JP2016006245A - 繊維収束剤、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物 - Google Patents

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暢康 奥村
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Abstract

【課題】ウェルド部の物性が向上し、繊維状強化材の収束性や繊維状強化材と熱可塑性マトリックス樹脂との接着性に優れ、更に、繊維強化樹脂組成物をリサイクルした場合でも、繊維強化樹脂の物性低下が起こりにくい繊維強化樹脂成形体を得るために必要な繊維収束剤及び繊維状強化材、それを用いた繊維強化樹脂組成物を提供すること。【解決手段】プロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)とを質量比(A/B)が60/40〜95/5の範囲で含有すると共に、オレフィン成分の総量(A+B)の100質量部に対し不飽和カルボン酸単位を1質量部以上含有するポリオレフィン樹脂と、水性媒体とを含有し、かつ不揮発性水性化助剤を実質的に含有しない繊維収束剤であって、繊維収束剤の乾燥残渣における不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppm以下である繊維収束剤。【選択図】なし

Description

本発明は、繊維強化プラスチックに使用される繊維状強化材の繊維収束剤に関する。
繊維強化プラスチックは、自動車、航空・宇宙、スポーツレジャー、一般産業用など、様々な分野で幅広く利用されている。
一般的に繊維強化プラスチックに使用されている繊維状強化材は、多数本の細いフィラメントで構成されており、伸度が小さく摩擦などによって毛羽が発生しやすいため、繊維の収束性を向上させることによる毛羽立ちの抑制や、プラスチックとの相溶性の向上などの目的で、繊維収束剤(サイジング剤とも呼ばれる)により表面処理されている。
繊維強化プラスチックに使用されるマトリックス樹脂については、安価であり、成形性、耐水性、耐薬品性、電気絶縁性などに優れた性質を有するポリプロピレンが近年注目されている。特に、軽量化が望まれている自動車分野等ではポリプロピレンの利用が広まっている。ポリプロピレンは、極性基を有していないため、繊維状強化材との親和性が低く、繊維状強化材で補強したとしても機械的特性の向上効果が乏しかった。
こうした中、例えば、特許文献1〜3に示すような酸変性ポリオレフィン系樹脂が分散された繊維収束剤で処理された繊維状強化材が提案され、繊維状強化材の収束性の向上、繊維状強化材とポリプロピレン樹脂との接着性の向上が検討されてきた。
国際公開2006/101269号パンフレット 特開2012−255232号公報 特開2013−252642号公報
一般に、樹脂を射出成形する場合、金型内で溶融樹脂の流れが合流して融着した部分にウェルドと呼ばれる細い線状の部位が発生する。ウェルド部においては、溶融した樹脂組成物同士が金型内で衝突しあうため、成形体とした場合に、強度が他の部分に比べて劣るという問題がある。近年、成形体の複雑化に伴って、一つの成形体により多くのウェルド部を生ずることが不可避となっている。
本発明は、上記課題を解決するものであり、得られた成形体におけるウェルド部の物性が向上し、繊維状強化材の収束性や繊維状強化材と熱可塑性マトリックス樹脂との接着性に優れ、さらに、本発明によって得られた繊維強化樹脂組成物をリサイクルした場合でも、物性低下が起こりにくいものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定組成のポリオレフィン樹脂を含有し、不飽和カルボン酸モノマーが特定量以下である繊維収束剤を適用することにより上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)プロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)とを質量比(A/B)が60/40〜95/5の範囲で含有すると共に、オレフィン成分の総量(A+B)の100質量部に対し不飽和カルボン酸単位を1質量部以上含有するポリオレフィン樹脂と、水性媒体とを含有し、かつ不揮発性水性化助剤を実質的に含有しない繊維収束剤であって、繊維収束剤の乾燥残渣における不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppm以下であることを特徴とする繊維収束剤。
(2)プロピレン成分以外のオレフィン成分(B)がブテン成分であることを特徴とする(1)に記載の繊維収束剤。
(3)(1)または(2)に記載の繊維収束剤により表面処理された繊維状強化材。
(4)(3)に記載の繊維状強化材と、熱可塑性マトリックス樹脂を含むことを特徴とする繊維強化樹脂組成物。
(5)熱可塑性マトリックス樹脂がポリプロピレンであることを特徴とする(4)に記載の繊維強化樹脂組成物。
本発明の繊維収束剤によれば、特にウェルド部の物性に優れた繊維強化樹脂組成物を得ることができる。また、本発明の繊維収束剤は、繊維状強化材の収束性や繊維状強化材と熱可塑性マトリックス樹脂との接着性にも優れているため、これを用いた繊維状強化材によって補強効果の高い繊維強化樹脂組成物を得ることができる。当該繊維強化樹脂組成物は、リサイクルした場合でも繊維強化樹脂の曲げ強度が低下しにくく、さらに、耐光性に優れているため長期使用した場合でも退色を抑制でき色調の変化が少ない。また、成形回数を重ねたとしても金型等の金属を腐食しにくいものである。
ウェルド部の表面外観評価用成形体の概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の繊維収束剤は、特定組成のポリオレフィン樹脂と水性媒体とを含有する。
本発明の繊維収束剤を構成するポリオレフィン樹脂は、繊維状強化材および熱可塑性マトリックス樹脂との接着性を向上させる観点から、プロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)との質量比(A/B)は、60/40〜95/5の範囲にある必要があり、60/40〜90/10の範囲にあることが好ましく、60/40〜80/20であることがより好ましい。プロピレン成分(A)の割合が60質量%未満であると、ポリプロピレンとの接着性が低下し、95質量%を超えると、樹脂の剛性が大きくなりすぎるため、衝撃や応力により接着性が悪化しやすく結果として十分な接着性が得られない。
プロピレン成分以外のオレフィン成分(B)としては、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ノルボルネン類等のアルケン類やブタジエンやイソプレン等のジエン類が挙げられる。中でも、樹脂の製造のし易さ、水性化のし易さ、各種材料に対する接着性、特に熱可塑性マトリックス樹脂に対する接着性等の点から、ブテン成分(1−ブテン、イソブテンなど)が好適である。
上記のポリオレフィン樹脂において、各成分の共重合形態は限定されず、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等があげられるが、重合のし易さの点から、ランダム共重合されていることが好ましい。また、必要に応じて複数種のポリオレフィン樹脂を
混合使用してもよい。
本発明におけるポリオレフィン樹脂には、必要に応じて上記以外の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類並びにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄、などが挙げられ、これらの混合物を用いてもよい。
