JP2016056446A - 酸化物の作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】トランジスタの半導体などに適用可能な、酸化物を作製する。特に、結晶粒界などの欠陥の少ない酸化物を作製する。
【解決手段】基板に平行方向の成分を有して磁場が加えられ、磁場は、10G以上100G以下となる領域を有し、ターゲットが結晶体または多結晶体であるマグネトロンスパッタ法を用いて、結晶体または多結晶体中の結晶をペレット状にしてプラズマ中を飛翔せしめて被形成面上に被形成面と平行または略平行に配列せしめて積層する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、酸化物、トランジスタおよび半導体装置、ならびにそれらの製造方法に関する。または、本発明は、例えば、酸化物、表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、プロセッサ、電子機器に関する。または、酸化物、表示装置、液晶表示装置、発光装置、記憶装置、電子機器の製造方法に関する。または、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、記憶装置、電子機器の駆動方法に関する。
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、半導体回路および電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
絶縁表面を有する基板上の半導体を用いて、トランジスタを構成する技術が注目されている。当該トランジスタは集積回路や表示装置のような半導体装置に広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体としてシリコンが知られている。
トランジスタの半導体に用いられるシリコンは、用途によって非晶質シリコンと多結晶シリコンとが使い分けられている。例えば、大型の表示装置を構成するトランジスタに適用する場合、大面積基板への成膜技術が確立されている非晶質シリコンを用いると好適である。一方、駆動回路と画素回路とを同一基板上に形成するような高機能の表示装置を構成するトランジスタに適用する場合、高い電界効果移動度を有するトランジスタを作製可能な多結晶シリコンを用いると好適である。多結晶シリコンは、非晶質シリコンに対し高温での熱処理、またはレーザ光処理を行うことで形成する方法が知られる。
近年は、非晶質酸化物半導体、および微結晶を有する非晶質酸化物半導体を用いたトランジスタが開示されている(特許文献1参照。)。酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、大型の表示装置を構成するトランジスタの半導体に用いることができる。また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、高い電界効果移動度を有するため、駆動回路と画素回路とを同一基板上に形成するような高機能の表示装置を実現できる。また、非晶質シリコンを用いたトランジスタの生産設備の一部を改良して利用することが可能であるため、設備投資を抑えられるメリットもある。
なお、1985年には、結晶In−Ga−Zn酸化物の合成が報告されている(非特許文献1参照。)。また、1995年には、In−Ga−Zn酸化物がホモロガス構造をとり、InGaO(ZnO)(mは自然数。)という組成式で記述されることが報告されている(非特許文献2参照。)。
また、2014年には、非晶質In−Ga−Zn酸化物を用いたトランジスタと比べ、優れた電気特性および信頼性を有する、結晶性In−Ga−Zn酸化物を用いたトランジスタについて報告されている(非特許文献3および非特許文献4参照。)。ここでは、CAAC−OS(C−Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)を有するIn−Ga−Zn酸化物は、結晶粒界が明確に確認されないことが報告されている。
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さいことが知られている。例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を応用した低消費電力のCPUなどが開示されている(特許文献2参照。)。また、酸化物半導体からなる活性層で井戸型ポテンシャルを構成することにより、高い電界効果移動度を有するトランジスタが得られることが開示されている(特許文献3参照。)。
特開2006−165528号公報 特開2012−257187号公報 特開2012−59860号公報
N. Kimizuka, and T. Mohri: Journal of Solid State Chemistry 1985 vol.60 pp.382−384 N. Kimizuka, M. Isobe, and M. Nakamura: Journal of Solid State Chemistry 1995 vol.116 p170−p178 S. Yamazaki, H. Suzawa, K. Inoue, K. Kato, T. Hirohashi, K. Okazaki, and N. Kimizuka: Japanese Journal of Applied Physics 2014 vol.53 04ED18 S. Yamazaki, T. Hirohashi, M. Takahashi, S. Adachi, M. Tsubuku, J. Koezuka, K. Okazaki, Y. Kanzaki, H. Matsukizono, S. Kaneko, S. Mori, and T. Matsuo: Journal of the Society for Information Display 8 April 2014 211
トランジスタの半導体などに適用可能な、酸化物を作製する方法を提供することを課題の一とする。特に、結晶粒界などの欠陥の少ない酸化物を作製する方法を提供することを課題の一とする。
または、酸化物を半導体に用いた半導体装置を提供することを課題の一とする。または、酸化物を半導体に用いた半導体装置を有するモジュールを提供することを課題の一とする。または、酸化物を半導体に用いた半導体装置、または酸化物を半導体に用いた半導体装置を有するモジュールを有する電子機器を提供することを課題の一とする。
電気特性の良好なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、電気特性の安定したトランジスタを提供することを課題の一とする。または、高い周波数特性を有するトランジスタを提供することを課題の一とする。または、オフ時の電流の小さいトランジスタを提供することを課題の一とする。または、該トランジスタを有する半導体装置を提供することを課題の一とする。または、該半導体装置を有するモジュールを提供することを課題の一とする。または、該半導体装置、または該モジュールを有する電子機器を提供することを課題の一とする。または、新規な半導体装置を提供することを課題の一とする。または、新規なモジュールを提供することを課題の一とする。または、新規な電子機器を提供することを課題の一とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
(1)本発明の一態様は、基板に平行方向の成分を有して磁場が加えられ、磁場は、磁束密度が10G以上100G以下となる領域を有し、ターゲットが結晶体または多結晶体であるマグネトロンスパッタ法を用いて、結晶体または多結晶体中の結晶をペレット状にしてプラズマ中を飛翔せしめて被形成面上に被形成面と平行または略平行に配列せしめて積層する酸化物の作製方法である。
(2)または、本発明の一態様は、(1)において、ペレット状の結晶はチャージアップしており、被形成面に対して、磁場が0.1Hz以上1kHz以下のビートで回転または移動していることにより、ペレット状の結晶を被形成面に配列せしめる酸化物の作製方法である。
(3)または、本発明の一態様は、酸化物の作製方法であって、酸化物は、マグネトロンスパッタ法を用いて成膜され、マグネトロンスパッタ法は、第1のステップと、第2のステップとを有し、第1のステップおよび第2のステップにおいて、基板の上面に平行方向の成分を有する磁場が加えられ、マグネトロンスパッタ法において使用されるターゲットは、多結晶構造を有する領域を有し、ターゲットは、基板と向かい合って配置され、ターゲットは、結晶粒を有し、第1のステップにおいて、結晶粒の一部は、ペレット状になって、プラズマ中を飛翔し、第2のステップにおいて、ペレット状の結晶粒の一部は、基板の上面に、上面と平行または略平行に配列するように積層される酸化物の作製方法である。
(4)または、本発明の一態様は、スパッタリング装置を用いた酸化物の作製方法であって、第1のステップと、第2のステップと、第3のステップと、を有し、スパッタリング装置は、ターゲットと、基板と、マグネットユニットと、を有し、ターゲットは、インジウムと、亜鉛と、元素M(元素Mはアルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズ)と、酸素と、を有し、ターゲットは、多結晶構造を有する領域を有し、ターゲットは、基板と向かい合って配置され、マグネットユニットは、ターゲットの背面側に配置され、マグネットユニットは、ターゲット側にN極を有する第1のマグネットと、ターゲット側にS極を有する第2のマグネットと、台座と、を有し、第1のマグネットと第2のマグネットとの間に、磁場が形成されており、第1のステップは、基板とマグネットユニットとが、相対的に移動または回転するステップを有し、第1のステップは、ターゲットおよび基板間に電位差を与えることでプラズマを生成するステップを有し、第1のステップは、プラズマ中に生じたイオンを、ターゲットのおもて面側に衝突させることで、平板状酸化物を剥離させるステップを有し、平板状酸化物は、第1の層と、第2の層と、第3の層と、を有し、第1の層は、元素M、亜鉛および酸素を有し、第2の層は、インジウムおよび酸素を有し、第3の層は、元素M、亜鉛および酸素を有し、第2のステップは、平板状酸化物が、プラズマ中を通ることで負に帯電した後、結晶構造を維持したまま基板上面に近接するステップを有し、第3のステップは、磁場と電流との作用により、平板状酸化物が、基板上面を移動してから堆積するステップを有し、電流は基板からターゲットに向けて流れる酸化物の作製方法である。
(5)または、本発明の一態様は、(4)において、基板の上面における水平磁場の磁束密度が10G以上100G以下である酸化物の作製方法である。
(6)または、本発明の一態様は、(4)または(5)において、マグネットユニットは、台座の中央を回転軸として回転しており、マグネットユニットの回転速度が0.1Hz以上1kHz以下である酸化物の作製方法である。
(7)または、本発明の一態様は、(4)乃至(6)のいずれか一において、平板状酸化物の側面にあるインジウム、元素Mまたは亜鉛と結合する酸素が負に帯電する酸化物の作製方法である。
(8)または、本発明の一態様は、(4)乃至(7)のいずれか一において、負に帯電した酸素同士を互いに反発させることで、平板状酸化物の形状を維持する酸化物の作製方法である。
(9)または、本発明の一態様は、(4)乃至(8)のいずれか一において、平板状酸化物は、基板上面を移動し、側面が既に堆積している平板状酸化物の側面と結合した後で基板上面に固着する酸化物の作製方法である。
(10)または、本発明の一態様は、(4)乃至(9)のいずれか一において、平板状酸化物は、基板上面に堆積する際、基板上面の法線ベクトルとc軸との為す角が、−30°以上30°以下となる酸化物の作製方法である。
(11)または、本発明の一態様は、(4)乃至(10)のいずれか一において、ターゲットに含まれる結晶性酸化物の組成式がInMO(ZnO)(mは自然数。)である酸化物の作製方法である。
(12)または、本発明の一態様は、(4)乃至(11)のいずれか一において、イオンが、酸素の陽イオンである酸化物の作製方法である。
トランジスタの半導体などに適用可能な、酸化物を作製する方法を提供することができる。特に、結晶粒界などの欠陥の少ない酸化物を作製する方法を提供することができる。
または、酸化物を半導体に用いた半導体装置を提供することができる。または、酸化物を半導体に用いた半導体装置を有するモジュールを提供することができる。または、酸化物を半導体に用いた半導体装置、または酸化物を半導体に用いた半導体装置を有するモジュールを有する電子機器を提供することができる。
電気特性の良好なトランジスタを提供することができる。または、電気特性の安定したトランジスタを提供することができる。または、高い周波数特性を有するトランジスタを提供することができる。または、オフ時の電流の小さいトランジスタを提供することができる。または、該トランジスタを有する半導体装置を提供することができる。または、該半導体装置を有するモジュールを提供することができる。または、該半導体装置、または該モジュールを有する電子機器を提供することができる。または、新規な半導体装置を提供することができる。または、新規なモジュールを提供することができる。または、新規な電子機器を提供することができる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
成膜室の一例を示す断面図、およびマグネットユニットの一例を示す上面図。 成膜室の一例を示す断面図、およびマグネットユニットの一例を示す上面図。 CAAC−OSの成膜モデルを説明する模式図、およびペレットを示す図。 ペレットを説明する図。 被形成面においてペレットに加わる力を説明する図。 被形成面におけるペレットの動きを説明する図。 InGaZnOの結晶を説明する図。 In−M−Zn酸化物の組成を説明する三角図。 成膜装置の一例を示す上面図。 成膜装置の構成の一例を示す図。 本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。 本発明の一態様に係るトランジスタを示す断面図。 本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。 本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。 本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。 本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。 本発明の一態様に係るトランジスタを示す断面図。 本発明の一態様に係る半導体装置の回路図。 本発明の一態様に係る記憶装置の回路図。 本発明の一態様に係るCPUを示すブロック図。 本発明の一態様に係る記憶素子の回路図。 本発明の一態様に係る表示装置の上面図および回路図。 本発明の一態様に係る電子機器を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のTEM像および電子回折パターンを示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のTEM像および電子回折パターンを示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物の電子回折パターンを示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物の電子回折パターンを示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のXRD装置による解析結果を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のXRD装置による解析結果を示す図。 CAAC−OSの成膜モデルを説明する模式図。 In−Ga−Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。 In−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図。 In−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図、および電子照射による結晶部の変化を示す図。 In−Ga−Zn酸化物の水素濃度の深さ方向におけるプロファイル。 In−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図、および電子回折パターンを示す図。 In−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図、および電子回折パターンを示す図。 In−Ga−Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図、およびTEM像を示す図。 In−Ga−Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図、およびTEM像を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のADF−STEM像および各元素マッピングを示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物を用いたトランジスタの電気特性を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物を用いたトランジスタの電気特性を示す図。
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、図において、大きさ、膜(層)の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜的に用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書などに記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導体にDOS(Density of State)が形成されることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
なお、本明細書において、Aが濃度Bの領域を有する、と記載する場合、例えば、Aのある領域における深さ方向全体の濃度がBである場合、Aのある領域における深さ方向の濃度の平均値がBである場合、Aのある領域における深さ方向の濃度の中央値がBである場合、Aのある領域における深さ方向の濃度の最大値がBである場合、Aのある領域における深さ方向の濃度の最小値がBである場合、Aのある領域における深さ方向の濃度の収束値がBである場合、測定上Aそのものの確からしい値の得られる領域における濃度がBである場合などを含む。
また、本明細書において、Aが大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bの領域を有する、と記載する場合、例えば、Aのある領域における全体の大きさ、長さ、厚さ、幅、または距離がBである場合、Aのある領域における大きさ、長さ、厚さ、幅、または距離の平均値がBである場合、Aのある領域における大きさ、長さ、厚さ、幅、または距離の中央値がBである場合、Aのある領域における大きさ、長さ、厚さ、幅、または距離の最大値がBである場合、Aのある領域における大きさ、長さ、厚さ、幅、または距離の最小値がBである場合、Aのある領域における大きさ、長さ、厚さ、幅、または距離の収束値がBである場合、測定上Aそのものの確からしい値の得られる領域での大きさ、長さ、厚さ、幅、または距離がBである場合などを含む。
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の上面に形成されるチャネル領域の割合に対して、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが互いに重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
なお、本明細書において、AがBより迫り出した形状を有すると記載する場合、上面図または断面図において、Aの少なくとも一端が、Bの少なくとも一端よりも外側にある形状を有することを示す場合がある。したがって、AがBより迫り出した形状を有すると記載されている場合、例えば上面図において、Aの一端が、Bの一端よりも外側にある形状を有すると読み替えることができる。
<スパッタリング装置>
以下では、本発明の一態様に係るスパッタリング装置と、該スパッタリング装置を用いて結晶性を有する酸化物を成膜する方法について説明する。
図1(A)は、スパッタリング装置である成膜室101の断面図である。図1(A)に示す成膜室101は、ターゲットホルダ120と、バッキングプレート110と、ターゲット100と、マグネットユニット130と、基板ホルダ170と、を有する。なお、ターゲット100は、バッキングプレート110上に配置される。また、バッキングプレート110は、ターゲットホルダ120上に配置される。また、マグネットユニット130は、バッキングプレート110を介してターゲット100下に配置される。また、基板ホルダ170は、ターゲット100と向かい合って配置される。なお、本明細書では、複数のマグネット(磁石)を組み合わせたものをマグネットユニットと呼ぶ。マグネットユニットは、カソード、カソードマグネット、磁気部材、磁気部品などと呼びかえることができる。マグネットユニット130は、マグネット130Nと、マグネット130Sと、マグネットホルダ132と、を有する。なお、マグネットユニット130において、マグネット130Nおよびマグネット130Sは、マグネットホルダ132上に配置される。また、マグネット130Nは、マグネット130Sと間隔を開けて配置される。なお、成膜室101に基板160を搬入する場合、基板160は基板ホルダ170上に配置される。
ターゲットホルダ120とバッキングプレート110とは、ネジ(ボルトなど)を用いて固定されており、等電位となる。また、ターゲットホルダ120は、バッキングプレート110を介してターゲット100を支持する機能を有する。
バッキングプレート110は、ターゲット100を固定する機能を有する。
図1(A)に、マグネットユニット130によって形成される磁力線180aおよび磁力線180bを示す。
磁力線180aは、ターゲット100の上面近傍における水平磁場を形成する磁力線の一つである。ターゲット100の上面近傍は、例えば、ターゲット100の上面からの垂直距離が0mm以上10mm以下、特に0mm以上5mm以下の領域である。なお、ターゲットの上面は、スパッタされる面を指す。例えば、ターゲットの向きに応じて、下面、側面、正面または被処理面などと呼びかえることができる。
磁力線180bは、マグネットユニット130の上面から、垂直距離dの位置に水平磁場を形成する磁力線の一つである。垂直距離dは、例えば、0mm以上20mm以下または5mm以上15mm以下である。なお、マグネットユニットの上面は、マグネットユニットのターゲット側の面を指す。例えば、マグネットユニットの向きに応じて、下面、側面または正面などと呼びかえることができる。
このとき、強力なマグネット130Nおよび強力なマグネット130Sを用いることで、基板160の上面近傍においても強い磁場を発生させることができる。具体的には、基板160の上面における水平磁場の磁束密度を10G以上100G以下、好ましくは15G以上60G以下、さらに好ましくは20G以上40G以下とすることができる。基板160の上面における水平磁場の磁束密度を上述の範囲とすることにより、後述する成膜モデルを実現することができる。なお、基板の上面は、成膜される面を指す。例えば、基板の向きに応じて、下面、側面、正面または被形成面などと呼びかえることができる。
なお、水平磁場の磁束密度の測定は、垂直磁場の磁束密度が0Gのときの値を測定すればよい。
成膜室101における磁場の磁束密度を上述の範囲とすることで、密度が高く、結晶性の高い酸化物を成膜することができる。また、得られる酸化物は、複数種の結晶相を含むことが少なく、ほとんど単一の結晶相を含む酸化物となる。
図1(B)に、マグネットユニット130の上面図を示す。マグネットユニット130は、円形または略円形のマグネット130Nと、円形または略円形のマグネット130Sと、がマグネットホルダ132に固定されていることわかる。そして、マグネットユニット130を、マグネットユニット130の上面における中央または略中央の法線ベクトルを回転軸として回転させることができる。例えば、マグネットユニット130を、0.1Hz以上1kHz以下のビート(リズム、拍子、パルス、周波、周期またはサイクルなどと言い換えてもよい。)で回転させればよい。
