JP6965389B2 - トランジスタの作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、酸化物、トランジスタおよび半導体装置、ならびにそれらの製造方法
に関する。または、本発明は、例えば、酸化物、表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装
置、記憶装置、プロセッサ、電子機器に関する。または、酸化物、表示装置、液晶表示装
置、発光装置、記憶装置、電子機器の製造方法に関する。または、半導体装置、表示装置
、液晶表示装置、発光装置、記憶装置、電子機器の駆動方法に関する。
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明
の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・
オブ・マター)に関するものである。
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指す。表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、半導体回路および電子機器
は、半導体装置を有する場合がある。
絶縁表面を有する基板上の半導体を用いて、トランジスタを構成する技術が注目されてい
る。当該トランジスタは集積回路や表示装置のような半導体装置に広く応用されている。
トランジスタに適用可能な半導体としてシリコンが知られている。
トランジスタの半導体に用いられるシリコンは、用途によって非晶質シリコンと多結晶シ
リコンとが使い分けられている。例えば、大型の表示装置を構成するトランジスタに適用
する場合、大面積基板への成膜技術が確立されている非晶質シリコンを用いると好適であ
る。一方、駆動回路と画素回路とを同一基板上に形成するような高機能の表示装置を構成
するトランジスタに適用する場合、高い電界効果移動度を有するトランジスタを作製可能
な多結晶シリコンを用いると好適である。多結晶シリコンは、非晶質シリコンに対し高温
での熱処理、またはレーザ光処理を行うことで形成する方法が知られる。
近年は、非晶質酸化物半導体、および微結晶を有する非晶質酸化物半導体を用いたトラン
ジスタが開示されている(特許文献1参照。)。酸化物半導体は、スパッタリング法など
を用いて成膜できるため、大型の表示装置を構成するトランジスタの半導体に用いること
ができる。また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、高い電界効果移動度を有するた
め、駆動回路と画素回路とを同一基板上に形成するような高機能の表示装置を実現できる
。また、非晶質シリコンを用いたトランジスタの生産設備の一部を改良して利用すること
が可能であるため、設備投資を抑えられるメリットもある。
なお、1985年には、結晶In−Ga−Zn酸化物の合成が報告されている(非特許文
献1参照。)。また、1995年には、In−Ga−Zn酸化物がホモロガス構造をとり
、InGaO(ZnO)(mは自然数。)という組成式で記述されることが報告され
ている(非特許文献2参照。)。
また、2014年には、非晶質In−Ga−Zn酸化物を用いたトランジスタと比べ、優
れた電気特性および信頼性を有する、結晶性In−Ga−Zn酸化物を用いたトランジス
タについて報告されている(非特許文献3および非特許文献4参照。)。ここでは、CA
AC−OS(C−Axis Aligned Crystalline Oxide S
emiconductor)を有するIn−Ga−Zn酸化物は、結晶粒界が明確に確認
されないことが報告されている。
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小
さいことが知られている。例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が低
いという特性を応用した低消費電力のCPUなどが開示されている(特許文献2参照。)
。また、酸化物半導体からなる活性層で井戸型ポテンシャルを構成することにより、高い
電界効果移動度を有するトランジスタが得られることが開示されている(特許文献3参照
。)。
特開2006−165528号公報 特開2012−257187号公報 特開2012−59860号公報
N. Kimizuka, and T. Mohri: Journal of Solid State Chemistry 1985 vol.60 pp.382−384 N. Kimizuka, M. Isobe, and M. Nakamura: Journal of Solid State Chemistry 1995 vol.116 p170−p178 S. Yamazaki, H. Suzawa, K. Inoue, K. Kato, T. Hirohashi, K. Okazaki, and N. Kimizuka: Japanese Journal of Applied Physics 2014 vol.53 04ED18 S. Yamazaki, T. Hirohashi, M. Takahashi, S. Adachi, M. Tsubuku, J. Koezuka, K. Okazaki, Y. Kanzaki, H. Matsukizono, S. Kaneko, S. Mori, and T. Matsuo: Journal of the Society for Information Display 8 April 2014 211
トランジスタの半導体などに適用可能な、酸化物を作製する方法を提供することを課題の
一とする。特に、結晶粒界などの欠陥の少ない酸化物を作製する方法を提供することを課
題の一とする。
または、酸化物を半導体に用いた半導体装置を提供することを課題の一とする。または、
酸化物を半導体に用いた半導体装置を有するモジュールを提供することを課題の一とする
。または、酸化物を半導体に用いた半導体装置、または酸化物を半導体に用いた半導体装
置を有するモジュールを有する電子機器を提供することを課題の一とする。
電気特性の良好なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、電気特性の安
定したトランジスタを提供することを課題の一とする。または、高い周波数特性を有する
トランジスタを提供することを課題の一とする。または、オフ時の電流の小さいトランジ
スタを提供することを課題の一とする。または、該トランジスタを有する半導体装置を提
供することを課題の一とする。または、該半導体装置を有するモジュールを提供すること
を課題の一とする。または、該半導体装置、または該モジュールを有する電子機器を提供
することを課題の一とする。または、新規な半導体装置を提供することを課題の一とする
。または、新規なモジュールを提供することを課題の一とする。または、新規な電子機器
を提供することを課題の一とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
(1)本発明の一態様は、基板に平行方向の成分を有して磁場が加えられ、磁場は、磁束
密度が10G以上100G以下となる領域を有し、ターゲットが結晶体または多結晶体で
あるマグネトロンスパッタ法を用いて、結晶体または多結晶体中の結晶をペレット状にし
てプラズマ中を飛翔せしめて被形成面上に被形成面と平行または略平行に配列せしめて積
層する酸化物の作製方法である。
(2)または、本発明の一態様は、(1)において、ペレット状の結晶はチャージアップ
しており、被形成面に対して、磁場が0.1Hz以上1kHz以下のビートで回転または
移動していることにより、ペレット状の結晶を被形成面に配列せしめる酸化物の作製方法
である。
(3)または、本発明の一態様は、酸化物の作製方法であって、酸化物は、マグネトロン
スパッタ法を用いて成膜され、マグネトロンスパッタ法は、第1のステップと、第2のス
テップとを有し、第1のステップおよび第2のステップにおいて、基板の上面に平行方向
の成分を有する磁場が加えられ、マグネトロンスパッタ法において使用されるターゲット
は、多結晶構造を有する領域を有し、ターゲットは、基板と向かい合って配置され、ター
ゲットは、結晶粒を有し、第1のステップにおいて、結晶粒の一部は、ペレット状になっ
て、プラズマ中を飛翔し、第2のステップにおいて、ペレット状の結晶粒の一部は、基板
の上面に、上面と平行または略平行に配列するように積層される酸化物の作製方法である
(4)または、本発明の一態様は、スパッタリング装置を用いた酸化物の作製方法であっ
て、第1のステップと、第2のステップと、第3のステップと、を有し、スパッタリング
装置は、ターゲットと、基板と、マグネットユニットと、を有し、ターゲットは、インジ
ウムと、亜鉛と、元素M(元素Mはアルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズ)
と、酸素と、を有し、ターゲットは、多結晶構造を有する領域を有し、ターゲットは、基
板と向かい合って配置され、マグネットユニットは、ターゲットの背面側に配置され、マ
グネットユニットは、ターゲット側にN極を有する第1のマグネットと、ターゲット側に
S極を有する第2のマグネットと、台座と、を有し、第1のマグネットと第2のマグネッ
トとの間に、磁場が形成されており、第1のステップは、基板とマグネットユニットとが
、相対的に移動または回転するステップを有し、第1のステップは、ターゲットおよび基
板間に電位差を与えることでプラズマを生成するステップを有し、第1のステップは、プ
ラズマ中に生じたイオンを、ターゲットのおもて面側に衝突させることで、平板状酸化物
を剥離させるステップを有し、平板状酸化物は、第1の層と、第2の層と、第3の層と、
を有し、第1の層は、元素M、亜鉛および酸素を有し、第2の層は、インジウムおよび酸
素を有し、第3の層は、元素M、亜鉛および酸素を有し、第2のステップは、平板状酸化
物が、プラズマ中を通ることで負に帯電した後、結晶構造を維持したまま基板上面に近接
するステップを有し、第3のステップは、磁場と電流との作用により、平板状酸化物が、
基板上面を移動してから堆積するステップを有し、電流は基板からターゲットに向けて流
れる酸化物の作製方法である。
(5)または、本発明の一態様は、(4)において、基板の上面における水平磁場の磁束
密度が10G以上100G以下である酸化物の作製方法である。
(6)または、本発明の一態様は、(4)または(5)において、マグネットユニットは
、台座の中央を回転軸として回転しており、マグネットユニットの回転速度が0.1Hz
以上1kHz以下である酸化物の作製方法である。
(7)または、本発明の一態様は、(4)乃至(6)のいずれか一において、平板状酸化
物の側面にあるインジウム、元素Mまたは亜鉛と結合する酸素が負に帯電する酸化物の作
製方法である。
(8)または、本発明の一態様は、(4)乃至(7)のいずれか一において、負に帯電し
た酸素同士を互いに反発させることで、平板状酸化物の形状を維持する酸化物の作製方法
である。
(9)または、本発明の一態様は、(4)乃至(8)のいずれか一において、平板状酸化
物は、基板上面を移動し、側面が既に堆積している平板状酸化物の側面と結合した後で基
板上面に固着する酸化物の作製方法である。
(10)または、本発明の一態様は、(4)乃至(9)のいずれか一において、平板状酸
化物は、基板上面に堆積する際、基板上面の法線ベクトルとc軸との為す角が、−30°
以上30°以下となる酸化物の作製方法である。
(11)または、本発明の一態様は、(4)乃至(10)のいずれか一において、ターゲ
ットに含まれる結晶性酸化物の組成式がInMO(ZnO)(mは自然数。)である
酸化物の作製方法である。
(12)または、本発明の一態様は、(4)乃至(11)のいずれか一において、イオン
が、酸素の陽イオンである酸化物の作製方法である。
トランジスタの半導体などに適用可能な、酸化物を作製する方法を提供することができる
。特に、結晶粒界などの欠陥の少ない酸化物を作製する方法を提供することができる。
または、酸化物を半導体に用いた半導体装置を提供することができる。または、酸化物を
半導体に用いた半導体装置を有するモジュールを提供することができる。または、酸化物
を半導体に用いた半導体装置、または酸化物を半導体に用いた半導体装置を有するモジュ
ールを有する電子機器を提供することができる。
電気特性の良好なトランジスタを提供することができる。または、電気特性の安定したト
ランジスタを提供することができる。または、高い周波数特性を有するトランジスタを提
供することができる。または、オフ時の電流の小さいトランジスタを提供することができ
る。または、該トランジスタを有する半導体装置を提供することができる。または、該半
導体装置を有するモジュールを提供することができる。または、該半導体装置、または該
モジュールを有する電子機器を提供することができる。または、新規な半導体装置を提供
することができる。または、新規なモジュールを提供することができる。または、新規な
電子機器を提供することができる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、
図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項な
どの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
成膜室の一例を示す断面図、およびマグネットユニットの一例を示す上面図。 成膜室の一例を示す断面図、およびマグネットユニットの一例を示す上面図。 CAAC−OSの成膜モデルを説明する模式図、およびペレットを示す図。 ペレットを説明する図。 被形成面においてペレットに加わる力を説明する図。 被形成面におけるペレットの動きを説明する図。 InGaZnOの結晶を説明する図。 In−M−Zn酸化物の組成を説明する三角図。 成膜装置の一例を示す上面図。 成膜装置の構成の一例を示す図。 本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。 本発明の一態様に係るトランジスタを示す断面図。 本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。 本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。 本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。 本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。 本発明の一態様に係るトランジスタを示す断面図。 本発明の一態様に係る半導体装置の回路図。 本発明の一態様に係る記憶装置の回路図。 本発明の一態様に係るCPUを示すブロック図。 本発明の一態様に係る記憶素子の回路図。 本発明の一態様に係る表示装置の上面図および回路図。 本発明の一態様に係る電子機器を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のTEM像および電子回折パターンを示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のTEM像および電子回折パターンを示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物の電子回折パターンを示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物の電子回折パターンを示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のXRD装置による解析結果を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のXRD装置による解析結果を示す図。 CAAC−OSの成膜モデルを説明する模式図。 In−Ga−Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。 In−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図。 In−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図、および電子照射による結晶部の変化を示す図。 In−Ga−Zn酸化物の水素濃度の深さ方向におけるプロファイル。 In−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図、および電子回折パターンを示す図。 In−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図、および電子回折パターンを示す図。 In−Ga−Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図、およびTEM像を示す図。 In−Ga−Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図、およびTEM像を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のTEM像を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物のADF−STEM像および各元素マッピングを示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物を用いたトランジスタの電気特性を示す図。 PLD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物を用いたトランジスタの電気特性を示す図。
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説
明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に
理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるもの
ではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異
なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じく
し、特に符号を付さない場合がある。
なお、図において、大きさ、膜(層)の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されて
いる場合がある。
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)
との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜的に用いるものであり、工程順または積層
順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」な
どと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書などに記載されている序数詞
と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」とし
ての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳密
に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」と
言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導体
」と言い換えることができる場合がある。
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」とし
ての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳密
に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」と
言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導体
」と言い換えることができる場合がある。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度
が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導
体にDOS(Density of State)が形成されることや、キャリア移動度
が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導
体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族
元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、
水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素
などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形
成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純
物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15
族元素などがある。
なお、本明細書において、Aが濃度Bの領域を有する、と記載する場合、例えば、Aのあ
る領域における深さ方向全体の濃度がBである場合、Aのある領域における深さ方向の濃
度の平均値がBである場合、Aのある領域における深さ方向の濃度の中央値がBである場
合、Aのある領域における深さ方向の濃度の最大値がBである場合、Aのある領域におけ
る深さ方向の濃度の最小値がBである場合、Aのある領域における深さ方向の濃度の収束
値がBである場合、測定上Aそのものの確からしい値の得られる領域における濃度がBで
ある場合などを含む。
また、本明細書において、Aが大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bの領域を有
する、と記載する場合、例えば、Aのある領域における全体の大きさ、長さ、厚さ、幅、
または距離がBである場合、Aのある領域における大きさ、長さ、厚さ、幅、または距離
の平均値がBである場合、Aのある領域における大きさ、長さ、厚さ、幅、または距離の
中央値がBである場合、Aのある領域における大きさ、長さ、厚さ、幅、または距離の最
大値がBである場合、Aのある領域における大きさ、長さ、厚さ、幅、または距離の最小
値がBである場合、Aのある領域における大きさ、長さ、厚さ、幅、または距離の収束値
がBである場合、測定上Aそのものの確からしい値の得られる領域での大きさ、長さ、厚
さ、幅、または距離がBである場合などを含む。
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラン
ジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重な
る領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電
極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つの
トランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一
つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細
書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、
最小値または平均値とする。
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で
電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領
域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのト
ランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一
つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細
書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、
最小値または平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネ
ル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示される
チャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、
立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図
において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる
場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の上面に
形成されるチャネル領域の割合に対して、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合
が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よ
りも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測
による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積
もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状
が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが互いに
重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上
のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channe
l Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した
場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、
本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合があ
る。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い
込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによ
って、値を決定することができる。
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求め
る場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャ
ネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
なお、本明細書において、AがBより迫り出した形状を有すると記載する場合、上面図ま
たは断面図において、Aの少なくとも一端が、Bの少なくとも一端よりも外側にある形状
を有することを示す場合がある。したがって、AがBより迫り出した形状を有すると記載
されている場合、例えば上面図において、Aの一端が、Bの一端よりも外側にある形状を
有すると読み替えることができる。
<スパッタリング装置>
以下では、本発明の一態様に係るスパッタリング装置と、該スパッタリング装置を用いて
結晶性を有する酸化物を成膜する方法について説明する。
図1(A)は、スパッタリング装置である成膜室101の断面図である。図1(A)に示
す成膜室101は、ターゲットホルダ120と、バッキングプレート110と、ターゲッ
ト100と、マグネットユニット130と、基板ホルダ170と、を有する。なお、ター
ゲット100は、バッキングプレート110上に配置される。また、バッキングプレート
110は、ターゲットホルダ120上に配置される。また、マグネットユニット130は
、バッキングプレート110を介してターゲット100下に配置される。また、基板ホル
ダ170は、ターゲット100と向かい合って配置される。なお、本明細書では、複数の
マグネット(磁石)を組み合わせたものをマグネットユニットと呼ぶ。マグネットユニッ
トは、カソード、カソードマグネット、磁気部材、磁気部品などと呼びかえることができ
る。マグネットユニット130は、マグネット130Nと、マグネット130Sと、マグ
ネットホルダ132と、を有する。なお、マグネットユニット130において、マグネッ
ト130Nおよびマグネット130Sは、マグネットホルダ132上に配置される。また
、マグネット130Nは、マグネット130Sと間隔を開けて配置される。なお、成膜室
101に基板160を搬入する場合、基板160は基板ホルダ170上に配置される。
ターゲットホルダ120とバッキングプレート110とは、ネジ(ボルトなど)を用いて
固定されており、等電位となる。また、ターゲットホルダ120は、バッキングプレート
110を介してターゲット100を支持する機能を有する。
バッキングプレート110は、ターゲット100を固定する機能を有する。
図1(A)に、マグネットユニット130によって形成される磁力線180aおよび磁力
線180bを示す。
磁力線180aは、ターゲット100の上面近傍における水平磁場を形成する磁力線の一
つである。ターゲット100の上面近傍は、例えば、ターゲット100の上面からの垂直
距離が0mm以上10mm以下、特に0mm以上5mm以下の領域である。なお、ターゲ
ットの上面は、スパッタされる面を指す。例えば、ターゲットの向きに応じて、下面、側
面、正面または被処理面などと呼びかえることができる。
磁力線180bは、マグネットユニット130の上面から、垂直距離dの位置に水平磁場
を形成する磁力線の一つである。垂直距離dは、例えば、0mm以上20mm以下または
5mm以上15mm以下である。なお、マグネットユニットの上面は、マグネットユニッ
トのターゲット側の面を指す。例えば、マグネットユニットの向きに応じて、下面、側面
または正面などと呼びかえることができる。
このとき、強力なマグネット130Nおよび強力なマグネット130Sを用いることで、
基板160の上面近傍においても強い磁場を発生させることができる。具体的には、基板
160の上面における水平磁場の磁束密度を10G以上100G以下、好ましくは15G
以上60G以下、さらに好ましくは20G以上40G以下とすることができる。基板16
0の上面における水平磁場の磁束密度を上述の範囲とすることにより、後述する成膜モデ
ルを実現することができる。なお、基板の上面は、成膜される面を指す。例えば、基板の
向きに応じて、下面、側面、正面または被形成面などと呼びかえることができる。
なお、水平磁場の磁束密度の測定は、垂直磁場の磁束密度が0Gのときの値を測定すれば
よい。
成膜室101における磁場の磁束密度を上述の範囲とすることで、密度が高く、結晶性の
高い酸化物を成膜することができる。また、得られる酸化物は、複数種の結晶相を含むこ
とが少なく、ほとんど単一の結晶相を含む酸化物となる。
図1(B)に、マグネットユニット130の上面図を示す。マグネットユニット130は
、円形または略円形のマグネット130Nと、円形または略円形のマグネット130Sと
、がマグネットホルダ132に固定されていることわかる。そして、マグネットユニット
130を、マグネットユニット130の上面における中央または略中央の法線ベクトルを
回転軸として回転させることができる。例えば、マグネットユニット130を、0.1H
z以上1kHz以下のビート(リズム、拍子、パルス、周波、周期またはサイクルなどと
言い換えてもよい。)で回転させればよい。
したがって、ターゲット100上の磁場の強い領域は、マグネットユニット130の回転
とともに変化する。磁場の強い領域は高密度プラズマ領域となるため、その近傍において
ターゲット100のスパッタリング現象が起こりやすい。例えば、磁場の強い領域が特定
の箇所となる場合、ターゲット100の特定の領域のみが使用されることになる。一方、
図1(B)に示すようにマグネットユニット130を回転させることで、ターゲット10
0を均一に使用することができる。また、マグネットユニット130を回転させることに
よって、均一な厚さ、質を有する膜を成膜することができる。
また、マグネットユニット130を回転させることにより、基板160の上面における磁
力線の向きも変化させることができる。
なお、ここではマグネットユニット130を回転させる例を示したが、本発明の一態様は
これに限定されるものではない。例えば、マグネットユニット130を上下または/およ
び左右に揺動させても構わない。例えば、マグネットユニット130を、0.1Hz以上
1kHz以下のビートで移動させればよい。または、ターゲット100を回転または移動
させても構わない。例えば、ターゲット100を、0.1Hz以上1kHz以下のビート
で回転または移動させればよい。または、基板160を回転させることで、相対的に基板
160の上面における磁力線の向きを変化させても構わない。または、これらを組み合わ
せても構わない。
成膜室101は、バッキングプレート110の内部または下部などに水路を有してもよい
。そして、水路に流体(空気、窒素、希ガス、水、オイルなど)を流すことで、スパッタ
時にターゲット100の温度の上昇による放電異常や、部材の変形による成膜室101の
損傷などを抑制することができる。このとき、バッキングプレート110とターゲット1
00とをボンディング材を介して密着させると、冷却性能が高まるため好ましい。
なお、ターゲットホルダ120とバッキングプレート110との間にガスケットを有する
と、成膜室101内に外部や水路などから不純物が混入しにくくなるため好ましい。
マグネットユニット130において、マグネット130Nとマグネット130Sとは、そ
れぞれターゲット100側に異なる極を向けて配置されている。ここでは、マグネット1
30Nをターゲット100側がN極となるように配置し、マグネット130Sをターゲッ
ト100側がS極となるように配置する場合について説明する。ただし、マグネットユニ
ット130におけるマグネットおよび極の配置は、この配置に限定されるものではない。
また、図1(A)の配置に限定されるものでもない。
成膜時、ターゲットホルダ120に接続する端子V1に印加される電位V1は、例えば、
基板ホルダ170に接続する端子V2に印加される電位V2よりも低い電位である。また
、基板ホルダ170に接続する端子V2に印加される電位V2は、例えば、接地電位であ
る。また、マグネットホルダ132に接続する端子V3に印加される電位V3は、例えば
、接地電位である。なお、端子V1、端子V2および端子V3に印加される電位は上記の
電位に限定されない。また、ターゲットホルダ120、基板ホルダ170、マグネットホ
ルダ132の全てに電位が印加されなくても構わない。例えば、基板ホルダ170が電気
的に浮いていても構わない。なお、図1(A)では、ターゲットホルダ120に接続する
端子V1に電位V1を印加する、いわゆるDCスパッタリング法の例を示したが、本発明
の一態様は、これに限定されない。例えば、ターゲットホルダ120に、周波数が13.
