JP5578104B2 - スライド移動部材用配線装置 - Google Patents

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Description

この発明は、スライドシート等のスライド移動部材に対して給電線、信号線等を配線する技術に関する。
従来、スライドシートにおけるワイヤーハーネスの配索構造として、特許文献1に開示のものがある。特許文献1では、スライドシートにハーネス収容部が設けられており、車体から引出されたワイヤーハーネスがハーネス収容部内に導かれている。そして、スライドシートのスライド移動に応じて、ハーネス収容部内におけるワイヤーハーネスの巻回部分が拡径或は縮径することで、ワイヤーハーネスに生じる余長が吸収される構成となっている。
特開2007−137339号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、スライドシートのスライド移動に応じて、ワイヤーハーネスの巻回部分が期待した通りに、拡径或は縮径するかどうかは、主としてワイヤーハーネス自体の復元力に依存している。
このため、スライドシートのスライド移動量が大きく、ワイヤーハーネスの長さが長いような場合には、ワイヤーハーネスが期待した通りに曲らず、余長吸収動作が安定しない恐れがある。
そこで、本発明は、ワイヤーハーネスが安定して余長吸収動作できるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の態様は、車体と車体に搭載されたスライド移動部材との間に配索されるワイヤーハーネスの余長を吸収するスライド移動部材用配線装置であって、一端部が前記車体及び前記スライド移動部材の一方側に支持された状態で、前記スライド移動部材の移動方向に沿って配設可能な長尺スライド部材と、前記車体及び前記スライド移動部材の他方に配設可能に構成され、外部から前記長尺スライド部材を挿入可能な入出開口と、前記入出開口を通じて挿入された長尺スライド部材22を前記スライド移動部材の移動方向に沿ってスライド移動可能に支持するスライドガイド経路と、前記スライドガイド経路に隣設し、前記スライドガイド経路の内側端部から延出する前記ワイヤーハーネスを周回させた状態で収容可能な余長吸収空間と、が形成されると共に、前記スライドガイド経路の内側端部から延出する前記ワイヤーハーネスを前記余長吸収空間側に案内可能なガイド曲面が形成されたスプールプロテクタと、前記長尺スライド部材にその長手方向に沿って支持され、一端部が前記長尺スライド部材の一端部で前記車体及び前記スライド移動部材の一方側の電気機器に接続可能に構成されると共に、他端部が前記長尺スライド部材の他端部から延出して前記スライドガイド経路を通って前記ガイド曲面により前記余長吸収空間内に導かれて前記車体及び前記スライド移動部材の他方側の電気機器に接続可能に構成されたワイヤーハーネスと、を備え、前記長尺スライド部材が前記スライドガイド経路から引出された状態では、前記余長吸収空間内で前記ワイヤーハーネスが前記スライドガイド経路の長手方向に沿って配設され、その状態から前記長尺スライド部材が前記スライドガイド経路に挿入されると、前記ワイヤーハーネスのうち前記長尺スライド部材の挿入によって生じた余長部分が前記余長吸収空間内で周回するように曲げて配設されるものである。
また、第1の態様は、前記余長吸収空間と前記スライドガイド経路との間の仕切壁部のうち前記スプールプロテクタ内側端部が丸められている。
第2の態様は、第1の態様に係るスライド移動部材用配線装置であって、前記スライドガイド経路は、前記余長吸収空間よりも外方に延出しているものである。
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るスライド移動部材用配線装置であって、前記スプールプロテクタは、一方が開口する扁平なケース状に形成され、前記スプールプロテクタの開口に蓋部が取付けられるものである。
第1の態様によると、スライド移動部材の移動に伴って、長尺スライド部材が前記スライドガイド経路に対して引出され或は挿入される。そして、長尺スライド部材が前記スライドガイド経路から引出された状態では、ワイヤーハーネスは、スライドガイド経路を通って余長吸収空間に導かれている。また、この状態から前記長尺スライド部材が前記スライドガイド経路に挿入される際、ワイヤーハーネスの一部分は長尺スライド部材によって支持されているため、座屈等生じ難く円滑に余長吸収空間に向けて案内される。また、ワイヤーハーネスは、スライドガイド経路の内側端部からガイド曲面によって案内されて余長吸収空間内に導かれて周回するように曲げられるため、円滑に曲げ変形することができる。このため、その周回態様が比較的安定し、ワイヤーハーネスの余長吸収動作を安定させることができる。