他の成分の含有量(質量比)としては、一般にポリオレフィン樹脂全体の10質量%以下が好ましい。
本発明では、ポリオレフィン樹脂として市販のものを用いてもよい。一例として、三井化学社製のタフマーシリーズ、REXtac社製のAPAOシリーズ(非晶性ポリアルファオレフィン)、クラリアント社製のリコセンPPシリーズ、エボニック・デグサ社製のベストプラストなどが挙げられる。なお、市販のもので酸変性されていないポリオレフィン樹脂を用いる際には、別途公知の方法で不飽和カルボン酸単位を導入すればよい。
本発明におけるポリオレフィン樹脂は、分散性の観点から、ポリオレフィン樹脂に含まれるオレフィン成分の総量(A+B)の100質量部に対し、不飽和カルボン酸単位を1質量部以上含有している必要がある。不飽和カルボン酸単位の好ましい範囲は1〜10質量部であり、より好ましくは1〜8質量部であり、さらに好ましくは1.5〜6質量部であり、最も好ましくは2〜5質量部である。不飽和カルボン酸単位が1質量部未満の場合は、繊維状強化材との十分な接着性を得ることが困難であるだけでなく、後述するような方法で不揮発性水性化助剤を実質的に含まずにポリオレフィン樹脂を水性化することが困難となる。10質量部を超える場合は、樹脂の水性化が容易になり、繊維状強化材との接着性は向上するものの、ポリプロピレンとの接着性が低下しやすく、繊維強化樹脂組成物自体の特性も不十分となる傾向がある。
不飽和カルボン酸単位としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アリルコハク酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等のように、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物も用いることができる。中でも未変性ポリオレフィン樹脂への導入のし易さの点から、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。この点、本発明では、上述のようにプロピレン以外のオレフィン成分(B)としてブテン成分が好適であることから、ポリオレフィン樹脂として、プロピレン/ブテン/無水マレイン酸三元共重合体が好ましい。
不飽和カルボン酸単位は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されるものではない。例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。なお、ポリオレフィン樹脂に導入された酸無水物単位は、乾燥状態では酸無水物構造を取りやすく、後述する塩基性化合物を含有する水性媒体中ではその一部又は全部が開環し、カルボン酸又はその塩となる傾向がある。
不飽和カルボン酸単位を未変性ポリオレフィン樹脂へ導入する方法は特に限定されないが、例えば、ラジカル発生剤存在下、未変性ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸とを未変性ポリオレフィン樹脂の融点以上に加熱溶融して反応させる方法や、未変性ポリオレフィン樹脂を有機溶剤に溶解させた後、ラジカル発生剤の存在下で加熱、攪拌して反応させる方法等により未変性ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸単位をグラフト共重合する方法が挙げられる。操作が簡便である点から前者の方法が好ましい。グラフト共重合に使用するラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、エチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレート等の有機過酸化物類やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾニトリル類が挙げられる。これらは反応温度によって適宜選択して使用すればよい。
本発明において、繊維収束剤の乾燥残渣中に含まれる不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppm以下であることが必要であり、ウェルド部の物性、金型腐食性および耐光性の観点から5,000ppm以下であることがより好ましく、1,000ppm以下であることがさらに好ましく、500ppm以下であることが特に好ましく、100ppm以下であることが最も好ましい。
通常、上述のような方法により不飽和カルボン酸単位を未変性ポリオレフィン樹脂に導入した場合、未反応の不飽和カルボン酸モノマーが、ポリオレフィン樹脂に残存する。
繊維収束剤の乾燥残渣中における不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppm以上の場合、繊維状強化材と熱可塑性マトリックス樹脂との接着性などに悪影響を与え、リサイクルした場合に著しく強度が低下したり、ウェルド部の物性が低下したり、耐光性が劣ることで経時的に退色したり、金型を腐食するといった問題を生ずる場合がある。
ポリオレフィン樹脂中の、不飽和カルボン酸モノマーを低減する方法は特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂から減圧留去する方法、ポリオレフィン樹脂を溶媒に溶解させて再沈殿することにより分離する方法、粉末やペレット状にしたポリオレフィン樹脂を水や有機溶媒中で洗浄する方法、ソックスレー抽出法により除去する方法などが挙げられる。中でも、操作性や低減効率の観点から、ポリオレフィン樹脂から減圧留去する方法、ポリオレフィン樹脂を溶媒に溶解させて再沈殿することにより分離する方法、粉末やペレット状にしたポリオレフィン樹脂を水や有機溶媒中で洗浄する方法が好ましい。
本発明におけるポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、15,000〜200,000であることが好ましく、20,000〜150,000であることがより好ましく、30,000〜100,000であることがさらに好ましい。重量平均分子量が15,000未満になると、繊維状強化材との充分な接着性が得られない。一方、重量平均分子量が200,000を超えると、後述する樹脂の水性化が困難となる。 なお、樹脂の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン樹脂を標準として求めることができる。
本発明の繊維収束剤は、上記のポリオレフィン樹脂が水性媒体中に分散もしくは溶解されている。ここで、水性媒体とは、水を主成分とする液体であり、後述する塩基性化合物や有機溶剤を含有していてもよい。
塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、イソプロピルアミン、アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、エチルアミン、ジエチルアミン、イソブチルアミン、ジプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2,2−ジメトキシエチルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピロール、ピリジン等を挙げることができる。塩基性化合物の配合量は、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜10倍当量であることが好ましく、0.8〜5倍当量がより好ましく、0.9〜3倍当量が特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められず、10倍当量を超えると塗膜形成時の乾燥時間が長くなったり、繊維収束剤の安定性が低下する場合がある。