したがって、ターゲット100上の磁場の強い領域は、マグネットユニット130の回転とともに変化する。磁場の強い領域は高密度プラズマ領域となるため、その近傍においてターゲット100のスパッタリング現象が起こりやすい。例えば、磁場の強い領域が特定の箇所となる場合、ターゲット100の特定の領域のみが使用されることになる。一方、図1(B)に示すようにマグネットユニット130を回転させることで、ターゲット100を均一に使用することができる。また、マグネットユニット130を回転させることによって、均一な厚さ、質を有する膜を成膜することができる。
また、マグネットユニット130を回転させることにより、基板160の上面における磁力線の向きも変化させることができる。
なお、ここではマグネットユニット130を回転させる例を示したが、本発明の一態様はこれに限定されるものではない。例えば、マグネットユニット130を上下または/および左右に揺動させても構わない。例えば、マグネットユニット130を、0.1Hz以上1kHz以下のビートで移動させればよい。または、ターゲット100を回転または移動させても構わない。例えば、ターゲット100を、0.1Hz以上1kHz以下のビートで回転または移動させればよい。または、基板160を回転させることで、相対的に基板160の上面における磁力線の向きを変化させても構わない。または、これらを組み合わせても構わない。
成膜室101は、バッキングプレート110の内部または下部などに水路を有してもよい。そして、水路に流体(空気、窒素、希ガス、水、オイルなど)を流すことで、スパッタ時にターゲット100の温度の上昇による放電異常や、部材の変形による成膜室101の損傷などを抑制することができる。このとき、バッキングプレート110とターゲット100とをボンディング材を介して密着させると、冷却性能が高まるため好ましい。
なお、ターゲットホルダ120とバッキングプレート110との間にガスケットを有すると、成膜室101内に外部や水路などから不純物が混入しにくくなるため好ましい。
マグネットユニット130において、マグネット130Nとマグネット130Sとは、それぞれターゲット100側に異なる極を向けて配置されている。ここでは、マグネット130Nをターゲット100側がN極となるように配置し、マグネット130Sをターゲット100側がS極となるように配置する場合について説明する。ただし、マグネットユニット130におけるマグネットおよび極の配置は、この配置に限定されるものではない。また、図1(A)の配置に限定されるものでもない。
成膜時、ターゲットホルダ120に接続する端子V1に印加される電位V1は、例えば、基板ホルダ170に接続する端子V2に印加される電位V2よりも低い電位である。また、基板ホルダ170に接続する端子V2に印加される電位V2は、例えば、接地電位である。また、マグネットホルダ132に接続する端子V3に印加される電位V3は、例えば、接地電位である。なお、端子V1、端子V2および端子V3に印加される電位は上記の電位に限定されない。また、ターゲットホルダ120、基板ホルダ170、マグネットホルダ132の全てに電位が印加されなくても構わない。例えば、基板ホルダ170が電気的に浮いていても構わない。なお、図1(A)では、ターゲットホルダ120に接続する端子V1に電位V1を印加する、いわゆるDCスパッタリング法の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、ターゲットホルダ120に、周波数が13.56MHzまたは27.12MHzなどの高周波電源を接続する、いわゆるRFスパッタリング法を用いても構わない。
また、図1(A)では、バッキングプレート110およびターゲットホルダ120と、マグネットユニット130およびマグネットホルダ132と、は電気的に接続されない例を示したが、これに限定されない。例えば、バッキングプレート110およびターゲットホルダ120と、マグネットユニット130およびマグネットホルダ132と、が電気的に接続されており、等電位となっていても構わない。
また、得られる酸化物の結晶性をさらに高めるために、基板160の温度を高くしても構わない。基板160の温度を高くすることで、基板160の上面におけるスパッタ粒子のマイグレーションを助長させることができる。したがって、より密度が高く、より結晶性の高い酸化物を成膜することができる。なお、基板160の温度は、例えば、100℃以上450℃以下、好ましくは150℃以上400℃以下、さらに好ましくは170℃以上350℃以下とすればよい。
また、成膜ガス中の酸素分圧が高すぎると、複数種の結晶相を含む酸化物が成膜されやすいため、成膜ガスはアルゴンなどの希ガス(ほかにヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンなど)と酸素との混合ガスを用いると好ましい。例えば、全体に占める酸素の割合を50体積%未満、好ましくは33体積%以下、さらに好ましくは20体積%以下、より好ましくは15体積%以下とすればよい。
また、ターゲット100と基板160との垂直距離を、10mm以上600mm以下、好ましくは20mm以上400mm以下、さらに好ましくは30mm以上200mm以下、より好ましくは40mm以上100mm以下とする。ターゲット100と基板160との垂直距離を上述の範囲まで近くすることで、スパッタ粒子が、基板160に到達するまでの間におけるエネルギーの低下を抑制できる場合がある。また、ターゲット100と基板160との垂直距離を上述の範囲まで遠くすることで、スパッタ粒子の基板160への入射方向を垂直に近づけることができるため、スパッタ粒子の衝突による基板160へのダメージを小さくすることができる場合がある。
図2(A)に、図1(A)とは異なる成膜室の例を示す。
図2(A)に示す成膜室101は、ターゲットホルダ120aと、ターゲットホルダ120bと、バッキングプレート110aと、バッキングプレート110bと、ターゲット100aと、ターゲット100bと、マグネットユニット130aと、マグネットユニット130bと、部材140と、基板ホルダ170と、を有する。なお、ターゲット100aは、バッキングプレート110a上に配置される。また、バッキングプレート110aは、ターゲットホルダ120a上に配置される。また、マグネットユニット130aは、バッキングプレート110aを介してターゲット100a下に配置される。また、ターゲット100bは、バッキングプレート110b上に配置される。また、バッキングプレート110bは、ターゲットホルダ120b上に配置される。また、マグネットユニット130bは、バッキングプレート110bを介してターゲット100b下に配置される。
マグネットユニット130aは、マグネット130N1と、マグネット130N2と、マグネット130Sと、マグネットホルダ132と、を有する。なお、マグネットユニット130aにおいて、マグネット130N1、マグネット130N2およびマグネット130Sは、マグネットホルダ132上に配置される。また、マグネット130N1およびマグネット130N2は、マグネット130Sと間隔を開けて配置される。なお、マグネットユニット130bは、マグネットユニット130aと同様の構造を有する。なお、成膜室101に基板160を搬入する場合、基板160は基板ホルダ170上に配置される。
ターゲット100a、バッキングプレート110aおよびターゲットホルダ120aと、ターゲット100b、バッキングプレート110bおよびターゲットホルダ120bと、は部材140によって離間されている。なお、部材140は絶縁体であることが好ましい。ただし、部材140が導電体または半導体であっても構わない。また、部材140が、導電体または半導体の表面を絶縁体で覆ったものであっても構わない。
ターゲットホルダ120aとバッキングプレート110aとは、ネジ(ボルトなど)を用いて固定されており、等電位となる。また、ターゲットホルダ120aは、バッキングプレート110aを介してターゲット100aを支持する機能を有する。また、ターゲットホルダ120bとバッキングプレート110bとは、ネジ(ボルトなど)を用いて固定されており、等電位となる。また、ターゲットホルダ120bは、バッキングプレート110bを介してターゲット100bを支持する機能を有する。
バッキングプレート110aは、ターゲット100aを固定する機能を有する。また、バッキングプレート110bは、ターゲット100bを固定する機能を有する。
図2(A)に、マグネットユニット130aによって形成される磁力線180aおよび磁力線180bを示す。
磁力線180aは、ターゲット100aの上面近傍における水平磁場を形成する磁力線の一つである。ターゲット100aの上面近傍は、例えば、ターゲット100aの上面からの垂直距離が0mm以上10mm以下、特に0mm以上5mm以下の領域である。
磁力線180bは、マグネットユニット130aの上面から、垂直距離dの位置に水平磁場を形成する磁力線の一つである。垂直距離dは、例えば、0mm以上20mm以下または5mm以上15mm以下である。
このとき、強力なマグネット130N1、マグネット130N2および強力なマグネット130Sを用いることで、基板160の上面近傍においても強い磁場を発生させることができる。具体的には、基板160の上面における水平磁場の磁束密度を10G以上100G以下、好ましくは15G以上60G以下、さらに好ましくは20G以上40G以下とすることができる。基板160の上面における水平磁場の磁束密度を上述の範囲とすることにより、後述する成膜モデルを実現することができる。
成膜室101における磁場の磁束密度を上述の範囲とすることで、密度が高く、結晶性の高い酸化物を成膜することができる。また、得られる酸化物は、複数種の結晶相を含むことが少なく、ほとんど単一の結晶相を含む酸化物となる。
なお、マグネットユニット130bもマグネットユニット130aと同様の磁力線が形成される。
図2(B)に、マグネットユニット130aおよびマグネットユニット130bの上面図を示す。マグネットユニット130aは、長方形または略長方形のマグネット130N1と、長方形または略長方形のマグネット130N2と、長方形または略長方形のマグネット130Sと、がマグネットホルダ132に固定されていることわかる。そして、マグネットユニット130aを、図2(B)に示す左右に揺動させることができる。例えば、マグネットユニット130aを、0.1Hz以上1kHz以下のビートで揺動させればよい。
したがって、ターゲット100a上の磁場の強い領域は、マグネットユニット130aの揺動とともに変化する。磁場の強い領域は高密度プラズマ領域となるため、その近傍においてターゲット100aのスパッタリング現象が起こりやすい。例えば、磁場の強い領域が特定の箇所となる場合、ターゲット100aの特定の領域のみが使用されることになる。一方、図2(B)に示すようにマグネットユニット130aを揺動させることで、ターゲット100aを均一に使用することができる。また、マグネットユニット130aを揺動させることによって、均一な厚さ、質を有する膜を成膜することができる。
また、マグネットユニット130aを揺動させることにより、基板160の上面における磁力線の状態も変化させることができる。これは、マグネットユニット130bにおいても同様である。
なお、ここではマグネットユニット130aおよびマグネットユニット130bを揺動させる例を示したが、本発明の一態様はこれに限定されるものではない。例えば、マグネットユニット130aおよびマグネットユニット130bを回転させても構わない。例えば、マグネットユニット130aおよびマグネットユニット130bを、0.1Hz以上1kHz以下のビートで回転させればよい。または、ターゲット100を回転または移動させても構わない。例えば、ターゲット100を、0.1Hz以上1kHz以下のビートで回転または移動させればよい。または、基板160を回転させることで、相対的に基板160の上面における磁力線の状態を変化させることができる。または、これらを組み合わせても構わない。
成膜室101は、バッキングプレート110aおよびバッキングプレート110bの内部または下部などに水路を有してもよい。そして、水路に流体(空気、窒素、希ガス、水、オイルなど)を流すことで、スパッタ時にターゲット100aおよびターゲット100bの温度の上昇による放電異常や、部材の変形による成膜室101の損傷などを抑制することができる。このとき、バッキングプレート110aとターゲット100aとをボンディング材を介して密着させると、冷却性能が高まるため好ましい。また、バッキングプレート110bとターゲット100bとをボンディング材を介して密着させると、冷却性能が高まるため好ましい。
なお、ターゲットホルダ120aとバッキングプレート110aとの間にガスケットを有すると、成膜室101内に外部や水路などから不純物が混入しにくくなるため好ましい。また、ターゲットホルダ120bとバッキングプレート110bとの間にガスケットを有すると、成膜室101内に外部や水路などから不純物が混入しにくくなるため好ましい。
マグネットユニット130aにおいて、マグネット130N1およびマグネット130N2とマグネット130Sとはそれぞれターゲット100a側に異なる極を向けて配置されている。ここでは、マグネット130N1およびマグネット130N2をターゲット100a側がN極となるように配置し、マグネット130Sをターゲット100a側がS極となるように配置する場合について説明する。ただし、マグネットユニット130aにおけるマグネットおよび極の配置は、この配置に限定されるものではない。また、図2(A)の配置に限定されるものでもない。これは、マグネットユニット103bについても同様である。
成膜時、ターゲットホルダ120aに接続する端子V1と、ターゲットホルダ120bに接続する端子V4と、の間で、交互に電位の高低が入れ替わる電位を印加すればよい。また、基板ホルダ170に接続する端子V2に印加される電位V2は、例えば、接地電位である。また、マグネットホルダ132に接続する端子V3に印加される電位V3は、例えば、接地電位である。なお、端子V1、端子V2、端子V3および端子V4に印加される電位は上記の電位に限定されない。また、ターゲットホルダ120a、ターゲットホルダ120b、基板ホルダ170、マグネットホルダ132の全てに電位が印加されなくても構わない。例えば、基板ホルダ170が電気的に浮いていても構わない。なお、図2(A)では、ターゲットホルダ120aに接続する端子V1と、ターゲットホルダ120bに接続する端子V4と、の間で、交互に電位の高低が入れ替わる電位を印加する、いわゆるACスパッタリング法の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。
また、図2(A)では、バッキングプレート110aおよびターゲットホルダ120aと、マグネットユニット130aおよびマグネットホルダ132と、は電気的に接続されない例を示したが、これに限定されない。例えば、バッキングプレート110aおよびターゲットホルダ120aと、マグネットユニット130aおよびマグネットホルダ132と、が電気的に接続されており、等電位となっていても構わない。また、バッキングプレート110bおよびターゲットホルダ120bと、マグネットユニット130bおよびマグネットホルダ132と、は電気的に接続されない例を示したが、これに限定されない。例えば、バッキングプレート110bおよびターゲットホルダ120bと、マグネットユニット130bおよびマグネットホルダ132と、が電気的に接続されており、等電位となっていても構わない。
また、得られる酸化物の結晶性をさらに高めるために、基板160の温度を高くしても構わない。基板160の温度を高くすることで、基板160の上面におけるスパッタ粒子のマイグレーションを助長させることができる。したがって、より密度が高く、より結晶性の高い酸化物を成膜することができる。なお、基板160の温度は、例えば、100℃以上450℃以下、好ましくは150℃以上400℃以下、さらに好ましくは170℃以上350℃以下とすればよい。
また、成膜ガス中の酸素分圧が高すぎると、複数種の結晶相を含む酸化物が成膜されやすいため、成膜ガスはアルゴンなどの希ガス(ほかにヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンなど)と酸素との混合ガスを用いると好ましい。例えば、全体に占める酸素の割合を50体積%未満、好ましくは33体積%以下、さらに好ましくは20体積%以下、より好ましくは15体積%以下とすればよい。
また、ターゲット100aと基板160との垂直距離を、10mm以上600mm以下、好ましくは20mm以上400mm以下、さらに好ましくは30mm以上200mm以下、より好ましくは40mm以上100mm以下とする。ターゲット100aと基板160との垂直距離を上述の範囲まで近くすることで、スパッタ粒子が、基板160に到達するまでの間におけるエネルギーの低下を抑制できる場合がある。また、ターゲット100aと基板160との垂直距離を上述の範囲まで遠くすることで、スパッタ粒子の基板160への入射方向を垂直に近づけることができるため、スパッタ粒子の衝突による基板160へのダメージを小さくすることができる場合がある。
また、ターゲット100bと基板160との垂直距離を、10mm以上600mm以下、好ましくは20mm以上400mm以下、さらに好ましくは30mm以上200mm以下、より好ましくは40mm以上100mm以下とする。ターゲット100bと基板160との垂直距離を上述の範囲まで近くすることで、スパッタ粒子が、基板160に到達するまでの間におけるエネルギーの低下を抑制できる場合がある。また、ターゲット100bと基板160との垂直距離を上述の範囲まで遠くすることで、スパッタ粒子の基板160への入射方向を垂直に近づけることができるため、スパッタ粒子の衝突による基板160へのダメージを小さくすることができる場合がある。
<酸化物>
以下では本発明の一態様に係る酸化物について説明する。
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。なお、酸化物半導体とは、半導体の性質を有する酸化物をいう。
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
酸化物半導体は、非単結晶酸化物半導体と単結晶酸化物半導体とに大別される。非単結晶酸化物半導体とは、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などをいう。
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像および回折パターンの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
試料面と略平行な方向から、CAAC−OSの断面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OSの被形成面または上面と平行に配列する。
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC−OSの平面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
CAAC−OSに対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnOの結晶を有するCAAC−OSのout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(0 0 9)面に帰属されることから、CAAC−OSの結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、InGaZnOの結晶を有するCAAC−OSのout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OSは、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OSは、不純物濃度の低い酸化物半導体である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体内部に含まれると、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OSは、欠陥準位密度の低い酸化物半導体である。例えば、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当該酸化物半導体を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OSを用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
次に、微結晶酸化物半導体について説明する。
微結晶酸化物半導体は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ。また、nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OSに対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OSに対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OSに対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OSに対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OSに対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
次に、非晶質酸化物半導体について説明する。
非晶質酸化物半導体は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化物半導体である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体が一例である。
非晶質酸化物半導体は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
非晶質酸化物半導体に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半導体に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導体に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが観測される。
なお、酸化物半導体は、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の物性を示す構造を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体を、特に非晶質ライク酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like Oxide Semiconductor)と呼ぶ。
a−like OSは、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。a−like OSは、TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見られる場合がある。一方、良質なnc−OSであれば、TEMによる観察程度の微量な電子照射による結晶化はほとんど見られない。
なお、a−like OSおよびnc−OSの結晶部の大きさの計測は、高分解能TEM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnOの結晶は層状構造を有し、In−O層の間に、Ga−Zn−O層を2層有する。InGaZnOの結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(0 0 9)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInGaZnOの結晶のa−b面に対応する。
また、酸化物半導体は、構造ごとに密度が異なる場合がある。例えば、ある酸化物半導体の組成がわかれば、該組成と同じ組成における単結晶の密度と比較することにより、その酸化物半導体の構造を推定することができる。例えば、単結晶の密度に対し、a−like OSの密度は78.6%以上92.3%未満となる。また、例えば、単結晶の密度に対し、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は92.3%以上100%未満となる。なお、単結晶の密度に対し密度が78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