第1の態様によると、前記余長吸収空間と前記スライドガイド経路との間の仕切壁部のうち前記スプールプロテクタ内側端部が丸められているため、ワイヤーハーネスが円滑に余長吸収空間内に導かれる。
第2の態様によると、長尺スライド部材をより安定してガイドできる。
第3の態様によると、スプールプロテクタ内で長尺スライド部材及びワイヤーハーネスをより円滑に移動或は変形させることができる。
スライドシートに組込まれたスライド移動部材用配線装置を示す側面図である。 スライドシートに組込まれたスライド移動部材用配線装置を示す側面図である。 蓋部を外した状態でのスライド移動部材用配線装置を示す概略側面図である。 蓋部を外した状態でのスライド移動部材用配線装置を示す概略側面図である。 蓋部を示す概略側面図である。 長尺スライド部材の車体側への支持構成例を示す説明図である。 長尺スライド部材の部分概略平面図である。 長尺スライド部材の概略正面図である。 ワイヤーハーネスの一例を示す概略平面図である。 長尺スライド部材がワイヤーハーネスを支持している状態を示す概略平面図である。 図10のXI−XI線において長尺スライド部材がワイヤーハーネスを支持している状態を示す概略説明図である。 長尺スライド部材の変形例を示す概略図である。 図3のXIII−XIII線における概略説明図である。 図3のXIII−XIII線における概略説明図である。 図3のXIII−XIII線における概略説明図である。 長尺スライド部材がワイヤーハーネスを支持する他の構成例を示す説明図である。 長尺スライド部材がワイヤーハーネスを支持する他の構成例を示す説明図である。
以下、実施形態に係るスライド移動部材用配線装置について説明する。ここでは、スライド移動部材として、車両のスライドシート、特に、運転席或は助手席を想定した例で説明するが、本スライド移動部材用配線装置自体はその他、直線的に移動する各種スライド移動部材に対して適用できる。
図1及び図2はスライドシート10に組込まれたスライド移動部材用配線装置20を示す側面図である。図1では、スライドシート10はスライドレール16に対して最後方位置に配設されており、図2では、スライドシート10はスライドレール16に対して最前方位置に配設されている。
上記スライドシート10は、座部12と背部13とヘッドレスト部14とを備えている一般的なシートである。スライドレール16自体は、車両前後方向に沿った姿勢で、車両フロアに対してボルト締等によって固定されている。スライドシート10は、スライドレール16に対して移動可能に支持されており、周知構成を含むロック機構によって位置調整後の一定位置に固定されるようになっている。かかるスライドシート10には、当該スライドシート10をスライド移動させる駆動用モータ、背部13の姿勢を変更するための駆動用モータ、腰部を支えるランバーサポートの位置を変えるための駆動用モータ、スライドシート10を暖めるためのヒーター、サイドエアバッグ装置作動用の点火装置等、各種電気部品が組込まれている。ワイヤーハーネス60は、スライドシート10に搭載された各種電気部品と車体側の各種電気部品(電源、制御ユニット等)とを電気的に接続する配線として、車体とスライドシート10との間に配索される。本スライド移動部材用配線装置20は、スライドシート10の移動に伴って生じるワイヤーハーネス60の余長を吸収する装置として用いられる。
図3及び図4は蓋部80を外した状態でのスライド移動部材用配線装置20を示す概略側面図であり、図5はスライド移動部材用配線装置20の蓋部80を示す概略側面図である。
図1〜図5に示すように、スライド移動部材用配線装置20は、長尺スライド部材22と、スプールプロテクタ30と、ワイヤーハーネス60とを備えている。
