JP2016027207A - 強靭鉄系バルク金属ガラス合金 - Google Patents

強靭鉄系バルク金属ガラス合金 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた加工性及び硬度を有した一群の鉄系リン光体含有バルク金属ガラス、そのような合金の形成方法、及び、それらの物品の製造工程が提供される。
【解決手段】本発明の鉄系合金は、鉄系 P 含有バルク金属ガラス合金の半金属部分の組成を非常にきつく制御することによって、驚くほど低い剛性率と高い硬度を備えた高度に加工可能である合金を得ることが可能となるという観察に基づくものである。さらに、ほんのわずかのシリコン(Si)及びコバルト(Co)を Fe-Ni-Mo-P-C-B システムに取り込ませることで、高い飽和磁化及び低いスイッチング損失を有する 3 及び 4 mm の合金が合成された。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般に鉄系バルク金属ガラス合金に関するものであり、より詳細には、低い剛性率を示すバルク金属ガラス合金を含む一群の鉄系リン光体に関するものである。
金属合金は、通常原子が規則正しい繰り返しパターンで構成された結晶状態にある。それに対して、アモルファス合金は、構造や繰り返しパターンのないランダムに配置された原子から構成されている。これは、溶融合金が原子が規則正しいパターンに配置されるのを防ぐのに十分速い速度で冷却され、結晶化が回避されるときに起こり得る。1960 年の「金属」ガラスの発見は、一般的なケイ酸塩ガラスと似た熱力学的及び動力学的特性を有するが、機械的、電子的及び光学的に根本的に異なった特性を有する「金属的に」接着されたアモルファス固体をもたらした。(W. Klement, et al., Nature 187, 869-870 (1960) を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)金属ガラスは、ありふれた金属のように電子的及び光学的に「金属的」であり、ケイ酸塩ガラスよりもかなり高い靱性を示す。長距離原子配列の欠如と、空孔、転移又は粒界のような微小欠陥の欠如によって、金属ガラスは、従来型の金属に比べて大幅に強化された強さ、硬さ、弾力性のような工学的性質を示す。微細構造欠陥の欠如は、その化学的挙動に影響を与え、その上多くの場合、腐食や化学攻撃への耐性が向上する。(例えば、W. L. Johnson, MRS Bull. 24, 42-56 (1999)、W. L. Johnson, JOM 54, 40-43 (2002)、A. L. Greer & E. Ma, MRS Bull. 32, 611-616 (2007)、及び A. L. Greer, Today 12, 14-22 (2009) を参照。これらの各開示は参照により本明細書に組み込まれる。)
鉄系ガラスの著しく高い強度、弾性率、及び硬度は、その低コストと相まって、最近 5 年間の構造的な応用に適したアモルファス鋼の設計の試みを促した。合金の開発努力によって、12 mm までの大きさの臨界棒径及び 4 GPa を上回る強度を有するガラスが生み出された。(例えば、Lu ZP, et al., Phys Rev Lett 92;245503 (2004); Ponnambalam V, et al., / Mater Res 19; 1320 (2004); and Gu XJ, et al, J Mater Res. 22;344 (2007) を参照。これらの各開示は参照により本明細書に組み込まれる。)しかしながら、これらの低コスト超剛性素材は 3 MPa m1/2 ほど低い靱性値を示し、これは構造材料の最低許容靱性限界以下である。(例えば、Hess PA, et al., J Mater Res. 2005:20;783 を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)これらのガラスの低い靱性は、その弾性定数、特にその高い剛性率に関連しており、ある組成物では 80 GPa を超えることが報告されている。(例えば、Gu XJ, et al., Acta Mater 56;88 (2008) を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)元素組成を変化させることで合金を強化する最近の試みにより、より低い剛性率(70 GPa より低い)のガラスが生み出された。それは改善された切欠靱性(50 MPa m1/2 という高値)を示すが、ガラス形成能(3 mm 以下の臨界棒径)に劣る。(例えば、Lewandowski JJ, et al., Appl Phys Lett 92;091918 (2008) を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)
原子構造における結晶構造の周期性を欠くことによる金属ガラスの他の特徴は、鉄金属ガラスのユニークな軟質磁性挙動である。アモルファス金属における磁気秩序に対する説得力のある証拠は、1967 年に Duwez 及び Lin によって提供され、彼らはアモルファス強磁性の Fe-P-C ホイルを首尾よく作製した。(P. Duwez & S. C. H. LinJ. Appl. Phys. 38, 4096-4097 (1967) を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)Duwez 及び Lin は、ガラス質の Fe-P-C における強磁性だけでなく、著しく軟質な磁気特性についても説明した。結晶の格子の欠如のために、アモルファス強磁性体の磁性モーメントは特定の構造方向に結合されておらず、磁気結晶異方性がない。(H. Warlimont, Mater. Sci. Eng. 99, 1-10 (1988) を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)さらに、その材料は磁気相関長さと比べて長さスケールで磁気的に均質であるから、本来備わっている保磁力(coercivity)は小さい。それゆえ、アモルファス強磁性コアは高い飽和磁化によって特徴付けられた軟質磁性挙動を示す。このことは、より小さいサイズで、低い保磁力を有し、低い残留磁気(magnetic remanence)を有し、小さいヒステレシスを有する高パワーコアのために望ましく、これらすべてによって、非常に低い磁心損失と高い効率性が導かれる。それらの優れた軟質磁気特性のため、アモルファス金属合金は高い興味のあるトピックであり、高性能が要求される応用としてトランスやインダクタコアにおける従来型の材料を置き換えた。(R. Hasegawa, Journal of Magnetism and Magnetic Materials, vol. 215-216, June, pp. 240-245, (2000) を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)加えて、これらの材料は、センサー、監視システム、及び通信設備へも応用できるかもしれない。(H. Warlimont, Materials Science and Engineering, vol. 99, Mar., pp. 1-10, (1988) を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)そのため、アモルファス 強磁性構成要素は、現在パワーエレクトロニクス、通信機器、センシングデバイス、電子物品監視システムなどで広く使用されている。(R. Hasegawa, "Present Status of Amorphous Soft Magnetic Alloys," J. Magn. Magn. Mater. 215-216, 240-245 (2000) を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)アモルファス磁気インダクタはまた、パルスパワーデバイス、車載用イグニッションコイル、電力空調システムにおける応用を見出す。これらの応用のすべては、アモルファス強磁性体において達成可能な速い磁化反転、低い磁気損失、及び用途の広い改質によって、可能なものである。
これらすべての期待される応用にもかかわらず、現在のアモルファス合金の処理技術及び経済的実行可能性によって、産業における影響はこれまで限られていた。1980 年代に導入された初期のアモルファス強磁性合金は、そのガラス形成能が非常に限られていたため、数10マイクロメートルのリボン形状でしか手に入らなかった。MetglasTM という商品名で市販されたこれらのリボンは、103-105 K/s の速度で溶解焼き入れをする、銅ホイール上での溶融紡糸によって生産された。アモルファスコアは、所望の形状やサイズのコアを形成するマンドレルの周りに、同心円状にリボンを積層することで作製した。これは成功したけれども、このプロセスは、手間がかかり高価な積層工程及びコアを築くのに必要とされる薄いホイルの間に残った空隙による低コアパッキング密度という、特有の欠点を有していた。このことがコア全体の効率性を低下させている。薄いリボンに関連したこれらの欠点を克服するため、より強固なガラス形成能を有する強磁性ガラスの開発が近年探索されてきた。例えば、Shen 及び Schwarz は、強磁性の金属ガラスが厚さ 4 mm までのバルクの3次元アモルファスハードウェアを形成できることを報告した。(T. D. Shen & R. B. Schwarz, Appl. Phys. Lett. 75, 49-51 (1999) を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)その新しいバルクガラス形成剤は、初期のリボンの問題を克服するのにとても有望であるように思われたが、扱いが困難で初期疲労破壊につながる低い靱性というそれら自身の欠点に彼らは悩まされた。
過去 3 年にわたって、かなりの労力と資力が、初期リボン形成強磁性ガラス及び後期のバルク強磁性ガラスの両方の欠点を対処する解決法を開発するためにささげられた。特に、体系立てられたマイクロ合金化アプローチを用いて、6 mm までの厚さのガラスを形成できる一方で、初期のバルクガラスより少なくとも2倍高く従来型のチタン合金の特性の靱性値に近づいた靱性値を示すバルク強磁性合金が開発された。(M. D. Demetriou & W. L. Johnson, United States Patent Application 20100300148、及び M. D. Demetriou, et al., Appl. Phys. Lett. 95, 041907 (2009) を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)もしこれらの合金の磁気特性が向上されたら、強靭バルク強磁性ガラスの発見は、効率的でコスト競争力のある強磁性コアの製造及びパワーエレクトロニックの用途に適切な機械的性能を生み出しうる有望な進展である。
その結果、高い靱性(50 MPa m1/2 を超える切欠靱性)を示すが、適切なガラス形成能(6 mm の大きさの臨界棒径)を示し、磁気特性を向上するような、特に低い剛性率(60 GPa 以下)を有する鉄系合金が求められている。
したがって、本発明によれば、合金の最大限達成できる臨界棒径で可能な限り最高の硬度を有することができる鉄系バルク金属ガラス合金が提供される。
ある態様では、本発明の組成物は、少なくとも Fe、P、C 及び B を含有し、Fe は少なくとも 60 の原子百分率で含み、P は 5 〜 17.5 の原子百分率で含み、C は 3 〜 6.5 の原子百分率で含み、そして B は 1 〜 3.5 の原子百分率で含む。