上記について、具体例を用いて説明する。例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnOの密度は6.357g/cmとなる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm以上5.9g/cm未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は5.9g/cm以上6.3g/cm未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成の単結晶に相当する密度を算出することができる。所望の組成の単結晶の密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて算出すればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて算出することが好ましい。
<酸化物半導体の物性>
以下では、酸化物半導体の構造による物性の違いについて説明する。
試料A、試料Bおよび試料Cを準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、試料A乃至試料Cの高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、試料A乃至試料Cは、いずれも結晶部を有することがわかる。
さらに、試料A乃至試料Cの結晶部の大きさを計測する。結晶部の大きさを計測する方法については、酸化物半導体の構造に関する記載を参照する。図35は、試料A乃至試料Cの結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさの変化を調査した例である。図35より、試料Aは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体的には、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部が、累積照射量が4.2×10/nmにおいては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、試料Bおよび試料Cは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10/nmになるまでの範囲で、電子の累積照射量によらず結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。
したがって、上述した分類によれば、試料Aはa−like OSであることがわかる。また、試料Bおよび試料Cは、a−like OSではないことがわかる。なお、試料Bは、高分解能断面TEM像より、nc−OSであることが判明している。また、試料Cは、CAAC−OSであることが判明している。
また、図35に示す、試料A乃至試料Cの結晶部の大きさの変化を線形近似して、電子の累積照射量0e/nmまで外挿すると、結晶部の平均の大きさが正の値をとることがわかる。そのため、試料A乃至試料Cの結晶部が、TEMによる観察前から存在していることがわかる。試料A乃至試料Cの結晶部の大きさの変化などを表1に示す。
図36に、試料Aおよび試料Bの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図36(A)は電子照射開始時における試料Aの高分解能断面TEM像である。図36(B)は電子照射後における試料Aの高分解能断面TEM像である。図36(C)は電子照射開始時における試料Bの高分解能断面TEM像である。図36(D)は電子照射後における試料Bの高分解能断面TEM像である。なお、累積電子照射は4.3×10/nmとした。
図36(A)および図36(B)より、試料Aは電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆(voidと表記する。)または低密度領域と推測される。一方、図36(C)および図36(D)より、試料Bは電子照射開始時および電子照射後において明領域は観察されない。
次に、TEMで観察する領域において、試料Aの電子照射による結晶部の大きさの変化を計測する。なお、図37(A)は計測する領域を説明する。明領域の近傍を領域Aと表記する。また、明領域と別の明領域との間を領域Bと表記する。また、明領域の観察されない試料Aの下部を領域Cと表記する。
結果を図37(B)に示す。図37(B)より、領域Aがもっとも結晶部の大きさの変化が大きく、次いで領域Bにおいて結晶部の大きさの変化が大きいことがわかる。また、領域Cにおいては、結晶部の大きさは、電子照射開始時と電子照射後でほとんど変化しないことがわかる。領域Aおよび領域Bにおいて結晶部の大きさの変化が大きかったことは、高分解能断面TEM像で観察される明領域に近いため、構造が不安定であったことに起因する可能性がある。
次に、スパッタリング法によって成膜条件を様々に変更して成膜した酸化物(試料D、試料E、試料F、試料G、試料H、試料Iおよび試料J)に対し、nc−OSおよびa−like OSを判定した。ただし、CAAC−OSの成膜条件は含まない。ここでは、電子照射による結晶部の大きさの変化だけでなく、密度および硬さについても評価している。なお、密度の評価は、X線反射率(XRR:X−Ray Reflectivity)法などにより行うことができる。また、硬さの評価は、HYSITRON社製薄膜硬度測定装置TRIBOSCOPEを用いたナノインデンテーション法などにより行うことができる。
また、高分解能断面TEM像の観察は、以下のステップによって行う。まず、直径400nmの範囲を、電子線照射量5.5×10/(nms)で高分解能断面TEM像を2分間観察する。次に、電子線照射量6.7×10/(nms)において、直径230nmの範囲で10分間の電子照射を行う。次に、電子線照射量5.5×10/(nms)において、直径400nmの範囲で2分間掛けて高分解能断面TEM像を観察する。次に、電子線照射量6.7×10/(nms)において、直径230nmの範囲で8分間の電子照射を行う。最後に、電子線照射量5.5×10/(nms)において、直径400nmの範囲で2分間掛けて高分解能断面TEM像を観察する。以上のステップ中、高分解能断面TEM像において、結晶部の大きさに変化がある場合、a−like OSと判定する。一方、以上のステップ中、高分解能断面TEM像において、結晶部の大きさに変化がない場合、nc−OSと判定する。
成膜条件、および判定の結果を表2に示す。
なお、試料Dは、他の試料と異なる装置を用いている。
表2より、a−like OSと判定された試料の密度は、5.05g/cmから5.85g/cmであった。また、nc−OSと判定された試料の密度は、5.91g/cmから6.10g/cmであった。また、a−like OSと判定された試料の硬さは、6.12GPaから7.61GPaであった。また、nc−OSと判定された試料の硬さは、7.77GPaから7.85GPaであった。即ち、a−like OSと比べて、nc−OSは高密度、かつ硬質であることがわかる。
次に、a−like OSとnc−OSとの性質を比較するため、新たに準備した試料Kおよび試料Lに対して二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)による深さ方向における水素濃度プロファイルの測定を行った。なお、試料Kは、a−like OSである。また、試料Lは、試料Kと同じ条件で成膜したa−like OS上に、大気に暴露することなくnc−OSを成膜した積層構造である。
結果を図38に示す。図38(A)に試料Kの水素濃度プロファイルを示し、図38(B)に試料Lの水素濃度プロファイルを示す。図38(A)においては、a−like OS中の水素濃度が1×1022atoms/cmを超える領域を有することがわかる。一方、図38(B)においては、a−like OS中の水素濃度が5×1020atoms/cmから2×1021atoms/cmとなる領域を有し、またnc−OS中の水素濃度が5×1019atoms/cmから7×1019atoms/cmとなる領域を有することがわかる。
したがって、a−like OSはnc−OSと比べると成膜直後における水素濃度が高いことがわかる。また、nc−OSでキャップすることによりa−like OS中の水素濃度が低くなることから、a−like OSは大気暴露時に大気中の水分などを吸収する性質を有することが示唆される。
<成膜モデル>
以下では、CAAC−OSの成膜モデルの一例について説明する。
図3は、スパッタリング法によりCAAC−OSが成膜される様子を示した成膜室内の模式図である。
ターゲット230は、バッキングプレートに接着されている。バッキングプレートを介してターゲット230と向かい合う位置には、複数のマグネットが配置される。該複数のマグネットによって磁場が生じている。マグネットの配置や構成などについては、上述した成膜室の記載を参照する。マグネットの磁場を利用して成膜速度を高めるスパッタリング法は、マグネトロンスパッタリング法と呼ばれる。
ターゲット230は、多結晶構造を有し、いずれかの結晶粒には劈開面が含まれる。なお、劈開面の詳細については後述する。
基板220は、ターゲット230と向かい合うように配置しており、その距離d(ターゲット−基板間距離(T−S間距離)ともいう。)は0.01m以上1m以下、好ましくは0.02m以上0.5m以下とする。成膜室内は、ほとんどが成膜ガス(例えば、酸素、アルゴン、または酸素を5体積%以上の割合で含む混合ガス)で満たされ、0.01Pa以上100Pa以下、好ましくは0.1Pa以上10Pa以下に制御される。ここで、ターゲット230に一定以上の電圧を印加することで、放電が始まり、プラズマが確認される。なお、ターゲット230の近傍には磁場によって、高密度プラズマ領域が形成される。高密度プラズマ領域では、成膜ガスがイオン化することで、イオン201が生じる。イオン201は、例えば、酸素の陽イオン(O)やアルゴンの陽イオン(Ar)などである。
イオン201は、電界によってターゲット230側に加速され、やがてターゲット230と衝突する。このとき、劈開面から平板状またはペレット状のスパッタ粒子であるペレット200aおよびペレット200bが剥離し、叩き出される。なお、ペレット200aおよびペレット200bは、イオン201の衝突の衝撃によって、構造に歪みが生じる場合がある。
ペレット200aは、三角形、例えば正三角形の平面を有する平板状またはペレット状のスパッタ粒子である。また、ペレット200bは、六角形、例えば正六角形の平面を有する平板状またはペレット状のスパッタ粒子である。なお、ペレット200aおよびペレット200bなどの平板状またはペレット状のスパッタ粒子を総称してペレットと呼ぶ。ペレットの平面の形状は、三角形、六角形に限定されない、例えば、三角形が複数個合わさった形状となる場合がある。例えば、三角形(正三角形)が2個合わさった四角形(ひし形)となる場合もある。
ペレットは、成膜ガスの種類などに応じて厚さが決定する。理由は後述するが、ペレットの厚さは、均一にすることが好ましい。また、スパッタ粒子は厚みのないペレット状である方が、厚みのあるサイコロ状であるよりも好ましい。例えば、ペレットは、厚さを0.4nm以上1nm以下、好ましくは0.6nm以上0.8nm以下とする。また、例えば、ペレットは、幅を1nm以上3nm以下、好ましくは1.2nm以上2nm以下とする。
ペレットは、プラズマを通過する際に電荷を受け取ることで、側面が負または正に帯電する場合がある。ペレットは、側面に酸素原子を有し、当該酸素原子が負に帯電する可能性がある。例えば、ペレット200aが、側面に負に帯電した酸素原子を有する例を図4に示す。このように、側面が同じ極性の電荷を帯びることにより、電荷同士の反発が起こり、平板状の形状を維持することが可能となる。なお、CAAC−OSが、In−Ga−Zn酸化物である場合、インジウム原子と結合した酸素原子が負に帯電する可能性がある。または、インジウム原子、ガリウム原子または亜鉛原子と結合した酸素原子が負に帯電する可能性がある。
図3に示すように、例えば、ペレット200aは、プラズマ中を凧のように飛翔し、ひらひらと基板220上まで舞い上がっていく。ペレット200aは電荷を帯びているため、ほかのペレットが既に堆積している領域が近づくと、斥力が生じる。ここで、基板220の上面では、基板220の上面に平行な向きの磁場(水平磁場ともいう。)が生じている。また、基板220およびターゲット230間には、電位差が与えられているため、基板220からターゲット230に向けて電流が流れている。したがって、ペレット200aは、基板220の上面において、磁場および電流の作用によって、力(ローレンツ力)を受ける(図5参照。)。このことは、フレミングの左手の法則によって理解できる。
ペレットは、原子一つと比べると質量が大きい。そのため、基板220の上面を移動するためには何らかの力を外部から印加することが重要となる。その力の一つが磁場および電流の作用で生じる力である可能性がある。なお、ペレットに与える力を大きくするためには、基板220の上面において、基板220の上面に平行な向きの磁場の磁束密度が10G以上、好ましくは20G以上、さらに好ましくは30G以上、より好ましくは50G以上となる領域を設けるとよい。または、基板220の上面において、基板220の上面に平行な向きの磁場が、基板220の上面に垂直な向きの磁場の1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上、より好ましくは5倍以上となる領域を設けるとよい。
このとき、マグネットユニットまたは/および基板220が相対的に移動すること、または回転することによって、基板220の上面における水平磁場の向きは変化し続ける。したがって、基板220の上面において、ペレットは、様々な方向への力を受け、様々な方向へ移動することができる。
また、基板220は加熱されており、ペレットと基板220との間で摩擦などの抵抗が小さい状態となっている。その結果、図6(A)に示すように、ペレット200aは、基板220の上面を滑空するように移動する。ペレット200aの移動は、平板面を基板220に向けた状態で起こる。その後、図6(B)に示すように、既に堆積しているほかのペレットの側面まで到達すると、側面同士が結合し、基板220に固着する。このとき、酸素原子が脱離する。脱離した酸素原子によって、CAAC−OS中の酸素欠損が埋まる場合があるため、欠陥準位密度の低いCAAC−OSとなる。
また、ペレットが基板220上で加熱されることにより、原子が再配列し、イオン201の衝突で生じた構造の歪みが緩和される。歪みの緩和されたペレットは、ほぼ単結晶となる。ペレットがほぼ単結晶となることにより、ペレット同士が結合した後に加熱されたとしても、ペレット自体の伸縮はほとんど起こり得ない。したがって、ペレット間の隙間が広がることで結晶粒界などの欠陥を形成し、クレバス化することがない。
ターゲット230をイオン201でスパッタした際に、ペレットだけでなく、酸化亜鉛などが飛び出す場合がある。酸化亜鉛はペレットよりも軽量であるため、先に基板220の上面に到達する。そして、0.1nm以上10nm以下、0.2nm以上5nm以下、または0.5nm以上2nm以下の酸化亜鉛層202を形成する。図34に断面模式図を示す。なお、基板220は説明を省略する。
図34(A)に示すように、酸化亜鉛層202上にはペレット205aと、ペレット205bと、が堆積する。ここで、ペレット205aとペレット205bとは、互いに側面が接するように配置している。また、ペレット205cは、ペレット205b上に堆積した後、ペレット205b上を滑るように移動する。また、ペレット205aの別の側面において、酸化亜鉛とともにターゲットから飛び出した複数の粒子203が基板220の加熱により結晶化し、領域205a1を形成する。なお、複数の粒子203は、酸素、亜鉛、インジウムおよびガリウムなどを含む可能性がある。
そして、図34(B)に示すように、領域205a1は、ペレット205aと同化し、ペレット205a2となる。また、ペレット205cは、その側面がペレット205bの別の側面と接するように配置する。
次に、図34(C)に示すように、さらにペレット205dがペレット205a2上およびペレット205b上に堆積した後、ペレット205a2上およびペレット205b上を滑るように移動する。また、ペレット205cの別の側面に向けて、さらにペレット205eが酸化亜鉛層202上を滑るように移動する。
そして、図34(D)に示すように、ペレット205dは、その側面がペレット205a2の側面と接するように配置する。また、ペレット205eは、その側面がペレット205cの別の側面と接するように配置する。また、ペレット205dの別の側面において、酸化亜鉛とともにターゲットから飛び出した複数の粒子203が基板220の加熱により結晶化し、領域205d1を形成する。
以上のように、堆積したペレット同士が接するように配置すること、およびペレットの側面において結晶成長が起こること、などを繰り返すことにより、基板220上にCAAC−OSを形成することができる。
また、ペレットの隙間が極めて小さくなることで、あたかも一つの大きなペレットが形成される場合がある。大きなペレットは、単結晶構造を有する。例えば、大きなペレットの大きさが、上面から見て10nm以上200nm以下、15nm以上100nm以下、または20nm以上50nm以下となる場合がある。したがって、トランジスタのチャネル形成領域が、大きなペレットよりも小さい場合、チャネル形成領域として単結晶構造を有する領域を用いることができる。また、ペレットが大きくなることで、トランジスタのチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域として単結晶構造を有する領域を用いることができる場合がある。
このように、トランジスタのチャネル形成領域などが、単結晶構造を有する領域に形成されることによって、トランジスタの周波数特性を高くすることができる場合がある。
以上のようなモデルにより、ペレットが基板220上に堆積していくと考えられる。したがって、エピタキシャル成長とは異なり、被形成面が結晶構造を有さない場合においても、CAAC−OSの成膜が可能であることがわかる。例えば、基板220の上面(被形成面)の構造が非晶質構造であっても、CAAC−OSを成膜することは可能である。
また、CAAC−OSは、被形成面である基板220の上面に凹凸がある場合でも、その形状に沿ってペレットが配列することがわかる。例えば、基板220の上面が原子レベルで平坦な場合、ペレットはab面と平行な平面である平板面を下に向けて並置するため、厚さが均一で平坦、かつ高い結晶性を有する層が形成される。そして、当該層がn段(nは自然数。)積み重なることで、CAAC−OSを得ることができる。
一方、基板220の上面が凹凸を有する場合でも、CAAC−OSは、ペレットが凸面に沿って並置した層がn段(nは自然数。)積み重なった構造となる。基板220が凹凸を有するため、CAAC−OSは、ペレット間に隙間が生じやすい場合がある。ただし、ペレット間で分子間力が働き、凹凸があってもペレット間の隙間はなるべく小さくなるように配列する。したがって、凹凸があっても高い結晶性を有するCAAC−OSとすることができる。
したがって、CAAC−OSは、レーザ結晶化が不要であり、大面積のガラス基板などであっても均一な成膜が可能である。
このようなモデルによってCAAC−OSが成膜されるため、スパッタ粒子が厚みのないペレット状である方が好ましい。なお、スパッタ粒子が厚みのあるサイコロ状である場合、基板220上に向ける面が一定とならず、厚さや結晶の配向を均一にできない場合がある。
以上に示した成膜モデルにより、非晶質構造を有する被形成面上であっても、高い結晶性を有するCAAC−OSを得ることができる。
<劈開面>
以下では、CAAC−OSの成膜モデルにおいて記載のターゲットの劈開面について説明する。
まずは、ターゲットの劈開面について図7を用いて説明する。図7に、InGaZnOの結晶の構造を示す。なお、図7(A)は、c軸を上向きとし、b軸に平行な方向からInGaZnOの結晶を観察した場合の構造を示す。また、図7(B)は、c軸に平行な方向からInGaZnOの結晶を観察した場合の構造を示す。
InGaZnOの結晶の各結晶面における劈開に必要なエネルギーを、第一原理計算により算出する。なお、計算には、擬ポテンシャルと、平面波基底を用いた密度汎関数プログラム(CASTEP)を用いる。なお、擬ポテンシャルには、ウルトラソフト型の擬ポテンシャルを用いる。また、汎関数には、GGA PBEを用いる。また、カットオフエネルギーは400eVとする。
初期状態における構造のエネルギーは、セルサイズを含めた構造最適化を行った後に導出する。また、各面で劈開後の構造のエネルギーは、セルサイズを固定した状態で、原子配置の構造最適化を行った後に導出する。
図7に示したInGaZnOの結晶の構造をもとに、第1の面、第2の面、第3の面、第4の面のいずれかで劈開した構造を作製し、セルサイズを固定した構造最適化計算を行う。ここで、第1の面は、Ga−Zn−O層とIn−O層との間の結晶面であり、(0 0 1)面(またはab面)に平行な結晶面である(図7(A)参照。)。第2の面は、Ga−Zn−O層とGa−Zn−O層との間の結晶面であり、(0 0 1)面(またはab面)に平行な結晶面である(図7(A)参照。)。第3の面は、(1 1 0)面に平行な結晶面である(図7(B)参照。)。第4の面は、(1 0 0)面(またはbc面)に平行な結晶面である(図7(B)参照。)。
以上のような条件で、各面で劈開後の構造のエネルギーを算出する。次に、劈開後の構造のエネルギーと初期状態における構造のエネルギーとの差を、劈開面の面積で除すことで、各面における劈開しやすさの尺度である劈開エネルギーを算出する。なお、構造のエネルギーは、構造に含まれる原子と電子に対して、電子の運動エネルギーと、原子間、原子−電子間、および電子間の相互作用と、を考慮したエネルギーである。
計算の結果、第1の面の劈開エネルギーは2.60J/m、第2の面の劈開エネルギーは0.68J/m、第3の面の劈開エネルギーは2.18J/m、第4の面の劈開エネルギーは2.12J/mであることがわかった(下表参照。)。
この計算により、図7に示したInGaZnOの結晶の構造において、第2の面における劈開エネルギーが最も低くなる。即ち、Ga−Zn−O層とGa−Zn−O層との間が最も劈開しやすい面(劈開面)であることがわかる。したがって、本明細書において、劈開面と記載する場合、最も劈開しやすい面である第2の面のことを示す。
Ga−Zn−O層とGa−Zn−O層との間である第2の面に劈開面を有するため、図7(A)に示すInGaZnOの結晶は、二つの第2の面と等価な面で分離することができる。したがって、ターゲットにイオンなどを衝突させる場合、もっとも劈開エネルギーの低い面で劈開したウェハース状のユニット(我々はこれをペレットと呼ぶ。)が最小単位となって飛び出してくると考えられる。その場合、InGaZnOのペレットは、Ga−Zn−O層、In−O層およびGa−Zn−O層の3層となる。
また、第1の面(Ga−Zn−O層とIn−O層との間の結晶面であり、(0 0 1)面(またはab面)に平行な結晶面)よりも、第3の面(1 1 0)面に平行な結晶面)、第4の面((1 0 0)面(またはbc面)に平行な結晶面)の劈開エネルギーが低いことから、ペレットの平面形状は三角形状または六角形状が多いことが示唆される。
なお、ターゲットから剥離したペレットは損傷領域を含むことが示唆される。ペレットに含まれる損傷領域は、損傷によって生じた欠陥に酸素を反応させることで修復できる場合がある。
以上の計算により、ホモロガス構造を有するInGaZnOの結晶を含むターゲットをスパッタすると、劈開面から剥離し、ペレットが形成されることがわかる。一方、劈開面を有さないターゲットの他の構造の領域をスパッタしてもペレットは形成されず、ペレットよりも微細な原子レベルの大きさのスパッタ粒子が形成される。該スパッタ粒子は、ペレットと比べて小さいため、スパッタリング装置に接続されている真空ポンプを介して排気されると考えられる。したがって、ホモロガス構造を有するInGaZnOの結晶を含むターゲットをスパッタした場合、様々な大きさ、形状の粒子が基板まで飛翔し、堆積することで成膜されるモデルは考えにくい。スパッタされたペレットが堆積してCAAC−OSを成膜する図3などに記載のモデルが道理に適っている。
このようにして成膜されたCAAC−OSの密度は、単結晶OSと同程度の密度を有する。例えば、InGaZnOのホモロガス構造を有する単結晶OSの密度は6.36g/cmであるのに対し、同程度の原子数比であるCAAC−OSの密度は6.3g/cm程度となる。
<組成>
以下では、CAAC−OSの組成について説明する。なお、組成の説明には、CAAC−OSとなる酸化物半導体であるIn−M−Zn酸化物の場合を例示する。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステンなどがある。
図8は、各頂点にIn、MまたはZnを配置した三角図である。また、図中の[In]はInの原子濃度を示し、[M]は元素Mの原子濃度を示し、[Zn]はZnの原子濃度を示す。
