JP2016044149A - テトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法 - Google Patents

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賢太郎 熊田
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一平 岩田
加奈芽 槌井
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加奈芽 槌井
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Abstract

【課題】使用原料、溶媒の適切な選択と処理を通じて簡便かつ平易にセルロースの溶解に好適なテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法を提供する。
【解決手段】トリブチルアミンを出発物質とし、非プロトン性極性有機溶媒中においてトリブチルアミンとハロゲン化ブチルとの反応によりハロゲン化テトラブチルアンモニウムを得る工程と、アルコール中においてハロゲン化テトラブチルアンモニウムとアルカリ金属水酸化物との反応によりテトラブチルアンモニウムヒロドキシドを得る工程と、アルコール中においてテトラブチルアンモニウムヒロドキシドと酢酸との反応によりテトラブチルアンモニウムアセテートを得る工程とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、テトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法に関し、特に、セルロースの溶解に好適なテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法に関する。
パルプのセルロースを原料としてセルロースのフィルム状物や繊維状物、つまりセロハンもしくはレーヨンを製造する場合、ビスコース法による製造が一般的である。ビスコース法による製造の場合、パルプを水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液に浸漬した後、二硫化炭素を添加して硫化し、さらにアルカリ溶解によりビスコースを調製していた。そしてビスコースを熟成後、これに硫酸等の酸溶液中へ膜状または繊維状に吐出することにより凝固反応が生じ、事後セロハン等のセルロースフィルムを得ることができる。
その後、セルロースの加工性、つまり、セルロースの溶液調製をより簡便に改善するべく、イオン液体により効率よく溶解する手法が開発されている(特許文献1等参照)。特許文献1によると、イミダゾリウム塩等のイオン液体と、ハンセン法の溶解度パラメータで規定した非プロトン性有機溶媒を用いてセルロースを溶解する手法を開示する。
さらに、セルロースの溶解を可能にする物質の検討を進めるうちに、前記のイオン液体と比較してテトラアルキルアンモニウム塩が効率的であることが判明した(特許文献2参照)。特許文献2によると、まず、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性有機溶媒にテトラブチルアンモニウムアセテートが溶解される。この溶液中にセルロースが投入されセルロースは溶解される。その後、セルロースの溶解した溶液はアルコールと接触することにより、セルロースと他の溶媒成分に分けられる。
セルロースの溶解反応において重要かつ必須の物質はテトラブチルアンモニウムアセテート等のテトラアルキルアンモニウム塩である。当該アンモニウム塩は相対的にイオン液体よりも低廉である。今後、セルロースを原料にフィルムや繊維等の種々の加工品を量産する場合、これまで以上に産業規模に見合う量の当該アンモニウム塩が必要となると考えられる。
そのことから、特にセルロースの溶解効率のよいテトラブチルアンモニウムアセテートに着目し、その製法を検討した。現状、4級アンモニウム塩を製造する方法として、各種第3級アミン化合物から第4級アンモニウム塩を製造する手法が提案されている(特許文献3,4等参照)。しかしながら、開示の手法の合成対象と目的のテトラブチルアンモニウムアセテートでは、同様の試薬を用いても同様の反応を進めることはできない。あるいは、要求するほどの効率的な反応を得ることができなかった。そこで、これまでの製造方法とは異なる新たなテトラブチルアンモニウムアセテートの簡便かつ平易な製造方法が求められるに至った。
特開2011−184541号公報 特開2012−211302号公報 特公昭63−53182号公報 特開平11−279133号公報
その後、発明者らは既存の第4級アンモニウム塩の合成の方法を鋭意検討した。その結果、発明者らは、反応する際に使用する溶媒が大きく影響することも明らかにした。そこで、各種条件を詳細に検討することにより、効率的なテトラブチルアンモニウムアセテートの合成を実現するに至った。
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、使用原料、溶媒の適切な選択と処理を通じて簡便かつ平易にセルロースの溶解に好適なテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法を提供する。
すなわち、請求項1の発明は、(A)トリブチルアミンを出発物質とし、非プロトン性極性有機溶媒中においてトリブチルアミンとハロゲン化ブチルとの反応によりハロゲン化テトラブチルアンモニウムを得る工程と、(B)アルコール中において前記ハロゲン化テトラブチルアンモニウムとアルカリ金属水酸化物との反応によりテトラブチルアンモニウムヒロドキシドを得る工程と、(C)アルコール中において前記テトラブチルアンモニウムヒロドキシドと酢酸との反応によりテトラブチルアンモニウムアセテートを得る工程と、を備えることを特徴とするテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法に係る。
請求項2の発明は、前記(C)の工程の後に、さらに(D)前記テトラブチルアンモニウムアセテートに非プロトン性極性有機溶媒を添加して精製する工程を備える請求項1に記載のテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法に係る。
請求項3の発明は、前記(A)の工程における前記ハロゲン化ブチルが1−ブロモブタンである請求項1または2に記載のテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法に係る。
請求項4の発明は、前記(A)の工程における前記非プロトン性極性有機溶媒がアセトニトリルまたはN,N−ジメチルアセトアミドである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法に係る。
請求項5の発明は、前記(D)の工程における前記非プロトン性極性有機溶媒がジメチルスルホキシドである請求項2ないし4のいずれか1項に記載のテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法に係る。