56MHzまたは27.12MHzなどの高周波電源を接続する、いわゆるRFスパッタ
リング法を用いても構わない。
また、図1(A)では、バッキングプレート110およびターゲットホルダ120と、マ
グネットユニット130およびマグネットホルダ132と、は電気的に接続されない例を
示したが、これに限定されない。例えば、バッキングプレート110およびターゲットホ
ルダ120と、マグネットユニット130およびマグネットホルダ132と、が電気的に
接続されており、等電位となっていても構わない。
また、得られる酸化物の結晶性をさらに高めるために、基板160の温度を高くしても構
わない。基板160の温度を高くすることで、基板160の上面におけるスパッタ粒子の
マイグレーションを助長させることができる。したがって、より密度が高く、より結晶性
の高い酸化物を成膜することができる。なお、基板160の温度は、例えば、100℃以
上450℃以下、好ましくは150℃以上400℃以下、さらに好ましくは170℃以上
350℃以下とすればよい。
また、成膜ガス中の酸素分圧が高すぎると、複数種の結晶相を含む酸化物が成膜されやす
いため、成膜ガスはアルゴンなどの希ガス(ほかにヘリウム、ネオン、クリプトン、キセ
ノンなど)と酸素との混合ガスを用いると好ましい。例えば、全体に占める酸素の割合を
50体積%未満、好ましくは33体積%以下、さらに好ましくは20体積%以下、より好
ましくは15体積%以下とすればよい。
また、ターゲット100と基板160との垂直距離を、10mm以上600mm以下、好
ましくは20mm以上400mm以下、さらに好ましくは30mm以上200mm以下、
より好ましくは40mm以上100mm以下とする。ターゲット100と基板160との
垂直距離を上述の範囲まで近くすることで、スパッタ粒子が、基板160に到達するまで
の間におけるエネルギーの低下を抑制できる場合がある。また、ターゲット100と基板
160との垂直距離を上述の範囲まで遠くすることで、スパッタ粒子の基板160への入
射方向を垂直に近づけることができるため、スパッタ粒子の衝突による基板160へのダ
メージを小さくすることができる場合がある。
図2(A)に、図1(A)とは異なる成膜室の例を示す。
図2(A)に示す成膜室101は、ターゲットホルダ120aと、ターゲットホルダ12
0bと、バッキングプレート110aと、バッキングプレート110bと、ターゲット1
00aと、ターゲット100bと、マグネットユニット130aと、マグネットユニット
130bと、部材140と、基板ホルダ170と、を有する。なお、ターゲット100a
は、バッキングプレート110a上に配置される。また、バッキングプレート110aは
、ターゲットホルダ120a上に配置される。また、マグネットユニット130aは、バ
ッキングプレート110aを介してターゲット100a下に配置される。また、ターゲッ
ト100bは、バッキングプレート110b上に配置される。また、バッキングプレート
110bは、ターゲットホルダ120b上に配置される。また、マグネットユニット13
0bは、バッキングプレート110bを介してターゲット100b下に配置される。
マグネットユニット130aは、マグネット130N1と、マグネット130N2と、マ
グネット130Sと、マグネットホルダ132と、を有する。なお、マグネットユニット
130aにおいて、マグネット130N1、マグネット130N2およびマグネット13
0Sは、マグネットホルダ132上に配置される。また、マグネット130N1およびマ
グネット130N2は、マグネット130Sと間隔を開けて配置される。なお、マグネッ
トユニット130bは、マグネットユニット130aと同様の構造を有する。なお、成膜
室101に基板160を搬入する場合、基板160は基板ホルダ170上に配置される。
ターゲット100a、バッキングプレート110aおよびターゲットホルダ120aと、
ターゲット100b、バッキングプレート110bおよびターゲットホルダ120bと、
は部材140によって離間されている。なお、部材140は絶縁体であることが好ましい
。ただし、部材140が導電体または半導体であっても構わない。また、部材140が、
導電体または半導体の表面を絶縁体で覆ったものであっても構わない。
ターゲットホルダ120aとバッキングプレート110aとは、ネジ(ボルトなど)を用
いて固定されており、等電位となる。また、ターゲットホルダ120aは、バッキングプ
レート110aを介してターゲット100aを支持する機能を有する。また、ターゲット
ホルダ120bとバッキングプレート110bとは、ネジ(ボルトなど)を用いて固定さ
れており、等電位となる。また、ターゲットホルダ120bは、バッキングプレート11
0bを介してターゲット100bを支持する機能を有する。
バッキングプレート110aは、ターゲット100aを固定する機能を有する。また、バ
ッキングプレート110bは、ターゲット100bを固定する機能を有する。
図2(A)に、マグネットユニット130aによって形成される磁力線180aおよび磁
力線180bを示す。
磁力線180aは、ターゲット100aの上面近傍における水平磁場を形成する磁力線の
一つである。ターゲット100aの上面近傍は、例えば、ターゲット100aの上面から
の垂直距離が0mm以上10mm以下、特に0mm以上5mm以下の領域である。
磁力線180bは、マグネットユニット130aの上面から、垂直距離dの位置に水平磁
場を形成する磁力線の一つである。垂直距離dは、例えば、0mm以上20mm以下また
は5mm以上15mm以下である。
このとき、強力なマグネット130N1、マグネット130N2および強力なマグネット
130Sを用いることで、基板160の上面近傍においても強い磁場を発生させることが
できる。具体的には、基板160の上面における水平磁場の磁束密度を10G以上100
G以下、好ましくは15G以上60G以下、さらに好ましくは20G以上40G以下とす
ることができる。基板160の上面における水平磁場の磁束密度を上述の範囲とすること
により、後述する成膜モデルを実現することができる。
成膜室101における磁場の磁束密度を上述の範囲とすることで、密度が高く、結晶性の
高い酸化物を成膜することができる。また、得られる酸化物は、複数種の結晶相を含むこ
とが少なく、ほとんど単一の結晶相を含む酸化物となる。
なお、マグネットユニット130bもマグネットユニット130aと同様の磁力線が形成
される。
図2(B)に、マグネットユニット130aおよびマグネットユニット130bの上面図
を示す。マグネットユニット130aは、長方形または略長方形のマグネット130N1
と、長方形または略長方形のマグネット130N2と、長方形または略長方形のマグネッ
ト130Sと、がマグネットホルダ132に固定されていることわかる。そして、マグネ
ットユニット130aを、図2(B)に示す左右に揺動させることができる。例えば、マ
グネットユニット130aを、0.1Hz以上1kHz以下のビートで揺動させればよい
したがって、ターゲット100a上の磁場の強い領域は、マグネットユニット130aの
揺動とともに変化する。磁場の強い領域は高密度プラズマ領域となるため、その近傍にお
いてターゲット100aのスパッタリング現象が起こりやすい。例えば、磁場の強い領域
が特定の箇所となる場合、ターゲット100aの特定の領域のみが使用されることになる
。一方、図2(B)に示すようにマグネットユニット130aを揺動させることで、ター
ゲット100aを均一に使用することができる。また、マグネットユニット130aを揺
動させることによって、均一な厚さ、質を有する膜を成膜することができる。
また、マグネットユニット130aを揺動させることにより、基板160の上面における
磁力線の状態も変化させることができる。これは、マグネットユニット130bにおいて
も同様である。
なお、ここではマグネットユニット130aおよびマグネットユニット130bを揺動さ
せる例を示したが、本発明の一態様はこれに限定されるものではない。例えば、マグネッ
トユニット130aおよびマグネットユニット130bを回転させても構わない。例えば
、マグネットユニット130aおよびマグネットユニット130bを、0.1Hz以上1
kHz以下のビートで回転させればよい。または、ターゲット100を回転または移動さ
せても構わない。例えば、ターゲット100を、0.1Hz以上1kHz以下のビートで
回転または移動させればよい。または、基板160を回転させることで、相対的に基板1
60の上面における磁力線の状態を変化させることができる。または、これらを組み合わ
せても構わない。
成膜室101は、バッキングプレート110aおよびバッキングプレート110bの内部
または下部などに水路を有してもよい。そして、水路に流体(空気、窒素、希ガス、水、
オイルなど)を流すことで、スパッタ時にターゲット100aおよびターゲット100b
の温度の上昇による放電異常や、部材の変形による成膜室101の損傷などを抑制するこ
とができる。このとき、バッキングプレート110aとターゲット100aとをボンディ
ング材を介して密着させると、冷却性能が高まるため好ましい。また、バッキングプレー
ト110bとターゲット100bとをボンディング材を介して密着させると、冷却性能が
高まるため好ましい。
なお、ターゲットホルダ120aとバッキングプレート110aとの間にガスケットを有
すると、成膜室101内に外部や水路などから不純物が混入しにくくなるため好ましい。
また、ターゲットホルダ120bとバッキングプレート110bとの間にガスケットを有
すると、成膜室101内に外部や水路などから不純物が混入しにくくなるため好ましい。
マグネットユニット130aにおいて、マグネット130N1およびマグネット130N
2とマグネット130Sとはそれぞれターゲット100a側に異なる極を向けて配置され
ている。ここでは、マグネット130N1およびマグネット130N2をターゲット10
0a側がN極となるように配置し、マグネット130Sをターゲット100a側がS極と
なるように配置する場合について説明する。ただし、マグネットユニット130aにおけ
るマグネットおよび極の配置は、この配置に限定されるものではない。また、図2(A)
の配置に限定されるものでもない。これは、マグネットユニット103bについても同様
である。
成膜時、ターゲットホルダ120aに接続する端子V1と、ターゲットホルダ120bに
接続する端子V4と、の間で、交互に電位の高低が入れ替わる電位を印加すればよい。ま
た、基板ホルダ170に接続する端子V2に印加される電位V2は、例えば、接地電位で
ある。また、マグネットホルダ132に接続する端子V3に印加される電位V3は、例え
ば、接地電位である。なお、端子V1、端子V2、端子V3および端子V4に印加される
電位は上記の電位に限定されない。また、ターゲットホルダ120a、ターゲットホルダ
120b、基板ホルダ170、マグネットホルダ132の全てに電位が印加されなくても
構わない。例えば、基板ホルダ170が電気的に浮いていても構わない。なお、図2(A
)では、ターゲットホルダ120aに接続する端子V1と、ターゲットホルダ120bに
接続する端子V4と、の間で、交互に電位の高低が入れ替わる電位を印加する、いわゆる
ACスパッタリング法の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。
また、図2(A)では、バッキングプレート110aおよびターゲットホルダ120aと
、マグネットユニット130aおよびマグネットホルダ132と、は電気的に接続されな
い例を示したが、これに限定されない。例えば、バッキングプレート110aおよびター
ゲットホルダ120aと、マグネットユニット130aおよびマグネットホルダ132と
、が電気的に接続されており、等電位となっていても構わない。また、バッキングプレー
ト110bおよびターゲットホルダ120bと、マグネットユニット130bおよびマグ
ネットホルダ132と、は電気的に接続されない例を示したが、これに限定されない。例
えば、バッキングプレート110bおよびターゲットホルダ120bと、マグネットユニ
ット130bおよびマグネットホルダ132と、が電気的に接続されており、等電位とな
っていても構わない。
また、得られる酸化物の結晶性をさらに高めるために、基板160の温度を高くしても構
わない。基板160の温度を高くすることで、基板160の上面におけるスパッタ粒子の
マイグレーションを助長させることができる。したがって、より密度が高く、より結晶性
の高い酸化物を成膜することができる。なお、基板160の温度は、例えば、100℃以
上450℃以下、好ましくは150℃以上400℃以下、さらに好ましくは170℃以上
350℃以下とすればよい。
また、成膜ガス中の酸素分圧が高すぎると、複数種の結晶相を含む酸化物が成膜されやす
いため、成膜ガスはアルゴンなどの希ガス(ほかにヘリウム、ネオン、クリプトン、キセ
ノンなど)と酸素との混合ガスを用いると好ましい。例えば、全体に占める酸素の割合を
50体積%未満、好ましくは33体積%以下、さらに好ましくは20体積%以下、より好
ましくは15体積%以下とすればよい。
また、ターゲット100aと基板160との垂直距離を、10mm以上600mm以下、
好ましくは20mm以上400mm以下、さらに好ましくは30mm以上200mm以下
、より好ましくは40mm以上100mm以下とする。ターゲット100aと基板160
との垂直距離を上述の範囲まで近くすることで、スパッタ粒子が、基板160に到達する
までの間におけるエネルギーの低下を抑制できる場合がある。また、ターゲット100a
と基板160との垂直距離を上述の範囲まで遠くすることで、スパッタ粒子の基板160
への入射方向を垂直に近づけることができるため、スパッタ粒子の衝突による基板160
へのダメージを小さくすることができる場合がある。
また、ターゲット100bと基板160との垂直距離を、10mm以上600mm以下、
好ましくは20mm以上400mm以下、さらに好ましくは30mm以上200mm以下
、より好ましくは40mm以上100mm以下とする。ターゲット100bと基板160
との垂直距離を上述の範囲まで近くすることで、スパッタ粒子が、基板160に到達する
までの間におけるエネルギーの低下を抑制できる場合がある。また、ターゲット100b
と基板160との垂直距離を上述の範囲まで遠くすることで、スパッタ粒子の基板160
への入射方向を垂直に近づけることができるため、スパッタ粒子の衝突による基板160
へのダメージを小さくすることができる場合がある。
<酸化物>
以下では本発明の一態様に係る酸化物について説明する。
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。なお、酸化物半導体とは、半導体の性
質を有する酸化物をいう。
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で
配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、
「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をい
う。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている
状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」と
は、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す
酸化物半導体は、非単結晶酸化物半導体と単結晶酸化物半導体とに大別される。非単結晶
酸化物半導体とは、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質
酸化物半導体などをいう。
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micro
scope)によって、CAAC−OSの明視野像および回折パターンの複合解析像(高
分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一
方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウ
ンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OSは、結晶粒
界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
試料面と略平行な方向から、CAAC−OSの断面の高分解能TEM像を観察すると、結
晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、C
AAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状
であり、CAAC−OSの被形成面または上面と平行に配列する。
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC−OSの平面の高分解能TEM像を観察する
と、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認でき
る。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
CAAC−OSに対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置
を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnOの結晶を有するCAAC−OSのo
ut−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れ
る場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(0 0 9)面に帰属される
ことから、CAAC−OSの結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂
直な方向を向いていることが確認できる。
なお、InGaZnOの結晶を有するCAAC−OSのout−of−plane法に
よる解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる
場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS中の一部に、c軸配向性を有
さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OSは、2θが31°近傍にピーク
を示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OSは、不純物濃度の低い酸化物半導体である。不純物は、水素、炭素、シリ
コン、遷移金属元素などの酸化物半導体の主成分以外の元素である。特に、シリコンなど
の、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体
から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子
半径)が大きいため、酸化物半導体内部に含まれると、酸化物半導体の原子配列を乱し、
結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラ
ップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OSは、欠陥準位密度の低い酸化物半導体である。例えば、酸化物半導
体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリ
ア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または
実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は
、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当
該酸化物半導体を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノー
マリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真
性である酸化物半導体は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体を用
いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお
、酸化物半導体のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長
く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥
準位密度が高い酸化物半導体を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合があ
る。
また、CAAC−OSを用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の
変動が小さい。
次に、微結晶酸化物半導体について説明する。
微結晶酸化物半導体は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域
と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体に含
まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさで
あることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶
であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体を、nc−OS
(nanocrystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ
。また、nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない
場合がある。
nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3
nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なる結晶
部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したが
って、nc−OSは、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合が
ある。例えば、nc−OSに対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用
いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピー
クが検出されない。また、nc−OSに対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば5
0nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハロ
ーパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OSに対し、結晶部の大き
さと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、
スポットが観測される。また、nc−OSに対しナノビーム電子回折を行うと、円を描く
ように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OSに対し
ナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合があ
る。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS
は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAA
C−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
次に、非晶質酸化物半導体について説明する。
非晶質酸化物半導体は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化物
半導体である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体が一例である。
非晶質酸化物半導体は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
非晶質酸化物半導体に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out−of−pl
ane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半導
体に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導体
に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが観測さ
れる。
なお、酸化物半導体は、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の物性を示す構造を有す
る場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体を、特に非晶質ライク酸化物半導体
(a−like OS:amorphous−like Oxide Semicond
uctor)と呼ぶ。
a−like OSは、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察される
場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領
域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。a−like OSは、TE
Mによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見られる
場合がある。一方、良質なnc−OSであれば、TEMによる観察程度の微量な電子照射
による結晶化はほとんど見られない。
なお、a−like OSおよびnc−OSの結晶部の大きさの計測は、高分解能TEM
像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnOの結晶は層状構造を有し、In
−O層の間に、Ga−Zn−O層を2層有する。InGaZnOの結晶の単位格子は、
In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に
重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(0 0 9)面の
格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nm
と求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔
が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInG
aZnOの結晶のa−b面に対応する。
また、酸化物半導体は、構造ごとに密度が異なる場合がある。例えば、ある酸化物半導体
の組成がわかれば、該組成と同じ組成における単結晶の密度と比較することにより、その
酸化物半導体の構造を推定することができる。例えば、単結晶の密度に対し、a−lik
e OSの密度は78.6%以上92.3%未満となる。また、例えば、単結晶の密度に
対し、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は92.3%以上100%未満とな
る。なお、単結晶の密度に対し密度が78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自
体が困難である。
上記について、具体例を用いて説明する。例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子
数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO
密度は6.357g/cmとなる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[
原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm
以上5.9g/cm未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原
子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度
は5.9g/cm以上6.3g/cm未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる
単結晶を組み合わせることにより、所望の組成の単結晶に相当する密度を算出することが
できる。所望の組成の単結晶の密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して
、加重平均を用いて算出すればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を
組み合わせて算出することが好ましい。
<酸化物半導体の物性>
以下では、酸化物半導体の構造による物性の違いについて説明する。
試料A、試料Bおよび試料Cを準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である
まず、試料A乃至試料Cの高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像によ
り、試料A乃至試料Cは、いずれも結晶部を有することがわかる。
さらに、試料A乃至試料Cの結晶部の大きさを計測する。結晶部の大きさを計測する方法
については、酸化物半導体の構造に関する記載を参照する。図35は、試料A乃至試料C
の結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさの変化を調査した例である。図35よ
り、試料Aは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体
的には、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部が、累積
照射量が4.2×10/nmにおいては2.6nm程度の大きさまで成長してい
ることがわかる。一方、試料Bおよび試料Cは、電子照射開始時から電子の累積照射量が
4.2×10/nmになるまでの範囲で、電子の累積照射量によらず結晶部の大
きさに変化が見られないことがわかる。
したがって、上述した分類によれば、試料Aはa−like OSであることがわかる。
また、試料Bおよび試料Cは、a−like OSではないことがわかる。なお、試料B
は、高分解能断面TEM像より、nc−OSであることが判明している。また、試料Cは
、CAAC−OSであることが判明している。
また、図35に示す、試料A乃至試料Cの結晶部の大きさの変化を線形近似して、電子の
累積照射量0e/nmまで外挿すると、結晶部の平均の大きさが正の値をとることが
わかる。そのため、試料A乃至試料Cの結晶部が、TEMによる観察前から存在している
ことがわかる。試料A乃至試料Cの結晶部の大きさの変化などを表1に示す。
Figure 0006965389
図36に、試料Aおよび試料Bの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図36(A)は
電子照射開始時における試料Aの高分解能断面TEM像である。図36(B)は電子照射
後における試料Aの高分解能断面TEM像である。図36(C)は電子照射開始時におけ
る試料Bの高分解能断面TEM像である。図36(D)は電子照射後における試料Bの高
分解能断面TEM像である。なお、累積電子照射は4.3×10/nmとした。
図36(A)および図36(B)より、試料Aは電子照射開始時から、縦方向に延伸する
縞状の明領域が観察されることがわかる。また、明領域は、電子照射後に形状が変化する
ことがわかる。なお、明領域は、鬆(voidと表記する。)または低密度領域と推測さ
れる。一方、図36(C)および図36(D)より、試料Bは電子照射開始時および電子
照射後において明領域は観察されない。
次に、TEMで観察する領域において、試料Aの電子照射による結晶部の大きさの変化を
計測する。なお、図37(A)は計測する領域を説明する。明領域の近傍を領域Aと表記
する。また、明領域と別の明領域との間を領域Bと表記する。また、明領域の観察されな
い試料Aの下部を領域Cと表記する。
結果を図37(B)に示す。図37(B)より、領域Aがもっとも結晶部の大きさの変化
が大きく、次いで領域Bにおいて結晶部の大きさの変化が大きいことがわかる。また、領
域Cにおいては、結晶部の大きさは、電子照射開始時と電子照射後でほとんど変化しない
ことがわかる。領域Aおよび領域Bにおいて結晶部の大きさの変化が大きかったことは、
高分解能断面TEM像で観察される明領域に近いため、構造が不安定であったことに起因
する可能性がある。
次に、スパッタリング法によって成膜条件を様々に変更して成膜した酸化物(試料D、試
料E、試料F、試料G、試料H、試料Iおよび試料J)に対し、nc−OSおよびa−l
ike OSを判定した。ただし、CAAC−OSの成膜条件は含まない。ここでは、電
子照射による結晶部の大きさの変化だけでなく、密度および硬さについても評価している
。なお、密度の評価は、X線反射率(XRR:X−Ray Reflectivity)
法などにより行うことができる。また、硬さの評価は、HYSITRON社製薄膜硬度測
定装置TRIBOSCOPEを用いたナノインデンテーション法などにより行うことがで
きる。
また、高分解能断面TEM像の観察は、以下のステップによって行う。まず、直径400
nmの範囲を、電子線照射量5.5×10/(nms)で高分解能断面TEM像
を2分間観察する。次に、電子線照射量6.7×10/(nms)において、直
径230nmの範囲で10分間の電子照射を行う。次に、電子線照射量5.5×10
/(nms)において、直径400nmの範囲で2分間掛けて高分解能断面TEM像
を観察する。次に、電子線照射量6.7×10/(nms)において、直径23
0nmの範囲で8分間の電子照射を行う。最後に、電子線照射量5.5×10/(
nms)において、直径400nmの範囲で2分間掛けて高分解能断面TEM像を観察
する。以上のステップ中、高分解能断面TEM像において、結晶部の大きさに変化がある
場合、a−like OSと判定する。一方、以上のステップ中、高分解能断面TEM像
において、結晶部の大きさに変化がない場合、nc−OSと判定する。
成膜条件、および判定の結果を表2に示す。
Figure 0006965389
なお、試料Dは、他の試料と異なる装置を用いている。
表2より、a−like OSと判定された試料の密度は、5.05g/cmから5.
