JP6626656B2 - 繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物 - Google Patents
繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6626656B2 JP6626656B2 JP2015151705A JP2015151705A JP6626656B2 JP 6626656 B2 JP6626656 B2 JP 6626656B2 JP 2015151705 A JP2015151705 A JP 2015151705A JP 2015151705 A JP2015151705 A JP 2015151705A JP 6626656 B2 JP6626656 B2 JP 6626656B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fiber
- acid
- resin
- sizing agent
- reinforcing material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Reinforced Plastic Materials (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
- Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
Description
一般的に繊維状強化材は多数本の細いフィラメントで構成されており、繊維収束剤(サイジング剤とも呼ばれる)により表面処理されている。
(1)炭素繊維に繊維収束剤が被覆された繊維状強化材であって、
前記繊維収束剤は、酸変性ポリプロピレン樹脂が不揮発性水性化助剤を実質的に含有せずに水性媒体中に分散されたものであり、
酸変性ポリプロピレン樹脂は、融点が135℃以上であって、不飽和カルボン酸を1.5〜10.0質量%含有し、ポリプロピレン成分がアイソタクチック構造であることを特徴とする繊維状強化材。
(2)酸変性ポリプロピレン樹脂の180℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)値が400g/10分以下である繊維収束剤を用いた(1)に記載の繊維状強化材。
(3)重量平均粒子径が150nm以下である繊維収束剤を用いた(1)または(2)に記載の繊維状強化材。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の繊維状強化材と、熱可塑性マトリックス樹脂を含むことを特徴とする繊維強化樹脂組成物。
(5)熱可塑性マトリックス樹脂がポリプロピレンであることを特徴とする(4)に記載の繊維強化樹脂組成物。
本発明の繊維収束剤を構成する酸変性ポリプロピレン樹脂のポリプロピレン成分は、オレフィン成分がプロピレン成分のみからなるホモポリプロピレンであることが必要である。酸変性ポリプロピレン樹脂のポリプロピレン成分が、ホモポリプロピレン以外の、ランダムポリプロピレンやブロックポリプロピレン、ターポリマーなどのポリプロピレンである場合には、繊維状強化材および熱可塑性マトリックス樹脂との接着性や、得られた繊維強化樹脂組成物の高温機械特性に劣る傾向がある。
酸変性に用いられる不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、フマル酸、クロトン酸などのほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミドなどや、それらの各種誘導体が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸が、接着性の観点から好ましく、特に(無水)マレイン酸が好ましい。なお、「(無水)〜酸」とは、「〜酸または無水〜酸」を意味する。すなわち、(無水)マレイン酸とは、マレイン酸または無水マレイン酸を意味する。
不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリプロピレン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられ、製造のし易さや接着性の観点から、グラフト共重合が好ましい。
グラフト共重合に使用するラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、エチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレート等の有機過酸化物類や、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾニトリル類が挙げられる。これらは反応温度やその他の条件によって適宜選択して使用すればよい。
塩基性化合物の含有量は、酸変性ポリプロピレン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜10倍当量であることが好ましく、0.8〜5倍当量であることがより好ましく、0.9〜3.0倍当量であることが特に好ましい。塩基性化合物の含有量が0.5倍当量未満であると、塩基性化合物の添加効果が認められず、一方、含有量が10倍当量を超えると、接着層形成時の乾燥時間が長くなったり、水性分散体の安定性が低下することがある。