他の態様では、該組成物は、原子百分率が 10 〜 13 の P を含むことを特徴とする。
また別の態様では、該組成物は、原子百分率が 4.5 〜 5.5 の C を含む。
また別の態様では、該組成物は、原子百分率が 2 〜 3 の B を含む。
また別の態様では、該組成物は、P、C、及び B を併せて 19 〜 21 の原子百分率で含む。
また別の態様では、該組成物は、Si を 0 〜 0.5 の原子百分率で含む。それの他の態様では、Si の原子百分率が 1 〜 2 である。
また別の態様では、該組成物は、P、C、B、及び Si を併せて 19 〜 21 の原子百分率で含む。
また別の態様では、該組成物は、さらに Mo を 2 〜 8 の原子百分率で含む。それの他の態様では、Mo の原子百分率 4 〜 6 である。それのある態様では、該組成物は、さらに Ni を 3 〜 7 の原子百分率で含む。それの他の態様では、Ni の原子百分率は 4 〜 6 である。また別の態様では、該組成物は、さらに Cr を 1 〜 7 の原子百分率で含む。それの他の態様では、該組成物は、さらに Cr を 1 〜 3 の原子百分率で含む。それのまた別の態様では、該組成物は、さらに Co、Ru、Ga、Al、及び Sb のうちの少なくとも 1 種を 1 〜 5 の原子百分率で含む。
また別の態様では、該組成物は、さらに少なくとも 1 種の微量元素を含み、その全質量画分は 0.02 未満である。
また別の態様では、該合金は 440℃未満のガラス転移点(Tg)を有する。
また別の態様では、該合金は 60 GPa 未満の剛性率(G)を有する。
また別の態様では、該合金は少なくとも 2 mm の臨界棒径を有する。
また別の態様では、該合金は次のうちの 1 つの組成、すなわち Fe80P12.5C5B2.5、Fe80P11C5B2.5Si1.5、Fe74.5Mo5.5P12.5C5B2.5、Fe74.5Mo5.5P11C5B2.5Si1.5、Fe70Mo5Ni5P12.5C5B2.5、Fe70Mo5Ni5P11C5B2.5Si1.5、Fe68Mo5Ni5Cr2P12.5C5B2.5、及び Fe68Mo5Ni5Cr2P11C5B2.5Si1.5 の中の 1 つを有しており、ここで数字は原子百分率を意味している。
他の態様では、本発明は、本明細書に記載のバルク金属ガラス組成物を製造する方法に向けられている。
また別の態様では、本発明は、本明細書に記載の組成を有するアモルファス合金から形成されている最も小さい寸法で少なくとも 1 ミリメートルの厚さを有する金属ガラス製品に向けられている。
また別の態様では、本発明は、少なくとも Fe、P、C 及び B を含有する強磁性鉄系金属ガラス組成物に向けられており、ここで Fe は少なくとも 60 の原子百分率で含み、P は 5 〜 17.5 の原子百分率で含み、C は 3 〜 6.5 の原子百分率で含み、そして B は 1 〜 3.5 の原子百分率で含み、
さらに、少なくとも Mo 及び Ni、並びに任意で Co 及び Si を含み、
Mo 及び Ni の濃度は、以下、
● Si を 0 〜 0.5 の原子百分率で含み、Co を 0 〜 6 の原子百分率で含むときは、Mo は 4.5 〜 5.5 原子百分率で含み、Ni は次式、
m - k・z
(ここで、m は 4 〜 6 の定数であり、k は 0.5 〜 1 の定数であり、z は Co の原子百分率を表す。)
に従った原子百分率で含み、
● Si を 0.5 〜 1.5 の原子百分率で含み、Co を 0 〜 6 の原子百分率で含むときは、Mo は 3.5 〜 4.5 の原子百分率で含み、Ni は 2.5 〜 4.5 の原子百分率で含む、
ように Co 及び Si の濃度に従って変化することを特徴とする。
ある態様では、P の原子百分率が 10 〜 13 である。それの他の態様では、P の原子百分率が約 12.5 である。
他の態様では、C の原子百分率が 4.5 〜 5.5 である。それの他の態様では、C の原子百分率が約 5 である。
また別の態様では、B の原子百分率が 2 〜 3 である。それの他の態様では、B の原子百分率が約 2.5 である。
また別の態様では、Si を 0 〜 0.5 の原子百分率で含み、Co を 0 〜 5 の原子百分率で含むとき、Mo を約 5 の原子百分率で含み、Ni を約 2 〜約 5 の間の原子百分率で含む。
また別の態様では、Si を 0.5 〜 1.5 の原子百分率で含み、Co を 0 〜 5 の原子百分率で含むとき、Mo を約 4 の原子百分率で含み、Ni を約 3 の原子百分率で含む。
また別の態様では、前記合金は、少なくとも 1.0 T の磁化(Ms)を有する。
また別の態様では、前記合金は、直径 3 mm 及び高さ 1 mm のディスクサンプル上で振動試料磁力計を用いて測定した際に室温で 210 A/m 未満の保磁力(Hc)を有する。
また別の態様では、前記合金は、直径 3 mm 及び高さ 1 mm のディスクサンプル上で振動試料磁力計を用いて測定した際に室温で 110 x 10-5 T 未満の保持力(Mr)を有する。
また別の態様では、前記組成物は、さらに Ru を 1 〜 5 の原子百分率で含む。
また別の態様では、前記組成物は、少なくとも 1 種の微量元素を含み、その全質量画分は 0.02 未満である。
また別の態様では、前記合金は、440℃未満のガラス転移点(Tg)を有する。
また別の態様では、前記合金は、60 GPa 未満の剛性率(G)を有する。
また別の態様では、前記合金は、少なくとも 3 mm の臨界棒径を有する。
また別の態様では、前記組成物は、Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5、Fe69Ni4Co2Mo5P12.5C5B2.5、 Fe70Ni3Co2Mo5P12.5C5B2.5、Fe69Ni3Co3Mo5P12.5C5B2.5、Fe68.5Ni2.5Co4Mo5P12.5C5B2.5、Fe68Ni2Co5Mo5P12.5C5B2.5、Fe72Ni4Mo4P11.5C5B2.5Si1、Fe73Ni3Mo4P11.5C5B2.5Si1、Fe71Ni3Co2Mo4P11.5C5B2.5Si1、Fe70Ni3Co3Mo4P11.5C5B2.5Si1、Fe69Ni3Co4Mo4P11.5C5B2.5Si1、及び Fe68Ni3Co5Mo4P11.5C5B2.5Si1 からなる群から選択され、ここで数字は原子百分率を意味している。
また別の態様では、本発明は、金属ガラス組成物を製造する方法に向けられており、これは、
● 少なくとも Fe、P、C 及び B を含有する原材料を準備する工程であって、Fe は少なくとも 60 の原子百分率で含み、P は 5 〜 17.5 の原子百分率で含み、C は 3 〜 6.5 の原子百分率で含み、そして B は 1 〜 3.5 の原子百分率で含み、
○ さらに、少なくとも Mo 及び Ni、並びに任意で Co 及び Si を含み、
○ Mo 及び Ni の濃度は、以下、
○ Si を 0 〜 0.5 の原子百分率で含み、Co を 0 〜 6 の原子百分率で含むときは、Mo は 4.5 〜 5.5 原子百分率で含み、Ni は次式、
m - k・z
(ここで、m は 4 〜 6 の定数であり、k は 0.5 〜 1 の定数であり、z は Co の原子百分率を表す。)
に従った原子百分率で含み、
○ Si を 0.5 〜 1.5 の原子百分率で含み、Co を 0 〜 6 の原子百分率で含むときは、Mo は 3.5 〜 4.5 の原子百分率で含み、Ni は 2.5 〜 4.5 の原子百分率で含む、
ように Co 及び Si の濃度に従って変化する工程、
● 該原材料を溶融状態に溶解する工程、及び、
● 該溶融原材料を、該合金が結晶化するのを防ぐのに十分な冷却速度で焼き入れ(急冷)する工程を含むことを特徴とする。
ある態様では、該方法は、さらに焼き入れ後に金属ガラスを焼きなますことを含む。
また別の態様では、本発明は、磁性金属ガラス製品に向けられており、これは、
● 少なくとも Fe、P、C 及び B を含有する金属ガラス合金から形成される物体を含むが、ここで Fe は少なくとも 60 の原子百分率で含み、P は 5 〜 17.5 の原子百分率で含み、C は 3 〜 6.5 の原子百分率で含み、そして B は 1 〜 3.5 の原子百分率で含み、● さらに、少なくとも Mo 及び Ni、並びに任意で Co 及び Si を含み、
○ Mo 及び Ni の濃度は、以下、
○ Si を 0 〜 0.5 の原子百分率で含み、Co を 0 〜 6 の原子百分率で含むときは、Mo は 4.5 〜 5.5 原子百分率で含み、Ni は次式、
m - k・z
(ここで、m は 4 〜 6 の定数であり、k は 0.5 〜 1 の定数であり、z は Co の原子百分率を表す。)
に従った原子百分率で含み、
○ Si を 0.5 〜 1.5 の原子百分率で含み、Co を 0 〜 6 の原子百分率で含むときは、Mo は 3.5 〜 4.5 の原子百分率で含み、Ni は 2.5 〜 4.5 の原子百分率で含む、
ように Co 及び Si の濃度に従って変化することを特徴とする。
ある態様では、対象物は、電力を発生又は変換する際に用いられる磁気コアである。
他の態様では、該磁気コアが平面形状、トロイダル(torroidal)形状、環状形状、U形状、C形状、I形状、E形状、又はこれらの形状の組み合わせである。
また別の態様では、該磁気コアが 2 以上の構成要素のアセンブリであり、各構成要素の横断面の厚さが、少なくとも 0.5 mm である。
また別の態様では、該磁気コアがモノリシックである。
また別の態様では、磁性物がインダクタ、トランス、クラッチ及び DC/AC 変換器からなる群から選択される。
(発明の詳細な説明)
本発明は、新規構造用途に用いることができる優れた加工性及び硬度を有した鉄系金属ガラスに向けられている。具体的には、本発明の鉄系合金は、鉄系 P 含有バルク金属ガラス合金の半金属部分の組成を非常にきつく制御することによって、驚くほど低い剛性率と高い硬度を備えた高度に加工可能である合金を得ることが可能となるという観察に基づくものである。さらに具体的には、本発明の Fe 合金は、直径 6 mm までのガラス状棒を形成することができ、60 GPa かそれ以下の剛性率及び 40 MPa m1/2 かそれ以上の切欠靱性を有するものである。
定義
金属ガラス:本発明の目的において、アモルファス特性のために、高強度、高弾性歪み限界、及び、高耐食性を有する金属合金の種類に言及する。それらは等方的で均質であり、実質的に結晶の欠点のないものである。(典型的な BMGs は米国特許第 5,288,344 号、第 5,368,659 号、第 5,618,359 号、及び第 5,735,975 号に見られる。これらの各開示は参照により本明細書に組み込まれる。)
説明
従来型の鉄系ガラスの高い剛性率と低い硬度の間の関連性は、高い剛性率がずれ流動を受けることによる応力に適応するための高い抵抗性を指定し、キャビテーション及び初期の破砕を促し硬度を制限するという理解をリセットする。(Demetriou et al., Appl Phys Lett 2009:95; 195501 を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)高 G を除いて、これらのガラスの脆性挙動は高 Tg によっても予測でき、ある種の鉄系ガラスにおいては 600℃を超えると報告されていた。(例えば、上で引用された、Lu ZP, et al., Phys Rev Lett 2004 & Ponnambalam V, et al. J Mater Res 2004 を参照。)ガラス転移点はまた、ずれ流動を受けることによる応力に適応するための抵抗性の尺度でもある。(Demetriou et al., Appl. Phys Lett 2009:95; 195501 を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)それゆえ、そのような高 G 及び Tg はずれ流動に対する高い障壁を示し、これらのガラスの劣った硬度を説明する。