請求項6の発明は、前記(B)の工程における前記アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムである請求項1ないし5のいずれか1項に記載のテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法に係る。
請求項7の発明は、前記(D)の精製の工程後に生じる前記テトラブチルアンモニウムアセテートと前記非プロトン性極性有機溶媒の混合溶液が、セルロースを溶解する溶剤となる請求項2ないし6のいずれか1項に記載のテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法に係る。
請求項1の発明に係るテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法によると、(A)トリブチルアミンを出発物質とし、非プロトン性極性有機溶媒中においてトリブチルアミンとハロゲン化ブチルとの反応によりハロゲン化テトラブチルアンモニウムを得る工程と、(B)アルコール中において前記ハロゲン化テトラブチルアンモニウムとアルカリ金属水酸化物との反応によりテトラブチルアンモニウムヒロドキシドを得る工程と、(C)アルコール中において前記テトラブチルアンモニウムヒロドキシドと酢酸との反応によりテトラブチルアンモニウムアセテートを得る工程とを備えるため、使用原料、溶媒の適切な選択と処理を通じて簡便かつ平易にセルロースの溶解に好適なテトラブチルアンモニウムアセテートを製造することができる。
請求項2の発明に係るテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法によると、請求項1の発明において、前記(C)の工程の後に、さらに(D)前記テトラブチルアンモニウムアセテートに非プロトン性極性有機溶媒を添加して精製する工程を備えるため、テトラブチルアンモニウムアセテートの合成反応過程で生じた不純物や未反応物の除去が可能となる。
請求項3の発明に係るテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法によると、請求項1または2の発明において、前記(A)の工程における前記ハロゲン化ブチルが1−ブロモブタンであるため、極端な着色の問題がなく、安価である。
請求項4の発明に係るテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法によると、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記(A)の工程における前記非プロトン性極性有機溶媒がアセトニトリルまたはN,N−ジメチルアセトアミドであるため、反応性が良好である。
請求項5の発明に係るテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法によると、請求項2ないし4のいずれかの発明において、前記(D)の工程における前記非プロトン性極性有機溶媒がジメチルスルホキシドであるため、イオン化合物であるテトラブチルアンモニウムアセテートの溶解、さらにはセルロースの溶解に好適となる。
請求項6の発明に係るテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法によると、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記(B)の工程における前記アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムであるため、温度と溶解度の関係から、溶液中からの回収は容易である。
請求項7の発明に係るテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法によると、請求項2ないし6のいずれかの発明において、前記(D)の精製の工程後に生じる前記テトラブチルアンモニウムアセテートと前記非プロトン性極性有機溶媒の混合溶液が、セルロースを溶解する溶剤となるため、そのままセルロースの溶解に使用可能な溶剤を直接得ることができる。それゆえ、再生セルロースのフィルム、繊維の連続生産を前提とすると効率よい。
本発明のテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法の工程図である。 反応後の溶液のテトラブチルアンモニウムブロマイドのNMR分析のスペクトルデータである。 酢酸エチル洗浄後のテトラブチルアンモニウムブロマイドのNMR分析のスペクトルデータである。 4.1−TBAA溶液のNMR分析のスペクトルデータである。 4.1−TBAA溶液のIR分析のスペクトルデータである。 4.2−TBAA溶液のNMR分析のスペクトルデータである。 4.3−TBAA溶液のNMR分析のスペクトルデータである。
図1の工程図に基づいて、本発明のテトラブチルアンモニウムアセテート(以下、TBAAと略記する。)の製造方法を順に説明する。本発明のTBAAの出発原料として、予めブチル基を3箇所備えた第3級アミンのトリブチルアミンが用いられる。トリブチルアミンは比較的安価に調達可能である。
工程(A)は、トリブチルアミンからハロゲン化テトラブチルアンモニウムを得る工程である。非プロトン性極性溶媒中においてトリブチルアミンのハロゲン化が行われ、ハロゲン化テトラブチルアンモニウムが得られる。この反応はメンシュトキン反応として知られている。ハロゲン種の選択に際しトリブチルアミンとの反応性の高低が考慮される。具体的には、ハロゲン種は塩素、臭素、またはヨウ素から選択される。
この場合、塩化ブチル(C49Cl)との間ではハロゲン化の反応は進行しない。ヨウ化ブチル(C49I)との間では極めて速くハロゲン化反応が進行する。この点好適に見えるものの、ヨウ素由来の着色が多く使用上に問題がある。さらに、試薬自体が高価である。臭化ブチルはヨウ化ブチルよりもハロゲン化反応に時間を要するものの、極端な着色、価格上の問題が少ない。従って、ハロゲン化ブチルとして、1−ブロモブタン(臭化ブチル:C49Br)が好ましく選択される。この結果、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBABr)が生成される。
工程(A)のトリブチルアミンをハロゲン化するメンシュトキン反応は、非プロトン性極性有機溶媒中において進行する。非プロトン性極性有機溶媒(Non−Protonic Polarity Organic Solvent)としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、またはアセトニトリル(MeCN)等が例示される。
例示の4種類のうち、ジメチルスルホキシド使用時の反応は最も低く、N,N−ジメチルホルムアミドはその次に低い。従って、良好な反応促進と調達経費等を考慮してN,N−ジメチルアセトアミドまたはアセトニトリルが選択される。この2種は特に反応性が良好である。アセトニトリル使用時の収率はN,N−ジメチルアセトアミドと比較してより高い。そこで、当該反応の進行と事後の処理を勘案して、アセトニトリルが非プロトン性極性有機溶媒としてより好ましい。