本発明の繊維収束剤中の有機溶剤の含有量は、50質量%以下がであることが好ましく、1〜45質量%であることがより好ましく、2〜40質量%であることがさらに好ましく、3〜35質量%であることが特に好ましい。有機溶剤の含有量が50質量%を超えると、水性分散体としての安定性が低下する場合がある。
中でも、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散化促進により効果的であり好ましい。
本発明では、これらの有機溶媒を複数混合して使用してもよい。
酸変性ポリプロピレン樹脂と水性媒体とを含有する水性分散体を製造する方法としては、酸変性ポリプロピレン樹脂と、水性媒体(必要に応じて有機溶剤や塩基性化合物等を含有)とを、密閉可能な容器中で加熱、攪拌する方法などが知られている。
しかしながら、本発明の繊維収束剤を構成する酸変性ポリプロピレン樹脂のポリプロピレン成分は、アイソタクチック構造からなるホモポリプロピレンであり、結晶化度が高く、高融点であり、酸、アルカリ、有機溶媒などの薬品や水に対して安定であるため、水性分散化が困難な特性を有している。水性分散体を得られたとしても、当該水性分散体の重量平均粒子径を好ましい範囲にすることはさらに困難であった。
そのため、本発明の繊維収束剤の製造方法は、このような方法の中でも、後述する製造方法を採用することが好ましい。以下に、本発明における好ましい製造方法について具体的に説明する。
上記工程において、槽内の温度が80℃未満であると、酸変性ポリプロピレン樹脂の水性分散化が進行し難くなる。一方、槽内の温度が240℃を超えると、酸変性ポリプロピレン樹脂の分子量が低下することがある。
再昇温の工程において、槽内の温度が100℃未満であると、酸変性ポリプロピレン樹脂の水性分散化が進行し難くなり、一方、槽内の温度が240℃を超えると、酸変性ポリプロピレン樹脂の分子量が低下することがある。
なお、塩基性化合物、有機溶媒、水を追加配合する方法は特に限定されないが、ギヤポンプなどを用いて加圧下で配合する方法や、一旦系内温度を下げ常圧になってから配合する方法などがある。
追加配合する塩基性化合物と、有機溶媒と、水との割合は、所望する固形分濃度、粒子径、分散度等に応じて適宜決めればよい。また、塩基性化合物、有機溶媒、水の合計は、配合した後の固形分濃度が1〜50質量%となるよう調整することが好ましく、2〜45質量%となる量がより好ましく、3〜40質量%となる量が特に好ましい。
ストリッピングの工程では、水性分散化に使用した有機溶媒を実質的に全て留去することもできる。しかし、有機溶媒を実質的に全て留去するためには、装置の減圧度を高めたり、操業時間を長くする必要があり、生産性を考慮すると、有機溶媒含有量の下限は0.01質量%程度が好ましい。
ストリッピングの方法としては、常圧または減圧下で水性分散体を攪拌しながら加熱し、有機溶媒を留去する方法が挙げられる。また、水性媒体が留去されることにより、固形分濃度が高くなるので、例えば、粘度が上昇して作業性が低下するような場合には、予め水性分散体に水を添加しておいてもよい。
具体的には、オキサゾリン基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が挙げられ、必要に応じて複数のものを混合使用してもよい。中でも、取り扱い易さ及び密着性の観点から、オキサゾリン基を含有する化合物及び/又はエポキシ基を含有する化合物及び/又はシランカップリング剤を添加することが好ましい。
市販のエポキシ化合物としては、本発明に適した水系のものとして、例えば、ナガセケムテックス社製のデナコールシリーズ(EM−150、EM−101など)、ADEKA社製のアデカレジンシリーズ等が挙げられ、UVインキ密着性や耐スクラッチ性向上の点から多官能エポキシ樹脂エマルションである旭電化社製のアデカレジンEM−0517、EM−0526、EM−11−50B、EM−051Rなどが好ましい。
他の添加剤を使用する場合の配合量は特に限定されないが、好ましい配合量としては、繊維強化樹脂組成物全体の0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%程度である。添加剤の配合量が少ない場合、十分な効果が得られにくく、多すぎた場合、成形体の強度が低下するなどの問題が生じる可能性がある。
(1)酸変性ポリプロピレン樹脂の組成、立体規則性
Varian社製、GEMINI2000/300核磁気共鳴装置(磁場強度7.05T)にて、組成は1HNMR、立体規則性13C NMR測定をおこない、決定した。前者はテトラクロロエタン(d2)を、後者はオルトジクロロベンゼンを測定溶媒とし、120℃で測定した。
(2)酸変性ポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(MFR)
JIS K7210:1999記載の方法に準じ、180℃、2160g荷重で測定した。
(3)酸変性ポリプロピレン樹脂の融点
パーキンエルマー社製DSC7を用いて昇温速度10℃/minの条件でDSC法にて測定した。
(1)酸変性ポリプロピレン樹脂粒子の数平均粒子径、重量平均粒子径
日機装社製、Nanotrac Wave−UZ152粒度分布測定装置を用いて、数平均粒子径(mn)、重量平均粒子径(mw)を測定した。なお、樹脂の屈折率は1.5とした。
(1)繊維収束剤の付着量測定