In−M−Zn酸化物の結晶はホモロガス構造を有することが知られており、InMO(ZnO)(mは自然数。)で示される。また、InとMとを置き換えることが可能であるため、In1+α1−α(ZnO)で示すこともできる。これは、[In]:[M]:[Zn]=1+α:1−α:1、[In]:[M]:[Zn]=1+α:1−α:2、[In]:[M]:[Zn]=1+α:1−α:3、[In]:[M]:[Zn]=1+α:1−α:4、および[In]:[M]:[Zn]=1+α:1−α:5と表記した破線で示される組成である。なお、破線上の太線は、例えば、原料となる酸化物を混合し、1350℃で焼成した場合に固溶体となりうる組成である。
よって、上述の固溶体となりうる組成に近づけることで、大きい単結晶構造の領域を有するCAAC−OSを得ることができる。
ところで、CAAC−OSを成膜する際には、被成膜面である基板表面の加熱、または空間加熱などの影響で、ソースとなるターゲットなどの組成と膜の組成とが異なる場合がある。例えば、酸化亜鉛は、酸化インジウムや酸化ガリウムなどと比べて昇華しやすいため、ソースと膜との組成のずれが生じやすい。したがって、あらかじめ組成の変化を考慮したソースを選択することが好ましい。なお、ソースと膜との組成のずれ量は、温度以外にも圧力や成膜に用いるガスなどの影響でも変化する。
<成膜装置>
以下では、上述したCAAC−OSを成膜することが可能な成膜室を有する成膜装置について説明する。
まずは、成膜時などに膜中に不純物の混入が少ない成膜装置の構成について図9および図10を用いて説明する。
図9は、枚葉式マルチチャンバーの成膜装置700の上面図を模式的に示している。成膜装置700は、基板を収容するカセットポート761と、基板のアライメントを行うアライメントポート762と、を備える大気側基板供給室701と、大気側基板供給室701から、基板を搬送する大気側基板搬送室702と、基板の搬入を行い、かつ室内の圧力を大気圧から減圧、または減圧から大気圧へ切り替えるロードロック室703aと、基板の搬出を行い、かつ室内の圧力を減圧から大気圧、または大気圧から減圧へ切り替えるアンロードロック室703bと、真空中の基板の搬送を行う搬送室704と、基板の加熱を行う基板加熱室705と、ターゲットが配置され成膜を行う成膜室706a、706bおよび706cと、を有する。なお、成膜室706a、706bおよび706cは、例えば、図1(A)または図2(A)などに示した成膜室101の構成を参酌することができる。
また、大気側基板搬送室702は、ロードロック室703aおよびアンロードロック室703bと接続され、ロードロック室703aおよびアンロードロック室703bは、搬送室704と接続され、搬送室704は、基板加熱室705、成膜室706a、成膜室706bおよび成膜室706cと接続する。
なお、各室の接続部にはゲートバルブ764が設けられており、大気側基板供給室701と、大気側基板搬送室702を除き、各室を独立して真空状態に保持することができる。また、大気側基板搬送室702および搬送室704は、搬送ロボット763を有し、基板を搬送することができる。
また、基板加熱室705は、プラズマ処理室を兼ねると好ましい。成膜装置700は、処理と処理の間で基板を大気暴露することなく搬送することが可能なため、基板に不純物が吸着することを抑制できる。また、成膜や熱処理などの順番を自由に構築することができる。なお、搬送室、成膜室、ロードロック室、アンロードロック室および基板加熱室は、上述の数に限定されず、設置スペースやプロセス条件に合わせて、適宜最適な数を設けることができる。
次に、図9に示す成膜装置700の一点鎖線X1−X2、一点鎖線Y1−Y2、および一点鎖線Y2−Y3に相当する断面を図10に示す。
図10(A)は、基板加熱室705と、搬送室704の断面を示しており、基板加熱室705は、基板を収容することができる複数の加熱ステージ765を有している。なお、基板加熱室705は、バルブを介して真空ポンプ770と接続されている。真空ポンプ770としては、例えば、ドライポンプ、およびメカニカルブースターポンプ等を用いることができる。
また、基板加熱室705に用いることのできる加熱機構としては、例えば、抵抗発熱体などを用いて加熱する加熱機構としてもよい。または、加熱されたガスなどの媒体からの熱伝導または熱輻射によって、加熱する加熱機構としてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)などのRTA(Rapid Thermal Anneal)を用いることができる。LRTAは、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する。GRTAは、高温のガスを用いて熱処理を行う。ガスとしては、不活性ガスが用いられる。
また、基板加熱室705は、マスフローコントローラ780を介して、精製機781と接続される。なお、マスフローコントローラ780および精製機781は、ガス種の数だけ設けられるが、理解を容易にするため一つのみを示す。基板加熱室705に導入されるガスは、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下であるガスを用いることができ、例えば、酸素ガス、窒素ガス、および希ガス(アルゴンガスなど)を用いる。
搬送室704は、搬送ロボット763を有している。搬送ロボット763は、各室へ基板を搬送することができる。また、搬送室704は、バルブを介して真空ポンプ770と、クライオポンプ771と、接続されている。このような構成とすることで、搬送室704は、大気圧から低真空または中真空(0.1から数百Pa程度)まで真空ポンプ770を用いて排気され、バルブを切り替えて中真空から高真空または超高真空(0.1Paから1×10−7Pa)まではクライオポンプ771を用いて排気される。
また、例えば、クライオポンプ771は、搬送室704に対して2台以上並列に接続してもよい。このような構成とすることで、1台のクライオポンプがリジェネ中であっても、残りのクライオポンプを使って排気することが可能となる。なお、上述したリジェネとは、クライオポンプ内にため込まれた分子(または原子)を放出する処理をいう。クライオポンプは、分子(または原子)をため込みすぎると排気能力が低下してくるため、定期的にリジェネが行われる。
図10(B)は、成膜室706bと、搬送室704と、ロードロック室703aの断面を示している。
ここで、図10(B)を用いて、成膜室(スパッタリング室)の詳細について説明する。図10(B)に示す成膜室706bは、ターゲット766と、防着板767と、基板ステージ768と、を有する。なお、ここでは基板ステージ768には、基板769が設置されている。基板ステージ768は、図示しないが、基板769を保持する基板保持機構や、基板769を背面から加熱する背面ヒーター等を備えていてもよい。また、ターゲットの背後にマグネットユニットを備えていてもよい。
なお、基板ステージ768は、成膜時に床面に対して略垂直状態に保持され、基板受け渡し時には床面に対して略水平状態に保持される。なお、図10(B)中において、破線で示す箇所が基板受け渡し時の基板ステージ768の保持される位置となる。このような構成とすることで成膜時に混入しうるゴミまたはパーティクルが、基板769に付着する確率を水平状態に保持するよりも抑制することができる。ただし、基板ステージ768を床面に対して垂直(90°)状態に保持すると、基板769が落下する可能性があるため、基板ステージ768の床面に対する角度は、80°以上90°未満とすることが好ましい。
また、防着板767は、ターゲット766からスパッタリングされる粒子が不要な領域に推積することを抑制できる。また、防着板767は、累積されたスパッタリング粒子が剥離しないように、加工することが望ましい。例えば、表面粗さを増加させるブラスト処理、または防着板767の表面に凹凸を設けてもよい。
また、成膜室706bは、ガス加熱機構782を介してマスフローコントローラ780と接続され、ガス加熱機構782はマスフローコントローラ780を介して精製機781と接続される。ガス加熱機構782により、成膜室706bに導入されるガスを40℃以上400℃以下、好ましくは50℃以上200℃以下に加熱することができる。なお、ガス加熱機構782、マスフローコントローラ780、および精製機781は、ガス種の数だけ設けられるが、理解を容易にするため一つのみを示す。成膜室706bに導入されるガスは、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下であるガスを用いることができ、例えば、酸素ガス、窒素ガス、および希ガス(アルゴンガスなど)を用いる。
成膜室706bに、対向ターゲット式スパッタリング装置を適用してもよい。対向ターゲット式スパッタリング装置は、プラズマがターゲット間に閉じこめられるため、基板へのプラズマダメージを低減することができる。また、ターゲットの傾きによっては、スパッタリング粒子の基板への入射角度を浅くすることができるため、段差被覆性を高めることができる。
なお、成膜室706bに、平行平板型スパッタリング装置、イオンビームスパッタリング装置を適用しても構わない。
なお、ガスの導入口の直前に精製機を設ける場合、精製機から成膜室706bまでの配管の長さを10m以下、好ましくは5m以下、さらに好ましくは1m以下とする。配管の長さを10m以下、5m以下または1m以下とすることで、配管からの放出ガスの影響を長さに応じて低減できる。さらに、ガスの配管には、フッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで内部が被覆された金属配管を用いるとよい。前述の配管は、例えばSUS316L−EP配管と比べ、不純物を含むガスの放出量が少なく、ガスへの不純物の入り込みを低減できる。また、配管の継手には、高性能超小型メタルガスケット継手(UPG継手)を用いるとよい。また、配管を全て金属で構成することで、樹脂等を用いた場合と比べ、生じる放出ガスおよび外部リークの影響を低減できて好ましい。
また、成膜室706bは、バルブを介してターボ分子ポンプ772および真空ポンプ770と接続される。
また、成膜室706bは、クライオトラップ751が設けられる。
クライオトラップ751は、水などの比較的融点の高い分子(または原子)を吸着することができる機構である。ターボ分子ポンプ772は大きいサイズの分子(または原子)を安定して排気し、かつメンテナンスの頻度が低いため、生産性に優れる一方、水素や水の排気能力が低い。そこで、水などに対する排気能力を高めるため、クライオトラップ751が成膜室706bに接続された構成としている。クライオトラップ751の冷凍機の温度は100K以下、好ましくは80K以下とする。また、クライオトラップ751が複数の冷凍機を有する場合、冷凍機ごとに温度を変えると、効率的に排気することが可能となるため好ましい。例えば、1段目の冷凍機の温度を100K以下とし、2段目の冷凍機の温度を20K以下とすればよい。なお、クライオトラップに替えて、チタンサブリメーションポンプを用いることで、さらに高真空とすることができる場合がある。また、クライオポンプやターボ分子ポンプに替えてイオンポンプを用いることでもさらに高真空とすることができる場合がある。
なお、成膜室706bの排気方法は、これに限定されず、先の搬送室704に示す排気方法(クライオポンプと真空ポンプとの排気方法)と同様の構成としてもよい。もちろん、搬送室704の排気方法を成膜室706bと同様の構成(ターボ分子ポンプと真空ポンプとの排気方法)としてもよい。
なお、上述した搬送室704、基板加熱室705、および成膜室706bの背圧(全圧)、ならびに各気体分子(原子)の分圧は、以下の通りとすると好ましい。とくに、形成される膜中に不純物が混入され得る可能性があるので、成膜室706bの背圧、ならびに各気体分子(原子)の分圧には注意する必要がある。
上述した各室の背圧(全圧)は、1×10−4Pa以下、好ましくは3×10−5Pa以下、さらに好ましくは1×10−5Pa以下である。上述した各室の質量電荷比(m/z)が18である気体分子(原子)の分圧は、3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。また、上述した各室のm/zが28である気体分子(原子)の分圧は、3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。また、上述した各室のm/zが44である気体分子(原子)の分圧は、3×10−5Pa以下、好ましくは1×10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。
なお、真空チャンバー内の全圧および分圧は、質量分析計を用いて測定することができる。例えば、株式会社アルバック製四重極形質量分析計(Q−massともいう。)Qulee CGM−051を用いればよい。
また、上述した搬送室704、基板加熱室705、および成膜室706bは、外部リークまたは内部リークが少ない構成とすることが望ましい。
例えば、上述した搬送室704、基板加熱室705、および成膜室706bのリークレートは、3×10−6Pa・m/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m/s以下である。また、m/zが18である気体分子(原子)のリークレートが1×10−7Pa・m/s以下、好ましくは3×10−8Pa・m/s以下である。また、m/zが28である気体分子(原子)のリークレートが1×10−5Pa・m/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m/s以下である。また、m/zが44である気体分子(原子)のリークレートが3×10−6Pa・m/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m/s以下である。
なお、リークレートに関しては、前述の質量分析計を用いて測定した全圧および分圧から導出すればよい。
リークレートは、外部リークおよび内部リークに依存する。外部リークは、微小な穴やシール不良などによって真空系外から気体が流入することである。内部リークは、真空系内のバルブなどの仕切りからの漏れや内部の部材からの放出ガスに起因する。リークレートを上述の数値以下とするために、外部リークおよび内部リークの両面から対策をとる必要がある。
例えば、成膜室706bの開閉部分はメタルガスケットでシールするとよい。メタルガスケットは、フッ化鉄、酸化アルミニウム、または酸化クロムによって被覆された金属を用いると好ましい。メタルガスケットはOリングと比べ密着性が高く、外部リークを低減できる。また、フッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどによって被覆された金属の不動態を用いることで、メタルガスケットから放出される不純物を含む放出ガスが抑制され、内部リークを低減することができる。
また、成膜装置700を構成する部材として、不純物を含む放出ガスの少ないアルミニウム、クロム、チタン、ジルコニウム、ニッケルまたはバナジウムを用いる。また、前述の部材を鉄、クロムおよびニッケルなどを含む合金に被覆して用いてもよい。鉄、クロムおよびニッケルなどを含む合金は、剛性があり、熱に強く、また加工に適している。ここで、表面積を小さくするために部材の表面凹凸を研磨などによって低減しておくと、放出ガスを低減できる。
または、前述の成膜装置700の部材をフッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで被覆してもよい。
成膜装置700の部材は、極力金属のみで構成することが好ましく、例えば石英などで構成される覗き窓などを設置する場合も、放出ガスを抑制するために表面をフッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで薄く被覆するとよい。
成膜室に存在する吸着物は、内壁などに吸着しているために成膜室の圧力に影響しないが、成膜室を排気した際のガス放出の原因となる。そのため、リークレートと排気速度に相関はないものの、排気能力の高いポンプを用いて、成膜室に存在する吸着物をできる限り脱離し、あらかじめ排気しておくことは重要である。なお、吸着物の脱離を促すために、成膜室をベーキングしてもよい。ベーキングすることで吸着物の脱離速度を10倍程度大きくすることができる。ベーキングは100℃以上450℃以下で行えばよい。このとき、不活性ガスを成膜室に導入しながら吸着物の除去を行うと、排気するだけでは脱離しにくい水などの脱離速度をさらに大きくすることができる。なお、導入する不活性ガスをベーキングの温度と同程度に加熱することで、吸着物の脱離速度をさらに高めることができる。ここで不活性ガスとして希ガスを用いると好ましい。また、成膜する膜種によっては不活性ガスの代わりに酸素などを用いても構わない。例えば、酸化物を成膜する場合は、主成分である酸素を用いた方が好ましい場合もある。なお、ベーキングは、ランプを用いて行うと好ましい。
または、加熱した希ガスなどの不活性ガスまたは酸素などを導入することで成膜室内の圧力を高め、一定時間経過後に再び成膜室を排気する処理を行うと好ましい。加熱したガスの導入により成膜室内の吸着物を脱離させることができ、成膜室内に存在する不純物を低減することができる。なお、この処理は2回以上30回以下、好ましくは5回以上15回以下の範囲で繰り返し行うと効果的である。具体的には、温度が40℃以上400℃以下、好ましくは50℃以上200℃以下である不活性ガスまたは酸素などを導入することで成膜室内の圧力を0.1Pa以上10kPa以下、好ましくは1Pa以上1kPa以下、さらに好ましくは5Pa以上100Pa以下とし、圧力を保つ期間を1分以上300分以下、好ましくは5分以上120分以下とすればよい。その後、成膜室を5分以上300分以下、好ましくは10分以上120分以下の期間排気する。
また、ダミー成膜を行うことでも吸着物の脱離速度をさらに高めることができる。ダミー成膜とは、ダミー基板に対してスパッタリング法などによる成膜を行うことで、ダミー基板および成膜室内壁に膜を堆積させ、成膜室内の不純物および成膜室内壁の吸着物を膜中に閉じこめることをいう。ダミー基板は、放出ガスの少ない基板が好ましい。ダミー成膜を行うことで、後に成膜される膜中の不純物濃度を低減することができる。なお、ダミー成膜はベーキングと同時に行ってもよい。
次に、図10(B)に示す搬送室704、およびロードロック室703aと、図10(C)に示す大気側基板搬送室702、および大気側基板供給室701の詳細について以下説明を行う。なお、図10(C)は、大気側基板搬送室702、および大気側基板供給室701の断面を示している。
図10(B)に示す搬送室704については、図10(A)に示す搬送室704の記載を参照する。
ロードロック室703aは、基板受け渡しステージ752を有する。ロードロック室703aは、減圧状態から大気まで圧力を上昇させ、ロードロック室703aの圧力が大気圧になった時に、大気側基板搬送室702に設けられている搬送ロボット763から基板受け渡しステージ752に基板を受け取る。その後、ロードロック室703aを真空引きし、減圧状態としたのち、搬送室704に設けられている搬送ロボット763が基板受け渡しステージ752から基板を受け取る。
また、ロードロック室703aは、バルブを介して真空ポンプ770、およびクライオポンプ771と接続されている。真空ポンプ770、およびクライオポンプ771の排気系の接続方法は、搬送室704の接続方法を参考とすることで接続できるため、ここでの説明は省略する。なお、図9に示すアンロードロック室703bは、ロードロック室703aと同様の構成とすることができる。
大気側基板搬送室702は、搬送ロボット763を有する。搬送ロボット763により、カセットポート761とロードロック室703aとの基板の受け渡しを行うことができる。また、大気側基板搬送室702、および大気側基板供給室701の上方にHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)等のゴミまたはパーティクルを清浄化するための機構を設けてもよい。
大気側基板供給室701は、複数のカセットポート761を有する。カセットポート761は、複数の基板を収容することができる。
ターゲットは、表面温度が100℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは室温程度(代表的には25℃)とする。大面積の基板に対応するスパッタリング装置では大面積のターゲットを用いることが多い。ところが、大面積に対応した大きさのターゲットをつなぎ目なく作製することは困難である。現実には複数のターゲットをなるべく隙間のないように並べて大きな形状としているが、どうしても僅かな隙間が生じてしまう。こうした僅かな隙間から、ターゲットの表面温度が高まることで亜鉛などが揮発し、徐々に隙間が広がっていくことがある。隙間が広がると、バッキングプレートや接着に用いている金属がスパッタリングされることがあり、不純物濃度を高める要因となる。したがって、ターゲットは、十分に冷却されていることが好ましい。
具体的には、バッキングプレートとして、高い導電性および高い放熱性を有する金属(具体的には銅)を用いる。また、バッキングプレート内に水路を形成し、水路に十分な量の冷却水を流すことで、効率的にターゲットを冷却できる。
なお、ターゲットが亜鉛を含む場合、酸素ガス雰囲気で成膜することにより、プラズマダメージが軽減され、亜鉛の揮発が起こりにくい酸化物を得ることができる。
上述した成膜装置を用いることで、CAAC−OS中の水素濃度を、SIMSにおいて、2×1020atoms/cm以下、好ましくは5×1019atoms/cm以下、より好ましくは1×1019atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm以下とすることができる。
また、CAAC−OS中の窒素濃度を、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm未満、好ましくは1×1019atoms/cm以下、より好ましくは5×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1018atoms/cm以下とすることができる。
また、CAAC−OS中の炭素濃度を、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下とすることができる。
また、CAAC−OSを、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)分析によるm/zが2(水素分子など)である気体分子(原子)、m/zが18である気体分子(原子)、m/zが28である気体分子(原子)およびm/zが44である気体分子(原子)の放出量が、それぞれ1×1019個/cm以下、好ましくは1×1018個/cm以下とすることができる。
以上の成膜装置を用いることで、CAAC−OSへの不純物の混入を抑制できる。さらには、以上の成膜装置を用いて、CAAC−OSに接する膜を成膜することで、CAAC−OSに接する膜からCAAC−OSへ不純物が混入することを抑制できる。
<トランジスタ>
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタについて説明する。
なお、本発明の一態様に係るトランジスタは、上述したCAAC−OSを有すると好ましい。
<トランジスタ構造1>
図11(A)および図11(B)は、本発明の一態様のトランジスタの上面図および断面図である。図11(A)は上面図であり、図11(B)は、図11(A)に示す一点鎖線A1−A2、および一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、図11(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
図11(A)および図11(B)に示すトランジスタは、基板400上の導電体413と、基板400上および導電体413上の凸部を有する絶縁体402と、絶縁体402の凸部上の半導体406aと、半導体406a上の半導体406bと、半導体406bの上面および側面と接し、間隔を開けて配置された導電体416aおよび導電体416bと、半導体406b上、導電体416a上および導電体416b上の半導体406cと、半導体406c上の絶縁体412と、絶縁体412上の導電体404と、導電体416a上、導電体416b上および導電体404上の絶縁体408と、絶縁体408上の絶縁体418と、を有する。なお、ここでは、導電体413をトランジスタの一部としているが、これに限定されない。例えば、導電体413がトランジスタとは独立した構成要素であるとしてもよい。
なお、半導体406cは、A3−A4断面において、少なくとも半導体406bの上面および側面と接する。また、導電体404は、A3−A4断面において、半導体406cおよび絶縁体412を介して半導体406bの上面および側面と面する。また、導電体413は、絶縁体402を介して半導体406bの下面と面する。また、絶縁体402が凸部を有さなくても構わない。また、半導体406cを有さなくても構わない。また、絶縁体408を有さなくても構わない。また、絶縁体418を有さなくても構わない。
