JP2006249340A - 変性ポリプロピレン系重合体の製造方法および該重合体 - Google Patents

変性ポリプロピレン系重合体の製造方法および該重合体 Download PDF

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Abstract

【課題】
未反応単量体含量が少なく、官能性単量体のグラフト量が多く、メルトフローレートの上昇の少ない変性プロピレン系重合体の製造方法及び該方法で製造された変性プロピレン系重合体を提供する。
【解決手段】プロピレン系重合体を、溶媒の存在下に、同一分子内に少なくとも一種の不飽和基と少なくとも一種の官能基を併せ持つ化合物と、パーオキシカーボネート構造を1つ以上有する有機過酸化物を使用して反応させることを特徴とする変性プロピレン系重合体の製造方法及び該製造方法で得られた変性プロピレン系重合体。

Description

本発明は、プロピレン系重合体に官能基がグラフトされた変性プロピレン系重合体、その製造方法に関する。
プロピレン系重合体(場合によりプロピレン系樹脂ともいう)は、成形性、耐熱性、耐薬品性、機械的物性、環境特性が良好など多くの優れた性質を有するため各種成形品として幅広く使用されている。また、汎用樹脂であるプロピレン系樹脂を、各種の特性基を有するポリマー、特にポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド等のいわゆるエンジニアリングプラスチックや炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、クレー、ガラス、木紛などの無機材料または有機材料と組み合わせて複合材料としたり、あるいは金属に積層して、より優れた特長を有する材料とする試みがなされている。
しかしながら、プロピレン系重合体は非極性ポリマーであり、各種の特性基を有するポリマーや有機物、無機物などの極性物質との親和性が低いために該物質の分散が困難であったり、また、分子構造中に官能基を有していないために塗料や各種の特性基を有するポリマーに対する反応性、親和性が得られず、塗装性、印刷性、接着性に劣る等の欠点があった。
この欠点を改善する方法として、無水マレイン酸やグリシジルメタクリレートなどをプロピレン系重合体の主鎖にグラフト結合させた変性プロピレン系重合体が開発され、極性物質の分散性や塗装性、印刷性、接着性などの改善が図られている。
その一例である無水マレイン酸変性プロピレン系重合体は、有機過酸化物や熱分解法等によって発生させたラジカルを開始剤として、無水マレイン酸のグラフト反応により製造される。この無水マレイン酸のグラフト量を上昇させると、異種ポリマーの相溶化剤としての機能及び塗装性、印刷性、接着性を大巾に向上させることができる。
グラフト反応の方法としては、従来から溶剤中で反応させる溶媒法と混練押出機を使用して、溶融状態で反応させる混練法とがある。溶媒法は、グラフト化率高めるため反応時間を長くしたり、ラジカル剤を多くして反応すると、グラフト化率を上げることができるが、ポリプロピレンは、その分子骨格中に3級炭素を有することから、酸成分のグラフト反応速度とポリプロピレン分子鎖のβ開裂反応速度の競争反応となり、一般的には、β開裂反応速度の方がグラフト反応速度よりも速いため、結果的にメルトフローレートの上昇、つまり、分子量の低下を伴うことが知られている。このようにグラフト反応中に低分子量化されたポリプロピレンは、衝撃強度、接着強度が低下したり、成形品表面剥離が生じるなどの悪影響を及ぼす。
一方、溶融法は、生産性が高いことなどから変性ポリオレフィンの製造法として主流になっている。
しかし、溶融法で製造した変性ポリオレフィンには、大量の未反応物(即ちグラフト反応しなかったビニル化合物あるいは不飽和カルボン酸等のエチレン性不飽和化合物)及びその他の副生物が存在しており、接着性、塗装性、印刷性の阻害因子となるなど、用途によっては使用に支障を来すという欠点があった。
そのため、未反応物を除去する方法として、ポリオレフィンに不飽和カルボン酸またはその酸無水物を触媒の存在下に溶融混練してグラフト重合して得られた変性ポリオレフィンを溶媒に溶解後再沈殿させ、未反応物を除去する方法(特許文献1)、溶融混練して得られた変性ポリプロピレンを60℃以上の温度で加熱乾燥する変性ポリプロピレンを製造する方法(特許文献2)等が提案されているがいずれもコスト面や操作面、もしくは品質面、特にグラフト率の向上と、メルトフローレートの上昇の抑制などの点で満足のいくものではない。
その点を改良する方法として、マレエート基を有する有機過酸化物使用してグラフト率の向上と、メルトフローレートのバランスをとることが提案されている(特許文献3)。しかし、該文献の実施例で得られている変性プロピレンはいずれもグラフト量が1%未満であり、満足のいくものではない。
以上のようなの観点から、グラフト量が高く、メルトフローレートの上昇の抑制された変性プロピレン系重合体の開発が望まれていた。
特開昭54−99193号公報 特開昭56−95914号公報 特開2003−183336号公報