本発明においては、ポリオレフィン樹脂の水性化を促進し、分散粒子径を小さくするために、水性化の際に有機溶剤を配合することが好ましい。有機溶剤の含有量としては、水性媒体全体に対し50質量%以下が好ましく、1〜45質量%であることがより好ましく、2〜40質量%がさらに好ましく、3〜35質量%が特に好ましい。有機溶剤の含有量が50質量%を超える場合には、使用する有機溶剤によっては繊維収束剤の安定性が低下してしまう場合がある。
有機溶剤としては、分散安定性良好な水性分散体を得るという点から、20℃の水に対する溶解性が10g/L以上のものが好ましく、20g/L以上がより好ましく、50g/L以上のものがさらに好ましい。
有機溶剤としては、乾燥の過程で効率よく繊維収束剤から除去させる観点から、沸点が150℃以下のものが好ましい。沸点が150℃を超える有機溶剤は、繊維収束剤から乾燥により飛散させることが困難となる傾向にあり、特に繊維強化材の収束性や、繊維強化材と熱可塑性マトリックス樹脂との接着性等が悪化する場合がある。好ましい有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、1,2−ジメチルグリセリン、1,3−ジメチルグリセリン、トリメチルグリセリン等が挙げられる。本発明では、これらの有機溶剤を複数混合して使用してもよい。
上記の有機溶剤の中でも、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが樹脂の水性化促進により効果的であり好ましい。
本発明の繊維収束剤におけるポリオレフィン樹脂粒子の粒子径は、重量平均粒子径が0.15μm以下であることが好ましい。さらに、低温処理による収束性の観点から重量平均粒子径は、0.12μm以下が好ましく、0.10μm以下がより好ましく、0.001〜0.10μmがさらに好ましい。重量平均粒子径が0.15μmを超えると低温処理による収束性が悪化したり、繊維状強化材と熱可塑性マトリックス樹脂との接着性が不十分になる場合がある。
また、本発明では、ポリオレフィン樹脂の粒子径分布にかかる分散度が2.6以下であることが好ましい。特に繊維状強化材と熱可塑性マトリックス樹脂との接着性の観点から、分散度は2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましい。分散度が2.6を超えると、繊維状強化材との接着性が低下する傾向にある。なお、分散度とは、分散度=重量平均粒子径(mw)/数平均粒子径(mn)なる式に基づき算出されるものである。
繊維収束剤における樹脂含有率としては、性能等に応じて適宜選択でき、特に限定されるものではないが、繊維収束剤の粘性を適度に保ち、かつ良好な収束性を発現させるために、1〜60質量%が好ましく、3〜55質量%がより好ましく、5〜50質量%がさらに好ましく、10〜45質量%が特に好ましい。
また、本発明における繊維収束剤は、不揮発性の水性化助剤を実質的に含有しないことが好ましい。本発明は、不揮発性水性化助剤の使用を排除するものではないが、水性化助剤を用いずとも、ポリオレフィン樹脂を重量平均粒子径0.15μm以下の範囲で水性媒体中に安定的に分散することができる。
ここで、「水性化助剤」とは、繊維収束剤の製造において、水性化促進や繊維収束剤の安定化の目的で添加される薬剤や化合物のことであり、「不揮発性」とは、常圧での沸点を有さないか、もしくは常圧で高沸点(例えば300℃以上)であることを指す。「不揮発性水性化助剤を実質的に含有しない」とは、こうした助剤を製造時(樹脂の水性化時)に用いず、得られる繊維収束剤が結果的にこの助剤を含有しないことを意味する。したがって、こうした水性化助剤は、含有量がゼロであることが特に好ましいが、本発明の効果を損ねない範囲で、ポリオレフィン樹脂成分に対して0.5質量%未満程度含まれていても差し支えない。
本発明でいう不揮発性水性化助剤としては、例えば、後述する乳化剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子などが挙げられる。
乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等があげられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体等が挙げられ、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸及びその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類及びその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体及びその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマー及びその塩、ポリイタコン酸及びその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物等が挙げられる。
本発明の繊維収束剤の製造方法について説明する。
本発明における繊維収束剤を得るための方法は特に限定されないが、既述の各成分、すなわち、ポリオレフィン樹脂、水性媒体、必要に応じて塩基性化合物、有機溶剤等を密閉可能な容器中で加熱、攪拌する方法が採用でき、この方法が最も好ましい。
容器としては、固/液撹拌装置や乳化機を使用することができ、0.1MPa以上の加圧が可能なものが好ましい。
例えば、上記の装置にポリオレフィン樹脂、水性媒体等の原料を投入し、好ましくは40℃以下の温度で攪拌混合しておく。次いで、槽内の温度を80〜240℃、好ましくは100〜220℃、さらに好ましくは100〜200℃、特に好ましくは110〜190℃の温度に保ちつつ、好ましくは粗大粒子が無くなるまで(例えば、5〜300分間)攪拌を続ける。
撹拌の方法、撹拌の回転速度は特に限定されないが、樹脂が水性媒体中で浮遊状態となる程度の低速の撹拌でよい。したがって、高速撹拌(例えば1000rpm以上)は必須ではなく、簡便な装置でも本発明の繊維収束剤は製造が可能である。
繊維収束剤の製造時に上記の有機溶剤を用いた場合には、樹脂の水性化の後に、その一部を、一般に「ストリッピング」と呼ばれる脱溶剤処理によって系外へ留去させ、有機溶剤の含有量を低減させてもよい。ストリッピングにより、繊維収束剤中の有機溶剤含有量は、10質量%以下とすることができ、5質量%以下とすれば、環境上好ましい。ストリッピングの工程では、水性化に使用した有機溶剤を実質的に全て留去することもできるが、装置の減圧度を高めたり、操業時間を長くしたりする必要があるため、こうした生産性を考慮した場合、繊維収束剤中に含有する有機溶剤含有量の下限は0.01質量%程度が好ましい。しかし、0.01質量%未満であっても、特に性能面での影響はなく、使用には何ら問題はない。ストリッピングの方法としては、常圧又は減圧下で繊維収束剤を攪拌しながら加熱し、有機溶剤を留去する方法を挙げることができる。また、水性媒体が留去されることにより、固形分濃度が高くなるため、例えば、粘度が上昇し作業性が悪くなるような場合には、予め繊維収束剤に水を添加しておいてもよい。
上記の製造方法を採用することで、ポリオレフィン樹脂が繊維収束剤中に効率よく分散又は溶解され、均一な液状に調製することが可能となる。ここで、均一な液状であるとは、静置状態で外観上、繊維収束剤中に沈殿、相分離あるいは皮張りといった、固形分濃度が局部的に他の部分と相違する部分が見いだされない状態にあることをいう。