なお、半導体406bは、トランジスタのチャネル形成領域としての機能を有する。また、導電体404は、トランジスタの第1のゲート電極(フロントゲート電極ともいう。)としての機能を有する。また、導電体413は、トランジスタの第2のゲート電極(バックゲート電極ともいう。)としての機能を有する。また、導電体416aおよび導電体416bは、トランジスタのソース電極およびドレイン電極としての機能を有する。また、絶縁体408は、バリア層としての機能を有する。絶縁体408は、例えば、酸素または/および水素をブロックする機能を有する。または、絶縁体408は、例えば、半導体406aまたは/および半導体406cよりも、酸素または/および水素をブロックする能力が高い。
なお、絶縁体402は過剰酸素を含む絶縁体であると好ましい。
例えば、過剰酸素を含む絶縁体は、加熱処理によって酸素を放出する機能を有する絶縁体である。例えば、過剰酸素を含む酸化シリコン層は、加熱処理などによって酸素を放出することができる酸化シリコン層である。したがって、絶縁体402は膜中を酸素が移動可能な絶縁体である。即ち、絶縁体402は酸素透過性を有する絶縁体とすればよい。例えば、絶縁体402は、半導体406aよりも酸素透過性の高い絶縁体とすればよい。
過剰酸素を含む絶縁体は、半導体406b中の酸素欠損を低減させる機能を有する場合がある。半導体406b中で酸素欠損は、DOSを形成し、正孔トラップなどとなる。また、酸素欠損のサイトに水素が入ることによって、キャリアである電子を生成することがある。したがって、半導体406b中の酸素欠損を低減することで、トランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
ここで、加熱処理によって酸素を放出する絶縁体は、TDS分析にて、100℃以上700℃以下または100℃以上500℃以下の表面温度の範囲で1×1018atoms/cm以上、1×1019atoms/cm以上または1×1020atoms/cm以上の酸素(酸素原子数換算)を放出することもある。
ここで、TDS分析を用いた酸素の放出量の測定方法について、以下に説明する。
測定試料をTDS分析したときの気体の全放出量は、放出ガスのイオン強度の積分値に比例する。そして標準試料との比較により、気体の全放出量を計算することができる。
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコン基板のTDS分析結果、および測定試料のTDS分析結果から、測定試料の酸素分子の放出量(NO2)は、下に示す式で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量電荷比32で検出されるガスの全てが酸素分子由来と仮定する。CHOHの質量電荷比は32であるが、存在する可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17の酸素原子および質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比率が極微量であるため考慮しない。
O2=NH2/SH2×SO2×α
H2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。ここで、標準試料の基準値を、NH2/SH2とする。SO2は、測定試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。αは、TDS分析におけるイオン強度に影響する係数である。上に示す式の詳細に関しては、特開平6−275697公報を参照する。なお、上記酸素の放出量は、電子科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD−WA1000S/Wを用い、標準試料として、例えば1×1016atoms/cmの水素原子を含むシリコン基板を用いて測定する。
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量についても見積もることができる。
なお、NO2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの放出量は、酸素分子の放出量の2倍となる。
または、加熱処理によって酸素を放出する絶縁体は、過酸化ラジカルを含むこともある。具体的には、過酸化ラジカルに起因するスピン密度が、5×1017spins/cm以上であることをいう。なお、過酸化ラジカルを含む絶縁体は、ESRにて、g値が2.01近傍に非対称の信号を有することもある。
または、過剰酸素を含む絶縁体は、酸素が過剰な酸化シリコン(SiO(X>2))であってもよい。酸素が過剰な酸化シリコン(SiO(X>2))は、シリコン原子数の2倍より多い酸素原子を単位体積当たりに含むものである。単位体積当たりのシリコン原子数および酸素原子数は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)により測定した値である。
図11(B)に示すように、半導体406bの側面は、導電体416aおよび導電体416bと接する。また、導電体404の電界によって、半導体406bを電気的に取り囲むことができる(導電体から生じる電界によって、半導体を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。)。そのため、半導体406bの全体(バルク)にチャネルが形成される場合がある。s−channel構造では、トランジスタのソース−ドレイン間に大電流を流すことができ、導通時の電流(オン電流)を高くすることができる。
高いオン電流が得られるため、s−channel構造は、微細化されたトランジスタに適した構造といえる。トランジスタを微細化できるため、該トランジスタを有する半導体装置は、集積度の高い、高密度化された半導体装置とすることが可能となる。例えば、トランジスタは、チャネル長が好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の領域を有し、かつ、トランジスタは、チャネル幅が好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の領域を有する。
また、導電体413に、ソース電極よりも低い電圧または高い電圧を印加し、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向またはマイナス方向へ変動させてもよい。例えば、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向に変動させることで、ゲート電圧が0Vであってもトランジスタが非導通状態(オフ状態)となる、ノーマリーオフが実現できる場合がある。なお、導電体413に印加する電圧は、可変であってもよいし、固定であってもよい。導電体413に印加する電圧を可変にする場合、電圧を制御する回路を導電体413と電気的に接続してもよい。
次に、半導体406a、半導体406b、半導体406cなどに適用可能な半導体について説明する。
半導体406bは、例えば、インジウムを含む酸化物半導体である。半導体406bは、例えば、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、半導体406bは、元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステンなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。例えば、酸素との結合エネルギーがインジウムよりも高い元素である。または、元素Mは、例えば、酸化物半導体のエネルギーギャップを大きくする機能を有する元素である。また、半導体406bは、亜鉛を含むと好ましい。酸化物半導体は、亜鉛を含むと結晶化しやすくなる場合がある。
ただし、半導体406bは、インジウムを含む酸化物半導体に限定されない。半導体406bは、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物などの、インジウムを含まず、亜鉛を含む酸化物半導体、ガリウムを含む酸化物半導体、スズを含む酸化物半導体などであっても構わない。
半導体406bは、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。半導体406bのエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
例えば、半導体406aおよび半導体406cは、半導体406bを構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から構成される酸化物半導体である。半導体406bを構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から半導体406aおよび半導体406cが構成されるため、半導体406aと半導体406bとの界面、および半導体406bと半導体406cとの界面において、界面準位が形成されにくい。
半導体406a、半導体406bおよび半導体406cは、少なくともインジウムを含むと好ましい。なお、半導体406aがIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%より高いとする。また、半導体406bがIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが25atomic%より高く、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より高く、Mが66atomic%未満とする。また、半導体406cがIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%より高くする。なお、半導体406cは、半導体406aと同種の酸化物を用いても構わない。ただし、半導体406aまたは/および半導体406cがインジウムを含まなくても構わない場合がある。例えば、半導体406aまたは/および半導体406cが酸化ガリウムであっても構わない。
半導体406bは、半導体406aおよび半導体406cよりも電子親和力の大きい酸化物を用いる。例えば、半導体406bとして、半導体406aおよび半導体406cよりも電子親和力の0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
なお、インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する。そのため、半導体406cがインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原子割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上とする。
なお、半導体406aの組成は、図8に示した太線の組成の近傍であることが好ましい。なお、半導体406bの組成は、図8に示した太線の組成の近傍であることが好ましい。なお、半導体406cの組成は、図8に示した太線の組成の近傍であることが好ましい。こうすることで、トランジスタのチャネル形成領域を、単結晶構造を有する領域とすることができる。または、トランジスタのチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域を、単結晶構造を有する領域とすることができる場合がある。トランジスタのチャネル形成領域が単結晶構造を有する領域とすることで、トランジスタの周波数特性を高くすることができる場合がある。
このとき、ゲート電圧を印加すると、半導体406a、半導体406b、半導体406cのうち、電子親和力の大きい半導体406bにチャネルが形成される。
ここで、半導体406aと半導体406bとの間には、半導体406aと半導体406bとの混合領域を有する場合がある。また、半導体406bと半導体406cとの間には、半導体406bと半導体406cとの混合領域を有する場合がある。混合領域は、界面準位密度が低くなる。そのため、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cの積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合ともいう。)バンド構造となる。
このとき、電子は、半導体406a中および半導体406c中ではなく、半導体406b中を主として移動する。上述したように、半導体406aおよび半導体406bの界面における界面準位密度、半導体406bと半導体406cとの界面における界面準位密度を低くすることによって、半導体406b中で電子の移動が阻害されることが少なく、トランジスタのオン電流を高くすることができる。
トランジスタのオン電流は、電子の移動を阻害する要因を低減するほど、高くすることができる。例えば、電子の移動を阻害する要因のない場合、効率よく電子が移動すると推定される。電子の移動は、例えば、チャネル形成領域の物理的な凹凸が大きい場合にも阻害される。
トランジスタのオン電流を高くするためには、例えば、半導体406bの上面または下面(被形成面、ここでは半導体406a)の、1μm×1μmの範囲における二乗平均平方根(RMS:Root Mean Square)粗さが1nm未満、好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における平均面粗さ(Raともいう。)が1nm未満、好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における最大高低差(P−Vともいう。)が10nm未満、好ましくは9nm未満、さらに好ましくは8nm未満、より好ましくは7nm未満とすればよい。RMS粗さ、RaおよびP−Vは、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製走査型プローブ顕微鏡システムSPA−500などを用いて測定することができる。
または、例えば、チャネルの形成される領域中の欠陥準位密度が高い場合にも、電子の移動は阻害される。
例えば、半導体406bが酸素欠損(Vとも表記。)を有する場合、酸素欠損のサイトに水素が入り込むことでドナー準位を形成することがある。以下では酸素欠損のサイトに水素が入り込んだ状態をVHと表記する場合がある。VHは電子を散乱するため、トランジスタのオン電流を低下させる要因となる。なお、酸素欠損のサイトは、水素が入るよりも酸素が入る方が安定する。したがって、半導体406b中の酸素欠損を低減することで、トランジスタのオン電流を高くすることができる場合がある。
半導体406bの酸素欠損を低減するために、例えば、絶縁体402に含まれる過剰酸素を、半導体406aを介して半導体406bまで移動させる方法などがある。この場合、半導体406aは、酸素透過性を有する層(酸素を通過または透過させる層)であることが好ましい。
なお、トランジスタがs−channel構造を有する場合、半導体406bの全体にチャネルが形成される。したがって、半導体406bが厚いほどチャネル領域は大きくなる。即ち、半導体406bが厚いほど、トランジスタのオン電流を高くすることができる。例えば、20nm以上、好ましくは40nm以上、さらに好ましくは60nm以上、より好ましくは100nm以上の厚さの領域を有する半導体406bとすればよい。ただし、半導体装置の生産性が低下する場合があるため、例えば、300nm以下、好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下の厚さの領域を有する半導体406bとすればよい。
また、トランジスタのオン電流を高くするためには、半導体406cの厚さは小さいほど好ましい。例えば、10nm未満、好ましくは5nm以下、さらに好ましくは3nm以下の領域を有する半導体406cとすればよい。一方、半導体406cは、チャネルの形成される半導体406bへ、隣接する絶縁体を構成する酸素以外の元素(水素、シリコンなど)が入り込まないようブロックする機能を有する。そのため、半導体406cは、ある程度の厚さを有することが好ましい。例えば、0.3nm以上、好ましくは1nm以上、さらに好ましくは2nm以上の厚さの領域を有する半導体406cとすればよい。また、半導体406cは、絶縁体402などから放出される酸素の外方拡散を抑制するために、酸素をブロックする性質を有すると好ましい。
また、信頼性を高くするためには、半導体406aは厚く、半導体406cは薄いことが好ましい。例えば、10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm以上、より好ましくは60nm以上の厚さの領域を有する半導体406aとすればよい。半導体406aの厚さを、厚くすることで、隣接する絶縁体と半導体406aとの界面からチャネルの形成される半導体406bまでの距離を離すことができる。ただし、半導体装置の生産性が低下する場合があるため、例えば、200nm以下、好ましくは120nm以下、さらに好ましくは80nm以下の厚さの領域を有する半導体406aとすればよい。
例えば、半導体406bと半導体406aとの間に、例えば、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)において、1×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ましくは2×1018atoms/cm未満のシリコン濃度となる領域を有する。また、半導体406bと半導体406cとの間に、SIMSにおいて、1×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ましくは2×1018atoms/cm未満のシリコン濃度となる領域を有する。
また、半導体406bの水素濃度を低減するために、半導体406aおよび半導体406cの水素濃度を低減すると好ましい。半導体406aおよび半導体406cは、SIMSにおいて、2×1020atoms/cm以下、好ましくは5×1019atoms/cm以下、より好ましくは1×1019atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm以下の水素濃度となる領域を有する。また、半導体406bの窒素濃度を低減するために、半導体406aおよび半導体406cの窒素濃度を低減すると好ましい。半導体406aおよび半導体406cは、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下の窒素濃度となる領域を有する。
上述の3層構造は一例である。例えば、半導体406aまたは半導体406cのない2層構造としても構わない。または、半導体406aの上もしくは下、または半導体406c上もしくは下に、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cとして例示した半導体のいずれか一を有する4層構造としても構わない。または、半導体406aの上、半導体406aの下、半導体406cの上、半導体406cの下のいずれか二箇所以上に、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cとして例示した半導体のいずれか一を有するn層構造(nは5以上の整数)としても構わない。
基板400としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板または導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムなどの化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
また、基板400として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可とう性基板である基板400に転置する方法もある。その場合には、非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。なお、基板400として、繊維を編みこんだシート、フィルムまたは箔などを用いてもよい。また、基板400が伸縮性を有してもよい。また、基板400は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板400の厚さは、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以上300μm以下とする。基板400を薄くすると、半導体装置を軽量化することができる。また、基板400を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などによって基板400上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和することができる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
可とう性基板である基板400としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、またはそれらの繊維などを用いることができる。可とう性基板である基板400は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可とう性基板である基板400としては、例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、5×10−5/K以下、または1×10−5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可とう性基板である基板400として好適である。
導電体413としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
絶縁体402としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体402としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
絶縁体402は、基板400からの不純物の拡散を防止する役割を有してもよい。また、半導体406bが酸化物半導体である場合、絶縁体402は、半導体406bに酸素を供給する役割を担うことができる。
導電体416aおよび導電体416bとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
絶縁体412としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体412としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
導電体404としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
絶縁体408としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。絶縁体408は、好ましくは酸化アルミニウム、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。
絶縁体418としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体418としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
なお、図11では、トランジスタの第1のゲート電極である導電体404と第2のゲート電極である導電体413とが、電気的に接続しない例を示したが、本発明の一態様に係るトランジスタの構造はこれに限定されない。例えば、図12(A)に示すように、導電体404と導電体413とが電気的に接続する構造であっても構わない。このような構成とすることで、導電体404と導電体413とに同じ電位が供給されるため、トランジスタのスイッチング特性を向上させることができる。または、図12(B)に示すように、導電体413を有さない構造であっても構わない。
また、図13(A)は、トランジスタの上面図の一例である。図13(A)の一点鎖線F1−F2および一点鎖線F3−F4に対応する断面図の一例を図13(B)に示す。なお、図13(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
また、図11などではソース電極およびドレイン電極として機能する導電体416aおよび導電体416bが半導体406bの上面および側面、絶縁体402の上面などと接する例を示したが、本発明の一態様に係るトランジスタの構造はこれに限定されない。例えば、図13に示すように、導電体416aおよび導電体416bが半導体406bの上面のみと接する構造であっても構わない。