85g/cmであった。また、nc−OSと判定された試料の密度は、5.91g/c
から6.10g/cmであった。また、a−like OSと判定された試料の硬
さは、6.12GPaから7.61GPaであった。また、nc−OSと判定された試料
の硬さは、7.77GPaから7.85GPaであった。即ち、a−like OSと比
べて、nc−OSは高密度、かつ硬質であることがわかる。
次に、a−like OSとnc−OSとの性質を比較するため、新たに準備した試料K
および試料Lに対して二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion M
ass Spectrometry)による深さ方向における水素濃度プロファイルの測
定を行った。なお、試料Kは、a−like OSである。また、試料Lは、試料Kと同
じ条件で成膜したa−like OS上に、大気に暴露することなくnc−OSを成膜し
た積層構造である。
結果を図38に示す。図38(A)に試料Kの水素濃度プロファイルを示し、図38(B
)に試料Lの水素濃度プロファイルを示す。図38(A)においては、a−like O
S中の水素濃度が1×1022atoms/cmを超える領域を有することがわかる。
一方、図38(B)においては、a−like OS中の水素濃度が5×1020ato
ms/cmから2×1021atoms/cmとなる領域を有し、またnc−OS中
の水素濃度が5×1019atoms/cmから7×1019atoms/cmとな
る領域を有することがわかる。
したがって、a−like OSはnc−OSと比べると成膜直後における水素濃度が高
いことがわかる。また、nc−OSでキャップすることによりa−like OS中の水
素濃度が低くなることから、a−like OSは大気暴露時に大気中の水分などを吸収
する性質を有することが示唆される。
<成膜モデル>
以下では、CAAC−OSの成膜モデルの一例について説明する。
図3は、スパッタリング法によりCAAC−OSが成膜される様子を示した成膜室内の模
式図である。
ターゲット230は、バッキングプレートに接着されている。バッキングプレートを介し
てターゲット230と向かい合う位置には、複数のマグネットが配置される。該複数のマ
グネットによって磁場が生じている。マグネットの配置や構成などについては、上述した
成膜室の記載を参照する。マグネットの磁場を利用して成膜速度を高めるスパッタリング
法は、マグネトロンスパッタリング法と呼ばれる。
ターゲット230は、多結晶構造を有し、いずれかの結晶粒には劈開面が含まれる。なお
、劈開面の詳細については後述する。
基板220は、ターゲット230と向かい合うように配置しており、その距離d(ターゲ
ット−基板間距離(T−S間距離)ともいう。)は0.01m以上1m以下、好ましくは
0.02m以上0.5m以下とする。成膜室内は、ほとんどが成膜ガス(例えば、酸素、
アルゴン、または酸素を5体積%以上の割合で含む混合ガス)で満たされ、0.01Pa
以上100Pa以下、好ましくは0.1Pa以上10Pa以下に制御される。ここで、タ
ーゲット230に一定以上の電圧を印加することで、放電が始まり、プラズマが確認され
る。なお、ターゲット230の近傍には磁場によって、高密度プラズマ領域が形成される
。高密度プラズマ領域では、成膜ガスがイオン化することで、イオン201が生じる。イ
オン201は、例えば、酸素の陽イオン(O)やアルゴンの陽イオン(Ar)などで
ある。
イオン201は、電界によってターゲット230側に加速され、やがてターゲット230
と衝突する。このとき、劈開面から平板状またはペレット状のスパッタ粒子であるペレッ
ト200aおよびペレット200bが剥離し、叩き出される。なお、ペレット200aお
よびペレット200bは、イオン201の衝突の衝撃によって、構造に歪みが生じる場合
がある。
ペレット200aは、三角形、例えば正三角形の平面を有する平板状またはペレット状の
スパッタ粒子である。また、ペレット200bは、六角形、例えば正六角形の平面を有す
る平板状またはペレット状のスパッタ粒子である。なお、ペレット200aおよびペレッ
ト200bなどの平板状またはペレット状のスパッタ粒子を総称してペレットと呼ぶ。ペ
レットの平面の形状は、三角形、六角形に限定されない、例えば、三角形が複数個合わさ
った形状となる場合がある。例えば、三角形(正三角形)が2個合わさった四角形(ひし
形)となる場合もある。
ペレットは、成膜ガスの種類などに応じて厚さが決定する。理由は後述するが、ペレット
の厚さは、均一にすることが好ましい。また、スパッタ粒子は厚みのないペレット状であ
る方が、厚みのあるサイコロ状であるよりも好ましい。例えば、ペレットは、厚さを0.
4nm以上1nm以下、好ましくは0.6nm以上0.8nm以下とする。また、例えば
、ペレットは、幅を1nm以上3nm以下、好ましくは1.2nm以上2nm以下とする
ペレットは、プラズマを通過する際に電荷を受け取ることで、側面が負または正に帯電す
る場合がある。ペレットは、側面に酸素原子を有し、当該酸素原子が負に帯電する可能性
がある。例えば、ペレット200aが、側面に負に帯電した酸素原子を有する例を図4に
示す。このように、側面が同じ極性の電荷を帯びることにより、電荷同士の反発が起こり
、平板状の形状を維持することが可能となる。なお、CAAC−OSが、In−Ga−Z
n酸化物である場合、インジウム原子と結合した酸素原子が負に帯電する可能性がある。
または、インジウム原子、ガリウム原子または亜鉛原子と結合した酸素原子が負に帯電す
る可能性がある。
図3に示すように、例えば、ペレット200aは、プラズマ中を凧のように飛翔し、ひら
ひらと基板220上まで舞い上がっていく。ペレット200aは電荷を帯びているため、
ほかのペレットが既に堆積している領域が近づくと、斥力が生じる。ここで、基板220
の上面では、基板220の上面に平行な向きの磁場(水平磁場ともいう。)が生じている
。また、基板220およびターゲット230間には、電位差が与えられているため、基板
220からターゲット230に向けて電流が流れている。したがって、ペレット200a
は、基板220の上面において、磁場および電流の作用によって、力(ローレンツ力)を
受ける(図5参照。)。このことは、フレミングの左手の法則によって理解できる。
ペレットは、原子一つと比べると質量が大きい。そのため、基板220の上面を移動する
ためには何らかの力を外部から印加することが重要となる。その力の一つが磁場および電
流の作用で生じる力である可能性がある。なお、ペレットに与える力を大きくするために
は、基板220の上面において、基板220の上面に平行な向きの磁場の磁束密度が10
G以上、好ましくは20G以上、さらに好ましくは30G以上、より好ましくは50G以
上となる領域を設けるとよい。または、基板220の上面において、基板220の上面に
平行な向きの磁場が、基板220の上面に垂直な向きの磁場の1.5倍以上、好ましくは
2倍以上、さらに好ましくは3倍以上、より好ましくは5倍以上となる領域を設けるとよ
い。
このとき、マグネットユニットまたは/および基板220が相対的に移動すること、また
は回転することによって、基板220の上面における水平磁場の向きは変化し続ける。し
たがって、基板220の上面において、ペレットは、様々な方向への力を受け、様々な方
向へ移動することができる。
また、基板220は加熱されており、ペレットと基板220との間で摩擦などの抵抗が小
さい状態となっている。その結果、図6(A)に示すように、ペレット200aは、基板
220の上面を滑空するように移動する。ペレット200aの移動は、平板面を基板22
0に向けた状態で起こる。その後、図6(B)に示すように、既に堆積しているほかのペ
レットの側面まで到達すると、側面同士が結合し、基板220に固着する。このとき、酸
素原子が脱離する。脱離した酸素原子によって、CAAC−OS中の酸素欠損が埋まる場
合があるため、欠陥準位密度の低いCAAC−OSとなる。
また、ペレットが基板220上で加熱されることにより、原子が再配列し、イオン201
の衝突で生じた構造の歪みが緩和される。歪みの緩和されたペレットは、ほぼ単結晶とな
る。ペレットがほぼ単結晶となることにより、ペレット同士が結合した後に加熱されたと
しても、ペレット自体の伸縮はほとんど起こり得ない。したがって、ペレット間の隙間が
広がることで結晶粒界などの欠陥を形成し、クレバス化することがない。
ターゲット230をイオン201でスパッタした際に、ペレットだけでなく、酸化亜鉛な
どが飛び出す場合がある。酸化亜鉛はペレットよりも軽量であるため、先に基板220の
上面に到達する。そして、0.1nm以上10nm以下、0.2nm以上5nm以下、ま
たは0.5nm以上2nm以下の酸化亜鉛層202を形成する。図34に断面模式図を示
す。なお、基板220は説明を省略する。
図34(A)に示すように、酸化亜鉛層202上にはペレット205aと、ペレット20
5bと、が堆積する。ここで、ペレット205aとペレット205bとは、互いに側面が
接するように配置している。また、ペレット205cは、ペレット205b上に堆積した
後、ペレット205b上を滑るように移動する。また、ペレット205aの別の側面にお
いて、酸化亜鉛とともにターゲットから飛び出した複数の粒子203が基板220の加熱
により結晶化し、領域205a1を形成する。なお、複数の粒子203は、酸素、亜鉛、
インジウムおよびガリウムなどを含む可能性がある。
そして、図34(B)に示すように、領域205a1は、ペレット205aと同化し、ペ
レット205a2となる。また、ペレット205cは、その側面がペレット205bの別
の側面と接するように配置する。
次に、図34(C)に示すように、さらにペレット205dがペレット205a2上およ
びペレット205b上に堆積した後、ペレット205a2上およびペレット205b上を
滑るように移動する。また、ペレット205cの別の側面に向けて、さらにペレット20
5eが酸化亜鉛層202上を滑るように移動する。
そして、図34(D)に示すように、ペレット205dは、その側面がペレット205a
2の側面と接するように配置する。また、ペレット205eは、その側面がペレット20
5cの別の側面と接するように配置する。また、ペレット205dの別の側面において、
酸化亜鉛とともにターゲットから飛び出した複数の粒子203が基板220の加熱により
結晶化し、領域205d1を形成する。
以上のように、堆積したペレット同士が接するように配置すること、およびペレットの側
面において結晶成長が起こること、などを繰り返すことにより、基板220上にCAAC
−OSを形成することができる。
また、ペレットの隙間が極めて小さくなることで、あたかも一つの大きなペレットが形成
される場合がある。大きなペレットは、単結晶構造を有する。例えば、大きなペレットの
大きさが、上面から見て10nm以上200nm以下、15nm以上100nm以下、ま
たは20nm以上50nm以下となる場合がある。したがって、トランジスタのチャネル
形成領域が、大きなペレットよりも小さい場合、チャネル形成領域として単結晶構造を有
する領域を用いることができる。また、ペレットが大きくなることで、トランジスタのチ
ャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域として単結晶構造を有する領域を用いる
ことができる場合がある。
このように、トランジスタのチャネル形成領域などが、単結晶構造を有する領域に形成さ
れることによって、トランジスタの周波数特性を高くすることができる場合がある。
以上のようなモデルにより、ペレットが基板220上に堆積していくと考えられる。した
がって、エピタキシャル成長とは異なり、被形成面が結晶構造を有さない場合においても
、CAAC−OSの成膜が可能であることがわかる。例えば、基板220の上面(被形成
面)の構造が非晶質構造であっても、CAAC−OSを成膜することは可能である。
また、CAAC−OSは、被形成面である基板220の上面に凹凸がある場合でも、その
形状に沿ってペレットが配列することがわかる。例えば、基板220の上面が原子レベル
で平坦な場合、ペレットはab面と平行な平面である平板面を下に向けて並置するため、
厚さが均一で平坦、かつ高い結晶性を有する層が形成される。そして、当該層がn段(n
は自然数。)積み重なることで、CAAC−OSを得ることができる。
一方、基板220の上面が凹凸を有する場合でも、CAAC−OSは、ペレットが凸面に
沿って並置した層がn段(nは自然数。)積み重なった構造となる。基板220が凹凸を
有するため、CAAC−OSは、ペレット間に隙間が生じやすい場合がある。ただし、ペ
レット間で分子間力が働き、凹凸があってもペレット間の隙間はなるべく小さくなるよう
に配列する。したがって、凹凸があっても高い結晶性を有するCAAC−OSとすること
ができる。
したがって、CAAC−OSは、レーザ結晶化が不要であり、大面積のガラス基板などで
あっても均一な成膜が可能である。
このようなモデルによってCAAC−OSが成膜されるため、スパッタ粒子が厚みのない
ペレット状である方が好ましい。なお、スパッタ粒子が厚みのあるサイコロ状である場合
、基板220上に向ける面が一定とならず、厚さや結晶の配向を均一にできない場合があ
る。
以上に示した成膜モデルにより、非晶質構造を有する被形成面上であっても、高い結晶性
を有するCAAC−OSを得ることができる。
<劈開面>
以下では、CAAC−OSの成膜モデルにおいて記載のターゲットの劈開面について説明
する。
まずは、ターゲットの劈開面について図7を用いて説明する。図7に、InGaZnO
の結晶の構造を示す。なお、図7(A)は、c軸を上向きとし、b軸に平行な方向からI
nGaZnOの結晶を観察した場合の構造を示す。また、図7(B)は、c軸に平行な
方向からInGaZnOの結晶を観察した場合の構造を示す。
InGaZnOの結晶の各結晶面における劈開に必要なエネルギーを、第一原理計算に
より算出する。なお、計算には、擬ポテンシャルと、平面波基底を用いた密度汎関数プロ
グラム(CASTEP)を用いる。なお、擬ポテンシャルには、ウルトラソフト型の擬ポ
テンシャルを用いる。また、汎関数には、GGA PBEを用いる。また、カットオフエ
ネルギーは400eVとする。
初期状態における構造のエネルギーは、セルサイズを含めた構造最適化を行った後に導出
する。また、各面で劈開後の構造のエネルギーは、セルサイズを固定した状態で、原子配
置の構造最適化を行った後に導出する。
図7に示したInGaZnOの結晶の構造をもとに、第1の面、第2の面、第3の面、
第4の面のいずれかで劈開した構造を作製し、セルサイズを固定した構造最適化計算を行
う。ここで、第1の面は、Ga−Zn−O層とIn−O層との間の結晶面であり、(0
0 1)面(またはab面)に平行な結晶面である(図7(A)参照。)。第2の面は、
Ga−Zn−O層とGa−Zn−O層との間の結晶面であり、(0 0 1)面(または
ab面)に平行な結晶面である(図7(A)参照。)。第3の面は、(1 1 0)面に
平行な結晶面である(図7(B)参照。)。第4の面は、(1 0 0)面(またはbc
面)に平行な結晶面である(図7(B)参照。)。
以上のような条件で、各面で劈開後の構造のエネルギーを算出する。次に、劈開後の構造
のエネルギーと初期状態における構造のエネルギーとの差を、劈開面の面積で除すことで
、各面における劈開しやすさの尺度である劈開エネルギーを算出する。なお、構造のエネ
ルギーは、構造に含まれる原子と電子に対して、電子の運動エネルギーと、原子間、原子
−電子間、および電子間の相互作用と、を考慮したエネルギーである。
計算の結果、第1の面の劈開エネルギーは2.60J/m、第2の面の劈開エネルギー
は0.68J/m、第3の面の劈開エネルギーは2.18J/m、第4の面の劈開エ
ネルギーは2.12J/mであることがわかった(下表参照。)。
Figure 0006965389
この計算により、図7に示したInGaZnOの結晶の構造において、第2の面におけ
る劈開エネルギーが最も低くなる。即ち、Ga−Zn−O層とGa−Zn−O層との間が
最も劈開しやすい面(劈開面)であることがわかる。したがって、本明細書において、劈
開面と記載する場合、最も劈開しやすい面である第2の面のことを示す。
Ga−Zn−O層とGa−Zn−O層との間である第2の面に劈開面を有するため、図7
(A)に示すInGaZnOの結晶は、二つの第2の面と等価な面で分離することがで
きる。したがって、ターゲットにイオンなどを衝突させる場合、もっとも劈開エネルギー
の低い面で劈開したウェハース状のユニット(我々はこれをペレットと呼ぶ。)が最小単
位となって飛び出してくると考えられる。その場合、InGaZnOのペレットは、G
a−Zn−O層、In−O層およびGa−Zn−O層の3層となる。
また、第1の面(Ga−Zn−O層とIn−O層との間の結晶面であり、(0 0 1)
面(またはab面)に平行な結晶面)よりも、第3の面(1 1 0)面に平行な結晶面
)、第4の面((1 0 0)面(またはbc面)に平行な結晶面)の劈開エネルギーが
低いことから、ペレットの平面形状は三角形状または六角形状が多いことが示唆される。
なお、ターゲットから剥離したペレットは損傷領域を含むことが示唆される。ペレットに
含まれる損傷領域は、損傷によって生じた欠陥に酸素を反応させることで修復できる場合
がある。
以上の計算により、ホモロガス構造を有するInGaZnOの結晶を含むターゲットを
スパッタすると、劈開面から剥離し、ペレットが形成されることがわかる。一方、劈開面
を有さないターゲットの他の構造の領域をスパッタしてもペレットは形成されず、ペレッ
トよりも微細な原子レベルの大きさのスパッタ粒子が形成される。該スパッタ粒子は、ペ
レットと比べて小さいため、スパッタリング装置に接続されている真空ポンプを介して排
気されると考えられる。したがって、ホモロガス構造を有するInGaZnOの結晶を
含むターゲットをスパッタした場合、様々な大きさ、形状の粒子が基板まで飛翔し、堆積
することで成膜されるモデルは考えにくい。スパッタされたペレットが堆積してCAAC
−OSを成膜する図3などに記載のモデルが道理に適っている。
このようにして成膜されたCAAC−OSの密度は、単結晶OSと同程度の密度を有する
。例えば、InGaZnOのホモロガス構造を有する単結晶OSの密度は6.36g/
cmであるのに対し、同程度の原子数比であるCAAC−OSの密度は6.3g/cm
程度となる。
<組成>
以下では、CAAC−OSの組成について説明する。なお、組成の説明には、CAAC−
OSとなる酸化物半導体であるIn−M−Zn酸化物の場合を例示する。なお、元素Mは
、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適
用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、イッ
トリウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タ
ンタル、タングステンなどがある。
図8は、各頂点にIn、MまたはZnを配置した三角図である。また、図中の[In]は
Inの原子濃度を示し、[M]は元素Mの原子濃度を示し、[Zn]はZnの原子濃度を
示す。
In−M−Zn酸化物の結晶はホモロガス構造を有することが知られており、InMO
(ZnO)(mは自然数。)で示される。また、InとMとを置き換えることが可能で
あるため、In1+α1−α(ZnO)で示すこともできる。これは、[In]
:[M]:[Zn]=1+α:1−α:1、[In]:[M]:[Zn]=1+α:1−
α:2、[In]:[M]:[Zn]=1+α:1−α:3、[In]:[M]:[Zn
]=1+α:1−α:4、および[In]:[M]:[Zn]=1+α:1−α:5と表
記した破線で示される組成である。なお、破線上の太線は、例えば、原料となる酸化物を
混合し、1350℃で焼成した場合に固溶体となりうる組成である。
よって、上述の固溶体となりうる組成に近づけることで、大きい単結晶構造の領域を有す
るCAAC−OSを得ることができる。
ところで、CAAC−OSを成膜する際には、被成膜面である基板表面の加熱、または空
間加熱などの影響で、ソースとなるターゲットなどの組成と膜の組成とが異なる場合があ
る。例えば、酸化亜鉛は、酸化インジウムや酸化ガリウムなどと比べて昇華しやすいため
、ソースと膜との組成のずれが生じやすい。したがって、あらかじめ組成の変化を考慮し
たソースを選択することが好ましい。なお、ソースと膜との組成のずれ量は、温度以外に
も圧力や成膜に用いるガスなどの影響でも変化する。
<成膜装置>
以下では、上述したCAAC−OSを成膜することが可能な成膜室を有する成膜装置につ
いて説明する。
まずは、成膜時などに膜中に不純物の混入が少ない成膜装置の構成について図9および図
10を用いて説明する。
図9は、枚葉式マルチチャンバーの成膜装置700の上面図を模式的に示している。成膜
装置700は、基板を収容するカセットポート761と、基板のアライメントを行うアラ
イメントポート762と、を備える大気側基板供給室701と、大気側基板供給室701
から、基板を搬送する大気側基板搬送室702と、基板の搬入を行い、かつ室内の圧力を
大気圧から減圧、または減圧から大気圧へ切り替えるロードロック室703aと、基板の
搬出を行い、かつ室内の圧力を減圧から大気圧、または大気圧から減圧へ切り替えるアン
ロードロック室703bと、真空中の基板の搬送を行う搬送室704と、基板の加熱を行
う基板加熱室705と、ターゲットが配置され成膜を行う成膜室706a、706bおよ
び706cと、を有する。なお、成膜室706a、706bおよび706cは、例えば、
図1(A)または図2(A)などに示した成膜室101の構成を参酌することができる。
また、大気側基板搬送室702は、ロードロック室703aおよびアンロードロック室7
03bと接続され、ロードロック室703aおよびアンロードロック室703bは、搬送
室704と接続され、搬送室704は、基板加熱室705、成膜室706a、成膜室70
6bおよび成膜室706cと接続する。
なお、各室の接続部にはゲートバルブ764が設けられており、大気側基板供給室701
と、大気側基板搬送室702を除き、各室を独立して真空状態に保持することができる。
また、大気側基板搬送室702および搬送室704は、搬送ロボット763を有し、基板
を搬送することができる。
また、基板加熱室705は、プラズマ処理室を兼ねると好ましい。成膜装置700は、処
理と処理の間で基板を大気暴露することなく搬送することが可能なため、基板に不純物が
吸着することを抑制できる。また、成膜や熱処理などの順番を自由に構築することができ
る。なお、搬送室、成膜室、ロードロック室、アンロードロック室および基板加熱室は、
上述の数に限定されず、設置スペースやプロセス条件に合わせて、適宜最適な数を設ける
ことができる。
次に、図9に示す成膜装置700の一点鎖線X1−X2、一点鎖線Y1−Y2、および一
点鎖線Y2−Y3に相当する断面を図10に示す。
図10(A)は、基板加熱室705と、搬送室704の断面を示しており、基板加熱室7
05は、基板を収容することができる複数の加熱ステージ765を有している。なお、基
板加熱室705は、バルブを介して真空ポンプ770と接続されている。真空ポンプ77
0としては、例えば、ドライポンプ、およびメカニカルブースターポンプ等を用いること
ができる。
また、基板加熱室705に用いることのできる加熱機構としては、例えば、抵抗発熱体な
どを用いて加熱する加熱機構としてもよい。または、加熱されたガスなどの媒体からの熱
伝導または熱輻射によって、加熱する加熱機構としてもよい。例えば、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)、LRTA(Lamp Rapid T
hermal Anneal)などのRTA(Rapid Thermal Annea
l)を用いることができる。LRTAは、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセ
ノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなど
のランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する。GRTAは、高温
のガスを用いて熱処理を行う。ガスとしては、不活性ガスが用いられる。
また、基板加熱室705は、マスフローコントローラ780を介して、精製機781と接
続される。なお、マスフローコントローラ780および精製機781は、ガス種の数だけ
設けられるが、理解を容易にするため一つのみを示す。基板加熱室705に導入されるガ
スは、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下であるガスを用いることができ、
例えば、酸素ガス、窒素ガス、および希ガス(アルゴンガスなど)を用いる。
搬送室704は、搬送ロボット763を有している。搬送ロボット763は、各室へ基板
を搬送することができる。また、搬送室704は、バルブを介して真空ポンプ770と、
クライオポンプ771と、接続されている。このような構成とすることで、搬送室704
は、大気圧から低真空または中真空(0.1から数百Pa程度)まで真空ポンプ770を
用いて排気され、バルブを切り替えて中真空から高真空または超高真空(0.1Paから
1×10−7Pa)まではクライオポンプ771を用いて排気される。
また、例えば、クライオポンプ771は、搬送室704に対して2台以上並列に接続して
もよい。このような構成とすることで、1台のクライオポンプがリジェネ中であっても、
残りのクライオポンプを使って排気することが可能となる。なお、上述したリジェネとは
、クライオポンプ内にため込まれた分子(または原子)を放出する処理をいう。クライオ
ポンプは、分子(または原子)をため込みすぎると排気能力が低下してくるため、定期的
にリジェネが行われる。
図10(B)は、成膜室706bと、搬送室704と、ロードロック室703aの断面を
示している。
ここで、図10(B)を用いて、成膜室(スパッタリング室)の詳細について説明する。