本発明における繊維収束剤には、繊維状強化材との接着性を向上させることなどを目的に、ポリオレフィン樹脂以外の他の重合体が少量含有されていてもよい。
他の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂成分が挙げられる。中でも、ポリウレタン樹脂は繊維状強化材との接着性を向上させる点から好ましい。
なお、本発明における繊維収束剤には、さらに必要に応じて、粘着付与剤、無機粒子、架橋剤、顔料、染料、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、増粘剤、耐候剤、難燃剤等の各種添加剤を配合することも可能である。
本発明における繊維収束剤を各種繊維強化材に含浸させ、乾燥することで繊維収束剤によって表面処理された繊維状強化材を得ることができる。
繊維状強化材の種類としては、特に限定されないが、例えば炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリアリレート繊維、ポリアセタール繊維、PBO繊維、LCP繊維、ポリフェニレンサルフィド繊維及びポリケトン繊維、ビニロン繊維、セルロース繊維、ガラス繊維等から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、炭素繊維やガラス繊維が特に好ましい。
繊維状強化材として炭素繊維を用いた場合、軽量で、高強度、耐薬品性に優れた繊維強化樹脂組成物を得ることができる。
一方、繊維状強化材としてガラス繊維を用いた場合、安価で、高強度、高耐熱性の繊維強化樹脂組成物を得ることができる。
繊維状強化材への繊維集束剤の付着量は、繊維状強化材が所望の機能を有するための必要量とすればよいが、繊維収束剤の付着量が少ないと繊維状強化材の収束性、繊維状強化材と熱可塑性マトリックス樹脂との接着性に関して、本発明の効果が十分に得られない場合がある。また、繊維収束剤の付着量が多すぎた場合、繊維状強化材が剛直になりすぎて取り扱い性が悪化する場合があるため好ましくない。上記理由より、本発明の繊維収束剤の付着量は、これに限定されるものではないが、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
繊維収束剤によって繊維状強化材を表面処理させる方法については、特に限定されないが、キスローラー法、ローラー浸漬法、スプレー法やその他公知の方法が挙げられ、これらの方法の中でも、ローラー浸漬法が、繊維収束剤を均一に表面処理できるので好ましい。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、熱可塑性マトリックス樹脂と前述の繊維収束剤によって表面処理された繊維状強化材を含むものである。繊維状強化材は本発明の繊維収束剤により表面処理されているので、繊維状強化材及び熱可塑性マトリックス樹脂との接着性に優れた繊維強化樹脂組成物となる。さらに、繊維収束剤に低分子量成分である不飽和カルボン酸モノマー量が少ないことから高温処理時の繊維収束剤の熱分解を抑制でき、熱分解に起因した熱可塑性マトリックス樹脂との接着阻害を抑制できる。
ここで、熱可塑性マトリックス樹脂とは、熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂をいい、1種又は2種以上含んでいてもよい。熱可塑性マトリックス樹脂としては、特に制限はなく、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、フェノキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等が挙げられる。これらの中でも本発明の繊維収束剤による接着性向上効果がより高いポリオレフィン樹脂が好ましく、中でもポリプロピレンが好ましい。ここで、ポリオレフィン樹脂とは、単純なオレフィン類をモノマーとして合成される高分子化合物であり、ホモポリマーやコポリマー(共重合体)なども含まれる。また、主鎖や末端に置換基を導入した変性体でもよい。
繊維強化樹脂組成物の製造方法としては、特に制限なく、公知の手法のいずれも好適に使用できる。例えば、繊維状強化材がチョップドファイバーの場合、生産性とコストの観点から溶融混練法を用いることが好ましい。熱可塑性マトリックス樹脂と繊維状強化材を溶融混練する際には、熱可塑性マトリックス樹脂がエンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックの様な高融点の場合、融点以上の温度200℃〜400℃で繊維状強化材と溶融混練し、繊維強化樹脂組成物を製造する。熱可塑性マトリックス樹脂がポリプロピレン樹脂である場合、溶融混練温度は200〜300℃が好ましく、230〜260℃であることがより好ましい。また、長繊維形態の繊維状強化材を用いる場合、連続ロービングを引きながら、熱可塑性マトリックス樹脂を含浸する引抜成形法が好ましい。
繊維強化樹脂組成物中の繊維状強化材の含有量についても特に限定はなく、繊維状強化材の種類、形態、熱可塑性マトリックス樹脂の種類や求められる物性などにより適宜選択すればよいが、得られる繊維強化樹脂組成物に対して、2〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
また、本発明の効果を損なわない限り、本発明の繊維強化樹脂組成物中には、用途に応じて適宜に着色材などの他の添加剤を含有してもよい。特に、本発明の繊維強化樹脂組成物は耐光性に優れており、長時間使用した時の退色を抑制できるため、より効果的に着色材を混合して使用できる。
着色材としては、一般的に使用されている着色材であれば特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系、アントラキノン系、メチン系、キサンテン系、アジン系、ニグロシン系、オキサジン系、チアジン系、チアゾール系、キノリノン系、アミノケトン系、ニトロ系、ニトロソ系、フタロシアニン系、アクリジン系、インダミン系、インドフェノール系等の有機顔料、カーボンブラック、金属酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫黄物・セレン化物系、フェロシアン化物系、金属粉末等の無機顔料等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他の添加剤を使用する場合の配合量は特に限定されないが、好ましい配合量としては、繊維強化樹脂組成物全体の0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%程度である。添加剤の配合量が少ない場合、十分な効果が得られにくく、多すぎた場合、成形体の強度が低下するなどの問題が生じる可能性がある。
上記の繊維強化樹脂組成物は、公知の成形法により成形でき、任意の形状の成形品を提供することができる。本発明の繊維強化樹脂組成物から得られる成形品は、機械特性に優れており、リサイクルして使用した場合においても、性能の劣化が起きにくい。また、未反応の不飽和カルボン酸残存モノマーの量が少ないため、ウェルド部の外観不良や物性低下、金型内の腐食等が起こりにくい。さらに、着色材によって着色した場合でも、経時による退色が起こりにくい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、各種の特性は以下の方法により測定又は評価した。
1.ポリオレフィン樹脂
(1)不飽和カルボン酸成分の含有量
