図1は、実施例のロック装置10を設けられたボード1が車両に取り付けられた状態を示す図である。荷室の後方にはバックドアによって開閉される後部開口2が形成されており、この後部開口2を通じて荷室に荷物が搬入される。荷室にはボード1が配設されている。ボード1の下には収納箱が設けられている。
ロック装置10は車両の運転時に生じる振動でボード1が開いたり、ずれたりしないように固定するロック機能を有する。ロック装置10は車両に設けられた被ロック部材にロックしてボード1を閉状態で固定する。ロック装置10と被ロック部材とによりロック構造が構成される。ボード1は、車両の荷室に配設され、ロック装置10を取り付けるための開口部を有する。
図2は、実施例のロック装置10の表側の斜視図である。また、図3は、実施例のロック装置10の裏側の斜視図である。図2(a)および図3(a)はロック状態にあるロック装置10を示し、図2(b)および図3(b)はロック解除状態にあるロック装置10を示す。
ロック装置10は、ベース部材20、操作部材22、ロック部材24およびカバー部材26を備える。なお、ロック装置10の内部には、ロック部材24を前方に付勢するバネ部材、操作部材22の回転に緩衝するダンパー部材がさらに設けられる。
ベース部材20は、操作部材22を回転可能に支持する。図2(a)に示すようにロック装置10の表側にベース部材20および操作部材22が位置し、図3(a)に示すように裏側にカバー部材26が位置する。カバー部材26は、ベース部材20とボード1の開口部の縁を挟むことで、ロック装置10をボード1に固定する。
操作部材22は、通常は図2(a)に示す全閉状態となる第1回転位置をとり、ユーザの操作により図2(b)に示す全開状態となる第2回転位置に回転する。操作を終えると、操作部材22は自重により元の第1回転位置に戻ることが可能である。
ロック部材24は、操作部材22の回転操作によりスライドする。ロック部材24は、図2(a)に示すロック状態ではカバー部材26より所定長さ以上に外側に張り出したロック位置をとり、図2(b)に示すロック解除状態では後退したロック解除位置をとる。ロック装置10において、ロック部材24が外側に張り出す方向を前方向とし、ロック部材24が退く方向を後方向とする。また、ロック部材24が前後に移動する方向をスライド方向という。
ユーザは、ロックしているロック装置10に対して、手を挿入して操作部材22を指先で引き上げて少し回転させ、操作部材22をベース部材20から引き出し、手を操作部材22に掛けて、操作部材22を上向きに引っ張って、ロック解除する。さらに、ユーザは操作部材22をつかんだままボード1を持ち上げることができる。
図4は、ボード1に取り付けたロック装置10が被ロック部材6にロックした状態のロック構造8を示す。ロック装置10は、ベース部材20およびカバー部材26よりボード1の開口部1aの縁を挟むことで、ボード1の開口部1aに固定される。
被ロック部材6は、荷室開口を形成し、車幅方向に延在する。ロック装置10は被ロック部材6にロックする。被ロック部材6は、車体に固定されており、固定体として機能し、ボード1は荷室開口を開閉する開閉体として機能する。被ロック部材6について新たな図面を参照して説明する。
図5は、被ロック部材6について説明するための図である。被ロック部材6は、ロック孔6a、台座部6bおよび解除突部6cを有する。ロック孔6aは、被ロック部材6の側面に形成され、ロック装置10のロック部材24を受け入れてロック状態にする。ロック状態のロック部材24は、ボード1を開こうとすると上方に移動しようとするが、ロック孔6aの上縁に当たって移動できず、ロック状態が維持される。ロック孔6aは、ロック装置10のロック部材24を受け入れて係合する係合部として機能する。ロック部材24が後退してロック孔6aから出るとロックが解除されてロック解除状態となる。
台座部6bは、ロック孔6aの下部から張り出すように設けられ、ロック状態のボード1およびロック装置10を載置する座面を形成する。解除突部6cは、台座部6bに突起状に形成され、上方に突出する。ここで、ロック装置10の各部材について新たな図面を参照しつつ説明する。