一群の Fe-P-C ガラス形成合金システムは、1967 年に Duwez 及び Lin によって最初に紹介され、彼らは厚さ 50 mm のガラス状ホイルの形成を報告した。(例えば、Duwez P & Lin SCH., J Appl Phys 1967:38;4096 を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)それに続く研究は、ガラス状 Fe-P-C ミクロワイヤーが、かなり高い張力及び曲げ延性を占めすことを明らかにした。(例えば、Inoue A, et al., J Mater Sci 1982: 17; 580、及び Masumoto T & Kimura H., Sci Rep Res Inst Tohoku Univ 1975:A25;200 を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)その延性は、ちょうど 400℃を超えると報告された比較的低い Tg 及び比較的低い G と関連され得る。(上で引用された、Duwez P & Lin SCH., J Appl Phys 1967 を参照。)〜3000 MPa という Fe-P-C の報告された一軸降伏強度及び 0.0267 という金属ガラスの普遍的なせん断弾性限界を利用すると、〜56 GPa という剛性率が予期され得る。(例えば、上で引用された、Johnson WL & Samwer K. Phys Rev Lett 2005、及び Masumoto T & Kimura H. Sci Rep Res Inst Tohoku Univ 1975 を参照。)そのような低い G 及び Tg によって、Fe-P-C ガラスがまた高い硬度を示すことも予期されるだろう。ガラス状 Fe-P-C リボンの平面応力靱性は Kimura 及び Masumoto によって測定され、32 MPa m1/2 という従来型のバルクガラスよりも実質的に高い値であった。(例えば、Kimura H & Masumoto T. Scripta Metall 1975:9;211 を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)
1999 年に Shen 及び Schwarz は、Fe-P-C システムに由来するバルクガラス状合金の開発を報告した。(例えば、Shen TD & Schwarz RB., Appl Phys Lett 1999:75;49 を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)具体的には、彼らは基本の Fe-P-C 組成物中の C の画分を B で、Fe の画分を Co、Cr、Mo 及び Ga で置換することによって、4 mm までの直径を有するガラス状棒が形成され得ることを明らかにした。より最近では、(Fe,Mo)-P-(C,B)、(Fe,Mo)-(P,Si)-(C,B)、(Fe,Cr,Mo)-P-(C,B)、(Fe,Ni,Mo)-P-(C,B)、及び (Fe,Co,Mo) -(P,Si)-(C,B) の合金システムが研究され、これらはすべて 2 〜 6 mm の間の臨界棒径を有するバルクガラスを形成することがわかった。(例えば、Gu XJ, et al., Acta Mater 2008: 56;88、Zhang T, et al., Mater Trans 2007:48; 1157、Shen B, et al., Appl Phys Lett 2006:88; 131907、Liu F, et al., Mater Trans 2008:49;231、及び Li F, et al., Appl Phys Lett 2007:91;234101 を参照。これらの各開示は参照により本明細書に組み込まれる。)しかしながら、これらの合金のガラス転移点及び剛性率は低くない。特に、それらのシステムに関しては、Tg 値が 470℃ほど高く、G 値が 70 GPa 近くであることが報告された。その結果、それらのガラスは、最適なガラス形成能/硬度の関係を示しておらず、すなわち、最大限達成できる臨界棒径で可能な限り最高の硬度を示していない。
今回の発明では、驚くべきことに、これらの合金の半金属部分を調整することで、Tg 値が 440℃より下で G 値が 60 GPa 未満であり、最適なガラス形成能−硬度関係が達成されるような、少なくとも 2 mm かそれ以上の棒に成型できる組成物を形成する一群の鉄系 P 含有バルクガラスが発見された。
その結果、ある態様では、本発明に従った合金の組成は、以下の式(下付き文字は原子百分率を意味する。)で表現されるだろう。
[Fe,X]a[(P,C,B,Z)]100-a (式 1)
ここで、
・ a は 79 と 81 の間で、好ましくは、a は 80 である。
・ P の原子百分率は 5 と 17.5 の間で、好ましくは 11 と 12.5 の間; C の原子百分率は 3 と 6.5 の間であり、好ましくは 5; B の原子百分率は 1 と 3.5 の間であり、好ましくは 2.5 である。
・ X は、Mo、Ni、Co、Cr、Ru、Al、及び Ga から選択される最適な金属又は金属の組み合わせ、好ましくは、X は Mo、Ni、及び Cr の組み合わせであり、ここで、Mo の原子百分率は 2 と 8 の間で、好ましくは 5 であり、Ni の原子百分率は 3 と 7 の間で、好ましくは 5 であり、Cr の原子百分率は 1 と 3 の間で、好ましくは 2 である。
・ Z は、Si 及び Sb から選択される最適な半金属であり、ここで、Z の原子百分率は 0.5 と 2.5 の間で、好ましくは 1.5 である。
・ 他の微量元素は、全質量画分が 0.02 未満で提案された組成式に追加されてもよい。
上述の式と特に新規半金属部分を用いて、優れた硬度、440℃より下の Tg 値 及び 60 GPa 未満の G を有し、3 mm かそれ以上、ある例では 6 mm の臨界棒径を有するアモルファス棒に成型されるであろうバルク金属ガラス合金を得ることができることが意外にも発見された。
前記組成は、本発明に従ったバルク金属ガラスを含む一群の鉄系リン光体の 1 つの式を表しているけれども、本発明によって別の組成式が熟慮されると理解されるべきである。
まず、B や C のような侵入型半金属はガラス形成能を上昇させるが、剛性率も上昇させるから、それらは硬度を低下させる。剛性率を上昇させ硬度を低下させる B 及び C の効果は、従来型の(結晶構造の)鋼合金において起こることも知られている。本発明においては、これらの半金属の画分をきつく制御することによって、ガラス形成と硬度の間の最適なバランスを達成することが可能となることが発見された。その 1 つの態様では、本発明の合金は P、C、B 及び任意に Z を含む半金属部分を含有し、ここで Z は、Si 及び Sb の 1 種又は両方であり、合計の原子百分率 (P + C + B + Z) が 19 〜 21 である。そのような態様では、C の原子百分率が 3 〜 6.5、好ましくは 4 〜 6 であり、B の原子百分率が 1 〜 3.5、好ましくは 2 〜 3 であり、そして、Z の原子百分率が 0.5 〜 2.5、好ましくは 1 〜 2 である。
他の代わりの態様では、Fe 含有量の一部分は、他の金属の組み合わせで置き換えられてもよい。そのような態様では、60 以上、好ましくは 68 〜 75 の原子百分率の濃度の Fe は、2 〜 8、好ましくは 5 の原子百分率の濃度の Mo で置き換えられる。そのような Mo 置換合金においては、Fe はさらに 3 〜 7 の原子百分率、好ましくは 5 の原子百分率の Ni で置換されてもよい。そのような Mo 及び Ni 置換合金においては、Fe はさらに 1 〜 3、好ましくは 2 の原子百分率の Cr で置換されてもよい。
代わりに、Fe は 1 〜 5 の原子百分率の Co、Ru、Al 及び Ga の少なくとも 1 種と置換されてもよい。
一般的に言えば、ガラス金属においては、4 までの原子百分率の他の遷移金属は受け入れることができる。ガラス形成合金は偶然の又は混入した原料と考えられる相当量のいくつかの元素について許容可能であることも注目される。例えば、相当量の酸素は、優位な結晶化曲線のシフトなしに金属ガラス中に溶解するだろう。ゲルマニウム又は窒素のような他の偶然の元素は、全量で約 2 原子百分率未満、好ましくは全量で約 1 原子百分率未満だけ存在するだろう。
上で述べたことは、合金自身の組成に重点を置いたものであるが、本発明は、前記式に従った鉄系 P 含有バルク金属ガラスの形成方法にも向けられており、本発明の合金組成物から物品を形成することも含まれると理解すべきである。その 1 つの態様では、本発明の合金を製造する好ましい方法は、適当量の成分を石英管中で不活性雰囲気下において誘導融解することを含む。本発明の合金からガラス状棒を製造する好ましい方法は、壁厚 0.5 mm の石英管中で不活性雰囲気下において合金インゴットを再溶融し、素早く水で焼き入れすることを含む。もう一つの方法として、該ガラス状棒は、壁厚 0.5 mm の石英管中で不活性雰囲気下において合金インゴットを再溶融し、溶融インゴットを溶融酸化ホウ素と約 1000 秒間接触させ、その後に素早く水で焼き入れすることで、本発明の合金から製造され得る。本発明の合金から作製された様々な直径のアモルファス鉄系棒が、図 1 に示されている。
上述したもう一つの態様は唯一のものであることを意味するのではなく、該組成物を加工されにくく(1 mm 未満の臨界棒厚)又は不十分な硬度(tough)のもの(60 GPa よりも大きい剛性率)としないような、基本装置や方法に対する他の変更は、本発明と併せて用いることができる。
図面の簡単な説明の記載は、以下の図及びデータ図を参照してより完全に理解されるが、これらは本発明の例示的な態様として提示されるものであって、本発明の範囲全部の記述として構成されるべきものではない。