プロピレン(A)とプロピレン以外のオレフィン(B)との合計に対する不飽和カルボン酸成分の含有量は、赤外吸収スペクトル分析(Perkin Elmer System−2000 フーリエ変換赤外分光光度計、分解能4cm−1)により求めた。
(2)不飽和カルボン酸成分以外の樹脂の構成
プロピレン(A)と、プロピレン以外のオレフィン(B)との質量比は、オルトジクロロベンゼン(d)中、120℃にてH−NMR、13C−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い求めた。13C−NMR分析では定量性を考慮したゲート付きデカップリング法に基づき測定した。
(3)重量平均分子量
重量平均分子量は、GPC分析(東ソー社製HLC−8020、カラムはSHODEX社製KF−804L2本、KF805L1本を連結して用いた。)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、流速1ml/min、40℃の条件で測定した。約10mgの樹脂をテトラヒドロフラン5.5mLに溶解し、PTFEメンブランフィルターでろ過したものを測定用試料とした。ポリスチレン標準試料で作成した検量線から重量平均分子量を求めた。テトラヒドロフランに溶解し難い場合はオルトジクロロベンゼンで溶解した。
2.繊維収束剤
(1)ポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径、重量平均粒子径、および分散度
日機装社製、Nanotrac Wave−UZ152粒度分布測定装置を用いて、数平均粒子径(mn)、重量平均粒子径(mw)を測定した。なお、樹脂の屈折率は1.5とした。
分散度は、下記式に基づき算出した。
分散度=重量平均粒子径(mw)/数平均粒子径(mn)
(2)不飽和カルボン酸モノマー量
繊維収束剤を乾燥することにより得た乾燥残渣を凍結粉砕して得られた微粉末を約0.05g精秤し、20mlのメタノールを抽出溶媒とし、連続転倒混和により室温で21時間抽出を行った。この抽出液をディスクフィルター(孔径0.45μm)で濾過した濾液について、高速液体クロマトグラフィー(Hewlett Packard社製 HP1100、カラムはWaters社製 Puresil 5μm C18 120Å φ4.6mm×250mm(40℃))にて定量した。
不飽和カルボン酸モノマー量が1,000ppm未満の場合、該乾燥残渣量を0.5gに変更して同様に定量した。
検量線は、濃度既知の不飽和カルボン酸モノマー標準サンプルを用いて作成した。
3.繊維状強化材
(1)繊維収束剤の付着量測定
繊維収束剤で表面処理された繊維状強化材を約20g採取し質量(W1)を測定した。その後、繊維状強化材を50リットル/分の窒素気流中、温度450℃に設定したマッフル炉(ヤマト科学社製、製品名:F0100)に15分間静置し、繊維収束剤を完全に熱分解させた。そして、常温に冷却した後、繊維束を秤量(W2)して、次式より繊維収束剤付着量を求めた。
繊維収束剤付着量(質量%)=(W1−W2)/W1×100 (i)
(2)収束性
繊維収束剤で表面処理された繊維状強化材のチョップドストランド50gと、ポリプロピレン樹脂ペレット(日本ポリプロ社製、製品名:ノバテックMA3)100gを容積1Lのタンブラーに入れ、10分間混合した後、発生した毛羽を採取して重量を測定し、下記判定基準により評価を行った。
○;0.15g未満、△;0.15以上1.5g未満、×;1.5g以上
(3)接着性
複合材料界面特性評価装置HM410(東栄産業株式会社製)を使用し、マイクロドロップレット法により接着性を評価した。繊維収束剤で表面処理された繊維状強化材をサンプルとし、複合材料界面特性評価装置にセッティングする。装置上で溶融したポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、製品名:ノバテックMA3)のドロップをサンプル上に形成させ、室温で十分に冷却し、測定用の試料を得た。再度測定試料を装置にセッティングし、ドロップを装置ブレードで挟み、サンプルを装置上で0.12mm/分の速度で走行させ、サンプルからドロップを引き抜く際の最大引き抜き荷重Fを測定した。
次式により界面剪断強度τを算出し、繊維状強化材とポリプロピレン樹脂との接着性を評価した。測定数はn=5とし、平均値を用いた。
界面剪断強度τ(単位:MPa)=F/πdl
(F:最大引き抜き荷重 d:繊維状フィラメント直径 l:ドロップの引き抜き方向の粒子径)
4.繊維強化樹脂組成物
(1)曲げ強度
繊維強化樹脂組成物のペレット(ペレットAまたはペレットB)を乾燥させた後、日本製鋼所社製J350EIII型射出成形機を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度60℃で、長さ130±1mm、幅25±0.2mmのテストピースを作製し、ASTM D−790(2004)に規定する試験方法に従い、3点曲げ試験冶具(圧子10mm、支点10mm)を用いて支持スパンを100mmに設定し、クロスヘッド速度5.3mm/分で曲げ強度を測定した。なお、本実施例においては、試験機としてインストロン万能試験機4201型(インストロン社製)を用いた。測定数はn=5とし、平均値を曲げ強度とした。
(2)繊維強化樹脂組成物のリサイクル時の曲げ強度
(1)の曲げ試験後に粉砕した粉砕物30質量%、繊維強化樹脂組成物のペレット(ペレットAまたはペレットB)70質量%の割合でドライブレンドしたペレットを用いて、(1)と同様の条件で作製したテストピースについて、ASTM D−790(2004)に規定する試験方法に従い、3点曲げ試験冶具(圧子10mm、支点10mm)を用いて支持スパンを100mmに設定し、クロスヘッド速度5.3mm/分で曲げ強度を測定した(リサイクル1回目)。なお、本実施例においては、試験機としてインストロン万能試験機4201型(インストロン社製)を用いた。測定数はn=5とし、平均値を曲げ強度とした。
また、上記のリサイクル作業(テストピースの粉砕、ペレットAまたはペレットBとの混合、テストピースの作製)をさらに2回行って得られたテストピースについても、同様に曲げ強度の測定を行った(リサイクル3回目)。
(3)ウェルド部の表面外観
繊維強化樹脂組成物のペレット(ペレットAまたはペレットB)を射出成形機(FANUC社製、商品名「α−100iA」)にて、シリンダー温度250℃、金型温度60℃、射出圧力:(100MPa)で、図1に示す「1」のゲート部から樹脂を射出し、厚み0.4mm、幅40mm、長さ70mmの図1に示す中央部分(幅30mm、長さ50mm)が開いているロの字型形状の成形体を得た。図1中の「2」の部分に現れるウェルド部の表面を目視で観察し、強化繊維の浮き状態を調べた。3,000個の成形体を連続して成形し、初期成形体と3,000個目の成形体を、それぞれ観察した。評価方法を下記に示す。
◎:成形体のウェルド部表面に無機充填材に由来する凹凸が全く見られず、光が十分に反射している。
○:成形体のウェルド部表面に無機充填材に由来する凹凸が見られないが、光の反射が十分でない。
△:成形体のウェルド部表面に無機充填材に由来する凹凸がわずかに見られる。
×:成形体のウェルド部表面に無機充填材に由来する凹凸が観察され、光の反射も悪い。
本発明においては、○および◎を実用に耐えうるものとした。
(4)曲げ弾性率
長さ150mm、幅10mm、厚さ3mmの試験片を1点ゲートで射出成形し、ASTM D790に準拠して23℃で測定した。
なお、試験片を作製するにあたり、射出成形機のシリンダー温度は250℃で、金型温度は60℃、冷却時間は1分で行った。
曲げ弾性率は、5GPa以上が好ましく、6GPa以上がより好ましい。