繊維収束剤で表面処理された繊維状強化材を約20g採取し質量(W1)を測定した。その後、繊維状強化材を50リットル/分の窒素気流中、温度450℃に設定したマッフル炉(ヤマト科学株式会社製、製品名:F0100)に15分間静置し、繊維収束剤を完全に熱分解させた。そして、常温に冷却した後、繊維束を秤量(W2)して、次式より繊維収束剤付与量を求めた。
繊維収束剤付与量(質量%)=(W1−W2)/W1×100 (i)
(2)接着性
複合材料界面特性評価装置HM410(東栄産業株式会社製)を使用し、マイクロドロップレット法により接着性を評価した。実施例及び比較例で得られた繊維収束剤で表面処理された繊維状強化材をサンプルとし、複合材料界面特性評価装置にセッティングする。装置上で溶融したポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、製品名:ノバテックMA3)のドロップをサンプル上に形成させ、室温で十分に冷却し、測定用の試料を得た。再度測定試料を装置にセッティングし、ドロップを装置ブレードで挟み、サンプルを装置上で0.06mm/分の速度で走行させ、サンプルからドロップを引き抜く際の最大引き抜き荷重Fを測定した。
次式により界面剪断強度τを算出し、繊維状強化材とポリプロピレン樹脂との接着性を評価した。
界面剪断強度τ(単位:MPa)=F/πdl
(F:最大引き抜き荷重 d:炭素繊維フィラメント直径 l:ドロップの引き抜き方向の粒子径)
(3)収束性
実施例および比較例で得られた繊維状強化材のチョップドストランド50gと、ポリプロピレン樹脂ペレット(日本ポリプロ株式会社製、製品名:ノバテックMA3)100gを容積1Lのタンブラーに入れ、10分間混合した後、発生した毛羽を採取して重量を測定し、下記判定基準により評価を行った。
○;0.15g未満、△;0.15g以上1.5g未満、×;1.5g以上
(1)曲げ強度
実施例および比較例で得られた繊維強化樹脂組成物のペレットを乾燥させた後、日本製鋼所(株)製J350EIII型射出成形機を用いて、230℃で長さ130±1mm、幅25±0.2mmのテストピースを作製し、ASTM D−790(2004)に規定する試験方法に従い、3点曲げ試験冶具(圧子10mm、支点10mm)を用いて支持スパンを100mmに設定し、クロスヘッド速度5.3mm/分で曲げ強度を測定した。なお、本実施例においては、試験機としてインストロン万能試験機4201型(インストロン社製)を用いた。測定数はn=5とし、平均値を曲げ強度とした。
(2)高温機械特性
恒温槽で試験温度を120℃に保ち、高温環境下で(1)曲げ強度と同様にして3点曲げ試験を行い、高温時の曲げ強度を測定した。下記判定基準により、高温機械特性の評価を行った。
◎;45MPa以上
○;40MPa以上45MPa未満
△;35MPa以上40MPa未満
×;35MPa未満
(3)耐水性
テストピースをプレッシャークッカーで120℃、0.2MPa条件下で15時間吸水させた後、(1)曲げ強度と同様にして3点曲げ試験を行い、吸水後の曲げ強度を測定した。下記判定基準により、耐水性の評価を行った。
○;50MPa以上
△;40MPa以上50MPa未満
×;40MPa未満
アイソタクチック構造のホモポリプロピレン樹脂(MFR=2g/10分−180℃・2160g)100質量部に、無水マレイン酸5.5質量部、ジ−t−ブチルパーオキシド1.0質量部を、170℃に設定した二軸押出機を用いて反応させて、酸変性ポリプロピレン樹脂を得た。
この樹脂をアセトンで数回洗浄後、減圧乾燥機で乾燥し、酸変性ポリプロピレン樹脂「P−1」を得た。
製造例1において、無水マレイン酸の添加量を6.0質量部とし、ジ−t−ブチルパーオキシドの添加量を1.5質量部とした以外は同様に操作を行うことにより、酸変性ポリプロピレン樹脂「P−2」を得た。
製造例1において、無水マレイン酸の添加量を6.0質量部とし、ジ−t−ブチルパーオキシドの添加量を1.8質量部とした以外は同様に操作を行うことにより、酸変性ポリプロピレン樹脂「P−3」を得た。
製造例1において、無水マレイン酸の添加量を3.8質量部とし、ジ−t−ブチルパーオキシドの添加量を0.8質量部とした以外は同様に操作を行うことにより、酸変性ポリプロピレン樹脂「P−4」を得た。
製造例1において、無水マレイン酸の添加量を2.8質量部とし、ジ−t−ブチルパーオキシドの添加量を0.5質量部とした以外は同様に操作を行うことにより、酸変性ポリプロピレン樹脂「P−5」を得た。
製造例1において、アイソタクチック構造のホモポリプロピレン樹脂に変え、ランダムポリプロピレン(プロピレン/エチレン/ブテン=89/5/6(質量比)、MFR=10g/10分−180℃・2160g)を用いた以外は同様に操作を行うことにより、酸変性ポリプロピレン樹脂「P−6」を得た。
製造例1において、アイソタクチック構造のホモポリプロピレン樹脂に変え、シンジオタクチック構造のホモポリプロピレン樹脂(MFR=5g/10分−180℃・2160g)を用いた以外は同様に操作を行うことにより、酸変性ポリプロピレン樹脂「P−7」を得た。
製造例1において、アイソタクチック構造のホモポリプロピレン樹脂に変え、ランダムポリプロピレン(プロピレン/エチレン=96/4(質量比)、MFR=10g/10分−180℃・2160g)を用いた以外は同様に操作を行うことにより、酸変性ポリプロピレン樹脂「P−8」を得た。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、75.0gの酸変性ポリプロピレン樹脂「P−1」、30.0gのイソプロパノール、170.0gのテトラヒドロフラン、15.0gのトリエチルアミンおよび210.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を150℃に保ってさらに60分間撹拌した後、ヒーターの電源を切り自然冷却した。