その後、使用した非プロトン性極性有機溶媒は減圧により留去され、酢酸エチル等の洗浄によりハロゲン化テトラブチルアンモニウムは精製される。溶媒の除去と洗浄は、溶媒の影響によるセルロース(パルプ)の溶解性の変化、さらには、ハロゲン種に由来する着色成分の除去を考慮して行われる。また、以降の工程にて使用する物質との反応により生じる目的外の生成物を抑制する目的もある。酢酸エチル洗浄後のテトラブチルアンモニウムブロマイドは白色の結晶である。
工程(B)は、工程(A)により得られたハロゲン化テトラブチルアンモニウムからテトラブチルアンモニウムヒロドキシドを得る工程である。ハロゲン化テトラブチルアンモニウムは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、または1−ブタノール等の第1級アルコール、2−プロパノール、2−ブタノール等の第2級アルコール、その他適宜のアルコールの存在下にて、アルカリ金属水酸化物と反応する。
アルカリ金属水酸化物は、主に水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムである。アルカリ金属とアルコールの反応により、アルカリ金属のアルコキシドが生成される。例えば、エタノールと水酸化カリウムにより、CH3CH2OKが生じる。そして、ハロゲン化テトラブチルアンモニウムのハロゲンと、アルカリ金属水酸化物の水酸基との間で置換され、テトラブチルアンモニウムヒロドキシドが生じる。同時に、アルカリ金属のハロゲン化物(塩)も生じる。
工程(B)の進行に使用するアルコールとしては、調達や費用等を考慮してメタノール、エタノールが選択される。また、アルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが選択される。これらのうち、エタノールと水酸化カリウムの組み合わせが良好である。アルコールとアルカリ金属水酸化物の選択に際しては、アルコールへの溶解度も考慮される。具体的に、エタノール中にテトラブチルアンモニウムブロマイド(TBABr)と水酸化カリウムを添加した場合、テトラブチルアンモニウムヒロドキシドと臭化カリウムが生じる。工程(B)の反応は氷温下で行われる。そこで、温度と溶解度の関係から、臭化カリウム等のアルカリ金属のハロゲン化物は塩としてアルコール溶液中に析出する。よって、溶液中からの反応生成物等の不純物の回収は容易である。
工程(C)は、工程(B)により得られたテトラブチルアンモニウムヒロドキシドに酢酸を添加してテトラブチルアンモニウムアセテートを得る工程である。テトラブチルアンモニウムヒロドキシドの水酸基(OH-)は酢酸の酢酸基(CH3COO-)と置換されて、目的とするテトラブチルアンモニウムアセテート(TBAA)が生じる。工程(C)の終了により、目的とするテトラブチルアンモニウムアセテートの合成は完了する。ただし、この段階では、テトラブチルアンモニウムアセテート以外の反応物、原料の混合状態である。この後、より好ましくは、出来上がったテトラブチルアンモニウムアセテートの溶液からアルコール、酢酸塩等の不純物が減圧除去、濾過される。
工程(B)及び工程(C)は通常連続して行われる。同工程において、事前に分取したテトラブチルアンモニウムブロマイドの当量を基準に工程(B)の水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の添加量が規定される。そして、このアルカリ金属水酸化物に基づいて酢酸の添加量も規定される。理論上はそれぞれ1当量ずつの添加である。しかしながら、現実的には、純度、混合の良否、反応条件等が影響し合うため、厳密に1当量ずつにしてしまうと収率の低下や未反応成分の残存が生じやすくなる。そのため、1当量よりも適度に増やしてアルカリ金属水酸化物、酢酸は添加される。
工程(B)におけるアルカリ金属水酸化物の添加量と工程(C)における酢酸の添加量は、極力未反応の酢酸を少なくするべく規定される。発明者らの検証によると、セルロースの溶解目的へのテトラブチルアンモニウムアセテートの使用を想定する場合、前記の工程(C)にて添加された余剰の酢酸等はセルロースの溶解効率を低下させてしまうことを明らかにした。酢酸のセルロース溶解への影響は現時点では未解明である。おそらく、テトラブチルアンモニウムアセテートとのイオン的な結合を生じる等によりセルロース分子中の水素結合への作用が低下すると考えられる。
工程(B)におけるアルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム)の添加量について、テトラブチルアンモニウムブロマイドのアルコール溶解中のpH6.4(当初)から、アルカリ側のpH12を超えて安定するまで添加される。この場合、アルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム)の添加量は、テトラブチルアンモニウムブロマイドに対して1ないし1.2当量の添加である。そして、好ましくは約1.1当量である。1当量未満では反応が不十分であり、1.2当量を超えると中和のための酢酸が過剰に必要となる。
工程(C)における酢酸の添加量について、アルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム)の添加によりおよそpH12付近からおよそpH6付近に低下するまで添加される。この場合、酢酸の添加量は、テトラブチルアンモニウムブロマイドに対して1ないし1.2当量の添加である。そして、好ましくは、約1当量付近である。1当量未満では中和が不十分であり、1.2当量を超えると酢酸の余剰が問題となる。
次に、テトラブチルアンモニウムアセテートの合成反応過程で生じた不純物や未反応物の除去が検討される。そこで、精製のための工程(D)が加えられる。工程(D)では、テトラブチルアンモニウムアセテートに非プロトン性極性有機溶媒が添加されて精製される。そして、この非プロトン性極性有機溶媒はN,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等であり、ジメチルスルホキシドがより好ましく使用される。後述するように、イオン化合物であるテトラブチルアンモニウムアセテートの溶解、さらにはセルロースの溶解に好適である。
工程(B)及び(C)を経て、目的とするテトラブチルアンモニウムアセテートの合成とともに、水、アルコール(エタノール)、アルカリ金属のハロゲン化塩(臭化カリウム)、酢酸、アルカリ金属の酢酸塩(酢酸カリウム)等も生成、残存する。そしてこれらが混合した液状態となる。加えて、テトラブチルアンモニウムアセテートの第4級アンモニウム塩の塩基部分が酢酸と包摂的に配位することが知られている。従って、酢酸、アルコールの分離は容易ではない。このように配位する酢酸の水素結合を崩すべく最小限度の水も非プロトン性極性有機溶媒に添加される。
テトラブチルアンモニウムアセテートと非プロトン性極性有機溶媒の混合溶液において、酢酸等のプロトン性の溶媒が存在すると、テトラブチルアンモニウムアセテートがセルロースに作用する前に配位したり水素結合したりする。結果として、セルロースの溶解性能は低下する。それゆえ、これらの内、水、アルコール(エタノール)、酢酸の分離が特に求められる。
ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性有機溶媒の沸点は一般に水、アルコール、酢酸よりも高い。そこで、減圧下で留去することにより、水、アルコール、酢酸の除去は可能である。また、生成した塩等については析出後の濾過等により分離可能である。こうして、純度の高いテトラブチルアンモニウムアセテートと非プロトン性極性有機溶媒の混合溶液が調製される。
一連の工程(A)ないし(D)を経ることによって調製されるテトラブチルアンモニウムアセテートと非プロトン性極性有機溶媒の混合溶液の主な用途は、セルロースの溶解である。すなわち、当該混合溶液はセルロースを溶解する溶剤となる。工程(D)も加えることにより、そのままセルロースの溶解に使用可能な溶剤を直接得ることができる。それゆえ、再生セルロースのフィルム、繊維の連続生産を前提とすると効率よい。
続いて、テトラブチルアンモニウムアセテートと非プロトン性極性有機溶媒の混合溶液(溶剤)と、セルロース溶解の作用についても説明する。
テトラブチルアンモニウムアセテートの混合溶媒を用いて溶解するセルロースとして、パルプが好ましく挙げられる。パルプは、主に木材を粉砕し、リグニン等の不純物を除去してセルロース成分の純度が高められた原料である。また、綿花からも不純物を除去してセルロース成分の純度が高められたコットンリンターパルプが用いられる。特に高純度でI型結晶のセルロースを含有していることが知られている。
テトラブチルアンモニウムアセテート(TBAA)は、炭化水素基を備える第4級アンモニウムの酢酸塩でありイオン化合物である。同物質は、有機物としての疎水性と塩に由来する水素結合との親和性の両方を適度に併せ持つ。このため、セルロース原料における結晶性セルロース同士の間に浸透して、分子間または分子内の水素結合を解す。同時に、分子中の疎水部分の作用により再度結び付き合うことを防ぐ役割を果たしていると考えられる。
そして、当該物質は、セルロースの結晶の溶解に実際に寄与し、先行技術に掲げたイオン液体の代替となる新たな原料である。発明者らの検証によると、例えばイミダゾリウム塩化合物等のイオン液体と比較した場合、本発明で使用するアンモニウム塩はイオン液体よりもセルロース原料の高い溶解効率を発揮したことによる。また、イオン液体よりも安価であることも理由である。
非プロトン性極性有機溶媒は、ジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等から選択される。テトラブチルアンモニウムアセテートはイオン液体と異なり常温では固体である。このため、そのままセルロース原料と混合しても溶解、液状化に至らない。よって、テトラブチルアンモニウムアセテートを容易に溶解できること、並びに、溶解後のセルロース原料の安定化、以降の加工時の流動性調整に好適な溶媒が必要となる。一般にジメチルスルホキシドは安価に調達可能であることから、量産化を想定すると、テトラブチルアンモニウムアセテートの溶解により好ましい。
混合溶媒を構成するテトラブチルアンモニウムアセテートは自明ながら強い電荷を有する。また、セルロース原料の主成分であるセルロースは、その分子内に水酸基を大量に備えることから、水素結合等で静電気的に結合している。仮にプロトン系の溶媒を用いる場合、プロトン系の溶媒と第4級アンモニウム塩との電気的な結合が生じてしまい、第4級アンモニウム塩によるセルロースの水素結合の切断は阻害される。そのため、プロトン系の有機溶媒は不適当と考えられる。加えて、非極性(無極性)の有機溶媒ではテトラブチルアンモニウムアセテート等のイオン化合物を溶解することが困難である。このことから、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性有機溶媒が好適である。列記の非プロトン性極性有機溶媒は量的に調達が容易であることも挙げられる。
セルロースを混合溶媒に溶解するに際し、溶解は20℃ないし50℃の温度条件が好ましい。ジメチルスルホキシドの凝固温度は約19℃であるため、混合溶媒の調製にジメチルスルホキシドを使用する場合、凝固温度以上とする必要がある。凝固温度以下では混合溶媒の流動性が低下する。なお、N,N−ジメチルアセトアミドが混合溶媒に使用される場合、さらに低い温度も許容される。ただし、セルロースとテトラブチルアンモニウムアセテートとの適度な反応性を確保する観点から、少なくとも流動性を発揮するため20℃の温度が必要と考える。溶解温度が50℃を超過するような高温度域の場合、テトラブチルアンモニウムアセテートとの反応性によりセルロースの溶解から分解が進むおそれもあると考えられる。そのため、過剰な加熱までは必要なく適度な加温で十分である。
セルロースを混合溶媒に溶解する際の温度は、前述のとおり、比較的温和な温度域であることから、溶解時に特段加熱等の設備を必要としない。いわゆる、常温下での作業が可能となる。あるいは、簡便な加温装置等で足りる。従って、不均質フィルムの生産に要する設備経費を軽減可能である。また、混合溶媒の成分の蒸発も抑制できることから、作業環境の安全性も高まる。
セルロースはテトラブチルアンモニウムアセテート及び非プロトン性極性有機溶媒からなる混合溶媒に溶解されて粘質液が得られる。この粘質液は、水またはアルコールとの接触により凝固してセルロースの膜状物または繊維状物に加工される。膜状化に際して、例えば、Tダイ等から薄く流延させる方法、ドクターナイフ、へら、バーコーター等により薄く伸ばす方法、テープキャスティング法、あるいは2本以上のローラー間に通して薄膜に圧延する方法等が例示される。量産性に優れていることから、既存のビスコースからセロハンを製造する際の製膜方法が転用可能である。また、繊維状化に際しては円形等の細かな口径のノズルから凝固浴中に吐出される。
テトラブチルアンモニウムアセテート及び非プロトン性極性有機溶媒からなる混合溶媒を用いる意義は、量産規模による生産にも柔軟に対応するためである。具体的には、いったんセルロースの溶解に用いた後、水等の凝固用溶媒と接触することで混合溶媒はセルロース成分から分離される。そこで、凝固用溶媒を分留等することにより、凝固用溶媒と、テトラブチルアンモニウムアセテート及び非プロトン性有機溶媒からなる混合溶媒に都合良く分離することができる。つまり、再び反応前の混合溶媒を得ることができる。
発明者らは、トリブチルアミンを出発物質にテトラブチルアンモニウムアセテートを合成(製造)する条件を詳細に検討した。具体的には、ハロゲン種の選択、非プロトン性極性有機溶媒の選択、途中の精製、水酸基と酢酸基の導入、最終精製の検討である。当量はeqと略記する場合がある。
[1.ハロゲン種の選択]
工程(A)において、トリブチルアミン(TBA)(東京化成工業株式会社製)を出発物質とし、これをハロゲン化して第4級アンモニウム塩を生成する際に最適なハロゲン種を検討した。はじめに、同様のアルキル基部分を有する1−クロロブタン(塩化ブチル:BuCl)、1−ブロモブタン(臭化ブチル:BuBr)、1−ヨードブタン(ヨウ化ブチル:BuI)の3種類のハロゲン化物を用意した(いずれもキシダ化学株式会社製)。そして、第3級アミンを第4級化するメンシュトキン反応において、非プロトン性極性有機溶媒として比較的一般的なジメチルスルホキシド(DMSO)(キシダ化学株式会社製)を使用した。