図10(B)に示す成膜室706bは、ターゲット766と、防着板767と、基板ステ
ージ768と、を有する。なお、ここでは基板ステージ768には、基板769が設置さ
れている。基板ステージ768は、図示しないが、基板769を保持する基板保持機構や
、基板769を背面から加熱する背面ヒーター等を備えていてもよい。また、ターゲット
の背後にマグネットユニットを備えていてもよい。
なお、基板ステージ768は、成膜時に床面に対して略垂直状態に保持され、基板受け渡
し時には床面に対して略水平状態に保持される。なお、図10(B)中において、破線で
示す箇所が基板受け渡し時の基板ステージ768の保持される位置となる。このような構
成とすることで成膜時に混入しうるゴミまたはパーティクルが、基板769に付着する確
率を水平状態に保持するよりも抑制することができる。ただし、基板ステージ768を床
面に対して垂直(90°)状態に保持すると、基板769が落下する可能性があるため、
基板ステージ768の床面に対する角度は、80°以上90°未満とすることが好ましい
また、防着板767は、ターゲット766からスパッタリングされる粒子が不要な領域に
推積することを抑制できる。また、防着板767は、累積されたスパッタリング粒子が剥
離しないように、加工することが望ましい。例えば、表面粗さを増加させるブラスト処理
、または防着板767の表面に凹凸を設けてもよい。
また、成膜室706bは、ガス加熱機構782を介してマスフローコントローラ780と
接続され、ガス加熱機構782はマスフローコントローラ780を介して精製機781と
接続される。ガス加熱機構782により、成膜室706bに導入されるガスを40℃以上
400℃以下、好ましくは50℃以上200℃以下に加熱することができる。なお、ガス
加熱機構782、マスフローコントローラ780、および精製機781は、ガス種の数だ
け設けられるが、理解を容易にするため一つのみを示す。成膜室706bに導入されるガ
スは、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下であるガスを用いることができ、
例えば、酸素ガス、窒素ガス、および希ガス(アルゴンガスなど)を用いる。
成膜室706bに、対向ターゲット式スパッタリング装置を適用してもよい。対向ターゲ
ット式スパッタリング装置は、プラズマがターゲット間に閉じこめられるため、基板への
プラズマダメージを低減することができる。また、ターゲットの傾きによっては、スパッ
タリング粒子の基板への入射角度を浅くすることができるため、段差被覆性を高めること
ができる。
なお、成膜室706bに、平行平板型スパッタリング装置、イオンビームスパッタリング
装置を適用しても構わない。
なお、ガスの導入口の直前に精製機を設ける場合、精製機から成膜室706bまでの配管
の長さを10m以下、好ましくは5m以下、さらに好ましくは1m以下とする。配管の長
さを10m以下、5m以下または1m以下とすることで、配管からの放出ガスの影響を長
さに応じて低減できる。さらに、ガスの配管には、フッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化ク
ロムなどで内部が被覆された金属配管を用いるとよい。前述の配管は、例えばSUS31
6L−EP配管と比べ、不純物を含むガスの放出量が少なく、ガスへの不純物の入り込み
を低減できる。また、配管の継手には、高性能超小型メタルガスケット継手(UPG継手
)を用いるとよい。また、配管を全て金属で構成することで、樹脂等を用いた場合と比べ
、生じる放出ガスおよび外部リークの影響を低減できて好ましい。
また、成膜室706bは、バルブを介してターボ分子ポンプ772および真空ポンプ77
0と接続される。
また、成膜室706bは、クライオトラップ751が設けられる。
クライオトラップ751は、水などの比較的融点の高い分子(または原子)を吸着するこ
とができる機構である。ターボ分子ポンプ772は大きいサイズの分子(または原子)を
安定して排気し、かつメンテナンスの頻度が低いため、生産性に優れる一方、水素や水の
排気能力が低い。そこで、水などに対する排気能力を高めるため、クライオトラップ75
1が成膜室706bに接続された構成としている。クライオトラップ751の冷凍機の温
度は100K以下、好ましくは80K以下とする。また、クライオトラップ751が複数
の冷凍機を有する場合、冷凍機ごとに温度を変えると、効率的に排気することが可能とな
るため好ましい。例えば、1段目の冷凍機の温度を100K以下とし、2段目の冷凍機の
温度を20K以下とすればよい。なお、クライオトラップに替えて、チタンサブリメーシ
ョンポンプを用いることで、さらに高真空とすることができる場合がある。また、クライ
オポンプやターボ分子ポンプに替えてイオンポンプを用いることでもさらに高真空とする
ことができる場合がある。
なお、成膜室706bの排気方法は、これに限定されず、先の搬送室704に示す排気方
法(クライオポンプと真空ポンプとの排気方法)と同様の構成としてもよい。もちろん、
搬送室704の排気方法を成膜室706bと同様の構成(ターボ分子ポンプと真空ポンプ
との排気方法)としてもよい。
なお、上述した搬送室704、基板加熱室705、および成膜室706bの背圧(全圧)
、ならびに各気体分子(原子)の分圧は、以下の通りとすると好ましい。とくに、形成さ
れる膜中に不純物が混入され得る可能性があるので、成膜室706bの背圧、ならびに各
気体分子(原子)の分圧には注意する必要がある。
上述した各室の背圧(全圧)は、1×10−4Pa以下、好ましくは3×10−5Pa以
下、さらに好ましくは1×10−5Pa以下である。上述した各室の質量電荷比(m/z
)が18である気体分子(原子)の分圧は、3×10−5Pa以下、好ましくは1×10
−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。また、上述した各室のm
/zが28である気体分子(原子)の分圧は、3×10−5Pa以下、好ましくは1×1
−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。また、上述した各室の
m/zが44である気体分子(原子)の分圧は、3×10−5Pa以下、好ましくは1×
10−5Pa以下、さらに好ましくは3×10−6Pa以下である。
なお、真空チャンバー内の全圧および分圧は、質量分析計を用いて測定することができる
。例えば、株式会社アルバック製四重極形質量分析計(Q−massともいう。)Qul
ee CGM−051を用いればよい。
また、上述した搬送室704、基板加熱室705、および成膜室706bは、外部リーク
または内部リークが少ない構成とすることが望ましい。
例えば、上述した搬送室704、基板加熱室705、および成膜室706bのリークレー
トは、3×10−6Pa・m/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m/s以下で
ある。また、m/zが18である気体分子(原子)のリークレートが1×10−7Pa・
/s以下、好ましくは3×10−8Pa・m/s以下である。また、m/zが28
である気体分子(原子)のリークレートが1×10−5Pa・m/s以下、好ましくは
1×10−6Pa・m/s以下である。また、m/zが44である気体分子(原子)の
リークレートが3×10−6Pa・m/s以下、好ましくは1×10−6Pa・m
s以下である。
なお、リークレートに関しては、前述の質量分析計を用いて測定した全圧および分圧から
導出すればよい。
リークレートは、外部リークおよび内部リークに依存する。外部リークは、微小な穴やシ
ール不良などによって真空系外から気体が流入することである。内部リークは、真空系内
のバルブなどの仕切りからの漏れや内部の部材からの放出ガスに起因する。リークレート
を上述の数値以下とするために、外部リークおよび内部リークの両面から対策をとる必要
がある。
例えば、成膜室706bの開閉部分はメタルガスケットでシールするとよい。メタルガス
ケットは、フッ化鉄、酸化アルミニウム、または酸化クロムによって被覆された金属を用
いると好ましい。メタルガスケットはOリングと比べ密着性が高く、外部リークを低減で
きる。また、フッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどによって被覆された金属の不
動態を用いることで、メタルガスケットから放出される不純物を含む放出ガスが抑制され
、内部リークを低減することができる。
また、成膜装置700を構成する部材として、不純物を含む放出ガスの少ないアルミニウ
ム、クロム、チタン、ジルコニウム、ニッケルまたはバナジウムを用いる。また、前述の
部材を鉄、クロムおよびニッケルなどを含む合金に被覆して用いてもよい。鉄、クロムお
よびニッケルなどを含む合金は、剛性があり、熱に強く、また加工に適している。ここで
、表面積を小さくするために部材の表面凹凸を研磨などによって低減しておくと、放出ガ
スを低減できる。
または、前述の成膜装置700の部材をフッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどで
被覆してもよい。
成膜装置700の部材は、極力金属のみで構成することが好ましく、例えば石英などで構
成される覗き窓などを設置する場合も、放出ガスを抑制するために表面をフッ化鉄、酸化
アルミニウム、酸化クロムなどで薄く被覆するとよい。
成膜室に存在する吸着物は、内壁などに吸着しているために成膜室の圧力に影響しないが
、成膜室を排気した際のガス放出の原因となる。そのため、リークレートと排気速度に相
関はないものの、排気能力の高いポンプを用いて、成膜室に存在する吸着物をできる限り
脱離し、あらかじめ排気しておくことは重要である。なお、吸着物の脱離を促すために、
成膜室をベーキングしてもよい。ベーキングすることで吸着物の脱離速度を10倍程度大
きくすることができる。ベーキングは100℃以上450℃以下で行えばよい。このとき
、不活性ガスを成膜室に導入しながら吸着物の除去を行うと、排気するだけでは脱離しに
くい水などの脱離速度をさらに大きくすることができる。なお、導入する不活性ガスをベ
ーキングの温度と同程度に加熱することで、吸着物の脱離速度をさらに高めることができ
る。ここで不活性ガスとして希ガスを用いると好ましい。また、成膜する膜種によっては
不活性ガスの代わりに酸素などを用いても構わない。例えば、酸化物を成膜する場合は、
主成分である酸素を用いた方が好ましい場合もある。なお、ベーキングは、ランプを用い
て行うと好ましい。
または、加熱した希ガスなどの不活性ガスまたは酸素などを導入することで成膜室内の圧
力を高め、一定時間経過後に再び成膜室を排気する処理を行うと好ましい。加熱したガス
の導入により成膜室内の吸着物を脱離させることができ、成膜室内に存在する不純物を低
減することができる。なお、この処理は2回以上30回以下、好ましくは5回以上15回
以下の範囲で繰り返し行うと効果的である。具体的には、温度が40℃以上400℃以下
、好ましくは50℃以上200℃以下である不活性ガスまたは酸素などを導入することで
成膜室内の圧力を0.1Pa以上10kPa以下、好ましくは1Pa以上1kPa以下、
さらに好ましくは5Pa以上100Pa以下とし、圧力を保つ期間を1分以上300分以
下、好ましくは5分以上120分以下とすればよい。その後、成膜室を5分以上300分
以下、好ましくは10分以上120分以下の期間排気する。
また、ダミー成膜を行うことでも吸着物の脱離速度をさらに高めることができる。ダミー
成膜とは、ダミー基板に対してスパッタリング法などによる成膜を行うことで、ダミー基
板および成膜室内壁に膜を堆積させ、成膜室内の不純物および成膜室内壁の吸着物を膜中
に閉じこめることをいう。ダミー基板は、放出ガスの少ない基板が好ましい。ダミー成膜
を行うことで、後に成膜される膜中の不純物濃度を低減することができる。なお、ダミー
成膜はベーキングと同時に行ってもよい。
次に、図10(B)に示す搬送室704、およびロードロック室703aと、図10(C
)に示す大気側基板搬送室702、および大気側基板供給室701の詳細について以下説
明を行う。なお、図10(C)は、大気側基板搬送室702、および大気側基板供給室7
01の断面を示している。
図10(B)に示す搬送室704については、図10(A)に示す搬送室704の記載を
参照する。
ロードロック室703aは、基板受け渡しステージ752を有する。ロードロック室70
3aは、減圧状態から大気まで圧力を上昇させ、ロードロック室703aの圧力が大気圧
になった時に、大気側基板搬送室702に設けられている搬送ロボット763から基板受
け渡しステージ752に基板を受け取る。その後、ロードロック室703aを真空引きし
、減圧状態としたのち、搬送室704に設けられている搬送ロボット763が基板受け渡
しステージ752から基板を受け取る。
また、ロードロック室703aは、バルブを介して真空ポンプ770、およびクライオポ
ンプ771と接続されている。真空ポンプ770、およびクライオポンプ771の排気系
の接続方法は、搬送室704の接続方法を参考とすることで接続できるため、ここでの説
明は省略する。なお、図9に示すアンロードロック室703bは、ロードロック室703
aと同様の構成とすることができる。
大気側基板搬送室702は、搬送ロボット763を有する。搬送ロボット763により、
カセットポート761とロードロック室703aとの基板の受け渡しを行うことができる
。また、大気側基板搬送室702、および大気側基板供給室701の上方にHEPAフィ
ルタ(High Efficiency Particulate Air Filte
r)等のゴミまたはパーティクルを清浄化するための機構を設けてもよい。
大気側基板供給室701は、複数のカセットポート761を有する。カセットポート76
1は、複数の基板を収容することができる。
ターゲットは、表面温度が100℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは室温
程度(代表的には25℃)とする。大面積の基板に対応するスパッタリング装置では大面
積のターゲットを用いることが多い。ところが、大面積に対応した大きさのターゲットを
つなぎ目なく作製することは困難である。現実には複数のターゲットをなるべく隙間のな
いように並べて大きな形状としているが、どうしても僅かな隙間が生じてしまう。こうし
た僅かな隙間から、ターゲットの表面温度が高まることで亜鉛などが揮発し、徐々に隙間
が広がっていくことがある。隙間が広がると、バッキングプレートや接着に用いている金
属がスパッタリングされることがあり、不純物濃度を高める要因となる。したがって、タ
ーゲットは、十分に冷却されていることが好ましい。
具体的には、バッキングプレートとして、高い導電性および高い放熱性を有する金属(具
体的には銅)を用いる。また、バッキングプレート内に水路を形成し、水路に十分な量の
冷却水を流すことで、効率的にターゲットを冷却できる。
なお、ターゲットが亜鉛を含む場合、酸素ガス雰囲気で成膜することにより、プラズマダ
メージが軽減され、亜鉛の揮発が起こりにくい酸化物を得ることができる。
上述した成膜装置を用いることで、CAAC−OS中の水素濃度を、SIMSにおいて、
2×1020atoms/cm以下、好ましくは5×1019atoms/cm以下
、より好ましくは1×1019atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1018
atoms/cm以下とすることができる。
また、CAAC−OS中の窒素濃度を、SIMSにおいて、5×1019atoms/c
未満、好ましくは1×1019atoms/cm以下、より好ましくは5×10
atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1018atoms/cm以下とす
ることができる。
また、CAAC−OS中の炭素濃度を、SIMSにおいて、5×1019atoms/c
未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×10
atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下とす
ることができる。
また、CAAC−OSを、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorp
tion Spectroscopy)分析によるm/zが2(水素分子など)である気
体分子(原子)、m/zが18である気体分子(原子)、m/zが28である気体分子(
原子)およびm/zが44である気体分子(原子)の放出量が、それぞれ1×1019
/cm以下、好ましくは1×1018個/cm以下とすることができる。
以上の成膜装置を用いることで、CAAC−OSへの不純物の混入を抑制できる。さらに
は、以上の成膜装置を用いて、CAAC−OSに接する膜を成膜することで、CAAC−
OSに接する膜からCAAC−OSへ不純物が混入することを抑制できる。
<トランジスタ>
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタについて説明する。
なお、本発明の一態様に係るトランジスタは、上述したCAAC−OSを有すると好まし
い。
<トランジスタ構造1>
図11(A)および図11(B)は、本発明の一態様のトランジスタの上面図および断面
図である。図11(A)は上面図であり、図11(B)は、図11(A)に示す一点鎖線
A1−A2、および一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、図11(A)の
上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
図11(A)および図11(B)に示すトランジスタは、基板400上の導電体413と
、基板400上および導電体413上の凸部を有する絶縁体402と、絶縁体402の凸
部上の半導体406aと、半導体406a上の半導体406bと、半導体406bの上面
および側面と接し、間隔を開けて配置された導電体416aおよび導電体416bと、半
導体406b上、導電体416a上および導電体416b上の半導体406cと、半導体
406c上の絶縁体412と、絶縁体412上の導電体404と、導電体416a上、導
電体416b上および導電体404上の絶縁体408と、絶縁体408上の絶縁体418
と、を有する。なお、ここでは、導電体413をトランジスタの一部としているが、これ
に限定されない。例えば、導電体413がトランジスタとは独立した構成要素であるとし
てもよい。
なお、半導体406cは、A3−A4断面において、少なくとも半導体406bの上面お
よび側面と接する。また、導電体404は、A3−A4断面において、半導体406cお
よび絶縁体412を介して半導体406bの上面および側面と面する。また、導電体41
3は、絶縁体402を介して半導体406bの下面と面する。また、絶縁体402が凸部
を有さなくても構わない。また、半導体406cを有さなくても構わない。また、絶縁体
408を有さなくても構わない。また、絶縁体418を有さなくても構わない。
なお、半導体406bは、トランジスタのチャネル形成領域としての機能を有する。また
、導電体404は、トランジスタの第1のゲート電極(フロントゲート電極ともいう。)
としての機能を有する。また、導電体413は、トランジスタの第2のゲート電極(バッ
クゲート電極ともいう。)としての機能を有する。また、導電体416aおよび導電体4
16bは、トランジスタのソース電極およびドレイン電極としての機能を有する。また、
絶縁体408は、バリア層としての機能を有する。絶縁体408は、例えば、酸素または
/および水素をブロックする機能を有する。または、絶縁体408は、例えば、半導体4
06aまたは/および半導体406cよりも、酸素または/および水素をブロックする能
力が高い。
なお、絶縁体402は過剰酸素を含む絶縁体であると好ましい。
例えば、過剰酸素を含む絶縁体は、加熱処理によって酸素を放出する機能を有する絶縁体
である。例えば、過剰酸素を含む酸化シリコン層は、加熱処理などによって酸素を放出す
ることができる酸化シリコン層である。したがって、絶縁体402は膜中を酸素が移動可
能な絶縁体である。即ち、絶縁体402は酸素透過性を有する絶縁体とすればよい。例え
ば、絶縁体402は、半導体406aよりも酸素透過性の高い絶縁体とすればよい。
過剰酸素を含む絶縁体は、半導体406b中の酸素欠損を低減させる機能を有する場合が
ある。半導体406b中で酸素欠損は、DOSを形成し、正孔トラップなどとなる。また
、酸素欠損のサイトに水素が入ることによって、キャリアである電子を生成することがあ
る。したがって、半導体406b中の酸素欠損を低減することで、トランジスタに安定し
た電気特性を付与することができる。
ここで、加熱処理によって酸素を放出する絶縁体は、TDS分析にて、100℃以上70
0℃以下または100℃以上500℃以下の表面温度の範囲で1×1018atoms/
cm以上、1×1019atoms/cm以上または1×1020atoms/cm
以上の酸素(酸素原子数換算)を放出することもある。
ここで、TDS分析を用いた酸素の放出量の測定方法について、以下に説明する。
測定試料をTDS分析したときの気体の全放出量は、放出ガスのイオン強度の積分値に比
例する。そして標準試料との比較により、気体の全放出量を計算することができる。
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコン基板のTDS分析結果、および
測定試料のTDS分析結果から、測定試料の酸素分子の放出量(NO2)は、下に示す式
で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量電荷比32で検出されるガス
の全てが酸素分子由来と仮定する。CHOHの質量電荷比は32であるが、存在する可
能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17の
酸素原子および質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比
率が極微量であるため考慮しない。
O2=NH2/SH2×SO2×α
H2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試
料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。ここで、標準試料の基準値を、N
H2/SH2とする。SO2は、測定試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値で
ある。αは、TDS分析におけるイオン強度に影響する係数である。上に示す式の詳細に
関しては、特開平6−275697公報を参照する。なお、上記酸素の放出量は、電子科
学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD−WA1000S/Wを用い、標準試料として、
例えば1×1016atoms/cmの水素原子を含むシリコン基板を用いて測定する
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原
子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分
子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量につ
いても見積もることができる。
なお、NO2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの放出量は、酸素分子
の放出量の2倍となる。
または、加熱処理によって酸素を放出する絶縁体は、過酸化ラジカルを含むこともある。
具体的には、過酸化ラジカルに起因するスピン密度が、5×1017spins/cm
以上であることをいう。なお、過酸化ラジカルを含む絶縁体は、ESRにて、g値が2.
01近傍に非対称の信号を有することもある。
または、過剰酸素を含む絶縁体は、酸素が過剰な酸化シリコン(SiO(X>2))で
あってもよい。酸素が過剰な酸化シリコン(SiO(X>2))は、シリコン原子数の
2倍より多い酸素原子を単位体積当たりに含むものである。単位体積当たりのシリコン原
子数および酸素原子数は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford B
ackscattering Spectrometry)により測定した値である。
図11(B)に示すように、半導体406bの側面は、導電体416aおよび導電体41
6bと接する。また、導電体404の電界によって、半導体406bを電気的に取り囲む
ことができる(導電体から生じる電界によって、半導体を電気的に取り囲むトランジスタ
の構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。
)。そのため、半導体406bの全体(バルク)にチャネルが形成される場合がある。s
−channel構造では、トランジスタのソース−ドレイン間に大電流を流すことがで
き、導通時の電流(オン電流)を高くすることができる。
高いオン電流が得られるため、s−channel構造は、微細化されたトランジスタに
適した構造といえる。トランジスタを微細化できるため、該トランジスタを有する半導体
装置は、集積度の高い、高密度化された半導体装置とすることが可能となる。例えば、ト
ランジスタは、チャネル長が好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、
より好ましくは20nm以下の領域を有し、かつ、トランジスタは、チャネル幅が好まし
くは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の領域
を有する。
また、導電体413に、ソース電極よりも低い電圧または高い電圧を印加し、トランジス
タのしきい値電圧をプラス方向またはマイナス方向へ変動させてもよい。例えば、トラン
ジスタのしきい値電圧をプラス方向に変動させることで、ゲート電圧が0Vであってもト