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消し、グラフト量とメルトフローレートの制御に優れた変性プロピレン系重合体、その製造方法及びそれを用いた樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し、変性プロピレン系重合体の官能基のグラフト量とメルトフローレートの制御を改善するため、グラフト変性法を検討した結果、、溶媒の存在下、特定の有機過酸化物を使用すると、官能基成分のグラフト量とメルトフローレートの制御に優れた変性プロピレン系重合体が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、
(1)プロピレン系重合体を、溶媒の存在下に、不飽和基含有官能性化合物と、パーオキシカーボネート構造を1つ以上有する有機過酸化物を使用して反応させることを特徴とする変性プロピレン系重合体の製造方法、
(2)前記プロピレン系重合体がプロピレンの単独重合体である上記(1)記載の製造方法、
(3)不飽和基含有官能性化合物が無水マレイン酸である上記(1)又は(2)記載の製造方法、
(4)溶媒として、蒸発熱から得られる溶解度パラメーターが7以上の溶媒を使用する上記(1)〜(3)記載のいずれか一つに記載の製造方法、
(5)上記(1)〜(3)記載のいずれか一つの請求項記載の製造方法で製造された変性プロピレン系重合体、
に関する。
本発明の製造方法によれば、官能基のグラフト量が高く、かつメルトフローレートの上昇が少なく、更に未反応の不飽和基含有官能性化合物の含量の少ない、変性プロピレン系重合体をうることができる。従って、これを配合した場合、極性物質の分散性、塗装性、印刷性、接着性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のの製造方法は次のようにして行うことができる。
溶媒中に、原料プロピレン系重合体、不飽和基含有官能性化合物をパーオキシカーボネート構造を1つ以上有する有機過酸化物(パーオキシカーボネート化合物ともいう)を、適宜任意の順序で、もしくは一緒に仕込み、原料プロピレン系重合体を溶媒に溶解もしくは懸濁させ、通常加熱下に、不飽和基含有官能性化合物とグラフト重合させることにより、変性プロピレン系重合体を製造することができる。
溶媒の使用量は原料プロピレン系重合体を溶解若しくは懸濁できる量であれば支障はない。原料プロピレン系重合体は溶媒に溶解した状態で反応させてもよいが、通常懸濁状態で反応させるのが好ましい。通常原料プロピレン系重合体1部(質量部:以下特に断りのない限り同じ)に対して、溶媒0.5〜50部、好ましくは1〜30部程度、場合により1〜10倍程度でもよい。懸濁状態で反応させる場合は溶媒が比較的少なくて済む利点があり、好ましい。
不飽和基含有官能性化合物の使用量は目的とするグルフト化率、不飽和基含有官能性化合物の種類等により異なるが、一般的には原料プロピレン系重合体1部に対して、0.001〜2部、好ましくは0.1〜1部、更に好ましくは0.2〜0.6部程度である。
パーオキシカーボネート化合物の使用量も目的とするグルフト率、不飽和基含有官能性化合物の種類等により異なるが、一般的には原料プロピレン系重合体100部に対して、0.1〜30部程度、好ましくは3〜20部程度、更に好ましくは4〜15部程度である。
反応温度は特に限定されないが、通常60〜250℃、好ましくは70〜180℃程度、更に好ましくは80〜160℃である。
本発明で原料として使用するプロピレン系重合体としては、プロピレンの単独重合体の他、プロピレンとエチレンまたはプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム、ブロック、グラフト等の共重合体、およびこれらの混合物を含み、共重合体の中ではプロピレン−エチレンランダム共重合体が好ましい。共重合の場合、共重合体中のプロピレン単位が主成分をなしていることが好ましく、全単量体成分中50%以上占めるものが好ましい。また、本発明においては、プロピレン系エラストマ−も含む。ここで、プロピレン系エラストマ−としては、プロピレンを主成分としてエチレン、プロピレン以外のα−オレフィンの2種または3種以上の共重合体ゴム、またはα−オレフィンと他種モノマーとの共重合体ゴムを意味する。上記α−オレフィンの2種または3種以上の共重合体ゴムの具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)が挙げられる。
該プロピレン系重合体は通常粉状、もしくは粒状で使用される。通常、平均粒径は5mm〜0.01mm程度、好ましくは2mm〜0.05mm程度のものが使用される。
本発明で用いる不飽和基含有官能性化合物(場合によりグラフト官能基化合物ともいう)としては、同一分子内に少なくとも一種の不飽和基と少なくとも一種の官能基を併せ持つ化合物が挙げられ、好ましくは骨格部分の炭素数が炭素数3〜10程度、好ましくは3〜8程度、更に好ましくは3〜5程度の化合物が挙げられる。なお、骨格部分の炭素数とは、官能基がエステル化されたカルボキシル基などの時、エステル部分の炭素数は含まない不飽和基に炭素−炭素結合で連続した部分の炭素数を指すものである。不飽和基としては、エチレン基、アセチレン基などの2重結合又は3重結合が挙げられ、エチレン性2重結合が好ましい。官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基などの酸基、又はエステル基等のそれらの基から誘導される基、エポキシ基等が挙げられる。不飽和基含有官能性化合物としては、たとえば酸基を有する化合物が好ましく、例としてマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸、アクリル酸、メタクリル酸、クエン酸、リンゴ酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、スチレンスルホン酸などが挙げられる。さらに、これらの酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等の誘導体も使用できる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用して用いても良い。これらの中でも無水マレイン酸及びアクリル酸やメタクリル酸のグリシジルエステルがさらに好ましい。