還流管を取り付けた100mLのナスフラスコにトリブチルアミン(9.27g,50.0mmol)及びジメチルスルホキシド(50.0mL)を加え、ここに、それぞれ1.2当量(60.0mmol相当量)の1−クロロブタン、1−ブロモブタン、1−ヨードブタンを投入した。80℃を維持しながら攪拌して反応させた。トリブチルアミンはジメチルスルホキシドに不溶であるものの、ハロゲン化テトラブチルアンモニウムはジメチルスルホキシドに溶解可能である。つまり、均一なジメチルスルホキシド溶液となったことにより反応進行を確認した。併せて、NMR(日本電子株式会社製,JNM−6SX270,270MHz、以下同じ。)によりハロゲン化テトラブチルアンモニウムの生成、生成率を確認した。
1−クロロブタン投入の試料では96時間経過時点においても未反応であった。1−ブロモブタン投入の試料では、6時間経過時点で均一な溶液となった。1−ヨードブタン投入の試料では、1時間経過時点で均一な溶液となった。この結果から、ハロゲン種として、1−クロロブタンは使用できない。ここで、1−ヨードブタンの場合、反応性は極めて良好である。従って、最良と考えることもできる。しかし、溶液への着色量が多く、別途の脱色等が必要となる。また、原料価格が非常に高価である。量産化を前提にした場合、原料経費は重要であるため、最終的に反応が達成できれば、より安価な原料を採用することが望ましい。このため、トリブチルアミンの4級化反応のために1−ブロモブタンを選択した。
なお、メンシュトキン反応に際し、非プロトン性極性有機溶媒としてのジメチルスルホキシドの代わりにエタノール、またはジメチルスルホキシドとエタノール混合液を使用して反応に供した。しかし、いずれも未反応であった。従って、トリブチルアミンの4級化反応のためには非プロトン性極性有機溶媒であることが必要である。
[2.非プロトン性極性有機溶媒の選択]
トリブチルアミンの4級化反応のために1−ブロモブタンの使用が望ましく、また、非プロトン性極性有機溶媒中でなければ反応が促進しない。そこで、より効率よくトリブチルアミンの4級化反応を促進する非プロトン性極性有機溶媒を検討した。前出のジメチルスルホキシドに加え、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、及びアセトニトリル(MeCN)を用意した(いずれもキシダ化学株式会社製)。かっこ内の略記は表1も同様である。
還流管を取り付けた200mLのナスフラスコにトリブチルアミン(9.27g,50.0mmol)及び各非プロトン性極性有機溶媒(50.0mL)を加え、ここに、それぞれ1.1当量(55.0mmol相当量)の1−ブロモブタンを投入した。各溶媒について表1の温度及び時間反応し、このときの反応率(%)を求めた。反応率はNMRの分析によりトリブチルアミンとテトラブチルアンモニウムブロマイド(TBABr)のピークから算出した。
Figure 2016044149
表1の結果から、ジメチルスルホキシドとN,N−ジメチルホルムアミドの反応性はやや低い。N,N−ジメチルアセトアミドとアセトニトリルの反応性は良好である。特に、アセトニトリルについては、80℃以上、33時間以上の加熱とすると99%の反応進行となるため、際立って良好である(試料2.2,2.3参照)。なお、加熱を伴わない2.4及び溶媒の無い2.7では十分な反応を得ることができなかった。
次に、N,N−ジメチルアセトアミドの沸点は165℃であるため、1−ブロモブタンの沸点付近(100ないし104℃)の高温度下での4級化の反応が可能であると考えた。そこで、還流管を取り付けたナスフラスコにトリブチルアミン(50g,0.27mol)及びN,N−ジメチルアセトアミド(50g)を加え、ここに、それぞれ1.1当量(0.3mol相当量)の1−ブロモブタンを投入した。これを100℃、20時間攪拌しながら加熱した。
前記の条件において4級化反応を終えた結果、反応率は表1よりも幾分低下した。おそらく、還流中に1−ブロモブタンの蒸発が進み相対的に量が減少して収率が低下したと考える。そのため、100℃付近の加熱は得策ではない。このようなことから、望ましい非プロトン性極性有機溶媒はN,N−ジメチルアセトアミドとアセトニトリルであり、より望ましくはほぼ全量の反応が可能なアセトニトリルである。
〈TBABr合成の最適条件〉
そこで、最適な試薬の選択に基づいてより量を増やして実験した。還流管を取り付けた500mLのナスフラスコにトリブチルアミン(100g,0.54mol)及びアセトニトリル(100g)を加え、ここに、それぞれ1.1当量(81.4g,0.6mol相当量)の1−ブロモブタンを投入した。オイルバスにて82℃を維持し33時間攪拌して反応した。反応後の溶液は僅かに黄色を呈した。ここからエバポレーターによりアセトニトリルを留去して淡橙色の固体を得た。当該固体を酢酸エチルにより吸引濾過により適度に洗浄し乾燥した。反応直後の黄色溶液をNMRにより分析したところ、トリブチルアミンの99.5%は反応していた。なお、0.5%のトリブチルアミンが残存していた。酢酸エチル洗浄後に白色のテトラブチルアンモニウムブロマイドを得た。これの収率は98.9%、純度100%であった。
図2は反応後の溶液のNMR分析のスペクトルデータであり、図3は酢酸エチル洗浄後のNMR分析のスペクトルデータである。図2では、反応後溶液の分析とともに、原料物質の分析結果も併記している。図2と図3のピークの比較から、図3の酢酸エチルによる洗浄後では、テトラブチルアンモニウムブロマイドと洗浄用の酢酸エチル以外のピークは喪失しており、精製できたことを示す。
[3.精製の必要性の検討]
図1の工程(A)を参照のとおり、同工程の4級化においてテトラブチルアンモニウムブロマイドは生成する。しかし、未反応分の残留を無くすことはできない。実際のテトラブチルアンモニウムアセテートの合成を考慮すると、なるべく途中の工程は少ないほど良い。そこで、トリブチルアミンの4級化反応(テトラブチルアンモニウムブロマイドの合成)までの溶液のまま以降の反応を実施(3.1)、溶媒のみ除去して以降の反応を実施(3.2)、溶媒の除去及び酢酸エチル洗浄して以降の反応を実施(3.3)の3とおりを試行した。
〈3.1:溶媒そのままで反応〉
50mLのサンプル瓶に前掲表1の試料2.3のテトラブチルアンモニウムブロマイドとアセトニトリルの混合溶液(TBABr混合溶液)12.7g(そのうちTBABrは5.00g,15.5mmol含有)を分取し氷浴中に置いた。エタノール14.2gに水酸化カリウム0.957g(17.1mmol,1.1当量)を溶解してアルカリ溶液を調製した。試料2.3のTBABr混合溶液にアルカリ溶液全量を5分間かけて滴下し、攪拌後、4℃にて50時間静置した。その後、吸引濾過により析出した臭化カリウム(1.64g,13.8mol)を除去した。こうして、いったんテトラブチルアンモニウムヒロドキシド(TBAOH)とエタノールの混合溶液(TBAOH混合溶液)を得た。