図 1 は、本発明の鉄系合金から作製された様々な直径のアモルファス棒を示す。 図 2 は、(a) Fe80P12.5C7.5、(b) Fe80P12.5(C5B2.5)、(c) (Fe74.5Mo5.5)P12.5(C5B2.5)、(d) (Fe70Mo5Ni5)P12.5(C5B2.5)、及び (e) (Fe68Mo5Ni5Cr2)P12.5(C5B2.5) のアモルファス試料に対して 20 K/min のスキャン速度で実施された示差走査熱量測定のデータグラフを示し、ここで矢印は各合金のガラス転移点を示している。 図 3 は、(a) (Fe74.5Mo5.5)P12.5(C5B2.5)、(b) (Fe70Mo5Ni5)P12.5(C5B2.5)、及び (c) (Fe68Mo5Ni5Cr2)P12.5(C5B2.5) の組成のアモルファス試料の破断面の走査電子顕微鏡写真を示し、ここで矢印は各試料の切欠に隣接した「ギザギザ」領域のおよその幅を示している。 図 4 は、アモルファス (Fe74.5Mo5.5)P12.5(C5B2.5)、(Fe70Mo5Ni5)P12.5(C5B2.5)、及び (Fe68Mo5Ni5Cr2)P12.5(C5B2.5) (□)、並びに、Poon と共働者によって開発され(Ponnambalam V, et al., J Mater Res 2004: 19; 1320、Gu XJ, et al., J Mater Res. 2007:22; 344、Gu XJ, et al., Acta Mater 2008:56;88、及び Gu XJ, et al., Scripta Mater 2007:57;289 を参照。これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。)、Lewandowski と共働者によって研究された(Lewandowski JJ, et al., Appl Phys Lett 2008:92;091918、及び Nouri AS, et al., Phil. Mag. Lett. 2008:88;853 を参照。これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。)鉄系ガラス (○) に関して、臨界棒径に対する切欠靱性をプロットしたデータグラフを示し、線はデータに対する回帰直線である。 図 5 は、アモルファス (Fe74.5Mo5.5)(P12.5C5B2.5)、(Fe70Mo5Ni5)(P12.5C5B2.5)、及び (Fe68Mo5Ni5Cr2)(P12.5C5B2.5) (□)、並びに、Poon と共働者によって開発された(上で引用)鉄系ガラス(○)に関して、臨界棒径に対する剛性率をプロットしたデータグラフを示しており、注目すべきは、本発明の合金が、従来型の合金に対応する臨界棒径において、60 GPa (線で示される) 未満の剛性率を示していることである。 図 6 は、Fe75-y-zMo5NiyCozP12.5C5B2.5 組成物の 3 mm の直径のアモルファス棒を形成する能力を描いた組成マップを示す。 図 7 は、Fe76-y-zNiyCozMo4P11.5C5B2.5Si1 組成物の 3 mm の直径のアモルファス棒を形成する能力を描いた組成マップを示す。 図 8 は、組成 Fe68Ni3Co5Mo4P11.5C5B2.5Si1 の 3 mm ディスクのアモルファス特性を検証するX線回折図を示す。 図 9 は、アモルファス Fe68Ni3Co5Mo4P11.5C5B2.5Si1 の示差熱量スキャンを示す(ガラス転移点、固相温度、及び液相温度、Tg、Ts、及び Ti が示されている)。 図 10 は、Fe75-z-yNiyCozMo5P12.5C5B2.5 (2<y<5) 及び Fe73-zNi3CozMo4P11.5C5B2.5Si1 の Co 画分に対するガラス転移点(℃)をプロットしたデータグラフを示す。 図 11 は、Fe75-z-yNiyCozMo5P12.5C5B2.5 (2<y<5) 及び Fe73-zNi3CozMo4P11.5C5B2.5Si1 の Co 画分に対する固相温度(℃)をプロットしたデータグラフを示す。 図 12 は、Fe75-z-yNiyCozMo5P12.5C5B2.5 (2<y<5) 及び Fe73-zNi3CozMo4P11.5C5B2.5Si1 の Co 画分に対する液相温度(℃)をプロットしたデータグラフを示す。 図 13 は、本発明の例示的な合金に関して、印加磁場に対する磁化をプロットしたデータグラフを示し、差し込み図は印加磁場ゼロ付近のプロットである。 図 14 は、合金 Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 に関して、印加磁場に対する磁化をプロットしたデータグラフを示し、差し込み図は印加磁場ゼロ付近のプロットである(飽和磁化 Ms、保磁力 Hc 及び 保持力 Mr の値が指定されている)。 図 15 は、合金 Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 に関して、温度が上がると飽和磁化 Ms、保磁力 Hc 及び 保持力 Mr がどのように変化するかを表す M-H 曲線のデータプロットを示す。 図 16 は、合金 Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 に関して、焼きなましが飽和磁化 Ms、保磁力 Hc 及び 保持力 Mr に対してどのように影響するかを表す M-H 曲線のデータプロットを示す。
当業者であれば、 本発明に照らした追加の態様が前述の一般的な開示の範囲内のものとして認識できるだろう。そして、前述の非限定的な例によっては、決して権利を放棄することを企図するものではない。
実験方法及び材料
合金インゴットは、適当量の Fe (99.95%)、Mo (99.95%)、 Ni (99.995%)、Cr (99.99%)、B 結晶 (99.5%)、 黒鉛粉末 (99.9995%)、及び P (99.9999%) の混合物を、高純度アルゴン雰囲気下で密封された石英管中で誘導溶融することで調製した。厚さ 50 mm のガラス状 Fe80P12.5C7.5 ホイルは、エドモンド・ビューラー(Edmund Buhler)D-7400 スプラット冷却機を用いて調製した。他のすべての合金は、壁厚 0.5 mm の石英管中で高純度アルゴン雰囲気下において合金インゴットを再溶融し、素早く水で焼き入れすることで、ガラス状の円筒形棒に成型された。Cu-Ka 照射による X 線回析は、ガラス状ホイル及び棒のアモルファス特性を検証するために行われた。各合金の転移点を決定するために、20 K/min のスキャン速度で示差走査熱量測定が行われた。
2 mm よりも大きい直径のアモルファス棒を形成できる本発明の合金の弾性定数は、密度測定と併せて超音波測定を用いて求められた。ガラス状の (Fe74.5Mo5.5)P12.5(C5B2.5)、(Fe70Mo5Ni5)P12.5(C5B2.5)、及び (Fe68Mo5Ni5Cr2)P12.5(C5B2.5) の棒における横波及び縦波速度は、25 MHz 圧電変換器を用いたパルスエコーオーバラップによって測定された。密度は、米国材料試験協会企画 C693-93 に従ったアルキメデス法によって測定された。
2 mm より大きい直径を有するアモルファス棒を形成できる本発明の合金の切欠靱性試験が行われた。硬度試験では、(Fe74.5Mo5.5)P12.5(C5B2.5)、(Fe70Mo5Ni5)P12.5(C5B2.5)、及び (Fe68Mo5Ni5Cr2)P12.5(C5B2.5) の直径 2 mm のガラス状の棒が利用された。前記棒は、合金インゴットを壁厚 0.5 mm の 2-mm ID 石英管中で高純度アルゴン雰囲気下において再溶融し、素早く水で焼き入れることによって調製した。前記棒は、底半径 90 mm の線鋸を用いて、棒径の半分の深さまで切込みを入れられた。切込みを入れられた試料は、スパン距離 12.7 mm の 3 点折り曲げ具に取り付けられ、切込み側が下を向くように注意深く並べられた。臨界破壊荷重は、ねじ式インストロン試験フレームを用いて、0.1 mm/min の一定のクロスヘッド速度で単調増加荷重を適用して測定された。各合金に対して、少なくとも 3 回の試験が行われた。試料の破断面は、LEO 1550VP 電界放射型走査電子顕微鏡を利用することによって試験された。
採用された円筒形状に対する応力拡大係数は、Murakimi の解析法を用いて評価された。(例えば、Murakami Y., Stress Intensity Factors Handbook. Vol. 2. Oxford (United Kingdom) : Pergamon Press; 1987. p. 666 を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)試料の寸法は、適切な平面歪み靱性測定 KIC のための標準サイズ要件を満たすのに十分な大きさである。具体的には、本試料の最も多い靭帯サイズは、〜1 mm であったことを考慮して、この一群のガラスにおける降伏強度を 〜3200 MPa とすると、ここで得られるように、名目上は平面歪み状態は KIC < 60 MPa m1/2 の靱性測定結果と推測され得る。(例えば、上で引用された、Gu XJ, et al., Acta Mater 2008、Zhang T, et al., Mater Trans 2007、Shen B, et al., Appl Phys Lett 2006、Liu F, et al., Mater Trans 2008、及び Li F, et al., Appl Phys Lett 2007 を参照。)。しかしながら、本試料においては、切込みに先行して事前には鋭い亀裂(標準 KIC の評価に必要なもの)は導入されなかったので、測定された応力拡大係数は標準 KIC 値を示さない。この意味では、本研究で評価された切欠靱性 KQ と従来型の金属における標準 KIC 値との直接的な比較は妥当ではない。とはいえ、KQ 値は、一様に試験した材料セットの中で、耐破壊性の変化に関する有用な情報を提供する。多くの新規開発金属ガラス合金の固有の臨界鋳造厚さ限界に起因して、円筒形状で事前の亀裂のない試料を用いた切欠靱性測定は、金属ガラス合金系においてしばしば報告されている。(例えば、Wesseling P, et al., Scripta Mater 2004:51; 151; and Xi XK, et al., Phys Rev Lett 2005:94; 125510 を参照。これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。)より具体的には、本発明のものと似た形状及び大きさの試料を用いて、鉄系バルク金属ガラスに対して Lewandowski et al. により最近行われた切欠靱性測定は、今回の評価と直接比較するのに適している。(例えば、 Nouri AS, et al., Phil. Mag. Lett. 2008:88;853 を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)
実施例 1:組成検査
この組成検査に基づいて開発された合金が、関連する臨界棒径とともに以下の表 1 に記載されている。熱走査は図 2 に示されており、各合金の Tg は表 1 に記載されている。測定された剛性率及び体積弾性率もまた、(Fe74.5Mo5.5)P12.5(C5B2.5)、(Fe70Mo5Ni5)P12.5(C5B2.5)、及び (Fe68Mo5Ni5Cr2)P12.5(C5B2.5) のモル体積とともに表 1 に記載されている。表 1 に見られるように、実施例の鉄系合金は、本発明に記載の基準に従って、直径 0.5 mm 〜 6 mm の範囲のガラス状棒を形成することができ、60 GPa 未満の剛性率を示す。
*急冷(splat quenching)又は融解紡糸によって達成される臨界ホイル厚。(上で引用された、Duwez P & Lin SCH. J Appl Phys 1967 を参照。)
†〜3000 MPa という報告された一軸降伏強度及び 0.0267 という普遍的なせん断弾性限界を利用して予測。(上で引用された、Johnson WL & Samwer K. Phys Rev Lett 2005、及び Masumoto T & Kimura H. Sci Rep Res Inst Tohoku Univ 1975 を参照。)
‡「ズボンの脚(trouser-leg)」型せん断試験によって測定された平面応力破壊靱性(上で引用された Kimura H & Masumoto T. Scripta Metall 1975:9;211 を参照。)
興味深いことに、上の表 1 に記載の本発明の組成物において、1.5% の P を Si で置換すると、ガラス形成能がわずかに向上することがわかった。上記組成物の Si 含有型は、Fe80(P11Si1.5)(C5B2.5)、(Fe74.5Mo5.5)(P11Si1.5)(C5B2.5)、(Fe70Mo5Ni5)(P11Si1.5)(C5B2.5)、及び (Fe68Mo5Ni5Cr2)(P11Si1.5)(C5B2.5) である。