長尺スライド部材22は、樹脂或は金属等によって形成された長尺部材である。長尺スライド部材22の長さ寸法は、スライドシート10の移動距離よりも小さく、かつ、その移動距離の半分よりも大きく設定されるとよい。この長尺スライド部材22の一端部には車体側コネクタ70が嵌め込み構造、ネジ止構造等によって固定されている。車体側コネクタ70は、車体側のその他の部分、例えば、スライドレール16固定用のブラケット、フロアを覆う部分等に取付けられていてもよい。この車体側コネクタ70が、図6に示すように、車体側の部材、ここでは、スライドレール16の一側部にクランプ構造、ねじ止構造等によって取付けられることによって、本長尺スライド部材22の一端部が車体側に一定位置で支持される。また、この支持状態では、長尺スライド部材22は、スライドシート10の移動方向に沿って配設される。
ここでは、長尺スライド部材22は、スライドレール16の一端側半分部分、即ち、前半部に沿って配設されており、長尺スライド部材22の一端部がスライドレール16の一端部である前端部外側部支持されている。そして、長尺スライド部材22の一端部の支持部分を基準として、長尺スライド部材22は、スライドレール16に沿って一定位置に維持される。また、長尺スライド部材22のうち一端部を除く部分は、車体側の部材から離れており、上記スプールプロテクタ30内に挿入できるようになっている。
また、長尺スライド部材22は、その長手方向に沿ってワイヤーハーネス60を配設可能なハーネス収容空間23を有している。図7は長尺スライド部材22の部分概略平面図であり、図8は長尺スライド部材22の概略正面図であり、図9はワイヤーハーネス60の一例を示す概略平面図であり、図10は長尺スライド部材22がワイヤーハーネス60を支持している状態を示す概略平面図であり、図11は図10のXI−XI線において長尺スライド部材22がワイヤーハーネス60を支持している状態を示す概略説明図である。
これらの図に示すように、長尺スライド部材22は、細長板状の主板部24の両側部に、その両面側に突出するように一対の側板部25が突設された構成とされている。
ワイヤーハーネス60は、少なくとも1つの導線を含む配線材によって構成されている。ここでは、ワイヤーハーネス60が、間に間隔をあけて並列配置された複数の導線62と、それらの導線62の外周囲を覆う絶縁被覆64とを有するフラット電線である例で説明する。絶縁被覆64自体は、並列状態の導線62を挟込む一対の絶縁フィルム又は並列状態の導線62に押出被覆された樹脂等によって形成される。勿論、ワイヤーハーネスは、断面円形状の電線が複数束ねられたものであってもよい。ワイヤーハーネスとして、複数の電線を束ねたものを用いる場合、余長吸収空間36内に配設される部分については、粘着テープ等を部分的に又は粗に巻付けて、ばらけ防止をしておくことが好ましい。
そして、主板部24の一主面と、一対の側板部25のうち前記主板部24の一主面側に突出する部分とで囲まれる溝状のハーネス収容空間23内に、ワイヤーハーネス60が収容されるようになっている。ここでは、ワイヤーハーネス60は、主板部24に這わせるようにしてハーネス収容空間23内に配設されている。
また、ここでは、主板部24に板状のハーネス固定用凸部24aが形成されている。ハーネス固定用凸部24aは、ワイヤーハーネス60の絶縁被覆64のうち各導線62間の部分と対応する位置に形成されている。また、ワイヤーハーネス60の絶縁被覆のうち導線62間の部分には、上記各ハーネス固定用凸部24aと対応する位置に、当該ハーネス固定用凸部24aを嵌め込み可能なスリット状の位置決め孔63が形成されている。そして、ハーネス固定用凸部24aをワイヤーハーネス60の位置決め孔63に嵌め込みつつ、ワイヤーハーネス60を上記ハーネス収容空間23内に配設することで、ワイヤーハーネス60が長尺スライド部材22にその長手方向に沿って一定位置に支持されることになる。
もっとも、長尺スライド部材22がワイヤーハーネス60を支持する構成は上記例に限られず、粘着テープ等を用いた構成であってもよい。
もっとも、長尺スライド部材22が上記構成であることは必須ではなく、例えば、図12に示すように、一対の側板部25Bが主板部24Bの一方面側にのみ突出する構成を有する長尺スライド部材22Bであってもよいし、また、長尺スライド部材が、硬質のPVC(polyvinyl chloride)製のチューブ等の管状部材に形成され、ワイヤーハーネスがその内部に挿通されて支持される構成であってもよい。もっと、本実施形態のように、ハーネス収容空間23内にワイヤーハーネス60を収容して保持する構成とした方が、その保持作業を容易に行える。もっとも、長尺スライド部材22は、ある程度の直線形態を維持できる剛性を有している。