内温が80℃まで冷えたところで容器を開封して、60.0gのテトラヒドロフラン、10.0gのジメチルエタノールアミンおよび50.0gの蒸留水からなる原料を追加投入した。その後、容器を密閉し、ヒーターの電源を入れ、撹拌翼の回転速度を300rpmの状態で再度加熱(再昇温)した。系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した後、ヒーターの出力を、内温80℃になるように調整した。
内温が80℃まで冷えたところで、真空ポンプを使って系内を徐々に減圧して、イソプロパノール、テトラヒドロフランと水を除去した。テトラヒドロフラン、イソプロパノールと水を400g以上除去した後、ヒーターの電源を切り、系内温度が35℃になったところで、水を添加して水性分散体中の「P−1」の濃度が20質量%となるように調整し、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、均一な酸変性ポリプロピレン樹脂の水性分散体、即ち、繊維収束剤を得た。この繊維収束剤を「E−1」とした。なお加圧濾過の後、フィルター上に樹脂の未分散物は確認できなかった。
酸変性ポリプロピレン樹脂としてP−2〜P−8をそれぞれ用いた以外は、調製例1と同様の方法で繊維収束剤E−2〜4、6〜8を得た。なお、P−5では、安定した繊維収束剤を得ることができなかった。
調製例4において、トリエチルアミンに変え、ジメチルエタノールアミンを用いた以外は、同様の方法で繊維収束剤E−9を得た。
25.0gの不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン樹脂「P−1」をトルエン100gに加え、撹拌しながら加温して均一に溶解させた。一方、別の容器にポリオキシアルキル系界面活性剤2.0gを水100gに加えて溶解させた。前記不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン樹脂のトルエン溶液と界面活性剤の水溶液を撹拌した。さらに、DMEAを加えて、pHを調整した後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去させて、繊維収束剤E−10を得た。
ローラーを介して繊維収束剤に浸漬する方法により、未処理の炭素繊維ストランド(東邦テナックス社製 「ベスファイトSTS−24KN00」、直径7μm×24000フィラメント、繊度1.6g/m、引張強度4000MPa(408kgf/mm2)、引張弾性率238GPa(24.3ton/mm2))に、水で希釈した繊維収束剤E−1を含浸させて、150℃で30秒間乾燥を行って、繊維収束剤で表面処理した繊維状強化材を得た。得られた繊維状強化材を、ロービングカッターで6mmの長さに切断して繊維状強化材のチョップドストランドを作製した。日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)を使用し、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、製品名:ノバテックMA3)80質量部と、繊維状強化材のチョップドストランド20質量部をドライブレンドしたものを押出機のホッパーに供給し、設定温度240℃で溶融混練してストランド状に押出し、水中で冷却後切断して、ペレット状の繊維強化樹脂組成物を得た。前記繊維強化樹脂組成物のペレットを乾燥させた後、日本製鋼所(株)製J350EIII型射出成形機を用いて、シリンダー温度230℃で射出成形を行った。金型は長さ130±1mm、幅25±0.2mmのテストピースを作製できるものを用い、得られたテストピースで曲げ強度、高温機械特性(高温時曲げ強度)、耐水性(吸水後曲げ強度)の試験をそれぞれ行った。
実施例1において、繊維収束剤E−1に変えて繊維収束剤E−2を用いた以外は同様の操作を行い、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例1において、繊維収束剤E−1に変えて繊維収束剤E−3を用いた以外は同様の操作を行い、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例1において、繊維収束剤E−1に変えて繊維収束剤E−4を用いた以外は同様の操作を行い、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例1において、繊維収束剤E−1に変えて繊維収束剤E−9を用いた以外は同様の操作を行い、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例1において、繊維収束剤E−1に変えて繊維収束剤E−6を用いた以外は同様の操作を行い、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例1において、繊維収束剤E−1に変えて繊維収束剤E−7を用いた以外は同様の操作を行い、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例1において、繊維収束剤E−1に変えて繊維収束剤E−8を用いた以外は同様の操作を行い、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