ランジスタが非導通状態(オフ状態)となる、ノーマリーオフが実現できる場合がある。
なお、導電体413に印加する電圧は、可変であってもよいし、固定であってもよい。導
電体413に印加する電圧を可変にする場合、電圧を制御する回路を導電体413と電気
的に接続してもよい。
次に、半導体406a、半導体406b、半導体406cなどに適用可能な半導体につい
て説明する。
半導体406bは、例えば、インジウムを含む酸化物半導体である。半導体406bは、
例えば、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、半導体
406bは、元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム、ガリウム
、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホ
ウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、
モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステンなど
がある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。例えば、酸素との結合エ
ネルギーがインジウムよりも高い元素である。または、元素Mは、例えば、酸化物半導体
のエネルギーギャップを大きくする機能を有する元素である。また、半導体406bは、
亜鉛を含むと好ましい。酸化物半導体は、亜鉛を含むと結晶化しやすくなる場合がある。
ただし、半導体406bは、インジウムを含む酸化物半導体に限定されない。半導体40
6bは、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物などの、インジウムを含まず、亜
鉛を含む酸化物半導体、ガリウムを含む酸化物半導体、スズを含む酸化物半導体などであ
っても構わない。
半導体406bは、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。半導体406
bのエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8
eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
例えば、半導体406aおよび半導体406cは、半導体406bを構成する酸素以外の
元素一種以上、または二種以上から構成される酸化物半導体である。半導体406bを構
成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から半導体406aおよび半導体406
cが構成されるため、半導体406aと半導体406bとの界面、および半導体406b
と半導体406cとの界面において、界面準位が形成されにくい。
半導体406a、半導体406bおよび半導体406cは、少なくともインジウムを含む
と好ましい。なお、半導体406aがIn−M−Zn酸化物のとき、InおよびMの和を
100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50
atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75a
tomic%より高いとする。また、半導体406bがIn−M−Zn酸化物のとき、I
nおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが25atomic
%より高く、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%
より高く、Mが66atomic%未満とする。また、半導体406cがIn−M−Zn
酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが
50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが2
5atomic%未満、Mが75atomic%より高くする。なお、半導体406cは
、半導体406aと同種の酸化物を用いても構わない。ただし、半導体406aまたは/
および半導体406cがインジウムを含まなくても構わない場合がある。例えば、半導体
406aまたは/および半導体406cが酸化ガリウムであっても構わない。
半導体406bは、半導体406aおよび半導体406cよりも電子親和力の大きい酸化
物を用いる。例えば、半導体406bとして、半導体406aおよび半導体406cより
も電子親和力の0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV
以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお、
電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
なお、インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する
。そのため、半導体406cがインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原
子割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さら
に好ましくは90%以上とする。
なお、半導体406aの組成は、図8に示した太線の組成の近傍であることが好ましい。
なお、半導体406bの組成は、図8に示した太線の組成の近傍であることが好ましい。
なお、半導体406cの組成は、図8に示した太線の組成の近傍であることが好ましい。
こうすることで、トランジスタのチャネル形成領域を、単結晶構造を有する領域とするこ
とができる。または、トランジスタのチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域
を、単結晶構造を有する領域とすることができる場合がある。トランジスタのチャネル形
成領域が単結晶構造を有する領域とすることで、トランジスタの周波数特性を高くするこ
とができる場合がある。
このとき、ゲート電圧を印加すると、半導体406a、半導体406b、半導体406c
のうち、電子親和力の大きい半導体406bにチャネルが形成される。
ここで、半導体406aと半導体406bとの間には、半導体406aと半導体406b
との混合領域を有する場合がある。また、半導体406bと半導体406cとの間には、
半導体406bと半導体406cとの混合領域を有する場合がある。混合領域は、界面準
位密度が低くなる。そのため、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cの
積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合とも
いう。)バンド構造となる。
このとき、電子は、半導体406a中および半導体406c中ではなく、半導体406b
中を主として移動する。上述したように、半導体406aおよび半導体406bの界面に
おける界面準位密度、半導体406bと半導体406cとの界面における界面準位密度を
低くすることによって、半導体406b中で電子の移動が阻害されることが少なく、トラ
ンジスタのオン電流を高くすることができる。
トランジスタのオン電流は、電子の移動を阻害する要因を低減するほど、高くすることが
できる。例えば、電子の移動を阻害する要因のない場合、効率よく電子が移動すると推定
される。電子の移動は、例えば、チャネル形成領域の物理的な凹凸が大きい場合にも阻害
される。
トランジスタのオン電流を高くするためには、例えば、半導体406bの上面または下面
(被形成面、ここでは半導体406a)の、1μm×1μmの範囲における二乗平均平方
根(RMS:Root Mean Square)粗さが1nm未満、好ましくは0.6
nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満とすればよ
い。また、1μm×1μmの範囲における平均面粗さ(Raともいう。)が1nm未満、
好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4n
m未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における最大高低差(P−Vともいう
。)が10nm未満、好ましくは9nm未満、さらに好ましくは8nm未満、より好まし
くは7nm未満とすればよい。RMS粗さ、RaおよびP−Vは、エスアイアイ・ナノテ
クノロジー株式会社製走査型プローブ顕微鏡システムSPA−500などを用いて測定す
ることができる。
または、例えば、チャネルの形成される領域中の欠陥準位密度が高い場合にも、電子の移
動は阻害される。
例えば、半導体406bが酸素欠損(Vとも表記。)を有する場合、酸素欠損のサイト
に水素が入り込むことでドナー準位を形成することがある。以下では酸素欠損のサイトに
水素が入り込んだ状態をVHと表記する場合がある。VHは電子を散乱するため、ト
ランジスタのオン電流を低下させる要因となる。なお、酸素欠損のサイトは、水素が入る
よりも酸素が入る方が安定する。したがって、半導体406b中の酸素欠損を低減するこ
とで、トランジスタのオン電流を高くすることができる場合がある。
半導体406bの酸素欠損を低減するために、例えば、絶縁体402に含まれる過剰酸素
を、半導体406aを介して半導体406bまで移動させる方法などがある。この場合、
半導体406aは、酸素透過性を有する層(酸素を通過または透過させる層)であること
が好ましい。
なお、トランジスタがs−channel構造を有する場合、半導体406bの全体にチ
ャネルが形成される。したがって、半導体406bが厚いほどチャネル領域は大きくなる
。即ち、半導体406bが厚いほど、トランジスタのオン電流を高くすることができる。
例えば、20nm以上、好ましくは40nm以上、さらに好ましくは60nm以上、より
好ましくは100nm以上の厚さの領域を有する半導体406bとすればよい。ただし、
半導体装置の生産性が低下する場合があるため、例えば、300nm以下、好ましくは2
00nm以下、さらに好ましくは150nm以下の厚さの領域を有する半導体406bと
すればよい。
また、トランジスタのオン電流を高くするためには、半導体406cの厚さは小さいほど
好ましい。例えば、10nm未満、好ましくは5nm以下、さらに好ましくは3nm以下
の領域を有する半導体406cとすればよい。一方、半導体406cは、チャネルの形成
される半導体406bへ、隣接する絶縁体を構成する酸素以外の元素(水素、シリコンな
ど)が入り込まないようブロックする機能を有する。そのため、半導体406cは、ある
程度の厚さを有することが好ましい。例えば、0.3nm以上、好ましくは1nm以上、
さらに好ましくは2nm以上の厚さの領域を有する半導体406cとすればよい。また、
半導体406cは、絶縁体402などから放出される酸素の外方拡散を抑制するために、
酸素をブロックする性質を有すると好ましい。
また、信頼性を高くするためには、半導体406aは厚く、半導体406cは薄いことが
好ましい。例えば、10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm
以上、より好ましくは60nm以上の厚さの領域を有する半導体406aとすればよい。
半導体406aの厚さを、厚くすることで、隣接する絶縁体と半導体406aとの界面か
らチャネルの形成される半導体406bまでの距離を離すことができる。ただし、半導体
装置の生産性が低下する場合があるため、例えば、200nm以下、好ましくは120n
m以下、さらに好ましくは80nm以下の厚さの領域を有する半導体406aとすればよ
い。
例えば、半導体406bと半導体406aとの間に、例えば、二次イオン質量分析法(S
IMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)において
、1×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm
満、さらに好ましくは2×1018atoms/cm未満のシリコン濃度となる領域を
有する。また、半導体406bと半導体406cとの間に、SIMSにおいて、1×10
19atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに
好ましくは2×1018atoms/cm未満のシリコン濃度となる領域を有する。
また、半導体406bの水素濃度を低減するために、半導体406aおよび半導体406
cの水素濃度を低減すると好ましい。半導体406aおよび半導体406cは、SIMS
において、2×1020atoms/cm以下、好ましくは5×1019atoms/
cm以下、より好ましくは1×1019atoms/cm以下、さらに好ましくは5
×1018atoms/cm以下の水素濃度となる領域を有する。また、半導体406
bの窒素濃度を低減するために、半導体406aおよび半導体406cの窒素濃度を低減
すると好ましい。半導体406aおよび半導体406cは、SIMSにおいて、5×10
19atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好
ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atom
s/cm以下の窒素濃度となる領域を有する。
上述の3層構造は一例である。例えば、半導体406aまたは半導体406cのない2層
構造としても構わない。または、半導体406aの上もしくは下、または半導体406c
上もしくは下に、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cとして例示した
半導体のいずれか一を有する4層構造としても構わない。または、半導体406aの上、
半導体406aの下、半導体406cの上、半導体406cの下のいずれか二箇所以上に
、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cとして例示した半導体のいずれ
か一を有するn層構造(nは5以上の整数)としても構わない。
基板400としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板または導電体基板を用いればよい
。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコ
ニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体
基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、または炭化シリ
コン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウ
ムなどの化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を
有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板な
どがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などが
ある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さら
には、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または絶
縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある。
または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子と
しては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
また、基板400として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトラン
ジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トラン
ジスタを剥離し、可とう性基板である基板400に転置する方法もある。その場合には、
非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。なお、基板400として
、繊維を編みこんだシート、フィルムまたは箔などを用いてもよい。また、基板400が
伸縮性を有してもよい。また、基板400は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形
状に戻る性質を有してもよい。または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板4
00の厚さは、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm
以下、さらに好ましくは15μm以上300μm以下とする。基板400を薄くすると、
半導体装置を軽量化することができる。また、基板400を薄くすることで、ガラスなど
を用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に
戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などによって基板400上の半導体装置に
加わる衝撃などを緩和することができる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することができ
る。
可とう性基板である基板400としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、ま
たはそれらの繊維などを用いることができる。可とう性基板である基板400は、線膨張
率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可とう性基板である基板400とし
ては、例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、5×10−5/K以下、または1×1
−5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリ
オレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、
アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可とう性基板である基板
400として好適である。
導電体413としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミ
ニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イット
リウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよ
びタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、
合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体
、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンお
よび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
絶縁体402としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、ア
ルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム
、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層
で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体402としては、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、
酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン
、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
絶縁体402は、基板400からの不純物の拡散を防止する役割を有してもよい。また、
半導体406bが酸化物半導体である場合、絶縁体402は、半導体406bに酸素を供
給する役割を担うことができる。
導電体416aおよび導電体416bとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、
シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、
亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウ
ム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で
用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅お
よびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素
を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
絶縁体412としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、ア
ルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム
、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層
で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体412としては、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、
酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン
、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
導電体404としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミ
ニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イット
リウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよ
びタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、
合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体
、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンお
よび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
絶縁体408としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、ア
ルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム
、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層
で、または積層で用いればよい。絶縁体408は、好ましくは酸化アルミニウム、窒化酸
化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化
ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを含む絶縁体を、単層で、
または積層で用いればよい。
絶縁体418としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、ア
ルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム
、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層
で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体418としては、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、
酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン
、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
なお、図11では、トランジスタの第1のゲート電極である導電体404と第2のゲート
電極である導電体413とが、電気的に接続しない例を示したが、本発明の一態様に係る
トランジスタの構造はこれに限定されない。例えば、図12(A)に示すように、導電体
404と導電体413とが電気的に接続する構造であっても構わない。このような構成と
することで、導電体404と導電体413とに同じ電位が供給されるため、トランジスタ
のスイッチング特性を向上させることができる。または、図12(B)に示すように、導
電体413を有さない構造であっても構わない。
また、図13(A)は、トランジスタの上面図の一例である。図13(A)の一点鎖線F
1−F2および一点鎖線F3−F4に対応する断面図の一例を図13(B)に示す。なお