なお、ワイヤーハーネス60自体は、スライドシート10側の電気部品と車体側の電気部品とを電気的に接続する配線であり、スライドレール16に対するスライドシート10の移動に対して十分に追従できる長さ寸法を有している。本装置におけるワイヤーハーネス60の組込態様については、後で詳述する。
図1〜図4に示すように、スプールプロテクタ30は、樹脂等で形成された部材であり、上記スライドシート10に配設可能に構成されている。ここでは、スライドシート10の座部12の一側部にねじ止構造或は嵌め込み構造等によって取付可能に構成されている。
スプールプロテクタ30は、一方が開口する扁平なケース状に形成されている。より具体的には、スプールプロテクタ30は、4角形の各コーナーのうちの3つのコーナー部を丸めたような形状の本体部分30aと、4角形の各コーナーのうちの1つのコーナー部をそのコーナー部に隣設する一辺に沿って外方につまみ出して外方に突出させたような形状の突出部分30bとを有している。
突出部分30bの先端部には、外向きに開口する入出開口32が形成されている。この入出開口32は、上記長尺スライド部材22を挿通でき、かつ、その側方でワイヤーハーネス60の他端部に取付けられたコネクタ72を配設できるようになっている。
また、上記突出部分30bから本体部分30aにかけて、前記入出開口32を通じて挿入された長尺スライド部材22をスライドシート10の移動方向に沿ってスライド移動可能に支持するスライドガイド経路34が形成されている。より具体的には、突出部分30bの一方の側壁部34aと本体部分30aの一辺側の側壁部34bとが直線状に連なっている。スライドガイド経路34は、上記突出部分30bでは、後述する余長吸収空間36よりも外方に突出している。また、これらの側壁部34a、34bに対して並行に延びるように仕切壁34cが形成されている。仕切壁34cは、突出部分30b内では、当該突出部分30b内の空間を縦割状に2分割している。また、仕切壁34cは、本体部分30a内では、後述する余長吸収空間36とスライドガイド経路34との間に介在し、両者を仕切っている。そして、側壁部34a、34bと、仕切壁34cとの間に、直線状のスライドガイド経路34が形成されている。スライドガイド経路34内に長尺スライド部材22の略全体を収容できるように、スライドガイド経路34の長さ寸法は、上記長尺スライド部材22の長さ寸法と略同じに設定するとよい。
また、仕切壁34cのうち仕切壁34cの本体部分30a内側端部は、本体部分30aの周壁部に達する手前の位置までに形成されている。従って、スライドガイド経路34は、本体部分30a内で後述する余長吸収空間36側に開口している。なお、仕切壁34cのうち本体部分30a内側の端部は丸められている。ここでは、仕切壁34cのうち本体部分30a内側の端部に円柱状の部分34dを形成している。そして、仕切壁34cのうち本体部分30a内側の端部とワイヤーハーネス60とが滑らかに接触するようにしている。もっとも、単に仕切壁34cの板状端縁部を丸めるだけであってもよい。
また、上記本体部分30a内には、上記スライドガイド経路34に隣設し、そのスライドガイド経路34の内側端部から延出するワイヤーハーネス60を周回させた状態で収容可能な余長吸収空間36が形成されている。また、スプールプロテクタ30には、スライドガイド経路34の内側端部から延出するワイヤーハーネス60を上記余長吸収空間側に案内するガイド曲面38が形成されている。
すなわち、本体部分30aの丸められたコーナー部のうちの1つは、スライドガイド経路34の内側端部に対向する位置に配設されており、このコーナー部分の内面がガイド曲面38とされている。より具体的には、ガイド曲面38は、直線状の側壁部34bの端部から余長吸収空間36に向う側に弧状を描いて湾曲している。従って、スライドガイド経路34の内側端部に押出されたワイヤーハーネス60は、ガイド曲面38に沿って移動し、余長吸収空間36側に案内される。
また、余長吸収空間36は、ワイヤーハーネス60に生じた余長を周回させた状態で収容できる十分な広がりを持つ空間に形成されている。スライドシート10の移動に伴い、ワイヤーハーネス60にどの程度の余長が生じるかは、スライドシート10の移動量等によって決定される。また、余長吸収空間36のうちスライドガイド経路34とは反対側の部分には、内向きに凹む湾曲状周壁36aが形成されている。この湾曲状周壁36aの一端部は上記ガイド曲面38に連続している。また、湾曲状周壁36aの他端部は、内向きに凸となる中継周壁36bを介して突出部分30bの他の側壁部30cに連続している。そして、従って、ワイヤーハーネス60が余長吸収空間36内に最も大きく送込まれた状態では、当該ワイヤーハーネス60はガイド曲面38、湾曲状周壁36a及び中継周壁36bに沿ってなだらかに曲るように周回した状態となる。