図6は、ベース部材20について説明するための図である。図6(a)は表側からみたベース部材20を示し、図6(b)は裏側からみたベース部材20を示す。ベース部材20は、底部30、側壁部32、フランジ部34、上面部36、軸孔38、レール部40、爪部42、第1挟持部44、バネ支持部46、ロック支持部48、第2挟持部50、ダンパー支持部52、全開ストッパ部54および全閉ストッパ部56を有する。
底部30は、フランジ部34より凹んで位置し、ユーザが手指を入れて操作部材22を掴むための空間を形成する。側壁部32は、矩形状に形成され、底部30およびフランジ部34を連設する。
フランジ部34は、ベース部材20の周縁に形成され、側壁部32の上端から外向きに張り出し、ボード1の開口部1aの表縁に引っ掛かる。上面部36は、矩形環状の操作部材22の隙間を埋めて、ロック装置10に異物が溜まることを抑える。また、上面部36は、ロック部材24の収容空間を形成する。ベース部材20の上面部36より前方側と前端側のフランジ部34の間は貫通している。
軸孔38は、側壁部32に一対形成され、操作部材22を回転可能に支持する。レール部40は、側壁部32に凹んで形成され、前後方向に沿って伸びる。レール部40は、カバー部材26に嵌合し、カバー部材26をスライドさせて組み付け可能にする。
爪部42は、前側の側壁部32から突出して弾性爪状に形成され、組付状態のカバー部材26に係止して、カバー部材26が前方に外れにくくする。突起部43は、前側の側壁部32から突出して形成され、組付状態のカバー部材26が下方に外れることを規制する。
一対の第1挟持部44は、上面部36の裏面に突出して弾性爪状に形成される。一対の第2挟持部50は、前側のフランジ部34の裏面に突出して弾性爪状に形成される。第1挟持部44および第2挟持部50は、ロック部材24をスライド可能に挟持する。ロック支持部48は、前側のフランジ部34の裏側に平板状に形成され、ロック部材24の上方への動きを抑え、ロック部材24のスライドを支持する。
バネ支持部46は、ベース部材20の中央位置に形成され、前方に突出する。バネ支持部46は、ロック部材24を前方に付勢するバネ部材を支持する。ダンパー支持部52は、軸孔38の間で円柱状に設けられ、ダンパー部材を支持する。
全開ストッパ部54は、全開状態の操作部材22の開き動作を規制する。全閉ストッパ部56は、全閉状態の操作部材22の閉じ動作を規制する。
図7は、裏側からみた操作部材22の斜視図である。操作部材22は、矩形環状に形成され、把手部58、軸部60、ストッパ部62、ダンパー収容部64および引込部66を有する。把手部58は、軸方向に沿って延在し、ユーザに把持される。一対の軸部60は、軸方向外向きに突出し、ベース部材20の軸孔38に挿入されて支持される。
ダンパー収容部64は、一対の軸部60の間に形成され、操作部材22の回転に緩衝するダンパー部材を収容する。ストッパ部62は、操作部材22を開き方向に回転させた際にベース部材20の全開ストッパ部54に当接して開き方向の回転を止める。
引込部66は、一対の軸部60の間に形成され、操作部材22の裏側で軸方向に直交する方向に突出する。引込部66は、操作部材22を開き方向に回転させた際に、ロック位置にあるロック部材24を後方に引き込み、ロック解除位置に移動させる。
図8は、ロック部材24について説明するための図である。図8(a)は表側からみたロック部材24を示し、図8(b)は裏側からみたロック部材24を示し、図8(b)はロック部材24の側面を示す。
ロック部材24は、矩形の略平板状に形成される。ロック部材24は、弾性部67、バネ支持部68、レール部70および窪み部72を有する。
一対のレール部70は、ロック部材24の両側に長手方向に沿って形成され、ベース部材20の第1挟持部44にスライド可能に挟持される。バネ支持部68はロック部材24の後部に突起状に形成され、バネ部材を支持する。レール部70は、ロック部材24の長手方向において、バネ支持部68と重なるように設けられており、スライド長さを十分に確保されている。
図8(a)に示すように、受け面69は、ロック部材24の表側にてスライド方向に直交する方向に立ち上がるように形成される。受け面69は、操作部材22の回転時に操作部材22の引込部66に押されて、引き込み荷重を受ける。