また、図13(B)に示すように、絶縁体418上に絶縁体428を有してもよい。絶縁体428は、上面が平坦な絶縁体であると好ましい。なお、絶縁体428は、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体428としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。絶縁体428の上面を平坦化するために、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法などによって平坦化処理を行ってもよい。
または、絶縁体428は、樹脂を用いてもよい。例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、シリコーンなどを含む樹脂を用いればよい。樹脂を用いることで、絶縁体428の上面を平坦化処理しなくてもよい場合がある。また、樹脂は短い時間で厚い膜を成膜することができるため、生産性を高めることができる。
また、図13(A)および図13(B)に示すように、絶縁体428上に導電体424aおよび導電体424bを有してもよい。導電体424aおよび導電体424bは、例えば、配線としての機能を有する。また、絶縁体428が開口部を有し、該開口部を介して導電体416aと導電体424aとが電気的に接続しても構わない。また、絶縁体428が別の開口部を有し、該開口部を介して導電体416bと導電体424bとが電気的に接続しても構わない。このとき、それぞれの開口部内に導電体426a、導電体426bを有しても構わない。
導電体424aおよび導電体424bとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
図13に示すトランジスタは、導電体416aおよび導電体416bは、半導体406bの側面と接しない。したがって、第1のゲート電極として機能する導電体404から半導体406bの側面に向けて印加される電界が、導電体416aおよび導電体416bによって遮蔽されにくい構造である。また、導電体416aおよび導電体416bは、絶縁体402の上面と接しない。そのため、絶縁体402から放出される過剰酸素(酸素)が導電体416aおよび導電体416bを酸化させるために消費されない。したがって、絶縁体402から放出される過剰酸素(酸素)を、半導体406bの酸素欠損を低減するために効率的に利用することのできる構造である。即ち、図13に示す構造のトランジスタは、高いオン電流、高い電界効果移動度、低いサブスレッショルドスイング値、高い信頼性などを有する優れた電気特性のトランジスタである。
図14(A)および図14(B)は、本発明の一態様のトランジスタの上面図および断面図である。図14(A)は上面図であり、図14(B)は、図14(A)に示す一点鎖線G1−G2、および一点鎖線G3−G4に対応する断面図である。なお、図14(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
トランジスタは、図14に示すように、導電体416aおよび導電体416bを有さず、導電体426aおよび導電体426bと、半導体406bとが接する構造であっても構わない。この場合、半導体406bまたは/および半導体406aの、少なくとも導電体426aおよび導電体426bと接する領域に低抵抗領域423a(低抵抗領域423b)を設けると好ましい。低抵抗領域423aおよび低抵抗領域423bは、例えば、導電体404などをマスクとし、半導体406bまたは/および半導体406aに不純物を添加することで形成すればよい。なお、導電体426aおよび導電体426bが、半導体406bの孔(貫通しているもの)または窪み(貫通していないもの)に設けられていても構わない。導電体426aおよび導電体426bが、半導体406bの孔または窪みに設けられることで、導電体426aおよび導電体426bと、半導体406bとの接触面積が大きくなるため、接触抵抗の影響を小さくすることができる。即ち、トランジスタのオン電流を大きくすることができる。
<トランジスタ構造2>
図15(A)および図15(B)は、本発明の一態様のトランジスタの上面図および断面図である。図15(A)は上面図であり、図15(B)は、図15(A)に示す一点鎖線J1−J2、および一点鎖線J3−J4に対応する断面図である。なお、図15(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
図15(A)および図15(B)に示すトランジスタは、基板600上の導電体604と、導電体604上の絶縁体612と、絶縁体612上の半導体606aと、半導体606a上の半導体606bと、半導体606b上の半導体606cと、半導体606a、半導体606bおよび半導体606cと接し、間隔を開けて配置された導電体616aおよび導電体616bと、半導体606c上、導電体616a上および導電体616b上の絶縁体618と、を有する。なお、導電体604は、絶縁体612を介して半導体606bの下面と面する。また、絶縁体612が凸部を有しても構わない。また、基板600と導電体604の間に絶縁体を有しても構わない。該絶縁体は、絶縁体402や絶縁体408についての記載を参照する。また、半導体606aを有さなくても構わない。また、絶縁体618を有さなくても構わない。
なお、半導体606bは、トランジスタのチャネル形成領域としての機能を有する。また、導電体604は、トランジスタの第1のゲート電極(フロントゲート電極ともいう。)としての機能を有する。また、導電体616aおよび導電体616bは、トランジスタのソース電極およびドレイン電極としての機能を有する。
なお、絶縁体618は過剰酸素を含む絶縁体であると好ましい。
なお、基板600は、基板400についての記載を参照する。また、導電体604は、導電体404についての記載を参照する。また、絶縁体612は、絶縁体412についての記載を参照する。また、半導体606aは、半導体406cについての記載を参照する。また、半導体606bは、半導体406bについての記載を参照する。また、半導体606cは、半導体406aについての記載を参照する。また、導電体616aおよび導電体616bは、導電体416aおよび導電体416bについての記載を参照する。また、絶縁体618は、絶縁体402についての記載を参照する。
なお、絶縁体618上には、表示素子が設けられていてもよい。例えば、画素電極、液晶層、共通電極、発光層、有機EL層、陽極、陰極などが設けられていてもよい。表示素子は、例えば、導電体616aなどと接続されている。
また、図16(A)は、トランジスタの上面図の一例である。図16(A)の一点鎖線K1−K2および一点鎖線K3−K4に対応する断面図の一例を図16(B)に示す。なお、図16(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
なお、半導体の上に、チャネル保護膜として機能させることができる絶縁体を配置してもよい。例えば、図16に示すように、導電体616aおよび導電体616bと、半導体606cとの間に、絶縁体620を配置してもよい。その場合、導電体616a(導電体616b)と半導体606cとは、絶縁体620中の開口部を介して接続される。絶縁体620は、絶縁体618についての記載を参照すればよい。
なお、図15(B)や図16(B)において、絶縁体618の上に、導電体613を配置してもよい。その場合の例を図17(A)および図17(B)に示す。なお、導電体613については、導電体413についての記載を参照する。また、導電体613には、導電体604と同じ電位や同じ信号が供給されてもよいし、異なる電位や信号が供給されてもよい。例えば、導電体613に、一定の電位を供給して、トランジスタのしきい値電圧を制御してもよい。つまり、導電体613は、第2のゲート電極としての機能を有することができる。また、導電体613などによってs−channel構造を形成していても構わない。
<PLD法>
以下では、上述した成膜モデルとは異なる成膜メカニズムを有するPLD(Pulsed Laser Deposition)法によって成膜したIn−Ga−Zn酸化物について説明する。
試料の作製方法を説明する。まず、シリコン基板を準備する。次に、熱酸化膜を100nmの厚さで形成する。次に、PLD法によって、In−Ga−Zn酸化物を成膜することで試料を作製する。
なお、ターゲットとしては、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]である多結晶In−Ga−Zn酸化物を用いる。また、ターゲットのアブレーションには、Nd:YAGレーザ装置を用いた波長が266nmのレーザ光を、出力0.1W、パルス周波数10Hzで用いる。
また、In−Ga−Zn酸化物の成膜は、圧力を変えて4条件とした。試料1はターボ分子ポンプで排気したままの圧力である2.6×10−5Paとして成膜したIn−Ga−Zn酸化物であり、試料2は酸素ガスを用い圧力を1.0×10−3Paとして成膜したIn−Ga−Zn酸化物であり、試料3は酸素ガスを用い圧力を0.7Paとして成膜したIn−Ga−Zn酸化物であり、試料4は酸素ガスを用い圧力を7.0Paとして成膜したIn−Ga−Zn酸化物である。なお、成膜時間は各30分、基板温度は室温とした。
次に、試料1乃至試料4の高分解能断面TEM像を取得した。なお、高分解能断面TEM像の取得は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用い、加速電圧300kVで行った。
図24に、試料1の高分解能断面TEM像を示す。なお、図24(A)は、膜の厚さ方向の全体が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。図24(A)より、膜の厚さは70nm程度であった。また、図24(B)および図24(C)は、それぞれ膜の最上部および膜の最下部が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。また、図24(D)、図24(E)および図24(F)は、それぞれ膜の最上部、膜の中央部および膜の最下部をさらに高倍率で取得した高分解能断面TEM像である。
図25に、試料2の高分解能断面TEM像を示す。なお、図25(A)は、膜の厚さ方向の全体が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。図25(A)より、膜の厚さは68nm程度であった。また、図25(B)および図25(C)は、それぞれ膜の最上部および膜の最下部が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。また、図25(D)、図25(E)および図25(F)は、それぞれ膜の最上部、膜の中央部および膜の最下部をさらに高倍率で取得した高分解能断面TEM像である。
図26に、試料3の高分解能断面TEM像を示す。なお、図26(A)は、膜の厚さ方向の全体が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。図26(A)より、膜の厚さは56nm程度であった。また、図26(B)および図26(C)は、それぞれ膜の最上部および膜の最下部が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。また、図26(D)、図26(E)および図26(F)は、それぞれ膜の最上部、膜の中央部および膜の最下部をさらに高倍率で取得した高分解能断面TEM像である。
図27に、試料4の高分解能断面TEM像を示す。なお、図27(A)および図27(B)は、膜の厚さ方向の全体が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。図27(A)および図27(B)より、膜の厚さは26nm程度であった。また、図27(C)および図27(D)は、それぞれ膜の最上部および膜の最下部が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。
さらに、試料1乃至試料4の任意の領域に対し、ナノビーム電子回折による回折パターンを取得した。なお、ナノビーム電子回折による回折パターンの取得は、日立電界放出形透過電子顕微鏡HF−2000を用い、加速電圧を200kV、プローブ径を1nm、カメラ長を0.8mとして行った。また、ナノビーム電子回折の取得箇所を示す高分解能断面TEM像の取得は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用い、加速電圧300kVで行った。
図28(A)に、試料1の高分解能断面TEM像を示す。また、図28(B)、図28(C)および図28(D)には、それぞれ図28(A)のナノビーム電子回折の測定領域1、測定領域2および測定領域3に対応する回折パターンを示す。
図28(B)を解析すると、スポットAのd値は0.278nm、スポットBのd値は0.095nm、スポットCのd値は0.108nmであった。これは、菱面体晶を有するInGaZnOにおける、(1 0 2)面(A´と表記する。)のd値0.279nm、(3 −3 0)面(B´と表記する。)のd値0.095nm、(2 −3 −2)面(C´と表記する。)のd値0.107nmとよく一致する。また、∠AOBは60.2°、∠AOCは79.9°、∠BOCは19.7°であった。これは、∠A´OB´の60.8°、∠A´OC´の80.4°、∠B´OC´の19.7°ともよく一致する。したがって、図28(B)に示す回折パターンは、菱面体晶を有するInGaZnOに帰属することができる。即ち、図28(B)の測定領域の近傍は、菱面体晶を有するInGaZnOの結晶部の可能性がある。なお、菱面体晶を有するInGaZnOに関するデータは、JCPDSカードNo.38−1104を参照した。
なお、図28(B)を、六方晶を有するInGaZnOに対しての帰属を試みると、(1 0 −2)面(A´と表記する。)のd値0.281nm、(3 −3 1)面(B´と表記する。)のd値0.095nm、(2 −3 3)面(C´と表記する。)のd値0.108nmとよく一致する。また、∠A´OB´の61.0°、∠A´OC´の80.6°、∠B´OC´の19.6°ともよく一致する。したがって、図28(B)に示す回折パターンは、六方晶を有するInGaZnOに帰属することができる。即ち、図28(B)の測定領域の近傍は、六方晶を有するInGaZnOの結晶部の可能性がある。なお、六方晶を有するInGaZnOに関するデータは、JCPDSカードNo.38−1097を参照した。
また、図28(C)を解析すると、スポットDのd値は0.166nm、スポットEのd値は0.143nm、スポットFのd値は0.275nmであった。これは、菱面体晶を有するInGaZnOにおける、(1 1 0)面(D´と表記する。)のd値0.165nm、(2 0 2)面(E´と表記する。)のd値0.142nm、(1 −1 2)面(F´と表記する。)のd値0.279nmとよく一致する。また、∠DOEは32.1°、∠DOFは89.7°、∠EOFは57.6°であった。これは、∠D´OE´の30.6°、∠D´OF´の90.0°、∠E´OF´の59.4°ともよく一致する。したがって、図28(C)に示す回折パターンは、菱面体晶を有するInGaZnOに帰属することができる。即ち、図28(C)の測定領域の近傍は、菱面体晶を有するInGaZnOの結晶部の可能性がある。
なお、図28(C)を、六方晶を有するInGaZnOに対しての帰属を試みると、(2 −1 0)面(D´と表記する。)のd値0.165nm、(2 −2 4)面(E´と表記する。)のd値0.141nm、(0 −1 4)面(F´と表記する。)のd値0.267nmとよく一致する。また、∠D´OE´の31.8°、∠D´OF´の90.0°、∠E´OF´の58.2°ともよく一致する。したがって、図28(C)に示す回折パターンは、六方晶を有するInGaZnOに帰属することができる。即ち、図28(C)の測定領域の近傍は、六方晶を有するInGaZnOの結晶部の可能性がある。
また、図28(D)を解析すると、リング状の領域内に複数のスポットが観測されることから、nc−OSの回折パターンであることがわかる。ここでは、このような領域を、便宜上nc−OS部と呼ぶ。
さらに試料1の別の観察箇所において、ナノビーム電子回折を測定し、回折パターンを取得した。図39(A)は、試料1の高分解能断面TEM像を示す。また、図39(B)および図39(C)には、それぞれ図39(A)のナノビーム電子回折の測定領域1および測定領域2に対応する回折パターンおよびスポットの帰属を示す。測定領域1における回折パターンは、六方晶を有するInGaZnOの[631]方向から電子を入射させたときの回折パターンに帰属することができる。また、測定領域2は、nc−OSの回折パターンであることがわかる。
図28および図39より、試料1は、結晶部間で回折パターンが異なることがわかる。また、結晶構造に帰属することが可能なスポットの観察されない領域は、nc−OSの構造を有することがわかる。また、図24に示す高分解能断面TEM像などより、異なる結晶部間、および結晶部とnc−OS部との間において、明確な結晶粒界を確認することができない。このような特徴から、試料1は、微結晶構造に分類することができる。
次に、試料2に対して、ナノビーム電子回折の回折パターンを測定した。図29(A)に、試料2の高分解能断面TEM像を示す。また、図29(B)、図29(C)および図29(D)には、それぞれ図29(A)のナノビーム電子回折の測定領域1、測定領域2および測定領域3に対応する回折パターンを示す。
図29(B)を解析すると、スポットGのd値は0.277nmであった。また、そのほかには明確なスポットが確認されず、特定の結晶構造に帰属することは困難であった。
また、図29(C)を解析すると、スポットHのd値は0.138nm、スポットIのd値は0.140nm、スポットJのd値は0.162nmであった。これは、菱面体晶を有するInGaZnOにおける、(1 0 −17)面(H´と表記する。)のd値0.135nm、(2 0 −4)面(I´と表記する。)のd値0.140nm、(1 0 13)面(J´と表記する。)のd値0.162nmとよく一致する。また、∠HOIは49.6°、∠HOJは115.9°、∠IOJは66.3°であった。これは、∠H´OI´の49.4°、∠H´OJ´の116.6°、∠I´OJ´の67.2°ともよく一致する。したがって、図29(C)に示す回折パターンは、菱面体晶を有するInGaZnOに帰属することができる。即ち、図29(C)の測定領域の近傍は、菱面体晶を有するInGaZnOの結晶部の可能性がある。なお、図29(C)の測定領域の近傍についても、図28(B)および図28(C)の測定領域の近傍と同様に、六方晶を有するInGaZnOの結晶部の可能性がある。
また、図29(D)を解析すると、リング状の領域内に複数のスポットが観測されることから、nc−OSの回折パターンであることがわかる。
さらに試料2の別の観察箇所において、ナノビーム電子回折を測定し、回折パターンを取得した。図40(A)は、試料2の高分解能断面TEM像を示す。また、図40(B)および図40(C)には、それぞれ図40(A)のナノビーム電子回折の測定領域1および測定領域2に対応する回折パターンおよびスポットの帰属を示す。測定領域1における回折パターンは、六方晶を有するInGaZnOの[631]方向から電子を入射させたときの回折パターンに帰属することができる。また、測定領域2は、nc−OSの回折パターンであることがわかる。
図29および図40より、試料2は、結晶部間で回折パターンが異なることがわかる。また、結晶構造に帰属することが可能なスポットの観察されない領域は、nc−OSの構造を有することがわかる。また、図25に示す高分解能断面TEM像などより、異なる結晶部間、および結晶部とnc−OS部との間において、明確な結晶粒界を確認することができない。このような特徴から、試料2は、微結晶構造に分類することができる。
次に、試料3に対して、ナノビーム電子回折の回折パターンを測定した。図30(A)、図30(B)および図30(C)には、それぞれ試料3の最上部、中央部および最下部のナノビーム電子回折の測定領域に対応する回折パターンを示す。
図30(A)、図30(B)および図30(C)を解析すると、リング状の領域内に複数のスポットが観測されることから、nc−OSの回折パターンであることがわかる。したがって、試料3は、nc−OS構造を有することがわかる。また、図26に示す高分解能断面TEM像などより、試料3は比較的均質なnc−OS構造に分類することができる。
さらに試料3に対して、結晶部の大きさを計測する。図41(A)は、試料3の結晶部(30箇所から35箇所)の平均の大きさの変化を調査した例である。図41(A)より、試料3は、電子照射開始時から電子の累積照射量が7.6×10/nmになるまでの範囲で、電子の累積照射量によらず結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。なお、図41(B)に、電子照射開始時における高分解能断面TEM像、および囲み部を拡大した高分解能断面TEM像を示す。図41(B)より、試料3を拡大することで図の矢印に挟まれたような結晶部を確認することができる。また、図41(C)に、7.6×10/nmの電子照射後における高分解能断面TEM像、および囲み部を拡大した高分解能断面TEM像を示す。図41(C)においても、結晶部を確認することができる。
次に、試料4に対して、ナノビーム電子回折の回折パターンを測定した。図31(A)、図31(B)および図31(C)には、それぞれ試料4の最上部、中央部および最下部のナノビーム電子回折の測定領域に対応する回折パターンを示す。
図31(A)、図31(B)および図31(C)を解析すると、リング状の領域内に複数のスポットが観測されることから、nc−OSの回折パターンであることがわかる。また、図27に示す高分解能断面TEM像などより、試料4は一部に鬆を有することがわかる。したがって、試料4は、a−like OS構造に分類することができる。
さらに試料4に対して、結晶部の大きさを計測する。図42(A)は、試料4の結晶部(20箇所から30箇所)の平均の大きさの変化を調査した例である。図42(A)より、試料4は、電子照射開始時から電子の累積照射量が7.6×10/nmになるまでの範囲で、電子の累積照射量によって結晶部の大きさに変化が見られる。なお、図42(B)に、電子照射開始時における高分解能断面TEM像、および囲み部を拡大した高分解能断面TEM像を示す。図42(B)より、試料4を拡大することで図の矢印に挟まれたような結晶部を確認することができる。また、図42(C)に、9.4×10/nmの電子照射後における高分解能断面TEM像、および囲み部を拡大した高分解能断面TEM像を示す。図42(C)においても、結晶部を確認することができる。また、結晶部の大きさ図42(B)と比べて大きくなっていることがわかる。また、図42(D)に、7.6×10/nmの電子照射後における高分解能断面TEM像、および囲み部を拡大した高分解能断面TEM像を示す。図42(D)においても、結晶部を確認することができる。また、結晶部の大きさは図42(C)と比べて小さくなっていることがわかる。
試料4において、結晶部の大きさが一度大きくなり、その後小さくなったことから、電子照射により成長した結晶部が、さらなる電子照射により壊れた可能性を示している。
試料3および試料4の結晶部の大きさの変化などを表4に示す。
図32および図33は、試料1乃至試料4のXRD装置を用いた解析結果である。XRD装置を用いた解析は、out−of−plane法の一種である粉末法(θ−2θ法ともいう。)と、out−of−plane法の一種であるGIXRD(Grazing−Incidence XRD)法(薄膜法またはSeemann−Bohlin法ともいう。)と、によって行った。なお、θー2θ法は、X線の入射角を変化させるとともに、X線源に対向して設けられる検出器の角度を入射角と同じにしてX線回折強度を測定する方法である。また、GIXRD法は、X線の入射角をごく浅い角度に固定し、X線源に対向して設けられる検出器の角度を変化させてX線回折強度を測定する方法である。なお、GIXRD法では、入射角を0.40°に固定して解析を行った。
図32(A)は試料1のθ−2θ法による解析結果を示し、図32(B)は試料2のθ−2θ法による解析結果を示し、図32(C)は試料3のθ−2θ法による解析結果を示し、図32(D)は試料4のθ−2θ法による解析結果を示す。また、図33(A)は試料1のGIXRD法による解析結果を示し、図33(B)は試料2のGIXRD法による解析結果を示し、図33(C)は試料3のGIXRD法による解析結果を示し、図33(D)は試料4のGIXRD法による解析結果を示す。
試料1は、θ−2θ法によって2θが32°から35°の間にやや鋭いピークが観測された。また、試料1は、GIXRD法によって、2θが33°から34°の間に鋭いピークが観測された。これらの位置に現れるピークに対応する結晶面を明確に帰属することはできなかった。そのため、複数の結晶面を示すピークが合わさっている可能性が高い。また、試料2および試料3は、θ−2θ法によって、2θが25°から40°の間にブロードなピークが観測された。また、試料2および試料3は、GIXRD法によっても、2θが25°から40°の間にブロードなピークが観測された。これらのピークは、近距離秩序性を反映したピークである可能性が高い。また、試料4は、θ−2θ法によって、明確なピークが観測されなかった。これは、試料4の膜の厚さが薄いことに起因する可能性が高い。一方、試料4は、GIXRD法によって、2θが25°から40°の間にブロードなピークが観測された。このピークも、近距離秩序性を反映したピークである可能性が高い。