ワイヤーハーネス60は、上記したように長尺スライド部材22にその長手方向に沿って支持されている。ワイヤーハーネス60の一端部は、長尺スライド部材22の一端部に取付けられた車体側コネクタ70に接続されている。本車体側コネクタ70に車両側より引出されたコネクタが接続されることで、ワイヤーハーネス60が車両側の各種電気機器に接続される。また、ワイヤーハーネス60の他端部は、長尺スライド部材22の他端部から延出してスライドガイド経路34を通って上記ガイド曲面38によって余長吸収空間36側に導かれている。ワイヤーハーネス60の他端部は、さらに、余長吸収空間36を通って突出部分30bに向けて案内されている。また、ワイヤーハーネス60の他端部にもコネクタ72が接続されており、このコネクタ72は、上記突出部分30bの入出開口32内に配設されている。そして、スライドシート10側の電気機器に接続されたコネクタが本コネクタ72にコネクタ接続されることで、当該スライドシート10側の各種電気機器に接続されるようになる。
また、上記スプールプロテクタ30の開口には、蓋部80が取付けられている。蓋部80は、スプールプロテクタ30の開口略全体を覆う程度に広がる板状形状に形成されている。蓋部80とスプールプロテクタ30との合体は、例えば、蓋部80の外周部に、先端部に係合突起を有する延出片82を形成すると共に、スプールプロテクタ30の外周部に、前記延出片82を挿入可能でかつその挿入状態で当該延出片82と係止し合う係止受部40を形成し、両者の係止構造によって行うとよい。もっとも、蓋部80とスプールプロテクタ30との合体は、その他、ねじ止、テープ止等各種構成により実現できる。
図13、図14は、図3のXIII−XIII線における概略説明図であり、突出部分30bにおけるワイヤーハーネス60の配設状態を示している。これらの図に示すように、突出部分30bのうちスライドガイド経路34内には、長尺スライド部材22がその長手方向に沿って移動可能に配設され、また、その長尺スライド部材22内にワイヤーハーネス60が収容支持されている。また、突出部分30bのうちスライドガイド経路34に隣設する溝状空間31内では、ワイヤーハーネス60は当該突出部分30bに対して一定位置に固定されている。ここでは、突出部分30bの他の側壁部30cに、薄肉状のヒンジ部90を介してハーネス押え片92が一体形成されている。ハーネス押え片92は、内部にワイヤーハーネス60を配設可能なU字状に形成され、その内部にワイヤーハーネス60の絶縁被覆64部分に突刺さることができる位置決め凸部93が形成されている。また、ハーネス押え片92の先端部に抜止め片92aが形成されると共に、前記他の側壁部30cに抜止め片92aが抜止め係止可能な孔部30chが形成されている。そして、ヒンジ部90を曲げて、位置決め凸部93を絶縁被覆64に突刺しつつ、抜止め片92aを側壁部30cの孔部30chに抜止め係止することで、突出部分30bにおいてワイヤーハーネス60が位置決め固定される(図14参照)。また、この状態で、さらに蓋部80が被せられることで、ワイヤーハーネス60、長尺スライド部材22はより確実にスプールプロテクタ30内に収容保持される(図15参照)。
勿論、この部分でワイヤーハーネス60を固定する構成は上記例に限られない。例えば、図16に示すように、いわゆる結束タイ100を用い、ワイヤーハーネス60とスプールプロテクタ30の他の側壁部30cとを結束固定してもよい。この構成は、ワイヤーハーネス60が、複数の電線が束ねられた構成である場合に適している。この場合、長尺スライド部材22へのワイヤーハーネス60の固定は、図17に示すようにするとよい。すなわち、長尺スライド部材22の一対の側壁部25に切込み部25cを形成する。そして、長尺スライド部材22のハーネス収容空間23内にワイヤーハーネス60を収容する。この状態で、切込み部25cを形成した部分で、ビニールテープ等の粘着テープ110を、長尺スライド部材22及びそのハーネス収容空間23内に収容されたワイヤーハーネス60に巻付けるようにして、ワイヤーハーネス60を長尺スライド部材22に固定する。