、図13(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
また、図11などではソース電極およびドレイン電極として機能する導電体416aおよ
び導電体416bが半導体406bの上面および側面、絶縁体402の上面などと接する
例を示したが、本発明の一態様に係るトランジスタの構造はこれに限定されない。例えば
、図13に示すように、導電体416aおよび導電体416bが半導体406bの上面の
みと接する構造であっても構わない。
また、図13(B)に示すように、絶縁体418上に絶縁体428を有してもよい。絶縁
体428は、上面が平坦な絶縁体であると好ましい。なお、絶縁体428は、例えば、ホ
ウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素
、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジ
ム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。例
えば、絶縁体428としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸
化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、
酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムま
たは酸化タンタルを用いればよい。絶縁体428の上面を平坦化するために、化学機械研
磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法などに
よって平坦化処理を行ってもよい。
または、絶縁体428は、樹脂を用いてもよい。例えば、ポリイミド、ポリアミド、アク
リル、シリコーンなどを含む樹脂を用いればよい。樹脂を用いることで、絶縁体428の
上面を平坦化処理しなくてもよい場合がある。また、樹脂は短い時間で厚い膜を成膜する
ことができるため、生産性を高めることができる。
また、図13(A)および図13(B)に示すように、絶縁体428上に導電体424a
および導電体424bを有してもよい。導電体424aおよび導電体424bは、例えば
、配線としての機能を有する。また、絶縁体428が開口部を有し、該開口部を介して導
電体416aと導電体424aとが電気的に接続しても構わない。また、絶縁体428が
別の開口部を有し、該開口部を介して導電体416bと導電体424bとが電気的に接続
しても構わない。このとき、それぞれの開口部内に導電体426a、導電体426bを有
しても構わない。
導電体424aおよび導電体424bとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、
シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、
亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウ
ム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で
用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅お
よびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素
を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
図13に示すトランジスタは、導電体416aおよび導電体416bは、半導体406b
の側面と接しない。したがって、第1のゲート電極として機能する導電体404から半導
体406bの側面に向けて印加される電界が、導電体416aおよび導電体416bによ
って遮蔽されにくい構造である。また、導電体416aおよび導電体416bは、絶縁体
402の上面と接しない。そのため、絶縁体402から放出される過剰酸素(酸素)が導
電体416aおよび導電体416bを酸化させるために消費されない。したがって、絶縁
体402から放出される過剰酸素(酸素)を、半導体406bの酸素欠損を低減するため
に効率的に利用することのできる構造である。即ち、図13に示す構造のトランジスタは
、高いオン電流、高い電界効果移動度、低いサブスレッショルドスイング値、高い信頼性
などを有する優れた電気特性のトランジスタである。
図14(A)および図14(B)は、本発明の一態様のトランジスタの上面図および断面
図である。図14(A)は上面図であり、図14(B)は、図14(A)に示す一点鎖線
G1−G2、および一点鎖線G3−G4に対応する断面図である。なお、図14(A)の
上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
トランジスタは、図14に示すように、導電体416aおよび導電体416bを有さず、
導電体426aおよび導電体426bと、半導体406bとが接する構造であっても構わ
ない。この場合、半導体406bまたは/および半導体406aの、少なくとも導電体4
26aおよび導電体426bと接する領域に低抵抗領域423a(低抵抗領域423b)
を設けると好ましい。低抵抗領域423aおよび低抵抗領域423bは、例えば、導電体
404などをマスクとし、半導体406bまたは/および半導体406aに不純物を添加
することで形成すればよい。なお、導電体426aおよび導電体426bが、半導体40
6bの孔(貫通しているもの)または窪み(貫通していないもの)に設けられていても構
わない。導電体426aおよび導電体426bが、半導体406bの孔または窪みに設け
られることで、導電体426aおよび導電体426bと、半導体406bとの接触面積が
大きくなるため、接触抵抗の影響を小さくすることができる。即ち、トランジスタのオン
電流を大きくすることができる。
<トランジスタ構造2>
図15(A)および図15(B)は、本発明の一態様のトランジスタの上面図および断面
図である。図15(A)は上面図であり、図15(B)は、図15(A)に示す一点鎖線
J1−J2、および一点鎖線J3−J4に対応する断面図である。なお、図15(A)の
上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
図15(A)および図15(B)に示すトランジスタは、基板600上の導電体604と
、導電体604上の絶縁体612と、絶縁体612上の半導体606aと、半導体606
a上の半導体606bと、半導体606b上の半導体606cと、半導体606a、半導
体606bおよび半導体606cと接し、間隔を開けて配置された導電体616aおよび
導電体616bと、半導体606c上、導電体616a上および導電体616b上の絶縁
体618と、を有する。なお、導電体604は、絶縁体612を介して半導体606bの
下面と面する。また、絶縁体612が凸部を有しても構わない。また、基板600と導電
体604の間に絶縁体を有しても構わない。該絶縁体は、絶縁体402や絶縁体408に
ついての記載を参照する。また、半導体606aを有さなくても構わない。また、絶縁体
618を有さなくても構わない。
なお、半導体606bは、トランジスタのチャネル形成領域としての機能を有する。また
、導電体604は、トランジスタの第1のゲート電極(フロントゲート電極ともいう。)
としての機能を有する。また、導電体616aおよび導電体616bは、トランジスタの
ソース電極およびドレイン電極としての機能を有する。
なお、絶縁体618は過剰酸素を含む絶縁体であると好ましい。
なお、基板600は、基板400についての記載を参照する。また、導電体604は、導
電体404についての記載を参照する。また、絶縁体612は、絶縁体412についての
記載を参照する。また、半導体606aは、半導体406cについての記載を参照する。
また、半導体606bは、半導体406bについての記載を参照する。また、半導体60
6cは、半導体406aについての記載を参照する。また、導電体616aおよび導電体
616bは、導電体416aおよび導電体416bについての記載を参照する。また、絶
縁体618は、絶縁体402についての記載を参照する。
なお、絶縁体618上には、表示素子が設けられていてもよい。例えば、画素電極、液晶
層、共通電極、発光層、有機EL層、陽極、陰極などが設けられていてもよい。表示素子
は、例えば、導電体616aなどと接続されている。
また、図16(A)は、トランジスタの上面図の一例である。図16(A)の一点鎖線K
1−K2および一点鎖線K3−K4に対応する断面図の一例を図16(B)に示す。なお
、図16(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
なお、半導体の上に、チャネル保護膜として機能させることができる絶縁体を配置しても
よい。例えば、図16に示すように、導電体616aおよび導電体616bと、半導体6
06cとの間に、絶縁体620を配置してもよい。その場合、導電体616a(導電体6
16b)と半導体606cとは、絶縁体620中の開口部を介して接続される。絶縁体6
20は、絶縁体618についての記載を参照すればよい。
なお、図15(B)や図16(B)において、絶縁体618の上に、導電体613を配置
してもよい。その場合の例を図17(A)および図17(B)に示す。なお、導電体61
3については、導電体413についての記載を参照する。また、導電体613には、導電
体604と同じ電位や同じ信号が供給されてもよいし、異なる電位や信号が供給されても
よい。例えば、導電体613に、一定の電位を供給して、トランジスタのしきい値電圧を
制御してもよい。つまり、導電体613は、第2のゲート電極としての機能を有すること
ができる。また、導電体613などによってs−channel構造を形成していても構
わない。
<PLD法>
以下では、上述した成膜モデルとは異なる成膜メカニズムを有するPLD(Pulsed
Laser Deposition)法によって成膜したIn−Ga−Zn酸化物につ
いて説明する。
試料の作製方法を説明する。まず、シリコン基板を準備する。次に、熱酸化膜を100n
mの厚さで形成する。次に、PLD法によって、In−Ga−Zn酸化物を成膜すること
で試料を作製する。
なお、ターゲットとしては、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]である多結晶I
n−Ga−Zn酸化物を用いる。また、ターゲットのアブレーションには、Nd:YAG
レーザ装置を用いた波長が266nmのレーザ光を、出力0.1W、パルス周波数10H
zで用いる。
また、In−Ga−Zn酸化物の成膜は、圧力を変えて4条件とした。試料1はターボ分
子ポンプで排気したままの圧力である2.6×10−5Paとして成膜したIn−Ga−
Zn酸化物であり、試料2は酸素ガスを用い圧力を1.0×10−3Paとして成膜した
In−Ga−Zn酸化物であり、試料3は酸素ガスを用い圧力を0.7Paとして成膜し
たIn−Ga−Zn酸化物であり、試料4は酸素ガスを用い圧力を7.0Paとして成膜
したIn−Ga−Zn酸化物である。なお、成膜時間は各30分、基板温度は室温とした
次に、試料1乃至試料4の高分解能断面TEM像を取得した。なお、高分解能断面TEM
像の取得は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用い、加速電圧300kVで行っ
た。
図24に、試料1の高分解能断面TEM像を示す。なお、図24(A)は、膜の厚さ方向
の全体が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。図24(A)より、膜の厚
さは70nm程度であった。また、図24(B)および図24(C)は、それぞれ膜の最
上部および膜の最下部が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。また、図2
4(D)、図24(E)および図24(F)は、それぞれ膜の最上部、膜の中央部および
膜の最下部をさらに高倍率で取得した高分解能断面TEM像である。
図25に、試料2の高分解能断面TEM像を示す。なお、図25(A)は、膜の厚さ方向
の全体が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。図25(A)より、膜の厚
さは68nm程度であった。また、図25(B)および図25(C)は、それぞれ膜の最
上部および膜の最下部が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。また、図2
5(D)、図25(E)および図25(F)は、それぞれ膜の最上部、膜の中央部および
膜の最下部をさらに高倍率で取得した高分解能断面TEM像である。
図26に、試料3の高分解能断面TEM像を示す。なお、図26(A)は、膜の厚さ方向
の全体が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。図26(A)より、膜の厚
さは56nm程度であった。また、図26(B)および図26(C)は、それぞれ膜の最
上部および膜の最下部が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。また、図2
6(D)、図26(E)および図26(F)は、それぞれ膜の最上部、膜の中央部および
膜の最下部をさらに高倍率で取得した高分解能断面TEM像である。
図27に、試料4の高分解能断面TEM像を示す。なお、図27(A)および図27(B
)は、膜の厚さ方向の全体が収まる倍率で取得した高分解能断面TEM像である。図27
(A)および図27(B)より、膜の厚さは26nm程度であった。また、図27(C)
および図27(D)は、それぞれ膜の最上部および膜の最下部が収まる倍率で取得した高
分解能断面TEM像である。
さらに、試料1乃至試料4の任意の領域に対し、ナノビーム電子回折による回折パターン
を取得した。なお、ナノビーム電子回折による回折パターンの取得は、日立電界放出形透
過電子顕微鏡HF−2000を用い、加速電圧を200kV、プローブ径を1nm、カメ
ラ長を0.8mとして行った。また、ナノビーム電子回折の取得箇所を示す高分解能断面
TEM像の取得は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用い、加速電圧300kV
で行った。
図28(A)に、試料1の高分解能断面TEM像を示す。また、図28(B)、図28(
C)および図28(D)には、それぞれ図28(A)のナノビーム電子回折の測定領域1
、測定領域2および測定領域3に対応する回折パターンを示す。
図28(B)を解析すると、スポットAのd値は0.278nm、スポットBのd値は0
.095nm、スポットCのd値は0.108nmであった。これは、菱面体晶を有する
InGaZnOにおける、(1 0 2)面(A´と表記する。)のd値0.279n
m、(3 −3 0)面(B´と表記する。)のd値0.095nm、(2 −3 −2
)面(C´と表記する。)のd値0.107nmとよく一致する。また、∠AOBは60
.2°、∠AOCは79.9°、∠BOCは19.7°であった。これは、∠A´OB´
の60.8°、∠A´OC´の80.4°、∠B´OC´の19.7°ともよく一致する
。したがって、図28(B)に示す回折パターンは、菱面体晶を有するInGaZnO
に帰属することができる。即ち、図28(B)の測定領域の近傍は、菱面体晶を有するI
nGaZnOの結晶部の可能性がある。なお、菱面体晶を有するInGaZnOに関
するデータは、JCPDSカードNo.38−1104を参照した。
なお、図28(B)を、六方晶を有するInGaZnOに対しての帰属を試みると
、(1 0 −2)面(A´と表記する。)のd値0.281nm、(3 −3 1)面
(B´と表記する。)のd値0.095nm、(2 −3 3)面(C´と表記する。)
のd値0.108nmとよく一致する。また、∠A´OB´の61.0°、∠A´OC´
の80.6°、∠B´OC´の19.6°ともよく一致する。したがって、図28(B)
に示す回折パターンは、六方晶を有するInGaZnOに帰属することができる。
即ち、図28(B)の測定領域の近傍は、六方晶を有するInGaZnOの結晶部
の可能性がある。なお、六方晶を有するInGaZnOに関するデータは、JCP
DSカードNo.38−1097を参照した。
また、図28(C)を解析すると、スポットDのd値は0.166nm、スポットEのd
値は0.143nm、スポットFのd値は0.275nmであった。これは、菱面体晶を
有するInGaZnOにおける、(1 1 0)面(D´と表記する。)のd値0.1
65nm、(2 0 2)面(E´と表記する。)のd値0.142nm、(1 −1
2)面(F´と表記する。)のd値0.279nmとよく一致する。また、∠DOEは3
2.1°、∠DOFは89.7°、∠EOFは57.6°であった。これは、∠D´OE
´の30.6°、∠D´OF´の90.0°、∠E´OF´の59.4°ともよく一致す
る。したがって、図28(C)に示す回折パターンは、菱面体晶を有するInGaZnO
に帰属することができる。即ち、図28(C)の測定領域の近傍は、菱面体晶を有する
InGaZnOの結晶部の可能性がある。
なお、図28(C)を、六方晶を有するInGaZnOに対しての帰属を試みると
、(2 −1 0)面(D´と表記する。)のd値0.165nm、(2 −2 4)面
(E´と表記する。)のd値0.141nm、(0 −1 4)面(F´と表記する。)
のd値0.267nmとよく一致する。また、∠D´OE´の31.8°、∠D´OF´
の90.0°、∠E´OF´の58.2°ともよく一致する。したがって、図28(C)
に示す回折パターンは、六方晶を有するInGaZnOに帰属することができる。
即ち、図28(C)の測定領域の近傍は、六方晶を有するInGaZnOの結晶部
の可能性がある。
また、図28(D)を解析すると、リング状の領域内に複数のスポットが観測されること
から、nc−OSの回折パターンであることがわかる。ここでは、このような領域を、便
宜上nc−OS部と呼ぶ。
さらに試料1の別の観察箇所において、ナノビーム電子回折を測定し、回折パターンを取
得した。図39(A)は、試料1の高分解能断面TEM像を示す。また、図39(B)お
よび図39(C)には、それぞれ図39(A)のナノビーム電子回折の測定領域1および
測定領域2に対応する回折パターンおよびスポットの帰属を示す。測定領域1における回
折パターンは、六方晶を有するInGaZnOの[631]方向から電子を入射さ
せたときの回折パターンに帰属することができる。また、測定領域2は、nc−OSの回
折パターンであることがわかる。
図28および図39より、試料1は、結晶部間で回折パターンが異なることがわかる。ま
た、結晶構造に帰属することが可能なスポットの観察されない領域は、nc−OSの構造
を有することがわかる。また、図24に示す高分解能断面TEM像などより、異なる結晶
部間、および結晶部とnc−OS部との間において、明確な結晶粒界を確認することがで
きない。このような特徴から、試料1は、微結晶構造に分類することができる。
次に、試料2に対して、ナノビーム電子回折の回折パターンを測定した。図29(A)に
、試料2の高分解能断面TEM像を示す。また、図29(B)、図29(C)および図2
9(D)には、それぞれ図29(A)のナノビーム電子回折の測定領域1、測定領域2お
よび測定領域3に対応する回折パターンを示す。
図29(B)を解析すると、スポットGのd値は0.277nmであった。また、そのほ
かには明確なスポットが確認されず、特定の結晶構造に帰属することは困難であった。
また、図29(C)を解析すると、スポットHのd値は0.138nm、スポットIのd
値は0.140nm、スポットJのd値は0.162nmであった。これは、菱面体晶を
有するInGaZnOにおける、(1 0 −17)面(H´と表記する。)のd値0
.135nm、(2 0 −4)面(I´と表記する。)のd値0.140nm、(1
0 13)面(J´と表記する。)のd値0.162nmとよく一致する。また、∠HO
Iは49.6°、∠HOJは115.9°、∠IOJは66.3°であった。これは、∠
H´OI´の49.4°、∠H´OJ´の116.6°、∠I´OJ´の67.2°とも
よく一致する。したがって、図29(C)に示す回折パターンは、菱面体晶を有するIn
GaZnOに帰属することができる。即ち、図29(C)の測定領域の近傍は、菱面体
晶を有するInGaZnOの結晶部の可能性がある。なお、図29(C)の測定領域の
近傍についても、図28(B)および図28(C)の測定領域の近傍と同様に、六方晶を
有するInGaZnOの結晶部の可能性がある。
また、図29(D)を解析すると、リング状の領域内に複数のスポットが観測されること
から、nc−OSの回折パターンであることがわかる。
さらに試料2の別の観察箇所において、ナノビーム電子回折を測定し、回折パターンを取
得した。図40(A)は、試料2の高分解能断面TEM像を示す。また、図40(B)お
よび図40(C)には、それぞれ図40(A)のナノビーム電子回折の測定領域1および
測定領域2に対応する回折パターンおよびスポットの帰属を示す。測定領域1における回
折パターンは、六方晶を有するInGaZnOの[631]方向から電子を入射さ
せたときの回折パターンに帰属することができる。また、測定領域2は、nc−OSの回
折パターンであることがわかる。
図29および図40より、試料2は、結晶部間で回折パターンが異なることがわかる。ま
た、結晶構造に帰属することが可能なスポットの観察されない領域は、nc−OSの構造
を有することがわかる。また、図25に示す高分解能断面TEM像などより、異なる結晶
部間、および結晶部とnc−OS部との間において、明確な結晶粒界を確認することがで
きない。このような特徴から、試料2は、微結晶構造に分類することができる。
次に、試料3に対して、ナノビーム電子回折の回折パターンを測定した。図30(A)、
図30(B)および図30(C)には、それぞれ試料3の最上部、中央部および最下部の
ナノビーム電子回折の測定領域に対応する回折パターンを示す。
図30(A)、図30(B)および図30(C)を解析すると、リング状の領域内に複数
のスポットが観測されることから、nc−OSの回折パターンであることがわかる。した
がって、試料3は、nc−OS構造を有することがわかる。また、図26に示す高分解能
断面TEM像などより、試料3は比較的均質なnc−OS構造に分類することができる。
さらに試料3に対して、結晶部の大きさを計測する。図41(A)は、試料3の結晶部(
30箇所から35箇所)の平均の大きさの変化を調査した例である。図41(A)より、
試料3は、電子照射開始時から電子の累積照射量が7.6×10/nmになるま
での範囲で、電子の累積照射量によらず結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる
。なお、図41(B)に、電子照射開始時における高分解能断面TEM像、および囲み部
を拡大した高分解能断面TEM像を示す。図41(B)より、試料3を拡大することで図
の矢印に挟まれたような結晶部を確認することができる。また、図41(C)に、7.6
×10/nmの電子照射後における高分解能断面TEM像、および囲み部を拡大
した高分解能断面TEM像を示す。図41(C)においても、結晶部を確認することがで
きる。
次に、試料4に対して、ナノビーム電子回折の回折パターンを測定した。図31(A)、
図31(B)および図31(C)には、それぞれ試料4の最上部、中央部および最下部の
ナノビーム電子回折の測定領域に対応する回折パターンを示す。
図31(A)、図31(B)および図31(C)を解析すると、リング状の領域内に複数
のスポットが観測されることから、nc−OSの回折パターンであることがわかる。また
、図27に示す高分解能断面TEM像などより、試料4は一部に鬆を有することがわかる
。したがって、試料4は、a−like OS構造に分類することができる。
さらに試料4に対して、結晶部の大きさを計測する。図42(A)は、試料4の結晶部(
20箇所から30箇所)の平均の大きさの変化を調査した例である。図42(A)より、
試料4は、電子照射開始時から電子の累積照射量が7.6×10/nmになるま
での範囲で、電子の累積照射量によって結晶部の大きさに変化が見られる。なお、図42
(B)に、電子照射開始時における高分解能断面TEM像、および囲み部を拡大した高分
解能断面TEM像を示す。図42(B)より、試料4を拡大することで図の矢印に挟まれ
たような結晶部を確認することができる。また、図42(C)に、9.4×10
nmの電子照射後における高分解能断面TEM像、および囲み部を拡大した高分解能断
面TEM像を示す。図42(C)においても、結晶部を確認することができる。また、結
晶部の大きさ図42(B)と比べて大きくなっていることがわかる。また、図42(D)
に、7.6×10/nmの電子照射後における高分解能断面TEM像、および囲
み部を拡大した高分解能断面TEM像を示す。図42(D)においても、結晶部を確認す
ることができる。また、結晶部の大きさは図42(C)と比べて小さくなっていることが
わかる。
試料4において、結晶部の大きさが一度大きくなり、その後小さくなったことから、電子
照射により成長した結晶部が、さらなる電子照射により壊れた可能性を示している。
試料3および試料4の結晶部の大きさの変化などを表4に示す。
Figure 0006965389
図32および図33は、試料1乃至試料4のXRD装置を用いた解析結果である。XRD
装置を用いた解析は、out−of−plane法の一種である粉末法(θ−2θ法とも
いう。)と、out−of−plane法の一種であるGIXRD(Grazing−I
ncidence XRD)法(薄膜法またはSeemann−Bohlin法ともいう
。)と、によって行った。なお、θー2θ法は、X線の入射角を変化させるとともに、X
線源に対向して設けられる検出器の角度を入射角と同じにしてX線回折強度を測定する方
法である。また、GIXRD法は、X線の入射角をごく浅い角度に固定し、X線源に対向
して設けられる検出器の角度を変化させてX線回折強度を測定する方法である。なお、G
