置は、上記構成に限られず、スライダ52又はボタン251を例とした押込部が押し込まれるたびに、保持部72、272を保持姿勢と保持解除姿勢とで姿勢変更させるように構成されていればよい。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。