PLD法では、レーザ光によって原子状の粒子、イオン状の粒子、分子状の粒子またはクラスタ状の粒子などがターゲットより飛び出すことが知られている。この前提のもと、PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物の結晶性の違いについて、以下に考察を述べる。
試料1および試料2は、成膜時の圧力が低い。そのため、クラスタ状で飛び出した粒子が、そのまま被形成面に堆積する割合は比較的高くなる。また、クラスタ状の粒子は、結晶構造を維持したまま被形成面に堆積するため、膜に結晶部が形成される可能性が高い。なお、PLD法では、クラスタ状の粒子は、プラズマ中を通過しないため、帯電しない。また、PLD法では、マグネットによる磁場が生じないため、被形成面をクラスタ状の粒子が移動するための力は与えられない。よって、図3などを用いて説明した成膜モデルとは異なり、クラスタ状の粒子が被形成面に規則的に堆積することはないといえる。即ち、異なる結晶部間では、配向性も異なってくる。
また、試料3では、成膜時の圧力が高いことによって、クラスタ状の粒子の平均自由行程が、試料1および試料2の成膜時よりも短くなる。そのため、クラスタ状の粒子が、被形成面に堆積する割合が比較的低くなり、原子状の粒子などの小さい粒子がそのまま被形成面に堆積する割合が高くなる。しかし、そのような状態で堆積されたとしても、ナノビーム電子回折の回折パターンにおいてリング状の領域内に複数のスポットが観測されることから、被形成面におけるマイグレーションにより、ある程度の秩序性を持つnc−OS構造となることがわかる。
また、試料4では、成膜時の圧力がさらに高いことによって、クラスタ状の粒子の平均自由行程が、試料1および試料2の成膜時よりも短くなる。また、試料3の成膜時よりも原子状の粒子などがそのまま被形成面に堆積する量も少なくなる。したがって、被形成面に堆積する粒子は、堆積するまでの間に何らかの衝突を起こし、エネルギーが低下した粒子となる。即ち、被形成面上におけるマイグレーションなども起こりにくくなり、密度の低い膜が成膜される。
以上は、PLD法により室温で成膜したIn−Ga−Zn酸化物の解析結果である。以下に、PLD法により加熱成膜したIn−Ga−Zn酸化物の解析結果を説明する。なお、加熱成膜の温度は、基板表面近傍に配置した熱電対を用いて測定した。
図43(A)および図43(B)は、基板表面温度を300℃として成膜したIn−Ga−Zn酸化物の断面TEM像である。なお、そのほかの成膜条件は試料3と同様である。図43(A)および図43(B)に示すTEM像は、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いて観察した。TEM像の取得には、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fを用いた。なお、図43(B)は、図43(A)の囲み部を拡大したTEM像である。
図43(A)および図43(B)より、PLD法により加熱成膜したIn−Ga−Zn酸化物には、表面の凹凸および膜内部のムラが見られた。また、加熱成膜であってもCAAC−OS構造は確認されなかった。
図43(B)と同じ測定箇所において、高角度散乱暗視野走査透過顕微鏡法(ADF−STEM:Annular Dark−Field Scanning Transmission Electron Microscopy)による観察像を図44(A)に、EDX(Energy Dispersion X−Ray Spectroscopy)によるマッピングを図44(B)、図44(C)、図44(D)および図44(E)に示す。なお、図44(B)はインジウムのマッピングを示し、図44(C)はガリウムのマッピングを示し、図44(D)は亜鉛のマッピングを示し、図44(E)は酸素のマッピングを示す。
図44(A)に示す明るい領域には、図44(B)および図44(E)より、インジウムを含む酸化物が偏析している。したがって、加熱成膜による表面の凹凸および膜内部のムラは、インジウムを含む酸化物の偏析によることがわかる。
以上に示したように、PLD法を用いて成膜したIn−Ga−Zn酸化物は、微結晶構造、nc−OS構造またはa−like OS構造を有するが、CAAC−OS構造を有さない可能性がある。これは、図3などを用いて説明した成膜モデルによって理解することができる。なお、特許文献1などで報告されている微結晶を含む非晶質酸化物は、PLD法を用いて成膜されていることが明記されている。そのため、ここで報告したIn−Ga−Zn酸化物と同様の酸化物である可能性がある。ただし、ここで報告したIn−Ga−Zn酸化物は、ナノビーム電子回折などにより非晶質構造は確認されていないため、異なる酸化物である可能性もある。
<トランジスタの電気特性>
以下では、PLD法により成膜したIn−Ga−Zn酸化物を用いたトランジスタの電気特性について説明する。
トランジスタの構造は、図12(B)に示したトランジスタの構造と同様である。よって、以下では図12(B)などの符号を用いて説明する。ただし、半導体406aおよび半導体406cは形成していない。なお、半導体406bは、厚さを35nmとした。また、絶縁体412は、酸化シリコンを用い、厚さを40nmとした。
図45(A)、図45(B)および図45(C)に、半導体406bとして、それぞれPLD法により上述した試料2の条件、試料3の条件または試料4の条件で成膜したIn−Ga−Zn酸化物を用いたトランジスタのドレイン電圧Vd4VにおけるId−Vg特性を示す。チャネル長は50μm、チャネル幅は200μmとした。ここで、Idはドレイン電流を示し、Vgはゲート電圧を示す。
また、図46に、PLD法により試料3の条件で成膜したIn−Ga−Zn酸化物を用いたトランジスタのId−Vd特性を示す。チャネル長は50μm、チャネル幅は200μmとした。
以上により、試料3の条件で成膜したIn−Ga−Zn酸化物を用いたトランジスタは、良好な電気特性を有することがわかった。また、試料2の条件および試料4の条件は、試料3の条件と比べてオン電流が小さいことがわかった。
<半導体装置>
以下では、本発明の一態様に係る半導体装置を例示する。
<回路>
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタを利用した回路の一例について説明する。
〔CMOSインバータ〕
図18(A)に示す回路図は、pチャネル型のトランジスタ2200とnチャネル型のトランジスタ2100を直列に接続し、かつそれぞれのゲートを接続した、いわゆるCMOSインバータの構成を示している。トランジスタ2100は、酸化物半導体を用いたトランジスタである。
〔CMOSアナログスイッチ〕
また図18(B)に示す回路図は、トランジスタ2100とトランジスタ2200のそれぞれのソースとドレインを接続した構成を示している。このような構成とすることで、いわゆるCMOSアナログスイッチとして機能させることができる。
〔記憶装置の例〕
本発明の一態様に係るトランジスタを用いた、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を図19に示す。
図19(A)に示す半導体装置は、第1の半導体を用いたトランジスタ3200と第2の半導体を用いたトランジスタ3300、および容量素子3400を有している。なお、トランジスタ3300としては、上述したトランジスタを用いることができる。
トランジスタ3300は、酸化物半導体を用いたトランジスタである。トランジスタ3300のオフ電流が小さいことにより、半導体装置の特定のノードに長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、またはリフレッシュ動作の頻度が極めて少なくすることが可能となるため、消費電力の低い半導体装置となる。
図19(A)において、第1の配線3001はトランジスタ3200のソースと電気的に接続され、第2の配線3002はトランジスタ3200のドレインと電気的に接続される。また、第3の配線3003はトランジスタ3300のソース、ドレインの一方と電気的に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3300のゲートと電気的に接続されている。そして、トランジスタ3200のゲート、およびトランジスタ3300のソース、ドレインの他方は、容量素子3400の電極の一方と電気的に接続され、第5の配線3005は容量素子3400の電極の他方と電気的に接続されている。
図19(A)に示す半導体装置は、トランジスタ3200のゲートの電位が保持可能という特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3300が導通状態となる電位にして、トランジスタ3300を導通状態とする。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3200のゲート、および容量素子3400の電極の一方と電気的に接続するノードFGに与えられる。即ち、トランジスタ3200のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という。)のどちらかが与えられるものとする。その後、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3300が非導通状態となる電位にして、トランジスタ3300を非導通状態とすることにより、ノードFGに電荷が保持される(保持)。
トランジスタ3300のオフ電流は極めて小さいため、ノードFGの電荷は長期間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、第2の配線3002は、ノードFGに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ3200をnチャネル型とすると、トランジスタ3200のゲートにHighレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ3200のゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけ上のしきい値電圧とは、トランジスタ3200を「導通状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をいうものとする。したがって、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位Vとすることにより、ノードFGに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードFGにHighレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV(>Vth_H)となれば、トランジスタ3200は「導通状態」となる。一方、ノードFGにLowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV(<Vth_L)となっても、トランジスタ3200は「非導通状態」のままである。このため、第2の配線3002の電位を判別することで、ノードFGに保持されている情報を読み出すことができる。
なお、メモリセルをアレイ状に配置する場合、読み出し時には、所望のメモリセルの情報を読み出さなくてはならない。ほかのメモリセルの情報を読み出さないためには、ノードFGに与えられた電荷によらずトランジスタ3200が「非導通状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより低い電位を第5の配線3005に与えればよい。または、ノードFGに与えられた電荷によらずトランジスタ3200が「導通状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより高い電位を第5の配線3005に与えればよい。
図19(B)に示す半導体装置は、トランジスタ3200を有さない点で図19(A)に示した半導体装置と異なる。この場合も図19(A)に示した半導体装置と同様の動作により情報の書き込みおよび保持動作が可能である。
図19(B)に示す半導体装置における、情報の読み出しについて説明する。トランジスタ3300が導通状態になると、浮遊状態である第3の配線3003と容量素子3400とが導通し、第3の配線3003と容量素子3400の間で電荷が再分配される。その結果、第3の配線3003の電位が変化する。第3の配線3003の電位の変化量は、容量素子3400の電極の一方の電位(または容量素子3400に蓄積された電荷)によって、異なる値をとる。
例えば、容量素子3400の電極の一方の電位をV、容量素子3400の容量をC、第3の配線3003が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の第3の配線3003の電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の第3の配線3003の電位は、(CB×VB0+C×V)/(CB+C)となる。したがって、メモリセルの状態として、容量素子3400の電極の一方の電位がV1とV0(V1>V0)の2つの状態をとるとすると、電位V1を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+C×V1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
そして、第3の配線3003の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すことができる。
この場合、メモリセルを駆動させるための駆動回路に上記第1の半導体が適用されたトランジスタを用い、トランジスタ3300として第2の半導体が適用されたトランジスタを駆動回路上に積層して配置する構成とすればよい。
以上に示した半導体装置は、酸化物半導体を用いたオフ電流の極めて小さいトランジスタを適用することで、長期にわたって記憶内容を保持することが可能となる。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、またはリフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力の低い半導体装置を実現することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが好ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
また、該半導体装置は、情報の書き込みに高い電圧が不要であるため、素子の劣化が起こりにくい。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行わないため、絶縁体の劣化といった問題が全く生じない。即ち、本発明の一態様に係る半導体装置は、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上した半導体装置である。さらに、トランジスタの導通状態、非導通状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作が可能となる。
<CPU>
以下では、上述したトランジスタや上述した記憶装置などの半導体装置を含むCPUについて説明する。
図20は、上述したトランジスタを一部に用いたCPUの一例の構成を示すブロック図である。
図20に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmetic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1198、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース1189を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、図20に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。例えば、図20に示すCPUまたは演算回路を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、それぞれのコアが並列で動作するような構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクションデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195に入力される。
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう。
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、およびレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミングコントローラ1195は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。
図20に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ1196のメモリセルとして、上述したトランジスタや記憶装置などを用いることができる。
図20に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。即ち、レジスタ1196が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量素子によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
図21は、レジスタ1196として用いることのできる記憶素子1200の回路図の一例である。記憶素子1200は、電源遮断で記憶データが揮発する回路1201と、電源遮断で記憶データが揮発しない回路1202と、スイッチ1203と、スイッチ1204と、論理素子1206と、容量素子1207と、選択機能を有する回路1220と、を有する。回路1202は、容量素子1208と、トランジスタ1209と、トランジスタ1210と、を有する。なお、記憶素子1200は、必要に応じて、ダイオード、抵抗素子、インダクタなどのその他の素子をさらに有していてもよい。
ここで、回路1202には、上述した記憶装置を用いることができる。記憶素子1200への電源電圧の供給が停止した際、回路1202のトランジスタ1209のゲートにはGND(0V)、またはトランジスタ1209がオフする電位が入力され続ける構成とする。例えば、トランジスタ1209のゲートが抵抗等の負荷を介して接地される構成とする。
スイッチ1203は、一導電型(例えば、nチャネル型)のトランジスタ1213を用いて構成され、スイッチ1204は、一導電型とは逆の導電型(例えば、pチャネル型)のトランジスタ1214を用いて構成した例を示す。ここで、スイッチ1203の第1の端子はトランジスタ1213のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ1203の第2の端子はトランジスタ1213のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ1203はトランジスタ1213のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1213の導通状態または非導通状態)が選択される。スイッチ1204の第1の端子はトランジスタ1214のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ1204の第2の端子はトランジスタ1214のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ1204はトランジスタ1214のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1214の導通状態または非導通状態)が選択される。
トランジスタ1209のソースとドレインの一方は、容量素子1208の一対の電極のうちの一方、およびトランジスタ1210のゲートと電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM2とする。トランジスタ1210のソースとドレインの一方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)に電気的に接続され、他方は、スイッチ1203の第1の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの一方)と電気的に接続される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)はスイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一方)と電気的に接続される。スイッチ1204の第2の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの他方)は電源電位VDDを供給することのできる配線と電気的に接続される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)と、スイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一方)と、論理素子1206の入力端子と、容量素子1207の一対の電極のうちの一方と、は電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM1とする。容量素子1207の一対の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子1207の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)と電気的に接続される。容量素子1208の一対の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子1208の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)と電気的に接続される。
なお、容量素子1207および容量素子1208は、トランジスタや配線の寄生容量等を積極的に利用することによって省略することも可能である。
トランジスタ1209のゲートには、制御信号WEが入力される。スイッチ1203およびスイッチ1204は、制御信号WEとは異なる制御信号RDによって第1の端子と第2の端子の間の導通状態または非導通状態を選択され、一方のスイッチの第1の端子と第2の端子の間が導通状態のとき他方のスイッチの第1の端子と第2の端子の間は非導通状態となる。
トランジスタ1209のソースとドレインの他方には、回路1201に保持されたデータに対応する信号が入力される。図21では、回路1201から出力された信号が、トランジスタ1209のソースとドレインの他方に入力される例を示した。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号は、論理素子1206によってその論理値が反転された反転信号となり、回路1220を介して回路1201に入力される。
なお、図21では、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号は、論理素子1206および回路1220を介して回路1201に入力する例を示したがこれに限定されない。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号が、論理値を反転させられることなく、回路1201に入力されてもよい。例えば、回路1201内に、入力端子から入力された信号の論理値が反転した信号が保持されるノードが存在する場合に、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号を当該ノードに入力することができる。
また、図21において、記憶素子1200に用いられるトランジスタのうち、トランジスタ1209以外のトランジスタは、酸化物半導体以外の半導体でなる膜または基板1190にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。例えば、シリコン膜またはシリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。また、記憶素子1200に用いられるトランジスタ全てを、チャネルが酸化物半導体で形成されるトランジスタとすることもできる。または、記憶素子1200は、トランジスタ1209以外にも、チャネルが酸化物半導体で形成されるトランジスタを含んでいてもよく、残りのトランジスタは酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成されるトランジスタとすることもできる。