IXRD法では、入射角を0.40°に固定して解析を行った。
図32(A)は試料1のθ−2θ法による解析結果を示し、図32(B)は試料2のθ−
2θ法による解析結果を示し、図32(C)は試料3のθ−2θ法による解析結果を示し
、図32(D)は試料4のθ−2θ法による解析結果を示す。また、図33(A)は試料
1のGIXRD法による解析結果を示し、図33(B)は試料2のGIXRD法による解
析結果を示し、図33(C)は試料3のGIXRD法による解析結果を示し、図33(D
)は試料4のGIXRD法による解析結果を示す。
試料1は、θ−2θ法によって2θが32°から35°の間にやや鋭いピークが観測され
た。また、試料1は、GIXRD法によって、2θが33°から34°の間に鋭いピーク
が観測された。これらの位置に現れるピークに対応する結晶面を明確に帰属することはで
きなかった。そのため、複数の結晶面を示すピークが合わさっている可能性が高い。また
、試料2および試料3は、θ−2θ法によって、2θが25°から40°の間にブロード
なピークが観測された。また、試料2および試料3は、GIXRD法によっても、2θが
25°から40°の間にブロードなピークが観測された。これらのピークは、近距離秩序
性を反映したピークである可能性が高い。また、試料4は、θ−2θ法によって、明確な
ピークが観測されなかった。これは、試料4の膜の厚さが薄いことに起因する可能性が高
い。一方、試料4は、GIXRD法によって、2θが25°から40°の間にブロードな
ピークが観測された。このピークも、近距離秩序性を反映したピークである可能性が高い
PLD法では、レーザ光によって原子状の粒子、イオン状の粒子、分子状の粒子またはク
ラスタ状の粒子などがターゲットより飛び出すことが知られている。この前提のもと、P
LD法で成膜したIn−Ga−Zn酸化物の結晶性の違いについて、以下に考察を述べる
試料1および試料2は、成膜時の圧力が低い。そのため、クラスタ状で飛び出した粒子が
、そのまま被形成面に堆積する割合は比較的高くなる。また、クラスタ状の粒子は、結晶
構造を維持したまま被形成面に堆積するため、膜に結晶部が形成される可能性が高い。な
お、PLD法では、クラスタ状の粒子は、プラズマ中を通過しないため、帯電しない。ま
た、PLD法では、マグネットによる磁場が生じないため、被形成面をクラスタ状の粒子
が移動するための力は与えられない。よって、図3などを用いて説明した成膜モデルとは
異なり、クラスタ状の粒子が被形成面に規則的に堆積することはないといえる。即ち、異
なる結晶部間では、配向性も異なってくる。
また、試料3では、成膜時の圧力が高いことによって、クラスタ状の粒子の平均自由行程
が、試料1および試料2の成膜時よりも短くなる。そのため、クラスタ状の粒子が、被形
成面に堆積する割合が比較的低くなり、原子状の粒子などの小さい粒子がそのまま被形成
面に堆積する割合が高くなる。しかし、そのような状態で堆積されたとしても、ナノビー
ム電子回折の回折パターンにおいてリング状の領域内に複数のスポットが観測されること
から、被形成面におけるマイグレーションにより、ある程度の秩序性を持つnc−OS構
造となることがわかる。
また、試料4では、成膜時の圧力がさらに高いことによって、クラスタ状の粒子の平均自
由行程が、試料1および試料2の成膜時よりも短くなる。また、試料3の成膜時よりも原
子状の粒子などがそのまま被形成面に堆積する量も少なくなる。したがって、被形成面に
堆積する粒子は、堆積するまでの間に何らかの衝突を起こし、エネルギーが低下した粒子
となる。即ち、被形成面上におけるマイグレーションなども起こりにくくなり、密度の低
い膜が成膜される。
以上は、PLD法により室温で成膜したIn−Ga−Zn酸化物の解析結果である。以下
に、PLD法により加熱成膜したIn−Ga−Zn酸化物の解析結果を説明する。なお、
加熱成膜の温度は、基板表面近傍に配置した熱電対を用いて測定した。
図43(A)および図43(B)は、基板表面温度を300℃として成膜したIn−Ga
−Zn酸化物の断面TEM像である。なお、そのほかの成膜条件は試料3と同様である。
図43(A)および図43(B)に示すTEM像は、球面収差補正(Spherical
Aberration Corrector)機能を用いて観察した。TEM像の取得
には、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fを用いた。
なお、図43(B)は、図43(A)の囲み部を拡大したTEM像である。
図43(A)および図43(B)より、PLD法により加熱成膜したIn−Ga−Zn酸
化物には、表面の凹凸および膜内部のムラが見られた。また、加熱成膜であってもCAA
C−OS構造は確認されなかった。
図43(B)と同じ測定箇所において、高角度散乱暗視野走査透過顕微鏡法(ADF−S
TEM:Annular Dark−Field Scanning Transmis
sion Electron Microscopy)による観察像を図44(A)に、
EDX(Energy Dispersion X−Ray Spectroscopy
)によるマッピングを図44(B)、図44(C)、図44(D)および図44(E)に
示す。なお、図44(B)はインジウムのマッピングを示し、図44(C)はガリウムの
マッピングを示し、図44(D)は亜鉛のマッピングを示し、図44(E)は酸素のマッ
ピングを示す。
図44(A)に示す明るい領域には、図44(B)および図44(E)より、インジウム
を含む酸化物が偏析している。したがって、加熱成膜による表面の凹凸および膜内部のム
ラは、インジウムを含む酸化物の偏析によることがわかる。
以上に示したように、PLD法を用いて成膜したIn−Ga−Zn酸化物は、微結晶構造
、nc−OS構造またはa−like OS構造を有するが、CAAC−OS構造を有さ
ない可能性がある。これは、図3などを用いて説明した成膜モデルによって理解すること
ができる。なお、特許文献1などで報告されている微結晶を含む非晶質酸化物は、PLD
法を用いて成膜されていることが明記されている。そのため、ここで報告したIn−Ga
−Zn酸化物と同様の酸化物である可能性がある。ただし、ここで報告したIn−Ga−
Zn酸化物は、ナノビーム電子回折などにより非晶質構造は確認されていないため、異な
る酸化物である可能性もある。
<トランジスタの電気特性>
以下では、PLD法により成膜したIn−Ga−Zn酸化物を用いたトランジスタの電気
特性について説明する。
トランジスタの構造は、図12(B)に示したトランジスタの構造と同様である。よって
、以下では図12(B)などの符号を用いて説明する。ただし、半導体406aおよび半
導体406cは形成していない。なお、半導体406bは、厚さを35nmとした。また
、絶縁体412は、酸化シリコンを用い、厚さを40nmとした。
図45(A)、図45(B)および図45(C)に、半導体406bとして、それぞれP
LD法により上述した試料2の条件、試料3の条件または試料4の条件で成膜したIn−
Ga−Zn酸化物を用いたトランジスタのドレイン電圧Vd4VにおけるId−Vg特性
を示す。チャネル長は50μm、チャネル幅は200μmとした。ここで、Idはドレイ
ン電流を示し、Vgはゲート電圧を示す。
また、図46に、PLD法により試料3の条件で成膜したIn−Ga−Zn酸化物を用い
たトランジスタのId−Vd特性を示す。チャネル長は50μm、チャネル幅は200μ
mとした。
以上により、試料3の条件で成膜したIn−Ga−Zn酸化物を用いたトランジスタは、
良好な電気特性を有することがわかった。また、試料2の条件および試料4の条件は、試
料3の条件と比べてオン電流が小さいことがわかった。
<半導体装置>
以下では、本発明の一態様に係る半導体装置を例示する。
<回路>
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタを利用した回路の一例について説明する。
〔CMOSインバータ〕
図18(A)に示す回路図は、pチャネル型のトランジスタ2200とnチャネル型のト
ランジスタ2100を直列に接続し、かつそれぞれのゲートを接続した、いわゆるCMO
Sインバータの構成を示している。トランジスタ2100は、酸化物半導体を用いたトラ
ンジスタである。
〔CMOSアナログスイッチ〕
また図18(B)に示す回路図は、トランジスタ2100とトランジスタ2200のそれ
ぞれのソースとドレインを接続した構成を示している。このような構成とすることで、い
わゆるCMOSアナログスイッチとして機能させることができる。
〔記憶装置の例〕
本発明の一態様に係るトランジスタを用いた、電力が供給されない状況でも記憶内容の保
持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を図19
に示す。
図19(A)に示す半導体装置は、第1の半導体を用いたトランジスタ3200と第2の
半導体を用いたトランジスタ3300、および容量素子3400を有している。なお、ト
ランジスタ3300としては、上述したトランジスタを用いることができる。
トランジスタ3300は、酸化物半導体を用いたトランジスタである。トランジスタ33
00のオフ電流が小さいことにより、半導体装置の特定のノードに長期にわたり記憶内容
を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、またはリフレ
ッシュ動作の頻度が極めて少なくすることが可能となるため、消費電力の低い半導体装置
となる。
図19(A)において、第1の配線3001はトランジスタ3200のソースと電気的に
接続され、第2の配線3002はトランジスタ3200のドレインと電気的に接続される
。また、第3の配線3003はトランジスタ3300のソース、ドレインの一方と電気的
に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3300のゲートと電気的に接続されて
いる。そして、トランジスタ3200のゲート、およびトランジスタ3300のソース、
ドレインの他方は、容量素子3400の電極の一方と電気的に接続され、第5の配線30
05は容量素子3400の電極の他方と電気的に接続されている。
図19(A)に示す半導体装置は、トランジスタ3200のゲートの電位が保持可能とい
う特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能であ
る。
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トラ
ンジスタ3300が導通状態となる電位にして、トランジスタ3300を導通状態とする
。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3200のゲート、および容
量素子3400の電極の一方と電気的に接続するノードFGに与えられる。即ち、トラン
ジスタ3200のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる
二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という。)
のどちらかが与えられるものとする。その後、第4の配線3004の電位を、トランジス
タ3300が非導通状態となる電位にして、トランジスタ3300を非導通状態とするこ
とにより、ノードFGに電荷が保持される(保持)。
トランジスタ3300のオフ電流は極めて小さいため、ノードFGの電荷は長期間にわた
って保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を与
えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、第2の配線
3002は、ノードFGに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ
3200をnチャネル型とすると、トランジスタ3200のゲートにHighレベル電荷
が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ3200の
ゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_L
り低くなるためである。ここで、見かけ上のしきい値電圧とは、トランジスタ3200を
「導通状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をいうものとする。したがっ
て、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位Vとすることによ
り、ノードFGに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードFG
にHighレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV(>
th_H)となれば、トランジスタ3200は「導通状態」となる。一方、ノードFG
にLowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV(<V
th_L)となっても、トランジスタ3200は「非導通状態」のままである。このため
、第2の配線3002の電位を判別することで、ノードFGに保持されている情報を読み
出すことができる。
なお、メモリセルをアレイ状に配置する場合、読み出し時には、所望のメモリセルの情報
を読み出さなくてはならない。ほかのメモリセルの情報を読み出さないためには、ノード
FGに与えられた電荷によらずトランジスタ3200が「非導通状態」となるような電位
、つまり、Vth_Hより低い電位を第5の配線3005に与えればよい。または、ノー
ドFGに与えられた電荷によらずトランジスタ3200が「導通状態」となるような電位
、つまり、Vth_Lより高い電位を第5の配線3005に与えればよい。
図19(B)に示す半導体装置は、トランジスタ3200を有さない点で図19(A)に
示した半導体装置と異なる。この場合も図19(A)に示した半導体装置と同様の動作に
より情報の書き込みおよび保持動作が可能である。
図19(B)に示す半導体装置における、情報の読み出しについて説明する。トランジス
タ3300が導通状態になると、浮遊状態である第3の配線3003と容量素子3400
とが導通し、第3の配線3003と容量素子3400の間で電荷が再分配される。その結
果、第3の配線3003の電位が変化する。第3の配線3003の電位の変化量は、容量
素子3400の電極の一方の電位(または容量素子3400に蓄積された電荷)によって
、異なる値をとる。
例えば、容量素子3400の電極の一方の電位をV、容量素子3400の容量をC、第3
の配線3003が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の第3の配線3003の
電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の第3の配線3003の電位は、(CB×
VB0+C×V)/(CB+C)となる。したがって、メモリセルの状態として、容量素
子3400の電極の一方の電位がV1とV0(V1>V0)の2つの状態をとるとすると
、電位V1を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+C×V
1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の第3の配線3003の電位(=
(CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
そして、第3の配線3003の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すこと
ができる。
この場合、メモリセルを駆動させるための駆動回路に上記第1の半導体が適用されたトラ
ンジスタを用い、トランジスタ3300として第2の半導体が適用されたトランジスタを
駆動回路上に積層して配置する構成とすればよい。
以上に示した半導体装置は、酸化物半導体を用いたオフ電流の極めて小さいトランジスタ
を適用することで、長期にわたって記憶内容を保持することが可能となる。つまり、リフ
レッシュ動作が不要となるか、またはリフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可
能となるため、消費電力の低い半導体装置を実現することができる。また、電力の供給が
ない場合(ただし、電位は固定されていることが好ましい)であっても、長期にわたって
記憶内容を保持することが可能である。
また、該半導体装置は、情報の書き込みに高い電圧が不要であるため、素子の劣化が起こ
りにくい。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注
入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行わないため、絶縁体の劣化といっ
た問題が全く生じない。即ち、本発明の一態様に係る半導体装置は、従来の不揮発性メモ
リで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上した半導体
装置である。さらに、トランジスタの導通状態、非導通状態によって、情報の書き込みが
行われるため、高速な動作が可能となる。
<CPU>
以下では、上述したトランジスタや上述した記憶装置などの半導体装置を含むCPUにつ
いて説明する。
図20は、上述したトランジスタを一部に用いたCPUの一例の構成を示すブロック図で
ある。
図20に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmet
ic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラク
ションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ
1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1
198、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース1189を有し
ている。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1
199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、
図20に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその
用途によって多種多様な構成を有している。例えば、図20に示すCPUまたは演算回路
を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、それぞれのコアが並列で動作するよ
うな構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、
例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクション
デコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタ
ラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ
1195に入力される。
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントロー
ラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制
御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御する
ための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラ
ム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク
状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアド
レスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう。
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ119
2、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、および
レジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタ
イミングコントローラ1195は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号
CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号CLK2を上記
各種回路に供給する。
図20に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ
1196のメモリセルとして、上述したトランジスタや記憶装置などを用いることができ
る。
図20に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの
指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。即ち、レジスタ1196
が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量素子
によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が選択
されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる。容
量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが行
われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
図21は、レジスタ1196として用いることのできる記憶素子1200の回路図の一例
である。記憶素子1200は、電源遮断で記憶データが揮発する回路1201と、電源遮
断で記憶データが揮発しない回路1202と、スイッチ1203と、スイッチ1204と
、論理素子1206と、容量素子1207と、選択機能を有する回路1220と、を有す
る。回路1202は、容量素子1208と、トランジスタ1209と、トランジスタ12
10と、を有する。なお、記憶素子1200は、必要に応じて、ダイオード、抵抗素子、
インダクタなどのその他の素子をさらに有していてもよい。
ここで、回路1202には、上述した記憶装置を用いることができる。記憶素子1200
への電源電圧の供給が停止した際、回路1202のトランジスタ1209のゲートにはG
ND(0V)、またはトランジスタ1209がオフする電位が入力され続ける構成とする
。例えば、トランジスタ1209のゲートが抵抗等の負荷を介して接地される構成とする
スイッチ1203は、一導電型(例えば、nチャネル型)のトランジスタ1213を用い
て構成され、スイッチ1204は、一導電型とは逆の導電型(例えば、pチャネル型)の
トランジスタ1214を用いて構成した例を示す。ここで、スイッチ1203の第1の端
子はトランジスタ1213のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ1203の第2
の端子はトランジスタ1213のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ1203は
トランジスタ1213のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の
端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1213の導通状態または非導通状
態)が選択される。スイッチ1204の第1の端子はトランジスタ1214のソースとド
レインの一方に対応し、スイッチ1204の第2の端子はトランジスタ1214のソース
とドレインの他方に対応し、スイッチ1204はトランジスタ1214のゲートに入力さ
れる制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、
トランジスタ1214の導通状態または非導通状態)が選択される。
トランジスタ1209のソースとドレインの一方は、容量素子1208の一対の電極のう
ちの一方、およびトランジスタ1210のゲートと電気的に接続される。ここで、接続部
分をノードM2とする。トランジスタ1210のソースとドレインの一方は、低電源電位
を供給することのできる配線(例えばGND線)に電気的に接続され、他方は、スイッチ
1203の第1の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの一方)と電気的に接
続される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの
他方)はスイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一
方)と電気的に接続される。スイッチ1204の第2の端子(トランジスタ1214のソ
ースとドレインの他方)は電源電位VDDを供給することのできる配線と電気的に接続さ
れる。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方
)と、スイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一方
)と、論理素子1206の入力端子と、容量素子1207の一対の電極のうちの一方と、
は電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM1とする。容量素子1207の一対