(Fe74.5Mo5.5)P12.5(C5B2.5)、(Fe70Mo5Ni5)P12.5(C5B2.5)、及び (Fe68Mo5Ni5Cr2)P12.5(C5B2.5) の測定された切欠靱性 KQ は、値の標準偏差を表す誤差(quoted errors)を伴って表 1 に示されている。これらのガラスの比較的小さな塑性領域サイズをしばしば上回る処理欠陥に起因する比較的大きい不確定範囲にもかかわらず、データは、最も控えめなものから最良のガラス形成剤になるに従って、KQ が単調減少傾向にあることを明らかにした。(例えば、Nouri AS, et al., Phil. Mag. Lett. 2008:88;853 を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)この傾向はまた、図 3 の顕微鏡写真に示されている被験試料の破断面の形態にも反映されている。これらの合金の破断面は、亀裂伝播の初期過程では荒い「ギザギザ」パターンを示し、その後、もろいガラス状金属破壊に典型的な独特のぐぼみパターンを示す。(例えば、Suh JY. PhD Dissertation, California Institute of Technology 2009, を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)典型的なくぼみ形態の前のギザギザ領域の範囲は、実体のある塑性流動が壊滅的な破壊の前に起こったことを示唆しており、これは比較的高い KQ 値を裏付けている。より興味深いことには、ギザギザ領域の幅(図 3 の矢印で近似)は、丈夫な合金からもろい合金になるにつれて減少し、このことは、ギザギザ領域の幅が KQ と、より適切には、材料に特有の塑性領域サイズと大体比例することを示唆している。このような比例関係の存在は、Suh (上で引用)でも指摘されている。
実施例 2:本発明の合金における硬度−ガラス形成能の関係
図 4 では、(Fe74.5Mo5.5)P12.5(C5B2.5) について、臨界棒径 dc に対して切欠靱性 KQ をプロットすることで、ガラス形成能が上昇するにつれて硬度が低下する傾向が例証されている。興味深いことに、該プロットはこの傾向がおおよそ線形であることを明らかにする。私たちは同じプロット上に、Poon 及び共働者によって開発された鉄系ガラス状合金(上で引用)並びに Lewandowski 及び共働者によって研究された鉄系ガラス状合金(上で引用)における KQ 対 dc のデータも示す。データから線形回帰すると、硬度対ガラス形成能の相関関係は類似した傾きであるが、今回のデータが示す相関関係はよく下側に位置している。
本発明の合金に示される所定の臨界棒径における従来型の合金よりも非常に高い硬度の原因は、それらの非常に低い剛性率にある。(上で引用された Demetriou et al. を参照。)従来型の合金のガラス形成を導いた組成の研究は、剛性率を最小化しようとせずに、それゆえ硬度を最大化しようとせずに行われた。具体的には、従来型の合金の C 及び B の画分は、低い硬度を促進する高い剛性率を生じさせるほど高い。バルクガラス状棒を形成することができる従来型のすべての合金は、少なくとも C 及び B の一種又は両方をそれぞれ原子百分率で 6.5 及び 3.5 以上含有する材料を含む。一方、本発明においては、C 及び B の画分は、ガラス形成を促すのに十分高く、かつ、低い剛性率を可能とし高い硬度を促すのに十分低くなるように、慎重に制御された。バルクガラス状棒を形成することができる本発明の合金組成物は、C 及び B をそれぞれ原子百分率で少なくとも 3 及び 1、最高で 6.5 及び 3.5 まで含む。C 及び B の原子百分率をそれらの範囲に維持することで、低い剛性率を保持しつつバルクガラスを形成することが可能となり、高い硬度が進展される。このことは、図 5 に例証されている。ここには、本発明の合金と従来型の合金の剛性率が、それぞれの臨界棒径に対してプロットされている。所定の臨界棒径における非常に低い剛性率が、本発明の合金に対して明らかにされており、これは図 4 に示されているように所定の棒径における非常に高い硬度によるものである。
実施例 3:本発明の合金の磁気特性
他の実施例では、合金の磁気特性が研究された。特に、今回の実施例では、高い硬度及びガラス形成能を維持しつつ軟質磁気特性を向上させるための、バルク強磁性合金組成の最適化が研究された。
背景
インダクタ及びトランスのどちらも、磁気エネルギーを蓄積したり、ある電圧から他のものに変換したりする手段として、パワーエレクトロニクスにおける必須の部品である。どちらも材料の磁化を AC 電流を通じて調節することにかかわっているので、最小のエネルギー損失で容易に磁化される材料を見つけることが必要である。アモルファス金属合金はこの要件に適しており、次第にトランスとインダクタのコアとして採用されつつある。
パワーエレクトロニクスでの使用のための材料を選択する際に考慮しなければならない磁気特性がいくつかある。第一に、材料がどれだけ磁化されたかを決定する飽和磁化 (Ms) は、磁束密度ひいてはエネルギー密度に比例する。このようにして、高い Ms はより小さく軽い部品をもたらすことができ、このことは、重量が燃費の主要な要因となる自動車や航空電子工学エレクトロニクスにおいては特に重要である。第二に、材料の磁化をゼロに戻すために求められる適用された磁力である保磁力 (Hc)、及び、外部の磁場が除去された後の材料の磁化である残留磁気 (Mr) は、どちらも磁気ヒステレシス又はそのスイッチング損失と比例する。高いスイッチング周波数の用途においては特に、低い Hc 及び Mr は、低いスイッチング損失及び高い燃料効率を意味している。低い損失はまた低い作動温度につながり、電力系統の熱の消散のためのヒートシンクのサイズを減少させ、次にはシステム全体のコスト及び効率を向上させるだろう。
金属合金は典型的には結晶である一方、アモルファス金属合金は繰り返し原子構造を欠いている。その結果、それらは異なった一連の特性を有しており、関心の高い話題である。鉄系アモルファス金属合金は、新型パワーエレクトロニックの用途のためのインダクタ及びトランスコアのための軟質磁性材料として大きな関心の対象となっている。これらの合金は、その優れた軟質磁気特性のため非常に望ましい。高い磁化飽和は、所定の大きさにおいてより高いパワーを有するコアを導く。低い保磁力、低い残留磁気、及び、小さいヒステレシスは、低いスイッチング損失及び高い効率につながる。しかしながら、過去に議論されていたように、市販のアモルファス金属合金は、厚さ 100μm 未満のホイル形状しか形成できず、これらのホイルを利用してバルク強磁性構成物を製造することに関連する高いコストのせいで、産業における影響が制限されている。
目的
それで、本実施例の目的は、良好な磁気特性及びガラス形成能を有するバルク鉄系アモルファス合金を見つけることである。1.1 〜 1.3 T の Ms を有するバルクアモルファス合金がいくつか存在しているが、それらの多くは穏やかな GFA を有しており、2.5 mm かそれ以下の棒を形成する。(例えば、A. Makino, et al., Materials Transactions, vol. 48, no. 11, Oct., pp. 3024-3027, (2007)、及び A. Inoue, et al., Transactions on Magnetics, vol. 32, no. 5, Sept., pp. 4866-4871, (1996) を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)反対に、より良い GFA を有し 3 mm を超える棒を形成する合金の多くは、典型的には 1.1 T より下の Ms を有している。(例えば、T. D. Shen and R. B. Schwarz, Applied Physics Letters, vol. 75, no. 1, July, pp. 49-50, (1999)、F. Li, et al., Applied Physics Letters, vol. 91, no. 234101, Dec, (2007)、及び A. Inoue, et al., Applied Physics Letters, vol. 71, no. 4, July, pp. 464-466, (1997) を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)コストの観点からいえば、これらの合金の多くは Ga を含んでいるが、これは高価な元素であって潜在的に有毒であり、このことが商業的な用途におけるこれらの合金の利用を妨げているかもしれない。(例えば、K. Amiya, et al., Materials Science and Engineering, vol. 449, Feb., pp. 356-359, 2007、及び A. Inoue and J. S. Gook, Materials Transactions, vol. 36, no. 9, May, 1180-1183, (1995) を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)スイッチング損失については、これらの合金の多くにおいて Hc が 10 A/m より下である。したがって、本実施例の目的は、Ga のような高価な元素を用いずに、高い飽和磁化、低いヒステレシス、及び、モノシリックな強磁性の部品の製造を可能とするのに十分高いガラス形成能を有する強靭な鉄系金属ガラス組成物を開発することである。
本実施例の磁気測定は、直径 3 mm 及び高さ約 1 mm で質量約 0.1 g のアモルファスディスク上で実施された。ディスクの形状が飽和磁化を測定するのには適しているが、保磁力や残留磁気のようなヒステレシス特性を測定するのには最良ではないことに留意する。これは、この形状が消磁効果を生み出し、理想より大きいヒステレシス並びにより高い保磁力及び残留磁化をもたらすからである。ヒステレシス特性を測定するのに理想的な形状は、無限に長く薄い棒であって、該棒に対して平行に適用された磁場を有するものである。トロイドの角度方向に適用された磁場を有するトロイダル形状は、理想的な形状の良好な近似であり、これらの特性を測定するために広く利用されている。しかし、本実施例では、製造を容易にするため、飽和磁化の測定には適当だが、保磁力及び残留磁化の測定に対しては標準以下であるディスク形状が利用された。それゆえ、保磁力及び残留磁化に関する今回の結果は、合金に本来備わっている値ではなく、むしろここで実行されたディスク形状に特異的な上限値である。それにもかかわらず、本発明の合金同士を比較することができるという限度において、該結果は相対的な意味で有用である。
本発明に設定された目的を達成するため、高い硬度及び今回の用途における良好なガラス形成能を有する強磁性バルクガラス形成組成物の軟質磁気性能を向上させるために、組織的ミクロ合金化アプローチが実行された。直径 4 mm までで 50 MPa m1/2 の硬度を有するガラス状棒を形成することができる初期の組成 Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 は、すでに素晴らしい軟質磁性挙動を示していたが、飽和磁化はかなり低かった。具体的には、金属ガラス合金 Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 は、8.161 A/m の保磁力及び 3.9 x l0-5 T の残留磁気を示し、これは低い値であって軟質磁性挙動である。初期の合金の飽和磁化は、1.02 T であると測定され、これはインダクタコアのような用途には十分なものであると考えられたが、それでも 1.6 T 近い値を有する市販の MetglasTM コアよりも低い。