図8(b)に示すように、窪み部72は、ロック部材24の裏面を窪んで形成され、ロック部材24の略中央位置から前端に亘って形成される。窪み部72は、弾性部67を設けるために形成される。
弾性部67は、弾性を有する片持ち片として窪み部72内に形成される。弾性部67は、ロック部材24の略中央位置からスライド方向に沿って前方に延出し、前方側に自由端部67aを有する。弾性部67は、スライド方向に撓みづらく、スライド方向に交差する方向に撓み、より詳細にはスライド方向に直交する方向に撓む。弾性部67が上方に撓むと自由端部67aが上方に変位する。弾性部67は、ロック解除状態でカバー部材26に係止し、ロック解除状態のロック部材24を前方にスライドしないようにする。
図8(c)に示すように、弾性部67の自由端部67aは、ロック部材24の裏面より突出している。スリット74は、ロック部材24の前端を切り欠くように形成され、弾性部67の自由端部67aを前方に露出させる。
図9は、カバー部材26について説明するための図である。図9(a)は表側からみたカバー部材26の斜視図であり、図9(b)はカバー部材26の平面図である。カバー部材26は、カバー片76、制限部78、ガイド部80、撓み規制部81、嵌合突部82、前側凹部83、フランジ部84および前側孔部85を有する。
一対の嵌合突部82は、カバー部材26の両側に形成され、ベース部材20のレール部40にスライド嵌合する。フランジ部84は、カバー部材26の周縁に形成され、ベース部材20のフランジ部34とボード1の開口部1aの縁を挟む。
前側凹部83は、ベース部材20の爪部42に係止されて、カバー部材26がベース部材20に対して前方にスライドすることを抑えられる。前側孔部85は、ベース部材20の突起部43が挿入されて、例えば操作部材22を把持してボード1を持ち上げる際に、カバー部材26が下方に外れることを規制する。
ガイド部80は、ロック部材24が収まるように、ベース部材20より前方に張り出すように形成され、ロック部材24の側方および下方への移動を規制し、ロック部材24のガイドとして機能する。撓み規制部81は、スライド方向に沿ってリブ状に形成され、ロック部材24を挟持する第1挟持部44および第2挟持部50が拡開する動きを規制し、ロック部材24の挟持を外れないようにする。
制限部78は、カバー部材26の上面の前端の位置に、上方に突出して形成される。制限部78は、ロック解除位置のロック部材24の弾性部67に係止してロック部材24のスライド方向前方への移動を制限する。
カバー片76は、カバー部材26をU字状に切り欠くように形成された平板状の片持ち片である。実施例に示すカバー片76は、弾性を有しており、復元力により元の状態に戻るように構成されるが、この態様に限定されず、弾性を有さずともよい。カバー片76は、ロック部材24のスライド方向に交差する方向に撓み、より詳細にはロック部材24のスライド方向に直交する方向、つまり面直方向に撓み可能である。カバー片76は、スライド方向に沿って前方に延出し、先端が制限部78に近接する。カバー片76は、ロック部材24の弾性部67より幅広に形成される。なお、カバー片76の幅方向は、組付状態で操作部材22の軸方向に沿う。
カバー片76は、ロック解除状態のロック部材24の下方に対向して位置し、ロック部材24の弾性部67を覆う。カバー片76は、上方に撓んだ際に弾性部67に当たって弾性部67を上方に撓ませて自由端部67aを上方に変位させて、弾性部67および制限部78の係止を解除させる。カバー片76がない場合と比べて、カバー片76を設けることでロック装置10の内部に異物が入ることを抑えることができ、意匠性も向上できる。
図10(a)は、図2(a)に示すロック状態のロック装置10の線分A−Aの断面図であり、図10(b)は、図2(b)に示すロック解除状態のロック装置10の線分B−Bの断面図である。
図10(a)に示すように、ロック部材24は、バネ部材86に前方に付勢されており、受け面69が操作部材22の引込部66に当接して前方へのスライドが規制されている。操作部材22は、ロック部材24を介してバネ部材86により閉じ方向に付勢され、ベース部材20の全閉ストッパ部56に回転が規制されている。