なお、スプールプロテクタ30の突出部分30bには、さらに外方に延出する補助ガイド部94が形成されている。補助ガイド部94は、長尺スライド部材22がより確実にスライドガイド経路34に沿って移動するように支持可能に構成されている。ここでは、補助ガイド部94は、長尺スライド部材22を配設可能な溝95gを有する受ガイド部95と、受ガイド部95を、蓋部80と同じ方向から塞ぐ受ガイド蓋部96とを有している。受ガイド蓋部96は、受ガイド95に対してヒンジ部を介して開閉自在に連結され、上記蓋部80とスプールプロテクタ30との合体構造と同様構成によって、受ガイド蓋部96を閉じた状態が維持される。
この補助ガイド部94によって、長尺スライド部材22がスライドガイド経路34の外方延長上で移動可能に支持されることとなるため、長尺スライド部材22がスライドガイド経路34内で斜め姿勢になること等が抑制され、長尺スライド部材22がより円滑にスプールプロテクタ30に対して引出或は挿入されることになる。
このように構成されたスライド移動部材用配線装置20の動作について説明する。
まず、長尺スライド部材22がスライドガイド経路34から最も引出された状態(図1及び図4参照)では、長尺スライド部材22の他端部はスライドガイド経路34内のうち入出開口32に近い部分に配設されている。従って、ワイヤーハーネス60のうち長尺スライド部材22の他端部より延出する部分は、比較的長寸に亘ってスライドガイド経路34を通って余長吸収空間36内に案内される。この状態では、ワイヤーハーネス60の余長は比較的少ない状態であるため、余長吸収空間36内ではワイヤーハーネス60はスライドガイド経路34の長手方向に沿ってあまり曲らないで配設される。
この状態からスライドシート10の移動に伴って、長尺スライド部材22がスライドガイド経路34内に挿入されると、長尺スライド部材22の他端部がスライドガイド経路34内を奥に移動し、その移動距離分、ワイヤーハーネス60に余長が生じることになる。ワイヤーハーネス60のうち長尺スライド部材22より延出する部分は、スライドガイド経路34に沿って送込まれ、ガイド曲面38に当接して余長吸収空間36内側に案内される。余長吸収空間36内では、ワイヤーハーネス60のうち長尺スライド部材22の挿入によって生じた余長部分が余長吸収空間36内で周回するように曲げて配設される。長尺スライド部材22がスライドガイド経路34に沿って最も奥に挿入された状態では、ワイヤーハーネス60の余長分は、ガイド曲面38、湾曲状周壁36a及び中継周壁36bに沿ってなだらかに曲るように周回した状態となる(図2,図3参照)。
また、この状態からスライドシート10の移動に伴って、長尺スライド部材22がスライドガイド経路34から引出されると、長尺スライド部材22の他端部がスライドガイド経路34内を入出開口32に向けて移動する。これにより、余長吸収空間36内で周回していたワイヤーハーネス60が、スライドガイド経路34の内側端部内に引込まれる。これにより、余長吸収空間36内でのワイヤーハーネス60の周回長が徐々に小さくなり、やがて、図1,図4に示す状態に復帰する。
以上のように構成されたスライド移動部材用配線装置20によると、スライドシート10の移動に伴って長尺スライド部材22がスライドガイド経路34に対して引出され或は挿入される。そして、長尺スライド部材22がスライドガイド経路34から引出された状態では、ワイヤーハーネス60はスライドガイド経路34を通って余長吸収空間36内に導入されている。また、この状態から長尺スライド部材22がスライドガイド経路34内に挿入される際、ワイヤーハーネス60の一部分は長尺スライド部材22によって支持された状態で、スライドガイド経路34内に送込まれるため、ワイヤーハーネス60に座屈等が生じ難く、円滑に余長吸収空間36内に向けて案内される。しかも、ワイヤーハーネス60は、スライドガイド経路34の内側端部からガイド曲面38によって案内されて余長吸収空間36内に導かれて周回するように曲げられるため、生じた余長分に応じて円滑に曲げ変形することができる。このため、生じた余長に応じたワイヤーハーネス60の周回態様が安定し、ワイヤーハーネス60の余長吸収動作を安定させることができる。
また、ワイヤーハーネス60に生じた余長は、スプールプロテクタ30内に納められるため、ワイヤーハーネス60が車両の他の部品或は乗員の脚等と干渉し難い。
