JP2016024866A - 非水系二次電池多孔膜用複合粒子、非水系二次電池用多孔膜、非水系二次電池用電池部材、および非水系二次電池 - Google Patents

非水系二次電池多孔膜用複合粒子、非水系二次電池用多孔膜、非水系二次電池用電池部材、および非水系二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電解液中での基材との接着性に優れ、そして非水系二次電池に優れた電池特性を発揮させる非水系二次電池用多孔膜を形成可能な多孔膜用材料の提供。
【解決手段】有機粒子及び結着材を含み、前記有機粒子が、コア部と、前記コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有しており、前記コア部は、電解液膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、前記シェル部は、電解液膨潤度が1倍超4倍以下の重合体からなる、非水系二次電池多孔膜用複合粒子である。
【選択図】図1

Description

本発明は、非水系二次電池多孔膜用複合粒子、非水系二次電池用多孔膜、非水系二次電池用電池部材、および非水系二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池などの非水系二次電池(以下、「二次電池」と略記する場合がある)は、小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、更に繰り返し充放電が可能という特性があり、幅広い用途に使用されている。そして二次電池は、一般に、正極、負極、および、正極と負極とを隔離して正極と負極との間の短絡を防ぐセパレータなどの電池部材を備えている。
ここで、近年、二次電池においては、耐熱性や強度を向上させた電池部材として、非導電性粒子と結着材とを含む多孔膜を有する電池部材が使用されている。具体的には、集電体上に電極合材層を設けてなる電極基材上に更に多孔膜を形成してなる電極や、セパレータ基材上に多孔膜を形成してなるセパレータや、多孔膜のみからなるセパレータが電池部材として使用されている。
このような多孔膜は、例えば、非導電性粒子や結着材などの多孔膜材料を水などの分散媒に溶解または分散させたスラリー組成物(多孔膜用スラリー組成物)を用意し、この多孔膜用スラリー組成物を電極基材やセパレータ基材などの基材上に塗布および乾燥させて形成される。
そして、近年、二次電池の更なる高性能化を達成すべく、上述した多孔膜用スラリー組成物中に配合する成分を改良することで多孔膜の性能を向上させる試みが盛んに行われている。例えば特許文献1では、ビニル単量体成分を重合してなる重合体で構成されるコア層と、親水性官能基含有単量体成分を重合してなる重合体で構成されるシェル層とでなる異相構造を有するポリマー粒子よりなる結着材と、非導電性粒子とを溶媒中に含む多孔膜用スラリー組成物を用いることで、リチウムイオン二次電池におけるリチウムイオン拡散性を高度に維持しつつ、強度及び割れが改良された多孔膜を製造する技術が提案されている。
国際公開第2011/040474号
しかし、上記従来の技術で用いられているポリマー粒子は、電解液中における接着力が十分ではなく、例えば多孔膜用スラリー組成物を用いて基材上に多孔膜を形成した際に、多孔膜と基材の間の接着性を満足のいくものとすることはできなかった。
加えて、上記従来の技術を用いて得られる多孔膜は、イオン拡散性が十分ではなく、また、多孔膜用スラリー組成物に由来する多孔膜中の残存水分などに起因してガスが発生し、二次電池のセルが膨らんでしまう場合があった。
したがって、上記従来の技術を用いた多孔膜では、二次電池に十分な電池特性(高温サイクル特性、低温出力特性、耐膨らみ性)を発揮させることができず、当該多孔膜はこの点において改善の余地があった。
そこで、本発明は、電解液中での基材との接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電池特性を発揮させる非水系二次電池用多孔膜を形成可能な多孔膜用材料を提供することを目的とする。
また、本発明は、電解液中での基材との接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電池特性を発揮させることが可能な非水系二次電池用多孔膜および当該多孔膜を備える電池部材を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、電池特性に優れる非水系二次電池を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、それぞれ特定の電解液膨潤度を有するコア部とシェル部とを備える特定のコアシェル構造を有する有機粒子に、結着材を組合せ、それらを造粒することで得られる複合粒子を多孔膜の形成に用いることで、得られる多孔膜が電解液中での基材との接着性に優れたものとなり、且つ、当該多孔膜を備える二次電池に優れた電池特性を発揮させることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池多孔膜用複合粒子は、有機粒子及び結着材を含み、前記有機粒子が、コア部と、前記コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有しており、前記コア部は、電解液膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、前記シェル部は、電解液膨潤度が1倍超4倍以下の重合体からなる、ことを特徴とする。このように、コア部とシェル部の電解液膨潤度がそれぞれ特定の範囲内である有機粒子と、結着材とを含む複合粒子を多孔膜の形成に用いれば、電解液中における基材との接着性に優れ、且つ、二次電池に優れた電池特性を発揮させる多孔膜を提供することができる。
ここで、本発明において、有機粒子のコア部およびシェル部の「電解液膨潤度」は、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。
ここで、本発明の非水系二次電池多孔膜用複合粒子は、体積平均粒子径D50が0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。複合粒子の体積平均粒子径D50が上述の範囲内である場合、二次電池の電池特性を更に向上させることができるからである。
ここで、本発明において、「体積平均粒子径D50」とは、レーザー回折法で測定された粒度分布(体積基準)において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径を表す。
そして、本発明の非水系二次電池多孔膜用複合粒子は、前記有機粒子のガラス転移温度が20℃以上180℃以下であることが好ましい。有機粒子のガラス転移温度が上述の範囲内である場合、二次電池内部の温度が過度に上昇した際に、有機粒子が溶融することで多孔膜の孔を塞ぐことができる。従って、当該複合粒子を使用すれば、多孔膜に、二次電池内部の温度が過度に上昇した際にイオン伝導を遮断して二次電池の熱暴走を防ぐシャットダウン特性を好適に発現させることができるからである。また、有機粒子のガラス転移温度が上述の範囲内である場合、多孔膜を有する電池部材の保管・運搬中のブロッキングの発生を抑制することができるからである。
ここで、本発明において、有機粒子の「ガラス転移温度」は、本明細書の実施例に記載の測定方法を用いて測定することができる。
さらに、本発明の非水系二次電池多孔膜用複合粒子は、前記有機粒子100質量部当たり、前記結着材を0.1質量部以上15質量部以下含むことが好ましい。結着材の配合量が上述の範囲内である場合、電解液中での多孔膜と基材との接着性を更に向上させつつ、二次電池の電池特性を更に向上させることができるからである。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池用多孔膜は、上述の何れかの非水系二次電池多孔膜用複合粒子を用いて形成されることを特徴とする。上述の何れかの複合粒子を材料として形成される多孔膜は、電解液中での基材との接着性に優れ、また、二次電池に優れた電池特性を発揮させることができる。
更に、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池用電池部材は、上述の非水系二次電池用多孔膜をセパレータ基材または電極基材上に設けてなることを特徴とする。セパレータ基材または電極基材上に本発明の多孔膜を形成することで、電解液中において基材との優れた接着性を発揮しつつ、二次電池の電池特性を向上させることが可能な電池部材を提供することができる。
ここで、本発明の非水系二次電池用電池部材では、前記セパレータ基材が不織布であることが好ましい。セパレータ基材としての不織布上に本発明の多孔膜を設けてなるセパレータは、イオン拡散性に優れ、二次電池の低温出力特性などの電池特性を更に向上させることができるからである。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池は、上述した非水系二次電池用多孔膜、或いは、上述した非水系二次電池用電池部材の何れかを備えることを特徴とする。上述の多孔膜または電池部材を備える二次電池は、高温サイクル特性、低温出力特性、耐膨らみ性などの電池特性に優れる。
本発明によれば、電解液中での基材との接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電池特性を発揮させる非水系二次電池用多孔膜を形成可能な多孔膜用材料を提供することができる。
また、本発明によれは、電解液中での基材との接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電池特性を発揮させることが可能な非水系二次電池用多孔膜および当該多孔膜を備える電池部材を提供することができる。
さらに、本発明によれば、電池特性に優れる非水系二次電池を提供することができる。
本発明の非水系二次電池多孔膜用複合粒子に含有される有機粒子の一例の構造を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の非水系二次電池多孔膜用複合粒子は、本発明の非水系二次電池用多孔膜を形成する際の材料として用いられる。そして、本発明の非水系二次電池用多孔膜は、本発明の非水系二次電池用多孔膜を用いて形成される。また、本発明の非水系二次電池用電池部材は、本発明の非水系二次電池用多孔膜をセパレータ基材または電極基材上に設けてなるものである。加えて、本発明の非水系二次電池は、本発明の非水系二次電池用多孔膜または本発明の非水系二次電池用電池部材を備えるものである。
(非水系二次電池多孔膜用複合粒子)
本発明の複合粒子は、少なくとも有機粒子及び結着材を含有し、任意に、非導電性粒子(有機粒子および結着材に該当するものを除く)およびその他の成分を含有する。そして、本発明の複合粒子は、前記有機粒子が、コア部と、前記コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有しており、且つ、前記コア部は、電解液膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、前記シェル部は、電解液膨潤度が1倍超4倍以下の重合体からなることを特徴とする。
そして、本発明では、所定の構造および性状を有する有機粒子と結着材とを併用しているので、複合粒子を良好に形成することができる。また、本発明の複合粒子を用いて形成される多孔膜は、主として、(i)特定の電解液膨潤度を有する重合体よりなる特定のコアシェル構造を備える有機粒子の使用、および(ii)有機粒子および結着材の複合粒子化、に因ると推察されるが、電解液中での基材との接着性に優れ、また、二次電池に優れた電池特性を発揮させることができる。
<有機粒子>
非水系二次電池多孔膜用複合粒子に含有される有機粒子は、コア部と、コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有しており、コア部は、電解液膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、且つ、シェル部は、電解液膨潤度が1倍超4倍以下の重合体からなることを特徴とする。
ここで、上記構造および性状を有する有機粒子は、電解液中において優れた接着性を発揮し、例えば多孔膜を電極基材やセパレータ基材上に形成する場合には多孔膜と基材とを電解液中で強固に接着させると共に、多孔膜を備える非水系二次電池の電池特性を良好に向上させることができる。更に、電極基材やセパレータ基材上に多孔膜を形成してなる電池部材(電極、セパレータ)は、巻き重ねられた状態で保存および運搬されることがあるが、上記有機粒子を用いて形成した多孔膜を有する電池部材は、巻き重ねられた場合でもブロッキング(多孔膜を介した電池部材同士の膠着)を生じ難く、ハンドリング性に優れている。
なお、上記有機粒子を使用することで上述したような優れた効果が得られる理由は、明らかではないが、以下の通りであると推察される。