エタノール7.1gと酢酸1.12g(18.6mmol,1.2当量)を混合して酢酸溶液を調製した。前記のTBAOH混合溶液を氷浴中に置き、ここに酢酸溶液を5分間かけて滴下し、1時間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターにより、エタノールと酢酸を除去した。こうして、テトラブチルアンモニウムアセテート(TBAA)を得た。なお、この時点では、テトラブチルアンモニウムアセテートと酢酸カリウムが混合しているため、ジメチルスルホキシド11.6gをさらに添加し、析出した酢酸カリウムを吸引濾過により除去した。さらに、真空ポンプを用い、残存しているエタノールと水も除去した。以上から、テトラブチルアンモニウムアセテートとジメチルスルホキシドの混合溶液(3.1−TBAA溶液)を得た。
前述の調製により得た3.1−TBAA溶液を用い、セルロースとして溶解パルプ(日本製紙ケミカル株式会社製,商品名「LNDP」)の溶解に供した。そして、目視によりパルプの残存の有無を確認した。当該溶解の結果、3.1−TBAA溶液の使用では、パルプのほぼ全量が残存した。従って、3.1−TBAA溶液を得る過程中の不純物の影響が大きいと考えた。
〈3.2:溶媒のみ除去で反応〉
3.1−TBAA溶液による溶解結果を踏まえ、不純物として考えられる溶媒の除去を試行した。前掲表1の試料2.3のテトラブチルアンモニウムブロマイドとアセトニトリルの混合溶液(TBABr混合溶液)から溶媒のアセトニトリルを留去してテトラブチルアンモニウムブロマイド(5.0g,15.5mmol)を分取し、これをエタノール13.8gに溶解した。
以降の反応は前述の「3.1:溶液そのままで反応」と同様の処理、手順により実施し、同量の試薬、時間とした。また、中間の析出物の除去も同様とした。はじめにテトラブチルアンモニウムヒロドキシド(TBAOH)とエタノールの混合溶液(TBAOH混合溶液)を得た。続いて、酢酸溶液を添加してテトラブチルアンモニウムアセテート(TBAA)を得た。また、残存しているエタノールと水も除去した。以上から、テトラブチルアンモニウムアセテートとジメチルスルホキシドの混合溶液(3.2−TBAA溶液)を得た。同溶液は黄色を呈した。
出来上がった3.2−TBAA溶液についてNMRにより分析し、テトラブチルアンモニウムアセテートの純度を測定した。併せて、カールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製,平沼微量水分測定装置AQ−300、以下同じ。)により水分量を測定した。さらに、3.2−TBAA溶液を用い、セルロースとして溶解パルプ(前出と同様)の溶解に供した。そして、目視によりパルプの残存の有無を確認した。
測定の結果、テトラブチルアンモニウムアセテートの純度は97.1%であった。その他の成分として、トリブチルアミンは0.5重量%、エタノールは1.7重量%、水分量は0.72%であった。また、パルプの溶解の結果については、当初重量の約10重量%程度の溶解に留まった。従って、3.2−TBAA溶液を得る調製過程としても不純物の影響を解消できておらず、現実の使用を鑑みるとまだ不十分である。
〈3.3:洗浄かつ溶媒除去〉
3.1及び3.2の結果を踏まえ、より高度な精製の必要性を痛感した発明者らは、前述の「2.非プロトン性極性有機溶媒の選択」における「TBABr合成の最適条件」にて合成、酢酸エチルにより精製したテトラブチルアンモニウムブロマイドから以降の合成をはじめることとした。
滴下漏斗を取り付けた500mLのナスフラスコに精製済みのテトラブチルアンモニウムブロマイド40g(0.124mol)とエタノール80gを投入し、攪拌しながら溶解し氷浴中に置いた(TBABr溶液)。エタノール60gに水酸化カリウム7.65g(0.136mol,1.1当量)を溶解してアルカリ溶液を調製した。氷温浴中のTBABr溶液にアルカリ溶液全量を30分間かけて滴下し、その後30分間ほど攪拌した。反応後の溶液を吸引濾過し析出した臭化カリウム14.6g(0.123mol)を除去した。こうして、テトラブチルアンモニウムヒロドキシド(TBAOH)とエタノールの混合溶液(TBAOH混合溶液)を得た。
エタノール50gと酢酸8.94g(0.149mol,1.2当量)を混合して酢酸溶液を調製した。前記の調製により得たTBAOH混合溶液を氷浴中に置き、ここに酢酸溶液を30分間かけて滴下し、さらに30分間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターにより、エタノールと酢酸を除去した。こうして、テトラブチルアンモニウムアセテート(TBAA)を得た。なお、この時点では、テトラブチルアンモニウムアセテートと酢酸カリウムが混合しているため、ジメチルスルホキシド45gをさらに添加し、析出した酢酸カリウムを吸引濾過により除去した。さらに、真空ポンプを用い、残存しているエタノールと水も除去した。以上から、テトラブチルアンモニウムアセテートとジメチルスルホキシドの混合溶液(3.3−TBAA溶液)を得た。
出来上がった3.3−TBAA溶液についてNMRにより分析し、テトラブチルアンモニウムアセテートの純度を測定した。併せて、カールフィッシャー水分計により水分量を測定した。測定の結果、テトラブチルアンモニウムアセテートの純度は99.8%であった。その他の成分として、エタノールは0.2重量%、水分量は201ppmであった。3.3−のTBAA溶液は他と比較して高純度に仕上がった。
3.3−TBAA溶液(テトラブチルアンモニウムアセテート量は4.5gである。)を20mLのサンプル瓶に分注し、同溶液を攪拌しながら細かく裁断した溶解パルプ0.5g(日本製紙ケミカル株式会社製,商品名「LNDP」)を添加した。添加後、50℃に加温し30分間攪拌して溶解の程度を観察した。
結果、いずれの対象についても、50℃、30分間の加温攪拌により全量溶解できた。しかしながら、後日当該溶液を用いて再度前出の溶解パルプを溶解したところ、溶解性が悪化した。この原因を究明するべく3.3−TBAA溶液についてHPLCにより分析したところ、0.7%の酢酸の残留を確認した。
事前のNMRの分析によると、テトラブチルアンモニウムアセテートに配位した過剰な酢酸のピークと酢酸基(アセテート)のピークは同位置に現れる。テトラブチルアンモニウムアセテートのブチル基と酢酸基のピーク面積比が12:3であるならば、テトラブチルアンモニウムアセテートは高純度にて生成したと判断した。逆に、酢酸基のピーク面積比が多くなると酢酸は残存していると判断した。実際のところ、NMRの分析においてピーク面積比は12:3であったため、酢酸の残存は無いと考えた。ところが、現実に酢酸は残存しており、保管中に徐々に酢酸の配位したテトラブチルアンモニウムアセテートが析出することも確認した。
[4.当量の最適条件の検討]
前述の結果から、酢酸の存在はセルロースの溶解に作用するテトラブチルアンモニウムアセテートの量を配位により減少させてしまう。このことを踏まえ、残留する酢酸量の低減を検討するべく、水酸化カリウム及び酢酸の量を調整しながらテトラブチルアンモニウムアセテートを生成した。