ユーザは、底部30に手指を入れて操作部材22を上方に引っ張って回転させる。操作部材22の開き方向の回転に応じて、引込部66が回転するとともに受け面69を後方に押し、ロック部材24が後方に引き込まれる。
図10(b)に示すように、ロック部材24の後退により、弾性部67が撓みながら制限部78を乗り越え、制限部78より後方に位置すると弾性部67の復元力でロック部材24より下方に突出する位置に戻る。ユーザが操作部材22から手を離すと、操作部材22は自重により全閉状態の位置に戻る。ロック部材24は、バネ部材86に付勢されて前方にスライドしようとするが、弾性部67の自由端部67aが制限部78に当接して前方へのスライドが制限される。
このように、ユーザが操作部材22から手を離してもロック部材24を後退させたままボード1から張り出していない収容状態に維持することができる。これにより、ボード1を閉じる際、ロック部材24が被ロック部材6に当たることなく、スムーズに閉じることができ、ロック部材24や被ロック部材6が損傷することを防ぐことができる。
図11は、弾性部67および制限部78の係止解除について説明するための図である。図11ではロック部材24がロック孔6aに係合したロック状態を示す。ユーザがボード1を閉じると、ロック装置10が図5に示す台座部6bに接近し、台座部6bに載置される。
ロック装置10が台座部6bに載置されると、カバー部材26のカバー片76に被ロック部材6の解除突部6cが当り、カバー片76が上方に押されて撓むとともに、弾性部67もカバー片76に押されて上方に撓む。弾性部67が上方に撓むことで、自由端部67aが大きく上方に変位し、弾性部67と制限部78の係止が解除されて、バネ部材86の付勢によりロック部材24が前方にスライドし、ロック孔6aに入り込んでロック状態になる。
このようにボード1を閉じた際に、弾性部67と制限部78の係止が自動的に解除されてロックするため、ユーザは弾性部67と制限部78の係止を解除する操作をすることなく、容易にロックできる。
弾性部67は、スライド方向の前方に延出し、自由端部67aが制限部78に当接して係止するように構成される。これにより、弾性部67がスライド方向に沿って延出するため、ロック部材24の幅方向の大きさを小さくできる。また、自由端部67aが制限部78に係止することで、片持ち片のうち最も大きく上下に撓む部分で係止および解除の動作を安定させることができる。
カバー片76は、弾性部67と同様にスライド方向の前方に延出する。これにより、カバー片76がスライド方向の後方に延出する場合と比べて、カバー片76が上方に撓んで弾性部67を押し上げやすくできる。
弾性部67は、ロック部材24がロック解除位置に移動する際に制限部78を乗り越えたとき、カバー片76より大きな復元力を生じるように構成される。また、弾性部67は、カバー片76より撓みにくく構成されてよい。これにより、弾性部67の復元力でカバー片76を確実に元の位置に戻すことができる。ボード1の閉状態では、カバー片76は解除突部6cに当たって常に上方に撓んだ状態にあることから、経時的にカバー片76が元の位置に戻りづらくなる可能性があり、そのような場合にも弾性部67がカバー片76を元の位置に押し戻すことができる。
カバー片76は、弾性部67より幅広である。これにより、ボード1が位置ずれしたまま閉じた場合に、解除突部6cがカバー片76に当たりやすく構成できる。これにより、弾性部67と制限部78の係止を解除できない可能性を低減でき、係止解除動作を安定できる。また、ボード1の位置ずれを許容をできるため、ボード1と被ロック部材6の隙間を確保してボード1を閉じやすく設定できる。
カバー片76は、弾性部67より長く延出する。これにより、ボード1が後方に位置ずれし、解除突部6cがカバー片76の前端側に当接しても、カバー片76の先端の上方への変位量を確保して、弾性部67と制限部78の係止を解除できない可能性を低減できる。
弾性部67の下面を滑らかな傾斜面にすることで、弾性部67が制限部78を乗り越える際に、弾性部67が制限部78の前端に引っ掛からないようにできる。