即ち、有機粒子のシェル部を構成する重合体は、電解液に対して膨潤する。このとき、例えば膨潤したシェル部の重合体が有する官能基が活性化して基材(例えば、多孔膜が接するセパレータ基材、電極基材等)の表面にある官能基と化学的または電気的な相互作用を生じるなどの要因により、シェル部は基材と強固に接着できる。そのため、有機粒子を含む多孔膜が、基材と電解液中において強力に接着することが可能となっているものと推察される。
また、有機粒子を含む多孔膜を使用した場合、当該多孔膜を介して電解液中においてセパレータと電極とを強力に接着することができるので、当該多孔膜を備える二次電池では、多孔膜を介して接着された電池部材間に空隙を生じ難い。そのため、有機粒子を含む多孔膜を使用した二次電池では、二次電池内において正極と負極との距離が大きくなり難く、二次電池の内部抵抗を小さくできると共に、電極における電気化学反応の反応場が不均一になり難い。更に、当該二次電池では、充放電を繰り返してもセパレータと電極との間に空隙ができ難く、電池容量が低下しにくい。これにより、優れた耐膨らみ性や高温サイクル特性などが実現できるものと推察される。
更に、有機粒子のコア部を構成する重合体は、電解液に対して大きく膨潤する。そして、重合体は、電解液に大きく膨潤した状態では、重合体の分子間の隙間が大きくなり、その分子間をイオンが通り易くなる。また、有機粒子のコア部の重合体は、シェル部によって完全に覆われてはいない。そのため、電解液中においてイオンがコア部を通りやすくなるので、有機粒子は高いイオン拡散性を発現できる。従って、上記有機粒子を使用すれば、多孔膜による抵抗の上昇を抑制し、低温出力特性などの電池特性の低下を抑制することも可能であると推察される。
また、シェル部の重合体は、電解液に膨潤していない状態においては、通常、接着性を有さず、電解液に膨潤することにより始めて接着性を発現する。そのため、有機粒子は、電解液に膨潤していない状態において、通常、接着性を発現しない。このため、その有機粒子を含む多孔膜は、電解液に膨潤していない状態では、通常、大きな接着性を発現せず、その多孔膜を有する電池部材は、重ねてもブロッキングを生じ難いものと推察される。なお、有機粒子は、電解液に膨潤しない限りは接着性を全く発揮しないというものではなく、電解液に膨潤していない状態であっても、例えば一定温度以上(例えば50℃以上)に加熱されることにより、接着性を発現し得る。
[有機粒子の構造および性状]
ここで、有機粒子は、コア部と、コア部の外表面を覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有している。また、シェル部は、コア部の外表面を部分的に覆っている。即ち、有機粒子のシェル部は、コア部の外表面を覆っているが、コア部の外表面の全体を覆ってはいない。外観上、コア部の外表面がシェル部によって完全に覆われているように見える場合であっても、シェル部の内外を連通する孔が形成されていれば、そのシェル部はコア部の外表面を部分的に覆うシェル部である。したがって、例えば、シェル部の外表面(即ち、有機粒子の周面)からコア部の外表面まで連通する細孔を有するシェル部を備える有機粒子は、上記有機粒子に含まれる。
具体的には、有機粒子の一例の断面構造を図1に示すように、有機粒子100は、コア部110およびシェル部120を備えるコアシェル構造を有する。ここで、コア部110は、この有機粒子100においてシェル部120よりも内側にある部分である。また、シェル部120は、コア部110の外表面110Sを覆う部分であり、通常は有機粒子100において最も外側にある部分である。そして、シェル部120は、コア部110の外表面110Sの全体を覆っているのではなく、コア部110の外表面110Sを部分的に覆っている。
ここで、有機粒子では、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合(被覆率)は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下である。コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合を前記範囲に収めることにより、イオンの拡散性と多孔膜の接着性とのバランスを良好にできる。
なお、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合は、有機粒子の断面構造の観察結果から測定しうる。具体的には、以下に説明する方法により測定しうる。
まず、有機粒子を常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分に分散させた後、包埋し、有機粒子を含有するブロック片を作製する。次に、ブロック片を、ダイヤモンド刃を備えたミクロトームで厚さ80nm〜200nmの薄片状に切り出して、測定用試料を作製する。その後、必要に応じて、例えば四酸化ルテニウムまたは四酸化オスミウムを用いて測定用試料に染色処理を施す。
次に、この測定用試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)にセットして、有機粒子の断面構造を写真撮影する。電子顕微鏡の倍率は、有機粒子1個の断面が視野に入る倍率が好ましく、具体的には10,000倍程度が好ましい。
撮影された有機粒子の断面構造において、コア部の外表面に相当する周の長さD1、および、コア部の外表面とシェル部とが当接する部分の長さD2を測定する。そして、測定された長さD1および長さD2を用いて、下記の式(1)により、その有機粒子のコア部の外表面がシェル部によって覆われる割合Rcを算出する。
被覆割合Rc(%)=(D2/D1)×100 ・・・(1)
前記の被覆割合Rcを、20個以上の有機粒子について測定し、その平均値を計算して、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合(被覆率)とする。
ここで、前記の被覆割合Rcは、断面構造からマニュアルで計算することもできるが、市販の画像解析ソフトを用いて計算することもできる。市販の画像解析ソフトとして、例えば「AnalySIS Pro」(オリンパス株式会社製)を用いることができる。
また、有機粒子の体積平均粒子径D50は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.8m以下である。複合粒子の調製に用いる有機粒子の体積平均粒子径D50を前記範囲の下限値以上にすることにより、多孔膜の接着力を高めることができると共に、二次電池の高温サイクル特性を向上させることができる。また、上限値以下にすることにより、低温出力特性を高めることができる。なお、有機粒子の体積平均粒子径D50は、固形分濃度15質量%に調整した水分散溶液の、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用いて湿式測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径として求めうる。
また、有機粒子のガラス転移温度は、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上、更に好ましくは40℃以上であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは110℃以下である。有機粒子のガラス転移温度が前記上限値以下であることで、多孔膜中の成分として使用した場合に、多孔膜に優れたシャットダウン特性を発揮させることが可能である。即ち、二次電池内部の温度が過度に上昇した際に有機粒子が溶融し、多孔膜を介したイオン伝導を好適に遮断して二次電池の熱暴走を防止することができる。また、有機粒子のガラス転移温度が前記上限値以上であることで、多孔膜を有する電池部材におけるブロッキングの発生を良好に抑制することができる。なお、有機粒子のガラス転移温度は、本明細書の実施例に記載の方法で求めることができる。
なお、有機粒子は、所期の効果を著しく損なわない限り、上述したコア部およびシェル部以外に任意の構成要素を備えていてもよい。具体的には、例えば、有機粒子は、コア部の内部に、コア部とは別の重合体で形成された部分を有していてもよい。具体例を挙げると、有機粒子をシード重合法で製造する場合に用いたシード粒子が、コア部の内部に残留していてもよい。ただし、所期の効果を顕著に発揮する観点からは、有機粒子はコア部およびシェル部のみを備えることが好ましい。
−コア部−
有機粒子のコア部は、電解液に対して所定の膨潤度を有する重合体からなる。具体的には、コア部の重合体の電解液膨潤度は、5倍以上であることが必要であり、6倍以上であることが好ましく、7倍以上であることがより好ましく、また、30倍以下であることが必要であり、25倍以下であることが好ましく、20倍以下であることがより好ましい。コア部の重合体の電解液膨潤度を前記範囲内に収めることにより、多孔膜のイオン拡散性を高めることができるので、非水系二次電池の低温出力特性を改善することができ、また、高温サイクル特性などの電池特性を良好にすることができる。また、コア部の重合体の電解液膨潤度を前記範囲の下限値以上にすることにより、低温出力特性を向上することができる。さらに、電解液膨潤度を前記範囲の上限値以下にすることにより、電解液中での多孔膜の接着性を高めることができ、また、高温サイクル特性や低温出力特性などの電池特性を良好にすることができる。
ここで、コア部の重合体の電解液膨潤度を測定するために用いる電解液としては、エチレンカーボネート(EC)と、ジエチルカーボネート(DEC)と、ビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(体積混合比:EC/DEC/VC=68.5/30/1.5、SP値12.7(cal/cm1/2)に、支持電解質としてLiPFを1mol/Lの濃度で溶かした溶液を用いる。
そして、コア部の重合体の電解液膨潤度は、具体的には、下記のようにして測定することができる。
まず、有機粒子のコア部の重合体を用意する。例えば、有機粒子の調製においてコア部を形成するために行うのと同様の工程を行うことにより得られた重合体を用意する。その後、用意した重合体によりフィルムを作製する。例えば重合体が固体であれば、温度25℃、48時間の条件で重合体を乾燥した後、その重合体をフィルム状に成形して、厚み0.5mmのフィルムを作製する。また、例えば、重合体がラテックス等の溶液または分散液である場合は、その溶液または分散液を、ポリテトラフルオロエチレン製のシャーレに入れ、温度25℃、48時間の条件で乾燥して、厚み0.5mmのフィルムを作製する。
次に、上記のようにして作製したフィルムを1cm角に裁断して、試験片を得る。この試験片の重量を測定し、W0とする。また、この試験片を上記電解液に温度60℃で72時間浸漬し、その試験片を電解液から取り出す。取り出した試験片の表面の電解液を拭き取り、浸漬後の試験片の重量W1を測定する。
そして、これらの重量W0およびW1を用いて、膨潤度S(倍)を、S=W1/W0にて計算する。
なお、コア部の重合体の電解液膨潤度を調整する方法としては、例えば、電解液のSP値を考慮して、当該コア部の重合体を製造するための単量体の種類および量を適切に選択することが挙げられる。一般に、重合体のSP値が電解液のSP値に近い場合、その重合体はその電解液に膨潤しやすい傾向がある。他方、重合体のSP値が電解液のSP値から離れていると、その重合体はその電解液に膨潤し難い傾向がある。
ここでSP値とは、溶解度パラメーターのことを意味する。
そして、SP値は、Hansen Solubility Parameters A User’s Handbook,2ndEd(CRCPress)で紹介される方法を用いて算出することができる。
また、有機化合物のSP値は、その有機化合物の分子構造から推算することも可能である。具体的には、SMILEの式からSP値を計算できるシミュレーションソフトウェア(例えば「HSPiP」(http=//www.hansen−solubility.com))を用いて計算しうる。このシミュレーションソフトウェアでは、Hansen SOLUBILITY PARAMETERS A User’s Handbook SecondEdition、Charles M.Hansenに記載の理論に基づき、SP値が求められている。
コア部の重合体を製造するために用いる単量体としては、その重合体の電解液膨潤度が前記範囲となるものを適宜選択して用いうる。そのような単量体としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩化ビニル系単量体;酢酸ビニル等の酢酸ビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸、ブトキシスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体;ビニルアミン等のビニルアミン系単量体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のビニルアミド系単量体;カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、水酸基を有する単量体等の酸基含有単量体;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル単量体;2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート等のフッ素含有(メタ)アクリレート単量体;マレイミド;フェニルマレイミド等のマレイミド誘導体;1,3−ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体;などが挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリルとはアクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