今回の試みは、合金の低い保磁力(coercive field)及び残留磁気を実質的に上昇させることなく、またその良好なガラス形成能及び高い硬度を損なうことなく、より高い飽和磁化を導くように、Co 及び Si を初期の金属ガラス組成 Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 の組成バリエーションに取り込ませることに主として集中させられた。
鉄系ガラス状合金への Si の添加は保磁力を上昇させるかもしれないが、飽和磁化及びガラス形成能の両方を向上できることが報告されている。(例えば、R. Piccin, et al., Journal of Magnetism and Magnetic Materials, vol. 320, April, pp. 806-809, (2008)、及び F. Liu, et al., Journal of Alloys and Compounds, vol. 483, July, pp. 613-615, (2009) を参照。この開示は参照により本明細書に組み込まれる。)高い GFA を持たせるため、原子構造におけるいわゆる「混乱効果(confusion effect)」を促すのに、アモルファス合金は異なる大きさの原子(少なくとも 10% の相違)を必要とする。Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 はすでに妥当な GFA を有しているので、新しい元素を加える際に「混乱」秩序を邪魔せずに GFA を保つために、類似の原子半径を有している元素で置換することが最善であると考えられた。したがって、Si は、周期表で隣にある P の場所で、組成物中に加えられた。P を Si で置換すると Ms が上昇する一方で、おそらく Fe が強磁性であるせいで、Fe を Si で置換すると実質的に Ms が減少するだろうということが報告されている。(上で引用された K. Amiya, et al., Materials Science and Engineering, (2007) を参照。)It has also been reported that 少量の Co(Fe の量のおよそ 20% まで)は、GFA 及び Ms を向上させることができるが、Hc 及び ヒステレシス損失を減少させることも報告されている(例えば、上で引用された R. Piccin, et al., Journal of Magnetism and Magnetic Materials, (2008) を参照。)それに基づいて、Co を組成物中に添加して、周期表の隣にある Fe 及び Ni を置換する。そうは言っても、以下に示されるように、P の Si による直接置換又は Fe の Co による直接置換が、さらなる組成の再構成なしに試みられた場合には、ガラス形成能は実質的に低下するだろう。具体的には、ガラス形成能を維持するために、P の Si による置換は、いくつかの Ni 及び Mo の Fe による置換を伴うべきであることが発見された。さらに、Co の導入は Ni 及び Fe の両方の減少によって調整されるべきであるが、ガラス形成能を維持するためには、Ni の減少は Fe の減少よりも大きくすべきである。最後に、ガラス形成能を維持するために、Si 含有組成物はフラックスすること(fluxing)、好ましくは酸化ホウ素によってフラックスすることを必要とすることが発見された。
以下に記載するように、本実施例では、Co 及び Si の導入が、強磁性ガラスにおける飽和磁化を上昇させることを示す。さらに、Si の導入もまた、飽和磁化を低下させることが知られている金属である Mo の少ない画分及び Fe の高い画分とともに、ガラス形成を可能にするが、少ない画分の Mo 及び高い画分の Fe は、どちらも飽和磁化を高めて向上するだろう。すべての新規に開発された組成物は、最初の Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 組成物と比較して、より高い飽和磁化を示すことがわかる一方、それらの保磁力及び残留磁気の値は、磁性挙動が軟質であると考えられるだけ十分低く残っている。さらに、すべての新規合金は、最初の Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 組成物(3 〜 5 mm の臨界棒径及び 40 〜 50 MPa m1/2 の硬度)と同等なガラス形成能及び硬度を示す。したがって、新規合金は、相当な硬度を有し高いパフォーマンスを示すバルク強磁性ガラス状コアを製造するための有望な候補であることが判明する。
要約すると、本実施例の鉄系合金は、少なくとも 3 mm の直径を有するアモルファス棒を形成することができるガラス形成合金になる組み合わせのすべてにおいて、本発明の以前の態様で記載されていた他の元素に加えて、Co 及び Si を取り込む。Co 及び Si の使用は、アモルファス合金の磁気特性を向上することが期待された。 特に、少なくとも 3 mm の直径を有するアモルファス棒の形成を達成するために、本発明でクレームされた鉄系組成物における Co 及び Si の導入は、以下の式に従って行われるべきである。
(Fe80-x-y-zMoxNiyCoz)(Pl2.5-aSia)C5B2.5 (式 2)
ここで、0 ≦ a ≦ 1.5 及び 0 ≦ z ≦ 6 であるが、0 ≦ a < 0.5 である場合には、4.5 < x < 5.5 及び y = m - kz(ただし、4 < m < 6 及び 0.5 ≦ k ≦ 1)であり、0.5 ≦ a ≦ 1.5 である場合には、3.5 < x < 4.5 及び 2.5 ≦ y ≦ 4.5 である。
方法
実施例の合金の形成においては、高純度 (99.9% かそれ以上) の Fe、Ni、Co 及び Mo のスラッグ、並びに、P、B、Si 塊と黒鉛粉末が利用された。適当量の各元素(およそ 3 g)が、±0.0001 g の正確さで計量され、石英管内に置かれてアルゴン雰囲気下において密封された。該元素は、誘導コイルを用いて石英管内で一緒に溶融され、続いて、均質なインゴットを得るために水で急冷された。質量損失 0.1% 以上の合金は廃棄された。
Si を含む合金のインゴットは、一方を密封され他方をアルゴン雰囲気に連結された石英管内において、B2O3 粉末でフラックス(fluxed)された。具体的には、合金インゴットは B2O3 粉末の上に置かれ、該管は該インゴットを合金の液相温度(約 1100 〜 1200℃)よりも約 100 〜 200℃高い温度まで熱するために誘導コイル内に置かれる。溶融合金と溶融酸化ホウ素は、約 1000 秒間接触することを許され、続いて、該混合物は管ごと冷水中に入れられることで焼き入れられる。
最後に、合金インゴットは、直径 3、4 及び 5 mm の円筒形棒に成型される。この工程のために、壁厚 0.5 mm で適切な内径を有する石英管が用いられる。合金インゴットは真空下で石英管内に置かれ、該石英管は、インゴットを溶融するために 1050℃かそれ以上の加熱炉内に置かれる。アルゴンの陽圧で溶融合金を押し込んで管を満たし、該合金は管ごと冷水中に入れられることで焼き入れられる。結果として、特定の横断面の直径を有する棒形状の合金となる。3 mm のアモルファス棒を形成した合金は、X 線回析(XRD)及び示差走査熱量測定(DSC)を含むいくつかの診断ツールで解析された。
ガラス形成
上述した式で表され、3 mm かそれ以上の直径を有するガラス状棒を形成することができる例示的な合金組成は、各組成についてリストされたガラス転移点、固相温度及び液相温度を伴って、以下の表 2 に一覧される。図 6 及び 7 では、a = 0 及び a = 1 の上記式で表される多様な組成の組成マップがプロットされる。該プロットに示されているように、x、y 及び z が開示された範囲内にある合金組成だけが、少なくとも 3 mm の直径を有するアモルファス棒を形成することができる。Fe68Ni3Co5Mo4P11.5C5B2.5Si1 の組成のアモルファス 3 mm 棒における見本の XRD ディフラクトグラム 及び DSC スキャンが、図 8 及び 9 に提示される。
要約すると、基本の組成であるFe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 の合金は、4 mm の臨界棒径 (Dc) を有しており、これは、4 mm までの直径を有するアモルファス棒を形成することが可能であることを意味している。Si はまず Fe80-x-yNiyMoxP12.5-aC5B2.5Sia の型である出発組成物に添加された。「a」の値として、0.5、1.0 及び 1.5% が試みられた。ガラス形成能は a = 1 のときに頂点に達することがわかった。同様に、元の Si 不含型が x = 5 を要するのと対照的に、ガラス形成能は x が 4 で最大化することがわかった。最後に、高いガラス形成能は y = 4 で見られたが、y = 3 でも高かった。これらもまた、y = 5 を要する Si 不含の出発組成物と対照的であった。具体的には、合金 Fe72Ni4Mo4P11.5C5B2.5Si1 は 3 mm の Dc を有している一方、合金 Fe73Ni3Mo4P11.5C5B2.5Si1 は 4 mm の Dc を有し、5 mm で部分的にアモルファスだった。異なる a、x 及び y を有する他の組成は、著しく悪い GFA を有していることがわかった。
上述のように、Si を含むすべての合金はフラックスされる必要があり、そうしないと GFA は著しく減少する。例えば、フラックスされていない Fe72Ni4Mo4P11.5C5B2.5Si1 は、3 mm のアモルファス棒を形成することができない。Si 不含の合金のフラックスは、GFA には対してはごくわずかな影響しかないことがわかったので、適用されなかった。
次に、Co は Si 不含の合金に添加された。そのような添加において、ガラス形成能を最大化させるための Mo の画分は、Co の画分に依存せず、Co 不含の出発組成物と比べて変化しないことがわかった。Fe 若しくは Ni 又はその両方を犠牲にした Co の添加が試みられた。Fe 部分への 2% Co の添加(Fe68Ni5Co2Mo5P12.5C5B2.5)は、3 mm のアモルファス棒を形成しなかった。1% の Fe 及び 1% の Ni の置換による 2% Co の添加(Fe69Ni4Co2Mo5P12.5C5B2.5)は、4 mm の Dc になり、5 mm で部分的にアモルファスであった。Ni 部分への 2% Co の添加(Fe70Ni3Co2Mo5P12.5C5B2.5)は、3 mm の Dc になった。したがって、最も良好なガラス形成能は、Fe 及び Ni の両方を置換して Co を添加したときに得られた。それゆえに、Co は Fe75-y-zNiyCozMo5P12.5C5B2.5 の型において 5% まで添加され、Fe69Ni3Co3Mo5P12.5C5B2.5、Fe68.5Ni2.5Co4Mo5P12.5C5B2.5 及び Fe68Ni2Co5Mo5P12.5C5B2.5 のような、それぞれ 3 mm の Dc を有するいくつかの合金となる。このような 3 mm の Dc を維持する Ni 及び Co の量の変化の傾向は、図 6 に示されている。したがって、y 及び z の傾向は次式となる。
y = 5 - kz (式 3)
ここで、k は 0.5 〜 1 であり、好ましくは 0.5 である。