カバー部材26をベース部材20に組み付ける際、ベース部材20のレール部40にカバー部材26の嵌合突部82をスライドさせる。このカバー部材26のスライド時にカバー部材26の制限部78がロック部材24の弾性部67に当接して、ロック部材24をロック解除位置に移動させる。カバー部材26を組み付ければロック部材24が収容された状態となりそのままロック装置10を搬送できる。
図12は、第1変形例のロック構造100について説明するための図である。図12(a)はロック解除状態のロック構造100を示し、図12(b)はロック状態のロック構造100を示す。ロック構造100はダッシュボードに設けられるグローブボックスに用いられる。
第1変形例のロック構造100は、グローブボックスの箱状の固定体106と、固定体106の開口を開閉する開閉体109とに用いられる。固定体106はダッシュボートと一体に車体に固定され、開閉体109は回動可能に支持され、固定体の開口を開閉する蓋として機能する。
開閉体109は、開閉体109の表側に位置するベース部材120と、開閉体109の裏側に位置するカバー部材126と、ベース部材120およびカバー部材126に挟まれた空間に設けられるロック装置110とを有する。開閉体109に設けられるロック装置110はプッシュ式であり、ユーザは操作部材122を押すことでロック解除可能である。
ロック装置110は、操作部材122、ロッド123およびロック部材124を少なくとも有する。操作部材122は、ベース部材120の開口120aから表側に露出する。操作部材122は、表側から奥に移動可能であり、先端側に傾斜面122aを有する。
ロッド123は、ロック部材124をロック位置に向かって押す。ロッド123は、不図示のバネ部材によりロック部材124をロック位置に移動させる方向、つまりロック部材124のスライド方向前方に付勢される。ロッド123は、先端側に傾斜面123aを有し、操作部材122の傾斜面122aと合わさって摺動する。ロッド123は、操作部材122のプッシュ操作により後方に移動し、操作が終わるとバネ部材の付勢により前方に移動する。
ロック部材124は、固定体106の係合部106aに係合して開閉体109を閉状態にロックする。ロック部材124は、ロッド123の移動に連動してスライドし、ロッド123が進行すれば前方にスライドし、ロッド123が後退すれば後方にスライドする。
ロック部材124は、裏側に弾性部167を有する。弾性部167は、スライド方向前方に延出し、スライド方向に直交する方向に撓んで自由端部を変位させる。図12(a)に示すように、ロック解除位置において、弾性部167は、カバー部材126の制限部178に係止し、ロック部材124を開閉体109に収容した状態にする。
カバー部材126は、弾性部167に係止してロック部材124の前方へのスライドを制限する制限部178と、弾性部167を覆うカバー片176とを有する。カバー片176は、カバー部材126を切り欠くように形成された平板状の片持ち片であり、スライド方向に沿って前方に延出する。カバー片176は、ロック部材124のスライド方向に直交する方向に撓んで、先端を変位させる。
固定体106は、係合部106a、台座部106bおよび解除突部106cを有する。係合部106aは、開閉体109の開き方向に直交する面を有し、図12(b)に示すようにロック部材124に係合してロックする。
図12(a)に示すように、ロック解除位置にあるロック部材124は、弾性部167が制限部178に係止して前方へのスライドが制限され、開閉体109に収容されている。開閉体109を閉じると、カバー部材126が台座部106bに接近し、カバー片176が解除突部106cに当たる。
図12(b)に示すように、カバー片176は解除突部106cに当たって撓み、弾性部167を押して弾性部167と制限部178の係止を解除する。ロック部材124は、制限部178の制限が解除されると、ロッド123を介してバネ部材に付勢されて、前方にスライドし、係合部106aに係合してロックする。
図13は、第2変形例のロック構造200について説明するための図である。図13(a)はロック解除状態のロック構造200を示し、図13(b)はロック状態のロック構造200を示す。