前記の単量体の中でも、コア部の重合体の調製に用いられる単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体、(メタ)アクリロニトリル単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル単量体がより好ましく、メタクリル酸メチルを用いることが更に好ましい。即ち、コア部の重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位または(メタ)アクリロニトリル単量体単位を含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含むことがより好ましく、メタクリル酸メチル由来の単量体単位を含むことが更に好ましい。これにより、重合体の膨潤度の制御が容易になると共に、有機粒子を含む複合粒子を用いた多孔膜を備える二次電池の内部抵抗の上昇を抑制し、低温出力特性を更に向上させることができる。
また、コア部の重合体における(メタ)アクリル酸エステル単量体単位および(メタ)アクリロニトリル単量体単位の合計の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位および(メタ)アクリロニトリル単量体単位の割合を前記範囲に収めることにより、有機粒子のコア部の電解液膨潤度を前記範囲に制御しやすくなる。また、多孔膜のイオン拡散性を高めることができる。更に、二次電池の低温出力特性をより向上させることができる。
また、コア部の重合体は、酸基含有単量体単位を含みうる。ここで、酸基含有単量体としては、酸基を有する単量体、例えば、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、および、水酸基を有する単量体が挙げられる。
そして、カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸などが挙げられる。モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
また、スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
更に、リン酸基を有する単量体としては、例えば、リン酸−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸エチル−(メタ)アクリロイルオキシエチルなどが挙げられる。
また、水酸基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
これらの中でも、酸基含有単量体としては、カルボン酸基を有する単量体が好ましく、中でもモノカルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
また、酸基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、コア部の重合体における酸基含有量体単位の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である。酸基含有量体単位の割合を前記範囲に収めることにより、有機粒子の調製時に、コア部の重合体の分散性を高め、コア部の重合体の外表面に対し、コア部の外表面を部分的に覆うシェル部を形成し易くすることができる。
また、コア部の重合体は、上記単量体単位に加え、架橋性単量体単位を含んでいることが好ましい。架橋性単量体とは、加熱またはエネルギー線の照射により、重合中または重合後に架橋構造を形成しうる単量体である。架橋性単量体単位を含むことにより、重合体の膨潤度を、前記の範囲に容易に収めることができる。
架橋性単量体としては、例えば、当該単量体に2個以上の重合反応性基を有する多官能単量体が挙げられる。このような多官能単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン等のジビニル化合物;ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート等のジ(メタ)アクリル酸エステル化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のトリ(メタ)アクリル酸エステル化合物;アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体;などが挙げられる。これらの中でも、コア部の重合体の電解液膨潤度を容易に制御する観点から、ジメタクリル酸エステル化合物およびエポキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体が好ましく、ジメタクリル酸エステル化合物がより好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ここで、一般に、重合体において架橋性単量体単位の割合が増えると、その重合体の電解液に対する膨潤度は小さくなる傾向がある。したがって、架橋性単量体単位の割合は、使用する単量体の種類および量を考慮して決定することが好ましい。コア部の重合体における架橋性単量体単位の具体的な割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。架橋性単量体単位の割合を前記範囲の下限値以上にすることにより、多孔膜の接着性を高めることができる。また、架橋性単量体単位の割合を前記範囲の上限値以下にすることにより、二次電池の高温サイクル特性を更に向上させることができる。
また、コア部の重合体のガラス転移温度は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは50℃以上、特に好ましくは60℃以上であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下、特に好ましくは100℃以下である。コア部の重合体のガラス転移温度を前記範囲の下限値以上にすることにより、多孔膜の接着性を高めることができ、電池特性を改善することができる。更に、ガラス転移温度を前記範囲の上限値以下にすることにより、二次電池の高温サイクル特性を更に向上させることができる。また、コア部の重合体のガラス転移温度を前記範囲に収めることにより、二次電池の低温出力特性を改善することができる。
ここで、ガラス転移温度は、JIS K7121に従って測定することができる。
更に、コア部の径は、有機粒子の体積平均粒子径100%に対して、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であり、好ましくは99%以下、より好ましくは98.5%以下、更に好ましくは98%以下である。コア部の径を前記範囲の下限値以上にすることにより、イオン伝導度を高めることができる。また、コア部の径を前記範囲の上限値以下にすることにより、多孔膜の接着性を高めることができる。
ここで、コア部の径は、有機粒子の製造過程において得られる、シェル部を形成する前の粒子状の重合体の体積平均粒子径D50として測定することができる。このようなシェル部を形成する前の粒子状の重合体は、コア部を構成する粒子状の重合体に相当する。なお、シェル部を形成する前の粒子状の重合体の体積平均粒子径D50は、前記有機粒子の体積平均粒子径D50と同様に測定しうる。
−シェル部−
有機粒子のシェル部は、コア部の電解液膨潤度よりも小さい所定の電解液膨潤度を有する重合体からなる。具体的には、シェル部の重合体の電解液膨潤度は、1倍超4倍以下であることが必要であり、好ましくは1.05倍以上、より好ましくは1.1倍以上、更に好ましくは1.2倍以上であり、また、好ましくは3.5倍以下、より好ましくは3倍以下、更に好ましくは2.5倍である。シェル部の重合体の電解液膨潤度を前記範囲に収めることにより、電解液中における多孔膜の接着性を高めることができる。そのため、二次電池の内部抵抗を小さくできるので、二次電池の電池特性を良好に維持することができる。また、シェル部の重合体の電解液膨潤度を前記範囲の下限値以上にすることにより、二次電池の低温出力特性を良好にできる。更に、電解液膨潤度を前記範囲の上限値以下にすることにより、多孔膜の接着性を高めることができる。
ここで、シェル部の重合体の電解液膨潤度を測定するために用いる電解液としては、コア部の重合体の電解液膨潤度を測定するために用いる電解液と同様のものを用いる。
そして、シェル部の重合体の電解液膨潤度は、具体的には、下記のようにして測定することができる。
まず、有機粒子のシェル部の重合体を用意する。例えば、有機粒子の調製において、コア部の形成に用いる単量体組成物の代わりにシェル部の形成に用いる単量体組成物を用いて、コア部の製造方法と同様にして重合体を製造する。
その後、コア部の重合体の膨潤度の測定方法と同様の方法で、シェル部の重合体によりフィルムを作製し、そのフィルムから試験片を得て、膨潤度Sを測定する。
ここで、シェル部の重合体の電解液膨潤度を調整する方法としては、例えば、電解液のSP値を考慮して、当該シェル部の重合体を製造するための単量体の種類および量を適切に選択することが挙げられる。
そして、シェル部の重合体を調製するために用いる単量体としては、その重合体の電解液膨潤度が前記範囲となるものを適宜選択して用いうる。そのような単量体としては、例えば、コア部の重合体を製造するために用いうる単量体として例示した単量体と同様の単量体が挙げられる。また、このような単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
これらの単量体の中でも、シェル部の重合体の調製に用いられる単量体としては、芳香族ビニル単量体が好ましい。即ち、シェル部の重合体は、芳香族ビニル単量体単位を含むことが好ましい。また、芳香族ビニル単量体の中でも、スチレンおよびスチレンスルホン酸等のスチレン誘導体がより好ましい。芳香族ビニル単量体を用いれば、重合体の電解液膨潤度を制御し易い。また、多孔膜の接着性を一層高めることができる。
そして、シェル部の重合体における芳香族ビニル単量体単位の割合は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より一層好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上 であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、更に好ましくは99質量%以下である。芳香族ビニル単量体単位の割合を前記範囲に収めることにより、シェル部の電解液膨潤度を前記範囲に制御しやすい。また、電解液中における多孔膜の接着力をより高めることができる。
また、シェル部の重合体は、芳香族ビニル単量体単位以外に、酸基含有単量体単位を含みうる。ここで、酸基含有単量体としては、酸基を有する単量体、例えば、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、および、水酸基を有する単量体が挙げられる。具体的には、酸基含有単量体としては、コア部に含み得る酸基含有単量体と同様の単量体が挙げられる。
中でも、酸基含有単量体としては、カルボン酸基を有する単量体が好ましく、中でもモノカルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
また、酸基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
シェル部の重合体中の酸基含有単量体単位の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である。酸基含有単量体単位の割合を前記範囲に収めることにより、複合粒子および多孔膜中での有機粒子の分散性を向上させ、多孔膜全面に渡って良好な接着性を発現させることができる。
また、シェル部の重合体は、架橋性単量体単位を含みうる。架橋性単量体としては、例えば、コア部の重合体に用いうる架橋性単量体として例示したものと同様の単量体が挙げられる。また、架橋性単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
そして、シェル部の重合体における架橋性単量体単位の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