最後に、Co は 1% Si を含む合金に添加された。そのような添加において、ガラス形成能を最大化させるための Mo の画分は、Co の画分に依存せず、4 であることがわかった。Fe76-y-zNiyCozMo4P11.5C5B2.5Si1 の型における添加もまた試みられた。これらの添加においては、ガラス形成能は z に依存せず y が 3 で維持されたときに最大化する。 y = 3 のときの、2% 〜 5% での 1% 間隔での z の変動が試みられた。これらの組成物の 3 mm の Dc を維持する能力は、図 7 に提示されている。
3 mm の棒のアモルファス構造は、XRD によって裏付けられている。それらはすべてシャープなピークを有しておらず、このことは結晶がないことを示している。Fe68Ni3Co5Mo4P11.5C5B2.5Si1 の XRD は図 8 に示されている。アモルファス棒の DSC スキャンは、急激なガラス転移点及び結晶化の大きな潜在エネルギーを示しており、このことは、これらの合金のアモルファス状態をさらに裏付けている。Fe68Ni3Co5Mo4P11.5C5B2.5Si1 の DSC スキャンは、図 9 に示されている。各合金において、ガラス転移点(Tg)、固相温度(Ts)及び液相温度(Tl)が見積もられて、図 10 〜 12 に集約され、表 2 に一覧されている。
材料がガラス状態から液体状態に推移し、最終的には結晶状態にまで推移し始める点である Tg は、磁性材料の作動温度の上限を表しており、418℃ から 435℃の範囲である。Si 含有及び不含の両方の合金において、Tg が 3% Co で頂点に達することは、図 10 から明らかである。同様に、図 11 及び 12 に示されているように、Si 含有及び不含の合金の Ts 及び Tl は 2 〜 4% Co 付近で頂点に達する。
磁気特性
Co 又は Si を含まない出発合金である Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5、作製されたすべての合金の中で最も高い GFA を有する Fe69Ni4Co2Mo5P12.5C5B2.5、それぞれのシステムの中で最大の量の Co を有している Fe68Ni2Co5Mo5P12.5C5B2.5 及び Fe68Ni3Co5Mo4P11.5C5B2.5Si1、並びに、Si を含む合金の中で最大の GFA を有する Fe73Ni3Mo4P11.5C5B2.5Si1 という 5 種類の本発明のアモルファス合金について、30℃での磁気測定が行われた。各合金について、印加磁場に対する磁化のプロット、M 対 H が、図 13 に提示されている。図 13 の差し込み図においては、各合金のヒステレシスループの幅を観察するために、H = 0 付近での応答が提示されている。図 14 では、合金 Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 についての見本の M-H 曲線が提示されており、これは飽和磁化 Ms、保磁力 Hc 及び保持力 Mr の値がどのように計算されるかを示している。これらの値は各合金について計算され、各組成についての飽和磁化、保磁力及び保持力の磁性データが併せて表 3 に載せられている。
図 14 及び表 3 に見られるように、Co か Si のどちらか又はそれら両方を有している組成は、Co 及び Si 不含の合金 Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 よりも高い Ms 値を示す。また、Co 含有 Si 不含合金は、Hc 及び Mr について、Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 とほとんど同じくらい低い値を示すように見えるが、Si 含有 Co 不含合金は、より高い Hc 及び Mr 値を示す。Si の添加は Ms に対して著しい効果を有しており、Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 及び Fe73Ni3Mo4P11.5C5B2.5Si1 で、それぞれ 1.02 から 1.12 T に上昇する。Ms の上昇の原因が、Si の存在単独にあるのか、若しくは、Si 含有合金における高い Fe 含量及び低い Mo 含量単独にあるのか、又は、それらの組み合わせにあるのかは明らかでない。Co の添加は小さい効果であるが、それでも Ms を上昇させる。Fe75-x-yNiyCoxMo5P12.5C5B2.5 のシステムにおける 5% の Co は、Ms を 1.02 から 1.06 T に上昇させ、Fe73-zNi3CozMo4P11.5C5B2.5Si1 のシステムにおける 5% の Co は、Ms を 1.12 から 1.15 T に上昇させる。
Si 不含の合金では、Hc は 8.16 〜 11.43 の範囲にある。2% の Co は Hc を 11.43 A/m に上昇させるが、5% の Co は 10.89 A/m まで戻って低下させる。このことは、より大量に Co を添加すると、Hc が低下し続けるかもしれないことを示唆している。Fe73Ni3Mo4P11.5C5B2.5Si1 のように Si を添加すると、Hc が 209.1 A/m まで大幅に上昇した。しかしながら、5% の Co を添加して Fe68Ni3Co5Mo4P11.5C5B2.5Si1 とすると、57 A/m まで戻って低下する。これはまた、さらに Co を上昇させると、さらに Hc が低下するかもしれないことを示唆している。これらの合金すべてについて、Mr は Hc と同様に振る舞う。このように、Si の添加によって大幅に上昇するけれども、Hc もまた上昇を経験する。しかしながら、Co の穏やかな添加(少なくとも 5%)は、Ms を上昇させる一方で、Hc を低下させるかもしれない。
温度の影響を調べるために、Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5、Fe68Ni2Co5Mo5P12.5C5B2.5 及び Fe68Ni3Co5Mo4P11.5C5B2.5Si1 という 3 種類の本発明のアモルファス合金に対して、150℃での磁気測定も行われた。図 15 では、合金 Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 についての見本の M-H 曲線が提示されており、これは、温度が上昇するにつれて、飽和磁化 Ms、保磁力 Hc 及び保持力 Mr の値がどのように変化するかを示している。これらの値は、前記 3 種類の合金について、表 4 〜 6 に一覧されている。温度が上昇するにつれて、Ms は劇的に低下するように見える。磁性合金のキュリー点温度(これらの合金においては、300 〜 400℃の間に位置すると予想される。)が近づくため、Ms がゼロに近づくのだろうと思われる。Hc 及び Mr に対する温度上昇の影響は小さい。Si 不含合金である Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 及び Fe68Ni2Co5Mo5P12.5C5B2.5 では、これらの値は非常にわずかに上昇するように見え、Si 含有合金である Fe68Ni3Co5Mo4P11.5C5B2.5Si1 では、上昇がいくぶん明白である。
焼き入れ中のガラス状構造に生じる残留応力のせいでアモルファス強磁性合金に発生する磁気ひずみ効果を軽減するために、試料は、室温での磁気特性を測定する前に、375℃で 1 時間焼きなまされた。焼きなましは、アルゴン雰囲気下で密封され 375℃の加熱炉内に置かれた石英管内で行われ、該温度で 1 時間加熱した後に、該管は表面堆積物(the surfaced)を除かれ、空気中で自由に冷めることが可能にされた。Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5、Fe68Ni2Co5Mo5P12.5C5B2.5 及び Fe68Ni3Co5Mo4P11.5C5B2.5Si1 という 3 種類の本発明のアモルファス合金が調査された。図 16 では、合金 Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 についての見本の M-H 曲線が提示されており、これは、焼きなましが、飽和磁化 Ms、保磁力 Hc 及び 保持力 Mr の値にどのように影響するかを示している。これらの値は、前記 3 種類の合金について、表 7 〜 9 に一覧されている。焼きなましは 3 種類すべての合金の Ms をわずかに上昇させるように見え、これは望ましい結果である。それはまた、Si 不含合金である Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5 及び Fe68Ni2Co5Mo5P12.5C5B2.5 において Hc 及び Mr を著しく低下させ、このことは望ましいものであるが、望ましくないことに、Si 含有合金 Fe68Ni3Co5Mo4P11.5C5B2.5Si1 ではそれらの値を上昇させる。
要約
要約すると、本実施例では、良好な GFA、硬度及び軟質磁気性能のバランスを有している新規のバルクアモルファス強磁性合金が、Fe-(Ni,Co)-Mo-(P,Si)-C-B システムにおいて作り出された。これらの鉄系合金は、市販のアモルファス強磁性合金よりも 2 桁大きい厚さのアモルファス棒を形成することができる。市販の合金は最大でも 100 μm の Dc を有しているが、本研究では、3 及び 4 mm の Dc を有する合金を発見した。これらのシステムの合金は、高い硬度と併せて良好な磁気特性を示す。これは、同等な GFA を有し同等な磁気特性を示すが、劣った硬度を示す他のアモルファス強磁性合金とは対照的である。これらの合金は、1.15 T までの高い Ms 並びに低い保磁力及び保持力を有する。加えて、高い GFA 及び良好な軟質磁気特性を有する合金に共通する成分である Ga のような高価な又は有毒な元素が避けられた。
これらの合金は、新しい部類の強磁性バルクアモルファス合金の開発の基盤として役に立つ。製造された合金は、高い効率性、小型、高い硬度及び疲労抵抗、並びに、低い製造コストを必要とするパワーエレクトロニクスの用途において、モノシリックな軟質磁性コアとして利用されることを可能とするかもしれない優れた磁気的及び機械的特性を有している。潜在的な用途としては、インダクタ、トランス、クラッチ及び DC/AC 変換器が含まれるが、これらに限定されるものではない。
結論
要約すると、本発明の鉄系 P 含有金属ガラスは、最適な硬度−ガラス形成能関係を示す。具体的には、本発明の合金は、どんな従来型の合金よりも、所定の臨界棒径に対して高い硬度を示す。この最適な関係は、鉄系システムでは珍しく、本発明の合金の組成中の C 及び B の画分を非常に厳密に制御することで達成された低い剛性率をもたらした結果である。