図21における回路1201には、例えばフリップフロップ回路を用いることができる。また、論理素子1206としては、例えばインバータやクロックドインバータ等を用いることができる。
本発明の一態様に係る半導体装置では、記憶素子1200に電源電圧が供給されない間は、回路1201に記憶されていたデータを、回路1202に設けられた容量素子1208によって保持することができる。
また、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタはオフ電流が極めて小さい。例えば、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流は、結晶性を有するシリコンにチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流に比べて著しく低い。そのため、当該トランジスタをトランジスタ1209として用いることによって、記憶素子1200に電源電圧が供給されない間も容量素子1208に保持された信号は長期間にわたり保たれる。こうして、記憶素子1200は電源電圧の供給が停止した間も記憶内容(データ)を保持することが可能である。
また、スイッチ1203およびスイッチ1204を設けることによって、プリチャージ動作を行うことを特徴とする記憶素子であるため、電源電圧供給再開後に、回路1201が元のデータを保持しなおすまでの時間を短くすることができる。
また、回路1202において、容量素子1208によって保持された信号はトランジスタ1210のゲートに入力される。そのため、記憶素子1200への電源電圧の供給が再開された後、容量素子1208によって保持された信号を、トランジスタ1210の状態(導通状態、または非導通状態)に変換して、回路1202から読み出すことができる。それ故、容量素子1208に保持された信号に対応する電位が多少変動していても、元の信号を正確に読み出すことが可能である。
このような記憶素子1200を、プロセッサが有するレジスタやキャッシュメモリなどの記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を防ぐことができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復帰することができる。よって、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、または複数の論理回路において、短い時間でも電源停止を行うことができるため、消費電力を抑えることができる。
記憶素子1200をCPUに用いる例として説明したが、記憶素子1200は、DSP(Digital Signal Processor)、カスタムLSI、PLD(Programmable Logic Device)等のLSI、RF−ID(Radio Frequency Identification)にも応用可能である。
<表示装置>
以下では、本発明の一態様に係る表示装置の構成例について説明する。
[構成例]
図22(A)には、本発明の一態様に係る表示装置の上面図を示す。また、図22(B)には、本発明の一態様に係る表示装置の画素に液晶素子を用いた場合における画素回路を示す。また、図22(C)には、本発明の一態様に係る表示装置の画素に有機EL素子を用いた場合における画素回路を示す。
画素に用いるトランジスタは、上述したトランジスタを用いることができる。ここでは、nチャネル型のトランジスタを用いる例を示す。なお、画素に用いたトランジスタと、同一工程を経て作製したトランジスタを駆動回路として用いても構わない。このように、画素や駆動回路に上述したトランジスタを用いることにより、表示品位が高い、または/および信頼性の高い表示装置となる。
アクティブマトリクス型表示装置の一例を図22(A)に示す。表示装置の基板5000上には、画素部5001、第1の走査線駆動回路5002、第2の走査線駆動回路5003、信号線駆動回路5004が配置される。画素部5001は、複数の信号線によって信号線駆動回路5004と電気的に接続され、複数の走査線によって第1の走査線駆動回路5002、および第2の走査線駆動回路5003と電気的に接続される。なお、走査線と信号線とによって区切られる領域には、それぞれ表示素子を有する画素が配置されている。また、表示装置の基板5000は、FPC(Flexible Printed Circuit)等の接続部を介して、タイミング制御回路(コントローラ、制御ICともいう)に電気的に接続されている。
第1の走査線駆動回路5002、第2の走査線駆動回路5003および信号線駆動回路5004は、画素部5001と同じ基板5000上に形成される。そのため、駆動回路を別途作製する場合と比べて、表示装置を作製するコストを低減することができる。また、駆動回路を別途作製した場合、配線間の接続数が増える。したがって、同じ基板5000上に駆動回路を設けることで、配線間の接続数を減らすことができ、信頼性の向上、または/および歩留まりの向上を図ることができる。
〔液晶表示装置〕
また、画素の回路構成の一例を図22(B)に示す。ここでは、VA型液晶表示装置の画素などに適用することができる画素回路を示す。
この画素回路は、一つの画素に複数の画素電極を有する構成に適用できる。それぞれの画素電極は異なるトランジスタに接続され、各トランジスタは異なるゲート信号で駆動できるように構成されている。これにより、マルチドメイン設計された画素の個々の画素電極に印加する信号を、独立して制御できる。
トランジスタ5016の走査線5012と、トランジスタ5017の走査線5013には、異なるゲート信号を与えることができるように分離されている。一方、信号線5014は、トランジスタ5016とトランジスタ5017で共通に用いられている。トランジスタ5016とトランジスタ5017は上述したトランジスタを適宜用いることができる。これにより、表示品位が高い、または/および信頼性の高い液晶表示装置を提供することができる。
トランジスタ5016と電気的に接続する第1の画素電極と、トランジスタ5017と電気的に接続する第2の画素電極の形状について説明する。第1の画素電極と第2の画素電極とは分離されている。なお、第1の画素電極および第2の画素電極の形状としては、特に限定は無い。例えば、第1の画素電極は、V字状とすればよい。
トランジスタ5016のゲート電極は走査線5012と電気的に接続され、トランジスタ5017のゲート電極は走査線5013と電気的に接続されている。走査線5012と走査線5013に異なるゲート信号を与えてトランジスタ5016とトランジスタ5017の動作タイミングを異ならせ、液晶の配向を制御することができる。
また、容量線5010と、誘電体として機能するゲート絶縁体と、第1の画素電極または第2の画素電極と電気的に接続する容量電極とで容量素子を形成してもよい。
マルチドメイン構造は、一画素に第1の液晶素子5018と第2の液晶素子5019を備える。第1の液晶素子5018は第1の画素電極と対向電極とその間の液晶層とで構成され、第2の液晶素子5019は第2の画素電極と対向電極とその間の液晶層とで構成される。
なお、本発明の一態様に係る表示装置は、図22(B)に示す画素回路に限定されない。例えば、図22(B)に示す画素回路に新たにスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ、センサー、または論理回路などを追加してもよい。
〔有機ELパネル〕
画素の回路構成の他の一例を図22(C)に示す。ここでは、有機EL素子を用いた表示装置の画素構造を示す。
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、有機EL素子が有する一対の電極の一方から電子が、他方から正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、電子および正孔が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
図22(C)は、画素回路の一例を示す図である。ここでは1つの画素にnチャネル型のトランジスタを2つ用いる例を示す。なお、nチャネル型のトランジスタには、上述したトランジスタを用いることができる。また、当該画素回路は、デジタル時間階調駆動を適用することができる。
適用可能な画素回路の構成およびデジタル時間階調駆動を適用した場合の画素の動作について説明する。
画素5020は、スイッチング用トランジスタ5021、駆動用トランジスタ5022、発光素子5024および容量素子5023を有する。スイッチング用トランジスタ5021は、ゲート電極が走査線5026に接続され、第1電極(ソース電極、ドレイン電極の一方)が信号線5025に接続され、第2電極(ソース電極、ドレイン電極の他方)が駆動用トランジスタ5022のゲート電極に接続されている。駆動用トランジスタ5022は、ゲート電極が容量素子5023を介して電源線5027に接続され、第1電極が電源線5027に接続され、第2電極が発光素子5024の第1電極(画素電極)に接続されている。発光素子5024の第2電極は共通電極5028に相当する。共通電極5028は、同一基板上に形成される共通電位線と電気的に接続される。
スイッチング用トランジスタ5021および駆動用トランジスタ5022は上述したトランジスタを用いることができる。これにより、表示品位の高い、または/および信頼性の高い有機EL表示装置となる。
発光素子5024の第2電極(共通電極5028)の電位は低電源電位に設定する。なお、低電源電位とは、電源線5027に供給される高電源電位より低い電位であり、例えばGND、0Vなどを低電源電位として設定することができる。発光素子5024の順方向のしきい値電圧以上となるように高電源電位と低電源電位を設定し、その電位差を発光素子5024に印加することにより、発光素子5024に電流を流して発光させる。なお、発光素子5024の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向しきい値電圧を含む。
なお、容量素子5023は駆動用トランジスタ5022のゲート容量を代用することにより省略できる場合がある。駆動用トランジスタ5022のゲート容量については、チャネル形成領域とゲート電極との間で容量が形成されていてもよい。
次に、駆動用トランジスタ5022に入力する信号について説明する。電圧入力電圧駆動方式の場合、駆動用トランジスタ5022がオンまたはオフの二つの状態となるようなビデオ信号を、駆動用トランジスタ5022に入力する。なお、駆動用トランジスタ5022を線形領域で動作させるために、電源線5027の電圧よりも高い電圧を駆動用トランジスタ5022のゲート電極に与える。また、信号線5025には、電源線電圧に駆動用トランジスタ5022のしきい値電圧Vthを加えた値以上の電圧をかける。
アナログ階調駆動を行う場合、駆動用トランジスタ5022のゲート電極に発光素子5024の順方向電圧に駆動用トランジスタ5022のしきい値電圧Vthを加えた値以上の電圧をかける。なお、駆動用トランジスタ5022が飽和領域で動作するようにビデオ信号を入力し、発光素子5024に電流を流す。また、駆動用トランジスタ5022を飽和領域で動作させるために、電源線5027の電位を、駆動用トランジスタ5022のゲート電位より高くする。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子5024にビデオ信号に応じた電流を流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
なお、本発明の一態様に係る表示装置は、図22(C)に示す画素構成に限定されない。例えば、図22(C)に示す画素回路にスイッチ、抵抗素子、容量素子、センサー、トランジスタまたは論理回路などを追加してもよい。
図22で例示した回路に上述したトランジスタを適用する場合、低電位側にソース電極(第1の電極)、高電位側にドレイン電極(第2の電極)がそれぞれ電気的に接続される構成とする。さらに、制御回路等により第1のゲート電極の電位を制御し、第2のゲート電極にはソース電極に与える電位よりも低い電位など、上記で例示した電位を入力可能な構成とすればよい。
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図23に示す。
図23(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部904、マイクロフォン905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス908等を有する。なお、図23(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表示部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図23(B)は携帯データ端末であり、第1筐体911、第2筐体912、第1表示部913、第2表示部914、接続部915、操作キー916等を有する。第1表示部913は第1筐体911に設けられており、第2表示部914は第2筐体912に設けられている。そして、第1筐体911と第2筐体912とは、接続部915により接続されており、第1筐体911と第2筐体912の間の角度は、接続部915により変更が可能である。第1表示部913における映像を、接続部915における第1筐体911と第2筐体912との間の角度にしたがって、切り替える構成としてもよい。また、第1表示部913および第2表示部914の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表示装置を用いるようにしてもよい。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパネルを設けることで付加することができる。または、位置入力装置としての機能は、フォトセンサーとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができる。
図23(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体921、表示部922、キーボード923、ポインティングデバイス924等を有する。
図23(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体931、冷蔵室用扉932、冷凍室用扉933等を有する。
図23(E)はビデオカメラであり、第1筐体941、第2筐体942、表示部943、操作キー944、レンズ945、接続部946等を有する。操作キー944およびレンズ945は第1筐体941に設けられており、表示部943は第2筐体942に設けられている。そして、第1筐体941と第2筐体942とは、接続部946により接続されており、第1筐体941と第2筐体942の間の角度は、接続部946により変更が可能である。表示部943における映像を、接続部946における第1筐体941と第2筐体942との間の角度にしたがって切り替える構成としてもよい。
図23(F)は自動車であり、車体951、車輪952、ダッシュボード953、ライト954等を有する。
100 ターゲット
100a ターゲット
100b ターゲット
101 成膜室
103b マグネットユニット
110 バッキングプレート
110a バッキングプレート
110b バッキングプレート
120 ターゲットホルダ
120a ターゲットホルダ
120b ターゲットホルダ
130 マグネットユニット
130a マグネットユニット
130b マグネットユニット
130N マグネット
130N1 マグネット
130N2 マグネット
130S マグネット
132 マグネットホルダ
140 部材
160 基板
170 基板ホルダ
180a 磁力線
180b 磁力線
200a ペレット
200b ペレット
201 イオン
202 酸化亜鉛層
203 粒子
205a ペレット
205a1 領域
205a2 ペレット
205b ペレット
205c ペレット
205d ペレット
205d1 領域
205e ペレット
220 基板
230 ターゲット
400 基板
402 絶縁体
404 導電体
406a 半導体
406b 半導体
406c 半導体
408 絶縁体
412 絶縁体
413 導電体
416a 導電体
416b 導電体
418 絶縁体
423a 低抵抗領域
423b 低抵抗領域
424a 導電体
424b 導電体
426a 導電体
426b 導電体
428 絶縁体
600 基板
604 導電体
606a 半導体
606b 半導体
606c 半導体
612 絶縁体
613 導電体
616a 導電体
616b 導電体
618 絶縁体
620 絶縁体
700 成膜装置
701 大気側基板供給室
702 大気側基板搬送室
703a ロードロック室
703b アンロードロック室
704 搬送室
705 基板加熱室
706a 成膜室
706b 成膜室
706c 成膜室
751 クライオトラップ
752 ステージ
761 カセットポート
762 アライメントポート
763 搬送ロボット
764 ゲートバルブ
765 加熱ステージ
766 ターゲット
767 防着板
768 基板ステージ
769 基板
770 真空ポンプ
771 クライオポンプ
772 ターボ分子ポンプ
780 マスフローコントローラ
781 精製機
782 ガス加熱機構
901 筐体
902 筐体
903 表示部
904 表示部
905 マイクロフォン
906 スピーカー
907 操作キー
908 スタイラス
911 筐体
912 筐体
913 表示部
914 表示部
915 接続部
916 操作キー
921 筐体
922 表示部
923 キーボード
924 ポインティングデバイス
931 筐体
932 冷蔵室用扉
933 冷凍室用扉
941 筐体
942 筐体
943 表示部
944 操作キー
945 レンズ
946 接続部
951 車体
952 車輪
953 ダッシュボード
954 ライト
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
1200 記憶素子
1201 回路
1202 回路
1203 スイッチ
1204 スイッチ
1206 論理素子
1207 容量素子
1208 容量素子
1209 トランジスタ
1210 トランジスタ
1213 トランジスタ
1214 トランジスタ
1220 回路
2100 トランジスタ
2200 トランジスタ
3001 配線
3002 配線
3003 配線
3004 配線
3005 配線
3200 トランジスタ
3300 トランジスタ
3400 容量素子
5000 基板
5001 画素部
5002 走査線駆動回路
5003 走査線駆動回路
5004 信号線駆動回路
5010 容量線
5012 走査線
5013 走査線
5014 信号線
5016 トランジスタ
5017 トランジスタ
5018 液晶素子
5019 液晶素子
5020 画素
5021 スイッチング用トランジスタ
5022 駆動用トランジスタ
5023 容量素子
5024 発光素子
5025 信号線
5026 走査線
5027 電源線
5028 共通電極

Claims (12)

  1. 基板に平行方向の成分を有して磁場が加えられ、
    前記磁場は、磁束密度が10G以上100G以下となる領域を有し、
    ターゲットが結晶体または多結晶体であるマグネトロンスパッタ法を用いて、前記結晶体または前記多結晶体中の結晶をペレット状にしてプラズマ中を飛翔せしめて被形成面上に前記被形成面と平行または略平行に配列せしめて積層することを特徴とする酸化物の作製方法。
  2. 請求項1において、
    前記ペレット状の結晶はチャージアップしており、
    前記被形成面に対して、前記磁場が0.1Hz以上1kHz以下のビートで回転または移動していることにより、前記ペレット状の結晶を前記被形成面に配列せしめることを特徴とする酸化物の作製方法。
  3. 酸化物の作製方法であって、
    前記酸化物は、マグネトロンスパッタ法を用いて成膜され、
    前記マグネトロンスパッタ法は、第1のステップと、第2のステップとを有し、
    前記第1のステップおよび前記第2のステップにおいて、基板の上面に平行方向の成分を有する磁場が加えられ、
    前記マグネトロンスパッタ法において使用されるターゲットは、多結晶構造を有する領域を有し、
    前記ターゲットは、前記基板と向かい合って配置され、
    前記ターゲットは、結晶粒を有し、
    前記第1のステップにおいて、前記結晶粒は、ペレット状になって、プラズマ中を飛翔し、
    前記第2のステップにおいて、前記ペレット状の結晶粒は、前記基板の上面に、前記上面と平行または略平行に配列するように積層されることを特徴とする酸化物の作製方法。
  4. スパッタリング装置を用いた酸化物の作製方法であって、
    第1のステップと、第2のステップと、第3のステップと、を有し、
    前記スパッタリング装置は、ターゲットと、基板と、マグネットユニットと、を有し、
    前記ターゲットは、インジウムと、亜鉛と、元素M(元素Mはアルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズ)と、酸素と、を有し、
    前記ターゲットは、多結晶構造を有する領域を有し、
    前記ターゲットは、前記基板と向かい合って配置され、
    前記マグネットユニットは、前記ターゲットの背面側に配置され、前記マグネットユニットは、前記ターゲット側にN極を有する第1のマグネットと、前記ターゲット側にS極を有する第2のマグネットと、台座と、を有し、
    前記第1のマグネットと前記第2のマグネットとの間に、磁場が形成されており、
    前記第1のステップは、前記基板と前記マグネットユニットとが、相対的に移動または回転するステップを有し、
    前記第1のステップは、前記ターゲットおよび前記基板間に電位差を与えることでプラズマを生成するステップを有し、
    前記第1のステップは、前記プラズマ中に生じたイオンを、前記ターゲットのおもて面側に衝突させることで、平板状酸化物を剥離させるステップを有し、
    前記平板状酸化物は、第1の層と、第2の層と、第3の層と、を有し、
    前記第1の層は、元素M、亜鉛および酸素を有し、
    前記第2の層は、インジウムおよび酸素を有し、
    前記第3の層は、元素M、亜鉛および酸素を有し、
    前記第2のステップは、前記平板状酸化物が、前記プラズマ中を通ることで負に帯電した後、結晶構造を維持したまま前記基板上面に近接するステップを有し、
    前記第3のステップは、前記磁場と、電流との作用により、前記平板状酸化物が、前記基板上面を移動してから堆積するステップを有し、
    前記電流は、前記基板から前記ターゲットに向けて流れることを特徴とする酸化物の作製方法。
  5. 請求項4において、
    前記基板の上面における水平磁場の磁束密度が10G以上100G以下であることを特徴とする酸化物の作製方法。
  6. 請求項4または請求項5において、
    前記マグネットユニットは、前記台座の中央を回転軸として回転しており、
    前記マグネットユニットの回転速度が0.1Hz以上1kHz以下であることを特徴とする酸化物の作製方法。
  7. 請求項4乃至請求項6のいずれか一において、
    前記平板状酸化物の側面にあるインジウム、元素Mまたは亜鉛と結合する酸素が負に帯電することを特徴とする酸化物の作製方法。
  8. 請求項4乃至請求項7のいずれか一において、
    前記負に帯電した酸素同士を互いに反発させることで、前記平板状酸化物の形状を維持することを特徴とする酸化物の作製方法。
  9. 請求項4乃至請求項8のいずれか一において、
    前記平板状酸化物は、前記基板上面を移動し、側面が既に堆積している前記平板状酸化物の側面と結合した後で前記基板上面に固着することを特徴とする酸化物の作製方法。
  10. 請求項4乃至請求項9のいずれか一において、
    前記平板状酸化物は、前記基板上面に堆積する際、前記基板上面の法線ベクトルとc軸との為す角が、−30°以上30°以下となることを特徴とする酸化物の作製方法。
  11. 請求項4乃至請求項10のいずれか一において、
    前記ターゲットに含まれる結晶性酸化物の組成式がInMO(ZnO)(mは自然数。)であることを特徴とする酸化物の作製方法。
  12. 請求項4乃至請求項11のいずれか一において、
    前記イオンが、酸素の陽イオンであることを特徴とする酸化物の作製方法。
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