(5)ウェルド部の曲げ弾性率
長さ150mm、幅10mm、厚さ3mmの試験片を両端からの2点ゲートで射出成形し、中央部にできたウェルド部に対し、(2)曲げ弾性率同様に、ASTM D790に準拠して23℃で測定した。
なお、試験片を作製するにあたり、射出成形機のシリンダー温度は250℃で、金型温度は60℃、冷却時間は1分で行った。
次式により(2)曲げ弾性率と、(3)ウェルド部の曲げ弾性率の比をとり、曲げ弾性率の保持率を算出した。
曲げ弾性率の保持率(%)={(ウェルド部の曲げ弾性率)/(曲げ弾性率)}×100
曲げ弾性率の保持率は60%以上が好ましく、より好ましくは70%以上である。
(6)金型腐食性
射出成形機(FANUC社製S−2000i、および60mm×60mm×4mmtのキャビティの中央に20mm×20mm×2mmtの腐食評価用入れ子を具備した金型を使用し、シリンダー温度250℃、金型温度60℃にて、10000ショット連続成形した後、腐食評価用入れ子を金型から抜き取り、入れ子表面の錆の発生状況を目視で判定した。なお、評価は以下のように行った。○および◎を実用に耐えうるものとした。
◎:特に変化なし
○:わずかに腐食あるいはヤニ状付着物が認められる。(入れ子表面積の3%未満)
△:腐食が認められる。(入れ子表面積の3%〜10%未満)
×:腐食が顕著に認められる。(入れ子表面積の10%以上)
(7)耐光性
繊維強化樹脂組成物のペレット(ペレットB)を乾燥させた後、ペレットB100質量部に対して着色材として赤色染料(大日精化工業社製UP−D 202レッド)を0.3質量部添加して射出成形機(東芝機械社製「EC−100」)を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度60℃で、90mm×50mm×2mmtの板状成形体を作製した。前記板状成形体をキセノンウェザーメーター(アトラス社製Ci4000型)を用いて、JIS K7350−2に準拠し、ブラックパネル温度65℃、湿度50%RH、放射露光量550W/m(降雨なし)の条件下で1000時間の照射試験を行った。
ここで、JIS Z8722に基づき、分光色差計(日本電色工業社製SE6000)を用いて、照射試験前後での板状成形体の色差△Eを測定(光源:C−2)し、耐光性の判断指標とした。
色差△Eは、実用的には5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
(製造例1:ポリオレフィン樹脂P−1の製造)
プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=80/20)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下でキシレン470gに加熱溶解させた後、系内温度を140℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸40.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド28.0gをそれぞれ2時間かけて加え、その後6時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。
この析出させた樹脂を、アセトンで1回洗浄し、その後メタノールで1回洗浄することで未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で乾燥して、ポリオレフィン樹脂P−1を得た。
(製造例2:ポリオレフィン樹脂P−2の製造)
製造例1において、プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=65/35)を用いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−2を得た。
(製造例3:ポリオレフィン樹脂P−3の製造)
製造例1において、析出させた樹脂をトリエチルアミン:アセトン=1:4の混合溶液で1回洗浄し、その後トリエチルアミンを含まないアセトンで1回洗浄した以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−3を得た。
(製造例4:ポリオレフィン樹脂P−4の製造)
製造例1において、無水マレイン酸の添加量を70.0gとし、ジクミルパーオキサイドの添加量を33.0gとし、析出させた樹脂をアセトンで2回洗浄した以外は、同様の方法でポリオレフィン樹脂P−4を得た。
(製造例5:ポリオレフィン樹脂P−5の製造)
プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=80/20)56gをラボプラストミル装置(東洋精機社製ラボプラストミルR−60型)に投入し、窒素雰囲気下140℃で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って回転数80rpm攪拌下において、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸3.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド7.0gを10分間かけて加え、その後30分間反応させることにより、ポリオレフィン樹脂P−5を得た。
(製造例6:ポリオレフィン樹脂P−6の製造)
製造例5において、プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=80/20)に代えて、プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=65/35)を使用し、無水マレイン酸の量を6.0g、ジクミルパーオキサイドを6.0gとした以外は、同様の操作を行ってポリオレフィン樹脂P−6を得た。
(製造例7:ポリオレフィン樹脂P−7の製造)
製造例5において、無水マレイン酸の添加量を7.0gとし、ジクミルパーオキサイドの添加量を3.0gとしたこと以外は、同様の方法でポリオレフィン樹脂P−7を得た。
(製造例8:ポリオレフィン樹脂P−8の製造)
製造例6において、プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=80/20)に代えて、プロピレン−エチレン共重合体(質量比:プロピレン/エチレン=92/8)を用いた以外は、同様の方法でポリオレフィン樹脂P−8を得た。
(製造例9:ポリオレフィン樹脂P−9の製造)
製造例3において、無水マレイン酸の添加量を24.0gとし、ジクミルパーオキサイドの添加量を18.5gとした以外は同様の方法で、ポリオレフィン樹脂P−9を得た。
(製造例10:ポリオレフィン樹脂P−10の製造)
製造例3において、無水マレイン酸の添加量を70.0gとし、ジクミルパーオキサイドの添加量を33.0gとした以外は同様の方法で、ポリオレフィン樹脂P−10を得た。
(製造例11:ポリオレフィン樹脂P−11の製造)
製造例5において、無水マレイン酸の添加量を10.0gとし、ジクミルパーオキサイドの添加量を6.0gとした以外は同様の方法で、ポリオレフィン樹脂P−11を得た。
(製造例12:ポリオレフィン樹脂P−12の製造)
製造例5において、無水マレイン酸の添加量を7.0gとした以外は同様の方法で、ポリオレフィン樹脂P−12を得た。
(製造例13:ポリオレフィン樹脂P−13の製造)
製造例1において、無水マレイン酸の添加量を70.0gとし、ジクミルパーオキサイドの添加量を20.0gとし、アセトンの洗浄工程およびメタノールの洗浄工程を省いた以外は同様の方法で、ポリオレフィン樹脂P−13を得た。