また、仕切壁34cの内側端部を丸めた部分34dに形成しているため、仕切壁34cのうち本体部分30a内側の端部とワイヤーハーネス60とが滑らかに接触し、余長吸収空間36に対するワイヤーハーネス60の送込み、引込動作を円滑に行える。
また、スライドガイド経路34は、余長吸収空間36よりも外方に突出しているため、長尺スライド部材22をより安定してガイドできる。
もっとも、上記突出部分30bを省略し、スライドガイド経路34を余長吸収空間36の側方部分に対応する位置だけも設けてもよい。
また、スプールプロテクタ30が開口を有する扁平なケース状に形成されているため、長尺スライド部材22、ワイヤーハーネス60の組込等を容易に行える。そして、組込後は、スプールプロテクタ30の開口を蓋部80で閉塞するため、長尺スライド部材22、ワイヤーハーネス60が他の部材と干渉し難く、より円滑に余長吸収空間36を行うことができる。
なお、上記実施形態では、長尺スライド部材22をスライドレール16側方に配設し、スプールプロテクタ30をスライドシート10の側方に配設したが必ずしもその必要はない。長尺スライド部材22を一対のスライドレール16間に、スプールプロテクタ30をスライドシート10の底部等に配設してもよい。
また、長尺スライド部材22をスライドシート10に取付支持し、スプールプロテクタ30を車両側の部分(例えば、フロア等)に取付けてもよい。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
10 スライドシート
16 スライドレール
20 スライド移動部材用配線装置
22 長尺スライド部材
30 スプールプロテクタ
30a 本体部分
30b 突出部分
34 スライドガイド経路
36 余長吸収空間
38 ガイド曲面
60 ワイヤーハーネス
70 車体側コネクタ
72 コネクタ
80 蓋部

Claims (3)

  1. 車体と車体に搭載されたスライド移動部材との間に配索されるワイヤーハーネスの余長を吸収するスライド移動部材用配線装置であって、
    一端部が前記車体及び前記スライド移動部材の一方側に支持された状態で、前記スライド移動部材の移動方向に沿って配設可能な長尺スライド部材と、
    前記車体及び前記スライド移動部材の他方に配設可能に構成され、外部から前記長尺スライド部材を挿入可能な入出開口と、前記入出開口を通じて挿入された長尺スライド部材22を前記スライド移動部材の移動方向に沿ってスライド移動可能に支持するスライドガイド経路と、前記スライドガイド経路に隣設し、前記スライドガイド経路の内側端部から延出する前記ワイヤーハーネスを周回させた状態で収容可能な余長吸収空間と、が形成されると共に、前記スライドガイド経路の内側端部から延出する前記ワイヤーハーネスを前記余長吸収空間側に案内可能なガイド曲面が形成されたスプールプロテクタと、
    前記長尺スライド部材にその長手方向に沿って支持され、一端部が前記長尺スライド部材の一端部で前記車体及び前記スライド移動部材の一方側の電気機器に接続可能に構成されると共に、他端部が前記長尺スライド部材の他端部から延出して前記スライドガイド経路を通って前記ガイド曲面により前記余長吸収空間内に導かれて前記車体及び前記スライド移動部材の他方側の電気機器に接続可能に構成されたワイヤーハーネスと、
    を備え、
    前記長尺スライド部材が前記スライドガイド経路から引出された状態では、前記余長吸収空間内で前記ワイヤーハーネスが前記スライドガイド経路の長手方向に沿って配設され、その状態から前記長尺スライド部材が前記スライドガイド経路に挿入されると、前記ワイヤーハーネスのうち前記長尺スライド部材の挿入によって生じた余長部分が前記余長吸収空間内で周回するように曲げて配設され
    前記余長吸収空間と前記スライドガイド経路との間の仕切壁部のうち前記スプールプロテクタ内側端部が丸められている、スライド移動部材用配線装置。
  2. 請求項1記載のスライド移動部材用配線装置であって、
    前記スライドガイド経路は、前記余長吸収空間よりも外方に延出している、スライド移動部材用配線装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のスライド移動部材用配線装置であって、
    前記スプールプロテクタは、一方が開口する扁平なケース状に形成され、前記スプールプロテクタの開口に蓋部が取付けられる、スライド移動部材用配線装置。
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