本発明で用いるパーオキシカーボネート構造を1つ以上有する有機過酸化物(パーオキシカーボネート化合物ともいう)の例としては、ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ターシャリーアミルパーオキシイソプロピルカーボネート、ターシャリーヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、ターシャリーアミルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、ターシャリーヘキシルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、1,6−ビス(ターシャリーブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(ターシャリーブチルパーオキシカーボネート)、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−1−メチルヘプチルパーオキシジカーボネート、ビス(4−ターシャリーブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−ノルマルプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−セカンダリーブチルパーオキシジカーボネート、ジ−ノルマルブチルパーオキシジカーボネート、ジ−セチルパーオキシジカーボネート、ジ−ミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用して用いても良い。これらのパーオキシカーボネートのなかで、ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート等がより好ましい。
また、これら過酸化物の促進剤として用いられるものを添加しても良い。
さらに、本発明におけるパーオキシカーボネート化合物やグラフト官能基化合物の仕込み方法としては、一括または分割して仕込むことや連続滴下も任意で選択できる。また、パーオキシカーボネート化合物やグラフト官能基化合物を仕込む際には、プロピレン系重合体等に含浸させたもの、プロピレン系重合体等でマスターバッチ化したものやプロピレン系重合体と共重合可能な他の単量体、溶剤、水等と混合して仕込んでもよい。
本発明で使用する溶媒は、特に限定されないが、プロピレン系重合体とグラフト官能基化合物との相溶性を考慮に入れると、蒸発熱から得られる溶解度パラメーターが7以上のものが好ましく、常温液体の多価アルコール系溶媒、エステル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒などが上げらる。より具体的には、エチレングリコールなどの低級アルキレングリコール、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートなどの低級アルキレンカーボネート、アセチルクエン酸トリブチル、ジメチルスルフォキシド、n−アルキルアジペート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジイソブチレートプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、キシレンなどが挙げられ、アセチルクエン酸トリブチル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジイソブチレート、キシレンなどがより好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を併用しても、この他の溶媒や一般の溶媒と併用しても良い。さらに、溶媒は冷却管などで還流させても良い。さらに、水や超臨界流体を用いても良い。
本発明では、加熱方法に特に限定は無く、水蒸気、オイルなどのジャケット式、ヒーター、IHなど公知の加熱方法、方式がいずれも採用できる。
本発明の製造方法で得られた変性プロピレン系重合体は、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド等のエンジニアリングプラスチックや炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ガラス、木紛、クレーなどの無機材料または有機材料と組み合わせて複合材料とすることができ、ポリマーアロイ、フィラー充填プロピレン系樹脂、繊維強化プロピレン系樹脂、ナノコンポジット、接着性プロピレン系樹脂など公知の用途に使用可能である。
