JP2016033390A - 防振減震装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】接地面上に設けられた空気バネと、空気バネの内圧を制御する内圧制御部と、空気バネに支持され、設備機器を搭載する架台と、架台と接地面の間に間隙を介して設けられた免震支承と、を有し、地震発生時に、空気バネの内圧を低下させ、架台を下降させて免震支承により架台を支持させる防振減震装置。
【選択図】図2
Description
上述したように、設備機器は、運転時の振動が他の階へ伝わることを抑制するために、防振架台を設ける。一般的な設備機器が発する振動を効果的に抑制するためには、固有振動数が1Hz〜15Hzの防振架台を用いることが求められる。しかしながら、このような固有振動数を有する防振架台は、地震が発生した際の設置面の揺れに共振する虞がある。防振架台が地震の揺れと共振すると、設備機器と防振架台が地震の揺れを増幅し、設備機器の転倒のリスクが増す。特に、設備機器が中層階に設けられている場合には、増幅された揺れが建築物に伝わり、建築物の倒壊につながる虞がある。
また、防振減震装置は、地震発生時に空気バネの内圧を低下させて、前記架台を下降させる。これにより、架台の支持は、空気バネによるものから免震支承によるものに切り替わる。免震支承による支持により、架台は、設置面に対し水平面上を相対的に移動でき、地震の水平方向の揺れが架台に伝わりにくくなる。また、空気バネにより地震の揺れが増幅されることがなく、設備機器の転倒を防ぎ、さらに建築物に損傷を与えることを防ぐことができる。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
また、各図には、必要に応じて水平方向がX−Y平面となるX−Y−Z座標系を記載した。本明細書においては、これらの座標系に沿って各方向を定め説明を行う。
防振減震装置1は、設置面Gの上に設置されており、支柱10と、空気バネ50と、空気バネ50の内圧を制御する内圧制御部60と、架台20と、滑り支承(免震支承)30と、地震センサ70と、を主に有している。さらに、防振減震装置1は、架台20の周囲を囲むように設置面Gに固定された移動制限部80が設けられている。
以下に、本実施形態の防振減震装置1の各部について詳細に説明する。
図1に示すように、架台20は、X軸と平行に延びる3本のフレーム部材21と、Y軸と平行に延びる3本のフレーム部材22とが組み合わされ接合された形状を有している。フレーム部材21は、フランジが上下となるように配置されたH型鋼からなる。
なお、各フレーム部材21、22の材質、形状、本数等は、架台20に固定される設備機器Mの重量や当該設備機器Mの振動特性に従って適宜決定することが望ましい。
架台20には、設備機器Mを搭載可能な載置面20aが形成されている。設備機器Mは載置面20aにボルト等で固定されて搭載される。設備機器Mは、例えば発電機器であり、動力源であるエンジンの回転に伴う振動を生じる。架台20は、設備機器Mと固定されていることで設備機器Mと共に振動する。
図2に示すように、設置面Gには、4つの支柱10が立設されている。支柱10は、アンカーボルトなどにより、設置面Gに強固に固定されている。支柱10の上部には、それぞれ空気バネ50が取り付けられている。
支柱10の内部空間は、密閉された空洞となっており、高圧の空気が貯留されたエアタンク10a(図3参照)となっており、空気バネ50と連通して空気バネ50の内圧と同じ圧力の空気が貯留されている。
なお、本実施形態の支柱10は、それぞれ独立して配置されているが、支柱同士がフレーム部材を介し互いに固定された構造を有していても良い。
図2に示すように、空気バネ50は、4つの支柱10上にそれぞれ設けられ、架台20を支持している。本実施形態において空気バネ50の作動流体は空気であるが、これに限るものではない。
空気バネ50の内部空間50aには、圧縮空気が満たされてこの内圧により、架台20を支持しつつ、防振機能を実現する。また、空気バネ50の内部空間50aには、滑り支承30が設けられている。