実施例1において、繊維収束剤E−1に変えて繊維収束剤E−10を用いた以外は同様の操作を行い、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物を得た。
一方、不飽和カルボン酸成分の含有量が本発明の規定化から外れる酸変性ポリプロピレン樹脂を用いた場合、調製例5に示すように水性分散化することが困難であり、繊維収束剤を得ることができなかった。比較例1および3は、繊維収束剤を構成する酸変性ポリプロピレン樹脂がアイソタクチック構造からなるホモポリプロピレンではなかった。比較例1では酸変性ポリプロピレン樹脂の融点が低く、得られた繊維強化樹脂組成物は高温機械特性に劣るものであった。比較例3は繊維状強化材の収束性に劣り、繊維状強化材とポリプロピレン樹脂との接着性に劣るものであった。比較例2は、シンジオタクチック構造を有する酸変性ポリプロピレン樹脂を用いたものであり、本発明で規定したアイソタクチック構造ではないため、酸変性ポリプロピレン樹脂の融点が低く、得られた繊維強化樹脂組成物は高温機械特性に劣るものであった。比較例4は繊維収束剤に界面活性剤を含有しているため、繊維状強化材の収束性に劣り、繊維状強化材とポリプロピレン樹脂との接着性に劣るものであり、得られた繊維強化樹脂組成物は耐水性にも劣っていた。
Claims (5)
- 炭素繊維に繊維収束剤が被覆された繊維状強化材であって、
前記繊維収束剤は、酸変性ポリプロピレン樹脂が不揮発性水性化助剤を実質的に含有せずに水性媒体中に分散されたものであり、
酸変性ポリプロピレン樹脂は、融点が135℃以上であって、不飽和カルボン酸を1.5〜10.0質量%含有し、ポリプロピレン成分がアイソタクチック構造であることを特徴とする繊維状強化材。 - 酸変性ポリプロピレン樹脂の180℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)値が400g/10分以下である繊維収束剤を用いた請求項1に記載の繊維状強化材。
- 重量平均粒子径が150nm以下である繊維収束剤を用いた請求項1または2に記載の繊維状強化材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の繊維状強化材と、熱可塑性マトリックス樹脂を含むことを特徴とする繊維強化樹脂組成物。
- 熱可塑性マトリックス樹脂がポリプロピレンであることを特徴とする請求項4に記載の繊維強化樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015151705A JP6626656B2 (ja) | 2015-07-31 | 2015-07-31 | 繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015151705A JP6626656B2 (ja) | 2015-07-31 | 2015-07-31 | 繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017031522A JP2017031522A (ja) | 2017-02-09 |
JP6626656B2 true JP6626656B2 (ja) | 2019-12-25 |
Family
ID=57987783
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015151705A Active JP6626656B2 (ja) | 2015-07-31 | 2015-07-31 | 繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6626656B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7093535B2 (ja) * | 2017-03-30 | 2022-06-30 | ユニチカ株式会社 | 水性分散体およびその製造方法 |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0696463B2 (ja) * | 1991-12-17 | 1994-11-30 | 三洋化成工業株式会社 | 無機繊維用集束剤 |
JP3408343B2 (ja) * | 1994-11-11 | 2003-05-19 | 旭ファイバーグラス株式会社 | 直接射出成形用ガラス繊維及びガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物 |
JP4721687B2 (ja) * | 2004-10-22 | 2011-07-13 | 株式会社プライムポリマー | ガラス繊維処理用変性ポリオレフィン系樹脂、表面処理ガラス繊維及び繊維強化ポリオレフィン系樹脂 |
JP4616617B2 (ja) * | 2004-10-26 | 2011-01-19 | 帝人テクノプロダクツ株式会社 | 熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランドの製造方法 |
JP2006233346A (ja) * | 2005-02-22 | 2006-09-07 | Teijin Techno Products Ltd | 熱可塑性樹脂強化用炭素繊維ストランド |