(製造例14:ポリオレフィン樹脂P−14の製造)
製造例3において、プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=80/20)に代えて、プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=97/3)を使用した以外は同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−14を得た。
(製造例15:ポリオレフィン樹脂P−15の製造)
製造例3において、プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=80/20)に代えて、プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=50/50)を使用した以外は同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−15を得た。
(製造例16:ポリオレフィン樹脂P−16の製造)
製造例3において、無水マレイン酸の添加量を2.0gとし、ジクミルパーオキサイドの添加量を1.4gとした以外は、同様の方法でポリオレフィン樹脂P−16を得た。
(製造例17:ポリオレフィン樹脂P−17の製造)
製造例5において、無水マレイン酸の添加量を6.0gとし、ジクミルパーオキサイドを6.0gとし、反応により得られた樹脂をトリエチルアミン:アセトン=1:4の混合溶液中に投入し、撹拌して樹脂の洗浄を行い、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥してポリオレフィン樹脂P−17を得た。
製造例1〜17で得られたポリオレフィン樹脂の特性を表1に示す。
(調製例1)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂(P−1)、90.0gのn−プロピルアルコール(NPA)(和光純薬社製)、9.0gのN,N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)及び141.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を160℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、撹拌状態を維持したまま、空冷にて内温が40℃になるまで冷却した。さらに、水を添加し、ロータリーエバポレーターを用い、浴温80℃で溶媒を留去させた。その後空冷にて、室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、均一な繊維収束剤E−1を得た。
(調製例2〜16、18)
ポリオレフィン樹脂としてP−2〜P−17を用いた以外は、調製例1と同様の方法で繊維収束剤E−2〜E−16、18を得た。なお、P−16では、安定した分散体を得ることができなかった。
(調製例17)
25gのポリオレフィン樹脂P−1をトルエン100gに加え、撹拌しながら加温して均一に溶解させた。一方、別の容器にポリオキシアルキル系界面活性剤2.0gを水100gに加えて溶解させた。前記変性ポリオレフィン樹脂のトルエン溶液と界面活性剤を含有した水とを撹拌した。さらに、DMEAを加えて、pHを調整した後、ロータリーエバポレーターで、トルエンと水を留去させて、繊維収束剤E−17を得た。
調製例1〜18で得られた繊維収束剤の特性を表2に示す。
実施例1
未処理の炭素繊維(東邦テナックス社製 「ベスファイトSTS−24KN00」、直径7μm)に、繊維収束剤E−1の水希釈液を含浸させ、次いで150℃で30秒間乾燥を行って、炭素繊維の繊維束を得た。得られた繊維束をロービングカッターで6mmの長さに切断してチョップドストランドを作製した。日本製鋼所社製TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)を使用し、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、製品名:ノバテックMA3)80質量部を押出機のホッパーに供給し、前記チョップドストランド20質量部をサイドフィーダから供給し、シリンダー設定温度240℃で溶融混練してストランド状に押出し、水中で冷却後切断して繊維強化樹脂組成物のペレットを得た。これをペレットAと呼ぶ。ペレットAを乾燥させた後、日本製鋼所社製J350EIII型射出成形機を用いて、シリンダー設定温度250℃で長さ130±1mm、幅25±0.2mmのテストピースを作製し、曲げ強度試験を行った。さらに、曲げ強度試験を行った後のテストピースを粉砕し、この粉砕物を30質量部、ペレットAを70質量部の割合でドライブレンドして、再度テストピースを作製し、曲げ強度の測定を行った(リサイクル1回目)。この操作(テストピースの粉砕、ペレットAとの混合、テストピースの作製)をさらに2回行って同様に曲げ強度の測定を行った(リサイクル3回目)。
実施例2〜10、17
実施例1において、繊維収束剤E−1に変えて、繊維収束剤E−2〜E−10、E−18を用いた以外は同様の操作を行って、繊維収束剤で表面処理された繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例11〜13
実施例3において、液の希釈倍率を変えることにより、繊維収束剤の付着量を変えた以外は同様の操作を行って、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例14
実施例1において、繊維収束剤E−1とポリウレタン樹脂水性分散液(三井化学社製、タケラックW−6010、固形分質量30質量%)とを、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、ポリウレタン樹脂の含有量が10質量部になるように混合した液を繊維収束剤として用いた以外は同様の操作を行って、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例15
実施例14において、ポリウレタン樹脂の含有量が、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して50質量部になるように混合した以外は同様の操作を行って、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例16
実施例15において、繊維収束剤E−1に代えて、繊維収束剤E−2を用いた以外は同様の操作を行って、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
比較例1〜6
実施例1において、繊維収束剤E−1に代えて、繊維収束剤E−11〜15、17を用いた以外は同様の操作を行って、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例1〜17、比較例1〜6で得られた繊維状強化材、繊維強化樹脂組成物の特性を表3に示す。
表3に示すように、実施例1〜13、17において得られた繊維状強化材は優れた収束性を示し、熱可塑性マトリックス樹脂との接着性に優れるものであった。また、この繊維状強化材によって補強された繊維強化樹脂組成物は、高い曲げ強度を示し、リサイクル時の曲げ強度の低下も小さかった。さらに、得られた成形体のウェルド部の外観や物性にも優れており、射出成形の連続生産においても金型内の腐食はほとんど認められなかった。実施例14〜16で示すように、ウレタン樹脂を添加したものは繊維状強化材との接着性が良好であり、繊維強化樹脂組成物としても高い曲げ強度を示した。