ベローズ55の鉛直方向中央にはくびれ部55aが形成されており、当該くびれ部55aを囲むように中間リング57が配置されている。
レベリングバルブ51は、エアタンク10aの圧力を調整する制御弁を備えたバルブ部52と、バルブ部52から水平方向に延びるレバー部53と、当該レバー部の先端から鉛直上方に延びて反対側の先端が架台20に取り付けられた連結軸54と、を有する。連結軸54の両端は回転可能なリンク機構となっており、設置面Gと架台20との距離が変わるとそれに応じて、連結軸54が上下しレバー部53がバルブ部52を中心に回転する。
設置面Gと架台20との鉛直距離が近づくと、連結軸54が下方に下がり、それに伴いレバー部53が図4に示す正面視で右下に傾いた状態となる。これにより、バルブ部52の内部において、エアタンク10aから空気バネ50に供給する空気の制御弁が開放される。空気バネ50に空気が供給されることで架台20が上昇し、同時に連結軸54が上昇してレバー部53が徐々に左回転する。レバー部53は、設置面Gとの距離が所定の範囲内となった段階で水平となり、バルブ部52の制御弁が自動的に閉塞される。
図2に示すように、支柱10には内圧制御部60が接続されている。また、内圧制御部60には、地震センサ70が電気的に接続されている。地震センサ70は、所定の震度の地震を検知した際に、検知結果を信号として内圧制御部60に送信する。
地震センサ70は、地面の揺れを検知するものであっても、設置面G(建築物の2階以上の床面)の揺れを検知するものであっても良い。
内圧制御部60は、震度1〜震度4程度の小規模、又は中規模の地震が発生した場合には、空気バネ50の内圧を低下させない。また、内圧制御部60は、震度5程度の地震が発生した場合には、空気バネ50の内圧を低下させ、完全には開放させない。さらに、内圧制御部60は、震度6以上の地震が発生した場合には、空気バネ50の内圧を完全に開放する。
図3に示すように、滑り支承30は、前記架台20と前記設置面Gの間に間隙33を介して設けられている。また、滑り支承30は、空気バネ50の内部空間(内部)50aに設けられている。
滑り支承30は、滑り支持体35と、柱体31と、滑り部材34と、を有している。
また、空気バネ50の内圧を低下、又は開放させた状態では、架台20が下降し、これに伴い滑り部材34と滑り支持体35の滑り面35aとが当接する。これにより、滑り支承30により架台20を支持する(後段において説明する図6(c)参照)。滑り支承30が架台20を支持する場合には、水平方向の揺れが設置面Gに入力されると、滑り面35aが滑り部材34に対して滑動する。これにより、免震機能を果たすことができる。
滑り支承30が機能し、柱体31に対して滑り支持体35が水平方向に距離W以上移動しようとすると、保持部材31aの円周外面31bと滑り支持体35の円周内面35cとが当接する。これにより、環状突出部35bは、滑り支承30の水平方向の移動を距離Wで制限する。
距離Wは、設計段階で想定する地震の大きさに従い決定すればよい。
図1、図2に示すように、移動制限部80は、架台20の4方向にそれぞれ距離W80の隙間を介して設けられている。なお、図2において、Y方向に配置された2つの移動制限部80は、図示を省略した。
移動制限部80は、L字状に組み合わされた固定板81と立設板82を有する。また、移動制限部80は、固定板81と立設板82との間に接合された補強リブ83と、立設板82に固定された衝撃緩衝板84と、固定用のボルト85と、を有する。
固定板81には、貫通孔が設けられボルト85によって、設置面Gに固定されている。
立設板82は、架台20と対向して配置されている。立設板82の架台20と対向する側の面には、衝撃緩衝板84が接着固定されている。
移動制限部80と架台20との距離W80は、滑り支承30における保持部材31aの円周外面31bと環状突出部35bの円周内面35cとの距離W(図5参照)より大きい。これにより、想定以上の地震が発生するなどして、架台20が傾き、距離Wの移動制限を超えて架台20が移動しようとした場合にのみ、移動制限部80が機能する。移動制限部80と架台20との距離W80は、設計段階で想定する地震の大きさに従い決定すればよい。
次に、この防振減震装置1の作用について説明を行う。
図6(a)〜図6(d)に、防振減震装置1の動作について説明を行う。
空気バネ50の内部空間50aは、内圧が高められており、滑り支承30の滑り部材34と滑り面35aの間には、間隙33が設けられた状態となっている。この間隙33が設けられていることで、架台20は、滑り支承30に支持されず、空気バネ50に支持される。
図6(a)において、防振減震装置1に振動は入力されていないため、柱体31の中心線O31と滑り支持体35の中心線O35とは、一致している。
この状態において、架台20は、空気バネ50のみで支持された状態となっているため、空気バネ50が防振部材として機能する。架台20上に搭載される設備機器Mの振動は、空気バネ50を介して設置面Gに伝わる。空気バネ50において振動が吸収されることで、設置面Gに設備機器Mの振動がほとんど伝わらない。
図6(c)に示した例と同様に、地震センサ70による地震の揺れの検知結果に基づき、設備機器Mの運転を停止すると共に空気バネ50の内圧が開放され、滑り支承30により架台20が支持される。また、滑り支承30において、滑り面35aは、滑り部材34に対し、水平方向に相対的に滑動する。
本実施形態の防振減震装置1は、地震が発生していない定常時において、空気バネ50が設備機器Mを搭載する架台20を支持する。防振減震装置1は、空気バネ50の防振効果により、設備機器Mの運転時の振動を設置面Gに伝わることを抑制できる。
滑り支承30の滑り部材34及び滑り面35aは、定常時(地震が発生していない状態)には間隙33を介して配置されている。滑り支承30が外部に配置されていると、滑り部材34及び滑り面35aに埃等の異物が付着し、滑り部材34と滑り面35aとの摩擦係数が低下する虞がある。
滑り支承30が空気バネ50の内部空間50aに設けられていることで、滑り部材34と滑り面35aは、定常時には水分や埃等から保護され、地震発生時には意図した摩擦抵抗で滑動することができる。したがって、信頼性の高い防振減震装置1を構成できる。
さらに、滑り支承30が空気バネ50の内部空間50aに設けられていることで、滑り支承30の設置スペースを設ける必要がなく、省スペースな防振減震装置1を提供できる。
一般的に、地震時の中層階における揺れは、地上での地震の揺れより大きい。これは、中層階において建築物自身の固有振動数により揺れが増幅されるためである。一例として、1Gの地震は、中層階では2G〜3Gの揺れに増幅される。
Claims (5)
- 設置面上に設けられた空気バネと、
前記空気バネの内圧を制御する内圧制御部と、
前記空気バネに支持され、設備機器を搭載する架台と、
前記架台と前記設置面の間に間隙を介して設けられた免震支承と、を有し、
地震発生時に、前記空気バネの内圧を低下させ、前記架台を下降させて前記免震支承により前記架台を支持させる防振減震装置。 - 前記空気バネは、圧縮空気が充填される内部空間を気密に囲む可撓性の外郭体を有し、
前記免震支承は、前記空気バネの前記内部空間に配置される請求項1に記載の防振減震装置。 - 前記免震支承が、
前記架台の下面又は前記設置面の何れか一方の固定された滑り面と、
前記架台の下面又は前記設置面の他方に固定され鉛直方向に延びる柱体と、
前記柱体の先端に取り付けられた滑り部材と、を有する滑り支承であり、
前記滑り支承は、前記滑り部材と前記滑り面との間に間隙を介して設けられ、
前記地震発生時に、前記滑り部材と前記滑り面とを当接させ前記架台を支持する請求項1又は2に記載の防振減震装置。 - 前記滑り面の周縁に、前記柱体と前記滑り面との水平方向の相対的な移動を制限する変位ストッパが設けられている請求項3に記載の防振減震装置。
- さらに、
地震による揺れを検知し検知結果を前記内圧制御部に送信する地震センサと、を有する請求項1〜4の何れか一項に記載の防振減震装置。
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