本発明の合金に関連する高いガラス形成能及び硬度の特有の組み合わせによって、該合金は、たくさんの用途、具体的には、家庭用電化製品、自動車及び航空宇宙の分野で構造要素として使用するための優れた候補となった。良好なガラス形成能及び硬度に加えて、本発明の鉄系合金は、市販の Zr 系ガラスよりも高い強度、硬度、剛性及び耐食性を示し、コストがずっと低いものである。したがって、本発明の合金は、高い強度、剛性、並びに、腐食及び擦り傷に対する耐性を必要とする携帯電子機器のための部品によく適している。該部品は、覆い(casing)、フレーム、ハウジング、ヒンジ、又は、携帯電話、携帯情報端末若しくはラップトップコンピュータのような携帯電子機器のためのその他の構成部品を含むが、それらに限定されるものではない。加えて、これらの合金は、不都合な生物学的反応を引き起こすことが知られている元素を含まない。具体的には、それらは Cu 及び Be を含まず、ある種の組成物は Ni 又は Al なしに形成され得るが、これらはすべて不都合な生物学的反応を引き起こすことが知られているものである。それに基づくと、本発明の材料は、例えば医療のインプラントや器具のような生物医学の用途によく適したものであるだろうと考えられ、本発明はまた、本発明の合金を利用して作製された、手術器具のような医療機器、整形外科又は歯科用のワイヤーのような外部固定装置、及び、標準型のインプラント、特に、例えば整形外科、歯科、脊髄、胸部、頭蓋用のインプラントのような耐荷重性インプラントに向けられている。擦り傷及び腐食に対する高い耐性、生物学的適合性、及び、魅力的な「白」色の組み合わせのため、本発明の合金は、例えば腕時計、指輪、ネックレス、イアリング、ブレスレット、カフスボタンだけでなく、そのようなものの覆いや包装のような宝飾品類の用途によく適している。
最後に、これらの材料はまた軟質強磁性特性を示しており、このことは、例えば電磁遮蔽やトランスコアの用途のような軟質磁気特性を必要とする用途によく適していることを示しているだろう。たくさんの新しい合金が、Fe-(Ni,Co)-Mo-(P,Si)-C-B システムにおいて、3 及び 4 mm のガラス形成の臨界直径で合成された。振動試料磁力計を用いて、1.15 T ほど高い飽和磁化の値が測定された一方、低い保磁力及び残留磁気が記録された。まとめると、これらの結果は、開発されたバルクガラス形成組成物は、パワーエレクトロニクス用途における高効率で小型で丈夫な強磁性コアの低コスト製造のための優れた候補材料であることを示唆している。
均等論
上記記載は本発明の多くの具体的な態様を含んでいるが、これらは本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきものではなく、むしろ本発明の 1 つの態様の例として解釈されるべきである。したがって、本発明の範囲は、説明された態様によって決定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって決定されるべきである。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕少なくともFe、P、C及びBを含有する強磁性鉄系金属ガラス組成物であって、Feは少なくとも60の原子百分率で含み、Pは5〜17.5の原子百分率で含み、Cは3〜6.5の原子百分率で含み、そしてBは1〜3.5の原子百分率で含み、
さらに、少なくともMo及びNi、並びに任意でCo及びSiを含み、
Mo及びNiの濃度は、以下、
(1)Siを0〜0.5の原子百分率で含み、Coを0〜6の原子百分率で含むときは、Moは4.5〜5.5の原子百分率で含み、Niは次式、
m - k・z
(ここで、mは4〜6の定数であり、kは0.5〜1の定数であり、zはCoの原子百分率を表す。)
に従った原子百分率で含み、
(2)Siを0.5〜1.5の原子百分率で含み、Coを0〜6の原子百分率で含むときは、Moは3.5〜4.5の原子百分率で含み、Niは2.5〜4.5の原子百分率で含む、
ようにCo及びSiの濃度に従って変化することを特徴とする、強磁性鉄系金属ガラス組成物。
〔2〕Pの原子百分率が10〜13である、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔3〕Pの原子百分率が約12.5である、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔4〕Cの原子百分率が4.5〜5.5である、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔5〕Cの原子百分率が約5である、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔6〕Bの原子百分率が2〜3である、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔7〕Bの原子百分率が約2.5である、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔8〕Siを0〜0.5の原子百分率で含み、Coを0〜5の原子百分率で含むとき、Moを約5の原子百分率で含み、Niを約2〜約5の間の原子百分率で含む、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔9〕Siを0.5〜1.5の原子百分率で含み、Coを0〜5の原子百分率で含むとき、Moを約4の原子百分率で含み、Niを約3の原子百分率で含む、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔10〕鋳放しの合金が、室温で少なくとも1.0Tの磁化(Ms)を有する、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔11〕鋳放しの合金が、直径3mm及び高さ1mmのディスクサンプル上で振動試料磁力計を用いて測定した際に室温で210A/m未満の保磁力(Hc)を有する、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔12〕鋳放しの合金が、直径3mm及び高さ1mmのディスクサンプル上で振動試料磁力計を用いて測定した際に室温で110×10-5T未満の保持力(Mr)を有する、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔13〕Ruを1〜5の原子百分率でさらに含む、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔14〕少なくとも1種の微量元素をさらに含み、その全質量画分は0.02未満である、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔15〕前記合金が440℃未満のガラス転移点(Tg)を有する、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔16〕前記合金が60GPa未満の剛性率(G)を有する、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔17〕前記合金が少なくとも3mmの臨界棒径を有する、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔18〕前記組成物が、Fe70Ni5Mo5P12.5C5B2.5、Fe69Ni4Co2Mo5P12.5C5B2.5、Fe70Ni3Co2Mo5P12.5C5B2.5、Fe69Ni3Co3Mo5P12.5C5B2.5、Fe68.5Ni2.5Co4Mo5P12.5C5B2.5、Fe68Ni2Co5Mo5P12.5C5B2.5、Fe72Ni4Mo4P11.5C5B2.5Si1、Fe73Ni3Mo4P11.5C5B2.5Si1、Fe71Ni3Co2Mo4P11.5C5B2.5Si1、Fe70Ni3Co3Mo4P11.5C5B2.5Si1、Fe69Ni3Co4Mo4P11.5C5B2.5Si1、及びFe68Ni3Co5Mo4P11.5C5B2.5Si1からなる群から選択され、数字は原子百分率を意味する、前記〔1〕に記載の金属ガラス。
〔19〕金属ガラス組成物を製造する方法であって、以下の工程、
1.少なくともFe、P、C及びBを含有する原材料を準備する工程であって、Feは少なくとも60の原子百分率で含み、Pは5〜17.5の原子百分率で含み、Cは3〜6.5の原子百分率で含み、そしてBは1〜3.5の原子百分率で含み、
さらに、少なくともMo及びNi、並びに任意でCo及びSiを含み、
Mo及びNiの濃度は、以下、
(1)Siを0〜0.5の原子百分率で含み、Coを0〜6の原子百分率で含むときは、Moは4.5〜5.5の原子百分率で含み、Niは次式、
m - k・z
(ここで、mは4〜6の定数であり、kは0.5〜1の定数であり、zはCoの原子百分率を表す。)
に従った原子百分率で含み、
(2)Siを0.5〜1.5の原子百分率で含み、Coを0〜6の原子百分率で含むときは、Moは3.5〜4.5の原子百分率で含み、Niは2.5〜4.5の原子百分率で含む、
ようにCo及びSiの濃度に従って変化する工程、
2.該原材料を溶融状態に溶解する工程、及び、
3.該溶融原材料を、該合金が結晶化するのを防ぐのに十分な冷却速度で焼き入れ(急冷)する工程、
を有することを特徴とする方法。
〔20〕前記組成物がSiを含む場合には、溶融合金は焼き入れ前にフラックスされる、前記〔19〕に記載の方法。
〔21〕フラックス剤が酸化ホウ素である、前記〔20〕に記載の方法。
〔22〕焼き入れ後に金属ガラスを焼きなますことを含む、前記〔19〕に記載の方法。
〔23〕磁性金属ガラス製品であって、
少なくともFe、P、C及びBを含有する金属ガラス合金から形成される物体を含み、Feは少なくとも60の原子百分率で含み、Pは5〜17.5の原子百分率で含み、Cは3〜6.5の原子百分率で含み、そしてBは1〜3.5の原子百分率で含み、
さらに、少なくともMo及びNi、並びに任意でCo及びSiを含み、
Mo及びNiの濃度は、以下、
(1)Siを0〜0.5の原子百分率で含み、Coを0〜6の原子百分率で含むときは、Moは4.5〜5.5の原子百分率で含み、Niは次式、
m - k・z
(ここで、mは4〜6の定数であり、kは0.5〜1の定数であり、zはCoの原子百分率を表す。)
に従った原子百分率で含み、
(2)Siを0.5〜1.5の原子百分率で含み、Coを0〜6の原子百分率で含むときは、Moは3.5〜4.5の原子百分率で含み、Niは2.5〜4.5の原子百分率で含む、
ようにCo及びSiの濃度に従って変化することを特徴とする、磁性金属ガラス製品。
〔24〕電力を発生又は変換する際に用いられる磁気コアである、前記〔23〕に記載の磁性金属ガラス製品。
〔25〕前記磁気コアが、平面形状、トロイダル形状、環状形状、U形状、C形状、I形状、E形状、又はこれらの形状の組み合わせである、前記〔24〕に記載の磁性金属ガラス製品。
〔26〕前記磁気コアが、2以上の構成要素のアセンブリであり、各構成要素の横断面の厚さが、少なくとも0.5mmである、前記〔24〕に記載の磁性金属ガラス製品。
〔27〕前記磁気コアが、モノリシックである、前記〔24〕に記載の磁性金属ガラス製品。
〔28〕インダクタ、トランス、クラッチ及びDC/AC変換器からなる群から選択される用途を有する、前記〔23〕に記載の磁性金属ガラス製品。

Claims (1)

  1. 少なくともFe、P、C及びBを含有する強磁性鉄系金属ガラス組成物であって、Feは少なくとも60の原子百分率で含み、Pは5〜17.5の原子百分率で含み、Cは3〜6.5の原子百分率で含み、そしてBは1〜3.5の原子百分率で含み、
    少なくともMo及びNi、並びに任意でCo及びSiをさらに含み、
    Mo及びNiの濃度は、以下、
    (1)Siを0〜0.5の原子百分率で含み、Coを0〜6の原子百分率で含むときは、Moは4.5〜5.5の原子百分率で含み、Niは次式、
    m - k・z
    (ここで、mは4〜6の定数であり、kは0.5〜1の定数であり、zはCoの原子百分率を表す。)
    に従った原子百分率で含み、
    (2)Siを0.5〜1.5の原子百分率で含み、Coを0〜6の原子百分率で含むときは、Moは3.5〜4.5の原子百分率で含み、Niは2.5〜4.5の原子百分率で含む、
    というようにCo及びSiの濃度に従って変化することを特徴とする、強磁性鉄系金属ガラス組成物。
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