また、シェル部の重合体のガラス転移温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上、特に好ましくは90℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは150℃以下、特に好ましくは120℃以下である。シェル部の重合体のガラス転移温度を前記範囲の下限値以上にすることにより、二次電池の低温出力特性を更に向上させることができ、また、二次電池の耐膨らみ性や、電解液中における多孔膜の接着性を向上させることができる。また、ガラス転移温度を前記範囲の上限値以下にすることにより、電解液中における多孔膜の接着性を更に高めることができる。また、シェル部の重合体のガラス転移温度を前記範囲に収めることにより、二次電池の高温サイクル特性を改善することが可能である。
更に、シェル部は、有機粒子の体積平均粒子径D50に対して、所定の範囲に収まる平均厚みを有することが好ましい。具体的には、有機粒子の体積平均粒子径D50に対するシェル部の平均厚み(コアシェル比率)は、好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上であり、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。シェル部の平均厚みを前記範囲の下限値以上にすることにより、多孔膜の接着性を更に高めることができる。また、シェル部の平均厚みを前記範囲の上限値以下にすることにより、二次電池の低温出力特性を更に高めることができる。
ここで、シェル部の平均厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて有機粒子の断面構造を観察することにより求められる。具体的には、TEMを用いて有機粒子の断面構造におけるシェル部の最大厚みを測定し、任意に選択した20個以上の有機粒子のシェル部の最大厚みの平均値を、シェル部の平均厚みとする。ただし、シェル部が重合体の粒子によって構成されており、かつ、有機粒子の径方向で、シェル部を構成する粒子同士が重なり合わず、それらの重合体の粒子が単層でシェル部を構成している場合は、シェル部を構成する粒子の個数平均粒子径をシェル部の平均厚みとする。
また、シェル部の形態は特に制限されないが、シェル部は、重合体の粒子によって構成されていることが好ましい。シェル部が重合体の粒子によって構成されている場合、有機粒子の径方向にシェル部を構成する粒子が複数重なり合っていてもよい。ただし、有機粒子の径方向では、シェル部を構成する粒子同士が重なり合わず、それらの重合体の粒子が単層でシェル部を構成していることが好ましい。
更に、シェル部が重合体の粒子によって構成されている場合、シェル部を構成する粒子の個数平均粒子径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは30nmであり、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、更に好ましくは100nm以下である。個数平均粒子径を前記範囲に収めることにより、イオン拡散性と接着性とのバランスを良好にできる。
なお、シェル部を構成する粒子の個数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて有機粒子の断面構造を観察することにより求められる。具体的には、有機粒子の断面構造におけるシェル部を構成する粒子の最長径を測定し、任意に選択した20個以上の有機粒子のシェル部を構成する粒子の最長径の平均値を、シェル部を構成する粒子の個数平均粒子径とすることができる。
[有機粒子の調製方法]
そして、上述したコアシェル構造を有する有機粒子は、例えば、コア部の重合体の単量体と、シェル部の重合体の単量体とを用い、経時的にそれらの単量体の比率を変えて段階的に重合することにより、調製することができる。具体的には、有機粒子は、先の段階の重合体を後の段階の重合体が順次に被覆するような連続した多段階乳化重合法および多段階懸濁重合法によって調製することができる。
そこで、以下に、多段階乳化重合法により上記コアシェル構造を有する有機粒子を得る場合の一例を示す。
重合に際しては、常法に従って、乳化剤として、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタンモノラウレート等のノニオン性界面活性剤、またはオクタデシルアミン酢酸塩等のカチオン性界面活性剤を用いることができる。また、重合開始剤として、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過硫酸カリウム、キュメンパーオキサイド等の過酸化物、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等のアゾ化合物を用いることができる。
そして、重合手順としては、まず、水などの重合溶媒に、コア部を形成する単量体および乳化剤を混合し、その後重合開始剤を入れ、一括で乳化重合することによってコア部を構成する粒子状の重合体を得る。更に、このコア部を構成する粒子状の重合体の存在下にシェル部を形成する単量体の重合を行うことによって、上述したコアシェル構造を有する有機粒子を得ることができる。
この際、コア部の外表面をシェル部によって部分的に覆う観点から、シェル部の重合体を形成する単量体は、複数回に分割して、もしくは、連続して重合系に供給することが好ましい。シェル部の重合体を形成する単量体を重合系に分割して、もしくは、連続で供給することにより、シェル部を構成する重合体が粒子状に形成され、この粒子がコア部と結合することで、コア部を部分的に覆うシェル部を形成することができる。
ここで、シェル部の重合体を形成する単量体を複数回に分割して供給する場合には、単量体を分割する割合に応じてシェル部を構成する粒子の粒子径およびシェル部の平均厚みを制御することが可能である。また、シェル部の重合体を形成する単量体を連続で供給する場合には、単位時間あたりの単量体の供給量を調整することで、シェル部を構成する粒子の粒子径およびシェル部の平均厚みを制御することが可能である。
また、シェル部の重合体を形成する単量体として重合溶媒に対して親和性の低い単量体を用いると、コア部を部分的に覆うシェル部を形成し易くなる傾向がある。従って、重合溶媒が水の場合、シェル部の重合体を形成する単量体は、疎水性単量体を含むことが好ましく、芳香族ビニル単量体を含むことが特に好ましい。
更に、シェル部の重合に用いる乳化剤量を少なくすると、コア部を部分的に覆うシェル部を形成し易くなる傾向がある。従って、適宜乳化剤量を調整することによっても、コア部を部分的に覆うシェル部を形成することができる。
なお、コア部を構成する粒子状の重合体の体積平均粒子径D50、シェル部を形成した後の有機粒子の体積平均粒子径D50、および、シェル部を構成する粒子の個数平均粒子径は、例えば、乳化剤の量、単量体の量などを調整することで、所望の範囲にすることができる。
更に、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合は、コア部を構成する粒子状の重合体の体積平均粒子径D50に対応させて、例えば、乳化剤の量、および、シェル部の重合体を形成する単量体の量を調整することで、所望の範囲にすることができる。
<結着材>
ここで、上述した通り、有機粒子は、電解液に膨潤していない状態においては、通常、接着性を発現しない。したがって、有機粒子を含む複合粒子を好適に造粒する観点、複合粒子の基材上への圧着を容易にする観点、および、電解液への浸漬前に多孔膜に含まれる成分が多孔膜から脱落するのを抑制する観点から、本発明の複合粒子は、結着材を含むことが必要である。結着材としては特に限定されないが、電解液に膨潤していない温度25℃の環境下において有機粒子よりも高い接着性を発揮する粒子状重合体を使用することが好ましい。このような粒子状重合体を用いることにより、複合粒子を良好に形成すると共に、電解液に膨潤している状態および膨潤していない状態の両方において、複合粒子が多孔膜から脱落するのを抑制することができる。
そして、上記有機粒子と併用し得る粒子状重合体としては、非水溶性で、水などの分散媒中に分散可能な既知の粒子状重合体、例えば、熱可塑性エラストマーが挙げられる。そして、熱可塑性エラストマーとしては、共役ジエン系重合体およびアクリル系重合体が好ましく、アクリル系重合体がより好ましい。
ここで、共役ジエン系重合体とは、共役ジエン単量体単位を含む重合体を指し、共役ジエン系重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)などの芳香族ビニル単量体単位および脂肪族共役ジエン単量体単位を含む重合体が挙げられる。また、アクリル系重合体とは、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体を指す。
なお、これらの粒子状重合体は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、2種類以上を組み合わせた粒子状重合体を用いる場合、かかる重合体は、上述した有機粒子とは異なるものである。
更に、粒子状重合体としてのアクリル系重合体は、(メタ)アクリロニトリル単量体単位を含むことが更に好ましい。これにより、多孔膜の強度を高めることができる。
ここで、粒子状重合体としてのアクリル系重合体において、(メタ)アクリロニトリル単量体単位および(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計量に対する(メタ)アクリロニトリル単量体単位の量の割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。前記割合を前記範囲の下限値以上にすることにより、粒子状重合体としてのアクリル系重合体の強度を高め、当該アクリル系重合体を含む複合粒子を用いた多孔膜の強度をより高くすることができる。また、前記割合を前記範囲の上限値以下にすることにより、粒子状重合体としてのアクリル系重合体が電解液に対して適度に膨潤するため、多孔膜のイオン拡散性の低下および二次電池の低温出力特性の低下を抑制することができる。
また、粒子状重合体などの結着材(重合体)のガラス転移温度は、好ましくは−100℃以上、より好ましくは−50℃以上であり、好ましくは25℃以下、より好ましくは10℃以下、更に好ましくは0℃以下である。結着材のガラス転移温度が前記範囲内であることで、複合粒子の形成が容易となる。また、複合粒子を用いて基材上に多孔膜を形成する際に、当該複合粒子を基材(セパレータ基材としての不織布など)に容易に接着させることができる。そして、二次電池の高温サイクル特性を更に向上させることができる。
更に、粒子状重合体の体積平均粒子径D50は、好ましくは0.1μm以上1.0μm以下である。複合粒子の調製に用いる粒子状重合体の体積平均粒子径D50を前記範囲の下限値以上にすることにより、複合粒子中での粒子状重合体の分散性を高めることができる。また、複合粒子の調製に用いる体積平均粒子径D50を前記範囲の上限値以下にすることにより、多孔膜の接着性を高めることができる。なお、粒子状重合体の体積平均粒子径D50は、前記有機粒子の体積平均粒子径D50と同様に測定しうる。
そして、複合粒子中の粒子状重合体などの結着材の配合量は、有機粒子100質量部当たり、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることが更に好ましく、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。結着材の配合量を前記範囲の下限値以上にすることにより、複合粒子を基材(セパレータ基材としての不織布など)に容易に接着させることができる。また、電解液中での多孔膜の接着性が確保され、二次電池の電池特性を更に向上させることができるまた、結着材の配合量を前記範囲の上限値以下にすることにより、複合粒子がブロッキングすることによる流動性の低下を抑制することができる。さらに、二次電池の低温出力特性および高温サイクル特性を更に向上させることができる。
そして、結着材の配合量を前記範囲内とすることにより、複合粒子の形成が容易となる。
結着材としての粒子状重合体の製造方法としては、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられる。中でも、水中で重合をすることができ、粒子状重合体を含む水分散液をそのまま複合粒子の材料として好適に使用できるので、乳化重合法および懸濁重合法が好ましい。また、粒子状重合体としての重合体を製造する際、その反応系は分散剤を含むことが好ましい。粒子状重合体は、通常、実質的にそれを構成する重合体により形成されるが、重合に際して用いた添加剤等の任意の成分を同伴していてもよい。
<その他の成分>
複合粒子は、上述した成分以外にも、任意のその他の成分を含んでいてもよい。
これらのその他の成分としては、例えば、非導電性粒子、粘度調整剤、濡れ剤、電解液添加剤などが挙げられる。また、これらのその他の成分は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい
複合粒子に配合される非導電性粒子としては、特に限定されることなく、非水系二次電池に用いられる既知の非導電性粒子を挙げることができる。
具体的には、非導電性粒子としては、無機微粒子と、上述した有機粒子以外の有機微粒子との双方を用いることができるが、通常は無機微粒子が用いられる。なかでも、非導電性粒子の材料としては、非水系二次電池の使用環境下で安定に存在し、電気化学的に安定である材料が好ましい。このような観点から非導電性粒子の材料の好ましい例を挙げると、酸化アルミニウム(アルミナ)、水和アルミニウム酸化物(ベーマイト)、酸化ケイ素、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化カルシウム、酸化チタン(チタニア)、BaTiO、ZrO、アルミナ−シリカ複合酸化物等の酸化物粒子;窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物粒子;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶粒子;硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等の難溶性イオン結晶粒子;タルク、モンモリロナイト等の粘土微粒子;などが挙げられる。また、これらの粒子は必要に応じて元素置換、表面処理、固溶体化等が施されていてもよい。
なお、上述した非導電性粒子は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<複合粒子化>
本発明においては、上述した有機粒子および結着材の個々の特性に加え、有機粒子および結着材を複合粒子化して用いることにより、二次電池の電池特性を優れたものとすることができる。
なお、有機粒子および結着材を含む複合粒子を使用することで、上述したような優れた効果が得られる理由は、明らかではないが、以下の通りであると推察される。
まず、上述した有機粒子および結着材を併せて一旦複合粒子としてから、当該複合粒子を用いて基材上に多孔膜を形成することで、水などの分散媒を多量に含む多孔膜用スラリー組成物を基材上に塗布し、塗布した多孔膜用スラリー組成物を乾燥させて多孔膜を形成する場合に比して、多孔膜中に残存する水分量(分散媒量)を低下することができる。その結果、多孔膜中の持ち込み水分量(分散媒量)が低下するため、当該持ち込み水分などが原因で生じるガス発生が抑制され、二次電池のセルの耐膨らみ性が向上するものと推察される。
加えて、複合粒子を用いて基材上に形成された多孔膜は、多孔膜用スラリー組成物を用いて基材上に形成された多孔膜に比して多孔性に優れており、イオン拡散性に優れる。従って、二次電池の低温出力特性などの電池特性を向上させることができるものと推察される。
更に、有機粒子と結着材とを複合粒子化して得られた複合粒子の粒子径は、通常、有機粒子および結着材の粒子径よりも大きくなる。そのため、当該複合粒子を使用すれば、複合化していない有機粒子および結着材では通過してしまうような孔径の大きい多孔質セパレータ基材の上に多孔膜を形成してセパレータを得ることができる。従って、イオン拡散性に優れるセパレータを得ることもできる。
なお、複合粒子化の方法(複合粒子の製造方法)は特に限定されないが、有機粒子、結着材、および分散媒を含む複合粒子用スラリー組成物を乾燥造粒する手法が好ましい。
[複合粒子用スラリー組成物]
複合粒子用スラリー組成物は、上述した本発明の複合粒子と同様に、少なくとも有機粒子と結着材とを含有する。なお、複合粒子用スラリー組成物の各成分の好適な存在比は、複合粒子中の各成分の好適な存在比と同じである。
そして、複合粒子用スラリー組成物中の分散媒としては、特に限定されないが、水が好ましい。また、この複合粒子用スラリー組成物の固形分濃度は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。複合粒子用スラリー組成物の固形分濃度を前記範囲に納めることにより、複合粒子用スラリー組成物中で各成分を均一に分散させることができ、また、乾燥造粒時の乾燥効率が良好となる。
また、複合粒子用スラリー組成物は、例えば、有機粒子の水分散液と、結着材の水分散液とを常法により混合することで調製することができる。
[乾燥造粒]
上記の複合粒子用スラリー組成物を乾燥造粒することにより、上述した本発明の複合粒子を得ることができる。乾燥造粒の方法としては特に限定されないが、噴霧造粒法、流動層造粒法、転動層造粒法、圧縮型造粒法、攪拌型造粒法、押出造粒法、破砕型造粒法、流動層多機能型造粒法、溶融造粒法などが挙げられ、これらの中でも、良好な乾燥効率の観点から噴霧造粒法が好ましい。
具体的には、噴霧造粒法を用いた複合粒子の形成では、上記の複合粒子用スラリー組成物を、噴霧乾燥機を用いて噴霧することにより、噴霧された複合粒子用スラリー組成物の液滴を乾燥塔内部で乾燥する。これにより、液滴に含まれる有機粒子及び結着材を含む複合粒子を得ることができる。噴霧されるスラリー組成物の温度は、通常は室温であるが、加温して室温より高い温度としてもよい。また、噴霧乾燥時の熱風温度は、通常80〜250℃、好ましくは100〜200℃である。
さらに、噴霧造粒法では、得られた複合粒子を転動造粒してもよいし、得られた複合粒子に加熱処理を施してもよい。転動造粒法としては、例えば特開2008−251965号公報に記載の回転ざら方式、回転円筒方式、回転頭切り円錐方式などの方式があり、複合粒子を転動させるときの温度は、水などの分散媒を十分に除去する観点から、通常80℃以上、好ましくは100℃以上であり、通常300℃以下、好ましくは200℃以下である。また、加熱処理は、複合粒子の表面を硬化させるために行うものであり、加熱処理温度は、通常80℃〜300℃である。
<複合粒子の性状>
上述のようにして調製した複合粒子の体積平均粒子径D50は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.6μm以上、更に好ましくは1μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、更に好ましくは10μm以下である。複合粒子の体積平均粒子径D50を前記範囲の下限値以上にすることにより、多孔膜のイオン拡散性を高め、低温出力特性および高温サイクル特性を高めることができる。また、孔径の大きい多孔質セパレータ基材の上に多孔膜を形成し、イオン拡散性に優れるセパレータを得ることもできる。更に、複合粒子の体積平均粒子径D50を前記範囲の上限値以下にすることにより、多孔膜の電解液中での接着力を高め、高温サイクル特性などの電池特性を高めることができる。なお、複合粒子の体積平均粒子径D50は、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用いて乾式測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径として求めうる。
(非水系二次電池用多孔膜および多孔膜を有する電池部材)
上述した非水系二次電池多孔膜用複合粒子を、例えば適切な基材の表面に加圧成形法により成形することで、基材上に非水系二次電池用多孔膜を形成することができる。この多孔膜は、電解液中での基材との接着性に優れ、そして、二次電池に優れた電池特性を発揮させることができる。なお、多孔膜を基材の片面に設けてもよいし、基材の両面に設けてもよい。
<基材>
多孔膜を形成する基材としては、特に限定されず、例えばセパレータの一部を構成する部材として多孔膜を使用する場合には、基材としてはセパレータ基材を用いることができ、また、電極の一部を構成する部材として多孔膜を使用する場合には、基材としては集電体上に電極合材層を形成してなる電極基材を用いることができる。そして、これらの場合には、セパレータ基材または電極基材の表面に複合粒子を供給し、その複合粒子を加圧成形することにより、多孔膜を備える電池部材(セパレータまたは電極)を容易に製造することができる。
なお、多孔膜は、基材から剥離し、自立膜の状態でそのままセパレータとして使用することもできる。そして、この場合には、基材としては、離型基材を用いることができる。基材として離型基材を使用する場合には、離型基材の表面に複合粒子を供給し、その複合粒子を加圧成形して多孔膜を形成し、多孔膜から離型基材を剥がすことにより、セパレータとして使用し得る多孔膜が自立膜として得られる。
[セパレータ基材]
ここで、多孔膜を形成するセパレータ基材としては、特に限定されないが、有機セパレータ基材などの既知のセパレータ基材が挙げられる。ここで有機セパレータ基材は、有機材料からなる多孔性部材であり、微孔膜または不織布など挙げられる。そして、多孔膜のイオン拡散性を確保し、二次電池の低温出力特性などの電池特性を向上させる観点からは、細孔径が、複合粒子を構成する有機粒子および結着材の体積平均粒子径D50よりも大きく、且つ、複合粒子の体積平均粒子径D50よりも小さいセパレータ基材を用いることが好ましく、不織布を用いることが特に好ましい。
一般に細孔径が大きいセパレータ基材ほどイオン拡散性に優れるが、従来、細孔径が大きいセパレータ基材上に多孔膜用スラリー組成物を塗布して多孔膜を形成すると、多孔膜用スラリー組成物中の成分が、セパレータ基材の細孔を通って脱落してしまう場合があった。しかし、有機粒子と結着材が複合されてなるため粒径が比較的大きい複合粒子を用いてセパレータ基材上に多孔膜を形成することで、有機粒子や結着材が細孔径の大きいセパレータ基材の細孔を通って脱落することが防止可能となる。
なお、特に、セパレータ基材としての不織布は、イオン透過性には優れているものの、通常はセルロース繊維などを用いて形成されており、且つ、上述のように細孔径が大きいため、二次電池内部の温度の上昇時に溶融して細孔を防ぐことができず、二次電池の熱暴走を防止する、所謂シャットダウン特性を十分に備えていない場合がある。ここで本発明の複合粒子から形成される多孔膜は、複合粒子中の特に有機粒子の寄与により、優れたシャットダウン特性を発揮することができる。従って、シャットダウン特性を付与可能という観点からも、本発明の複合粒子は、不織布上に形成する多孔膜の材料として好適に使用することができる。
なお、微孔膜または不織布などの材質は特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂などが挙げられ、不織布の材質としてはセルロースも挙げられる。
これらの中でも、特に不織布の材質としては、耐電圧性に優れることからセルロースが好ましい。
なお、有機セパレータ基材の厚さは、任意の厚さとすることができるが、例えば有機セパレータとして不織布を用いた場合、通常1μm以上、好ましくは10μm以上であり、通常70μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは50μm以下である。
[電極基材]
多孔膜を形成する電極基材(正極基材および負極基材)としては、特に限定されないが、集電体上に電極合材層が形成された電極基材が挙げられる。
ここで、集電体、電極合材層中の成分(例えば、電極活物質(正極活物質、負極活物質)および電極合材層用結着材(正極合材層用結着材、負極合材層用結着材)など)、並びに、集電体上への電極合材層の形成方法は、既知のものを用いることができ、例えば特開2013−145763号公報に記載のものを用いることができる。
[離型基材]
多孔膜を形成する離型基材としては、特に限定されず、既知の離型基材を用いることができる。
<非水系二次電池用多孔膜の形成方法>
上述した基材上に多孔膜を形成する方法としては、加圧成形法が挙げられる。加圧成形法は、本発明の複合粒子に圧力を加えることで、複合粒子の再配列、変形により緻密化を行い、本発明の多孔膜を成形する方法である。加圧成形法は、簡略な設備で行うことができる。
加圧成形法としては、例えば、本発明の複合粒子をスクリューフィーダー等の供給装置で加圧成形装置に供給し、基材上に多孔膜を成形する方法や、本発明の複合粒子を基材上に散布し、次いで加圧装置で成形する方法、本発明の複合粒子を金型に充填し、金型を加圧して成形する方法などが挙げられる。かかる加圧は、例えば、金型プレス、ロール加圧等により行うことができ、ロール加圧により行うことが、製造効率上特に好ましい。
多孔膜の製造においては、生産性に優れることから、本発明の複合粒子をスクリューフィーダー等の供給装置でロール式加圧成形装置に供給し、基材上に多孔膜を成形する方法が好ましい。この方法において、上述した基材を複合粒子の供給と同時にロールに送り込むことによって、基材上に直接多孔膜を積層し、多孔膜を備える基材を得ることができる。成形時におけるロールの温度は、好ましくは25℃以上、より好ましくは50℃以上、特に好ましくは70℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下、特に好ましくは120℃以下である。また、成形時におけるロールのプレス線圧は、好ましくは0.1kN/cm以上、より好ましくは2kN/cm、特に好ましくは3kN/cm以上であり、好ましくは10kN/cm以下、より好ましくは9kN/cm以下、特に好ましくは6kN/cm以下である。成形時におけるロールの温度やプレス線圧が上記範囲内であると、基材上に多孔膜を均一に形成することができ、そして強度に優れる多孔膜とすることができる。
多孔膜の厚みは、特に限定されないが、通常1μm以上、好ましくは3μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下である。多孔膜の厚みが前記範囲の下限以上であることで、多孔膜の強度を確保するとともに、極板間距離を確保して短絡を十分に防止し、前記範囲の上限以下であることで、イオン拡散性を確保し該多孔膜を用いた二次電池の低温出力特性を向上させることができる。
(非水系二次電池)
本発明の非水系二次電池は、上述した本発明の非水系二次電池用多孔膜または当該多孔膜を有する電池部材を備えるものである。より具体的には、本発明の非水系二次電池は、正極、負極、セパレータ、および電解液を備え、上述した非水系二次電池用多孔膜が、電池部材である正極、負極およびセパレータの少なくとも1つに含まれる。
本発明の非水系二次電池は、本発明の非水系二次電池用多孔膜を備えているので、高温サイクル特性や低温出力特性などの電気的特性に優れる。
<正極、負極およびセパレータ>
本発明の二次電池に用いる正極、負極およびセパレータは、少なくとも一つが多孔膜を有している。具体的には、多孔膜を有する正極および負極としては、集電体上に電極合材層を形成してなる電極基材の上に多孔膜を設けてなる電極を用いることができる。また、多孔膜を有するセパレータとしては、セパレータ基材の上に多孔膜を設けてなるセパレータや、多孔膜よりなるセパレータを用いることができる。なお、電極基材およびセパレータ基材としては、「基材」の項で挙げたものと同様のものを用いることができる。
また、多孔膜を有さない正極、負極およびセパレータとしては、特に限定されることなく、上述した電極基材よりなる電極および上述した微孔膜よりなるセパレータを用いることができる。
なお、正極、負極、およびセパレータは、本発明の効果を著しく損なわない限り、多孔膜以外の構成要素(例えば、接着層など)を備えていてもよい。
<電解液>
電解液としては、通常、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。支持電解質としては、例えば、リチウムイオン二次電池においてはリチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlCl、LiClO、CFSOLi、CSOLi、CFCOOLi、(CFCO)NLi、(CFSONLi、(CSO)NLiなどが挙げられる。なかでも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すので、LiPF、LiClO、CFSOLiが好ましい。なお、電解質は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。通常は、解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導度が高くなる傾向があるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
電解液に使用する有機溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えばリチウムイオン二次電池においては、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、メチルエチルカーボネート(MEC)等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等のエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物類;などが好適に用いられる。またこれらの溶媒の混合液を用いてもよい。中でも、誘電率が高く、安定な電位領域が広いのでカーボネート類が好ましい。通常、用いる溶媒の粘度が低いほどリチウムイオン伝導度が高くなる傾向があるので、溶媒の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
なお、電解液中の電解質の濃度は適宜調整することができる。また、電解液には、既知の添加剤を添加してもよい。
<非水系二次電池の製造方法>
非水系二次電池は、例えば、正極と負極とをセパレータを介して重ね合わせ、これを必要に応じて、巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口することで製造し得る。なお、正極、負極、セパレータのうち、少なくとも一つの部材を多孔膜付きの部材とする。ここで、電池容器には、必要に応じてエキスパンドメタルや、ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子、リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をしてもよい。電池の形状は、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、何れであってもよい。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
また、複数種類の単量体を共重合して製造される重合体において、ある単量体を重合して形成される構造単位の前記重合体における割合は、別に断らない限り、通常は、その重合体の重合に用いる全単量体に占める当該ある単量体の比率(仕込み比)と一致する。
実施例および比較例において、有機粒子のコア部およびシェル部を構成する重合体のガラス転移温度および電解液膨潤度、有機粒子のガラス転移温度、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合(被覆率)、シェル部の平均厚み(コアシェル比率)、各粒子の体積平均粒子径D50、粒子状重合体(結着材)のガラス転移温度、電解液中での多孔膜とセパレータ基材の接着性、多孔膜のシャットダウン特性、並びに、二次電池の耐膨らみ性、高温サイクル特性および低温出力特性は、下記の方法で測定および評価した。
<有機粒子のコア部およびシェル部を構成する重合体のガラス転移温度>
有機粒子のコア部およびシェル部の調製に使用した単量体組成物を使用し、コア部およびシェル部の重合条件と同様の重合条件で重合体(コア部の重合体およびシェル部の重合体)の水分散液をそれぞれ作製した。
次に、JIS K7121に準拠して、示差熱分析測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、製品名「EXSTAR DSC6220」)を用い、上述の重合体の水分散液を乾燥して得られた測定試料10mgをアルミパンに計量し、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲−100℃〜500℃の間で、昇温速度10℃/分、窒素下で、ガラス転移温度を求めた。
<有機粒子のコア部およびシェル部を構成する重合体の電解液膨潤度>
有機粒子のコア部およびシェル部の調製に使用した単量体組成物を使用し、コア部およびシェル部の重合条件と同様の重合条件で測定試料となる重合体(コア部の重合体およびシェル部の重合体)の水分散液をそれぞれ作製した。
次に、得られた水分散液を、ポリテトラフルオロエチレン製のシャーレに入れ、温度25℃で48時間乾燥して、厚み0.5mmのフィルムを製造した。そして、得られたフィルムを1cm角に裁断し、試験片を得た。この試験片の重量を測定し、W0とした。また、前記試験片を電解液に温度60℃で72時間浸漬した。その後、試験片を電解液から取り出し、試験片の表面の電解液を拭き取り、浸漬後の試験片の重量W1を測定した。そして、これらの重量W0およびW1を用いて、膨潤度S(倍)を、S=W1/W0にて計算した。
なお、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)と、ジエチルカーボネート(DEC)と、ビニレンカーボネート(VC)との混合溶媒(体積混合比:EC/DEC/VC=68.5/30/1.5、SP値12.7(cal/cm1/2)に、支持電解質としてLiPFを1mol/Lの濃度で溶かしたものを用いた。
<有機粒子のガラス転移温度>
JIS K7121に準拠して、示差熱分析測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「EXSTAR DSC6220」)を用い、得られた有機粒子の水分散液を乾燥して得られた測定試料10mgをアルミパンに計量し、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲−100℃〜500℃の間で、昇温速度10℃/分、窒素下で、ガラス転移温度を測定した。観測されたガラス転移温度の内、低温側のガラス転移温度をT1、高温側のガラス転移温度をT2として、有機粒子のガラス転移温度(Tg)を、Tg=(T1+T2)/2として求めた。
<コア部の外表面の被覆率>
有機粒子を、可視光硬化性樹脂(日本電子株式会社製「D−800」)に十分に分散させた後、包埋し、有機粒子を含有するブロック片を作製した。次に、ブロック片を、ダイヤモンド刃を備えたミクロトームで厚さ100nmの薄片状に切り出して測定用試料を作製した。その後、四酸化ルテニウムを用いて測定用試料に染色処理を施した。
次に、染色した測定用試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子社製「JEM−3100F」)にセットして、加速電圧80kVにて、粒子状重合体の断面構造を写真撮影した。電子顕微鏡の倍率は、視野に有機粒子1個の断面が入るように倍率を設定した。そして、撮影された有機粒子の断面構造において、コア部の周の長さD1、および、コア部の外表面とシェル部とが当接する部分の長さD2を計測し、下記式(1)により、その有機粒子のコア部の外表面がシェル部によって覆われる割合Rcを算出した。
被覆割合Rc(%)=(D2/D1)×100 ・・・(1)
そして、被覆割合Rcを、任意に選択した20個の有機粒子について測定し、その平均値を計算して、コア部の外表面がシェル部によって覆われる平均割合(被覆率)とした。
<シェル部の平均厚み(コアシェル比率)>
有機粒子のシェル部の平均厚みを、以下の手順で測定した。
シェル部が重合体の粒子により構成されている場合、上記被覆率の測定方法と同様にして、透過型電子顕微鏡によって、有機粒子の断面構造を観察した。そして、観察された有機粒子の断面構造から、シェル部を構成する重合体の粒子の最長径を測定した。任意に選択した20個の有機粒子についてシェル部を構成する重合体の粒子の最長径を測定し、その最長径の平均値をシェル部の平均厚みとした。
また、シェル部が粒子以外の形状を有している場合、上記被覆率の測定方法と同様にして、透過型電子顕微鏡によって、有機粒子の断面構造を観察した。そして、観察された有機粒子の断面構造から、シェル部の最大厚みを測定した。任意に選択した20個の有機粒子についてシェル部の最大厚みを測定し、その最大厚みの平均値をシェル部の平均厚みとした。
そして、測定されたシェル部の平均厚みを有機粒子の体積平均粒子径で割ることにより、有機粒子の体積平均粒子径に対するシェル部の平均厚みの比率であるコアシェル比率(単位:%)を計算し、シェル部の平均厚みを評価した。
<各粒子の体積平均粒子径D50>
複合粒子の体積平均粒子径D50は、レーザー回折式粒子径分布測定装置(島津製作所社製「SALD−3100」)、及び、噴射型乾式測定ユニット(島津製作所社製「SALD−DS21」、凝集した粒子を分散させて一次粒子とするために使用)を用いて乾式測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径として求めた。
また、有機粒子、粒子状重合体、非コアシェル重合体の体積平均粒子径D50は、固形分濃度15質量%に調整した水分散溶液の、レーザー回折式粒子径分布測定装置(ベックマン・コールター社製「LS−230」)を用いて湿式測定された粒子径分布において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径として求めた。
<粒子状重合体(結着材)のガラス転移温度>
JIS K7121に準拠して、示差熱分析測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、製品名「EXSTAR DSC6220」)を用い、得られた粒子状重合体の水分散液を乾燥して得られた測定試料10mgをアルミパンに計量し、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲−100℃〜500℃の間で、昇温速度10℃/分、窒素下で、ガラス転移温度を求めた。
<電解液中での多孔膜とセパレータ基材の接着性>
片面に多孔膜を備えるセパレータを、長さ100mm、幅10mmの長方形に切り出して、試験片とした。この試験片を電解液中に温度60℃で3日間浸漬した。ここで、電解液としては、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびビニレンカーボネートの混合溶媒(エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ビニレンカーボネート(体積混合比)=68.5/30/1.5;SP値12.7(cal/cm1/2)に、支持電解質としてLiPFを溶媒に対して1mol/リットルの濃度で溶かしたものを用いた。
その後、試験片を取り出し、表面に付着した電解液を拭き取った。次いで、この試験片を、多孔膜側の面を下にして、多孔膜の表面にセロハンテープを貼り付けた。この際、セロハンテープとしては、JIS Z1522に規定されるものを用いた。また、セロハンテープは、水平な試験台に固定しておいた。そして、セパレータ基材の一端を鉛直上方に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した。この測定を3回行い、応力の平均値をピール強度として求め、下記の基準で評価した。ピール強度が大きいほど、多孔膜とセパレータ基材との電解液中での接着性が優れていることを示す。
A:ピール強度が3N/m以上
B:ピール強度が1N/m以上3N/m未満
C:ピール強度が0.5N/m以上1N/m未満
D:ピール強度が0.5N/m未満
<シャットダウン特性(HOT−ERテスト)>
製造した放電容量1000mAhの捲回型リチウムイオン二次電池(セパレータ基材として不織布を使用)を、25℃の環境下で24時間静置させた後に、25℃の環境下で、4.35V、0.1Cの定電圧・定電流充電、2.75V、0.1Cの定電流放電にて充放電の操作を行った。次に、セルを500kgfの圧力でプレスしながらセル内の温度を200℃まで高め、その後セル内の温度を25℃まで冷却しセル抵抗を抵抗測定器(三菱化学アナリテック社製、ロレスタMCP−TP06P)で測定した。セル抵抗の値が大きいほど、シャットダウン特性に優れることを示す。
A:セル抵抗が100Ω以上
B:セル抵抗が10Ω以上100Ω未満
C:セル抵抗が1Ω以上10Ω未満
D:セル抵抗が1Ω未満
<二次電池の耐膨らみ性>
製造した放電容量1000mAhの捲回型リチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置させた後に、25℃の環境下で、4.35V、0.1Cの定電圧・定電流充電、2.75V、0.1Cの定電流放電にて充放電の操作を行った。その後、捲回型リチウムイオン二次電池を流動パラフィンに浸漬し、その体積V’0を測定した。体積V’0の測定後、流動パラフィンから取り出し、更に、60℃の環境下で、充放電の操作を繰り返し、1000サイクル後の捲回型リチウムイオン二次電池を流動パラフィンに浸漬し、その体積V’1を測定した。そして、サイクル前後でのセルの体積変化率ΔV’(%)={(V’1−V’0)/V’0}×100を算出し、下記の基準で評価した。体積変化率ΔV’の値が小さいほど、セルの耐膨らみ性に優れていることを示す。
A:体積変化率ΔV’が40%未満
B:体積変化率ΔV’が40%以上55%未満
C:体積変化率ΔV’が55%以上
<二次電池の高温サイクル特性>
製造した放電容量1000mAhの捲回型リチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置させた後に、25℃の環境下で、4.35V、0.1Cの定電圧・定電流充電、2.75V、0.1Cの定電流放電にて充放電の操作を行い、初期容量C0を測定した。その後、更に、60℃の環境下で、充放電を繰り返し、1000サイクル後の容量C1を測定した。そして、サイクル前後での容量維持率ΔC(%)=(C1/C0)×100を算出し、下記の基準で評価した。容量維持率ΔCの値が大きいほど、サイクル特性に優れていることを示す。
A:容量維持率ΔCが85%以上
B:容量維持率ΔCが75%以上85%未満
C:容量維持率ΔCが65%以上75%未満
D:容量維持率ΔCが65%未満
<二次電池の低温出力特性>
製造した放電容量1000mAhの捲回型リチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置させた後に、25℃の環境下で、4.2V、0.1C、5時間の充電の操作を行い、その時の電圧V0を測定した。その後、−10℃の環境下で、1Cの放電レートにて放電の操作を行い、放電開始15秒後の電圧V1を測定した。そして、ΔV=V0−V1で示す電圧変化を求め、下記の基準で評価した。この電圧変化が小さいほど、低温出力特性に優れていることを示す。
A:電圧変化ΔVが500mV以下
B:電圧変化ΔVが500mV超700mV以下
C:電圧変化ΔVが700mV超900mV以下
D:電圧変化ΔVが900mV超
(実施例1)
<有機粒子の調製>
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、有機粒子のコア部形成用として、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてのメタクリル酸メチル75部、酸基含有単量体としてのメタクリル酸4部、架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート1部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、イオン交換水150部、および、重合開始剤としての過硫酸カリウム0.5部を添加し、十分に攪拌した後、60℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で、続いて、有機粒子のシェル部形成用として、芳香族ビニル単量体としてのスチレン19部と、酸基含有単量体としてのメタクリル酸1部とを連続添加し、70℃に加温して重合を継続した。添加した全単量体の重合転化率が96%になった時点で、冷却し反応を停止して、有機粒子を含む水分散液を得た。
そして、得られた有機粒子の被覆率、コアシェル比率、体積平均粒子径D50、およびガラス転移温度を測定した。また、有機粒子のコア部およびシェル部を構成する重合体の電解液膨潤度およびガラス転移温度も測定した。結果を後述する表に示す。
<粒子状重合体(ACL1)の調製>
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、乳化剤としてのラウリル硫酸ナトリウム(花王ケミカル社製、製品名「エマール2F」)0.15部、並びに過硫酸アンモニウム0.5部を、それぞれ供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
一方、別の容器で、イオン交換水50部、分散剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、並びに、(メタ)アクリル酸エステル単量体としてのブチルアクリレート94部、アクリロニトリル2部、メタクリル酸2部、N−メチロールアクリルアミド1部およびアリルグリシジルエーテル1部を混合して単量体混合物を得た。この単量体混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。添加中は、60℃で反応を行った。添加終了後、更に70℃で3時間撹拌して反応を終了し、粒子状重合体(ACL1)を含む水分散液を調製した。
得られた粒子状重合体(ACL1)の体積平均粒子径D50は0.5μmであった。またガラス転移温度の値は後述する表に示す。
<複合粒子の製造>
上記有機粒子を含む水分散液(固形分相当で100部)に対し、結着材としての上記粒子状重合体(ACL1)を含む水分散液(固形部相当で5部)を添加し、さらにイオン交換水により希釈して、固形分濃度30%の複合粒子用スラリー組成物を得た。
次いで、この複合粒子用スラリー組成物を、噴霧乾燥機(大川原化工機社製、OC−16)を使用し、回転円盤方式のアトマイザ(直径65mm)の回転数25,000rpm、熱風温度150℃、粒子回収出口の温度が90℃の条件で、噴霧乾燥造粒を行い、二次電池多孔膜用複合粒子(球形度93%の球状、球形度は特開2014−075597号公報に記載の方法で測定)を得た。
得られた複合粒子の体積平均粒子径D50の値を後述する表に示す。
<二次電池用多孔膜および多孔膜を備えるセパレータの製造>
上記複合粒子を、ロールプレス機(押し切り粗面熱ロール;ヒラノ技研社製)のロール(ロール温度100℃、プレス線圧3.9kN/cm)に、セパレータ基材としてのセルロース不織布(ニッポン高度紙工業社製、TF−40、厚み40μm)とともに供給し、成形速度20m/分でシート状の多孔膜を不織布の両面に成形し、これを55×5.5cmに切り出し、厚み5μmの多孔膜を両面に備えるセパレータを得た。
なお、「電解液中での多孔膜とセパレータ基材の接着性」の評価のため、同様の条件で厚み5μmの多孔膜を片面に備えるセパレータも別途製造した。
<負極の製造>
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、1,3−ブタジエン33部、イタコン酸3.5部、スチレン63.5部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、イオン交換水150部および重合開始剤としての過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、50℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却して反応を停止して、負極合材層用結着材である粒子状重合体(SBR)を含む混合物を得た。上記粒子状重合体(SBR)を含む混合物に、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH8に調整後、加熱減圧蒸留によって未反応単量体の除去を行った。その後、30℃以下まで冷却し、所望の負極合材層用粒子状重合体(SBR)を含む水分散液を得た。
次に、負極活物質としての人造黒鉛(体積平均粒子径D50:15.6μm)100部、粘度調整剤としてのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(日本製紙社製「MAC350HC」)の2%水溶液を固形分相当で1部、および、イオン交換水を混合して固形分濃度が68%となるように調整した後、25℃で60分間混合した。次いで、固形分濃度が62%となるようにイオン交換水で調整し、更に25℃で15分間混合した。その後、得られた混合液に、前述の負極合材層用粒子状重合体(SBR)を含む水分散液を固形分相当で1.5部、およびイオン交換水を入れ、最終固形分濃度が52%となるように調整し、更に10分間混合した。これを減圧下で脱泡処理し、流動性の良い負極用スラリー組成物を得た。
そして、前述のようにして得られた負極用スラリー組成物を、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmの銅箔の上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理してプレス前の負極原反を得た。このプレス前の負極原反をロールプレスで圧延して、負極合材層の厚さが80μmのプレス後の負極を得た(片面負極)。
<正極の製造>
正極活物質としてのLiCoO(体積平均粒子径D50:12μm)を100部、導電材としてのアセチレンブラック(電気化学工業社製「HS−100」)を2部、正極合材層用結着材としてのポリフッ化ビニリデン(クレハ社製、#7208)を固形分相当で2部と、N−メチルピロリドンとを混合し、全固形分濃度を70%とした。これらをプラネタリーミキサーにより混合し、正極用スラリー組成物を調製した。
前述のようにして得られた正極用スラリー組成物を、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmのアルミ箔の上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、アルミ箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して、正極原反を得た。このプレス前の正極原反をロールプレスで圧延して、正極合材層の厚さが80μmのプレス後の正極を得た(片面正極)。
<リチウムイオン二次電池の製造>
上記で得られたプレス後の正極を49cm×5cmに切り出して正極合材層側の表面が上側になるように置き、その上に55cm×5.5cmに切り出した両面に多孔膜を有するセパレータを配置した。更に、上記で得られたプレス後の負極を、50cm×5.2cmに切り出し、これを上述の両面に多孔膜を備えるセパレータ上に、負極合材層側の表面がセパレータに向かい合うよう配置した。これを捲回機により、捲回し、捲回体を得た。この捲回体を60℃、0.5MPaでプレスし、扁平体とし、電池の外装としてのアルミ包材外装で包み、電解液(溶媒:エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ビニレンカーボネート(体積混合比)=68.5/30/1.5、電解質:濃度1MのLiPF)を空気が残らないように注入し、更に、アルミ包材外装の開口を密封するために、150℃のヒートシールをしてアルミ包材外装を閉口し、非水系二次電池として放電容量1000mAhの捲回型リチウムイオン二次電池を製造した。
得られたリチウムイオン二次電池を用いて、シャットダウン特性、耐膨らみ性、低温出力特性および高温サイクル特性を評価した。結果を後述する表に示す。
(実施例2〜6)
有機粒子を含む水分散液の調製時に、有機粒子のコア部形成用として添加した単量体の種類および割合を後述する表に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、有機粒子、粒子状重合体(ACL1)、複合粒子、多孔膜およびセパレータ、負極、正極、並びに、リチウムイオン二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表に示す。
(実施例7〜10)
有機粒子を含む水分散液の調製時に、有機粒子のシェル部形成用として添加した単量体の種類および割合を後述する表に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、有機粒子、粒子状重合体(ACL1)、複合粒子、多孔膜およびセパレータ、負極、正極、並びに、リチウムイオン二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表に示す。
(実施例11、12)
有機粒子を含む水分散液の調製時に、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量をそれぞれ、実施例11では4部、実施例12では0.2部として、有機粒子および複合粒子の体積平均粒子径D50を後述する表に示すように変更し、実施例12についてはさらに多孔膜の厚みを10μm(両面合計で20μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ有機粒子、粒子状重合体(ACL1)、複合粒子、多孔膜およびセパレータ、負極、正極、並びに、リチウムイオン二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表に示す。
(実施例13、14)
複合粒子の製造時に、結着材としての粒子状重合体(ACL1)を、それぞれ以下のようにして調製された粒子状重合体(ACL2)、粒子状重合体(SBR1)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、有機粒子、複合粒子、多孔膜およびセパレータ、負極、正極、並びに、リチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表に示す。
<粒子状重合体(ACL2)>
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、乳化剤としてのラウリル硫酸ナトリウム(花王ケミカル社製、製品名「エマール2F」)0.15部、並びに過硫酸アンモニウム0.5部を、それぞれ供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
一方、別の容器で、イオン交換水50部、分散剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、並びに、(メタ)アクリル酸エステル単量体としての2−エチルヘキシルアクリレート58.2部、スチレン40部、イタコン酸0.8部、エチレングリコールジメタクリレート1部を混合して単量体混合物を得た。この単量体混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。添加中は、60℃で反応を行った。添加終了後、更に70℃で3時間撹拌して反応を終了し、粒子状重合体(ACL2)を含む水分散液を調製した。得られた粒子状重合体(ACL2)の体積平均粒子径D50は0.35μmであった。またガラス転移温度の値は後述する表に示す。
<粒子状重合体(SBR1)>
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、1,3−ブタジエン30部、イタコン酸3.5部、スチレン65.5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート1部、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、イオン交換水150部および重合開始剤としての過硫酸カリウム0.5部を入れ、十分に攪拌した後、50℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却して反応を停止して、粒子状重合体(SBR1)を含む混合物を得た。上記粒子状重合体(SBR1)を含む混合物に、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH8に調整後、加熱減圧蒸留によって未反応単量体の除去を行った。その後、30℃以下まで冷却し、粒子状重合体(SBR1)を含む水分散液を得た。得られた粒子状重合体(SBR1)の体積平均粒子径D50は0.15μmであった。またガラス転移温度の値は後述する表に示す。
(実施例15、16)
複合粒子の製造時に、粒子状重合体(ACL1)の使用量を後述する表のように変更した以外は、実施例1と同様にして、有機粒子、粒子状重合体(ACL1)、複合粒子、多孔膜および多孔膜付きセパレータ、負極、正極、並びに、リチウムイオン二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表に示す。
(比較例1)
複合粒子の製造時に、有機粒子に替えて、以下のようにして調製されたコアシェル構造を有さない重合体(非コアシェル重合体1)を使用した以外は、実施例1と同様にして、粒子状重合体(ACL1)、複合粒子、多孔膜および多孔膜付きセパレータ、負極、正極、並びに、リチウムイオン二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表に示す。
<非コアシェル重合体1>
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、乳化剤としてのラウリル硫酸ナトリウム(花王ケミカル社製、製品名「エマール2F」)0.15部、並びに過硫酸アンモニウム0.5部を、それぞれ供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
一方、別の容器で、イオン交換水50部、分散剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、並びに、酸基含有単量体としてのメタクリル酸メチル70部、アクリロニトリル25部、メタクリル酸5部を混合して単量体混合物を得た。この単量体混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。添加中は、60℃で反応を行った。添加終了後、更に70℃で3時間撹拌して反応を終了し、非コアシェル重合体1を含む水分散液を調製した。
この非コアシェル重合体1の体積平均粒子径D50、電解液膨潤度、ガラス転移温度を測定した。電解液膨潤度、ガラス転移温度については、それぞれ有機粒子のコア部およびシェル部を構成する重合体の電解液膨潤度、ガラス転移温度の測定方法に準じて測定した。結果を後述する表に示す。
(比較例2)
複合粒子の製造時に、有機粒子に替えて、ポリスチレン(シグマ−アルドリッチ社製、非コアシェル重合体2)を使用した以外は、実施例1と同様にして、粒子状重合体(ACL1)、複合粒子、多孔膜および多孔膜付きセパレータ、負極、正極、並びに、リチウムイオン二次電池を製造した。
なお、非コアシェル重合体2の体積平均粒子径D50、電解液膨潤度、ガラス転移温度は、非コアシェル重合体1と同様にして測定した。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表に示す。
(比較例3)
有機粒子を含む水分散液の調製時に、有機粒子のシェル部形成用として添加した単量体の種類および割合を後述する表に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、有機粒子、粒子状重合体(ACL1)、複合粒子、多孔膜および多孔膜付きセパレータ、負極、正極、並びに、リチウムイオン二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表に示す。
(比較例4)
比較例1において、有機粒子と非コアシェル重合体1を含む複合粒子用スラリー組成物を、複合粒子の調製に使用することなく、多孔膜用スラリー組成物としてセパレータ基材としてのセルロース不織布(ニッポン高度紙工業社製、TF−40、厚み40μm)の片面に塗布し、60℃で10分間乾燥させ、不織布上に厚み(5μm)の多孔膜を片面に形成した。
さらにその後、不織布の、多孔膜が形成されていない面にも上記複合粒子用スラリー組成物を塗布し、60℃で10分間乾燥させた。得られた積層体を55×5.5cmに切り出し、厚み(5μm)の多孔膜を両面に備えるセパレータを得た。
このようにして得られたセパレータを用いた以外は、実施例1と同様にして、負極、正極、および、リチウムイオン二次電池を製造した。
そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を後述する表に示す。
なお、以下に示す表中、
「MMA」は、メタクリル酸メチルを示し、
「AN」は、アクリルニトリルを示し、
「2−HEA」は、2−ヒドロキシエチルアクリレートを示し、
「MAA」は、メタクリル酸を示し、
「EDMA」は、エチレングリコールジメタクリレートを示し、
「ST」は、スチレンを示し、
「NaSS」は、スチレンスルホン酸ナトリウムを示し、
「PST」は、ポリスチレンを示し、
「D50」は、体積平均粒子径D50を示す。
Figure 2016024866
Figure 2016024866
上述の表の実施例1〜16および比較例1〜4より、所定の電解液膨潤度を有する重合体によりそれぞれ形成されたコア部とシェル部とからなる、所定のコアシェル構造を有する有機粒子と結着材とを含む複合粒子を使用した実施例1〜16では、電解液中での多孔膜とセパレータ基材の接着性を確保しつつ、優れたシャットダウン特性および電池特性を発揮できていることが分かる。
また、上述の表の実施例1〜6より、有機粒子のコア部の単量体組成を変更することでコア部の電解液膨潤度およびTgを調整でき、そして、電解液中での多孔膜とセパレータ基材の接着性、並びに耐膨らみ性、高温サイクル特性および低温出力特性を更に向上させ得ることがわかる。
そして、上述の表の実施例1、7〜10より、有機粒子のシェル部の単量体組成を変更することでシェル部の電解液膨潤度およびTgを調整でき、そして、電解液中での多孔膜とセパレータ基材の接着性、並びに耐膨らみ性および低温出力特性を更に向上させ得ることがわかる。
加えて、上述の表の実施例1、11、12より、有機粒子の粒径(体積平均粒子径D50)を変更することで複合粒子の粒径(体積平均粒子径D50)を調整でき、そして、複合粒子の粒径を変更することで、電解液中での多孔膜とセパレータ基材の接着性、並びに耐膨らみ性、高温サイクル特性および低温出力特性を更に向上させ得ることがわかる。
さらに、上述の上実施例1、13〜16より、複合粒子の製造に用いる結着材としての粒子状重合体の種類、量を変更することで、電解液中での多孔膜とセパレータ基材の接着性、並びに耐膨らみ性、高温サイクル特性および低温出力特性を更に向上させ得ることがわかる。
本発明によれば、電解液中での基材との接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電池特性を発揮させる非水系二次電池用多孔膜を形成可能な多孔膜用材料を提供することができる。
また、本発明によれは、電解液中での基材との接着性に優れ、且つ非水系二次電池に優れた電池特性を発揮させることが可能な非水系二次電池用多孔膜および当該多孔膜を備える電池部材を提供することができる。
さらに、本発明によれば、電池特性に優れる非水系二次電池を提供することができる。
100 有機粒子
110 コア部
110S コア部の外表面
120 シェル部

Claims (8)

  1. 有機粒子及び結着材を含み、
    前記有機粒子が、コア部と、前記コア部の外表面を部分的に覆うシェル部とを備えるコアシェル構造を有しており、
    前記コア部は、電解液膨潤度が5倍以上30倍以下の重合体からなり、
    前記シェル部は、電解液膨潤度が1倍超4倍以下の重合体からなる、
    非水系二次電池多孔膜用複合粒子。
  2. 体積平均粒子径D50が0.1μm以上20μm以下である、請求項1に記載の非水系二次電池多孔膜用複合粒子。
  3. 前記有機粒子のガラス転移温度が20℃以上180℃以下である、請求項1または2に記載の非水系二次電池多孔膜用複合粒子。
  4. 前記有機粒子100質量部当たり、前記結着材を0.1質量部以上15質量部以下含む、請求項1〜3の何れかに記載の非水系二次電池多孔膜用複合粒子。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の非水系二次電池多孔膜用複合粒子を用いて形成される、非水系二次電池用多孔膜。
  6. 請求項5に記載の非水系二次電池用多孔膜をセパレータ基材または電極基材上に設けてなる、非水系二次電池用電池部材。
  7. 前記セパレータ基材が不織布である、請求項6に記載の非水系二次電池用電池部材。
  8. 請求項5に記載の非水系二次電池用多孔膜、或いは、請求項6または7に記載の非水系二次電池用電池部材を備える、非水系二次電池。
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