本発明では、その目的、効果を大きく阻害しない範囲でスチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等のスチレン系化合物やジビニルベンゼン等の電子供与性化合物、ビニルトリメトキシシラン、β-スチリルエチルトリメトキシシラン等の不飽和シラン化合物(カップリング剤)、光重合開始剤を配合することが可能である。
また、一般にプロピレン系重合体に添加される物質、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、中和剤などをさらに配合することも可能である。
なお、反応温度、反応時間、反応回数等の諸条件は、使用するプロピレン系重合体およびその量によって適宜、変更することができる。例えば、グラフト化率を上げたいときは、反応を繰り返すことで容易に上げることができる。
グラフト反応は回分式、半回分式、連続式でも使用できる。また、公知のの変性プロピレン系重合体の製造方法などおよび変性プロピレン系重合体などと組み合わせて用いても良い。
グラフト反応後、得られた変性プロピレン系重合体の単離は反応液を、必要に応じて不溶性溶媒等に投入して、濾過などの方法により単離することができる。また、単離された変性ポリプロピレン系重合体は、そのままでも使用してよいが、未反応単量体を除くため、未反応単量体を溶解する有機溶媒などで洗浄するのが好ましい。洗浄溶媒は未反応単量体を除去できるものであれば特に限定されないがメチルエチルケトンなどのケトン系溶媒は好ましいものの一つである。
本発明の製造方法によれば、グラフト化率が0.5%(質量%)以上と高く、かつそのメルトフローレートの値は、原料ポリプロピレン系重合体のその値の、100倍程度、好ましくは80倍程度、更に好ましくは70倍程度の範囲内であり、また、未反応単量体含量を、2%以下、好ましくは1%以下にした高品質の変性ポリプロピレン系重合体を、容易に得ることができる。
本発明で得られる好ましい変性ポリプロピレン系重合体はグラフト化率(GR)が0.5〜10%、より好ましくは1〜5%、更に好ましくは1.2〜4%で、メルトフローレート(MFR)が1〜1000、より好ましくは1〜500程度、更に好ましくは1〜300程度である。また、GRとMFRが下記式 MFR/GR ≦ 500、より好ましくはMFR/GR ≦ 300
の関係を満たすとき、より好ましい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらは単なる例示であり、これら実施例に限定されるものではない。
実施例1
冷却管を備えた1000mlのフラスコに溶媒としてキシレン500mlと、粒状ポリプロピレン(単独重合体、メルトフローレート:4、メルトフローレートの値はJIS−K7210に従って温度230℃、荷重21.18Nで測定された値である)25gを入れ、窒素気流下、130℃に加熱攪拌した。なお、加熱はオイルバスを用いた。これに無水マレイン酸7.5gとターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート2.3g(9.2ミリモル)を溶かしたキシレン50mlを2時間かけて滴下し、その後1時間反応を行なった。続いて、内容物を室温まで下げ、アセトンに投入し、ろ過後、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンを得た。
得られた無水マレイン酸グラフトポリプロピレンから未反応の無水マレイン酸を除去するために、10倍の重量のメチルエチルケトンに入れ、10分間攪拌し、その後、ろ過した。この操作を2回繰り返した後、120℃、10mmHg以下で2時間、真空乾燥を行なった。残存する未反応の無水マレイン酸をガスクロマトグラフィーを用いて内部標準法で定量したところ、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンの全量に対して、0.5%以下であった。
無水マレイン酸グラフト量の測定
グラフト処理を行なったポリプロピレン1gを約140℃に加熱したキシレン70mlに溶解した。30分間保持後、この溶液を室温に戻し、アセトン100mlを加えポリプロピレンを再沈殿させてろ過して回収し、120℃で2時間乾燥した。その後、熱プレスにより100℃、50kgf/cmで1分間保持し、厚さ100μmのフイルムを作成した。この作成したフイルムの赤外吸収スペクトルを測定し、1780cm−1付近の吸収より無水マレイン酸グラフト量を定量した。さらに同時に、フィルムの着色を目視で確認した。
メルトフローレートの測定
グラフト、未反応の無水マレイン酸の除去処理を行なったサンプルを用いてJIS−K7210に基づき、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
以上の評価結果を表1に示した。
実施例2
ターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート2.3g(9.2ミリモル)をジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート3.2g(9.2ミリモル)に、反応温度を105℃にした以外は実施例1と同様にして、グラフト重合を行い、得られた無水マレイン酸グラフトポリプロピレンについて、上記と同様に評価を行った。残存する未反応の無水マレイン酸は0.5%以下であった。その他の項目については評価結果を表1に示した。
実施例3