〈4.1−TBAA溶液:pH6.6〉
滴下漏斗を取り付けた300mLの三口フラスコに精製済みのテトラブチルアンモニウムブロマイド40g(0.124mol)とエタノール80gを投入し、攪拌しながら溶解し氷浴中に置いた(TBABr溶液)。エタノール60gに水酸化カリウム7.65g(0.136mol,1.1当量)を溶解してアルカリ溶液を調製した。氷温浴中のTBABr溶液にアルカリ溶液全量を30分間かけて滴下し、その後30分間ほど攪拌した。アルカリ溶液の滴下は溶液中のpHを確認しながら行った。反応後の溶液を吸引濾過し析出した臭化カリウム13.5g(0.113mol)を除去した。こうして、テトラブチルアンモニウムヒロドキシド(TBAOH)とエタノールの混合溶液(TBAOH混合溶液)を得た。
エタノール50gと酢酸8.94g(0.149mol,1.2当量)を混合して酢酸溶液を調製した。前記の調製により得たTBAOH混合溶液を氷浴中に置き、ここに酢酸溶液を30分間かけて滴下し、pH6.6となった時点(酢酸量7.45g,0.124mol,1.0当量)で酢酸溶液の滴下を中止し、さらに30分間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターにより、エタノールを除去した。こうして、テトラブチルアンモニウムアセテート(TBAA)を得た。続いてジメチルスルホキシド40.6gを添加し、析出した酢酸カリウムを吸引濾過により除去し、ジメチルスルホキシド53.0gで洗浄した。洗浄後、50℃のオイルバスにて溶液を攪拌しながら3時間減圧吸引してエタノールと水を除去し、同時に析出した酢酸カリウムを吸引濾過により除去した。以上から、テトラブチルアンモニウムアセテートとジメチルスルホキシドの混合溶液(4.1−TBAA溶液)を得た。溶液全量は130gであった。
当該ジメチルスルホキシドの使用量93.6gは、テトラブチルアンモニウムアセテートが完全に反応した際にTBAA:DMSO=28:72となる量である。4.1−TBAA溶液について、NMR、IR、HPLCによりテトラブチルアンモニウムアセテートの純度を測定した。また、カールフィッシャー水分計により水分量を確認した。
測定の結果、エタノールは存在せず、トリブチルアミンも検出限界以下であった。しかしながら、NMRの分析によると、ブチル基に対する酢酸基の比率が少なく、テトラブチルアンモニウムアセテートの純度は91%であった。この試料の水分量は0.14%であった。また、析出物は酢酸カリウムのみであった。このように、テトラブチルアンモニウムアセテートの純度が低下した原因として、酢酸の添加量が少ないことと考える。生じた酢酸カリウムは過剰分の水酸化カリウムと酢酸との反応により生じた析出分である。このようなことから、テトラブチルアンモニウムアセテートの純度をより高めるためには、酢酸を水酸化カリウムとおおよそ等量添加すべきと考える。
図4は4.1−TBAA溶液のNMR分析のスペクトルデータであり、図5は4.1−TBAA溶液のIR分析のスペクトルデータである。図3とのNMR分析の比較から当該溶液ではテトラブチルアンモニウムアセテートが生成していることを確認した。特に酢酸基由来の水素のピークから把握することができる。IR分析からは、当該溶液はTBAAとDMSOの双方の吸収バンドを示しており、混合状態となっている。同図では、参考として、市販品のテトラブチルアンモニウムアセテート(東京化成工業株式会社製)とDMSO(前出と同一)のバンドも掲載している。
前記の4.1−TBAA溶液の調製においてはpH6.6までの酢酸量投入であったため、テトラブチルアンモニウムヒロドキシドと反応する酢酸量が少なく、総じてテトラブチルアンモニウムアセテートの純度は低下した。そこで、もう少し酢酸投入量を増やすべく、pH6.1ないし6.2の条件により調製した。
〈4.2−TBAA溶液:pH6.1〉
滴下漏斗を取り付けた500mLの三口フラスコに精製済みのテトラブチルアンモニウムブロマイド100g(0.310mol)とエタノール200gを投入し、攪拌しながら溶解し氷浴中に置いた(TBABr溶液)。エタノール150gに水酸化カリウム22.5g(0.40mol,1.1当量)を溶解してアルカリ溶液を調製した。氷温浴中のTBABr溶液にアルカリ溶液全量を30分間かけて滴下し、その後30分間ほど攪拌した。アルカリ溶液の滴下は溶液中のpHを確認しながら行った。反応後の溶液を吸引濾過し析出した臭化カリウム34.7g(0.292mol)を除去した。こうして、テトラブチルアンモニウムヒロドキシド(TBAOH)とエタノールの混合溶液(TBAOH混合溶液)を得た。
滴下漏斗を取り付けた1Lの三口フラスコに前記の臭化カリウム除去後のエタノールの混合溶液を投入した。エタノール150gと酢酸22.3g(0.371mol,1.2当量)を混合して酢酸溶液を調製した。前記の調製により得たTBAOH混合溶液を氷浴中に置き、ここに酢酸溶液を30分間かけて滴下し、pH6.1となった時点(酢酸量22.0g,0.366mol,1.2当量)で酢酸溶液の滴下を中止し、さらに30分間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターにより、エタノールを除去した。こうして、テトラブチルアンモニウムアセテート(TBAA)を得た。続いてジメチルスルホキシド60.0gを添加し、析出した酢酸カリウムを吸引濾過により除去し、ジメチルスルホキシド175gで洗浄した。洗浄後、50℃のオイルバスにて溶液を攪拌しながら3時間減圧吸引してエタノールと水を除去し、同時に析出した酢酸カリウムを吸引濾過により除去した。以上から、テトラブチルアンモニウムアセテートとジメチルスルホキシドの混合溶液(4.2−TBAA溶液)を得た。溶液全量は328gであった。
当該ジメチルスルホキシドの使用量235gは、テトラブチルアンモニウムアセテートが完全に反応した際にTBAA:DMSO=28:72となる量である。4.2−TBAA溶液について、NMR、IR、HPLCによりテトラブチルアンモニウムアセテートの純度を測定した。また、前出のカールフィッシャー水分計により水分量を確認した。
分析の結果、エタノールの残存は無く、テトラブチルアンモニウムアセテートの純度はほぼ100%であり、収率も100%であった。出発物質のトリブチルアミンについてはHPLCの分析では検出限界以下であった。水分量は0.86%であった。
〈4.3−TBAA溶液:pH6.2〉
当該調製に際しては前記の4.2−TBAA溶液の調製に準じ、同様の試薬の使用量とした。ただし、酢酸溶液の滴下をpH6.2の時点まで続けた(酢酸量20.17g,0.336mol,1.1当量)。こうして、4.3−TBAA溶液を得て、同様に分析した。
分析の結果、エタノールの残存は無く、テトラブチルアンモニウムアセテートの純度は91%であり、収率も100%であった。出発物質のトリブチルアミンについてはHPLCの分析では検出限界以下であった。水分量は0.63%であった。
図6は4.2−TBAA溶液のNMR分析のスペクトルデータであり、図7は4.1−TBAA溶液のNMR分析のスペクトルデータである。いずれからも、テトラブチルアンモニウムアセテートが生成していることを確認した。