JP5133742B2 (ja) * | 2008-03-12 | 2013-01-30 | ユニチカ株式会社 | ガラス繊維強化樹脂組成物およびその製造方法 |
JP5418159B2 (ja) * | 2009-11-09 | 2014-02-19 | Dic株式会社 | ガラス繊維集束剤、ガラス繊維集束剤の製造方法及びガラス繊維 |
KR101669377B1 (ko) * | 2012-09-06 | 2016-10-25 | 미쯔비시 레이온 가부시끼가이샤 | 수지 강화용 탄소 섬유속 및 그의 제조 방법, 및 탄소 섬유 강화 열가소성 수지 조성물 및 그의 성형품 |
-
2015
- 2015-07-31 JP JP2015151705A patent/JP6626656B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017031522A (ja) | 2017-02-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2016006245A (ja) | 繊維収束剤、繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物 | |
JP7219796B2 (ja) | 分散樹脂組成物及びその用途 | |
US20130059165A1 (en) | Adhesion promoter system, and method of producing the same | |
JP5133742B2 (ja) | ガラス繊維強化樹脂組成物およびその製造方法 | |
KR102205707B1 (ko) | 프라이머리스 페인트 조성물, 이의 제조 방법 및 이를 포함하는 물품 | |
JPWO2019181336A1 (ja) | 水性分散体組成物 | |
JP4451084B2 (ja) | ポリオレフィン樹脂分散体およびその製造方法 | |
KR102270524B1 (ko) | 변성 폴리프로필렌 수지를 함유하는 자기 유화형 에멀션 | |
JP2019031644A (ja) | ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法 | |
EP1911805B1 (en) | Aqueous resin composition and method for producing same | |
EP1911804B1 (en) | Method of producing an aqueous resin composition | |
JP6626656B2 (ja) | 繊維状強化材および繊維強化樹脂組成物 | |
JP4892410B2 (ja) | 水性分散体およびその製造方法 | |
JPWO2014061598A1 (ja) | 薄片化黒鉛誘導体の製造方法、及び薄片化黒鉛・樹脂複合材料の製造方法 | |
JP2017031302A (ja) | 射出成形用接着剤 | |
CA2798021C (en) | Adhesion promoter system, and method of producing the same | |
JP6587375B2 (ja) | ポリオレフィン樹脂水性分散体及びその製造方法 | |
JP2014189644A (ja) | 炭素繊維熱可塑性樹脂複合材の製造方法 | |
JP7505662B2 (ja) | 水性分散体組成物 | |
JPS6250425B2 (ja) | ||
JP5533687B2 (ja) | エマルジョンからなるガラス繊維用集束剤、ガラス繊維、及びガラス繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物 | |
JP2018039967A (ja) | 接着剤およびそれを用いてなる積層体 | |
JP2023119572A (ja) | ポリオレフィン樹脂水性分散体、およびその製造方法 | |
US20080227908A1 (en) | Aqueous Resin Composition and Method of Producing the Same | |
JP2023119571A (ja) | ポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180724 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190619 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190625 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190826 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20191112 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20191202 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6626656 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |