本記載の目的で、「ベルクランクカウンターウェイト」は、「ベルクランクアクチュエーターに対して釣合モーメントを加えるようにベルクランクアクチュエーターと連結されており、慣性力ベクトルに応じて、ドアアセンブリがドアハンドルグリップの操作及びベルクランクアクチュエーターの移動のみによって開くことができる静止位置から、慣性力ベクトルに応じたベルクランクカウンターウェイト及びベルクランクアクチュエーターの移動によって車両ドアの非制御式の開放が可能になる非制限位置へ移動可能である本体」を意味するものとする。
「ブロック部材リテーナー」又は「リテーナー」は、「慣性ブロック部材がベルクランクアクチュエーターの動きを妨げる作動時間を、該ブロック部材リテーナーの非存在下での作動時間を超えて延長させるように慣性ブロック部材と関連する要素又は要素の組み合わせ」を意味するものとする。
「ドアハンドルグリップ」は、「車両ドアの外面に取り付けられており、ドアラッチを操作してドアを開くために把持して引かれる、解除ハンドルアセンブリの構成部品」を意味するものとする。
「ドアラッチアセンブリ」は、解除ハンドルアセンブリ、ドアラッチ、及び解除ハンドルアセンブリとドアラッチとを動作可能に連結するケーブル又は棒等の装置を含む、車両ドアを開閉するための、車両ドアの一部を含む構成部品のアセンブリ」を意味するものとする。
「慣性ブロック部材」又は「ブロック部材」は、「慣性力ベクトルに応じて、ドアアセンブリがドアハンドルグリップの操作及びベルクランクアクチュエーターの移動のみによって開くことができる静止位置から、ベルクランクカウンターウェイト及びベルクランクアクチュエーターの移動が防止され、それによって車両ドアの非制御式の開放を防止するブロック位置へ移動可能である本体」を意味するものとする。
「解除ハンドルアセンブリ」は、エスカチオンと、ドアハンドルグリップと、ベルクランクアクチュエーター及びベルクランクカウンターウェイトを含むベルクランクアセンブリと、ブロック部材リテーナーを含む慣性ブロック部材アセンブリと、解除ハンドルアセンブリ骨組とを含む構成部品のアセンブリ」を意味するものとする。
「上に」、「上方」又は「上方に」という用語は、「実質的に水平な表面上でその車輪によって支持されている自動車に対して上方方向」を意味するものとする。「下に」、「下方」又は「下方に」という用語は、「実質的に水平な表面上でその車輪によって支持されている自動車に対して下方方向」を意味するものとする。「外方」、「外方に」、「外に」又は「外側に」という用語は、「自動車の外側に向かう方向、すなわち自動車の外に位置付けられる」ことを意味するものとする。「内方」、「内方に」、「中に」又は「内側に」という用語は、「自動車の内側に向かう方向、すなわち自動車内に位置付けられる」ことを意味するものとする。
図面、特に図1を参照すると、ドアアセンブリ12を備える自動車10の一部が示されている。ドアアセンブリ12は、ドアアセンブリ12の開閉を容易にするためにドアアセンブリ12に取り付けられている解除ハンドルアセンブリ14を有する。ドアアセンブリ12には、車両の乗員に後方の視野を提供するミラーアセンブリ16も設けられている。ミラーアセンブリ16は本発明の一部ではないため、本明細書ではさらなる説明は行わない。
図2に示されているように、解除ハンドルアセンブリ14は、エスカチオン20及びドアハンドルグリップ22を含む。図示の解除ハンドルアセンブリ14は、慣性ブロック部材サブアセンブリを組み込むことができる解除ハンドルアセンブリの一例に過ぎない。解除ハンドルアセンブリ14は、代替的には、パドル型又はツイスト型のハンドルアセンブリのような他の解除ハンドルアセンブリを含むことができる。
基本的な構成及び動作を共有する、本発明のいくつかの実施形態を説明する。この基本的な構成は図3に示されており、図3は、本発明の実施形態の基礎を含む、隠れCG(hidden CG)カウンターウェイトとも称される慣性ブロック部材の動作を概念的に平面図で示す。慣性ブロック部材140は、垂直軸を中心に枢動回転するように、ピボット接続部144を通して解除ハンドルアセンブリ骨組又はエスカチオン(図示せず)の固定部分に枢動可能に取り付けられている慣性ブロック部材サブアセンブリ(図示せず)の一部を含む。ピボット接続部144は、慣性ブロック部材140の質量中心148からずれている。
慣性ブロック部材140は、ピボット接続部144を中心に、第1の、すなわち静止位置152と、第2の、すなわち係合位置142との間で回転可能である。したがって、ドアアセンブリに作用し、ベクトル「B」によって示される、より大きい加速場/力場の一部を含む加速力は、質量中心148に対して逆方向の力を作用させ、それによって、反時計回りとして示される慣性ブロック部材140の回転150を付勢して係合位置142にすることができる。逆に、加速力Bの方向とは反対の方向へドアアセンブリに対して作用する加速力は、慣性ブロック部材140の回転を時計回り方向に付勢することができる。
加速力ベクトルB及びピボット接続部144に従って質量中心148が位置146まで回転している係合位置142は、「隠れ重心」又は「隠れCG」形態と称することができる。この隠れCG形態では、慣性ブロック部材140は、慣性ブロック部材140がその静止位置152に戻ることを可能にするほど十分に加速力が消散するまで静止したままであることができる。コイルばね(図示せず:helical spring)のような付勢部材を慣性ブロック部材140に組み込んで、その静止位置152への戻りを付勢することができる。付勢部材のばね定数は、慣性ブロック部材の慣性質量及び慣性モーメント、設計上の衝撃事象パラメーター、並びに隠れCG形態が維持される時間に基づいて選択することができる。
静止位置152では、慣性ブロック部材140はベルクランクから分離されることができ、したがってベルクランクがドアを開くように十分に動作することを可能にする。慣性ブロック部材140は、衝撃事象の結果として慣性ブロック部材140が隠れCG形態になるとベルクランク又は他の解除ハンドル機構と係合してその動きを妨げ、解除ハンドル機構の移動及びドアの開放を防止するように構成することができる。慣性ブロック部材140は、付勢部材の影響下で静止位置152へ回転することができるまで、隠れCG形態142のままであることができる。慣性ブロック部材140の静止位置152への戻りは、変形段階の後期、又は変形段階の後で加速力ベクトル「B」が付勢部材の戻し力に抵抗するのに不十分になると生じることができる。
ここで図4及び図5を参照すると、解除ハンドルアセンブリ160の一部を含む、上述した隠れCG特徴を組み込んでいる慣性ブロック部材サブアセンブリ176の第1の実施形態が示されている。解除ハンドルアセンブリ160は、エスカチオン162と、ベルクランクアセンブリ174を操作するドアハンドルグリップ(図示せず)とを含む。ドアハンドルグリップは、第1の端にラッチアーム164と、ピボットピン172によってピボットアームハウジング170内に回転可能に受け入れられるピボットアーム(図示せず)とを含む。ドアハンドルグリップを引くことによってドアハンドルグリップがピボットピン172を中心に枢動し、ラッチアーム164を解除ハンドルアセンブリ160から外方に移動させることができる。代替的には、解除ハンドルアセンブリ160は、パドル型又はツイスト型のラッチアセンブリのような他のハンドル/ラッチアセンブリからなることができる。
ベルクランクアセンブリ174は、第1の実質的に後続の端において支持ピン184から離れるように半径方向に延びているクランクフィンガー166であって、ラッチアーム164と摺動可能に連結するクランクフィンガー166(共に図10に示される)まで遷移するベルクランクを備え、それによって、ドアハンドルグリップ22を引くと、クランクフィンガー166が外方に並進する。干渉フィンガー188が、本明細書の以下で明らかになる目的から、ベルクランクアセンブリ174の第2の実質的に先行する端において支持ピン184から離れるように半径方向に延びている。ベルクランクアセンブリ174はベルクランクカウンターウェイト182も備える。ベルクランクアセンブリ174は、解除ハンドルアセンブリ骨組186に好適な方法で取り付けられている、水平方向に配置された支持ピン184のような好適な向きの支持ピンを備え、ベルクランクアセンブリ174をピン184の長手方向軸を中心に回転させるようにする。ドアハンドルグリップを引くことによって、ラッチアーム164及びクランクフィンガー166を外方へ動かし、それによってベルクランクアセンブリ174を回転させて干渉フィンガー188を下方へ回転させることができる。
詳細には図5を参照すると、慣性ブロック部材178を備える慣性ブロック部材サブアセンブリ176が、ピン246によって上側支持特徴部228と下側支持特徴部230との間に回転可能に取り付けられている。図5、図7及び図8に示されるように、上側支持特徴部228は、そこから垂下していると共に平坦な停止端234において内方に終端している実質的に直線的な停止壁232を含む。上側支持特徴部228はまた、ピン246を受け入れるように内部にピン開口236が貫通している。
図6A〜図6Dを参照すると、慣性ブロック部材178は、実質的に扇形形状の隠れCGカウンターウェイト部分190(図6B)及び干渉部分192を含む不規則形状の本体である。カウンターウェイト部分190は上壁194を有する。干渉部分192は、上壁194から離間していると共に上壁194に対して実質的に平行である底壁196を含む。側壁198が上壁194と底壁196との間で実質的に直角に延びている。
上壁194は、付勢部材を収容するように該上壁194の頂部において実質的に円形のばねキャビティ202へ遷移している実質的に平坦な底面200を有する。ばねキャビティ202は、狭くて細長いばねチャネル204内へ接線方向に開いており、該ばねチャネル204からはばね開口部214が延びている。ばねキャビティ202は、該ばねキャビティ202から延びていると共に上壁194及び底壁196を貫通している同心のピン開口212を有する。
低壁206が、ばねキャビティ202を部分的に囲んで画定している底面200から円弧状に垂下している。高壁208が、ばねキャビティ202の残りの外周部分及びばねチャネル204の周囲を覆っている。ばねキャビティ202及びばねチャネル204はコイルばね(図示せず)を受け入れる。コイルばねのコイルはばねキャビティ202内に受け入れられる。コイルばねの一方のアームがばねチャネル204内へ延び、ばね開口部214内へ挿入されることができるフィンガーにおいて直角に終端する。コイルばねの他方のアームは底面200に沿って延びている。
底壁196は、底面200から延びる実質的に直線的な底壁突起216へ遷移している。
上壁194は、ピン開口212から半径方向に離れるように干渉部分192へ遷移している。上壁194は、底面200に対して実質的に平行な向きである平坦な上面224を有する。上壁194から延びているのは、ピン開口212と同軸上にある環状カラー220である。上壁停止ボス218が上面224から上壁196及びカラー220に沿って延び、ピン開口212から離れるように半径方向に突出している。ピン開口212は側壁198と交わり、細長い円形のチャネル状ピン溝222を画定している。
図5及び図7は、静止位置にある慣性ブロック部材サブアセンブリ176を示す。この形態では、慣性ブロック部材178は、図9のベクトルによって示される反時計回り方向にコイルばねによって付勢されるため、上壁停止ボス218は停止端234(図8)と接触することができる。図5に示されるように、干渉部分192は上側支持特徴部228の下に実質的に延びることができる。慣性ブロック部材178の質量中心は、慣性ブロック部材178が静止位置にある状態の回転軸、すなわちピン246からずらすことができる。ドアハンドルグリップ22を引くことによって、慣性ブロック部材アセンブリが静止形態にあるときに干渉部分192による干渉なくベルクランクアセンブリ174及び干渉フィンガー188を回転させることができる。
図8、図9及び図10は、加速段階中の慣性ブロック部材178とベルクランクアセンブリ174の干渉フィンガー188との相対的な位置を示す。加速段階中に、ベルクランクカウンターウェイト182は、ベルクランクアセンブリ174を回転させる傾向にある外方への慣性力を加え、クランクフィンガー166をラッチアーム164の端に対して内方へ付勢することができる。同時に、ドアハンドルグリップ22は外方への慣性力を加えることもできる。ベルクランクカウンターウェイト182に対してドアハンドルグリップ22の重量の方が重いことによって、ドアハンドルグリップ22が外方へ移動することができ、これは、ラッチアーム164を外方へ移動させる傾向にあり、それによって、ベルクランクカウンターウェイト182に対して作用する慣性力とは反対にベルクランクアセンブリ174の回転を付勢する。
一方で、慣性ブロック部材178は、コイルばねのバイアスに抗して回転することができる。干渉部分192は同時にベルクランクアセンブリ174及びラッチアーム164に向かって回転することができ、上壁停止ボス218が停止端234から離れるように移動することができる。加速段階中に、干渉部分192の回転によって慣性ブロック部材178を隠れCG形態にすることができ、これは変形段階まで及ぶことができる。したがって、慣性ブロック部材178は、静止位置に戻ることを防止されることができ、干渉フィンガー188は干渉部分192と接触することができることで、干渉フィンガー188の下方及び外方への回転を防止し、それによって、変形段階中のベルクランクアセンブリ174の回転及びドアハンドルグリップ22の移動を防止する。
変形段階の終わりに、コイルばねが加える力によって慣性ブロック部材178を静止形態に戻すことができるため、解除ハンドルアセンブリ14を操作することができる。
図11〜図16Bは、本発明の第2の実施形態を示し、第2の実施形態は、隠れCG形態及び慣性ブロック部材の係合の持続時間を延長させるブロック部材リテーナーの組み込みを除いて第1の実施形態と同様である。第1の実施形態と共通の第2の実施形態の要素は、同様の参照符号によって特定され、本発明の完全な理解に必要な場合以外は説明しない。
図12は、干渉部分192の外側縁に沿ってその上面から上方に延びる、実質的に直線的な幾分レンガ状のブロック部材停止部226を含むブロック部材リテーナー要素を有する慣性ブロック部材178を示す。ばねキャビティ202内に収容することができ、かつ、慣性ブロック部材178を静止位置に回転させることに加えて、慣性ブロック部材178を上側支持特徴部228へ向けて上方に付勢することができるばね等の付勢部材は示されていない。
図13及び図14を参照すると、フレーム突起238が、解除ハンドルアセンブリ骨組186から内方へ延びる細長い片持ち梁状の構造である。フレーム突起238は、ブロック部材キャッチ180を含むブロック部材リテーナー要素において終端している。ブロック部材キャッチ180は、フレーム突起238を横切って横方向に延びていると共に凹部248を画定している凹面242に対して外方へ遷移する傾斜面240を有する。凹面242は、傾斜面240と交わる傾斜面244に対して内方へ遷移している。ブロック部材キャッチ180及びブロック部材停止部226は、本明細書において以下で説明するように協働して相互接続するように構成されている。
図14A及び図14Bは、静止位置にある慣性ブロック部材サブアセンブリ176を示す。この形態では、ドアハンドルグリップ22を引くことによって、慣性ブロック部材178による干渉なくベルクランクアセンブリ174及び干渉フィンガー188を回転させることができる。
図15A〜図15Cは、加速段階中の慣性ブロック部材178とベルクランクアセンブリ174の干渉フィンガー188との相対的な位置を示す。加速段階中の慣性ブロック部材サブアセンブリ176の作動は、概して第1の実施形態に関して上述したように進行する。隠れCGカウンターウェイト部分190は、慣性ブロック部材178を付勢して隠れCG形態に回転させることができる。
加速段階の終了時であることができるか又は変形段階中であることができる後の時点で、慣性ブロック部材178は、隠れCG形態になるまで十分に回転することができ、干渉部分192がフレーム突起238と位置合わせされた状態となり、それによって、慣性ブロック部材停止部226が傾斜面240に沿って進んで凹部248に入ることができる。図16A及び図16Bに示されるように、これによって、慣性ブロック部材178を、付勢部材の上向きの力に抗して下側支持特徴部230へ向けて下方に付勢することができ、それによって停止部226とキャッチ180とを連結する。付勢部材の上向きの力は、衝撃事象が過ぎても、慣性ブロック部材停止部226を凹部248内に、かつ慣性ブロック部材178をブロック形態に保持することができる。
衝撃事象の終了時に、ドアハンドルグリップ22を引くことによって干渉フィンガー188を干渉部分192に対して下方に回転させることができることで、慣性ブロック部材178をフレーム突起238から離して慣性ブロック部材停止部226を凹部248から分離し、それによって、付勢部材が慣性ブロック部材178を静止形態に戻すことが可能となる。
図17A〜図22は、隠れCG形態の持続時間を増加させて解除ハンドルアセンブリのブロックを延長させるために代替的なブロック部材リテーナーを組み込むことを除いて、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様である慣性ブロック部材サブアセンブリの第3の実施形態を示す。第1の実施形態及び第2の実施形態と共通の第3の実施形態の要素は、同様の参照符号によって特定され、本発明の完全な理解に必要な場合以外は説明しない。
第3の実施形態は、ピン246(図18A)によって下側支持特徴部284と上側支持特徴部286との間に回転可能に取り付けられている、図17A〜図17Cに示される慣性ブロック部材250を含む。慣性ブロック部材250は、ピン246と同心に配置することができるコイルばね(図示せず)のような好適な付勢部材によって静止位置へ向けて、かつ上側支持特徴部286へ向けて上方に付勢される。解除ハンドルアセンブリ骨組186から内方へ延びているのは、直角に配置されている平坦な停止面310において終端する、細長い幾分片持ち式のフレーム突起308である。
図17A〜図17Cを参照すると、慣性ブロック部材250は、隠れCGカウンターウェイト部分252及び干渉部分254を含む。隠れCGカウンターウェイト部分252は底壁258を有する。干渉部分254は上壁256を有する。上壁256は側壁260によって底壁258と接合されている。
底壁258は、半径方向に配置されている底壁突起262へ遷移しており、上壁256は半径方向に配置されている上壁停止ボス264へ遷移している。ピン開口266が上壁256及び底壁258を通って同軸上に延びている。高壁268が、細長いばねチャネル204及び円形ばねキャビティ202の一部の周りで外周方向に垂下している。第1のブロック部材リテーナー要素が、高壁268の外側コーナー縁から下方へ突出していると共に、平行面282に半径方向外方へ遷移する半径内向きの傾斜面280を有している高壁ボス270を含む。
干渉部分254の上面は、静止位置から離れる慣性ブロック部材250の回転を制限するように停止面310と係合する、該上面から上方に延びている実質的に直線的な慣性ブロック部材停止部278を有する。第2のブロック部材リテーナー要素が、ピン開口266と同心に慣性ブロック部材250の上面から直角に突出している環状カラー272を含む。カラー272から半径方向に離間しているのは、上向きの傾斜面276を有する半環状の弧状ウェッジ274を含む第3のブロック部材リテーナー要素である。
図21に示されるように、上側支持特徴部286は、慣性ブロック部材250が下側支持特徴部284と上側支持特徴部286との間に取り付けられると弧状ウェッジ274と整合するように構成されている、下方へ突出する半環状の弧状楔壁292を含む第4のブロック部材リテーナー要素を有する。弧状楔壁292は、垂直面298を通って第2の傾斜面296へ遷移している第1の傾斜面294を有する。傾斜面292、296は、弧状ウェッジ274の傾斜面276と摺動可能に整合するような向きである。上側支持特徴部286は、停止端290で終端している停止壁288も有する。
図18C及び図22に示されるように、下側支持特徴部284は、下側支持特徴部284内へ延びていると共に、湾曲面304を通って平坦な戻り面306へ遷移する片持ち式壁302によって画定されている切欠部300を有する。切欠部300は、高壁ボス270と干渉整合(interfering registry)するようになっている。
図18A及び図18Bは、静止位置にある、慣性ブロック部材250と、下側支持特徴部284と、上側支持特徴部286との相対的な位置を示す。この形態では、慣性ブロック部材250は、コイルばねによって時計回り方向に付勢されることができるため、上壁停止ボス264が停止端290と接触し、それによって、慣性ブロック部材250のさらなる回転を防止し、衝撃事象における満足のいく動作のために慣性ブロック部材250の重心を回転軸、すなわちピン246に対して最適な位置に向かせる。さらに、慣性ブロック部材250は、前述したように上側支持特徴部286へ向けて上方に付勢されることができる。
静止形態では、弧状ウェッジ274は弧状楔壁292から周方向に離間することができる。干渉部分254は、上側支持特徴部286の実質的に下に、ベルクランクアセンブリ174の横方向へ延びることができる。慣性ブロック部材250の質量中心は、回転軸からラッチアーム164へ向けてずらすことができる。ドアハンドルグリップ22を引くことによって、慣性ブロック部材250による干渉なくベルクランクアセンブリ174を操作することができ、干渉フィンガー188は干渉部分254と接触することなく下方へ回転することができる。
図19A及び図19Bは、加速段階中の慣性ブロック部材250、下側支持特徴部284及び上側支持特徴部286の相対的な位置を示す。加速段階中に、慣性ブロック部材250は、コイルばねのバイアスに抗して回転することができるため、干渉部分254がベルクランクアセンブリ174及びラッチアーム164へ向かって回転する。弧状ウェッジ274の傾斜面276は、弧状楔壁292の第1の傾斜面294と接触して該第1の傾斜面294に沿って移動することができ、これによって慣性ブロック部材250を付勢部材の力に抗して下側支持特徴部284へ向けて下方に付勢する。高壁ボス270も、下側支持特徴部284の上面へ向かって付勢されることができる。干渉フィンガー188は同時に下方へ回転して慣性ブロック部材250と接触することができる。しかし、高壁ボス270と下側支持特徴部284の上面との接触によって、慣性ブロック部材250が下方へ移動すること、及び干渉フィンガー188が下方へ回転することを防止することができる。
ここで図20A及び図20Bを参照すると、慣性ブロック部材250は、回転し続けると、弧状ウェッジ274が傾斜面294を横断するにつれて下方へ移動し続けることができる。同時に、高壁ボス270は、干渉フィンガー188の作用及び/又は弧状ウェッジ274の傾斜面294に沿った移動によって切欠部300(図22)内へ「落下」することができ、したがって静止位置へ向かって戻るブロック部材250の回転を防止する。ウエッジ274が弧状楔壁292の垂直面298を離れると、慣性ブロック部材250が上方に付勢されることができ、これによって弧状ウェッジ274を第2の傾斜面296と接触させる。静止位置へ向かって戻る慣性ブロック部材250の回転は、変形段階中及び変形段階後の、弧状ウェッジ274と垂直面298との係合、干渉フィンガー188の連続的なブロック、並びに解除ハンドルアセンブリ14の予期しない操作及びドアアセンブリ12の開放の防止によって防止することができる。
衝撃事象の終わりに、ドアハンドルグリップ22を引くことによって、干渉フィンガー188を干渉部分254に対して下方に回転させることができ、これによって慣性ブロック部材250を下方に付勢して弧状ウェッジ274を弧状楔壁292から分離し、それによって慣性ブロック部材250が付勢部材の影響下で静止位置に戻ることができる。弧状ウェッジ274が弧状楔壁292を横切るときに、ウェッジ274が楔壁292を離れるまで高壁ボス270は切欠部300内にあるままであり、離れた時点で、ブロック部材250の上方移動によって高壁ボス270が切欠部300から離れることを可能にすることができる。ベルクランクアセンブリ174の妨げのない動作を可能にするために、慣性ブロック部材250が静止形態に戻った後で、ドアハンドルグリップ22を2度目で解除して引くことが必要であろう。
図23〜図28は、本発明の第4の実施形態を示す。ドアハンドルグリップ22は、支持端24及び対向するラッチ端26を有する。図23及び図24に示されるように、支持端24においてドアハンドルグリップ22から離れるように幾分直角に延びているのは、本明細書では実質的に直線的であるとして示される実質的に一定の断面を有する細長い支持アーム28である。同様に、ラッチ端26においてドアハンドルグリップ22から離れるように直角に延びているのは、実質的に直線的な断面を有するラッチアーム30である。
各アーム28、30は、その内方端が、垂直に配置されている直線的なスロット35、37に近接してそれぞれ終端している。支持アーム28及びラッチアーム30は、エスカチオン20と堅く連結されている相補的な管状のハンドルスリーブ56、54内にそれぞれ摺動可能に受け入れられる。車両10の外側からドアハンドルグリップ22を引くことによって、アーム28、30をドアアセンブリ12の外面へ向けて摺動可能に並進させることができる。
ベルクランクアクチュエーター32は、細長い接続ビーム42によって接合されているクランク端34及び対向する支持端36を有する細長い本体である。クランク端34は、車両ドアラッチ(図示せず)と動作可能に連結して回転軸48を中心に角運動するベルクランクを含む。
クランク端34において接続ビーム42から離れるように実質的に直角に下方へ延びているのは、細長いクランクフィンガー38である。支持端36において接続ビーム42から離れるように実質的に直角に下方へ延びているのは、細長い支持フィンガー40である。フィンガー38、40は、スロット37、35と摺動可能に連結するようになっているため、ドアハンドルグリップ22を引くこと及びアーム28、30をドアアセンブリ12から外方へ並進させることによってフィンガー38、40を外方へ引くことができる。
フィンガー38、40には、この移動を容易にするために幾分角度が付いている。しかし、フィンガー38、40は本明細書において記載する目的に好適な任意の形態であることができる。フィンガー38、40は、その内部にピボットピン46を受け入れる開口66、64とそれぞれ適合されており、フィンガー38、40から離間していると共にフィンガー38、40に対して実質的に直交している回転軸48を中心にベルクランクアクチュエーター32が回転することを可能にする。
ピン46は、解除ハンドルアセンブリ14の種々の要素を連結することもできる剛性フレーム又はエスカチオンサブアセンブリ68等によって好適な方法で回転可能に支持されることができる、細い円筒形の棒状部材である。
接続ビーム42のおよそ中間点においてフィンガー38、40と対向して接続ビーム42から離れるように延びているのは、実質的に上方に突出しているブロック状のベルクランクカウンターウェイト44である。接続ビーム42の中間点及びベルクランクカウンターウェイト44から幾分ずれて接続ビーム42から離れるように実質的に下方に突出しているのは、下方に配置された傾斜面を有する並進ボス50を含むブロック部材リテーナー要素である。並進ボス50に隣接して並進ボス50から実質的に下方へ延びているのは、取り付けピン60(図24)によって吊り下げられる慣性ブロック部材58を含む慣性ブロック部材サブアセンブリ52である。取り付けピン60は、解除ハンドルアセンブリ14の好適な部分、例えば剛性フレーム、サブアセンブリ又はエスカチオン20に取り付け固定される一対のピローブロック122、124によって支持されており、付勢部材又は戻しばね62と関連している。ピローブロック124には、最内端に、横方向に突出する停止ブロック126を含むブロック部材リテーナー要素が設けられている。
ここで図25A及び図25Bを参照すると、慣性ブロック部材58は、比較的薄い平坦な慣性ブロック部材プレート70を含む不規則形状の本体であり、該慣性ブロック部材プレート70は、その中を直角に貫通していると共に同軸の取り付けピン開口74を画定している実質的に環状の貫通カラー72を有する。慣性ブロック部材プレート70は、頂部端78及び対向する湾曲端80を有する扇形部分76を含む。頂部端78から横方向に延びていると共に扇形部分76と同一平面上にあるのは停止フィンガー82である。湾曲端80は、実質的に上方に延びる停止ボス86へ遷移している弧状壁84を画定する。取り付けピン開口74は、細長い実質的に円筒形の取り付けピン60を受け入れることができ、該ピン60は、該ピン60の長手方向軸と同一の広がりを有する回転軸を中心に慣性ブロック部材58を回転させるように、本明細書において以下で説明するような好適な方法で支持されることができる。
貫通カラー72は、慣性ブロック部材プレート70の第1の側から実質的に直角に延びている環状の自由部分90と、慣性ブロック部材プレート70の第2の反対側から実質的に直角に延びていると共に自由部分90と同軸上にある係合部分92を含むブロック部材リテーナー要素とを含む。慣性ブロック部材58の重心は、慣性ブロック部材プレート70内に、取り付けピン60と関連する回転軸から横方向に離れるようにずれて位置する。
係合部分92は、幾分矩形のタレット突起100に対して実質的に接線方向に遷移している実質的に円筒形のタレット94を含む。弧状の低壁96が、停止フィンガー82へ向けて配置されている円弧に沿ってタレット94を覆っている。第1の高壁98がタレット94の残りの部分を覆っており、タレット突起100を覆う第2の高壁102へ遷移している。タレット94を覆う低壁96及び高壁98は、取り付けピン開口74と同軸上にあるばねキャビティ110を画定している。タレット突起100を覆う第2の高壁102はばねチャネル104を画定している。ばね開口部106がばねチャネル104の床からタレット突起100内へ延びている。高壁98、102の遷移部において該高壁98、102を覆うのは直線状のブロック部材ボス108である。
ばねキャビティ110及びばねチャネル104は、取り付けピン60を囲むようになっているコイル116を有する付勢部材すなわちコイルばね62を受け入れるように構成されている。コイル116の第1の端から離れるように接線方向に延びているのは、接触フィンガー118において直角に終端している接触アーム112である。コイル116の第2の端から離れるように接線方向に延び、かつ接触アーム112から角度的にずれているのは、ブロック部材フィンガー120において直角に終端しているブロック部材アーム114である。ブロック部材フィンガー120は、ばね62がばねキャビティ110内で取り付けピン60の周りに位置決めされているときにばね開口部106内に挿入されるようになっている。この構成では、接触アーム112は下壁96を横切って延びることができる。
図26Aを参照すると、接触アーム112と接触フィンガー118との間の屈曲部がエスカチオン20に対して当接することができ、それによって、慣性ブロック部材58は、図25Bの曲線ベクトル「A」によって示されるように時計回りに付勢されることができる。
図26A及び図26Bは、静止形態にある、慣性ブロック部材58とベルクランクアクチュエーター32との相対的な位置を示す。ピローブロック122、124によって支持されている取り付けピン60は、慣性ブロック部材58を回転可能に吊り下げる。戻しばね62は、停止フィンガー82がエスカチオン20と接触するように慣性ブロック部材58を付勢して回転させる傾向にあることができ、それによって慣性ブロック部材58を定位置で安定化させて、停止ボス86を並進ボス50から離間させる。この構成では、ドアハンドルグリップ22を引いてドアアセンブリ12を開くことによって、ベルクランクアクチュエーター32をピン軸48を中心に回転させることができ、これによってベルクランクを作動させ、また、並進ボス50を慣性ブロック部材58から離れるように前方に回転させる。したがって慣性ブロック部材58は移動することができない。
図27A及び図27Bは、衝撃事象の加速段階中の慣性ブロック部材58とベルクランクアクチュエーター32との相対的な位置を示す。この段階中に、ベルクランクカウンターウェイト44及び並進ボス50は、エスカチオン20へ向かって外方に移動することができるため、ベルクランクアクチュエーター32はピン軸48を中心に回転し、フィンガー38、40は内方へ付勢され、ドアハンドルグリップ22をドア閉鎖位置に保持する。同時に、慣性ブロック部材58は、停止フィンガー82がエスカチオン20から離れるように内方へ移動して停止ボス86が外方へ移動するように回転することができる。ブロック部材ボス108は、ピローブロック124の停止ブロック126に沿って上方に並進することができ、最終的に、図27Aに示されているように停止ブロック126から離れる。
ここで図28A及び図28Bを参照すると、変形段階中に、加速力によって、ベルクランクカウンターウェイト44及び並進ボス50がエスカチオン20から離れるように内方へ移動する場合、同様に内方へ移動する並進ボス50の傾斜面が弧状壁84と接触することができ、それによってベルクランクアクチュエーター32を付勢してその静止位置へ向けて戻す。並進ボス50の継続移動は、弧状壁84を付勢して並進ボス50の傾斜面に沿って摺動させ、かつ慣性ブロック部材58を付勢して取り付けピン60に沿ってピローブロック124へ向けて摺動させることができる。停止ブロック126を離れているブロック部材ボス108は、ブロック部材表面130と接触するまで停止ブロック126に沿ってピローブロック124へ向かって並進することができる。この構成では、停止ボス86と並進ボス50との係合に起因して、慣性ブロック部材58及びベルクランクアクチュエーター32はそれらの静止位置に回転して戻ることができない。
慣性ブロック部材58及びベルクランクアクチュエーター32がそれらの静止位置に回転して戻ることが防止された状態で、ドアハンドルグリップ22は、ドアアセンブリ12を移動させること及びその開放を可能にすることを妨げられることができる。加速力が消散すると、戻しばね62は、慣性ブロック部材58をその静止位置へ向けて付勢することができ、停止フィンガー82がエスカチオン20と接触して停止ボス86が並進ボス50から離れた状態となる。慣性ブロック部材58を回転させる傾向にある戻しばね62が加える力は、ブロック部材ボス108がブロック部材表面130を離れて停止ブロック126に沿って摺動することができるまで、弧状壁84を付勢して並進ボス50の傾斜面を上方に移動させることができる。ドアアセンブリ12は、衝撃によって生じる加速中には閉じたままであることができるが、衝撃事象の終了後に加速が消散すると開くことができる。
本明細書において説明及び図示されている慣性ブロック部材サブアセンブリは、車両ドア解除ハンドルアセンブリにおいて容易に用いることができる。この解除ハンドルアセンブリを事実上すべての車両に組み込むことができるように解除ハンドルアセンブリ及び慣性ブロック部材サブアセンブリに対する適度な変更形態を発展させることができる。慣性ブロック部材サブアセンブリは最小限の構成要素を含み、それによって、安全動作の再現性及び有効性を最適化し、かつ製造コスト及び設置コストを最小限に抑える。慣性ブロック部材サブアセンブリは、水平軸又は垂直軸を中心に移動するように解除ハンドルアセンブリに組み込むことができる。いずれの構成においても、慣性ブロック部材サブアセンブリは加速段階中には係合しており、この係合は、すべての加速力が消散し、かつ/又はドアハンドルグリップが引かれるまで、ドアハンドルグリップをディセーブル状態に維持するために衝撃事象の変形段階まで、かつ変形段階の後まで続く。
本発明を、その或る特定の実施形態と関連して具体的に説明したが、これは例示としてのものであり限定するものではないことを理解されたい。添付の特許請求の範囲において規定される本発明の精神から逸脱することなく、上記の開示及び図面の範囲内で合理的な変形及び変更が可能である。