第2変形例のロック構造200は、図12(a)に示す第1変形例のロック構造100と比べて、グローブボックスに用いる点で共通するが、操作部材222が固定体206、つまり固定体に設けられる点で異なる。
操作部材222は、固定体206の開口206dから表側に露出する。操作部材222は、表側から奥に移動可能であり、先端側に傾斜面222aを有する。
ロッド223は、先端側に傾斜面223aを有し、操作部材222の傾斜面222aと合わさって摺動する。ロッド223は、操作部材222がプッシュ操作されると係合部206aに向かってスライドし、ロック部材124をロック位置からロック解除位置に移動させる。
図13(a)に示すように、ロック部材124は、バネ部材286に付勢されてロック位置に向かう前方にスライドしようとするが、弾性部167が制限部178に係止してロック解除位置に維持され、開閉体109に収容される。開閉体109を閉じると、カバー部材126が台座部206bに接近し、カバー片176が解除突部206cに当たる。
図13(b)に示すように、カバー片176は解除突部206cに当たって撓み、弾性部167を押して弾性部167と制限部178の係止を解除する。ロック部材124は、制限部178の制限が解除されると、バネ部材286に付勢されて、前方にスライドし、係合部206aに係合してロックする。
図13(b)に示すロック状態のロック構造200に対して、操作部材222をプッシュ操作すると、ロッド223が移動してロック部材124を後退させ、ロック部材124をロック解除位置に移動させる。ロック部材124がロック解除位置に移動すると、弾性部167が制限部178に係止してロック解除位置にとどまる。
図14は、第3変形例のロック構造について説明するための図である。図14に示す第3変形例のロック構造は、図12に示す第1変形例のロック構造と比べて、ロック部材324およびカバー片376が固定体側に設けられる点で、異なる。
図14(a)に示すように、固定体側にロック部材324およびカバー片376が設けられ、開閉体309側に操作部材322およびロッド部材323が設けられる。ロック部材324は、開閉体309の係合部382に係合したロック状態にある。カバー片376は、固定体側カバー部材306に形成され、ロック部材324の弾性部367に対向して弾性部367を覆うように配置される。ロック状態のカバー片376は、開閉体309の解除突部380に押されて、ロック部材324のスライド方向に交差する方向に撓んでいる。
図14(b)に示すように、操作部材322がプッシュ操作がなされると、操作部材322に連動してロッド部材323がスライドし、ロック部材324を押して後退させ、ロックを解除する。開閉体309が開くと、ロック部材324は、不図示のバネ部材の付勢によってロックする方向にスライドしようとするが、図14(c)に示すように、弾性部367が制限部378に係止して、スライドが制限され、固定体側カバー部材306内に収容されたまま維持される。
図14(c)に示す弾性部367および制限部378の係止は、開閉体309を閉じることで、解除突部380に押されて解除される。開閉体309の解除突部380は、カバー片376を介して弾性部367をスライド方向に交差する方向に押し込んで、係止を解除する。開閉体309を閉じ、弾性部367および制限部378の係止が解除されると、ロック部材324がスライドして開閉体309の係合部382にロックする。このように、ロック部材324が固定体側に設けられても、ロック解除状態でロック部材324を収容して維持する構成を実現できる。
本発明は上述の各実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
実施例では、制限部78をカバー部材26に設ける態様を示したが、この態様に限られず、カバー部材26とは別の部材に形成されてよい。例えば、ベース部材20にロック部材24の出入り口を孔状に形成し、その出入り口の下部に上方に突出する制限部が形成されてよい。
図14に示す第3変形例のロック構造では、操作部材322を開閉体309に設ける態様を示したが、この態様に限られず、ロック部材324および操作部材322を固定体側に設けてもよい。