一方、繊維収束剤中に含まれる不飽和カルボン酸モノマー量が本発明の規定する範囲を超えると(比較例1〜3)、繊維強化樹脂組成物をリサイクルして用いた場合に、曲げ強度が低下し、リサイクル性に劣るものであった。さらに、得られた成形体のウェルド部の外観に劣り、物性も低いうえに射出成形の連続生産では金型内の腐食が認められた。オレフィン成分に対する不飽和カルボン酸成分量が本発明の規定する範囲を超える調製例16は、安定した水性分散体を得ることができず繊維収束剤を作製することが困難であった。また、オレフィン成分の構成が本発明の規定する範囲外である比較例4、5は、収束性、接着性、曲げ強度、リサイクル性に劣ったものであった。さらに、不揮発性水性化助剤である乳化剤を含有した繊維収束剤(比較例6)は、繊維収束剤中のポリオレフィン樹脂粒子径が大きく、収束性、接着性、曲げ強度、リサイクル性に劣ったものであり、ウェルド部の物性も劣る傾向にあった。
実施例18
未処理のガラス繊維(直径9μm)に、繊維収束剤E−1の水希釈液を含浸させ、次いで150℃で30秒間乾燥を行って、ガラス繊維の繊維束を得た。得られた繊維束をロービングカッターで6mmの長さに切断してチョップドストランドを作製した。日本製鋼所社製TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)を使用し、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、製品名:ノバテックMA3)65質量部と、着色用マスターバッチ(ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、製品名:ノバテックMA3)60質量%とPIGMENT RED254(東京化成工業社製)40質量%を混合)5質量部をドライブレンドしたものを押出機のホッパーに供給し、前記チョップドストランド30質量部をサイドフィーダから供給し、シリンダー設定温度240℃で溶融混練してストランド状に押出し、水中で冷却後切断して繊維強化樹脂組成物のペレットを得た。これをペレットBと呼ぶ。ペレットBを乾燥させた後、日本製鋼所社製J350EIII型射出成形機を用いて、シリンダー設定温度250℃で長さ130±1mm、幅25±0.2mmのテストピースを作製し、曲げ強度試験を行った。さらに、曲げ強度試験を行った後のテストピースを粉砕し、この粉砕物を30質量部、ペレットBを70質量部の割合でドライブレンドして、再度テストピースを作製し、曲げ強度の測定を行った(リサイクル1回目)。この操作(テストピースの粉砕、ペレットBとの混合、テストピースの作製)をさらに2回行って同様に曲げ強度の測定を行った(リサイクル3回目)。
実施例19〜27、34
実施例18において、繊維収束剤E−1に変えて、繊維収束剤E−2〜E−10、E−18を用いた以外は同様の操作を行って、繊維収束剤で表面処理された繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例28〜30
実施例20において、液の希釈倍率を変えることにより、繊維収束剤の付着量を変えた以外は同様の操作を行って、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例31
実施例18において、繊維収束剤E−1とポリウレタン樹脂水性分散液(三井化学社製、タケラックW−6010、固形分質量30質量%)とを、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、ポリウレタン樹脂の含有量が10質量部になるように混合した液を繊維収束剤として用いた以外は同様の操作を行って、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例32
実施例31において、ポリウレタン樹脂の含有量が、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して50質量部になるように混合した以外は同様の操作を行って、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例33
実施例32において、繊維収束剤E−1に代えて、繊維収束剤E−2を用いた以外は同様の操作を行って、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
比較例7〜12
実施例18において、繊維収束剤E−1に代えて、繊維収束剤E−11〜15、17を用いた以外は同様の操作を行って、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例18〜34、比較例7〜12で得られた繊維状強化材、繊維強化樹脂組成物の特性を表4に示す。
表4に示すように、実施例18〜30、34において得られた繊維状強化材は優れた収束性を示し、熱可塑性マトリックス樹脂との接着性に優れるものであった。この繊維状強化材によって補強された繊維強化樹脂組成物は、高い曲げ強度を示し、リサイクル時の曲げ強度の低下も小さかった。得られた成形体のウェルド部の外観や物性にも優れており、射出成形の連続生産においても金型内を腐食するものではなかった。また、着色した成形体においても、経時による退色が確認されず、耐光試験前後での色調変化が少なかった。さらに、実施例31〜33で示すように、ウレタン樹脂を添加したものは繊維状強化材との接着性が良好であり、繊維強化樹脂組成物としても高い曲げ強度を示した。
一方、繊維収束剤中に含まれる不飽和カルボン酸モノマー量が本発明の規定する範囲を超えると(比較例7〜9)、繊維強化樹脂組成物をリサイクルして用いた場合に、曲げ強度が低下し、リサイクル性に劣るものであり、着色した成形体は耐光試験前後で色調の変化が確認された。さらに、得られた成形体のウェルド部の外観に劣り、物性も低いうえに射出成形の連続生産では金型内を腐食するものであった。また、オレフィン成分の構成が本発明の規定する範囲外である比較例10、11は、収束性、接着性、曲げ強度、リサイクル性に劣ったものであった。さらに、不揮発性水性化助剤である乳化剤を含有した繊維収束剤(比較例12)は、繊維収束剤中のポリオレフィン樹脂粒子径が大きく、収束性、接着性、曲げ強度、リサイクル性に劣ったものであり、ウェルド部の物性も劣る傾向にあった。
1.樹脂組成物を注入するゲート部
2.ウェルド部

Claims (5)

  1. プロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)とを質量比(A/B)が60/40〜95/5の範囲で含有すると共に、オレフィン成分の総量(A+B)の100質量部に対し不飽和カルボン酸単位を1質量部以上含有するポリオレフィン樹脂と、水性媒体とを含有し、かつ不揮発性水性化助剤を実質的に含有しない繊維収束剤であって、繊維収束剤の乾燥残渣における不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppm以下であることを特徴とする繊維収束剤。
  2. プロピレン成分以外のオレフィン成分(B)がブテン成分であることを特徴とする請求項1に記載の繊維収束剤。
  3. 請求項1または2に記載の繊維収束剤により表面処理された繊維状強化材。
  4. 請求項3に記載の繊維状強化材と、熱可塑性マトリックス樹脂を含むことを特徴とする繊維強化樹脂組成物。
  5. 熱可塑性マトリックス樹脂がポリプロピレンであることを特徴とする請求項4に記載の繊維強化樹脂組成物。







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