一連の調製により取得した4.1,4.2,4.3−の各TBAA溶液について、セルロースの溶解に供した。セルロースとして溶解パルプ(日本製紙ケミカル株式会社製,商品名「LNDP」)を使用した。そして、溶液重量の10重量%に相当する溶解パルプを溶液中に投入し、50℃に加温した。30分経過後に目視によりパルプの残存の有無を確認した。
結果、4.1,4.2,4.3−の各TBAA溶液のいずれもが良好にパルプを溶解した。また、溶液の着色もほとんど生じず、性状も安定していた。従って、セルロースの溶解に必要な溶解溶液の合成に至った。これらの溶液において、特に、4.2−TBAA溶液の収率は高いため、当該調製時の当量比がより好ましい。
[5.無機塩の確認]
前述のとおり、酢酸の残存はセルロースの溶解に影響する。そこで、テトラブチルアンモニウムアセテートの溶液中の無機塩がセルロースの溶解に影響するか否かを検討した。そこで、前出の4.1−TBAA溶液について、IPC発光分光分析装置(エスエスアイ・ナノテクイノロジー株式会社製:SPS3100H,シーケンシャル型(2チャンネルタイプ),波長範囲:130から770nm)を使用して分析した。
結果、カリウムイオンは0.571g/L、臭化物イオンは10.6g/Lであった。これから各イオンをmol比に換算すると、表2のとおりである。
Figure 2016044149
4.1−TBAA溶液にあっては、臭化物イオンが10%以上残存していてもセルロースの溶解は可能であった。このことから、セルロースの溶解には無機塩自体の影響は少ないといえる。従って、前述の検討からもセルロースの溶解の良否を左右する要因は残留する酢酸量であると結論付けることができる。
[6.酢酸除去の検討]
一連の合成とセルロースの溶解の検証から、テトラブチルアンモニウムアセテートと非プロトン性極性有機溶媒の混合溶液中に存在する酢酸の低減化について、さらに検討を重ねた。酢酸の沸点は、119℃であることからテトラブチルアンモニウムアセテートからの減圧乾燥は容易ではない。また、テトラブチルアンモニウムアセテートと非プロトン性極性有機溶媒(ジメチルスルホキシド)の混合溶液中であっても、酢酸がテトラブチルアンモニウムアセテートのアセテートイオンに配位していると考えられている。そこで、適度に水を添加して、テトラブチルアンモニウムアセテートと酢酸との配位状態を崩すことができればよいと考えた。
酢酸除去の検討に際し、市販品のテトラブチルアンモニウムアセテート(高純度と低純度の2種類)を容易した。高純度のテトラブチルアンモニウムアセテートに酢酸を添加後にIR分析を行ったところ、低純度のテトラブチルアンモニウムアセテートを同様のIRスペクトルの吸収波形を示した。そこで、低純度のテトラブチルアンモニウムアセテートを酢酸除去実験のための試料とした。
シャーレに低純度のテトラブチルアンモニウムアセテート2.0gを分取し、ここにジメチルスルホキシド4.2gを添加し混合した(当初試料)。さらに、ここに蒸留水8.0gを添加して、オーブン内で90℃、1時間乾燥し酢酸と水を蒸発した。その後オーブンからシャーレを取り出して酢酸の臭気の有無を嗅ぎ取った。酢酸の臭気を感じたためさらに蒸留水2.0gを添加し、同様に90℃、1時間乾燥する操作を2回行い最終試料とした。そして、試料をIR分析に供した。
低純度のテトラブチルアンモニウムアセテートとジメチルスルホキシドとの混合物(当初試料)のIRスペクトルの吸収波形と、水添加と乾燥を経た最終試料のIRスペクトルの吸収波形を比較した。すると、最終試料では、当初試料には現れていなかった1600cm-1付近のテトラブチルアンモニウムアセテートのアセテート由来の吸収波形が現れた。また、最終試料のIRスペクトルの吸収波形は、高純度のテトラブチルアンモニウムアセテートの吸収波形と近似した吸収波形となった。
この結果は、水の添加によりテトラブチルアンモニウムアセテートから酢酸を除去できることの有効性を明らかにした。なお、減圧乾燥を組み合わせることによりさらに酢酸の除去が進むと勘案する。従って、前出の4.1,4.2,4.3−の各TBAA溶液においても水の添加、乾燥は、酢酸の除去に有効に作用することを示唆する。
本発明のテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法は、イオン液体に代わる新たなセルロースの溶剤となるテトラブチルアンモニウムアセテートを簡便に、かつ安価に合成することができる。そこで、総じて再生セルロース製品の製造経費の軽減に貢献できると考える。

Claims (7)

  1. (A)トリブチルアミンを出発物質とし、非プロトン性極性有機溶媒中においてトリブチルアミンとハロゲン化ブチルとの反応によりハロゲン化テトラブチルアンモニウムを得る工程と、
    (B)アルコール中において前記ハロゲン化テトラブチルアンモニウムとアルカリ金属水酸化物との反応によりテトラブチルアンモニウムヒロドキシドを得る工程と、
    (C)アルコール中において前記テトラブチルアンモニウムヒロドキシドと酢酸との反応によりテトラブチルアンモニウムアセテートを得る工程と、
    を備えることを特徴とするテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法。
  2. 前記(C)の工程の後に、さらに(D)前記テトラブチルアンモニウムアセテートに非プロトン性極性有機溶媒を添加して精製する工程を備える請求項1に記載のテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法。
  3. 前記(A)の工程における前記ハロゲン化ブチルが1−ブロモブタンである請求項1または2に記載のテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法。
  4. 前記(A)の工程における前記非プロトン性極性有機溶媒がアセトニトリルまたはN,N−ジメチルアセトアミドである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法。
  5. 前記(D)の工程における前記非プロトン性極性有機溶媒がジメチルスルホキシドである請求項2ないし4のいずれか1項に記載のテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法。
  6. 前記(B)の工程における前記アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムである請求項1ないし5のいずれか1項に記載のテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法。
  7. 前記(D)の精製の工程後に生じる前記テトラブチルアンモニウムアセテートと前記非プロトン性極性有機溶媒の混合溶液が、セルロースを溶解する溶剤となる請求項2ないし6のいずれか1項に記載のテトラブチルアンモニウムアセテートの製造方法。
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