の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電
源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる
。容量素子1207の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配
線(例えばGND線)と電気的に接続される。容量素子1208の一対の電極のうちの他
方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等
)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子120
8の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND
線)と電気的に接続される。
なお、容量素子1207および容量素子1208は、トランジスタや配線の寄生容量等を
積極的に利用することによって省略することも可能である。
トランジスタ1209のゲートには、制御信号WEが入力される。スイッチ1203およ
びスイッチ1204は、制御信号WEとは異なる制御信号RDによって第1の端子と第2
の端子の間の導通状態または非導通状態を選択され、一方のスイッチの第1の端子と第2
の端子の間が導通状態のとき他方のスイッチの第1の端子と第2の端子の間は非導通状態
となる。
トランジスタ1209のソースとドレインの他方には、回路1201に保持されたデータ
に対応する信号が入力される。図21では、回路1201から出力された信号が、トラン
ジスタ1209のソースとドレインの他方に入力される例を示した。スイッチ1203の
第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号は、
論理素子1206によってその論理値が反転された反転信号となり、回路1220を介し
て回路1201に入力される。
なお、図21では、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとド
レインの他方)から出力される信号は、論理素子1206および回路1220を介して回
路1201に入力する例を示したがこれに限定されない。スイッチ1203の第2の端子
(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号が、論理値を反
転させられることなく、回路1201に入力されてもよい。例えば、回路1201内に、
入力端子から入力された信号の論理値が反転した信号が保持されるノードが存在する場合
に、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)
から出力される信号を当該ノードに入力することができる。
また、図21において、記憶素子1200に用いられるトランジスタのうち、トランジス
タ1209以外のトランジスタは、酸化物半導体以外の半導体でなる膜または基板119
0にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。例えば、シリコン膜または
シリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。また、記憶素子
1200に用いられるトランジスタ全てを、チャネルが酸化物半導体で形成されるトラン
ジスタとすることもできる。または、記憶素子1200は、トランジスタ1209以外に
も、チャネルが酸化物半導体で形成されるトランジスタを含んでいてもよく、残りのトラ
ンジスタは酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成され
るトランジスタとすることもできる。
図21における回路1201には、例えばフリップフロップ回路を用いることができる。
また、論理素子1206としては、例えばインバータやクロックドインバータ等を用いる
ことができる。
本発明の一態様に係る半導体装置では、記憶素子1200に電源電圧が供給されない間は
、回路1201に記憶されていたデータを、回路1202に設けられた容量素子1208
によって保持することができる。
また、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタはオフ電流が極めて小さい。例
えば、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流は、結晶性を有する
シリコンにチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流に比べて著しく低い。そのため
、当該トランジスタをトランジスタ1209として用いることによって、記憶素子120
0に電源電圧が供給されない間も容量素子1208に保持された信号は長期間にわたり保
たれる。こうして、記憶素子1200は電源電圧の供給が停止した間も記憶内容(データ
)を保持することが可能である。
また、スイッチ1203およびスイッチ1204を設けることによって、プリチャージ動
作を行うことを特徴とする記憶素子であるため、電源電圧供給再開後に、回路1201が
元のデータを保持しなおすまでの時間を短くすることができる。
また、回路1202において、容量素子1208によって保持された信号はトランジスタ
1210のゲートに入力される。そのため、記憶素子1200への電源電圧の供給が再開
された後、容量素子1208によって保持された信号を、トランジスタ1210の状態(
導通状態、または非導通状態)に変換して、回路1202から読み出すことができる。そ
れ故、容量素子1208に保持された信号に対応する電位が多少変動していても、元の信
号を正確に読み出すことが可能である。
このような記憶素子1200を、プロセッサが有するレジスタやキャッシュメモリなどの
記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を防ぐこ
とができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復帰
することができる。よって、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、また
は複数の論理回路において、短い時間でも電源停止を行うことができるため、消費電力を
抑えることができる。
記憶素子1200をCPUに用いる例として説明したが、記憶素子1200は、DSP(
Digital Signal Processor)、カスタムLSI、PLD(Pr
ogrammable Logic Device)等のLSI、RF−ID(Radi
o Frequency Identification)にも応用可能である。
<表示装置>
以下では、本発明の一態様に係る表示装置の構成例について説明する。
[構成例]
図22(A)には、本発明の一態様に係る表示装置の上面図を示す。また、図22(B)
には、本発明の一態様に係る表示装置の画素に液晶素子を用いた場合における画素回路を
示す。また、図22(C)には、本発明の一態様に係る表示装置の画素に有機EL素子を
用いた場合における画素回路を示す。
画素に用いるトランジスタは、上述したトランジスタを用いることができる。ここでは、
nチャネル型のトランジスタを用いる例を示す。なお、画素に用いたトランジスタと、同
一工程を経て作製したトランジスタを駆動回路として用いても構わない。このように、画
素や駆動回路に上述したトランジスタを用いることにより、表示品位が高い、または/お
よび信頼性の高い表示装置となる。
アクティブマトリクス型表示装置の一例を図22(A)に示す。表示装置の基板5000
上には、画素部5001、第1の走査線駆動回路5002、第2の走査線駆動回路500
3、信号線駆動回路5004が配置される。画素部5001は、複数の信号線によって信
号線駆動回路5004と電気的に接続され、複数の走査線によって第1の走査線駆動回路
5002、および第2の走査線駆動回路5003と電気的に接続される。なお、走査線と
信号線とによって区切られる領域には、それぞれ表示素子を有する画素が配置されている
。また、表示装置の基板5000は、FPC(Flexible Printed Ci
rcuit)等の接続部を介して、タイミング制御回路(コントローラ、制御ICともい
う)に電気的に接続されている。
第1の走査線駆動回路5002、第2の走査線駆動回路5003および信号線駆動回路5
004は、画素部5001と同じ基板5000上に形成される。そのため、駆動回路を別
途作製する場合と比べて、表示装置を作製するコストを低減することができる。また、駆
動回路を別途作製した場合、配線間の接続数が増える。したがって、同じ基板5000上
に駆動回路を設けることで、配線間の接続数を減らすことができ、信頼性の向上、または
/および歩留まりの向上を図ることができる。
〔液晶表示装置〕
また、画素の回路構成の一例を図22(B)に示す。ここでは、VA型液晶表示装置の画
素などに適用することができる画素回路を示す。
この画素回路は、一つの画素に複数の画素電極を有する構成に適用できる。それぞれの画
素電極は異なるトランジスタに接続され、各トランジスタは異なるゲート信号で駆動でき
るように構成されている。これにより、マルチドメイン設計された画素の個々の画素電極
に印加する信号を、独立して制御できる。
トランジスタ5016の走査線5012と、トランジスタ5017の走査線5013には
、異なるゲート信号を与えることができるように分離されている。一方、信号線5014
は、トランジスタ5016とトランジスタ5017で共通に用いられている。トランジス
タ5016とトランジスタ5017は上述したトランジスタを適宜用いることができる。
これにより、表示品位が高い、または/および信頼性の高い液晶表示装置を提供すること
ができる。
トランジスタ5016と電気的に接続する第1の画素電極と、トランジスタ5017と電
気的に接続する第2の画素電極の形状について説明する。第1の画素電極と第2の画素電
極とは分離されている。なお、第1の画素電極および第2の画素電極の形状としては、特
に限定は無い。例えば、第1の画素電極は、V字状とすればよい。
トランジスタ5016のゲート電極は走査線5012と電気的に接続され、トランジスタ
5017のゲート電極は走査線5013と電気的に接続されている。走査線5012と走
査線5013に異なるゲート信号を与えてトランジスタ5016とトランジスタ5017
の動作タイミングを異ならせ、液晶の配向を制御することができる。
また、容量線5010と、誘電体として機能するゲート絶縁体と、第1の画素電極または
第2の画素電極と電気的に接続する容量電極とで容量素子を形成してもよい。
マルチドメイン構造は、一画素に第1の液晶素子5018と第2の液晶素子5019を備
える。第1の液晶素子5018は第1の画素電極と対向電極とその間の液晶層とで構成さ
れ、第2の液晶素子5019は第2の画素電極と対向電極とその間の液晶層とで構成され
る。
なお、本発明の一態様に係る表示装置は、図22(B)に示す画素回路に限定されない。
例えば、図22(B)に示す画素回路に新たにスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジ
スタ、センサー、または論理回路などを追加してもよい。
〔有機ELパネル〕
画素の回路構成の他の一例を図22(C)に示す。ここでは、有機EL素子を用いた表示
装置の画素構造を示す。
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、有機EL素子が有する一対の電
極の一方から電子が、他方から正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、
電流が流れる。そして、電子および正孔が再結合することにより、発光性の有機化合物が
励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズム
から、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
図22(C)は、画素回路の一例を示す図である。ここでは1つの画素にnチャネル型の
トランジスタを2つ用いる例を示す。なお、nチャネル型のトランジスタには、上述した
トランジスタを用いることができる。また、当該画素回路は、デジタル時間階調駆動を適
用することができる。
適用可能な画素回路の構成およびデジタル時間階調駆動を適用した場合の画素の動作につ
いて説明する。
画素5020は、スイッチング用トランジスタ5021、駆動用トランジスタ5022、
発光素子5024および容量素子5023を有する。スイッチング用トランジスタ502
1は、ゲート電極が走査線5026に接続され、第1電極(ソース電極、ドレイン電極の
一方)が信号線5025に接続され、第2電極(ソース電極、ドレイン電極の他方)が駆
動用トランジスタ5022のゲート電極に接続されている。駆動用トランジスタ5022
は、ゲート電極が容量素子5023を介して電源線5027に接続され、第1電極が電源
線5027に接続され、第2電極が発光素子5024の第1電極(画素電極)に接続され
ている。発光素子5024の第2電極は共通電極5028に相当する。共通電極5028
は、同一基板上に形成される共通電位線と電気的に接続される。
スイッチング用トランジスタ5021および駆動用トランジスタ5022は上述したトラ
ンジスタを用いることができる。これにより、表示品位の高い、または/および信頼性の
高い有機EL表示装置となる。
発光素子5024の第2電極(共通電極5028)の電位は低電源電位に設定する。なお
、低電源電位とは、電源線5027に供給される高電源電位より低い電位であり、例えば
GND、0Vなどを低電源電位として設定することができる。発光素子5024の順方向
のしきい値電圧以上となるように高電源電位と低電源電位を設定し、その電位差を発光素
子5024に印加することにより、発光素子5024に電流を流して発光させる。なお、
発光素子5024の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なく
とも順方向しきい値電圧を含む。
なお、容量素子5023は駆動用トランジスタ5022のゲート容量を代用することによ
り省略できる場合がある。駆動用トランジスタ5022のゲート容量については、チャネ
ル形成領域とゲート電極との間で容量が形成されていてもよい。
次に、駆動用トランジスタ5022に入力する信号について説明する。電圧入力電圧駆動
方式の場合、駆動用トランジスタ5022がオンまたはオフの二つの状態となるようなビ
デオ信号を、駆動用トランジスタ5022に入力する。なお、駆動用トランジスタ502
2を線形領域で動作させるために、電源線5027の電圧よりも高い電圧を駆動用トラン
ジスタ5022のゲート電極に与える。また、信号線5025には、電源線電圧に駆動用
トランジスタ5022のしきい値電圧Vthを加えた値以上の電圧をかける。
アナログ階調駆動を行う場合、駆動用トランジスタ5022のゲート電極に発光素子50
24の順方向電圧に駆動用トランジスタ5022のしきい値電圧Vthを加えた値以上の
電圧をかける。なお、駆動用トランジスタ5022が飽和領域で動作するようにビデオ信
号を入力し、発光素子5024に電流を流す。また、駆動用トランジスタ5022を飽和
領域で動作させるために、電源線5027の電位を、駆動用トランジスタ5022のゲー
ト電位より高くする。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子5024にビデオ信
号に応じた電流を流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
なお、本発明の一態様に係る表示装置は、図22(C)に示す画素構成に限定されない。
例えば、図22(C)に示す画素回路にスイッチ、抵抗素子、容量素子、センサー、トラ
ンジスタまたは論理回路などを追加してもよい。
図22で例示した回路に上述したトランジスタを適用する場合、低電位側にソース電極(
第1の電極)、高電位側にドレイン電極(第2の電極)がそれぞれ電気的に接続される構
成とする。さらに、制御回路等により第1のゲート電極の電位を制御し、第2のゲート電
極にはソース電極に与える電位よりも低い電位など、上記で例示した電位を入力可能な構
成とすればよい。
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備
えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc
等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いること
ができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器と
して、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ
、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプ
レイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオ
プレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ
払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図23に示
す。
図23(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部
904、マイクロフォン905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス908
等を有する。なお、図23(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表示
部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない
図23(B)は携帯データ端末であり、第1筐体911、第2筐体912、第1表示部9
13、第2表示部914、接続部915、操作キー916等を有する。第1表示部913
は第1筐体911に設けられており、第2表示部914は第2筐体912に設けられてい
る。そして、第1筐体911と第2筐体912とは、接続部915により接続されており
、第1筐体911と第2筐体912の間の角度は、接続部915により変更が可能である
。第1表示部913における映像を、接続部915における第1筐体911と第2筐体9
12との間の角度にしたがって、切り替える構成としてもよい。また、第1表示部913
および第2表示部914の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表
示装置を用いるようにしてもよい。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッ
チパネルを設けることで付加することができる。または、位置入力装置としての機能は、
フォトセンサーとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加す
ることができる。
図23(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体921、表示部922、キ
ーボード923、ポインティングデバイス924等を有する。
図23(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体931、冷蔵室用扉932、冷凍室用扉93
3等を有する。
図23(E)はビデオカメラであり、第1筐体941、第2筐体942、表示部943、
操作キー944、レンズ945、接続部946等を有する。操作キー944およびレンズ
945は第1筐体941に設けられており、表示部943は第2筐体942に設けられて
いる。そして、第1筐体941と第2筐体942とは、接続部946により接続されてお
り、第1筐体941と第2筐体942の間の角度は、接続部946により変更が可能であ
る。表示部943における映像を、接続部946における第1筐体941と第2筐体94
2との間の角度にしたがって切り替える構成としてもよい。
図23(F)は自動車であり、車体951、車輪952、ダッシュボード953、ライト
954等を有する。
100 ターゲット
100a ターゲット
100b ターゲット
101 成膜室
103b マグネットユニット
110 バッキングプレート
110a バッキングプレート
110b バッキングプレート
120 ターゲットホルダ
120a ターゲットホルダ
120b ターゲットホルダ
130 マグネットユニット
130a マグネットユニット
130b マグネットユニット
130N マグネット
130N1 マグネット
130N2 マグネット
130S マグネット
132 マグネットホルダ
140 部材
160 基板
170 基板ホルダ
180a 磁力線
180b 磁力線
200a ペレット
200b ペレット
201 イオン
202 酸化亜鉛層
203 粒子
205a ペレット
205a1 領域
205a2 ペレット
205b ペレット
205c ペレット
205d ペレット
205d1 領域
205e ペレット
220 基板
230 ターゲット
400 基板
402 絶縁体
404 導電体
406a 半導体
406b 半導体
406c 半導体
408 絶縁体
412 絶縁体
413 導電体
416a 導電体
416b 導電体
418 絶縁体
423a 低抵抗領域
423b 低抵抗領域
424a 導電体
424b 導電体
426a 導電体
426b 導電体
428 絶縁体
600 基板
604 導電体
606a 半導体
606b 半導体
606c 半導体
612 絶縁体
613 導電体
616a 導電体
616b 導電体
618 絶縁体
620 絶縁体
700 成膜装置
701 大気側基板供給室
702 大気側基板搬送室
703a ロードロック室
703b アンロードロック室
704 搬送室
705 基板加熱室
706a 成膜室
706b 成膜室
706c 成膜室
751 クライオトラップ
752 ステージ
761 カセットポート
762 アライメントポート
763 搬送ロボット
764 ゲートバルブ
765 加熱ステージ
766 ターゲット
767 防着板
768 基板ステージ
769 基板
770 真空ポンプ
771 クライオポンプ
772 ターボ分子ポンプ
780 マスフローコントローラ
781 精製機
782 ガス加熱機構
901 筐体
902 筐体
903 表示部
904 表示部
905 マイクロフォン
906 スピーカー
907 操作キー
908 スタイラス
911 筐体
912 筐体
913 表示部
914 表示部
915 接続部
916 操作キー
921 筐体
922 表示部
923 キーボード
924 ポインティングデバイス
931 筐体
932 冷蔵室用扉
933 冷凍室用扉
941 筐体
942 筐体
943 表示部
944 操作キー
945 レンズ
946 接続部
951 車体
952 車輪
953 ダッシュボード
954 ライト
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
1200 記憶素子
1201 回路
1202 回路
1203 スイッチ
1204 スイッチ
1206 論理素子
1207 容量素子
1208 容量素子
1209 トランジスタ
1210 トランジスタ
1213 トランジスタ
1214 トランジスタ
1220 回路
2100 トランジスタ
2200 トランジスタ
3001 配線
3002 配線
3003 配線
3004 配線
3005 配線
3200 トランジスタ
3300 トランジスタ
3400 容量素子
5000 基板
5001 画素部
5002 走査線駆動回路
5003 走査線駆動回路
5004 信号線駆動回路
5010 容量線
5012 走査線
5013 走査線
5014 信号線
5016 トランジスタ
5017 トランジスタ
5018 液晶素子
5019 液晶素子
5020 画素
5021 スイッチング用トランジスタ
5022 駆動用トランジスタ
5023 容量素子
5024 発光素子
5025 信号線
5026 走査線
5027 電源線
5028 共通電極

Claims (3)

  1. 基板上に第1の酸化物半導体膜と、前記第1の酸化物半導体膜上の第2の酸化物半導体膜と、前記第2の酸化物半導体膜上の第1の導電膜及び第2の導電膜と、前記第2の酸化物半導体膜上、前記第1の導電膜上及び前記第2の導電膜上の第3の酸化物半導体膜と、前記第3の酸化物半導体膜上の第3の導電膜を有するトランジスタの作製方法であって、
    前記第1の酸化物半導体膜、前記第2の酸化物半導体膜及び前記第3の酸化物半導体膜の成膜時に、前記基板の温度を100℃以上450℃以下(但し、400℃を超えた温度を除く)とし、且つ成膜ガス中の酸素分圧を33体積%以下(但し、30体積%以上を除く)とし、
    成膜された前記第1の酸化物半導体膜、前記第2の酸化物半導体膜及び前記第3の酸化物半導体膜は、
    電子線の照射開始時において高分解能断面TEM像により観察される結晶部の大きさと、前記電子線の累積照射量が4.2×10/nmとなるまで前記電子線を照射した後において前記高分解能断面TEM像により観察される前記結晶部の大きさとが、同様であるトランジスタの作製方法。
  2. 請求項1において、
    前記第1の酸化物半導体膜、前記第2の酸化物半導体膜及び前記第3の酸化物半導体膜の密度は、5.9g/cm以上6.3g/cm未満であるトランジスタの作製方法。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記第1の酸化物半導体膜、前記第2の酸化物半導体膜及び前記第3の酸化物半導体膜の水素濃度は、7×1019atoms/cm以下となる領域を有するトランジスタの作製方法。
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