冷却管を備えた300mlのフラスコに溶媒としてアセチルクエン酸トリブチル100ml、粒状ポリプロピレン(実施例1と同様である)50g、無水マレイン酸19.6g、ターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート4.4g(18ミリモル)を入れ150℃に加熱し、20分間攪拌し、グラフト重合を行った。なお、加熱はオイルバスを用いた。続いて、実施例1と同様に未反応無水マレイン酸の除去を行い、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンを得た。残存する未反応の無水マレイン酸は0.5%以下であった。また、上記と同様に無水マレイン酸のグラフト量とメルトフローレートの測定を行なった。その評価結果を表1に示した。
実施例4
冷却管を備えた2000mlのフラスコを用いて粒状ポリプロピレン(実施例1と同じ)50gを約140℃に加熱したキシレン1500mlに溶解した。10分間保持後、1時間程度で常温にし、ろ過して回収した。その後、キシレンの含有量がポリプロピレンの重量に対して2:1になるように風乾し、粉末状のポリプロピレンを得た。
続いて、アセチルクエン酸トリブチルを2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジイソブチレート、ターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート4.4g(18ミリモル)をジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート6.2g(18ミリモル)に、反応温度を100℃、攪拌時間を10分に変更した以外は実施例3と同様にして評価を行なった。また、評価結果を表1に示した。
実施例5
冷却管を備えた300mlのフラスコに溶媒として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジイソブチレート、粒状ポリプロピレン(実施例1と同様である)50gを入れ、140℃に加熱した。10分間保持後、常温にした。続いて、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートと無水マレイン酸を加え、実施例4と同様にして評価を行なった。また、評価結果を表1に示した。
比較例1
ターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート2.3g(9.2ミリモル)をジクミルパーオキサイド2.5g(9.2ミリモル)にした以外は実施例1と同様にしてグラフト重合を行い、得られた変性ポリプロピレン重合体の評価を上記と同様に行った。また、評価結果を表1に示した。
比較例2
グラフト反応を以下の手順、条件の窒素気流雰囲気での溶融混練り方式に変更した以外は実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示した。
過酸化物マスターバッチの作成
シリカを用いて2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサンの10%マスターバッチを作成し、粒状ポリプロピレン(実施例1と同様である)と配合し、二軸押出し用サンプルとした。なお、各添加量は次の通りとした。
2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン添加量:0.5g/100g(ポリプロピレン)
無水マレイン酸添加量:2.0g/100g(ポリプロピレン)
二軸押出し条件
L/D:10.2 (φ25×255mm)
処理温度:180℃
回転数:120rpm
滞留時間:1分間
サンプルフィード量:約25g/分
Figure 2006249340

表中の略号は以下の通りである。
MFR:メルトフローレート
TBPOC:ターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート
EHPDC:ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート
DCP:ジクミルパーオキサイド
DMTBPH:2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン
表1から本発明が従来の溶媒法、溶融混練り法に比べて、グラフト率が高く、メルトフローレートの上昇が少ないことが分かる。さらに、効率良くグラフト反応が行なえるため、生産性の点でも有利である。

Claims (5)

  1. プロピレン系重合体を、溶媒の存在下に、不飽和基含有官能性化合物と、パーオキシカーボネート構造を1つ以上有する有機過酸化物を使用して反応させることを特徴とする変性プロピレン系重合体の製造方法。
  2. 前記プロピレン系重合体がプロピレンの単独重合体である請求項1記載の製造方法。
  3. 不飽和基含有官能性化合物が無水マレイン酸である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 溶媒として、蒸発熱から得られる溶解度パラメーターが7以上の溶媒を使用する請求項1〜3のいずれか一つに記載の製造方法
  5. 請求項1〜3のいずれか一つの請求項記載の製造方法で製造された変性プロピレン系重合体。
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